(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】医用情報処理プログラム、医用情報処理システム、医用情報処理方法および端末
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20241004BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20241004BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
G06F21/62 345
G06F21/31
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2024062300
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2020039971の分割
【原出願日】2020-03-09
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】新谷 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ 祥子
【審査官】平井 誠
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2008/032525(JP,A1)
【文献】特開2012-146230(JP,A)
【文献】特開2009-048463(JP,A)
【文献】特開2008-059286(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/173528(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00-88
G16H 10/00-65
G16H 30/00-40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、および、記憶部を備えている端末により実行される医用情報処理プログラムであって、
医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立する通信確立ステップと、
前記医用情報を前記記憶部に保存する保存ステップと、
前記外部記録媒体から前記医用情報を消去する消去ステップと、を前記制御部に実行させ、
前記医用情報は、前記医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、
前記記憶部に保存された医用情報を前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換する変換ステップを、前記消去ステップの後に、前記制御部にさらに実行させる、医用情報処理プログラム。
【請求項2】
前記医用情報の消去が完了した後、前記外部記録媒体の前記端末からの抜去を許可する旨を報知する報知ステップを、前記制御部にさらに実行させる、請求項1に記載の医用情報処理プログラム。
【請求項3】
前記保存ステップは、前記医用情報として、前記外部記録媒体から読み出した胎児画像を前記記憶部に保存することを含む、請求項1または2に記載の医用情報処理プログラム。
【請求項4】
前記医用情報は、前記医用情報が前記外部記録媒体に格納された時点を示す格納時点情報と対応付けられて前記外部記録媒体に格納されており、
前記保存ステップでは、
前記外部記録媒体との通信が確立された時点と、前記格納時点情報が示す時点との差分が所定値未満である場合のみ、前記医用情報を保存する、請求項1から3のいずれか1項に記載の医用情報処理プログラム。
【請求項5】
前記医用情報を格納した前記外部記録媒体が前記端末と接続された場合に、前記外部記録媒体の識別情報を該外部記録媒体から取得する取得ステップと、
取得された前記識別情報に基づいて、前記外部記録媒体の正当性を確認する確認ステップと、を前記制御部にさらに実行させ、
前記保存ステップでは、
前記外部記録媒体の正当性が確認された場合に、前記外部記録媒体から読み出した医用情報を前記記憶部に保存する、請求項1から4のいずれか1項に記載の医用情報処理プログラム。
【請求項6】
前記外部記録媒体の識別情報は、該外部記録媒体の正規保持者である医療機関に一意に付与される医療機関IDと対応付けられて管理されており、
前記確認ステップは、取得された前記識別情報に対応付けられている医療機関IDが、前記端末に登録されている医療機関の医療機関IDと一致した場合に、前記外部記録媒体が正当であると判定することを含む、請求項5に記載の医用情報処理プログラム。
【請求項7】
前記保存ステップは、前記外部記録媒体の正当性が確認された場合に、該外部記録媒体から読み出した医用情報を、前記記憶部における特定の記憶領域に保存することを含み、
前記医用情報処理プログラムは、
前記特定の記憶領域に保存された医用情報のみを処理する処理ステップを、前記制御部にさらに実行させる、請求項5または6に記載の医用情報処理プログラム。
【請求項8】
前記確認ステップは、取得された前記識別情報を、外部記録媒体の認証を行うサーバに送信し、認証結果を前記サーバから受信することにより、前記外部記録媒体の正当性を確認することを含む、請求項5から7のいずれか1項に記載の医用情報処理プログラム。
【請求項9】
医用情報を端末に転送するための外部記録媒体として医療機関に配布される1以上の外部記録媒体と、
前記外部記録媒体に前記医用情報を書き込む医用情報書込装置とを含み、
前記外部記録媒体は、
前記端末が、該外部記録媒体を、前記医療機関に配布された正規の外部記録媒体であると認証した場合に、前記医用情報書込装置によって該外部記録媒体に書き込まれた医用情報を、前記端末に取得させ、
前記医用情報は、前記端末によって実行される医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、前記端末に転送された後に前記外部記録媒体から消去され、
前記端末に転送した医用情報は、前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換される、医用情報処理システム。
【請求項10】
医用情報を端末に転送するための外部記録媒体として医療機関に配布される1以上の外部記録媒体と、
医療機関に配布された前記外部記録媒体の識別情報が登録されている正規品リストを保持するサーバとを含み、
前記サーバは、
前記端末から、該外部記録媒体の識別情報とともに認証要求を受け付ける処理と、
受け付けた前記識別情報を、前記正規品リストに登録されている識別情報と照合する処理と、
照合結果を前記端末に返信する処理とを実行し、
前記外部記録媒体に保存されている医用情報は、該外部記録媒体の識別情報が前記正規品リストに登録されていることを確認した前記端末に転送可能であり、該端末に転送された後に消去され、
前記医用情報は、前記端末によって実行される医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、
前記端末に転送した医用情報は、前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換される、医用情報処理システム。
【請求項11】
制御部、および、記憶部を備えている端末により実行される医用情報処理方法であって、
医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立する通信確立ステップと、
前記医用情報を前記記憶部に保存する保存ステップと、
前記外部記録媒体から前記医用情報を消去する消去ステップと、を含み、
前記医用情報は、医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、
前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、前記記憶部に保存された医用情報を前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換する変換ステップをさらに含む、医用情報処理方法。
【請求項12】
制御部、および、記憶部を備えている端末であって、
前記制御部は、
医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立し、
前記医用情報を前記記憶部に保存し、
前記外部記録媒体から前記医用情報を消去し、
前記医用情報は、医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、
