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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】制御装置および空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/20 20110101AFI20241004BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
F24F1/20
F24F11/89
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024014539
(22)【出願日】2024-02-02
【審査請求日】2024-02-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】文 彰▲勗▼
(72)【発明者】
【氏名】大畑 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】清 崇雄
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 光超
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/150568(WO,A1)
【文献】特開2004-360941(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111503756(CN,A)
【文献】特開2012-182921(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077649(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/135976(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/20 ~ 1/24
F24F 11/00 ~ 11/89
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒と熱交換する空気を取り込み、排出する送風手段を含む空気調和装置の運転を制御する制御装置であって、
前記空気調和装置を制御する1以上の電気部品と、
前記1以上の電気部品を内部に収納し、前記送風手段により内部および外部を空気が流通する電機品箱と、
前記1以上の電気部品の少なくとも一部を覆うように配置され、前記電機品箱内を発熱することにより加熱する面状の加熱手段と
を含み、
前記空気調和装置の暖房運転時、前記電機品箱内の温度に基づき、前記加熱手段の発熱量を制御し、前記空気調和装置の待機時、該空気調和装置の室外機の周囲温度基づき、前記加熱手段の発熱量を制御する、制御装置。
【請求項2】
前記電機品箱は、前記1以上の電気部品に対向する面を有する蓋を備え、該面に、前記加熱手段が取り付けられる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記1以上の電気部品は、前記空気調和装置の運転を制御する制御手段と、前記空気調和装置の運転負荷を調整する負荷調整手段と、前記負荷調整手段へ過電流が流れるのを防止する過電流保護手段とを含み、
前記加熱手段が、1つの基板上に実装された前記制御手段、前記負荷調整手段、前記過電流保護手段の一部または全部を覆う大きさに形成されている、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記加熱手段が、前記負荷調整手段の一部または全部を覆う大きさに形成されている、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記電機品箱内の温度または前記空気調和装置が備える外気温度を検知する外気温度検知手段により検知された該外気温度が、設定された下限温度以下になった場合に、前記加熱手段による加熱を開始させる、請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記加熱手段による加熱を開始させた後、前記電機品箱内の温度または前記外気温度が、設定された上限温度以上になった場合、前記加熱手段による加熱を停止させる、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
空気調和装置であって、
冷媒と熱交換する空気を取り込み、排出する送風手段を含む前記空気調和装置を制御する制御装置を含み、
前記制御装置が、
前記空気調和装置を制御する1以上の電気部品と、
前記1以上の電気部品を内部に収納し、前記送風手段により内部および外部を空気が流通する電機品箱と、
前記1以上の電気部品の少なくとも一部を覆うように配置され、前記電機品箱内を発熱することにより加熱する面状の加熱手段と
を含み、
前記空気調和装置の暖房運転時、前記電機品箱内の温度に基づき、前記加熱手段の発熱量を制御し、前記空気調和装置の待機時、該空気調和装置の室外機の周囲温度基づき、前記加熱手段の発熱量を制御する、空気調和装置
【請求項8】
前記電機品箱は、前記1以上の電気部品に対向する面を有する蓋を備え、該面に、前記加熱手段が取り付けられる、請求項7に記載の空気調和装置
【請求項9】
前記1以上の電気部品は、前記空気調和装置の運転を制御する制御手段と、前記空気調和装置の運転負荷を調整する負荷調整手段と、前記負荷調整手段へ過電流が流れるのを防止する過電流保護手段とを含み、
