(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H05K7/14 G
(21)【出願番号】P 2023500685
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003267
(87)【国際公開番号】W WO2022176566
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2021022397
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 芸
(72)【発明者】
【氏名】細川 淳史
(72)【発明者】
【氏名】東谷 祥平
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/250010(US,A1)
【文献】特開2006-5200(JP,A)
【文献】実開昭63-112384(JP,U)
【文献】特開平6-13771(JP,A)
【文献】実開平6-52182(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性筐体と、
前記導電性筐体と間隔を隔てて配置された回路基板と、
前記導電性筐体と前記回路基板とを接続する接続部材とを備え、
前記接続部材は、
前記導電性筐体と前記回路基板との間に配置され、前記回路基板に沿って延在する第1絶縁板部分を含み、
前記第1絶縁板部分は、前記導電性筐体および前記回路基板の双方から間隔を隔てて配置されており、さらに、前記接続部材は、
前記第1絶縁板部分を、前記回路基板から間隔を隔てて位置決めするため、前記第1絶縁板部分の前記回路基板側の表面に接続された第1接続部と、
前記第1絶縁板部分を、前記導電性筐体から間隔を隔てて位置決めするため、前記第1絶縁板部分の前記導電性筐体側の表面に接続された第2接続部とを含み、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記回路基板側から見た平面視において異なる位置に配置されている、電子機器。
【請求項2】
前記接続部材は、
前記導電性筐体と前記第1絶縁板部分との間に配置され、前記導電性筐体および前記第1絶縁板部分から間隔を隔てて配置された第2絶縁板部分と、
前記第2絶縁板部分を、前記導電性筐体から間隔を隔てて位置決めするため、前記第2絶縁板部分の前記導電性筐体側の表面と前記導電性筐体とを接続する第3接続部とを含み、
前記第1接続部は、前記第1絶縁板部分の前記回路基板側の前記表面と前記回路基板とを接続し、
前記第2接続部は、前記第1絶縁板部分の前記導電性筐体側の前記表面と前記第2絶縁板部分とを接続し、
前記第3接続部と前記第2接続部とは、前記回路基板側から見た平面視において異なる位置に配置されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2絶縁板部分において、前記第2接続部が接続された位置と前記第3接続部が接続された位置との間の領域にスリットが形成されている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記回路基板側から見た平面視において、前記第2接続部は、前記第1接続部および前記第3接続部から見て前記回路基板
の中央部側に位置している、請求項2または請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記回路基板側から見た平面視において、前記第1接続部と前記第3接続部とは重なっている、請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記回路基板側から見た平面視において、
前記第1絶縁板部分および前記第2絶縁板部分の面積は前記回路基板の面積より大きく、
前記第3接続部は、前記回路基板と重ならない位置に配置されている、請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記回路基板側から見た平面視において、
前記第2接続部は、前記回路基板と重なる位置に配置されている、請求項
1~請求項6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記回路基板側から見た平面視において、
前記回路基板における前記第2接続部と重なる領域に貫通穴が形成されている、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記接続部材は、前記第1絶縁板部分、前記第2絶縁板部分、前記第1接続部、前記第2接続部および前記第3接続部が一体に構成された絶縁構造物である、請求項2~請求項5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1絶縁板部分と前記第1接続部とは一体に構成された第1絶縁構造物であり、
前記第2絶縁板部分と前記第3接続部とは一体に構成された第2絶縁構造物であり、
前記第1絶縁構造物の形状と前記第2絶縁構造物の形状とは同一である、請求項2~請求項5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記接続部材は、前記第1絶縁板部分の前記導電性筐体側の前記表面と前記導電性筐体とを接続する第3接続部を含み、
前記第1接続部は、前記第1絶縁板部分の前記回路基板側の前記表面と前記回路基板とを接続し、
前記第2接続部は、前記第1絶縁板部分の前記導電性筐体側の前記表面と前記導電性筐体とを接続し、
前記回路基板側から見た平面視において、
前記第1絶縁板部分の面積は前記回路基板の面積より大きく、
前記第3接続部は、前記回路基板と重ならない位置に配置されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
前記回路基板側から見た平面視において、前記第2接続部は、前記第1接続部および前記第3接続部から見て前記回路基板の中央部側に位置している、請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記第1絶縁板部分において、前記第1接続部が接続された位置と前記第2接続部が接続された位置との間の領域にスリットが形成されている、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁板を介して導電性筐体に回路基板を固定している電子機器が知られている(たとえば、特開2017-079253号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特開2017-079253号公報に開示された従来の電子機器では、絶縁板によって回路基板と導電性筐体との絶縁を確保している。しかし、絶縁板の表面に汚れなどが付着している場合、理論上の沿面放電の開始電圧が著しく低下する。このため、沿面放電の開始電圧より高い電圧が印加されると、絶縁板の欠陥(上述した汚れなど)に起因して沿面放電が発生し、最終的に絶縁破壊に至る可能性が懸念される。また、絶縁板を回路基板に完全に密着することは難しい。すなわち、絶縁板表面の凹凸により、絶縁板と回路基板との間にボイドや空隙が介在することがある。高電圧が回路基板に印加されると、絶縁破壊強度の低い欠陥(ボイドや空隙)が放電の起点となり、長い時間をかけて絶縁破壊が引き起こされる。そのため、従来の電子機器では絶縁耐性に関して改善の余地がある。
【0005】
本開示は上記のような課題を解決するために成されたものであり、本開示の目的は、絶縁耐性が向上された電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電子機器は、導電性筐体と、回路基板と、接続部材とを備える。回路基板は、導電性筐体と間隔を隔てて配置される。接続部材は、導電性筐体と回路基板とを接続する。前記接続部材は、第1絶縁板部分と、第1接続部と、第2接続部とを含む。第1絶縁板部分は、導電性筐体と回路基板との間に配置される。第1絶縁板部分は、回路基板に沿って延在する。第1絶縁板部分は、導電性筐体および回路基板の双方から間隔を隔てて配置されている。第1接続部は、第1絶縁板部分を、回路基板から間隔を隔てて位置決めするため、第1絶縁板部分の回路基板側の表面に接続される。第2接続部は、第1絶縁板部分を、導電性筐体から間隔を隔てて位置決めするため、第1絶縁板部分の導電性筐体側の表面に接続される。第1接続部と第2接続部とは、回路基板側から見た平面視において異なる位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、絶縁耐性が向上された電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る電子機器の断面模式図である。
【
図2】
図1に示された電子機器の斜視模式図である。
【
図3】
図1に示された電子機器を構成する回路基板の平面模式図である。
【
図4】
図1に示された電子機器を構成する第1絶縁板部分の平面模式図である。
【
図5】
図1に示された電子機器を構成する第2絶縁板部分の平面模式図である。
【
図6】
図1に示された電子機器を構成する導電性筐体の平面模式図である。
【
図7】
図1に示された電子機器における絶縁距離を説明するための断面模式図である。
【
図8】参考例としての電子機器の断面模式図である。
【
図9】実施の形態2に係る電子機器の断面模式図である。
【
図10】
図9に示された電子機器の斜視模式図である。
【
図11】
図9に示された電子機器を構成する絶縁構造物の平面模式図である。
【
図13】実施の形態3に係る電子機器の断面模式図である。
【
図15】
図13に示された電子機器を構成する第1絶縁構造物の平面模式図である。
【
図16】
図15に示された第1絶縁構造物の側面模式図である。
【
図17】
図13に示された電子機器を構成する第2絶縁構造物の側面模式図である。
【
図18】実施の形態4に係る電子機器の断面模式図である。
【
図20】
図18に示された電子機器を構成する第1絶縁板部分の平面模式図である。
【
図21】
図18に示された電子機器を構成する第2絶縁板部分の平面模式図である。
【
図22】実施の形態5に係る電子機器の断面模式図である。
【
図24】
図22に示された電子機器を構成する第1絶縁板部分の平面模式図である。
【
図25】
図22に示された電子機器を構成する導電性筐体の平面模式図である。
【
図26】実施の形態6に係る電子機器の斜視模式図である。
【
図27】
図26に示された電子機器の製造方法を説明するための模式図である。
【
図28】
図26に示された電子機器の製造方法を説明するための模式図である。
【
図29】実施の形態7に係る電子機器の斜視模式図である。
【
図30】
図29に示された電子機器の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
<電子機器の構成>
図1は、実施の形態1に係る電子機器の断面模式図である。
図2は、
図1に示された電子機器の斜視模式図である。
図3は、
図1に示された電子機器を構成する回路基板の平面模式図である。
図4は、
図1に示された電子機器を構成する第1絶縁板部分の平面模式図である。
図5は、
図1に示された電子機器を構成する第2絶縁板部分の平面模式図である。
図6は、
図1に示された電子機器を構成する導電性筐体の平面模式図である。
【0011】
図1から
