(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金およびその4D印刷の調製方法
(51)【国際特許分類】
C22C 19/03 20060101AFI20241007BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20241007BHJP
B22F 10/36 20210101ALI20241007BHJP
B22F 9/08 20060101ALI20241007BHJP
B22F 9/10 20060101ALI20241007BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20241007BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20241007BHJP
C22C 1/04 20230101ALI20241007BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20241007BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241007BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241007BHJP
C22C 14/00 20060101ALN20241007BHJP
【FI】
C22C19/03 A
B22F10/28
B22F10/36
B22F9/08 A
B22F9/10
B22F1/00 M
B22F1/00 R
B22F1/14 500
C22C1/04 B
C22C19/03 Z
B33Y70/00
B33Y80/00
B33Y10/00
C22C14/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022069783
(22)【出願日】2022-04-20
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】202110423608.5
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(73)【特許権者】
【識別番号】520370647
【氏名又は名称】広東華藝衛浴実業有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522160686
【氏名又は名称】中山大学腫瘤防治中心(中山大学附属腫瘤医院、中山大学腫瘤研究所)
(73)【特許権者】
【識別番号】522160697
【氏名又は名称】南方医科大学第三附属医院
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 超
(72)【発明者】
【氏名】盧 海洲
(72)【発明者】
【氏名】丁 言飛
(72)【発明者】
【氏名】于 子洋
(72)【発明者】
【氏名】王 晋
(72)【発明者】
【氏名】曾 参軍
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109648082(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110465662(CN,A)
【文献】国際公開第2021/062191(WO,A1)
【文献】特開昭60-059054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 19/03
B22F 10/28
B22F 10/36
B22F 1/14
B22F 9/08
B22F 9/10
B22F 1/00
C22C 1/04
B33Y 70/00
B33Y 80/00
B33Y 10/00
C22C 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金であり、
(1)微細構造特性と、(2)組成特性と、(3)機能特性とを含み、
(1)微細構造特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーン3つの特徴的なゾーンを含み、上記3つの特徴的なゾーンは、機能的基本要素を構成し、
(2)組成特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金におけるセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンは、ニッケル含有量が異なり、ニッケル含有量の勾配変化の特性を有し、
(3)機能特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金内のセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度、ヤング率、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力が異なり、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度、ヤング率、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力が勾配変化の特性を有する、ことを特徴とする順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【請求項2】
前記特性(1)のセルラー結晶ゾーンの結晶粒子の粒径は600~1000nmであり、サイズが40~100nmのTi
2Niナノ析出相が粒界に分布しており、遷移ゾーンの結晶粒子内にサイズが20~60nmであるTi
2Niナノ沈殿物が拡散分布しており、熱影響ゾーンに多数のNi
4Ti
3クラスターが分布しており、サイズは1~5nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【請求項3】
