(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】支援システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q30/0203
(21)【出願番号】P 2023143478
(22)【出願日】2023-09-05
【審査請求日】2023-09-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日:令和5年8月1日 掲載アドレス:https://www.smbc-card.com/company/news/news0001813.pdf 掲載年月日:令和5年8月1日 掲載アドレス:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000351.000032321.html
(73)【特許権者】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 郁哉
(72)【発明者】
【氏名】登坂 崇平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 天斗
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077013(JP,A)
【文献】特開2003-281348(JP,A)
【文献】特開2007-102340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商圏分析のための支援システムであって、
カード利用者の会員情報データの住所情報に対応する地域コードを付与して会員集計用データを作成する地域情報付与手段と、
前記会員集計用データと、購入情報データとに基づいて会員別データを作成する会員別データ作成手段であって、前記会員別データは、前記地域コードと、前記購入情報データにおける業種名とを含むデータとに基づいて決済情報データが作成される会員別データ作成手段と、
統計データを読み込んで、人口をエリアごとに取得する人口取得手段と、
取得された前記人口と、読み込んだモニタリングデータとに基づいて、前記エリアごとにカード利用全人数を推計して算出する利用人数推計手段と、
前記会員別データの利用金額合計および利用人数合計を使用して、前記エリアごとに自社カード利用金額の平均金額を算出する平均金額算出手段と、
算出された前記自社カード利用金額の前記平均金額と、前記カード利用全人数とを使用して、前記エリアごとにカード市場規模を推計して算出するカード市場規模推計手段と、
キャッシュレス比率データを読み込んでカードの使用比率を取得し、算出された前記カード市場規模を前記カードの使用比率で割り戻し、現金も含めた市場規模を推計する市場規模推計データを前記エリアごとに作成する市場規模推計手段と、
前記市場規模推計データを含むデータに基づき商圏分析推計データを作成する商圏分析推計データ作成手段と
を備えることを特徴とする支援システム。
【請求項2】
前記カード市場規模推計手段は、さらに前記業種名に基づいて前記カード市場規模を算出する、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記カード市場規模推計手段は、さらに性別、および年代に基づいて前記カード市場規模を算出する、請求項2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記利用人数推計手段の前記カード利用全人数のうち自社カード利用人数が0で、かつ対象エリアの統計データ上の人口が1以上の場合は、エリアごとのカード市場規模を推計するために自社カード利用金額の最頻値を求める最頻値算出手段を更に備える、請求項3に記載の支援システム。
【請求項5】
前記商圏分析推計データに基づく推計値ベースの商圏分析結果と、前記会員別データに基づく実績値ベースの商圏分析結果とのいずれも表示することができる、請求項1に記載の支援システム。
【請求項6】
商圏分析のための支援システムで実行される方法であって、
カード利用者の会員情報データの住所情報に対応する地域コードを付与して会員集計用データを作成するステップと、
前記会員集計用データと、購入情報データとに基づいて会員別データを作成する会員別データ作成手段であって、前記会員別データは、前記地域コードと、前記購入情報データにおける業種名とを含むデータとに基づいて決済情報データが作成されるステップと、
統計データを読み込んで、人口をエリアごとに取得するステップと、
取得された前記人口と、読み込んだモニタリングデータとに基づいて、前記エリアごとにカード利用全人数を推計して算出するステップと、
前記会員別データの利用金額合計および利用人数合計を使用して、前記エリアごとに自社カード利用金額の平均金額を算出するステップと、
算出された前記自社カード利用金額の前記平均金額と、前記カード利用全人数とを使用して、前記エリアごとにカード市場規模を推計して算出するステップと、
キャッシュレス比率データを読み込んでカードの使用比率を取得し、算出された前記カード市場規模を前記カードの使用比率で割り戻し、現金も含めた市場規模を推計する市場規模推計データを前記エリアごとに作成するステップと、
前記市場規模推計データを含むデータに基づき商圏分析推計データを作成するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商圏分析のための支援システム、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカードの利用者情報や決済データを使用して商圏分析を行うシステムが存在する。この商圏分析によって、特定地域での消費動向を知り、企業などの販売戦略に役立てることができる。
