(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】指令作成装置及び指令作成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20241004BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2024520185
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2022020088
(87)【国際公開番号】W WO2023218608
(87)【国際公開日】2023-11-16
【審査請求日】2024-06-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 敦子
(72)【発明者】
【氏名】白土 浩司
(72)【発明者】
【氏名】前川 清石
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸一
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-131605(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075368(WO,A1)
【文献】特開2011-246206(JP,A)
【文献】長場景子,三菱商事がコンビニ弁当製造工程にロボット導入 鮭やコロッケなど不定形具材の盛り付けを自動化,NIKKEI Robotics,日経BP社,2017年04月10日,第22号,第20-23頁
【文献】鈴木敦夫,食品工場の生産スケジューリングとシフト作成,オペレーションズ・リサーチ,公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会,2020年03月01日,第65巻,第3号,第3-7頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成して、前記複数のラインへの指令を行う指令作成装置において、
容器への
前記複数の料理の
前記盛付作業で予定されている予定時間を含む計画情報と、前記盛付作業が可能な
前記複数のラインの構成を含むライン構成情報と、前記複数の料理の性質を含む献立情報と、前記複数の料理の前記性質のそれぞれの前記複数のラインの作業速度を含む作業性能情報とを取得する取得部と、
前記計画情報、前記ライン構成情報、前記献立情報、及び、前記作業性能情報に基づいて、前
記作業計画を作成し、前記作業計画に基づいて前記複数のラインへの指令を作成する制御部と
を備える、指令作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指令作成装置であって、
前記取得部は、容器への複数の料理の盛付作業を含む盛付作業情報をさらに取得し、
前記制御部は、
前記盛付作業情報に基づいて前記作業計画における前記複数の料理の前記盛付作業を決定する、指令作成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の指令作成装置であって、
前記制御部は、
前記計画情報、及び、前記ライン構成情報に基づいて、前記複数の料理について前記複数のラインのうちのいずれかのラインを割り当てた暫定作業計画を作成し、
前記暫定作業計画、前記献立情報、及び、前記作業性能情報に基づいて、前記ラインが前記暫定作業計画に沿って前記複数の料理の前記盛付作業を行った場合の暫定作業時間を求め、
前記暫定作業時間が前記計画情報の前記予定時間を満たさない場合に、前記暫定作業計画の前記ラインを別のラインに変更することによって、前記作業計画を作成する、指令作成装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の指令作成装置であって、
前記ラインは、複数の作業用部品を選択的に装着可能なロボットを含み、
前記複数のラインの作業速度は、前記複数の作業用部品のそれぞれについての前記ロボットの作業速度を含み、
前記作業計画は、前記複数の作業用部品のうち前記ロボットが装着すべき作業用部品の計画を含む、指令作成装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の指令作成装置であって、
前記献立情報は、前記複数の料理の原価をさらに含み、
前記制御部は、
第1料理を含む前記複数の料理について、前記計画情報を満たす前記作業計画を作成できない場合に、前記第1料理の前記原価との差が予め定められた範囲内である第2料理を含む前記複数の料理について前記作業計画を作成する、指令作成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の指令作成装置であって、
前記制御部は、
前記第2料理を含む前記複数の料理について前記作業計画を作成する場合に、前記第1料理を含む前記複数の料理の前記原価と、前記第2料理を含む前記複数の料理の前記原価とを通知装置に通知させる制御を行う、指令作成装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の指令作成装置であって、
前記取得部は、容器への複数の料理の盛付作業の順序をさらに取得し、
前記制御部は、
前記盛付作業の前記順序に基づいて、前記作業計画における前記複数の料理の前記盛付作業の順序を決定する、指令作成装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の指令作成装置であって、
前記献立情報は、前記複数の料理の栄養素量をさらに含み、
前記制御部は、
第1料理を含む前記複数の料理について、前記計画情報を満たす前記作業計画を作成できない場合に、前記第1料理の前記栄養素量との差が予め定められた範囲内である第2料理を含む前記複数の料理について前記作業計画を作成する、指令作成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の指令作成装置であって、
前記制御部は、
前記第2料理を含む前記複数の料理について前記作業計画を作成する場合に、前記第1料理を含む前記複数の料理の前記栄養素量と、前記第2料理を含む前記複数の料理の前記栄養素量とを通知装置に通知させる制御を行う、指令作成装置。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の指令作成装置であって、
前記制御部は、
前記ライン構成情報に基づいて、前記作業計画における前記複数の料理の前記盛付作業の順序を決定する、指令作成装置。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の指令作成装置であって、
前記取得部は、前記複数の料理の少なくともいずれか1つと監視内容とが予め対応付けられた監視情報をさらに取得し、
前記制御部は、
前記監視情報に基づいて、前記作業計画における前記複数の料理の少なくともいずれか1つの前記監視内容を決定する、指令作成装置。
【請求項12】
複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成して、前記複数のラインへの指令を行う指令作成装置が行う指令作成方法において、
前記指令作成装置が、容器への
