(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】円筒形バッテリー、それを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/179 20210101AFI20241004BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241004BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241004BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241004BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20241004BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241004BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241004BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
H01M50/179
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/533
H01M50/567
H01M50/186
H01M50/559
H01M50/583
H01M50/55 201
H01M50/184 D
H01M4/525
H01M4/62 Z
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M50/213
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2023547126
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 KR2022016198
(87)【国際公開番号】W WO2023068888
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0142180
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ゴン-ウ・ミン
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0162097(US,A1)
【文献】特開2004-139777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0040176(US,A1)
【文献】特開平11-135151(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113131102(CN,A)
【文献】特開2004-71267(JP,A)
【文献】特表2009-507345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0269685(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0117011(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0050452(KR,A)
【文献】国際公開第2013/001821(WO,A1)
【文献】特開2017-147069(JP,A)
【文献】特開2021-114406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
H01M 4/00-4/62
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1非コーティング部を備える第1電極及び第2非コーティング部を備える第2電極を含む電極組立体と、
一側に形成された開放部から前記電極組立体を収容し、前記第2非コーティング部と電気的に接続されるバッテリーハウジングと、
前記バッテリーハウジングの開放部を密閉するように構成されるキャッププレートと、
周縁部、前記周縁部から内側へ延び、前記第1非コーティング部と結合する非コーティング部結合部及び前記非コーティング部結合部と離隔して位置する端子結合部を備える集電板と、
前記バッテリーハウジングの前記開放部と反対側に備えられる閉鎖部に形成された貫通孔を通してリベッティングされ、前記端子結合部と結合する電極端子と、
前記電極端子と前記貫通孔の間に介在される絶縁ガスケットと、を含み、
前記電極端子は、
前記貫通孔に挿入された本体部と、
前記バッテリーハウジングの閉鎖部の外面に露出した前記本体部の一側の周縁から前記閉鎖部の外面に沿って延びた外部フランジ部と、
前記閉鎖部の内面に露出した前記本体部の他側の周縁から
、前記内面に沿った平面視で前記内面に向かって延びた内部フランジ部と、
前記内部フランジ部の内側に備えられ、前記端子結合部と結合する平坦部と、を含む、円筒形バッテリー。
【請求項2】
前記非コーティング部結合部及び前記端子結合部は、
前記周縁部によって電気的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の円筒形バッテリー。
【請求項3】
前記端子結合部は、
前記周縁部の内側空間の中心部に位置することを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項4】
前記集電板は、
前記周縁部から内側へ延びて前記端子結合部と連結される連結部をさらに含むことを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項5】
前記連結部は、
前記連結部の幅を減少させるように形成された切欠部を備えることを特徴とする、請求項4に記載の円筒形バッテリー。
【請求項6】
前記非コーティング部結合部は、
前記第1非コーティング部の端部が前記集電板と平行である方向に沿って折り曲げられて形成された結合面に結合することを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項7】
前記キャッププレートは、
前記電極組立体と電気的に接続されず、極性を有さないことを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項8】
前記平坦部と前記閉鎖部の内面が互いに平行であることを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項9】
前記内部フランジ部と前記閉鎖部の内面がなす角度が0°~60°であることを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項10】
前記内部フランジ部と前記平坦部の間にリセス部が備えられることを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項11】
前記リセス部が、非対称溝の断面構造を有することを特徴とする、請求項10に記載の円筒形バッテリー。
【請求項12】
前記非対称溝が、前記平坦部の側壁と、前記側壁の端部と連結された前記内部フランジ部の傾斜面と、を含むことを特徴とする、請求項11に記載の円筒形バッテリー。
【請求項13】
前記側壁は、前記閉鎖部の内面と垂直であることを特徴とする、請求項12に記載の円筒形バッテリー。
【請求項14】
前記内部フランジ部の厚さが、前記本体部から遠くなるほど減少することを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項15】
前記絶縁ガスケットは、
前記外部フランジ部と前記閉鎖部の外面の間に介在された外部ガスケットと、
前記内部フランジ部と前記閉鎖部の内面の間に介在された内部ガスケットと、を含み、
前記内部ガスケット及び前記外部ガスケットは、位置によって厚さが異なることを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項16】
前記内部ガスケットの領域において、前記閉鎖部の内面と連結された前記貫通孔の内側エッジと前記内部フランジ部の間に介在された領域の厚さが、他の領域よりも相対的に小さいことを特徴とする、請求項15に記載の円筒形バッテリー。
【請求項17】
前記貫通孔の内側エッジは、前記内部フランジ部と向かい合う対向面を含むことを特徴とする、請求項16に記載の円筒形バッテリー。
【請求項18】
前記内部ガスケットは、前記内部フランジ部よりも長く延びたことを特徴とする、請求項15に記載の円筒形バッテリー。
【請求項19】
前記閉鎖部の内面を基準にして、前記平坦部の高さが前記内部ガスケットの端部の高さよりも大きいか、または同一であることを特徴とする、請求項15に記載の円筒形バッテリー。
【請求項20】
前記閉鎖部の内面を基準にして前記平坦部の高さが前記内部フランジ部の端部の高さよりも大きいか、または同一であることを特徴とする、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項21】
前記第1電極の活物質層は、単粒子、疑似単粒子またはこれらの組合せを含む正極活物質を含み、
前記正極活物質の体積累積分布において示される最小粒子サイズであるD
minが1.0μm以上であり、
前記正極活物質の体積累積分布において体積累積量が50%であるときの粒子サイズであるD
50が5.0μm以下であり、
前記正極活物質の体積累積分布において示される最大粒子サイズであるD
maxが12μm~17μmである、請求項1
または2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項22】
前記正極活物質は、体積累積粒度分布グラフにおいて単一ピークを示すユニモーダル粒度分布を有し、下記の式で表される粒度分布(PSD)が3以下である、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
粒度分布(PSD)=(D
max-D
min)/D
50
【請求項23】
前記単粒子、疑似単粒子またはこれらの組合せは、前記第1電極の活物質層に含まれた正極活物質の全体重量に対して95wt%~100wt%の量で含まれる、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項24】
前記正極活物質は、遷移金属の全体モル数に対してNiを80モル%以上に含むリチウムニッケル系酸化物を含む、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項25】
前記第1電極の活物質層は、空隙率が15%~23%であり、
前記第1電極の活物質層は0.05wt%~5wt%の重量比で鱗片状黒鉛を含む、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項26】
前記第1電極の活物質層は、カーボンナノチューブをさらに含む、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項27】
前記第2電極の活物質層は、シリコン系負極活物質及び炭素系負極活物質を含み、
前記シリコン系負極活物質及び炭素系負極活物質は、1:99~20:80の重量比で含まれる、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項28】
複数の請求項1
または2に記載の円筒形バッテリーと、
複数の前記円筒形バッテリーを収容するパックハウジングと、を含む、バッテリーパック。
【請求項29】
請求項28に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形バッテリー、それを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【0002】
本出願は、2021年10月22日出願の韓国特許出願第10-2021-0142180号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池の適用領域は、非常に多様である。例えば、電気自動車のようなデバイスに適用されるバッテリーパックは、大容量及び高出力が求められる。また、このような大容量及び高出力のバッテリーパックは、例えば、円筒形のバッテリーを単位電池として含み得る。
【0004】
大容量及び高出力特性を有する円筒形バッテリーの場合、集電効率を高めるためにゼリーロールの両面全体にわたって電極タブが備えられ、ゼリーロールの両面上に各々集電板が結合し得る。このような構造の適用によって電極タブと集電板の接触面積を極大化し、これによって部品間の接続部位で発生する抵抗を最小化し得る。
【0005】
上述したように、円筒形バッテリーが、例えば、自動車のようなデバイスに適用される場合、使用過程で外部衝撃及び振動が頻繁に加えられることがあり、これによって部品間の電気的接続のための結合部位に破損が発生し得る。このような結合部位の破損は、製品不良をもたらす。
【0006】
または、電気的接続のための結合部位が破損して電気的接続が完全に遮断されないとしても、溶接部位が一部損傷して部品間の結合面積が減少する場合にも抵抗の増加による過度な熱の発生や部品の形態変形による内部短絡の発生などの問題があり得る。
【0007】
したがって、使用過程で外部衝撃及び/または振動が加えられても部品間の結合部位に力が集中しない構造を有する円筒形バッテリーの開発が求められる。
【0008】
一方、製品群に応じた適用が容易であり、且つ、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV、Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに普遍的に適用されている。
【0009】
このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少できるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用に伴う副産物が全く生じないという点で、環境にやさしく、エネルギー効率の向上のための新しいエネルギー源として注目を集めている。
【0010】
現在、広く使用される二次電池の種類としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セルの作動電圧は約2.5V~4.5Vである。したがって、それよりさらに高い出力電圧が要求される場合、複数のバッテリーセルを直列に接続してバッテリーパックを構成する。また、バッテリーパックに要求される充放電容量に応じて複数のバッテリーセルを並列に接続してバッテリーパックを構成し得る。したがって、バッテリーパックに含まれるバッテリーセルの数及び電気的接続形態は、要求される出力電圧または充放電容量に応じて多様に設定可能である。
【0011】
一方、二次電池セルの種類として、円筒形、角形及びパウチ型のバッテリーセルが知られている。円筒形バッテリーセルの場合、正極と負極との間に絶縁体である分離膜を介在し、それを巻き取ってゼリーロール形態の電極組立体を形成し、それを電解質と共にバッテリーハウジングの内部に挿入して電池を構成する。そして、正極及び負極の各々の非コーティング部には、ストリップ形態の電極タブが接続され、電極タブは、電極組立体と外部に露出する電極端子とを電気的に接続する。参考までに、正極電極端子はバッテリーハウジングの開放口を密封する密封体のキャッププレートであり、負極電極端子はバッテリーハウジングである。
【0012】
ところが、このような構造を有する従来の円筒形バッテリーセルによると、正極非コーティング部及び/または負極非コーティング部と結合するストリップ形態の電極タブに電流が集中するため、抵抗が大きくて熱が多く発生し、集電効率がよくないという問題点があった。
【0013】
18650や21700のフォームファクターを有する小型の円筒形バッテリーセルは、抵抗と発熱があまり大きい問題にならない。しかし、円筒形バッテリーセルを電気自動車に適用するためにフォームファクターを増加させる場合、急速充電過程で電極タブの周辺で多量の熱が発生して、円筒形バッテリーセルが発火する問題が発生し得る。
【0014】
このような問題点を解決するために、ゼリーロールタイプの電極組立体の上端及び下端に各々正極非コーティング部及び負極非コーティング部が位置するように設計し、このような非コーティング部に集電プレートを溶接して集電効率が改善された構造を有する円筒形バッテリーセル(所謂、タブレス(Tab-less)円筒形バッテリーセル)が提示された。
【0015】
図1~
図4は、タブレス円筒形バッテリーの製造過程を示す図である。
図1は電極の構造を示し、
図2は電極の巻取工程を示し、
図3は非コーティング部の折曲面に集電板が溶接される工程を示す。
図4は、タブレス円筒形バッテリーの長手方向(Y方向)に切断した断面図である。
【0016】
図1~
図4を参照すると、正極210と負極211は、シート状の集電体220に活物質221がコーティングされた構造を有し、巻取方向(X方向)に沿って一方の長辺側に非コーティング部222を含む。
【0017】
電極組立体Aは、正極210及び負極211を
図2に示したように二枚の分離膜212と共に順次に積層した後、一方向(X方向)へ巻き取って製作する。この際、正極210と負極211の非コーティング部は、互いに反対方向に配置される。
【0018】
巻取工程の後、正極210の非コーティング部210a及び負極211の非コーティング部211aは、コア側へ折り曲げられる。その後には、非コーティング部210a、211aに集電板230、231を各々溶接して結合させる。
【0019】
正極非コーティング部210a及び負極非コーティング部211aには、別の電極タブが結合しておらず、集電板230、231が外部の電極端子と接続され、電流通路が電極組立体Aの巻取軸方向(矢印参照)に沿って大きい断面積に形成されるため、バッテリーの抵抗を低めることができるという長所がある。抵抗は、電流が流れる通路の断面積に反比例するためである。
【0020】
しかし、円筒形バッテリーのフォームファクターが増加し、急速充電時に充電電流の大きさが大きくなると、タブレス円筒形バッテリーにおいても発熱問題が発生する。
【0021】
具体的には、従来のタブレス円筒形バッテリー240は、
図4に示したように、バッテリーハウジング241と密封体242を含む。密封体242は、キャッププレート242a、シーリングガスケット242b及び接続プレート242cを含む。シーリングガスケット242bは、キャッププレート242aの周縁部を囲んでクリンピング部243によって固定される。また、電極組立体Aは、上下への動きを防止するために、ビーディング部244によってバッテリーハウジング241内に固定される。
【0022】
通常、正極端子は、密封体242のキャッププレート242aであり、負極端子は、バッテリーハウジング241である。これによって、正極210の非コーティング部210aに結合した集電板230は、ストリップ形態のリード245を介してキャッププレート242aに取り付けられた接続プレート242cに電気的に接続される。また、負極211の非コーティング部211aに結合した集電板231は、バッテリーハウジング241の底部に電気的に接続される。インシュレーター246は、集電板230をカバーして極性の異なるバッテリーハウジング241と正極210の非コーティング部210aが互いに接触して短絡を起こすことを防止する。
【0023】
集電板230が接続プレート242cに接続されるときは、ストリップ形態のリード245が使用される。リード245は、集電板230に別に取り付けるか、または集電板230と一体に製作される。ところが、リード245は、厚さの薄いストリップ形態であることから断面積が小さいため、急速充電電流が流れる場合、熱が多量発生する。また、リード245で発生した過度な熱は、電極組立体A側へ伝達されて分離膜212を収縮させることで、熱暴走の主な原因になる内部短絡を起こすことがある。
【0024】
なお、リード245は、バッテリーハウジング241内で相当な設置空間を占める。このため、リード245が含まれた円筒形バッテリー240は空間効率が低く、エネルギー密度を増加させるのに限界がある。
【0025】
さらに、従来のタブレス円筒形バッテリー240を直列及び/または並列に接続するためには、密封体242のキャッププレート242aとバッテリーハウジング241の底面にバスバー部品を連結されなければならないため、空間効率性が劣る。電気自動車に搭載されるバッテリーパックは、数百個の円筒形バッテリー240を含む。このため、電気的配線の非効率性は、電気自動車の組立過程、そしてバッテリーパックのメインテナンスにも相当な煩雑を招来する。
【0026】
他の一方で、従来の二次粒子を含む正極活物質を適用した電極の製造時に粒子の割れが発生し、充放電時の内部クラックの発生によるガス発生量が増加して電池安定性に問題が発生し得る。
【0027】
それを解決するために、一次粒子の大きさが比較的大きい単粒子または疑似単粒子形態の正極活物質が開発されたが、前記単粒子または疑似単粒子形態の正極活物質を高ローディング電極に適用して圧延する場合、電極の空隙率が目標水準まで達成されていない状態で電極が割れてしまう問題点があり、リチウム二次電池の抵抗特性と充放電効率が劣るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、二次電池の使用過程で外部衝撃及び/または振動が加えられてもその衝撃及び/または振動が特定部位に集中せずに分散するようにすることで、部品間の結合部位における破損発生を防止することを目的とする。