前記制御部は、前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、さらに、前記記憶部に保存された医用情報を前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換する、端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報を処理するプログラムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の診察結果などを含む医用情報は、患者が受診した医療機関にて管理、保有されることが一般的である。転院などの理由で、患者が自身の医用情報を医療機関から受け取る場合、医療機関は、個人情報保護の観点から、医用情報を印刷したり、読み取り専用の外部記録媒体に保存したりして患者へ提供する。
【0003】
一方、スマートフォンなどの携帯端末の普及に伴い、患者自身が自らの医用情報などをスマートフォンに収集し、患者自身で管理することにより、自身の健康維持や治療などに役立てる「Personal Health Record(PHR)」という概念が検討されている。
【0004】
PHRが浸透した場合、患者への医用情報の提供頻度が増加することが想定される。このため、医用情報の提供のために、印刷や読み取り専用の外部記録媒体へ保存する方法では、医用情報の提供にかかる費用が増加し、医療機関の負担になるおそれがある。
【0005】
この問題に対し、引用文献1には、出力装置から、近距離無線通信を介して患者の医用情報などを患者の端末へ出力するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術は、患者の医用情報などの個人情報が他者に漏えいするリスクへの対策が十分でないという問題がある。
【0008】
本開示の一態様は、個人情報が他者に漏えいするリスクを回避する、安全な医用情報の授受を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る医用情報処理プログラムは、制御部、および、記憶部を備えている端末により実行される医用情報処理プログラムであって、医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立する通信確立ステップと、前記医用情報を前記記憶部に保存する保存ステップと、前記外部記録媒体から前記医用情報を消去する消去ステップと、を前記制御部に実行させ、前記医用情報は、前記医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、
前記記憶部に保存された医用情報を前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換する変換ステップを、前記消去ステップの後に、前記制御部にさらに実行させる。
【0010】
本開示の一態様に係る医用情報処理システムは、医用情報を端末に転送するための外部記録媒体として医療機関に配布される1以上の外部記録媒体と、前記外部記録媒体に前記医用情報を書き込む医用情報書込装置とを含み、前記外部記録媒体は、前記端末が、該外部記録媒体を、前記医療機関に配布された正規の外部記録媒体であると認証した場合に、前記医用情報書込装置によって該外部記録媒体に書き込まれた医用情報を、前記端末に取得させ、前記医用情報は、前記端末によって実行される医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、前記端末に転送された後に前記外部記録媒体から消去され、前記端末に転送した医用情報は、前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換される。
【0011】
本開示の一態様に係る医用情報処理システムは、医用情報を端末に転送するための外部記録媒体として医療機関に配布される1以上の外部記録媒体と、医療機関に配布された前記外部記録媒体の識別情報が登録されている正規品リストを保持するサーバとを含み、前記サーバは、前記端末から、該外部記録媒体の識別情報とともに認証要求を受け付ける処理と、受け付けた前記識別情報を、前記正規品リストに登録されている識別情報と照合する処理と、照合結果を前記端末に返信する処理とを実行し、前記外部記録媒体に保存されている医用情報は、該外部記録媒体の識別情報が前記正規品リストに登録されていることを確認した前記端末に転送可能であり、該端末に転送された後に消去され、前記医用情報は、前記端末によって実行される医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、前記端末に転送した医用情報は、前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換される。
【0012】
本開示の一態様に係る医用情報処理方法は、制御部、および、記憶部を備えている端末により実行される医用情報処理方法であって、医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立する通信確立ステップと、前記医用情報を前記記憶部に保存する保存ステップと、前記外部記録媒体から前記医用情報を消去する消去ステップと、を含み、前記医用情報は、医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、前記記憶部に保存された医用情報を前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換する変換ステップをさらに含む。
【0013】
本開示の一態様に係る端末は、制御部、および、記憶部を備えている端末であって、前記制御部は、医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立し、前記医用情報を前記記憶部に保存し、前記外部記録媒体から前記医用情報を消去し、前記医用情報は、医用情報処理プログラムにより処理する場合はデータ形式の変換が必要な形式で前記外部記録媒体に格納されており、前記制御部は、前記外部記録媒体から前記医用情報が消去された後に、さらに、前記記憶部に保存された医用情報を前記医用情報処理プログラムによる処理が可能なデータ形式に変換する。
【0014】
本発明の各態様に係る医用情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、個人情報が他者に漏えいするリスクを回避する、安全な医用情報の授受を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の実施形態1に係るスマートフォンの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係るプログラムの適用例を示す図である。
【
図3】本開示の母子手帳アプリケーションの一画面例である。
【
図4】
図1のスマートフォンの制御部が実行する胎児画像の保存処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態2に係るスマートフォンの要部構成を示すブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態2に係るプログラムの適用例を示す図である。
【
図7】
図6のスマートフォンの制御部が実行する胎児画像の保存処理の流れの一例について、一部を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の母子手帳アプリケーションの一画面例である。
【
図9】胎児画像の保存処理における、
図7の「A」以降の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の実施形態3に係るスマートフォンの要部構成を示すブロック図である。
【
図11】
図10のスマートフォンの制御部が実行する胎児画像の保存処理の流れの一例について、一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図2は、本開示のプログラムの適用例を示す図である。
【0018】
本開示のプログラム(医用情報処理プログラム)は、ユーザの端末にインストールされ、該端末が、本開示のプログラムに基づく機能を実現する。ここで、ユーザとは、医療機関から医用情報の提供を受けて、該医用情報を、自身が持つ端末を通じて取り扱うことのできる者のことであり、例えば、医療機関に通う患者、妊婦、および、その家族などが「ユーザ」に含まれる。本開示のプログラムは、一例として、母子手帳アプリケーションを含むプログラムであり、端末は、一例として、ユーザ(例えば妊婦)が使用するスマートフォン1(端末)である。本開示のプログラムは、一例として、サービスプロバイダが開発したアプリケーションを配信する配信サーバ6によって、ネットワーク8を介して、各ユーザのスマートフォンに配信される。スマートフォン1に母子手帳アプリケーションがインストールされると、スマートフォン1は、本開示のプログラムに基づく機能、すなわち、胎児画像(医用情報)の管理を容易にするための機能を実現する端末として動作する。
