IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7566165仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション
<>
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図1
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図2-1
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図2-2
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図3
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図4
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図5
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図6
  • 特許-仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーション
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20241004BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B1/00 620
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023540544
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2021064894
(87)【国際公開番号】W WO2022146832
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】63/132,358
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/152,081
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】ニンニ ブライアン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0086665(US,A1)
【文献】特開2014-124218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 17/00
A61B 34/20 - A61B 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腔内手技用のロボットシステムであって、
作動部に取付け可能な近位部分と、管腔内に挿入可能な遠位部分とを有するカテーテルであって、その前記遠位部分に除去可能な撮像機器を備えたツールチャネルと、前記作動部からの作動力を前記カテーテルに伝達して、前記カテーテルの前記遠位部分を作動させるように構成された複数の駆動ワイヤと、を有する、カテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位部分の近くに位置する関心領域に関して前記カテーテルの前記遠位部分の位置及び向きを記録するように構成されたトラッキングシステムと、
前記作動部及び前記トラッキングシステムと通信するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記トラッキングシステムによって取得された前記位置及び向きに基づいて、前記関心領域内に位置する参照標的に関して前記カテーテルの前記遠位部分の第1の位置及び/又は向きをレジストレーションすることと、
前記参照標的から所定の距離に少なくとも2つの衛星標的を生成することと、
前記少なくとも2つの衛星標的の各々に対して前記カテーテルの前記遠位部分を逐次アライメント及び/又はナビゲートするための情報を用いて、前記カテーテルの前記遠位部分を前記少なくとも2つの衛星標的とどのようにアライメントするかをユーザが決定できるように、前記カテーテルの前記遠位部分の仮想表現と、前記少なくとも2つの衛星標的の仮想表現とを、表示画面に表示することと、
を実行するように構成される、
システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記カテーテルの前記遠位部分の前記第1の位置及び/又は向きに基づいて、前記カテーテルの前記遠位部分の後続の位置及び/又は向きを計算して、前記少なくとも2つの衛星標的の各々に対して前記カテーテルの前記遠位部分を逐次アライメント及び/又はナビゲートするように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記参照標的の記録画像と、前記参照標的の仮想表現と、のうちの1つ以上を前記表示画面に表示するように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記カテーテルの前記遠位部分のアライメント及び/又はナビゲートの対象となる前記少なくとも2つの衛星標的の各々を逐次選択するよう、前記ユーザに促すように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記カテーテルの前記遠位部分を前記少なくとも2つの衛星標的の各々に対してアライメント及び/又はナビゲートするための方位角度と、距離誤差と、挿入軌道と、挿入深さと、のうちの1つ以上を前記表示画面に出力するように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、方位角度と、距離誤差と、挿入軌道と、挿入深さとのうちの前記1つ以上を更新し、前記少なくとも2つの衛星標的の各々に対して前記カテーテルの前記遠位部分をアライメントする方法を前記ユーザに示すためのナビゲーション誘導を出力する、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記参照標的に関して前記カテーテルの前記遠位部分の前記第1の位置及び/又は向きをレジストレーションした後、前記プロセッサは、前記ツールチャネルから前記撮像機器を除去し、前記管腔から前記カテーテルを除去せずに前記ツールチャネルを通してエンドエフェクタツールを挿入するよう、ユーザに促すように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記カテーテルの前記遠位部分から前記少なくとも2つの衛星標的のうちの少なくとも1つまで前記エンドエフェクタツールを誘導するための方位角度と、距離誤差と、挿入軌道と、挿入深さと、のうちの1つ以上を前記表示画面に出力するように更に構成される、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、確認及び警告のうちの1つ以上を前記表示画面に出力するように更に構成され、
前記プロセッサは、前記挿入軌道が前記少なくとも2つの衛星標的のうちの選択された1つと閾値内で交差する場合に、前記確認を出力し、又は、
前記プロセッサは、前記閾値よりも大きい誤差距離によって前記挿入軌道が前記少なくとも2つの衛星標的のうちの前記選択された1つと交差しない場合に、前記警告を出力する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記エンドエフェクタツールを用いて前記少なくとも2つの衛星標的の各々に対して腔内手技を実施する前記少なくとも2つの衛星標的の各々を巡回するよう、前記ユーザに促すように更に構成される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
腔内手技のためのナビゲーション誘導を提供するシステムの作動方法であって、
前記システムは、作動部に取付け可能な近位部分、及び、管腔内に挿入可能な遠位部分を有するカテーテルと、前記カテーテルの前記遠位部分の近くに位置する関心領域に関して前記カテーテルの前記遠位部分の位置及び向きを記録するように構成されたトラッキングシステムと、前記作動部及び前記トラッキングシステムと通信するプロセッサと、を備え、
前記方法は、
前記プロセッサが、前記カテーテルの前記遠位部分を、前記カテーテルの前記遠位部分付近の前記管腔内に位置する前記関心領域とアライメントするステップと、
前記トラッキングシステムが、前記カテーテルの前記遠位部分と、前記関心領域に位置する参照標的との位置関係を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記トラッキングシステムによって記録された前記位置関係に基づいて、前記参照標的に関して前記カテーテルの前記遠位部分の位置及び/又は向きを決定するステップと、
前記プロセッサが、前記関心領域内で、前記参照標的から所定の距離に少なくとも2つの衛星標的を生成するステップと、
前記少なくとも2つの衛星標的の各々に対して前記カテーテルの前記遠位部分を逐次アライメント及び/又はナビゲートするための情報を用いて、前記カテーテルの前記遠位部分を前記少なくとも2つの衛星標的とどのようにアライメントするかをユーザが決定できるように、前記プロセッサが、前記カテーテルの前記遠位部分の仮想表現と、前記少なくとも2つの衛星標的の仮想表現とを、表示画面に表示するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記カテーテルの前記遠位部分の前記位置及び/又は向きに基づいて、前記カテーテルの前記遠位部分の後続の位置及び/又は向きを計算して、前記少なくとも2つの衛星標的の各々に対して前記カテーテルの前記遠位部分を逐次アライメント及び/又はナビゲートするステップ、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ツールチャネルから撮像機器を除去し、前記管腔から前記カテーテルを除去せずに前記ツールチャネルを通してエンドエフェクタツールを挿入するよう、前記プロセッサが前記ユーザに促すステップ、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記カテーテルの前記遠位部分から前記少なくとも2つの衛星標的のうちの少なくとも1つまで前記エンドエフェクタツールを誘導するための方位角度と、距離誤差と、挿入軌道と、挿入深さと、のうちの1つ以上を前記表示画面に表示するステップと、
前記エンドエフェクタツールのアライメント及び誘導の対象となる前記少なくとも2つの衛星標的のうちの各々を逐次選択するよう、前記プロセッサが前記ユーザに促すステップと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記表示画面に、確認及び警告のうちの1つ以上を表示するステップ、
を更に含み、
前記エンドエフェクタツールの前記挿入軌道が前記少なくとも2つの衛星標的のうちの選択された1つと閾値内で交差する場合に、前記確認が表示され、
