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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】空気調和制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/54 20180101AFI20241004BHJP
【FI】
F24F11/54
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023573705
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2022000843
(87)【国際公開番号】W WO2023135694
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和也
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-107746(JP,A)
【文献】特開2021-035004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室内機と、
前記室内機と通信可能な前記空気調和機の室外機と、
前記室内機および前記室外機と通信可能であり、前記室内機および前記室外機のそれぞれを制御する複数の制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記制御装置の中から前記空気調和機を制御する前記制御装置を選択する制御装置選択制御部を有
前記空気調和機を制御する前記制御装置を、前記制御装置の処理速度に基づいて複数の前記制御装置の中から選択する、
空気調和制御システム。
【請求項2】
空気調和機の室内機と、
前記室内機と通信可能な前記空気調和機の室外機と、
前記室内機および前記室外機と通信可能であり、前記室内機および前記室外機のそれぞれを制御する複数の制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記制御装置の中から前記空気調和機を制御する前記制御装置を選択する制御装置選択制御部を有し、
前記空気調和機を制御する前記制御装置を、前記制御装置の応答時間に基づいて複数の前記制御装置の中から選択する、
空気調和制御システム。
【請求項3】
空気調和機の室内機と、
前記室内機と通信可能な前記空気調和機の室外機と、
前記室内機および前記室外機と通信可能であり、前記室内機および前記室外機のそれぞれを制御する複数の制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記制御装置の中から前記空気調和機を制御する前記制御装置を選択する制御装置選択制御部を有し、
前記空気調和機を制御する前記制御装置を、前記制御装置の電波強度に基づいて複数の前記制御装置の中から選択する、
空気調和制御システム。
【請求項4】
前記制御装置選択制御部は、複数の前記制御装置について、前記空気調和機を制御する外部制御装置を選択するための優先順位を判定し、前記優先順位に従って前記空気調和機を制御する前記制御装置を選択する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の空気調和制御システム。
【請求項5】
複数の前記制御装置における1つの前記制御装置の前記制御装置選択制御部は、複数の前記制御装置における他の前記制御装置に通知を送信し、前記通知に対する応答を受信しない場合に、他の前記制御装置が故障していると判定する、
請求項1から4のいずれか1つに記載の空気調和制御システム。
【請求項6】
1つの前記制御装置は、故障していると判定された他の前記制御装置に再度の通知を送信し、他の前記制御装置から前記再度の通知に対する応答を受信した場合に、他の前記制御装置が故障から復帰したと判定する、
請求項1からのいずれか1つに記載の空気調和制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記空気調和機を制御する前記制御装置を、ユーザから入力される設定情報に基づいて複数の前記制御装置の中から選択する、
請求項1からのいずれか1つに記載の空気調和制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記空気調和機の外部に設けられた外部制御装置である、
請求項1からのいずれか1つに記載の空気調和制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機を制御する制御装置を備えた空気調和制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機および室外機のコストを抑制し、室内機および室外機を制御するための制御プログラムの更新を容易にするため、外部の制御装置から室内機および室外機を制御する空気調和制御システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、2台の室内機と、1台の室外機と、制御装置とが共通バスを介して接続されており、相互に情報の授受が可能な空気調和システムが開示されている。特許文献1に記載された空気調和システムにおいては、室内機を制御する2つの室内機制御部および室外機を制御する室外機制御部は、室内機および室外機から独立して設けられており、仮想化された制御部として1つのハードウェアからなる制御装置に実装されている。制御装置は、保守点検を行う保守点検装置に通信媒体を介して接続され、定期的に運転データを送信し、異常発生時にはその旨を速やかに通知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-53441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の空気調和システムは、室内機または室外機と制御装置との間の通信が途切れてしまった場合、あるいは制御装置が故障した場合においては、制御装置による室内機または室外機が制御不能になるため、緊急停止するなど正常な動作ができなくなってしまう、という問題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、空気調和機を制御している制御装置と空気調和機との通信が途切れた場合あるいは空気調和機を制御している制御装置が故障した場合においても、空気調和機の制御を継続することが可能な空気調和制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる空気調和制御システムは、空気調和機の室内機と、室内機と通信可能な空気調和機の室外機と、室内機および室外機と通信可能であり、室内機および室外機のそれぞれを制御する複数の制御装置と、を備える。制御装置は、複数の制御装置の中から空気調和機を制御する制御装置を選択する制御装置選択制御部を有し、空気調和機を制御する制御装置を、制御装置の処理速度に基づいて複数の制御装置の中から選択する
