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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】シートカバー
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/60 20060101AFI20241004BHJP
   B60N 2/40 20060101ALI20241004BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20241004BHJP
   B62J 1/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B60N2/60
B60N2/40
A47C31/02 A
B62J1/20 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023510697
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2022008642
(87)【国際公開番号】W WO2022209530
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2021056357
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 光江
(72)【発明者】
【氏名】大坪 守
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-001225(JP,A)
【文献】特開2009-261455(JP,A)
【文献】特開2016-112986(JP,A)
【文献】特開2019-131054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
B68G 7/05
A47C 31/02
B62J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート(1)のクッション側に配置された内カバー(7)と、
前記内カバー(7)を覆う外カバー(6)と、を備え、
前記内カバー(7)は、前記外カバー(6)よりも伸縮性に富む素材から構成され、
前記内カバー(7)は、前記シート(1)に装着されていない場合に、前記外カバー(6)よりも車両前後方向の長さおよび車幅方向の長さの何れも小さく、
前記外カバー(6)に対する前記内カバー(7)の車両前後方向の長さの割合は、前記外カバー(6)に対する前記内カバー(7)の車幅方向の幅の割合よりも大きく、
前記内カバー(7)の周縁部(7b)に、前記外カバー(6)外周部(11b)の複数の外側取付部(15b)に対して着脱可能な内側取付部(15a)を複数備え、
前記内側取付部(15a)が前記外側取付部(15b)にそれぞれ結合して、前記内カバー(7)が前記外カバー(6)に組付けられるシートカバー。
【請求項2】
前記外カバー(6)の周縁部(6b)に、前記内カバー(7)の周縁部(7b)が取り付けられる請求項1に記載のシートカバー。
【請求項3】
前記外カバー(6)は、メッシュカバーである請求項1又は2に記載のシートカバー。
【請求項4】
前記外カバー(6)に対する前記内カバー(7)の車幅方向の幅の割合は、70%以上且つ95%以下である請求項1から3の何れか1項に記載のシートカバー。
【請求項5】
前記内カバー(7)は、前記外カバー(6)に着脱可能に取り付けられる請求項1からの何れか1項に記載のシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートカバーに関する。
本願は、2021年3月30日に、日本に出願された特願2021-056357号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートの座および背もたれのクッションを覆うシートカバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
シートカバーは、クッション側に配置された内カバーと、内カバーを覆うように内カバーに取り付けられた外カバーと、を重ねて構成されている。内カバーおよび外カバーは、シートフレームに取り付けられた引き込み部材によって、クッション側に引き込まれる。これにより、内カバーおよび外カバーに皺を生じさせないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-7717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記においては、例えば、内カバーおよび外カバーの外形が同一寸法であると、以下の課題がある。すなわち、クッションの部分的な形状の違いが生じたり、内カバーおよび外カバーの各部に作用する引き込み部材の引き込み力の不均一が生じたりする。これによって、特に、直接クッションに接している内カバーで皺が生じやすくなる。このため、座り心地に影響することがある。また、外カバーがメッシュカバーである場合、内カバーの皺が目立ってしまう。