前記複数の料理の
前記盛付作業で予定されている予定時間を含む計画情報と、前記盛付作業が可能な
前記複数のラインの構成を含むライン構成情報と、前記複数の料理の性質を含む献立情報と、前記複数の料理の前記性質のそれぞれの前記複数のラインの作業速度を含む作業性能情報とを取得し、
前記指令作成装置が、前記計画情報、前記ライン構成情報、前記献立情報、及び、前記作業性能情報に基づいて、前
記作業計画を作成し、前記作業計画に基づいて前記複数のラインへの指令を作成する、指令作成方法。
【請求項13】
容器への複数の料理の盛付作業で予定されている予定時間を含む計画情報と、前記盛付作業が可能な複数のラインの構成を含むライン構成情報と、前記複数の料理の性質を含む献立情報と、前記複数の料理の前記性質のそれぞれの前記複数のラインの作業速度を含む作業性能情報とを取得する取得部と、
前記計画情報、前記ライン構成情報、前記献立情報、及び、前記作業性能情報に基づいて、前記複数の料理について前記複数のラインが前記盛付作業を行うための作業計画を作成し、前記作業計画に基づいて前記複数のラインへの指令を作成する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記計画情報、及び、前記ライン構成情報に基づいて、前記複数の料理について前記複数のラインのうちのいずれかのラインを割り当てた暫定作業計画を作成し、
前記暫定作業計画、前記献立情報、及び、前記作業性能情報に基づいて、前記ラインが前記暫定作業計画に沿って前記複数の料理の前記盛付作業を行った場合の暫定作業時間を求め、
前記暫定作業時間が前記計画情報の前記予定時間を満たさない場合に、前記暫定作業計画の前記ラインを別のラインに変更することによって、前記作業計画を作成する、指令作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、指令作成装置及び指令作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作業者、環境、ロボットの情報または納期の情報に基づいて、調理作業を提示する装置が提案されている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/075368号
【文献】特開2021-131605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
料理の崩れやすさなどは料理の性質によって異なるため、料理の盛付作業の作業速度は、料理の性質によって異なることが好ましい。また、料理の盛付作業の作業速度は、作業者及びロボットによって異なることが好ましい。しかしながら従来技術では、このような点を考慮して料理の盛付作業の作業計画を作成していないため、作業計画の精度が低いという問題があった。また、このような点を考慮して作業計画を作成することは、作業計画の作成に慣れていない人にとって困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、作業計画の作成に慣れていない人でも容易に作業計画を作成可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る指令作成装置は、複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成して、前記複数のラインへの指令を行う指令作成装置において、容器への前記複数の料理の前記盛付作業で予定されている予定時間を含む計画情報と、前記盛付作業が可能な前記複数のラインの構成を含むライン構成情報と、前記複数の料理の性質を含む献立情報と、前記複数の料理の前記性質のそれぞれの前記複数のラインの作業速度を含む作業性能情報とを取得する取得部と、前記計画情報、前記ライン構成情報、前記献立情報、及び、前記作業性能情報に基づいて、前記作業計画を作成し、前記作業計画に基づいて前記複数のラインへの指令を作成する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、計画情報、ライン構成情報、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成し、作業計画に基づいて複数のラインへの指令を作成する。このような構成によれば、作業計画の作成に慣れていない人でも容易に作業計画を作成することができる。
【0008】
本開示の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る盛付作業情報を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る計画情報を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係るライン構成情報を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る献立情報を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る作業性能情報を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る作業性能情報を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る作業計画を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る指令作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態1に係る指令作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態2に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】実施の形態2に係る献立情報を示す図である。
【
図13】実施の形態2に係る指令作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態3に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】実施の形態3に係る盛付作業情報を示す図である。
【
図16】実施の形態3に係る献立情報を示す図である。
【
図17】実施の形態3に係る指令作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態4に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図19】実施の形態4に係る指令作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図20】実施の形態5に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
【
図21】実施の形態5に係る監視情報を示す図である。
【
図22】実施の形態5に係る指令作成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図23】その他の変形例に係る指令作成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図24】その他の変形例に係る指令作成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