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる空気調和制御システムは、空気調和機を制御している制御装置と空気調和機との通信が途切れた場合あるいは空気調和機を制御している制御装置が故障した場合においても、空気調和機の制御を継続することが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる空気調和制御システムのシステム構成を示す図
図2】実施の形態1にかかる空気調和制御システムの機能構成を示すブロック図
図3】実施の形態1にかかる空気調和制御システムにおける空気調和機の制御の手順を示すフローチャート
図4】実施の形態1にかかる空気調和制御システムの外部制御装置の制御装置選択制御部での制御の手順を示すフローチャート
図5】実施の形態1にかかる制御装置選択制御部が優先順位判定を行う際に用いられる情報の例を示す図
図6】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図
図7】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる空気調和制御システムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる空気調和制御システム100のシステム構成を示す図である。空気調和制御システム100は、2台の制御装置である第1外部制御装置1Aおよび第2外部制御装置1B、空気調和機2と、ユーザ操作装置5と、通信路6と、を備える。空気調和機2は、2台の室内機である第1室内機3Aおよび第2室内機3Bと、2台の室外機である第1室外機4Aおよび第2室外機4Bと、を備える。なお、以下では、第1外部制御装置1Aと第2外部制御装置1Bとを区別しない場合には、単に外部制御装置と呼ぶ場合がある。
【0012】
なお、図1では2台の外部制御装置が設けられている空気調和制御システム100のシステム構成例を示しているが、空気調和制御システム100における外部制御装置の接続台数は、2台以上であれば特に限定されない。また、図1では室内機および室外機のそれぞれが2台設ずつ設けられている空気調和制御システム100のシステム構成例を示しているが、空気調和制御システム100における室内機および室外機の接続台数は、それぞれ1台以上であれば特に限定されない。
【0013】
図2は、実施の形態1にかかる空気調和制御システム100の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
制御装置は、空気調和制御システム100において空気調和機2を制御するための制御装置である。外部制御装置は、空気調和制御システム100において空気調和機2を制御するための制御装置であり、空気調和機2から独立して空気調和機2の外部に設けられて空気調和機2を空気調和機2の外部から遠隔制御するための制御装置である。すなわち、外部制御装置は、空気調和制御システム100において室内機および室外機を制御するための制御装置である。空気調和制御システム100においては、外部制御装置として、2台の外部制御装置である第1外部制御装置1Aおよび第2外部制御装置1Bが設けられている。
【0015】
第1外部制御装置1Aは、操作部11と、表示部12と、制御装置選択制御部13と、通信制御部14と、記憶部15と、空気調和制御部16と、制御部17と、を備える。
【0016】
操作部11は、ユーザが第1外部制御装置1Aに各種情報を入力するための操作部である。操作部11は、ユーザからの操作を受け付けると、ユーザの操作に対応した情報を操作情報として制御部17に送信する。
【0017】
表示部12は、制御部17の制御に従って、操作部11で受け付けた操作内容などの各種情報を表示する。
【0018】
制御装置選択制御部13は、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置から、空気調和制御システム100を制御する外部制御装置を選択する。すなわち、制御装置選択制御部13は、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置から、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択する。
【0019】
通信制御部14は、空気調和制御システム100における他の機器との間の通信を制御する。通信制御部14は、ユーザによる情報を入力するための操作に対応した操作情報を制御部17から受信すると、当該操作情報を空気調和制御システム100における各機器に送信する。
【0020】
記憶部15は、空気調和機2を含む空気調和制御システム100の制御に必要な各種の情報を記憶する。
【0021】
空気調和制御部16は、空気調和機2を含む空気調和制御システム100全体の制御を行う。
【0022】
制御部17は、第1外部制御装置1A全体の制御を行う。
【0023】
第2外部制御装置1Bは、操作部と表示部とを有さないこと以外は、第1外部制御装置1Aと同様の構成および第1外部制御装置1Aと同様の機能を有する。第2外部制御装置1Bは、制御装置選択制御部21と、通信制御部22と、記憶部23と、空気調和制御部24と、制御部25と、を備える。
【0024】
制御装置選択制御部21は、第1外部制御装置1Aの制御装置選択制御部13と同様の機能を有する。
【0025】
通信制御部22は、第1外部制御装置1Aの通信制御部14と同様の機能を有する。
【0026】
記憶部23は、第1外部制御装置1Aの記憶部15と同様の機能を有する。
【0027】
空気調和制御部24は、第1外部制御装置1Aの空気調和制御部16と同様の機能を有する。
【0028】
制御部25は、第1外部制御装置1Aの制御部17と同様の機能を有する。
【0029】
なお、第2外部制御装置1Bは、第1外部制御装置1Aと同様に操作部と表示部とを備えていてもよい。
【0030】
第1室内機3Aは、一般的な空気調和機の室内機の機能を有し、各種アクチュエータ31と、各種センサ32と、各種ドライバ部33と、室内機記憶部34と、室内機通信制御部35と、室内機制御部36と、を備える。
【0031】
各種アクチュエータ31は、第1室内機3Aに設けられた機器または部品であり、ファンモータなどの機器が挙げられる。
【0032】
各種センサ32は、各種アクチュエータ31および室内環境における動作状態および各種温度をあらかじめ決められた周期で測定するための各種のセンサである。
【0033】
各種ドライバ部33は、各種アクチュエータ31を制御する。
【0034】
室内機記憶部34は、第1室内機3Aの運転を制御するための各種の制御設定値およびプログラムなどの情報が記憶されている記憶部である。
【0035】
室内機通信制御部35は、空気調和制御システム100における他の機器との間の通信を制御する。
【0036】
室内機制御部36は、第1室内機3A全体の制御を行う。
【0037】
第2室内機3Bは、図においては図示を省略しているが、第1室内機3Aと同様の構成を備え、第1室内機3Aと同様の機能を備える。