【0019】
なお、配信サーバ6は、母子手帳アプリケーションの開発元のサービスプロバイダに帰属していてもよいし、サービスプロバイダから配信を委託された配信受託業者に帰属していてもよい。
【0020】
胎児画像は、本開示のシステム(医用情報処理システム)を利用する医療機関から提供される。本開示のシステムは、例えば医療機関のシステムに含まれていればよい。医療機関のシステムは、その他に一例として、エコー撮像装置2およびUSB(Universal Serial Bus)メモリ(後述する専用USB5)を含んでいてもよい。医療機関から提供された胎児画像は、母子手帳アプリケーションがインストールされた妊婦のスマートフォン1に取り込まれる。一例として、胎児画像は、エコー撮像装置2(医用情報書込装置)によって撮像されたエコー画像であり、エコー画像は、静止画データまたは動画データである。動画データには音声データが含まれていてもよい。
【0021】
エコー撮像装置2によって取得された胎児画像は、USBメモリなどの外部記録媒体に記憶される。一例として、医療機関の医師は、診察時にUSBメモリをエコー撮像装置2へ挿入し、胎児画像をUSBメモリへ転送する。妊婦は、胎児画像が保存されたUSBメモリを、診察時(または診察後)に自身のスマートフォン1に接続し、胎児画像をスマートフォン1へ保存し、USBメモリ5を医師へ返却する。このように、USBメモリを介して医療機関から妊婦へ胎児画像を提供することにより、スマートフォン1から医療機関の各装置へ、コンピュータウイルスなどのマルウェアが送られることを防止することができる。また、USBメモリを複数の患者に共有させることにより、外部記録媒体にかかる費用を抑えることができる。
【0022】
本実施形態に係るUSBメモリは、胎児画像を妊婦へ提供するためのUSBメモリであり、サービスプロバイダから、サービスプロバイダと契約した各医療機関へ販売される。以降、当該USBメモリを「専用USB5」と称する場合がある。サービスプロバイダは、医療機関と、当該医療機関に販売した専用USB5とを対応付けて管理する。一例として、医療機関に販売した専用USB5を一意に識別するシリアルナンバー(識別情報)と、シリアルナンバーが示す専用USB5を購入した医療機関(正規保持者である医療機関)を一意に識別する医療機関IDとが対応付けられて、サービスプロバイダに帰属するプロバイダサーバ7(サーバ)のUSBデータベース(正規品リスト)に格納されている。
【0023】
<スマートフォン1のハードウェア構成>
図1は、スマートフォン1の要部構成を示すブロック図である。スマートフォン1は、一例として、制御部10、記憶部11、接続部12、通信部13およびタッチパネル14を備えている。なお、スマートフォン1は、一般的なスマートフォンが備えている機能を実現するために、スマートフォンが標準的に備えている、不図示の各種部品をさらに備えていてもよい。
【0024】
タッチパネル14は、ユーザの操作を受け付けるための入力機構である操作部と、制御部10が処理した情報をユーザに視認可能に提示する出力機構である表示部とが一体となったハードウェアである。操作部は、ユーザの操作に対応する指示信号を制御部10に入力する。操作部は、表示部の表示面でもある操作部の入力面に、ユーザの指などの指示体が接触または接近することを検知することが可能なデバイスを含んで構成される。また、表示部は、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって構成される。例えば、表示部には、胎児画像が表示されたり、胎児画像を容易に管理するための母子手帳アプリケーションのユーザインタフェース(UI)部品が表示されたりする。
【0025】
通信部13は、ネットワーク8を介して、例えば、配信サーバ6などの外部の装置と相互通信を行うものである。本実施形態では、ネットワーク8は、インターネットを含む広域通信ネットワークを想定しているが、ネットワーク8は、電話回線網、移動体通信網、CATV(CAble TeleVision)通信網、衛星通信網などを含んでいてもよい。
【0026】
接続部12は、専用USB5などの外部記録媒体を、スマートフォン1に接続するための端子を含んで構成される。専用USB5が、接続部12を介して、スマートフォン1に電気的に接続されると、スマートフォン1の制御部10は、専用USB5との間の通信を確立することができる。そして、制御部10は、接続部12を介して、専用USB5に格納されているデータの読み出し、消去、および、専用USB5へのデータの書き込みなどを行うことができる。
【0027】
制御部10は、スマートフォン1の各部の動作を統括的に制御するものである。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)または専用プロセッサなどの演算処理部などにより構成されるコンピュータ装置から成る。制御部10は、記憶部11に記憶されている、スマートフォン1の各種制御を実施するためのプログラムを読み出して実行することで、スマートフォン1の各部の動作を制御することができる。
【0028】
記憶部11は、制御部10にて用いられる各種データを記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含む。本実施形態では、一例として、記憶部11には、受診する医療機関の医療機関ID(受診医療機関ID41)、USBデータベース42および胎児画像データベース43が不揮発的に記憶されている。受診医療機関ID41は、スマートフォン1のユーザ(妊婦)が、妊娠に関する診察を受ける医療機関を示す医療機関IDである。以下、受診医療機関ID41が示す医療機関を、「かかりつけの医療機関」と記載する場合がある。USBデータベース42は、プロバイダサーバ7から受信したUSBデータベースである。胎児画像データベース43は、専用USB5から読み出された胎児画像のデータベースである。一例として、胎児画像には撮像された日時を示す日時情報が対応付けられている。
【0029】
胎児画像データベース43には、専用USB5から読み出された胎児画像のみが格納される。換言すれば、専用USB5と異なるUSBメモリから読み出された胎児画像は、胎児画像データベース43には格納されない。なお、本開示では、スマートフォン1を、専用USB5以外の外部記録媒体から読み出された胎児画像を自装置に保存しないように構成する意図はない。スマートフォン1は、専用USB5以外の外部記録媒体から読み出された胎児画像を、記憶部11における、胎児画像データベース43とは別の記憶領域に保存してもよい。
【0030】
<スマートフォン1のソフトウェア構成>
スマートフォン1の制御部10は、一例として、識別情報取得部21、USB認証部22、アプリ起動部23、画像取得部24、画像消去部25および処理実行部26を含む。これらの各部は、例えば、CPU(central processing unit)等としての制御部10がROM(read only memory)等の記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(random
access memory)等に読み出して実行することで実現される。
【0031】
識別情報取得部21は、接続部12を介して接続されているUSBメモリから、シリアルナンバーを取得する。当該USBメモリは、例えば、医療機関から提供された胎児画像を格納している専用USB5であるが、専用USB5と異なるUSBメモリであってもよい。識別情報取得部21は、USBメモリが接続部12を介してスマートフォン1に電気的に接続されると、USBメモリから、例えばサービスプロバイダが付したシリアルナンバーを読み出し、USB認証部22へ出力する。
【0032】
USB認証部22は、取得したシリアルナンバーに基づいて、スマートフォン1に接続されたUSBメモリの正当性を確認する。換言すれば、USB認証部22は、スマートフォン1に接続されたUSBメモリが、かかりつけの医療機関が正規保持者である専用USB5であるか否かを判定する。以下、かかりつけの医療機関が正規保持者である専用USB5を、「正当な専用USB5」と記載する場合がある。
【0033】