【0003】
特許文献1においては、クレジットカードの決済情報や属性情報データに基づいて特定地域における消費動向を包括的に分析するマーケティング情報生成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のマーケティング情報生成方法は、店舗に設置されている決済端末でキャッシュレス決済を行った実消費データのみを用いて推計処理を行うことなく特定地域におけるマーケティング情報を生成している。
【0006】
したがって、特許文献1の発明においては、決済端末で決済した実消費データの母数が日本の総人口に対して少なく、結果として生じるマーケティング情報に偏りが生じることが考えられる。また、高齢者などクレジットカード保有率が低い世代や、クレジットカード保有率が低い地域などキャッシュレス決済の比率が低い場合はキャッシュレス決済の実消費データを使用してマーケティング情報を生成しても、当該世代や地域のニーズを正確に捉えることが難しくなる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて提案されたもので、クレジットカードの利用者情報や統計データを用いて拡大推計することで現金も含めた市場規模を算出し、全国規模の商圏分析を行うことができ、さらにデータの偏りを減少させることでより信頼性の高い商圏分析推計データを提供できる支援システム、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る支援システムは、カード利用者の会員情報データの住所情報に対応する地域コードを付与して会員集計用データを作成する地域情報付与手段と、会員集計用データと、購入情報データとに基づいて会員別データを作成する会員別データ作成手段であって、会員別データは、地域コードと、購入情報データにおける業種名とを含むデータとに基づいて決済情報データが作成される会員別データ作成手段と、統計データを読み込んで、人口をエリアごとに取得する人口取得手段と、取得された人口と、読み込んだモニタリングデータとに基づいて、エリアごとにカード利用全人数を推計して算出する利用人数推計手段と、会員別データの利用金額合計および利用人数合計を使用して、エリアごとに自社カード利用金額の平均金額を算出する平均金額算出手段と、算出された自社カード利用金額の平均金額と、カード利用全人数とを使用して、エリアごとにカード市場規模を推計して算出するカード市場規模推計手段と、キャッシュレス比率データを読み込んでカードの使用比率を取得し、算出されたカード市場規模をカードの使用比率で割り戻し、現金も含めた市場規模を推計する市場規模推計データをエリアごとに作成する市場規模推計手段と、市場規模推計データを含むデータに基づき商圏分析推計データを作成する商圏分析推計データ作成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、拡大推計を行うことでクレジットカードだけでなく、現金など他の決済手段も含めた市場規模を全国レベルで把握することができる。また、クレジットカードの使用率が少ない地域、年代などのニーズも正確に把握することができる。拡大推計を行う際に自社カード利用金額の平均金額などクレジットカードの利用者情報に加えて、統計データも用いて現金も含めた市場規模を推計することによりデータの偏りを減少させることができるため、ユーザーがより信頼性の高い商圏分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る支援システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るカード会社サーバの構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る地図サーバの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る支援システムの会員別データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る支援システムの地域情報付与手段を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係る支援システムの会員別データ作成手段を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態に係る支援システムのデータ送信手段を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に係る支援システムの人口取得手段を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態に係る支援システムの利用人数推計手段を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態に係る支援システムの平均金額算出手段を説明するためのフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態に係る支援システムのカード市場規模推計手段を説明するためのフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態に係る支援システムの市場規模推計手段を説明するためのフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