(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0283 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q30/0283
(21)【出願番号】P 2024543989
(86)(22)【出願日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2024012058
【審査請求日】2024-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2023049736
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520074413
【氏名又は名称】モルゲンロット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】森本 竜英
(72)【発明者】
【氏名】西本 雅一
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌道
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿
(72)【発明者】
【氏名】小山 彩織
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-6171(JP,A)
【文献】特開2007-323439(JP,A)
【文献】特開2020-13259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算力オーナから提供される複数の指標で定義される所定単位の計算力を利用する権利に対して所定価値を評価する計算力価値評価手段
と、
前記権利を行使するための券を前記計算力オーナに対して発行し、当該券を前記所定価値で当該計算力オーナから計算力ユーザに対して譲渡する制御を実行する券発行譲渡手段と、
前記券が発行された前記計算力オーナから、当該券に示される前記所定単位の計算力の提供を受け、当該券が譲渡された前記計算力ユーザに対して、当該券に示される当該所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行する計算力管理手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記計算力管理手段は、
前記複数の指標のうち少なくとも一部の指標が同一となっている複数の前記券が利用される場合、当該複数
の券のうち、予め規定された所定の優先順位が高い前記券を優先して、前記計算力ユーザに前記所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
所定の前記券を出品し、複数の前記計算力ユーザのうち所定の落札条件を満たす計算力ユーザに対して当該
所定の券を落札する制御を実行するマッチング手段をさらに備え、
前記計算力価値評価手段は、前記所定の落札条件に基づいて、落札された前記券の価値を評価する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記計算力価値評価手段は、前記計算力ユーザにより指定された条件に適する前記券を選定し、当該券を前記計算力ユーザにレコメンドする、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記計算力管理手段は、前記計算力オーナにより指定された条件に適する前記計算力ユーザに計算力を提供する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記券発行譲渡手段および前記計算力管理手段
は、トークンを取引単位とする、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
計算力オーナから提供される複数の指標で定義される所定単位の計算力を利用する権利に対して所定価値を評価するステップ
と、
前記権利を行使するための券を前記計算力オーナに対して発行し、当該券を前記所定価値で当該計算力オーナから計算力ユーザに対して譲渡する制御を実行する券発行譲渡ステップと、
前記券が発行された前記計算力オーナから、当該券に示される前記所定単位の計算力の提供を受け、当該券が譲渡された前記計算力ユーザに対して、当該券に示される当該所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行する計算力管理ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
計算力オーナから提供される複数の指標で定義される所定単位の計算力を利用する権利に対して所定価値を評価するステップ
と、
前記権利を行使するための券を前記計算力オーナに対して発行し、当該券を前記所定価値で当該計算力オーナから計算力ユーザに対して譲渡する制御を実行する券発行譲渡ステップと、
前記券が発行された前記計算力オーナから、当該券に示される前記所定単位の計算力の提供を受け、当該券が譲渡された前記計算力ユーザに対して、当該券に示される当該所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行する計算力管理ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザから投入されたジョブを、複数のサーバを用いて実行させる際、各ユーザに割り当てられるサーバ計算機の数等の制限を管理する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、常に一定量のジョブを処理したい状況にあるとは限らない。そこで、クラウドサービス上のサーバの利用の契約を行うとともに、サーバの可動台数を変化させることでコストを削減するという方法が存在する。また、このようなクラウドサービスの提供者にとっては、適切な計算資源の確保や管理の手間があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、計算資源の提供や利用、管理の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
計算力オーナから提供される複数の指標で定義される所定単位の計算力を利用する権利に対して所定価値を評価する計算力価値評価手段、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の情報処理装置に対応する方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、計算資源の提供や利用、管理の利便性を向上させることを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の情報処理装置の1つの実施形態のサーバを含む情報処理システムが適用された本サービスの概要を示す図である。
【
図2】
図1に示した本サービスを実現する情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図2の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3のハードウェア構成を備えるサーバの機能的構成の第1実施形態を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図3の機能的構成を備えるサーバにおける計算力取引の処理の流れを説明するための図である。
【
図6】
図5の計算力取引の流れを詳細に示すアローチャートである。
【
図7】
図1に示した本サービスに利用される計算力券の構成を示す図である。
【
図8】
図7の計算力券の構成要素の中で使用される計算力券の一例を示す図である。
【
図9】
図7の計算力券の構成要素の中で使用される計算力券の他の一例を示す図である。
【
図10】計算力券の取引における計算力の構成要素の遷移をフェーズに分けて説明するための図である。
【
図11】
図3のハードェア構成を備えるサーバの機能的構成の第2実施形態を示す機能ブロック図である。
【
図12】
図11の機能的構成を備えるサーバにおける計算力取引の処理の流れを説明するための図である。
【
図13】
図2に示した情報処理システムの計算力取引の簡素な流れの例を示す図である。
【
図14】
図2に示した情報処理システムにおいて、保険サービスにおける計算力取引の例を示す図である。
【
図15】計算力オーナOが提供する計算リソースに対し評価を下す格付機能を付加した例を示す図である。
【
図16】
図15の例にさらに投資家の要素を加えた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システム(後述する
図2参照)により実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要を示す図である。
【0012】
本サービスは、
図1に示すように、計算力を提供する計算力オーナOと、計算力を必要とする計算力ユーザUとの間の計算力の売買取引を、サービス提供者Sが管理するサーバ1が仲介(マッチング)するサービスである。
【0013】
サーバ1は、計算力オーナOからの計算力の提供を受け付け、計算力ユーザUへの提供(計算力ユーザUからみた計算力の受取)を実施する。また、サーバ1は、計算力ユーザUが希望する計算力を得るための資金を計算力ユーザUから受け付け、計算力ユーザUと計算力オーナOとの間で取引された計算力に応じた対価を計算力オーナOへ支払う。
【0014】
ここで、計算とは、産業的あるいは学術的価値のある数値演算をさし、例えば、機械学習の学習や推論、シミュレーション、統計処理、可視化処理、等がある。
計算力とは、計算を実行する際に必須、又は用いた方が望ましい物品や情報等の要素をいう。具体的に計算力を構成する要素は、例えば、電力、ハードウェア(HW)、ソフトウェア(SW)、データ、等の一部または複合物等である。なお、計算力の構成要素の詳細については後述する。
