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特許7566218ベアリングレスモータ制御装置、ベアリングレスモータ制御システム、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ベアリングレスモータ制御装置、ベアリングレスモータ制御システム、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/16 20160101AFI20241004BHJP
【FI】
H02P6/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024542386
(86)(22)【出願日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2024010540
【審査請求日】2024-07-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】上野 将
(72)【発明者】
【氏名】稲妻 一哉
(72)【発明者】
【氏名】林 佑磨
(72)【発明者】
【氏名】青木 成憲
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴英
(72)【発明者】
【氏名】戸田 星奈
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-306785(JP,A)
【文献】国際公開第2022/224381(WO,A1)
【文献】特開2019-083654(JP,A)
【文献】特開2015-171165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P6/00-6/34
21/00-25/03
25/04
25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアリングレスモータが有する回転子の回転位置を制御する電動機コントローラと、
前記回転子の半径方向の位置である半径方向位置を制御する半径方向位置コントローラと、
を備え、
前記電動機コントローラは、前記回転子における前記回転位置の情報である回転位置情報を検出する回転位置センサから前記回転位置情報を受信し、前記回転位置情報に基づいて、前記回転子の回転位置を制御し、
前記半径方向位置コントローラは、前記回転位置センサから前記回転位置情報を受信し、前記回転子における前記半径方向位置の情報である半径方向位置情報を検出する半径方向位置センサから前記半径方向位置情報を受信し、前記回転位置情報および前記半径方向位置情報に基づいて、前記回転子の半径方向位置を制御し、
前記電動機コントローラは、前記回転子の回転位置を制御できない故障を検出した場合、制御異常を示す第1の制御異常通知を、前記半径方向位置コントローラに送信し、
前記半径方向位置コントローラは、前記第1の制御異常通知を受信すると、前記回転位置情報および前記半径方向位置情報に基づいて、前記回転子の回転軸の軸方向の位置を制御する、
ことを特徴とするベアリングレスモータ制御装置。
【請求項2】
前記電動機コントローラと前記半径方向位置コントローラとは、それぞれ独立したハードウェア構成を有し、前記半径方向位置コントローラは、前記電動機コントローラが実行する制御とは独立した制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のベアリングレスモータ制御装置。
【請求項3】
前記半径方向位置コントローラは、前記第1の制御異常通知を受信した場合、前記回転位置情報および前記半径方向位置情報に基づいて、前記回転子が固定子から落下しないように前記回転軸の軸方向の位置を制御する、
ことを特徴とする請求項に記載のベアリングレスモータ制御装置。
【請求項4】
前記半径方向位置コントローラは、前記半径方向位置を制御できない故障を検出した場合、制御異常を示す第2の制御異常通知を、前記電動機コントローラに送信し、
前記電動機コントローラは、前記第2の制御異常通知を受信すると、前記回転位置情報に基づいて、前記回転子の半径方向位置を制御する、
ことを特徴とする請求項1または3に記載のベアリングレスモータ制御装置。
【請求項5】
前記電動機コントローラは、前記第2の制御異常通知を受信した場合、前記回転子を停止する制御をする、
ことを特徴とする請求項に記載のベアリングレスモータ制御装置。
【請求項6】
ベアリングレスモータと、
前記ベアリングレスモータが有する回転子の回転位置を制御する電動機コントローラと、
前記回転子の半径方向の位置である半径方向位置を制御する半径方向位置コントローラと、
前記回転子における前記回転位置の情報である回転位置情報を検出する回転位置センサと、
前記回転子における前記半径方向位置の情報である半径方向位置情報を検出する半径方向位置センサと、
を備え、
前記電動機コントローラは、前記回転位置センサから前記回転位置情報を受信し、前記回転位置情報に基づいて、前記回転子の回転位置を制御し、