具体的には、USB認証部22は、USBデータベース42を参照し、取得したシリアルナンバーに対応付けられている医療機関IDを特定する。そして、USB認証部22は、特定した医療機関IDと、受診医療機関ID41とが一致するか否かを判定する。一致した場合、USB認証部22は、スマートフォン1に接続されたUSBメモリが、正当な専用USB5であると判定し、その旨をアプリ起動部23へ通知する。
【0034】
特定した医療機関IDと、受診医療機関ID41とが一致しない場合、USB認証部22は、スマートフォン1に接続されたUSBメモリは正当な専用USB5でないと判定する。この場合、USB認証部22は、アプリ起動部23への通知を行わない。なお、USB認証部22は、スマートフォン1に接続されたUSBメモリは正当な専用USB5でないとの判定結果を、スマートフォン1のユーザへ通知してもよい。例えば、USB認証部22は、当該判定結果を示す画像またはテキストをスマートフォン1の表示部に表示させてもよい。あるいは、USB認証部22は、アプリ起動部23に母子手帳アプリケーションを起動させ、当該判定結果をスマートフォン1のユーザへ通知させてもよい。
【0035】
アプリ起動部23は、USB認証部22からの通知を受けると、母子手帳アプリケーションを起動する。これに応答して、制御部10は、母子手帳アプリケーションのプログラムをRAM等に読み出して実行することで、母子手帳アプリケーション内の各部(画像取得部24、画像消去部25および処理実行部26)として機能することができる。一例として、アプリ起動部23は、母子手帳アプリケーションをバックグラウンドで起動してもよい。なお、母子手帳アプリケーションは、例えば、タッチパネル14に表示されている母子手帳アプリケーションのアイコンへのタッチ操作により起動することもできる。
【0036】
識別情報取得部21、USB認証部22およびアプリ起動部23は、一例として、制御部10が、母子手帳アプリケーションとは異なるプログラムである、USB認証プログラムをRAMなどに読み出して実行することで実現される。なお、USB認証プログラムは、母子手帳アプリケーションと同様に、本開示のプログラムに含まれる。あるいは、USB認証プログラムは、母子手帳アプリケーションの一部であってもよい。この例の場合、母子手帳アプリケーションが、本開示のプログラムとなる。
【0037】
画像取得部24は、接続部12を介して接続されている専用USB5との通信を確立し、専用USB5から取得した胎児画像を胎児画像データベース43へ保存する。一例として、画像取得部24は、専用USB5との通信の確立後、自動で胎児画像の取得を開始する。
【0038】
また、画像取得部24は、専用USB5に記憶されている胎児画像を胎児画像データベース43へ保存すると、その旨を画像消去部25へ通知する。
【0039】
画像消去部25は、画像取得部24からの通知を受けると、専用USB5から胎児画像を消去する。
【0040】
処理実行部26は、胎児画像データベース43に格納された胎児画像を用いた各種処理を行う。当該処理の一例は、胎児画像をタッチパネル14に表示する表示処理である。
【0041】
図3は、母子手帳アプリケーションの一画面例である。
図3に示すように、処理実行部26は、例えば、胎児画像データベース43に格納された胎児画像を時系列で表示する。
【0042】
なお、処理実行部26は、胎児画像データベース43と異なる記憶領域に記憶された胎児画像を用いた処理を行わない。つまり、処理実行部26は、胎児画像データベース43に格納された胎児画像のみを用いた処理を行う。
【0043】
<胎児画像の保存処理の流れ>
図4は、制御部10が実行する胎児画像の保存処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図4に示すフローチャートは、制御部10が、接続部12にUSBメモリが接続されたことを認識した後の保存処理の流れを示している。
【0044】
識別情報取得部21は、USBメモリからシリアルナンバーを取得する(ステップS1、取得ステップ、以下、「ステップ」の記載を省略)。識別情報取得部21は、取得したシリアルナンバーをUSB認証部22へ出力する。
【0045】
USB認証部22は、接続部12に接続されたUSBメモリが正当な専用USB5であるか否かを判定する(S2、確認ステップ)。この判定の詳細については既に説明しているため、ここでは繰り返さない。接続部12に接続されたUSBメモリが正当な専用USB5でないと判定した場合(S2でNo)、USB認証部22は、胎児画像の保存処理を終了する。
【0046】
一方、接続部12に接続されたUSBメモリが正当な専用USB5であると判定した場合(S2でYes)、USB認証部22は、その旨をアプリ起動部23へ通知する。アプリ起動部23は、当該通知を受けると、母子手帳アプリケーションを起動する。これにより、画像取得部24、画像消去部25および処理実行部26が実現される。
【0047】
続いて、画像取得部24は、専用USB5との通信を確立する(S3、通信確立ステップ)。そして、画像取得部24は、専用USB5から胎児画像を取得し、胎児画像データベース43へ保存する(S4、保存ステップ)。S4の処理は、専用USB5に記憶されている1以上の胎児画像の保存が完了するまで繰り返される(S5でNo)。
【0048】
専用USB5に記憶されている胎児画像の保存が完了すると(S5でYes)、画像取得部24は、その旨を画像消去部25へ通知する。
【0049】
画像消去部25は、画像取得部24からの通知を受けると、専用USB5内の胎児画像を消去する(S6、消去ステップ)。以上で胎児画像の保存処理は終了する。
【0050】
<USBデータベース42の更新>
プロバイダサーバ7に記憶されているUSBデータベースは、新たな医療機関がサービスプロバイダと契約したり、契約済みの医療機関が新たな専用USB5を購入したり、医療機関が解約したりすることにより更新される。一方で、本実施形態に係るUSB認証部22は、記憶部11に記憶されているUSBデータベース42を用いて、接続部12に接続されたUSBメモリの正当性を判定する。つまり、プロバイダサーバ7に記憶されているUSBデータベースとUSBデータベース42とは同一のデータを格納している必要がある。このため、プロバイダサーバ7は、USBデータベースの更新が発生した場合、更新後のUSBデータベースをスマートフォン1へ送信し、USBデータベース42を更新させる。
【0051】
一例として、プロバイダサーバ7は、USBデータベースを更新する度に、スマートフォン1へ更新後のUSBデータベースを送信する。別の例として、スマートフォン1の制御部10は、専用USB5が接続されたとき、すなわち、接続されたUSBメモリが正当な専用USB5であると判定された場合に、プロバイダサーバ7からUSBデータベースを受信する。
【0052】
<効果>
専用USB5は、複数のユーザ(妊婦)が使用するものであるため、専用USB5内に前の妊婦の胎児画像が残っていると、個人情報が漏えいしてしまう。この問題に対し、本実施形態に係る、母子手帳アプリケーションをインストールしたスマートフォン1は、専用USB5から胎児画像を胎児画像データベース43へ保存すると、専用USB5内の胎児画像を消去する。これにより、個人情報の漏えいを低減できるため、安全性の高い胎児画像処理システムを構築することができる。また、クラウドなどに医用情報をアップする従来のシステムと比較して個人情報が漏えいするリスクが低い。その上、従来のシステムにおいて、正規のユーザの確認のために必要となるIDおよびパスワードの煩わしい管理が不要となり、運用側、利用者側の双方にとって利便性が向上する。
【0053】
また、エコー画像などの胎児画像は、医学的観点から産科医師が必要と判断して獲得される医用情報である一方で、妊婦が胎児の経過を観察したり、成長を実感したり、家族と共有したりする記念品または記録手段としての側面がある。上述の構成によれば、医用情報でありながら、記念品としての側面をもつ胎児画像を、安全かつ容易にスマートフォン1に取り込ませることができる。このように、専用USB5を介した安全な胎児画像の処理システムが妊婦健診に適用されると、とりわけ、利便性およびユーザの満足度を向上させることができる。
【0054】
また、スマートフォン1は、USBメモリが接続部12に接続された場合に、当該USBメモリのシリアルナンバーを当該USBメモリから取得する。そして、スマートフォン1は、当該シリアルナンバーに基づき、USBメモリが正当な専用USB5であるか否かを確認する。接続されたUSBメモリが正当な専用USB5であると確認された場合、スマートフォン1は、専用USB5から読み出した胎児画像を胎児画像データベース43へ保存する。