【0015】
計算力オーナOとは、少なくとも計算力の一部を保有する者である。単独の計算力オーナOが、一計算の実施に足る計算力の構成要素を全て保有してもよく、あるいは、複数の計算力オーナOが持つ計算力を総合することで一計算の実施が可能になるように、計算力の構成要素の一部を保有してもよい。
【0016】
計算力ユーザUは、複数の計算力オーナOから提供された計算力の構成要素を受け取って計算を行なってもよく、また、単独の計算力オーナOが提供した計算力を受け取って計算を行なっても良い。また、計算力の一部を計算力オーナOから入手し、計算力ユーザU自身が持つ計算力の一部と総合することで計算を行なっても良い。
【0017】
以下、
図1を参照して具体的にサービスの流れを説明する。
ステップS1において、計算力オーナOは、計算力の情報をサーバ1に提供する。
ステップS2において、サーバ1は、計算力オーナOから提供される計算力の情報を受け付ける。
ステップS3において、計算力ユーザUは、計算力を得るための資金と条件をサーバ1へ投入する。
ステップS4において、サーバ1は、計算力ユーザUから投入された資金を管理する。
【0018】
ここで、ステップS5において、サーバ1は、計算力オーナOから提供された計算力を、複数の指標(例えば電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ)で定義される所定単位の計算力を利用する権利に対して所定価値、例えばポイント等としての価値を評価する。
ステップS6において、サーバ1は、評価した価値に応じて、計算力オーナOが権利を行使するための計算力券を計算力オーナOに対して発行する。
【0019】
ステップS7において、サーバ1は、計算力の売買取引を行う。
具体的には、サーバ1は、計算力オーナOから提供された計算力券を出品し、複数の計算力ユーザUのうち所定の落札条件を満たす計算力ユーザUに対して当該計算力券を落札させる制御を実行する。
計算力の売買の際に、サーバ1は、計算力ユーザUにより投入された条件に適する計算力券を選定し、当該計算力券を計算力ユーザUにレコメンドする。
売買取引の際、サーバ1は、少なくとも一部の指標が同一となっている複数の計算力券(同じスペックのもの)が落札可能な場合、当該複数の計算力券のうち、予め規定された所定の優先順位が高い計算力券(例えばリソース登録が早い計算力オーナOの計算力券)を優先して、計算力ユーザUに所定単位の計算力を落札させる(受け取らせる)制御を実行する。
【0020】
ステップS8において、計算力ユーザUの条件に適合する計算力が落札されると、サーバ1は、落札条件に基づいて、落札された計算力券の価値を評価する。この評価は、次回の同内容の計算力が提供された際に価値を付ける際の指標にすることができる。
また、サーバ1は、当該計算力券に相当する計算力を当該計算力オーナOから計算力ユーザUに対して譲渡させる制御を実行する。
サーバ1は、この制御により所定単位の計算力が譲渡された計算力ユーザUに対して、当該計算力券に示される所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行する。
【0021】
これにより、ステップS9において、当該計算力が計算力オーナOから計算力ユーザUへ提供される。計算力ユーザUからみた場合、計算力の提供を受けて、ステップS10のように、計算力ユーザUは、計算力を受け取り、以降、計算力を利用することができる。
【0022】
ステップS11において、サーバ1は、計算力ユーザUに提供された分の計算力に対する対価(例えばポイント)を、計算力ユーザUにより投入された資金の中から、計算力オーナOへ支払う処理を実行する。
【0023】
これにより、ステップS12において、計算力オーナOは、計算力ユーザUに対して提供した計算力の対価を受け取ることができる。
【0024】
このように本サービスによれば、計算力を提供する計算力オーナOと、計算力を必要とする計算力ユーザUとの間の計算力の売買取引をサーバ1が仲介(マッチング)し、計算力オーナOから提供される計算力の価値を評価して、当該価値の計算力券を発行し、当該計算力券の単位で計算力ユーザUに売買取引を行わせることで、計算資源の提供や利用、管理の利便性を向上させることを実現することができる。
【0025】
次に、
図2を参照して、上述した本サービスの提供を実現化させる情報処理システム、即ち本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムの構成について説明する。
図2は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0026】
図2に示す情報処理システムは、サーバ1と、ユーザ端末2と、オーナ端末3と、を含むように構成されている。
サーバ1、ユーザ端末2及びオーナ端末3は、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されている。
【0027】
サーバ1は、サービス提供者により管理される情報処理装置である。サーバ1は、ユーザ端末2及びオーナ端末3と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0028】
ユーザ端末2は、計算力ユーザUが操作する情報処理装置である。ユーザ端末2は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等で構成される。
オーナ端末3は、計算力オーナOが操作する情報処理装置である。オーナ端末3は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等で構成される。
【0029】
図3は、
図2に示した情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0031】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0032】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0033】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(例えばユーザ端末2やオーナ端末3)との間で通信を行う。
【0034】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0035】
なお、
図2に示したユーザ端末2及びオーナ端末3も、図示はしないが、
図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、ユーザ端末2及びオーナ端末3のハードウェア構成についての説明は省略する。
【0036】
図3のようなサーバ1を含む
図2の情報処理システムを構成する各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、ユーザ端末2及びオーナ端末3との間で計算力の売買取引を行わせる各種処理の実行が可能になる。その結果、サービス提供者Sは、計算力ユーザU及び計算力オーナOに対して上述の本サービスを提供することができる。
【0037】
図4は、
図2及び
図3のサーバの機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、サーバ1の記憶部18には、データベース90(以下「DB90」と称す)が記憶されている。
DB90には、計算力オーナO及び計算力ユーザU夫々から提供又は投入される個人情報を含む計算力取引に関する情報(取引に利用するアカウント(ID)に対応付けて、氏名、投入資金、計算力券、所持しているポイント、提供可能な計算力等)が記憶されている。
DB90には、計算力オーナOから提供された「計算力に関する情報」で定義される所定単位の計算力を利用する権利に対して評価した所定価値、例えばポイント等が記憶されている。
「計算力に関する情報」は、計算力を構成する複数の指標(例えば電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ等)である。
DB90には、評価されたポイントに応じて、計算力オーナOが権利を行使するために計算力オーナOに対して発行された計算力券が記憶されている。計算力券は、計算力の売買取引に用いられる。
DB90には、当該計算力券とそれを評価したポイントとの対応関係を示す情報が記憶されている。
DB90には、取引にあたり同じ指標(例えば同じスペックどうし)の複数の計算力券が取引(利用)される場合、当該複数の計算力券のうち、予め規定された所定の優先順位が高い計算力券を優先して、計算力ユーザUに所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行するための優先順位の条件が記憶されている。
所定の優先順位が高い計算力券の条件とは、例えば計算力オーナOのリソース登録が早かった計算力券等である。また、これ以外の条件であってもよい。
【0038】
図4に示すように、サーバ1のCPU11においては、計算力の売買取引に関する処理を実行する際に、売価管理部30と、計算力管理部50と、が機能する。
【0039】
売価管理部30は、価格設定・注文管理部41、資金管理部43を備える。
価格設定・注文管理部41は、計算力オーナOから提供される複数の要素(指標)で定義される所定単位の計算力(例えば計算力オーナOから提供可能な計算力)を利用する計算力券に対して、価値を評価した上で、その価値で計算力券を売買する処理を実行する。
【0040】
また、価格設定・注文管理部41は、所定の落札条件に基づいて、落札された計算力券に対してその価値を評価する。これにより、評価時の価値が今後、新たに計算力オーナOから提供される計算力の評価に反映されるようになる。これにより、落札された計算力券が高評価になると、計算力オーナOの評価が向上して、計算力オーナOが提供する計算力の価値(価格)を高めることができるようになる。