前記特性(1)の3つの特徴的なゾーンからなる順次構成した機能ユニットは、チタン-ニッケル形状記憶合金に周期的に現れ、かつ3つの特徴的なゾーンのマトリックスはすべてオーステナイト相であり、一方、セルラー結晶ゾーンの比率は、20~25体積%であり、遷移ゾーンの比率は20~25体積%であり、熱影響ゾーンの比率は50~60体積%である、ことを特徴とする請求項1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【請求項4】
前記特性(2)において、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンにおけるマトリックスニッケル含有量は勾配的に減少し、ニッケルの原子比率は50%~53%範囲である、ことを特徴とする請求項1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【請求項5】
前記特性(3)において、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度、ヤング率、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力勾配が変化し、前記ナノ硬度およびヤング率勾配が増加し、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力勾配が減少し、前記ナノ硬度は3.5から5.5GPaまで変化し、ヤング率は50から66GPaまで変化する、ことを特徴とする請求項1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【請求項6】
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法であって、
粉砕ステップ(1)と、粉末混合および粉末改質ステップ(2)と、4D印刷成形ステップ(3)とを含み、
(1)粉砕:純チタンと純ニッケルを別々に精錬して、単一のチタンロッドとニッケルロッドを取得し、プラズマ噴霧、電極誘導溶融ガス噴霧またはプラズマ回転電極噴霧粉末法によって単体チタン粉末およびニッケル粉末を調製し、
(i)単体チタン粉末
およびニッケル粉末
の粒子サイズは
それぞれ15~53μmの範囲であ
るか、(ii)単体チタン粉末の粒子サイズは15~53μmの範囲であり、ニッケル粉末の粒子サイズは100~1000nmであるか、(iii)単体チタン粉末の粒子サイズは100~1000nmの範囲であり、ニッケル粉末の粒子サイズは15~53μmの範囲であり、チタン粉末の酸素含有量は510~650ppm、ニッケル粉末の酸素含有量は700~800ppmであり、
(2)粉末混合および粉末改質:ステップ(1)で取得された単体チタン粉末およびニッケル粉
末を放電プラズマ支援ボールミルに入れて放電処理を行い、粉末混合の表面を改質し、粉末混合中のニッケルの原子比率は50~53%であり、
(3)4D印刷成形:ステップ(2)で粉末混合および粉末改質された粉末を混合し、選択的レーザー溶融によって成形し、チタン-ニッケル形状記憶合金を取得する、ことを特徴とする順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法。
【請求項7】
前記ステップ(2)の放電プラズマ支援ボールミルが、混合粉末に対して放電処理を行う場合、制御パラメータは、電圧が130~150V、電流が1~1.4A、電極回転速度が400~800 r / min、毎回放電処理時間持続時間が0.5~2h、隣接する2回の放電処理の間隔が15~45分、放電処理の回数が2~8回である、ことを特徴とする請求項6に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法。
【請求項8】
前記ステップ(3)の4D印刷の調製方法の工程パラメータは、70~150Wのレーザー電力、80~200mm/秒のレーザー走査速度、30μmの粉末層の厚さ、および100μmの走査間隔である、ことを特徴とする請求項6に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法。
【請求項9】
調製眼鏡フレーム、歯列矯正ワイヤー、圧迫骨プレート、脊椎整形外科用ロッド、駆動装置、ダンパー、インテリジェント温度制御装置、自己拡張型トラス、自己拡張型通信衛星コンポーネントおよび航空機コンポーネントにおける、請求項1から5の何れか1項に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【請求項10】
調製関節インプラント、脊椎インプラント、肩インプラント、頭蓋顎顔面インプラント、足首インプラント)およびその他のインプラントにおける、請求項1から5の何れか1項に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタンニッケル形状記憶合金、アディティブマニュファクチャリングおよび4D印刷の分野に属し、特に、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金およびその4D印刷の調製方法と用途に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン-ニッケル形状記憶合金の場合、熱伝導率が低く、弾性反発が強く、加工性能が低いため、調製効率が低下し、従来のプロセス(鋳造、鍛造、溶接など)では高精度と複雑な(多孔質構造、勾配構造、薄肉構造など。)エンジニアリング部品(Prog.Mater.Sci.57(2012)911-946.)を効率的に形成できない。最先端の新技術として、アディティブマニュファクチャリング技術は、複雑な内部構造を持つ多孔質でニアネットシェーピング技術で形成されたエンジニアリング部品を直接調製できるため、その後の処理プロセスを大幅に削減できる。4D印刷の意味は、3D印刷の形状記憶合金(Shape Memory Alloy,SMA)である。これは、材料特性または構造構成によって積極的に設計されているため、コンポーネントの形状、性能、および機能を時間と空間で制御でき、複雑なインテリジェントな「異種」コンポーネント調製を実現し、ハイエンド機器の制御可能な変形、変性、および機能のハイエンドアプリケーション要件を満たす(Mater. Sci. Eng., A 763 (2019) 138166;Mater. Des. 122 (2017) 42-79.)。現在、4D印刷技術はチタン-ニッケル形状記憶合金部品や製品のエンジニアリング応用分野を大きく広げているが、4D印刷で調製したチタン-ニッケル形状記憶合金には、多くの微視的な欠陥(亀裂、穴など)と多数の柱状結晶があるため、しかし、その機能特性(超弾性、形状記憶効果および減衰特性など)は、従来の劇的な塑性変形プロセス(等しい直径角押し出し、高圧ねじりおよび圧延など)で調製されたチタン-ニッケル形状記憶合金に相当な水準に到達することはできない。