態に係る支援システムの最頻値算出手段を説明するためのフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態に係る支援システムの商圏分析推計データ作成手段を説明するためのフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態に係る支援システムの商圏分析データの選択画面を説明するための画面図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る支援システムの実績値表示画面を説明するための画面図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る支援システムの推計値表示画面を説明するための画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を図面とともに説明する。
【0012】
図1を参照して、本発明に係る実施形態における支援システム100の全体的な構成の例について説明する。
図1において、支援システム100は、クレジットカード会社5内におけるカード会社サーバ1および地図サーバ2と、複数の顧客端末4a、4b・・・(以下、「顧客端末4」)とを含む。なお、
図1では便宜上、顧客端末4a、および4bのみ記載しているが、顧客端末4の数が限定されることはない。カード会社サーバ1と、地図サーバ2と、顧客端末4とは、ネットワーク3を介して相互に接続される。ここで、ネットワーク3は、インターネットであっても、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)であってもよく、特に限定されない。
【0013】
カード会社サーバ1は、本実施形態に係る主要な処理を実施するコンピュータデバイスである。カード会社サーバ1は、クレジットカード会社によって管理されるサーバコンピュータである。したがって、カード会社サーバ1は、従来から存在するクレジットカード会社のシステムに実装されても良い。また、カード会社サーバ1は、単独のコンピュータデバイスによって実装されても良く、または複数のコンピュータデバイスによって実装されても良い。カード会社サーバ1の構成要素および機能については後述する。
【0014】
地図サーバ2は、地図情報や統計情報などを有するサーバであり、クレジットカード会社によって管理されるサーバコンピュータであるが、他の会社によって管理されても良い。地図サーバ2は、カード会社サーバ1から受信した会員別データ400や統計情報などに基づき、商圏分析推計データを作成する。会員別データ400の詳細については後述する。地図サーバ2は、従来から存在するクレジットカード会社のシステムに実装されても良く、あるいは他の会社のシステムに実装されても良い。前者の場合には、カード会社サーバ1が地図サーバ2の保有するデータも有し、地図サーバ2が実行する各種機能も実行することになる。地図サーバ2は、単独のコンピュータデバイスによって実装されても良く、または複数のコンピュータデバイスによって実装されても良い。地図サーバ2の構成要素および機能については後述する。
【0015】
顧客端末4は、それぞれ支援システム100の利用者が使用する端末を表す。利用者は、顧客端末4から地図サーバ2にアクセスし、支援システム100に基づく商圏分析推計サービスを受けることができる。利用者は顧客端末4から地図サーバ2にアクセスして、支援システム100に基づく商圏分析サービスの申し込みを行うことができる。
【0016】
顧客端末4は、キーボードやタッチパネルなどのヒューマンインターフェースを持つものであり、具体的には、デスクトップ型のパーソナル・コンピュータや、スマートフォン、タブレット型またはノート型のパーソナル・コンピュータなどがあげられる。
【0017】
次に、
図2および
図3を参照して、カード会社サーバ1および地図サーバ2の詳細な構成要素の例を説明する。
【0018】
図2では、カード会社サーバ1は、制御部10、入力部11、出力部12、送受信部13、メモリ部14、および記憶部16を含み、それらの各要素がシステムバス15によって結合されている。記憶部16の各構成要素については後述する。
【0019】
制御部10はプロセッサとも称され、例えばCPUなどを指す。制御部10は、上記各構成要素の制御やデータの演算を実行する。制御部10は、本実施形態に係る各処理を実行するため、プログラムをメモリ部14に読みだして実行する。ここでプログラムとは、支援システム100が実行する機能の一部について実装するためのプログラムであり、記憶部16に格納されている。
【0020】
入力部11は、外部からの操作指示などを受け付ける。入力部11は、例としてキーボードやタッチパネルなどが挙げられる。出力部12は、記憶部16に記憶されたデータや演算処理の結果を出力する。出力部12の例として、ディスプレイやプリンタなどが挙げられる。
【0021】
送受信部13は、ネットワーク3を介して、カード会社サーバ1と顧客端末4や地図サーバ2との間で相互に通信を行う。例えば、送受信部13は地図サーバ2に対してカード会社サーバ1で作成した会員別データ400の送信を行う。
【0022】
メモリ部14は、カード会社サーバ1上のデータ、コンピュータ実行可能な命令などを記憶する揮発性データ記憶装置である。メモリ部14は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などのRAMにより実装される。
【0023】