図1の指令作成装置は、盛付作業入力部1と、計画入力部2と、ライン構成入力部3と、献立記憶部4と、献立入力部5と、作業性能記憶部6と、作業性能入力部7と、工程計画部8と、制御指令作成部9と、通知装置10とを備える。
【0011】
盛付作業入力部1、計画入力部2、ライン構成入力部3、献立入力部5及び作業性能入力部7には、例えば入力装置、各種インターフェース、通信装置などが用いられる。盛付作業入力部1、計画入力部2、ライン構成入力部3、献立入力部5及び作業性能入力部7は、記憶装置、サーバ、及びクラウドなどから各種情報を取得する取得部の概念に含まれる。
【0012】
工程計画部8には、例えば後述する処理回路などが用いられ、制御指令作成部9には、例えば各種インターフェース、及び、通信装置などが用いられる。工程計画部8及び制御指令作成部9は、取得部で取得された各種情報に基づいて情報処理及び制御処理などを行う制御部の概念に含まれる。
【0013】
献立記憶部4及び作業性能記憶部6には、例えば記憶装置などが用いられる。通知装置10は、例えば表示装置及び音声出力装置の少なくともいずれか1つが用いられる。
【0014】
次に、
図1の指令作成装置の各構成要素について詳細に説明する。
【0015】
盛付作業入力部1は、容器への複数の料理の盛付作業を含む盛付作業情報を、指令作成装置の外部から取得する。料理は、加工処理が行われた食品であり、例えばハンバーグ、ソースなどを含む。加工処理は、例えば切断処理、加熱処理、調味処理、及びこれらの組合せなどを含む。盛付作業情報は、例えばライン監督者及び栄養管理士などの献立作成者によって入力される。
【0016】
図2は、本実施の形態1に係る盛付作業情報を示す図である。
図2の盛付作業情報は、商品名と、献立名と、盛付量と、盛付場所と、盛付時の配慮事項とを含む。献立名は、商品名を構成する料理、つまり容器に盛り付けられる料理を特定する情報である。以下の説明では、各種内容を特定するための情報として、各種内容に対して名称及びIDのいずれかが用いられており、どちらが用いられてもよい。盛付量は、容器に盛り付けられる料理の量である。盛付場所は、容器のうち料理が盛り付けられる場所である。盛付時の配慮事項は、容器に料理を盛り付けるときの配慮事項である。なお、盛付作業情報は、盛付場所と、盛付時の配慮事項とを含まなくてもよい。
【0017】
図1の計画入力部2は、容器への複数の料理の盛付作業で予定されている予定時間を含む計画情報を、指令作成装置の外部から取得する。
【0018】
図3は、本実施の形態1に係る計画情報を示す図である。
図3の計画情報は、計画IDと、作業開始予定日時と、作業終了予定日時と、製造品目名と、製造予定数と、ロット番号とを含む。計画IDは、予定されている計画を特定するための情報である。作業開始予定日時から作業終了予定日時までの時間は予定時間に対応する。製造品目名は、
図2の商品名に対応する。製造予定数は、予定時間内に製造が予定されている商品の数である。ロット番号は、出荷先、出荷予定日時及び出荷予定数の組合せを識別するための番号である。なお、計画情報はロット番号を含まなくてもよい。
【0019】
図1のライン構成入力部3は、盛付作業が可能な複数のラインの構成を含むライン構成情報を、指令作成装置の外部から取得する。ラインは、作業者、ロボット、及び、生産設備の少なくともいずれか1つを含む。生産設備はロボットと同じように取り扱うことができるので、以下では生産設備とロボットを区別せずにロボットと記して説明する。
【0020】
図4は、本実施の形態1に係るライン構成情報を示す図である。
図4のライン構成情報は、ラインIDと、稼働開始予定日時と、稼働終了予定日時と、各構成要素とを含む。ラインIDは、ラインを特定する情報である。稼働開始予定日時はラインの稼働の開始が予定されている日時であり、稼働終了予定日時はラインの稼働の終了が予定されている日時である。構成要素はラインを構成する。例えば、
図4のラインIDが「1」であるラインは、作業者A1,A2,A3と、ロボットB1,B2とから構成される。
【0021】
なおライン構成情報は、ロボット及び作業者の能力(例えば処理可能な内容、技能ランク、経験年数など)と、ロボット及び作業者の制限事項(例えば上限速度、就業制限など)と、ロボットの稼働及び作業者の出勤の予定と、作業日のコンディションに関する情報(例えば日常点検結果、稼働前の点検結果、作業者の体調結果など)とを含んでもよい。
【0022】
図1の献立記憶部4は、複数の料理の性質を含む献立情報を記憶し、献立入力部5は、献立記憶部4から献立情報を取得する。
【0023】
図5は、本実施の形態1に係る献立情報を示す図である。
図5の献立情報は、献立名と、性質と、アレルゲン情報と、製造メーカとを含む。献立名は、
図2の献立名に対応する。性質は、献立名が示す料理の性質である。性質は、例えば固形、半固形、袋状及び不定形のいずれかを含む。アレルゲン情報は、献立名が示す料理が各種アレルゲン(例えば卵、乳、小麦など)を含むか否かを示す。製造メーカは、献立名が示す料理の製造メーカである。なお、献立情報は、アレルゲン情報と、製造メーカとを含まなくてもよい。また、性質は、崩れやすさの度合などを含んでもよいし、献立名が示す料理の形状(例えば四角柱状、平板状、球状など)を含んでもよい。例えば図示しないが、ハンバーグAの性質として四角柱状及び半固形が設定され、ハンバーグBの性質として円柱状及び固形が設定されてもよい。
【0024】
図1の作業性能記憶部6は、複数の料理の性質のそれぞれの複数のラインの作業速度を含む作業性能情報を記憶し、作業性能入力部7は、作業性能記憶部6から作業性能情報を取得する。作業性能情報は、各種センサなどの測定結果に基づいて作成されてもよいし、ロボットの仕様書に基づいて作成されてもよい。
【0025】
図6は、本実施の形態1に係る作業性能情報を示す図である。
図6の作業性能情報は、ラインIDと、作業速度とを含む。ラインIDは、
図4のラインIDに対応する。作業速度は、複数の料理の性質のそれぞれに設定されるラインの作業速度である。
図6の例では作業速度は、作業速度の逆数である作業時間で表されているが、もちろん作業速度そのもので表されてもよい。また
図6の例では、ラインの作業速度として、各構成要素の作業速度がそのまま用いられているが、これに限ったものではない。また
図6の例では、料理の性質である固形及び不定形のそれぞれについて、ラインの作業速度が設定されているが、これに限ったものではない。例えば、料理の性質が、崩れやすさの度合と、料理の形状との組合せで表される場合には、その組み合わせのそれぞれに対して、ラインの作業速度が設定されてもよい。
【0026】
なお、作業性能情報は、
図6の情報が得られる情報であれば、
図6の情報に限ったものではない。例えば
図7に示すように、作業性能情報は、
図6の情報の代わりに、構成要素と、導入年月日と、作業速度と、作業用部品と、次回保守点検日とを含んでもよい。構成要素は、
図4の構成要素に対応する。導入年月日は、構成要素がロボットである場合に設定される、当該ロボットの導入年月日である。作業速度は、複数の料理の性質のそれぞれに設定される構成要素の作業速度である。
【0027】
