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特許7566198プログラム、方法、情報処理装置、システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】プログラム、方法、情報処理装置、システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q40/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024104431
(22)【出願日】2024-06-27
【審査請求日】2024-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金井 将之
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-072110(JP,A)
【文献】特開2021-071991(JP,A)
【文献】特開2014-235484(JP,A)
【文献】特開2019-016045(JP,A)
【文献】特開2021-163465(JP,A)
【文献】国際公開第2021/235394(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113506161(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プロセッサに、
会計取引に関する所定の取引情報を前記記憶部に記憶させる取引記憶ステップと、
会計取引に関する所定の証憑情報を前記記憶部に記憶させる証憑記憶ステップと、
前記証憑記憶ステップにおいて記憶した前記所定の証憑情報に、所定の制度の要件を満たす情報が含まれているか否かを判定することにより、前記所定の証憑情報に対する前記所定の制度の制度適格性を特定して、前記制度適格性の特定結果を前記所定の証憑情報と関連付けて記憶させる証憑解析ステップと、
前記所定の取引情報の税区分に関連付けられた所定のルール情報を特定し、前記所定の取引情報と関連付けられた前記所定の証憑情報、および、前記制度適格性の特定結果に対して、前記所定のルール情報を満たすか否かを判定し、前記所定のルール情報を満たすか否かの判定結果を前記所定の取引情報と関連付けて記憶させる適格判定ステップと、
前記適格判定ステップにおいて判定された判定結果を出力させる出力ステップと、
を実行させ、
前記取引記憶ステップまたは前記証憑記憶ステップは、前記所定の取引情報と、前記所定の証憑情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させるステップである、
プログラム。
【請求項2】
前記出力ステップは、前記所定の取引情報または前記所定の証憑情報の修正を促す通知を出力させるステップである、
請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記取引情報は、ユーザの情報を含み、
前記出力ステップは、会計取引の当事者にかかる前記ユーザが前記所定のルール情報を満たしている場合に、前記判定結果を出力しないステップである、
請求項1記載のプログラム。
【請求項4】
前記出力ステップは、前記所定のルール情報を満たさないと判定した場合に、取引情報および証憑情報の適格性が一致しないことを示す通知を出力させるステップである、
請求項1記載のプログラム。
【請求項5】
前記取引記憶ステップは、前記証憑記憶ステップにおいて記憶した前記所定の証憑情報を解析することにより情報を抽出し、当該抽出した情報に基づき特定される前記所定の取引情報を記憶させるステップであり、
前記出力ステップは、前記所定のルール情報を満たさないと判定した場合に、前記所定の証憑情報の修正を促す通知を出力させるステップである、
請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
前記証憑記憶ステップは、前記取引記憶ステップにおいて前記所定の取引情報を記憶した後に、前記所定の証憑情報を記憶させるステップであり、
前記出力ステップは、前記所定のルール情報を満たさないと判定した場合に、前記所定の取引情報の修正を促す通知を出力させるステップである、
請求項4記載のプログラム。
【請求項7】
前記証憑記憶ステップは、前記取引記憶ステップにおいて前記所定の取引情報の入力とともに添付した前記所定の証憑情報を記憶させるステップであり、
前記出力ステップは、前記所定のルール情報を満たさないと判定した場合に、前記所定の取引情報および前記所定の証憑情報の修正を促す通知を出力させるステップである、
請求項4記載のプログラム。
【請求項8】
前記プロセッサ
ユーザから通知条件の入力を受け付ける条件入力ステップと、
を実行させ
前記出力ステップは、前記前記所定のルール情報を満たさないと判定した場合に、前記条件入力ステップにおいて入力した前記通知条件に基づく通知を出力させるステップである、
請求項4記載のプログラム。
【請求項9】
前記出力ステップは、前記通知条件に応じて、前記所定の取引情報または前記所定の証憑情報の修正を促す通知を出力させるステップである、
請求項8記載のプログラム。
【請求項10】
前記出力ステップは、複数の取引情報および当該複数の取引情報に関連付けて記憶した複数の証憑情報に対する前記判定結果を一覧して出力させるステップである、
請求項1記載のプログラム。
【請求項11】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータ実行する方法であって、前記プロセッサが、請求項1から請求項10のいずれかで特定されている全てのステップを実行する方法。
【請求項12】
プロセッサと、記憶部とを備える情報処理装置であって、前記プロセッサが、請求項1から請求項10のいずれかで特定されている全てのステップを実行する情報処理装置。
【請求項13】
プロセッサと、記憶部とを備える情報処理装置を含む情報処理システムであって、前記情報処理装置が、請求項1から請求項10のいずれかで特定されている全てのステップを実行する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、情報処理装置、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会計取引を管理する情報処理技術が知られている。
特許文献1には、証憑の適格性の判定の補助を行うことができるプログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2024-064690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適切な会計情報の登録ができていないという課題がある。