記憶部16は、例えばROMやハードディスクドライブなどの磁気記憶装置などによって実装される。記憶部16は、それぞれ支援システム100で実行される処理に係る地域情報付与手段20、会員別データ作成手段21、およびデータ送信手段22を備える。さらに記憶部16は、それぞれ支援システム100で取り扱うデータを格納する会員情報記憶部30、売上情報記憶部31、および送信データ記憶部32を備える。
【0024】
図3では、地図サーバ2は、制御部40、入力部41、出力部42、送受信部43、メモリ部44、および記憶部46を含み、それらの各要素がシステムバス45により結合されている。制御部40、入力部41、出力部42、送受信部43、およびメモリ部44は、カード会社サーバ1に含まれる制御部10、入力部11、出力部12、送受信部13、およびメモリ部14とそれぞれ同様に機能するので、詳細な説明は省略する。
【0025】
地図サーバ2の記憶部46は、カード会社サーバ1の記憶部16と同様、例えばROMやハードディスクドライブなどの磁気記憶装置などによって実装される。記憶部46は、支援システム100で実行される処理に係る人口取得手段50、利用人数推計手段51、平均金額算出手段52、カード市場規模推計手段53、市場規模推計手段54、最頻値算出手段55、および商圏分析推計データ作成手段56を備える。記憶部46は、それぞれ支援システム100で取り扱うデータを格納する受信データ記憶部57、出力用データ記憶部58、統計情報記憶部59、および地図情報記憶部60を備える。
【0026】
なお、上記実施形態で説明したハードウェアの構成要素は例示的なものにすぎず、その他の構成も可能である。
【0027】
図2および
図3の上述したシステム構成要素のうち、
図2に示したカード会社サーバ1の記憶部16内の会員情報記憶部30、売上情報記憶部31、および送信データ記憶部32とのそれぞれが格納するデータについて説明する。
【0028】
会員情報記憶部30は、クレジットカードの会員情報データが格納されたデータベースである。クレジットカードの会員(以下「会員」)とは、クレジットカード会社に申し込みをしてカードが発行され、カード使用が可能になった者を指す。会員情報データとは、性別、年代(例えば、30代)、年収、家族構成、居住地住所、勤務地住所などが、会員ごとに割り振られた会員番号コードに対応づけられたデータである。会員の居住地住所および勤務地住所には、エリアごとの商圏分析推計データが地図サーバ2で出力できるように、それぞれの住所に500mサイズでのメッシュコードが付与されている。メッシュコードは、500mサイズ以外の任意のサイズについても設けることができ、複数種類のメッシュコードを設定することもできる。例えば、第1のメッシュコードは500mサイズとし、第2のメッシュコードは250mサイズとすることも可能である。
【0029】
売上情報記憶部31は、カードを使用した会員の購入情報データが格納されたデータベースである。カードを使用した会員の購入情報データ(以下「購入情報データ」)とは、会員の利用金額、カードの利用回数、利用単価、会員が利用した業種である利用業種などが、会員番号コードおよびカードの加盟店コードに対応付けられたデータである。
【0030】
送信データ記憶部32は、支援システム100内で作成された、地図サーバ2に送信するための会員別データ400が格納されているデータベースである。会員別データ400の詳細については後述する。
【0031】
次に、
図3に示した地図サーバ2の記憶部46内の受信データ記憶部57、出力用データ記憶部58、統計情報記憶部59、および地図情報記憶部60のそれぞれが格納するデータについて説明する。
【0032】
受信データ記憶部57には、カード会社サーバ1から受信した会員別データ400が格納されている。
【0033】
出力用データ記憶部58には、支援システム100に基づく商圏分析サービスのユーザーの求めに応じて、顧客端末4上に出力するための商圏分析推計データが格納されている。商圏分析推計データとは、全国的な消費傾向などマーケティングに資する、推計処理に基づいたデータを示す。商圏分析推計データの詳細については後述する。
【0034】
統計情報記憶部59には、例として、国勢調査データ、住民基本台帳データ、一般社団法人キャッシュレス推進協議会のキャッシュレス・ロードマップ、経済産業省作成の消費者実態調査の分析結果、総務省統計局のデータなど商圏分析推計データ作成に資する統計データが格納されている。
【0035】
地図情報記憶部60には、任意のエリアに対する商圏分析推計データを提供するための地図データが格納されている。
【0036】
次に、
図4~
図7を参照しながら、
図2におけるカード会社サーバ1の記憶部16内の地域情報付与手段20、会員別データ作成手段21、およびデータ送信手段22の各処理について説明する。
【0037】
図5の、地域情報付与手段20の処理について説明する。地域情報付与手段20は、会員情報記憶部30より会員情報データを読み込む。そして、地域情報付与手段20は、読み込んだ会員情報データに対し、当該データの会員の居住地住所および会員の勤務地住所のそれぞれにサブプログラムなどを用いて地域コードを付与し、会員集計用データとして出力する(ステップS501)。
【0038】
会員の居住地住所、会員の勤務地住所のそれぞれに付された地域コードは、任意のメッシュ単位で付与されることができる。例えば、地域コードは、500mサイズあるいはそれ以下のメッシュ単位で付与されても良い。
【0039】
図6の、会員別データ作成手段21の処理について説明する。会員別データ作成手段21は、地域情報付与手段20で出力された会員集計用データを読み込んで取得する。ならびに、会員別データ作成手段21は、売上情報記憶部31から購入情報データを読み込んで取得する(ステップS601)。