前記エンドエフェクタツールの前記挿入軌道が、前記閾値よりも大きい誤差距離により、前記少なくとも2つの衛星標的のうちの選択された1つと交差しない場合に、前記警告が表示される、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2020年12月30日に提出された米国仮特許出願第63/132358号と、2020年2月22日に提出された米国仮特許出願第63/152081号に対する優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。優先権の利益は、米国特許法第119条(e)の下に主張される。
【0002】
本開示は、医療機器、システム及び方法に関する。より詳細には、本開示は、仮想の衛星標的(satellite target)を用いた腔内ナビゲーションの制御用に構成されたロボット支援操縦可能医療機器を対象とする。
【背景技術】
【0003】
画像誘導気管支鏡検査器具等の操縦可能医療機器は既知であり、Auris Health社やVeran Medical Technologies社等の多くのメーカーから入手可能である。このような器具は、ユーザが器具を標的病変までナビゲートし、標的病変に対して手技(例えば生検サンプルの採取)を実施するのを支援するために、小さなカメラ、トラッキングシステム及びナビゲーションソフトウェアを有する。ナビゲーションは、内視鏡カメラと位置トラッキングシステム(電磁(EM)場センサシステム等)の両方を用いて行われる。この技術の例は、米国付与前特許出願公開第2020014658号、第20200078101号、第20200367818号、第20190175062号等の特許関連刊行物に記載されている。これらの刊行物は、あらゆる目的で参照により本明細書に援用される。
【0004】
治療結果を向上させるために、前述したような操縦可能医療機器を用いる場合、医師は、特に病変が大きい場合には、病変の生検サンプルを複数採取したいと思う場合がある。同様に、腫瘍性病変の場合は、病変の複数箇所でアブレーション手技を行うことが望ましい可能性がある。そのためには、同じエリアを複数回サンプリングするのではなく、同じ病変に対して手技を複数回実施する必要がある(例えば、別々のエリアから複数のサンプルを採取する)。複数のサンプルを得る理由のひとつは、例えば、癌組織が病変のある部分よりも他の部分に多く存在する可能性があることである。同じ疑わしい病変から複数のサンプルを得る別の理由は、例えば、癌細胞には周辺エリアに広がる傾向があり、医師が腫瘍のサイズの決定を望む場合があることである。その点について、除去可能な内視鏡カメラを備えた操縦可能カテーテルには、医師が病変や先にサンプルを採取した部位を可視化できないという課題がある。より具体的には、除去可能な撮像機器を備えた操縦可能カテーテルでは、医師は、内視鏡カメラを用いて、カテーテルを病変内に位置する初期標的とアライメントしてから、カメラを生検ツールに交換して、生検サンプルを採取する場合がある。しかしながら、追加の生検サンプルを採取するために、医師は、EMトラッキングシステムによって提供される位置トラッキングを頼りに、カテーテルを配置し直し、初期標的を囲む位置(衛星標的)から追加のサンプルを採取しなければならない。このシナリオでは、医師は、手技の仮想表現を作成するために、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、超音波(US)イメージング、その他の類似の技術等の術前及び/又は術中のイメージング技術を用いる場合がある。しかしながら、画像誘導技術やロボット支援技術を使用しても、正確に誘導が行えなかったり、予期せぬ障害物があったりするので、医師が衛星標的から安全にサンプルを取得する能力には限界がある。
【0005】
関連技術の画像誘導技術は、ユーザがカテーテルを病変まで誘導し、カテーテル先端をメイン標的に向けるのを支援することができる。しかしながら、ユーザは、メイン標的周辺の特定のポイントでサンプルを採取する際には、画像誘導による支援を受けない。したがって、メイン標的位置までカテーテルをリアルタイムで正確にナビゲートし、同カテーテルを衛星標的位置まで逐次ナビゲートすることのできる、改良型ナビゲーションシステムが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、腔内手技における腔内ナビゲーション誘導を提供するシステムは、以下を備える:作動部に取付け可能な近位セクションと、管腔に挿入可能な操縦可能セクションとを有するカテーテル。カテーテルは、1つ又は複数のツールチャネルを有し、また、作動部からの作動力を受けて、管腔を通してカテーテルの操縦可能セクションをナビゲートするように構成される。作動力は、1つ以上の駆動ワイヤを介して、アクチュエータから操縦可能セクションへ伝達される。少なくとも1つのセンサを有するトラッキングシステムは、カテーテルと、カテーテルの遠位端付近の関心領域に位置する参照標的との間の位置関係(位置及び向き)を確立するように構成される。アクチュエータ及び少なくとも1つのセンサと通信するプロセッサと、コンピュータ実行可能命令を格納しているメモリとは、プロセッサに以下を実行させるように構成される:少なくとも1つのセンサからのデータに基づいて、参照標的に関してカテーテルの操縦可能セクションの遠位端の位置及び向きを決定すること;参照標的を囲む1つ以上の衛星標的を生成すること;及び、(a)操縦可能セクションの遠位端の仮想表現と、(b)参照標的の画像と、(c)1つ以上の衛星標的の仮想表現と、(d)カテーテルの遠位セクションを参照標的及び1つ以上の衛星標的と逐次アライメントするためのナビゲーション誘導と、のうちの1つ以上を表示画面に表示すること。
【0007】
一実施形態によれば、システムは、ソフトウェアに、参照標的を囲む仮想衛星標的を表示させるように構成される。一実施形態では、カテーテルの遠位部分の仮想表現を表示することと、衛星標的の仮想表現を表示することで、カテーテル先端を衛星標的にどのようにアライメントするかをユーザが決定できるようにするのには十分なはずである。他の実施形態では、カテーテルの遠位部分の後続の位置及び/又は向き及び/又は軌道を計算して、衛星標的の各々に対してカテーテルの遠位部分を逐次アライメント及び/又はナビゲートすることや、そのような情報を表示すること等の追加の特徴により、プロセスはより効率的になり得るが、それらは、ユーザがカテーテル先端を‘アクティブ’衛星標的にアライメントするのを支援できるシステムの実施形態を実施するために必須というわけではないので、ユーザは、1つの衛星標的から次の衛星標的に巡回することができる。システム又はユーザは、衛星標的を1つずつ選択的にアクティブ化させて、各衛星標的に対してカテーテル先端を逐次アライメント及び/又は誘導することができる。また、ソフトウェアは、アクティブ標的の色やサイズを変更することにより、ユーザがカテーテル先端を‘アクティブ’衛星標的にアライメントするのを支援することができ、ユーザは、1つの衛星標的から次の衛星標的に手動で巡回することができる。或いは、システムは、例えば1つ以上のセンサを介したサンプリングの検出により、所定の順序で1つの衛星標的から次の衛星標的に巡回するための自動誘導を提供するように構成することができる。
【0008】
本開示の様々な実施形態は、管腔からカテーテルを除去することなく、ユーザが病変内の様々な位置に照準を定めてサンプルを採取するのを支援する。これにより、手技の時間が短縮されるだけでなく、参照標的に関して衛星標的を辿ることにより、ユーザはサンプリング箇所の位置を仮想的にトラッキングできるので、サンプリングの信頼度を高めることができる。
【0009】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された特許請求の範囲と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の更なる目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態を示す添付の図と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0011】
図1図1は、手術室等の医療環境における腔内インターベンション用ロボット支援内視鏡システム1000の例示の実施形態を図示する。
図2-1】図2Aは、機能ブロック図で表されるロボット支援内視鏡システム1000の例示の実施形態を図示する。
図2-2】図2Bは、マルチセグメント操縦可能カテーテル110の例示の実施形態を図示する。図2Cは、EMセンサ190、ツールチャネル105及びワイヤコンジット106を示す操縦可能カテーテル110の断面図を図示する。
図3図3は、腔内手技を実施するために衛星標的を用いた腔内ナビゲーション及び標的設定のためのワークフロープロセスを図示する。
図4図4は、ユーザに対して表示画面に表示された、カテーテル軌道と選択された衛星標的との間のずれを示す測定値を示す。
図5図5Aは、カテーテル先端を選択された衛星標的とアライメントするために、ユーザがカテーテル先端を動かす必要のある方向を表示している表示画面を示す。図5Bは、カテーテル先端が衛星標的とアライメントされたときを示す表示画面を示す。
図6図6A図6B及び図6Cは、メイン(参照)標的の周囲での衛星標的の配置の例を示す表示画面を示す。
図7図7Aは、各衛星標的が固有の外観をもつようにどのように生成及びラベリングされるのかを示す。図7Bは、システムが衛星標的に対してカテーテル先端をアライメント及び誘導するためのナビゲーション誘導を提供するために方向矢印を表示する実施形態を示す。図7Cは、システムが、患者の解剖学的構造の仮想一人称視点(FPV)を生成し、衛星標的を用いて、患者の解剖学的構造の様々な位置までカテーテル先端を逐次ナビゲートする実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な実施形態が更に詳細に説明される前に、本開示は特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。また、当然のことながら、本明細書において用いられる用語は、例示の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。
【0013】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。更に、同封の図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲及び主旨から逸脱することなく、説明される例示の実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。図面はいくつかの可能な構成及びアプローチを表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の特定の態様をより分かりやすく図示及び説明するために、特定の特徴が誇張、削除又は部分的に切断される場合がある。本明細書に記載の説明は、網羅的であること、そうでなければ、図面に示され以下の詳細な説明に開示される正確な形態及び構成に特許請求の範囲を限定又は制限することを意図するものではない。
【0014】