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、適切な会計情報の登録を促す技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、会計取引に関する所定の取引情報を記憶する取引記憶ステップと、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報と関連付けて、会計取引に関する所定の証憑情報を記憶する証憑記憶ステップと、証憑記憶ステップにおいて記憶した所定の証憑情報の適格性の有無を特定する証憑解析ステップと、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報の税区分と、証憑解析ステップにおいて特定した所定の証憑情報の適格性の有無と、を比較した比較結果を出力する出力ステップと、を実行するプログラム。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、適切な会計情報の登録を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】システム1の機能構成を示すブロック図である。
図2】サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
図3】ユーザ端末20の機能構成を示すブロック図である。
図4】ユーザテーブル1012のデータ構造を示す図である。
図5】取引テーブル1013のデータ構造を示す図である。
図6】証憑テーブル1014のデータ構造を示す図である。
図7】ルールテーブル1021のデータ構造を示す図である。
図8】適格判定処理の動作を示すフローチャートである。
図9】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0009】
<システム1の構成>
本開示におけるシステム1は、会計に関する情報処理サービスを提供する情報処理システムである。
システム1は、ネットワークNを介して接続された、サーバ10、ユーザ端末20の情報処理装置を備える。
図1は、システム1の機能構成を示すブロック図である。
図2は、サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
図3は、ユーザ端末20の機能構成を示すブロック図である。
【0010】
各情報処理装置は演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成および、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。サーバ10、ユーザ端末20のそれぞれについて、後述するコンピュータの基本ハードウェア構成およびコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
【0011】
<サーバ10の構成>
サーバ10は、会計に関する情報処理サービスを提供する情報処理装置である。
サーバ10は、記憶部101、制御部104を備える。
【0012】
<サーバ10の記憶部101の構成>
サーバ10の記憶部101は、アプリケーションプログラム1011、ユーザテーブル1012、取引テーブル1013、証憑テーブル1014、ルールテーブル1021を備える。
【0013】
ユーザテーブル1012は、サービスを利用する会員ユーザ(以下、ユーザ)の情報を記憶し管理するテーブルである。ユーザは、サービスの利用登録を行うことで、当該ユーザの情報がユーザテーブル1012の新しいレコードに記憶される。これにより、ユーザは本開示にかかるサービスを利用できるようになる。
ユーザテーブル1012は、ユーザIDを主キーとして、ユーザID、ユーザ名、ユーザデータのカラムを有するテーブルである。
図4は、ユーザテーブル1012のデータ構造を示す図である。
【0014】
ユーザIDは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を記憶する項目である。ユーザ識別情報は、ユーザごとにユニークな値が設定されている項目である。
ユーザ名は、ユーザの氏名を記憶する項目である。ユーザ名は、氏名ではなく、ニックネームなど任意の文字列を設定しても良い。
ユーザデータは、ユーザ個人の固有情報と、ユーザの特性や背景に関する属性情報を含む。
ユーザの固有情報は、ユーザの生年月日(年齢)、性別等のユーザの固有の情報を含む。
ユーザの属性情報は、ユーザの教育歴(最終学歴、専攻、卒業年)、職業、職歴、興味・関心、居住地、言語等の情報を含む。
【0015】
取引テーブル1013は、サービスを利用するユーザが行う取引に関する情報(取引情報)を記憶し管理するテーブルである。ユーザは、ユーザが取引を行うことで、当該取引の情報が取引テーブル1013の新しいレコードに記憶される。なお、取引情報の一部または全部は、ユーザによる入力操作に応じて入力しても良いし、ユーザに関連づけられた銀行口座の取引記録、クレジットカード等の利用明細等に基づき自動的に入力されても良い。
取引テーブル1013は、取引IDを主キーとして、取引ID、ユーザID、勘定科目、品目、税区分、判定フラグ、金額のカラムを有するテーブルである。
図5は、取引テーブル1013のデータ構造を示す図である。
【0016】
取引IDは、取引情報を識別するための取引識別情報を記憶する項目である。取引識別情報は、取引情報ごとにユニークな値が設定されている項目である。
ユーザIDは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を記憶する項目である。
勘定科目は、取引に関連する会計上の勘定科目を記憶する項目である。勘定科目は、取引の性質や内容に応じて分類される。
品目は、取引の対象となる商品の品目を記憶する項目である。品目は、商品やサービスの具体的な内容を示す。
税区分は、取引における税の適用区分を記憶する項目である。税区分は、「課対仕入(10%)」、「課対仕入(控80)10%」などの、税の適用区分を示す情報が記憶される。
判定フラグは、税区分に基づくチェック結果を記憶する項目である。
金額は、取引の金額を記憶する項目である。金額は、取引における支払いや受取の金額を示す。
【0017】
証憑テーブル1014は、取引に関連する証憑(領収書や請求書など)の情報(証憑情報)を記憶し管理するテーブルである。
証憑テーブル1014は、証憑IDを主キーとして、証憑ID、取引ID、証憑データ、適格判定のカラムを有するテーブルである。
図6は、証憑テーブル1014のデータ構造を示す図である。
【0018】
証憑IDは、証憑情報を一意に識別するための証憑識別情報を記憶する項目である。証憑識別情報は、証憑情報ごとにユニークな値が設定されている項目である。
取引IDは、取引情報を識別するための取引識別情報を記憶する項目である。
証憑データは、証憑に関するデータを記憶する項目である。証憑データは、証憑の内容や詳細情報を含む。具体的に、証憑データは、証憑に関するPDF(Portable Document Format)、Word(Microsoft Word Document)、その他の文書ファイルや画像ファイル等の電子データを含む。
適格判定は、証憑の適格性を判定する情報を記憶する項目である。適格判定は、証憑が法的要件や内部規定を満たしているかを示す。
【0019】
ルールテーブル1021は、取引や証憑に適用されるルール(ルール情報)の情報を記憶し管理するテーブルである。
ルールテーブル1021は、ルールIDを主キーとして、ルールID、税区分、ルールデータのカラムを有するテーブルである。
図7は、ルールテーブル1021のデータ構造を示す図である。
【0020】
ルールIDは、ルールを一意に識別するためのルール識別情報を記憶する項目である。ルール識別情報は、ルール情報ごとにユニークな値が設定されている項目である。