前記半径方向位置コントローラは、前記回転位置センサから前記回転位置情報を受信し、前記半径方向位置センサから前記半径方向位置情報を受信し、前記回転位置情報および前記半径方向位置情報に基づいて、前記回転子の半径方向位置を制御し、
前記電動機コントローラは、前記回転子の回転位置を制御できない故障を検出した場合、制御異常を示す第1の制御異常通知を、前記半径方向位置コントローラに送信し、
前記半径方向位置コントローラは、前記第1の制御異常通知を受信すると、前記回転位置情報および前記半径方向位置情報に基づいて、前記回転子の回転軸の軸方向の位置を制御する、
ことを特徴とするベアリングレスモータ制御システム。
【請求項7】
ベアリングレスモータが有する回転子の回転位置の情報である回転位置情報を検出する回転位置センサから前記回転位置情報を受信する第1の受信ステップと、
前記回転子の半径方向の位置の情報である半径方向位置情報を検出する半径方向位置センサから前記半径方向位置情報を受信する第2の受信ステップと、
前記回転位置情報および前記半径方向位置情報に基づいて、前記回転子の半径方向位置を制御する第1の制御ステップと、
電動機コントローラから、前記電動機コントローラが前記回転子の回転位置を制御できない故障を検出したことを示す制御異常通知を受信すると、前記回転位置情報および前記半径方向位置情報に基づいて、前記回転子の回転軸の軸方向の位置を制御する第2の制御ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベアリングレスモータを制御するベアリングレスモータ制御装置、ベアリングレスモータ制御システム、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ベアリングレスモータを制御するベアリングレスモータ制御装置は、回転子の回転方向の駆動を制御する電動機コントローラと、回転子の半径方向の位置(回転軸の支持)を制御する半径方向位置コントローラとで構成されている。ベアリングレスモータ制御装置では、回転子の回転方向の駆動を制御する処理と、回転子の半径方向の位置を制御する処理とが協調して実行される必要がある。
【0003】
このため、半径方向位置コントローラは、電動機コントローラのインバータが出力する回転磁界の回転角度位置(磁束の指令値)に基づいて、回転子の半径方向の位置を制御する電流を決定することで、電動機コントローラとの間で協調処理を行っていた。
【0004】
特許文献1に記載のベアリングレス回転機システムは、半径方向位置コントローラが、電動機コントローラによる制御によってトルクを発生させる巻線の端子電圧および電流に基づいて回転磁界の回転角度位置を算出し、算出した回転角度位置に基づいて回転子の半径方向の位置を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-258290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、電動機コントローラが故障した場合、半径方向位置コントローラは、トルクを発生させる巻線から正確な端子電圧および電流を検出することができず、回転子の半径方向の位置を制御できなくなるという問題があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、電動機コントローラが故障した場合であっても回転子の半径方向の位置を制御できるベアリングレスモータ制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示のベアリングレスモータ制御装置は、ベアリングレスモータが有する回転子の回転位置を制御する電動機コントローラと、回転子の半径方向の位置である半径方向位置を制御する半径方向位置コントローラと、を備える。電動機コントローラは、回転子における回転位置の情報である回転位置情報を検出する回転位置センサから回転位置情報を受信し、回転位置情報に基づいて、回転子の回転位置を制御する。半径方向位置コントローラは、回転位置センサから回転位置情報を受信し、回転子における半径方向位置の情報である半径方向位置情報を検出する半径方向位置センサから半径方向位置情報を受信し、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子の半径方向位置を制御する。電動機コントローラは、回転子の回転位置を制御できない故障を検出した場合、制御異常を示す第1の制御異常通知を、半径方向位置コントローラに送信し、半径方向位置コントローラは、第1の制御異常通知を受信すると、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子の回転軸の軸方向の位置を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかるベアリングレスモータ制御装置は、電動機コントローラが故障した場合であっても回転子の半径方向の位置を制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかるベアリングレスモータ制御システムの構成を示す図