【0040】
次に、会員別データ作成手段21は、会員集計用データと購入情報データとの「会員番号」をキーとして、会員集計用データの地域コード、購入情報データの利用業種などに基づいて「利用人数合計」および「利用金額合計」から成る決済情報データを作成し、会員別データ400として出力する(ステップS602)。
【0041】
「利用人数合計」は、購入情報データの利用回数を集計したものであり、カードを利用した延べ人数の合計、すなわち決済件数の合計を表す。「利用金額合計」は、購入情報データの会員の「利用金額」の合計、すなわち決済額の合計を表す。会員別データ400の詳細については後述する。
【0042】
会員別データ作成手段21で出力された、会員別データ400について
図4で説明する。会員別データ400は、会員集計用データに付された地域コード401(例、居住地住所:111111111)、購入情報データの利用業種データから取得された利用業種コード402(例、1:コンビニ)、会員集計用データから取得された性別コード403(例、1:男性)、年代コード404(例、2:30代)、年収コード405(例、2:~500万円)、および家族構成コード406(例、2:2人家族)、購入情報データにおけるカードの利用回数の合計である利用人数合計407(例、350人)、および購入情報データの利用金額の合計である利用金額合計408(例、2000000円)を含む。
【0043】
例えば、
図4の会員別データ400からは「地域コード111111111の地区に居住する、年収が500万円以下である2人家族の30代の男性がコンビニを利用した人数は合計延べ350人であり、この350人全員のコンビニの利用金額の合計は200万円」ということが分かる。会員別データ400の構成は一例にすぎず、上記のような例に限定されるものではない。
【0044】
次に
図7を用いて、データ送信手段22の処理について説明する。データ送信手段22は、会員別データ作成手段21で出力された会員別データ400を読み込んで取得する。データ送信手段22は、取得した会員別データ400について地図サーバ2に送信する(ステップS701)。
【0045】
次に、
図8~
図14を参照しながら、
図3における地図サーバ2の記憶部46内の人口取得手段50、利用人数推計手段51、平均金額算出手段52、カード市場規模推計手段53、市場規模推計手段54、最頻値算出手段55、および商圏分析推計データ作成手段56の各処理について説明する。
【0046】
図8の、地図サーバ2における人口取得手段50の処理について説明する。人口取得手段50は統計情報記憶部59から統計データである国勢調査データを読み込んで取得する。そして、人口取得手段50は、取得した国勢調査データに基づいて、エリアごとの人口を町丁目レベルの地域コードに応じて算出して取得する。(ステップS801)。人口取得手段50は国勢調査データに基づいてエリアごとの年代別の人口も取得することができる。
【0047】
人口取得手段50では、例として、エリアA(A県B市C町)の人口が全部で15000人、エリアB(B県D郡E町)の人口が全部で6000人と出力される。なお、人口取得手段50においては、前提として商圏分析推計の対象月と国勢調査地点とで人口分布は同じとすることもできる。
【0048】
図9の、地図サーバ2における利用人数推計手段51について説明する。利用人数推計手段51は、人口取得手段50で算出されたエリアごとの人口を取得する。さらに、利用人数推計手段51は統計情報記憶部59にアクセスして、一般社団法人キャッシュレス推進協議会のキャッシュレス・ロードマップからモニタリングデータであるクレジットカード利用率を読み込んで取得する。クレジットカード利用率は、例として「20代、30代」などの年代別、「関東、中部」などの地域別、「政令指定都市、町村」などの都市規模別にそれぞれ取得される。(ステップS901)。
【0049】
利用人数推計手段51は、取得したエリアごとの人口に、そのエリアや所望の年代などに対応するクレジットカード利用率を乗じてカード利用全人数をエリアごとに推計して算出する(ステップS902)。ここで推計されたカード利用全人数にはクレジットカード会社5の会員だけでなく他社の会員も含まれる。
【0050】
例として、利用人数推計手段51が取得したエリア関東のB県C町の人口が「15000人」であって、対応するクレジットカード利用率が、年代「20代」、エリア「関東」の「町村」において「20%」の場合、0.2×15000=3000でB県C町の20代のカード利用全人数は3000人と推計される。なお、利用人数推計手段51においては、前提として同エリア、同年代においてカード利用率は同じとすることもできる。
【0051】
図10の、地図サーバ2における平均金額算出手段52について説明する。平均金額算出手段52は、カード会社サーバ1のデータ送信手段22のステップS701で送信された会員別データ400を受信して、受信データ記憶部57に格納する。次に、平均金額算出手段52は受信データ記憶部57から会員別データ400を読み込み、会員別データ400の利用金額合計408および利用人数合計407を取得する(ステップS1001)。これらはそれぞれ、地域コード401に対応したエリアごとの自社カードの利用金額合計408および利用人数合計407となる。平均金額算出手段52は、取得した利用金額合計408を利用人数合計407で除することで、地域コード401のエリアに応じて自社カード利用金額の平均金額をそれぞれ算出する(ステップS1002)。
【0052】
