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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】画像処理装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241004BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241004BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241004BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 127B
B41J29/42 F
B41J29/00 Z
G03G21/00 386
G03G21/00 388
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023135619
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2018245579の分割
【原出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2023162308
(43)【公開日】2023-11-08
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】中谷 裕介
(72)【発明者】
【氏名】棟朝 洋樹
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216913(JP,A)
【文献】特開2014-180792(JP,A)
【文献】特開2011-139380(JP,A)
【文献】特開2017-108359(JP,A)
【文献】特開2006-323730(JP,A)
【文献】特開2018-197971(JP,A)
【文献】特開2010-287176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/42
B41J 29/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と通信可能な画像処理装置において、
利用者による操作指示を受付ける操作入力部と、
読み取り操作を受付けて読み取られた原稿の画像データを記憶する記憶部と、
記端末装置の端末表示部に表示された前記端末装置の情報を前記端末装置から受信する受信部と、
前記端末装置の情報を表示する表示部と、
前記操作入力部を介して前記端末装置の情報の確認操作を受付けた場合、前記端末装置との前記画像データの送受信が可能な通信状態を確立し、前記記憶部に記憶された前記画像データを、前記通信状態が確立している前記端末装置に送信する制御部と、
を備え
前記制御部は、
同一の前記端末装置の情報を有する前記端末装置が複数接続されていない場合は、前記端末装置の情報を前記表示部に表示し、前記確認操作を受け付けたとき、前記端末装置と通信状態を確立し、
同一の前記端末装置の情報を有する前記端末装置が複数接続された場合は、接続されている全ての前記端末装置にエラー情報を送信し、当該エラー情報が送信された前記端末装置との接続を切断する
画像処理装置。
【請求項2】
前記端末装置と無線接続するアクセスポイント部をさらに備え、
前記表示部は、前記アクセスポイント部を介して前記端末装置と接続した後、前記画像データを送受信が可能な通信状態を確立する前に、前記端末装置の情報を表示する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記端末装置の情報と、前記画像データの送受信を行うためのセッション識別情報とを前記端末装置から受信する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記操作入力部を介して前記表示部に表示された前記端末装置の情報の確認操作を受付けた後、前記画像データのファイル名を含む送信内容確認画面を表示する 請求項1からの何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記操作入力部を介して前記送信内容確認画面の情報の確認操作を受付けると、課金処理画面を表示する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
端末装置と通信可能な画像処理装置における制御方法であって、
利用者による操作指示を受付ける受付ステップと、
読み取り操作を受付けて読み取られた原稿の画像データを記憶する記憶ステップと、
記端末装置の端末表示部に表示された前記端末装置の情報を前記端末装置から受信する受信ステップと、
前記端末装置の情報を表示する表示ステップと、
前記利用者から前記端末装置の情報の確認操作を受付けた場合、前記端末装置との前記画像データの送受信が可能な通信状態を確立し、記憶された前記画像データを、前記通信状態が確立している前記端末装置に送信する送信ステップと、
を含み、
前記送信ステップは、
同一の前記端末装置の情報を有する前記端末装置が複数接続されていない場合は、前記端末装置の情報を前記表示部に表示し、前記確認操作を受け付けたとき、前記端末装置と通信状態を確立し、
同一の前記端末装置の情報を有する前記端末装置が複数接続された場合は、接続されている全ての前記端末装置にエラー情報を送信し、当該エラー情報が送信された前記端末装置との接続を切断する
御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2台の装置を接続させる場合において、一方の装置の利用者に対して、接続先となる他方の装置を選択させることにより、2台の装置を接続させることが一般的に行われている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-127298
【文献】特開2002-232637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2には、スキャナ装置が、画像データを送信するために接続する端末装置を、リストやアドレス帳を用いて利用者に選択させる技術が開示されている。しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された技術は、スキャナ装置等の装置の操作に慣れていない利用者に対して、接続先の装置を選択する操作に困難さを感じさせてしまうといった問題がある。また、接続されるべき装置が、適切であるか否かを、利用者が容易に確認することができないという問題がある。
【0005】
上述した課題に鑑み、本発明は、利用者に対して、接続元の装置と接続先の装置とが接続されていることを容易に確認させることが可能な接続システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の接続システムは、
第1の制御部と、第1の通信部と、第1の表示部とを備えた端末装置と、
第2の制御部と、第2の通信部と、第2の表示部とを備えた画像処理装置と、
を含む接続システムにおいて、
前記端末装置の前記第1の制御部は、
前記第1の通信部を介して前記画像処理装置に接続した場合は、前記第1の表示部に前記端末装置の情報を表示し、
前記画像処理装置の前記第2の制御部は、
前記第2の通信部を介して前記端末装置が接続された場合は、前記端末装置の情報を、前記第2の表示部に表示する、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の制御方法は、
第1の制御部と、第1の通信部と、第1の表示部とを備えた端末装置と、
第2の制御部と、第2の通信部と、第2の表示部とを備えた画像処理装置と、
を含む接続システムにおける制御方法であって、
前記端末装置は、
前記第1の通信部を介して前記画像処理装置に接続した場合は、前記第1の表示部に前記端末装置の情報を表示し、
前記画像処理装置は、
前記第2の通信部を介して前記端末装置が接続された場合は、前記端末装置の情報を、前記第2の表示部に表示する、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の画像処理装置は、
端末装置と接続する通信部と、制御部と、表示部とを備えた画像処理装置において、
前記制御部は、
前記通信部を介して前記端末装置が接続された場合、前記端末装置の情報を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の通信方法は、
画像処理装置と端末装置との間で通信を行う通信方法であって、
前記端末装置と、前記画像処理装置との間で通信を確立するステップと、
前記通信が確立された後、前記端末装置及び前記画像処理装置の表示部に、前記端末装置の端末名を表示するステップと、
前記端末装置及び前記画像処理装置の表示部に同じ端末名が表示された後、前記画像処理装置から前記端末装置に画像データを送信するステップと、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者に対して、接続元の装置と接続先の装置とが接続されていることを容易に確認させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における画像データ送信システムの全体構成を説明するための図である。