図6に示された電子機器は、導電性筐体5と、回路基板1と、接続部材50とを主に備える。回路基板1は、導電性筐体5と間隔を隔てて配置される。回路基板1には電気電子部品6が実装されている。接続部材50は、導電性筐体5と回路基板1とを接続する。
【0012】
図1および
図2に示されるように、接続部材50は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11と、第1接続部53としてのスペーサ21,22,23,24と、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34と、第2絶縁板部分52としての絶縁板12と、第3接続部55としてのスペーサ41,42,43,44とを主に含む。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、導電性筐体5と回路基板1との間に配置される。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、回路基板1に沿って延在する。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、導電性筐体5および回路基板1の双方から間隔を隔てて配置されている。
【0013】
スペーサ21,22,23,24は、絶縁板11を、回路基板1から間隔を隔てて位置決めするため、絶縁板11の回路基板1側の表面と回路基板1とを接続する。スペーサ21,22,23,24は、それぞれ回路基板1の角部に接続されている。異なる観点から言えば、四角形状の回路基板1の外周部にスペーサ21,22,23,24は接続されている。
【0014】
スペーサ31,32,33,34は、絶縁板11を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、絶縁板11の導電性筐体5側の表面と絶縁板12とを接続する。回路基板1側から見た平面視において、スペーサ31,32,33,34は、回路基板1と重なる位置に配置される。具体的には、スペーサ31,32,33,34は回路基板1の中央部101を含む中間部と平面視において重なるように配置されている。
【0015】
絶縁板12は、導電性筐体5および絶縁板11から間隔を隔てて配置される。スペーサ41,42,43,44は、たとえばオスメススペーサであって、絶縁板12を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、絶縁板12の導電性筐体5側の表面と導電性筐体5とを接続する。スペーサ41,42,43,44とスペーサ31,32,33,34とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置される。スペーサ21,22,23,24とスペーサ31,32,33,34とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置されている。
図1および
図2に示すように、回路基板1側から見た平面視において、スペーサ21,22,23,24とスペーサ41,42,43,44とは重なっている。なお、スペーサ21,22,23,24とスペーサ41,42,43,44とが平面視において重ならないように配置されていてもよい。
【0016】
スペーサ21、22,23、24、スペーサ31、32,33,34、スペーサ41、42,43,44は、たとえばポリオキシメチレン、ナイロンなど樹脂製部材で構成されている。これらのスペーサの形状は、たとえば六角柱状または円柱状であってもよい。
【0017】
導電性筐体5は、たとえば鉄、鉄基合金などに代表される鉄鋼類、または、アルミニウム、銅などの非鉄金属およびこれらを含む合金などの金属製部材で構成されていてもよい。
図6に示されるように、導電性筐体5の適切な位置にスペーサ41、42,43,44(
図2参照)を固定するため、予めリベットなどの固定部材を差し込むための適合なサイズの下穴241、242,243,244が形成される。スペーサ41,42,43,44を固定するための固定部材761、762,763,764(
図2参照)を下穴241、242,243,244に差し込む。その後、リベッターのような工具でリベットである固定部材761,762,763,764(
図2参照)をカシメする。なお、固定部材761、762,763,764は、アルミ、ステンレスなど金属部材で構成されていてもよい。
【0018】
絶縁板12は、エポキシ樹脂など樹脂材料、絶縁紙、および樹脂製のフィルムで構成されていてもよい。
図5に示すように、固定具としてのネジ751、752,753,754を挿通可能なネジ通し穴231、23
2,233,234(挿通孔)が絶縁板12の四隅に形成されている。ネジ741、742,743,744(固定具)を挿通可能なネジ通し穴321、
322,
323,324は、上述したネジ通し穴231、232,233,234から離れた絶縁板12の内側に形成されている。また、各ネジ通し穴321、322,323,324は、それぞれ各ネジ通し穴231、232,233,234から見て絶縁板12の内周側に配置されている。ネジ通し穴321からネジ通し穴231までの直線距離と、ネジ通し穴322からネジ通し穴232までの直線距離と、ネジ通し穴323からネジ通し穴233までの直線距離と、ネジ通し穴324からネジ通し穴234までの直線距離とは実質的に同じである。
【0019】
絶縁板11は、上述した絶縁板12と同様に、エポキシ樹脂などの樹脂材料、絶縁紙、および樹脂製のフィルムなどにより構成されてもよい。
図4に示すように、固定具としてのネジ721、722,723,724(
図2参照)を挿通可能なネジ通し穴221、222,223,224(挿通孔)が絶縁板11の四隅に形成されている。固定具としてのネジ731、732,733,734(
図2参照)を挿通可能なネジ通し穴311、312,313,314は、上述したネジ通し穴221、222,223,224から離れた絶縁板11の内側に形成されている。また、各ネジ通し穴311、312,313,314は、それぞれ各ネジ通し穴221、222,223,224から見て絶縁板11の内周側に配置されている。ネジ通し穴311からネジ通し穴221までの直線距離と、ネジ通し穴312からネジ通し穴222までの直線距離と、ネジ通し穴313からネジ通し穴223までの直線距離と、ネジ通し穴314からネジ通し穴224までの直線距離とは実質的に同じである。
【0020】
回路基板1は、紙フェノール、ガラスエポキシなどプリント基板用部材により構成されている。
図3示すように、回路基板1には電気電子部品6が実装されている。回路基板1の外周部には、固定具としてのネジ711、712,713,714(
図2参照)を挿通可能なネジ通し穴211、212,213,214(挿通孔)が形成されている。回路基板1の平面形状は四角形状である。ネジ通し穴211,212,213,214は、回路基板1の四隅に配置される。回路基板1の厚みはたとえば0.4mm以上3.2mm以下とすることができる。回路基板1のサイズはたとえば縦方向の寸法を10mm以上550mm以下とし、横方向の寸法を10mm以上550mm以下とすることができる。
【0021】
オスメススペーサであるスペーサ41、42,43,44のオス側は、固定部材761、762,763,764により、それぞれ導電性筐体5の下穴241,242,243,244が形成された部分に固定される。スペーサ41、42,43,44のメス側は、ネジ751、752,753,754により、それぞれ絶縁板12のネジ通し穴231,232,233,234が形成された四隅に固定される。
【0022】
スペーサ31、32,33,34の一端は、ネジ741,742,743,744により、それぞれ絶縁板12のネジ通し穴321,322,323,324が形成された領域に固定される。スペーサ31,32,33,34の他端は、ネジ731、732,733,734により、それぞれ絶縁板11のネジ通し穴311,312,313,314が形成された領域に固定される。
【0023】
スペーサ21、22,23,24の一端は、ネジ721、722,723,724により、それぞれ絶縁板11のネジ通し穴221,222,223,224が形成された領域である四隅に固定される。スペーサ21、22,23,24の他端は、ネジ711、712,713,714により、それぞれ回路基板1のネジ通し穴211,212,213,214が形成された領域である四隅に固定される。
【0024】
上述した全てのネジは、任意の構成のネジを用いることができるが、たとえばナベ小ネジであってもよい。上述したネジを構成する材料は、鉄、ステンレス鋼、真鍮などの金属であってもよく、樹脂であってもよい。
【0025】
<電子機器の製造方法>
実施の形態1に係る電子機器の製造方法について説明する。まず、導電性筐体5の下穴241,242,243,244に配置された固定部材761、762,763,764に、オスメススペーサであるスペーサ41、42,43,44のオス側をそれぞれ締結し、固定する。次に、絶縁板12に形成されたネジ通し穴321、322,323,324に通したネジ741、742,743,744より、スペーサ31、32,33,34の一端をそれぞれ絶縁板12に締結する。この結果、スペーサ31,32,33,34が絶縁板12に固定される。
【0026】
次に、絶縁板12に形成されたネジ通し穴231、232,233,234に通したネジ751、752,753,754を、それぞれオスメススペーサであるスペーサ41、42,43,44のメス側に締結する。この結果、絶縁板12がスペーサ41,42,43,44を介して導電性筐体5に固定される。
【0027】
次に、絶縁板11に形成されたネジ通し穴221、222,223,224に通したネジ721、722,723,724により、スペーサ21、22,23,24の一端をそれぞれ絶縁板11に固定する。絶縁板11に形成されたネジ通し穴311、312,313,314に通したネジ731、732,733,734を、絶縁板12に固定されているスペーサ31、32,33,34の他端に締結する。この結果、絶縁板11がスペーサ31,32,33,34を介して絶縁板12に固定される。
【0028】
最後に、回路基板1に形成されたネジ通し穴211、212,213,214に通したネジ711、712,713,714により、スペーサ21、22,23,24の他端を回路基板1に固定する。回路基板1には、予め電気電子部品6が実装されている。以上により、実施の形態1に係る電子機器を得ることができる。
【0029】
<作用>
本開示に係る電子機器は、導電性筐体5と、回路基板1と、接続部材50とを備える。回路基板1は、導電性筐体5と間隔を隔てて配置される。接続部材50は、導電性筐体5と回路基板1とを接続する。接続部材50は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11と、第1接続部53としてのスペーサ21,22,23,24と、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34とを含む。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、導電性筐体5と回路基板1との間に配置される。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、回路基板1に沿って延在する。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、導電性筐体5および回路基板1の双方から間隔を隔てて配置されている。第1接続部53としてのスペーサ21,22,23,24は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11を、回路基板1から間隔を隔てて位置決めするため、絶縁板11の回路基板1側の表面に接続される。第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の導電性筐体5側の表面に接続される。スペーサ21,22,23,24とスペーサ31,32,33,34とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置されている。
