IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特許7566126リチウム電極及びこれを含むリチウム二次電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】リチウム電極及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20241004BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20241004BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241004BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241004BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20241004BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241004BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/58
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
H01M4/1395
H01M10/052
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023502840
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 KR2022006532
(87)【国際公開番号】W WO2022255672
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0071605
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミョンソン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユンジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キヒョン・キム
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2019-0117275(KR,A)
【文献】特表2020-535241(JP,A)
【文献】特開2020-013731(JP,A)
【文献】QIULI YANG ET AL.,PIM-1 as an artificial solid electrolyte interphase for stable lithium metal anode in high-performance batteries,JOURNAL OF ENERGY CHEMISTRY,2020年,Vol.42,PP.83-90
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム金属層;及び前記リチウム金属層の少なくとも一面に形成された保護層を含むリチウム電極であって、
前記保護層は2次元型素材及び内在的気孔性高分子からなり、
前記内在的気孔性高分子は、下記化学式1
【化1】
で表される反復構造を含む、リチウム電極。
【請求項2】
前記2次元型素材は、グラフェン、酸化グラフェン、二硫化モリブデン、六方晶系窒化ホウ素及びグラファイト型窒化炭素からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項3】
前記2次元型素材は、酸化グラフェン及びグラファイト型窒化炭素からなる群から選択される1種以上を含む、請求項2に記載のリチウム電極。
【請求項4】
前記2次元型素材と内在的気孔性高分子の重量比は1:1ないし1:20である、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項5】
前記保護層の厚さは0.1以上5μm未満である、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項6】
前記リチウム金属層の厚さは20μmないし200μmである、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項7】
(a)第1溶媒に2次元型素材を分散させて第1溶液を製造する段階;
(b)第2溶媒に内在的気孔性高分子を溶解させて第2溶液を製造する段階;
(c)前記第1溶液と第2溶液とを混合してコーティング液を製造する段階;及び
(d)前記コーティング液をリチウム金属層の少なくとも一面に塗布する段階;を含む、請求項1に記載のリチウム電極の製造方法。
【請求項8】
前記第1溶媒及び第2溶媒は、同一であるか、又は異なって、テトラヒドロフラン、トルエン、シクロヘキサン、N‐メチル‐2‐ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド及びトリエチルホスフェートからなる群から選択される1種以上を含む、請求項に記載のリチウム電極の製造方法。
【請求項9】
正極活物質を含む正極;
請求項1に記載のリチウム電極を含む負極;及び
前記正極と負極との間に介在される電解質を含むリチウム二次電池。
【請求項10】
前記正極活物質は硫黄を含む化合物を含む、請求項に記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
前記リチウム二次電池はリチウム‐硫黄電池である、請求項10に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年6月2日付韓国特許出願第10‐2021‐0071605号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として組み込む。
【0002】
本発明はリチウム電極及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウム二次電池の活用範囲が携帯用電子機器及び通信機器だけでなく電気自動車(electric vehicle;EV)、電力貯蔵装置(electric storage system;ESS)にまで拡大され、これらの電源で使用されるリチウム二次電池の高容量化及び高エネルギー密度化に対する要求が高くなっている。
【0004】
従来のリチウム二次電池は、負極にグラファイト、正極にリチウムコバルト酸化物(Lithium Cobalt Oxide;LCO)を使って700Wh/kg水準のエネルギー密度を持っている。しかし、前述したように、最近高いエネルギー密度を持つリチウム二次電池を必要とする分野が拡大されていて、リチウム二次電池のエネルギー密度を増加させなければならない必要性が持続的に提起されている。例えば、電気自動車の1回充電時の走行距離を500km以上に延ばすためにもエネルギー密度の増加が必要である。
【0005】
リチウム二次電池のエネルギー密度を高めるために、リチウム金属を含むリチウム電極の使用が増加している。具体的に、リチウム金属は理論比容量が3,860mAh/gで非常に高いだけでなく標準還元電位(Standard Hydrogen Electrode;SHE)も‐3.045Vで非常に低くて高容量、高エネルギー密度の電池具現が可能な利点がある。
【0006】