価格設定・注文管理部41は、ポイント等に代表されるトークンを取引単位としてもよい。
【0041】
価格設定・注文管理部41は、計算力ユーザUにより指定された条件に適する計算力券を選定し、当該計算力券を計算力ユーザUにレコメンドする。
これにより、計算力ユーザUは、多数の計算力券が出品される中で、計算力の内容が微妙に異なる計算力券の内容を自分で一々確かめることなく、所望の計算力を含む計算力券を見つけ出すことが容易にできるようになる。
なお、レコメンドの機能としては、サーバ1に予め検索ソフトやシミュレーションソフト等をインストールしておき、価格設定・注文管理部41からの指示で当該ソフトを動作させてDB90の中から計算力券の候補を選出するようにしてもよい。
【0042】
資金管理部43は、計算力ユーザUが落札した計算力券の代金を計算力オーナOに支払う処理を実行する。
具体的には、資金管理部43は、計算力ユーザUから投入された資金、及び資金から計算力の購入により支払った代金(対価)、資金から代金を差し引いた残額と、代金を受け取った側の計算力オーナOの取得額等を夫々のアカウントで管理する。
【0043】
計算力管理部50は、計算力オーナOにより指定された条件(計算力券の記載事項)に適する計算力ユーザUに計算力を提供する。
計算力管理部50は、計算力の要素のうちの少なくとも一部の計算力の要素(指標)が同一となっている計算力券が(落札されて)利用される場合、当該複数の計算力券のうち、予め規定された所定の計算力券の計算力オーナOを優先して、当該計算力ユーザUにより落札された計算力券(所定単位の計算力)を当該計算力ユーザUに受け取らせる制御を実行する。所定の優先順位が高い計算力券とは、例えばリソース登録が早い計算力オーナOの計算力券等である。なお、計算力オーナOの側に優先順位を付けるだけではなく、計算力ユーザUの側に優先順位を付けてもよい。計算力管理部50は、ポイント等に代表されるトークンを取引単位としてもよい。
【0044】
計算力管理部50は、計算力提供管理部61と、計算力受取管理部62とを備える。
計算力提供管理部61は、計算力オーナOから提供される計算力を管理する。
具体的には、計算力提供管理部61は、計算力オーナOによる上述の計算力の提供の内容「計算力に関する情報」を受け付ける。受け付けられた内容は、DB90に記憶されて、他の各部で利用可能に共有される。
【0045】
計算力受取管理部62は、計算力ユーザUが落札した計算力券に相当する計算力を、計算力オーナOを介して計算力ユーザUに提供する。
【0046】
このように第1実施形態のサーバ1の構成によれば、サーバ1は、計算力オーナOから提供される複数の指標(例えば電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ等)で定義される所定単位の計算力を一定の基準で評価した価値で計算力券を発行し、当該計算力券を売買取引することにより、計算力オーナOは、提供可能な分の計算力を自由に提供できる。また、計算力ユーザUは、計算力券の売買取引により、所望の質や量の計算力を購入して利用することができる。この結果、計算力オーナO及び計算力ユーザU双方の計算資源の提供や利用、管理等を含む計算力の活用に関する利便性を向上することができる。
【0047】
続いて、
図5及び
図6を参照して第1実施形態のサーバの動作を説明する。
図5は、
図3の機能的構成(第1実施形態)を備えるサーバにおける計算力取引の流れを説明するための図である。
図6は、
図5の計算力取引の流れを詳細に示すアローチャートである。
【0048】
第1実施形態のサーバの場合、
図5に示すステップS21において、計算力オーナOの操作によりオーナ端末3からサーバ1へ計算力が提供されると、サーバ1では、計算力提供管理部61が当該計算力を受け付ける。
計算力が提供されるとは、計算力の構成要素を計算力が使用な可能な状態にすることで良い。また、契約等により、将来の決められた日時、もしくは、将来の決められた期間に、計算力の構成要素を計算力ユーザUが使用可能な状態にすることでも提供することでも良い。
計算力の構成要素を計算力ユーザUが使用可能な状態にすることは、例えば、電力系統の送受契約、発電設備や蓄電設備等の電力発生装置の提供、サーバの提供、CPUやGPU等のサーバの構成要素の提供、SSH鍵の発行等のサーバ使用手段の提供、ソフトウェアの提供、ソフトウェアのライセンス発行、データの提供、関係物品の施錠・開錠等のセキュリティ対応の提供、等である。
計算力提供管理部61は、計算力オーナOによる上述の提供内容を受け付ける。受け付けられた内容は、DB90に記憶されて、売価管理部30に共有される。
ここで、共有とは、計算力オーナOから計算力の情報が提供されたことが計算力提供管理部61から売価管理部30に通知されて、その内容が、売価管理部30によりDB90から随時読み出し可能な状態にされることをいう。
このとき、計算力オーナOによる計算力の希望売価等の販売条件を受け付けても良い。
売価管理部30は、共有された計算力提供内容を示す計算力券を発行する。計算力券は、電子的であることが望ましい。具体的には、計算力券の発行情報は、価格設定・注文管理部41に共有される。計算力券には、計算力オーナOによる希望売価が含まれている。
【0049】
ステップS22において、計算力ユーザUは、ユーザ端末2を操作して、計算力を購入するための資金をユーザ端末2から送信することでサーバ1に投入する。
サーバ1では、ユーザ端末2から送信された資金を資金管理部43が受け付ける。この際、資金管理部43は、現金又は金銭の送受契約と、その金額を受け付ける。受け付けられた金額等の情報は、DB90に記憶されて、その情報の記憶場所が売価管理部30の価格設定・注文管理部41に通知されて、共有される。
資金投入の際に、計算力ユーザUは、必要に応じて、計算力の購入条件(例えば各構成要素に対する最低条件や希望条件、計算力を使用する日時や期間の希望等)を指定することができる。これらの情報についてもDB90に記憶されて売価管理部30に共有される。
【0050】
ステップS23において、売価管理部30では、価格設定・注文管理部41が、共有された計算力の情報(内容)に基づいて、所定の方法で売価を決定し、別途受け付けられた金額とマッチングされる。
売価の決定は、例えば、提供された計算力の量的及び質的評価により絶対的な固定価格を予め定めておいてもよく、ある時点で受け付けられた他の複数の計算力との比較により、相対的に決定されても良い。
また、マッチングするにあたり、計算力の構成要素に対し、必ずしも金額のみをマッチングの要件とする必要はなく、計算力の各構成要素に対する最低条件や希望条件等の制約を設けてマッチングを進めても良い。
その場合、例えば、価格設定・注文管理部41は、計算力ユーザUに、提供された計算力の内容を開示し、計算力ユーザUによる、提供された計算力の量的及び質的評価を受け付けることで、制約を考慮したマッチング処理を実行することができる。
上記の結果として、計算力と金額がマッチングされた場合、計算力の売買が成立する。
【0051】
ステップS24において、計算力の売買が成立、つまり、計算力が落札されたことで、価格設定・注文管理部41から計算力受取管理部62に、マッチングの内容が共有される。
【0052】
ステップS25において、計算力受取管理部62は、計算力が落札されたことをユーザ端末2に通知すると共に、計算力受取管理部62から計算力が提供されることで、計算力ユーザUは、これを受け取ることができる。これにより、計算力ユーザUは、受け取った計算力で計算を行うことができる。
なお、計算力は、必要に応じて、計算力オーナOから直接提供を受けても良く、その場合、計算力提供管理部61、計算力受取管理部62では、計算力オーナOから計算力ユーザUへ計算力の提供が直接なされる旨が通知される。
なお、将来の決められた日時に使用できる計算力を落札した場合は、使用できる当該日時に計算力が提供される。
即ち、将来の決められた期間において使用できる計算力は、計算力提供時に計算力オーナOが定めたポリシー、及び、計算力ユーザUが希望した日時・期間によって、適切なタイミングで提供される。
【0053】
ステップS26において、資金管理部43は、成立したマッチングの内容に基づき対価を計算力オーナOに支払う。
これにより、計算力オーナOは、資金管理部43から支払われた対価を受け取ることができる。
【0054】
以上、ステップS21乃至S26の手順を一例にしてサーバ1による本サービスの流れを説明した。具体的には、サーバ1により、計算力オーナOからの計算力の提供、計算力ユーザUの計算力の受取、計算力ユーザUからの対価の受付、計算力オーナOへの対価の支払い等といった一連の流れによって、本サービスを提供することができる。
【0055】
ここで、
図6を参照して計算力取引の流れの中での計算力券の売価(販売価格)決定処理について説明する。
【0056】
サーバ1では、はじめに、ステップPO1において、計算力オーナOにより提供された計算力の情報(計算力の中身)及び売買条件と販売価格をDB90に登録する。
販売価格は、指値注文のように固定価格を設定してもよく、成行注文のように任意の価格以上(例えば、100ポイント以上、0ポイント以上等)を設定し、買い手の計算力ユーザUが発生次第、取引が進行するようにも設定することができる。また、計算力券には計算力の施行条件(期間や開始時刻等含む)も記載される。
物理的・法的制約(回線の問題、輸出管理の問題等)等により買い手の計算力ユーザUの環境を選ぶ場合は、必ずしも価格のみで取引が成立しないよう、買い手への購入条件を設けても良い。
【0057】
ステップPC1において、上述した登録処理により、計算力券の発行が可能となる。