税区分は、ルールが適用される取引や証憑に関連する税の適用区分を記憶する項目である。税区分は、取引テーブル1013の税区分の項目と同様である。
ルールデータは、ルールに関する詳細なデータを記憶する項目である。ルールデータは、ルールの内容や条件、適用方法などの情報を含む。
【0021】
<サーバ10の制御部104の構成>
サーバ10の制御部104は、ユーザ登録制御部1041を備える。制御部104は、記憶部101に記憶されたアプリケーションプログラム1011を実行することにより、各機能ユニットが実現される。
【0022】
ユーザ登録制御部1041は、本開示に係るサービスの利用を希望するユーザの情報をユーザテーブル1012に記憶する処理を行う。
ユーザテーブル1012に記憶される情報は、ユーザが任意の情報処理端末からサービス提供者が運営するウェブページなどを開き、所定の入力フォームに情報を入力しサーバ10へ送信する。ユーザ登録制御部1041は、受信した情報をユーザテーブル1012の新しいレコードに記憶し、ユーザ登録が完了する。これにより、ユーザテーブル1012に記憶されたユーザはサービスを利用することができるようになる。
ユーザ登録制御部1041によるユーザ情報のユーザテーブル1012への登録に先立ち、サービス提供者は所定の審査を行いユーザによるサービス利用可否を制限しても良い。
ユーザIDは、ユーザを識別できる任意の文字列または数字で良く、ユーザが希望する任意の文字列または数字、もしくはユーザ登録制御部1041が自動的に任意の文字列または数字を設定しても良い。
【0023】
<ユーザ端末20の構成>
ユーザ端末20は、サービスを利用するユーザが操作する情報処理装置である。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末でもよいし、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCであってもよい。また、HMD(Head Mount Display)、腕時計型端末等のウェアラブル端末であってもよい。
ユーザ端末20は、記憶部201、制御部204、入力装置206、出力装置208を備える。
【0024】
<ユーザ端末20の記憶部201の構成>
ユーザ端末20の記憶部201は、ユーザID2011、アプリケーションプログラム2012を備える。
【0025】
ユーザID2011はユーザのアカウントIDである。ユーザは、ユーザ端末20からユーザID2011を、サーバ10へ送信する。サーバ10は、ユーザID2011に基づきユーザを識別し、本開示にかかるサービスをユーザに対して提供する。なお、ユーザID2011には、ユーザ端末20を利用しているユーザを識別するにあたりサーバ10から一時的に付与されるセッションIDなどの情報を含む。
【0026】
アプリケーションプログラム2012は、記憶部201に予め記憶されていても良いし、通信IFを介してサービス提供者が運営するウェブサーバ等からダウンロードする構成としても良い。
アプリケーションプログラム2012は、ウェブブラウザアプリケーションなどのアプリケーションを含む。
アプリケーションプログラム2012は、ユーザ端末20に記憶されているウェブブラウザアプリケーション上で実行されるJavaScript(登録商標)などのインタープリター型プログラミング言語を含む。
【0027】
<ユーザ端末20の制御部204の構成>
ユーザ端末20の制御部204は、入力制御部2041、出力制御部2042を備える。制御部204は、記憶部201に記憶されたアプリケーションプログラム2012を実行することにより、各機能ユニットが実現される。
【0028】
<ユーザ端末20の入力装置206の構成>
ユーザ端末20の入力装置206は、カメラ2061、マイク2062、位置情報センサ2063、モーションセンサ2064、タッチデバイス2065を備える。
【0029】
<ユーザ端末20の出力装置208の構成>
ユーザ端末20の出力装置208は、ディスプレイ2081、スピーカ2082を備える。
【0030】
<システム1の動作>
以下、システム1の各処理について説明する。
図8は、適格判定処理の動作を示すフローチャートである。
【0031】
<適格判定処理>
適格判定処理は、登録した取引および証憑に基づき、取引または証憑の適格性を判定する処理である。
【0032】
<適格判定処理の概要>
適格判定処理は、新たに取引を登録するステップ、当該取引に関する証憑を登録し関連付けるステップ、登録した証憑を解析するステップ、当該取引および証憑に基づき取引または証憑の適格性を判定するステップ、判定結果を通知する通知ステップ、の一連の処理である。
【0033】
<適格判定処理の詳細>
以下に、適格判定処理の詳細を説明する。
【0034】
<取引記憶ステップ>
ステップS101において、サーバ10の制御部104は、会計取引に関する所定の取引情報を記憶する取引記憶ステップを実行する。
ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、ウェブブラウザ等に取引記憶処理を実行するためのページ(取引記憶ページ)のURLを入力し、取引記憶ページを開く。ユーザ端末20の制御部204は、取引記憶ページを開くためのリクエストを、サーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、受信したリクエストに基づき、取引記憶ページを生成し、ユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20の制御部204は、受信した取引記憶ページをユーザ端末20のディスプレイ2081に表示する。
取引記憶ページは、会計取引(以下、取引)に関する、取引が収入または支出のいずれかを選択する入力欄、取引が未決済か決済済のいずれかを選択する入力欄、取引口座、発生日、取引先、勘定科目、金額、品目・部門・メモ・タグ・セグメント、備考等の入力欄、証憑添付ボタン等を含む。
ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、入力欄に会計取引に関する情報(例えば、物品等の購入や、物品等の販売、税区分、金額等)を入力する。ユーザ端末20の制御部204は、ユーザID2011、入力データをサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、取引テーブル1013の新たなレコードの、受信したユーザID2011をユーザIDの項目、受信した入力データを勘定科目、品目、税区分、金額、その他不図示の項目に記憶する。例えば、税区分には、「課対仕入(10%)」、「課対仕入(控80)10%」等の、税の適用区分を示す情報が記憶される。
【0035】
ステップS101において、取引記憶ステップは、証憑記憶ステップにおいて記憶した所定の証憑情報を参照して特定される所定の取引情報を記憶するステップを実行しても良い。証憑記憶ステップは、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報を記憶する前に、所定の証憑情報を記憶するステップを実行しても良い。