前記加熱手段が、1つの基板上に実装された前記制御手段、前記負荷調整手段、前記過電流保護手段の一部または全部を覆う大きさに形成されている、請求項7または8に記載の空気調和装置
【請求項10】
前記加熱手段が、前記負荷調整手段の全体を覆う大きさに形成されている、請求項9に記載の空気調和装置
【請求項11】
前記制御手段は、前記電機品箱内の温度または前記空気調和装置が備える外気温度を検知する外気温度検知手段により検知された該外気温度が、設定された下限温度以下になった場合に、前記加熱手段による加熱を開始させる、請求項9に記載の空気調和装置
【請求項12】
前記制御手段は、前記加熱手段による加熱を開始させた後、前記電機品箱内の温度または前記外気温度が、設定された上限温度以上になった場合、前記加熱手段による加熱を停止させる、請求項11に記載の空気調和装置
【請求項13】
前記空気調和装置は、室内の空気と前記冷媒との熱交換を行う室内機と、前記冷媒を循環し、外気と前記冷媒との熱交換を行う前記室外機とを含み、
前記室外機は、前記送風手段と、前記制御装置とを含む、請求項11に記載の空気調和装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換システムを制御する制御装置および熱交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置等の熱交換システムは、圧縮機、膨張弁、ファン等を含み、これらの機器を制御する制御装置を備える。制御装置は、制御基板等の電気部品を電機品箱に収納し、熱交換システムの室外機のケーシング内に配置される。
【0003】
室外機は、外気温度の低下等に伴って電機品箱内の温度も低下し、電気部品の許容下限温度を下回ることがある。すると、電気部品の動作を保証することができず、信頼性が低下するという問題が生じる。
【0004】
そこで、電機品箱内にヒータを備えた空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-270732号公報
【文献】国際公開第2017/077649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、外気温度が低い場合、運転時に電気部品に発熱があるにしても、運転時の電機品箱内の温度が待機時より低くなり、運転の有無により温度上昇程度が大幅にばらつき、電気部品の温度を一定以上に維持することが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、冷媒と熱交換する空気を取り込み、排出する送風手段を含む熱交換システムを制御する制御装置であって、
熱交換システムを制御する1以上の電気部品と、
1以上の電気部品を内部に収納し、送風手段により内部もしくは外部またはその両方を空気が流通する電機品箱と、
1以上の電気部品の少なくとも一部を覆うように配置され、電機品箱内を加熱する面状の加熱手段と
を含み、
熱交換システムの運転の有無と、電機品箱内の温度または熱交換システムの周囲温度とに基づき、加熱手段による加熱を制御する、制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気部品の温度を一定以上に維持することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】熱交換システムの一例として空気調和装置の構成例を示した図。
図2】空気調和装置が備える室外機内の構成機器の配置例を示した図。
図3】空気調和装置の運転中の室外機内の空気の流れを説明する図。
図4】室外機内に配置される電機品箱内の電気部品の配置例を示した図。
図5】空気調和装置の運転中の電機品箱内の空気の流れを説明する図。
図6】面状ヒータの第1の形状および第1の取付位置について説明する図。
図7】面状ヒータの構成例を示した図。
図8】面状ヒータの第2の形状および第2の取付位置について説明する図。
図9】面状ヒータの加熱制御の一例を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、熱交換システムの一例として空気調和装置の構成例を示した図である。熱交換システムは、熱媒体として冷媒を圧縮および膨張させながら密閉された系内を循環させ、熱交換の対象である空気や水等の流体を間接的に接触させて、冷媒と流体との間で熱交換を行う。また、熱交換システムは、流体と冷媒との間で熱交換を行う前または後に、冷媒と外気等の空気との間でも熱交換を行う。したがって、熱交換システムは、このような構成のシステムであれば空気調和装置に限定されるものではなく、冷凍機、チラー、ヒートポンプ等であってもよい。以下、熱交換システムを、空気調和装置として説明する。
【0011】
空気調和装置10は、空気調和を行う空間内(室内)に設置される室内機11と、室外に設置される室外機20とを含み、室内機11と室外機20との間で冷媒を循環させ、室内の空気と熱交換させることにより空気調和を行う。
【0012】
室内機11および室外機20は、それぞれ2台以上で構成されていてもよく、室内機11は、1台の室外機20に対し、2台以上接続されていてもよい。冷媒としては、ハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロオレフィン(HFO)を使用することができる。HFCの種類としては、R410A、R32等を挙げることができる。HFOの種類としては、R1234yf等を挙げることができる。
【0013】