しかし、リチウム金属は反応性が大きくて扱いにくい金属であって、工程で扱いにくい問題がある。また、リチウム二次電池の負極でリチウム電極を使用する場合、リチウム金属は電解質、水または電池内の不純物、リチウム塩などと容易に反応して表面に不働態被膜(passivation layer)の一種である固体電解質界面層(solid electrolyte interface layer;SEI layer)を形成する。このような不働態被膜は局所上の電流密度の差をもたらして、充電の際にリチウム金属による樹状のデンドライト形成を促進させ、充・放電が進行されることによって徐々に成長し、正極と負極の間の内部段落を誘発する。また、デンドライトは機械的に弱い部分(bottle neck)を持っていて放電中に集電体と電気的接触を失う不活性リチウム(dead lithium)を形成することで電池容量を減少させ、サイクル寿命を短縮させて電池の安定性によくない影響を及ぼす。
【0007】
このようなリチウム電極の問題点を改善するために、多様な組成または形態を持つ保護層が形成されたリチウム電極が研究されている。
【0008】
一例として、韓国公開特許第2018‐0041086号は、リチウム金属負極にフッ化炭素またはフッ化金属とPVdF系樹脂を含むスラリーを塗布して形成された保護層に関する。前記組成を含む保護層が形成されたリチウム金属負極はデンドライトの形成を防ぐことができるが、電池性能向上のために充・放電の際にリチウム金属の均一なプレイティング(plating)とストリッピング(stripping)が行われるように負極の表面で均一なリチウムイオン分布及び効果的な固体電解質界面層形成が円滑にならない問題がある。
【0009】
また、韓国公開特許第2016‐0052351号はリチウム金属電極の表面に形成された高分子保護膜にリチウムデンドライト吸水性物質を含むことでリチウムデンドライトの成長を抑制し、リチウム二次電池の安定性及び寿命特性を改善することができることを開示している。しかし、前記高分子保護膜によって電極表面で均一なリチウムイオンの分布が難しく、リチウム‐硫黄電池への適用が難しい実情である。
【0010】
これに加え、Qiuli Yang et al.及びGi Hyeon Moon et al.は、リチウム金属負極上に高分子構造内で固有気孔を持つ内在的気孔性高分子(Polymers of Intrinsic Microporosity;PIM)で保護膜を形成することで、リチウム金属負極表面におけるリチウムイオン分布を均一にさせ、デンドライト形成を抑制することができることを開示している。しかし、前記リチウム金属の負極上に形成された保護膜が内在的気孔性高分子のみを含む場合、内在的気孔性高分子に含まれた気孔を通じたリチウムイオンの移動のみが可能であるため、リチウムイオンの伝導性が低下されて充・放電過程中に大きい過電圧が発生する問題がある。
【0011】
このように、今まではリチウム電極を負極で使用する電池において、リチウム金属のデンドライト成長を防ぐために保護層開発に対する多くの研究が行われてきたが、電池の全般的な性能向上をできるようにする保護層に対する研究成果は充分ではない実情である。したがって、リチウム電極上のデンドライト生成を防いで高容量及び高エネルギー密度及び長寿命のリチウム二次電池を具現することができるリチウム電極に対する開発が依然として必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国公開特許第2018‐0041086号(2018年04月23日)、リチウムイオン二次電池用負極及びこれを製造する方法
【文献】韓国公開特許第2016‐0052351号(2016年05月12日)、安定した保護層を持つリチウム金属電極及びこれを含むリチウム二次電池
【非特許文献】
【0013】
【文献】Qiuli Yang et al.、PIM‐1 as an artificial solid electrolyte interphase for stable lithium metal anode in high‐performance batteries、Journal of Energy Chemistry 2020、42、83‐90
【文献】Gi Hyeon Moon et al.、An artificial solid interphase with polymers of intrinsic microporosity for highly stable Li metal anodes、Chemical Communications 2019、55、6313‐6316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここで、本発明者らは前記問題を解決するために多角的に研究した結果、リチウム電極に2次元型素材と内在的気孔性高分子を一緒に含む保護層を形成する場合、デンドライトの形成を防ぐと同時に、優れるリチウムイオン伝達特性を示して、これを含む電池性能を向上させることができることを確認して本発明を完成した。
【0015】
したがって、本発明の目的はデンドライトの生成を抑制してリチウムイオン伝達特性を持ってリチウム二次電池の寿命特性を改善させることができる保護層が形成されたリチウム電極を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は前記リチウム電極を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、
本発明は、リチウム金属層;及び前記リチウム金属層の少なくとも一面に形成された保護層を含むリチウム電極であって、
前記保護層は2次元型素材及び内在的気孔性高分子を含むリチウム電極を提供する。
【0018】
また、本発明は、
(a)第1溶媒に2次元型素材を分散させて第1溶液を製造する段階;
(b)第2溶媒に内在的気孔性高分子を溶解させて第2溶液を製造する段階;
(c)前記第1溶液と第2溶液とを混合してコーティング液を製造する段階;及び
(d)前記コーティング液をリチウム金属層の少なくとも一面に塗布する段階;を含むリチウム電極の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明は前記リチウム電極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による保護層は、2次元型素材と内在的気孔性高分子を一緒に含んでデンドライト形成に効果的であるうえ、優れるリチウムイオン伝達特性を示すことができ、これを含むリチウム二次電池の寿命を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1ないし4及び比較例1で使用したリチウム電極の表面を示す写真である((a):実施例1、(b):実施例2、(c):実施例3、(d):実施例4、(e):比較例1)。
図2】実施例1ないし4によるリチウム電極の表面を走査電子顕微鏡で撮影した写真である。
図3】実験例2によるリチウム‐硫黄電池の寿命特性評価結果を示すグラフである。
図4】実験例2によるリチウム‐硫黄電池の容量維持率評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0023】
本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味で限定して解釈されてならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0024】
本発明で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に違うことを意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「持つ」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0025】
リチウム二次電池の負極でリチウム金属を含むリチウム電極を利用する場合、次のような問題が発生する。
【0026】
第一、リチウム金属は反応性が高く、機械的強度が弱いため、取り扱いが難しい。
【0027】
