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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】回転機保持装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20241004BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B23P19/06 E
B25J19/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023573992
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2022048617
(87)【国際公開番号】W WO2023136176
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2022002712
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】西分 健人
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕介
(72)【発明者】
【氏名】前田 健浩
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-71202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0154866(US,A1)
【文献】特開平7-1348(JP,A)
【文献】特開平5-131327(JP,A)
【文献】特開平6-218688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機を固定する固定部を有し前記回転機を支持する支持部と、
前記支持部と連結部において連結された操作部と、
前記連結部に設けられ、前記固定部を前記操作部に対して前記回転機の回転方向に回転可能とする回転機構部と、
前記支持部を移動可能に支持する支持フレームと、
前記操作部と共に、前記固定部を挟み込んで設けられた固定フレームと、
を備え
前記回転機構部は、
前記操作部および前記固定フレームの両方に回転軸を固定された複数の第1ローラと、
前記操作部および前記固定フレームの各々に回転軸を固定された複数の第2ローラと、を備え、
前記複数の第1ローラは前記固定部の外周に接して設けられ、前記複数の第2ローラの各々は前記固定部における前記操作部および前記固定フレームと対向する面の各々と接して設けられた、
回転機保持装置。
【請求項2】
工具を回転する電動ドライバを含む前記回転機をさらに備える、
請求項1に記載の回転機保持装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記回転機の位置決めを行うロボットと連結されている、
請求項1または2に記載の回転機保持装置。
【請求項4】
前記操作部は、作業者により操作される操作レバーを備える、
請求項1または2に記載の回転機保持装置。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記支持部の位置が移動する際、前記回転機の回転軸方向を維持する、
請求項1または2に記載の回転機保持装置。
【請求項6】
回転機を固定する固定部を有し前記回転機を支持する支持部と、
前記支持部と連結部において連結された操作部と、
前記連結部に設けられ、前記固定部を前記操作部に対して前記回転機の回転方向に回転可能とする回転機構部と、
前記支持部を移動可能に支持する支持フレームと、
前記操作部と共に、前記固定部を挟み込んで設けられた固定フレームと、を備え、
前記回転機構部は、
前記固定部および前記操作部が互いに対向する面に設けられた第1リング状溝対と、
前記固定部および前記固定フレームが互いに対向する面に設けられた第2リング状溝対と、
前記固定部と前記操作部の間において、前記第1リング状溝対において転動可能に設けられた第1転動体と、
前記固定部と前記固定フレームの間において、前記第2リング状溝対において転動可能に設けられた第2転動体とを備える、
転機保持装置。
【請求項7】
回転機を固定する固定部を有し前記回転機を支持する支持部と、
前記支持部と連結部において連結された操作部と、
前記連結部に設けられ、前記固定部を前記操作部に対して前記回転機の回転方向に回転可能とする回転機構部と、
前記支持部を移動可能に支持する支持フレームと、
前記操作部と共に、前記固定部を挟み込んで設けられた固定フレームと、を備え、
前記回転機構部は、
前記操作部に回転軸を固定された第3ローラと、
前記固定フレームに回転軸を固定された第4ローラと、を備え、
前記固定部は、前記操作部および前記固定フレームに対して対向する面の各々が外周に向けて厚みが薄くなる傾斜を有する円形状傾斜部を有し、
前記第3ローラおよび前記第4ローラは、前記円形状傾斜部に接して設けられ、前記第3ローラおよび前記第4ローラは前記固定部を挟み込んで設けられる、
転機保持装置。
【請求項8】
前記支持部は、前記固定部を、前記回転機の回転軸方向に垂直な方向に移動可能に保持する保持部を備える、
請求項1または2に記載の回転機保持装置。
【請求項9】
前記固定部と前記保持部とを連結するダンパまたはスプリングのいずれか1つ、または両方を備える、
請求項に記載の回転機保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転機保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ねじ締め付け作業を自動又は半自動で行うねじ締め装置を開示する。このねじ締め装置では、締め付けトルクによる反トルクによる反力が発生し、電動ドライバとロボットが固定されていると、ねじ締め付け時の反力は電動ドライバを保持するロボットへ伝わる。
【0003】
このため、ロボットの選定の際には、この反力に耐えうる剛性のものを選ぶ必要がある。また、ねじ締め付け時の反力が大きいとロボットを使用できない場合がある。反力を低減するために、引用文献2は、電動ドライバとそれを支持する支持アームとの間に、ショックアブソーバを備えるねじ締付け装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-974741号公報