室内機11は、リモコンとの間で赤外線等を使用した無線通信を行い、運転指令、停止指令、設定温度の変更指令、運転モードの変更指令等の種々の信号を受信する。なお、室内機11とリモコンは、通信線により接続され、有線通信を行うように構成されていてもよい。室内機11は、室外機20と通信線を介して接続され、室外機20と協働して室内の空気調和を行う。
【0014】
室内機11は、リモコンからの運転指令を受信して起動し、室外機20に対し、起動を指示する。室外機20は、起動後、室内の温度が設定温度になるように、圧縮機の回転数や膨張弁の開度等を調整し、冷媒の循環量等を制御する。
【0015】
室内機11は、室内熱交換器12と、室内ファン13と、室内ファンモータ14とを備える。室内ファン13は、室内ファンモータ14により駆動し、室内の空気を取り込み、室内熱交換器12へ送り込む。室内熱交換器12は、内部に冷媒が流通する伝熱管を有し、送り込まれた空気が伝熱管の表面に接触して熱交換を行うように構成されている。室内熱交換器12により熱交換された空気は、室内へ排出される。
【0016】
室内機11は、そのほか、室内温度等を検知するための各種センサや室内膨張弁等を備えることができる。室内機11は、室内制御装置を備え、室内制御装置が、室内ファンモータ14の回転数や室内膨張弁の開度等の制御を行う。
【0017】
室外機20は、圧縮機21と、アキュームレータ22と、四方弁23と、膨張弁(室外膨張弁)24と、室外熱交換器25と、送風手段として室外ファン26と、室外ファンモータ27とを備える。圧縮機21は、例えばロータリ圧縮機やスクロール圧縮機であり、圧縮機モータにより駆動し、低圧のガス冷媒を圧縮し、高圧のガス冷媒として吐出する。アキュームレータ22は、過渡時の液戻りを貯留するための容器で、冷媒を適度な乾き度に調整する。乾き度は、蒸気と微小液滴との混合状態を示す湿り蒸気中における蒸気の占める割合である。
【0018】
四方弁23は、空気調和装置10の運転状態(運転モード)に応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。運転モードは、冷房モード、暖房モード、送風モード等である。膨張弁24は、高圧の冷媒を減圧し、膨張させる弁である。室外ファン26は、室外ファンモータ27により駆動し、室外の空気を取り込み、室外熱交換器25へ送り込む。室外熱交換器25は、室内熱交換器12と同様、内部に冷媒が流通する伝熱管を有し、送り込まれた空気が伝熱管の表面に接触して熱交換を行うように構成されている。室外熱交換器25により熱交換された空気は、室外へ排出される。
【0019】
室外機20は、さらに、制御装置(室外制御装置)28を備えている。制御装置28は、圧縮機21、四方弁23、膨張弁24、室外ファンモータ27と接続され、これらの制御を行う。具体的には、圧縮機モータの回転数、膨張弁24の開度および室外ファンモータ27の回転数等の制御である。これらを制御するため、室外機20にも、外気温度を検知するセンサ等の各種センサが取り付けられる。制御装置28は、各種センサにより検出された情報に基づき、これらの制御を行う。
【0020】
暖房運転時は、室内熱交換器12を凝縮器とし、室外熱交換器25を蒸発器として利用する。このため、制御装置28は、矢印に示すように、圧縮機21、四方弁23、室内熱交換器12、膨張弁24、室外熱交換器25、四方弁23、アキュームレータ22、圧縮機21の順で系内に封入された冷媒を循環させる。
【0021】
圧縮機21は、低温低圧のガス状態の冷媒(冷媒ガス)を圧縮し、高温高圧の冷媒ガスとして吐出する。室内熱交換器12は、室内の空気と熱交換を行い、冷媒ガスを冷却し、凝縮させる。膨張弁24は、液状態の冷媒を減圧する。膨張弁24は、適度な液体の量になるように制御装置28により開度が調整される。室外熱交換器25は、室外の空気と熱交換を行い、冷媒を蒸発させる。その後、冷媒は、四方弁23を通してアキュームレータ22へ送られ、圧縮機21へ戻される。
【0022】
図2は、空気調和装置10が備える室外機20内の構成機器の配置例を示した図である。室外機20は、略直方体のケーシング30の頂部に、室外ファン26を備え、ケーシング30の内部に、圧縮機21等を収納した機械室31と、アキュームレータ22と、電機品箱32とを有している。ケーシング30は、底板と、電機品箱32が取り付けられる板金と、室外ファン26に連通する上部開口部と、空気を吸い込むための側方開口部とを有する。ケーシング30は、例えば、枠部材に網状部材を取り付け、網状部材の開口部分を側方開口部とし、その内部に、網状部材に近隣して室外熱交換器25を配置してもよいし、ケーシング30の一部として室外熱交換器25を用い、室外熱交換器25を、側方の一部を覆うように配置した構成であってもよい。室外熱交換器25をケーシング30の一部として用いる場合、伝熱管を使用してパネル状に形成された室外熱交換器25の伝熱管間の隙間を、側方開口部とすることができる。
【0023】
機械室31およびアキュームレータ22は、重量物であるため、ケーシング30内の下部に配置される。電機品箱32は、手動で操作することを考慮し、その操作がしやすいように、機械室31より上部に配置される。
【0024】
図3は、空気調和装置10の運転中の室外機20内の空気の流れを説明する図である。室外機20は、ケーシング30内に室外熱交換器25が配置される場合、室外熱交換器25により、ケーシング30内が2つの空間(第1の空間33と第2の空間34)に仕切られる。室外熱交換器25は、ケーシング30の側方開口部に近隣して配置されるため、第2の空間34は、第1の空間33に比べて小さい。
【0025】