会員別データ400には、利用業種コード402、性別コード403、年代コード404の項目も含まれているため、例として同一の地域コード401における、異なる利用業種コード402ごと、異なる性別コード403ごと、あるいは異なる年代コード404ごとの自社カード利用金額の平均金額を求めることも可能である。
【0053】
例として、会員別データ400の地域コード401が「222222222(例:A県B市C区)」であり、利用業種コード402が「2(例:スーパー)」、性別コード403が「1(例:男性)」、年代コード404が「3(例:40代)」、利用金額合計408が「5000000」、利用人数合計407が「200」である場合、自社カード利用金額の平均金額は5000000/200=25000となる。すなわち、「A県B市C区における40代男性がスーパーで使用する自社カードの平均金額は25000円」ということになる。ここで「自社カード」とは、クレジットカード会社5が発行したクレジットカードを指す。
【0054】
図11の、地図サーバ2におけるカード市場規模推計手段53について説明する。カード市場規模推計手段53は、平均金額算出手段52で算出されたエリアごとの自社カード利用金額の平均金額と、利用人数推計手段51で算出されたエリアごとのカード利用全人数とを取得する。次いで、カード市場規模推計手段53は、取得したエリアごとの自社カード利用金額の平均金額と、取得したエリアごとのカード利用全人数とを掛け合わせてエリアごとのカード市場規模の値を推計して算出する(ステップS1101)。ここで算出されたカード市場規模の推計値は、自社以外のカード会社の会員のものも含まれる。
【0055】
エリアごとの自社カード利用金額の平均金額は、例として、利用業種コード402、性別コード403、年代コード404ごとなど会員別データ400の任意の項目ごと、あるいは会員別データ400の項目の任意の組み合わせごとに求めることができる。したがって、所望の利用業種、性別、年代などに基づいた自社カード利用金額の平均金額に、対象とするエリアのカード利用全人数を掛け合わせることで所望の利用業種、性別、年代などに応じたエリアごとのカード市場規模をそれぞれ推計して算出できる。例として、各エリアに応じたカード市場規模を全て足し合わせると全国でのカード市場規模を表すことができる。また、各年代に応じたカード市場規模を全て足し合わせると全年代でのカード市場規模を表すことができる。
【0056】
例として、平均金額算出手段52で記載した「A県B市C区における40代男性がスーパーで使用する自社カードの平均金額は25000円」であって、対象となるA県B市C区の40代男性のカード利用全人数が300人であった場合、カード市場規模は25000×300=7500000となる。すなわち、A県B市C区における40代男性のスーパーにおけるカード市場規模は750万円となり、同額の取引がクレジットカードを用いて行われていることを表す。
【0057】
図12の、地図サーバ2における市場規模推計手段54について説明する。市場規模推計手段54は統計情報記憶部59にアクセスして、経済産業省作成の「消費者実態調査の分析結果」のキャッシュレス比率データを読み込んでカードの使用比率を取得する(ステップS1201)。ここで、「カードの使用比率」とは、クレジットカードの使用比率を指す。
【0058】
このキャッシュレス比率データには、例としてスーパー、ドラッグストア、コンビニ、飲食チェーン店などの業種ごとに、クレジットカード、デビットカード、QRコード(登録商標)決済、電子マネー、現金などの決済比率がそれぞれ含まれている。
【0059】
さらに、市場規模推計手段54は、カード市場規模推計手段53で算出されたエリアごとのカード市場規模の値を、ステップS1201で取得したクレジットカードの使用比率で除する、すなわち割り戻して現金も含めたエリアごとの市場規模推計値を算出する。市場規模推計手段54は、算出されたエリアごとの市場規模推計値に基づき市場規模推計データを作成する(ステップS1202)。
【0060】
例として、カード市場規模推計手段53で記載した、「A県B市C区における40代男性のスーパーにおけるカード市場規模」750万円を用いて、市場規模推計手段54を説明する。ここで、業種「スーパー」のクレジットカードの使用比率が30%とすると、750万円はクレジットカードを用いて決済された金額であるため、A県B市C区における40代男性の業種「スーパー」における現金も含めた市場規模推計値は、7500000/0.3=25000000、即ち2500万円と算出される。なお、キャッシュレス比率データのキャッシュレス比率は業種間では異なるが、全国的には同じであってもよい。
【0061】
図13の、地図サーバ2における最頻値算出手段55について説明する。なお、最頻値算出手段55は、利用人数推計手段51で算出された対象エリアのカード利用全人数のうち、自社カード利用人数が0人のときにのみ、平均金額算出手段52の代わりとして行われる。
【0062】
ここで、「対象エリアのカード利用全人数のうち、自社カード利用人数が0人」とは、町丁目ベースでの対象エリアのカード利用全人数のうち、自社カードを利用する人数は0人であり、町丁目ベースでの対象エリアのカード利用全人数が他社カードを利用していることを示す。
【0063】
最頻値算出手段55は、利用人数推計手段51で算出された対象エリアのカード利用全人数のうち、自社カード利用人数が0のとき(ステップS1301)、統計情報記憶部59の国勢調査データを読み込んで、そのエリアの国勢調査人口が1人以上いるかを判定する(ステップS1302)。
【0064】