【0055】
換言すれば、専用USB5は、接続されたスマートフォン1が専用USB5を認証した場合のみ、エコー撮像装置2などから書き込まれた胎児画像を、スマートフォン1に取得させる。
【0056】
この構成によれば、胎児画像をスマートフォン1に取り込むために利用するUSBメモリを、それ以外の用途に用いる可能性が低いため、専用USB5以外のUSBメモリ(例えば、スマートフォン1のユーザが個人的に所有しているUSBメモリ)を利用する構成に比べて、胎児画像を誤って外部へ流出させてしまうリスクを低減させることができる。
【0057】
また、専用USB5のシリアルナンバーは、USBデータベース42にて、当該専用USB5の正規保持者である医療機関の医療機関IDと対応付けられている。そして、スマートフォン1は、接続されたUSBメモリからシリアルナンバーを取得する。スマートフォン1は、当該シリアルナンバーにUSBデータベース42にて対応付けられている医療機関IDと、受診医療機関ID41とが一致した場合に、当該USBメモリが正当な専用USB5であると判定する。
【0058】
この構成によれば、妊婦は、受診医療機関ID41が示すかかりつけの医療機関から提供された専用USB5を介して胎児画像の提供を受ける。つまり、妊婦は自身が所有するUSBメモリではなく、医療機関が所有するUSBメモリを用いて胎児画像の提供を受ける。これにより、専用USB5以外のUSBメモリを使用する構成に比べて、妊婦が胎児画像を誤って外部へ流出させてしまうリスクを低減させることができる。
【0059】
また、スマートフォン1は、上述したとおり、専用USB5から読み出した胎児画像を胎児画像データベース43へ保存する。換言すれば、スマートフォン1は、当該胎児画像を記憶部11における特定の記憶領域に保存する。そして、母子手帳アプリケーションは、胎児画像データベース43に保存された胎児画像のみを処理する。
【0060】
この構成によれば、医療機関は、母子手帳アプリケーションを提供するサービスプロバイダから配布された専用USB5を使用しなければ、胎児画像を妊婦のスマートフォン1の胎児画像データベース43に保存させることができない。また、妊婦のスマートフォン1においては、胎児画像データベース43に保存された医用情報でなければ、母子手帳アプリケーションによって処理されない。これにより、妊婦に専用USB5を使用して胎児画像をスマートフォン1に保存させる動機付けを与えることができ、結果として、専用USB5以外のUSBメモリを使用する構成に比べて、妊婦が胎児画像を誤って外部へ流出させてしまうリスクを低減させることができる。
【0061】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0062】
図6は、実施形態2に係るプログラムの適用例を示す図である。
図6に示す適用例において、実施形態1にて説明した適用例(
図2参照)と異なる点は、専用USB5に格納された胎児画像が暗号化されている点である。なお、本実施形態に係る「暗号化」とは、胎児画像のデータ形式(形式)を、母子手帳アプリケーションによる処理が不可能なデータ形式に変換することを指す。
【0063】
医療機関の医師は、胎児画像が保存された専用USB5を暗号化装置9に挿入し、胎児画像を暗号化し、専用USB5に再保存する。この暗号化の処理には、既存の暗号化技術を用いればよい。妊婦は、胎児画像が保存されたUSBメモリ5を、診察時に自身のスマートフォン1aに接続し、暗号化された胎児画像をスマートフォン1aへ保存し、USBメモリ5を医師へ返却する。
【0064】
<スマートフォン1aのソフトウェア構成>
図5は、スマートフォン1aの要部構成を示すブロック図である。スマートフォン1aが、実施形態1にて説明したスマートフォン1(
図1参照)と異なる点は、制御部10が画像復号部27を備える点と、記憶部11が復号コード44を記憶している点である。復号コード44は、暗号化された胎児画像を復号するための情報である。なお、本実施形態に係る「復号」とは、暗号化された胎児画像のデータ形式を、母子手帳アプリケーションによる処理が可能なデータ形式に変換する(戻す)ことを指す。
【0065】
本実施形態に係る画像消去部25は、実施形態1にて説明した処理に加え、以下の処理を実行する。すなわち、画像消去部25は、専用USB5内の胎児画像の消去が完了すると、その旨を画像復号部27へ通知する。そして、画像消去部25は、画像復号部27からの応答を待機する状態となる。
【0066】
画像復号部27は、暗号化された胎児画像を復号する。具体的には、画像復号部27は、画像消去部25からの通知を受けると、胎児画像データベース43から、暗号化されている胎児画像を読み出す。さらに、画像復号部27は、記憶部11から復号コード44を読み出す。画像復号部27は、読み出した胎児画像を、復号コード44を用いて復号し、胎児画像データベース43へ再保存する。なお、この復号化の処理には、暗号化に用いられた既存の暗号化技術に応じた、既存の復号化技術を用いればよい。
【0067】
画像復号部27は、胎児画像の復号化に成功した場合、その旨を応答として画像消去部25へ通知する。画像消去部25は、画像復号部27からの通知を受けると、スマートフォン1からの専用USB5の抜去を許可する旨を示す抜去許可画像を、タッチパネル14に表示する。抜去許可画像はさらに、専用USB5に記憶されている胎児画像の保存が完了した旨を示す画像であってもよい。なお、「抜去許可画像」は、文字情報(テキスト)のみからなるものであってもよい。
【0068】
<胎児画像の保存処理の流れ>
図7は、制御部10が実行する胎児画像の保存処理の流れの一例について、一部を示すフローチャートである。なお、
図7に示すフローチャートは、制御部10が、接続部12にUSBメモリが接続されたことを認識した後の保存処理の流れを示している。また、
図7において、
図4に示すフローチャートと同一のステップ番号の処理については、実施形態1で説明しているため、ここでの説明を繰り返さない。
【0069】
画像消去部25は、専用USB5内の胎児画像の消去に成功、すなわち、専用USB5に記憶されているすべての胎児画像を消去した場合(S11でYes)、その旨を画像復号部27へ通知する。
【0070】
画像復号部27は、胎児画像データベース43に保存された、暗号化された胎児画像を復号する(S12、変換ステップ)。画像復号部27は、復号化した胎児画像を胎児画像データベース43へ再保存すると、その旨を画像消去部25へ通知する。画像消去部25は、画像復号部27からの通知を受けると、抜去許可画像をタッチパネル14へ表示する(S13、報知ステップ)。以上で、胎児画像の保存処理は終了する。
【0071】
図8は、本開示の母子手帳アプリケーションの一画面例である。具体的には、
図8は、抜去許可画像の一具体例を示す図である。
図7に示すとおり、画像消去部25は、S11で専用USB5に記憶されているすべての胎児画像の消去を確認した後に抜去許可画像をタッチパネル14に表示する。
【0072】
一方、専用USB5内の胎児画像の消去に失敗した場合(S11でNo)、胎児画像の保存処理は
図7の「A」に進む。なお、専用USB5内の胎児画像の消去に失敗した場合とは、例えば、胎児画像の消去途中にスマートフォン1と専用USB5との通信が切断された場合である。
【0073】
図9は、胎児画像の保存処理における、「A」以降の処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像消去部25は、胎児画像の保存に失敗した旨をユーザへ報知する。一例として、画像消去部25は、胎児画像の保存に失敗した旨を示す画像を、タッチパネル14に表示する(S21)。当該画像はさらに、専用USB5を接続部12に再度接続するよう促す画像であってもよい。
【0074】
接続部12にUSBメモリが接続されると、識別情報取得部21は、接続されたUSBメモリからシリアルナンバーを取得する(S22)。識別情報取得部21は、取得したシリアルナンバーをUSB認証部22へ出力する。
【0075】
USB認証部22は、接続部12に接続されたUSBメモリがS11で消去が未完了になっている専用USB5であるか否かを判定する(S23)。具体的には、USB認証部22は、S22でUSBメモリから取得したシリアルナンバーが、S1でUSBメモリから取得したシリアルナンバーと一致するか否かを判定する。この処理のために、USB認証部22は、一例として、S1で取得したシリアルナンバーを記憶部11に一時的に保存する。接続部12に接続されたUSBメモリがS11で消去が未完了になっている専用USB5でないと判定した場合(S23でNo)、USB認証部22は、S11で消去が未完了になっているUSBメモリが接続部12に接続されるまで、すなわち、別のシリアルナンバーを取得するまで待機する。