第二、リチウム金属は電解質や水、電池内の不純物、リチウム塩などと反応してリチウム金属表面に不働態被膜である固体電解質界面層(SEI layer)を形成するようになって、このような固体電解質界面層は局所的な電流密度の差をもたらして樹状のデンドライトを形成させる。また、このように形成されたデンドライトは成長して電池内部短絡を起こし、不活性リチウムを形成することで電池の性能が劣化されるか爆発する現象を引き起こすようになる。
【0028】
第三、正極が硫黄系列物質を含む場合、正極から湧出されたリチウムポリスルフィド(lithium polysulfide、Li、x=8、6、4、2)はリチウム金属と副反応を起こしてリチウム金属表面にリチウムスルフィド(lithium sulfide、LiS)が固着されることで、リチウム電極を不動化させることでリチウム電極の電気化学的反応性が低下される問題が発生する。
【0029】
このため、従来技術では幾つかの素材でリチウム金属上に保護層を形成したが、デンドライト生成問題が効果的に改善されず、電池の容量及び寿命特性だけでなく駆動安定性を低下させる問題が発生する。
【0030】
ここで、本発明ではリチウム金属表面に2次元型素材及び内在的気孔性高分子(Polymers of Intrinsic Microporosity;PIM)を含む保護層を形成することで、デンドライトの形成を防いで、リチウムイオンの伝達特性を改善させることによって容量、寿命及び駆動安定性に優れるリチウム二次電池を具現することができるリチウム電極を提供する。
【0031】
具体的に、本発明によるリチウム電極はリチウム金属層;及び前記リチウム金属層の少なくとも一面に形成された保護層を含み、前記保護層は2次元型素材及び内在的気孔性高分子を含む。
【0032】
特に、本発明による保護層は内在的多孔性高分子と2次元型素材を一緒に含むことでデンドライトの生成を抑制すると同時に、一定水準以上のリチウムイオン伝導性を確保することができる。このような内在的多孔性高分子は内部に微細気孔(micropore)を含んでいて均一なリチウムイオンチャンネルを提供することができるので、デンドライトの成長を抑制するためのリチウム電極の保護層として使用することは従来の技術として既に知られている。しかし、従来技術の場合、満足なデンドライト生成防止効果を確保することができないうえ、リチウム電極の保護層が内在的気孔性高分子のみを含む場合、内在的多孔性高分子に含まれた微細気孔を通じたリチウムイオンの移動のみが可能であるため、リチウム電極自体のリチウムイオンの伝導性が低下され、充・放電過程中に大きい過電圧が発生して電池の全般的な性能に悪影響を及ぼす問題点があった。一方、前述したように、本発明では内在的多孔性高分子と2次元型素材を同時に含む保護層をリチウム金属層上に導入することでリチウム金属層上のリチウムイオンの分布を均一にさせてデンドライト生成を抑制し、優れるリチウムイオン伝達特性を一緒に得ることができ、これを含むリチウム二次電池の容量及び寿命特性を向上させることができる。
【0033】
本発明において、前記リチウム金属層はリチウム金属を含むもので、ホイル(foil)またはシート(sheet)形態のリチウム金属薄膜またはリチウム金属が粒子形態で集まったリチウム金属粉末を含むことができる。また、前記リチウム金属層は集電体の少なくとも一面にリチウム金属薄膜が形成されたリチウム板金形態であってもよい。
【0034】
前記集電体はリチウム金属層を支持するためのもので、リチウム二次電池に化学的変化を引き起こさずに高い導電性を持つものであれば、特に制限されるものではない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金などが使われることができる。
【0035】
前記集電体はその表面に微細な凹凸を形成してリチウム金属との結合力を強化させることができ、フィルム、シート、ホイル、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態を使用することができる。
【0036】
前記集電体上にリチウム金属薄膜を形成する方法は特に制限されず、当業界で通常使われる層または膜の形成方法を利用することができる。例えば、圧搾、コーティング、蒸着などの方法を利用することができる。
【0037】
前述したように、前記リチウム金属層がリチウム金属薄膜が集電体の一面に形成された場合、前記リチウム金属薄膜が集電体と接する表面を除いて、前記リチウム金属薄膜の全体表面に後述する保護層が形成されることができる。
【0038】
また、前記集電体が多孔性集電体の場合、前記多孔性集電体内の気孔にリチウム金属が含まれることができ、この時、前記多孔性集電体と連結されて外部へ延在された端子を除いて前記多孔性集電体の全体表面に後述する保護層が備えられることができる。
【0039】
前記リチウム金属層の厚さは20ないし200μm、好ましくは25ないし100μm、より好ましくは30ないし80μmである。前記リチウム金属層の厚さが前記範囲未満の場合、電池の容量と寿命特性が低下されることがあって、これと逆に前記範囲を超える場合、リチウム電極の厚さが厚くなって商用化に不利である。
【0040】
本発明において、前記保護層は2次元型素材及び内在的気孔性高分子を含む。
【0041】
前記2次元型素材は原子が単一原子層の厚さを持って2次元平面で結晶構造を成す物質として厚みを持つ板、プレート、フレーク、シートなどの形状を持ち、電気的特性によって導体、半導体、不導体に分類することができる。前記2次元型素材はリチウム金属上に形成される保護層のリチウムイオン伝達ナンバー(Li ion transfer number)を極大化することで、保護層のリチウムイオン伝達特性を向上させるだけでなく保護層の機械的強度を高める役目をする。
【0042】
前記2次元型素材は、グラフェン(graphene)、酸化グラフェン(graphene oxide;GO)、遷移金属カルコゲン化合物(transition metal dichalcogenides)、六方晶系窒化ホウ素(hexagonal boron nitride;h‐BN)及びグラファイト型窒化炭素(graphitic carbon nitride;g‐C)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。前記遷移金属カルコゲン化合物は、タングステン(W)やモリブデン(Mo)のような遷移金属元素と硫黄(S)のようなカルコには元素の結合からなる2次元層状構造を持つ化合物であって、具体的に、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タングステン(WS)などである。好ましくは、前記2次元型素材は酸化グラフェン及びグラファイト型窒化炭素からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0043】
前記内在的気孔性高分子(Polymers of Intrinsic Microporosity;PIM)は非常に強直であるが、拗くれた構造の骨格を持つことで強い分子間の相互作用を通じて高分子鎖の配列を邪魔し、作用基らの連結によって形成された自由体積を形成して構造内に微細多孔性(microporosity)がもたらされる高分子である。これによって、前記内在的気孔性高分子は2nm未満の微細気孔(micropore)を含み、このような微細気孔から形成された300m/g以上の非常に高い比表面積を持つ。
【0044】
前記内在的気孔性高分子は、前述したように、微細多孔性構造を持つことによってリチウム電極の保護層で適用する時、均一なリチウムイオンチャンネルを形成してリチウム金属層表面での電流密度分布を均一化することでデンドライト形成を抑制する役目をする。
【0045】
具体的に、前記内在的気孔性高分子は下記化学式1で表される反復構造を含む高分子(PIM‐1)である:
【0046】
【化1】