【0030】
このようにすれば、接続部材50が絶縁板11とスペーサ21,22,23,24とスペーサ31,32,33,34を有し、当該スペーサ21,22,23,24とスペーサ31,32,33,34とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置されているので、導電性筐体5と回路基板1との間の最短距離を大きくすることなく、当該導電性筐体5と回路基板1との間の沿面距離を大きくすることができる。このため、電子機器のサイズを必要以上に大きくすること無く十分な耐電圧値を得ることができる。この結果、絶縁耐性が向上された電子機器を得ることができる。
【0031】
上記電子機器において、接続部材50は、第2絶縁板部分52としての絶縁板12と、第3接続部55としてのスペーサ41,42,43,44とを含む。第2絶縁板部分52としての絶縁板12は、導電性筐体5と絶縁板11との間に配置される。絶縁板12は、導電性筐体5および絶縁板11から間隔を隔てて配置される。第3接続部55としてのスペーサ41,42,43,44は、絶縁板12を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、絶縁板12の導電性筐体5側の表面と導電性筐体5とを接続する。スペーサ21,22,23,24は、絶縁板11の回路基板1側の表面と回路基板1とを接続する。スペーサ41,42,43,44は、絶縁板11の導電性筐体5側の表面と絶縁板12とを接続する。スペーサ41,42,43,44とスペーサ31,32,33,34とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置される。
【0032】
この場合、接続部材50がさらに絶縁板12およびスペーサ41,42,43,44を有することで、当該導電性筐体5と回路基板1との間の沿面距離をさらに大きくすることができる。
【0033】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34は、第1接続部53としてのスペーサ21,22,23,24および第3接続部55としてのスペーサ41,42,43,44から見て回路基板1の中央部101側に位置する。
【0034】
この場合、スペーサ21,22,23,24およびスペーサ41,42,43,44から見て、スペーサ31,32,33,34が回路基板1の中央部101側とは反対側に配置される場合より、電子機器の専有面積を小さくできる。つまり、電子機器の専有面積が増えることを抑制できる。
【0035】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第1接続部53としてのスペーサ21,22,23,24と第3接続部55としてのスペーサ41,42,43,44とが重なっている。この場合、スペーサ21,22,23,24とスペーサ41,42,43,44とが平面視において異なる位置に配置される場合より、電子機器の専有面積を小さくすることができる。
【0036】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34は、回路基板1と重なる位置に配置される。この場合、回路基板1下の領域をスペーサ31,32,33,34の配置スペースとして活用できるので、電子機器の小型化を図ることができる。
【0037】
このように、
図1から
図6に示された電子機器では、回路基板1と、導電性筐体5との間に複数枚の絶縁板11,12を挟むことにより、沿面距離を確保するための余分な空間距離を削減できる。このため、電子機器の小型化を図ることができる。さらに、平面視において第2のスペーサであるスペーサ31,32,33,34の位置を第1のスペーサであるスペーサ21,22,23,24および第3のスペーサであるスペーサ41,42,43,44の位置からずらすことにより、電子機器の耐振動性が向上する。
【0038】
また、上述した電子機器では、回路基板1と絶縁板11,12とを、スペーサを介して間隔を隔てて機械的に固定している。このため、絶縁板11,12と回路基板1との間に空気層が介在するので、接続部材50におけるボイド放電または沿面放電の発生の可能性を低減できる。
【0039】
ここで、本実施の形態に係る電子機器の作用効果をより詳しく説明する。
図7は、
図1に示された電子機器における絶縁距離を説明するための断面模式図である。
図8は、参考例としての電子機器の断面模式図である。
【0040】
図8に記載の参考例としての電子機器では、棒状絶縁性スペーサであるスペーサ1020を介して、電気電子部品1006が実装された回路基板1001を導電性筐体1005に固定する。回路基板1001と導電性筐体1005との絶縁距離をスペーサ1020の長さLで保っている。
【0041】
ここで、絶縁距離には空間距離及び絶縁体の沿面に添った沿面距離がある。例えば、制御機器の絶縁距離の規格であるJEM1103では、回路基板に印加する電圧が3.6kV~7.2kVの場合、空間距離として60mm、沿面距離として90mm以上を確保する必要がある。したがって、
図8に記載の参考例としての電子機器では、3.6kV~7.2kVの電圧が回路基板1001に印加される場合、回路基板1001と導電性筐体1005との絶縁距離を満足するのにスペーサ1020の長さLを少なくとも90mm以上にする必要がある。空間距離としては60mm以上であれば十分絶縁距離を確保できるのだが、棒状のスペーサ1020を利用しているため、絶縁距離に関して沿面距離を90mm以上確保する必要があり、結果的に電子機器が大型化していた。
【0042】
また、回路基板1001と導電性筐体1005との絶縁距離を確保するため、回路基板1001と、導電性筐体1005とを碍子を介して固定する構成を採用することもできる。碍子を使用することにより、回路基板1001と導電性筐体1005との間の沿面距離は碍子表面の凹凸構造で確保することができる。このため、一般的なスペーサより長さが短い碍子で沿面距離を確保できる。しかし、碍子を設けた場合、大きな沿面距離を確保しようとするほど、碍子のサイズを大きくしなければならない。
【0043】
碍子のサイズが大きければ、回路基板1001の実装面積が減ることになる。回路基板1001の実装面積を確保するため、さらに回路基板1001のサイズを大きくすることになる。この悪化循環により、電気機器のサイズが大きくなってしまうという課題もあった。
【0044】
さらに、
図8に示すような棒状のスペーサ1020を介して絶縁距離を確保する電子機器では、回路基板1001の共振周波数が低い場合がある。そのため、回路基板1001の共振周波数が電子機器の構造における振動周波数帯域に入ってくる可能性が高くなる。回路基板1001が電子機器の構造と共振すると、回路基板1001に実装されている電子部品などの重量物の振幅が増幅される場合がある。この結果、回路基板1001が激しく振動し、当該回路基板1001が振動により破壊される恐れがある。ここで、回路基板1001の振動は3方向で生じ得る。上述した重量物が実装された回路基板1001の振動による破壊は、具体的には、例えば、重量が重い電子部品であるトランス、コンデンサ、またはリアクトルなどの端子と回路基板1001との接続箇所の破壊や端子の破断などである。
【0045】
上述のような課題を解決するため、特許文献1での構造では、回路基板1001と導電性筐体1005との間に絶縁板などの固体絶縁材料を挿入することによって、回路基板1001と導電性筐体1005を絶縁している。しかし、当該固体絶縁材料は、回路基板1001と完全密着することが難しい。固体絶縁材料の欠陥(ボイドや空隙)により、固体絶縁材料と回路基板1001の間にわずかな隙間ができてしまう可能性がある。高電圧が回路基板1001に印加する場合、固体絶縁材料内にボイドなどの微小欠陥が存在すると部分放電が発生し得る。この結果、固体絶縁材料が劣化し、最終的には個体絶縁材料が破壊する場合がある。また、固体絶縁材料自体に不純物が含まれる場合、理論上の沿面放電の開始電圧が著しく低下することがある。この場合、当該沿面放電の開始電圧より高い電圧が回路基板1001に印加されると、固体絶縁材料の欠陥による沿面放電が発生し、最終的に電子機器において絶縁破壊が発生する恐れがある。
【0046】
そこで、実施の形態1に係る電子機器では、絶縁板11,12とスペーサ21,22,23,24,31,32,33,34,41,42,43,44との組み合わせにより回路基板1と導電性筐体5との間の空間距離及び沿面距離を確保している。また、絶縁板11,12と回路基板1との間に空気層が介在するため、特許文献1における電子機器のようなボイド放電や沿面放電のリスクを低減している。また、沿面距離を確保するための余分な空間距離を削減することができ、電子機器を小型化できる。
【0047】
具体的には、
図7に示すように、回路基板1において電気電子部品6(または電気電子部品6が接続された金属配線パターン)とネジ713との間の距離を最短距離とし、当該距離を長さfとする。回路基板1と絶縁板11との距離、すなわちスペーサ23の長さを長さaとする。ネジ723とスペーサ33との距離を長さbとする。絶縁板11と絶縁板12との距離、すなわちスペーサ33の長さを長さcとする。スペーサ33とネジ753(
図2参照)との距離を長さdとする。絶縁板12と導電性筐体5との距離、すなわちスペーサ43の長さを長さeとする。回路基板1の金属配線パターンから、スペーサ23と、絶縁板11と、スペーサ33と、絶縁板12と、スペーサ43とを経由して導電性筐体5までの最短沿面距離は長さ(f+a+b+c+d+e)となる。当該最短沿面距離を、規格により要求される沿面距離以上となるように本開示の電子機器の構成を決定することができる。さらに、
図7に示す電子機器の絶縁性能(耐電圧値)は、上述した最短沿面距離に比例する。つまり、上記最短沿面距離を長くすることで、電子機器の耐電圧値を高くすることができる。
【0048】
さらに、実施の形態1に係る電子機器では、
図8に示すような沿面距離を確保するための長いスペーサ1020を分割している。実施の形態1に係る電子機器では、複数の絶縁板11、12を互いに間隔を隔てるように複数のスペーサを介して回路基板1と導電性筐体5との間に配置している。また、絶縁板11と絶縁板12とを固定するスペーサ31、32,33,34を、スペーサ21、22,23,24およびスペーサ41、42,43,44より平面視において回路基板1の内側(中央部101を含む領域側)に配置している。このため、回路基板1の固有振動数が高くなり、回路基板1の耐振動性が向上している。さらに、特許文献1に開示された電子機器と比べ、回路基板1の配線パターン領域および電気電子部品6が実装される部品領域には外気が流れる構造となっているため、実施の形態1に係る電子機器は、電気電子部品6の放熱性に優れている。
【0049】
実施の形態2.