具体的に、取引記憶ステップは、証憑記憶ステップの後に実行する構成としても良い。例えば、サーバ10の制御部104は、証憑テーブル1014に記憶した1または複数の証憑情報をユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20の制御部204は、受信した1または複数の証憑情報を選択可能な態様で、ユーザ端末20のディスプレイ2081に表示する。ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより所定の証憑情報を選択する。ユーザ端末20の制御部204、または、サーバ10の制御部104は、選択した証憑情報に含まれる証憑データを光学文字認識技術(OCR)等、その他、任意の大規模言語モデル等を用いて解析することにより、取引口座、発生日、取引先、勘定科目、金額、品目・部門・メモ・タグ・セグメント、備考等の、取引記憶ページの入力欄に対応する情報を抽出する。ユーザ端末20の制御部204は、抽出した情報を入力欄に入力した状態の取引記憶ページを、ユーザ端末20のディスプレイ2081に表示する。なお、取引記憶ページの入力欄のうち、証憑情報から抽出できなかった入力項目は、入力がされていない入力項目として表示される。
ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、取引記憶ページの入力欄のうち入力がされていない項目(本開示においては税区分)を入力する。
ユーザ端末20の制御部204は、取引記憶ページの入力欄に入力されているすべての入力項目(取引情報)をサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、受信した取引情報を、取引テーブル1013の勘定科目、品目、税区分、金額、その他不図示の項目に記憶する。
これにより、既に登録されている証憑情報に基づき、ユーザによる取引登録の作業負担を軽減することができる。本開示においては、この場合においても、ユーザは少なくとも税区分の項目を入力し、取引情報を記憶するものとする。
【0036】
<証憑記憶ステップ>
ステップS102において、サーバ10の制御部104は、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報と関連付けて、会計取引に関する所定の証憑情報を記憶する証憑記憶ステップを実行する。証憑記憶ステップは、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報を記憶した後に、所定の証憑情報を記憶するステップを実行する。
具体的に、ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより取引記憶ページに設けられた証憑添付ボタンを選択する。ユーザ端末20の制御部204は、1または複数の証憑データを添付可能な証憑添付画面をユーザ端末20のディスプレイ2081に表示する。ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、ユーザ端末20の記憶部201に記憶された1または複数の証憑データを選択する。ユーザ端末20の制御部204は、ステップS101において記憶した取引テーブル1013の取引ID、選択した1または複数の証憑データをサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、受信した、取引ID、1または複数の証憑データを、証憑テーブル1014の新たなレコードの取引ID、証憑データの項目に記憶する。
これにより、ステップS101において登録した取引に、証憑データを関連付けて記憶することができる。
【0037】
証憑記憶ステップは、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報の入力とともに添付した所定の証憑情報を記憶するステップを実行しても良い。
証憑記憶ステップは、取引記憶ステップの後に実行する必要は必ずしもない。例えば、取引記憶ステップと証憑記憶ステップは、同時に実行しても良い。つまり、ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、取引記憶ページの入力欄に会計取引に関する情報を入力するとともに、当該会計取引に関する情報をサーバ10へ送信することなく、証憑添付ボタンを選択することにより添付(アップロード)する証憑データを選択しても良い。ユーザ端末20の制御部204は、会計取引に関する情報と、証憑データと、をともにサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、ユニークな取引IDを生成する。サーバ10の制御部104は、取引ID、会計取引に関する情報を、取引テーブル1013の新たなレコードの、取引IDを取引IDの項目に、会計取引に関する情報を勘定科目、品目、税区分、金額、その他不図示の項目に記憶する。同様に、サーバ10の制御部104は、取引ID、証憑データを、証憑テーブル1014の新たなレコードの取引ID、証憑データの項目に記憶する。
【0038】
証憑記憶ステップは、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報を記憶する前に、所定の証憑情報を記憶するステップを実行しても良い。
ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、ウェブブラウザ等に証憑記憶処理を実行するためのページ(証憑記憶ページ)のURLを入力し、証憑記憶ページを開く。ユーザ端末20の制御部204は、証憑記憶ページを開くためのリクエストを、サーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、受信したリクエストに基づき、証憑記憶ページを生成しユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20の制御部204は、受信した証憑記憶ページをユーザ端末20のディスプレイ2081に表示する。
証憑記憶ページは、証憑添付ボタン等を含む。ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより取引記憶ページに設けられた証憑添付ボタンを選択する。ユーザ端末20の制御部204は、1または複数の証憑データを添付可能な証憑添付画面をユーザ端末20のディスプレイ2081に表示する。ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、ユーザ端末20の記憶部201に記憶された1または複数の証憑データを選択する。ユーザ端末20の制御部204は、選択した1または複数の証憑データをサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、受信した、1または複数の証憑データを、証憑テーブル1014の新たなレコードの証憑データの項目に記憶する。
この場合、証憑記憶ステップを実行した後に、取引記憶ステップが実行される。既に、ステップS101において説明した通り、ユーザは、既に登録した証憑データを参照して、取引記憶ページの入力欄に取引情報を入力することができる。
【0039】
<証憑解析ステップ>
ステップS103において、サーバ10の制御部104は、証憑記憶ステップにおいて記憶した所定の証憑情報の適格性の有無を特定する証憑解析ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の制御部104は、ステップS102において証憑テーブル1014に記憶した証憑データが、インボイス制度における適格請求書の要件に従ったものか否かを解析する。本開示においては請求書を証憑データの一例として説明する。なお、本開示は、請求書を含む任意の証憑(見積書、請求書、領収書、納品書等)が、インボイス制度以外の任意の制度における制度適格性(制度の要件を充足するか否か)の有無を特定する場合に用いても構わない。