【0047】
前記化学式1で表される反復構造を含む高分子(PIM‐1)の重量平均分子量(Mw)は1,000ないし100,000g/mol、好ましくは3,000ないし60,000g/mol、より好ましくは5,000ないし50,000g/molである。
【0048】
前記保護層で前記2次元型素材と内在的気孔性高分子は1:1ないし1:20、好ましくは1:5ないし1:18、より好ましくは1:7ないし1:12の重量比で含むことができる。本発明において、前記重量比は「2次元型素材の重量%」:「内在的気孔性高分子の重量%」の比に対応する。前記2次元型素材と内在的気孔性高分子の重量比が前述した範囲に該当する場合、デンドライトの生成抑制効果が優秀でありながらも優れるリチウムイオンの伝導特性を示すことができる。前記2次元型素材と内在的気孔性高分子の重量比が前記範囲未満の場合、コーティング不均衡が発生して電池性能が低下されることがあるし、これと逆に前記範囲を超える場合、抵抗が増加する問題が発生することがある。
【0049】
前記保護層の厚さは0.1ないし5μm未満、好ましくは0.2ないし3μm、より好ましくは0.5ないし1.5μmである。前記保護層は目的とする電池の性能を考慮して適切な厚さで形成することができる。前記保護層の厚さが前記範囲未満の場合、保護層として目的とした機能を遂行できない恐れがあって、これと逆に前記範囲を超える場合、過電圧によって電池の容量が減少し、高率での電池駆動が不可能な問題が発生することがある。
【0050】
前述した組成を含む本発明による保護層のリチウムイオン伝導度は10‐20ないし10‐4S/cm、好ましくは10‐10ないし10‐5S/cm範囲であってもよい。本発明によるリチウム電極は前記2次元型素材及び内在的気孔性高分子を含む保護層を含むことで、従来内在的気孔性高分子のみからなる保護層を含むリチウム電極に比べて優れるリチウムイオンの伝導特性を示すことができる。
【0051】
また、本発明による保護層が形成されたリチウム電極の電解質内での表面抵抗は50ないし300Ω、好ましくは100ないし200Ω、より好ましくは120ないし150Ωであって、1ないし72時間、好ましくは24ないし65時間、より好ましくは36ないし60時間抵抗の変化がない。これは、前記2次元型素材及び内在的気孔性高分子を含む保護層が電解質と反応せずに安定した状態で維持されることを意味する。
【0052】
本発明において、前記リチウム電極の製造方法は特に限定されず、通常の技術者によって公知された方法またはこれを変形する多様な方法が利用可能である。
【0053】
一例として、前記リチウム電極の製造方法は、
(a)第1溶媒に2次元型素材を分散させて第1溶液を製造する段階;
(b)第2溶媒に内在的気孔性高分子を溶解させて第2溶液を製造する段階;
(c)前記第1溶液と第2溶液とを混合してコーティング液を製造する段階;及び
(d)前記コーティング液をリチウム金属層の少なくとも一面に塗布する段階を含むことができる。
【0054】
前記2次元型素材及び内在的気孔性高分子の具体的な例は前述したとおりである。
【0055】
前記コーティング液を製造する時使用する第1溶媒及び第2溶媒は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、トルエン(toluene)、シクロヘキサン(cyclohexane)、N‐メチル‐2‐ピロリドン(N‐methyl‐2‐pyrrolidone;NMP)、ジメチルホルムアミド(dimethyl formamide;DMF)、ジメチルアセトアミド(dimethyl acetamide;DMAc)、テトラメチルウレア(tetramethyl urea)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)及びトリエチルホスフェート(triethyl phosphate)からなる群から選択される1種以上である。前記2次元型素材及び内在的気孔性高分子の溶解度が高くて、塗布工程によって保護層を形成するに有利であるため、前記第1溶媒及び第2溶媒としてテトラヒドロフランを使用することが好ましい。
【0056】
前記第1溶媒及び第2溶媒の含量はコーティングを容易にすることができる程度の濃度を持つ水準で含有されてもよく、具体的な含量は塗布方法及び装置によって変わる。
【0057】
前記第1溶液と第2溶液を製造する時、2次元型素材及び内在的気孔性高分子それぞれの含量は前述した保護層でこれらの重量比を考慮して適切に調節する。
【0058】
前記保護層形成のためのコーティング液の塗布方法は、ディップコーティング(dip coating)、噴射コーティング(spray coating)、スピンコーティング(spin coating)、ダイコーティング(die coating)、ロールコーティング(roll coating)、スロットダイコーティング(Slot‐die coating)、バーコーティング(Bar coating)、グラビアコーティング(Gravure coating)、コンマコーティング(Comma coating)、カーテンコーティング(Curtain coating)及びマイクログラビアコーティング(Micro‐Gravure coating)からなる群から選択される方法であってもよいが、これに制限されるものではなく、当業界でコーティング層を形成するために利用することができる塗布方法を多様に使用することができる。
【0059】
前記塗布後、溶媒除去のための乾燥工程を遂行することができる。前記乾燥工程は溶媒を充分取り除くことができる水準の温度及び時間で遂行し、その条件は溶媒の種類によって変わることがあるので、本発明に特に制限されない。一例として、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線及び電子線などの照射による乾燥法を挙げることができる。乾燥速度は通常応力集中によって保護層に亀裂が生じたり、リチウム金属層が集電体から剥離されない程度の速度範囲内で、可能な限り早く溶媒を取り除くことができるように調整する。
【0060】
前述した製造方法によって形成された保護層は、厚さが0.1ないし5μm未満、好ましくは0.2ないし3μm、より好ましくは0.5ないし1.5μmであって、前記保護層はデンドライトの形成を抑制してリチウムイオンの伝達特性を向上させてこれを含むリチウム二次電池の寿命特性を増加させることができる。
【0061】
また、本発明は前記リチウム電極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0062】
前記リチウム二次電池は、正極;負極及びこれらの間に介在される電解質を含み、前記負極として本発明によるリチウム電極を含む。
【0063】
前記正極は正極集電体と前記正極集電体の一面または両面に形成された正極活物質層を含むことができる。
【0064】
前記正極集電体は正極活物質を支持するためのもので、前述したとおりである。
【0065】
前記正極活物質層は正極活物質を含み、導電材、バインダーまたは添加剤などをさらに含むことができる。
【0066】