作業用部品は、例えば作業時にロボットに選択的に装着可能なロボットハンドなどの部品を含む。構成要素がロボットである場合、作業速度は、当該ロボットが装着可能な作業用部品ごと及び料理の性質ごとに設定されてもよい。次回保守点検日は、構成要素がロボットである場合に設定される日であり、当該ロボットが次回に保守点検される日である。
図6の情報は、
図7の情報から各ラインについて各ラインの構成要素と、当該構成要素の作業速度を抽出することにより得ることができる。
【0028】
なお、作業性能情報は、導入年月日と、作業用部品と、次回保守点検日とを含まなくてもよい。また、作業性能情報は、ロボットの作業に用いられる設定が変更される時間である設定変更時間の目安を含んでもよい。なお、ライン構成情報が、ロボット及び作業者の能力と、制限事項と、ロボットの稼働及び作業者の出勤の予定と、作業日のコンディションに関する情報とを含んでいる場合に、これらの情報に基づいて、
図6及び
図7の作業速度が適宜変更されてもよい。
【0029】
工程計画部8は、計画情報、ライン構成情報、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成する。また、工程計画部8は、盛付作業情報に基づいて作業計画における盛付作業を決定する。工程計画部8の動作については後で詳細に説明する。
【0030】
図8は、本実施の形態1に係る工程計画部8で作成される作業計画を示す図である。
図8の作業計画は、ラインIDと、工程IDと、作業開始予定日時と、構成要素と、担当献立と、盛付位置とを含む。ラインIDは、
図4のラインIDに対応する。工程IDは、作業計画を特定するための情報である。作業開始予定日時は、作業計画の盛付作業が開始することが予定されている日時である。構成要素は、
図4の構成要素に対応し、作業計画の盛付作業を行う構成要素である。担当献立及び盛付位置は、当該構成要素が盛り付けるべき料理及び位置である。なお、作業計画は、作業開始予定日時を含まなくてもよい。また、作業計画は、作業計画の作業が完了する予定の日時である作業終了予定日時、盛付時の配慮事項、ロボットハンドなどの作業用部品の選定結果を含んでもよい。
【0031】
図1の制御指令作成部9は、工程計画部8で作成された作業計画に基づいて、複数のラインへの指令を作成する。例えば、制御指令作成部9は、複数のラインへの指令として、制御信号を作成する。これにより、ロボットが、制御信号に基づいて作業計画に規定された動作を行ったり、通知装置10が作業計画の内容を表示または音声などによって献立作成者及び作業者に通知したりすることが可能となる。
【0032】
<動作>
図9は、本実施の形態1に係る指令作成装置の全体動作を示すフローチャートである。
【0033】
まずステップS1にて、盛付作業入力部1は盛付作業情報を取得する。ステップS2にて、計画入力部2は計画情報を取得する。ステップS3にて、ライン構成入力部3はライン構成情報を取得する。ステップS4にて、献立入力部5は献立記憶部4から献立情報を取得する。ステップS5にて、作業性能入力部7は作業性能記憶部6から作業性能情報を取得する。なお、ステップS1~ステップS5の順序は、
図9の順序に限ったものではなく、適宜変更されてもよい。
【0034】
ステップS6にて、工程計画部8は、盛付作業情報、計画情報、ライン構成情報、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成する。ステップS7にて、制御指令作成部9は、工程計画部8で作成された作業計画に基づいて、複数のラインへの指令を作成する。その後、
図9の動作が終了する。
【0035】
図10は、本実施の形態1に係る工程計画部8のステップS6の動作を示すフローチャートである。
【0036】
まずステップS11にて、工程計画部8は、盛付作業情報に含まれる盛付作業について、計画情報及び献立情報から情報を抽出する。例えば、
図2のように盛付作業が、レタス、ハンバーグ、デミグラスソースを盛り付けるハンバーグ弁当を示す場合、工程計画部8は、
図3の計画情報からハンバーグ弁当に関する情報と、
図5の献立情報からレタス、ハンバーグ及びデミグラスソースに関する情報を抽出する。
【0037】
工程計画部8は、このように抽出された情報に基づいて、以下の作業計画の作成を行う。このため、献立作成者は、盛付作業情報の入力などによって盛付作業情報を盛付作業入力部1に取得させることにより、献立作成者が望む料理の盛付作業について作業計画を作成することができる。なお以下では説明の便宜上、計画情報及び献立情報から抽出された情報を、計画情報及び献立情報とそのまま記して説明する。
【0038】
ステップS12にて、工程計画部8は、計画情報及びライン構成情報に基づいて、複数の料理について、複数のラインのうちのいずれかのラインを割り当てた暫定作業計画を作成する。例えば工程計画部8は、
図4の稼働開始予定日時から稼働終了予定日時までの時間が、
図3の作業開始予定日時から作業終了予定日時までの時間に含まれるラインと、
図3の製造予定数とを、暫定作業計画の日時に割り当てることにより、暫定作業計画を作成する。
【0039】
ステップS13にて、工程計画部8は、暫定作業計画、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、ラインが暫定作業計画に沿って複数の料理の盛付作業を行った場合の暫定作業時間を求める。例えば、工程計画部8は、暫定作業計画に割り当てられたラインについて、
図6の作業性能情報から、
図5の献立情報の料理の性質に対応する作業速度を読み取る。工程計画部8は、暫定作業計画に割り当てられた製造予定数と、読み取った作業速度とに基づいて、暫定作業時間を求める。
【0040】
一例として、暫定作業計画に、
図4のラインIDが1であるラインが、レタス(固形)、ハンバーグ(固形)及びデミグラスソース(不定形)を含むハンバーグ弁当に割り当てられている場合について説明する。この場合、工程計画部8は、
図6の作業性能情報に設定されている固形の作業速度から作業速度が速い上位2つの固形の作業速度と、不定形の作業速度から作業速度が速い上位1つの作業速度とを読み取る。そして、工程計画部8は、暫定作業計画に割り当てられた製造予定数と、上位2つの固形の作業速度とから、2つの固形の盛付作業にかかる時間を求める。また工程計画部8は、暫定作業計画に割り当てられた製造予定数と、上位1つの不定形の作業速度とから、1つの不定形の盛付作業にかかる時間を求める。それから、工程計画部8は、2つの固形の盛付作業にかかる時間と、1つの不定形の盛付作業にかかる時間とに基づいて、暫定作業時間として求める。例えば、2つの固形の盛付作業と、1つの不定形の盛付作業とが並列的に行われる場合には、工程計画部8は、2つの固形の盛付作業にかかる時間と、1つの不定形の盛付作業にかかる時間とのうち、長い時間を暫定作業時間として求める。例えば、2つの固形の盛付作業と、1つの不定形の盛付作業とが直列的に行われる場合には、工程計画部8は、2つの固形の盛付作業にかかる時間と、1つの不定形の盛付作業にかかる時間との和を、暫定作業時間として求める。
【0041】
ステップS14にて、工程計画部8は、暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たすか否かを判定する。例えば、工程計画部8は、暫定作業時間が、