具体的に、サーバ10の制御部104は、証憑データに対して光学文字認識等(OCR)を適用することにより得た文字列を解析することにより、証憑データに、適格請求書発行事業者の登録番号、発行者の氏名又は名称、適用税率ごとに区分した消費税額等の適格請求書の要件を充足する情報(文字列等)が含まれているか否かを判定する。なお、サーバ10の制御部104は、証憑データが適格請求書の要件を充足するか否かを学習させた学習モデル、その他、大規模言語モデル等を用いることにより、証憑データが適格請求書の要件を充足するか否かを判定しても良い。
サーバ10の制御部104は、判定結果を、証憑テーブル1014の対象レコードの適格判定の項目に記憶する。例えば、サーバ10の制御部104は、証憑データが適格性を有する場合はTrueの値、適格性を有さない場合はFalseの値を、適格判定の項目に記憶する。
【0040】
本開示において、サーバ10の制御部104は、適格判定処理の中で証憑解析ステップを実行する構成としたがこれに限られない。サーバ10の制御部104は、取引記憶ステップ、証憑記憶ステップ、等の他のステップと同期せずに、非同期で証憑テーブル1014に記憶した証憑データに対して証憑解析ステップを実行しても良い。
【0041】
<適格判定ステップ>
ステップS104において、サーバ10の制御部104は、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報の税区分と、証憑解析ステップにおいて特定した所定の証憑情報の適格性の有無と、を比較する適格判定ステップとを実行する。
具体的に、サーバ10の制御部104は、取引テーブル1013の税区分の項目を取得する。サーバ10の制御部104は、取得した税区分に基づき、ルールテーブル1021の税区分の項目を検索し、当該税区分に対応したルールデータを取得する。具体的に、税区分の値が「課対仕入(10%)」である場合は、「適格請求書が添付されていること」を示すルールデータを取得する。税区分の値が「課対仕入(控80)10%」である場合は、「適格請求書が添付されていないこと」を示すルールデータを取得する。
サーバ10の制御部104は、取引情報に含まれる取引IDに基づき、証憑テーブル1014の取引IDの項目を検索することにより、証憑データおよび適格判定の項目を取得する。なお、1つの取引に複数の証憑データが関連付けて記憶される構成としても良い。
【0042】
サーバ10の制御部104は、取得した1または複数の証憑情報に含まれる適格判定の項目を、ルールデータと比較することにより、ルールデータの条件を満たしているか否かを判定する。
例えば、サーバ10の制御部104は、ルールデータが「適格請求書が添付されていること」である場合は、1または複数の証憑情報の適格判定に少なくとも「適格性を有すること(True)」の値が1つ以上含まれている場合は、条件を満たしていると判定する。一方、サーバ10の制御部104は、1または複数の証憑情報の適格判定に「適格性を有すること(True)」の値が含まれていない場合は、条件を満たしていないと判定する。
同様に、サーバ10の制御部104は、ルールデータが「適格請求書が添付されていないこと」である場合は、1または複数の証憑情報の適格判定に少なくとも「適格性を有すること(True)」の値が1つ以上含まれている場合は、条件を満たしていないと判定する。サーバ10の制御部104は、1または複数の証憑情報の適格判定に「適格性を有すること(True)」の値が含まれていない場合は、条件を満たしていると判定する。
【0043】
サーバ10の制御部104は、比較結果を、取引テーブル1013の対象レコードの判定フラグの項目に記憶する。例えば、サーバ10の制御部104は、ルールデータに規定された条件を満たしている場合はTrueの値、条件を満たしていない場合はFalseの値を、判定フラグの項目に記憶する。
【0044】
本開示において、サーバ10の制御部104は、適格判定処理の中で適格判定ステップを実行する構成としたがこれに限られない。サーバ10の制御部104は、取引記憶ステップ、証憑記憶ステップ、等の他のステップと同期せずに、非同期で取引テーブル1013に記憶した取引情報に対して適格判定ステップを実行しても良い。
【0045】
<出力ステップ>
ステップS105において、サーバ10の制御部104は、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報の税区分と、証憑解析ステップにおいて特定した所定の証憑情報の適格性の有無と、を比較した比較結果を出力する出力ステップを実行する。
具体的に、出力ステップは、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、取引情報および証憑情報の適格性が一致しないことを示す通知を出力しても良い。
具体的に、サーバ10の制御部104は、ステップS104における判定結果をユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20の制御部204は、受信した判定結果をユーザ端末20の出力装置208により出力する。
例えば、サーバ10の制御部104は、取引テーブル1013を参照し、ユーザID、判定フラグの項目を取得する。
サーバ10の制御部104は、判定フラグの項目に「条件を満たしていない(False)」の情報が記憶されている場合には、「税区分に基づき特定される適格性の条件が、証憑に基づき特定される適格性の条件と一致しない」などのテキストを含むメッセージをユーザIDに基づき特定されるユーザのユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20の制御部204は、受信したメッセージを、ユーザ端末20のディスプレイ2081等に表示する。
ユーザ端末20の制御部204は、判定フラグの項目に「条件を満たしている(True)」の情報が記憶されている場合には、「税区分に基づき特定される適格性の条件が、証憑に基づき特定される適格性の条件と一致する」などのテキストを含むメッセージを、ユーザ端末20のディスプレイ2081等に表示しても良い。なお、条件を満たしている場合に、ユーザ端末20の制御部204は、メッセージをユーザ端末20のディスプレイ2081等に表示しないものとしても構わない。
【0046】
出力ステップは、会計取引の当事者にかかるユーザが所定の条件を満たしている場合に、比較結果を出力しないステップを実行する。
具体的に、サーバ10の制御部104は、取得したユーザIDに基づき、ユーザテーブル1012のユーザIDの項目を検索し、ユーザデータの項目を取得する。例えば、サーバ10の制御部104は、ユーザデータの項目に、当該ユーザがインボイス制度における少額特例の要件を満たす事業者であることを示す情報が含まれている場合に、テキストを含むメッセージをユーザIDに基づき特定されるユーザのユーザ端末20へ送信しないものとしても良い。
例えば、本開示にかかるプログラムの実行主体である会計取引の当事者(利用者)の所属企業等がインボイスの少額特例の条件を満たしている場合は、比較結果を出力しないものとすることができる。ユーザは、比較結果を確認しないことができる。