前記正極活物質はリチウム二次電池に適用され、放電の際にリチウムイオンを還元し、充電の際に酸化されることができれば、その材質は特に限定されない。例えば、前記正極活物質は遷移金属酸化物または硫黄(S)に基づく化合物である。具体的に、前記正極活物質はリチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属に置き換えられた化合物;化学式Li1+xMn2‐x(0≦x≦0.33)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1‐x(M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGa;0.01≦x≦0.3)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2‐x(M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTa;0.01≦x≦0.1)またはLiMnMO(M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;LiNiMn2‐xで表されるスピンネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;LiCoPO;LiFePO;及び硫黄元素(Elemental sulfur、S);Li(n≧1)、有機硫黄化合物または炭素‐硫黄ポリマー((C:x=2.5~50、n≧2)などの硫黄を含む化合物の中で少なくとも一つを含むことができる。
【0067】
前記正極活物質が硫黄を含む化合物である場合、前記リチウム二次電池はリチウム‐硫黄電池であってもよい。
【0068】
また、前記正極活物質が硫黄元素の場合、単独では電気伝導性がないため、多孔性炭素材のような伝導性物質と複合化して利用される。この場合、前記正極活物質は硫黄‐炭素複合体であってもよい。
【0069】
前記多孔性炭素材は正極活物質である硫黄元素が均一で安定的に固定されることができる骨格を提供し、硫黄元素の低い電気伝導度を補完して電気化学的反応が円滑に進められるようにする。
【0070】
前記多孔性炭素材は多孔性構造であるか、比表面積が高いもので、当業界で通常使われるものであれば、いずれもかまわない。例えば、前記多孔性炭素材としては、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)、多重壁炭素ナノチューブ(MWCNT)などの炭素ナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)、活性化炭素ファイバー(ACF)などの炭素繊維;天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛などの黒鉛及び活性炭素からなる群から選択された1種以上である。
【0071】
前記硫黄‐炭素複合体は、硫黄‐炭素複合体100重量部を基準にして硫黄を60ないし90重量部、好ましくは65ないし85重量部、より好ましくは70ないし80重量部で含むことができる。前記硫黄の含量が前述した範囲未満の場合、硫黄‐炭素複合体内の多孔性炭素材の含量が相対的に多くなることによって、比表面積が増加して正極製造の際にバインダーの含量が増加する。このようなバインダーの使容量増加は結局正極の面抵抗を増加させて電子移動(electron pass)を防ぐ絶縁体の役目をするようになって電池性能を低下させることがある。これと逆に前記硫黄の含量が前述した範囲を超える場合、多孔性炭素材と結合することができなかった硫黄がそれらどうしで集まったり、多孔性炭素材の表面に再湧出されることによって電子を受けにくくなって、電気化学的反応に参加できなくなって電池容量損失が発生することがある。
【0072】
また、前記硫黄‐炭素複合体において、前記硫黄は前述した多孔性炭素材の内部及び外部表面の少なくともいずれか1ヶ所に位置し、この時、前記多孔性炭素材の内部及び外部全体表面の100%未満、好ましくは1ないし95%、より好ましくは60ないし90%領域に存在することができる。前記硫黄が多孔性炭素材の内部及び外部表面に前記範囲内で存在する時、電子伝達面積及び電解質との濡れ性の面で最大の効果を示すことができる。具体的に、前記範囲領域で硫黄が多孔性炭素材の内部及び外部表面に薄くて均一に含浸されるので、充・放電過程で電子伝達接触面積を増加させることができる。もし、前記硫黄が多孔性炭素材の内部及び外部全体表面の100%領域に位置する場合、前記炭素材が完全に硫黄で覆われて電解質に対する濡れ性が落ちるし、電極内で含まれる導電材との接触性が低下して電子伝達を受けることができず、電気化学反応に参加できなくなる。
【0073】
前記硫黄‐炭素複合体の製造方法は、本発明で特に限定せず、当業界で通常利用される方法が用いられることができる。一例として、前記硫黄と多孔性炭素材を単純混合した後、熱処理して複合化する方法が利用されることがある。
【0074】
前記正極活物質は前記正極を構成する正極活物質層全体100重量%を基準にして40ないし95重量%、好ましくは50ないし90重量%、より好ましくは60ないし85重量%で含むことができる。前記正極活物質の含量が前記範囲未満の場合、正極の電気化学的反応を十分発揮しにくく、これと逆に前記範囲を超える場合、後述する導電材とバインダーの含量が相対的に不足して正極の抵抗が上昇し、正極の物理的性質が低下される問題がある。
【0075】
前記正極活物質層は選択的に電子が正極内で円滑に移動できるようにするための導電材及び正極活物質を集電体によく付着させるためのバインダーをさらに含むことができる。
【0076】
前記導電材は電解質と正極活物質を電気的に連結させて集電体(current collector)から電子が正極活物質まで移動する経路の役目をする物質であって、導電性を持つものであれば制限せずに使用することができる。
【0077】
例えば、前記導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛;スーパーP(Super‐P)、デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンブラックなどのカーボンブラック;炭素ナノチューブやフラーレンなどの炭素誘導体;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化画カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;またはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの伝導性高分子を単独または混合して使用することができる。
【0078】
前記導電材は正極活物質層全体100重量%を基準にして0.01ないし30重量%で含まれることができる。前記導電材の含量が前記範囲未満であれば、正極活物質と集電体との間の電子伝達が容易でないため電圧及び容量が減少する。これと逆に、前記範囲を超えると相対的に正極活物質の割合が減少して電池の総エネルギー(電荷量)が減少することがあるので、上述した範囲内で適正含量を決めることが好ましい。
【0079】
前記バインダーは正極活物質を正極集電体に維持させ、正極活物質の間を有機的に連結させて、これらの間の結着力をより高めるもので、当該業界で公知された全てのバインダーを使用することができる。
【0080】
例えば、前記バインダーはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVdF)またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)を含むフッ素樹脂系バインダー;スチレン‐ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリル‐ブチジエンゴム、スチレン‐イソプレンゴムを含むゴム系バインダー;カルボキシメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose、CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースを含むセルロース系バインダー;ポリアルコール系バインダー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン系バインダー;ポリイミド系バインダー;ポリエステル系バインダー;及びシラン系バインダー;からなる群から選択された1種、2種以上の混合物または共重合体を使用することができる。