図2】第1実施形態における画像処理装置、画像形成装置、端末装置の機能構成を説明するための図である。
図3】第1実施形態における受信信号強度リストのデータ構造を説明するための図である。
図4】第1実施形態における処理の流れを説明するための図である。
図5】第1実施形態における処理の流れを説明するための図である。
図6】第1実施形態における端末名表示処理の流れを説明するためのフロー図である。
図7】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
図8】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
図9】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
図10】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
図11】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
図12】第2実施形態における端末名表示処理の流れを説明するためのフロー図である。
図13】第2実施形態における動作例を説明するための図である。
図14】第3実施形態における動作例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、一例として、本発明の画像処理装置を含むシステムについて説明する。
【0013】
[1.第1実施形態]
[1.1 全体構成]
[1.1.1 システムの構成]
本実施形態のシステム1の全体構成について、図1に基づいて説明する。図1に示すように、システム1は、処理装置10と、画像形成装置20と、端末装置30とにより構成される。なお、図1は、処理装置10に1台の端末装置30が接続されている様子を示しているが、処理装置10には複数の端末装置30が接続されてもよい。また、処理装置10と、画像形成装置20とは、処理装置10と、画像形成装置20とを含んだ装置(例えば、画像処理装置25)として構成されてもよい。
【0014】
処理装置10は、画像形成装置20と接続する装置である。画像形成装置20は、外部から入力される画像データを記録用紙等に画像を形成したりすることで、画像を出力する装置であり、いわゆる複合機と呼ばれる装置である。処理装置10と画像形成装置20との接続は、本実施形態においては有線によって接続し、互いに通信可能とする。処理装置10と画像形成装置20とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に基づいた接続方法により接続される。なお、処理装置10と画像形成装置20とは、IEEE 1394、RS-232等の公知の規格に基づいた接続方法によって接続されてもよいし、LAN(Local Area Network)により接続されてもよい。また、処理装置10と画像形成装置20とは無線接続されてもよい。
【0015】
また、処理装置10は、利用者に提供したサービスに対する課金を行ってもよい。この場合、処理装置10は、現金により料金を徴収するためのコイン投入口、紙幣挿入口、返却ボタン、コイン返却口、紙幣返却口を備えた料金収受装置が接続されてもよい。
【0016】
端末装置30は、可搬型の情報処理端末装置であり、スマートフォンや、タブレットといった装置である。端末装置30は、無線LANによって、他の装置と無線による接続が可能である。本実施形態では、処理装置10は無線LANのアクセスポイント(親機)としても機能し、無線LAN端末(子機)である端末装置30の接続先にもなる。
【0017】
[1.1.2 画像送受信サービスの概要]
本実施形態は、画像処理装置25は、画像送受信サービスを提供する。画像送受信サービスとは、画像処理装置25と、端末装置30との間において、画像データを送受信するサービスである。本実施形態では、画像処理装置25から、端末装置30へ画像データを送信するサービスを中心に説明する。
端末装置30は、画像送受信サービスを利用するためのアプリ(画像データ受信アプリ)を実行することで、処理装置10から画像データを受信することができる。
【0018】
また、本実施形態では、画像処理装置25(処理装置10)がプログラムを実行することにより提供するサービスである。画像送受信サービスは、画像処理装置25(処理装置10)を介して、例えば他のサービスを提供するサーバ装置で実行されてもよい。
【0019】
画像送受信サービスは、以下の状態を遷移する。
(1)スキャン
(2)端末装置30の接続・確認
(3)課金処理
(4)画像データの送信
以下、遷移する状態について簡単に説明する。
【0020】
(1)スキャン
画像送受信サービスは、原稿を読み取る状態にする。この状態のとき、画像送受信サービスの利用者は、画像処理装置25(画像形成装置20)により原稿を読み取らせる。
【0021】
(2)端末装置30の接続・確認
次に、画像送受信サービスは、画像処理装置25に端末装置30を接続する。利用者は、端末装置30を操作して、画像データ受信アプリを起動する。画像データ受信アプリによって、端末装置30の表示部には、端末名といった端末装置の情報が表示される。また、画像処理装置25の表示部にも、端末名が表示される。画像送受信サービスの利用者は、画像処理装置25に表示された端末名と、端末装置30に表示された端末名とが同一である場合に、自分の端末装置30が画像処理装置25に接続されたことを確認できる。
【0022】
利用者から確認操作がされると、画像処理装置25は、送信する画像データに関する情報を表示部に表示してもよい。例えば、画像処理装置25が送信する画像データのファイル名、ファイル容量を画像処理装置25は表示部に表示する。これにより、利用者は、受信する画像データに関する情報を確認することができる。
【0023】
(3)課金処理
画像送受信サービスの利用者によって、画像データに関する情報が正しいことが確認されたら、画像送受信サービスは、決済を行う状態にする。このとき、処理装置10には、課金額が表示される。画像送受信サービスの利用者は、表示された課金額を満たす現金を投入する。なお、現金以外にも、例えば電子マネーを利用したり、払込票を印刷して処理完了後、利用者がレジで決済したりしてもよい。課金処理は、決済を始める画面を表示してから、決済が完了するまでの処理をいう。
【0024】
(4)画像データの送信
画像送受信サービスの利用者によって、課金額を満たす現金が投入されたら、画像送受信サービスは、決済の処理を行い、画像データの送受信を行う状態にする。このとき、処理装置10の表示部や、端末装置30の表示部には、画像データが送受信されている最中であることが表示される。画像送受信サービスの利用者は、画像データの送受信が完了するまで待機する。画像データの送受信が完了したら、画像送受信サービスは、画像送受信サービスを終了する状態にする。
【0025】
[1.2 機能構成]
図2を参照して、本実施形態の画像処理装置25を構成する処理装置10及び画像形成装置20と、端末装置30との機能構成について説明する。以下、画像処理装置25のうち、処理装置10がサービスを提供する場合について説明する。
【0026】
[1.2.1 画像処理装置]
処理装置10は、制御部100と、表示部110と、操作入力部120と、アクセスポイント部130と、通信部140と、記憶部150とを備えて構成されている。
【0027】
制御部100は、処理装置10の全体を制御するための機能部である。制御部100は、各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central Processing Unit))等により構成されている。
【0028】
表示部110は、利用者に各種情報を表示するための機能部であり、例えばLCD(Liquid crystal display)等により構成されている。また、操作入力部120は、利用者による操作指示を受け付けるための機能部であり、接触による入力を検出する装置等により構成されている。表示部110と、操作入力部120とは、一体に形成されているタッチパネルによって構成されてもよい。タッチパネルの入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。また、表示部110及び操作入力部120は、画像形成装置20に設けられてもよ
い。
【0029】
アクセスポイント部130は、処理装置10がアクセスポイントとしての機能を実現する機能部であり、例えば、IEEE 802.11a/b/g/nといった無線LANのネットワークを提供するアクセスポイントとして機能する。アクセスポイント部130が提供する無線LANのネットワークは、SSID(Service Set Identifier)によって識別される。端末装置30は、ネットワークの接続先として、アクセスポイント部130が提供する無線LANのSSIDを指定することで、処理装置10と接続することができる。