【0038】
第1室外機4Aは、一般的な空気調和機の室外機の機能を有し、各種アクチュエータ41と、各種センサ42と、各種ドライバ部43と、室外機記憶部44と、室外機通信制御部45と、室外機制御部46と、を備える。
【0039】
各種アクチュエータ41は、第1室外機4Aに設けられた機器または部品であり、冷媒圧力スイッチ、冷媒流量調整用電磁弁、ファンモータ、圧縮機のモータなどの機器が挙げられる。
【0040】
各種センサ42は、各種アクチュエータ41および屋外環境における動作状態および各種温度をあらかじめ決められた周期で測定するための各種のセンサである。
【0041】
各種ドライバ部43は、各種アクチュエータ41を制御する。
【0042】
室外機記憶部44は、第1室外機4Aの運転を制御するための各種の制御設定値およびプログラムなどの情報が記憶されている記憶部である。
【0043】
室外機通信制御部45は、空気調和制御システム100における他の機器との間の通信を制御する。
【0044】
室外機制御部46は、第1室外機4A全体の制御を行う。
【0045】
第2室外機4Bは、図においては図示を省略しているが、第1室外機4Aと同様の構成を備え、第1室外機4Aと同様の機能を備える。
【0046】
なお、便宜上、上記においては制御装置選択制御部13および制御装置選択制御部21は、第1外部制御装置1Aおよび第2外部制御装置1Bに設けられているが、第1室内機3Aおよび第2室内機3B、第1室外機4Aまたは第2室外機4Bに設けられてもよい。
【0047】
また、便宜上、上記においては空気調和制御部16および空気調和制御部24は、第1外部制御装置1Aおよび第2外部制御装置1Bに設けられているが、第1室内機3Aおよび第2室内機3B、第1室外機4Aまたは第2室外機4Bに設けられてもよい。
【0048】
ユーザ操作装置5は、ユーザとのインターフェース装置である。なお、図1ではユーザ操作装置5が外部制御装置から独立して設けられている空気調和制御システム100のシステム構成例を示しているが、ユーザ操作装置5は、第1外部制御装置1Aまたは第2外部制御装置1Bの内部に設けられてもよい。
【0049】
ユーザ操作装置5は、ユーザ操作部51と、ユーザ表示部52と、ユーザ記憶部53と、ユーザ通信制御部54と、ユーザ制御部55と、を備える。
【0050】
ユーザ操作部51は、ユーザがユーザ操作装置5に各種情報を入力するための操作部である。ユーザ操作部51は、ユーザからの操作を受け付けると、ユーザの操作に対応した情報を操作情報としてユーザ制御部55に送信する。
【0051】
ユーザ表示部52は、ユーザ制御部55の制御に従って、ユーザ操作部51で受け付けた操作内容などの各種情報を表示する。
【0052】
ユーザ記憶部53は、ユーザ操作装置5の制御に必要な各種の情報を記憶する。
【0053】
ユーザ通信制御部54は、空気調和制御システム100における他の機器との間の通信を制御する。ユーザ通信制御部54は、ユーザによる情報を入力するための操作に対応した操作情報をユーザ制御部55から受信すると、当該操作情報を空気調和制御システム100における各機器に送信する。
【0054】
ユーザ制御部55は、ユーザ操作装置5全体の制御を行う。
【0055】
通信路6は、外部制御装置と室内機と室外機とを互いに接続する通信路であり、空気調和制御システム100に含まれる各機器間で通信を行うための通信媒体である。外部制御装置と室内機と室外機とは、通信路6を介して互いに通信を行う。通信路6は、無線通信路および有線通信路のいずれも使用可能である。
【0056】
つぎに、実施の形態1にかかる空気調和制御システム100における制御フローについて説明する。図3は、実施の形態1にかかる空気調和制御システム100における空気調和機2の制御の手順を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS10において、運転条件が取得される。具体的に、ユーザが、ユーザが所望する、温度、湿度、冷房運転および暖房運転といった運転モードなどの運転条件を、第1外部制御装置1Aあるいはユーザ操作装置5から空気調和制御システム100に対して設定する。その後、ステップS20に進む。
【0058】
運転条件が第1外部制御装置1Aから設定される場合、第1外部制御装置1Aの操作部11は、ユーザからの運転条件の情報の入力操作を受け付ける。操作部11は、ユーザの操作に対応した情報を操作情報として制御部17に送信する。すなわち、操作部11は、運転条件の情報を制御部17に送信する。制御部17は、操作部11から運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を第1外部制御装置1Aの空気調和制御部16に送信し、また当該運転条件の情報を第1外部制御装置1Aの記憶部15に記憶させる。
【0059】
また、制御部17は、当該運転条件の情報を、第1外部制御装置1Aの通信制御部14および通信路6を介して第2外部制御装置1Bの通信制御部22に送信する。通信制御部22は、第1外部制御装置1Aから運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を第2外部制御装置1Bの制御部25に送信する。制御部25は、通信制御部22から運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を第2外部制御装置1Bの空気調和制御部24に送信し、また当該運転条件の情報を第2外部制御装置1Bの記憶部23に記憶させる。
【0060】
運転条件がユーザ操作装置5から設定される場合、ユーザ操作装置5のユーザ操作部51は、ユーザからの運転条件の情報の入力操作を受け付ける。ユーザ操作部51は、ユーザの操作に対応した情報を操作情報としてユーザ制御部55に送信する。すなわち、ユーザ操作部51は、運転条件の情報をユーザ制御部55に送信する。ユーザ制御部55は、ユーザ操作部51から運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を、ユーザ操作装置5のユーザ通信制御部54および通信路6を介して、第1外部制御装置1Aの通信制御部14および第2外部制御装置1Bの通信制御部22に送信する。また、ユーザ制御部55は、当該運転条件の情報をユーザ操作装置5のユーザ記憶部53に記憶させる。
【0061】
第1外部制御装置1Aの通信制御部14は、ユーザ操作装置5から運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を第1外部制御装置1Aの制御部17に送信する。制御部17は、通信制御部14から運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を第1外部制御装置1Aの空気調和制御部16に送信し、また当該運転条件の情報を第1外部制御装置1Aの記憶部15に記憶させる。
【0062】