【0005】
そこで本発明は、内外カバーを重ねて構成されるシートカバーにおいて、内カバーの皺の発生を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の一態様は、シート(1)のクッション側に配置された内カバー(7)と、前記内カバー(7)を覆う外カバー(6)と、を備え、前記内カバー(7)は、前記シート(1)に装着されていない場合に、前記外カバー(6)よりも車幅方向の幅が狭いシートカバーを提供する。
【0007】
この構成によれば、シートカバーをシートに装着したときに、外カバーに対して内カバーの伸び代をより大きくすることができる。これによって、内カバーの張力を大きくすることができ、内カバーの皺の発生を抑制することができる。
【0008】
上記態様において、前記外カバー(6)の周縁部(6b)に、前記内カバー(7)の周縁部(7b)が取り付けられてもよい。
この構成によれば、内外カバーが、それぞれの周縁部において互いに一体化される。このため、両周縁部の少なくとも一方を引いた状態にすることができる。これにより、内カバーの皺の発生を抑えつつ、シートカバーをシートに装着することができる。
【0009】
上記態様において、前記外カバー(6)は、メッシュカバーであってもよい。
この構成によれば、メッシュカバー越しに見える内カバーによって、シート装飾品質を良好に確保することができる。
【0010】
上記態様において、前記外カバー(6)に対する前記内カバー(7)の車幅方向の幅の割合は、70%以上且つ95%以下であってもよい。
この構成によれば、内カバーの張力を確保するとともに、内カバーを伸ばしすぎないようにする。これにより、シートカバーの装着を容易にすることができる。外カバーがメッシュカバーである場合、メッシュカバー越しに見える内カバーによって、シート装飾品質を良好に確保することができる。
【0011】
上記態様において、前記外カバー(6)に対する前記内カバー(7)の車両前後方向の長さの割合は、前記外カバー(6)に対する前記内カバー(7)の車幅方向の幅の割合よりも大きくてもよい。
この構成によれば、シートに装着するためにシートカバーを伸ばしたときに、以下の作用がある。すなわち、内カバーの車幅方向の伸び代が、車両前後方向の伸び代よりも大きくなる。これによって、内カバーの張りを、以下のように調整することができる。すなわち、内カバーの車幅方向の張力で内カバーの張りを確保するとともに、内カバーの車両前後方向の張力で内カバーの皺を無くようにすることができる。
【0012】
上記態様において、前記内カバー(7)は、前記外カバー(6)に着脱可能に取り付けられてもよい。
この構成によれば、外カバーおよび内カバーのそれぞれを、容易に洗浄、交換することができる。外カバーがメッシュカバーである場合、内カバーを交換することで、以下の効果がある。すなわち、メッシュカバー越しに見える内カバーによって、シート装飾を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内外カバーを重ねて構成されるシートカバーにおいて、内カバーの皺の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態のシート装置の斜視図である。
図2】上記シート装置の分解斜視図である。
図3】上記シート装置のシートカバーの下面図であり、レイヤードカバーの展開形状を重ねて示す。
図4】上記シートカバーの下面図であり、シートへの取付部を重ねて示す。
図5】上記シートカバーのメッシュカバーの展開状態の下面図である。
図6】上記シートカバーのレイヤードカバーの展開状態の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
【0016】
<シート装置>
図1図2に示すように、本実施形態のシート装置1Aは、自動二輪車等の鞍乗り型車両用のサドル型シート(以下、単にシートという。)1と、シート1に後付け可能なシートカバー5と、を備えている。
【0017】
シート1は、運転者が着座する前シート部2と、前シート部2の後方に配置されて同乗者が着座する後シート部3と、を備えている。シート1は、例えば、前シート部2と後シート部3とを一体化し、車両前後方向に長く形成されている。シート1は、前シート部2と後シート部3とが別体に構成されたり、運転者用のシート部のみで構成されたりしてもよい。シート1は、例えば、前記車両の車体にヒンジを介して支持される。シート1は、例えば、前記車体に備える物品収納部を開閉可能である。シート1は、例えば、以下のような一体の製品である。シート1は、例えば、合成樹脂製の底板上に、ウレタンフォーム製のクッションを設けている。シート1は、例えば、クッションの表面を、ビニールレザー製の表皮で覆っている。