【0076】
一方、接続部12に接続されたUSBメモリがS11で消去が未完了になっている専用USB5であると判定した場合(S23でYes)、USB認証部22は、その旨を画像消去部25へ通知する。画像消去部25は、USB認証部22からの通知を受けると、専用USB5との通信を確立し(S24)、胎児画像の消去を再開する(S25)。消去に成功、すなわち、専用USB5に記憶されているすべての胎児画像を消去した場合(S26でYes)、胎児画像の保存処理は
図9の「B」に進む。具体的には、
図7に示すS12およびS13が実行され、胎児画像の保存処理は終了する。一方、胎児画像の消去に失敗した場合(S26でNo)、胎児画像の保存処理はS21へ戻る。
【0077】
<効果>
以上のとおり、本実施形態に係る胎児画像は、暗号化されて専用USB5へ保存される。そして、スマートフォン1aは、専用USB5から読み出した、暗号化された胎児画像を胎児画像データベース43へ保存し、専用USB5内の胎児画像を消去した後、保存した胎児画像を復号する。
【0078】
この構成によれば、専用USB5内の胎児画像の消去が完了しない限り、スマートフォン1aのユーザ(妊婦)は、母子手帳アプリケーションにより胎児画像を処理することができない。つまり、何らかの事情(例えば、専用USB5内の胎児画像の消去中に専用USB5をスマートフォン1から抜去したなど)で専用USB5内に胎児画像が残っている場合、妊婦は、母子手帳アプリケーションにより胎児画像を処理することができない。したがって、妊婦は、母子手帳アプリケーションの有益な機能を享受するために、専用USB5内の胎児画像を確実に消去しようとする。結果として、専用USB5内に妊婦の胎児画像が残ったまま、該専用USB5が次の妊婦のスマートフォンに挿入されることによる、個人情報の漏えいをより低減することができる。
【0079】
また、スマートフォン1aは、保存した胎児画像の復号化が完了した後、抜去許可画像をタッチパネル14に表示する。換言すれば、スマートフォン1aは、専用USB5内の胎児画像の消去が完了した後、抜去許可画像をタッチパネル14に表示する。これにより、胎児画像の消去が完了してから専用USB5を抜去するようにユーザに促すことができ、結果として、胎児画像の消去が完了しないまま専用USB5が途中で抜去されるリスクを低減することができる。
【0080】
<実施形態2の変形例>
本実施形態に係る画像取得部24は、専用USB5に記憶されている胎児画像が暗号化されているか否かを確認し、暗号化されていない場合、胎児画像の読み出しを中止する構成であってもよい。さらに、画像取得部24は、専用USB5に記憶されている胎児画像が暗号化されていない場合、その旨をスマートフォン1aのユーザ(妊婦)へ報知してもよい。例えば、画像取得部24は、専用USB5に記憶されている胎児画像が暗号化されていない旨を示す画像をタッチパネル14に表示してもよい。このような報知を行うことで、妊婦は、医師に状況を説明することができ、医師は、専用USB5を暗号化装置9に挿入し、暗号化し直して専用USB5に再度転送するといった対応を取ることができる。
【0081】
また、画像復号部27は、何らかの事情で胎児画像の復号に失敗した場合、その旨をスマートフォン1aのユーザ(妊婦)へ報知してもよい。例えば、画像復号部27は、胎児画像の復号に失敗した旨を示す画像をタッチパネル14に表示してもよい。
【0082】
また、画像取得部24は、専用USB5からの胎児画像の取得中(転送中)に、その旨を示す画像をタッチパネル14に表示してもよい。また、画像消去部25は、専用USB5からの胎児画像の消去中に、その旨を示す画像をタッチパネル14に表示してもよい。例えば、画像取得部24は、「転送中」とのテキストと、バー(ゲージ)とをタッチパネル14に表示してもよい。バーは、胎児画像の転送および消去の進行度合いを示す画像であり、表示された時点では、全体が第1色であり、進行度合いが0%であることを示す。また、バーは、胎児画像の取得および消去が進むにつれて一端から他端に向けて色が第1色から第2色へ変化していく。この例において、画像消去部25は、画像取得部24からの通知を受けると、「転送中」とのテキストを「消去中」に変更し、専用USB5内の胎児画像を消去する。バーの画像は、胎児画像の消去が完了すると、全体が第2色の画像となり、進行度合いが100%であることを示す。
【0083】
なお、胎児画像が暗号化されていない旨を示す画像、胎児画像の復号に失敗した旨を示す画像、並びに、胎児画像の取得中および消去中であることを示す画像は、文字情報(テキスト)のみからなるものであってもよい。
【0084】
また、画像消去部25は、専用USB5内の胎児画像の消去が完了したタイミングで、抜去許可画像をタッチパネル14に表示してもよい。換言すれば、
図7に示すS13の処理は、S12の処理より前に行われてもよい。
【0085】
〔実施形態3〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0086】
本実施形態に係る、専用USB5に記憶されている胎児画像には、当該胎児画像が専用USB5に格納された時刻(時点)を示す格納時刻(格納時点情報)が対応付けられている。
【0087】
<スマートフォン1bのソフトウェア構成>
図10は、スマートフォン1bの要部構成を示すブロック図である。スマートフォン1bが、実施形態1にて説明したスマートフォン1(
図1参照)と異なる点は、制御部10が差分判定部28を備える点と、記憶部11が時刻差分閾値45を記憶している点である。
【0088】
本実施形態に係る画像取得部24は、胎児画像の取得を開始する前、具体的には、専用USB5との通信を確立すると、胎児画像の格納時刻を読み出し、差分判定部28へ出力する。そして、画像取得部24は、差分判定部28からの応答を待機する状態となる。
【0089】
差分判定部28は、格納時刻と現在時刻との差分を算出し、当該差分について、時刻差分閾値45が示す値以上であるか否かを判定する。現在時刻とは、すなわち、スマートフォン1bと専用USB5との通信が確立した時刻(時点)である。そして、差分判定部28は、判定結果、すなわち、差分が、時刻差分閾値45が示す値(所定値)以上であるか否かを示す情報を画像取得部24へ出力する。なお、時刻差分閾値45は、妊婦が医師から専用USB5を受け取ってスマートフォン1bへ挿入するまでにかかると予想される時間であればよく、例えば、5分であってもよい。
【0090】
画像取得部24は、差分判定部28からの応答として判定結果を取得する。差分は時刻差分閾値45が示す値以上である、との判定結果が示されている場合、画像取得部24は、専用USB5から胎児画像を読み出さない。これは、胎児画像がUSBメモリ5に格納された時点と、USBメモリ5が妊婦のスマートフォン1に挿入された時点との時間の開きが一定以上(例えば、5分以上)であることを意味する。そして、このことは、専用USB5に格納されている胎児画像が、該妊婦より前に診察を受けた他の妊婦の胎児画像である可能性が高いことを示している。この場合、画像取得部24は、他人の胎児画像が含まれている可能性が高い旨をスマートフォン1bのユーザ(妊婦)へ報知してもよい。例えば、画像取得部24は、他人の胎児画像が含まれている可能性が高い旨を示す画像をタッチパネル14に表示してもよい。このような報知を行うことで、妊婦は、医師に状況を説明することができ、医師は、専用USB5に含まれる胎児画像をすべて消去し、今診察を受けている妊婦の胎児画像のみを専用USB5へ転送しなおすなどの対応を取ることができる。
【0091】
これに対し、差分が、時刻差分閾値45が示す値以上でないとの判定結果の場合、画像取得部24は、専用USB5から胎児画像を読み出し、胎児画像データベース43へ保存する。
【0092】
<胎児画像の保存処理の流れ>
図11は、制御部10が実行する胎児画像の保存処理の流れの一例について、一部を示すフローチャートである。なお、
図11に示すフローチャートは、制御部10が、接続部12にUSBメモリが接続されたことを認識した後の保存処理の流れを示している。また、
図11において、
図4に示すフローチャートと同一のステップ番号の処理については、実施形態1で説明しているため、ここでの説明を繰り返さない。
【0093】
画像取得部24は、通信を確立した専用USB5から、胎児画像に対応付けられた格納時刻を読み出し、差分判定部28へ出力する。差分判定部28は、格納時刻と現在時刻との差分について、時刻差分閾値45が示す値以上であるか否かを判定し(S31)、判定結果を画像取得部24へ出力する。