【0003】
最近の多くの研究では、4D印刷によってチタン-ニッケル形状記憶合金を調製するプロセスは、溶接プロセスの物理的な冶金プロセスと同じであることが示されている。二者は、類似したエネルギー源、微細構造、および凝固速度を持っている。一方、二者の違いは、4D印刷プロセスが循環的で繰り返されるシングルパスレーザー溶接プロセスであるということである。4D印刷されたチタン-ニッケル形状記憶合金のマトリックス内に、繰り返されて、層ごとに積層された特定領域を有する。これらの特定領域は、溶接プロセス中に形成されたチタン-ニッケル形状記憶合金の特定領域と一致しており、つまり、熱影響ゾーン、遷移ゾーン、セルラー結晶ゾーンなどである(Prog. Mater. Sci. 88 (2017) 412-466;MRS Bull. 41(10) (2016) 765-774.)ここでは、熱影響ゾーン、遷移ゾーンおよびセルラー結晶ゾーンからなる基本単位を、独自の機能特性を実現する機能的基本要素と定義し、大型バルク材料を得るために、繰り返しの層ごとの4D印刷によって整然と構築(順次構成)される。現在、研究者はこれらの特徴的な領域を徐々に使用して、4D印刷によって調製されたチタン-ニッケル形状記憶合金の微細構造特性を説明し、プロセス-微細構造-性能規制の本質的な相関関係を確立している。同時に、文献調査によると、プロセスパラメータを調整し、熱処理プロセスを導入し、第2フェーズを追加する方法などことにより、4D印刷されたチタン-ニッケル形状記憶合金の機能特性を改善するために多くの研究が行われている(Prog. Mater. Sci. 83 (2016) 630-663.)ことがわかる。しかし、研究結果は、基本要素微細構造と4D印刷されたチタン-ニッケル形状記憶合金の機能特性との本質的な関係を明らかにせず、全体的な機能的基本要素微細構造を制御することによる機能特性の強化はまだできていない。
【0004】
現在の研究結果によると、4D印刷されたチタン-ニッケル形状記憶合金は、その産業用途を満たすための安定した大きな超弾性ひずみをまだ得ることができない。さらに、4D印刷されたチタン-ニッケル形状記憶合金の微細構造の進化と機能の実現に関する既存の研究は、十分に深くて体系的ではない。本発明は、機能単位を順次構成で調整することにより、超高弾性のチタン-ニッケル形状記憶合金を取得し、微細構造と機能特性の実現との本質的な関係を明らかにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の欠点および欠点を克服するために、本発明の主な目的は、順次構成した機能ユニット(ordered functional unit)を有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金を提供することである。
【0006】
本発明の第2の目的は、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷調製方法を提供することである。
【0007】
本発明の第3の目的は、上記の調製方法によって調製された順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主な目的は、以下の技術案によって達成される。
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、(1)微細構造特性と、(2)組成特性と、(3)機能特性とを有し、
(1)微細構造特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金には、セルラーグレインゾーン(Cellular-grain zone,CGZ)、遷移ゾーン(Transition zone,TZ)、および熱影響ゾーン(Heat-affected zone,HAZ)が含まれ、これらの3つの特徴的なゾーンは、機能的基本要素を構成する(
図1および
図2)、
(2)組成特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金のセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンは、ニッケル含有量が異なり、勾配変化の特性を有し、
(3)機能特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金内のセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度、ヤング率、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力が異なり、勾配変化の特性を有する。
【0009】
好ましくは、前記特性(1)のセルラー結晶ゾーンの結晶粒子の粒径は600~1000nmであり、サイズが40~100nmのTi2Niナノ析出相が粒界に分布しており、遷移ゾーンの結晶粒子内にサイズが20~60nmであるTi2Niナノ沈殿物が拡散分布しており、熱影響ゾーンに多数のNi4Ti3クラスターが分布しており、そのサイズは1~5nmである。
【0010】
好ましくは、前記特性(1)の3つの特徴的なゾーンから構成される機能的基本要素は、チタン-ニッケル形状記憶合金に周期的に現れ、かつ3つの特徴的なゾーンのマトリックスはすべてオーステナイト相であり、一方、セルラー結晶ゾーンの比率は、20~25%であり、遷移ゾーンの比率は20~25%であり、熱影響ゾーンの比率は50~60%である。
【0011】
好ましくは、前記特性(2)において、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンにおけるマトリックスニッケル含有量は勾配的に減少し、ニッケル原子比は50%から53%(at.%)の範囲で変化する。