当業者には当然のことながら、一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、“オープン”な用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである、等)。更に、当業者には当然のことながら、導入された請求項記載の具体的な数字が意図されている場合、そのような意図は特許請求の範囲に明示的に記載され、また、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項記載を導入するために、「少なくとも1つの」や「1つ以上の」という導入句の使用を含む場合がある。ただし、そのような語句の使用は、同じ請求項に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」との導入句と、“a”又は“an”等の不定冠詞とが含まれている場合でも、不定冠詞“a”又は“an”による請求項記載の導入により、そのような導入された請求項記載を含む特定の請求項が、そのような記載を1つだけ含む請求項に限定されることを意味すると解釈されるべきではない(例えば、“a”及び/又は“an”は、典型的には、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても、同じことが言える。
【0015】
更に、導入された請求項記載の具体的な数字が明示的に記載されている場合であっても、当業者には当然のことながら、そのような記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきである(例えば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載」とだけ記載される場合、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B及びC等のうちの少なくとも1つ」に類似する記載が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該記載を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。「A、B又はC等のうちの少なくとも1つ」に類似する記載が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該記載を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。更に、当業者には当然のことながら、典型的には、離接語、及び/又は2つ以上の代替用語を表す語句(明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても)は、文脈上別段の指示がない限り、該用語の一方、該用語のいずれか、又は該用語の両方を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」という表現は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0016】
本明細書において、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上」にあるとして言及されるとき、それは、当該他の特徴又は要素の直上に存在してよく、又は、介在する特徴及び/又は要素も存在してよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直上」にあるとして言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。また、当然のことながら、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続される」、「取り付けられる」、「結合される」等として言及されるとき、それは、当該他の特徴に直接的に接続されてよく、取り付けられてよく、又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」又は「直接的に結合される」として言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は図示したが、一実施形態においてそのように説明又は図示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。また、当業者であれば理解できるように、別の特徴に「隣接」して配置されている構造又は特徴への言及は、当該隣接する特徴にオーバーラップするかその下にある部分をもつ場合がある。
【0017】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの指定の用語によって限定されない。これらの指定の用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分は、単に区別を目的として、しかし限定をすることなく、また、構造的又は機能的な意味から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分と呼ぶことができる。
【0018】
本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」、「備える」、「成る」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、本開示では、「~から成る」という移行句は、クレームで指定されていないいかなる要素、ステップ又はコンポーネントも除外する。更に、留意すべきこととして、一部のクレーム又はクレームの一部の特徴は、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
【0019】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、例えば10%以内、5%以内又はそれ未満を意味する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することがある。これに関して、説明され又はクレームされる際に、用語が明示的に表示されていなくても、全ての数値は「約」又は「およそ」という語が前置されているかのように読まれてよい。「約」又は「およそ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するとき、記載の値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用されることがある。例えば、数値は、記述された値(又は値の範囲)の±0.1%、記述された値(又は値の範囲)の±1%、記述された値(又は値の範囲)の±2%、記述された値(又は値の範囲)の±5%、記述された値(又は値の範囲)の±10%等である値を含み得る。本明細書に記載されている場合、あらゆる数値範囲は、具体的に別段の記載がない限り、終了値を含むことを意図しており、そこに属する全ての部分範囲を含む。本明細書で用いられる場合、「実質的に」という用語は、意図された目的に悪影響を及ぼさない、記述子からの逸脱を許容することを意味する。例えば、測定値の限定に由来する逸脱、製造公差内の差異、又は5%未満の変動は、実質的に同じ範囲内にあると見なすことができる。指定された記述子は、絶対値(例えば、実質的に球形、実質的に垂直、実質的に同心等)又は相対語(例えば、実質的に類似、実質的に同じ等)であり得る。
【0020】
具体的に別段の記載がない限り、以下の開示から明らかであるように、本開示を通して、「処理する」、「コンピュータで計算する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」等の用語を用いた議論は、コンピュータシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイス、又は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、同様にコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報の記憶、伝送又は表示用のデバイス内の物理量として表される他のデータに変換するデータ処理デバイスの、動作及びプロセスを指すものと理解される。本明細書に記載されているか、若しくは添付の特許請求の範囲に記載されているコンピュータ動作又は電子動作は、文脈上別段の指示がない限り、一般に、任意の順序で実行することができる。また、様々な動作フロー図が順番に提示されているが、当然のことながら、各種動作は、図示又は特許請求されている順序以外の順序で実行することができ、或いは、動作を同時に実行することができる。そのような代替の順序付けの例としては、文脈上別段の指示がない限り、重複、インターリーブ、中断、再順序付け、増分、準備、補足、同時、逆、又は他の変形の順序付けが挙げられる。更に、「~に応答して」、「~に応えて」、「~に関連して」、「~に基づいて」等の用語、又は他の同様の過去形容詞は、文脈上別段の指示がない限り、通常、そのような変形を除外することを意図していない。
【0021】
本開示は、概して医療機器に関し、ロボットカテーテルの実施形態を例示する。ロボットカテーテルの具体例は、連続体又はヘビ型のカテーテルであり、カメラや光学プローブ等の撮像機器を備えている場合がある。ロボットカテーテル及びその部分の実施形態を、三次元空間におけるそれらの状態に関して説明する。本明細書で用いられる場合、「位置」という用語は、3次元空間における物体又は物体の一部の位置(例えばデカルトX、Y、Z座標に沿った3自由度の並進自由度)を指し、「向き」という用語は、物体又は物体の一部の回転配置(回転の3自由度―例えばロール、ピッチ、ヨー)を指し、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度にある物体又は物体の一部の位置と、少なくとも1つの回転自由度にある物体又は一部の物体の向きとを指し(合計で最大6つの自由度)、「形状」という用語は、物体の長尺体に沿って測定された一連の姿勢、位置及び/又は方向を指す。
【0022】
医療機器の分野において既知であるように、「近位」及び「遠位」という用語は、ユーザから手術部位又は診断部位まで延びる器具の端部の操作に関して用いられる。これに関して、「近位」という用語は、器具のユーザに近い部分(例えばハンドル)を指し、「遠位」という用語は、ユーザから離れており外科部位又は診断部位に近い器具の部分(先端)を指す。更に、当然のことながら、便宜上簡潔にするために、本明細書では、図面に関して「垂直」、「平行」、「上」、「下」等の空間用語が用いられる場合がある。ただし、手術器具は多くの向きと位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的かつ/又は絶対的であることを意図していない。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「カテーテル」との用語は、概して、広範囲の医療機能を実行するために、狭い開口を通して体腔(例えば血管)の中に挿入されるように設計された、医療グレードの材料から作られる軟性の薄い管状器具を指す。より具体的な「光学カテーテル」との用語は、医療グレード材料から作られた保護シース内に配置され光学イメージング機能をもつ1つ以上の軟性の光伝導ファイバの細長い束を含む医用器具を指す。光学カテーテルの特定の例は、シース、コイル、プロテクタ及び光学プローブを備える光ファイバカテーテルである。一部の用途では、カテーテルは、シースと同様に機能する「ガイドカテーテル」を含み得る。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「内視鏡」との用語は、光学プローブによって導かれる光を用いて体腔又は臓器の内部を観察する、硬性又は軟性の医用器具を指す。内視鏡が自然開口を通して挿入される医療処置は、内視鏡検査と呼ばれる。専用の内視鏡は、気管支鏡(口)、S状結腸鏡(直腸)、膀胱鏡(膀胱)、腎臓鏡(腎臓)、気管支鏡(気管支)、咽頭鏡(咽頭)、耳鏡(耳)、関節鏡(関節)、腹腔鏡(腹部)及び消化管内視鏡等、一般に、内視鏡の使用方法や使用場所にちなんで名付けられる。