【0030】
通信部140は、処理装置10が外部の装置と、有線又は無線の通信を行うための機能部である。通信部140は、例えば、USB端子等の入出力端子を備えて構成される。また、外部の装置とは無線通信によって接続してもよく、無線LANで利用されるNIC(Network Interface Card)や、LTE(Long Term Evolution)/LTE-A(LTE-Advanced)/LAA(License-Assisted Access use LTE)/5G回線に接続可能な通信モジュールにより構成されてもよい。
【0031】
記憶部150は、処理装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する機能部である。記憶部150は、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)や
、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されてもよいし、処理装置10に対して取り
外し可能で、小型の記録媒体で構成されてもよい。
【0032】
記憶部150には、画像データを記憶する領域である画像データ記憶領域152が確保されており、端末装置30の受信信号の強度に関するリストである受信信号強度リスト154が記憶される。
【0033】
図3は、本実施形態における受信信号強度リスト154のデータ構成の一例を示した図である。図3に示すように、受信信号強度リスト154は、端末装置30の情報である端末名(例えば、「山田太郎のスマホ」)と、端末装置30との無線通信におけるセッションを識別するためのセッションID(例えば、「1234567890」)と、端末装置30が処理装置10から受信した信号(受信信号)の強さを表す値である受信信号強度(例えば、「-44dBm」)とを、端末装置30毎に記憶する。
【0034】
ここで、端末装置30の情報は、端末装置30に関する情報である。端末装置30の情報には、例えば、以下の情報が含まれる。
・端末装置30の固有の情報(例えば、端末装置30のシリアル番号、MACアドレス、端末名等)
・端末装置30に関連する固有の情報(例えば、端末装置30に装着されているSIM(Subscriber Identity Module)カードに対応付けられたIMEI(International Mobile Equipment Identifier)や電話番号)
・端末装置30を利用するユーザの情報(例えば、ユーザ名、アカウント名、電子メールアドレス等)
・端末装置30の動作に基づく情報(例えば、バッテリー残量、端末装置30で動作するOS(Operation System)の名称等)
【0035】
この端末装置30の情報のうち、端末装置30を一意に識別することが可能な情報を端末識別子という。端末識別子は、端末装置30の利用者によって設定される情報であってもよいし、端末装置30に予め記憶されている情報であってもよい。端末装置30の利用者によって設定される端末識別子としては、例えば、端末装置30の名称である端末名、ユーザ名、電子メールアドレス、電話番号、IPアドレス等のアドレスである。また、端
末装置30に予め記憶されている端末識別子としては、端末装置30シリアル番号や、IMEI(International Mobile Equipment Identifier)や、MACアドレスといった、
端末装置を一意に識別できる情報がある。
【0036】
また、セッションとは、処理装置10と端末装置30との間における、画像送受信のサービス毎に行われる通信の単位をいう。本実施形態におけるセッションとは、処理装置10が、画像データ記憶領域152に記憶された1又は複数の画像データを、1台の端末装置30に送信するという通信の単位をいう。すなわち、処理装置10は、利用者によって画像送受信のサービスが利用されるたびに、1台の端末装置30に対するセッションを生成し、当該セッションを生成した1台の端末装置30に対して、1又は複数の画像データを送信する。なお、処理装置10は、セッションをセッションIDにより識別する。
【0037】
また、セッションIDとは、セッションを一意に識別するための情報である。セッションIDは、端末装置30に記憶される画像データ受信アプリ354により生成される。セッションIDは、セッションを識別できればよく、例えば、ランダムに抽出された10桁の数字から構成される。セッションIDは、アルファベットや、ハイフン等の記号を含めて構成されてもよく、また、桁数(文字数)も10桁でなくても構わない。
【0038】
なお、本実施形態では、処理装置10が、セッションを生成し、画像データを送信する対象となる端末装置30に対して画像データを送信できる状態になることを、セッションが確立する、という。
【0039】
[1.2.2 画像形成装置]
画像形成装置20は、制御部200と、通信部210と、原稿読取部220と、画像処理部230と、画像形成部240と、記憶部250とを備えて構成されている。なお、更に表示部が備えられてもよい。
【0040】
制御部200は、画像形成装置20の全体を制御するための機能部である。制御部200は、各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば、1又は複数の演算装置(CPU)等により構成されている。
【0041】
通信部210は、画像形成装置20が外部の装置と、有線又は無線の通信を行うための機能部である。通信部210は、例えば、USB端子等の入出力端子を備えて構成される。また、本実施形態では、画像形成装置20は、通信部210を介して処理装置10と接続可能となっている。
【0042】
原稿読取部220は、画像形成装置20に載置された原稿を画像データとして読み取るための機能部である。例えば、原稿読取部220は、スキャナによって構成される。
【0043】
画像処理部230は、画像データに各種画像処理を施して、画像形成部240が画像を形成するために用いる印刷データを生成する機能部である。画像処理として、例えば、画像データの鮮鋭化処理や、色変換処理を行う。また、画像処理部230は、生成した印刷データを記憶部250に記憶する。
【0044】
画像形成部240は、印刷データを記録媒体(例えば記録用紙)に形成するための機能部である。例えば、画像形成部240は、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成される。
【0045】
記憶部250は、画像形成装置20の動作に必要な各種プログラムや、画像処理部230が生成した印刷データ等の各種データを記憶する機能部である。記憶部250は、例え
ば、半導体メモリであるSSDや、HDD等により構成される。
【0046】
[1.2.3 端末装置]
端末装置30は、制御部300と、無線通信部310と、表示部320と、操作入力部330と、受信信号強度測定部340と、記憶部350とを備えて構成されている。
【0047】
制御部300は、端末装置30の全体を制御するための機能部である。制御部300は、各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば、1又は複数の演算装置(CPU)等により構成されている。
【0048】
無線通信部310は、アクセスポイント部130に接続する機能部である。例えば、IEEE 802.11a/b/g/nといった何れかの無線LANの通信方式を用いて通信が可能なNICによって構成される。
【0049】
表示部320は、利用者に各種情報を表示するための機能部であり、例えばLCD(Liquid crystal display)等により構成されている。また、操作入力部330は、利用者による操作指示を受け付けるための機能部であり、接触による入力を検出する装置等により構成されている。表示部320と、操作入力部330とは、一体に形成されているタッチパネルによって構成されてもよく、タッチパネルの入力を検出する方式は、例えば、静電容量方式が用いられる。
【0050】
受信信号強度測定部340は、無線通信部310によって実現される無線通信において、アクセスポイントである処理装置10から受信した受信信号の強度を測定するための機能部である。測定した受信信号の強度は、例えば、RSSI(Received Signal Strength
Indication)の値に基づき、dBmの値によって表す。
【0051】
受信信号強度測定部340は、アクセスポイント部130から送信されるビーコン等のフレームやパケットを受信するときに、受信したフレームやパケットの受信信号の強度を測定する。また、受信信号強度測定部340は、アプリケーションから、受信信号の強度の値を取得するためのAPI(Application Programming Interface)が呼び出された場
合には、当該APIを呼び出したアプリケーションに受信信号の強度の値を返す。このようにして、制御部300によって実行されるアプリケーションは、受信信号強度測定部340が測定した受信信号の強度の値を取得することができる。
【0052】