ここで、国勢調査人口が0人のときはステップS1303に移行する。国勢調査人口が1人以上のときはステップS1304に移行する。
【0065】
国勢調査人口が0人のときは、最頻値算出手段55は「市場なし」と判断して処理を終了する(ステップS1303)。
【0066】
国勢調査人口が1人以上のとき、最頻値算出手段55は、人口取得手段50で使用した町丁目ベースではなく、市区群ベースの地域コードのエリアにおいて自社カード利用金額の最頻値を算出する(ステップS1304)。ここで「自社カード利用金額の最頻値」とは対象となる業種において自社カードで決済された金額のうち、決済された回数が最も多かった金額を指す。
【0067】
ステップS1304の後で、最頻値算出手段55は算出した自社カード利用金額の最頻値を取得し、カード市場規模推計手段53に移行する処理を行って終了する(ステップS1305)。
【0068】
最頻値算出手段55の後でカード市場規模推計手段53に移行した場合、カード市場規模推計手段53は、自社カード利用金額の平均金額の代わりに自社カード利用金額の最頻値と、町丁目ベースでの対象エリアのカード利用全人数とを掛け合わせてカード市場規模の値を推計して算出する。
【0069】
なお、その後の処理は、利用人数推計手段51で算出された対象エリアのカード利用全人数のうち自社カード利用人数が1人以上いて、平均金額算出手段52の処理を行う場合と同様である。
【0070】
図14の、地図サーバ2における商圏分析推計データ作成手段56の処理について説明する。商圏分析推計データ作成手段56は、市場規模推計手段54のステップS1202で作成された市場規模推計データを取得する。商圏分析推計データ作成手段56は、統計情報記憶部59を読み込んで統計情報データを取得する。商圏分析推計データ作成手段56は、地図情報記憶部60を読み込んで地図情報データを取得する(ステップS1401)。
【0071】
次に、商圏分析推計データ作成手段56は、取得した市場規模推計データ、統計情報データ、および地図情報データに基づき商圏分析推計データを作成し、出力用データ記憶部58に格納する。(ステップS1402)。
【0072】
商圏分析推計データ作成手段56は、本発明に係る実施形態における支援システム100に基づく商圏分析サービスのユーザーからの使用の申し込みについて顧客端末4を介して受信し、入力情報を取得する(ステップS1403)。
【0073】
商圏分析推計データ作成手段56は、ステップS1403で取得したユーザーからの入力情報に応じて、出力用データ記憶部58に格納された商圏分析推計データを読み込んで送信し、顧客端末4の画面に表示する(ステップS1404)。なお、顧客端末4の画面に表示された商圏分析推計データの詳細については後述する。
【0074】
上記実施形態で説明した処理の順序は、必ずしも説明した順序で実行される必要がなく、任意の順序で実行されてもよい。さらに、本発明の基本的な概念から逸脱することなく、追加の処理が新たに加えられてもよい。
【0075】
次に、
図4および
図15乃至
図17を用いて、顧客端末4の画面に表示された商圏分析推計データについて説明する。
【0076】
顧客端末4の画面には、商圏分析推計データに基づく拡大推計を行った推計値ベースの商圏分析結果を表示することができる。さらに、顧客端末4の画面には、会員別データ400を用いた拡大推計を行わない実績値ベースの商圏分析結果も表示することができる。ユーザーは、実績値ベースの商圏分析結果を画面に表示させたい場合は、
図15の選択画面1500から実績値ベース選択画面1501を選択する。ユーザーが推計値ベースの商圏分析結果を画面に表示させたい場合は、選択画面1500から推計値ベース選択画面1502を選択する。
【0077】
ユーザーが
図15の選択画面1500で実績値ベース選択画面1501を選択することで表示された実績値表示画面1600について
図16を用いて説明する。
【0078】
例として、寿司チェーン店の新規店舗出店を考えるユーザーは、商圏分析を行いたい特定の地域を指定し(例:G県H市)、実績値表示画面1600における業種設定項目1604の業種「寿司(回転寿司含む)」1604aを選択する。
【0079】
すると、実績値表示画面1600において、既存の寿司チェーン店である店舗A1601、および店舗B1602がそれぞれG県H市の地図上に表示される。
【0080】
例えば地域1603a(例、地域コード401:55555570、G県H市I町)では、業種「寿司(回転寿司含む)」の利用人数合計407が多く、「寿司(回転寿司含む)」のシェアが高いことを示すハッチングがなされている。一方、地域1603e(例、地域コード401:55555580、G県H市J町)では、業種「寿司(回転寿司含む)」の利用人数合計407が少なく、「寿司(回転寿司含む)」のシェアが低いことを示すハッチングがなされている。ハッチングは一例であり、色分けなど任意の手段を用いることができる。また、ハッチングは例として500mメッシュ単位や町丁目単位など任意の単位の区画で行うことができる。
【0081】
次に、ユーザーが
図15の選択画面1500において推計値ベース選択画面1502を選択することで表示された、商圏分析推計データに基づく推計値表示画面1700について
図17を用いて説明する。地域や業種などのユーザーによる指定条件は
図16の場合と同じである。
【0082】
例として、寿司チェーン店の新規出店を考えるユーザーは、新規店舗出店のためなど商圏分析を行いたい特定の地域をあらかじめ指定し(例:G県H市)、推計値表示画面1700における業種設定項目1704の業種「寿司(回転寿司含む)」業種1704aを選択する。
【0083】