【0025】
本開示では、「光ファイバ」又は単に「ファイバ」等の用語は、全反射として知られる効果によって一端から他端に光を伝導することができる、細長い軟性の光伝導管を指す。「導光コンポーネント」又は「導波管」との用語も、光ファイバを指す場合があり、又は光ファイバの機能をもつ場合がある。「ファイバ」との用語は、1つ以上の光伝導ファイバを指す場合がある。光ファイバは、一般に透明で均質なコアをもち、それを通して光が誘導され、また、コアは均質なクラッディングによって囲まれている。コアの屈折率は、クラッディングの屈折率よりも大きい。設計上の選択に応じて、一部のファイバは、コアを囲む複数のクラッディングをもつことができる。
【0026】
本開示の1つ以上の実施形態は、仮想の衛星標的を用いた腔内ナビゲーションの制御用に構成されたロボット支援操縦可能医療機器のシステム、方法及びコンピュータ可読媒体を対象とする。「腔内」との用語は、「管腔内」又は管腔の内側として理解されるものとする。
【0027】
<内視鏡システム>
図1及び図2A図2Cを参照して、ロボット支援内視鏡システム1000の例示の構成を説明する。図1は、ロボット支援内視鏡システム1000が使用され得る手術室等の医療環境の例示表現を示す。ロボット支援内視鏡システム1000は、ユーザ10(例えば医師)が患者80に対して腔内手技を実施する際に操作可能な操縦可能器具100(操縦可能医用デバイス)を含んでよい。ロボット支援内視鏡システム1000は、ロボットプラットフォーム90を介して操縦可能器具100に作動的に接続されたコンピュータシステム400を含んでよい。ロボットプラットフォーム90は、1つ以上のロボットアーム92と、並進ステージ91とを含む。コンピュータシステム400(例えばシステムコンソール)は、1つ以上のプロセッサから成る中央処理装置(CPU)410と、液晶ディスプレイ(LCD)やOLED、QLEDディスプレイ等の表示画面420とを含む。記憶装置411(ROM及びRAMメモリ)と、システムインタフェース412(FPGAカード)と、ユーザインタフェース413(例えばマウスやキーボード)は、図2Aに示されるように、CPU410と表示画面420に作動的に接続される。
【0028】
操縦可能器具100は、ハンドル200及び操縦可能カテーテル110を含み、これらは、コネクタアセンブリ50を介して互いに着脱可能に接続される。操縦可能カテーテル110は、操縦可能カテーテルシースや操縦可能シースとも呼ばれる場合があり、連続体ロボットやヘビ型ロボットで知られる作動原理に基づいて連続曲線を形成するように構成される。ハンドル200はアクチュエータシステム300を含み、これは、コンピュータシステム400から電子コマンドを受け取って、操縦可能カテーテル110を機械的に作動させる。ハンドル200は、対象又は患者80内の標的部位に向けて操縦可能カテーテル110をロボット制御で誘導するためのロボットプラットフォーム90に着脱可能に取り付けられるように構成される。ハンドル200がロボットプラットフォーム90に取り付けられていないとき、ハンドル200は、操縦可能カテーテル110を制御するようにユーザによって手動で操作することができる。患者80を処置又は検査するために、操縦可能器具100は、ハンドル200上又はその周りに配置された1つ以上のアクセスポート250を含んでよい。アクセスポート250は、エンドエフェクタを導入したり、患者80との間で流体を通過させたりするために用いられる。トラッキングシステム(電磁(EM)界発生器60と、操縦可能カテーテル110に配置された1つ以上のEMセンサ190とを有する)は、体腔81を通して病変181に向けて挿入されている間の操縦可能カテーテル110の位置、形状及び/又は向きをトラッキングするために用いられる。病変181は、患者の管腔の中又は周辺の関心領域である。病変181は、メイン標的82(例えば腫瘍の中心)と、メイン標的を囲む2次領域(衛星標的)とを含み得る。
【0029】
内視鏡検査手技の間、システムのプロセッサ又はCPU410は、システムのメモリ411に予め保存されたコンピュータ実行可能コードに基づく動作を実行するように構成される。表示画面420は、患者80の患者情報421、内視鏡画像422(ライブビュー画像)、術中誘導画像423及び術前画像424(例えばスライス画像)のうちの1つ以上を表示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含んでよい。
【0030】
図2Aは、ロボット支援内視鏡システム1000の全体構造を、ユーザ及び/又は患者を含まない機能ブロック図で示す。図2Aに示されるように、ロボット支援内視鏡システム1000は、コンピュータシステム400(例えばシステムコンソール)と、ロボットアクチュエータシステム300と、ハンドル200を介してアクチュエータシステム300に接続された操縦可能器具100とを含む。操縦可能器具100は、長手方向軸(Ax)に沿ってこの順序で配置された近位セクション103、中間セクション102及び遠位セクション101から成る操縦可能カテーテル110を含む。近位セクション103は、非操縦可能セクションであり、操縦可能セクションをハンドル200及びアクチュエータシステム300に接続するように機能する。中間セクション102及び遠位セクション101は、操縦可能カテーテルの操縦可能セクションを構成し、この操縦可能セクションが、患者80の体腔81に挿入されるように構成される。遠位セクション101と中間セクション102は、個別に制御可能な複数のセグメント1、2、3、…Nから成り、これらは、体腔81の腔内の蛇行経路を通して操縦可能カテーテルを前進させるときに、曲がり、湾曲し、ねじれ、かつ/又は、回転するように構成される。各湾曲セグメントは、少なくとも1つの環状部品(リング)を含む。慣例により、操縦可能器具100は、x,y,zデカルト座標の3次元(3D)座標系によって定義される3D空間で動作する。操縦可能カテーテル110は、長手方向軸Axに沿って近位端から遠位端へ延びる少なくとも1つのツールチャネル105を含む。操縦可能カテーテル110は、操縦可能カテーテルの長さに沿って配置された1つ以上の位置センサ及び/又は向きセンサ190を含んでよく、また、着脱可能な撮像機器180を含んでよい。撮像機器180としては、ツールチャネル105内に配置されたファイバカメラや小型の電子CMOSセンサが挙げられる。撮像機器180は、その撮像面がx-y平面にあるとともに、操縦可能カテーテル110の長手方向軸Axが3D座標系のz軸に沿って延びるような形で、配置される。
【0031】
生体管腔81(患者80の気道等)に内視鏡を挿入する際、操縦可能カテーテル110の先端(遠位端)は、管腔の中心線に沿って前進する(ナビゲートされる)。この場合、撮像機器180(例えば小型カメラ)は、ツールチャネル105内に配置されて、器具の視野(FOV)から直接撮られた管腔81のライブビュー画像422を提供することができる。しかしながら、一部の実施形態では、操縦可能カテーテル110には、ツールチャネル内にカメラを配置する余裕がない場合がある。この場合、ナビゲーションは、シースに沿って配置された1つ以上のセンサ190によって提供される位置及び/又は向きに基づいて、術中誘導イメージングによって提供されてよい。いずれの場合でも、所望の標的82に到達するために、操縦可能カテーテルの遠位セクションが、標的82(腫瘍等)とアライメントされた最適な位置に到達するまで連続して形状及び方向を変化させるように、操縦可能カテーテル110は、様々な方向に曲がり、ねじれ、かつ/又は回転するように操作されなければならない。
【0032】
操縦可能カテーテル110の操縦(曲げ、ねじり及び/又は回転)は作動システムによって制御され、作動システムは、ハンドル200、アクチュエータシステム300、ロボットプラットフォーム90及び/又はハンドヘルドコントローラ(例えばジョイスティックを備えたゲームパッド)から成り、これらは、ネットワーク接続425を介してコンピュータシステム400と通信している。アクチュエータシステム300は、マイクロコントローラ320及び作動部310を含み、これらは、ネットワーク接続425を介してコンピュータシステム400に作動的に接続される。コンピュータシステム400は、CPU410の1つ以上のプロセッサによって動作する適切なソフトウェア、ファームウェア及び周辺ハードウェアを含む。コンピュータシステム400、アクチュエータシステム300及びハンドル200は、ネットワーク接続425(例えばケーブル束や無線リンク)によって、互いに作動的に接続される。更に、コンピュータシステム400、アクチュエータシステム300及びハンドル200は、ロボットプラットフォーム90によって互いに作動的に接続される。一部の実施形態では、アクチュエータシステム300は、ハンドヘルドコントローラ(ゲームパッドコントローラ等)又はポータブル計算機器(スマートフォンやタブレット等)を含んでよく、或いはそれらに接続されてよい。他の機能の中でも、コンピュータシステム400及びアクチュエータシステム300は、所望の用途に従って操縦可能器具100を操作するために、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)と、表示画面420に表示された患者情報とを、外科医その他の操作者に提供することができる。
【0033】
図2Bは、ハンドル200に取り付けられるように構成された近位セクションを有する操縦可能カテーテル110の例示の実施形態を示す。操縦可能カテーテル110の湾曲セグメントは、遠位セクション101に配置された環状部品(例えばリング101A、リング101B等)と、中間セクション102に配置された環状部品(例えばリング102A、リング102B等)とによって形成されてよい。これらの環状部品は、ツールチャネル105を形成する中央開口と、各環状部品の円環状の壁に沿って中央開口から等距離に長さ方向に配置された複数のコンジット106(溝、サブチャネル又はスルーホール)とを含む。非操縦可能な近位セクション103は、押出成形されたポリマー材料から作製される管状シャフトである。管状シャフトも、中央開口又はツールチャネル105と、中央開口を囲む複数のコンジット106とを有する。このように、カテーテル110内部の少なくとも1つのツールチャネル105は、撮像機器及び/又はインターベンション用ツールの通路を提供する。撮像機器は、照明光学系(例えば光ファイバやLED)と併せて内視鏡カメラ(ビデオスコープ)を含んでよい。照明光学系は、照明光を発して、関心領域である病変181に照射する。病変181は、メイン標的82と、サブ標的83、84とを含み得る。メイン標的82とサブ標的83、84は、患者80の体腔81に沿って(内側に)、かつ/又は、体腔81の周囲に位置し得る。