室外機20は、室外ファン26により、ケーシング30の側方開口部から、ケーシング30内の第2の空間34に外部の空気を取り込む。側方開口部は、ケーシング30の板金により形成される1つの側面を正面とすると、それ以外の左右側面、背面の3つの面に設けることができ、それらの3つの面に設けられた側方開口部から空気を取り込むことができる。なお、側方開口部は、左右側面、背面の3つの面に限らず、正面の一部にも設けられていてもよく、正面の一部に設けられた側方開口部からも空気を取り込むことができる。
【0026】
ケーシング30内の第2の空間34に取り込まれた空気は、室外熱交換器25の伝熱管と伝熱管との間の隙間を、伝熱管に接触しながら通過することで、伝熱管内を流通する冷媒と熱交換する。室外熱交換器25により熱交換された空気は、第1の空間33へ入り、ケーシング30の頂部(天井板に設けた穴)から外部へ排出される。なお、室外熱交換器25がケーシング30の側方の一部を構成する場合、第2の空間34はなく、伝熱管間の隙間を通して直接第1の空間33に吸い込まれることになる。
【0027】
室外機20は、冷房運転において室外熱交換器25が凝縮器となることから、第2の空間34に取り込まれた空気を室外熱交換器25により加熱し、取り込まれたときより高い温度で第1の空間33から外部へ排出する。
【0028】
一方、室外機20は、暖房運転において室外熱交換器25が蒸発器となることから、第2の空間34に取り込まれた空気を室外熱交換器25により冷却し、取り込まれたときより低い温度で第1の空間33から外部へ排出する。
【0029】
図4は、室外機20内に配置される電機品箱32内の電気部品の配置例を示した図である。電機品箱32内には、空気調和装置10の運転を制御する制御手段としての制御基板40が収納される。制御基板40は、プロセッサ、メモリを含み、圧縮機21のモータの起動や停止、室外ファンモータ27の起動や停止、膨張弁24の弁開度の制御等を行う。
【0030】
電機品箱32内には、圧縮機21のモータ等の回転数や仕事量を目標負荷に合わせて調整する負荷調整手段としてのインバーターパワーモジュールアセンブリ41が収納される。インバーターパワーモジュールアセンブリ41は、複数の半導体スイッチング素子を備え、半導体スイッチング素子のON/OFFを切り替えるタイミングを変えることにより、上記の回転数等を調整する。半導体スイッチング素子は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の電界効果トランジスタである。
【0031】
インバーターパワーモジュールアセンブリ41は、複数の半導体スイッチング素子を備えることから、出力短絡等によって過電流が流れ、その特性の劣化や破壊等が生じるのを防ぐため、過電流を保護する過電流保護手段が必要となる。このため、電機品箱32内には、過電流保護手段として過電流保護装置42も収納される。過電流保護装置42は、出力電流が閾値を超えた場合に出力を停止する。過電流保護装置42は、例えばトランジスタと抵抗とから構成することができるが、これに限られるものではない。
【0032】
電機品箱32内には、そのほか、手動で操作するための各種スイッチ、配線、ランプ等が含まれる。インバーターパワーモジュールアセンブリ41には、サーマルグリスを塗布する箇所にインバータの過熱を測定するためのモジュールが設けられており、そのモジュールに組み込まれたセンサにより電機品箱内の温度を検知することができる。
【0033】
図4に示す例では、プラスチック樹脂からなる所定の大きさの1つの基板上に、1つの制御基板40と、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41と、2つの過電流保護装置42とが実装されている。プラスチック樹脂は、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等である。
【0034】
電機品箱32は、室外機20のケーシング30を構成する板金に取り付けられる。電機品箱32は、図5に示すように、蓋43により内部が閉鎖され、電気部品が発する熱が電機品箱32内に蓄積していくことを防止するために、ケーシング30に取り付けられた場合の底部側と側部上側に通気孔を有し、底部側の通気孔44から空気が流入し、内部を通して側部上側の通気孔45から排出されるようになっている。通気孔44は、底部に限らず、側部下側であってもよく、通気孔45は、側部上側に限らず、上部(頂部)に設けられていてもよい。通気孔44、45は、それぞれ1つに限定されるものではなく、2以上設けられていてもよい。この場合、電機品箱32の内部と外部の両方を空気が流通することになるが、通気孔44、45を通して電機品箱32の内部のみに空気が流通するような構成としてもよい。
【0035】
なお、電機品箱32は、このように空気が流通する構造に限られるものではなく、完全密閉で熱交換システムの冷媒を使用して冷却する構造のものであってもよい。この場合、電機品箱32の外部のみを空気が流通することになる。
【0036】
制御基板40、インバーターパワーモジュールアセンブリ41、過電流保護装置42等の電気部品は、半導体素子や配線等を含み、半導体素子や配線等は電気抵抗を有することから、電源が供給され、動作する際に熱を発生し、温度が上昇する。しかしながら、電機品箱32内を、底部側の通気孔44から側部上側の通気孔45へと空気が流れることにより、それらの電気部品を冷却し、それらの温度上昇を抑制することができる。
【0037】