図2】実施の形態1にかかるベアリングレスモータの構成を示す図
図3】実施の形態1にかかる半径方向位置コントローラの構成を示す図
図4】実施の形態1にかかる半径方向位置コントローラが半径方向位置を制御する処理の処理手順を示すフローチャート
図5】実施の形態1にかかる電動機コントローラが回転位置を制御する処理の処理手順を示すフローチャート
図6】実施の形態2にかかるベアリングレスモータ制御システムの構成を示す図
図7】実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラの構成を示す図
図8】実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが半径方向位置を制御する処理の第1例の処理手順を示すフローチャート
図9】実施の形態2にかかる電動機コントローラが回転位置を制御する処理の第1例の処理手順を示すフローチャート
図10】実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが半径方向位置を制御する処理の第2例の処理手順を示すフローチャート
図11】実施の形態2にかかる電動機コントローラが回転位置を制御する処理の第2例の処理手順を示すフローチャート
図12】実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図
図13】実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態にかかるベアリングレスモータ制御装置、ベアリングレスモータ制御システム、および制御プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるベアリングレスモータ制御システムの構成を示す図である。ベアリングレスモータ制御システム1Aは、ベアリングレスモータ30を制御するシステムである。
【0013】
ベアリングレスモータ制御システム1Aは、ベアリングレスモータ制御装置2Aと、ベアリングレスモータ30と、回転位置センサ31と、半径方向位置センサ32とを備えている。
【0014】
ベアリングレスモータ制御装置2Aは、ベアリングレスモータ30を制御するコンピュータである。ベアリングレスモータ制御装置2Aは、半径方向位置コントローラ(駆動軸支持アンプ)10Aと、電動機コントローラ(駆動軸回転アンプ)20とを有している。
【0015】
半径方向位置コントローラ10Aと、電動機コントローラ20とは、独立したハードウェア構成となっている。すなわち、半径方向位置コントローラ10Aは、電動機コントローラ20が実行する制御とは、独立した制御を実行する。半径方向位置コントローラ10Aと電動機コントローラ20とは、独立したハードウェア構成となっているので、電動機コントローラ20が故障した場合であっても、半径方向位置コントローラ10Aは、電動機コントローラ20とは独立して動作を継続する。半径方向位置コントローラ10Aと、電動機コントローラ20とは、異なる筐体に配置されてもよいし、異なる基板上に配置されてもよい。
【0016】
ベアリングレスモータ30は、機械的軸受であるベアリングを用いずに磁気力によって非接触でベアリングレスモータ30が具備する回転軸を支持するモータである。以下、ベアリングレスモータ30が具備する回転軸を、単に回転軸という場合がある。
【0017】
ベアリングレスモータ30は、半径方向位置コントローラ10Aおよび電動機コントローラ20に接続されている。ベアリングレスモータ30には、回転位置センサ31および半径方向位置センサ32が配置されている。
【0018】
回転位置センサ31は、ベアリングレスモータ30が有する回転子(後述する回転子36)における回転位置(回転角度位置)の情報である回転位置情報を検出する。回転位置情報は、回転子36の回転軸の回転位置を示す情報であってもよいし、回転磁界の位置を示す情報であってもよい。
【0019】
回転位置センサ31は、半径方向位置コントローラ10Aおよび電動機コントローラ20に接続されている。このように、実施の形態1のベアリングレスモータ制御システム1Aは、回転位置情報を検出する回転位置センサ31が、半径方向位置コントローラ10Aと電動機コントローラ20との両方に接続されている。回転位置センサ31は、検出した回転位置情報を半径方向位置コントローラ10Aおよび電動機コントローラ20に送信する。
【0020】
半径方向位置センサ32は、ベアリングレスモータ30が有する回転子(後述する回転子36)の固定子35に対する半径方向の位置の情報である半径方向位置情報を検出する。回転子36の半径方向は、回転軸に垂直な平面(後述するXY平面)に平行な方向である。したがって、半径方向位置は、XY平面に平行な面内におけるX座標およびY座標で示される。半径方向位置センサ32は、半径方向位置コントローラ10Aに接続されている。半径方向位置センサ32は、検出した半径方向位置情報を半径方向位置コントローラ10Aに送信する。