記憶部350は、端末装置30の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する機能部である。記憶部350は、例えば、半導体メモリであるSSDや、フラッシュメモリ等により構成される。
【0053】
記憶部350は、画像データを記憶する領域である画像データ記憶領域352を確保し、処理装置10から画像データを受信するためのアプリケーションである画像データ受信アプリ354と、端末装置に関する情報である端末装置情報356とを記憶する。
【0054】
画像データ受信アプリ354は、制御部300によって読み出され実行されることにより、処理装置10から画像データを受信するための機能を実現する。画像データ受信アプリ354によって実現する機能としては、具体的には以下の機能である。
【0055】
(1)セッションIDの生成機能
セッションIDを生成する機能である。制御部300は、例えば、乱数を用いてセッションIDを生成する。なお、制御部300は、時刻や端末識別子の情報に対して所定の演算を実行することで、セッションIDを生成してもよい。
【0056】
(2)端末名・セッションID・受信信号の強度の値の送信機能
生成したセッションIDと、端末装置情報356に記憶された端末名と、受信信号の強度の値とを、処理装置10に送信する機能である。なお、端末名は、処理装置10に表示される情報である。したがって、すでに説明したように、処理装置10には端末装置30の情報が送信されればよい。制御部300は、端末名の代わりに、端末名以外の端末識別子を送信してもよいし、端末識別子以外の端末装置30の情報を送信してもよい。また、受信信号の強度の値は、制御部300が、受信信号の強度を取得するためのAPIを呼び出すことで取得すればよい。なお、受信信号の強度の値は、端末名とセッションIDとを処理装置10に送信する度に送信してもよいし、所定の間隔を開けて(例えば、3回に1度)送信してもよい。
【0057】
端末装置30の受信信号の強度の値は、処理装置10が取得できれば、上述した方法以外で実現してもよい。例えば、制御部300は、端末名とセッションIDとを含む信号を送信するタイミングとは異なるタイミングで、受信信号の強度の値を処理装置10に送信してもよい。また、処理装置10が、端末装置30の受信信号の強度の値を測定したり、取得したりしてもよい。処理装置10が受信信号の強度を取得する方法としては、例えば、処理装置10が端末装置30から受信する受信信号から、端末装置30の受信信号の強度の値を推定する方法が考えられる。なお、処理装置10が、端末装置30の受信信号の強度の値を取得する場合は、端末装置30は、処理装置10に対して、受信信号の強度の値を送信しなくてもよい。
【0058】
(3)画像送受信サービスの状態の受信と画面の表示機能
制御部300は、処理装置10に対して画像送受信サービスの状態の取得の要求を送信することで、処理装置10から送信される画像送受信サービスの状態を受信し、画像送受信サービスの状態に応じた表示画面を表示部320に表示する機能である。画面の表示機能としては、例えば、画像送受信サービスの状態が、画像データを送信する端末装置が決定した状態である場合は、制御部300は、表示部320に、処理装置10で操作を促すための画面を表示する。なお、制御部300は、処理装置10から受信した装置状態に基づいて、利用者が端末装置30を操作しなくても、自動的に表示画面を切り替えてもよいし、利用者の操作によって表示画面を切り替えてもよい。
【0059】
なお、本実施形態では、(2)の機能によって、制御部300が処理装置10に対してセッションIDと端末名とを送信したら、処理装置10から応答として、画像送受信サービスの状態が送信されることとして説明する。すなわち、制御部300が、処理装置10に対してセッションIDと端末名とを送信することが、画像送受信サービスの状態の取得の要求となっていることとして説明する。したがって、(3)の機能の一部である画像送受信サービスの状態の受信の機能は、(2)の機能において、処理装置10から送信される応答を受信することによって実現される。なお、制御部300は、(2)の機能と(3)の機能とは、それぞれ別に実現してもよい。この場合において、端末装置30が処理装置10から画像送受信サービスの状態を受信するときは、制御部300は、処理装置10に対して、端末装置30のIPアドレス等、画像送受信サービスの状態の送信先を特定できる情報を送信すればよい。
【0060】
(4)画像データの記憶機能
処理装置10から送信される画像データを画像データ記憶領域352に記憶する機能である。また、画像データを記憶するときに、画像データに所定の処理をしてもよい。例えば、画像データの属性として、画像データを受信した日時や、処理装置10や画像形成装置20の設置場所(例えば、利用者がサービスの提供を受けた処理装置10を設置した店名)を付加してから、画像データを記憶してもよい。また、画像データを圧縮ファイルの
として処理装置10から受信した場合は、当該圧縮ファイルを展開する処理を行ってもよい。
【0061】
端末装置情報356は、端末装置30に関する情報として、端末名や端末装置30のシリアル番号といった端末識別子や、アカウント名、電話番号、電子メールアドレスといった情報を記憶する。既に説明したように、端末装置情報356が記憶する一部の情報は、端末装置30の利用者によって設定可能であってもよい。
【0062】
なお、端末名やアカウント名は、画像データ受信アプリ354に記憶してもよい。このようにすることで、利用者に対して、端末装置30に設定された端末名とは異なる名称を、画像送受信サービスを利用するときの端末名として使用させることができる。
【0063】
[1.3 処理の流れ]
図4から図6を参照して、本実施形態における処理の流れを説明する。図4及び図5は、処理装置10及び端末装置30における処理の流れを説明するためのシーケンス図である。また、図6は、処理装置10が実行する端末名表示処理のフロー図である。また、図4及び図5においては、端末装置30が2台存在することとして、それぞれ端末装置30a、端末装置30bとして説明する。さらに、端末装置30は、利用者によって、予め無線通信部310の接続先としてアクセスポイント部130のSSIDが指定されていることとして説明する。
【0064】
はじめに、図4を参照して、端末装置30が、処理装置10へ接続し、セッションを確立するまでの処理の流れについて説明する。はじめに、制御部100は、原稿読取部220によって読み取られた原稿の画像データを、通信部210及び通信部140を介して受信する。そして、制御部100は、受信した画像データを、画像データ記憶領域152に記憶する(S102)。つづいて、制御部100は、表示部110に、画像データ受信アプリ354の起動を促すための画面(起動案内画面)を表示する(S104)。起動案内画面には、画像データ受信アプリ354のアイコンや、画像データ受信アプリ354が起動した後に利用者が行う操作の説明が含まれてもよい。
【0065】
つづいて、端末装置30aは、利用者の操作に基づき画像データ受信アプリ354を起動する(S106)。これにより、制御部300は、画像データ受信アプリ354によって実現される機能を実行することができる。制御部300は、画像データ受信アプリ354の機能により、処理装置10との接続に用いるためのセッションIDを生成する(S108)。また、制御部300は、端末装置30aの端末識別子である端末名を表示部320に表示する(S110)。
【0066】
つづいて、制御部300は、処理装置10に接続し、端末名とセッションIDとを含む信号を処理装置10へ送信する(S112)。制御部100は、端末名とセッションIDとを受信したら、送信元の端末装置30aに対して、処理装置10及び画像形成装置20の状態を示す装置状態の情報を送信する(S114)。
【0067】
装置状態とは、処理装置10において、画像送受信サービスがどの状態にあるかを示す情報である。本実施形態において、制御部100は、装置状態として以下の状態を端末装置30に送信する。
【0068】
(1)Waiting
画像送受信サービスにおいて、端末装置30を待ち受ける状態であることを示す。処理装置10と端末装置30とは接続されているが、処理装置10は、いずれの端末装置30に対しても、セッションを確立していない状態を示す。この状態においては、端末装置3
0は処理装置10から画像データを受信できない。そこで、制御部100は、セッションが確立するまでは、端末装置30に対して、装置状態として「Waiting」を送信する。なお、制御部100は、ある端末装置30がセッションを確立している場合に、セッションが確立していない他の端末装置30に対して「Waiting」を送信してもよい。このようにすることで、制御部100は、装置状態として「Waiting」を受信した端末装置30の利用者に対して、画像データが送信できる状態でないことを示すことができる。
【0069】
(2)Ready
画像送受信サービスにおいて、画像データの送信先となる端末装置が決定した状態であることを示す。処理装置10と端末装置30との間におけるセッションが確立され、端末装置30が処理装置10から画像データの受信が可能な状態を示す。制御部100は、セッションを生成し、画像送受信サービスの利用者によって、画像データに関する情報が正しいことが確認されるまでは、セッションが確立した端末装置30に対して、装置状態として「Ready」を送信する。