【0012】
好ましくは、前記特性(3)において、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度、ヤング率、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力勾配が変化し、ここで、ナノ硬度およびヤング率勾配が増加し、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力勾配が減少し、ナノ硬度は3.5から5.5 GPaまで変化し、ヤング率は50から66GPaまで変化する。
【0013】
本発明の第2の目的は、以下の技術案を通じて達成される。
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法は、粉砕(1)ステップと、粉末混合および粉末改質(2)ステップと、(3)4D印刷成形ステップとを含み、
(1)粉砕:純チタンと純ニッケルを別々に精錬して、得到単一のチタンロッドとニッケルロッドを取得し、プラズマ噴霧(PA)、電極誘導溶融ガス噴霧(EIGA)またはプラズマ回転電極噴霧法(PREP)によって、単体チタン粉末とニッケル粉末を取得し、前記粉末の粒子サイ粉末の粒子サイズは100~1000nmまたは15~53μm.ppmの範囲であり、チタン粉末の酸素含有量は510~650ppm、ニッケル粉末の酸素含有量は700~800ppmであり、
(2)粉末混合および粉末改質:ステップ(1)で取得された単体チタン粉末とニッケル粉末を放電プラズマ支援ボールミルに入れて放電処理し、粉末混合の表面を改質し、粉末混合中のニッケルの原子比率は50~53%であり、
(3)4D印刷成形:ステップ(2)で粉末混合および粉末改質された粉末を混合し、選択的レーザー溶融(SLM)によって成形し、チタン-ニッケル形状記憶合金を取得する。
【0014】
本発明に係る順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、4D印刷されたチタン-ニッケル合金における酸化物粒子の形成を低減するために、調製プロセスにおけるチタン粉末およびニッケル粉末の酸素含有量を厳密に制御し、それによってチタン-ニッケル合金を弱める。
【0015】
好ましくは、前記ステップ(2)の単体チタン粉末およびニッケル粉末のうちの少なくとも1つは、15~53μmの粒子サイズ範囲を有し、混合粉末は、プラズマ-BM-Sプラズマボールミルを使用して改質され、制御パラメータは、電圧は130~150V、電流は1~1.4A、電極回転速度は400~800 r / minであり、各放電処理時間は0.5~2時間であり、隣接する2回の放電処理の間隔は15~45分であり、放電処理の回数は2~8回である。
【0016】
好ましくは、前記ステップ(3)の選択的レーザー溶融成形装置は、CONCEPT LASER M2、EOS M280/290、SLM solution 125/250/280 2.0/500、RENISHAW 400、BLT-S320などを含み、4D印刷調製プロセスのための装置は、シングルレーザー、デュアルレーザー、マルチレーザーなどであり得る。
【0017】
好ましくは、前記4D印刷の調製方法の工程パラメータは、70~150Wのレーザー電力、80~200mm/秒のレーザー走査速度、30μmの粉末層の厚さ、および100μmの走査間隔である。
【0018】
本発明の第3の目的は、以下の技術案によって達成される。
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、調製眼鏡フレーム、歯列矯正ワイヤー、圧迫骨プレート、脊椎整形外科用ロッド、駆動装置、エグゼクティブコンポーネント、複雑なダンパー、インテリジェント温度制御装置、自己拡張型トラス、自己拡張型通信衛星コンポーネント、バリアント航空機などのコンポーネントで適用される。
【0019】
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、調製関節インプラント(ヒップ、膝関節インプラント)、脊椎インプラント(内部固定インプラント、低侵襲インプラントなど)、肩インプラント(肩甲骨インプラントなど)、頭蓋顎顔面インプラント(下顎インプラント、頭蓋インプラントなど)、足首インプラント(足首関節インプラント、つま先の骨インプラントなど))およびその他のインプラント(胸骨インプラントなど)などで適用される。
【0020】
本発明の原理は次のとおりである。
本発明に係る順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法は、4D印刷プロセスで層ごとの蓄積に基づいて形成され、レーザーパス間にオーバーラップ率が存在すると、最初に形成されたレーザーパスが後続のレーザーパスによって熱処理され4D印刷プロセスでは、オーバーラップ率を制御することにより、熱処理領域の温度と熱処理時間を効果的に制御でき、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーン3つの特徴的なゾーン順の周期的分布を持つ4D印刷チタン-ニッケル形状記憶合金を得ることができる。
【0021】
本発明により作調製した順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、順次構成した機能ユニットにおいて、その組成領域が勾配変化の機械的性質を示す(
図3)。具体的には、ヤング率とナノ硬度は、熱影響ゾーンから遷移ゾーン、そしてセルラー結晶ゾーンへと徐々に減少する。さらに、順次構成した機能ユニットのNi含有量と応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力は、3つのゾーンで反対の傾向を示している。同時に、熱影響ゾーンでは応力誘起相転移が優先的に発生するが、B2マトリックス相には Ni
4Ti
3クラスターが多数含まれているため、転位の発生を阻害し、さらに相転移中、Ni
4Ti
3クラスター周りに生成されたひずみが転位の形成と塑性変形の発生を抑制することにより、4D印刷チタン-ニッケル形状記憶合金の超弾性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点および効果を有する。