【0034】
図2Cは、操縦可能カテーテル110の長さ方向に取った断面図を図示する。操縦可能カテーテル110は、その長さに沿って、1つ以上のEMセンサ190(好ましくは2つ以上)と、ツールチャネル105を囲むワイヤコンジット106とを含む。インナーシース117は、シース内で引っ掛からないように、ツールチャネル105を通したインターベンション用手術器具(エンドエフェクタ)の通過を容易にするために設けられる。操縦可能カテーテル110の遠位セクション101は、その遠位端に、とりわけ、カテーテル110の壁に固定的に取り付けられた1つ以上のセンサ190を含んでよい。図2Cに示される実施形態では、遠位セクション101は、カテーテル110の遠位端において環状部品(例えばリング101A)の壁内に、ワイヤコンジット106内部に配置された第1のセンサ190A及び第2のセンサ190Bを含む。シースの他の都合の良い場所に、1つ以上の追加のセンサが配置されてよい。例えば、図2Bに示されるように、操縦可能セクションは、複数の環状部品(リング101A、101B等)によって形成される遠位セクション101と、複数の環状部品(リング102A、102B等)によって形成される中間セクション102とを含む。操縦可能セクションは、1つ以上の駆動ワイヤ210によって付加される作動力(押す力又は引く力)により、変曲点104で1つ以上の方向に湾曲可能である。したがって、ナビゲーション中にカテーテル110の位置及び形状をトラッキングするために、中間セクション102及び/又は変曲点104に1つ以上の追加のセンサが設けられてよい。図2Cでは、2つの追加のセンサ190C、190Dが、中間セクション102のリング102Bの外表面上に設けられている。センサ190が、操縦可能カテーテル110とメイン標的82の間の姿勢及び/又は位置の関係をマップするための正確な情報を提供できさえすれば、これらのセンサの配置は、特定の位置やセンサのタイプに限定されない。
【0035】
一実施形態では、センサ190は、操縦可能カテーテル110の形状、位置及び/又は向きにより、ロボットコントローラ320(例えばゲームパッドコントローラやハンドル200)の動作をマップするように構成されたEMトラッキングシステムの一部であるEMコイルである。例えば、それぞれ6自由度(6DOF)をもつ複数のEMトラッキングセンサを用いて、互いに独立して、カテーテルシースの中間セクション及び遠位セクションの動きを検出し、ねじれ、曲げ及び/又は回転の量を計算することができる。1つ以上のセンサ(例えば第1のセンサ190A及び第2のセンサ190B)は、メイン標的に対するシースの遠位先端の位置及び向きを検出及びトラッキングすることができる。1つ以上の追加のセンサ190C、190Dは、シースの中間セクションの形状の変化(曲げ)又は変形(楕円化)を検出及びトラッキングすることができる。直径がサブミリメートルであり長さが約5mmである典型的な6DOFEMセンサは、位置と向きの両方を測定することができる。したがって、EMセンサの第1のペア(例えばセンサ190Aとセンサ190B)は、メイン標的に対するシースの遠位端の位置及び回転を測定することができ、追加のEMセンサ190Cは、操縦可能カテーテル110の中間セクションの動作(曲げ、ねじれ、回転等)を測定することができる。このように、コントローラ320又はシステムプロセッサ若しくはCPU410によってこのようなEMセンサの信号を用いて、カテーテル110の様々なセクションとシースの遠位端の形状、位置及び/又は向きの変化を、互いに独立して、正確にトラッキングすることができる。他の実施形態では、1つ以上のセンサ190は、透視イメージンを介して可視である放射線不透過性マーカ、及び/又は、超音波イメージングを介して検出可能なパターンを有してよい。
【0036】
コントローラ320は、患者の解剖学的構造の曲がりくねった腔内経路をナビゲートするための適切なシャフト誘導を実施するために、アクチュエータ又はモータ(310)を能動的に駆動し、センサ(304又は190)によって検知し、フィードバック信号305に従って動作することによって、各駆動ワイヤ210を制御することができる。
【0037】
駆動ワイヤ210は、環状部品の壁に沿ってワイヤコンジット106のうちの1つ以上に通される。駆動ワイヤ210の遠位端は、操縦可能セクションに沿った様々な点で、シースに固定的に取り付けられる。例えば、図2Cでは、駆動ワイヤ210は、最も遠位のリング101Aに、アンカーポイント213で取り付けられる。他の駆動ワイヤ210は、同じように変曲点104に取り付けられる。また、ワイヤコンジット106は、他のタイプのワイヤを通すように機能する。例えば、図2Cに示されるように、コンジット106は、センサ190をアクチュエータシステム又はコンピュータシステムに接続するために用いられる電気ケーブル211を通すように機能する。
【0038】
再び図2Aを参照すると、ハンドル200は、操縦可能器具100とロボットアクチュエータシステム300及び/又はロボットプラットフォーム90との間の電気機械インタフェースを提供する。例えば、ハンドル200は、機械接続、電気接続及び/又は光学接続のインタフェースと、操縦可能カテーテル110をアクチュエータシステム300及び/又はコンピュータシステム400とインタフェース接続するためのデータ/デジタル接続とを提供することができる。また、ハンドル200は、外科医又は操作者がツールチャネル105を通してエンドエフェクタツールを挿入する際に使用できる1つ以上の入力ポート250を提供することができる。ハンドル200は、カテーテル110の遠位セクション101を手動操縦するための1つ以上のダイヤル252を含んでもよい。「エンドエフェクタ」との用語は、手術器具の作業部分を指す。内視鏡手術器具としては、当技術分野の当業者に知られているように、検査中又は手術中に身体部分(器官や腫瘍組織)を操作するのに役立つ鉗子、把持器、はさみ、ステープラ、アブレーション針その他の同様のツールが挙げられる。
【0039】
ロボットアクチュエータシステム300は、作動部310及びマイクロコントローラ320を含む。作動部310は、モータ1~モータMとして示される複数の作動モータ(又はアクチュエータ)を含んでよく、Mは、1よりも大きく、操縦可能カテーテル110の各種セグメントを操縦するのに必要な駆動ワイヤ210の数に等しい整数である。駆動ワイヤ210は、カテーテル110の操縦可能セクションに沿った様々な点で固定される。また、ロボットアクチュエータシステム300は1つ以上のセンサ304を含む。センサ304は、作動部によって駆動ワイヤ210に加えられる押す力又は引く力によってかかる圧縮力又は引張力を検出及び/又は測定するように機能するひずみセンサ及び/又は変位センサ(例えばホール効果センサ)を含んでよい。センサ304は、操縦可能カテーテル110の操作(操縦)中に各駆動ワイヤ210に加えられている圧縮力又は引張力の量(ひずみの量)に対応するフィードバック信号305を出力することができる。各駆動ワイヤ210のセンサ304からの信号305は、マイクロコントローラ320に供給されて、各アクチュエータ又はモータが個別に制御される。このように、各駆動ワイヤ210は、患者の解剖学的構造の管腔内の蛇行経路を通して操縦可能カテーテル110をナビゲートするために適切な誘導を実施するように、能動的に制御することができる。
【0040】
一例では、誘導システムを使用する場合、操縦可能カテーテル110は管腔81を通ってロボット制御で前進し、センサ(304及び/又は190)は、カテーテル先端の挿入深さと、操縦可能セクションの角形成とを測定して、挿入軌道情報を取得する。軌道情報は、システムのメモリに記憶され、操縦可能器具が管腔81内で操作されるときに連続的に更新される。挿入距離を少し前進させた後、新しい形状が所望の軌道に厳密に一致するように器具のセグメントを調整する(ねじる及び/又は曲げる)ことにより、操縦可能カテーテルの形状が修正される。このプロセスは、標的エリアに到達するまで繰り返される。操縦可能器具が患者から引き抜かれるときも、同じプロセスが適用され得る。これは、例えば米国第2007/0135803号(あらゆる目的で参照により本明細書に援用される)に記載されるような、既知のナビゲーション技術に類似する。
【0041】
再び図1を参照すると、除去可能な撮像機器を用いるカテーテルシース(又は撮像機器を用いないカテーテル)の場合、医師は、内視鏡検査手技を完了するためにEMトラッキングシステムを当てにしなければならない。例えば、病変181内から生検サンプルを採取する際、挿入経路を可視化し、標的に対してカテーテルを視覚的にアライメントするために、撮像機器(例えば内視鏡カメラ)を用いて、カテーテル110は、標的82に向けて管腔81を通してロボット制御でナビゲートされる。カテーテル先端が標的82とアライメントされた後、カメラは、カテーテルから除去され、ツール(例えば生検ツールやアブレーション針、その他のエンドエフェクタ)に交換される。システムは、ユーザ(医師)が挿入されたツールを用いて予め定められた腔内手技を行う(例えば、医師が生検サンプルを採取する)のを支援する。しかしながら、医師が標的82の周囲の衛星位置で追加のサンプルを採取する必要がある場合、生検ツールが関心領域から過度に逸脱したり、生検ツールが障害物に遭遇したりするリスクがある。
【0042】
先に述べたように、治療結果を向上させるために、操縦可能医療機器を操縦可能カテーテル110として使用するとき、医師が、複数のサンプルを採取することや、患者の解剖学的構造の複数箇所を検査することを望む場合がある。したがって、図2Aに示されるような状況では、例えば第1の衛星標的83や第2の衛星標的84を含む衛星標的にカテーテル110の遠位端(カテーテル先端)がナビゲートされる場合もある。この場合、初期標的82を特定し撮像するために撮像機器180のFOVを利用することができるが、撮像機器180がインターベンション用ツール(例えば生検ツール)に交換された後は、衛星標的83、84を見るために撮像機器180を利用することはできなくなる。したがって、本開示に係る内視鏡システムは、ユーザが内視鏡カメラを用いずに操縦可能カテーテル110を衛星標的まで正確にナビゲートするのを支援するために、仮想ビューで衛星標的を表示し、衛星標的の仮想画像を、測定値及びナビゲーション命令(ナビゲーションガイダンス)とともに表示画面420に提示するように構成される。
【0043】
<仮想衛星標的を用いたロボット支援ナビゲーション及び標的設定>
本開示の1つ以上の実施形態によれば、ソフトウェアシステムは、初期標的の位置を「参照標的」又は「メイン標的」として設定し、その後、システムは、初期(参照)標的を囲む仮想衛星標的を生成し表示する。システムは、病変のサイズや手技のタイプ、カテーテルから衛星標的までの可能な軌道等の1つ以上のパラメータに基づいて、衛星標的を生成する。このように、システムは、1度に1つの衛星標的を“アクティブ”衛星標的として規定し、1つの衛星標的から次の衛星標的に巡回させるようユーザに指示することにより、ユーザがカテーテル先端を各衛星標的にアライメントするのを支援することができる。このような1つの標的から次の標的への巡回は、ユーザの判断で手動で行われてもよいし、或いは、例えば生検手技では、センサ(EMセンサ、形状センサ、力センサ等)を通してサンプリングのサイズや深さを検出することによって、自動で行われてもよい。