【0029】
また、本発明は、電流遮断部材をさらに備えなくても、集電板自体で電流遮断機能を果たすようにすることで、短絡などによる過電流発生時に電流が迅速に遮断され、二次電池使用上の安全性が確保されるようにすることを他の目的とする。
【0030】
本発明は、上述した従来技術の背景下に創案されたものであって、円筒形バッテリーセルの電極端子構造を改善してバッテリーハウジング内の空間効率性を増加させることで円筒形バッテリーセルの内部抵抗を低め、エネルギー密度を増加させることを目的とする。
【0031】
また、本発明は、円筒形バッテリーセルの電極端子構造を改善して電流通路の断面積を増加させることで、急速充電時に発生する内部発熱の問題を改善することを他の目的とする。
【0032】
また、本発明は、円筒形バッテリーセルの直列及び/または並列接続のための電気的配線作業を円筒形バッテリーセルの一側で行い得る改善された構造の円筒形バッテリーセルを提供することをさらに他の目的とする。
【0033】
また、本発明は、改善された構造を有する円筒形バッテリーセルを用いて製作されたバッテリーパックとそれを含む自動車を提供するさらに他の目的とする。
【0034】
また、本発明は、負極にシリコン系負極活物質を含ませてエネルギー密度が改善された電極組立体を提供することをさらに他の目的とする。
【0035】
また、本発明は、リチウム析出の恐れがなく、正極活物質部の区間が増加した電極組立体を提供することをさらに他の目的とする。
【0036】
また、本発明は、フォームファクターの増加によってバッテリーの体積が増加しても優秀な熱安全性を示す円筒形バッテリーを提供することをさらに他の目的とする。
【0037】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記の課題を達成するための本発明の一実施例による円筒形バッテリーは、第1非コーティング部を備える第1電極及び第2非コーティング部を備える第2電極を含む電極組立体と、一側に形成された開放部から前記電極組立体を収容し、前記第2非コーティング部と電気的に接続されるバッテリーハウジングと、前記バッテリーハウジングの開放部を密閉するように構成されるキャッププレートと、周縁部、前記周縁部から内側へ延び、前記第1非コーティング部と結合する非コーティング部結合部及び前記非コーティング部結合部と離隔して位置する端子結合部を備える集電板と、前記バッテリーハウジングの前記開放部と反対側に備えられる閉鎖部に形成された貫通孔を通してリベッティングされ、前記端子結合部と結合する電極端子と、前記電極端子と前記貫通孔との間に介在される絶縁ガスケットと、を含み、
前記電極端子は、前記貫通孔に挿入された本体部と、前記バッテリーハウジングの閉鎖部の外面に露出した前記本体部の一側の周縁から前記閉鎖部の外面に沿って延びた外部フランジ部と、前記閉鎖部の内面に露出した前記本体部の他側の周縁から前記内面に向かって延びた内部フランジ部と、前記内部フランジ部の内側に備えられ、前記端子結合部と結合する平坦部と、を含む。
【0039】
前記非コーティング部結合部及び前記端子結合部は、前記周縁部によって電気的に接続され得る。
【0040】
前記端子結合部は、前記周縁部の内側空間の中心部に位置し得る。
【0041】
前記集電板は、前記周縁部から内側へ延びて前記端子結合部と連結される連結部をさらに含み得る。
【0042】
前記連結部は、前記連結部の幅を減少させるように形成された切欠部を備え得る。
【0043】
前記非コーティング部結合部は、前記第1非コーティング部の端部が前記集電板と平行である方向に沿って折り曲げられて形成された結合面に結合し得る。
【0044】
前記キャッププレートは、前記電極組立体と電気的に接続されず、極性を有さなくてもよい。
【0045】
前記平坦部と前記閉鎖部の内面が互いに平行であり得る。
【0046】
前記内部フランジ部と前記閉鎖部の内面がなす角度が0°~60°であり得る。
【0047】
前記内部フランジ部と前記平坦部との間にリセス部が備えられ得る。
【0048】
前記リセス部は、非対称溝の断面構造を有し得る。
【0049】
前記非対称溝は、前記平坦部の側壁と、前記側壁の端部と連結された前記内部フランジ部の傾斜面と、を含み得る。
【0050】
前記側壁は、前記閉鎖部の内面と垂直であり得る。
【0051】
前記内部フランジ部の厚さは、前記本体部から遠くなるほど減少し得る。
【0052】
前記絶縁ガスケットは、前記外部フランジ部と前記閉鎖部の外面との間に介在された外部ガスケットと、前記内部フランジ部と前記閉鎖部の内面との間に介在された内部ガスケットと、を含み、前記内部ガスケット及び前記外部ガスケットは、位置によって厚さが異なり得る。
【0053】
前記内部ガスケットの領域において、前記閉鎖部の内面と連結された前記貫通孔の内側エッジと前記内部フランジ部との間に介在された領域の厚さが、他の領域よりも相対的に小さくてもよい。
【0054】
前記貫通孔の内側エッジは、前記内部フランジ部と向かい合う対向面を含み得る。
【0055】
前記内部ガスケットは、前記内部フランジ部よりも長く延び得る。
【0056】
前記閉鎖部の内面を基準にして、前記平坦部の高さが前記内部ガスケットの端部の高さよりも大きいか、または同一であってもよい。
【0057】
前記閉鎖部の内面を基準にして、前記平坦部の高さが前記内部フランジ部の端部の高さよりも大きいか、または同一であってもよい。
【0058】
前記第1電極の活物質層は、単粒子、疑似単粒子またはこれらの組合せを含む正極活物質を含み、前記正極活物質の体積累積分布において示される最小粒子サイズであるDminは1.0μm以上であり、前記正極活物質の体積累積分布において体積累積量が50%であるときの粒子サイズであるD50が5.0μm以下であり、前記正極活物質の体積累積分布において示される最大粒子サイズであるDmaxが12μm~17μmであり得る。
【0059】
前記円筒形バッテリーにおいて、前記正極活物質は、体積累積粒度分布グラフにおいて単一ピーク(single peak)を示すユニモーダル粒度分布を有し、下記の式で表される粒度分布(Particle Size Distribution;PSD)が3以下であり得る。
粒度分布(PSD)=(Dmax-Dmin)/D50
【0060】
前記単粒子、疑似単粒子またはこれらの組合せは、前記第1電極の活物質層に含まれた正極活物質の全体重量に対して95wt%~100wt%の量で含まれ得る。
【0061】
前記正極活物質は、遷移金属の全体モル数に対してNiを80モル%以上に含むリチウムニッケル系酸化物を含み得る。
【0062】
前記第1電極の活物質層は空隙率が15%~23%であり、前記第1電極の活物質層は0.05wt%~5wt%の重量比で鱗片状黒鉛を含み得る。
【0063】
前記第1電極の活物質層は、カーボンナノチューブをさらに含み得る。
【0064】
前記第2電極の活物質層は、シリコン系負極活物質及び炭素系負極活物質を含み、前記シリコン系負極活物質及び炭素系負極活物質は、1:99~20:80の重量比で含まれ得る。
【0065】
なお、本発明の一実施例によるバッテリーパックは、上述したような本発明の一実施例による複数の円筒形バッテリーと、複数の前記円筒形バッテリーを収容するパックハウジングと、を含む。
【0066】
本発明の一実施例による自動車は、上述したような本発明の一実施例によるバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0067】
本発明の一面によると、二次電池の使用過程で外部衝撃及び/または振動が加えられても、その衝撃及び/または振動が特定部位に集中せずに分散するようにすることで、部品間の結合部位に破損が発生することを防止することができる。
【0068】
一方、本発明の他面によると、電流遮断部材をさらに設けなくても、集電板自体が電流遮断機能を果たすことができる。これによって、短絡などによる過電流発生時に電流が迅速に遮断され、二次電池使用上の安全性を確保することができる。
【0069】
本発明の一面によると、円筒形バッテリーセルの電極端子構造を改善してバッテリーハウジング内の空間効率性を増加させることで、円筒形バッテリーセルの内部抵抗を低め、エネルギー密度を増加させることができる。
【0070】
本発明のさらに他面によると、円筒形バッテリーセルの電極端子構造を改善して電流通路の断面積を増加させることで急速充電時に発生する内部発熱の問題を改善することができる。
【0071】
本発明のさらに他の側面によると、円筒形バッテリーセルの直列及び/または並列接続のための電気的配線作業を円筒形バッテリーセルの一側で行うことができる。
【0072】
本発明のさらに他面によれば、改善された構造の円筒形バッテリーセルを用いて製作されたバッテリーパック及びそれを含む自動車を提供することができる。
【0073】
本発明のさらに他面によれば、正極が、Dminが1.0μm以上である正極活物質粉末を含むことで、電池の熱安全性をさらに改善することができる。本発明の研究によれば、正極活物質に単粒子及び/または疑似単粒子を適用するとしても、正極活物質粉末の粒度によって圧延後の粒子割れの抑制及び熱安全性の改善効果が変わることに示された。特に、正極活物質粉末中に粒径が1.0μm未満である粒子が含まれる場合、圧延工程で線圧が増加して粒子割れが増加し、熱安定性が低下して、大型の円筒形電池への適用時に熱安全性を充分に確保できなかった。このため、本発明の一実施例においては、最小粒子サイズDminが1.0μm以上に制御された正極活物質粉末を使用することで、熱安全性の改善効果を極大化するようにした。
【0074】
本発明のさらに他面によれば、正極が、D50、Dmax及び粒度分布(PSD)が適切に調節された正極活物質粉末を含むことで、単粒子の適用による抵抗増加を最小化するようにすることで、優秀な容量特性及び出力特性を実現するようにした。
【0075】
本発明のさらに他面によれば、正極は、導電性コーティング層が被覆された単粒子系正極活物質を含むか、または新規CNTが導電材として含有されることで、電極の導電性が改善できる。
【0076】
本発明のさらに他面によれば、正極活物質層に鱗片状黒鉛が含まれるので、正極活物質層を圧延する場合、前記鱗片状黒鉛が前記正極活物質に滑り効果を提供して電極の圧延特性が向上し、電極の空隙率を目標水準に低めることができる。これによって、円筒形バッテリーの安定性、初期抵抗特性及び充放電効率が改善される。
【0077】
本発明のさらに他面によれば、負極に容量の大きいシリコン系負極活物質が含まれることで、より高いエネルギー密度を実現することができる。
【0078】
本発明のさらに他面によれば、正極活物質のローディング量の少ないローディング減少部が正極に含まれるので、リチウム析出の恐れなく正極活物質部の区間を増やすことができる。
【0079】
本発明のさらに他面によれば、ストリップ形態の電極タブを備えた従来のバッテリーと比較して、バッテリーの内部発熱を効果的に減少させることができるので、バッテリーの熱安全性が改善される。
【0080】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】従来のタブレス円筒形バッテリーに使用される電極の構造を示した平面図である。
【
図2】従来のタブレス円筒形バッテリーに含まれる電極組立体の巻取工程を示した図である。
【
図3】電極組立体において、非コーティング部の折曲面に集電板が溶接される工程を示した図である。
【
図4】従来のタブレス円筒形バッテリーを長手方向(Y方向)に切断した断面図である。
【
図5】本発明の一実施例による円筒形バッテリー及び複数の円筒形バッテリーの電気的接続のためのバスバーを示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例による円筒形バッテリーの上部構造を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施例による円筒形バッテリーを示す部分断面図である。
【
図8】本発明の一実施例による電極組立体と集電板(第1集電板)が結合した様子を示す図である。
【
図9】本発明の一実施例による集電板(第1集電板)の多様な形態を示す図である。
【
図10】本発明の一実施例による集電板(第1集電板)の多様な形態を示す図である。
【
図11】本発明の一実施例による集電板(第1集電板)の多様な形態を示す図である。
【
図12】本発明の一実施例による集電板(第1集電板)の多様な形態を示す図である。
【
図13】本発明の他の実施例による集電板(第1集電板)の多様な形態を示す図である。
【
図14】本発明の他の実施例による集電板(第1集電板)の多様な形態を示す図である。
【
図15】本発明の一実施例による円筒形バッテリーの下部構造を示す部分断面図である。
【
図16】本発明の一実施例による円筒形バッテリーの下面を示す図である。
【
図17】本発明の一実施例によるバッテリーパックを示す概略図である。
【
図19】本発明の実施例による電極端子のリベッティング構造を示した断面図である。
【
図20】
図19の点線の円で示された部分の拡大断面図である。
【
図21】本発明の一実施例による円筒形バッテリーセルを長手方向(Y方向)に沿って切断した断面図である。
【
図22】本発明の望ましい実施例による電極構造を示した平面図である。
【
図23】本発明の実施例による電極の非コーティング部の分節構造を第1電極及び第2電極に適用した電極組立体を長手方向(Y方向)に沿って切断した断面図である。
【
図24】本発明の実施例によって非コーティング部が折り曲げられた電極組立体を長手方向(Y方向)に沿って切断した断面図である。
【
図25】本発明の実施例による新規CNTの走査顕微鏡写真である。
【
図26】従来に通常使用されていたカーボンナノチューブ(従来CNT)の走査顕微鏡写真である。
【
図27】従来CNTと新規CNTの物性を比較して示した表である。
【
図28】正極活物質に単粒子系活物質粒子が適用された場合の導電材割合別の面抵抗及び高温寿命特性を示すグラフである。
【
図29】正極活物質に単粒子系活物質粒子が適用された場合の導電材割合別の面抵抗及び高温寿命特性を示すグラフである。
【
図30】正極活物質に単粒子系活物質粒子が適用された場合の導電材割合別の面抵抗及び高温寿命特性を示すグラフである。
【
図31】正極活物質に単粒子系活物質粒子が適用された場合の導電材割合別の面抵抗及び高温寿命特性を示すグラフである。
【
図32】BET比表面積が300m
2/g~500m
2/gであるカーボンナノチューブ(新規CNT)を適用した場合と、BETが200m
2/g以上300m
2/g未満であるカーボンナノチューブ(従来CNT)を適用した場合の正極スラリー固形分の含量と粘度及びMPコーティング層とMP界面層における抵抗値を比較して示した表である。
【
図33】本発明の実施例2-1で使用された正極活物質のSEM写真である。
【
図34】本発明の実施例2-2で使用された正極活物質のSEM写真である。
【
図35】本発明の比較例2-2で使用された正極活物質のSEM写真である。
【
図36】本発明の実施例1によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【
図37】本発明の比較例1によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【
図38】本発明の実施例2-1のサンプル1及び比較例2-1によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【
図39】本発明の実施例2-1のサンプル2、3、実施例2-2のサンプル1、2及び比較例2-2によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【
図40】本発明の実施例2-1で製造された正極の断面SEM写真である。
【
図41】比較例2-1で製造された正極の断面SEM写真である。
【
図42】本発明の実施例3-3、比較例3-1及び比較例3-2による正極を含むコイン型ハーフセルを4.2Vまで充電しながらSOCによる抵抗特性を測定した結果を示したグラフである。
【
図43】本発明の実施例3-1、実施例3-3及び比較例3-1による4680セルに対する充放電サイクル実験によって得た容量維持率(Capacity Retention)及び抵抗増加率(DCIR increase)の測定結果を示したグラフである。
【
図44】本発明の一実施例による電極組立体を示した図である。
【
図46】本発明の一実施例による負極の製造工程を示した図である。
【
図47】本発明の一実施例による負極の製造工程を示した図である。
【
図48】本発明の一実施例による負極を示した斜視図である。
【
図49】本発明の一実施例による正極の製造工程を示した図である。
【
図50】本発明の一実施例による正極の製造工程を示した図である。
【
図51】本発明の一実施例による正極を示した斜視図である。
【
図52】本発明の比較例による電極組立体を示した図である。
【
図54】本発明の比較例による負極の製造工程を示した図である。
【
図55】本発明の比較例による正極の製造工程を示した図である。
【
図56】シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質の混合物を負極活物質に使用したバッテリーにおいて、シリコン系負極活物質の含量とシリコン系負極活物質のドーピング有無によるエネルギー密度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0083】
なお、発明の理解を助けるために、添付の図面は、実際の縮尺ではなく一部構成要素が誇張して示され得る。なお、相異なる実施例で同じ構成要素に対しては同じ参照番号が付与され得る。
【0084】
図面に示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしもこれに限定されることではない。図面において、多層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。なお、図面において、説明の便宜のために、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。
【0085】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」または「上方」にあるとする場合、これは、他の部分の「直上」のみならず、その中間に他の部分が存在する場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上」にあるとする場合には、その中間に他の部分が存在しないことを意味する。なお、基準となる部分の「上」または「上方」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力反対方向における「上」または「上方」を意味することではない。
【0086】
明細書の全体において、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、特に明記しない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0087】
また、明細書全体において、「平面状」とは、対象部分を上方から見た場合を意味し、「断面状」とは、対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た場合を意味する。
【0088】
図5及び
図6を参照すると、本発明の一実施例による円筒形バッテリー1は、電極組立体10、バッテリーハウジング20、キャッププレート30、集電板(第1集電板)40及び電極端子50を含む。前記円筒形バッテリー1は、上述した構成要素に加え、シーリングガスケット80及び/または絶縁ガスケット54及び/またはインシュレーター60及び/または第2集電板70をさらに含み得る。
【0089】
前記電極組立体10は、第1非コーティング部(第1電極タブ)11を備える第1電極及び第2非コーティング部(第2電極タブ)12を備える第2電極を含む。以下で言及される電極非コーティング部または非コーティング部とは、電極タブを意味する。前記電極組立体10は、第1極性を有する第1電極、第2極性を有する第2電極及び第1電極と第2電極の間に介在される分離膜を含み得る。前記電極組立体10は、第1電極、分離膜、第2電極を順次に少なくとも一回積層して形成された積層体を巻き取ることで製造され得る。即ち、本発明の一実施例に適用される電極組立体10は、ゼリーロールタイプの電極組立体であり得る。この場合、前記電極組立体10の外周面には、バッテリーハウジング20との絶縁のために分離膜がさらに備えられ得る。
【0090】
前記第1電極は、第1電極集電体及び第1電極集電体の一面または両面に塗布された第1電極活物質を含む。前記第1電極集電体の幅方向(
図6に示した円筒形バッテリー1の高さ方向に平行である方向)の一側端部には、第1電極活物質が塗布されていない第1非コーティング部11が存在する。前記第1非コーティング部11は、第1電極タブとして機能する。前記第1非コーティング部11は、バッテリーハウジング20内に収容された電極組立体10の高さ方向(
図6に示した円筒形バッテリー1の高さ方向に平行である方向)の上部に備えられる。前記第1非コーティング部11は、例えば、正極非コーティング部でり得る。
【0091】
前記第2電極は、第2電極集電体及び第2電極集電体の一面または両面に塗布された第2電極活物質を含む。前記第2電極集電体の幅方向(