【0070】
(3)Charging
画像送受信サービスにおいて、決済を行う状態であることを示す。制御部100は、画像データに関する情報が正しいことが確認され、決済の処理が完了するまでは、装置状態として「Charging」を送信する。
【0071】
(4)Sending
画像送受信サービスにおいて、画像データの送受信を行う状態であることを示す。制御部100は、セッションが確立された端末装置30に対して、画像データの送信が完了するまでは、装置状態として「Sending」を送信する。
【0072】
(5)Finished
画像送受信サービスにおいて、画像送受信サービスを終了する状態であることを示す。具体的には、処理装置10から端末装置30への画像データの送信が完了し、また、処理装置10において、決済の処理が完了した状態を示す。この状態においては、処理装置10と端末装置30とにおける通信(接続)を切断してもよい。制御部100は、ユーザによって、画像送受信サービスの終了が確認されるまでは、装置状態として「Finished」を送信する。
【0073】
なお、画像送受信サービスにおいて原稿を読み取る状態である場合は、制御部100は、端末装置30に対して、装置状態として「Waiting」を送信してもよいし、原稿を読み取る状態を示す装置状態(例えば、「Scanning」)を送信してもよい。
【0074】
制御部300は、セッションIDを生成したあとは、処理装置10に対して、定期的に(例えば、1秒毎に)端末名とセッションIDとを送信をして、処理装置10から装置状態を取得するポーリングを行う。このようにすることで、端末装置30は、装置状態により、セッションが確立したか否かを判定することができる。また、処理装置10は、接続対象となる端末装置30の数や、端末名や、セッションIDの情報を取得できる。
【0075】
ここで、S114においては、処理装置10はいずれの端末装置30ともセッションを確立していない。したがって、処理装置10は、端末装置30aに対して装置状態として「Waiting」を送信する。
【0076】
また、端末装置30aとは異なる端末装置30である端末装置30bで画像データ受信アプリ354が起動された場合も(S116)、端末装置30aと同様の処理を行う。す
なわち、端末装置30bの制御部300は、セッションIDを生成し(S118)、表示部320に端末装置30bの端末名を表示する(S120)。また、端末装置30bの制御部300は、処理装置10に対して端末名とセッションIDとを含む信号を送信する(S122)。処理装置10は、端末装置30bから端末名及びセッションIDを含む信号を受信したら、端末装置30bに対して、装置状態として、「Waiting」を送信する(S124)。
【0077】
つづいて、制御部100は、端末名表示処理を実行する(S126)。端末名表示処理については、図6を参照して説明する。端末名表示処理とは、処理装置10が、セッションを確立する対象となる端末装置30の情報である端末名を、表示部110に表示する処理である。
【0078】
はじめに、制御部100は、端末装置30から端末名及びセッションIDを含む信号を受信したか否かを判定する(ステップS182)。端末装置30から端末名及びセッションIDを含む信号を受信した場合は、制御部100は、受信した端末名と、セッションIDとに基づき、受信信号強度リスト154を生成する(ステップS184)。具体的には、制御部100は、所定の時間(例えば、5秒間)、端末装置30から受信信号の強度の値を含む信号の受信することで、端末装置30の受信信号の強度の値を取得する処理を行う。そして、制御部100は、所定の時間内に取得した端末装置30の受信信号の強度の値に基づき、受信信号強度リスト154を生成する。なお、処理装置10が端末装置30の受信信号の強度の値を測定・取得する場合は、例えば、処理装置10が所定の時間に端末装置30から受信した信号の強度等に基づき、端末装置30の受信信号の強度の値を測定・取得すればよい。
【0079】
受信信号の強度の値を取得するための時間を設けることで、複数の端末装置30が存在する場合や、S182とは異なるタイミングで処理装置10が受信信号の強度の値を取得した場合に、制御部100は、端末装置30の受信信号の強度の値を適切に取得できる。また、同じ端末装置30から2回以上受信信号の強度の値を取得した場合は、制御部100は、最後に取得した受信信号の強度の値を当該端末装置30の受信信号の強度の値としてもよいし、平均の値を当該端末装置30の受信信号の強度の値としてもよい。
【0080】
つづいて、制御部100は、ステップS186において、受信信号強度リスト154に端末装置30の1台分のみの情報しか記憶されていない場合は、受信信号強度リスト154に記憶されている端末装置30の端末名を表示部110に表示する(ステップS186;Yes→ステップS188)。
【0081】
ここで、1台分のみの情報が記憶されている状態とは、受信信号強度リスト154に、処理装置10が通信可能な端末装置30の情報が1台分記憶されている状態をいう。したがって、通信可能な端末装置30の情報が1台だけ記憶されていればよく、例えば、複数台の端末装置30の情報が受信信号強度リスト154に記憶されており、受信信号強度が閾値以上の端末が1台といった場合も含むものとする。
【0082】
一方で、受信信号強度リスト154に複数台の端末装置30の情報が記憶されている場合は、制御部100は、処理装置10に最も近い端末装置30の端末名を抽出する(ステップS186;No→ステップS190)。
【0083】
ここで、処理装置10に最も近い端末装置30は、他の端末装置30に比べて、端末名及びセッションIDを含む信号の受信信号が最も強いと考えられる。そこで、制御部100は、受信信号強度リスト154に記憶された受信信号の強度の値を比較したり、受信信号強度リスト154を受信信号強度の順に並び替えたりして、最も受信信号の強度が強い
端末装置30の端末名を抽出する。そして、制御部100は、抽出した端末装置30の端末名を表示部110に表示する(ステップS192)。このようにして、複数台の端末装置30の端末名及びセッションIDを含む信号を受信した場合であっても、1台分の端末装置30の端末名を表示部110に表示することができる。
【0084】
図4に戻り、つづいて、制御部100は、操作入力部120を介して、利用者から端末名の確認操作がされた場合は(S128)、表示部110に表示されている端末名に対応する端末装置30とセッションを確立する(S130)。端末名の確認操作とは、例えば、制御部100が端末名とともに「OK」ボタンを表示し、当該「OK」ボタンが利用者によって選択された場合である。
【0085】
つづいて、制御部100は、セッションを確立した端末装置30から端末名及びセッションIDを含む信号を受信した場合は、当該端末装置30に対して、装置状態として「Ready」を送信する(S132→S134)。なお、本実施形態では、セッションを確立しない端末装置30に対しては、画像送受信サービスが利用できないことを示すために、装置状態として「Waiting」を送信する(S136→S138)。
【0086】
図4では、S130において、処理装置10は、端末装置30bとセッションを確立したとする。この場合、処理装置10は、端末装置30bに対して、装置状態として「Ready」を送信する(S134)。一方で、処理装置10は、セッションを確立しなかった端末装置30aに対しては、装置状態として「Waiting」を送信する(S138)。このようにすることで、処理装置10は、端末装置30bを、画像データを送信する対象となる端末装置とすることができる。また、端末装置30bは、処理装置10とセッションが確立したことを判定することができる。
【0087】
つづいて、図5を参照して、処理装置10が、端末装置30に対して画像データを送信する処理について説明する。なお、以下の説明においては、図4と同様に、処理装置10とセッションを確立した端末装置30は端末装置30bとして説明する。また、以下の説明においては、端末装置30の機能部は、端末装置30bの機能部であるとして説明する(例えば、制御部300は、端末装置30bの制御部300を示す)。
【0088】
はじめに、制御部300は、処理装置10に対してセッションIDを送信する(S142)。制御部100は、端末装置30から受信したセッションIDが、セッションを確立した端末装置30のセッションID、すなわち、端末装置30bのセッションIDと比較する。比較の結果、端末装置30から受信したセッションIDと、端末装置30bのセッションIDとが一致したら、制御部100は、画像データ記憶領域152に記憶された画像データを、セッションが確立している端末装置30bに送信する(S144)。このようにすることで、利用者によって送信内容や料金が確認されている間に、処理装置10は、端末装置30bに対して、バックグラウンドで画像データを送信することができる。
【0089】