【0094】
差分は時刻差分閾値45が示す値以上である、との判定結果が示された場合(S31でYes)、胎児画像の保存処理は終了する。すなわち、画像取得部24は、専用USB5から胎児画像を読み出さない。
【0095】
一方、差分は時刻差分閾値45が示す値未満である、との判定結果が示された場合(S31でNo)、画像取得部24は、S4以降の処理を実行する。
【0096】
<効果>
以上のとおり、本実施形態に係る胎児画像は、胎児画像が専用USB5に格納された時刻を示す格納時刻と対応付けられて専用USB5に記憶されている。そして、スマートフォン1bは、現在時刻と格納時刻との差分が、時刻差分閾値45が示す値未満である場合のみ、専用USB5から胎児画像を読み出し、胎児画像データベース43へ保存する。
【0097】
この構成によれば、上記差分が、時刻差分閾値45が示す値以上となる胎児画像が専用USB5に記憶されている場合、スマートフォン1bは、専用USB5から胎児画像の読み出しを行わない。上記差分が、時刻差分閾値45が示す値以上となる胎児画像とは、すなわち、専用USB5内の胎児画像が、今診察を受けている妊婦ではない、別の妊婦の胎児画像である可能性が高いことを示す。つまり、上記の構成によれば、或る妊婦の胎児画像が、別の妊婦のスマートフォン1bに保存される可能性を低減することができる。
【0098】
<実施形態3の変形例>
専用USB5に複数の胎児画像が記憶されている場合、差分判定部28および画像取得部24は以下の処理を行なえばよい。
【0099】
すなわち、画像取得部24は、専用USB5に記憶されているすべての胎児画像について格納時刻を読み出し、差分判定部28へ出力する。差分判定部28は、取得した格納時刻の各々について、現在時刻との差分を算出し、当該差分の各々について、時刻差分閾値45が示す値以上であるか否かを判定する。そして、差分判定部28は、時刻差分閾値45が示す値以上である差分があるか否かを示す情報を、判定結果として画像取得部24へ出力する。
【0100】
画像取得部24は、時刻差分閾値45が示す値以上の差分があるとの判定結果の場合、専用USB5から胎児画像を読み出さない。一方、画像取得部24は、時刻差分閾値45が示す値以上の差分が無いとの判定結果の場合、専用USB5から胎児画像を読み出し、胎児画像データベース43へ保存する。
【0101】
あるいは、画像取得部24は、時刻差分閾値45が示す値以上の差分があるとの判定結果の場合、時刻差分閾値45が示す値未満の差分となる胎児画像のみを読み出し、胎児画像データベース43へ保存してもよい。
【0102】
〔変形例〕
以下の変形例は、実施形態1の変形例として記載するが、実施形態2および3にも適用可能である。
【0103】
画像取得部24は、専用USB5との通信を確立した場合、胎児画像の保存を開始するためのGUI(Graphical User Interface)をタッチパネル14へ表示してもよい。この例において、画像取得部24は、当該GUIに対しユーザ(妊婦)が所定の操作を行ったことを示す操作信号を受け付けた場合、専用USB5から胎児画像を読み出し、胎児画像データベース43へ保存する。あるいは、画像取得部24は、専用USB5との通信を確立した場合、操作を受け付けない状態でタッチパネル14に表示されているGUIを、操作を受け付ける状態へ遷移させてもよい。
【0104】
妊婦は、母子手帳アプリケーションが起動している状態で、専用USB5を接続部12へ接続してもよい。この例において、USB認証部22は、スマートフォン1に接続されたUSBメモリが正当な専用USB5であると判定した場合、その旨を画像取得部24へ通知する。画像取得部24は、当該通知を受けると、専用USB5との通信を確立する。
【0105】
制御部10は、母子手帳アプリケーションがスマートフォンにインストールされていない状態で接続部12に正当な専用USB5が接続された場合、配信サーバ6から母子手帳アプリケーションをダウンロードし、インストールしてもよい。あるいは、制御部10は、母子手帳アプリケーションがスマートフォン1にインストールされていない状態で接続部12に正当な専用USB5が接続された場合、母子手帳アプリケーションをダウンロードするためのGUIをタッチパネル14へ表示してもよい。
【0106】
接続部12に接続されたUSBメモリが正当な専用USB5であるか否かを判定する処理の少なくとも一部は、プロバイダサーバ7により行われてもよい。一例として、USB認証部22は、接続部12に接続されたUSBメモリのシリアルナンバーと、受診医療機関ID41とを対応付けて、認証要求とともに通信部13を介してプロバイダサーバ7へ送信する。プロバイダサーバ7は、USBデータベースに、受信したシリアルナンバーと受診医療機関ID41との組があるか否かを判定し、判定結果(照合結果)をスマートフォン1へ送信(返信)する。USB認証部22は、上記組があるとの判定結果の場合、接続部12に接続されたUSBメモリが正当な専用USB5であると判定する。一方、USB認証部22は、上記組がないとの判定結果の場合、接続部12に接続されたUSBメモリが正当な専用USB5でないと判定する。
【0107】
この構成によれば、スマートフォン1がUSBデータベース42を記憶しておく必要がなくなる。このため、プロバイダサーバ7は、自身が保持するUSBデータベースのみを更新すればよい。結果として、本開示の胎児画像処理システムのメンテナンスの容易性が高まる。
【0108】
USB認証部22は、接続部12に接続されたUSBメモリが専用USB5であるか否かのみを判定する構成であってもよい。換言すれば、USB認証部22は、接続部12に接続されたUSBメモリが、かかりつけの医療機関に提供された専用USB5であるか否かまでは判定しない構成であってもよい。この例において、USBデータベース42は、医療機関に配布した専用USB5のシリアルナンバーのみを含むリストであってもよい。換言すれば、USBデータベース42は、医療機関IDを含まないものであってもよい。
【0109】
具体的には、USB認証部22は、接続されたUSBメモリから取得されたシリアルナンバーがUSBデータベース42に格納されている場合、当該USBメモリを専用USB5であると判定し、アプリ起動部23(または画像取得部24)にその旨を通知する。一方、USB認証部22は、接続されたUSBメモリから取得されたシリアルナンバーがUSBデータベース42に格納されていない場合、当該USBメモリを専用USB5ではないと判定し、胎児画像の保存処理を終了する。
【0110】
また、この例において、プロバイダサーバ7が記憶しているUSBデータベースも、医療機関に配布した専用USB5のシリアルナンバーのみを含むリストであってもよい。
【0111】
専用USB5を介して医療機関から患者へ提供される医用情報は、胎児画像に限定されない。当該医用情報は、例えば、MRI(magnetic resonance imaging)画像、CT(computerized tomography)画像、PET(positron emission tomography)画像、X線画像、電子カルテなどであってもよい。なお、電子カルテは薬歴(お薬情報)を含んでいてもよい。
【0112】
制御部10は、識別情報取得部21およびUSB認証部22を含まない構成であってもよい。この例において、接続部12にUSBメモリが接続されると、アプリ起動部23が母子手帳アプリケーションを起動し、画像取得部24が、接続されたUSBメモリとの通信を確立し、胎児画像の取得および保存を行う。この例において、記憶部11は、受診医療機関ID41およびUSBデータベース42を記憶していなくてもよい。
【0113】
実施形態1および実施形態3において、専用USB5に記憶されている胎児画像は暗号化されていてもよい。この例において、実施形態1に係るスマートフォン1および実施形態3に係るスマートフォン1bは、専用USB5内の胎児画像の消去が完了した後、胎児画像データベース43に保存した胎児画像を復号する。
【0114】
実施形態1に係るスマートフォン1および実施形態3に係るスマートフォン1bは、専用USB5内の胎児画像の消去が完了した後、抜去許可画像をタッチパネル14に表示してもよい。
【0115】
なお、ユーザ(例えば妊婦)への報知は、タッチパネル14への画像の表示に限定されない。当該報知は、例えば、LEDの点灯状態の変更による報知、音声や効果音による報知、振動による報知であってもよい。LEDの点灯状態の変更とは、例えば、点灯していないLEDを点灯(または点滅)させることであってもよいし、LEDの点灯色を変更させることであってもよいし、点灯しているLEDを点滅させることであってもよい。