図6に示した円筒形バッテリー1の高さ方向に平行である方向)の他側端部には、第2電極活物質が塗布されていない第2非コーティング部12が存在する。前記非コーティング部は、第2電極タブとして機能する。前記第2非コーティング部12は、バッテリーハウジング20内に収容された電極組立体10の高さ方向の下部に備えられる。前記第2非コーティング部12は、例えば、負極非コーティング部であり得る。
【0092】
本発明の一実施例において、正極にコーティングされる正極活物質と負極にコーティングされる負極活物質は、当業界における公知の活物質であれば、制限なく使用可能である。
【0093】
前記バッテリーハウジング20は、下方に開放部が形成されたほぼ円筒形の収容体であって、例えば、金属のような導電性材料からなる。前記バッテリーハウジング20の材質は、例えば、アルミニウムであり得る。前記バッテリーハウジング20の高さ方向の下端には開放部が形成され、上端には閉鎖部20aが形成される。前記バッテリーハウジング20は、下方に形成された開放部から電極組立体10を収容し、電解質も共に収容する。
【0094】
前記バッテリーハウジング20は、電極組立体10と電気的に接続される。前記バッテリーハウジング20は、例えば、電極組立体10の第2非コーティング部12と電気的に接続される。これによって、前記バッテリーハウジング20は、第2非コーティング部12と同一極性を有し得る。
【0095】
図6及び
図15を参照すると、前記バッテリーハウジング20は、その下端に形成されたビーディング部21及びクリンピング部22を備え得る。前記ビーディング部21は、電極組立体10の下部に位置する。前記ビーディング部21は、バッテリーハウジング20の外周面の周りを圧入して形成される。前記ビーディング部21は、バッテリーハウジング20の幅とほぼ対応するサイズを有する電極組立体10がバッテリーハウジング20の下端に形成された開放部から抜け出ないようにし、キャッププレート30が設けられる支持部として機能し得る。
【0096】
前記クリンピング部22は、ビーディング部21の下部に形成される。前記クリンピング部22は、ビーディング部21の下方に配置されるキャッププレート30の外周面、そしてキャッププレート30の下面の一部を囲むように延びて曲げられた形態を有する。
【0097】
但し、本発明は、バッテリーハウジング20がこのようなビーディング部21及び/またはクリンピング部22を備えない場合を排除しない。本発明の一実施例において、バッテリーハウジング20がビーディング部21及び/またはクリンピング部22を備えない場合、電極組立体10の固定及び/またはキャッププレート30の固定及び/またはバッテリーハウジング20の密封は、例えば、電極組立体10に対するストッパーとして機能可能な部品の追加適用及び/またはキャッププレート30が設けられ得る構造物の追加適用及び/またはバッテリーハウジング20とキャッププレート30の溶接などによって実現し得る。
【0098】
前記バッテリーハウジング20は、その閉鎖端、即ち、上面をなす領域が約0.5mm~1.0mm範囲の厚さを有し、より望ましくは、約0.6mm~0.8mm範囲の厚さを有し得る。前記バッテリーハウジング20は、その外周面をなす側壁部が約0.3mm~0.8mm範囲の厚さを有し、より望ましくは約0.40mm~0.60mm範囲を有し得る。本発明の一実施例によると、バッテリーハウジング20には、めっき層が形成され得る。この場合、前記めっき層は、例えば、ニッケルNiを含み得る。前記めっき層の厚さは約1.5μm~6.0μmの範囲であり得る。
【0099】
前記バッテリーハウジング20の厚さは薄いほど内部空間が大きくなり、これによってエネルギー密度が向上して、大容量の円筒形バッテリー1が製造可能になる。逆に、厚さが厚いほど、爆発テスト時において、隣接するセルへ火炎が連鎖的に伝播されないので、安全性の面では有利になり得る。
【0100】
めっき層の厚さは薄いほど腐食に弱く、厚いほど製造工程が難しいか、またはめっきの剥離が発生する可能性が高くなる。このような条件を全て考慮して最適のバッテリーハウジング20の厚さを設定し、最適のめっき層の厚さを設定する必要がある。さらに、このような条件を全て考慮してバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの厚さ及び側壁部の厚さを各々制御する必要がある。
【0101】
図6及び
図15を参照すると、前記キャッププレート30は、剛性の確保のために、例えば、金属材料からなり得る。前記キャッププレート30は、バッテリーハウジング20の下端に形成された開放部を密閉する。即ち、前記キャッププレート30は、円筒形バッテリー1の下面をなす。本発明の一実施例による円筒形バッテリー1において、前記キャッププレート30は、伝導性を有する金属材質である場合にも、極性を有さなくてもよい。極性を有さないということは、キャッププレート30がバッテリーハウジング20及び電極端子50と電気的に絶縁していることを意味する。このように、前記キャッププレート30は、極性を有さなくてもよく、その材質が必ずしも伝導性金属である必要はない。
【0102】
本発明の一実施例によるバッテリーハウジング20がビーディング部を備える場合、前記キャッププレート30は、バッテリーハウジング20に形成されたビーディング部21に設けられ得る。また、本発明の一実施例によるバッテリーハウジング20がクリンピング部22を備える場合、前記キャッププレート30は、クリンピング部22によって固定される。前記キャッププレート30とバッテリーハウジング20のクリンピング部22の間には、バッテリーハウジング20が気密性を確保するためにシーリングガスケット80が介在され得る。一方、前述したように、本発明の一実施例によるバッテリーハウジング20は、ビーディング部21及び/またはクリンピング部22を備えなくてもよく、この場合、前記シーリングガスケット80は、バッテリーハウジング20の気密性を確保するためにバッテリーハウジング20の開放部側に備えられた固定のための構造物とキャッププレート30の間に介在され得る。
【0103】
図15及び
図16を参照すると、前記キャッププレート30は、バッテリーハウジング20の内部に発生したガスによって内圧が予め設定された数値を越えて増加することを防止するために形成されるベント部31をさらに備え得る。前記ベント部31は、キャッププレート30において周辺領域よりも薄い厚さを有する領域である。前記ベント部31は、周辺領域と比較して構造的に弱い。このため、前記円筒形バッテリー1に異常が発生してバッテリーハウジング20の内圧が一定の水準以上に増加すると、ベント部31が破断することでバッテリーハウジング20の内部に生成されたガスが排出される。前記ベント部31は、例えば、キャッププレート30のある一面または両面に切り欠きを行って(notching)部分的にバッテリーハウジング20の厚さを減少させることで形成され得る。
【0104】
本発明の一実施例による円筒形二次電池1は、後述するように上部に正極端子及び負極端子が共に存在する構造を有し、これによって、上部の構造が下部の構造よりも複雑である。このため、前記バッテリーハウジング20の内部に発生したガスを円滑に排出するために、円筒形バッテリー1の下面をなすキャッププレート30にベント部31が形成され得る。
図15に示したように、前記キャッププレート30の下端部は、バッテリーハウジング20の下端部よりも上方に配置されることが望ましい。この場合、前記バッテリーハウジング20の下端部が地面に接触するか、またはモジュールやパックの構成のためのハウジングの底面に接触しても、キャッププレート30は、地面またはモジュールやパックの構成のためのハウジングの底面に接触しない。これによって、前記円筒形バッテリー1の重さによってベント部31の破断に必要な圧力が設計値と相違になる現象を防止することができ、これによってベント部31の破断の円滑性を確保することができる。
【0105】
一方、前記ベント部31が第15及び
図16に示したように、閉ループ形態を有する場合、破断容易性の面ではキャッププレート30の中心部からベント部31に至る距離が大きいほど有利である。これは、同じベント圧が作用したとき、前記キャッププレート30の中心部からベント部31に至る距離が大きくなるほどベント部31に作用する力が大きくなり、判断が容易になるためである。また、ベントガス排出の円滑性の面でもキャッププレート30の中心部からベント部31に至る距離が大きいほど有利である。このような観点で、前記ベント部31は、キャッププレート30の周縁領域から下方(
図15を基準にして下部に向かう方向)へ突出したほぼフラットな領域の周縁に沿って形成されることが有利であり得る。
【0106】
本発明の
図16においては、前記ベント部31がキャッププレート30の上にほぼ円を描いて連続的に形成された場合を示しているが、これによって本発明が限定されるものではない。前記ベント部31は、キャッププレート30にほぼ円を描いて不連続的に形成されるか、またはほぼ直線形態またはその他の形態に形成され得る。
【0107】
図6~
図8を参照すると、前記集電板(第1集電板)40は、電極組立体10の上部に結合する。前記集電板40は、導電性の金属材料からなり、第1非コーティング部11と連結される。
【0108】
図8を参照すると、前記集電板40は、第1非コーティング部11の端部が集電板40と平行である方向へ折り曲げられて形成された結合面に結合し得る。前記第1非コーティング部11の折曲方向は、例えば、電極組立体10の巻取中心孔Cに向かう方向であり得る。前記第1非コーティング部11がこのように折り曲げられた形態を有する場合、第1非コーティング部11が占める空間が縮小してエネルギー密度の向上を図り得る。また、前記第1非コーティング部11と集電板40の結合面積の増加によって、結合力の向上及び抵抗減少の効果を奏し得る。
【0109】
図6~
図8と共に
図9~
図12を参照すると、前記集電板40は、周縁部41、非コーティング部結合部42及び端子結合部43を含む。前記周縁部41は、中心部に空間Sが形成されたほぼリム(rim)の形態を有し得る。本発明の図面では、前記周縁部41がほぼ円形のリム形態を有する場合のみを示しているが、これによって本発明が限定されるものではない。前記周縁部41は、図示されたことと異なり、ほぼ四角のリム形態、またはその他の形態を有し得る。
【0110】
前記非コーティング部結合部42は、周縁部41から内側へ延びて第1非コーティング部11と結合する。前記端子結合部43は、非コーティング部結合部42と離隔して周縁41の内側に位置する。前記端子結合部43は、後述する電極端子50と溶接によって結合し得る。前記端子結合部43は、例えば、周縁部41の内側空間の中心部に位置し得る。前記端子結合部43は、電極組立体10の巻取中心孔Cと対応する位置に配置され得る。
【0111】
前記非コーティング部結合部42及び端子結合部43は直接的に連結されず、互いに離隔するように配置され、周縁部41によって電気的に接続される。このように、本発明の一実施例による集電板40は、非コーティング部結合部42と端子結合部43が互いに直接接続されておらず、周縁部41を介して連結された構造を有することで、円筒形バッテリー1に衝撃及び/または振動が発生する場合、非コーティング部結合部42と第1非コーティング部11の結合部位と、端子結合部43と電極端子50の結合部位に加えられる衝撃を分散させることができる。これによって、本発明の一実施例による集電板40は、外部衝撃による溶接部位の破損を最小化するか、または防止することができる。本発明の一実施例による集電板40は、外部衝撃が加えられたとき、周縁部41と端子結合部43の連結部位に応力が集中し得る構造を有するが、このような連結部位は、部品間の結合のための溶接部が形成された部位ではないため、外部衝撃による溶接部の破損による製品不良の発生を防止することができるのである。
【0112】
前記集電板40は、周縁部41から内側へ延びて端子結合部43と連結される連結部44をさらに含み得る。前記連結部44は、少なくともその一部が非コーティング部結合部42と比較してその幅がより小さく形成され得る。この場合、前記連結部44で電気抵抗が増加して連結部44を介して電流が流れるとき、他の部位よりも大きい抵抗が発生するようになり、これによって、過電流が発生したとき、連結部44の一部が破断することで過電流を遮断することができる。前記連結部44は、このような過電流遮断機能を考慮してその幅が適切な水準に調節され得る。
【0113】
前記連結部44は、周縁部41の内側から端子結合部43に向かう方向に沿ってその幅が次第に細くなるテーパー部44aを備え得る。前記テーパー部44aが備えられる場合、連結部44と周縁部41の連結部位での部品の剛性が向上し得る。
【0114】
前記非コーティング部結合部42は、複数で備えられ得る。複数の前記非コーティング部結合部42は、周縁部41の延長方向に沿って互いに同じ間隔で配置され得る。複数の前記非コーティング部結合部42の各々の延長長さは、互いに同一であり得る。前記端子結合部43は、複数の前記非コーティング部結合部42によって囲まれるように配置され得る。前記連結部44は、互いに隣接する一対の非コーティング部結合部42の間に位置し得る。この場合、前記連結部44から周縁部41の延長方向に沿って前記一対の非コーティング部結合部42のいずれか一つに至る距離は、連結部44から周縁部41の延長方向に沿って前記一対の非コーティング部結合部42の他の一つに至る距離と同一であり得る。
【0115】
前記連結部44は、複数で備えられ得る。複数の連結部44は各々、互いに隣接する一対の非コーティング部結合部42 の間に配置され得る。複数の前記連結部44は、周縁部41の延長方向に沿って互いに同一間隔で配置され得る。
【0116】
上述したように、非コーティング部結合部42及び/または連結部44が複数で備えられる場合において、非コーティング部結合部42同士の距離及び/または連結部44同士の距離及び/または非コーティング部結合部42と連結部44の距離が一定に形成されると、非コーティング部結合部42から連結部44に向かう電流または連結部44から非コーティング部結合部42に向かう電流の流れが円滑に形成され得る。
【0117】
図13及び
図14を参照すると、前記連結部44は、連結部44の幅を部分的に減少させるように形成される切欠部Nを備え得る。前記切欠部Nが備えられる場合、切欠部Nが形成された領域における電気抵抗が増加するようになり、これによって、過電流の発生時に迅速な電流遮断が可能になる。
【0118】
前記連結部44がテーパー部44aを備える場合において、前記切欠部Nは、端子結合部43よりもテーパー部44aに近く位置し得る。この場合、集電板40の中心部に向かう方向へその幅が次第に細くなるテーパー部44aの構造によって、発熱量の大きい領域と隣接する領域に切欠部Nが位置することで、より迅速な過電流の遮断が可能になる。
【0119】
図5~
図7及び
図9を参照すると、前記電極端子50は、伝導性の金属材料からなり、集電板(第1集電板)40の端子結合部43と結合する。前記電極端子50は、バッテリーハウジング20の開放部の反対側に位置する閉鎖部20aを貫通するように構成され得る。本発明の一実施例による円筒形バッテリー1がインシュレーター60を備える場合、電極端子50は、インシュレーター60を通過して集電板40の端子結合部43と結合するように構成される。
【0120】
このように、前記電極端子50は、集電板40を介して電極組立体10の第1非コーティング部11と電気的に接続し、これによって第1極性を有する。したがって、前記電極端子50は、本発明の一実施例による円筒形バッテリー1の第1電極端子として機能し得る。また、本発明の一実施例による円筒形バッテリー1において、第2極性を有するバッテリーハウジング20の閉鎖部20a側に形成されるほぼフラットな面が第2電極端子として機能し得る。
図1を参照すると、本発明の一実施例による円筒形バッテリー1の第1電極端子50及び第2電極端子に各々バスバーBが接続されている。前記第1電極端子50及び第2電極端子の各々において、バスバーBとの結合のための十分な結合面積を確保するために、第1電極端子50においてバッテリーハウジング20の外側に露出した領域の幅D1は、第2電極端子、即ち、バッテリーハウジング20の上面の幅D2に対して約10%~60%の範囲に設定され得る。
【0121】
前記電極端子50がこのように第1極性を有する場合、電極端子50は、第2極性を有するバッテリーハウジング20とは電気的に絶縁される。前記電極端子50とバッテリーハウジング20の絶縁は、多様な方式で実現可能である。例えば、前記電極端子50とバッテリーハウジング20の間に絶縁ガスケット54を介在することで絶縁を実現し得る。前記絶縁ガスケット54は、例えば、絶縁性の樹脂材料からなり得る。
【0122】
これとは異なり、前記電極端子50の一部に絶縁性コーティング層を形成することで絶縁を実現することも可能である。または、前記電極端子50とバッテリーハウジング20の接触が不可能になるように電極端子50を構造的に堅固に固定する方式を適用し得る。または、前述した方式のうち複数の方式を共に適用してもよい。
【0123】
図6及び
図7、少なくとも
図9を共に参照すると、前記インシュレーター60は、集電板(第1集電板)40とバッテリーハウジング20の内面の間に備えられ得る。前記インシュレーター60は、集電板40とバッテリーハウジング20の接触を防止する。前記インシュレーター60は、電極組立体10の外周面の上端とバッテリーハウジング20の内面の間にも介在され得る。これは、前記バッテリーハウジング20の閉鎖部20aに向かって延びた第1非コーティング部11とバッテリーハウジング20の内周面の接触を防止するためである。
【0124】
本発明の一実施例による円筒形バッテリー1がインシュレーター60を備える場合、電極端子50は、インシュレーター60を通過して集電板40に結合する。このように電極端子50が通過可能になるように、前記インシュレーター60は、集電板40の端子結合部43と対応する位置に形成される開口を備え得る。
【0125】
図15を参照すると、前記集電板(第2集電板)70は、電極組立体10の下部に結合する。前記集電板70は導電性の金属材料からなり、第2非コーティング部12と結合する。また、前記集電板70は、バッテリーハウジング20と電気的に接続される。前記集電板70は、その周縁領域がバッテリーハウジング20の内面とシーリングガスケット80の間に介在されて固定され得る。この場合、前記集電板70は、バッテリーハウジング20のビーディング部21によって形成される取付面に溶接され得る。
【0126】
図8を参照すると、前記集電板70は、第2非コーティング部12の端部が集電板70と平行である方向に折り曲げられて形成された結合面に結合し得る。前記第2非コーティング部12の折曲方向は、例えば、電極組立体10の巻取中心孔Cに向かう方向であり得る。前記第2非コーティング部12がこのように折り曲げられた形態を有する場合、第2非コーティング部12が占める空間が縮小してエネルギー密度の向上を図り得る。また、このような実施形態によれば、前記第2非コーティング部12と集電板70の結合力の向上及び抵抗減少の効果を奏し得る。
【0127】
望ましくは、円筒形バッテリーセルは、例えば、フォームファクターの比(円筒型バッテリーセルの直径を高さで割った値、即ち、高さHに対する直径Φの割合に定義される。)が約0.4よりも大きい円筒形バッテリーセルであり得る。
【0128】
ここで、フォームファクターとは、円筒形バッテリーセルの直径及び高さを示す値を意味する。本発明の一実施例による円筒形バッテリーセルは、例えば、46110セル、48750セル、48110セル、48800セル、46800セルであり得る。フォームファクターを示す数値において、最初の数字二つはセルの直径を示し、その次の数字二つはセルの高さを示し、最後の数字0はセルの断面が円形であることを示す。
【0129】
本発明の一実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約46mmであり、その高さは約110mmであり、フォームファクターの比は約0.418である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0130】
他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さは約75mmであり、フォームファクターの比は約0.640である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0131】
また、他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さは約110mmであり、フォームファクターの比は約0.436である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0132】
また、さらに他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さは約80mmであり、フォームファクターの比は約0.600である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0133】
さらに他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約46mmであり、その高さは約80mmであり、フォームファクターの比は約0.575である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0134】
従来には、フォームファクターの比が約0.4以下であるバッテリーセルが用いられた。即ち、従来には、例えば、18650セル、21700セルなどが用いられた。18650セルの場合、その直径が約18mmであり、その高さは約65mmであり、フォームファクターの比は約0.277である。21700セルの場合、その直径が約21mmであり、その高さは約70mmであり、フォームファクターの比は約0.300である。