<電子機器の構成>
図9は、実施の形態2に係る電子機器の断面模式図である。
図10は、
図9に示された電子機器の斜視模式図である。
図11は、
図9に示された電子機器を構成する絶縁構造物の平面模式図である。
図12は、
図11に示された絶縁構造物の側面模式図である。
【0050】
図9から
図12に示された電子機器は、基本的には
図1および
図2に示された電子機器と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、接続部材50の具体的な構成が
図1および
図2に示された電子機器と異なっている。すなわち、
図9から
図12に示された電子機器では、接続部材50として第1平板部161、第2平板部162、上凸部16a、16b、16c、16d、中央部16i、および下凸部16e、16f、16g、16hが一体となっている絶縁構造物16を用いている。絶縁構造物16を構成する材料としては、絶縁性を有する材料であれば任意の材料を用いることができるが、たとえば樹脂材料を用いることができる。当該樹脂材料としては、たとえばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、光硬化性のアクリル樹脂などを用いることができる。絶縁構造物16は、たとえば金型を用いて作製することができる。
【0051】
絶縁構造物16においては、第1平板部161と第2平板部162とが互いに対向するように配置されている。第1平板部161と第2平板部162とは互いに平行に伸びる要に配置されている。第1平板部161と第2平板部162とは回路基板1の表面に沿う方向に延びるように配置されている。第1平板部161の中央部と第2平板部162の中央部とを繋ぐように中央部16iが配置されている。
【0052】
図11および
図12に示すように、第1平板部161の平面形状は四角形状である。第1平板部161の四隅に上凸部16a、16b、16c、16dが形成されている。上凸部16a、16b、16c、16dは、それぞれ第1平板部161の表面から回路基板1に向けて延びるように形成されている。第2平板部162の平面形状は四角形状である。第2平板部162の四隅に下凸部16e、16f、16g、16hが形成されている。下凸部16e、16f、16g、16hは、それぞれ第2平板部162の表面から導電性筐体5に向けて延びるように形成されている。上凸部16a、16b、16c、16dおよび下凸部16e、16f、16g、16hの形状は任意の形状とできるが、たとえば四角柱状である。上凸部16a、16b、16c、16dおよび下凸部16e、16f、16g、16hの形状は多角柱状でもよいし円柱状でもよい。
【0053】
また、異なる観点から言えば、第1平板部161は、中央部16iと接続された領域と、当該領域から外側に延びる延在部161a、161bとを含む。上凸部16a、16cは、延在部161aにおいて中央部16i側と反対側の端部に形成されている。上凸部16b、16dは、延在部161bにおいて中央部16i側と反対側の端部に形成されている。第2平板部162は、中央部16iと接続された領域と、当該領域から外側に延びる延在部162a、162bとを含む。下凸部16e、16gは、延在部162aにおいて中央部16i側と反対側の端部に形成されている。下凸部16f、16hは、延在部162bにおいて中央部16i側と反対側の端部に形成されている。
【0054】
接続部材50において、延在部161aから延在部161bに向かう方向と交差する方向における、中央部16iの幅と第1平板部161および第2平板部162の幅とは実質的に等しい。なお、中央部16iの当該幅を、第1平板部161および第2平板部162の幅より狭くしてもよいし、広くしてもよい。
【0055】
図11に示すように、上凸部16a、16b、16c、16dには、それぞれに固定具としてのネジ711、712,713,714(
図10参照)を挿通可能なネジ通し穴16aa,16bb、16cc、16dd(挿通孔)が形成されている。下凸部16e、16f、16g、16hには、それぞれネジである固定部材761,762,763,764(
図2参照)を挿通可能なネジ通し穴(挿通孔)が形成されている。
【0056】
また、
図9に示すように、回路基板1において電気電子部品6(または電気電子部品6が接続された金属配線パターン)とネジ713との間の距離を最短距離とし、当該距離を長さfとする。回路基板1と第1平板部161との距離、すなわち上凸部16cの長さを長さaとする。上凸部16cと中央部16iとの距離を長さbとする。第1平板部161と第2平板部162との距離、すなわち中央部16iの側面の長さを長さcとする。中央部16iと下凸部16gとの距離を長さdとする。第2平板部162と導電性筐体5との距離、すなわち下凸部16gの長さを長さeとする。回路基板1の金属配線パターンから、上凸部16cと、第1平板部161と、中央部16iと、第2平板部162と、下凸部16gとを経由して導電性筐体5までの最短沿面距離は長さ(f+a+b+c+d+e)となる。当該最短沿面距離を、規格により要求される沿面距離以上となるように本開示の電子機器の構成を決定することができる。さらに、
図9に示す電子機器の絶縁性能(耐電圧値)は、上述した最短沿面距離に比例する。つまり、上記最短沿面距離を長くすることで、電子機器の耐電圧値を高くすることができる。
【0057】
<作用>
本開示に係る電子機器は、導電性筐体5と、回路基板1と、接続部材50としての絶縁構造物16とを備える。回路基板1は、導電性筐体5と間隔を隔てて配置される。絶縁構造物16は、導電性筐体5と回路基板1とを接続する。絶縁構造物16は、第1絶縁板部分51としての第1平板部161と、第1接続部53としての上凸部16a、16b、16c、16dと、第2接続部54としての中央部16iとを含む。第1平板部161は、導電性筐体5と回路基板1との間に配置される。第1平板部161は、回路基板1に沿って延在する。第1平板部161は、導電性筐体5および回路基板1の双方から間隔を隔てて配置されている。第1接続部53としての上凸部16a、16b、16c、16dは、第1平板部161を、回路基板1から間隔を隔てて位置決めするため、第1平板部161の回路基板1側の表面に接続される。第2接続部54としての中央部16iは、第1平板部161を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、第1平板部161の導電性筐体5側の表面に接続される。上凸部16a、16b、16c、16dと中央部16iとは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置されている。
【0058】
上記電子機器において、接続部材50は、第2絶縁板部分52としての第2平板部162と、第3接続部55としての下凸部16e、16f、16g、16hとを含んでいる。第2平板部162は、導電性筐体5と第1平板部161との間に配置される。第2平板部162は、導電性筐体5および第1平板部161から間隔を隔てて配置される。下凸部16e、16f、16g、16hは、第2平板部162を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、第2平板部162の導電性筐体5側の表面と導電性筐体5とを接続する。第1接続部53としての上凸部16a、16b、16c、16dは、第1平板部161の回路基板1側の表面と回路基板1とを接続する。中央部16iは、第1平板部161の導電性筐体5側の表面と第2平板部162とを接続する。下凸部16e、16f、16g、16hと中央部16iとは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置される。
【0059】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としての中央部16iは、第1接続部53としての上凸部16a、16b、16c、16dおよび第3接続部55としての下凸部16e、16f、16g、16hから見て回路基板1の中央部101側に位置する。
【0060】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第1接続部53としての上凸部16a、16b、16c、16dと第3接続部55としての下凸部16e、16f、16g、16hとが重なっている。
【0061】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としての中央部16iは、回路基板1と重なる位置に配置される。
【0062】
上記電子機器において、接続部材50は、第1平板部161、第2平板部162、上凸部16a、16b、16c、16d、中央部16iおよび下凸部16e、16f、16g、16hが一体に構成された絶縁構造物16である。
【0063】
上述した構成を有する電子機器では、実施の形態1に係る電子機器と同様の効果を得ることができる。また、回路基板1と導電性筐体5との間に、単一の部材である絶縁構造物16を配置することで、実施の形態1における複数の部材からなる接続部材50と同様の機能を有する構造を実現できるので、電子機器の製造工程を簡略化できる。つまり、電子機器の製造工程数を削減することで製造コストを低減できる。また、接続部材50が単一の部材であるので、接続部材50の剛性を高めることができる。このため、電子機器における回路基板1の固有振動数を高めることができ、結果的に回路基板1の耐振動性を向上させることができる。
【0064】
実施の形態3.