インバーターパワーモジュールアセンブリ41は、電力の制御や変換を行うパワー半導体であり、大きな電流が流れるため、発熱量が大きい。このため、通気孔44、45による通気だけでは十分に温度上昇を抑制することはできず、電機品箱32の外面に、インバーターパワーモジュールアセンブリ41が発する熱を放出する放熱手段として複数のフィンを有するヒートシンク46が設けられる。ヒートシンク46は、電機品箱32の外面を下側から上側へと流れる空気と接触し、インバーターパワーモジュールアセンブリ41が発する熱を放熱する。なお、ヒートシンク46は、インバーターパワーモジュールアセンブリ41に限らず、大きな電流が流れる過電流保護装置42に対しても設けることができる。ヒートシンク46は、インバーターパワーモジュールアセンブリ41や過電流保護装置42以外の電気部品に対して設けてもよい。
【0038】
空気調和装置10の運転が停止した場合、待機状態となり、室外ファン26が停止するため、ケーシング30内への空気の取り込みが停止し、電機品箱32内の空気の流れがなくなる。電機品箱32内の各電気部品は、電源供給がなくなり、動作が停止するため、発熱しなくなるが、空気の流れもなくなるので、外気によって間接的に冷却され、その温度が低下していく。
【0039】
電機品箱32内の各電気部品は、使用下限温度が設定されるが、空気調和装置10の提供地域によっては、外気温度が使用下限温度より低くなり、待機時に電機品箱32内の温度が使用下限温度より低くなる可能性がある。これでは、各電気部品の動作を保証することができず、信頼性が低下する。
【0040】
そこで、電機品箱32内に加熱手段としてヒータを設け、電機品箱32内を加熱して、使用下限温度より低くならないように調整することができる。
【0041】
空気調和装置10の暖房運転時、電機品箱32内の各電気部品は、電源が供給されて動作している状態であるため、発熱するが、室外熱交換器25によって冷却された外気より温度が低くなった空気が電機品箱32の内部もしくは外部またはその両方を流通し、常時冷却される。このため、暖房運転時は、待機時より電機品箱32内の温度が低下する。
【0042】
一定量加熱する場合、暖房運転時の方が電機品箱32内の温度が低いため、待機時は加熱にそれほど熱量はいらないが、一定量加熱するため、熱量過多となり得、暖房運転時は加熱に熱量が必要であるが、一定量しか加熱しないため、熱量不足となり得る。これでは、運転の有無によって温度上昇に大きな差があり、温度上昇程度が大幅にばらつくことになる。
【0043】
暖房運転時と待機時との電機品箱32内の温度差を小さくすることができれば、待機時の熱量過多および暖房運転時の熱量不足を解消し、運転の有無による温度上昇程度のばらつきを小さくすることができるものと考えられる。
【0044】
暖房運転時と待機時との電機品箱32内の温度差は、暖房運転時の室外ファン26により低温の空気が電機品箱32の内部もしくは外部またはその両方を流通し、電気部品が常時冷却されることが主な要因となっている。このため、空気の流通による電気部品の冷却を小さくすることができれば、暖房運転時と待機時との電機品箱32内の温度差を小さくすることができるものと考えられる。
【0045】
そこで、ヒータを、面全体へヒータの発熱が拡散され、向かい側の対象の電気部品へ分布良く熱を伝達できるように、対象の電気部品の一部または全部を覆う形状および位置に配置する構成とする。
【0046】
ここで、加熱が必要な対象の電気部品は、空気調和装置10の運転制御に必要な電気部品であり、制御基板40、インバーターパワーモジュールアセンブリ41、過電流保護装置42が挙げられる。
【0047】
また、電機品箱32内の温度や外気温度等を検知し、目標温度に合わせて加熱量を調整することで、待機時の加熱に必要な熱量を少なくするように調整し、熱量過多を解消し、暖房運転時の加熱に必要な熱量を増やすように調整し、熱量不足を解消することができる。なお、加熱量は、制御ロジックや、自己温度制御機能をもつPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを用いることで調整することができる。制御ロジックは、制御基板40やその他の制御回路に実装することができる。
【0048】
図6は、面状ヒータの第1の形状および第1の取付位置について説明する図である。電機品箱32は、略直方体で、対象の電気部品として、制御基板40、インバーターパワーモジュールアセンブリ41、過電流保護装置42を実装した基板47を収納できる大きさとされ、基板47の実装面に対向する面(裏面)48を有する蓋43を備えている。
【0049】
ヒータ49は、厚さが薄く一定の面積を有する面状ヒータとされ、図6(a)の破線で示すように、基板47上に重ね合わせた場合、対象の電気部品の一部または全体を覆うことができる形状および大きさとされる。ヒータ49は、図6(b)に示すように、蓋43の面48に、対象の電気部品に対向するように取り付けられる。なお、対象の電気部品の一部または全体を覆うことができるような配置であれば、蓋43の面48に取り付けることに限定されない。例えば、基板47に複数の脚部を設け、脚部にヒータ49を取り付け、電気部品の一部または全部を覆うように配置することができる。なお、これは一例であるので、これに限定されるものではない。
【0050】
ヒータ49は、ON/OFF制御により一定熱量を与えることができ、また、発熱量を調整できる変熱量シート形状ヒータを用いることができる。
【0051】