【0135】
図17を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーパック3は。前述したような本発明の一実施例による複数の円筒形バッテリー1が電気的に接続された二次電池集合体及びそれを収容するパックハウジング2を含む。本発明の図面では、図示の便宜上、電気的接続のためのバスバー、冷却ユニット、電力端子などの部品は省略した。
【0136】
図18を参照すると、本発明の一実施例による自動車5は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、またはプラグインハイブリッド自動車であり、本発明の一実施例によるバッテリーパック3を含む。前記自動車5は、四輪自動車及び二輪自動車を含む。前記自動車5は、本発明の一実施例によるバッテリーパック3から電力を受けて動作する。
【0137】
次は、
図19~
図24を参照して、上述した円筒形バッテリー1についてより具体的に説明する。
【0138】
前述したように、本発明の実施例による円筒形バッテリーは、バッテリーハウジングの底面にリベッティングされた電極端子を含み得る。
【0139】
図19は、本発明の実施例による電極端子50のリベッティング構造を示した断面図であり、
図20は、点線の円で示された部分の拡大断面図である。
【0140】
図19及び
図20を参照すると、実施例による電極端子50のリベッティング構造は、一側が開放された円筒形のバッテリーハウジング20と、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aに形成された貫通孔23を通してリベッティングされた電極端子50と、電極端子50と貫通孔23の間に介在された絶縁ガスケット54と、を含み得る。
【0141】
バッテリーハウジング20は、導電性金属材料からなる。一例で、バッテリーハウジング20はスチール材料からなり得るが、本発明はこれに限定されない。
【0142】
電極端子50は、導電性金属材料からなる。一例で、電極端子50は、アルミニウムからなり得るが、本発明はこれに限定されない。
【0143】
絶縁ガスケット54は、絶縁性及び弾性を有する高分子樹脂からなり得る。一例で、絶縁ガスケット54は、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレード、ポリフルオル化エチレンなどからなり得るが、本発明はこれに限定されない。
【0144】
望ましくは、電極端子50は、貫通孔23に挿入された本体部50a、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面に露出した本体部50aの一側の周縁から外面に沿って延びた外部フランジ部50bと、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面に露出した本体部50aの他側の周縁から内面に向かって延びた内部フランジ部50cと、内部フランジ部50cの内側に備えられた平坦部50dと、を含み得る。
【0145】
望ましくは、平坦部50dとバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面は互いに平行であり得る。ここで、「平行」とは、目視で観察したとき、実質的に平行であることを意味する。
【0146】
本発明の一面によれば、内部フランジ部50cとバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面がなす角度θは0°~60°以下であり得る。角度の大きさは、カシメ工法で電極端子50がバッテリーハウジング20の貫通孔23に設けられるとき、カシメ強度によって決定される。一例で、カシメ強度が増加するほど角度θは0°まで減少し得る。角度が60°を超過すると、絶縁ガスケット54のシーリング効果が低下することがある。
【0147】
本発明の他面によれば、内部フランジ部50cと平坦部50dの間にリセス部55が備えられ得る。リセス部55は、非対称溝の断面構造を有し得る。一例で、非対称溝は、ほぼV字形であり得る。非対称溝は、平坦部50dの側壁55aと、前記側壁55aの端部と連結された内部フランジ部50cの傾斜面55bと、を含み得る。前記側壁55aは、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面と実質的に垂直であり得る。「垂直」とは、目視で観察したときに実質的に垂直である場合を意味する。リセス部55は、カシメ工法で電極端子50がバッテリーハウジング20の貫通孔23に設けられるとき、カシメジグの形状によって作られたものである。
【0148】
望ましくは、内部フランジ部50cの厚さは、電極端子50の本体部50aから遠くなるほど減少し得る。
【0149】
本発明の他面によれば、絶縁ガスケット54は、外部フランジ部50bとバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面の間に介在された外部ガスケット54bと、内部フランジ部50cとバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面の間に介在された内部ガスケット54aと、を含み得る。
【0150】
外部ガスケット54b及び内部ガスケット54aは、厚さが位置によって変わり得る。望ましくは、内部ガスケット54aの領域においてバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面と連結された貫通孔23の内側エッジ24と内部フランジ部50cの間に介在された領域の厚さが相対的に小さくてもよい。望ましくは、貫通孔23の内側エッジ24と内部フランジ部50cの間に介在されたガスケット領域に最小厚さの地点が存在し得る。また、貫通孔23の内側エッジ24は、内部フランジ部50cと向かい合う対向面25を含み得る。
【0151】
一方、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aと垂直をなす貫通孔23の内壁の上端及び下端は、電極端子50に向かって先細になる表面を形成するように、面取り(corner cutting)されている。しかし、貫通孔23の内壁の上端及び/または下端は、曲率を有する柔らかい曲面に変形され得る。この場合、貫通孔23の内壁の上端及び/または下端の付近でガスケット54に加えられるストレスをより緩和させ得る。
【0152】
望ましくは、内部ガスケット54aは、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面と0°~60°の角度をなし、内部フランジ部50cよりも長く延び得る。
【0153】
さらに他面で、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面を基準にして平坦部50dの高さH1が内部ガスケット54aの端部の高さH2と同一であるか、または大きくてもよい。また、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面を基準にして平坦部50dの高さH1が内部フランジ部50cの端部の高さH3よりも大きいか、または同一であってもよい。
【0154】
高さパラメーターであるH1、H2及びH3が前記条件を満たすと、内部フランジ部50cと内部ガスケット54aが他の部品と干渉を起こすことを防止することができる。
【0155】
さらに他面で、電極端子50の本体部50aの中心から外部フランジ部50bの縁部までの半径R1は、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの半径R2に対して10~60%であり得る。
【0156】
R1が小くなると、電極端子50に電気配線部品(バスバー)を溶接するに際し、溶接空間が足りなくなる。また、R1が大きくなると、電極端子50を除いたバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面に電気配線部品(バスバー)を溶接するとき、溶接空間が減少する。
【0157】
割合R1/R2を10~60%範囲で調節すると、電極端子50及びバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面に対する溶接空間を適切に確保可能である。
【0158】
また、電極端子50の本体部50aの中心から平坦部50dの縁部までの半径R3は、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの半径R2に対して4~30%であり得る。
【0159】
R3が小くなると、電極端子50の平坦部50dに集電板(第1集電板)(
図21の符号40参照)を溶接するとき、溶接空間が足りなくなり、電極端子50の溶接面積が減少してコンタクト抵抗が増加し得る。また、R3は、R1よりは小さいことが望ましく、R3が大きくなると、内部フランジ部50cの厚さが薄くなって内部フランジ部50cが絶縁ガスケット54を圧縮する力が弱くなり、絶縁ガスケット54のシーリング力が低下することがある。
【0160】
R3/R2を4%~30%の範囲で調節すると、電極端子50の平坦部50dと集電板(
図21の符号40参照)の溶接面積を充分に確保することで溶接工程を容易に行い得るだけでなく、溶接領域のコンタクト抵抗を減少させることができ、絶縁ガスケット54のシーリング力の低下を防止することができる。
【0161】
本発明の実施例によれば、電極端子50のリベッティング構造は、上下動するカシメジグを用いて形成し得る。先ず、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aに形成された貫通孔23に絶縁ガスケット54を介在して電極端子50のプレフォーム(図示せず)を挿入する。プレフォームは、リベッティングされる前の電極端子を指す。
【0162】
次に、カシメジグをバッテリーハウジング20の内側空間に挿入する。カシメジグは、プレフォームをリベッティングして電極端子50を形成するためにプレフォームと対向する面に電極端子50の最終形状に対応する溝と突起を有する。
【0163】
次に、カシメジグを下部へ移動させてプレフォームの上部を加圧成形してプレフォームをリベッティングされた電極端子50に変形させる。
【0164】
カシメジグによってプレフォームが加圧される間に、外部フランジ部50bとバッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面の間に介在された外部ガスケット54bが弾性的に圧縮されながらその厚さが減少する。また、貫通孔23の内側エッジ24とプレフォームの間に介在された内部ガスケット54aの部位が内部フランジ部50cによって弾性的に圧縮されながら他の領域よりも厚さが減少する。特に、内部ガスケット54aの厚さが集中的に減少する領域は、
図20の点線の円で示された部分である。これによって、リベッティングされた電極端子50とバッテリーハウジング20の間のシーリング性及び密閉性が大幅に向上する。
【0165】
望ましくは、絶縁ガスケット54は、プレフォームがリベッティングされる過程で物理的に損傷することなく所望のシーリング強度を確保できるように充分に圧縮されることが望ましい。
【0166】
一例で、絶縁ガスケット54がポリブチレンテレフタレートからなる場合、絶縁ガスケット54は、それが最小厚さに圧縮される地点での圧縮率が50%以上であることが望ましい。圧縮率は、圧縮前の厚さに対する圧縮前後の厚さ変化の割合である。
【0167】
他の例で、絶縁ガスケット54がポリフルオロエチレンからなる場合、絶縁ガスケット54は、それが最小厚さに圧縮される地点での圧縮率が60%以上であることが望ましい。
【0168】
さらに他の例で、絶縁ガスケット54がポリプロピレンからなる場合、絶縁ガスケット54は、それが最小厚さに圧縮される地点での圧縮率が60%以上であることが望ましい。
【0169】
望ましくは、カシメジグの上下動を少なくとも12回以上に行ってプレフォーム上部の加圧成形を段階的に行い得る。即ち、プレフォームを段階的に加圧成形して数回にかけて変形し得る。この際、カシメジグに加えられる応力を段階的に増加させ得る。このようにすると、プレフォームに加えられる応力を多数回に分散させることでカシメ工程が行われる間に絶縁ガスケット54の損傷を防止できる。特に、貫通孔23の内側エッジ24とプレフォームの間に介在された内部ガスケット54aの部位が内部フランジ部50cによって集中的に圧縮されるとき、ガスケットの損傷が最小化される。
【0170】
カシメジグを用いてプレフォームの加圧成形が完了した後、カシメジグをバッテリーハウジング20から分離すると、
図20に示したように本発明の実施例による電極端子50のリベッティング構造が得られる。
【0171】
上述した実施例によれば、コーキングジグは、バッテリーハウジング20の内部で上下動によってプレフォームの上部を加圧成形する。場合によっては、プレフォームの加圧成形のために従来技術で使用されるロータリー(rotary)回転ジグが使われ得る。
【0172】
但し、ロータリー回転ジグは、バッテリーハウジング20の中心軸に対して所定の角度に傾いた状態で回転運動する。このため、回転半径の大きいロータリー回転ジグは、バッテリーハウジング20の内壁と干渉を起こし得る。また、バッテリーハウジング20の深さが大きい場合、ロータリー回転ジグの長さもそれほど長くなる。この場合、ロータリー回転ジグの端部の回転半径が大きくなり、プレフォームの加圧成形がまともに行われないことがある。このため、カシメジグを用いた加圧成形がロータリー回転ジグを用いた方式よりもさらに効果的である。
【0173】
図21は、本発明の一実施例による円筒形バッテリー1を長手方向Yに沿って切断した断面図である。前記円筒形バッテリー1の全体的な構造については前述したが、以下では、前述したこととは異なる観点で円筒形バッテリー1の全体的な構造を説明する。
【0174】
図21を参照すると、実施例による円筒形バッテリー1は、シート状の第1電極及び第2電極が、分離膜が介在された状態で巻き取られ、上部には、第1電極の非コーティング部11が露出し、下部には第2電極の非コーティング部12が露出しているゼリーロールタイプの電極組立体10を含む。
【0175】
実施例で、第1電極は負極であり、第2電極は正極であり得る。勿論、その反対の場合も可能である。
【0176】
電極組立体10の巻取方法は、
図1及び
図2を参照して説明した従来技術によるタブレス円筒形バッテリーの製造時に使用される電極組立体の巻取方法と実質的に同一である。
【0177】
電極組立体10を図示するに際し、分離膜の外側に露出して延びた非コーティング部11、12のみを詳しく示し、第1電極、第2電極及び分離膜の巻取構造の図示は省略した。
【0178】
なお、円筒形バッテリー1は、電極組立体10を収納し、第2電極の非コーティング部12と電気的に接続した円筒形のバッテリーハウジング20を含む。
【0179】
望ましくは、バッテリーハウジング20の一側(下部)は開放されている。また、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aは、電極端子50がカシメ工程によって貫通孔23にリベッティングされた構造を有する。
【0180】
具体的には、電極端子50は、貫通孔23に挿入された本体部50aと、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面に露出した本体部50aの一側の周縁から外面に沿って延びた外部フランジ部50bと、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの内面に露出した本体部50aの他側の周縁から内面に向かって延びた内部フランジ部50cと、内部フランジ部50cの内側に備えられた平坦部50dと、を含み得る。
【0181】
また、円筒形バッテリー1は、電極端子50と貫通孔23の間に介在された絶縁ガスケット54を含み得る。
【0182】
また、円筒形バッテリー1は、バッテリーハウジング20から絶縁可能にバッテリーハウジング20の開放端部を密封する密封体を含み得る。望ましくは、密封体は、極性を有さないキャッププレート30及びキャッププレート30の周縁とバッテリーハウジング20の開放端部の間に介在されたシーリングガスケット80を含み得る。
【0183】
キャッププレート30は、アルミニウム、スチール、ニッケルなどの導電性金属材料からなり得る。また、シーリングガスケット80は、絶縁性及び弾性を有するポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフルオル化エチレンなどからなり得る。しかし、本発明がキャッププレート30とシーリングガスケット80の素材によって限定されることではない。
【0184】
キャッププレート30は、バッテリーハウジング20の内部の圧力が臨界値を超過すると破裂するベント部31を含み得る。ベント部31は、キャッププレート30の両面に形成され得る。前記ベント部31は、キャッププレート30の表面に連続的または不連続的な円形パターン、直線パターンまたはその他のパターンを形成し得る。
【0185】
バッテリーハウジング20は、密封体を固定するために、バッテリーハウジング20の内側へ延びて曲げられてシーリングガスケット80と共にキャッププレート30の周縁部を囲んで固定するクリンピング部22を含み得る。
【0186】
また、バッテリーハウジング20は、開放端部に隣接する領域にバッテリーハウジング20の内側へ圧入されたビーディング部21を含み得る。ビーディング部21は、密封体がクリンピング部22によって固定されるとき、密封体の縁部、特に、シーリングガスケット80の外周面を支持する。
【0187】
また、円筒形バッテリー1は、第2電極の非コーティング部12と溶接される第2集電板70をさらに含み得る。第2集電板70は、アルミニウム、スチール、ニッケルなどの導電性金属材料からなる。望ましくは、第2集電板70は、第2電極の非コーティング部12と接触しない縁部の少なくとも一部がビーディング部21とシーリングガスケット80の間に介在されてクリンピング部22によって固定され得る。選択的には、第2集電板70の端部の少なくとも一部は、クリンピング部22と隣接するビーディング部21の内周面に溶接によって固定され得る。
【0188】
また、円筒形バッテリー1は、第1電極の非コーティング部11と溶接される第1集電板40を含み得る。望ましくは、第1集電板40の少なくとも一部、例えば、中央部は、電極端子50の平坦部50dと溶接され得る。
【0189】
望ましくは、第1集電板40が溶接されるとき、溶接工具は、電極組立体10のコアに存在する巻取中心孔Cから挿入され、第1集電板40の溶接地点まで到達し得る。また、第1集電板40が電極端子50の平坦部50dに溶接されるときに電極端子50が第1集電板40の溶接領域を支持するので、溶接領域に強い圧力を加えて溶接品質を向上させることができる。また、電極端子50の平坦部50dは面積が広いので、溶接領域も広く確保可能である。これによって、溶接領域の接触抵抗を低めることで円筒形バッテリー1の内部抵抗を低めることができる。リベッティングされた電極端子50と第1集電板40の面と面による溶接構造は、高いCレート(c-rate)電流を用いた急速充電に非常に有用である。電流が流れる方向の断面における単位面積当たりの電流密度を低めることができるので、電流通路(パス)で発生する発熱量を従来よりも低めることができるためである。
【0190】
電極端子50の平坦部50dと第1集電板40の溶接時には、レーザー溶接、超音波溶接、スポット溶接及び抵抗溶接のうちいずれか一つを用い得る。平坦部50dの面積は、溶接方式によって相違に調節可能であり、溶接強度と溶接工程の容易性のために2mm以上であることが望ましい。
【0191】
一例で、平坦部50dと第1集電板40がレーザーで溶接され、円弧パターンの形態で連続的または不連続的なラインで溶接される場合、平坦部50dの直径は4mm以上であることが望ましい。平坦部50dの直径が当該条件を満たす場合、溶接強度の確保が可能であり、レーザー溶接工具を電極組立体10の巻取中心孔C挿入して容易に溶接工程を行い得る。
【0192】
他の例で、平坦部50dと第1集電板40が超音波で溶接され、円形パターンで溶接される場合、平坦部50dの直径は2mm以上であることが望ましい。平坦部50dの直径が当該条件を満たす場合、溶接強度の確保が可能であり、超音波溶接工具を電極組立体10の巻取中心孔Cに挿入して容易に溶接工程を行い得る。
【0193】
また、円筒形バッテリー1は、インシュレーター60をさらに含み得る。インシュレーター60は、第1集電板40とバッテリーハウジング20閉鎖部20aの内面との間、そして、バッテリーハウジング20の側壁の内周面と電極組立体10の間に介在され得る。望ましくは、インシュレーター60は、電極端子50の平坦部50dを第1集電板40側に露出するインシュレーターホール60aを含み、第1集電板40の表面と電極組立体10の一側(上部)の縁部をカバーし得る。
【0194】
望ましくは、第1電極及び/または第2電極の非コーティング部11、12は、電極組立体10の外周側からコア側へ折り曲げられることで、電極組立体10の上部及び下部に折曲面を形成し得る。また、第2集電板70は、第2電極の非コーティング部12が折り曲げられて形成された折曲面に溶接され、第1集電板40は、第1電極の非コーティング部11が折り曲げらて形成された折曲面に溶接され得る。
【0195】