【文献】特開2015-120212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示されたねじ締付け装置では、設備に連結された支持アームと電動ドライバとの間にショックアブソーバが設けられている。ショックアブソーバによりねじ締付け動作時に発生する反力を吸収し、設備への伝達を抑制することができる。しかし、反力は、ショックアブソーバにより抑制されるものの設備および電動ドライバの位置決めを行う操作部に伝達される。電動ドライバの反力がロボットに伝わる場合、ロボットはその反力に耐えるための力がなければ、電動ドライバの位置がずれたり、ロボットが損傷したりするおそれがある。そのため、特許文献2に開示されたねじ締付け装置では、操作部をロボットに連結した場合、ロボットにも相応の剛性が要求され、反力に耐えうることが可能な出力が大きいサーボモータと大きくて重い構造部材を用いることが必要となり、ロボットが大型化する課題がある。また、電動ドライバ以外の回転機を有する装置であっても同様の課題がある。
【0006】
本開示は、上記した課題に着目してなされたものであり、回転機の位置決めを行う操作部への反トルクの伝達を抑制することができる回転機保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の目的を達成するため、本開示に係る回転機保持装置は、回転機を固定する固定部を有し回転機を支持する支持部と、支持部と連結部において連結された操作部と、連結部に設けられ、固定部を操作部に対して回転機の回転方向に回転可能とする回転機構部と、支持部を移動可能に支持する支持フレームと、操作部と共に、固定部を挟み込んで設けられた固定フレームと、を備え、回転機構部は、操作部および固定フレームの両方に回転軸を固定された複数の第1ローラと、操作部および固定フレームの各々に回転軸を固定された複数の第2ローラと、を備え、複数の第1ローラは固定部の外周に接して設けられ、複数の第2ローラの各々は固定部における操作部および固定フレームと対向する面の各々と接して設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、固定部を操作部に対して回転機の回転方向に回転可能とすることで、回転機の位置決めを行う操作部への反トルクの伝達を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における、ねじ締め装置100を示す正面図
図2】実施の形態1における、ねじ締め装置100において、反トルク伝達フレーム2Aに電動ドライバ1を固定する構成を示す斜視図
図3】実施の形態1における、ねじ締め機構部10を示す斜視図
図4】実施の形態1における、ねじ締め機構部10を示す正面図
図5】実施の形態1における、ねじ締め機構部10を示す上面図
図6】実施の形態1における、ねじ締め機構部10のローラーフォロアの配置を示す斜視図
図7】実施の形態1の変形例における、ねじ締め装置101を示す正面図
図8】実施の形態2における、ねじ締め機構部20を示す上面図
図9図8に示す断面線IX-IXにおける、断面図
図10】実施の形態3における、ねじ締め機構部30を示す上面図
図11図10に示す断面線XI-XIにおける、断面図
図12】実施の形態4における、ねじ締め機構部40を示す上面図
図13図12に示す断面線XIII-XIIIにおける、断面図
図14】実施の形態5における、課題を示す正面図
図15】実施の形態5における、ねじ締め機構部110を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態に係るねじ締め装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
ねじ締め装置100は、図1に示すように、電動ドライバ1を含むねじ締め機構部10と、ねじ締め機構部10を支持する電動ドライバ支持部50と、電動ドライバ1の位置決めを行う電動ドライバ操作部60と、を備える。電動ドライバ1には、工具Tとして、ねじ回しが取り付けられている。電動ドライバ操作部60は、ロボット80に連結されている。ねじ締め機構部10は、主な構成として、電動モータによりねじ締めを実施する電動ドライバ1、反トルク伝達フレーム2Aの一部である電動ドライバ固定部3、電動ドライバ保持フレーム4Aの一部である電動ドライバ保持部5および回転機構部を有する。また、反トルク伝達フレーム2Aは電動ドライバ支持フレーム6へと接続される。なお、ねじ締め装置100は、回転機保持装置の一例である。電動ドライバ1は、回転機の一例である。電動ドライバ支持部50は、支持部の一例である。電動ドライバ操作部60は、操作部の一例である。
【0012】
理解を容易にするために、相互に直交するxyz座標を設定し、適宜参照する。電動ドライバ1の回転軸方向をz方向、電動ドライバ支持部50が延びる方向をx方向、z方向およびx方向に垂直な方向をy方向、と設定する。
【0013】
電動ドライバ支持部50は、反トルク伝達フレーム2Aおよび電動ドライバ支持フレーム6を備える。さらに、電動ドライバ支持フレーム6は、電動ドライバ固定部3に接続されたツール接続部7と、ツール接続部7を支持する第1回転部8と、第1回転部8を支持する第2回転部9と、第2回転部9を支持し、床または作業台に固定されている支持フレーム固定部11と、を備える。
【0014】
電動ドライバ支持フレーム6は、第1回転部8と第2回転部9とが連動して角度を変化することにより、ツール接続部7の向きを変えずに位置を移動することができる。これにより、電動ドライバ支持フレーム6は、電動ドライバ操作部60の移動に応じて、電動ドライバ1の回転軸方向を維持したまま電動ドライバ1の位置を移動することができる。また、電動ドライバ支持フレーム6は、反トルク伝達フレーム2Aからツール接続部7に伝達される電動ドライバ1で発生する反トルクを受け止めることができる。すなわち、電動ドライバ支持部50である反トルク伝達フレーム2Aおよび電動ドライバ支持フレーム6により、電動ドライバ1で発生する反トルクを受け止めることができる。
【0015】
電動ドライバ保持フレーム4Aは、電動ドライバ1を保持する電動ドライバ保持部5を有する。また、電動ドライバ保持フレーム4Aは、ロボット80のハンド先端部81に接続されており、ロボット80により電動ドライバ1を任意の位置へ移動させることができる。ここで、ロボット80は、ロボット固定部82により床または作業台に固定される。実施の形態1では、電動ドライバ保持フレーム4Aは、電動ドライバ操作部60の機能を有する。
【0016】