図3の作業開始予定日時から作業終了予定日時までの時間(つまり予定時間)以下である場合には、暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たすと判定する。一方、工程計画部8は、暫定作業時間が、
図3の作業開始予定日時から作業終了予定日時までの時間(つまり予定時間)より大きい場合には、暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たさないと判定する。暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たさすと判定された場合には処理がステップS16に進み、暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たさないと判定された場合には処理がステップS15に進む。
【0042】
ステップS15にて、工程計画部8は、計画情報及びライン構成情報に基づいて、複数の料理について複数のラインのうち、上記ラインとは別のラインを割り当てた暫定作業計画を作成する。その後、ステップS13に戻る。以上のステップS13からステップS15のループを繰り返すことによって、ステップS16に処理が進む際には、計画情報の予定時間を満たす暫定作業時間が作業計画として作成される。なお、別のラインが存在しない場合には、工程計画部8は、計画情報の予定時間を満たす作業計画を作成できない旨を、通知装置10を介して献立作成者などに通知してもよい。
【0043】
ステップS16にて、工程計画部8は作業計画を保存する。なお、後述する他の実施の形態のように、ステップS16の前に、作業計画における複数の料理の盛付作業の順序が決定されてもよい。その後、
図10の動作が終了する。
【0044】
<実施の形態1のまとめ>
以上のような本実施の形態1に係る指令作成装置によれば、工程計画部8は、計画情報、ライン構成情報、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成する。そして、制御指令作成部9は、作業計画に基づいて複数のラインへの指令を作成する。このような構成によれば、作業計画の作成に慣れていない人であっても、作業計画を容易に作成することができる。また、複数の料理の性質のそれぞれの複数のラインの作業速度を考慮するため、作業計画の精度を高めることができる。
【0045】
また本実施の形態1では、工程計画部8は、盛付作業情報に基づいて作業計画における盛付作業を決定する。このような構成によれば、献立作成者が望む料理の盛付作業について作業計画を作成することができる。なお、料理の盛付作業が固定されているような場合には、盛付作業情報は工程計画部8に用いられなくてもよい。
【0046】
また本実施の形態1では、工程計画部8は、暫定作業計画を作成し、当該暫定作業計画から暫定作業時間を求め、暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たさない場合に、暫定作業計画のラインを別のラインに変更することによって、作業計画を作成する。このような構成によれば、複数の料理の性質のそれぞれの複数のラインの作業速度を考慮するため、作業計画の精度を高めることができる。なお、作業計画の作成は、これに限ったものではない。例えば、工程計画部8は、計画情報、ライン構成情報、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、AI(artificial intelligence)を用いた強化学習を行うことによって、画用計画を作成してもよい。
【0047】
<変形例>
盛付作業入力部1、計画入力部2及びライン構成入力部3は、複数の料理の盛付作業が行われる場所から離れた遠隔地に設けられてもよい。
【0048】
また実施の形態1では、指令作成装置は、献立記憶部4及び作業性能記憶部6を備えたが、献立記憶部4及び作業性能記憶部6は指令作成装置の外部に設けられてもよい。そして、献立入力部5は、献立情報を指令作成装置の外部から取得してもよく、作業性能入力部7は、作業性能情報を指令作成装置の外部から取得してもよい。
【0049】
また実施の形態1では、指令作成装置は、通知装置10を備えたが、通知装置10は指令作成装置の外部に設けられてもよい。
【0050】
また、同じロボットでも、当該ロボットに装着される作業用部品であるロボットハンドが異なれば、当該ロボットの作業速度も異なる。そこで、複数のラインの作業速度は、複数のロボットハンドのそれぞれについてのロボットの作業速度を含んでもよい。そして、工程計画部8が、ラインの作業速度と同様に、ロボットハンドの作業速度を考慮して作業計画を作成することにより、複数のロボットハンドのうちロボットが装着すべきロボットハンドの計画が作業計画に含まれてもよい。また、指令作成装置が、複数のロボットハンドのそれぞれについてのロボットのピッキング成功率のデータを取得することができる場合には、ピッキング成功率に基づいてロボットハンドの作業速度を求めてもよい。
【0051】
なお、本変形例は、以下で説明する実施の形態2以降の実施の形態にも適用可能である。
【0052】
<実施の形態2>
図11は、本実施の形態2に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
図11の指令作成装置は、
図1の指令作成装置に、制御部の概念に含まれる献立案変更部11が追加された構成と同様である。以下、本実施の形態2に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0053】
図12は、本実施の形態2に係る献立情報を示す図である。
図12の献立情報は、
図5の情報を含むだけでなく、複数の料理の原価を含んでいる。献立案変更部11は、第1料理を含む複数の料理について、計画情報を満たす作業計画を工程計画部8で作成できない場合に、献立情報に基づいて、第1料理の原価との差が予め定められた範囲内である第2料理を含む複数の料理を選択する。予め定められた範囲は、例えば第1料理の原価と第2料理の原価とが同等である範囲に設定される。例えば
図12の場合、献立案変更部11は、ケチャップAを含む複数の料理について、計画情報を満たす作業計画を工程計画部8で作成できない場合に、当該複数の料理のケチャップAをケチャップBに置き換えて、ケチャップBを含む複数の料理を選択する。
【0054】
工程計画部8は、献立案変更部11で選択された第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する。工程計画部8の動作については後で詳細に説明する。
【0055】
<動作>
本実施の形態2に係る指令作成装置の全体動作は、実施の形態1に係る指令作成装置の全体動作(
図9参照)と同様である。
図13は、本実施の形態2に係る工程計画部8の、
図9のステップS6の動作を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、
図10のフローチャートにステップS21及びステップS22が追加されたフローチャートと同様であるため、以下ステップS21及びステップS22について主に説明する。
【0056】