<電子機器の構成>
図13は、実施の形態3に係る電子機器の断面模式図である。
図14は、
図13に示された電子機器の斜視模式図である。
図15は、
図13に示された電子機器を構成する第1絶縁構造物の平面模式図である。
図16は、
図15に示された第1絶縁構造物の側面模式図である。
図17は、
図13に示された電子機器を構成する第2絶縁構造物の側面模式図である。
【0065】
図13から
図17に示された電子機器は、基本的には
図9から
図12に示された電子機器と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、接続部材50の具体的な構成が
図9から
図12に示された電子機器と異なっている。すなわち、
図13から
図17に示された電子機器では、接続部材50が第1絶縁構造物17と第2絶縁構造物18とスペーサ31,32,33,34とを主に有する。第1絶縁構造物17は、実施の形態2における第1平板部161と上凸部16a、16b、16c、16dとが一体に形成された絶縁構造物である。第2絶縁構造物18は、実施の形態2における第2平板部162と下凸部16e、16f、16g、16hとが一体に形成された絶縁構造物である。
図13から
図17に示された電子機器では、スペーサ31,32,33,34が実施の形態2の中央部16i(
図10参照)に対応する。スペーサ31,32,33,34の構成は、実施の形態1に係る電子機器のスペーサ31,32,33,34の構成と同様である。スペーサ31,32,33,34と第1絶縁構造物17および第2絶縁構造物18との接続部の構成は実施の形態1におけるスペーサ31,32,33,34と絶縁板11,12との接続部の構成と同様である。
【0066】
第1絶縁構造物17は、第1絶縁板部分51と凸部17a、17b、17c、17dとを含む。第1絶縁構造物17における第1絶縁板部分51の平面形状は四角形状である。第1絶縁板部分51の四隅に凸部17a、17b、17c、17dが形成されている。凸部17a、17b、17c、17dは、第1絶縁板部分51の表面から回路基板1側に突出するように伸びている。凸部17a、17b、17c、17dの形状は任意の形状とできるが、たとえば四角柱状である。凸部17a、17b、17c、17dの形状は多角柱状でもよいし円柱状でもよい。
【0067】
第1絶縁構造物17および第2絶縁構造物18を構成する材料としては、絶縁性を有する材料であれば任意の材料を用いることができるが、たとえば樹脂材料を用いることができる。当該樹脂材料としては、たとえばABS樹脂、光硬化性のアクリル樹脂などを用いることができる。第1絶縁構造物17および第2絶縁構造物18は、たとえば金型を用いて作製することができる。
【0068】
図14から
図17に示すように、第1絶縁構造物17の凸部17a、17b、17c、17dには固定具としてのネジ711,712,713,714を挿通可能なネジ通し穴17aa、17bb、17cc、17ddが形成されている。また、第1絶縁構造物17において、凸部17a、17b、17c、17dより内側である中央部領域には、固定具としてのネジ731、732,733,734(
図14参照)を挿通可能なネジ通し穴311、312,313,314が形成されている。
【0069】
各ネジ通し穴311、312,313,314は、各凸部17a、17b、17c、17dより内側に形成されている。ネジ通し穴311から凸部17aまでの直線距離と、ネジ通し穴312から凸部17bまでの直線距離と、ネジ通し穴313から凸部17cまでの直線距離と、ネジ通し穴314から凸部17dまでの直線距離とは同じである。
【0070】
図14、
図16および
図17に示されるように、第2絶縁構造物18は、第1絶縁構造物17と同じ構成を備え、当該第1絶縁構造物17を180度反転したものである。
図15~
図17に示されるように、第2絶縁構造物18では第2絶縁板部分52の四隅に凸部18a、18b、18c、18dが形成されている。凸部18a、18b、18c、18dには、ネジである固定部材761、762,763,764(
図2および
図13参照)を挿通可能なネジ通し穴(挿通孔)が形成されている。
【0071】
また、第2絶縁構造物18において、凸部18a、18b、18c、18dより内側である中央部領域には、固定具としてのネジ741、742,743,744(
図14参照)を挿通可能な4つのネジ通し穴が形成されている。当該ネジ通し穴と凸部18a、18b、18c、18dとの位置関係は、第1絶縁構造物17におけるネジ通し穴311,312,313,314と凸部17a、17b、17c、17dとの関係と同様である。
【0072】
図13に示すように、回路基板1において電気電子部品6(または電気電子部品6が接続された金属配線パターン)とネジ713との間の距離を最短距離とし、当該距離を長さfとする。回路基板1と第1絶縁板部分51との距離、すなわち凸部17cの長さを長さaとする。凸部17cとスペーサ33との距離を長さbとする。第1絶縁板部分51と第2絶縁板部分52との距離、すなわちスペーサ33の長さを長さcとする。スペーサ33と凸部18cとの距離を長さdとする。第2絶縁板部分52と導電性筐体5との距離、すなわち凸部18cの長さを長さeとする。回路基板1の金属配線パターンから、凸部17cと、第1絶縁板部分51と、スペーサ33と、第2絶縁板部分52と、凸部18cとを経由して導電性筐体5までの最短沿面距離は長さ(f+a+b+c+d+e)となる。当該最短沿面距離を、規格により要求される沿面距離以上となるように本開示の電子機器の構成を決定することができる。さらに、
図13に示す電子機器の絶縁性能(耐電圧値)は、上述した最短沿面距離に比例する。つまり、上記最短沿面距離を長くすることで、電子機器の耐電圧値を高くすることができる。
【0073】
<作用>
本開示に係る電子機器は、導電性筐体5と、回路基板1と、接続部材50とを備える。回路基板1は、導電性筐体5と間隔を隔てて配置される。接続部材50は、導電性筐体5と回路基板1とを接続する。接続部材50は、第1絶縁板部分51と、第1接続部53としての凸部17a、17b、17c、17dと、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34とを含む。第1絶縁板部分51は、導電性筐体5と回路基板1との間に配置される。第1絶縁板部分51は、回路基板1に沿って延在する。第1絶縁板部分51は、導電性筐体5および回路基板1の双方から間隔を隔てて配置されている。第1接続部53としての凸部17a、17b、17c、17dは、第1絶縁板部分51を、回路基板1から間隔を隔てて位置決めするため、絶縁板11の回路基板1側の表面に接続される。第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34は、第1絶縁板部分51を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、第1絶縁板部分51の導電性筐体5側の表面に接続される。凸部17a、17b、17c、17dとスペーサ31,32,33,34とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置されている。
【0074】
上記電子機器において、接続部材50は、第2絶縁板部分52と、第3接続部55としての凸部18a、18b、18c、18dとを含む。第2絶縁板部分52は、導電性筐体5と第1絶縁板部分51との間に配置される。第2絶縁板部分52は、導電性筐体5および第1絶縁板部分51から間隔を隔てて配置される。第3接続部55としての凸部18a、18b、18c、18dは、第2絶縁板部分52を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、第2絶縁板部分52の導電性筐体5側の表面と導電性筐体5とを接続する。第1接続部53としての凸部17a、17b、17c、17dは、第1絶縁板部分51の回路基板1側の表面と回路基板1とを接続する。第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34は、第1絶縁板部分51の導電性筐体5側の表面と第2絶縁板部分52とを接続する。第3接続部55としての凸部18a、18b、18c、18dと第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置される。
【0075】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34は、第1接続部53としての凸部17a、17b、17c、17dおよび第3接続部55としての凸部18a、18b、18c、18dから見て回路基板1の中央部101側に位置する。
【0076】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第1接続部53としての凸部17a、17b、17c、17dと第3接続部55としての凸部18a、18b、18c、18dとが重なっている。
【0077】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34は、回路基板1と重なる位置に配置される。
【0078】
上記電子機器において、第1絶縁板部分51と第1接続部53としての凸部17a、17b、17c、17dとは一体に構成された第1絶縁構造物17である。第2絶縁板部分52と第3接続部55としての凸部18a、18b、18c、18dとは一体に構成された第2絶縁構造物18である。第1絶縁構造物17の形状と第2絶縁構造物18の形状とは同一であってもよい。
【0079】
上述した構成を有する電子機器では、実施の形態1に係る電子機器と同様の効果を得ることができる。また、回路基板1と導電性筐体5との間に、同じ構成を有する第1絶縁構造物17および第2絶縁構造物と、スペーサ31,32,33,34とを配置することで、実施の形態1における複数の部材からなる接続部材50と同様の機能を有する構造を実現できるので、電子機器の製造工程を簡略化できる。つまり、実施の形態1に係る電子機器の製造工程よりも、製造工程数を削減することで、電子機器の製造コストを低減できる。また、実施の形態1の電子機器における接続部材50よりも接続部材50の構成部品数を少なくしているので、実施の形態1の電子機器より接続部材50の剛性を高めることができる。このため、電子機器における回路基板1の固有振動数を高めることができ、結果的に回路基板1の耐振動性を向上させることができる。さらに、上述した第1絶縁構造物17および第2絶縁構造物18は同じ構成であるため同一の金型を用いて製造できる。そのため、接続部材50として形状の異なる複数の部材を用いる場合より、電子機器の製造コストを低減できる。また、第1絶縁構造物17および第2絶縁構造物18の構成は、実施の形態2における絶縁構造物16の構成より形状が単純であるため、作製に用いる金型の作成費を低減できる。
【0080】
実施の形態4.