なお、本開示においては、少額特例の要件として開示したがこれに限られない、ユーザデータに基づき、ユーザに対して比較結果を出力することが不要である場合は、比較結果を出力しないものとしても構わない。また、例えば、所定の取引情報について会計取引における相手方ユーザが、所定の条件を満たしている場合に、比較結果を出力しないものとしても良い。
【0047】
<出力ステップ(第一実施形態)>
ステップS105において、出力ステップは、所定の取引情報または所定の証憑情報の修正を促す通知を出力するステップを実行する。
具体的に、ユーザ端末20の制御部204は、判定フラグの項目に「条件を満たしていない(False)」の情報が記憶されている場合には、「税区分に基づき特定される適格性の条件が、証憑に基づき特定される適格性の条件と一致しないため、取引情報または証憑情報のいずれか、または、両方を修正する必要があります」などのテキストを含むメッセージを、ユーザ端末20のディスプレイ2081等に表示しても良い。
メッセージは、取引情報を修正する手順を示すマニュアル、ドキュメント等を特定するためのURL等を含んでも良い。
【0048】
<出力ステップ(第二実施形態)>
取引記憶ステップは、証憑記憶ステップにおいて記憶した所定の証憑情報を参照して特定される所定の取引情報を記憶する場合において、出力ステップは、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、所定の証憑情報の修正を促す通知を出力しても良い。
ユーザが、登録した証憑情報を参照して取引情報を登録した場合は、ユーザにより入力等した取引情報が正解であり、証憑情報の適格性自体に誤りがあるか、特定した証憑情報の適格性の有無が誤っている可能性が高い。このような場合は、ユーザに対して通知により証憑情報の修正を促す。
【0049】
<出力ステップ(第三実施形態)>
証憑記憶ステップは、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報を記憶した後に、所定の証憑情報を記憶する場合において、出力ステップは、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、所定の取引情報の修正を促す通知を出力しても良い。
ユーザが、取引情報を登録した後に、証憑情報を添付等により登録した場合は、証憑情報が正確であり、ユーザにより入力等した取引情報が誤っている可能性が高い。このような場合は、ユーザに対して通知により取引情報の修正を促す。
【0050】
<出力ステップ(第四実施形態)>
証憑記憶ステップは、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報の入力とともに添付した所定の証憑情報を記憶する場合において、出力ステップは、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、所定の取引情報および所定の証憑情報の修正を促す通知を出力しても良い。
ユーザが、取引情報の入力と証憑情報の添付とが同時に行われた場合は、取引情報および証憑情報の両方の修正を促す。
【0051】
<出力ステップ(第五実施形態)>
サーバ10の制御部104は、ユーザから通知条件の入力を受け付ける条件入力ステップを実行しても良い。この場合、出力ステップは、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、条件入力ステップにおいて入力した通知条件に基づく通知を出力しても良い。
具体的に、ユーザは取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、前記所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合の通知条件を独自に設定することができる。例えば、取引情報の入力を優先する(証憑情報を参照して取引情報を記憶する)場合と、証憑情報の入力を優先する(取引情報の記憶後に、証憑情報を記憶する)場合と、のうち選択的に通知条件を設定することができるものとしても良い。例えば、一方の場合のみ通知するように設定することができる。
サーバ10の制御部104は、通知条件を不図示のテーブル等に記憶することができる。
【0052】
出力ステップは、通知条件に応じて、所定の取引情報または所定の証憑情報の修正を促す通知を出力するステップを実行する。
具体的に、ユーザは、取引情報の修正と、証憑情報の修正とのいずれかの修正を促す通知を出力するように通知条件を設定することができるものとしても良い。
【0053】
<出力ステップ(第五実施形態)>
ステップS105において、出力ステップは、複数の取引情報および複数の取引情報に関連付けて記憶した複数の証憑情報に対する比較結果を一覧して出力するステップを実行する。
本開示において、サーバ10の制御部104は、適格判定処理の中で出力ステップを実行する構成としたがこれに限られない。サーバ10の制御部104は、取引記憶ステップ、証憑記憶ステップ、等の他のステップと同期せずに、ステップS104において特定した判定結果を出力しても良い。
例えば、ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、本開示にかかる会計に関する情報処理サービスにログインするための、ユーザID2011を含むリクエストをサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部104は、ユーザID2011に基づき取引テーブル1013のユーザIDの項目を検索し、1または複数の取引情報と、1または複数の判定フラグの項目を取得する。サーバ10の制御部104は、取得した1または複数の取引情報および1または複数の判定フラグをユーザ端末20へ送信する。
ユーザ端末20の制御部204は、受信した1または複数の取引情報を、ログイン後に表示される会計情報サービスの画面に含まれる「やることリスト」等に一覧表示する。なお、判定フラグに「条件を満たしていない(False)」ことを示す情報が記憶された取引情報のみを一覧表示しても良い。その他、取引情報ごとに算定した優先順位等のスコアの順番に並べて(ソート)表示しても構わない。また、やることリストは、ユーザによるユーザ端末20の入力装置206の操作により選択可能なものとしても良い。
ユーザ-は、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、やることリストに表示された取引を選択し、取引情報または証憑情報を修正することができるものとしても良い。ユーザ端末20の制御部204は、修正後に、判定フラグが「条件を満たしている(True)」の値に変更しても良い。
【0054】
ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、対象の取引情報の税区分を修正(「課対仕入(控80)10%」から「課対仕入(10%)」へ修正)したり、証憑の内容が適格性の要件を満たすものとなるように修正(または再発行)する。その他、ステップS103における証憑解析ステップによる解析結果が正しくない場合は、手作業により証憑テーブル1014の適格判定の項目を修正することにより、修正を行っても良い。