非コーティング部11、12が折り曲げられるときに発生する応力を緩和するために、第1電極及び/または第2電極は、従来の電極(
図1参照)と異なり、改善された構造を有し得る。
【0196】
図22は、本発明の望ましい実施例による電極90構造を示した平面図である。
【0197】
図22を参照すると、電極90は、導電性材料のホイルからなったシート状の集電体91と、集電体91の少なくとも一面に形成された活物質層92と、集電体91の長辺端部に活物質がコーティングされていない非コーティング部93と、を含む。
【0198】
望ましくは、非コーティング部93は、切り欠き加工(notching)された複数の分節片93aを含み得る。複数の分節片93aは、複数のグループをなし、各グループに属する分節片93aは、高さ(Y方向の長さ)及び/または幅(X方向の長さ)及び/または離隔ピッチが同一であり得る。各グループに属する分節片93aの数は、図示されたものよりも増加または減少し得る。分節片93aは台形であってもよく、四角形、平行四辺形、半円形または楕円形に変形され得る。
【0199】
望ましくは、分節片93aの高さは、コア側から外周側へ進むほど段階的に増加し得る。また、コア側と隣接するコア側非コーティング部93’は、分節片93aを含まなくてもよく、コア側非コーティング部93’の高さは、他の非コーティング部の領域よりも小さくてもよい。
【0200】
選択的には、電極90は、活物質層92と非コーティング部93の境界を覆う絶縁コーティング層94を含み得る。絶縁コーティング層94は、絶縁性を有する高分子樹脂を含み、選択的に無機物フィラーをさらに含み得る。絶縁コーティング層94は、活物質層92の端部が分離膜を介して対向している反対極性の活物質層と接触することを防止し、分節片93aの折曲げを構造的に支持する役割を果たす。このために、電極90が電極組立体に巻き取られたとき、絶縁コーティング層94は、少なくとも一部が分離膜から外部に露出することが望ましい。
【0201】
図23は、本発明の実施例による電極90の非コーティング部の分節構造を第1電極及び第2電極に適用した電極組立体100を長手方向(Y方向)に沿って切断した断面図である。
【0202】
図23を参照すると、電極組立体100は、
図1及び
図2を参照して説明した巻取工法で製造し得る。説明の便宜のために、分離膜の外部へ延びた非コーティング部11、12の突出構造を詳しく示し、第1電極、第2電極及び分離膜の巻取構造の図示は省略した。上部へ突出した非コーティング部11は、第1電極から延びたものであり、下部へ突出した非コーティング部12は、第2電極から延びたものである。
【0203】
非コーティング部11、12の高さが変化するパターンは、概略的に図示した。即ち、断面が切られる位置によって非コーティング部11、12の高さは不規則に変化し得る。一例で、台形分節片93aのサイド部分が切られると、断面における非コーティング部の高さは、分節片93aの高さよりも低くなる。これによって、電極組立体100の断面を示した図面に図示された非コーティング部11、12の高さは、各巻取ターンに含まれた非コーティング部の高さの平均に対応することが理解されよう。
【0204】
非コーティング部11、12は、
図24に示したように電極組立体100の外周側からコア側へ折り曲げられ得る。
図23において、折り曲げられる部分101は点線のボックスで示した。非コーティング部11、12が折り曲げられるとき、半径方向に隣接している分節片が多重で互いに重ねられることによって電極組立体100の上部と下部に折曲面102が形成される。この際、コア側の非コーティング部(
図22の符号93’)は、高さが低くて折り曲げられず、最内側で折り曲げられる分節片の高さhは、分節片構造を有さないコア側の非コーティング部93’によって形成された巻取領域の半径方向の長さrよりも小さいか、または同一である。これによって、電極組立体100のコアに位置する巻取中心孔Cが、折り曲げられた分節片によって閉鎖されない。巻取中心孔Cが閉鎖されない場合、電解質の注液工程に困難性がなく、電解液の注液効率が向上する。また、巻取中心孔Cから溶接工具を挿入して電極端子50と第1集電板40の溶接を容易に行い得る。
【0205】
本発明の実施例による円筒形バッテリー1は、密封体のキャッププレート30が極性を有さない。その代わりに、第2集電板70がバッテリーハウジング20の側壁に接続しているため、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面が電極端子50とは反対極性を有する。これによって、複数のセルを直列及び/または並列に接続するとき、バッテリーハウジング20の閉鎖部20aの外面と電極端子50を用いて円筒形バッテリー1の上部でバスバー接続などの配線を行い得る。これによって、同じ空間に搭載可能なセルの数を増加させてエネルギー密度を向上させることができる。
【0206】
以下では、本発明の一実施例による円筒形バッテリーに使用される正極活物質の実施例について説明する。
【0207】
実施例において、「一次粒子」とは、走査電子顕微鏡または電子後方散乱回折(electron backscatter diffraction; EBSD)を用いて5,000~20,000倍の視野で観察したとき、外観上、粒子が存在しない粒子単位を意味する。「一次粒子の平均粒径」とは、走査電子顕微鏡またはEBSDイメージから観察される一次粒子の粒径を測定した後に計算されたそれらの算術平均値を意味する。
【0208】
「二次粒子」とは、複数の一次粒子が凝集して形成された粒子である。本発明においては、数十~数百個の一次粒子が凝集して形成される従来の二次粒子と区別するために、一次粒子が10個以下に凝集した二次粒子を疑似単粒子と称する。
【0209】
本発明において「比表面積」とは、BET法によって測定したものであって、具体的には、BEL Japan社のBELSORP-mini IIを用いて液体窒素温度下(77K)における窒素ガス吸着量から算出され得る。
【0210】
本発明において、「Dmin」、「D50」及び「Dmax」は、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定された正極活物質の体積累積分布の粒度値である。具体的には、Dminは、体積累積分布で示される最小粒子の大きさであり、D50は、体積累積量が50%であるときの粒子の大きさであり、Dmaxは、体積累積分布で示される最大粒子の大きさである。正極活物質が単粒子である場合、D50は一次粒子の平均粒径を意味する。また、正極活物質が疑似単粒子である場合、D50は一次粒子が凝集して形成された粒子の平均粒径を意味する。
【0211】
前記体積累積分布の粒度値は、例えば、正極活物質を分散媒中に分散させた後、市販のレーザー回折粒度測定装置(例えば、Microtrac MT 3000)に導入して約28kHzの超音波を出力60Wで照射した後、体積累積粒度分布グラフを得ることで測定され得る。
【0212】
本発明において、「本質的にAからなる(consist essentially of A)」とは、A成分と本発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない、言及されていない任意の成分を含むことを意味する。本発明の基本的かつ新規な特徴は、電池の製造時に粒子割れを最小化すること、このような粒子割れによって発生するガスを最小化すること及び内部クラックの発生を最小化することのうち少なくとも一つを含む。当該技術分野における通常の技術者であれば、このような特性の物質的影響を認知し得る。
【0213】
本発明者は、高い容量を実現しながらも安全性が優秀な電気化学素子用の正極及びそれを含む電気化学素子を開発するために研究を重ねた結果、正極活物質として一つの一次粒子からなる単粒子または10個以下の一次粒子の凝集体である疑似単粒子形態の正極活物質を単独で使用する場合、大型の円筒形バッテリーの安全性を画期的に向上させることができることを確認した。
【0214】
一面によれば、正極は、正極集電体と、前記正極集電体の少なくとも一面に形成された正極活物質層と、を含み、前記正極活物質層は正極活物質含み、選択的に導電材及び/またはバインダーを含み得る。
【0215】
正極は、長いシート状の正極集電体の少なくとも一面または両面に正極活物質層が形成された構造からなり、前記正極活物質層は、正極活物質及びバインダーを含み得る。
【0216】
具体的には、前記正極は、長いシート状の正極集電体の一面または両面に、正極活物質、導電材及びバインダーをジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)、水などのような溶媒に分散させて製造された正極スラリーを塗布し、乾燥工程によって正極スラリーの溶媒を除去した後、圧延する方法で製造され得る。一方、前記正極スラリー塗布時に正極集電体の一部領域、例えば、正極集電体の一端部に正極スラリーを塗布しない方法で非コーティング部を含む正極を製造し得る。
【0217】
他の面で、前記正極活物質は、単粒子系活物質粒子を含む。一実施様態において、前記単粒子系活物質粒子は、前記正極活物質100wt%に対して90wt%以上、95wt%以上、98wt%以上、または99wt%以上であり得る。具体的な一実施様態において、前記正極活物質は、前記単粒子系活物質粒子のみから構成され得る。
【0218】
本明細書において、前記単粒子系活物質粒子は、単粒子、疑似単粒子またはこれら粒子を共に含むことに称する。前記単粒子は、一つの一次粒子からなる粒子であり、前記疑似単粒子は、10個以下の一次粒子の凝集体である。
【0219】
従来には、リチウムバッテリーの正極活物質として数十~数百個の一次粒子が凝集した球状の二次粒子を使用することが通常であった。しかし、このように多量の一次粒子が凝集した二次粒子形態の正極活物質の場合、正極の製造時に圧延工程で一次粒子が落ちてしまう粒子割れが発生しやすく、充放電過程で粒子内部にクラックが発生するという問題点がある。正極活物質の粒子割れや粒子内部にクラックが発生する場合、電解液との接触面積が増加するため、電解液との副反応によるガス発生が増加するという問題点がある。円筒形バッテリー内部でガス発生が増加すると、電池内部の圧力が増加して電池爆発が発生する危険がある。特に、円筒形バッテリーの体積を増加させる場合、体積の増加につれて電池内部の活物質量が増加し、これによってガス発生量も大幅に増加するため、電池の発火及び/または爆発の危険性がさらに大きくなる。
【0220】
これに対し、一つの一次粒子からなる単粒子や一次粒子が10個以下に凝集した疑似単粒子形態の単粒子系活物質粒子は、一次粒子が数十~数百個凝集している従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて粒子強度が高いため、圧延時の粒子割れがほとんど発生しない。また、単粒子系活物質粒子の場合、粒子を構成する一次粒子の個数が少ないため、充放電時に一次粒子の体積膨張、収縮による変化が少なく、これによって粒子内部のクラックの発生も顕著に減少する。
【0221】
したがって、本発明の一実施例のように単粒子系活物質粒子を使用する場合、粒子割れ及び内部のクラック発生によるガス発生量を大幅に減少させることができる。これによって、大型の円筒形バッテリーに適用される場合、優秀な安全性を実現することができる。
【0222】
一方、前記単粒子及び/または疑似単粒子は、正極に含まれる全体正極活物質の重量に対して95wt%~100wt%、望ましくは98wt%~100wt%、より望ましくは99wt%~100wt%、より望ましくは100wt%の量で含まれることが望ましい。
【0223】
単粒子及び/または疑似単粒子の含量が前記範囲を満たすとき、大型電池への適用時に十分な安全性が得られる。二次粒子形態の正極活物質が全体正極活物質中に5wt%を超過する量で含まれる場合、電極製造及び充放電時に二次粒子から発生した微粉によって電解液との副反応が増加してガス発生抑制効果が低下し、これによって大型電池への適用時に安定性の改善効果が低下し得るためである。
【0224】
一方、本発明の一実施例による単粒子及び/または疑似単粒子を含む正極活物質は、Dminが1.0μm以上、1.1μm以上、1.15μm以上、1.2μm以上、1.25μm以上、1.3μm以上または1.5μm以上であり得る。正極活物質のDminが1.0μm未満である場合、正極の圧延工程で線圧が増加して粒子割れが発生しやすく、熱安定性が低下して大型の円筒形電池への適用時に熱安全性が充分に確保できない。
【0225】
一方、抵抗及び出力特性を考慮すると、前記正極活物質のDminは3μm以下、2.5μm以下または2μm以下であり得る。Dminが大きすぎると、粒子中のリチウムイオン拡散距離が増加して抵抗及び出力特性が低下し得る。
【0226】
例えば、前記正極活物質のDminは、1.0μm~3μm、1.0μm~2.5μm、または1.3μm~2.0μmであり得る。
【0227】
一方、前記正極活物質は、D50が5μm以下、4μm以下、または3μm以下であり、例えば、0.5μm~5μm、望ましくは1μm~5μm、より望ましくは2μm~5μmであり得る。
【0228】
単粒子及び/または疑似単粒子形態の正極活物質は、粒子内部でリチウムイオンの拡散経路となる一次粒子間の界面が少ないため、二次粒子形態の正極活物質よりもリチウム移動性が劣り、これによって抵抗が増加するという問題点がある。このような抵抗増加は、粒子の大きさが大きくなるほどひどくなり、抵抗が増加すると、容量及び出力特性に悪影響を及ぼす。したがって、正極活物質のD50を5μm以下に調節することで、正極活物質の粒子内部におけるリチウムイオンの拡散距離を最小化することで抵抗増加を抑制することができる。
【0229】
また、前記正極活物質は、Dmaxが12μm~17μm、望ましくは12μm~16μm、より望ましくは12μm~15μmであり得る。正極活物質のDmaxが前記範囲を満たすとき、抵抗特性及び容量特性がさらに優秀に示される。正極活物質のDmaxが大きすぎる場合は、単粒子間の凝集が発生したことであって、凝集した粒子内部におけるリチウム移動経路が長くなってリチウムの移動性が劣り、これによって抵抗が増加し得る。一方、正極活物質のDmaxが小さすぎる場合は、解砕工程が過度に行われた場合であって、過度な解砕によってDminが1μm未満に小くなることがあり、圧延時に粒子割れが誘発されて熱安定性が低下し得る。
【0230】
一方、前記正極活物質は、下記の式(1)で表される粒度分布(Particle Size Distribution;PSD)が3以下、望ましくは2~3、より望ましくは2.3~3であり得る。
式(1):粒度分布(PSD)=(Dmax-Dmin)/D50
【0231】
正極活物質が前記のような粒度分布を有するとき、正極の電極密度を適切に維持可能であり、粒子割れ及び抵抗増加を効果的に抑制することができる。
【0232】
一方、前記正極活物質は、一次粒子の平均粒径が5μm以下、4μm以下、3μm以下、または2μm以下であり得る。例えば、0.5μm~5μm、望ましくは1μm~5μm、より望ましくは2μm~5μmであり得る。一次粒子の平均粒径が前記範囲を満たす場合、電気化学的特性が優秀な単粒子及び/または疑似単粒子形態の正極活物質を形成し得る。一次粒子の平均粒径が小さすぎると、正極活物質を形成する一次粒子の凝集個数が多くなり、圧延時の粒子割れの発生を抑制する効果が劣り、一次粒子の平均粒径が大きすぎると、一次粒子内部におけるリチウム拡散経路が長くなって抵抗が増加し、出力特性が劣り得る。
【0233】
本発明の一実施例において、前記正極活物質は、ユニモーダル粒度分布を有することが望ましい。従来には、正極活物質層の電極密度を向上させるために、平均粒径の大きい大粒径の正極活物質と平均粒径の小さい小粒径の正極活物質を混合して使用するバイモーダル正極活物質がよく使用されてきた。しかし、単粒子または疑似単粒子形態の正極活物質の場合、粒径が増加すると、リチウム移動経路が長くなって抵抗が顕著に増加するため、大粒径粒子を混合して使用する場合、容量及び出力特性が低下する問題点が発生し得る。このため、本発明の一実施例においては、ユニモーダル分布を有する正極活物質を使用することで、抵抗増加を最小化するようにした。
【0234】
一方、前記正極活物質は、リチウムニッケル系酸化物を含むものであり得る。具体的には、遷移金属の全体モル数に対してNiを80モル%以上で含むリチウムニッケル系酸化物を含むものであり得る。望ましくは、前記リチウムニッケル系酸化物は、Niを80モル%以上100モル%未満、82モル%以上100モル%未満、または83モル%以上100モル%未満で含み得る。前記のようにNi含量の高いリチウムニッケル系酸化物を使用する場合、高い容量を実現することができる。
【0235】
より具体的には、前記正極活物質は、下記の化学式1で表されるリチウムニッケル系酸化物を含むものであり得る。
[化学式1]
LiaNibCocM1
dM2
eO2
前記化学式1において、M1は、Mn、Alまたはこれらの組合せであり得る。望ましくは、MnまたはMn及びAlであり得る。
【0236】
前記M2は、Zr、W、Y、Ba、Ca、Ti、Mg、Ta及びNbからなる群より選択される一種以上であり、望ましくは、Zr、Y、Mg及びTiからなる群より選択された一種以上であり、より望ましくは、Zr、Yまたはこれらの組合せであり得る。M2元素は必須に含まれるものではないが、適切な量で含まれる場合、焼成時の粒子成長を促進するか、または結晶構造の安定性を向上させる役割を果たし得る。
【0237】
前記aは、リチウムニッケル系酸化物中のリチウムのモル比を示すものであって、0.8≦a≦1.2、0.85≦a≦1.15、または0.9≦a≦1.2であり得る。リチウムのモル比が前記範囲を満たすとき、リチウムニッケル系酸化物の結晶構造が安定的に形成され得る。
【0238】
前記bは、リチウムニッケル系酸化物中のリチウムを除いた全体金属中のニッケルのモル比を示すものであって、0.8≦b<1、0.82≦b<1、0.83≦b<1、0.85≦b<1、0.88≦b<1または0.90≦b<1であり得る。ニッケルのモル比が前記範囲を満たすときに高いエネルギー密度を示し、高容量の実現が可能である。
【0239】
前記cは、リチウムニッケル系酸化物中のリチウムを除いた全体金属中におけるコバルトのモル比を示すものであって、0<c<0.2、0<c<0.18、0.01≦c≦0.17、0.01≦c≦0.15、0.01≦c≦0.12または0.01≦c≦0.10であり得る。コバルトのモル比が前記範囲を満たすと、良好な抵抗特性及び出力特性を実現できる。
【0240】
前記dは、リチウムニッケル系酸化物中のリチウムを除いた全体金属中におけるM1元素のモル比を示すものであって、0<d<0.2、0<d<0.18、0.01≦d≦0.17、0.01≦d≦0.15、0.01≦d≦0.12、または0.01≦d≦0.10であり得る。M1元素のモル比が前記範囲を満たすと、正極活物質の構造安定性が優秀に示される。
【0241】
前記eは、リチウムニッケル系酸化物中のリチウムを除いた全体金属中におけるM2元素のモル比を示すものであって、0≦e≦0.1、または0≦e≦0.05であり得る。
【0242】
一方、本発明の一実施例による正極活物質は、必要に応じて、前記リチウムニッケル系酸化物粒子の表面に、Al、Ti、W、B、F、P、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Cu、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、Bi、Si及びSからなる群より選択される一種以上のコーティング元素を含むコーティング層をさらに含み得る。望ましくは、前記コーティング元素は、Al、B、Coまたはこれらの組合せであり得る。
【0243】
リチウムニッケル系酸化物粒子の表面にコーティング層が存在する場合、コーティング層によって電解質とリチウムニッケル系酸化物の接触が抑制され、これによって電解質との副反応による遷移金属の溶出やガス発生を減少させる効果を奏し得る。
【0244】
前記正極活物質は、正極活物質層の総重量に対して80wt%~99wt%、望ましくは85wt%~99wt%、より望ましくは90wt%~99wt%で含まれ得る。
【0245】
一方、前記正極集電体としては、技術分野で使用される多様な正極集電体が使用され得る。例えば、前記正極集電体には、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。前記正極集電体は、通常3μm~500μmの厚さを有し、前記正極集電体の表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高め得る。前記正極集電体は、例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0246】
一方、本発明の一実施様態において、前記単粒子系活物質粒子の全部または一部は、粒子表面が伝導性コーティング層で被覆されたコアシェル(Core-shell)構造を有し得る。前記伝導性コーティング層は、粒子の少なくとも一部または全部を被覆し得る。前記伝導性コーティング層は、伝導性ナノ物質を含む。
【0247】
前記単粒子系活物質粒子の場合、従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて抵抗が高く、導電材との接触面積が小さいため、電気伝導度が劣るという問題点がある。電気伝導度を改善するために導電材を過量で投入する場合、正極スラリー内で凝集が発生して粘度が増加し、これによってコーティング性が劣る問題が発生する。このため、円滑なコーティング性を実現するためには、固形分の含量を減少させて正極スラリーの粘度を低める必要があり、正極スラリー中の固形分の含量が減少すると、活物質の含量が減少して容量特性が劣り得る。本発明の一実施例によるこのような問題点を解決するために、単粒子系活物質粒子の表面を伝導性ナノ物質でコーティングすることで、正極スラリーに別の導電材を添加しなくても優秀な電気伝導性を実現できるようにした。