<電子機器の構成>
図18は、実施の形態4に係る電子機器の断面模式図である。
図19は、
図18に示された電子機器の斜視模式図である。
図20は、
図18に示された電子機器を構成する第1絶縁板部分の平面模式図である。
図21は、
図18に示された電子機器を構成する第2絶縁板部分の平面模式図である。
【0081】
図18から
図21に示された電子機器は、基本的には
図1および
図2に示された電子機器と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、接続部材50の具体的な構成が
図1および
図2に示された電子機器と異なっている。すなわち、
図18から
図21に示された電子機器では、絶縁板11,12の平面視におけるサイズが回路基板1のサイズより大きくなっている。さらに、
図18および
図19に示されるように、
図2に示すスペーサに代えて支持物91,92,93,94,81,82,83,84,71,72,73,74が用いられている。さらに、
図19に示されるように、平面視における支持物91,92,93,94の位置と支持物71,72,73,74の位置とが異なっている。
【0082】
支持物91,92,93,94,81,82,83,84,71,72,73,74の材料および形状は、実施の形態1における電子機器のスペーサの材料および形状と同様であってもよい。支持物91,92,93,94,81,82,83,84,71,72,73,74の長さは実施の形態1におけるスペーサの長さより短くてもよい。
【0083】
図21に示すように、固定具としてのネジ751、752,753,754(
図2、
図19参照)を挿通可能なネジ通し穴231、231,233,234(挿通孔)が絶縁板12の四隅に形成されている。固定具としてのネジ741、742,743,744(
図2参照)を挿通可能なネジ通し穴321、232,233,324は、上述したネジ通し穴231、232,233,234から離れた絶縁板12の内側に形成されている。また、各ネジ通し穴321、322,323,324は、それぞれ各ネジ通し穴231、232,233,234から見て絶縁板12の内周側に配置されている。ネジ通し穴321からネジ通し穴231までの直線距離と、ネジ通し穴322からネジ通し穴232までの直線距離と、ネジ通し穴323からネジ通し穴233までの直線距離と、ネジ通し穴324からネジ通し穴234までの直線距離とは実質的に同じである。
図21に示された絶縁板12における上記直線距離は、
図5に示された絶縁板12において対応する直線距離より長い。
【0084】
図20に示すように、固定具としてのネジ721、722,723,724(
図19参照)を挿通可能なネジ通し穴221、222,223,224(挿通孔)が絶縁板11の四隅から離れた中央部寄りの領域に形成されている。固定具としてのネジ731、732,733,734(
図2参照)を挿通可能なネジ通し穴311、312,313,314は、上述したネジ通し穴221、222,223,224から離れた絶縁板11のさらに内側に形成されている。各ネジ通し穴311、312,313,314は、それぞれ各ネジ通し穴221、222,223,224から見て絶縁板11の内周側に配置されている。ネジ通し穴311からネジ通し穴221までの直線距離と、ネジ通し穴312からネジ通し穴222までの直線距離と、ネジ通し穴313からネジ通し穴223までの直線距離と、ネジ通し穴314からネジ通し穴224までの直線距離とは実質的に同じである。
【0085】
図18に示すように、回路基板1において電気電子部品6(または電気電子部品6が接続された金属配線パターン)とネジ713との間の距離を最短距離とし、当該距離を長さfとする。回路基板1と絶縁板11との距離、すなわち支持物93の長さを長さaとする。ネジ723と支持物83との距離を長さbとする。絶縁板11と絶縁板12との距離、すなわち支持物83の長さを長さcとする。支持物83とネジ753との距離を長さdとする。絶縁板12と導電性筐体5との距離、すなわち支持物73の長さを長さeとする。回路基板1の金属配線パターンから、支持物93と、絶縁板11と、支持物83と、絶縁板12と、支持物73とを経由して導電性筐体5までの最短沿面距離は長さ(f+a+b+c+d+e)となる。当該最短沿面距離を、規格により要求される沿面距離以上となるように本開示の電子機器の構成を決定することができる。さらに、
図18に示す電子機器の絶縁性能(耐電圧値)は、上述した最短沿面距離に比例する。つまり、上記最短沿面距離を長くすることで、電子機器の耐電圧値を高くすることができる。
【0086】
<作用>
上記電子機器において、接続部材50は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11と、第2絶縁板部分52としての絶縁板12と、第1接続部53としての支持物91,92,93,94と、第2接続部54としての支持物81,82,83,84と、第3接続部55としての支持物71,72,73,74とを含む。第2絶縁板部分52としての絶縁板12は、導電性筐体5と第1絶縁板部分51としての絶縁板11との間に配置される。第2絶縁板部分52としての絶縁板12は、導電性筐体5および第1絶縁板部分51としての絶縁板11から間隔を隔てて配置される。第3接続部55としての支持物71,72,73,74は、第2絶縁板部分52としての絶縁板12を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、第2絶縁板部分52としての絶縁板12の導電性筐体5側の表面と導電性筐体5とを接続する。第1接続部53としての支持物91,92,93,94は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の回路基板1側の表面と回路基板1とを接続する。第2接続部54としての支持物81,82,83,84は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の導電性筐体5側の表面と第2絶縁板部分52としての絶縁板12とを接続する。第3接続部55としての支持物71,72,73,74と第2接続部54としての支持物81,82,83,84とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置される。
【0087】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としての支持物81,82,83,84は、第1接続部53としての支持物91,92,93,94および第3接続部55としての支持物71,72,73,74から見て回路基板1の中央部101側に位置する。
【0088】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第1絶縁板部分51としての絶縁板11および第2絶縁板部分52としての絶縁板12の面積は回路基板1の面積より大きい。回路基板1側から見た平面視において、第3接続部55としての支持物71,72,73,74は、回路基板1と重ならない位置に配置される。
【0089】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としての支持物81,82,83,84は、回路基板1と重なる位置に配置される。
【0090】
上述した構成を有する電子機器では、実施の形態1に係る電子機器と同様の効果を得ることができる。さらに、上述した電子機器では、絶縁板11および絶縁板12の面積を回路基板1の面積より大きくすることで、
図18に示すように支持物83から支持物73までの距離である長さdを、実施の形態1のスペーサ33からスペーサ43までの距離である長さd(
図7参照)より長くすることができる。また、支持物93から支持物83までの距離である長さbを、実施の形態1のスペーサ23からスペーサ33までの距離である長さb(
図7参照)よりも長くすることができる。したがって、実施の形態1に用いられたスペーサ21、22,23,24、31,32,33,34,41,42,43,44を、当該スペースより短い長さを有する支持物91,92,93,94,81,82,83,84,71,72,73,74(
図18および
図19参照)に置換することができる。
【0091】
上記支持物としては、たとえばナットまたはワッシャを用いることができる。この結果、回路基板1と導電性筐体5との間の空間距離及び沿面距離を確保できる。また、絶縁板11と回路基板1との間、絶縁板11と絶縁板12との間、および絶縁板12と導電性筐体5との間にそれぞれ空気層が介在する。このため、特許文献1の構成において問題となるボイド放電または沿面放電の発生リスクを低減できる。さらに、沿面距離を確保するための余分な空間距離を削減することもできる。この結果、電子機器の小型化を図ることができる。
【0092】
さらに、平面視において、沿面距離を確保するための支持物71,72,73,74の位置と、支持物81,82,83,84の位置と、支持物91,92,93,94の位置とを互いに異ならせている。このため、電子機器における、回路基板1の固有振動数を高くすることができる。この結果、回路基板1の耐振動性を向上させることができる。
【0093】
実施の形態5.