【0021】
電動機コントローラ20は、ベアリングレスモータ30が備える巻線(図示せず)のうち、回転軸の回転方向に力(トルク)を発生させる巻線(トルク発生巻線)(図示せず)に接続されている。電動機コントローラ20は、回転位置センサ31から回転位置情報を受信する。
【0022】
電動機コントローラ20は、回転位置情報に基づいて、ベアリングレスモータ30が具備する回転子36の回転軸の回転動作を制御する。すなわち、電動機コントローラ20は、回転位置情報に基づいて、ベアリングレスモータ30の回転軸の回転位置(回転方向位置)を制御する。電動機コントローラ20は、回転軸の回転位置を制御するための電流をトルク発生巻線に出力する。
【0023】
半径方向位置コントローラ10Aは、ベアリングレスモータ30が備える巻線のうち、回転子36の半径方向に力を発生させる巻線(半径方向力発生巻線)に接続されている。半径方向位置コントローラ10Aは、回転位置センサ31から回転位置情報を受信し、半径方向位置センサ32から半径方向位置情報を受信する。
【0024】
半径方向位置コントローラ10Aは、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子36の固定子35に対する半径方向位置を制御する。半径方向位置コントローラ10Aは、回転子36の半径方向の位置を制御するための電流を半径方向力発生巻線に出力する。このように、ベアリングレスモータ制御システム1Aでは、回転軸の回転位置と、回転子36の半径方向位置とが制御される。
【0025】
実施の形態1では、半径方向位置コントローラ10Aが、回転位置センサ31から回転位置情報を受信しているので、電動機コントローラ20が故障して電動機コントローラ20が回転位置を制御できなくなった場合であっても、半径方向位置コントローラ10Aは、回転子36の半径方向位置の制御を継続することができる。
【0026】
ところで、従来の電動機コントローラのように、電動機コントローラが回転位置情報を半径方向位置コントローラに提供する場合、従来の電動機コントローラは、回転位置情報を半径方向位置コントローラに提供できるコントローラである必要がある。実施の形態1では、電動機コントローラ20は、回転位置情報を半径方向位置コントローラ10Aに提供しなくてもよいので、電動機コントローラ20はベアリングを有したモータに適用されるコントローラであってもよい。すなわち、電動機コントローラ20は、ベアリングレスモータ30専用のコントローラでなくてもよい。
【0027】
なお、回転位置情報が回転磁界の位置を示す情報である場合、電動機コントローラ20および半径方向位置コントローラ10Aは、回転位置情報に基づいて、回転磁界の位置に対応する回転位置を算出する。
【0028】
図2は、実施の形態1にかかるベアリングレスモータの構成を示す図である。なお、以下では、ベアリングレスモータ30の回転軸C1の軸方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な2つの軸であって互いに直交する2つの軸をX軸およびY軸とする。図2では、ベアリングレスモータ30をXY平面に平行な面で切断してZ軸方向から見た場合のベアリングレスモータ30の断面図を示している。
【0029】
ベアリングレスモータ30は、固定子(ベアリングレスモータ固定子)35と、回転子(ベアリングレスモータ回転子)36とを備えている。固定子35および回転子36は、Z軸方向から見た場合、回転軸C1を同心円とした円環状となっている。すなわち、固定子35および回転子36は、XY平面に平行な面で切断した場合の断面形状が円環状である。固定子35および回転子36は、Z軸方向に延設された筒状をなしている。
【0030】
固定子35は、回転子36を囲う位置に配置されている。固定子35および回転子36は、固定子35のZ軸方向に延びる内壁面と、回転子36のZ軸方向に延びる外壁面とが対向するように配置されている。
【0031】
電動機コントローラ20は、回転位置情報に基づいて回転軸C1の回転位置を制御することで、回転軸C1のXY平面内における回転角度(角度θ)を制御する。電動機コントローラ20は、トルク発生巻線に回転位置情報に応じた電流を出力することで、回転子36(すなわち回転軸C1)の回転位置を制御する。
【0032】
また、電動機コントローラ20は、回転子36に対してZ軸方向に力を発生させることが可能な構成となっている。電動機コントローラ20は、回転位置情報に基づいて回転子36のZ軸方向の位置を制御する。電動機コントローラ20は、トルク発生巻線に回転位置情報に応じた電流を出力することで、回転子36のZ軸方向の位置を制御する。電動機コントローラ20が発生させるZ軸方向の力は、回転子36に重力方向(Z軸方向)に負荷がかかった場合であっても、回転子36を固定子35から落下させない役割がある。
【0033】