【0248】
本発明の一実施様態において、前記単粒子系活物質の粒子表面に伝導性ナノ物質をコーティングした正極活物質を適用する場合、前記正極活物質層は、導電コーティング層を除いた部分に導電材を使用しなくてもよい。このように正極スラリーの凝集を誘発する導電材をさらに使用なくてもよいので、正極スラリーの粘度が減少し、固形分の含量を増加させることができ、電極コーティングの工程性及び電極接着力が改善される効果を奏し得る。
【0249】
本発明の一実施例において、前記伝導性ナノ物質は、粒子上に円滑にコーティングされるようにナノサイズの大きさを有し、伝導性を有する物質であればよく、その種類は特に限定されない。例えば、前記伝導性ナノ物質は、カーボンナノチューブ、カーボンナノ粒子などであり得る。
【0250】
前記伝導性ナノ物質は、多様な形態を有し得る。例えば、球状、鱗片状または繊維状などであり得る。
【0251】
一方、前記伝導性コーティング層は、コア部である単粒子系活物質粒子と伝導性ナノ物質を混合した後、熱処理する方法で形成され得る。この際、前記混合は、固相混合または液相混合で行われ得る。
【0252】
本発明の一実施様態において、前記正極活物質層は、鱗片状黒鉛を含む。正極活物質として前記単粒子系活物質を使用するに際し、正極活物質層が鱗片状黒鉛を含むと、正極活物質層を圧延する場合、前記鱗片状黒鉛が前記正極活物質に滑り効果を提供して電極の圧延特性が向上し、電極空隙率を目標水準まで低めることができる。これによって、本発明の一実施例による正極が適用されたバッテリーは、安定性、初期抵抗特性及び充放電効率が改善できる。
【0253】
本発明の一実施様態において、前記鱗片状黒鉛は、前記正極活物質層100wt%に対して0.1wt%~5wt%で含まれ、望ましくは0.1wt%~3wt%で含まれ得る。
【0254】
鱗片状黒鉛の含量が前記範囲を満たすと、正極の圧延特性が改善されて優秀な電極密度が実現可能である。鱗片状黒鉛の含量が少なすぎると、圧延特性の改善効果が微々たるものになり、多すぎると、スラリー粘度の上昇及び相安定性の低下を誘発することがあり、導電材との結合による電極均一性の低下から抵抗が増加する可能性がある。
【0255】
一方、本発明で使用される鱗片状黒鉛は、これに制限されるものではないが、平均粒径が1μm~20μm、望ましくは2μm~10μm、より望ましくは3μm~5μmであり得る。鱗片状黒鉛の大きさが小さすぎると、所望の空隙率を実現しにくく、電流密度を低めて容量が低くなり得る。この際、前記鱗片状黒鉛の平均粒径は、レーザー回折法(ISO 13320)で測定され得る。
【0256】
また、前記鱗片状黒鉛は、縦横比が0.1~500、望ましくは1~100、より望ましくは1~30であり得る。鱗片状黒鉛の縦横比が前記範囲を満たす場合、伝導性を改善して電極抵抗を低める効果が発生する。
【0257】
また、前記鱗片状黒鉛は、密度が2.0g/cm3~2.5g/cm3、望ましくは2.1g/cm3~2.4g/cm3、さらに望ましくは2.2g/cm3~2.3g/cm3であり得る。
【0258】
一方、本発明の一実施例において、前記正極活物質層の空隙率は15%~23%、望ましくは17%~23%、より望ましくは18%~23%であり得る。正極活物質層の空隙率が前記範囲を満たすと、電極密度が増加して優秀な容量を実現することができ、抵抗が減少する。空隙率が低すぎると、電解液の含浸性が劣り、電解液の未含浸によるリチウム析出が発生することがあり、高すぎると、電極間の接触が悪くなり、抵抗が増加してエネルギー密度が減少して、容量改善の効果が微々たるものになる。
【0259】
前記正極活物質層の空隙率の数値は、i)前記正極活物質が単粒子系活物質粒子を含むこと、ii)前記正極活物質に鱗片状黒鉛を添加することで達成できる。
【0260】
正極活物質のローディング量が比較的高い高ローディング電極を実現するに際し、本発明の一実施例のように単粒子または疑似単粒子形態の正極活物質を使用する場合、従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて圧延時における活物質の粒子割れが大幅に減少し、正極集電体(Alホイル)の損傷が減少するので、相対的に高い線圧で圧延が可能になり、正極活物質層の空隙率は前記のような数値範囲まで減少してエネルギー密度を高めることができる。
【0261】
また、本発明の一実施例のように正極活物質層に鱗片状黒鉛が含まれる場合、圧延時に前記鱗片状黒鉛が滑り効果を提供し、前記正極活物質層の空隙を満たし得るため、正極活物質層の空隙率は前記のような数値範囲まで減少し得る。
【0262】
また、前記正極は、ローディング量が570mg/25cm2以上、望ましくは600mg/25cm2~800g/25m2、より望ましくは600mg/25cm2~750mg/25cm2であり得る。具体的には、本発明の一実施例によるリチウム二次電池の場合、単粒子及び/または疑似単粒子の正極活物質及び鱗片状黒鉛を適用することで電極の圧延特性が向上するため、前記正極のローディング量が比較的高い水準に確保でき、これによって高容量特性を実現することができる。
【0263】
本発明の一実施様態において、前記正極活物質層は、導電材をさらに含み得る。前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、バッテリーの内部で化学変化を起こすことなく電子伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらの一種を単独でまたは二種以上の混合物が使用され得る。前記導電材は、通常的に正極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、望ましくは1wt%~20wt%、より望ましくは1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0264】
本発明の具体的な一実施様態において、前記導電材は、カーボンナノチューブを含み得る。
【0265】
本発明の一実施様態において、前記正極活物質は、導電材として比表面積が高くて壁数(Wall number)が小さい多層カーボンナノチューブを含み得る。前記多層カーボンナノチューブは、導電材100wt%に対して、50wt%以上、70wt%以上、90wt%以上または99wt%以上が含まれ得る。本発明の具体的な一実施例において、前記導電材は、前記多層カーボンナノチューブのみで構成され得る。
【0266】
本発明の一実施例において、前記多層カーボンナノチューブは、BET比表面積が300m2/g~500m2/gのものである。これを従来技術と区別するために「新規CNT」と称する。
【0267】
従来に通常使用されていたカーボンナノチューブ(従来CNT)は、BET比表面積が300m
2/g未満であった。本発明で使用される新規CNT(
図25)と従来CNT(
図26)の走査電子顕微鏡イメージ及び物性を比較(
図27)すると、次のようである。
【0268】
前記SEMイメージから分かるように、本発明の一実施例に適用される新規CNTは、バンドルタイプであり、多層(multiwall)構造であるが、従来CNTに比べてBETが高く、壁数及び直径が小さい。
【0269】
二次粒子形態の正極活物質を使用する場合、従来CNTを0.4wt%~0.6wt%水準で使用しても十分な電気伝導性を実現することができた。しかし、単粒子または疑似単粒子の正極活物質の場合、従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて抵抗が高くて、導電材との接触面積が小さくて電気伝導度が劣るため、BET比表面積が300m2/g未満である従来CNTを使用して十分な電気伝導性を実現するためには、導電材の含量が0.9wt%以上にならなければならない。
【0270】
図28~
図31は、正極活物質として単粒子または疑似単粒子を適用する場合、導電材の割合別の面抵抗及び高温寿命特性を示すグラフである。
【0271】
前記グラフから、正極活物質として単粒子または疑似単粒子を適用する場合、従来の二次粒子形態の正極活物質を適用する場合に比べて導電材の使用量が増加すべきであることが分かる。
【0272】
しかし、カーボンナノチューブの含有量が0.9wt%以上に増加すると、正極スラリー内で凝集が発生して粘度が増加し、これによってコーティング性が劣る。このため、円滑なコーティング性を実現するためには、正極スラリー中の固形分の含量を減少させて正極スラリーの粘度を低める必要があるが、正極スラリー中の固形分の含量が減少すると、活物質の含量が減少して容量特性が劣るという問題点がある。
【0273】
本発明者は、このような問題点を解決するために研究を重ねた結果、単粒子系活物質粒子である正極活物質と共に導電材としてBET比表面積が300m2/g~500m2/gであるカーボンナノチューブを適用すると、相対的に少ない量のカーボンナノチューブのみでも十分な電気伝導性が確保でき、これによって正極スラリーの固形分の含量を70wt%~80wt%程度に高く形成してもスラリーの粘度を低く維持可能であることを確認した。
【0274】
具体的には、本発明の一実施例に使用される前記カーボンナノチューブは、BET比表面積が300m2/g~500m2/g、望ましくは300m2/g~450m2/gである多層カーボンナノチューブであり得る。BET比表面積が前記範囲を満たすと、少ない量のカーボンナノチューブでも十分な電気伝導性を確保することができる。
【0275】
また、前記カーボンナノチューブは壁数(wall number)が2~8、望ましくは2~6、より望ましくは3~6である多層カーボンナノチューブであり得る。
【0276】
また、前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~8nm、望ましくは3nm~ 8nm、より望ましくは3nm~6nmであり得る。
【0277】
前記カーボンナノチューブは、正極活物質層の層重量に対して0.7wt%以下、望ましくは0.3wt%~0.7wt%、より望ましくは0.4wt%~0.6wt%で含まれ得る。カーボンナノチューブの含量が前記範囲を満たすと、十分な電気伝導性が実現でき、正極スラリー中での固形分の含量を高く維持可能であるため、正極活物質層内で正極活物質の含量を高く形成でき、これによって優秀な容量特性を実現することができる。
【0278】
図32に示した表は、BET比表面積が300m
2/g~500m
2/gであるカーボンナノチューブ(新規CNT)を適用した場合と、BETが200m
2/g以上300m
2/g未満であるカーボンナノチューブ(従来CNT)を適用した場合の正極スラリーの固形分の含量と粘度及びMPコーティング層とMP界面層における抵抗値を比較したものである。前記表から、新規CNTを適用する場合、従来CNTよりも正極スラリーの固形分の含量が高い場合にもさらに低い粘度を示し、電気伝導性も優秀であることを確認することができる。
【0279】
前記バインダーは、正極活物質粒子間の付着及び正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を果たすものである。具体的な例には、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM rubber)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち一種を単独でまたは二種以上の混合物を使用し得る。前記バインダーは、正極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、望ましくは1wt%~20wt%、より望ましく1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0280】
本発明のさらに他面は、前記正極を含む電極組立体及びそれを含むバッテリーに関する。前記電極組立体は負極及び正極を含み、前記正極は、前述したような構成的特徴を有する。
【0281】
前記電極組立体は、例えば、分離膜が負極と正極の間に介在された状態で積層されて積層型または積層/折畳み構造体を形成するか、または巻き取られてゼリーロール構造体を形成し得る。なお、ゼリーロール構造体を形成したとき、負極と正極が互いに接触することを防止するために外側に分離膜がさらに配置され得る。
【0282】
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一面に形成された負極活物質層と、を含む。前記負極は、長いシート状の負極集電体の一面または両面に負極活物質層が形成された構造からなり、前記負極活物質層は、負極活物質、導電材及びバインダーを含み得る。
【0283】
具体的には、前記負極は、長いシート状の負極集電体の一面または両面に、負極活物質、導電材及びバインダーをジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)、水などのような溶媒に分散させて製造された負極スラリーを塗布し、乾燥工程によって負極スラリーの溶媒を除去した後、圧延する方法で製造され得る。前記負極スラリーの塗布時、負極集電体の一部領域、例えば、負極集電体の一端部に負極スラリーを塗布しない方法で非コーティング部を含む負極を製造し得る。
【0284】
前記負極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物が使用され得る。負極活物質の具体的な例には人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Si-Me合金(ここで、Meは、Al、Sn、Mg、Cu、Fe、Pb、Zn、Mn、Cr、Ti及びNiからなる群より選択される一種以上)、SiOy(ここで、0<y<2)、Si-C複合体などのようなシリコン系物質;リチウム金属薄膜;Sn、Alなどのようにリチウムと合金化可能な金属物質;などが挙げらえ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用され得る。
【0285】
本発明の一実施例において、前記負極は、シリコン系負極活物質を含み得る。前記シリコン系負極活物質は、Si、Si-Me合金(ここで、Meは、Al、Sn、Mg、Cu、Fe、Pb、Zn、Mn、Cr、Ti及びNiからなる群より選択される一種以上)、SiOy(ここで、0<y<2)、Si-C複合体またはこれらの組合せであり、望ましくは、SiOy(ここで、0<y<2)であり得る。シリコン系負極活物質は、高い理論容量を有するため、シリコン系負極活物質を含む場合、容量特性を向上させ得る。
【0286】
前記シリコン系負極活物質は、Mb金属でドーピングされたものであってもよく、この際、前記Mb金属は、一族金属元素、二族金属元素であり得る。具体的には、Li、Mgなどであり得る。具体的には、前記シリコン系負極活物質は、Mb金属でドーピングされたSi、SiOy(ここで、0<y<2)、Si-C 複合体などであり得る。金属ドーピングされたシリコン系負極活物質の場合、ドーピング元素によって活物質容量は多少低下するが、高い効率を有するため、高いエネルギー密度を実現することができる。
【0287】
図56は、シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質の混合物を負極活物質に使用したバッテリーにおいて、シリコン系負極活物質の含量とシリコン系負極活物質のドーピング有無によるエネルギー密度の変化を示すグラフである。
【0288】
図56において、低効率SiO(Low efficiency SiO)は、未ドーピングSiOであり、超高効率SiO(Ultra-High efficiency SiO)は、Mg/LiドープされたSiOを意味する。
図56から、全体の負極活物質中のシリコン系負極活物質の含量が増加するほど、エネルギー密度が向上することを確認することができる。また、シリコン系負極活物質中において、ドープされたシリコン系負極活物質の割合が増加するほど、エネルギー密度の改善効果がさらに優秀であることを確認することができる。
【0289】
前記シリコン系負極活物質は、粒子表面に炭素コーティング層をさらに含み得る。この際、前記炭素コーティング量は、シリコン系負極活物質の全体重量に対して20wt%以下、望ましくは1~20wt%であり得る。前記炭素コーティング層は、乾式コーティング、湿式コーティング、化学気相蒸着(CVD)、物理気相蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)などの方式によって形成可能である。
【0290】
本発明の一実施様態において、前記シリコン系負極活物質は、1,000~4,000mAh/gの容量を有し、初期効率が約60~95%であり得る。
【0291】
本発明のさらに他の実施様態において、前記シリコン系負極活物質のD50は3μm~8μmであり、Dmin~Dmaxは0.5μm~30μmの範囲で含まれ得る。
【0292】
前記負極は、必要に応じて、負極活物質として炭素系負極活物質をさらに含み得る。前記炭素系負極活物質は、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛炭素繊維、非晶質炭素、軟質炭素(soft carbon)、硬質炭素(hard carbon)などが挙げられるが、これに限定されない。
【0293】
負極活物質としてシリコン系負極活物質と炭素系負極活物質の混合物を使用する場合、前記シリコン系負極活物質及び炭素系負極活物質の混合比は、重量比で1:99~20:80、望ましくは1:99~15:85、より望ましくは1:99~10:90であり得る。
【0294】
前記負極活物質は、負極活物質層の総重量に対して80wt%~99wt%、望ましくは85wt%~99wt%、より望ましくは90wt%~99wt%で含まれ得る。
【0295】
必要に応じて、前記負極活物質は、リチウム金属とSn、Alなどのようにリチウムと合金化可能な金属物質より選択された一種以上をさらに含み得る。
【0296】
前記負極集電体としては、当該技術分野で通常使用される負極集電体が使用可能であり、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に、炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。前記負極集電体は、通常3μm~500μmの厚さを有し、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させ得る。例えば、負極集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0297】
前記導電材は、負極に導電性を付与するために使用されるものであって、バッテリーの内部で化学変化を誘発することなく電子伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な導電材の例には、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらの一種を単独でまたは二種以上の混合物を使用し得る。前記導電材は、通常的に負極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、望ましくは1wt%~20wt%、より望ましくは1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0298】
前記バインダーは、負極活物質粒子同士の付着及び負極活物質と負極集電体の接着力を向上させる役割を果たす。具体的なバインダーの例には、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM rubber)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらの一種を単独でまたは二種以上の混合物を使用し得る。前記バインダーは、負極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、望ましくは1wt%~20wt%、より望ましくは1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0299】
前記電極組立体は分離膜をさらに含み、前記分離膜は、負極と正極の間に介在される方式で電極組立体内に配置される。前記分離膜は、負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常リチウムバッテリーにおいてセパレーターとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能である。
【0300】
前記分離膜としては、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの二層以上の積層構造体が使用され得る。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラスファイバー、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用され得る。また、耐熱性または機械的強度の確保のためにセラミック成分または高分子物質含有のコーティングされた分離膜が使用され得る。
【0301】