<電子機器の構成>
図22は、実施の形態5に係る電子機器の断面模式図である。
図23は、
図22に示された電子機器の斜視模式図である。
図24は、
図22に示された電子機器を構成する第1絶縁板部分の平面模式図である。
図25は、
図22に示された電子機器を構成する導電性筐体の平面模式図である。
【0094】
図22から
図25に示された電子機器は、基本的には
図18から
図21に示された電子機器と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、接続部材50の具体的な構成が
図18から
図21に示された電子機器と異なっている。すなわち、
図22から
図25に示された電子機器では、接続部材50が絶縁板11と支持物91,92,93,94,81,82,83,84,85,86とを含み、
図18に示された絶縁板12を有していない。
図22から
図25に示された電子機器では,絶縁板11が支持物81,82,83,84,85,86を介して導電性筐体5に接続されている。
【0095】
図22および
図23に示されるように、回路基板1側から見た平面視において、支持物91,92,93,94よりも回路基板1の中央部101寄りに支持物81,82が配置されている。支持物81,82は、導電性筐体5とそれぞれ固定部材765,766によって固定されている。支持物81,82は、絶縁板11とそれぞれネジ755,756によって固定されている。当該平面視において、支持物91,92,93,94よりも回路基板1の中央部101と反対側に支持物83,84,85,86が配置されている。
【0096】
図22から
図24に示すように、固定具としてのネジ751,752,753,754を挿通可能な挿通孔であるネジ通し穴231、232,233,234(
図24参照)が絶縁板11の四隅に形成されている。絶縁板11において、挿通孔であるネジ通し穴235、236(
図24参照)は、ネジ通し穴231、232,233,234から離れ、絶縁板11の内側寄りの領域(たとえば平面視において回路基板1と重なる領域)に形成されている。支持物91,92,93,94に接続されるネジ721、722,723,724(
図2参照)を挿通可能なネジ通し穴251、252,253,254は、絶縁板11においてネジ通し穴231、232,233,234と、ネジ通し穴235,236との間に形成されている。
【0097】
図25に示されるように、導電性筐体5の適切な位置に支持物81,82,83,84,85,86(
図23参照)を固定するため、予めリベットなどの固定部材を差し込むための適合なサイズの穴241、242,243,244、322,324が形成される。支持物81,82,83,84,85,86を固定するための固定部材761、762,763,764,765,766(
図23参照)を穴241、242,243,244,322,324に差し込み、支持物81,82,83,84,85,86と当該固定部材761,762,763,764,765,766とを固定する。
【0098】
図22に示されるように、ネジ753とネジ723との最短距離(ネジ753と支持物93との最短距離)を長さbとする。また、ネジ723とネジ756との最短距離(支持物93と支持物82との最短距離)を長さeとする。このとき、長さeは長さbより長い。
【0099】
図22に示すように、回路基板1において電気電子部品6(または電気電子部品6が接続された金属配線パターン)とネジ713との間の距離を最短距離とし、当該距離を長さdとする。回路基板1と絶縁板11との距離、すなわち支持物93の長さを長さaとする。支持物85の長さを長さcとする。回路基板1の金属配線パターンから、支持物93と、絶縁板11と、支持物85とを経由して導電性筐体5までの最短沿面距離は長さ(d+a+b+c)となる。当該最短沿面距離を、規格により要求される沿面距離以上となるように本開示の電子機器の構成を決定することができる。さらに、
図22に示す電子機器の絶縁性能(耐電圧値)は、上述した最短沿面距離に比例する。つまり、上記最短沿面距離を長くすることで、電子機器の耐電圧値を高くすることができる。
【0100】
<作用>
本開示に係る電子機器は、導電性筐体5と、回路基板1と、接続部材50とを備える。回路基板1は、導電性筐体5と間隔を隔てて配置される。接続部材50は、導電性筐体5と回路基板1とを接続する。接続部材50は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11と、第1接続部53としての支持物91,92,93,94と、第2接続部54としての支持物81,82とを含む。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、導電性筐体5と回路基板1との間に配置される。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、回路基板1に沿って延在する。第1絶縁板部分51としての絶縁板11は、導電性筐体5および回路基板1の双方から間隔を隔てて配置されている。第1接続部53としての支持物91,92,93,94は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11を、回路基板1から間隔を隔てて位置決めするため、絶縁板11の回路基板1側の表面に接続される。第2接続部54としての支持物81,82は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11を、導電性筐体5から間隔を隔てて位置決めするため、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の導電性筐体5側の表面に接続される。第1接続部53としての支持物91,92,93,94と第2接続部54としての支持物81,82とは、回路基板1側から見た平面視において異なる位置に配置されている。
【0101】
上記電子機器において、接続部材50は、第3接続部55としての支持物83,84,85,86を含んでいてもよい。第3接続部55としての支持物83,84,85,86は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の導電性筐体5側の表面と導電性筐体5とを接続する。第1接続部53としての支持物91,92,93,94は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の回路基板1側の表面と回路基板1とを接続する。第2接続部54としての支持物81,82は、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の導電性筐体5側の表面と導電性筐体5とを接続する。回路基板1側から見た平面視において、第1絶縁板部分51としての絶縁板11の面積は回路基板1の面積より大きい。回路基板1側から見た平面視において、第3接続部55としての支持物83,84,85,86は、回路基板1と重ならない位置に配置されている。
【0102】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としての支持物81,82は、第1接続部53としての支持物91,92,93,94および第3接続部55としての支持物83,84,85,86から見て回路基板1の中央部101側に位置する。
【0103】
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としての支持物81,82は、回路基板1と重なる位置に配置される。
【0104】
上述した構成を有する電子機器では、実施の形態4に係る電子機器と同様の効果を得ることができる。さらに、上述した電子機器では、絶縁板11の面積を回路基板1の面積より大きくすることで、
図22に示すように支持物93から支持物85までの距離である長さbを、実施の形態1のスペーサ23からスペーサ33までの距離である長さb(
図7参照)より十分に長くすることができる。したがって、実施の形態1に用いられたスペーサ21、22,23,24、31,32,33,34,41,42,43,44を、当該スペー
サより短い長さを有する支持物91,92,93,94,81,82,83,84,85,86(
図22および
図23参照)に置換することができる。また、実施の形態4に係る電子機器と同様に、回路基板1と導電性筐体5との間の空間距離及び沿面距離を確保できるとともに電子機器を小型化できる。
【0105】
さらに、平面視において、沿面距離を確保するための支持物81,82,83,84、85,86の位置と、支持物91,92,93,94の位置とを互いに異ならせている。このため、電子機器における、回路基板1の固有振動数を高くすることができる。この結果、回路基板1の耐振動性を向上させることができる。
【0106】
実施の形態6.
<電子機器の構成>
図26は、実施の形態6に係る電子機器の斜視模式図である。
図26に示された電子機器は、基本的には
図1および
図2に示された電子機器と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、回路基板1の構成が
図1および
図2に示された電子機器と異なっている。すなわち、
図26に示された電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34と重なる回路基板1の領域に、貫通穴801が形成されている。当該貫通穴801を介して、後述するように絶縁板11をスペーサ31,32,33,34と接続するためのネジ731,732,733,734を容易に操作することができる。貫通穴801のサイズは、上記ネジ731,732,733,734を操作する工具(たとえばドライバなど)が貫通穴801に挿入できればよく、任意に設定できる。
【0107】
<電子機器の製造方法>
図27および
図28は、
図26に示された電子機器の製造方法を説明するための模式図である。
図26に示された電子機器の製造方法では、予め電子機器を構成する部品を接続した複数の組立体を準備する工程を実施する。具体的には、
図27に示されるように、回路基板1と絶縁板11がスペーサ21,22,23,24を介して接続された第1組立体を準備する。また、
図28に示されるように、導電性筐体5と絶縁板12とがスペーサ41,42,43,44を介して接続された第2組立体も準備する。第2組立体では、絶縁板12にスペーサ31,32,33,34が固定されている。スペーサ21,22,23,24と回路基板1および絶縁板との接続方法は
図1および
図2に示された電子機器における当該接続方法と同様である。また、スペーサ41,42,43,44と導電性筐体5および絶縁板12との接続方法も、
図1および
図2に示された電子機器における当該接続方法と同様である。スペーサ31,32,33,34の一端と絶縁板12との接続方法も、
図1および
図2に示された電子機器における当該接続方法と同様である。
【0108】
次に、第1組立体と第2組立体とを接続する工程を実施する。具体的には、第1組立体の絶縁板11と第2組立体のスペーサ31,32,33,34とをネジ731,732,733,734により接続する。このとき、回路基板1の貫通穴801にドライバなどの工具を挿入して、当該工具によりネジ731,732,733,734を容易に操作できる。このようして、第1組立体と第2組立体とを結合する。この結果、
図26に示される電子機器が得られる。
【0109】
ここで、
図1および
図2に示された電子機器の製造方法では、導電性筐体5上にスペーサ41,42,43,44を介して絶縁板12を固定し、さらに絶縁板12上にスペーサ31,32,33,34を介して絶縁板11を固定し、さらに絶縁板11上にスペーサ21,22,23,24を介して回路基板1を固定する、という工程を実施する。一方で、電子機器の製造工程では、製造コスト低減の観点から作業時間を短縮することが求められる。そして、上述した
図1および
図2に示された電子機器の製造方法では、各工程を順次実施する必要があるため作業時間の短縮には限界がある。
【0110】
一方、上述した
図26に示された電子機器の製造方法では、予め複数の部材が接続された第1組立体および第2組立体を並行して準備しておくことができる。さらに、第1組立体と第2組立体とをスペーサ31,32,33,34を介して接続することで、電子機器を製造できる。このように、電子機器を構成する複数の組立体を予め準備できるので、電子機器の製造に要する作業時間を短縮できる。
【0111】
<作用>
上記電子機器では、回路基板1側から見た平面視において、回路基板1における第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34と重なる領域に貫通穴801が形成されている。この場合、回路基板1と絶縁板11とがスペーサ21,22,23,24を介して接続された第1組立体となった状態で、絶縁板11と他の部材である絶縁板12とを接続するネジ731,732,733,734をドライバなどの工具により操作することができる。このため、電子機器の製造工程に要する作業時間を短縮できる。たとえば、上述のように予め回路基板1と絶縁板11とを接続した第1組立体と、導電性筐体5とスペーサ31,32,33,34が固定された絶縁板12とを接続した第2組立体とを準備する。第1組立体の絶縁板11と第2組立体のスペーサ31,32,33,34とをネジ731,732,733,734により接続する。このように予め複数の部品を組み合わせた第1組立体および第2組立体を準備しておくことで、各部品を順番に接続するような製造工程よりも短い作業時間で電子機器を製造できる。
【0112】
なお、上述した回路基板1に貫通穴801を形成した構成は、実施の形態3~実施の形態5に適用してもよい。この場合も、上述した回路基板1と同様の効果を得ることができる。
【0113】
実施の形態7.