【0081】
前記バインダーは正極活物質層全体100重量%を基準にして0.5ないし30重量%で含まれることができる。前記バインダーの含量が前記範囲未満であれば、正極の物理的性質が低下して正極内の正極活物質、添加剤または導電材が脱落することがあって、前記範囲を超えると、正極で正極活物質と導電材の割合が相対的に減少して電池容量が減少することができるので、上述した範囲内で適正含量を決めることが好ましい。
【0082】
本発明において、前記リチウム‐硫黄電池用正極の製造方法は特に限定されず、通常の技術者によって公知の方法またはこれを変形する多様な方法が利用可能である。
【0083】
一例として、前記リチウム‐硫黄電池用正極は、上述した組成を含む正極スラリー組成物を製造した後、これを前記正極集電体の少なくとも一面に塗布することで前記正極活物質層を形成して製造されたものである。
【0084】
前記正極スラリー組成物は、前述した正極活物質、導電材、バインダー、及び添加剤を含み、これ以外に溶媒をさらに含むことができる。
【0085】
前記溶媒としては、正極活物質、添加剤、導電材及びバインダーを均一に分散させることができるものを使用する。このような溶媒では、水系溶媒として水が最も好ましく、この時、水は蒸溜水(distilled water)、脱イオン水(deionzied water)である。ただし、必ずこれに限定するものではなく、必要な場合、水と容易に混合可能な低級アルコールが使われることができる。前記低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールなどがあって、好ましくはこれらは水とともに混合して使用されることができる。
【0086】
前記溶媒の含量はコーティングを容易にすることができる程度の濃度を持つ水準で含有されることができ、具体的な含量は塗布方法及び装置によって変わる。
【0087】
前記正極スラリー組成物は必要に応じて該当技術分野でその機能の向上などを目的として通常使われる物質を必要に応じてさらに含むことができる。例えば、粘度調整剤、流動化剤、充填剤などを挙げることができる。
【0088】
前記正極スラリー組成物の塗布方法は、本発明で特に限定せず、例えば、ドクターブレード(doctor blade)、ダイキャスティング(die casting)、コンマコーティング(comma coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)などの方法を挙げることができる。また、別途基材(substrate)の上に成形した後、プレッシング(pressing)またはラミネーション(lamination)方法によって正極スラリーを正極集電体上に塗布することもできる。
【0089】
前記塗布後、溶媒除去のための乾燥工程を遂行することができる。前記乾燥工程は溶媒を充分取り除くことができる水準の温度及び時間で遂行し、その条件は溶媒の種類によって変わることがあるので、本発明に特に制限されない。一例として、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線及び電子線などの照射による乾燥法を挙げることができる。乾燥速度は通常応力集中によって正極活物質層に亀裂が生じたり、正極活物質層が正極集電体から剥離されない程度の速度範囲内で、可能な限り早く溶媒を取り除くことができるように調整する。
【0090】
さらに、前記乾燥後、集電体をプレスすることで正極内で正極活物質の密度を高めることもできる。プレス方法としては、金型プレス及びロールプレスなどの方法を挙げることができる。
【0091】
前述した組成及び製造方法で製造された前記正極、具体的に正極活物質層の気孔率は50ないし80%、好ましくは60ないし75%である。前記正極の気孔率が50%に及ぶことができない場合は、正極活物質、導電材及びバインダーを含む正極スラリー組成物の充填度が高すぎて正極活物質の間にイオン伝導及び/または電気伝導を示すことができる十分な電解質が維持されなくなって、電池の出力特性やサイクル特性が低下されることがあって、電池の過電圧及び放電容量減少がひどくなる問題がある。これと逆に前記正極の気孔率が80%を超えて高すぎる気孔率を持つ場合、集電体と物理的及び電気的連結が低くなって接着力が低下し、反応が難しくなる問題があり、高くなった気孔率を電解質が充填されて電池のエネルギー密度が低くなることができる問題があるので、前記範囲で適切に調節する。
【0092】
また、本発明による正極で硫黄ローディング量、すなわち、正極内で正極活物質層の単位面積当たり硫黄の質量は0.5ないし15mg/cm、好ましくは1ないし10mg/cmである。
【0093】
前記負極は前述した内容にしたがう。
【0094】
前記電解質は前述した正極と負極との間に位置し、これを媒介にして前記正極と負極で電気化学的酸化または還元反応を起こすためのもので、リチウム塩及び非水系有機溶媒を含む。
【0095】
前記リチウム塩はリチウム二次電池に通常使用可能なものであれば、制限せずに使用することができる。
【0096】
前記リチウム塩の具体的な例としては、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiCBO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSOCH、LiSOCF、LiSCN、LiC(CFSO、LiN(CFSO(lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide;LiTFSI)、LiN(CSO、LiN(SOF)(lithium bis(fluorosulfonyl)imide;LiFSI)、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、及びリチウムイミドからなる群から一つ以上である。
【0097】
前記リチウム塩の濃度は、電解質の組成、リチウム塩の溶解度、溶解されたリチウム塩の伝導性、電池の充電及び放電条件、作業温度及びリチウム二次電池分野に公知された他の要因のような幾つかの要因によって、0.2ないし4M、具体的に0.6ないし2M、より具体的に0.7ないし1.7Mである。前記リチウム塩の濃度が0.2M未満で使用すれば、電解質の伝導度が低くなって電解質性能が低下されることがあって、4Mを超えて使用すれば、電解質の粘度が増加してリチウムイオンの移動性が減少されることがある。
【0098】
前記非水系有機溶媒としては、リチウム二次電池用電解質に通常使われるものなどを制限せずに使用することができる。例えば、前記有機溶媒はエーテル、エステル、アミド、線形カーボネート、環形カーボネートなどをそれぞれ単独で、または2種以上混合して使用することができる。その中で代表的にはエーテル系化合物を含むことができる。
【0099】
前記エーテル系化合物は、非環形エーテル及び環形エーテルを含むことができる。
【0100】
例えば、前記非環形エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエチルエーテルからなる群から選択される1種以上が使われることができるが、これに限定されるものではない。
【0101】
一例として、前記環形エーテルは、1,3‐ジオキソラン、4,5‐ジメチル‐ジオキソラン、4,5‐ジエチル‐ジオキソラン、4‐メチル‐1,3‐ジオキソラン、4‐エチル‐1,3‐ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、2,5‐ジメチルテトラヒドロフラン、2,5‐ジメトキシテトラヒドロフラン、2‐エトキシテトラヒドロフラン、2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン、2‐ビニル‐1,3‐ジオキソラン、2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン、2‐メトキシ‐1,3‐ジオキソラン、2‐エチル‐2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン、テトラハイドロピラン、1,4‐ジオキサン、1,2‐ジメトキシベンゼン、1,3‐ジメトキシベンゼン、1,4‐ジメトキシベンゼン、イソソルビドジメチルエーテル(isosorbide dimethyl ether)からなる群から選択される1種以上が使われることができるが、これに限定されるものではない。