ユーザは、取引情報または証憑情報、取引情報および証憑情報を修正することにより、判定フラグの値を、「条件を満たしていない状態(False)」から、「条件を満たしている(True)」へ、解消することができる。
サーバ10の制御部104は、ユーザによる取引情報または証憑情報の修正に応じて、適格判定処理のステップS101~ステップS105のすべてまたは一部を再度実行しても良い。これにより、ユーザに対して、適切な会計情報の登録を促すことができる。
【0055】
<コンピュータの基本ハードウェア構成>
図9は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、通信IF991(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらは通信バス921により相互に電気的に接続される。
【0056】
プロセッサ901とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ901は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0057】
主記憶装置902とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0058】
補助記憶装置903とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0059】
通信IF991とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0060】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0061】
<コンピュータ90の基本機能構成>
コンピュータ90の基本ハードウェア構成(図9)により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0062】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0063】
制御部は、プロセッサ901が補助記憶装置903に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0064】
本明細書中に記載されている構成要素により実現される機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs (Application Specific Integrated Circuits)、CPU (a Central Processing Unit)、従来型の回路、および/又はそれらの組合せを含む、circuitry又はprocessing circuitryにおいて実装されてもよい。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含み、 circuitry又はprocessing circuitryとみなされる。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する、programmed processorであってもよい。
本明細書において、circuitry、ユニット、手段は、記載された機能を実現するようにプログラムされたハードウェア、又は実行するハードウェアである。当該ハードウェアは、本明細書に開示されているあらゆるハードウェア、又は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、又は、実行するものとして知られているあらゆるハードウェアであってもよい。
当該ハードウェアがcircuitryのタイプであるとみなされるプロセッサである場合、当該circuitry、手段、又はユニットは、ハードウェアと、当該ハードウェア及び又はプロセッサを構成する為に用いられるソフトウェアの組合せである。
【0065】
記憶部は、主記憶装置902、補助記憶装置903により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902または補助記憶装置903に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0066】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブル、マスタと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、マスタ、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル、マスタ同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブル、各マスタにはレコードを一意に特定するための主キーとなるカラムが設定されるが、カラムへの主キーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶された特定のテーブル、マスタにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
また、記憶部に、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶させることにより、本開示にかかる情報処理装置、情報処理システムが製造されたものとして捉えることができる。
【0067】
なお、本開示におけるデータベース、マスタは、情報が構造的に規定された任意のデータ構造体(リスト、辞書、連想配列、オブジェクトなど)を含み得る。データ構造体には、データと、任意のプログラミング言語により記述された関数、クラス、メソッドなどを組み合わせることにより、データ構造体と見なし得るデータも含むものとする。
【0068】
通信部は、通信IF991により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0069】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0070】
(付記1)
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、会計取引に関する所定の取引情報を記憶する取引記憶ステップ(S101)と、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報と関連付けて、会計取引に関する所定の証憑情報を記憶する証憑記憶ステップ(S102)と、証憑記憶ステップにおいて記憶した所定の証憑情報の適格性の有無を特定する証憑解析ステップ(S103)と、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報の税区分と、証憑解析ステップにおいて特定した所定の証憑情報の適格性の有無と、を比較した比較結果を出力する出力ステップ(S105)と、を実行するプログラム。
これにより、取引情報に付与した税区分と、当該取引情報に関連付けられた証憑情報に基づき特定される適格性と、を比較することができる。
例えば、適切な会計情報の登録を促すことができる。
【0071】
(付記2)
出力ステップ(S105)は、所定の取引情報または所定の証憑情報の修正を促す通知を出力するステップである、付記1記載のプログラム。