【0018】
<シートカバー>
図1図2に示すように、シートカバー5は、シート1に、上方から被さるように取り付け可能である。シートカバー5は、網目構造を有して表側に配置される外カバーとしてのメッシュカバー6と、メッシュカバー6の裏側に配置される内カバーとしてのレイヤードカバー7と、を備えている。
シートカバー5は、シート1全体に被さるものである。シートカバー5は、例えば、後シート部3を備えるシート1に対し、前シート部2のみに被さるものでもよい。
【0019】
図4を参照し、シートカバー5の周縁部5bには、装着部17を備えている。装着部17は、例えば、シート1の周縁部1bの裏側に着脱可能である。装着部17は、例えば、シートカバー5の周縁部1bに沿って複数設けられている。装着部17は、シート1側に設けた相手構成と協働し、装着具を構成する。装着具は、例えば、面ファスナー、ホック、線ファスナーなどである。装着部17が線ファスナーを構成する場合、シートカバー5の周縁部1bに沿って連続する線ファスナーを構成してもよい。装着部17は、ビス、クリップ、フック等の係止具の挿通部であったり、紐、ベルト、ワイヤ等の緊縛具の挿通部であってもよい。
【0020】
図2を参照し、メッシュカバー6は、可撓性を有するカバーである。メッシュカバー6は、予めシート1の外面形状に沿うように形成されている。メッシュカバー6は、例えば、シート状の素材を適宜切断、縫製、接着および溶着等することで形成されている。前記シート状の素材は、例えば、樹脂製の繊維により三次元形状の網目構造に形成される。前記シート状の素材は、例えば、通気性および通水性を有する。メッシュカバー6は、少なくとも一部が、成型により規定形状に形成されてもよい。
【0021】
メッシュカバー6は、シート1の周縁部1bに沿うように設けられた縁取り部11と、縁取り部11に囲まれた前メッシュ部12および後メッシュ部13と、を備えている。
縁取り部11は、シート1の周縁部1bに沿って延びる外周部11bと、前シート部2および後シート部3の間の境界部分を車幅方向に延びる境界部11cと、を備えている。縁取り部11は、例えば、前記素材に対して、樹脂又は布等による補強を施して構成されている。
メッシュカバー6の外周部11bの裏面には、例えば、シート1の底板(不図示)の周縁部に対して着脱可能な前記装着部17が設けられている。
【0022】
図5を参照し、メッシュカバー6の外周部11bは、メッシュカバー6の平面視の輪郭となる外周縁6cから、メッシュカバー6の内周側へ、例えば30mm程度の幅で設定される部分である。外周部11bは、外周縁6cを含む。
外周部11bには、後述する外側取付部15bおよび装着部17(図4参照)が、それぞれ外周縁6cに沿って複数設けられている。複数の装着部17は、複数の外側取付部15bよりもメッシュカバー6の外周側に配置されている。
【0023】
前メッシュ部12および後メッシュ部13は、例えば、前記シート状の素材がもつ機能により、通気性および通水性を有している。
図2を参照し、前メッシュ部12は、シート1の前シート部2の上方に配置される。前メッシュ部12は、前メッシュ部12上に着座した運転者の臀部および内腿部に当たる。後メッシュ部13は、後シート部3の上方に配置される。後メッシュ部13は、後メッシュ部13上に着座した同乗者の臀部に当たる。前メッシュ部12および後メッシュ部13によって、運転者の臀部や内腿部、ならびに同乗者の臀部が通気されて、蒸れが抑制される。
【0024】
図2を参照し、レイヤードカバー7は、可撓性を有するカバーである。レイヤードカバー7は、メッシュカバー6よりも伸縮性に富む生地又はラバーシートなどの素材で構成されている。図2では、シートカバー5がシート1に装着され、レイヤードカバー7がシート1の外面形状に沿うように馴染んだ状態を示している。
【0025】
図6を参照し、レイヤードカバー7は、平坦状に展開した状態の周縁部7bの表面に、内側取付部15aを備えている。内側取付部15aは、メッシュカバー6の外周部11bに対して着脱可能である。
レイヤードカバー7の周縁部7bは、レイヤードカバー7の展開形状の輪郭となる外周縁7cから、レイヤードカバー7の内周側へ、例えば20mm程度の幅で設定される部分である。周縁部7bは、外周縁7cを含む。
周縁部7bには、前記内側取付部15aが、外周縁7cに沿って複数設けられている。
【0026】