図7にヒータ49の一例を示す。ヒータ49は、シリコーンゴムやポリイミド樹脂等からなる2枚のシート50の間に、電熱線51を挟んだ面状ヒータが用いられる。ヒータ49は、厚さ数mmである。電熱線51は、ニッケル-クロム合金、鉄-クロム-アルミニウム合金等から製造された電気抵抗が大きく発熱する線状部材である。電熱線51は、図7に示すように、2枚のシート50の間に、両端を往復するように波形の形状とされ、シート50の面のどの位置でも、均一発熱が可能な構造とされている。なお、図7に示す例では、電熱線51の間隔が広くなっているが、均一発熱の点から、間隔は狭いほうが望ましい。また、これは一例であるので、ヒータ49の面のどの位置でも、一定の熱量を与えることができれば、このような構造に限定されるものではない。ヒータ49は、電熱線51へ供給する電流量を変えることで、発熱量を調整することができる。
【0052】
再び図6を参照して、ヒータ49は、対象の電気部品である、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41と、2つの過電流保護装置42のそれぞれの一部とを覆う形状および大きさとされ、蓋43の面48に接着剤を使用する等して貼付される。2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41は、制御基板40より基板使用下限の温度が高いため、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41へ過電流が流れるのを防止する2つの過電流保護装置42を含め、ヒータ49による加熱が必要とされている。このため、制御基板40を除く、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41と、2つの過電流保護装置42のそれぞれの一部とを覆う形状および大きさで、ヒータ49を形成している。
【0053】
なお、これは一例であるため、制御基板40を含めて、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41と、2つの過電流保護装置42の計5つの部品を覆う形状および大きさにヒータ49を形成し、蓋43の面48に貼付してもよい。制御基板40、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41、2つの過電流保護装置42の5つの部品の全てがその使用下限温度以上に維持することができれば、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41の全体と、2つの過電流保護装置42のそれぞれの一部を覆う形状および大きさに限定されるものではなく、その他の形状および大きさであってもよい。
【0054】
ここでは、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41がその他の電気部品より使用下限温度が高いので、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41を覆う形でヒータ49を形成し、蓋43に取り付けているが、これに限られるものではない。したがって、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41より使用下限温度が高い電気部品があれば、その電気部品を覆う形でヒータ49を形成し、その電気部品に対向するように蓋43に取り付けることができる。
【0055】
このように、暖房運転中に熱量不足になることを防止でき、待機中に熱量過多になることも防止できるので、運転の有無で温度上昇の程度が大幅にばらつくことがなくなる。また、対象の電気部品を覆うようにヒータ49が配置されるため、対象の電気部品にヒータ49の熱が伝わりやすくなり、対象の電気部品の冷却を小さくすることができる。これにより、対象の電気部品の温度を一定以上に維持することが容易になる。
【0056】
なお、対象の電気部品を覆うようにヒータ49を配置することができれば、ヒータ49のシート50が対象の電気部品に接触していても、接触していなくてもよい。接触していない場合であっても、ヒータ49が、対象の電気部品に対向し、近隣した位置に配置される。近隣した位置は、例えば0.1~10cm程度離れた位置である。
【0057】
図8は、面状ヒータの第2の形状および第2の取付位置について説明する図である。図8に示す例では、ヒータ49が、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41のみを覆う形状および大きさとされている。2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41は、空気調和装置10の負荷を調整するために運転に必須の装置である。一方、過電流保護装置42は、過電流が発生しない限り、インバーターパワーモジュールアセンブリ41を保護する必要はないため、運転に必須のものではない。このため、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41のみを覆う形状および大きさで、ヒータ49を形成している。
【0058】
図8に示す例では、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41の全体を覆う形状および大きさとされているが、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41を使用下限温度以上に維持することができれば、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41の全体を覆う必要はなく、その一部のみを覆う形状および大きさであってもよい。したがって、2つのインバーターパワーモジュールアセンブリ41のそれぞれを半分覆うことで使用下限温度以上に維持することができれば、図8に示した例の長方形のヒータ49を、その面積を半分にした長方形のヒータとすることができる。これは一例であるので、これに限られるものではない。