【0102】
前記エステル化合物としては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネイト、エチルプロピオネイト、プロピルプロピオネイト、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、γ‐カプロラクトン、σ‐バレロラクトン及びε‐カプロラクトンからなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0103】
前記線形カーボネート化合物の具体的な例では、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物などが代表的に使われることができるが、これに限定されるものではない。
【0104】
また、前記環形カーボネート化合物の具体的な例としては、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及びこれらのハロゲン化物からなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物がある。これらのハロゲン化物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate、FEC)などがあって、これに限定されるものではない。
【0105】
また、上述した非水系有機溶媒以外に、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランフラン、2‐メチルフラン、3‐メチルフラン、2‐エチルフラン、2‐プロピルフラン、2‐ブチルフラン、2,3‐ジメチルフラン、2,4‐ジメチルフラン、2,5‐ジメチルフラン、ピラン、2‐メチルピラン、3‐メチルピラン、4‐メチルピラン、ベンゾフラン、2‐(2‐ニトロビニル)フラン、チオフェン、2‐メチルチオフェン、2‐エチルチオフェン、2‐プロピルチオフェン、2‐ブチルチオフェン、2,3‐ジメチルチオフェン、2,4‐ジメチルチオフェン及び2,5‐ジメチルチオフェンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0106】
前記電解質は前述した組成以外に該当技術分野で通常使われる硝酸系化合物をさらに含むことができる。一例として、硝酸リチウム(LiNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸セシウム(CsNO)、硝酸マグネシウム(Mg(NO)、硝酸バリウム(BaNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸セシウム(CsNO)などを挙げることができる。
【0107】
前記電解質の注入は最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電池の製造工程中に適切な段階で行われることができる。すなわち、電池の組み立て前または組み立て最終段階などで適用されることができる。
【0108】
前記正極と負極の間にはさらに分離膜が含まれることができる。
【0109】
前記分離膜は前記正極と負極を互いに分離または絶縁させ、正極と負極の間にリチウムイオンの輸送ができるようにすることで多孔性非伝導性または絶縁性物質からなってもよく、通常リチウム二次電池で分離膜として使われるものであれば、特に制限されずに使用可能である。このような分離膜は、フィルムのような独立的な部材であってもよく、正極及び/または負極に付け加えられたコーティング層であってもよい。
【0110】
前記分離膜としては、電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解質に対する含湿能力に優れるものが好ましい。
【0111】
前記分離膜は、多孔性基材からなってもよいが、前記多孔性基材は通常二次電池に使われる多孔性基材であれば、いずれも使用可能であり、多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用することができ、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布またはポリオレフィン系多孔性膜を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0112】
前記多孔性基材の材質としては、本発明で特に限定せず、通常電気化学素子に使われる多孔性基材であれば、いずれも使用可能である。例えば、前記多孔性基材は、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)などのポリオレフィン(polyolefin)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)などのポリエステル(polyester)、ポリアミド(polyamide)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalate)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、セルロース(cellulose)、ナイロン(nylon)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(poly(p‐phenylene benzobisoxazole)及びポリアリレート(polyarylate)からなる群から選択された1種以上の材質を含むことができる。
【0113】
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、1ないし100μm、好ましくは5ないし50μmである。前記多孔性基材の厚さ範囲が前述した範囲に限定されることではないが、厚さが前述した下限より薄すぎる場合は、機械的物性が低下して電池使用中に分離膜が容易に損傷されることがある。
【0114】
前記多孔性基材に存在する気孔の平均直径及び気孔率も特に制限されないが、それぞれ0.001ないし50μm及び10ないし95%である。
【0115】
本発明のリチウム二次電池は、形状によって円筒状、角形、コイン型、ポーチ型などに分類されることができ、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプに分けることができる。これらの電池の構造と製造方法は、この分野に広く知られているので詳細な説明は省略する。
【0116】
また、本発明は前記リチウム二次電池を単位電池で含む電池モジュールを提供する。
【0117】
前記電池モジュールは、高温安定性、長いサイクル特性及び高い容量特性などが要求される中大型デバイスの電源として使われることができる。
【0118】
前記中大型デバイスの例では、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(electric vehicle;EV)、ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle;HEV)、プラグ‐インハイブリッド電気自動車(plug‐in hybrid electric vehicle;PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E‐bike)、電気スクーター(E‐scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0119】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0120】