電動ドライバ1は、反トルク伝達フレーム2Aに固定されている。また、反トルク伝達フレーム2Aは、電動ドライバ1を固定する電動ドライバ固定部3を有する。電動ドライバ固定部3は、電動ドライバ1の回転軸方向であるZ方向から見て中心近傍に電動ドライバ1が固定されており、Z方向から見て最外周の一部が円形形状を有している。また、電動ドライバ固定部3は、電動ドライバ1のZ方向における一部の周囲を囲んで電動ドライバ1を固定する。
【0017】
電動ドライバ固定部3は、図2に示すように、この例では、2つに分割された電動ドライバ固定部材3A、3Bの間に電動ドライバ1が配置され、ねじ12を用いて締め付けることで電動ドライバ1の固定を行う構成を有する。なお、電動ドライバ固定部3の構成はこの構成に限定されず、電動ドライバ固定部3が電動ドライバ1を固定可能な構成であればよい。
【0018】
ねじ締め機構部10は、図3から図5に示すように、電動ドライバ1と、反トルク伝達フレーム2Aの一部である電動ドライバ固定部3と、電動ドライバ保持フレーム4Aの一部である電動ドライバ保持部5と、固定フレーム13と、第1ローラである複数の円周用ローラーフォロア14および第2ローラである複数の上下用ローラーフォロア16を有する回転機構部と、を備える。
【0019】
回転機構部に含まれる円周用ローラーフォロア14は、電動ドライバ保持部5と固定フレーム13とを連結するローラーフォロア回転軸15に回転可能に軸止されている。また、電動ドライバ保持部5と固定フレーム13はローラーフォロア回転軸15により固定されている。また、上下用ローラーフォロア16は、電動ドライバ保持部5および固定フレーム13の各々に設けられたローラーフォロア回転軸17に回転可能に軸止されている。ここで、固定フレーム13は、ねじなどの固定部材により電動ドライバ保持部5に固定されてもよい。
【0020】
次に、図6を用いて、電動ドライバ固定部3、回転機構部に含まれる円周用ローラーフォロア14および上下用ローラーフォロア16の関係を説明する。円周用ローラーフォロア14は、Z方向から見て最外周の一部が円形形状を有する電動ドライバ固定部3の外周に接するよう設けられることにより、電動ドライバ1の回転軸方向に対して垂直なx方向またはy方向への電動ドライバ1および電動ドライバ固定部3の移動を制限する。
【0021】
また、上下用ローラーフォロア16は、電動ドライバ固定部3の上下面の各々に接するよう設けられる。言い換えると、上下用ローラーフォロア16は、電動ドライバ固定部3における電動ドライバ保持部5および固定フレーム13と対向する面の各々に接して設けられる。これにより、電動ドライバ1および電動ドライバ固定部3の回転軸方向であるz方向への移動を制限する。このように、回転機構部に含まれる円周用ローラーフォロア14と上下用ローラーフォロア16によって、電動ドライバ1の回転軸方向に垂直な方向であるXY方向および回転軸方向であるZ方向の移動を制限することができる。
【0022】
さらに、回転機構部である円周用ローラーフォロア14および上下用ローラーフォロア16は、図3から図5に示すように、電動ドライバ保持フレーム4Aに固定される。そのため、電動ドライバ1および反トルク伝達フレーム2Aは、電動ドライバ保持フレーム4Aに対して電動ドライバ1の回転軸を中心とした回転のみ可能な構成となる。言い換えると、ねじ締め機構部10は、電動ドライバ1および電動ドライバ固定部3を、電動ドライバ保持フレーム4Aに対して電動ドライバ1の回転方向に回転可能に接続し、電動ドライバ支持部50と電動ドライバ操作部60を連結する連結部として機能する。これにより、電動ドライバ1から反トルクが発生した場合、反トルクによる回転力は反トルク伝達フレーム2Aへ伝達される。これに対して、電動ドライバ保持フレーム4Aは、反トルク伝達フレーム2に対して、電動ドライバ1の回転軸を中心として回転可能であるため、電動ドライバ1の回転により発生する反力は、電動ドライバ保持フレーム4Aへは伝達されない。
【0023】
次に、実施の形態1におけるねじ締め装置100の効果について説明する。まず、電動ドライバ1の工具Tにねじを吸着し、電動ドライバ操作部60に連結されたロボット80により、電動ドライバ1の位置決めを行う。次に、電動ドライバ1を回転させねじ締めを実施する。この時、電動ドライバ1から発生した反トルクによる回転力は、ねじ締め機構部10の構成により電動ドライバ保持フレーム4Aへ伝達されず、反トルク伝達フレーム2Aへ伝達される。また、電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Aへ伝達された反トルクを受けることにより、電動ドライバ保持フレーム4Aの一部である電動ドライバ操作部60と連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0024】
以上のように、本実施の形態のねじ締め装置100によれば、電動ドライバ支持部50が反トルクを受けることで、電動ドライバ操作部60への反トルクの伝達を抑制し、連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。詳細には、電動ドライバ1とロボット80との接続部に従動回転機構を設け、電動ドライバ1を用いたねじ締め付け動作時に発生する反トルクをロボット80とは別に設けた反トルクを受け止める電動ドライバ支持部50に伝達させ、ロボット80が連結される電動ドライバ操作部60への反トルクの伝達を抑制することができる。これにより、ねじ締め装置100の操作に用いるロボット80は、反トルクの影響を受けないため、出力の大きいサーボモータまたは大きくて重い構造部材が不要となり、より小型なロボットを選定することが可能となり、ロボットにかかるコストも低減できる。
【0025】
(実施の形態1の変形例)
次に、図7に示す実施の形態1の変形例におけるねじ締め装置101について説明する。なお、実施の形態1の変形例においては、実施の形態1との構成の異なる部分のみを説明する。また、実施の形態1と同一または対応する構成については、同一の符号を用い、その説明を省略する。
【0026】
実施の形態1では、図1に示すように、電動ドライバ1の位置決めをロボット80が行う。そのため、電動ドライバ操作部60である電動ドライバ保持フレーム4Aが、ハンド先端部81を介してロボット80へ連結される。
【0027】