つづいて、制御部100は、表示部110に、端末装置30bに対して送信した画像データに関する情報を表示する画面である送信内容確認画面を表示する(S146)。利用者は、送信内容確認画面に基づき、処理装置10から送信される画像データに関する情報を確認することができる。また、送信内容確認画面には、制御部100がS144において送信する画像データのファイル名や、ファイルサイズ、ファイルの保存先となる画像データ記憶領域352のファイルパス(フォルダ名)等を含む。
【0090】
つづいて、制御部100は、表示部110に、画像送受信サービスの利用料金に関する情報を表示する画面である料金確認画面を表示する(S148)。利用者は、料金確認画面に基づき、画像送受信サービスを利用したことに対する料金を支払う。制御部100は
、利用者による料金の支払いがされている場合に、端末装置30bから端末名及びセッションIDを含む信号を受信したときは、端末装置30bに対して、装置状態として「Charging」を送信する(S150→S152)。また、制御部100は、利用者による料金の支払いの操作に基づき、画像送受信サービスに対する課金の決済処理を行う(S154)。
【0091】
決済処理が完了したら、制御部100は、端末装置30bに対して画像データを送信する処理が行われていることを利用者に知らせる画面である送信確認画面を表示する(S156)。処理装置10によって送信確認画面が表示されることにより、画像送受信サービスの利用者は、料金の支払いまで完了しており、画像データの受信が完了するまで待機すればよいことを知ることができる。
【0092】
つづいて、制御部100は、端末装置30bから端末名及びセッションIDを含む信号を受信したときは、端末装置30bに対して、装置状態として「Sending」を送信する(S158→S160)。制御部300は、処理装置10から、装置状態として「Sending」を受信することで、料金の支払いまで完了し、画像データを送信する段階に至っていることを判定することができる。
【0093】
そして、制御部100は、端末装置30bに対する画像データの送信が完了するまで、画像データを送信していることを示す画像データ送信中画面を表示部110に表示する(S162)。また、制御部300は、処理装置10からの画像データの受信が完了するまで、画像データを受信していることを示す画像データ受信中画面を表示部320に表示する(S164)。
【0094】
制御部100は、端末装置30bに対する画像データの送信が完了した場合に、セッションを確立した端末装置30bから端末名及びセッションIDを含む信号を受信したときは、端末装置30bに対して、装置状態として「Finished」を送信する(S166→S168)。制御部300は、処理装置10から、装置状態として「Finished」を受信した場合は、表示部320に画像データの受信が完了したことを示す受信完了画面を表示する(S170)。また、制御部300は、処理装置10に対して、受信が完了したことを示す情報である受信完了情報を送信する(S172)。
【0095】
制御部100は、端末装置30bから受信完了情報を受信したら、画像送受信サービスが終了したことを示す画面を表示部110に表示し、利用者にサービスの終了の確認を行う(S174)。利用者によってサービスの終了が確認された場合は、制御部100は、端末装置30bとのセッションを切断する(S176)。なお、S176においては、制御部100は、端末装置30bとの接続を切断してもよい。また、利用者によってサービスの終了が確認された場合とは、例えば、画像送受信サービスが終了したことを示す画面に「OK」ボタンを含め、当該「OK」ボタンが利用者によって選択された場合である。
【0096】
[1.4 動作例]
図7から図11を参照して、動作例を説明する。図7から図9は、処理装置10の表示部110と、端末装置30の表示部320とに表示される表示画面を、時系列順に並べて示した図である。図の上段が処理装置10の表示部110に表示される表示画面であり、図の下段が端末装置30の表示部320に表示される表示画面である。また、上段と下段とにおいて、同じ横位置に示した表示画面は、同じタイミングでそれぞれの表示部に表示する表示画面であることを示す。
【0097】
図7の表示画面W100は、処理装置10の表示部110に表示される画面であり、画像形成装置20によって読み取られた原稿の画像データをプレビュー表示する画面である。
利用者によって、表示画面W100に含まれる「次へ」ボタンB100が選択された場合は、処理装置10は、表示部110に、画像データ受信アプリ354の起動案内画面W102を表示する。
【0098】
利用者の操作によって、端末装置30において画像データ受信アプリ354が起動されると、端末装置30は、表示部320に、画像データ受信アプリ354の表示画面W104を表示する。ここで、利用者によって「スキャンする」ボタンB104が選択されると、端末装置30は、セッションIDを生成し、処理装置10に端末名とセッションIDとを送信する。
【0099】
端末装置30はセッションIDを生成したら、処理装置10の表示部110の確認を促すための表示画面W110を表示部320に表示する(図8)。また、処理装置10は、端末名表示処理の実行後、表示部110に、セッションを確立する対象となる端末装置30の情報である端末名を表示した表示画面W112を表示する。処理装置10は、セッションを確立する対象となる端末装置30を決定したら、表示部110に表示する画面を、起動案内画面W102から表示画面W112に、自動的に切り替えて表示させてもよい。このようにすることで、画像送受信サービスの利用者に対して、PINコードやパスワードといった情報を処理装置10に対して入力させる必要がなくなり、操作性を向上させることができる。
【0100】
一方で、端末装置30は、表示部320に、利用者が操作する端末装置30の情報である端末名を表示した表示画面W114を表示する。なお、端末装置30は、表示画面W110が画像送受信サービスの利用者によってタップなどの操作がされたときに、表示画面W114を表示してもよい。また、表示画面W114には、処理装置10の表示部110に、端末装置30の情報が表示されていることを確認する旨のメッセージが含まれていてもよい。また、表示画面W112及び表示画面W114に示すように、端末装置30の情報である端末名は、他の情報を表示している文字よりも大きく表示してもよい。このようにして、処理装置10の表示部110と、端末装置30の表示部320とには、端末装置30の情報である端末名が表示される。利用者は、表示部110と表示部320とを見ることで、セッションを確立する(処理装置10に接続する)対象の端末装置30が、自身が操作する端末装置30であることを確認することができる。なお、表示画面W112及び表示画面W114は、端末装置30の情報を表示されればよく、端末名以外の端末識別子や、端末識別子以外の端末装置30の情報が表示されてもよい。
【0101】
利用者は、表示画面W112に表示された端末名と、表示画面W114に表示された端末名とが一致したことを確認したら、「OK」ボタンB112aを選択する。利用者によってボタンB112aが選択されることにより、処理装置10は、表示部110に表示されている端末名に対応する端末装置30とのセッションを確立する。なお、利用者は、表示画面W112に表示された端末名と、表示画面W114に表示された端末名とが一致しないことを確認したら、「他の端末を探す」ボタンB112bを選択する。利用者によりボタンB112bが選択されることにより、処理装置10は、端末名表示処理を再度実行し、処理装置10に最も近い端末装置30の端末名を表示し直す。
【0102】
つづいて、処理装置10は、表示部110に送信内容確認画面W116を表示する。利用者は、送信内容が正しいことを確認したら、「次へ」ボタンB116を選択する。利用者によってボタンB116が選択されることにより、処理装置10は、画像送受信サービスに対する支払いを促す画面を表示する。
【0103】
処理装置10は、決済処理を行うために、表示部110に料金確認画面W120を表示する(図9)。料金確認画面W120は、サービスに対する料金の表示以外にも、例えば
、支払い方法や領収書の発行の有無等が選択するためのボタンを含めてもよい。利用者によって料金の支払いが完了したら、処理装置10は、表示部110に画像データ送信中画面W122を表示する。また、端末装置30は、表示部320に画像データ受信中画面W124を表示する。
【0104】
処理装置10は、端末装置30に対する画像データの送信が完了したら、表示部110に、終了確認画面W126を表示する。また、端末装置30は、表示部320に、画像データの受信が完了したことを示す画面W128を表示する。このようにすることで、利用者は、画像形成装置20によってスキャンをした原稿の画像データが、画像データ記憶領域352に記憶されたことを確認できる。
【0105】