ステップS14で暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たさないと判定された後、ステップS21にて、工程計画部8は、全てのラインのそれぞれについて暫定作業計画を作成したか否かを判定する。全てのラインのそれぞれについて暫定作業計画を作成したと判定された場合には処理がステップS22に進み、全てのラインのそれぞれについて暫定作業計画を作成したと判定されなかった場合には処理がステップS15に進む。
【0057】
ステップS22にて、献立案変更部11は、献立情報に基づいて、暫定作業時間の算出に用いられていた複数の料理に含まれる第1料理を、当該第1料理と原価が同等である第2料理に置き換えて、第2料理を含む複数の料理を選択する。その後、処理がステップS12に進む。これにより、工程計画部8は、献立案変更部11で選択された第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する。
【0058】
<実施の形態2のまとめ>
以上のような本実施の形態2に係る指令作成装置によれば、工程計画部8は、第1料理を含む複数の料理について、計画情報を満たす作業計画を作成できない場合に、第1料理の原価との差が予め定められた範囲内である第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する。このような構成によれば、計画情報を満たす作業計画が作成される可能性を高めることができる。
【0059】
<変形例>
実施の形態2において工程計画部8は、第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する場合に、第1料理を含む複数の料理の原価と、第2料理を含む複数の料理の原価とを通知装置10に通知させる制御を行ってもよい。このような構成によれば、献立作成者は、第1料理から第2料理への変更によって原価がどのように変更するのかを容易に知ることができる。
【0060】
<実施の形態3>
図14は、本実施の形態3に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
図14の指令作成装置は、
図1の指令作成装置に、制御部の概念に含まれる栄養素量評価部14が追加された構成と同様である。以下、本実施の形態3に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0061】
図15は、本実施の形態3に係る盛付作業情報を示す図である。
図15の盛付作業情報は、
図2の情報を含むだけでなく、容器への複数の料理の盛付作業の順序を含んでいる。
図15の例では、レタス、ハンバーグ、デミグラスソースの順に容器に盛付作業が行われることが示されている。なお、本実施の形態3では、盛付作業入力部1が、盛付作業の順序を含む盛付作業情報を取得するが、盛付作業入力部1とは異なる入力部が盛付順序を取得してもよい。
【0062】
工程計画部8は、盛付作業情報に含まれる盛付作業の順序に基づいて、作業計画における複数の料理の盛付作業の順序を決定する。工程計画部8の動作については後で詳細に説明する。
【0063】
図16は、本実施の形態3に係る献立情報を示す図である。
図16の献立情報は、
図5の情報を含むだけでなく、複数の料理の栄養素量を含んでいる。
図16の栄養素量は、たんぱく質に関する赤の栄養素量と、野菜に関する緑の栄養素量と、炭水化物に関する黄の栄養素量と、エネルギーの栄養素量とを含む。栄養素量評価部14、第1料理を含む複数の料理について、計画情報を満たす作業計画を工程計画部8で作成できない場合に、献立情報に基づいて、第1料理の栄養素量との差が予め定められた範囲内である第2料理を含む複数の料理を選択する。予め定められた範囲は、例えば第1料理の栄養素量と第2料理の栄養素量とが同等である範囲に設定される。
【0064】
工程計画部8は、献立案変更部11で選択された第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する。工程計画部8の動作については後で詳細に説明する。
【0065】
<動作>
本実施の形態3に係る指令作成装置の全体動作は、実施の形態1に係る指令作成装置の全体動作(
図9参照)と同様である。
図17は、本実施の形態3に係る工程計画部8の、
図9のステップS6の動作を示すフローチャートである。
図17のフローチャートは、
図10のフローチャートにステップS31~ステップS33が追加されたフローチャートと同様であるため、以下ステップS31~ステップS33について主に説明する。
【0066】
ステップS14で暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たさないと判定された後、ステップS31にて、工程計画部8は、全てのラインのそれぞれについて暫定作業計画を作成したか否かを判定する。全てのラインのそれぞれについて暫定作業計画を作成したと判定された場合には処理がステップS32に進み、全てのラインのそれぞれについて暫定作業計画を作成したと判定されなかった場合には処理がステップS15に進む。
【0067】
ステップS32にて、献立案変更部11は、献立情報に基づいて、暫定作業時間の算出に用いられていた複数の料理に含まれる第1料理を、当該第1料理と栄養素量が同等である第2料理に置き換えて、第2料理を含む複数の料理を選択する。その後、処理がステップS12に進む。これにより、工程計画部8は、献立案変更部11で選択された第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する。
【0068】
ステップS14で暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たすと判定された後、ステップS33にて、工程計画部8は、盛付作業情報に含まれる盛付作業の順序に基づいて、作業計画における複数の料理の盛付作業の順序を決定する。この結果、作業計画におけるラインの構成要素の順序が決定される。例えば、
図15のような盛付作業の順序が取得されていた場合を想定する。この場合、工程計画部8は、ラインの構成要素について、レタスに割り当てられた構成要素、ハンバーグに割り当てられた構成要素、デミグラスソースに割り当てられた構成要素がこの順に作業するように、作業計画におけるラインの構成要素の作業の順序を変更する。その後、処理がステップS16に進む。
【0069】
<実施の形態3のまとめ>
以上のような本実施の形態3に係る指令作成装置によれば、工程計画部8は、盛付作業の順序に基づいて、作業計画における複数の料理の盛付作業の順序を決定する。このような構成によれば、作業計画における盛付作業の順序を、献立作成者が望む盛付作業の順序にすることができる。なお、料理の盛付作業の順序が固定されているような場合には、盛付作業の順序は工程計画部8に用いられなくてもよい。
【0070】
また本実施の形態3では、工程計画部8は、第1料理を含む複数の料理について、計画情報を満たす作業計画を作成できない場合に、第1料理の栄養素量との差が予め定められた範囲内である第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する。このような構成によれば、計画情報を満たす作業計画が作成される可能性を高めることができる。
【0071】
<変形例>