計算力券には、計算力の具体的な中身が記載され、販売価格が設定されている。様々な計算力オーナOからの計算力券が集まると、ステップPC2において、サーバ1の中では、複数の計算力券の陳列(計算力券をある指標(受付順や価格順等)に従い順番に並べ替える処理)がなされる。この情報は、計算力オーナOが観察することができる。
必要に応じて、ステップPO2において、計算力券の観察&売買条件の更新を行うことができる。これにより、市場の多くの計算力券を参照し、陳列した計算力オーナOの分の計算力券の取り下げ、計算力券の内容変更(取り下げと再登録)、販売価格の改定等を行うことができる。
【0058】
計算力ユーザUは、任意のタイミングで、ステップPU1において、計算力券の観察を行い、ステップPC3において、計算力券の陳列の内容を吟味する。
計算力ユーザUが吟味した結果、希望する内容に見合う計算力券がなければ、ステップPU2において、購入断念をし、取引を終える。
他方で、希望する内容に見合う計算力券があった場合、ステップPU3において、計算力券の購入決定&注文条件の提示、並びに、ステップPC4において、計算力券の落札条件のマッチングを行う。計算力券の落札条件のマッチングとしては、基本的には、価格を提示し、落札可否が機械的に判断される。
しかしながら、買い手への購入条件があった場合、その内容について、ステップPU3の処理の中で計算力ユーザUから回答を得て、サーバ1乃至は計算力オーナOにより、落札可否が判断される。判断の結果、落札不成立の場合は、ステップPU4において、取引を終える。
【0059】
その後、ステップPC5において、落札成立&陳列の更新により、落札が確定し、陳列から落札された計算力券が削除される。同時に、計算力ユーザU、計算力オーナOに対し、ステップPU5において、落札の通知ステップPO3において、落札の通知がなされる。
同時に、計算力ユーザUとサーバ1の間では、ステップPU6において、対価の支払い並びに、サーバ1と計算力オーナOの間でのステップPO4において、対価の支払いがなされる。
【0060】
ステップPU7において、計算力券に記載された計算力の施行条件に基づき、計算力ユーザUは、計算力の受取申告を実施する。
このとき、サーバ1により、システマチックに取引開始できるもの(例えば、VM環境の提供、データの提供、適宜設定された後の電力や回線、クラウド環境の提供)については、ステップPC6において、サーバ1から計算力の提供がなされる。
サーバ1でシステマチックに取引開始できないもの(例えば、物理的な物品レンタル、計算力オーナOが接続可否を管理するクラウド環境の提供、物理的施錠・開錠の操作等)については、サーバ1から計算力オーナOへステップPC7において、(受取申告の通知)及び、計算力オーナOから計算力ユーザUへのステップP05において、(計算力の提供)及び、計算力オーナOからサーバ1へのステップP06において、(提供通知)の過程により、計算力が提供される。
【0061】
ステップPU8において、以上の後、計算力ユーザUは、計算力の受取を行い、ステップPU9において、計算力の使用がなされる。
使用後、ステップPU10において、計算力ユーザUは、計算力の返却を行う。返却に関して、サーバ1でシステマチックに取引終了できるもの(例えば、日時等により失効するクラウド環境やライセンスソフト等)は、ステップPC8において、サーバ1が計算力ユーザUに対して計算力の回収/返却通知を行うことにより、計算力ユーザUからサーバ1へ通知又は回収が実施される。
【0062】
サーバ1において、計算力オーナOへ返却する必要がある場合(例えば、ライセンスソフトのライセンスの回復等)、ステップPC9において、サーバ1は、計算力オーナOへ計算力の返却/返却通知を行う。
【0063】
通知後、ステップP07において、計算力オーナOが計算力の受取を行うことで、処理が完結する。このとき、電力等、計算力ユーザUに消費されるものに関しては、通知のみ行われる。
他方で、システマチックに取引終了できないため、計算力ユーザUから計算力オーナOへ直接返却が必要なもの(例えば、物品のレンタル等)がある場合は、ステップPC10において、計算力を返却することにより、計算力ユーザUから計算力オーナOへ計算力が返却される。
その後、返却された計算力は、計算力オーナOからサーバ1へ再度提供することができる。以上の手順により、計算力が取引される。
【0064】
ここで、上記
図6の計算力取引における価格決定処理について説明する。
計算力取引のうち、価格決定に関しては、オークション形式で実施することもできる。オークション形式の場合(
図6の中で*印の部分)、計算力オーナOは、ステップPO1において、計算力の提供&売買条件の提示、又は、ステップPO2において、計算力券の観察&売買条件を更新する場合、オークション前の希望条件(最低希望価格、オークション期間等)を登録できる。
【0065】
ステップPC4において、計算力券の落札条件のマッチングにおいては、サーバ1は、予め決められた期間において、計算力ユーザUの入札(注文条件の提示)を受け付ける。
即ち、ステップPU3において、計算力券の購入決定&注文条件の提示において、計算力ユーザUの希望条件をサーバ1に送付する。
予め決められた期間においては、一般的なオークションと同様に、複数の計算力ユーザUの希望条件の受け付け、現在の最高値の開示、同じ計算力ユーザUからの複数回の希望条件の受け付け等を行い、希望条件を広く受け付ける。
期間終了時点で、最も高値をつけた計算力ユーザUに対し、落札が決定され、ステップPC5において、落札成立&陳列の更新が行われる。
それ以外の計算力ユーザUは、ステップPU4において、落札不成立として取引を終える。また、計算力ユーザUが現れなかった場合も、取引を終える。
【0066】
計算力のオークションにおいては、落札者となりうる計算力ユーザUの属性(商業利用者、学術利用者、公的利用者等)や地理的環境に応じて、各業界での一般的な計算力の使用価格、あるいは、回線の通信速度やデータに関する法規制等が異なる場合がある。
その場合、計算力オーナOは、ステップPO1、ステップPO2の段階で、計算力ユーザUの属性や環境を限定したり、希望価格を段階的に設定したりすることができる。そのような設定は、オークション時に条件に含む形で個別に設定してもよく、あるいは、落札後に必要に応じて追加手数料や追加作業が生じる旨をステップPO1、ステップPO2の段階で設定することで実現できる。
【0067】
このような設定方法により、多種多様な計算力ユーザUの属性や環境に対応した上で、計算力取引を円滑に行うことができ、また、計算力ユーザUや計算力オーナOを幅広く受け付けることができる。また、価格決定をオークション形式で実施することで、需給バランスによる計算力の適正な価格を決定することができる。
【0068】
次に、
図7乃至
図9を参照して、計算力券の構成要素について説明する。
図7は、計算力券の構成要素の一例を示す図である。
図8及び
図9は、
図7の構成要素の中から所望の構成要素の計算力を記載した計算力券の一例を示す図である。
計算力券の構成要素は、計算を実行する際に必須、又は、用いた方が望ましい物品や情報等を個々に定義したものである。
【0069】
具体的には、計算力券の構成要素は、
図7に示すように、例えば、電力、ハードウェア(HW)、ソフトウェア(SW)、データ、リージョン、ユーザ種別、券購入タイミング、計算実行予定時間帯、信頼性等に区分して定めることができる。
計算力券は、計算力オーナOの提供内容を示す手形としての機能を持ち、計算力券の売買によって、提供契約が成立する。
【0070】
計算力オーナOは、多数保有する計算資源を自由な単位、数量で計算力券にすることができ、例えば、HW32コアのサーバ1ノードを、HW32コアの計算力券1つとして構成してもよく、あるいは、VM(ヴァーチャルマシン)あるいはコンテナでの使用を前提に、HW4コアの計算力券8つとして構成しても良い。
【0071】
計算力券は、計算力オーナOが提供する内容に応じ、単区分の物品や情報をもとに区分毎に作成してもよく、複数の区分の物品や情報を組み合わせて作成してもよい。例えば、任意のサーバ1ノードを、HWの計算力券1つとして構成してもよく、もしくは、計算力オーナOが予めOSやドライバを設定してその上での使用を制約とする場合には、HW+SWの計算力券1つを構成しても良い。
【0072】
単区分の計算力券を一例とすると、計算力券には、計算力ユーザUが計算力券を選択する際の参考となるように、当該計算力券の構成要素の具体的特徴を記載することができる。以下、電力、ハードウェア(HW)、ソフトウェア(SW)、データ、リージョン、ユーザ種別、券購入タイミング、計算実行予定時間帯、信頼性の計算力券に対して記載できる内容の一例を示す。
【0073】
・電力
発電方法が記載できる。例えば電力共有事業者より購入した一般電力、太陽光発電等の自前設備により生成した自家発電電力、風力・太陽光・波力等のグリーン電力、等である。料金体系について記載できる。用途、容量、時間等に応じた価格変更やダイナミックプライシング等である。供給安定性について記載できる。太陽光の場合の日照時間に基づく電力生成量の予測、一般電力の地域管内の電力ひっ迫状況の予想等である。
【0074】
・ハードウェア(HW)
マシンについて記載できる。例えばCPU、GPU、メモリ等の仕様・数量・使用履歴、HDD、SSD等の記憶装置の仕様等である。インターネット回線について記載できる。例えばLAN等の設置回線の仕様、契約プロバイダ、VPN有無等である。
【0075】
・ソフトウェア(SW)
OSについて記載できる。ユーザが使用するソフトウェアで、例えばLinuxであったりWindowsであってもよい。なお、LinuxやWindowsは登録商標である。ドライバについて記載できる。例えば何らかのHW、SWを使用できるようにするためのドライバ等である。解析ソフトについて記載できる。例えばOS上で動作するシミュレーション用のソフトウェアであったり、機械学習用のソフトウェアであってもよい。ミドルウェアについて記載できる。
【0076】
・データ