推計値表示画面1700において、
図16と同様に、既存の寿司チェーン店である店舗A1701、および店舗B1702がそれぞれG県H市の地図上に表示される。
【0084】
推計値表示画面1700においては地域1703a(G県H市I町)における「寿司(回転寿司含む)」のシェアが低いことを示すハッチングがなされている。
図16において、地域1603a(G県H市I町)の「寿司(回転寿司含む)」のシェアは高いことを示すハッチングがなされていたが、この結果はクレジットカード利用の実データに基づくものである。すなわち、現金も含めたあらゆる市場規模が拡大推計された結果、地域1703aにおける「寿司(回転寿司含む)」のシェアは低いことがわかる。
【0085】
同様に、推計値表示画面1700においては地域1703e(G県H市J町)における「寿司(回転寿司含む)」のシェアが高いことを示すハッチングがなされている。
図16において、地域1603e(G県H市J町)における「寿司(回転寿司含む)」のシェアは低いことを示すハッチングがなされているが、現金も含めたあらゆる市場規模が拡大推計された結果、地域1703eにおける「寿司(回転寿司含む)」のシェアは高いことがわかる。
【0086】
したがって、ユーザーは寿司チェーン店の新規出店を考える際、既存の寿司チェーン店である店舗Aあるいは店舗Bのシェアが高い地域1703eは避けてシェアの低い地域1703aに出店することが考えられる。
図16の場合と同様にハッチングは一例であり、色分けなど任意の手段を用いることができる。また、ハッチングは例として500mメッシュ単位や町丁目単位など任意の単位の区画で行うことができる。
【0087】
以上のとおり、本実施形態に係る支援システム100が構成されている。次に、支援システム100の効果を説明する。
【0088】
本実施形態によれば、カード市場規模推計手段53は、利用業種の業種名に基づいてカード市場規模を推計して算出することができる。したがって、その後の市場規模推計手段54により、現金も含めたエリアごとの市場規模を利用業種の業種名ごとに推計することができ、利用業種の業種名に応じた市場規模を知りたいユーザーのニーズに資する。
【0089】
本実施形態によれば、カード市場規模推計手段53は、利用業種の業種名に加えて、さらに性別、および年代に基づいてカード市場規模を推計して算出することができる。したがって、その後の市場規模推計手段54によりエリアごとの市場規模を、利用業種の業種名に加えて、さらに性別および年代に応じて現金も含めた市場規模を推計することができ、より詳細な市場規模を知りたいユーザーのニーズに資する。
【0090】
本実施形態によれば、利用人数推計手段51で算出されたカード利用全人数のうち、町丁目ベースで自社カード利用全人数が0である場合であっても、最頻値算出手段55で市区群ベースの自社カード利用金額の最頻値を求めることにより、対象エリアのカード市場規模を推計できる。したがって、町丁目ベースで自社カード利用全人数が0の場合でも、推計されたカード市場規模に基づいて現金も含めた市場規模を推計することができる。
【0091】
本実施形態によれば、商圏分析推計データに基づく推計値ベースの商圏分析結果と、会員別データに基づく実績値ベースの商圏分析結果とのいずれも表示することができる。したがって、クレジットカード決済を中心とした市場規模を知りたい、あるいは現金も含めた全国的な市場規模を知りたいといった、ユーザーのニーズにより合致した商圏分析結果を提供することができる。
【0092】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。例えば、支援システム100やカード会社サーバ1の記憶部16の各手段20乃至22、および地図サーバ2の記憶部46の各手段50乃至56の役割は、上述の例に限定されない。
【符号の説明】
【0093】
1 カード会社サーバ
2 地図サーバ
3 ネットワーク
4a、4b 顧客端末
10、40 制御部
11、41 入力部
12、42 出力部
13、43 送受信部
14、44 メモリ部
15、45 システムバス
16、46 記憶部
20 地域情報付与手段
21 会員別データ作成手段
22 データ送信手段
30 会員情報記憶部
31 売上情報記憶部
32 送信データ記憶部
50 人口取得手段
51 利用人数推計手段
52 平均金額算出手段
53 カード市場規模推計手段
54 市場規模推計手段
55 最頻値算出手段
56 商圏分析推計データ作成手段
57 受信データ記憶部
58 出力用データ記憶部
59 統計情報記憶部
60 地図情報記憶部
100 支援システム
1500 選択画面
1600 実績値表示画面
1700 推計値表示画面
【要約】
【課題】クレジットカードの利用者情報や統計データを用いて拡大推計することで現金も含めた市場規模を推計し、データの偏りを減少させることでより信頼性の高い商圏分析推計データを提供できる支援システム、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】地域情報付与手段20と、会員別データ作成手段21と、人口取得手段50と、利用人数推計手段51と、平均金額算出手段52と、カード市場規模推計手段53と、市場規模推計手段54と、商圏分析推計データ作成手段56とを備える支援システム100により、拡大推計を行うことでクレジットカードだけでなく、現金も含めた市場規模を全国レベルで把握することができ、クレジットカードの使用率が少ない年代などのニーズも把握できる。また、データの偏りを減少させることで、ユーザーがより信頼性の高い商圏分析を行うことができる。
【選択図】
図1