工程計画部8は、第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する場合に、第1料理を含む複数の料理の栄養素量と、第2料理を含む複数の料理の栄養素量とを通知装置10に通知させる制御を行ってもよい。このような構成によれば、献立作成者は、第1料理から第2料理への変更によって栄養素量がどのように変更するのかを容易に知ることができる。
【0072】
また、実施の形態3及びその変形例は、実施の形態2及びその変形例に適用してもよい。つまり、工程計画部8は、第2料理を含む複数の料理について作業計画を作成する場合に、第1料理を含む複数の料理の原価及び栄養素量と、第2料理を含む複数の料理の原価及び栄養素量とを通知装置10に通知させる制御を行ってもよい。
【0073】
<実施の形態4>
図18は、本実施の形態4に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
図18の指令作成装置は、
図1の指令作成装置に、制御部の概念に含まれるライン構成提案部17が追加された構成と同様である。以下、本実施の形態4に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0074】
例えば、第1ロボットから第2ロボットに、料理が盛り付けられる容器を自動的に搬送できない場合には、第1ロボットの盛付作業と第2ロボット盛付作業との間に、作業員の盛付作業が行われることが好ましい。一方、第1ロボットに、第1ロボットの可動範囲として作業員の立入禁止範囲が設定されている場合には、第1ロボットの盛付作業の後に、作業員の盛付作業を行わずに第2ロボットの盛付作業が行われることが好ましい。
【0075】
そこで、ライン構成提案部17は、ライン構成情報に基づいて、作業計画における複数の料理の盛付作業の順序を決定する。なおライン構成情報は、例えば第1ロボットが第2ロボットとの間で自動搬送できるか否かの情報、及び、第1ロボットに立入禁止範囲が設定されているか否かの情報を含む。そして、ライン構成提案部17は、第1ロボットが第2ロボットとの間で自動搬送できないことがライン構成情報で示されている場合に、第1ロボットの盛付作業と第2ロボットの盛付作業との間に、作業員の盛付作業を割り当てる。また、ライン構成提案部17は、第1ロボットに立入禁止範囲が設定されていることがライン構成情報で示されている場合に、第1ロボットの盛付作業の後に、作業員の盛付作業ではなく第2ロボットの盛付作業を割り当てる。
【0076】
<動作>
本実施の形態4に係る指令作成装置の全体動作は、実施の形態1に係る指令作成装置の全体動作(
図9参照)と同様である。
図19は、本実施の形態4に係る工程計画部8の、
図9のステップS6の動作を示すフローチャートである。
図19のフローチャートは、
図10のフローチャートにステップS41が追加されたフローチャートと同様であるため、以下ステップS41について主に説明する。
【0077】
ステップS14で暫定作業時間が計画情報の予定時間を満たすと判定された後、ステップS41にて、工程計画部8は、ライン構成情報に基づいて、作業計画における複数の料理の盛付作業の順序を決定する。この結果、作業計画におけるラインの構成要素の順序が決定される。その後、処理がステップS16に進む。
【0078】
<実施の形態4のまとめ>
以上のような本実施の形態4に係る指令作成装置によれば、ライン構成提案部17は、ライン構成情報に基づいて、作業計画における複数の料理の盛付作業の順序を決定する。このような構成によれば、作業計画における盛付作業の順序を、ラインの構成に適した順序にすることができる。
【0079】
<変形例>
以上の説明では、ライン構成情報は、第1ロボットが第2ロボットとの間で自動搬送できるか否かの情報、及び、第1ロボットに立入禁止範囲が設定されているか否かの情報を含んだが、これに限ったものではない。例えば、ライン構成情報は、第1ラインの作業動線と、第2ラインの作業動線とが部分的に重なるか否かの情報を含んでもよい。以下、第1ラインの作業動線と第2ラインの作業動線とが重なる部分を重複部分と記す。
【0080】
この場合に、ライン構成提案部17は、ライン構成情報が重複部分の存在を示している場合に、第1ライン及び第2ラインの作業計画と各構成要素の作業速度とに基づいて、第1ライン及び第2ラインの構成要素ごとの作業時間を求めてもよい。そして、ライン構成提案部17は、第1ラインが重複部分を用いる時間と、第2ラインが重複部分を用いる時間とが重ならないように、第1ライン及び第2ラインにおける複数の料理の盛付作業の順序を決定してもよい。
【0081】
<実施の形態5>
図20は、本実施の形態5に係る指令作成装置の構成を示すブロック図である。
図20の指令作成装置は、
図1の指令作成装置に、監視内容記憶部20と、監視内容入力部21と、監視内容計画部22と、監視実行部23とが追加された構成と同様である。監視内容入力部21は取得部の概念に含まれ、監視内容計画部22及び監視実行部23は制御部の概念に含まれる。以下、本実施の形態5に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0082】
監視内容記憶部20は、複数の料理の少なくともいずれか1つと監視内容とが予め対応付けられた監視情報を記憶し、監視内容入力部21は、監視内容記憶部20から監視情報を取得する。
【0083】
図21は、本実施の形態5に係る監視情報を示す図である。
図21の対応情報は、商品名と、監視対象と、監視内容とを含む。商品名は、
図2の商品名に対応する。監視対象は、
図2の献立名、つまり料理に対応する。監視対象には、監視項目、下限値及び上限値を含む監視内容が対応付けられている。監視内容は、例えばHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)などの各種法令及び各種ガイドラインに基づいて予め設定される。なお、対応情報は、監視重要度と、監視しない内容に関する情報とを含んでもよい。
【0084】
監視内容計画部22は、監視内容入力部21で取得された監視情報に基づいて、作業計画における複数の料理の少なくともいずれか1つの監視内容を決定する。例えば、
図21のような監視情報が取得され、かつ、作業計画においてハンバーグの盛付作業が割り当てられている場合には、監視内容計画部22は、ハンバーグの温度が80℃であることを監視するという監視内容を決定し、作業計画に付加する。
【0085】
図20の監視実行部23は、作業計画に付加された監視内容に基づいて監視を行う。監視実行部23は、検視結果が監視内容を満たさない場合に、その旨を通知装置10に通知させる制御を行ってもよい。また、監視実行部23は、監視結果を監視内容記憶部20に記憶してもよい。
【0086】
<動作>
図22は、本実施の形態5に係る指令作成装置の全体動作を示すフローチャートである。
図22のフローチャートは、
図9のフローチャートにステップS51が追加され、ステップS7をステップS52及びステップS53に変更したフローチャートと同様であるため、以下ステップS51~ステップS53について主に説明する。
【0087】
ステップS5の後、ステップS51にて、監視内容入力部21は監視内容記憶部20から監視情報を取得する。なお、ステップS1~ステップS5及びステップS51の順序は、