電動機コントローラ20は、ベアリングレスモータ30に対して弱め磁束制御または強め磁束制御を実行することで、回転子36のZ軸方向の位置(回転軸C1の軸方向の位置)を制御する。電動機コントローラ20は、トルク発生巻線に出力する電流の大きさを制御することで弱め磁束制御および強め磁束制御を実行する。
【0034】
半径方向位置コントローラ10Aは、回転位置センサ31から回転位置情報を受信し、半径方向位置センサ32から半径方向位置情報(X軸方向およびY軸方向の位置)を受信する。半径方向位置コントローラ10Aは、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子36のX軸方向およびY軸方向の位置を制御する。半径方向位置コントローラ10Aは、半径方向力発生巻線に、回転位置情報および半径方向位置情報に応じた電流を出力することで、回転子36のX軸方向およびY軸方向の位置を制御する。
【0035】
図3は、実施の形態1にかかる半径方向位置コントローラの構成を示す図である。半径方向位置コントローラ10Aは、回転位置入力部11と、半径方向位置入力部12と、制御部13とを備えている。
【0036】
回転位置入力部11は、回転位置センサ31に接続され、半径方向位置入力部12は、半径方向位置センサ32に接続されている。制御部13は、ベアリングレスモータ30に接続されている。
【0037】
回転位置入力部11は、回転位置センサ31から回転位置情報を受け付けて制御部13に送る。半径方向位置入力部12は、半径方向位置センサ32から半径方向位置情報を受け付けて制御部13に送る。
【0038】
制御部13は、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、ベアリングレスモータ30の半径方向位置を制御する。制御部13は、ベアリングレスモータ30の半径方向位置が、回転位置情報および半径方向位置情報に応じた位置となるように、ベアリングレスモータ30の半径方向位置を制御する。制御部13は、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子36が固定子35に接触しないように、回転子36のX軸方向およびY軸方向の位置を制御する。
【0039】
図4は、実施の形態1にかかる半径方向位置コントローラが半径方向位置を制御する処理の処理手順を示すフローチャートである。半径方向位置コントローラ10Aの回転位置入力部11は、回転位置センサ31から回転位置情報を受信する(ステップS110)。半径方向位置コントローラ10Aの半径方向位置入力部12は、半径方向位置センサ32から半径方向位置情報を受信する(ステップS120)。半径方向位置コントローラ10Aの制御部13は、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、ベアリングレスモータ30の半径方向位置を制御する(ステップS130)。
【0040】
図5は、実施の形態1にかかる電動機コントローラが回転位置を制御する処理の処理手順を示すフローチャートである。電動機コントローラ20は、回転位置センサ31から回転位置情報を受信する(ステップS210)。電動機コントローラ20は、回転位置情報に基づいて、ベアリングレスモータ30の回転位置を制御する(ステップS220)。
【0041】
ベアリングレスモータ制御システム1Aでは、電動機コントローラ20が故障して電動機コントローラ20が回転位置を制御できなくなる場合がある。例えば、電動機コントローラ20が備えるインバータ(図示せず)が故障し、電動機コントローラ20が、トルク発生巻線に回転位置を制御するための電流を出力できない場合がある。このような場合であっても、実施の形態1では、半径方向位置コントローラ10Aが、回転位置センサ31から回転位置情報を受信している。このため、電動機コントローラ20が回転位置を制御できなくなった場合であっても、半径方向位置コントローラ10Aは、回転軸C1の半径方向位置の制御を継続することができる。
【0042】
このように実施の形態1によれば、半径方向位置コントローラ10Aが、回転位置センサ31から回転位置情報を受信しているので、電動機コントローラ20が故障した場合であっても、半径方向位置コントローラ10Aは、回転位置センサ31から受信した回転位置情報に基づいて、回転軸C1の半径方向位置の制御を継続できる。これにより、半径方向位置コントローラ10Aは、ベアリングレスモータ30が備える固定子35と回転子36とが接触することを防止することができるので、ベアリングレスモータ30が損傷することを防止できる。
【0043】
また、半径方向位置コントローラ10Aは、ベアリングレスモータ30が損傷することを防止できるので、損傷によるパーティクルの発生を防止でき、ベアリングレスモータ30が汚染されることを防止できる。また、ベアリングレスモータ制御システム1Aに対しては、電動機コントローラ20が故障した場合に、電動機コントローラ20の交換のみでベアリングレスモータ30を再利用できる。
【0044】
実施の形態2.