実施例及び比較例
[実施例1]
(1)リチウム電極製造
一つの反応器に六方晶系窒化ホウ素0.1gをテトラヒドロフラン100mlに超音波分散装備を利用して分散させて第1溶液を製造した。
【0121】
他の反応器にPIM‐1(Mw:10,000g/mol)1.0gをテトラヒドロフラン50mlに溶解させて第2溶液を製造した。
【0122】
前記方法で製造された第1溶液及び第2溶液を混合して保護層形成用コーティング液を製造した。
【0123】
30μm厚さのリチウム金属層の表面にバーコーティング工程を利用して前記コーティング液を塗布した後、80℃の真空オーブンで12時間乾燥させて0.5μm厚さの保護層を含むリチウム電極を製造した。この時、前記保護層に含まれる六方晶系窒化ホウ素とPIM‐1の重量比は1:10であった。
【0124】
(2)リチウム‐硫黄電池製造
正極活物質で硫黄‐炭素複合体(S:C=75:25(重量比))90重量%、導電材でデンカブルレック5.0重量%、バインダーでスチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR:CMC=70:30(重量比))5.0重量%を混合して正極スラリー組成物を製造した。
【0125】
20μm厚さのアルミニウム集電体上に前記製造された正極スラリー組成物を塗布し、50℃で12時間乾燥して圧搾プレス(roll press)機器で圧搾して正極を製造した。この時、正極活物質のローディング量は5.4mAh/cm以下であって、正極の気孔率は68%であった。
【0126】
前記製造された正極と前記(1)で製造したリチウム電極(負極)を対面するように位置させ、その間に厚さ20μm、気孔率68%のポリエチレン分離膜を介在した後、電解質0.1mlを注入してリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0127】
この時、電解質としては、1,3‐ジオキソランとジメチルエーテル(DOL:DME=1:1(体積比))からなる有機溶媒に1M濃度のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)と1重量%の硝酸リチウム(LiNO)を溶解させた混合液を使用した。
【0128】
[実施例2]
第1溶液製造の時、六方晶系窒化ホウ素0.1gの代わりに二硫化モリブデン0.1gに変更し、これによって前記保護層に含まれる二硫化モリブデンとPIM‐1の重量比が1:10であることを除いては、前記実施例1と同様に遂行してリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0129】
[実施例3]
第1溶液製造の時、六方晶系窒化ホウ素0.1gの代わりに酸化グラフェン0.1gに変更し、これによって前記保護層に含まれる酸化グラフェンとPIM‐1の重量比が1:10であることを除いては、前記実施例1と同様に遂行してリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0130】
[実施例4]
第1溶液製造の時、六方晶系窒化ホウ素0.1gの代わりにグラファイト型窒化炭素0.1gに変更し、これによって前記保護層に含まれるグラファイト型窒化炭素とPIM‐1の重量比が1:10であることを除いては、前記実施例1と同様に遂行してリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0131】
[比較例1]
実施例1と同様の方法で実施し、保護層が形成されていない30μm厚さのリチウム金属薄膜を負極で使用してリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0132】
[比較例2]
実施例1と同様の方法で実施し、PIM‐1(Mw:10,000g/mol)1.0gをテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、製造した溶液を保護層形成用コーティング液として使用してPIM‐1のみを含む保護層を形成したリチウム電極を使用してリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0133】
[比較例3]
実施例1と同様の方法で実施し、六方晶系窒化ホウ素0.1g及びポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン(PVDF‐co‐HFP)高分子1.0gをテトラヒドロフラン150mlに溶解させて製造した溶液を保護層形成用コーティング液として使用して保護層を形成したリチウム電極を用いてリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0134】
実験例1.リチウム電極の表面評価
実施例1ないし4で製造したリチウム電極及び比較例1のリチウム金属薄膜の表面を肉眼及び走査電子顕微鏡(scanning electron microscope;SEM)で観察した。この時、走査電子顕微鏡は日立(hitachi)社のS‐4800を利用し、得られた結果は図1及び2に示す。
【0135】
図1に示すように、実施例1ないし4によるリチウム電極の場合、内在的気孔性高分子を含むことによって比較例1と比べて黄色のコーティング層が形成されたことを確認することができる。
【0136】
また、図2を参照すれば、リチウム金属層の表面に2次元型素材とフィルム形態でコーティングされた内在的気孔性高分子が一緒であることを確認することができる。
【0137】
実験例2.電池性能評価
実施例及び比較例で製造した電池に対し、充・放電測定装置(モデル:LAND CT‐2001A、製造社:武漢(Wuhan)社製品)を利用して性能を評価した。
【0138】
具体的に、25℃で0.1Cの電流密度で1.8Vになるまで放電し、0.1Cの電流密度で2.5Vまで充電する過程を3サイクル繰り返した後、同一な電圧区間で0.2Cの電流密度で充電と放電を3サイクル進行し、0.5Cの電流密度で放電及び0.3Cの電流密度で充電を進めながら電池の容量及び寿命特性を評価した。この時、得られた結果は表1と図3及び4に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
図3及び4と前記表1に示すように、実施例による電池の場合、寿命特性が比較例に比べて優れることを確認することができる。
【0141】
図3及び4を通じて比較例1ないし3による電池は実施例1ないし4による電池に比べて放電容量が相対的に劣るし、容量維持率、すなわち寿命特性もよくないことが分かる。
【0142】
特に、図4及び前記表1を見ると、比較例2はリチウム金属層上に内在的気孔性高分子であるPIM‐1のみを利用して保護層を形成した場合であって、保護層を形成していない比較例1より放電容量が低く、容量維持率も比較例1と類似な水準であることを確認することができる。これより、電池の容量及び寿命特性を向上させるためには、リチウム電極の保護層に内在的気孔性高分子とともに、2次元型素材が全て含まれなければならないことが分かる。また、実施例3及び4の場合、実施例1及び2と対比して優れる容量維持率を示すので、2次元型素材で酸化グラフェンとグラファイト型窒化炭素が電池の寿命特性改善に効果的であることを確認することができる。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図1(e)】
図2
図3
図4