一方、実施の形態1の変形例では、図7に示すように、電動ドライバ1の位置決めを作業者90が行う。そのため、電動ドライバ操作部60は、電動ドライバ保持フレーム4Aにおける電動ドライバ1とは反対側の端部に、操作レバー18を備えている。これにより、作業者90が手で操作レバー18を握り、電動ドライバ1の先端位置を調節することでねじ締め付けを行うことができる。すなわち、電動ドライバ保持フレーム4Aおよび操作レバー18により、作業者90が電動ドライバ1をx方向、y方向およびz方向の任意の位置へ移動させることができる。実施の形態1の変形例では、電動ドライバ保持フレーム4Aおよび操作レバー18が、電動ドライバ操作部70である。なお、操作レバー18は、作業者90により操作されればよく、作業者90の手以外に足などで操作されてもよい。
【0028】
次に、実施の形態1の変形例におけるねじ締め装置101の効果について説明する。電動ドライバ1から発生した反トルクによる回転力は、ねじ締め機構部10の構成により電動ドライバ保持フレーム4Aへ伝達されず、反トルク伝達フレーム2Aへ伝達される。また、電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Aへ伝達された反トルクを受ける。
【0029】
以上のように、実施の形態1の変形例のねじ締め装置101によれば、電動ドライバ支持部50により電動ドライバ1から発生した反トルクを受けることで、電動ドライバ操作部70への反トルクの伝達を抑制し、作業者90へ掛かる負荷を軽減することができる。これにより、大きな反トルクが発生する大型の電動ドライバ1を用いる場合においても、作業者90への反トルクの伝達を抑制し、作業者90への負担を軽減できる。
【0030】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2におけるねじ締め装置について説明する。なお、実施の形態2においては、実施の形態1との構成の異なる部分のみを説明する。また、実施の形態1と同一または対応する構成については、同一の符号を用い、その説明を省略する。ここで、ねじ締め装置は、ねじ締め装置100におけるねじ締め機構部10に代わり、ねじ締め機構部20を有することのみ異なる。そのため、ねじ締め装置の外観全体を示す図は省略する。
【0031】
ねじ締め装置は、電動ドライバ1を含むねじ締め機構部20と、電動ドライバ支持部50と、電動ドライバ操作部60と、を備える。ねじ締め機構部20は、図8および図9に示すように、主な構成として、電動ドライバ1と、反トルク伝達フレーム2Bの一部である電動ドライバ固定部21と、電動ドライバ保持フレーム4Bの一部である電動ドライバ保持部22および回転機構部と、を有する。
【0032】
また、電動ドライバ支持部50は、図1に示す実施の形態1の電動ドライバ支持部50と同様に、反トルク伝達フレーム2Bおよび電動ドライバ支持フレーム6を備える。さらに、電動ドライバ支持フレーム6は、ツール接続部7、第1回転部8および第2回転部9により構成されており、支持フレーム固定部11により床または作業台に固定されている。このように、電動ドライバ支持部50である、反トルク伝達フレーム2Bおよび電動ドライバ支持フレーム6により、電動ドライバ1で発生する反トルクを受け止めることができる。
【0033】
電動ドライバ保持フレーム4Bは、図9に示すように、電動ドライバ1を保持する電動ドライバ保持部22を有する。また、電動ドライバ保持フレーム4Bは、図示しないロボット80のハンド先端部81に接続されており、ロボット80により電動ドライバ1を任意の位置へ移動させることができる。ここで、ロボット80は、ロボット固定部82により床または作業台に固定される。実施の形態2では、電動ドライバ保持フレーム4Bが、電動ドライバ操作部60である。
【0034】
また、図7に示す実施の形態1の変形例と同様に、電動ドライバ保持フレーム4Bにおける電動ドライバ1とは反対側の端部に操作レバー18を備えたねじ締め装置201において、作業者90が電動ドライバ1の先端位置を調節可能にしてもよい。すなわち、電動ドライバ操作部70である電動ドライバ保持フレーム4Bおよび操作レバー18により、作業者90が電動ドライバ1を任意の位置へ移動させることができる。ここで、ねじ締め装置201は、ねじ締め装置101におけるねじ締め機構部10に代わり、ねじ締め機構部20を用いることのみ異なる。そのため、ねじ締め装置201の外観全体を示す図は省略する。
【0035】
図8および図9は、ねじ締め機構部20における、電動ドライバ1、反トルク伝達フレーム2Bの一部であって電動ドライバ1を固定する電動ドライバ固定部21、電動ドライバ保持フレーム4Bの一部である電動ドライバ保持部22、回転機構部であって第1転動体である球体転動体23A、第2転動体である球体転動体23Bおよび固定フレーム24との配置関係を示している。
【0036】
電動ドライバ固定部21は、電動ドライバ1の回転軸方向であるZ方向から見て中心部に電動ドライバ1が固定されており、Z方向から見て最外周の一部が円形形状を有している。第1転動体である複数の球体転動体23Aは、電動ドライバ固定部21と電動ドライバ保持部22の間に挟み込んで設けられ、図示しない保持器により間隔が保たれる。
【0037】
また、電動ドライバ固定部21と電動ドライバ保持部22が互いに対向する面の各々に、球体転動体23Aに曲率を合わせた一対のリング状溝26Aと26Bが互いに対向して設けられる。以後、一対のリング状溝26Aと26Bを第1リング状溝対と呼ぶ。そして、複数の球体転動体23Aは、電動ドライバ固定部21と電動ドライバ保持部22に設けられた第1リング状溝対を転動する。ここで、リング状溝26Aおよびリング状溝26Bの溝各々の深さは、球体転動体23Aの半径よりも小さい。
【0038】
第2転動体である複数の球体転動体23Bは、電動ドライバ固定部21と固定フレーム24の間に挟み込んで設けられ、図示しない保持器により間隔が保たれる。電動ドライバ固定部21と固定フレーム24が互いに対向する面の各々に、球体転動体23Bに曲率を合わせた一対のリング状溝26Cおよび26Dが互いに対向して設けられる。以後、一対のリング状溝26Cおよび26Dを第2リング状溝対と呼ぶ。
【0039】
そして、複数の球体転動体23Bは、電動ドライバ固定部21と固定フレーム24に設けられた第2リング状溝対を転動する。ここで、リング状溝26Cおよびリング状溝26Dの溝各々の深さは、球体転動体23Bの半径よりも小さい。さらに、電動ドライバ固定部21および複数の球体転動体23を、電動ドライバ保持部22と固定フレーム24で挟み込んで、固定フレーム24はねじを含む固定部材25により電動ドライバ保持部22へ固定されている。
【0040】