つぎに、図6から図11を用いて実施の形態2について説明する。実施の形態2では、半径方向位置コントローラ(後述する半径方向位置コントローラ10B)と電動機コントローラ20との間で制御異常を通知し合う。半径方向位置コントローラ10Bは、制御異常を受け付けた場合、回転位置センサ31から受信した回転位置情報に基づいて、回転子36が固定子35から落下することを防止する。また、電動機コントローラ20は、制御異常を受け付けた場合、回転位置センサ31から受信した回転位置情報に基づいて、回転子36が固定子35に接触することを防止する。
【0045】
図6は、実施の形態2にかかるベアリングレスモータ制御システムの構成を示す図である。図6の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1のベアリングレスモータ制御システム1Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0046】
実施の形態2のベアリングレスモータ制御システム1Bは、ベアリングレスモータ制御システム1Aと同様に、ベアリングレスモータ30を制御するシステムである。ベアリングレスモータ制御システム1Bは、ベアリングレスモータ制御システム1Aと比較して、ベアリングレスモータ制御装置2Aの代わりにベアリングレスモータ制御装置2Bを備えている。
【0047】
ベアリングレスモータ制御装置2Bは、半径方向位置コントローラ10Bと、電動機コントローラ20と、異常通信線41とを有している。ベアリングレスモータ制御システム1Bでも、ベアリングレスモータ制御システム1Aと同様に、半径方向位置コントローラ10Bと、電動機コントローラ20とは、独立したハードウェア構成となっている。すなわち、半径方向位置コントローラ10Bは、電動機コントローラ20が実行する制御とは、独立した制御を実行する。
【0048】
異常通信線41は、半径方向位置コントローラ10Bと電動機コントローラ20とを接続する通信線である。異常通信線41を用いた通信は、何れの通信方法であってもよい。異常通信線41を用いた通信は、例えば、汎用IO(Input Output)を用いた通信であってもよいし、各種ネットワークを用いた通信であってもよい。
【0049】
電動機コントローラ20は、電動機コントローラ20が回転位置を制御できなくなるような制御異常が発生した際に、異常通信線41を介して、半径方向位置コントローラ10Bに異常を通知する。
【0050】
半径方向位置コントローラ10Bは、半径方向力発生巻線を介してZ軸方向に力を発生させることが可能な構成となっている。半径方向位置コントローラ10Bは、ベアリングレスモータ30に対して弱め磁束制御または強め磁束制御を実行することで、回転子36のZ軸方向の位置を制御する。
【0051】
半径方向位置コントローラ10Bは、電動機コントローラ20から制御異常を示す制御異常通知(第1の制御異常通知)を受信すると、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子36に対し、XY平面内の位置の制御と、回転子36の軸方向(Z軸方向)の位置の制御とを実行する。
【0052】
図7は、実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラの構成を示す図である。半径方向位置コントローラ10Bは、回転位置入力部11と、半径方向位置入力部12と、制御部13と、通信部14を備えている。
【0053】
通信部14は、異常通信線41に接続されている。通信部14は、異常通信線41から送信されてくる制御異常通知を受信して制御部13に送る。制御部13は、制御異常通知を受け付けると、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子36のX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の位置を制御する。
【0054】
制御部13は、ベアリングレスモータ30に対して弱め磁束制御または強め磁束制御を実行することで、回転子36のZ軸方向の位置を制御する。制御部13は、半径方向力発生巻線に出力する電流の大きさを制御することで弱め磁束制御および強め磁束制御を実行する。
【0055】
例えば、Z軸方向が鉛直方向である場合に、電動機コントローラ20が回転位置を制御できなくなるような制御異常が発生すると、回転子36が、固定子35から落下する場合がある。実施の形態2の制御部13は、制御異常通知を受け付けると、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子36のZ軸方向の位置を制御するので、回転子36が固定子35から落下することを防止できる。このように、ベアリングレスモータ制御システム1Bは、フェールセーフにて回転子36の落下を防止できる。
【0056】
なお、制御部13は、Z軸方向が水平方向である場合には、回転子36のZ軸方向の位置を制御しなくてもよい。制御部13は、Z軸方向が水平方向以外の方向である場合に、制御異常通知を受け付けると、回転子36のZ軸方向の位置を制御する。ただし、制御部13は、Z軸方向が水平方向である場合でも、回転子36のZ軸方向の位置を制御してもよい。
【0057】
このように、電動機コントローラ20が、回転子36のZ軸方向の位置を制御できなくなった場合には、半径方向位置コントローラ10Bが、回転子36のZ軸方向の位置を制御するので、回転子36の落下を防止できる。
【0058】
また、半径方向位置コントローラ10Bは、半径方向位置を制御できなくなるような制御異常が発生した際に、異常通信線41を介して、電動機コントローラ20に異常を通知する。この場合、半径方向位置コントローラ10Bの通信部14が、異常通信線41を介して、制御異常通知(第2の制御異常通知)を電動機コントローラ20に送信する。電動機コントローラ20は、半径方向位置コントローラ10Bから異常を受信したら、回転を停止する制御をする。すなわち、電動機コントローラ20は、半径方向位置コントローラ10Bによるベアリングレスモータ30の半径方向位置を制御ができない場合に、速やかに回転子36の回転を停止するように制御する。