【0044】
図3に、コンピュータシステム400によって実施される例示のワークフロープロセスを図示する。図3は、ユーザが病変181内で生検サンプルを採取する際にどのように衛星標的を使用できるかについてのワークフロープロセスS300である。ユーザは、事前に取得された(術前の)ボリューム画像データ(CTやMRI、超音波、透視、又は同様のボリューム画像データ等)に基づいて、患者の解剖学的構造(例えば気道)とその中の疑わしい病変をセグメント化することから始める。次に、セグメンテーション内のカテーテルの位置を仮想的に示すことができるように、ユーザは、EM座標系を患者座標系とレジストレーションすることができる。次に、ユーザは、カテーテルを標的(好ましくは疑わしい病変の中心)までナビゲートし、カテーテルの先端を標的とアライメントする。次に、ユーザは、標的設定モードに入り、1つ以上の衛星標的の位置を定める。衛星標的の位置は、セグメント化プロセス中にセグメント化された病変内で予め定められてよい。次に、ソフトウェアが、病変(メイン標的又は参照標的)の中心の周りに衛星標的を“配置”する。次に、ユーザは、照準を合わせる(アライメントする)衛星標的を巡回することができ、ソフトウェアシステムは、生検サンプルの採取前に、カテーテル先端を各アクティブ衛星標的と逐次アライメントする方法についてユーザに指示する。
【0045】
より具体的には、図3のワークフロープロセスS300は以下のステップを含むが、これらは必ずしも時系列順ではない。ステップS302:ユーザが、患者の解剖学的構造の術前ボリューム画像を取得するようシステムを制御する。一部の実施形態では、術前画像は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)標準データ交換プロトコルを用いて、画像保管通信システム(PACS)サーバから取得されてよい。一部の実施形態では、患者の解剖学的構造のボリューム画像は、腔内手技時に取得されてよい。ステップS304:システムが、取得されたボリューム画像をセグメント化して、関心領域を特定する(例えば、患者の気道が解剖学的構造であり、その中の疑わしい病変が関心領域であり得る)。セグメンテーションプロセスから、システムは、患者の解剖学的構造と関心領域の仮想マップを作成する。
【0046】
ステップS306:コンピュータシステムが、電磁(EM)トラッキングシステムの座標を患者座標系とレジストレーションする。参照標的は患者座標系で特定されるので、EMトラッキングシステム座標と患者座標系のレジストレーションが必要となる。レジストレーション技術は当業者に周知であり、そのようなレジストレーションはEMトラッキングに限定されない。とはいえ、EMトラッキンシステムは、EMセンサのサイズが非常に小さく、視線(LOS)の制約がないので、医用器具のリアルタイムトラッキングにますます使用されるようになっている。その点について、図1に戻って想起されたいこととして、電磁(EM)界発生器60は、体腔81を通して患者80内のメイン標的82(例えば腫瘍の中心)に向けて挿入されている間の操縦可能カテーテル110の位置、形状及び/又は向きをトラッキングするために、操縦可能カテーテル110上に配置された1つ以上のEMセンサ190と相互作用する。更に、医療手技中、標的設定された解剖学的構造に対するカテーテル先端又は他の器具若しくはその部品の動的ナビゲーションは、カテーテル内に組み込まれた1つ以上のEMセンサ(例えば電磁コイルセンサ)の位置から連続的にトラッキングすることができ、当該位置は、スライス画像に重ね合わされたカテーテルの画像(動画)として提示することができる。次に、カテーテルの画像を用いて、メイン標的82及び1つ以上の衛星標的に関するカテーテル位置のリアルタイム画像誘導を提供することができる。
【0047】
ステップS308:システムが、内視鏡カメラ、EMトラッキングシステム及びセグメント化された気道ビューを用いて、ナビゲーションモードでカテーテルシース(操縦可能器具)を病変までナビゲートするよう、ユーザに促す。ステップS310:ユーザが、内視鏡カメラ及びEMトラッカを用いて、カテーテル先端を標的病変(例えば標的病変の中心)とアライメントする。ステップS312:ソフトウェアシステムが、標的病変(標的82)の位置及び向きを「参照標的」又は「メイン標的」として記録する。ここで、システムは任意で、参照標的の1つ以上の画像を記録してよい。1つ以上の画像は、その後、参照標的の周りに衛星標的を生成及び配置するために用いることができる。ステップS314:ユーザが、内視鏡カメラをインターベンション用ツールに交換し、システムは、標的設定モードに入る。標的設定モードにおいて、ステップS314では、システムは、内視鏡カメラをインターベンション用ツールに交換する前に参照標的の位置を確認するよう、ユーザに促すことができる。ステップS316:ユーザが、「衛星標的」と、カテーテル先端に対する衛星標的の可能なアライメントとを規定する。一部の実施形態では、ソフトウェアシステムは、例えば病変のサイズ(セグメント化プロセス中に決定される)に基づいて、衛星標的を自動的に規定するようにプログラムされてよい。ステップS318:ソフトウェアシステムが、初期参照標的の周りに衛星標的を生成及び表示する。このステップとして、参照標的は、標的病変の形状及び/又はサイズを表す仮想画像として表示されてもよいし、或いは、システムが参照標的の実際の画像を表示してもよい。更に、インターベンション用ツールが挿入された状態で、システムは、衛星標的の各々に関するカテーテル先端の位置及び向きを計算及び記録することができる。参照標的と衛星標的が規定されて表示されると、システムはサンプリングモードに入る。
【0048】
サンプリングモードにおいて、ステップS320:ユーザが、手技を行う(例えば生検サンプルを採取する)標的を選択する。ステップS321では、ソフトウェアシステムが、EMトラッキングシステムからの位置情報と、選択された標的の位置とを用いて、選択された(アクティブな)標的に対するカテーテル先端1310のアライメント及び/又はナビゲーションが適切に行われるように取るべき動作を計算(算定)する。手技中、カテーテル及び/又は標的は安定しない場合があるので、ソフトウェアは、カテーテル先端1310と“アクティブ標的”の間のずれを常に計算する。ずれの計算に際し、ソフトウェアシステムは、ステップS314で記録された参照標的の位置及び/又は向きと、トラッキングシステムから受け取った位置情報とを用いることができる。ステップS314で記録された情報を用いて、ソフトウェアシステムは、選択された標的に到達するようにカテーテル先端1310を作動させるべき軌道について、実際の距離(位置)及び/又は角度(向き)を計算し表示する。これは、サンプリングされる標的が参照標的82であるのか、或いはその衛星標的であるのかに関わらず当てはまる。言い換えれば、サンプリングモードでは、アクティブ標的が衛星標的であるのか参照標的であるのかに関わらず、システムは、同じレベルの計算を必要とする。ステップS322:ユーザ又はシステムが、ソフトウェアの測定値及び標示(indication)を用いて、カテーテル軌道と選択された標的とをアライメントする。ステップS322のプロセスは、インターベンション用ツール(エンドエフェクタ)をカテーテル先端から選択された標的まで誘導することを含んでよい。ステップS324:ユーザ又はシステムが、選択された標的に対して所望の手技を実行する(例えば、生検サンプルの採取やアブレーションの実施)。ステップS326:システムが、更なる標的が存在するかどうか、或いは、追加の動作が必要かどうかを決定するよう、ユーザに促す(又は、自動的に決定する)。例えば、選択された標的がサンプリングされた後、システムは、「次の標的に移動する」か手技を終了するかを決定するプロンプトをユーザに出力する。代替又は追加として、ステップS326では、システムが、手技が成功したかどうかを評価するようユーザに促してもよいし、或いは、システムが、手技の不全や失敗についてユーザに警告してもよい。ステップS320~S326は、逐次選択された標的が全て処理(サンプリング、アブレーション等)されるまで、反復的に繰り返されてよい。全ての標的が処理されると、図3のプロセスは終了する(例えば、患者からカテーテルが引き抜かれる)。
【0049】
<ロボット支援アライメント誘導>
図4図5A及び図5Bは、ロボット支援のカテーテルアライメント及び/又はナビゲーションの例を図示する。先に述べたように、カテーテル110は、最初に患者80(例えば自然開口や小さな切開部)に挿入され、管腔81を通して関心領域(病変81)まで運動学的にナビゲートされる。ユーザは、内視鏡カメラのライブビュー画像を用いて、カテーテル先端をメイン標的とアライメントする。その後、ユーザは、カメラを除去し、インターベンション用ツールを挿入する。システムは、メイン標的の周りの複数の衛星標的に対してカテーテル先端をアライメント及び/又はナビゲートするよう、ユーザを誘導する。図4は、コンピュータシステム400の表示画面420を示しており、関心領域である病変181内の複数の標的に関するカテーテル先端1310の1つの可能な配置が示されている。表示画面420は、カテーテル先端1310及び病変181を、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)440と測定値セクション442とともに表示することができる。具体的には、図4は、第1の衛星標的83、第2の衛星標的84、第3の衛星標的85及び第4の衛星標的86に囲まれた参照標的82を示す。ここで、ユーザは、カテーテル先端1310とアライメントする対象として第1の衛星標的83を選択している。実空間における参照標的82と衛星標的83~86の配置は、2次元(2D)平面で考えることもできるし(例えば標的は、カテーテル先端から実質的に同じ深さにあり得る)、或いは、3次元(3D)環境で考えることもできる(例えば標的は、カテーテル先端とは異なる深さや異なる平面にあり得る)。したがって、カテーテル先端1310から参照標的82までの軌道1320と、カテーテル先端から各衛星標的83~86までの実際の距離は、各衛星標的に対するカテーテル先端1310のアライメント及びナビゲーションの前に正確に決定される必要がある。
【0050】
図4において、測定値表示セクション442は、カテーテル軌道1320と選択された(アクティブ)衛星標的83との間のずれをユーザに知らせる。ユーザがずれを修正し、カテーテル先端1310を衛星標的に正確にアライメントするのをソフトウェアシステムが支援できる方法のひとつは、カテーテル先端1310と選択された衛星標的とのリアルタイムの位置関係に基づいて、手技環境の仮想ビューに指示を提供することである。例えば、図4に示されるように、ソフトウェアシステムは、カテーテル先端1310と各衛星標的のアライメントを改善するためにカテーテルを曲げるのに必要な方向をユーザに指示するために、線(軌道、距離、誤差等)と矢印1335を生成して表示することができる。矢印1335の方向は、ユーザがカテーテルの操縦可能セクションを作動させるためのコントローラのジョイスティックを動かす方向と一致することが理想である。そのために、ソフトウェアシステムは、ツール軌道1320から標的までのずれを測定し、そのような値を、適切な調整を行うための指示とともにユーザに対して表示するようにプログラムされてよい。例えば、ソフトウェアシステムは、カテーテル本体を曲げる必要のある角度と、適切なアライメントのための絶対距離1330、実際の軌道距離1320及びリアルタイムのミス距離(すなわちリアルタイムの“誤差距離”1340)を計算することができる。