本発明のさらに他面は、前記電極組立体を含むバッテリーに関する。前記バッテリーは、電池ケースに電極組立体と電解液が共に収納されているものであって、前記電池ケースとしては、パウチタイプや金属缶タイプなど、本技術分野において通常使用されるものであれば、特に制限なく適切なものが選択され得る。
【0302】
本発明で使用される電解質としては、リチウムバッテリーに使用可能な多様な電解質、例えば、有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが使用され、その種類は特に限定されない。
【0303】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒及びリチウム塩を含み得る。
【0304】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たすものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate;DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate;DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate;MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate;EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分枝状または環状構造の炭化水素基であり、二重結合の芳香環またはエーテル結合を含み得る。)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用され得る。これらの中でもカーボネート系溶媒が望ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、底粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより望ましい。
【0305】
前記リチウム塩リチウムバッテリーに使用されるリチウムイオンを提供可能な化合物であれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記リチウム塩は、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAl04、LiAlCl4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(C2F5SO3)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LiI、またはLiB(C2O4)2が使用され得る。前記リチウム塩の濃度は、0.1M~5.0M、望ましくは0.1M~3.0M範囲内で使用されることが望ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するので、優秀な電解質性能を示し、リチウムイオンが効果的に移動可能である。
【0306】
前記電解質には、前記電解質の構成成分の他にも、電池の寿命特性向上、電池容量減少抑制、電池の放電容量向上などのために添加剤をさらに含み得る。例えば、前記添加剤としては、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどを単独でまたは混合して使用し得るが、これらに限定されない。前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1wt%~10wt%、望ましくは0.1wt%~5wt%で含まれ得る。
【0307】
本発明のさらに他の実施様態において、前記正極は、隣接する領域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部を含み得る。正極がこのような構造を有すると、リチウム析出の恐れなく正極活物質部の区間を増加させ得る。これによって、電極組立体のエネルギー密度を向上させることができる。
【0308】
最近、高いエネルギー密度の実現とコスト節減のために、バッテリーサイズを増加させる方向へ開発が進んでいる。バッテリーサイズに応じてエネルギーが増加するほど、バッテリー当たりの抵抗が減少しなければならない。抵抗の減少のために、電極に電極タブを取り付ける方式ではなく、電極の集電体を電極タブとして活用する方式が用いられ得る。この際、電極集電体上に電極スラリーを塗布する電極製造工程の特性上、負極スラリーが塗布された負極活物質部と負極集電体の境界部分にローディング量が減少する部分が発生する。N/P比(N/P ratio)を考慮したとき、前記ローディング量が減少する部分と対面する正極活物質部に金属リチウムが析出される恐れがある。ここで、N/P比とは、負極の面積及び質量当たりの容量を勘案して算出した負極の容量を、正極面積及び質量当たりの容量を勘案して得た正極の容量で割った値であり、通常1以上の値を有する。即ち、負極の容量を多く製作する。参考までに、N/P比が1にならないと、充放電時に金属リチウムが析出されやすく、これは高率充放電時において電池の安全性を急激に劣化させる原因として作用する。言い換えれば、N/P比は、電池の安全性及び容量に重大な影響を及ぼす。前記のように金属リチウム析出の恐れによって、負極ローディング量が減少する部分と対面する正極部分に正極活物質部を位置させられない。これは、バッテリーのエネルギー密度が高められない原因になる。そこで、本発明は、正極活物質部の区間を増やしてエネルギー密度を改善した。
【0309】
図52は、本発明の一実施例による電極組立体を示した図であり、
図53は、
図52のA-A’線に沿って切断した断面図である。
【0310】
図44及び
図45を参考すると、本発明の一実施例による電極組立体300は、負極400、正極500及び分離膜600を含む。分離膜600は、負極400と正極500の間に位置する。負極400、正極500及び分離膜600が共に巻き取られてゼリーロール構造体300Sを形成する。ここで、ゼリーロール構造体300Sは、負極400、正極500及び分離膜600が巻き取られて形成された構造物を指す。また、ゼリーロール構造体300Sを形成したとき、負極400と正極500が互いに接触することを防止するために、外側に分離膜600をさらに配置することが望ましい。
【0311】
負極400は、負極集電体410と、負極集電体410の上に負極活物質が塗布されて形成された負極活物質部420と、を含む。特に、図示したように、電極集電体410の両面とも負極活物質が塗布されて負極活物質部420が形成され得る。また、負極集電体410において負極活物質が塗布されていない負極非コーティング部430が第1方向d1へ延びる。負極非コーティング部430は、巻き取られる負極400の一端部に沿って延在する。また、負極非コーティング部430は、分離膜600よりも第1方向d1へ延びる。これによって、ゼリーロール構造体300Sの第1方向の一端部には、負極非コーティング部430が露出し得る。
【0312】
正極500は、正極集電体510及び正極集電体510の上に正極活物質が塗布されて形成された正極活物質部520を含む。特に、図示したように、正極集電体510の両面とも正極活物質が塗布されて正極活物質部520が形成され得る。また、正極集電体510において正極活物質の塗布されていない正極非コーティング部530が第2方向d2へ延びる。正極非コーティング部530は、巻き取られる正極500の一端部に沿って延在する。また、正極非コーティング部530は、分離膜600よりも第2方向d2へ延びる。これによって、ゼリーロール構造体300Sの第2方向の一端部には、正極非コーティング部530が露出し得る。
【0313】
ここで、第1方向d1と第2方向d2は、互いに対向する方向である。また、第1方向d1と第2方向d2は、ゼリーロール構造体300Sの高さ方向と平行な方向であり得る。
【0314】
本実施例による電極組立体300は、別の電極タブを取り付ける形態ではなく、抵抗減少のために負極集電体410の負極非コーティング部430と正極集電体510の正極非コーティング部530を電極タブとして活用する形態である。
【0315】
図示していないが、負極非コーティング部430及び/または正極非コーティング部530は、前述した電極の非コーティング部の構造を実質的に同一に備え得る。
【0316】
一実施様態で、正極活物質部520は、隣接する区域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部500Dを含み、ローディング減少部500Dは、正極500の第1方向d1の一端部に位置する。また、より具体的には、ローディング減少部500Dは、第1方向d1へ進むほど前記正極活物質のローディング量が次第に減少し得る。
【0317】
ここで、ローディング量は、単位面積当たりの活物質の塗布量を意味する。ローディング量が多い部分は、単位面積に負極活物質または正極活物質が多量塗布され、負極活物質部または正極活物質部の厚さが相対的に厚くなり得る。ローディング量が少ない部分は、単位面積に負極活物質または正極活物質が少量塗布され、負極活物質部または正極活物質部の厚さが相対的に薄くなり得る。
【0318】
活物質を含むスラリーを塗布して活物質部を形成する場合、このような工程で非コーティング部と活物質部の間にはローディング量が次第に減少する境界部が形成され得る。
【0319】
具体的には、負極活物質部420は、負極活物質部420と負極非コーティング部430の境界を形成する負極境界部420Bを含み得る。負極境界部420Bは、負極非コーティング部430が位置する方向へ進むほどローディング量が減少し得る。
【0320】
同様に、正極活物質部520は、正極活物質部520と正極非コーティング部530の境界を形成する正極境界部520Bを含み得る。正極境界部520Bは、正極非コーティング部530が位置する方向へ進むほどローディング量が減少し得る。
【0321】
上記のようにローディング量が次第に減少する負極境界部420Bや正極境界部520Bは、活物質を含むスラリーを負極集電体410や正極集電体510に塗布する過程で自然に発生する。
【0322】
この際、第2方向d2と垂直な方向を基準にして、正極境界部520Bと対応する領域では、正極活物質の量が負極活物質の量よりも少なくなり得る。これは、N/P比が1よりも大きい値を有するため、金属リチウムが析出されるような問題などが発生しない。
【0323】
問題は、負極境界部420Bと対応する領域である。第1方向d1と垂直な方向を基準にして、負極境界部420Bと対応する領域では、負極活物質の量が正極活物質の量よりも少なくなり得る。これは、N/P比が1よりも小さい値を有するので、金属リチウムが析出されるような問題が発生し得る。
【0324】
そこで、本実施例では、正極500にローディング減少部500Dを設けており、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極活物質部420が位置し得る。より具体的には、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極境界部420Bが位置し得る。
【0325】
ローディング量が次第に減少する負極境界部420Bと対応する位置に、隣接する区域よりも正極活物質のローディング量の少ないローディング減少部500Dを設け、リチウム析出の恐れなく正極活物質が塗布された区間を増加させ得る。特に、負極非コーティング部430が位置する方向へ進むほどローディング量が次第に減少する負極境界部420Bの形状と対応するように、ローディング減少部500Dが第1方向d1へ進むほど前記正極活物質のローディング量が次第に減少する形態を有し得る。これによって、負極境界部420Bが形成された領域における負極400と正極500に対するN/P比を高く維持可能であり、リチウムの析出を防止することができる。
【0326】
以下では、
図46~
図51を参照して本発明の一実施例による電極組立体の製造方法について詳しく説明する。
【0327】
図46及び
図47は、本発明の一実施例による負極の製造過程を示した図である。具体的には、
図46は、負極シートの上面視による平面図であり、
図47は、
図46の負極シートの正面図である。
【0328】
図46及び
図47を参照すると、本発明の一実施例による電極組立体の製造方法は、負極集電体410の上に負極活物質が塗布された負極活物質部420と負極活物質が塗布されていない負極非コーティング部430が交互に位置するように負極シート400Sを製造する段階を含む。
【0329】
具体的には、負極活物質を第3方向d3に沿って塗布して負極活物質部420を形成し得る。また、第3方向d3と垂直な第4方向d4に沿って塗布領域を離隔して複数の負極活物質部420が第4方向d4に沿って離隔するように位置させ得る。即ち、複数の負極活物質部420の間に負極非コーティング部430が位置するように塗布工程を行い得る。
【0330】
ここで、第3方向d3と第4方向d4は、負極シート400Sを基準にして説明するための方向であって、前述したゼリーロール構造体300Sにおける第1方向d1及び第2方向d2とは無関係な方向である。
【0331】
その後、負極非コーティング部430と負極活物質部420をスリッティング(Slitting)して負極400を製造する段階へ進み得る。
図48は、本発明の一実施例による負極を示した斜視図である。
【0332】
図46~
図48を参照すると、
図46及び
図47で点線で示した部分のように、負極非コーティング部430と負極活物質部420の各々に対して第3方向d3と平行である方向へスリッティングし得る。これによって、負極シート400Sから
図48に示したような負極400を複数個製造し得る。即ち、
図48の負極400は、
図46及び
図47の負極シート400Sをスリッティングして製造された複数の負極のうち一つである。負極シート400Sにおいて負極非コーティング部430と負極活物質部420を各々スリッティングすることで、一側に負極非コーティング部430が延びた負極400が製造され得る。
【0333】
負極活物質部420の形成時、負極活物質を含むスラリーを負極集電体410の上に塗布する場合、このようなスラリー塗布過程で、負極活物質部420と負極非コーティング部430の境界には、負極非コーティング部430が位置する方向へ進むほどローディング量が減少する負極境界部420Bが形成され得る。
【0334】
図49及び
図50は、本発明の一実施例によって正極を製造する工程を示した図である。具体的には、
図49は、正極シートの上面視による平面図であり、
図50は、
図49の正極シートの正面図である。
【0335】
図49及び
図50を参照すると、本発明の一実施例による電極組立体の製造方法は、正極集電体510の上に正極活物質が塗布された正極活物質部520と正極活物質が塗布されていない正極非コーティング部530が交互に位置するように正極シート500Sを製造する段階を含む。
【0336】
具体的には、正極活物質を第3方向d3に沿って塗布して正極活物質部520を形成し得る。また、第3方向d3と垂直な第4方向d4に沿って塗布間隔を調節して複数の正極活物質部520が離隔するように位置させ得る。即ち、複数の正極活物質部520の間に正極非コーティング部530が位置するように塗布工程を行い得る。
【0337】
ここで、第3方向d3と第4方向d4は、正極シート500Sを基準にして説明するための方向であって、前述したゼリーロール構造体300Sにおける第1方向d1及び第2方向d2とは無関係な方向である。
【0338】
その後、正極非コーティング部530と正極活物質部520をスリッティングして正極500を製造する段階へ進み得る。
図51は、本発明の一実施例による正極500を示した斜視図である。
【0339】
図49~
図51を参考すると、
図49及び
図50において点線で示した部分のように、正極非コーティング部530と正極活物質部520の各々に対して第3方向d3と平行である方向へスリッティングし得る。これによって、正極シート500Sから
図51に示したような正極500を複数個製造し得る。即ち、
図51の正極500は、
図49及び
図50の正極シート500Sをスリッティングして製造された複数の正極のうち一つである。正極シート500Sの正極非コーティング部530と正極活物質部520を各々スリッティングすることで、一側に正極非コーティング部530が延在した正極500が製造され得る。
【0340】
正極活物質部520の形成時、正極活物質を含むスラリーを正極集電体510の上に塗布するに際し、このようなスラリーの塗布過程で、正極活物質部520と正極非コーティング部530の境界には、正極非コーティング部530が位置する方向へ進むほどローディング量が減少する正極境界部520Bが形成され得る。
【0341】
図44、
図48及び
図51を共に参照すると、製造された負極400及び正極500を分離膜600と共に巻き取ってゼリーロール構造体300Sを形成する段階へ進み得る。この際、ゼリーロール構造体300Sにおいて負極非コーティング部430は、分離膜600よりも第1方向d1へ延び、正極非コーティング部530は、分離膜600よりも第1方向d1と対向する第2方向d2へ延び得る。
【0342】
図49~
図51をさらに参照すると、本発明の一実施例による電極組立体の製造方法において、正極シート500Sは、隣接する区域よりも前記正極活物質のローディング量が少ないローディング減少領域500DAを含む。ローディング減少領域500DAを形成する方法は特に制限されず、一例でスラリーの塗布程度を調節して形成し得る。
【0343】
前記正極500を製造する段階で、正極活物質部520のローディング減少領域500DAをスリッティングする。スリッティングされたローディング減少領域500DAが、
図44及び
図45に示したゼリーロール構造体300Sにおいて隣接する区域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部500Dを形成する。
【0344】
具体的には、正極シート500Sに形成された正極活物質部520に、隣接する区域よりも前記正極活物質のローディング量の少ないローディング減少領域500DAが形成される。
図50に示したように、ローディング減少領域500DAは、正極活物質部520の中央に形成され得る。なお、ローディング減少領域500DAは、ローディング減少領域500DAの中央部500Cへ進むほど前記正極活物質のローディング量が次第に減少するように構成され得る。また、前記正極500を製造する段階において、ローディング減少領域500DAの中央部500Cをスリッティングすることによって、本実施例によるローディング減少部500Dが設けられ得る。
【0345】
即ち、正極活物質を含むスラリーを塗布するに際し、ローディング減少領域500DAを形成し、ローディング減少領域500DAの中央部500Cをスリッティングすることで、ローディング減少部500Dが形成された正極500を複数個製造し得る。
【0346】
図51を参照すると、製造された正極500の一端部にはローディング減少部500Dが設けられ、前記一端部と対向する前記正極500の他端部には、正極非コーティング部530が設けられ得る。
【0347】
図44及び
図45を参照すると、このような正極500が巻き取られてゼリーロール構造体300Sを形成するとき、ローディング減少部500は、正極500の第1方向d1の一端部に位置し、正極非コーティング部530は、正極500の第2方向d2の一端部に位置し得る。
【0348】
また、ローディング減少領域500DAの中央部500Cをスリッティングすることによって、ローディング減少部500Dは、第1方向d1へ進むほど正極活物質のローディング量が次第に減少し得る。
【0349】
また、ゼリーロール構造体300Sにおいて、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極活物質部420が位置し得る。より具体的には、ゼリーロール構造体300Sにおいて、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極境界部420Bが位置し得る。
【0350】
ローディング減少部500Dと負極境界部420Bの位置対応関係については、前述した内容と重複するので省略する。
【0351】
以下では、
図52~
図55を参照して、本発明の比較例による電極組立体について説明し、本実施例による電極組立体が比較例による電極組立体と比較して有する長所を説明する。
【0352】
図52は、本発明の比較例による電極組立体を示した図である。
図53は、
図52のB-B’線に沿って切断した断面図である。
【0353】
図52及び
図53を参照すると、本発明の比較例による電極組立体600は、負極700、正極800及び分離膜900を含み、負極700、正極800及び分離膜900が巻き取られてゼリーロール構造体600Sを形成する。
【0354】
負極700は、負極集電体710、負極活物質部720及び負極非コーティング部730をみ得る。また、負極非コーティング部730が第1方向d1へ延び、負極活物質部720は、負極活物質部720と負極非コーティング部730の境界を形成し、ローディング量が次第に減少する負極境界部720Bを含み得る。
【0355】
図54は、本発明の比較例による負極700の製造工程を示した図である。
【0356】
図54を参照すると、負極活物質部720と負極非コーティング部730が第4方向d4)沿って交互に位置するように負極シート700Sが製造された後、負極非コーティング部730と負極活物質部720をスリッティングして複数の負極700を製造し得る。
【0357】
一方、
図52及び