【0059】
ヒータ49を上記の形状および大きさにすることで、蓋43を取り付けた場合に、対象の電気部品の少なくとも一部をヒータ49で覆うことができる。これにより、ヒータ49の発熱が面全体へ拡散され、ヒータ49の向かい側にある対象の電気部品へ分布良く熱が伝達する。このため、AC(Alternating Current)ファンを別途設けなくても、対象の電気部品を効率良く加熱することができる。
【0060】
また、ヒータ49は、ON/OFF制御や、発熱量を調整することにより、対象の電気部品の温度を一定以上に維持するように加熱を制御することができるが、ON/OFF制御や、発熱量を調整するにあたって、室外機20の運転状態や外気温度を検知するセンサからの値(外気温度)を用いることができる。外気温度を検知するセンサは、既に室外機20が備えているので、追加のセンサを設ける必要はない。
【0061】
室外機20の運転状態は、室外機20の運転の有無であり、室外ファン26が起動し、ケーシング30内を空気が流通しているか否かを表す。暖房運転時、室外機20の室外熱交換器25は、蒸発器として機能するので、外部から取り入れられた空気は、冷媒と熱交換し、冷却される。このため、冷却された空気が、電機品箱32の外側および電機品箱32内を流通することとなり、電機品箱32内の電気部品が動作中で発熱するにしても、それ以上に冷却され、使用下限温度を下回るおそれがある。
【0062】
外気温度は、室外機20の運転が停止しているとき、ケーシング30を介してケーシング30内の空気を冷却し、電機品箱32内の空気を冷却し、電機品箱32内の電気部品も冷却する。このため、電機品箱32内の電気部品が、使用下限温度を下回るおそれがある。
【0063】
これらのことから、室外機20の運転状態や外気温度を検知するセンサからの値を用い、ヒータ49をON/OFF制御し、発熱量を調整する。具体的な制御について、図9を参照して詳細に説明する。
【0064】
図9は、ヒータ49による加熱制御の一例を示したフローチャートである。室外機20が運転中であるか、停止しているかに関係なく、電源に接続され、制御基板40に電源が供給されることにより、ステップ100から制御を開始する。ここでは、制御基板40が加熱制御を行うものとして説明するが、他の制御回路等が加熱制御を行ってもよい。
【0065】
ステップ101で、室外機20が運転中で、室外ファン26がONであるか否かを判断する。室外機20が運転中である場合、室外ファン26はONであり、ステップ102へ進み、対象の電気部品の部品温度がヒータON条件に適合するか否かを判断する。対象の電気部品の部品温度は、電機品箱32内の温度とされる。ヒータON条件に適合しないと判断した場合、ステップ101へ戻る。
【0066】
ステップ101で、室外機20が運転中でない場合、運転停止中であり、ステップ103へ進み、外気温度を検知するセンサにより検知された値が、ヒータON条件に適合するか否かを判断する。ヒータON条件に適合しないと判断した場合、ステップ101へ戻る。
【0067】
ステップ102およびステップ103で、ヒータON条件に適合すると判断した場合、ステップ104へ進み、ヒータ49をONにする。すなわち、ヒータ49による加熱を開始する。
【0068】
ヒータ49による加熱を開始した後、ヒータ49の発熱量を調整することができる。発熱量は、室外機20が運転中の場合、電機品箱32内の温度に基づき調整することができ、室外機20が運転停止中(待機中)の場合、外気温度(室外機20の周囲温度)に基づき調整することができる。暖房運転中は、電機品箱32内の温度が待機中より低いため、暖房運転中は発熱量を大きくし、待機中は発熱量を小さくするように調整することができる。
【0069】
ステップ105で、部品温度がヒータOFF条件に適合するか否かを判断する。ヒータOFF条件に適合しないと判断した場合、ヒータOFF条件に適合するまで、ステップ105の判断を繰り返す。ヒータOFF条件に適合するまでは、ヒータ49がONのままとなる。
【0070】
ステップ105で、ヒータOFF条件に適合すると判断した場合、ステップ106へ進み、ヒータ49をOFFにする。そして、ステップ107へ進み、制御を終了する。ここで一旦制御を終了するが、すぐにステップ100から制御を開始することができる。これにより、再びヒータON条件に適合するかを判断し、ヒータON条件に適合すると判断した場合、ヒータ49をONにすることができる。このような制御により、対象の電気部品の温度を一定以上に維持することができる。
【0071】
ここで、ヒータON条件、ヒータOFF条件について説明する。ヒータ49は、電気部品のうちの使用下限温度が最も高い電気部品の使用下限温度を、ヒータ49をONにする条件(ヒータON条件)の基準温度とすることができる。しかしながら、実際の制御では、温度が上下動するため、その使用下限温度を下回る可能性が高い。そこで、多少の温度の上下動があることを考慮し、その使用下限温度に、例えば5℃程度の余裕を見て、ヒータON条件の基準温度(下限温度)として設定することができる。なお、余裕は、5℃に限定されるものではなく、10℃等であってもよい。
【0072】