設計データについて記載できる。例えばシミュレーションに使用される図面等のデータや、機械学習に使用される画像、音声等の様々なデータである。解析モデルについて記載できる。シミュレーションにおける様々な物理現象を規定するモデルであったり、機械学習に使用されるディープラーニング等のモデルである。解析条件について記載できる。例えばシミュレーションや機械学習を実行する際の種々の条件等である。
【0077】
・券購入タイミング
券購入タイミングについて記載できる。計算実行予定日から3カ月前・1カ月前・1週間前・当日等の時期に基づいてダイナミックプライシングとしてもよい。また、キャンセルポリシーを設け、計算力券を購入した後に、計算の実行前に計算力券の購入をキャンセルできるかどうかによって提供価格を変えてもよい。このキャンセルは計算力ユーザUの都合によるキャンセルに関わる場合と、計算力オーナOの都合によるキャンセルに関わる場合がある。
【0078】
・実行予定時間帯
計算を実行する時間帯について記載できる。平日あるいは休日の日中帯(9-17時)、夜間帯(17-22時)、深夜帯(22-翌5時)、早朝帯(5-9時)で需要に応じた価格変更やダイナミックプライシングとしても良い。
【0079】
・信頼性
セキュリティについて記載できる。具体的には、サーバ自体の物理的なセキュリティやソフトウェア及び仮想環境に関するセキュリティ、通信に関するセキュリティ等である。また、格付けについて記載できる。格付けとしては、例えばサーバ自体の計算能力、通信の速度、セキュリティの堅牢性等である。
過去実績について記載できる。また、過去に使用された割合や過去に達成した計算速度や通信速度等、稼働率について記載できる。稼働率は、例えばサーバが停電せずに稼働し続けている時間や、温度や湿度が適切な状態で稼働している割合である。オーナ情報について記載できる。例えば個人保有や法人、研究機関、大学等である。
【0080】
・ユーザ種別
法人、アカデミック、個人等、対象とするユーザについて記載できる。アカデミックの場合は一般価格よりも安価に出す等、ユーザ種別に応じた価格決定が行える。
【0081】
・リージョン
サーバの設置場所について記載できる。例えば日本(東京、大阪等)、アメリカ、シンガポール、中国等である。
【0082】
ここで、
図8及び
図9を参照して計算力券の一例を説明する。
図8の例の計算力券91には、ユーザが求めるスペックのマシンと、そのマシンを動作させるための電力及び券購入タイミングが記載されている。
図9の例の計算力券92には、マシンにVMがインストールされ、VM内にOS、解析ソフト、解析データがある物品と、その物品のリージョンが記載されている。
図8及び
図9の例に示したような計算力券91、92の計算力を提供することで、計算力ユーザUは、計算力を簡単に使用することができる。また、計算力券に、上述の内容を記載することで、計算力オーナOと計算力ユーザUとの取引を円滑に実施することができる。
但し、
図8の例の計算力券91と同一のHW・電力を指定したとしても、券購入タイミングが1カ月前と1週間前では提供価格が異なる場合がある。
同様に、
図9の例の計算力券92と同一のVM・解析データ・解析ソフト・OSを指定したとしても、リージョンが変われば金額も変動する。
【0083】
この計算力券は、上記した価格設定・注文管理部41によってその価格が決定される。このとき、計算力券の区分に含まれる物品の価格や価値を積算して計算力券の価格とする。
【0084】
例えば計算能力の高いHWを即時に使用したい計算力ユーザUが計算力券を購入する場合、HWの区分に含まれる物品の中で性能の高いものを選定する。この物品は、HWの性能によって価格が異なり、一般的には性能が高いほど高額になる。また、同じ機能を持つサーバであったとしても、HWのベンダ等により価格が異なる場合がある。
【0085】
次に、予約タイミングは当日もしくは直近の日付となる。この予約タイミングは日時の自由度が低いほど高額になり、逆に未来の日付になるほど価格が低下する可能性がある。最後に計算の実行予定日としても、予約した日時の直近の時間帯に実行する。この実行予定日は、計算機を使用したいユーザが多い時間帯ほど高額になる。直近で利用したい時間帯が混雑する時間帯であれば、高い価格を支払う必要がある。
【0086】
異なる例として、数ヶ月単位で未来の日付の計算力を予約する場合、計算力券に含まれる物品である購入タイミングは数ヶ月先のものとなるので、比較的安価に計算力券が購入できる。加えて、実行予定のタイミングも混雑する時間帯を避けることで、価格の低い計算力券の購入が可能である。
【0087】
電力の観点からの異なる例としては、例えばグリーン電力を希望する計算力ユーザUが想定される。計算力ユーザUの事業上の優位性等から、グリーン電力による計算の実行が付加価値として想定される場合、一般電力よりも価格の高い計算力券を購入することが想定される。計算力オーナOはこの観点でグリーン電力の価格を高く、一般電力の価格を低く設定する。又は、グリーン電力において余剰な電力を使用する場合、一般電力の価格よりも低い価格の電力となる。その場合は、グリーン電力を選択することで価格が低下する。
【0088】
このように価格の決定は計算力券に含まれる物品の価格の積算によって決定される。この時、物品の価格自体はそれぞれの物品の提供者によって原価に相当する部分が決定され、これらの物品及び区分を取りまとめる計算力オーナOが自身の利益等を加えて計算力券の価格とする。
【0089】
例えばHW種別の区分、及び、価格決定に用いることができる要素としては、以下が想定される。
ベアメタル、VM(ヴァーチャルマシン)、物理的貸し出し、等が想定される。例えば通信によって利便性高く使用できるVMとベアメタルについては、VMよりもベアメタルの方が計算力オーナOの事前設定が容易な場合、ベアメタルを安く提供できる。また、例えば多種類のマシンを所有する計算力オーナOにおいて、各マシンを単一のVMで設定することでコスト低減が図れる場合、VMを安く提供できる。
例えばHW構成の区分としては、CPU(vCPU)及び、これを構成するコア数、クロック数、消費電力、発熱量、スレッド数、アーキテクチャ等が想定される。メモリ及び、これを構成する容量、読み書き速度、キャッシュ構成が想定される。ストレージ及び、これを構成する容量、読み書き速度、磁気ディスク、フラッシュメモリ、レイド設定が想定される。GPU及び、これを構成するストリームコア、クロック数、メモリバンド幅、メモリアクセス速度、PCIe等の接続方式、EthernetやInfiniband等のネットワーク接続方式、スレッド数、アーキテクチャ、消費電力、発熱量、が想定される。回線及び、これを構成する送受信速度、準拠通信規格、ケーブル長、契約プロバイダ、VPN設定が想定される。以上の物品における、製造メーカー、製造日、製造場所等が想定され、それぞれの価格が積算される。
但しこれらの区分全てが必ずしも必要であるとは限らない。この中のいくつかの区分だけで計算力券が構成される場合もある。
【0090】
例えばSWの区分の場合、物品としては、コンテナ及び、これを構成するアルゴリズム、ライブラリ、プログラミング言語、ミドルウェア、ドライバ、API等が想定される。OS及び、これを構成するライブラリ、BIOS、カーネル、プログラミング言語、ミドルウェア、ドライバ、API等が想定される。ドライバ及び、これを構成するバージョン、対応OS、対応HW、開発者等が想定される。解析ソフト及び、これを構成するバージョン、対応OS、対応HW、開発者等が想定される。ミドルウェア及び、これを構成するバージョン、対応OS、対応HW、開発者が想定される。それぞれの価格が積算される。
但しこれらの区分全てが必ずしも必要であるとは限らない。この中のいくつかの区分だけで計算力券が構成される場合もある。
【0091】
例えばデータの区分の場合、物品としては、設計データ及び、これを構成する寸法データ、材料データ、環境データ、操作データ等が想定される。解析モデル及び、これを構成する有限要素モデル、粒子モデル、軌道モデル、確率モデル、分布モデル、学習モデル等が想定される。解析条件及び、これを構成する入出力条件、積分条件等が想定される。以上における、作成者、作成日、学術的引用、等が想定される。それぞれの価格が積算される。
但しこれらの区分全てが必ずしも必要であるとは限らない。この中のいくつかの区分だけで計算力券が構成される場合もある。
【0092】
例えば電力の区分、及び、価格決定に用いることができる要素としては、以下が想定される。一般電力、自家発電電力、グリーン電力、余剰電力等が想定される。
例えば設置場所の区分の場合、物品としては、大型データセンター、及び、これを構成するラック数、セキュリティレベル、回線、電力量、サポートレベル、フロア構成、空調、立地地盤、運営団体等が想定される。コンテナデータセンター及び、これを構成するラック数、セキュリティレベル、回線、電力量、サポートレベル、フロア構成、空調、立地地盤、運営団体等が想定される。サーバ室及び、これを構成するラック数、セキュリティレベル、回線、電力量、サポートレベル、フロア構成、空調、立地地盤、運営団体等が想定される。それぞれの価格が積算される。
但しこれらの区分全てが必ずしも必要であるとは限らない。この中のいくつかの区分だけで計算力券が構成される場合もある。
【0093】
例えば、計算力ユーザUの種別の区分、及び、価格決定に用いることができる要素としては、以下が想定される。法人、団体、アカデミック、個人、その他計算力ユーザUに対する条件(計算力の使用目的、契約要件、等)等が想定される。
例えば券購入タイミングの区分、及び、価格決定に用いることができる要素としては、例えば1ヶ月前、1週間前、当日、その他計算力使用に関する条件(使用/未使用の判断条件、キャンセルポリシー、等)等が想定される。キャンセルポリシーについて、キャンセルに至る都合としては、計算力オーナO都合、計算力ユーザU都合、不可抗力都合(天変地異等)が考えられる。例えば、計算力オーナO都合による補償が厚い場合は価格を高く、補償が薄い又は無い場合は価格を低く設定できる。