このように、電動ドライバ固定部21が、電動ドライバ保持部22と固定フレーム24により複数の球体転動体23Aおよび球体転動体23Bを介して挟み込まれて固定することにより、電動ドライバ1の回転軸方向であるZ方向の移動を制限することができる。さらに、複数の球体転動体23Aの各々が、リング状溝26Aおよび26Bを転がること、およびリング状溝26Cおよび26Dを転がることで、電動ドライバ固定部21および電動ドライバ1の回転軸方向と垂直な方向であるXY方向への移動を制限することができる。
【0041】
電動ドライバ固定部21は、複数の球体転動体23A、23Bを介して電動ドライバ保持フレーム4Bを基準として固定される。そのため、電動ドライバ1および反トルク伝達フレーム2Bは、電動ドライバ保持フレーム4Bに対して電動ドライバ1の回転軸を中心とした回転のみ可能な構成となる。言い換えると、連結部であるねじ締め機構部20において、電動ドライバ1および電動ドライバ固定部21は、電動ドライバ保持フレーム4Bに対して電動ドライバ1の回転方向に回転可能に接続される。これにより、電動ドライバ1から反トルクが発生した場合、反トルクによる回転力は電動ドライバ保持フレーム4Bへは伝達されず、反トルク伝達フレーム2Bへ伝達される。
【0042】
次に、実施の形態2におけるねじ締め装置の効果について説明する。電動ドライバ1から発生した反トルクによる回転力は、ねじ締め機構部20の構成により電動ドライバ保持フレーム4Bへ伝達されず、反トルク伝達フレーム2Bへ伝達される。また、電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Bへ伝達された反トルクを受けることにより、電動ドライバ操作部60と連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0043】
すなわち、電動ドライバ支持部50により反トルクを受けることで、電動ドライバ操作部60への反トルクの伝達を抑制し、連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0044】
また、図7に示す実施の形態1の変形例のように、操作レバー18を備えるねじ締め装置201において、作業者90が電動ドライバ1の先端位置を調節する場合に、電動ドライバ支持フレーム6が反トルク伝達フレーム2Bへ伝達された反トルクを受けることで、作業者90へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0045】
すなわち、電動ドライバ支持部50が反トルクを受けることにより、電動ドライバ操作部70への反トルクの伝達を抑制し、作業者90へ掛かる負荷を軽減することができる。これにより、大きな反トルクが発生する大型の電動ドライバ1を用いる場合においても、作業者90への反トルクの伝達を抑制し、作業者90への負担が軽減できる。
【0046】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3におけるねじ締め装置について説明する。なお、実施の形態3においては、実施の形態1との構成の異なる部分のみを説明する。また、実施の形態1と同一または対応する構成については、同一の符号を用い、その説明を省略する。ここで、ねじ締め装置は、ねじ締め装置100におけるねじ締め機構部10に代わり、ねじ締め機構部30を用いることのみ異なる。そのため、ねじ締め装置の外観全体を示す図は省略する。
【0047】
ねじ締め装置は、電動ドライバ1を含むねじ締め機構部30、電動ドライバ支持部50、電動ドライバ操作部60を備える。ねじ締め機構部30は、主な構成として、電動ドライバ1、反トルク伝達フレーム2Cの一部である電動ドライバ固定部31、電動ドライバ保持フレーム4Cの一部である電動ドライバ保持部32および回転機構部を有する。
【0048】
また、電動ドライバ支持部50は、反トルク伝達フレーム2Cおよび電動ドライバ支持フレーム6を備える。さらに、電動ドライバ支持フレーム6は、ツール接続部7、第1回転部8および第2回転部9により構成されており、支持フレーム固定部11により床または作業台に固定されている。これにより、電動ドライバ支持部50である、反トルク伝達フレーム2Cおよび電動ドライバ支持フレーム6により、電動ドライバ1で発生する反トルクを受け止めることができる。
【0049】
電動ドライバ保持フレーム4Cは、電動ドライバ1を保持する電動ドライバ保持部32を有する。また、電動ドライバ保持フレーム4Cは、ロボット80のハンド先端部81に接続されており、ロボット80により電動ドライバ1を任意の位置へ移動させることができる。ここで、ロボット80は、ロボット固定部82により床または作業台に固定される。実施の形態3では、電動ドライバ保持フレーム4Cが、電動ドライバ操作部60である。
【0050】
また、図7に示す実施の形態1の変形例のように、電動ドライバ保持フレーム4Cにおける電動ドライバ1とは反対側の端部に操作レバー18を備えたねじ締め装置301において、作業者90が電動ドライバ1の先端位置を調節可能にしてもよい。すなわち、電動ドライバ操作部70である電動ドライバ保持フレーム4Cおよび操作レバー18により、作業者90が電動ドライバ1を任意の位置へ移動させることができる。ここで、ねじ締め装置301は、ねじ締め装置101におけるねじ締め機構部10に代わり、ねじ締め機構部30を用いることのみ異なる。そのため、ねじ締め装置301の外観全体を示す図は省略する。
【0051】
図10および図11は、ねじ締め機構部30における、電動ドライバ1、反トルク伝達フレーム2Cの一部であって電動ドライバ1を固定する電動ドライバ固定部31、電動ドライバ保持フレーム4Cの一部である電動ドライバ保持部32、回転機構部であって第3転動体である球体転動体33および固定フレーム34の配置関係を示している。
【0052】
電動ドライバ固定部31は、電動ドライバ1の回転軸方向であるZ方向から見て中心部に電動ドライバ1が固定されており、Z方向から見て外周の一部が円形形状を有している。第3転動体である複数の球体転動体33は、電動ドライバ固定部31と固定フレーム34の間に挟み込んで設けられる。複数の球体転動体33は、図示しない保持器により間隔が保たれる。
【0053】
電動ドライバ固定部31の外周と固定フレーム34が互いに対向する面の各々に、球体転動体33に曲率を合わせた一対のリング状溝35Aおよび35Bが互いに対向して設けられる。以後、一対のリング状溝35Aおよび35Bを第3リング状溝対と呼ぶ。そして、電動ドライバ固定部31と固定フレーム34に設けられた第3リング状溝対であるリング状溝35Aおよび35Bを複数の球体転動体33が転動可能に構成されている。また、固定フレーム34はねじなどの固定部材36により電動ドライバ保持部32に固定されている。ここで、リング状溝35Aおよび35Bの溝各々の深さは、球体転動体33の半径よりも小さい。