図4図6を参照し、複数の内側取付部15aは、メッシュカバー6に設けられた複数の外側取付部15bと、個々に結合又は結合解除可能である。互いに対をなす内側取付部15aおよび外側取付部15bは、取付具15を構成する。取付具15は、例えば、面ファスナー、ホック、線ファスナーなどである。取付具15は、線ファスナーの場合、シートカバー5の外周を周回するように連続して設けてもよい。内側取付部15aおよび外側取付部15bは、ビス、クリップ、フック等の係止具の挿通部であってもよい。
【0027】
<メッシュカバーおよびレイヤードカバーの寸法について>
図3は、メッシュカバー6とレイヤードカバー7とを重ねて、展開状態の縦横寸法を比較している。図3に示すように、レイヤードカバー7の展開形状は、メッシュカバー6の展開形状(又は平面視形状)に対して、車両前後方向の長さおよび車幅方向の長さの何れも小さい。前記展開形状とは、シート1に装着される前の状態(伸ばされていない状態)の形状である。
【0028】
図5図6を併せて参照し、メッシュカバー6の車幅方向中央における車両前後方向の長さL1は、レイヤードカバー7の車幅方向中央における車両前後方向の長さL2よりも大きい。メッシュカバー6の車両前後方向の規定位置における車幅方向の幅W11,W12,W13は、レイヤードカバー7の車両前後方向の規定位置における車幅方向の幅W21,W22,W23よりも大きい。前記車両前後方向の規定位置は、例えば、メッシュカバー6およびレイヤードカバー7を車両前後方向で四等分する位置である。
【0029】
レイヤードカバー7の長さL2は、メッシュカバー6の長さL1よりも短い(L2<L1)。レイヤードカバー7の各幅W21,W22,W23は、対応するメッシュカバー6の各幅W11,W12,W13よりも狭い(W21<W11、W22<W12、W23<W13)。
前記規定位置は、上記した三箇所に限らず、二箇所以下又は四箇所以上に設定してもよい。
【0030】
メッシュカバー6の周縁部の縦横寸法に対する、レイヤードカバー7の周縁部の縦横寸法の割合について説明する。
以下の説明において、車両前後方向(縦方向)の長さの割合RLは、RL=L2/L1である。予め定めた箇所毎の車幅方向(横方向)の幅の割合RW1,RW2,RW3は、RW1=W21/W11、RW2=W22/W12、RW3=W23/W13である。
【0031】
例えば、実際に測定された車両前後方向の長さの割合RLは、95%<RL≦98%である。実際に測定された予め定められた箇所毎の車幅方向の幅の割合RW1,RW2,RW3は、70%≦RW1≦95、70%≦RW2≦95、70%≦RW3≦95である。
このように、車両前後方向の長さの割合RLは、各車幅方向の幅の割合RW1,RW2,RW3よりも大きい。
【0032】
次に、メッシュカバー6にレイヤードカバー7を取り付ける要領を説明する。内側取付部15aおよび外側取付部15bは、面ファスナーとしての取付部15を構成している。
図3を参照し、シート1にシートカバー5を装着する前において、レイヤードカバー7は、メッシュカバー6よりも縦横寸法が小さい。レイヤードカバー7の周縁部7bの表面には、複数の内側取付部15aが設けられる。メッシュカバー6の周縁部の裏面には、複数の外側取付部15bが設けられる。レイヤードカバー7の複数の内側取付部15aを、メッシュカバー6の複数の外側取付部15bにそれぞれ結合する(図4参照)。このとき、レイヤードカバー7の外形を縦横に伸ばすこととなる。この場合、例えば、レイヤードカバー7の周縁部7bを、概ね外周縁7cの法線方向(図中矢印E方向)に伸ばして広げる。これにより、レイヤードカバー7の外形が延ばされる。また、レイヤードカバー7の張力により、メッシュカバー6は外形が縮まった状態となる。この状態で、シートカバー5が組み上がる。
【0033】
次に、組み上がったシートカバー5をシート1に装着する。このとき、シートカバー5の周縁部5b(メッシュカバー6の周縁部6b)を、概ね前記矢印向に引いて伸ばす。これにより、メッシュカバー6にも張りを持たせつつ、シートカバー5をシート1に装着する。このシートカバー5を、複数の装着部17によってシート1に固定する。
以上のシートカバー5の装着状態において、レイヤードカバー7は、メッシュカバー6よりも、車両前後方向および車幅方向で伸び量が大きくなっている。
【0034】
前述のように、メッシュカバー6およびレイヤードカバー7の車両前後方向の長さの割合RLは、「95%<RL≦98%」である。また、メッシュカバー6およびレイヤードカバー7の車幅方向の幅の割合RW1,RW2,RW3は、「70%≦RW1,RW2,RW3≦95%」である。すなわち、車両前後方向の長さの割合RLは、車幅方向の幅の割合RW1,RW2,RW3の何れよりも大きい。したがって、シートカバー5の装着状態において、レイヤードカバー7は、車幅方向の伸びが、車両前後方向の伸びよりも大きい。レイヤードカバー7は、車両前後方向の延びが少なくて済む。