なお、本実施形態では端末名表示処理において、制御部100が、複数台の端末名及びセッションIDを含む信号を受信した場合は、受信信号の強度が最も強い端末装置30の端末名を表示することとしたが、それ以外の表示をしてもよい。例えば、複数台の端末名及びセッションIDを含む信号を受信した場合は、図10(a)に示すように、当該複数台の端末装置30の端末名をリストとして表示してもよい。このとき、受信信号の強度に基づく表示をしたり、受信信号の強度を基準として、降順に端末名を並び替えて表示したりしてもよい。このようにすることで、利用者にとって、利用者が操作する端末装置30の端末名と同じ端末名の項目をリストから選択することが容易になる。なお、受信信号の強度に基づく表示としては、受信信号の強度を示す画像(例えば、アンテナのアイコン)を表示したり、項目の背景色を変えたり(例えば、受信信号の強度が強いほど背景色を濃く表示する)、文字サイズや文字色を変えたりしてもよい。
【0106】
また、制御部100が、複数台の端末名及びセッションIDを含む信号を受信する場合とは、複数の端末装置30によって、画像データ受信アプリ354が起動されている場合である。この場合は、それぞれの端末装置30の表示部320には、端末装置30の端末名が表示される。処理装置10の操作をしている利用者は、表示部320に表示された端末名と同じ端末名の項目を、表示画面W130から選択する。処理装置10は、選択された端末名に対応する端末装置30とのセッションを確立する。
【0107】
例えば、複数の端末装置30のそれぞれの表示部320に、図10(b)の表示画面W132や図10(c)の表示画面W134が表示されるとする。また、処理装置10に最も近い端末装置30を操作する利用者の表示部320に表示画面W132が表示されるとする。このとき、表示部320に表示画面W132が表示されている端末装置30の利用者は、表示部110に表示されたリストから、図10(a)に示した表示画面W130に表示されるリストから、項目B130を選択する。このようにすることで、処理装置10と、処理装置10に最も近い端末装置30との間で、セッションを確立することができる。
【0108】
また、図11(a)は、図8の表示画面W112の代わりに表示する表示画面W140の例である。図8の表示画面W112は、端末装置30を示す情報である端末名を表示したが、図11(a)に示すように、表示画面W140には、端末装置30の表示部320に表示される画面と同じ画面を表示した領域E140を含む。処理装置10は、表示部110に、表示画面W112の代わりに表示画面W140を表示することで、利用者に、より視覚的に分かりやすく、画像データを送信する端末装置30が適切であるか否かを判断させることができる。
【0109】
処理装置10の表示画面W140の領域E140に表示された画面と、端末装置30の表示部320に表示された表示画面W142とが同じであることを示すボタンB140が選択されたら、処理装置10は、画像データを送信する処理を開始すればよい。また、処
理装置10の表示画面W140の領域E140に表示された画面と、端末装置30の表示部320に表示された表示画面W142とが異なることを示すボタンB142が選択されたら、処理装置10は、再度端末名表示処理を実行すればよい。
【0110】
また、処理装置10と、端末装置30とで同じ画面を表示する場合は、アイコンを表示したり、画面内の文字を強調したり、背景色を使うなどした表示態様をしてもよい。このようにすることで、利用者に対して、文字などによらず、視覚的に同じ画面が表示されていることを分かりやすく示すことができる。例えば、図11(c)は、処理装置10の表示部110に表示される表示画面W144の例であり、図11(d)は、端末装置30の表示部320に表示される表示画面W146の例である。表示画面W144の領域E144には、表示画面W146と同じ画面を表示する。このとき、領域E144に表示する画面と、表示画面W146とでは、端末名を下線で強調したり、表示画面の右下に絵を表示するなどして強調したりする。利用者は、画面の表示態様に基づいて、画像データが送信される端末装置30が、適切な端末装置30であるか否かを判断することが可能となる。
【0111】
なお、上述した処理は、矛盾のない範囲において変更しても構わないことは勿論である。例えば、端末名表示処理装置において、受信信号強度リストを生成しない方法により、最も近い端末装置の端末名を抽出してもよい。具体例としては、制御部100は、最大受信信号強度の値を一時的に記憶し、端末装置30から端末名と受信信号の強度の値と最大受信信号強度の値とを比較することで、最も近い端末装置の端末名を抽出する。はじめに、制御部100は、最大受信信号強度として-100dBwといった小さい値を記憶部150に記憶する。そして、所定の時間内(例えば、5秒間)に、端末装置30から端末名と受信信号の強度の値を含む信号を受信したら、受信した受信信号の強度の値と、最大受信信号強度の値とを比較する。端末装置30から受信した受信信号の強度の値が、最大受信信号強度の値よりも大きければ、最大受信信号強度の値を端末装置30から受信した受信信号の強度の値と、端末名とを記憶部150に記憶(更新)する。そして、所定の時間経過後に、記憶部150に記憶されている端末名を、処理装置10に最も近い端末名として抽出する。このようにすることで、所定時間内に端末装置30から受信した信号に基づき、処理装置10に最も近い端末装置30の端末名を抽出することができる。
【0112】
S134において、制御部100は、装置状態「Ready」とともに、画像データ記憶領域152に記憶された画像データを取得するためのURL(Uniform Resource Locator)を送信してもよい。このとき、URLにセッションIDを含めてもよい。このようにすることで、S142において、制御部300は、処理装置10に対して、セッションIDを含むURLに示されるリソースの取得を要求することができる。制御部100は、URLからセッションIDを取得できるので、セッションを確立していない端末装置30からの画像データの取得を排除することができる。
【0113】
S144において、制御部100は画像データをそのまま送信するのではなく、複数の画像データを1つのデータにまとめたり、圧縮したりした上で送信してもよい。このようにすることで、画像データの送信効率を上げることができる。
【0114】
また、上述した説明では、セッションを確立するための端末装置30の情報として、端末装置30の端末名を利用したが、端末名以外の情報を用いてもよい。例えば、端末装置30を示す情報として、端末装置30の利用者のアカウント名、端末名以外の端末識別子(端末装置30のIDやシリアル番号)、氏名、電話番号、電子メールアドレスといった情報を用いてもよい。端末装置30は、処理装置10に対して、セッションIDと共に端末装置30を示す情報を送信する。また、制御部100は、セッションIDと、端末装置30を示す情報とを対応付けて、受信信号強度リスト154を生成する。そして、ステップS186及びステップS192においては、端末装置30を示す情報として用いた情報
(例えば、アカウント名)を表示部110に表示する。端末装置30の利用者は、端末名に比べ、アカウント名、氏名、電話番号、電子メールアドレスの情報をよく用いている場合も考えらえられる。このような場合は、利用者に対して、より分かりやすく、コネクションを確立する対象となる端末装置30が適切であるかを判断させることが可能となる。また、端末装置30のIDやシリアル番号は、利用者のプライバシーに関わる情報ではないため、端末名やアカウント名が表示される場合に比べて、利用者に与える抵抗感を抑えることができる。セッションを確立するために用いる情報は、画像送受信サービスを利用する利用者の属性や、処理装置10の設置場所等に基づいて、システム1の管理者等が決定してもよい。
【0115】
また、上述した実施形態の画像処理装置25は、処理装置10と、画像形成装置20とが異なる装置として構成される例について説明した。画像処理装置25は、処理装置10と、画像形成装置20とが一体となって構成されてもよい。
【0116】
本実施形態によれば、画像処理装置に最も近い端末装置の端末名を表示することができる。したがって、画像処理装置の利用者は、画像処理装置に表示された端末名を確認するだけで、画像処理装置と端末装置とのセッションを確立でき、画像処理装置から画像データを受信することが可能となる。また、操作を簡略化できるためユーザビリティの向上が実現できる。一方で利用者は、画像データを送信する端末装置を端末名によって特定できるため、利用者が所持する端末装置に画像データが送信されることの確証を得ることができる。利用者の操作によって、画像処理装置に表示される端末名を表示し直すことが可能であるため、画像処理装置が表示されない場合における対応も手軽にできる。
【0117】
また、画像処理装置は、端末装置からの受信信号の強度に基づき、セッションを確立する対象とする端末装置を抽出する。したがって、画像処理装置に複数人の利用者が並んでいたとしても、画像処理装置を操作する利用者以外の利用者の端末装置とのセッションを確立する可能性を低くすることができる。したがって、操作の簡略化を実現しつつ、セキュリティの確保が可能となる。
【0118】
また、本実施形態によれば、端末装置と画像処理装置とを接続するときに、利用者に対して、PINコードを入力させる手間を削減させることが可能となる。これにより、PINコードを使用する場合に比べて、より簡単な方法で、送信先の端末装置を特定することが可能となる。
【0119】
[2.第2実施形態]