【0054】
このように、電動ドライバ固定部31の外周に設けたリング状溝35Aと、それと対向して固定フレーム34に設けたリング状溝35Bと、の間に複数の球体転動体33が挟み込まれて、固定フレーム34が電動ドライバ固定部31に固定することにより、電動ドライバ1の回転軸方向であるZ方向および電動ドライバ1の回転軸方向と垂直な方向であるXY方向への移動を制限することができる。
【0055】
電動ドライバ固定部31は、複数の球体転動体33を介して電動ドライバ保持フレーム4Cに固定される。そのため、電動ドライバ1および反トルク伝達フレーム2Cは、電動ドライバ保持フレーム4Cに対して電動ドライバ1の回転軸を中心とした回転のみ可能な構成となる。言い換えると、連結部であるねじ締め機構部30において、電動ドライバ1および電動ドライバ固定部31は、電動ドライバ保持フレーム4Cに対して電動ドライバ1の回転方向に回転可能に接続される。これにより、電動ドライバ1から反トルクが発生した場合、反トルクによる回転力は電動ドライバ保持フレーム4Cへは伝達されず、反トルク伝達フレーム2Cへ伝達される。
【0056】
次に、実施の形態3におけるねじ締め装置の効果について説明する。電動ドライバ1から発生した反トルクによる回転力は、ねじ締め機構部30の構成により電動ドライバ保持フレーム4Cへ伝達されず、反トルク伝達フレーム2Cへ伝達される。また、電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Cへ伝達された反トルクを受けることにより、電動ドライバ操作部60と連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0057】
すなわち、電動ドライバ支持部50により反トルクを受けることで、電動ドライバ操作部60への反トルクの伝達を抑制し、連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。これにより、ねじ締め装置の操作に用いるロボット80は、実施の形態1に比べより少ない部品点数において、より小型なロボットを選定することが可能となり、ロボットにかかるコストも低減できる。
【0058】
また、図7に示す実施の形態1の変形例のように、操作レバー18を備えるねじ締め装置において、作業者90が電動ドライバ1の先端位置を調節する場合に、電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Cへ伝達された反トルクを受けることで、作業者90へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0059】
すなわち、電動ドライバ支持部50が反トルクを受けることにより、電動ドライバ操作部70への反トルクの伝達を抑制し、作業者90へ掛かる負荷を軽減することができる。これにより、大きな反トルクが発生する大型の電動ドライバ1を用いる場合においても、作業者90への反トルクの伝達を抑制し、作業者90への負担が軽減できる。
【0060】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4におけるねじ締め装置について説明する。なお、実施の形態4においては、実施の形態1との構成の異なる部分のみを説明する。また、実施の形態1と同一または対応する構成については、同一の符号を用い、その説明を省略する。ここで、ねじ締め装置は、ねじ締め装置100におけるねじ締め機構部10に代わり、ねじ締め機構部40を用いることのみ異なる。そのため、ねじ締め装置の外観全体を示す図は省略する。
【0061】
ねじ締め装置は、電動ドライバ1を含むねじ締め機構部40と、電動ドライバ支持部50と、電動ドライバ操作部60と、を備える。ねじ締め機構部40は、図12および図13に示すように、主な構成として、電動ドライバ1と、反トルク伝達フレーム2Dの一部である電動ドライバ固定部41と、電動ドライバ保持フレーム4Dの一部である電動ドライバ保持部42および回転機構部と、を有する。
【0062】
また、反トルク伝達フレーム2Dは電動ドライバ支持フレーム6へと接続される。このように、電動ドライバ支持部50である、反トルク伝達フレーム2Dおよび電動ドライバ支持フレーム6により、電動ドライバ1で発生する反トルクを受け止める。ここで、電動ドライバ支持フレーム6は、ツール接続部7、第1回転部8および第2回転部9を有し、支持フレーム固定部11により床または作業台に固定されている。
【0063】
また、電動ドライバ支持部50は、反トルク伝達フレーム2Dおよび電動ドライバ支持フレーム6を備える。さらに、電動ドライバ支持フレーム6は、ツール接続部7、第1回転部8および第2回転部9により構成されており、支持フレーム固定部11により床または作業台に固定されている。このように、電動ドライバ支持部50である、反トルク伝達フレーム2Dおよび電動ドライバ支持フレーム6により、電動ドライバ1で発生する反トルクを受け止めることができる。
【0064】
電動ドライバ保持フレーム4Dは、電動ドライバ1を保持する電動ドライバ保持部42を有する。また、電動ドライバ保持フレーム4Dは、ロボット80のハンド先端部81に接続されており、ロボット80により電動ドライバ1を任意の位置へ移動させることができる。ここで、ロボット80は、ロボット固定部82により床または作業台に固定される。実施の形態4では、電動ドライバ保持フレーム4Dが、電動ドライバ操作部60である。
【0065】
また、図7に示す実施の形態1の変形例のように、操作レバー18を備えたねじ締め装置401において、作業者90が電動ドライバ1の先端位置を調節可能にしてもよい。すなわち、電動ドライバ操作部70である電動ドライバ保持フレーム4Dおよび操作レバー18により、作業者90が電動ドライバ1を任意の位置へ移動させることができる。ここで、ねじ締め装置は、ねじ締め装置101におけるねじ締め機構部10に代わり、ねじ締め機構部40を用いることのみ異なる。そのため、ねじ締め装置401の外観全体を示す図は省略する。
【0066】