第2外部制御装置1Bの通信制御部22は、ユーザ操作装置5から運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を第2外部制御装置1Bの制御部25に送信する。制御部25は、通信制御部22から運転条件の情報を受信すると、当該運転条件の情報を第2外部制御装置1Bの空気調和制御部24に送信し、また当該運転条件の情報を第2外部制御装置1Bの記憶部23に記憶させる。
【0063】
ステップS20では、制御内容が、決定される。具体的に、第1外部制御装置1Aの空気調和制御部16および第2外部制御装置1Bの空気調和制御部24が、ユーザから入力された運転条件の情報に基づいて、空気調和制御システム100の制御内容、すなわち空気調和機2の制御内容を決定する。ここで、空気調和制御部16および空気調和制御部24は、同じ運転条件の情報に基づいて空気調和機2の制御内容を決定する。このため、空気調和制御部16において決定される空気調和機2の制御内容と、空気調和制御部24において決定される空気調和機2の制御内容とは、同じ内容となる。その後、ステップS30に進む。
【0064】
ステップS30では、制御を行う外部制御装置が、選択される。具体的に、空気調和制御部16および空気調和制御部24において決定された空気調和機2の制御内容に基づいて空気調和機の制御を行う外部制御装置が、第1外部制御装置1Aの制御装置選択制御部13または第2外部制御装置1Bの制御装置選択制御部21において選択される。第1外部制御装置1Aの制御装置選択制御部13または第2外部制御装置1Bの制御装置選択制御部21は、空気調和制御システム100における外部制御装置のうち、どの外部制御装置において空気調和制御システム100を制御するかを、すなわち第1外部制御装置1Aおよび第2外部制御装置1Bのうちどちらの外部制御装置において空気調和機2を制御するかを選択する。制御を行う外部制御装置の選択については、後述する。その後、ステップS40に進む。
【0065】
ステップS40では、選択された外部制御装置による空気調和機2の制御が、実施される。
【0066】
ステップS30において第1外部制御装置1Aが選択された場合は、第1外部制御装置1Aの空気調和制御部16は、第1外部制御装置1Aの通信制御部14および通信路6を介して、第1室内機3Aの室内機通信制御部35、第2室内機3Bの室内機通信制御部、第1室外機4Aの室外機通信制御部45、および第2室外機4Bの室外機通信制御部に、空気調和機2の制御内容の情報を送信する。第1室内機3Aの室内機通信制御部35、第2室内機3Bの室内機通信制御部、第1室外機4Aの室外機通信制御部45、および第2室外機4Bの室外機通信制御部は、空気調和機2の制御内容の情報を受信する。
【0067】
ステップS30において第2外部制御装置1Bが選択された場合は、第2外部制御装置1Bの空気調和制御部24は、第2外部制御装置1Bの通信制御部22および通信路6を介して、第1室内機3Aの室内機通信制御部35、第2室内機3Bの室内機通信制御部、第1室外機4Aの室外機通信制御部45、および第2室外機4Bの室外機通信制御部に、空気調和機2の制御内容の情報を送信する。第1室内機3Aの室内機通信制御部35、第2室内機3Bの室内機通信制御部、第1室外機4Aの室外機通信制御部45、および第2室外機4Bの室外機通信制御部は、空気調和機2の制御内容の情報を受信する。
【0068】
第1室内機3Aの室内機通信制御部35は、受信した空気調和機2の制御内容の情報を第1室内機3Aの室内機制御部36に送信する。室内機制御部36は、室内機通信制御部35から送信された空気調和機2の制御内容の情報を受信すると、当該空気調和機2の制御内容の情報を第1室内機3Aの各種ドライバ部33に送信する。各種ドライバ部33は、室内機制御部36から送信された空気調和機2の制御内容の情報を受信すると、当該空気調和機2の制御内容の情報に基づいて、第1室内機3Aの各種アクチュエータ31を作動させる。
【0069】
また、第1室内機3Aの各種センサ32において取得された情報であるセンサ情報が、各種センサ32から室内機制御部36に送信される。室内機制御部36は、各種センサ32から送信されたセンサ情報を受信すると、当該センサ情報を第1室内機3Aの室内機通信制御部35および通信路6を介して、第1外部制御装置1Aの通信制御部14および第2外部制御装置1Bの通信制御部22に送信する。
【0070】
なお、空気調和機2の制御内容の情報を受信した第2室Bにおいても、第1室内機3Aにおける上述した動作と同様の動作が行われる。
【0071】
第1室外機4Aの室外機通信制御部45は、受信した空気調和機2の制御内容の情報を第1室外機4Aの室外機制御部46に送信する。室外機制御部46は、室外機通信制御部45から送信された空気調和機2の制御内容の情報を受信すると、当該空気調和機2の制御内容の情報を第1室外機4Aの各種ドライバ部43に送信する。各種ドライバ部43は、室外機制御部46から送信された空気調和機2の制御内容の情報を受信すると、当該空気調和機2の制御内容の情報に基づいて、第1室外機4Aの各種アクチュエータ41を作動させる。
【0072】
また、第1室外機4Aの各種センサ42において取得された情報であるセンサ情報が、各種センサ42から室外機制御部46に送信される。室外機制御部46は、各種センサ42から送信されたセンサ情報を受信すると、当該センサ情報を第1室外機4Aの室外機通信制御部45および通信路6を介して、第1外部制御装置1Aの通信制御部14および第2外部制御装置1Bの通信制御部22に送信する。
【0073】
なお、空気調和機2の制御内容の情報を受信した第2室Bにおいても、第1室外機4Aにおける上述した動作と同様の動作が行われる。
【0074】
ステップS30において第1外部制御装置1Aが選択されている場合は、第1外部制御装置1Aの通信制御部14は、第1室内機3Aおよび第1室外機4Aから送信されたセンサ情報を受信すると、当該センサ情報を第1外部制御装置1Aの空気調和制御部16に送信する。空気調和制御部16は、通信制御部14から送信されたセンサ情報を受信すると、当該センサ情報に基づいて、新たな空気調和機2の制御内容を決定し、決定した新たな空気調和機2の制御内容に基づいて、再び空気調和機2の制御を実施する。
【0075】
ステップS30において第2外部制御装置1Bが選択されている場合は、第2外部制御装置1Bの通信制御部22は、第1室内機3Aおよび第1室外機4Aから送信されたセンサ情報を受信すると、当該センサ情報を第2外部制御装置1Bの空気調和制御部24に送信する。空気調和制御部24は、通信制御部22から送信されたセンサ情報を受信すると、当該センサ情報に基づいて、新たな空気調和機2の制御内容を決定し、決定した新たな空気調和機2の制御内容に基づいて、上記と同様にして再び空気調和機2の制御を実施する。
【0076】
空気調和制御システム100において上述した動作が継続的に行われることで、ユーザの所望する温度または湿度になるように、空気調和機2による空気調和が制御される。
【0077】
なお、上記においては各種アクチュエータ31,41の作動後に各種センサ32,42のセンサ情報が空気調和制御部16,24に入力される順番で説明したが、ステップS10より以前から各種センサ32,42のセンサ情報が空気調和制御部16,24に送信されてもよい。