<電子機器の構成>
図29は、実施の形態7に係る電子機器の斜視模式図である。
図30は、
図29に示された電子機器の構成を説明するための模式図である。
図30は、
図29に示された電子機器における絶縁板11の平面模式図である。
【0114】
図29および
図30に示された電子機器は、基本的には
図1および
図2に示された電子機器と同様の構成を備えるが、絶縁板11,12の構成が
図1および
図2に示された電子機器と異なっている。すなわち、
図29および
図30に示された電子機器では、絶縁板11,12にそれぞれスリット802,803が形成されている。
【0115】
図30に示されるように、絶縁板11において、中央部のネジ通し穴311,312,313,314を囲むようにスリット802が形成されている。スリット802は絶縁板11のネジ通し穴311,312,313,314を挟んで対向するように2つ形成されている。スリット802の平面形状はU字状である。第1のスリット802は、中央部のネジ通し穴311,313と、絶縁板11の外周部に形成されたネジ通し穴221,223との間に形成されている。第2のスリット802は、中央部のネジ通し穴312,314と、絶縁板11の外周部に形成されたネジ通し穴222,224との間に形成されている。ネジ通し穴221,222,223,224には、それぞれ第1接続部53としてのスペーサ21,22,23,24が接続される。ネジ通し穴311,312,313,314には、それぞれ第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34が接続される。
【0116】
図29に示された電子機器の絶縁板12におけるスリット803の位置および構成は、基本的に
図30に示された絶縁板11におけるスリット802の位置および構成と同様である。すなわち、絶縁板12において、中央部のネジ通し穴321,322,323,324(
図5参照)を囲むようにスリット803が形成されている。スリット803は絶縁板12のネジ通し穴321,322,323,324を挟んで対向するように2つ形成されている。スリット803の平面形状はU字状である。第1のスリット803は、中央部のネジ通し穴321,323と、絶縁板12の外周部に形成されたネジ通し穴231,233(
図5参照)との間に形成されている。第2のスリット803は、中央部のネジ通し穴322,324(
図5参照)と、絶縁板12の外周部に形成されたネジ通し穴232,234との間に形成されている。ネジ通し穴231,232,233,234には、それぞれ第3接続部55としてのスペーサ41,42,43,44が接続される。ネジ通し穴321,322,323,324には、それぞれ第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34が接続される。
【0117】
なお、スリット802,803は、平面形状がU字状とされているが、他の任意の形状を採用してもよい。たとえば、スリット802,803の平面形状として、円弧状、直線状といった任意の形状を採用できる。また、スリット802,803として、絶縁板11,12の中央部から外周部に向かう方向において複数並ぶスリットを用いてもよい。また、
図29に示された電子機器では、絶縁板11,12のそれぞれにスリット802,803が形成されているが、絶縁板11のみにスリット802を形成してもよいし、絶縁板12のみにスリット803を形成してもよい。また、
図29に示された電子機器において、
図26に示された電子機器と同様に回路基板1に貫通穴801(
図26参照)を形成してもよい。
【0118】
<作用>
上記電子機器では、第1絶縁板部分51としての絶縁板11において、前記第1接続部が接続された位置と前記第2接続部が接続された位置との間の領域にスリット802が形成されている。また、第2絶縁板部分52としての絶縁板12において、第2接続部54としてのスペーサ31,32,33,34が接続された位置と、第3接続部55としてのスペーサ41,42,43,44が接続された位置との間の領域にスリット803が形成されている。
【0119】
この場合、スリット802が形成されることで、絶縁板11におけるスペーサ21,22,23,24が接続された位置から、スペーサ31,32,33,34が接続された位置までの沿面距離を規定する経路がスリット802を迂回することになる。このため、絶縁板11における沿面距離をスリット802が無い場合よりも長くすることができる。
【0120】
また、絶縁板12においても、スリット803が形成されることで、絶縁板12におけるスペーサ31,32,33,34が接続された位置から、スペーサ41,42,43,44が接続された位置までの沿面距離を規定する経路がスリット803を迂回することになる。このため、絶縁板12における沿面距離をスリット803が無い場合よりも長くすることができる。
【0121】
このため、電子機器のサイズを大きくすることなく、電子機器の絶縁耐性を向上させることができる。
【0122】
絶縁板11において、2つのスリット802の間の距離を小さくしてもよい。すなわち、
図30に示される絶縁板11において、スリット802の端部はネジ穴311,312,313,314よりも絶縁板11の中央部寄りに配置されることが好ましい。たとえば、スリット802におけるネジ穴311からネジ穴211に向かう方向(
図30の左右方向)でのスリット802の長さを十分長くすることで、スリット802の端部がネジ穴311,312,313,314より絶縁板11の中央よりに配置される。
【0123】
つまり、スペーサ21,23とスペーサ31,33との間の領域に形成されたスリット802の端部と、スペーサ21,23およびスペーサ31,33との間の距離を大きくすることで、スペーサ21,23が接続された位置からスペーサ31,33が接続された位置までの沿面距離を大きくすることができる。また、スペーサ22,24とスペーサ32,34との間の領域に形成されたスリット802の端部と、スペーサ22,24およびスペーサ32,34との間の距離を大きくすることで、スペーサ22,24が接続された位置からスペーサ32,34が接続された位置までの沿面距離を大きくすることができる。
【0124】
このため、
図29および
図30に示された電子機器では、スリット802を挟んで配置されたネジ穴311とネジ穴221とが、スリット802の端部から離れた位置に配置されればよく、ネジ穴311とネジ穴221との間の距離自体はむしろ小さくしてもよい。たとえば、中央よりのネジ穴311を、絶縁板11の端部に位置するネジ穴221に近づけるように配置してもよい。この場合、ネジ穴221(スペーサ21が接続された位置)からネジ穴311(スペーサ31が接続された位置)までの沿面距離をさらに長くすることができる。また、この場合、絶縁板11を絶縁板12に固定するスペーサ31,32,33,34の位置を絶縁板11の外周側に近づけることができるので、電子機器の剛性を向上させることができる。なお、上述したスリット802の構成は、絶縁板12のスリット803に対しても適用できる。
【0125】
なお、2つのスリット802の間の距離は、絶縁板11の強度を確保する観点から、絶縁板11の辺(2つのスリット802が並ぶ方向に沿った辺であって、
図30の左右方向に延びる辺)の長さの1/6以上としておくことが好ましい。また、スリット802,803の幅は、回路基板1に印加される電圧および私用する絶縁板11,12の大きさ、厚みにもよるが、たとえば0.5mm以上5mm以下とすることができる。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0127】
1,1001 回路基板、5,1005 導電性筐体、6,1006 電気電子部品、11,12 絶縁板、16 絶縁構造物、16a,16b,16c,16d 上凸部、16e,16f,16g,16h 下凸部、16i,101 中央部、17 第1絶縁構造物、17a,17b,17c,17d 凸部、18 第2絶縁構造物、18a,18b,18c,18d 凸部、16aa,16bb,17aa,211,212,213,214,221,222,223,224,231,232,233,234,235,236,251,311,312,313,314,321,322,323,324 ネジ通し穴、21,22,23,24,31,32,33,34,41,42,43,44,1020 スペーサ、50 接続部材、51 第1絶縁板部分、52 第2絶縁板部分、53 第1接続部、54 第2接続部、55 第3接続部、71,72,73,74,81,82,83,84,85,86,91,92,93,94 支持物、161 第1平板部、161a,161b,162a,162b 延在部、162 第2平板部、241,242,243,244 穴、711,712,713,714,721,723,731,741,742,743,744,751,752,753,754,755,756 ネジ、761,762,763,764,765,766 固定部材、801 貫通穴、 802,803 スリット。