例えば、実行予定時間帯の区分、及び、価格決定に用いることができる要素としては、以下が想定される。平日日中(例えば9-17時)、平日夜間(例えば17-22時)、平日深夜(例えば22-翌5時)、平日早朝(例えば5-9時)、休日日中(例えば9-17時)、休日夜間(例えば17-22時)、休日深夜(例えば、22-翌5時)、休日早朝(例えば5-9時)、計算時間:x時間(例えば任意の期日の24時間のうち6時間)その他、時刻や時間を示す値等が想定される。
【0094】
例えば信頼性の区分、及び、価格決定に用いることができる要素としては、以下が想定される。格付け及び、これを構成するサーバ自体の計算能力、通信の速度、セキュリティの堅牢等が想定される。過去実績及び、これを構成する過去に使用された割合、過去に達成した計算速度通信速度等が想定される。セキュリティ及び、これを構成するサーバ自体の物理的なセキュリティ、ソフトウェア及び仮想環境に関するセキュリティ、通信に関するセキュリティ等が想定される。稼働率及び、これを構成するサーバが停電せずに稼働し続けている時間、温度や湿度が適切な状態で稼働している割合等が想定される。オーナ情報及び、これを構成する個人保有や法人、研究機関、大学、その他計算力オーナOが定義する条件(計算力の使用目的、契約要件)等が想定される。
例えば、リージョンの区分、及び、価格決定に用いることができる要素としては、以下が想定される。東京(日本)、大阪(日本)、シンガポール、アメリカ、中国その他、所在地を示す記号や名称等が想定される。
【0095】
物品の提供者とは例えば電力であれば発電事業者であり、原価は電力価格等である。またHWであればチップメーカーやシステムインテグレータ等のHWベンダや代理店であり、原価はHWの価格等である。これ以外の物品も、計算力オーナOが入手する際に支払った代価が原価に相当する。
【0096】
計算力ユーザUはこの価格に合意すればこの価格で計算力券を購入する場合もあるが、計算力ユーザU側が設定している価格に対して計算力オーナOが価格を調整して取引を成立させる場合もある。これは前記した注文管理のうち、指値や成り行き取引に相当する。これ以外にも、動的な価格変動や静的な価格の設定方法も存在する場合がある。これらは現在の証券取引に類似するものである。
【0097】
これらの計算力券は、計算力を使用するユーザが購入する場合だけでなく、計算力券を転売することを目的として第3者に購入される場合もある。これは、後述で投資家の例(
図16参照)として説明する。
【0098】
次に、
図10を参照して計算力券の取引における計算力の構成要素の遷移について説明する。
図10は、計算力券の取引における計算力の構成要素の遷移をフェーズに分けて説明するための図である。
【0099】
図10に示すように、計算力取引における計算力の構成要素は、主に、計算力オーナOにより計算力が提供される「提供済み計算力」のフェーズF1、計算力ユーザUにより計算力が利用される「購入済み計算力」のフェーズF2、計算力オーナOによりリソースが管理される「リソース管理」のフェーズF3等の3つのフェーズで遷移する。
【0100】
計算力オーナOが、サーバ1に計算力を提供すると、提供済み計算力として扱われ、「提供済み計算力」のフェーズF1となる。
「提供済み計算力」のフェーズF1において、計算力券を用いた運用をする場合、計算力券が作成され、さまざまな計算力オーナOが提供したさまざまな計算力が、取引対象として管理される。
例えば、電力について、計算力オーナBは電力Bを提供し、サーバについて、計算力オーナCはサーバCを提供し、VMソースAについて、計算力オーナAは、VMソースAを提供している。提供される計算力の単位、及び、計算力券の定義は、他の記載の通りであり、
図10に記載以外の計算力構成要素も取引対象として管理される。この例では、VMソース、コンテナは、ソフトウェアとデータを総合した物品又は情報である。
【0101】
提供済み計算力に対し、任意の計算力ユーザUを介して、計算力の売買が成立すると、計算力の使用契約が適切なタイミングで開始される。例えば、電力B、サーバC、VMソースAを購入することができ、「購入済み計算力」のフェーズF2に遷移する。
「購入済み計算力」のフェーズF2において、購入済み計算力は、サーバC内にVMソースAを立ち上げ、VMソース付属のOS、解析ソフトを起動できる機能を持つ。これに対し、計算力ユーザUは、自前の解析データを実装し、解析を実行することで、結果データを得る。この過程で、電力Bが消費される。
【0102】
使用契約が終了した後、「リソース管理」のフェーズF3に遷移する。
「リソース管理」のフェーズF3において、VMソースAについては、提供者である計算力オーナAにより、設定(改修、増設)又は回収等の操作がなされる。サーバCについては、提供者である計算力オーナCにより、設定(改修、増設)又は回収等の操作がなされる。電力Bについては、提供者である計算力オーナBにより、設定操作がなされる。この時点で、計算力オーナOが回収をした場合や設定を確定しない場合、以降、提供済み計算力としては扱われず、取引対象とならない。設定を確定し、計算力として提供することで、提供済み計算力として取引対象となる。
以上の3つのフェーズのサイクルにより、計算力の提供、利用、リソース管理が行われる。
【0103】
本発明に係る情報処理装置に係る第2実施形態のサーバを説明する。
まず、
図11を参照して第2実施形態のサーバの機能的構成を説明する。
図11は、
図3のハードウェア構成を備えるサーバの機能的構成の第2実施形態を示す機能ブロック図である。
なお、この第2実施形態を説明するにあたり、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付しその説明は省略する。
図11に示すように、サーバ1のCPU11においては、計算力の売買取引に関する処理を実行する際に、売価管理部30と、計算力管理部50と、トークン管理部70と、が機能する。
即ち、
図11は、追加の機能的構成を含む第2実施形態のサーバ1であり、
図4に示した売価管理部30及び計算力管理部50に、さらにトークン管理部70を追加したものである。
【0104】
売価管理部30は、価格設定・注文管理部41、換金部42、資金管理部43を備える。
【0105】
換金部42は、計算力ユーザUにより落札された計算力券に相当する対価を、資金管理部43から支払われる現金等に換金する。
【0106】
トークン管理部70は、ポイント管理部81と、券管理・マッチング部82と、を備える。
【0107】
ポイント管理部81は、計算力ユーザUにより投入された金額に応じて別途定められた量のポイントを発行する。発行されたポイントは、計算力ユーザUに送付される。
このように、取引に利用する価値としてのポイントと、ポイントを管理するポイント管理部81を導入することで、現金を使用する場合に比べて、為替の影響なく、計算力の正味の価値を評価できる。例えば、JPY/USDの値動きとは独立して、計算力としての1つのサーバ等の計算資源の価値を定量化することができる。また、計算力オーナOや計算力ユーザUの取引通貨への影響も軽減され、計算力オーナOと計算力ユーザUが異なる通貨を使用しても、円滑に取引ができる。
【0108】
券管理・マッチング部82は、計算力オーナOから提供された計算力に応じて発行された計算力券を管理する。
具体的には、券管理・マッチング部82は、希望する計算力券が任意の時刻に存在するか否かを探索し、探索の結果、計算力ユーザUの制約(購入条件)を満たす計算力券が複数存在する場合、計算力ユーザUの制約と計算力券(計算力の内容)とのマッチング処理を実行する。
マッチングは、複数の券に対して、特定の計算力構成要素を指標に1つの券を一意に決定する方法、売価が安い等、計算力ユーザUに最も有利な内容の1つの券を算出する方法、該当するもの全てを計算力ユーザUに開示して計算力ユーザUが1つの券を選択する方法、該当するもの全てを対象にレコメンド評価を行って計算力ユーザUによる1つの券の選択を促す方法のうち少なくとも1つの方法により実施される。
マッチングのアルゴリズムは、別途、複数のアルゴリズムを券管理・マッチング部82が受け付け、計算力ユーザUが選択するようしてもよい。異なるマッチングアルゴリズムが複数提供されることにより、競争原理が働き、計算力市場の最適化が行われる。
以上において、各種アルゴリズムは、計算力券に記載の計算力の構成要素をデータとして扱うことができ、また、必要に応じて、計算力ユーザUの制約を記入させることができる。
上記では同一内容の券が複数存在する場合の一例を説明したが、任意の方法で1枚の券を選択できればよく、例えば、計算力オーナOが提供した順に、複数から1枚の券をマッチングするようにしてもよい。マッチングが成立した場合、計算力券の売買が行われる。
券管理・マッチング部82は、計算力券の売買が成立した後、計算力ユーザUからポイント管理部81に投入された入手済みのポイントを用いて計算力券の代金を支払うことで計算力券を取得(入手)することができる。
券管理・マッチング部82は、計算力ユーザUにより取得(入手)された計算力券の情報(例えば代金支払い済等)を計算力受取管理部62に通知する。これにより、計算力ユーザUは、計算力受取管理部62、又は計算力オーナOから計算力の提供を受けることができる。
【0109】
第2実施形態のサーバ1の構成によれば、
図4に示した第1実施形態のサーバ1の機能的構成に加え、トークン管理部70を追加することで、計算力取引に関する利便性、堅牢性、健全性を向上することができる。
【0110】
続いて、
図12を参照して第2実施形態のサーバ1の動作を説明する。
上記各部について、
図12に、
図11のサーバ1を稼働した際の動作フローの一例を示しながら、サーバ1の動作を詳細を説明する。
図12は、
図11の機能的構成(第2実施形態)を備えるサーバにおける計算力取引の処理の流れを説明するための図である。
【0111】
第2実施形態のサーバにおける計算力取引の処理は、以下のステップS31乃至S36を含む。