【0078】
つぎに、制御装置である第1外部制御装置1Aの制御装置選択制御部13および第2外部制御装置1Bの制御装置選択制御部21での動作について説明する。第1外部制御装置1Aの制御装置選択制御部13および第2外部制御装置1Bの制御装置選択制御部21は、上述したように空気調和制御部16および空気調和制御部24において決定された空気調和制御システム100の制御内容を制御する外部制御装置を、空気調和制御システム100に設けられた複数の外部制御装置から選択する。すなわち、図1に示すシステム構成においては、制御装置選択制御部13および制御装置選択制御部21は、空気調和制御部16および空気調和制御部24において決定された空気調和機2の制御内容に基づいて空気調和機2を制御する外部制御装置を、第1外部制御装置1Aおよび第2外部制御装置1Bの中から選択する。
【0079】
空気調和制御システム100では、複数の外部制御装置のうちどの外部制御装置が空気調和機2を制御するかについて、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置のそれぞれについて優先度の情報が計算される。優先度は、外部制御装置の制御装置選択制御部が、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定するために用いられる、外部制御装置の選択順位の判定条件である。そして、優先度が最も高い外部制御装置が、空気調和制御部16および空気調和制御部24において決定された空気調和機2の制御内容に基づいて空気調和機2を制御する外部制御装置に選択される。
【0080】
図4は、実施の形態1にかかる空気調和制御システム100の外部制御装置の制御装置選択制御部での制御の手順を示すフローチャートである。以下では、第1外部制御装置1Aの制御装置選択制御部13の動作について説明するが、制御装置選択制御部21も制御装置選択制御部13と同様の動作を行う。なお、以下では、制御装置選択制御部13と制御装置選択制御部21とを区別しない場合には、単に制御装置選択制御部と呼ぶ場合がある。
【0081】
まず、ステップS110において、現在の優先制御装置番号が、取得される。具体的に、制御装置選択制御部13が、第1外部制御装置1Aの記憶部15に記憶されている優先制御装置番号を取得する。その後、ステップS120に進む。
【0082】
優先制御装置は、制御装置選択制御部が空気調和制御システム100の複数の外部制御装置のうちどの外部制御装置が空気調和機2を制御するかを判定する際に、空気調和制御システム100の複数の外部制御装置において他の外部制御装置よりも優先して選択される外部制御装置である。
【0083】
優先制御装置番号は、制御装置選択制御部が、空気調和制御システム100の複数の外部制御装置のうちどの外部制御装置が空気調和機2を制御するかを判定するために用いる情報であり、優先制御装置の外部制御装置番号である。
【0084】
外部制御装置番号は、空気調和制御システム100の複数の外部制御装置を一意に特定可能な識別番号であり、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置のそれぞれに付与される。例えば、第1外部制御装置1Aには、外部制御装置番号:1が付与される。また、第2外部制御装置1Bには、外部制御装置番号:2が付与される。
【0085】
したがって、現在の優先制御装置番号は、現在の、優先して選択される外部制御装置の外部制御装置番号である。空気調和制御システム100の初回起動時においては、優先制御装置番号は、外部制御装置番号が1番小さい外部制御装置の外部制御装置番号が設定される。
【0086】
ステップS120では、自装置が優先指定されているか否かが、判定される。具体的に、制御装置選択制御部13が、当該制御装置選択制御部13が実装されている自装置である第1外部制御装置1Aが優先指定されているか否かを判定する。
【0087】
優先指定されているとは、空気調和機2を制御する外部制御装置が選択される際に、空気調和制御システム100の複数の外部制御装置において他の外部制御装置よりも優先して選択される外部制御装置として指定されていることである。
【0088】
制御装置選択制御部13は、取得した優先制御装置番号に基づいて、第1外部制御装置1Aが優先指定されているか否かを判定する。制御装置選択制御部13は、取得した優先制御装置番号が第1外部制御装置1Aの外部制御装置番号:1である場合に、自装置が優先指定されていると判定する。制御装置選択制御部13は、取得した優先制御装置番号が第1外部制御装置1Aの外部制御装置番号:1でない場合に、自装置が優先指定されていないと判定する。
【0089】
自装置が優先指定されていないと判定された場合は、ステップS120においてNoとなり、ステップS130に進む。自装置が優先指定されていると判定された場合は、ステップS120においてYesとなり、ステップS150に進む。
【0090】
例えば図1に示すシステム構成においては、ステップS120においてNoとなる場合は、取得された優先制御装置番号は、第2外部制御装置1Bの外部制御装置番号:2である。また、例えば空気調和制御システム100に3台以上の外部制御装置が含まれる場合においては、優先制御装置番号は、第1外部制御装置1Aの外部制御装置番号:1、第2外部制御装置1Bの外部制御装置番号:2、不図示の第3外部制御装置の外部制御装置番号:3、不図示の第4外部制御装置の外部制御装置番号:4、・・・となる。そして、ステップS120においてNoとなる場合は、取得された優先制御装置番号は、2、3、4・・・のうちのいずれかとなる。
【0091】
ステップS130では、正常な状態で存在していることを確認するための通知である存在確認通知が、優先制御装置に送信される。具体的に、制御装置選択制御部13が、優先制御装置に存在確認通知を送信する。その後、ステップS140に進む。
【0092】
ステップS140では、存在確認通知に対する応答があったか否かが、判定される。具体的に、制御装置選択制御部13が、存在確認通知に対する応答があったか否かを判定する。制御装置選択制御部13は、存在確認通知に対する応答を優先制御装置から受信したか否かによって、存在確認通知に対する応答があったか否かを判定する。
【0093】
存在確認通知に対する応答があったと判定された場合は、ステップS140においてYesとなり、現在の優先制御装置で優先度を決定するため、一連の処理を終了する。存在確認通知に対する応答がないと判定された場合は、ステップS140においてNoとなり、ステップS150に進む。
【0094】
ステップS140からステップS150に進む場合は、ステップS150からステップS210までのループステップが、自装置である第1外部制御装置1Aを含めた空気調和制御システム100における全ての外部制御装置に対して行われる。
【0095】