図12および図13は、ねじ締め機構部40における、電動ドライバ1、反トルク伝達フレーム2Dの一部であって電動ドライバ1を固定する電動ドライバ固定部41、電動ドライバ保持フレーム4Dの一部である電動ドライバ保持部42、固定フレーム43、回転機構部であって第3ローラであるローラーフォロア45Aおよび第4ローラであるローラーフォロア45Bとの配置関係を示している。
【0067】
電動ドライバ固定部41は、電動ドライバ1の回転軸方向であるZ方向から見て中心近傍に電動ドライバ1が固定されており、Z方向から見て最外周の一部が円形形状を有している。また、Z方向から見て、電動ドライバ固定部41の中心方向から外周に向けて、電動ドライバ固定部41の上下面において、電動ドライバ固定部41のZ方向の厚さが薄くなる傾斜を有する円形状傾斜部46を有している。言い換えると、電動ドライバ固定部41は、電動ドライバ保持部42および固定フレーム43と対向する面の各々が、外周に向けて厚みが薄くなる傾斜する円形状傾斜部46を有している。
【0068】
回転機構部であるローラーフォロア45Aは電動ドライバ保持部42にローラーフォロア回転軸44Aを固定されている。また、ローラーフォロア45Bは固定フレーム43にローラーフォロア回転軸44Bを固定されている。さらに、電動ドライバ固定部41を電動ドライバ保持部42と固定フレーム43で挟み込んで、固定フレーム43はねじを含む固定部材47により電動ドライバ保持部42に固定されている。
【0069】
実施の形態4におけるねじ締め機構部40におけるローラーフォロア45Aおよびローラーフォロア45Bの配置を示す図13を用いて、電動ドライバ固定部41とローラーフォロア45Aおよびローラーフォロア45Bの関係を説明する。ローラーフォロア45Aおよびローラーフォロア45Bは、電動ドライバ固定部41に設けられた円形状傾斜部46に接して設けられる。
【0070】
また、ローラーフォロア45Aおよびローラーフォロア45Bは、電動ドライバ固定部41を互いに挟み込んで設けられる。これにより、電動ドライバ1の回転軸方向であるZ方向および電動ドライバ1の回転軸方向に対して垂直な方向であるXY方向における電動ドライバ1および電動ドライバ固定部41の移動を制限する。
【0071】
このように、電動ドライバ固定部41は、ローラーフォロア45Aおよびローラーフォロア45Bを介して電動ドライバ保持フレーム4Dを基準として固定される。そのため、電動ドライバ1および反トルク伝達フレーム2Dは、電動ドライバ保持フレーム4Dに対して電動ドライバ1の回転軸を中心とした回転のみ可能な構成となる。言い換えると、電動ドライバ1および電動ドライバ固定部41は、電動ドライバ保持フレーム4Dに対して電動ドライバ1の回転軸を中心に回転可能に接続される。これにより、電動ドライバ1から反トルクが発生した場合、反トルクによる回転力は電動ドライバ保持フレーム4Dへは伝達されず、反トルク伝達フレーム2Dへ伝達される。
【0072】
次に、実施の形態4におけるねじ締め装置の効果について説明する。電動ドライバ1から発生した反トルクによる回転力は、ねじ締め機構部40の構成により電動ドライバ保持フレーム4Dへ伝達されず、反トルク伝達フレーム2Dへ伝達される。また、電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Dへ伝達された反トルクを受けることにより、電動ドライバ操作部60に連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0073】
すなわち、電動ドライバ支持部50により反トルクを受けることで、電動ドライバ操作部60への反トルクの伝達を抑制し、連結されたロボット80へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0074】
また、図7に示す実施の形態1の変形例のように、操作レバー18を備えるねじ締め装置において、作業者90が電動ドライバ1の先端位置を調節する場合に、電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Dへ伝達された反トルクを受けることにより、作業者90へ掛かる負荷を軽減することができる。
【0075】
すなわち、電動ドライバ支持部50が反トルクを受けることにより、電動ドライバ操作部70への反トルクの伝達を抑制し、作業者90へ掛かる負荷を軽減することができる。そのため、大きな反トルクが発生する大型の電動ドライバ1を用いる場合においても、作業者90への反トルクの伝達を抑制し、作業者90への負担が軽減できる。
【0076】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5におけるねじ締め装置500について説明する。なお、実施の形態5においては、実施の形態1との構成の異なる部分のみを説明する。また、実施の形態1と同一または対応する構成については、同一の符号を用い、その説明を省略する。ここで、ねじ締め装置500は、ねじ締め装置100におけるねじ締め機構部10に代わり、ねじ締め機構部110を用いることのみ異なる。そのため、ねじ締め装置500の外観全体を示す図は省略する。
【0077】
実施の形態5によるねじ締め動作は、図14に示すように、電動ドライバ1の先端にねじ51を吸着し、ねじ穴52に挿入することでねじ締め動作を実施する。ロボットによってねじ締めを実施する場合、予めねじ穴位置53をティーチングしておき、ねじ締め時にはティーチングした位置情報を元に電動ドライバを移動させる必要がある。しかし、ねじ穴位置53は加工によりティーチング位置54からずれる可能性がある。このような場合はねじ穴52の開口部に面取りを含む誘い形状を設けることで、位置ずれを許容することができる。しかし穴位置がずれているためにねじ締めの回転が偏心するため、ねじ51とねじ穴52に負荷がかかって破損する恐れがある。
【0078】
上記の課題に対して、ねじ締め装置500は、ねじ51とねじ穴52に負荷をかけることなく位置ずれに対応することができる。ねじ締め装置500は、図15に示すように、電動ドライバ1を含むねじ締め機構部110、電動ドライバ支持部120、電動ドライバ操作部130と、を備える。ねじ締め機構部110は、主な構成として電動ドライバ1、電動ドライバ1を固定するフローティング部55、ダンパ56および弾性体57によりフローティング部55を保持し、反トルク伝達フレーム2Eの一部であるフローティング保持部58、電動ドライバ保持フレーム4Eの一部である電動ドライバ保持部42および回転機構部を有する。この例では、フローティング部55は、電動ドライバ1を固定する電動ドライバ固定部の一例である。フローティング保持部58は、フローティング部55を、フローティング部55の回転軸方向に垂直な方向に移動可能に保持する保持部の一例である。