ヒータ49は、電気部品のうちの使用上限温度が最も低い電気部品の使用上限温度を、ヒータ49をOFFにする条件(ヒータOFF条件)の基準温度とすることができる。しかしながら、使用上限温度は、50℃を超える温度であるため、相当の時間が経過しないとヒータ49がOFFにならず、無駄に電力を消費することになる。そこで、ヒータON条件の基準温度(下限温度)より15~20℃高い温度を、ヒータOFF条件の基準温度(上限温度)として設定することができる。なお、ヒータON条件の基準温度より高くする温度は、15~20℃に限定されるものではなく、使用上限温度を超えない範囲であれば、20~30℃等であってもよい。
【0073】
以上に説明してきたように、本発明の制御装置および熱交換システムを提供することで、外気温度が低い時に少なくとも特定の電気部品の温度を一定以上に維持することが容易となる。このため、電気部品の選定上、やむを得ず温度範囲が守れない場合や、総合的な原価低減目的等で使用下限温度が比較的高い場合でも、その電気部品を選定することが可能となる。また、特定の電気部品へ効率的に熱を伝えることができ、特定の電気部品の温度のみを一定以上に維持すれば良いため、加熱に必要なエネルギーを低減することもできる。
【0074】
これまで本発明の制御装置および熱交換システムについて上述した実施形態をもって詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0075】
したがって、本発明によれば、(1)冷媒と熱交換する空気を取り込み、排出する送風手段を含む熱交換システムを制御する制御装置であって、前記熱交換システムを制御する1以上の電気部品と、前記1以上の電気部品を内部に収納し、前記送風手段により内部もしくは外部またはその両方を空気が流通する電機品箱と、前記1以上の電気部品の少なくとも一部を覆うように配置され、前記電機品箱内を加熱する面状の加熱手段とを含み、前記熱交換システムの運転の有無と、前記電機品箱内の温度または該熱交換システムの周囲温度とに基づき、前記加熱手段による加熱を制御する、制御装置を提供することができる。
【0076】
本発明によれば、(2)前記電機品箱は、前記1以上の電気部品に対向する面を有する蓋を備え、該面に、前記加熱手段が取り付けられる、上記(1)に記載の制御装置を提供することができる。
【0077】
本発明によれば、(3)前記1以上の電気部品は、前記熱交換システムの運転を制御する制御手段と、前記熱交換システムの運転負荷を調整する負荷調整手段と、前記負荷調整手段へ過電流が流れるのを防止する過電流保護手段とを含み、前記加熱手段が、1つの基板上に実装された前記制御手段、前記負荷調整手段、前記過電流保護手段の一部または全部を覆う大きさに形成されている、上記(1)または(2)に記載の制御装置を提供することができる。
【0078】
本発明によれば、(4)前記加熱手段が、前記負荷調整手段の一部または全部を覆う大きさに形成されている、上記(3)に記載の制御装置を提供することができる。
【0079】
本発明によれば、(5)前記制御手段は、前記電機品箱内の温度または前記熱交換システムが備える外気温度を検知する外気温度検知手段により検知された該外気温度が、設定された下限温度以下になった場合に、前記加熱手段による加熱を開始させる、上記(3)または(4)に記載の制御装置を提供することができる。
【0080】
本発明によれば、(6)前記制御手段は、前記加熱手段による加熱を開始させた後、前記電気部品の温度または前記外気温度が、設定された上限温度以上になった場合、前記加熱手段による加熱を停止させる、上記(5)に記載の制御装置を提供することができる。
【0081】
本発明によれば、(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の制御装置を含む、熱交換システムを提供することができる。
【0082】
本発明によれば、(8)熱交換システムは、流体としての室内の空気と前記冷媒との熱交換を行う室内機と、前記冷媒を循環し、外気と前記冷媒との熱交換を行う室外機とを含み、前記室外機は、前記送風手段と、前記制御装置とを含む、上記(7)に記載の熱交換システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…空気調和装置
11…室内機
12…室内熱交換器
13…室内ファン
14…室内ファンモータ
20…室外機
21…圧縮機
22…アキュームレータ
23…四方弁
24…膨張弁
25…室外熱交換器
26…室外ファン
27…室外ファンモータ
28…制御装置
30…ケーシング
31…機械室
32…電機品箱
33…第1の空間
34…第2の空間
40…制御基板
41…インバーターパワーモジュールアセンブリ
42…過電流保護装置
43…蓋
44、45…通気孔
45…面
46…ヒートシンク
47…基板
48…面
49…ヒータ
50…シート
51…電熱線
【要約】
【課題】 電気部品の温度を一定以上に維持することが容易になる制御装置および熱交換システムを提供すること。
【解決手段】 制御装置は、冷媒と熱交換する空気を取り込み、排出する送風手段を含む熱交換システムを制御する装置であり、熱交換システムを制御する1以上の電気部品と、1以上の電気部品を内部に収納し、送風手段により内部および外部を空気が流通する電機品箱と、1以上の電気部品の少なくとも一部を覆うように配置され、電機品箱内を加熱する面状の加熱手段とを含む。制御装置は、熱交換システムの運転の有無と、電機品箱内の温度または該熱交換システムの周囲温度とに基づき、加熱手段による加熱を制御する。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9