【0051】
図4では、測定値表示部442は、絶対距離1330と、現在の軌道1320と、カテーテル先端1310と選択された衛星標的83との間の誤差距離1340のリアルタイム値を示している。絶対距離1330は、3D空間におけるカテーテル先端1310から選択された標的までのリアルタイム距離である。軌道1320は、カテーテル先端1310から、選択された標的83を含む平面までの距離である(すなわち、カテーテル先端から、カテーテル軸に垂直であるとともに選択された衛星標的の中心を通る平面までの距離)。点1380は、カテーテル軌道1320と、選択された衛星標的83の中心を通る平面との交点を表す。また、カテーテル軌道1320は、医師が病変の中心又はその衛星位置に到達するためにツール(例えばアブレーション用ツール)を挿入する必要のある挿入深さを表すこともできる。ミス距離(又は誤差距離1340)は、軌道1320が選択された衛星標的83からどの程度ずれているかを示す。この実施形態では、ソフトウェアシステムは、ユーザが病変のサイズに基づいて、ミス距離を実質的にゼロまで、又は最小閾値内まで最小化することを可能にするように構成される。この“誤差距離”情報は、例えば、ユーザが表示画面420に提供されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)440を用いて、カテーテルを手動で操縦する際に使用することができる。代替又は追加として、この“誤差距離”情報をシステム制御部に直接送信して、選択された衛星標的とのカテーテルアライメントを自律的に制御することができる。カテーテルの作動が自律的に制御される場合、ソフトウェアシステムは、カテーテル先端のアライメントを反復的に制御し、計算された軌道が所望の又は選択された標的位置への到達に十分であるかどうかを確認するプロンプトをユーザに提供することができる。
【0052】
1つ以上の実施形態では、各衛星標的のサイズ及び形状は、例えば病変のサイズと標的の数に基づいて、手動又は自動で規定することができる。ここでの衛星標的の「サイズ」、「形状」、「体積」又は同様のパラメータは、ユーザが標的としている解剖学的構造の領域を、一定の許容誤差(margin of error)をもって表す。領域は、2次元(2D)又は3次元(3D)のいずれの形状で規定されてもよく、各衛星標的の形状、別の衛星標的と同じであっても異なっていてもよい。許容誤差は、手動又は自動で規定することができる。許容誤差(公差)は、固定値であってもよいし、領域のパーセンテージであってもよい。1つ以上の実施形態では、許容誤差は、衛星標的ごとの固有値であってもよいし、或いは、全ての標的に一斉に適用される一様の値(例えば病変のサイズのパーセンテージ)であってもよい。
【0053】
図5A図5Bは、カテーテル軌道を選択された衛星標的とアライメントするために、ユーザがカテーテルを動かす必要のある方向を示す。有利な点として、カテーテルが選択された衛星標的と正確にアライメントされたとき、ソフトウェアシステムは、カテーテルが選択された衛星標的といつアライメントされたのかを示すことができる。或いは、カテーテルが衛星標的内のエリアに照準を定めておらず、許容誤差が所定の閾値よりも大きいとソフトウェアシステムが決定した場合、ソフトウェアは、サンプリングを回避するよう、ユーザに警告アラートを提供することができる。同様に、衛星標的が許容誤差内にある場合、ソフトウェアシステムは、ユーザがサンプリングを開始できるように確認アラートを提供することができる。このような警告アラートや確認アラートは、音声、視覚、触覚その他の既知の技術によって提供することができる。視覚アラートの一例は、選択された衛星標的との交点から軌道が離れている距離に基づいて、選択された衛星標的の属性を離散的又は連続的に変化させることである。
【0054】
図5A及び図5Bに示される一実施例では、ソフトウェアシステムは、参照標的82と複数の衛星標的(第1の衛星標的83、第2の衛星標的84、第3の衛星標的85及び第4の衛星標的86を含む)を、関心領域である病変181内に表示している。図5Aでは、ソフトウェアシステムは、カテーテルの実際の軌道(図示なし)が選択された衛星標的83と交差していない場合に、第1の色(例えば赤)を第1の衛星標的83に割り当てる。図5Bでは、ソフトウェアシステムは、カテーテルの実際の軌道が衛星標的83と交差している場合に、第2の色(例えば緑)を選択された衛星標的83に割り当てる。更に、ソフトウェアシステムは、ナビゲーション及び標的設定データも表示する。例えば、システムは、ユーザがカテーテルシースの操縦可能セクションを制御する方法を示す方向矢印と数値を表示する。図5Aでは、カテーテル軌道が選択された(アクティブ)衛星とずれている場合に、選択された衛星標的83が赤くなる。更に、カテーテルの仮想中心から衛星標的83の中心まで線インジケータ1540も引かれる。線インジケータ1540は、アライメントを改善するために必要なカテーテルの曲げの大きさ及び方向を示すような形で表示される。図5Bでは、カテーテルの軌道が選択された標的とアライメントされた場合に、衛星標的83が緑色(異なる色)になる。図2では、更にアライメントを改善するようユーザに指示するために、カテーテルと衛星標的83の中心とを結ぶ線インジケータ1540が示されたままである。カテーテルが所望の標的とアライメントされていることをユーザに知らせるために、カテーテルの軌道がより正確に衛星標的とアライメントされるにつれて、線インジケータ1540の大きさ(長さ又はサイズ)は小さくなる。
【0055】
<衛星標的の配置>
1つ以上の実施形態によれば、衛星標的の配置についての実施例は、ソフトウェアシステムが、参照標的に関して所望の距離内に衛星標的を自動的に配置するように構成(プログラム)されることである。参照標的は通常、セグメント化された病変(又は関心領域)の中心として指定される。したがって、衛星標的は、特定の基準に従って、参照標的の近くに自動的に配置することができる。例えば、衛星標的は、病変の中心から所定の距離に配置することができ、かつ/又は、衛星標的は、所定のパターン(例えば、所定の度数の円形パターン、楕円形パターン、又は2D又は3D空間における他の幾何学的パターン)に分布させることができる。衛星標的を規定する基準は、内視鏡又はカテーテル(操縦可能カテーテル110)を通して実施されるインターベンション手技の種類によって異なってよい。衛星標的の数や配置形状に制限はなく、係る配置は、ユーザによって手動で設定されてもよいし、システムによって自動で設定されてもよい。更に、(例えば、最初に参照標的の位置及び向きを視覚的に確認することによって)術中手技中に衛星標的を規定及び配置することが有利であり得るが、少なくとも一部の実施形態では、参照標的と衛星標的は、カテーテル挿入の前に(例えば術前画像に基づいて)規定することができる。
【0056】
衛星標的の自動配置(配列)は、事前設定された単純なパターンに基づいてもよいし、病変のサイズ及び/又は均質性等の他のパラメータに基づいてもよい。また、自動配置は、エンドエフェクタのサイズや、所与のインターベンション手技に使用されるツールのタイプ等のパラメータに基づいてもよい。例えば、生検手技の場合、サンプリングされる衛星標的のサイズ及び/又は数は、病変又は腫瘍を処置するためのアブレーション手技での衛星標的の数とは異なる可能性がある。また、参照標的に関する衛星標的の分布と位置は、ユーザの知識と技能に基づいて、ユーザによって手動で設定されてよい。一部の実施形態では、患者のバイオリズム等の第4の次元を、衛星標的の配置に加えることができる。例えば、患者の心拍周期や呼吸周期、血流、気流、血圧その他の生物学的パラメータに応じて、参照標的に関して特定の位置及び/又は向きで衛星標的を配置することができる。言い換えれば、患者の生物学的パラメータ(例えば呼吸周期)を考慮する場合、衛星標的は、生物学的パラメータの所定の相(例えば呼吸周期の完全吸気時又は完全呼気時)でのみカテーテル先端とアライメントされるように規定することができる。
【0057】
図6A図6B及び図6Cは、衛星標的の自動配置の例を示す。図6A図6B及び/又は図6Cに示される一実施例では、ソフトウェアは、2D平面上の円内に衛星標的を分布させ、参照標的は円の中心にある。2D平面はカテーテルの向きに基づいており、衛星標的は、衛星標的の数に基づいて、この円の円周上に実質的に等距離に配置される。この円の向きと半径は、例えば病変(例えば腫瘍)のサイズに基づいて、手動又は自動で調整することができる。また、この分布は、どのような形状やパターンであってもよく、配置は2Dであっても3Dであってもよい。ソフトウェアは、カテーテル軌道に垂直な2D平面上で、参照(中心)標的を中心とする円状に衛星標的を自動的に分布させる。
【0058】
図6Aは、参照標的82周囲での6つの衛星標的の自動分布を示す。具体的には、システムは、参照標的82の周りに第1の衛星標的83、第2の衛星標的84、第3の衛星標的85、第4の衛星標的86、第5の衛星標的87及び第6の衛星標的88を配置している。この配置では、衛星標的は、半径(r)の円(C)の周りに、参照標的82から等距離に、互いに60度離れて配置されている。図6Bは、4つの衛星標的(83、84、85及び86)の自動分布を示し、衛星標的は、互いに90度離れて、参照標的82から等距離に配置されている。図6Cは、図6Bと同様に90度離れている4つの衛星標的の自動分布を示す。ただし、図6Cでは、図6Bの配置に対して衛星標的の向きが90度回転しており、円Cの半径(r)が大きくなっている。先に述べたように、配置は、特定の幾何学的形状や衛星標的の数に限定されない。少なくとも1つの衛星標的(1つ以上の衛星標的)が規定され、参照標的に関して所望(所定)の距離に配置されさえすれば、有利な点として、システムは、カテーテルの遠位部分の仮想表現と、衛星標的の仮想表現とを表示することができ、この情報(ナビゲーション誘導)は、ユーザが1つ以上の衛星標的に対してカテーテル先端のアライメント/ナビゲーションを行う方法を決定できるようにするのに十分であろう。
【0059】
<衛星標的の特定及びラベリング>
衛星標的は、固有の形状、識別情報(ID)及び/又は手技用途をもつように分類することができる。言い換えれば、衛星標的には、ユーザが病変の中心を囲む近隣位置まで進むのを支援する上で独自の利点があり得るが、衛星標的は、ユーザが解剖学的領域の近隣の器官まで進むのを支援することにも使用することができる。図7Aは、関心領域内で複数の標的を規定する際に、各衛星標的をラベリングし、固有の外観をもつように指定することができる方法を示す。図7Bは、カテーテル先端を衛星標的まで誘導するためのナビゲーション誘導を提供するために方向矢印が用いられる実施形態を示す。図7Cは、患者の解剖学的構造の管腔内の参照標的位置から近隣(衛星)位置までカテーテル先端をナビゲートするための一人称視点(FPV)のシミュレーションを示す。