【0116】
実施形態1に係るスマートフォン1および実施形態3に係るスマートフォン1bは、専用USB5内の胎児画像の消去に失敗した場合、
図9に示すS21~S26の処理を実行してもよい。
【0117】
USBデータベース42は、スマートフォン1のユーザのかかりつけの医療機関に提供された専用USB5のシリアルナンバーのみを格納するものであってもよい。換言すれば、USBデータベース42は、受診医療機関ID41が示す医療機関に提供された専用USB5のシリアルナンバーのみを格納するものであってもよい。この例の場合、スマートフォン1は、一例として、プロバイダサーバ7が記憶しているUSBデータベースから、受診医療機関ID41と一致する医療機関IDに対応付けられているシリアルナンバーを取得し、USBデータベース42を生成する。
【0118】
医療機関のシステムは、エコー撮像装置2と不図示のLAN(Local Area Network)で接続される端末やサーバを含んでいてもよい。当該端末は例えば、医師が使用する医師端末であってもよい。また、当該サーバは例えば、電子カルテを管理する電子カルテサーバであってもよい。医師は、医師端末または電子カルテサーバへ専用USB5を挿入し、胎児画像を専用USB5へ転送してもよい。
【0119】
〔ソフトウェアによる実現例〕
スマートフォン1、1aおよび1bの制御ブロック(特に制御部10)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0120】
後者の場合、スマートフォン1、1aおよび1bは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0121】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0122】
〔その他の態様〕
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムは、制御部、記憶部、および、外部記録媒体と接続する接続部を備えている端末により実行される医用情報処理プログラムであって、前記接続部を介して医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立する通信確立ステップと、前記医用情報を前記記憶部に保存する保存ステップと、前記外部記録媒体から前記医用情報を消去する消去ステップとを前記制御部に実行させる。
【0123】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムは、前記医用情報の消去が完了した後、前記外部記録媒体の前記端末からの抜去を許可する旨を報知する報知ステップを、前記制御部にさらに実行させてもよい。
【0124】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムでは、前記保存ステップは、前記医用情報として、前記外部記録媒体から読み出した胎児画像を前記記憶部に保存することを含んでいてもよい。
【0125】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムでは、前記医用情報は、前記医用情報処理プログラムによる処理が不可能な形式で前記外部記録媒体に格納されており、前記医用情報処理プログラムは、前記外部記録媒体に格納されている医用情報の消去が完了した後、前記記憶部に保存された医用情報を、前記医用情報処理プログラムによる処理が可能な形式に変換する変換ステップを、前記制御部にさらに実行させてもよい。
【0126】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムでは、前記医用情報は、前記医用情報が前記外部記録媒体に格納された時点を示す格納時点情報と対応付けられて前記外部記録媒体に格納されており、前記保存ステップでは、前記外部記録媒体との通信が確立された時点と、前記格納時点情報が示す時点との差分が所定値未満である場合のみ、前記医用情報を保存してもよい。
【0127】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムは、前記医用情報を格納した前記外部記録媒体が前記接続部を介して接続された場合に、前記外部記録媒体の識別情報を該外部記録媒体から取得する取得ステップと、取得された前記識別情報に基づいて、前記外部記録媒体の正当性を確認する確認ステップと、を前記制御部にさらに実行させ、前記保存ステップでは、前記外部記録媒体の正当性が確認された場合に、前記外部記録媒体から読み出した医用情報を前記記憶部に保存してもよい。
【0128】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムでは、前記外部記録媒体の識別情報は、該外部記録媒体の正規保持者である医療機関に一意に付与される医療機関IDと対応付けられて管理されており、前記確認ステップは、取得された前記識別情報に対応付けられている医療機関IDが、前記端末に登録されている医療機関の医療機関IDと一致した場合に、前記外部記録媒体が正当であると判定することを含んでいてもよい。
【0129】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムでは、前記保存するステップは、前記外部記録媒体の正当性が確認された場合に、該外部記録媒体から読み出した医用情報を、前記記憶部における特定の記憶領域に保存することを含み、前記医用情報処理プログラムは、前記特定の記憶領域に保存された医用情報のみを処理する処理ステップを、前記制御部にさらに実行させてもよい。
【0130】
本発明の一態様に係る医用情報処理プログラムでは、前記確認ステップは、取得された前記識別情報を、外部記録媒体の認証を行うサーバに送信し、認証結果を前記サーバから受信することにより、前記外部記録媒体の正当性を確認することを含んでもよい。
【0131】
本発明の一態様に係る医用情報処理システムは、医用情報を端末に転送するための外部記録媒体として医療機関に配布される1以上の外部記録媒体と、前記外部記録媒体に前記医用情報を書き込む医用情報書込装置とを含み、前記外部記録媒体は、該外部記録媒体に接続された前記端末が、該外部記録媒体を、前記医療機関に配布された正規の外部記録媒体であると認証した場合に、前記医用情報書込装置によって該外部記録媒体に書き込まれた医用情報を、前記端末に取得させ、前記医用情報は、前記端末に転送された後に前記外部記録媒体から消去される。
【0132】
本発明の一態様に係る医用情報処理システムは、医用情報を端末に転送するための外部記録媒体として医療機関に配布される1以上の外部記録媒体と、医療機関に配布された前記外部記録媒体の識別情報が登録されている正規品リストを保持するサーバとを含み、前記サーバは、前記外部記録媒体が接続された端末から、該外部記録媒体の識別情報とともに認証要求を受け付ける処理と、受け付けた前記識別情報を、前記正規品リストに登録されている識別情報と照合する処理と、照合結果を前記端末に返信する処理とを実行し、前記外部記録媒体に保存されている医用情報は、該外部記録媒体の識別情報が前記正規品リストに登録されていることを確認した前記端末に転送可能であり、当該端末に転送された後に消去される。
【0133】
本発明の一態様に係る医用情報処理方法は、制御部、記憶部、および、外部記録媒体と接続する接続部を備えている端末により実行される医用情報処理方法であって、前記接続部を介して医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立する通信確立ステップと、前記医用情報を前記記憶部に保存する保存ステップと、前記外部記録媒体から前記医用情報を消去する消去ステップと、を含む。
【0134】
本発明の一態様に係る端末は、制御部、記憶部、および、外部記録媒体と接続する接続部を備えている端末であって、前記制御部は、前記接続部を介して医用情報を格納した外部記録媒体との通信を確立し、前記医用情報を前記記憶部に保存し、前記外部記録媒体から前記医用情報を消去する。
【0135】
本発明の各態様に係る医用情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0136】
1、1a、1b スマートフォン(端末)
2 エコー撮像装置(医用情報書込装置)
5 専用USB(外部記録媒体)
7 プロバイダサーバ(サーバ)
10 制御部
11 記憶部
12 接続部
43 胎児画像データベース(特定の記憶領域)
S1 取得ステップ
S2 確認ステップ
S3 通信確立ステップ
S4 保存ステップ
S6 消去ステップ
S12 変換ステップ
S13 報知ステップ