【0035】
シートカバー5をシート1に装着することで、メッシュカバー6およびレイヤードカバー7は、シート1の表面形状に倣う。このとき、レイヤードカバー7は、シート1に装着する際にメッシュカバー6よりも大きく伸ばされている。このため、レイヤードカバー7は、メッシュカバー6に抑え込まれた状態でも、皺や浮きの発生が抑えられる。メッシュカバー6は単色が多いが、レイヤードカバー7は色柄を設けやすい。レイヤードカバー7は、その色柄をメッシュカバー6越しに外観可能である。このため、シートカバー5によるシート1の装飾効果を高めやすくする。
【0036】
以上説明したように、上記実施形態におけるシートカバー5は、シート1のクッション側に配置された内カバーとしてのレイヤードカバー7と、レイヤードカバー7を覆う外カバーとしてのメッシュカバー6と、を備える。レイヤードカバー7は、シート1に装着されていない場合に、メッシュカバー6よりも車幅方向の幅が狭い。
【0037】
この構成によれば、シートカバー5をシート1に装着したときに、メッシュカバー6に対してレイヤードカバー7の伸び代をより大きくすることができる。これによって、レイヤードカバー7の張力を大きくすることができ、シートカバー5の皺の発生を抑制することができる。したがって、シートカバー5の皺による座り心地への影響を抑えることができる。また、メッシュカバー6越しに見えるレイヤードカバー7の見栄えを向上させることができる。
【0038】
また、上記シートカバーにおいて、メッシュカバー6の周縁部6bに、レイヤードカバー7の周縁部7bが取り付けられる。この構成によれば、メッシュカバー6およびレイヤードカバー7が、それぞれの周縁部6b,7bにおいて互いに一体化される。このため、両周縁部6b,7bの少なくとも一方を引いた状態にすることができる。これにより、レイヤードカバー7の皺の発生を抑えつつ、シートカバー5をシート1に装着することができる。
【0039】
また、上記シートカバーにおいて、メッシュカバー6に対するレイヤードカバー7の車幅方向の幅の割合は、70%以上且つ95%以下である。この構成によれば、レイヤードカバー7の張力を確保するとともに、レイヤードカバー7を伸ばしすぎないようにする。これにより、シートカバー5の装着を容易にすることができる。また、メッシュカバー6越しに見えるレイヤードカバー7によって、シート装飾品質を良好に確保することができる。
【0040】
また、上記シートカバーにおいて、メッシュカバー6に対するレイヤードカバー7の車両前後方向の長さの割合は、メッシュカバー6に対するレイヤードカバー7の車幅方向の幅の割合よりも大きい。この構成によれば、シート1に装着するためにシートカバー5を伸ばしたときに、以下の作用がある。すなわち、内カバーの車幅方向の伸び代が、車両前後方向の伸び代よりも大きくなる。これによって、シートカバー5の張りを、以下のように調整することができる。すなわち、シートカバー5の車幅方向の張力で張りを確保するとともに、シートカバー5の車両前後方向の張力で皺を無くすようにすることができる。
【0041】
また、上記シートカバーにおいて、レイヤードカバー7は、メッシュカバー6に着脱可能に取り付けられる。この構成によれば、メッシュカバー6およびレイヤードカバー7のそれぞれを、容易に洗浄、交換することができる。また、レイヤードカバー7を交換することで、メッシュカバー6越しに見えるレイヤードカバー7によって、シート装飾を容易に変更することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、本実施形態は、シート1に対して着脱可能な後付けのシートカバー5を例示したが、これに限らない。例えば、クッションを覆う表皮材として、シートの一部を構成するシートカバーであってもよい。メッシュカバーに限らず、メッシュカバー以外の外カバーを備えるシートカバーであってもよい。
【0043】
本実施形態のシートカバーは、鞍乗り型車両以外の可能に適用してもよい。鞍乗り型車両には、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪(四輪バギー等)の車両も含まれる。また、原動機に電気モータを含む車両も含まれる。
また、鞍乗り型車両以外の車両には、乗用車、バス、トラック等が含まれる。
さらに、車両以外にも、航空機や船舶等の種々輸送機器、ならびに建設機械や産業機械等、シートを備える様々な乗物や移動体に適用してもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 シート
5 シートカバー
6 メッシュカバー(外カバー)
6b 周縁部
7 レイヤードカバー(内カバー)
7b 周縁部
RL 車両前後方向の長さの割合
RW1,RW2,RW3 車幅方向の幅の割合
図1
図2
図3
図4
図5
図6