図53をさらに参考すると、正極800は、正極集電体810、正極活物質部820及び正極非コーティング部880を含み得る。また、正極非コーティング部830が第1方向d1と対向する第2方向d2へ延び、正極活物質部820は、正極活物質部820と正極非コーティング部830の境界を形成してローディング量が次第に減少する正極境界部820Bを含み得る。
【0358】
図55は、本発明の比較例によって正極800を製造する工程を示した図である。
【0359】
図55を参照すると、正極活物質部820と正極非コーティング部830が第4方向d4に沿って交互に位置するように正極シート800Sが製造された後、正極非コーティング部830と正極活物質部820をスリッティングして複数の正極800を製造し得る。
【0360】
その後、製造された負極700と正極800を分離膜900と共に巻き取って本発明の比較例による電極組立体600を製造し得る。
【0361】
即ち、本発明の比較例による電極組立体600は、ローディング減少部500D(
図49参照)を除いては、本実施例による電極組立体300と類似な構造を有し得る。
【0362】
図52及び
図53を参照すると、本比較例による電極組立体600の場合、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、負極境界部720Bと対応する部分に正極活物質部820が位置できない。もし、正極活物質部820が負極境界部720Bと対応する部分にまで延びれば、当該部分は、低いN/P比の値を示す部分になり、金属リチウムが析出される可能性が高い。したがって、リチウム析出を防止するために正極活物質部820の長さを制限する必要がある。即ち、図示されたB1の領域のみに正極活物質部820を形成し、B2の領域には正極活物質部820を形成しなくてもよい。結果として、負極境界部720Bのため、正極活物質部820の長さが縮小する。
【0363】
一方、
図44及び
図45を参照すると、本実施例による電極組立体300の場合、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、負極境界部420Bと対応する部分に正極活物質部520、特に、ローディング減少部500Dが位置し得る。負極境界部420Bと対応する位置に、隣接する区域よりも正極活物質のローディング量の少ないローディング減少部500Dが設けられるため、当該部分におけるN/P比が高く維持でき、リチウムの析出を防止することができる。これによって、A1の領域だけ正極活物質部520を形成してもよく、正極活物質部520が形成できないA2の領域を減らすことができる。一例で、負極400の高さ方向の幅に対する正極500の高さ方向の幅を98%以上に高め得る。
【0364】
図44及び
図45のA1の領域と
図52及び
図53のB1の領域を比較すると、本実施例による電極組立体300は、正極活物質部の長さをローディング減少部500Dだけ延ばし得るため、比較例による電極組立体600よりも限定された空間でさらに高いエネルギー密度を有し得る。
【0365】
本発明のさらに他面は、正極、負極、前記正極と負極の間に介在された分離膜が一方向へ巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体と、前記電極組立体が収納される円筒形バッテリーハウジングと、前記バッテリーハウジングの上部に配置され、前記バッテリーハウジングを密封する密封体である電池キャップと、を含む円筒形バッテリーに関する。ここで、前記正極は、本発明の一実施例によるものであって、正極活物質として平均粒径D50が5μm以下である単粒子系活物質粒子を含む。前記円筒形バッテリーは電解液をさらに含んでもよく、電解液については前述した内容を参照し得る。
【0366】
前記電極組立体は、前述したような積層型、積層/折畳み型またはゼリーロール型の構造を有し得る。本発明の具体的な一実施様態において、前記電極組立体は、前述したように正極がローディング減少部を有するものであり得る。
【0367】
従来の円筒形バッテリーの場合、ストリップ形態の電極タブに電流が集中することによって、抵抗が大きくて熱が多く発生し、集電効率がよくないという問題点がある。
【0368】
最近、電気自動車技術の発展によって高容量電池に対する要求が増加するにつれ、体積の大きい大型の円筒形バッテリーの開発が求められる。従来に通常使用されていた小型の円筒形バッテリー、即ち、1865や2170のフォームファクターを有する円筒形バッテリーの場合、容量が小さいため、抵抗や発熱が電池性能にあまり影響を及ぼさなかった。しかし、従来の小型の円筒形バッテリーの仕様を大型の円筒形バッテリーにそのまま適用する場合、電池安全性に深刻な問題が発生し得る。
【0369】
電池の大きさが大きくなると、電池内部で発生する熱とガスの量も共に増加し、このような熱とガスによって電池内部の温度及び圧力が上昇して電池が発火または爆発することがあるためである。これを防止するためには、電池内部の熱とガスが外部へ適切に排出される必要があり、このためには電池の外部へ熱を排出する通路になる電池の断面積が体積増加に応じて増加しなければならない。しかし、通常、断面積の増加分は体積増加分に及ばないため、電池が大型化するほど電池内部の発熱量が増加し、それによって爆発の危険性が大きくなり、出力が低下するなどの問題が発生する。また、高電圧で急速充電を行う場合、短い時間の間に電極タブの周辺で多量の熱が発生して電池が発火する問題も発生し得る。そこで、本発明は、高容量を実現できるように大きい体積を有しながらも高い安全性を有する円筒形バッテリーを提供する。
【0370】
また、前記単粒子または疑似単粒子形態の正極活物質が適用された高ローディング電極が円筒形バッテリーに適用できるので、円筒形バッテリーの初期抵抗特性と充放電効率を改善することができる。
【0371】
本発明の一実施例による円筒形バッテリーは、単粒子または疑似単粒子形態の正極活物質を適用して従来に比べてガス発生量を大幅に減少させており、これによって、フォームファクターの比が0.4以上である大型の円筒形バッテリーにおいても優秀な安全性を実現することができる。
【0372】
本発明の一実施例による円筒形バッテリーは、望ましくは、電極タブを含まないタブレス構造のバッテリーであり得るが、これに限定されない。
【0373】
前記タブレス構造のバッテリーは、例えば、正極及び負極が各々、活物質層が形成されていない非コーティング部を含み、電極組立体の上端及び下端に各々正極非コーティング部及び負極非コーティング部が位置し、前記正極非コーティング部及び負極非コーティング部に集電板が結合しており、前記集電板が電極端子と接続される構造であり得る。
【0374】
円筒形バッテリーを前記のようにタブレス構造に形成する場合、電極タブを備えた従来の電池に比べて電流が集中しにくく、電池内部の発熱を効果的に減少させることができる。これによって、電池の熱安全性を改善する効果を奏する。
【0375】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。
【0376】
[実施例1]
平均粒径D50が3μmであるユニモーダル粒度分布を有し、単粒子形態である正極活物質Li[Ni(Ni(0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]O2:カーボンナノチューブ:PVDFバインダーを、97.8:0.6:1.6の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーをアルミニウム集電体シートの一面に塗布し、120℃で乾燥した後に圧延して正極を製造した。
【0377】
負極活物質(グラファイト:SiO=95:5重量比の混合物):導電材(super C):スチレン-ブタジエンゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)を、96:2:1.5:0.5の重量比で水中で混合して負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを銅集電体シートの一面に塗布し、150℃で乾燥した後に圧延して負極を製造した。
【0378】
前記のように製造された正極と負極の間に分離膜を介在して分離膜/正極/分離膜/負極の順に積層した後、巻き取ることでゼリーロールタイプの電極組立体を製造した。前記のように製造された電極組立体を円筒形バッテリーハウジングに入れた後、電解液を注入して4680セルを製造した。
【0379】
[比較例1]
正極活物質として大粒径の平均粒径D50が9μmであり、小粒径の平均粒径 D50が4μmであるバイモーダル粒度分布を有し、二次粒子形態であるLi[Ni0.9Co0.05Mn0.04Al0.01]O2を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で4680セルを製造した。
【0380】
[実験例1]
実施例1及び比較例1によって製造された4680セルに対してホットボックステスト(hot box test)を行った。
【0381】
具体的には、実施例1及び比較例1によって製造された4680セルを各々常温でホットボックスチャンバー(hot box chamber)に入れ、5℃/分の昇温速度で130℃まで昇温した後、30分間維持するホットボックス評価を行い、経時による電池の温度変化を測定した。正確な評価のために、実施例1のセルに対してはホットボックス評価を2回行った。測定結果は、
図36及び
図37に示した。
【0382】
図36は、実施例1によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフであり、
図37は、比較例1によって製造された4680 セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【0383】
図36及び
図37から、単粒子の正極活物質を使用した実施例1のリチウム二次電池の場合、65分が経過するまで電池の電圧及び温度が安定的に維持されることに対し、比較例1のリチウム二次電池は、35分経過した後に電池温度が急上昇したことを確認することができる。
【0384】
[実施例2-1]
ユニモーダル粒度分布を有し、D
min=1.78μm、D
50=4.23μm、D
max=13.1μmであり、単粒子及び疑似単粒子が混合されている正極活物質(組成:Li[Ni
0.9Co
0.06Mn
0.03Al
0.01]O
2)を準備した。
図33は、実施例2-1で使用された正極活物質のSEM写真である。
【0385】
正極活物質:カーボンナノチューブ:PVDFバインダーを、97.8:0.6:1.6の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーをアルミニウム集電体シートの一面に塗布し、120℃で乾燥した後に圧延して正極を製造した。
【0386】
負極活物質(グラファイト:SiO=95:5重量比の混合物):導電材(Super C):スチレン-ブタジエンゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)を、96:2:1.5:0.5の重量比で水中で混合して負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを銅集電体シートの一面に塗布し、150℃で乾燥した後に圧延して負極を製造した。
【0387】
前記のように製造された正極と負極の間に分離膜を介在して分離膜/正極/分離膜/負極の順に積層した後、巻き取ることで、ゼリーロールタイプの電極組立体を製造した。前記のように製造された電極組立体をバッテリーハウジングに入れた後、電解液を注入して4680セルを製造した。
【0388】
[実施例2-2]
正極活物質として、ユニモーダル粒度分布を有し、D
min=1.38μm、D
50=4.69μm、D
max=18.5μmであり、単粒子及び疑似単粒子が混合されている正極活物質(組成:Li[Ni
0.9Co
0.06Mn
0.03Al
0.01]O
2)を使用したことを除いては、実施例2-1と同様の方法で4680セルを製造した。
図34は、実施例2-2で使用した正極活物質のSEM写真である。
【0389】
[比較例2-1]
正極活物質として、大粒径の平均粒径D50が9μmであり、小粒径の平均粒径D50が4μmであるバイモーダル粒度分布を有し、二次粒子形態である正極活物質(組成:Li[Ni0.9Co0.05Mn0.04Al0.01]O2)を使用したことを除いては、実施例2-1と同様の方法で4680セルを製造した。
【0390】
[比較例2-2]
正極活物質として、ユニモーダル粒度分布を有し、Dmin=0.892μm、D50=3.02μm、Dmax=11μmであり、単粒子及び疑似単粒子が混合されている正極活物質(組成:Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]O2)を使用したことを除いては、実施例2-1と同様の方法で4680セルを製造した。
【0391】
図35は、比較例2-2で使用した正極活物質のSEM写真である。
【0392】
[実験例2-1]
実施例2-1~2-2及び比較例2-1~2-2によって製造された4680セルに対し、ホットボックステストを行った。
【0393】
具体的には、実施例2-1及び比較例2-1によって製造された4680セルを各々常温でホットボックスチャンバーに入れ、5℃/分の昇温速度で130℃まで昇温して30分間維持した後、電池の温度変化を測定した。テスト中に熱暴走及び発火が発生しない場合をパス(Pass)、熱暴走及び/または発火が発生した場合をフェイル(Fail)で示した。また、テストの正確度のために、実施例2-1~2-2のセルに対しては、テストを二回以上行った。
【0394】
測定結果は、下記の表1及び
図38、
図39に示した。
図34は、実施例2-1のサンプル1及び比較例2-1によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフであり、
図39は、実施例2-1のサンプル2、3、実施例2-2のサンプル1、2及び比較例2-2によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【0395】
【0396】
前記表1、
図38及び
図39を参照すると、D
minが1.0μm以上である単粒子/疑似単粒子形態の正極活物質を適用した実施例2-1の4680セルの場合、65分が経過するまで電池の電圧及び温度が安定的に維持されることに対し、正極活物質として二次粒子を適用した比較例2-1及びD
minが1.0μm未満である単粒子/疑似単粒子形態の正極活物質を適用した比較例2-2の4680セルは、電池温度が急上昇したことを確認することができる。
【0397】
[実験例2-2]
実施例2-1及び比較例2-1で製造された正極の圧延後の正極活物質の粒子割れの程度を確認するために、イオンミーリング装置で正極を切断した後、断面をSEMで撮影した。
図40は、実施例2-1で製造された正極の断面SEM写真であり、
図41は、比較例2-1で製造された正極の断面SEM写真である。
【0398】
図40及び
図41から、実施例2-1の正極は、圧延後にも正極活物質の粒子割れがほとんど存在しないのに対し、二次粒子を使用した比較例2-2の正極は、圧延後の正極活物質の粒子割れが多数観察された。
【0399】
[実施例3-1]
ユニモーダル粒度分布を有し、Dmin=1.78μm、D50=4.23μm、Dmax=13.1μmであり、単粒子及び疑似単粒子が混合されている正極活物質粉末(組成:Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]O2)、鱗片状黒鉛(SFG6L)、導電材(多層のカーボンナノチューブ)及びPVDFバインダーを、96.3:1.5:0.4:1.8の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーをアルミニウム集電体シートの一面に塗布して乾燥し、3.0ton/cmの線圧で圧延して正極を製造した。前記のように製造された正極の正極活物質層の空隙率を測定した結果、空隙率は17.5%であった。
【0400】
[実施例3-2]
正極活物質、鱗片状黒鉛、導電材及びバインダーを、97.2:0.6:0.4:1.8の重量比で混合したことを除いては、実施例3-1と同様に正極を製造し、正極活物質層の空隙率を測定した。前記正極活物質層の空隙率は19%であって。
【0401】
[実施例3-3]
正極活物質、鱗片状黒鉛、導電材及びバインダーを、97.4:0.4:0.4:1.8の重量比で混合したことを除いては、実施例3-1と同様に正極を製造し、正極活物質層の空隙率を測定した。前記正極活物質層の空隙率は20%であった。
【0402】
[実施例3-4]
正極活物質、鱗片状黒鉛、導電材及びバインダーを、97.6:0.2:0.4:1.8の重量比で混合したことを除いては、実施例3-1と同様に正極を製造し、正極活物質層の空隙率を測定した。前記正極活物質層の空隙率は21%であった。
【0403】
[比較例3-1]
鱗片状黒鉛を添加せず、正極活物質、導電材及びバインダーを、97.8: 0.4:1.8の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造したことを除いては、実施例3-1と同様に正極を製造し、正極活物質層の空隙率を測定した。前記正極活物質層の空隙率は、24%であった。
【0404】
[比較例3-2]
鱗片状黒鉛を添加せず、正極活物質、導電材及びバインダーを、97.8: 0.4:1.8の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造し、2.0ton/cmの線圧で圧延したことを除いては、実施例3-1と同様に正極を製造し、正極活物質層の空隙率を測定した。前記正極活物質層の空隙率は30%であった。
【0405】
[実験例3-1(充放電容量及び充放電効率の測定)]
実施例3-1~3-4及び比較例3-1及び3-2による正極を含むコイン型ハーフセルを製造し、0.2Cの電流条件で4.25Vまで充電した後、0.2Cの電流条件で2.5Vまで放電して各コイン型ハーフセルの充電容量(mAh/g)及び放電容量(mAh/g)測定した。測定結果は、下記の表2に示した。
【0406】
【0407】
表2から、鱗片状黒鉛を添加した正極を使用した実施例3-1~3-4の場合、比較例3-1~3-2に比べて低い空隙率を示し、優秀な容量特性を示すことを確認することができる。
【0408】
[実験例3-2(抵抗特性の確認)]
実施例3-3、比較例3-1及び比較例3-2による正極を含むコイン型ハーフセルを4.2Vまで充電しながら、SOCによる抵抗特性を測定した。実験結果を
図42に示した。
【0409】
図42を参照すると、SOC10%基準にして正極活物質層に鱗片状黒鉛を添加した実施例3-3の抵抗値が、鱗片状黒鉛を含まない比較例3-1及び比較例3-2よりも低いことを確認することができる。これは、正極活物質層に鱗片状黒鉛を添加する場合、低いSOCにおける抵抗特性が改善される効果を奏することを示す。
【0410】
[実験例3-3(高温寿命特性及び抵抗増加率の測定)]
実施例3-1、実施例3-3及び比較例3-1による正極と負極の間に分離膜を介在して分離膜/正極/分離膜/負極の順に積層して巻き取って、ゼリーロールタイプの電極組立体を製造した。前記のように製造された電極組立体を円筒形バッテリーハウジングに挿入した後、電解液を注入して4680セルを製造した。
【0411】
この際、前記負極は、負極活物質(グラファイト:SiO=95:5重量比の混合物):導電材(super C):スチレン-ブタジエンゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)を、96:2:1.5:0.5の重量比で水中で混合して負極スラリーを製造した後、前記負極スラリーを銅集電体シートの一面に塗布し、150℃で乾燥した後に圧延することで製造した。
【0412】
前記のように製造された4680セルを40℃で0.5Cで4.2Vまで充電した後、0.5Cで2.5Vまで放電することを一つのサイクルにして50サイクルの充放電を行った後の容量維持率(Capacity Retention)及び抵抗増加率(DCIR increase)を測定した。測定結果は、
図43に示した。
【0413】
図43を参照すると、実施例3-1及び3-3の二次電池の場合、比較例3-1の二次電池に比べてサイクル数による容量維持率の変化が小さく、サイクル数による抵抗増加率の変化も小さく示された。
【0414】
本発明の一実施例による円筒形バッテリーにおいて、上述したような正極は第1電極であり、負極は第2電極であり得る。また、逆に、正極が第2電極であり、負極が第1電極であり得る。
【0415】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0416】
10 電極組立体
11 第1非コーティング部
12 第2非コーティング部
20 バッテリーハウジング
20a 閉鎖部
21 ビーディング部
22 クリンピング部
23 貫通孔
24 内側エッジ
25 対向面
30 キャッププレート
31 ベント部
40 第1集電板
41 周縁部
42 非コーティング部結合部
43 端子結合部
44 連結部
44a テーパー部
50 第1電極端子
50a 本体部
50b 外部フランジ部
50c 内部フランジ部
50d 平坦部
54 絶縁ガスケット
54a 内部ガスケット
54b 外部ガスケット
55 リセス部
55a 側壁
55b 傾斜面
60 インシュレーター
60a インシュレーターホール
70 第2集電板
80 シーリングガスケット
90 電極
91 集電体
92 活物質層
93 非コーティング部
93’ コア側非コーティング部
93a 分節片
94 絶縁コーティング層