【0079】
フローティング部55は、その中央に電動ドライバ1を固定しており、またフローティング保持部58に対して、複数本のダンパ56および弾性体57により接続されている。ダンパ56および弾性体57はそれぞれ、フローティング部55の中心から法線方向に向かって配置されている。
【0080】
フローティング保持部58は、電動ドライバ1のx方向およびy方向の位置の誤差を吸収するために、フローティング部55をフローティング保持部58の周囲には、実施の形態1と同様に円周用ローラーフォロア14および上下用ローラーフォロア16を配置することにより、ねじ締め軸回転以外の移動を制限している。
【0081】
ダンパ56は、フローティング部55とフローティング保持部58を繋いで設置される。ダンパ56はその軸方向に伸縮するが、伸縮する速度に比例した反力を伸縮方向と逆方向に発揮する機能を有する。
【0082】
弾性体57は、スプリングまたはゴムを含み、フローティング部55とフローティング保持部58を繋いで設置される。弾性体57はその軸方向に伸縮するが、伸縮量に比例した反力を伸縮方向と逆方向に発揮する機能を有する。
【0083】
次に、実施の形態5におけるねじ締め装置500の効果について説明する。電動ドライバ1から発生した反トルクによる回転力は、ねじ締め機構部110の構成により電動ドライバ保持フレーム4Eへ伝達されず、反トルク伝達フレーム2Eへ伝達される。また電動ドライバ支持フレーム6が、反トルク伝達フレーム2Eへ伝達された反トルクを受けることにより、電動ドライバ操作部130に連結されたロボットへ掛かる負担を軽減することができる。
【0084】
すなわち、電動ドライバ支持部120により反トルクを受けることで、電動ドライバ操作部130への反トルクの伝達を抑制し、連結されたロボットへ掛かる負荷を軽減することができる。これにより、ねじ締め装置500の操作に用いるロボットは、実施の形態1に比べより少ない部品点数において、より小型なロボットを選定することが可能となり、ロボットにかかるコストも低減できる。
【0085】
また、フローティング部55をダンパ56と弾性体57を介して固定することにより、ねじ締めの際にねじ穴位置53とティーチング位置54のずれに合わせてフローティング部55が水平方向に移動することができる。この際、ダンパ56と弾性体57は追従して伸縮する。
【0086】
ねじ締めが完了して電動ドライバ1がねじ51から離れた時、複数設置された弾性体57が伸縮量に応じて反力を生じることで、対向する弾性体57が釣り合うことで、フローティング部55がフローティング保持部58に対して中央に移動する。
【0087】
また、ねじ締め動作により反力が発生した時には短い時間で反力が発生するため、ダンパ56に反力が伝達された際の伸縮速度が大きくなり、ダンパによる伸縮反力も大きくなる。このためねじ締め反力が発生した際にはダンパはほとんど伸縮しない。
【0088】
すなわち、フローティング部55とフローティング保持部58をダンパ56および弾性体57によって接続することにより、ロボットへの反トルクの伝達を抑制して負荷を軽減するとともに、ねじ穴位置53とティーチング位置54のずれに応じて電動ドライバ1の位置を追従させることが可能となる。上述の説明では、フローティング保持部58がフローティング部55をダンパ56および弾性体57により保持する例について説明したが、フローティング保持部58は、フローティング部55をダンパ56または弾性体57のいずれかにより保持してもよい。このようにしても、ロボットへの反トルクの伝達を抑制して負荷を軽減するとともに、ねじ穴位置53とティーチング位置54のずれに応じて電動ドライバ1の位置を追従させることが可能となる。
【0089】
(変形例)
上述の実施の形態では、回転機保持装置の一例として、ねじ締め装置100について説明した。また、回転機の一例として、電動モータにより工具Tであるねじ回しを回転する電動ドライバ1について説明した。また、電動ドライバ1は、工具Tとしてねじ回しを回転するものに限らず、ボルトまたはナットを締めるレンチを含む工具Tを回転するものであってもよく、ドリルを含む工具Tを回転するものであってもよく、その他の工具Tを回転してもよい。この場合、回転機保持装置は、ボルトまたはナット締め装置、または穴開け装置として用いられる。また、回転機は、電動モータを含むものに限定されず、エンジンを含むものであってもよい。また、回転機は、工具に限らずギアまたはプーリを回転するものであってもよい。
【0090】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、この開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
【0091】
本出願は、2022年1月12日に出願された、日本国特許出願特願2022-002712号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2022-002712号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0092】
1…電動ドライバ、2A,2B,2C,2D,2E…反トルク伝達フレーム、3,21,31,41…電動ドライバ固定部、3A,3B…電動ドライバ固定部材、4A,4B,4C,4D,4E…電動ドライバ保持フレーム、5,22,32,42…電動ドライバ保持部、6…電動ドライバ支持フレーム、7…ツール接続部、8…第1回転部、9…第2回転部、10,20,30,40,110…ねじ締め機構部、11…支持フレーム固定部、12…ねじ、13,24,34,43…固定フレーム、14,16,45A,45B…ローラーフォロア、15,17,44A,44B…ローラーフォロア回転軸、18…操作レバー、23,23A,23B,33…球体転動体、25,36,47…固定部材、26A,26B,26C,26D,35A,35B…リング状溝、46…円形状傾斜部、50,120…電動ドライバ支持部、51…ねじ、52…ねじ穴、53…ねじ穴位置、54…ティーチング位置、55…フローティング部、56…ダンパ、57…弾性体、58…フローティング保持部、60,70,130…電動ドライバ操作部、80…ロボット、81…ハンド先端部、82…ロボット固定部、90…作業者、100,101,500…ねじ締め装置、T…工具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15