これにより、適切な会計情報の登録をユーザに促すことができる。
【0072】
(付記3)
出力ステップ(S105)は、会計取引の当事者にかかるユーザが所定の条件を満たしている場合に、比較結果を出力しないステップである、付記1記載のプログラム。
これにより、例えば、本開示にかかるプログラムの実行主体である会計取引の当事者(利用者)の所属企業等がインボイスの少額特例の条件を満たしている場合は、比較結果を出力しないものとすることができる。ユーザは、比較結果を確認しないことができる。
【0073】
(付記4)
出力ステップ(S105)は、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、取引情報および証憑情報の適格性が一致しないことを示す通知を出力するステップである、付記1から3のいずれか記載のプログラム。
これにより、取引情報に付与した税区分に基づき特定される適格性と、当該取引情報に関連付けられた証憑情報に基づき特定される適格性と、が一致しない場合に、ユーザは通知を受けることができる。
例えば、ユーザは取引情報または証憑情報を修正することにより、適格性を一致させることができる。
【0074】
(付記5)
取引記憶ステップ(S101)は、証憑記憶ステップにおいて記憶した所定の証憑情報を参照して特定される所定の取引情報を記憶するステップであり、出力ステップ(S105)は、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、所定の証憑情報の修正を促す通知を出力するステップである、付記4記載のプログラム。
ユーザが、登録した証憑情報を参照して取引情報を登録した場合は、ユーザにより入力等した取引情報が正解であり、証憑情報の適格性自体に誤りがあるか、特定した証憑情報の適格性の有無が誤っている可能性が高い。このような場合は、ユーザに対して通知により証憑情報の修正を促す。
【0075】
(付記6)
証憑記憶ステップ(S102)は、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報を記憶した後に、所定の証憑情報を記憶するステップであり、出力ステップ(S105)は、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、所定の取引情報の修正を促す通知を出力するステップである、付記4記載のプログラム。
ユーザが、取引情報を登録した後に、証憑情報が添付等登録した場合は、証憑情報が正確であり、ユーザにより入力等した取引情報が誤っている可能性が高い。このような場合は、ユーザに対して通知により取引情報の修正を促す。
【0076】
(付記7)
証憑記憶ステップ(S102)は、取引記憶ステップにおいて所定の取引情報の入力とともに添付した所定の証憑情報を記憶するステップであり、出力ステップ(S105)は、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、所定の取引情報および所定の証憑情報の修正を促す通知を出力するステップである、付記4記載のプログラム。
ユーザが、取引情報の入力と証憑情報の添付とが同時に行われた場合は、取引情報および証憑情報の両方の修正を促す。
【0077】
(付記8)
プロセッサが、ユーザから通知条件の入力を受け付ける条件入力ステップと、を実行し、出力ステップ(S105)は、所定の取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合に、条件入力ステップにおいて入力した通知条件に基づく通知を出力するステップである、付記4記載のプログラム。
これにより、ユーザは取引情報の税区分に基づき特定される適格性と、前記所定の証憑情報の適格性の有無と、が一致しない場合の通知条件を独自に設定することができる。例えば、取引入力優先(証憑情報を参照して取引情報を記憶する)場合と、証憑入力優先(取引情報の記憶後に、証憑情報を記憶する)場合と、のうち選択的に通知条件を設定することができる。例えば、一方のみ通知するように設定することができる。
【0078】
(付記9)
出力ステップ(S105)は、通知条件に応じて、所定の取引情報または所定の証憑情報の修正を促す通知を出力するステップである、付記8記載のプログラム。
これにより、ユーザは、通知条件に応じて、取引情報の修正と、証憑情報の修正とのいずれかの修正を促す通知を出力することができる。
【0079】
(付記10)
出力ステップ(S105)は、複数の取引情報および当該複数の取引情報に関連付けて記憶した複数の証憑情報に対する比較結果を一覧して出力するステップである、付記1から9のいずれか記載のプログラム。
これにより、ユーザは、比較結果を一覧して確認することができる。
【0080】
(付記11)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行される方法であって、プロセッサが、付記1から付記10のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する方法。
これにより、取引情報に付与した税区分と、当該取引情報に関連付けられた証憑情報に基づき特定される適格性と、を比較することができる。
例えば、適切な会計情報の登録を促すことができる。
【0081】
(付記12)
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、制御部が、付記1から付記10のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する情報処理装置。
これにより、取引情報に付与した税区分と、当該取引情報に関連付けられた証憑情報に基づき特定される適格性と、を比較することができる。
例えば、適切な会計情報の登録を促すことができる。
【0082】
(付記13)
付記1から付記10のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する手段を備えるシステム。
これにより、取引情報に付与した税区分と、当該取引情報に関連付けられた証憑情報に基づき特定される適格性と、を比較することができる。
例えば、適切な会計情報の登録を促すことができる。
【符号の説明】
【0083】
1 システム、10 サーバ、101 記憶部、104 制御部、106 入力装置、108 出力装置、20 ユーザ端末、201 記憶部、204 制御部、206 入力装置、208 出力装置


【要約】
【課題】適切な会計情報の登録ができていないという課題がある。
【解決手段】プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、会計取引に関する所定の取引情報を記憶する取引記憶ステップと、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報と関連付けて、会計取引に関する所定の証憑情報を記憶する証憑記憶ステップと、証憑記憶ステップにおいて記憶した所定の証憑情報の適格性の有無を特定する証憑解析ステップと、取引記憶ステップにおいて記憶した所定の取引情報の税区分と、証憑解析ステップにおいて特定した所定の証憑情報の適格性の有無と、を比較した比較結果を出力する出力ステップと、を実行するプログラム。
【選択図】 図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9