図22の順序に限ったものではなく、適宜変更されてもよい。その後、処理がステップS6に進み、工程計画部8は作業計画を作成する。
【0088】
ステップS6の後、ステップS52にて、監視内容計画部22は、監視内容入力部21で取得された監視情報に基づいて、作業計画における複数の料理の少なくともいずれか1つの監視内容を決定する。
【0089】
ステップS53にて、制御指令作成部9は、工程計画部8で作成された作業計画に基づいて、複数のラインへの指令を作成する。監視実行部23は、工程計画部8で作成された作業計画に付加された監視内容に基づいて監視を行う。その後、
図22の動作が終了する。
【0090】
<実施の形態5のまとめ>
以上のような本実施の形態5に係る指令作成装置によれば、監視内容計画部22は、監視情報に基づいて、作業計画における複数の料理の少なくともいずれか1つの監視内容を決定する。このような構成によれば、作業計画における複数の料理の少なくともいずれか1つについて適切に監視を行うことができる。
【0091】
<変形例>
監視情報は、保健所などで監督され、保健所などと相談して作成される衛生管理計画に基づいて自動的に生成されてもよい。以下その一例について説明する。
【0092】
指令作成装置が、過去の衛生管理計画に基づいて、料理ごとに重要監視内容を設定し、重要監視内容の設定回数に基づいて衛生リスク指標を設定する。例えば、指令作成装置は、重要監視内容の設定回数が多いほど衛生リスク指標が大きくなるように、衛生リスク指標を設定する。そして、指令作成装置は、衛生リスク指標が最も高い、または、衛生リスク指標が閾値以上である重要監視内容を、監視情報の監視内容として設定することにより、監視情報を生成する。このような構成によれば、人が監視情報を作成する手間及び時間を削減することができる。
【0093】
なお、作成指令装置は、盛付作業を行うラインの構成要素に基づいて衛生リスク指標を変更してもよい。例えば、食材の取り扱いを作業者からロボットへ変更することで衛生リスクが下がる場合がある。そこで、指令作成装置は、当該食材の担当がロボットに設定された場合に衛生リスク指標を小さくなるように変更してもよい。
【0094】
<その他の変形例>
上述した取得部及び制御部を、以下「取得部等」と記す。取得部等は、
図23の処理回路81により実現される。すなわち、処理回路81は、容器への複数の料理の盛付作業で予定されている予定時間を含む計画情報と、盛付作業が可能な複数のラインの構成を含むライン構成情報と、複数の料理の性質を含む献立情報と、複数の料理の性質のそれぞれの複数のラインの作業速度を含む作業性能情報とを取得する取得部と、計画情報、ライン構成情報、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成し、作業計画に基づいて複数のラインへの指令を作成する制御部と、を備える。処理回路81には、専用のハードウェアが適用されてもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されてもよい。プロセッサには、例えば、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
【0095】
処理回路81が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。取得部等の各部の機能それぞれは、処理回路を分散させた回路で実現されてもよいし、各部の機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
【0096】
処理回路81がプロセッサである場合、取得部等の機能は、ソフトウェア等との組み合わせにより実現される。なお、ソフトウェア等には、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェア及びファームウェアが該当する。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。
図24に示すように、処理回路81に適用されるプロセッサ82は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、指令作成装置は、処理回路81により実行されるときに、容器への複数の料理の盛付作業で予定されている予定時間を含む計画情報と、盛付作業が可能な複数のラインの構成を含むライン構成情報と、複数の料理の性質を含む献立情報と、複数の料理の性質のそれぞれの複数のラインの作業速度を含む作業性能情報とを取得するステップと、計画情報、ライン構成情報、献立情報、及び、作業性能情報に基づいて、複数の料理について複数のラインが盛付作業を行うための作業計画を作成し、作業計画に基づいて複数のラインへの指令を作成するステップと、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ83を備える。換言すれば、このプログラムは、取得部等の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、それらのドライブ装置、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0097】
以上、取得部等の各機能が、ハードウェア及びソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、取得部等の一部を専用のハードウェアで実現し、別の一部をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば、取得部については専用のハードウェアとしての処理回路81、インターフェースなどの取得サーキットリーなどでその機能を実現し、それ以外についてはプロセッサ82としての処理回路81がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0098】
以上のように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0099】
また、以上で説明した指令作成装置は、情報処理装置と、携帯電話、スマートフォン及びタブレットなどの携帯端末を含む通信端末と、情報処理装置及び通信端末の少なくとも1つにインストールされるアプリケーションの機能と、サーバとを適宜に組み合わせてシステムとして構築される指令作成システムにも適用することができる。この場合、以上で説明した指令作成装置の各機能あるいは各構成要素は、前記システムを構築する各機器に分散して配置されてもよいし、いずれかの機器に集中して配置されてもよい。
【0100】
なお、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0101】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が、想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0102】
1 盛付作業入力部、2 計画入力部、3 ライン構成入力部、5 献立入力部、7 作業性能入力部、8 工程計画部、9 制御指令作成部、10 通知装置、11 献立案変更部、14 栄養素量評価部、17 ライン構成提案部、21 監視内容入力部、22 監視内容計画部、23 監視実行部。