【0059】
このように、ベアリングレスモータ制御装置2Bでは、半径方向位置コントローラ10Bと電動機コントローラ20とは、自装置の故障を検出した際には、他方の装置に制御異常通知を送信する。
【0060】
ここで、半径方向位置コントローラ10Bが、電動機コントローラ20から制御異常通知を受信した場合の処理、および、電動機コントローラ20が、制御異常を検出して半径方向位置コントローラ10Bに制御異常通知を送信する場合の処理について説明する。
【0061】
図8は、実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが半径方向位置を制御する処理の第1例の処理手順を示すフローチャートである。半径方向位置コントローラ10Bの回転位置入力部11は、回転位置センサ31から回転位置情報を受信する(ステップS310)。半径方向位置コントローラ10Bの半径方向位置入力部12は、半径方向位置センサ32から半径方向位置情報を受信する(ステップS320)。半径方向位置コントローラ10Bの制御部13は、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、ベアリングレスモータ30の半径方向位置を制御する(ステップS330)。
【0062】
制御部13は、電動機コントローラ20から制御異常通知を受信したか否かを判定する(ステップS340)。制御異常通知を受信していない場合(ステップS340、No)、半径方向位置コントローラ10Bは、ステップS310~S330の処理を繰り返す。
【0063】
制御異常通知を受信した場合(ステップS340、Yes)、半径方向位置コントローラ10Bの制御部13は、回転位置センサ31から受信した回転位置情報に基づいて、回転子36のZ軸方向の位置を制御する(ステップS350)。
【0064】
なお、半径方向位置コントローラ10Bの制御部13は、電動機コントローラ20から制御異常通知を受信した場合であっても、ステップS310~S330の処理を継続するものとする。
【0065】
図9は、実施の形態2にかかる電動機コントローラが回転位置を制御する処理の第1例の処理手順を示すフローチャートである。電動機コントローラ20は、回転位置センサ31から回転位置情報を受信する(ステップS410)。電動機コントローラ20は、回転位置情報に基づいて、ベアリングレスモータ30の回転位置を制御する(ステップS420)。
【0066】
電動機コントローラ20は、制御異常を検出したか否かを判定する(ステップS430)。制御異常を検出していない場合(ステップS430、No)、電動機コントローラ20は、ステップS410,S420の処理を繰り返す。
【0067】
制御異常を検出した場合(ステップS430、Yes)、電動機コントローラ20は、制御異常通知を半径方向位置コントローラ10Bに送信する(ステップS440)。
【0068】
つぎに、半径方向位置コントローラ10Bが、制御異常を検出して電動機コントローラ20に制御異常通知を送信する場合の処理、および、電動機コントローラ20が、半径方向位置コントローラ10Bから制御異常通知を受信した場合の処理について説明する。
【0069】
図10は、実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが半径方向位置を制御する処理の第2例の処理手順を示すフローチャートである。半径方向位置コントローラ10Bは、図8で説明したステップS310~S330と同様の処理を実行する。
【0070】
半径方向位置コントローラ10Bは、図9で説明した電動機コントローラ20が実行するステップS430,S440と同様の処理を実行する。すなわち、半径方向位置コントローラ10Bの制御部13は、制御異常を検出したか否かを判定する(ステップS360)。制御異常を検出していない場合(ステップS360、No)、制御部13は、ステップS310~S330の処理を繰り返す。
【0071】
制御異常を検出した場合(ステップS360、Yes)、半径方向位置コントローラ10Bの通信部14は、制御異常通知を電動機コントローラ20に送信する(ステップS370)。
【0072】
図11は、実施の形態2にかかる電動機コントローラが回転位置を制御する処理の第2例の処理手順を示すフローチャートである。電動機コントローラ20は、図9で説明したステップS410,S420と同様の処理を実行する。
【0073】
電動機コントローラ20は、半径方向位置コントローラ10Bから制御異常通知を受信したか否かを判定する(ステップS450)。制御異常通知を受信していない場合(ステップS450、No)、電動機コントローラ20は、ステップS410,S420の処理を繰り返す。
【0074】
制御異常通知を受信した場合(ステップS450、Yes)、電動機コントローラ20は、回転子36の回転を停止する制御をする(ステップS460)。
【0075】
このように、ベアリングレスモータ制御システム1Bでは、電動機コントローラ20が回転子36のZ軸方向の位置を制御できない場合、制御異常通知を半径方向位置コントローラ10Bに送信する。半径方向位置コントローラ10Bは、制御異常通知を受信すると、回転子36が固定子35から落下しないように、回転子36のZ軸方向の位置を制御する。
【0076】
また、ベアリングレスモータ制御システム1Bでは、半径方向位置コントローラ10Bが回転子36のX軸方向およびY軸方向の位置を制御できない場合、制御異常通知を電動機コントローラ20に送信する。電動機コントローラ20は、制御異常通知を受信すると、回転子36の回転を停止する制御をする。
【0077】