図12のステップS31(計算力提供ステップ)において、計算力オーナOから計算力の情報が提供されると、計算力提供管理部61は、提供された計算力の情報を管理する。ここで、計算力の情報の提供とは、計算力の構成要素を計算力ユーザUが使用な可能な状態にすることであり、契約等により、将来の決められた日時、もしくは、将来の決められた期間において、計算力の構成要素を計算力ユーザUが使用可能な状態にすることで良い。
計算力提供管理部61は、計算力オーナOによる上述の計算力の提供の内容(計算力に関する情報)を受け付ける。受け付けられた内容は、DB90に記憶されて、券管理・マッチング部82に共有される。
ここで、共有とは、券管理・マッチング部82に対して、計算力オーナOから計算力の情報が提供されたことが計算力提供管理部61から通知されて、その内容が、DB90から随時読み出し可能な状態にされることをいう。
このとき、計算力オーナOによる計算力の希望売価等の販売条件を受け付けても良い。
券管理・マッチング部82は、共有された計算力提供内容を示す券を発行する。券は、電子的であることが望ましい。券の発行情報は、価格設定・注文管理部41に共有される。券には、計算力オーナOによる希望売価を含むことができる。
【0112】
ステップS32(資金投入ステップ)において、計算力ユーザUは、資金管理部43に資金を投入する。資金管理部43は、現金又は金銭の送受契約と、その金額を受け付ける。受け付けられた金額は、ポイント管理部81に共有される。
ポイント管理部81は、金額に応じて別途定められた量のポイントを発行する。発行されたポイントは、計算力ユーザUに送付される。
【0113】
ステップS33(計算力券の市場売買ステップ)において、券管理・マッチング部82から価格設定・注文管理部41に券の発行情報が共有された後、価格設定・注文管理部41は、所定の方法で券のポイント単位での売価(以下、ポイント売価)を決定する。
ポイント売価は、例えば、券に記載の計算力の量的及び質的評価により絶対的な固定価格を予め定めてもよく、複数の計算力の比較により、相対的に決定されても良い。また、株式の市場売買の方法に則り、指値、成行の注文により、市場原理に基づく価格決定をしても良い。このとき、計算力ユーザUは、計算力の構成要素に対し、最低条件や希望条件等の制約を設けて、各種注文を申請しても良い。
例えば、価格設定・注文管理部41は、計算力ユーザUに券の内容を開示し、計算力ユーザUによる券の量的及び質的評価をポイント売価の数値で受け付け、一方で、計算力オーナOによる希望売価を受け付け、両者の売価の比較から、各種注文を実施する。
例えば、ある内容の券に対し、計算力ユーザUが100ポイントで指値注文し、当該券について計算力オーナOが90ポイント以上の希望売価を設定していた場合、100ポイントで売買が成立する。あるいは、例えば、ある同等の内容の2つの券に対し、計算力ユーザUが成行注文し、当該片方の1つの券の計算力オーナOが90ポイント以上、当該他方の計算力オーナOが80ポイント以上の希望売価を設定していた場合、80ポイントで売買が成立する。
計算力ユーザUは、希望する券に対して最低条件や希望条件等の制約(条件)を設けることができる。希望する券が任意の時刻に存在するか否かは、券管理・マッチング部82により探索される。探索の結果、計算力ユーザUの制約を満たす券が複数存在する場合、計算力ユーザUの制約と券のマッチングが行われる。
マッチングは、複数の券に対して、特定の計算力構成要素を指標に1つの券を一意に決定する方法、売価が安い等、計算力ユーザUに最も有利な内容の1つの券を算出する方法、該当するもの全てを計算力ユーザUに開示して計算力ユーザUが1つの券を選択する方法、該当するもの全てを対象にレコメンド評価を行って計算力ユーザUによる1つの券の選択を促す方法、等により実施できる。
マッチングのアルゴリズムは、別途、複数のアルゴリズムを券管理・マッチング部82が受け付け、計算力ユーザUが選択できてもよい。異なるマッチングアルゴリズムが複数提供されることにより、競争原理が働き、計算力市場の最適化が行われる。以上において、各種アルゴリズムは、券に記載の計算力の構成要素をデータとして扱うことができ、また、必要に応じて、計算力ユーザUの制約を記入させることができる。
同一内容の券が複数存在する場合、任意の方法で1枚の券を選択できればよく、例えば、計算力オーナOが提供した順に、複数から1枚の券をマッチングすることができる。
マッチングが成立した場合、計算力券の売買が行われる。
【0114】
ステップS34(計算力券の落札ステップ)では、計算力券の売買が成立した後、計算力ユーザUは、入手済みのポイントをポイント管理部81に投入し、券管理・マッチング部82を介して、券を購入し取得(入手)する。
また、計算力オーナOは、券管理・マッチング部82で成立したマッチング内容に基づき、ポイント管理部81からポイントを入手する。
【0115】
ステップS35(計算力の受取ステップ)では、計算力ユーザUは、計算力券を券管理・マッチング部82に投入することで、計算力受取管理部62から計算力の提供を受けることができる。
これにより、計算力ユーザUは、計算を行うことができる。必要に応じて、計算力オーナOから、直接計算力の提供を受けても良く、その場合、券には、計算力オーナOから直接計算力の提供がなされる旨が記載される。
【0116】
ステップS36(ポイントの換金ステップ)では、計算力オーナOによりポイントがサーバ1に投入されると、サーバ1では、ポイント管理部81が、投入されたポイントを計算力オーナOのアカウントに対応付けてDB90に格納すると共にポイントを換金部42に共有する。
換金部42は、共有されたポイントを資金管理部43を介して現金等に換金して、計算力ユーザUが購入した計算力の対価を計算力オーナOに支払う。
【0117】
以上説明したように、第2実施形態のサーバ1によれば、サーバ1は、計算力オーナOからの計算力提供、計算力ユーザUの計算力の受取、計算力ユーザUからの対価を受け付け、計算力オーナOへの対価を支払い、といった一連のサービスの流れを実現することができる。
ポイント、及び、ポイント管理部81を導入することで、現金を使用する場合に比べて、為替の影響なく、計算力の正味の価値を評価できる。例えば、JPY/USDの値動きとは独立に、1サーバの計算資源の価値を定量化できる。
計算力券の導入により、計算力を特徴付ける複数の指標(電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ等)を1つの単位の中に記載できる。例えば、サーバの仕様、所在地等が計算力券内の指標に含まれるとして、任意の2つのサーバ(計算力券)が、異なる仕様、所在地、かつ総合的に同等の計算力がある場合に、仕様を重視する計算力ユーザU、所在地を重視する計算力ユーザUに対して、計算力券により判断に足る指標を示すことができる。
【0118】
券管理・マッチング部82により、計算力ユーザUは、所望の券、すなわち、計算力を容易に発券することができる。それまで未知であった計算力オーナOの計算力を使用できる。また、計算力の需給バランスに基づいた売価により、計算力を計算力オーナOから計算力ユーザUへ提供することができる。
【0119】
計算力券の導入により、計算力の構成要素それぞれに対して取引を行うことができる。計算力オーナOと計算力ユーザUの双方にとって、計算資源融通の利便性を向上できる。また、先述の通り、市場原理に則る価格決定方法により、計算力取引の健全性が向上する。
【0120】
以下、いくつか例をあげて具体的な計算力取引の流れを説明する。
まず、
図13を参照して計算力取引の簡素な流れの例を説明する。
図13は、
図2に示した情報処理システムの計算力取引の簡素な流れの例を示す図である。
図13に示すサーバ1は、計算力を保有するm人の計算力オーナO(mは1以上の整数値)が自身の保有する計算力の中で提供可能なリソース情報をサーバ1に入力する。入力する際は、設置場所、セキュリティレベル、グリーン電力使用有無、ハードウェア構成、ソフトウェア、データといった複数要素を含み、夫々のスペックに応じたポイント数を定義する。
計算力を利用するn人の計算力ユーザU(nは1以上の整数値)は、サーバ1上に公開されているリソース情報の中から要件に合致したリソースを選択し、予約及び利用することができる。なお、計算力ユーザUや計算力オーナO自身だけでなく本装置の運用管理を行う取引所運営会社からも夫々から入手した情報に基づきリソースの登録や予約を行うことが可能となる。
【0121】
次に、
図14を参照して、保険サービスにおける計算力取引の例を説明する。
図14は、
図2に示した情報処理システムにおいて、保険サービスにおける計算力取引の例を示す図である。
図14の例では、保険計算力提供者Hが加わる。保険計算力提供者Hは、計算力ユーザUが求める需要が計算力オーナOの提供するリソース量を超過する又は条件にあったリソースが存在しない場合に、計算力が不足する情報をサーバ1から入手し、計算力を補填する。
補填の方法および内容は、計算力ユーザUと合意が取れるものであればよく、例えば、計算力ユーザUが求める仕様(例えば、サーバ)と同等の仕様の計算力(例えば、サーバ)を別途提供する、計算力ユーザUが求める計算力(例えば、サーバ)と同価値の別の計算力(例えば、電力)を別途提供する、計算力ユーザUが求める仕様に相当するポイント(トークン)または金銭を返還する、等であってもよい。
【0122】
次に、
図15を参照して、計算力オーナが提供する計算リソースに対し、評価を下す格付機能を付加した例を説明する。
図15は、計算力オーナが提供する計算リソースに対し評価を下す格付機能を付加した例を示す図である。
図15では、計算力オーナOが提供している計算リソースに対し、評価を下す格付機能を有する。格付機能は、例えば格付サーバ5にインストールされた思考プログラム、例えば人工知能(AI)等の実行により実現される。