【0060】
より具体的には、少なくとも1つの実施形態によれば、個々の標的を識別し、固有の名称(ID)や番号、色、形状等を用いてタグ付けすることができる。この識別は、ソフトウェアによって自動で行われてもよいし、ユーザによって手動で行われてもよい。衛星標的の識別の例を、図7Aに示す。図7Aでは、中央の標的が参照標的82として規定され、第1の色(緑)が割り当てられている。対照的に、衛星標的は、異なる色、異なる名称又はID(A、B、C、D)によって識別され、異なるサイズによって規定される。例えば、第1の衛星標的83は、文字“A”によってタグ付けされ、色(青)が割り当てられ、衛星標的の中で最も大きい直径をもつ円形状又は球形状によって規定される。第2の衛星標的84は、文字“B”によってタグ付けされ、色(白)が割り当てられ、衛星標的の中で最も小さい直径をもつ球形状又は円形状によって規定される。同様に、第3の衛星標的85と第4の衛星標的86は、それぞれ文字“D”と“C”によってタグ付けされ、異なる色(それぞれ黄と紫)が割り当てられ、両方とも第1及び第2の衛星標的とは異なるサイズの直径をもつ。少なくとも一部の実施形態では、システム又はユーザは、各衛星標的の非表示又は表示を個別に選択することもできる。例えば、どの標的の撮像及び/又はサンプリングが済んでいるかをトラッキングするために、システムは、処理された各標的を、ビューからフェードアウトさせたり完全に非表示にしたりすることによってマークすることができる(すなわち、システムが、処理の済んだ標的の表示を抑制又は防止する)。このように、システムは、手技中又は手技後の参照のために衛星標的の表示を制御することができる。ここで、衛星標的のサイズ又は形状は、処理される体積又は面積を示すことができる。例えば、図7Aでは、各衛星標的のサイズは、実施されるアブレーションのサイズを示すことができる。その点について、ユーザに、各衛星標的のサイズに応じたアブレーションのエネルギー量を使用するよう通知することができる。
【0061】
図7Bは、衛星標的(S316)の規定と、ユーザに対するナビゲーション誘導の提供(S322)の別の例を示す。図7Bでは、参照標的と衛星標的の画像は、2つの矢印を含む。第1の矢印1320(青の矢印)は、カテーテルの先端を曲げる方向及び大きさを表し、第2の矢印1330(緑の矢印)は、選択された(アクティブ)衛星標的83に到達するために操縦可能カテーテル110の中間セクション102を動かす方向及び大きさを表す。遠位先端1310の照準を調整して、衛星標的に対してカテーテルのアライメント及び誘導を行うことは、追加の標的又は管腔の分岐枝に到達するために、解剖学的管腔の分岐部を越えてカテーテルの先端を誘導することにも適用可能である。
【0062】
図7Cは、一人称視点(FPV)でカテーテル先端を主腔から1つ以上の2次管腔まで前進させる際のメイン(参照)標的と衛星標的の使用例を図示する。この図7Cの例では、先の実施形態と同様に、内視鏡カメラライブビュー画像を用いて、管腔に沿った所定の参照標的までカテーテル先端を誘導することができる。カテーテルが参照標的82までナビゲートされてアライメントされると、ユーザはカメラを除去することができる。その後、カメラがツールと交換された後、システムは、2次管腔の仮想画像を用いて、カテーテルの遠位先端を衛星標的までナビゲートすることができる。図7Cでは、初期標的又は参照標的82は気道(管腔81)の気管分岐部とすることができ、衛星標的(第1の衛星標的83と第2の衛星標的84)は、気管分岐部からの分岐に対応する。この場合、参照標的と衛星標的は、必ずしも関心領域内の“病変”ではない。代わりに、関心領域には、インターベンション手技が実施され得る標的設定された管腔が含まれる。したがって、第1の矢印728及び第2の矢印726により、カテーテルの先端(図7Cでは図示なし)をFPVで誘導することができる。この例では、第1の矢印728は、カテーテル先端(遠位部分)の操作の方向及び大きさを示すことができ、第2の矢印726は、衛星標的83(例えば患者の気道における気管分岐部の右側の分岐)に到達するためのカテーテルの中間セクションの操作の方向及び大きさを示すことができる。当然のことながら、内視鏡カメラのライブビュー画像を用いてカテーテル先端を第1の気管分岐部(参照標的82)まで誘導した後、矢印726~728(誘導情報)に支援されてカテーテル先端又はインターベンション用ツールを気管分岐部の分岐(衛星標的)まで誘導することにより、関心領域へのカテーテルの迅速かつ正確な送達が保証される。
【0063】
いずれにしても、参照標的と、固有のパラメータによって識別される1つ以上の衛星標的とを規定することが有利である。各衛星標的の固有の識別は、カテーテルの向きが変化した(又は、変える必要がある)場合に、どの標的の撮像及び/又はサンプリングが済んでいるのかをトラッキングするのに有用である。先にサンプリングされた衛星標的は、例えばビューからフェードアウトさせたり完全に非表示にしたりする等、特定の固有の方法でマークすることもできる。また、医師が、仮想の衛星標的の固有の識別を物理サンプルにマッピングすることもできる。
【0064】
前述の実施形態及び例のいずれにおいても、衛星標的の配置は、ユーザによって完全に手動で行われてもよいし、既知のアルゴリズムに基づいて自動化されてもよい。その点について、患者の体内で腔内手技を実施するためにナビゲーション誘導を提供する方法は、以下を含む:操縦可能カテーテルの近位部分に接続された作動部からの作動力を伝達することにより、患者の体内に操縦可能カテーテル110の遠位部分をナビゲートし、操縦可能カテーテル110の遠位部分を患者の体の管腔を通して前進させるステップ;コンピュータシステムに接続されたトラッキングシステムが、カテーテルの遠位部分と、カテーテル先端付近の関心領域に位置する参照標的との位置関係を記録するステップ;ユーザインタフェースを介して、関心領域内の参照標的を囲むように配置される1つ以上の衛星標的の位置に関する入力を受信するステップ;プロセッサが、カテーテルの遠位部分を1つ以上の衛星標的の各々にアライメントするための1つ以上の軌道を計算し、(a)カテーテルの遠位部分の仮想表現と、(b)参照標的の画像と、(c)1つ以上の衛星標的の仮想表現と、(d)1つ以上の衛星標的の各々までカテーテルの遠位部分を逐次誘導するためのナビゲーション誘導と、のうちの1つ以上を表示画面(420)に表示するステップ。
【0065】
<ソフトウェア関連の開示>
本明細書に開示される例示の実施形態の少なくとも特定の態様は、記憶媒体(「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ばれる場合もある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム又は実行可能コード)を読み出して実行して、前述した1つ以上のブロック図又はフローチャートの機能を実行するコンピュータシステム400又は装置によって実現することができる。コンピュータは、当業者に知られている各種コンポーネントを含んでよい。例えば、コンピュータは、例えば、コンピュータ実行可能命令を記憶媒体から読み出して実行して、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行することにより、かつ/又は、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路を制御することにより、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や特定用途向け集積回路(ASIC))によって実装される信号プロセッサを含んでよい。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)、マイクロ処理ユニット(MPU))を含んでよく、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばクラウドベースのネットワークから、又は記憶媒体から、コンピュータに提供することができる。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムのストレージ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-ray Disc(BD)(商標)等)、フラッシュメモリデバイス、メモリカード等のうち1つ以上を含んでよい。コンピュータは、入出力デバイスに対して通信信号(データ)を送受信するために入出力(I/O)インタフェースを含んでよく、入出力デバイスとしては、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えばジェスチャー認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光学式ストレージデバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)が挙げられる。
【0066】
<変更及び他の実施形態>
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び回路は、詳細には説明されない。本明細書において別段の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の広さは、本明細書によって限定されるのではなく、むしろ、採用される特許請求の範囲の用語の平易な意味によってのみ限定される。
【0067】
本明細書に開示の1つ以上の実施形態によれば、システムは、参照標的又は病変の中心を囲むサブ標的又は衛星標的をユーザが作成することを可能にすることができる。有利な点として、システムは、変更可能なパターン又は個々の配置を用いて、このようなサブ標的の作成と更には分布を支援するように構成することができる。システム又はユーザは、手技中又は手技後の参照のために、個別のIDや名称、色、形状等によって各衛星標的を識別することができる。ソフトウェアシステムは、カテーテルシースの遠位先端から衛星標的までツール(例えば生検針)を誘導するための方位角度、距離誤差、挿入軌道、挿入深さ等の測定値を、自動的に表示する。ソフトウェアは、軌道が所望の範囲に収まっているときにユーザに標示(確認)を行い、軌道が閾値マージンに収まっていないときに警告を行うように構成される。ほとんどの実施形態では、ソフトウェアかユーザのいずれかが、各衛星標的を選択的に巡回することができる。ソフトウェアは、標的に関するカテーテルの測定値、アライメント及びステータス(アクティブ又は非アクティブ)を更新し、それに応じて標示を提供するように構成される。
【0068】
図面に示された例示の実施形態を説明する際、分かりやすくするために、具体的な専門用語が使用される。しかしながら、本特許明細書の開示はそのように選択された具体的な専門用語に限定されることを意図するものではなく、当然ながら、具体的な要素の各々は、同様に機能する技術的な均等物を全て含む。
【0069】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、開示された例示の実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7