このように実施の形態2によれば、電動機コントローラ20が制御異常通知を半径方向位置コントローラ10Bに送信するので、電動機コントローラ20に制御異常があった場合に、半径方向位置コントローラ10Bは、回転子36のZ軸方向の位置を制御することで、回転子36が固定子35から落下しないフェールセーフ動作を実現できる。
【0078】
また、半径方向位置コントローラ10Bが制御異常通知を電動機コントローラ20に送信するので、半径方向位置コントローラ10Bに制御異常があった場合に、電動機コントローラ20は、回転子36の回転を停止するように制御することで、半径方向の位置を制御できない状態で回転子36が回転し固定子35と接触して破損することを抑制するフェールセーフ動作を実現できる。
【0079】
また、ベアリングレスモータ制御システム1Bに対しては、電動機コントローラ20が故障した場合に、電動機コントローラ20の交換のみでベアリングレスモータ30を再利用できる。また、ベアリングレスモータ制御システム1Bに対しては、半径方向位置コントローラ10Bが故障した場合に、半径方向位置コントローラ10Bの交換のみでベアリングレスモータ30を再利用できる。
【0080】
つぎに、半径方向位置コントローラ10A,10Bおよび電動機コントローラ20のハードウェア構成について説明する。なお、半径方向位置コントローラ10A,10Bおよび電動機コントローラ20は、同様のハードウェア構成を有しているので、ここでは、半径方向位置コントローラ10Bのハードウェア構成について説明する。半径方向位置コントローラ10Bは、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。
【0081】
図12は、実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図である。図12に示す処理回路90は、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは制御プログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶された制御プログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、半径方向位置コントローラ10Bの処理が結果的に実行されることになる制御プログラムを格納するためのメモリ92を備える。この制御プログラムは、処理回路90により実現される各機能を半径方向位置コントローラ10A,10Bに実行させるためのプログラムであるともいえる。この制御プログラムは、制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
【0082】
上記制御プログラムは、図4のステップS110~S130の処理、図8のステップS310~S350の処理または図10のステップS310~S330,S360,S370の処理を半径方向位置コントローラ10A,10Bに実行させるプログラムであるとも言える。ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0083】
なお、半径方向位置コントローラ10Aまたは半径方向位置コントローラ10A,10Bが実行する制御プログラム(半径方向位置制御プログラム)と、電動機コントローラ20が実行する制御プログラム(電動機制御プログラム)とは、1組の制御プログラム(ベアリングレスモータ制御プログラム)として作成されてもよい。この場合、ベアリングレスモータ制御プログラムのうちの半径方向位置制御プログラムが、半径方向位置コントローラ10Aまたは半径方向位置コントローラ10Bに適用され、電動機制御プログラムが、電動機コントローラ20に適用される。
【0084】
図13は、実施の形態2にかかる半径方向位置コントローラが備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図である。図13に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路93については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路93は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0085】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1A,1B ベアリングレスモータ制御システム、2A,2B ベアリングレスモータ制御装置、10A,10B 半径方向位置コントローラ、11 回転位置入力部、12 半径方向位置入力部、13 制御部、14 通信部、20 電動機コントローラ、30 ベアリングレスモータ、31 回転位置センサ、32 半径方向位置センサ、35 固定子、36 回転子、41 異常通信線、90,93 処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ、C1 回転軸。
【要約】
ベアリングレスモータ制御装置(1A)は、ベアリングレスモータ(30)が有する回転子の回転位置を制御する電動機コントローラ(20)と、回転子の半径方向の位置である半径方向位置を制御する半径方向位置コントローラ(10A)とを備え、電動機コントローラ(20)は、回転子における回転位置の情報である回転位置情報を検出する回転位置センサ(31)から回転位置情報を受信し、回転位置情報に基づいて、回転子の回転位置を制御し、半径方向位置コントローラ(10A)は、回転位置センサ(31)から回転位置情報を受信し、回転子における半径方向位置の情報である半径方向位置情報を検出する半径方向位置センサ(32)から半径方向位置情報を受信し、回転位置情報および半径方向位置情報に基づいて、回転子の半径方向位置を制御する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13