格付機能では、計算力オーナOから提供されたリソース情報を基に、客観的に市場価値を決定し、計算力ユーザUへの提供価格を決定する。また、格付けの内容を計算力券に反映し、計算力ユーザUが計算力券を選択する際の参考情報として機能させることもできる。
これにより、計算力ユーザUは市場の相場に応じたポイント数で計算リソースを利用することが可能となる。
【0123】
次に、
図16を参照して、
図15の例にさらに投資家の要素を加えた例を説明する。
図16は、
図15の例にさらに投資家の要素を加えた例を示す図である。
図16の例では、
図15の要素にさらに投資家Tの要素が加えられている。
この場合、各計算力券は、格付機能により評価されたポイント数が割り当てられるが、需要や市場動向によりポイント数が変動するため、必要となるポイント数が少ないタイミングで事前に計算力券を購入し、需要つまりポイント数が高いタイミングで計算力券を売りだすことが可能となる。ポイント変動による計算力券の購入判断は、投資家Tだけでなく計算力ユーザUにも該当する。
【0124】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0125】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図4や
図11の機能的構成は、例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システム又は情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図4や
図11の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図4や
図11に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ端末等に移譲させてもよい。逆にユーザ端末の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0126】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0127】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
【0128】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0129】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図4のサーバ1)は、
(1)計算力オーナ(例えば
図4の計算力オーナO)から提供される複数の指標(例えば電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ)で定義される所定単位の計算力を利用する権利(例えば計算力券)に対して所定価値(例えばXXポイント等)を評価する計算力価値評価手段(例えば
図4の売価管理部30の価格設定・注文管理部41)、
を備える。
これにより、計算資源の提供や利用、管理の利便性を向上させることを実現することができる。
【0130】
(2)前記権利を行使するための券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)を前記計算力オーナ(例えば
図4の計算力オーナO)に対して発行し、当該券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)を前記所定価値(例えばポイント)で当該計算力オーナ(例えば
図4の計算力オーナO)から計算力ユーザ(例えば
図4の計算力ユーザU)に対して譲渡する制御を実行する券発行譲渡手段(
図4の売価管理部30の価格設定・注文管理部41)と、
前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)が発行された前記計算力オーナ(例えば
図4の計算力オーナO)から、前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)に示される前記所定単位の計算力の提供を受け、前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)が譲渡された前記計算力ユーザ(例えば
図4の計算力ユーザU)に対して、当該券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)に示される前記所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行する計算力管理手段(例えば
図4の計算力管理部50)と、
をさらに備える、
ことができる。
【0131】
(3)前記計算力管理手段(例えば
図4の計算力管理部50)は、少なくとも一部の指標が同一となっている複数の前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)が利用される場合、当該複数の前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)のうち、予め規定された所定の優先順位が高い前記券(例えば計算力オーナOのリソース登録が早い順)を優先して、前記計算力ユーザ(例えば
図4の計算力ユーザU)に前記所定単位の計算力を受け取らせる制御を実行する、
ことができる。
【0132】
(4)所定の前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)を出品し、複数の前記計算力ユーザ(例えば
図4の計算力ユーザU)のうち所定の落札条件を満たす計算力ユーザに対して当該券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)を落札する制御を実行するマッチング手段(例えば
図11の券管理・マッチング部82)をさらに備え、
前記計算力価値評価手段(例えば
図4の売価管理部30の価格設定・注文管理部41)は、前記所定の落札条件に基づいて、落札された前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)の価値を評価する。
これにより、評価時の価値が、今後、新たに計算力オーナから提供される計算力の評価に反映されるようになる。
【0133】
(5)前記計算力価値評価手段(例えば
図4の売価管理部30の価格設定・注文管理部41)は、前記計算力ユーザ(例えば
図4の計算力ユーザU)により指定された条件に適する前記券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)を選定し、当券(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)を前記計算力ユーザ(例えば
図4の計算力ユーザU)にレコメンドする、
これにより、計算力ユーザは、多数の券(例えば計算力券)が出品される中で、計算力の内容が微妙に異なる券(例えば計算力券)の内容を自分で一々確かめることなく、所望の内容を含む券(例えば計算力券)を見つけ出すことが容易にできるようになる。
【0134】
(6)前記計算力管理手段(例えば
図4の計算力管理部50)は、前記計算力オーナ(例えば計算力オーナO)により指定された条件に適する前記計算力ユーザ(例えば
図4の計算力ユーザU)に計算力を提供する、
ことができる。
【0135】
(7)前記券発行譲渡手段(
図4の売価管理部30の価格設定・注文管理部41)および前記計算力管理手段(例えば
図4の計算力管理部50)において、ポイント等に代表されるトークンを取引単位とする、
ことができる。
【0136】
(8)本発明が適用される情報処理方法は、
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
計算力オーナ(例えば
図4の計算力オーナO)から提供される複数の指標(例えば電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ)で定義される所定単位の計算力を利用する権利(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)に対して所定価値(例えばXXポイント等)を評価するステップ、
を含む、
ことができる。
【0137】
(9)本発明が適用されるプログラムは、
コンピュータに、
計算力オーナ(例えば
図4の計算力オーナO)から提供される複数の指標(例えば電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ)で定義される所定単位の計算力を利用する権利(例えば
図8、
図9の計算力券91、92)に対して所定価値(例えばXXポイント等)を評価するステップ、
を含む制御処理を実行させる、
ことができる。
【符号の説明】
【0138】
1:サーバ、2:ユーザ端末、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:バス、15:入出力インターフェース、16:入力部、17:出力部、18:記憶部、19:通信部、20:ドライブ、21:リムーバブルメディア、30:売価管理部、41:価格設定・注文管理部、42:換金部、43:資金管理部、50:計算力管理部、61:計算力提供管理部、62:計算力受取管理部、70:トークン管理部、81:ポイント管理部、82:券管理・マッチング部、S:サービス管理者、NW:ネットワーク、90:データベース(DB)、91、92:計算力券
【要約】
計算資源の提供や利用、管理の利便性を向上させること。
サーバ1は、計算のジョブを実行する計算力を利用する計算力ユーザUと、計算力を提供する計算力オーナOとの間の計算力の売買取引を管理するものであり、価格設定・注文管理部41を備える。価格設定・注文管理部41は、計算力オーナOから提供される複数の指標(例えば電力、ハードウェア、ソフトウェア、データ)で定義される所定単位の計算力を利用する権利である計算力券に対して所定価値(例えばXXポイント等)を評価する。