なお、ステップS150からステップS210までのループステップは、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置のうち、ステップS110で取得された優先制御装置番号に基づいて判定された優先制御装置を除いた外部制御装置に対して行われてもよい。すなわち、ステップS150からステップS210までのループステップが、空気調和制御システム100における外部制御装置の台数から1台を差し引いた台数分だけ行われてもよい。ただし、ステップS110で取得された優先制御装置番号に基づいて判定された優先制御装置は存在確認通知に対する応答がないため故障していると考えられ、実質的にはステップS150からステップS210までのループステップが行われていないことと同意となる。
【0096】
ステップS150は、ループステップの始端であり、ループステップが、開始される。具体的に、制御装置選択制御部13が、ループステップの実施対象となる外部制御装置を、外部制御装置Nとして識別する。Nは、1以上の整数である。まず、N=1とされる。その後、ステップS160に進む。
【0097】
ステップS160では、正常な状態で存在していることを確認するための通知である存在確認通知が、ループステップの実施対象となる外部制御装置である、N=1の外部制御装置Nに送信される。具体的に、制御装置選択制御部13が、外部制御装置Nに存在確認通知を送信する。その後、ステップS170に進む。
【0098】
ステップS170では、存在確認通知に対する応答があったか否かが、判定される。具体的に、制御装置選択制御部13が、存在確認通知に対する応答があったか否かを判定する。制御装置選択制御部13は、存在確認通知に対する応答を優先制御装置から受信したか否かによって、存在確認通知に対する応答があったか否かを判定する。
【0099】
存在確認通知に対する応答がないと判定された場合は、ステップS170においてNoとなり、ステップS180に進む。存在確認通知に対する応答があったと判定された場合は、ステップS170においてYesとなり、ステップS190に進む。
【0100】
ステップS180では、存在確認通知が送信された外部制御装置Nが、異常であると判定される。具体的に、制御装置選択制御部13が、存在確認通知が送信された外部制御装置Nが異常である、すなわち故障していると判定する。その後、ステップS220に進む。
【0101】
ステップS190では、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置の優先順位を判定する優先順位判定の基準となる情報が、外部制御装置Nから取得される。具体的に、制御装置選択制御部13が、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置について、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択するための優先順位を判定する優先順位判定の基準となる情報を外部制御装置Nから取得する。その後、ステップS200に進む。
【0102】
優先順位判定は、空気調和機2を制御する外部制御装置として、空気調和制御システム100の複数の外部制御装置において優先して選択される外部制御装置である優先制御装置を選択するための優先順位の判定である。
【0103】
優先順位判定の基準となる情報は、具体的に、制御装置選択制御部13が、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置から、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定するために用いられる優先順位を得るための情報であり、上述した優先度を計算するための情報である。
【0104】
ステップS200では、優先順位判定を実施するか否かが、判定される。具体的に、制御装置選択制御部13が、ループステップで取得された、ループステップの実施対象となる全ての外部制御装置についての優先順位判定の基準となる情報に基づいて、優先順位判定を行うか否かを判定する。なお、この場合のループステップの実施対象となる全ての外部制御装置についての優先順位判定の基準となる情報は、ステップS180において異常と判定された外部制御装置についての優先順位判定の基準となる情報は除かれる。
【0105】
制御装置選択制御部13は、空気調和制御システム100における全ての外部制御装置についての優先順位判定の基準となる情報を取得している場合には、優先順位判定を行う。一方、制御装置選択制御部13は、空気調和制御システム100における全ての外部制御装置についての優先順位判定の基準となる情報を取得していない場合には、優先順位判定を行わない。
【0106】
優先順位判定を実施しない判定された場合は、ステップS200においてNoとなり、制御装置選択制御部13が優先順位判定を行わずに、ステップS220に進みつぎのループステップが行われる。優先順位判定を実施すると判定された場合は、ステップS200においてYesとなり、制御装置選択制御部13が優先順位判定を行い、空気調和機2を制御する外部制御装置を優先順位判定の結果に基づいて選択して、ステップS210に進む。
【0107】
制御装置選択制御部13は、空気調和制御システム100における全ての外部制御装置から取得した優先順位判定の基準となる情報に基づいて、優先順位判定を行う。具体的に、制御装置選択制御部13は、取得した優先順位判定の基準となる情報に基づいて、空気調和制御システム100における全ての外部制御装置に対して、優先順位を判定する。
【0108】
図5は、実施の形態1にかかる制御装置選択制御部13が優先順位判定を行う際に用いられる情報の例を示す図である。制御装置選択制御部13が外部制御装置に対して優先順位を判定する際の「判定条件」には、例えば「ユーザ設定」、「通信状況」、「処理速度」が例示される。
【0109】
「判定条件」が「ユーザ設定」である場合、制御装置選択制御部13は、ユーザによる設定に従って、各外部制御装置の優先順位を判定する。この場合、制御装置選択制御部13は、優先順位判定の基準となる情報として、「ユーザによる設定」の情報を取得する。「ユーザによる設定」の情報は、各外部制御装置の記憶部に設定されている。すなわち、制御装置選択制御部13は、ユーザによって制御装置選択制御部13に設定された情報に従って、各外部制御装置の優先順位を判定する。
【0110】
そして、制御装置選択制御部13は、判定した各外部制御装置の優先順位に従って、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定する。すなわち、制御装置選択制御部13は、判定した各外部制御装置の優先順位に従って、新たな優先制御装置番号を決定する。
【0111】