つづいて第2実施形態について説明する。第2実施形態は、端末名表示処理において、端末装置30の情報として同一の情報を有する端末装置30が複数台接続されている場合は、画像データの送信を中断する実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の図6図12に置き換えたものである。なお、同一の機能部及び処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0120】
図12を参照して、本実施形態の端末名表示処理を説明する。処理の説明においては、端末装置30の情報として端末名を用いることとして説明するが、端末装置30の情報として利用者のアカウント名や端末名以外の端末識別子を用いてもよい。
【0121】
ステップS186において、受信信号強度リスト154に、複数台の端末装置30の情報が記憶されている場合は、つづいて、制御部100は、受信信号強度リスト154に、同一の端末名の情報が複数存在するか否かを判定する(ステップS186;No→ステップS282)。同一の端末名の情報が複数存在する場合は、制御部100は、処理装置10に接続されている全ての端末装置30に対してエラー情報を送信する(ステップS28
2;Yes→ステップS284)。なお、エラー情報を受信した端末装置30は、エラーが発生したことを示す画面を、表示部320に表示する。
【0122】
また、制御部100は、エラー情報を送信した端末装置30との接続を切断する(ステップS286)。そして、制御部100は、表示部110に、同一の端末名の情報が複数存在したことにより、操作が続行できないことを示すエラー画面を表示する(ステップS288)。
【0123】
利用者によって、所定の操作がされることによりエラー画面が確認されたら、制御部100は、画像送受信サービスを中断し、表示部110に初期画面を表示する(ステップS290)。初期画面とは、処理装置10が提供するサービスを選択するための画面である。初期画面を表示したら、制御部100は、それまでに利用者によって行われた操作の情報や、画像形成装置20から取得した画像データを削除する。また、図4のステップS128以降の処理は実行しない。
【0124】
図13を参照して、本実施形態の動作例を説明する。端末装置30は、表示部320に端末名を表示した表示画面W200を表示したら、処理装置10に対して、端末名とセッションIDとを含んだ信号を送信する。処理装置10は、複数の端末装置30から受信した端末名の中に、同一の端末名が複数含まれている場合は、端末装置30に対してエラー情報を送信し、表示部110にエラー画面W202を表示する。このとき、エラー画面W202には、複数存在する端末名を表示してもよい。また、端末装置30は、処理装置10からエラー情報を受信したときは、エラーが発生したことを示すエラー画面W204を、表示部320に表示する。
【0125】
処理装置10は、エラー画面W202に含まれる「OK」ボタンB202が、利用者によって選択された場合は、表示部110に、初期画面W206を表示する。また、端末装置30は、エラー画面W204に含まれる「OK」ボタンB204が、利用者によって選択されたら、表示部320に画像データ受信アプリ354の初期画面W208を表示する。
【0126】
本実施形態によれば、同一の端末名の情報を複数受信した場合は、利用者の操作を破棄することができる。したがって、画像処理装置は、画像処理装置を操作する利用者とは異なる利用者に画像データを誤って送信したり、画像処理装置を操作する利用者以外の利用者に画像データが横取りされたりすることを防ぐことが可能となる。
【0127】
[3.第3実施形態]
つづいて第3実施形態について説明する。第3実施形態は、端末名表示処理において、端末装置30の情報とともに、セッション固有の情報を表示する実施形態である。例えば、セッションIDの一部(具体的には、セッションIDの先頭4文字)を識別番号として表示する。このようにすることで、利用者は、端末名と、識別番号とにより、セッションを確立する端末装置30を確認することができる。
【0128】
図14は、本実施形態の動作例を示した図である。制御部100は、端末名表示処理のステップS188及びステップS192において、図14(a)の表示画面W300に示すように、表示部110に端末名とセッション固有の情報とを表示する。また、制御部300は、S110又はS120において、図14(b)の表示画面W302に示すように、端末名とともに、セッション固有の情報を表示する。
【0129】
なお、セッション固有の情報は、上述したようなセッションIDに基づく情報でもよいし、端末装置30が処理装置10に接続をする際に生成するデータであってもよい。表示
部110及び表示部320に表示する情報は、端末名と、識別番号以外の情報を併せて表示してもよい。
【0130】
また、同一の情報を有する端末装置30が複数台接続されている場合であっても、セッション固有の情報を表示することにより、セッションを確立する対象となる端末装置30が正しいか否かを、利用者に判定させることができる。したがって、第2実施形態とは異なり、同一の情報を有する端末装置30が複数台接続されている場合であっても、利用者の操作を破棄しない運用を行うことができる。
【0131】
本実施形態によれば、画像処理装置の利用者に、画像データの送信先となる端末装置を、より正確に、利用者によって確認させることが可能となる。
【0132】
[4.第4実施形態]
つづいて、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、端末装置30に画像データを正しく記憶できない場合について説明する。なお、本実施形態は、上述した第1実施形態から第3実施形態と動作は共通であり、異なる部分についてのみ説明する。
【0133】
端末装置30が適切に画像データを受信・記憶できない場合、端末装置30は中断処理を実行する。端末装置30は、中断処理を実行すると、端末装置30の表示部110に「画像データ受信失敗」「画像データ記憶失敗」等の表示を行う。
【0134】
また、端末装置30は、画像処理装置25(処理装置10)に画像データを適切に処理できない旨(処理中止)の通知を行う。画像処理装置25は、端末装置30から処理中止の通知を受信した場合、各処理を中止する。
【0135】
例えば、画像処理装置25は、画像データ記憶領域152から画像データを消去する。また、受信信号強度リスト154に記憶されている端末装置30の情報を消去する。また、課金処理が実行されている場合は、キャンセルする処理を行う。
【0136】
ここで、端末装置30が適切に画像データを受信・記憶出来ない場合は、以下の場合が考えられる。
・端末装置30の記憶部350(画像データ記憶領域352)に記憶可能な空き容量(残容量)が少ないために、受信された画像データを記憶できない場合
・端末装置30のバッテリー残量が少ないために、処理を完了することができない場合
・端末装置30の受信強度が閾値以下となったため、適切に通信が行えなくなった場合
・その他、ユーザやシステムから、処理を中止する割込があった場合
【0137】
[5.変形例]
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0138】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0139】
なお、上述した実施形態は、画像処理装置25のうち、処理装置10が処理を実行し、処理装置10の表示部110に表示する場合を説明した。例えば、画像形成装置20が処理装置10の機能を含んで構成され、画像形成装置20が各処理を実行してもよい。また、処理装置10は、画像形成装置20の表示部(不図示)に表示を行ってもよい。
【0140】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0141】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD(Blu-ray Disc)(登録商標)等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、
フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0142】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0143】
1 システム
10 処理装置
100 制御部
110 表示部
120 操作入力部
130 アクセスポイント部
140 通信部
150 記憶部
152 画像データ記憶領域
154 受信信号強度リスト
20 画像形成装置
200 制御部
210 通信部
220 原稿読取部
230 画像処理部
240 画像形成部
250 記憶部
25 画像処理装置
30 端末装置
300 制御部
310 無線通信部
320 表示部
330 操作入力部
340 受信信号強度測定部
350 記憶部
352 画像データ記憶領域
354 画像データ受信アプリ
356 端末装置情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14