「判定条件」が「通信状況」である場合、制御装置選択制御部13は、通信状況に基づいて各外部制御装置の優先順位を判定する。この場合、制御装置選択制御部13は、優先順位判定の基準となる情報として、「電波強度」および「応答レスポンス」といった情報を取得する。応答レスポンスは、例えば制御装置選択制御部13から存在確認通知を送信してから応答を受信するまでの応答時間であり、制御装置選択制御部13で計算される。制御装置選択制御部13は、通信状況の情報に基づいて、通信状況が良い外部制御装置の優先順位を高く判定する。電波強度は、例えば通信路6が無線通信路であって外部制御装置間において無線通信が行われる場合において、制御装置選択制御部13が受信する無線信号の電波の強度であり、制御装置選択制御部13が通信制御部14から取得する。この場合、制御装置選択制御部13は、電波強度が強いほど、通信状況が良いと判定する。
【0112】
そして、制御装置選択制御部13は、判定した各外部制御装置の優先順位に従って、空気調和機2を制御する外部制御装置として、通信状況が良い方の外部制御装置を選択して決定する。すなわち、制御装置選択制御部13は、判定した各外部制御装置の優先順位に従って、新たな優先制御装置番号を決定する。
【0113】
「判定条件」が「処理速度」である場合、制御装置選択制御部13は、処理速度に基づいて各外部制御装置の優先順位を判定する。この場合、制御装置選択制御部13は、優先順位判定の基準となる情報として、「処理速度」の情報を取得する。処理速度は、例えば外部制御装置に実装されて外部制御装置の制御部として機能するプロセッサの処理速度である。プロセッサの処理速度の情報は、各外部制御装置の記憶部に記憶されている。制御装置選択制御部13は、処理速度の情報に基づいて、処理速度が速い外部制御装置の優先順位を高く判定する。
【0114】
そして、制御装置選択制御部13は、判定した各外部制御装置の優先順位に従って、空気調和機2を制御する外部制御装置として、処理速度が速い方の外部制御装置を選択して決定する。すなわち、制御装置選択制御部13は、判定した各外部制御装置の優先順位に従って、新たな優先制御装置番号を決定する。
【0115】
ステップS210では、優先制御装置番号が、更新される。具体的に、制御装置選択制御部13が、第1外部制御装置1Aの記憶部15に記憶されている優先制御装置番号を優先順位判定の結果に基づいて決定した新たな優先制御装置番号に書き換えて、第1外部制御装置1Aの記憶部15に記憶されている優先制御装置番号を更新する。その後、ステップS220に進む。
【0116】
ステップS220は、ループステップの終端であり、N=N+1とされ、外部制御装置N=外部制御装置N+1とされ、ステップS150に戻る。
【0117】
ステップS150から、ステップS220のステップが、ループステップの実施対象となる全ての外部制御装置Nの台数分だけ繰り返されるとループステップが終了する。ここで、最後のループ処理のステップS200において、上記のように新たな優先制御装置番号が確定する。最後のループ処理ではステップS220が省略され、ステップS230に進む。
【0118】
ステップS230では、新たに決定された優先制御装置番号が、空気調和制御システム100における全ての他機器に対して送信される。具体的に、制御装置選択制御部13が、新たに決定された優先制御装置番号を、空気調和制御システム100における全ての他機器に対して送信する。
【0119】
なお、上記においては、便宜上、外部制御装置を用いて空気調和制御システムの制御を行う場合について説明したが、外部制御装置を設ける代わりに、外部制御装置の各処理部が室内機および室外機に設けられてもよい。
【0120】
また、上記においては、空気調和制御システム100における通信を、外部制御装置をサーバ、室内機および室外機をクライアントとしたクライアント・サーバ型に近い通信方式としているが、空気調和制御システム100における通信方式は、ピア・ツー・ピア方式による通信でもよい。
【0121】
空気調和制御システム100において図4に示すフローチャートに沿った処理が行われることによって、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置のうちどの外部制御装置が空気調和制御システム100を制御するかが自動で決定される。
【0122】
また、空気調和制御システム100において図4に示すフローチャートに沿った処理が行われることにより、空気調和制御システム100において外部制御装置の台数に制限なく、空気調和機2を制御可能な適切な外部制御装置を、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定することができる。
【0123】
たとえば、特許文献1に示される空気調和制御システムでは、2台の室内機、室外機、制御装置が共通バスを介して接続されており、相互の情報の授受が可能な構成とされている。そして、特許文献1に示される空気調和制御システムでは、室内機または室外機と制御装置との通信が途切れた場合あるいは制御装置が故障した場合においては、室内機および室外機に備えられているそれぞれの保護制御部において緊急停止し、空気調和制御システムとして制御が継続できなかった。特許文献1に示される空気調和制御システムでは、緊急停止条件を満たした場合に圧縮機を停止させる保護制御部が室内機および室外機に必要であるため、室内機および室外機のコストが高く、保護制御部の制御プログラムの更新は困難であった。
【0124】
これに対して、空気調和制御システム100では、制御装置選択制御部を有する外部制御装置を複数台備えており、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置のうちいずれか1つが故障した場合、空気調和機2を制御している外部制御装置と空気調和機2との通信が途切れた場合あるいは空気調和機2を制御している外部制御装置が故障した場合においても、空気調和機2の制御を継続することが可能となる。
【0125】
また、空気調和制御システム100において図4に示すフローチャートに沿った処理が行われることにより、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択する外部制御装置との通信が途切れ、故障していると判定されて一度は優先制御装置の対象から外れた外部制御装置は、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択する外部制御装置との通信が復帰したときに再び優先順位判定が行われ、優先制御装置に判定されると、再び優先制御装置として空気調和機2を制御することが可能である。
【0126】
すなわち、空気調和制御システム100において、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択する1つの外部制御装置は、故障していると判定された他の外部制御装置に再度の通知を送信し、他の外部制御装置から再度の通知に対する応答を受信した場合に、他の外部制御装置が故障から復帰したと判定する。そして、1つの外部制御装置は、故障から復帰した他の外部制御装置を含めて優先順位判定を行う。これにより、1つの外部制御装置は、故障から復帰した他の外部制御装置を含めて、空気調和機2を制御可能な適切な外部制御装置から、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定することができる。
【0127】
上述したように、実施の形態1にかかる空気調和制御システム100では、制御装置選択制御部を有する外部制御装置を複数台備えており、制御装置選択制御部が、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置に対して、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択するための優先順位を判定する。そして、制御装置選択制御部は、判定した複数の外部制御装置の優先順位に基づいて、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定する。
【0128】
これにより、空気調和制御システム100では、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置のうちいずれか1つが故障した場合、空気調和機2を制御している外部制御装置と空気調和機2との通信が途切れた場合あるいは空気調和機2を制御している外部制御装置が故障した場合においても、空気調和機2の制御を継続することが可能となる。この結果、空気調和機2の運転条件をユーザから継続して受け付け、受け付けた運転条件に従って空気調和機2の運転を継続することができるので、ユーザに快適な空気環境を継続して提供することができ、ユーザにとっての快適性の向上が実現できる。
【0129】
また、空気調和制御システム100では、制御装置選択制御部が、空気調和制御システム100における複数の外部制御装置において故障している外部制御装置の判定を行い、故障している外部制御装置を除いて、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定する。これにより、空気調和制御システム100では、空気調和機2を制御可能な適切な外部制御装置から、空気調和機2を制御する外部制御装置を選択して決定することができる。
【0130】
続いて、実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれのハードウェア構成について説明する。実施の形態1にかかる制御部80は、実施の形態1にかかる、第1外部制御装置1Aの制御装置選択制御部13と通信制御部14と空気調和制御部16と制御部17、第2外部制御装置1Bの制御装置選択制御部21と通信制御部22と空気調和制御部24と制御部25、第1室内機3Aの各種ドライバ部33と室内機通信制御部35と室内機制御部36、第1室外機4Aの各種ドライバ部43と室外機通信制御部45と室外機制御部46、およびユーザ操作装置5のユーザ通信制御部54とユーザ制御部55に対応する。実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれの機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、記憶装置に格納されるプログラムを実行する処理装置であってもよい。
【0131】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらを組み合わせたものが該当する。図6は、実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81には、制御部80の機能を実現する論理回路81aが組み込まれている。
【0132】
処理回路81が処理装置の場合、制御部80の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0133】
図7は、実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81は、プログラム81bを実行するプロセッサ811と、プロセッサ811がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ812と、プログラム81bを記憶する記憶装置813を有する。記憶装置813に記憶されているプログラム81bをプロセッサ811がランダムアクセスメモリ812上に展開し、実行することにより、制御部80の機能が実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラム言語で記述され、記憶装置813に格納される。プロセッサ811は、中央処理装置を例示できるがこれに限定はされない。記憶装置813は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリを適用できる。半導体メモリは、不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また、記憶装置813は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)を適用できる。なお、プロセッサ811は、演算結果といったデータを記憶装置813に出力して記憶させてもよいし、ランダムアクセスメモリ812を介して不図示の補助記憶装置に当該データを記憶させてもよい。プロセッサ811、ランダムアクセスメモリ812および記憶装置813を1チップに集積することにより、制御部80の機能をマイクロコンピュータにより実現することができる。
【0134】
処理回路81は、記憶装置813に記憶されたプログラム81bを読み出して実行することにより、制御部80の機能を実現する。プログラム81bは、制御部80の機能を実現する手順および方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
【0135】
なお、処理回路81は、制御部80の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、制御部80の機能の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0136】
このように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0137】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0138】
1A 第1外部制御装置、1B 第2外部制御装置、2 空気調和機、3A 第1室内機、3B 第2室内機、4A 第1室外機、4B 第2室外機、5 ユーザ操作装置、6 通信路、11 操作部、12 表示部、13,21 制御装置選択制御部、14,22 通信制御部、15,23 記憶部、16,24 空気調和制御部、17,25 制御部、31,41 各種アクチュエータ、32,42 各種センサ、33,43 各種ドライバ部、34 室内機記憶部、35 室内機通信制御部、36 室内機制御部、44 室外機記憶部、45 室外機通信制御部、46 室外機制御部、51 ユーザ操作部、52 ユーザ表示部、53 ユーザ記憶部、54 ユーザ通信制御部、55 ユーザ制御部、100 空気調和制御システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7