(1) 本発明により調製された順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーン3つの特徴的なゾーン、ならびに3つの特徴的なゾーンの析出相(Ti2NiおよびNi4Ti3)析出状況、分布位置、および量に大きな違いがある。同時に、3つの特徴的なゾーン間のニッケル含有量が異なり、勾配変化の特性がある。また、特徴的なゾーン間のナノ硬度、ヤング率および応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力は異なり、勾配変化の特性を有する。順次構成した機能ユニット内の異なる領域間の相乗的強化により、順次構成した機能ユニットを有するチタン-ニッケル形状記憶合金は、超高超弾性を得ることができる。
(2) 従来の工程で調製したチタン-ニッケル合金と比較して、本本発明により調製されたチタン-ニッケル形状記憶合金は、本発明は、高チタン-ニッケル形状記憶合金の超弾性を効果的に向上させることができる新しい微細構造設計アイデアを提案し、微視的スケールでの性能勾配を備えた順次構成した機能ユニットを取得する。
(3) 本発明は、4D印刷を採用し、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の形成を実現し、従来の鋳造法や急激な塑性変形法と比較して、さまざまな複雑な形状の部品を調製することができ、カスタマイズされた要件を満たし、個々の用途向けのコンポーネントを調製するために真に使用できる。同時に、本発明の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、幅広く、複雑な形状のチタン-ニッケル合金の部品の成形を完了し、複雑な構造チタン-ニッケル合金部品の迅速な製造を完了し、超高弾性の性能を有し、航空宇宙、武器、船舶、医療、建築など多くの分野でさまざまな機能コンポーネントの調製に使用される。
(4)本発明では、4D印刷成形技術を用いて、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金を調整し、ニアネット形状とパーソナライズされたカスタマイズを実現し、材料の利用率を向上し、コストを節約する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】順次構成した機能ユニットの走査型電子顕微鏡の微細構造図である。
【
図2】セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンの透過型電子顕微鏡の微細構造図である。
【
図3】順次構成した機能ユニットのナノ硬度とヤング率の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、実施形態および添付の図面を参照して以下でさらに詳細に説明されるが、本発明の実施形態はそれに限定されない。
【0025】
実施例1:
1.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の微細構造
順次構成した機能ユニットは、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーン、熱影響ゾーンで構成されており、セルラー結晶ゾーンの結晶粒子の粒径は800nmで、サイズが55nmであるTi
2Ni析出相が粒界に分布している。遷移ゾーンでは、サイズが40nmであるTi
2Ni析出相が拡散分布している。熱影響ゾーンでは、サイズが3nmであるNi
4Ti
3クラスター(
図1および
図2を参照)が分布している。
【0026】
2.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の機能特性
順次構成した機能ユニットにおけるセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度は、3.7 GPa,4.2 GPa,4.9 Gpaであり、ヤング率それぞれは、50 GPa,57 GPa,63 GPa(
図3を参照)であり、マトリックスニッケル含有量それぞれは、50.6%,51.0%,51.3%(at.%)である。
【0027】
3.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法
(1)粉砕:純チタンと純ニッケルを別々に精錬して、単一のチタンロッドとニッケルロッドを取得し、プラズマ噴霧(PA)により単体チタン粉末およびニッケル粉末を調製する。前記粉末の粒子サイズ範囲は15~53μm、チタン粉末の酸素含有量は650ppm、ニッケル粉末の酸素含有量は700ppmである。
(2)粉末混合および粉末改質:取得された単体チタン粉末(粉末粒径:15~53 μm)およびニッケル粉末(粉末粒径:15~53 μm)をPlasma-BM-Sプラズマボールミルに入れて表面改質を行い、混合粉末中のニッケルの原子比率は51.3%、電圧は130 V、電流は1 A、電極回転速度は400 r / min、各放電処理時間は0.5時間にするように制御する。隣接する2回の放電処理の間隔は15分で、放電処理の回数は8回である。
(3)4D印刷成形:粉末混合および粉末改質された粉末を混合し、CONCEPT LASER M2で成形し、レーザー電力70 W、レーザー走査速度80 mm/s、粉末層の厚さ30 μm、走査間隔100 μmである工程パラメータを使用して、チタン-ニッケル形状記憶合金を調製して取得する。
【0028】
4.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の超弾性の超弾性挙動:圧縮下(最大応力は800MPa)でのチタン-ニッケル合金の超弾性回復ひずみは6.22%であり、関連する文献の記載、例えば、4.6%の回復ひずみ(Acta Mater. 194 (2020) 178-189.)、5.62%の回復ひずみ(Sci. Rep. 9(1) (2019) 41)、5.77%の回復ひずみ(Acta Mater. 144 (2018) 552-560.)と比較すれば、本発明は優れた全体的な性能を持っている(Prog. Mater. Sci. 83 (2016) 630-663.)。
【0029】
実施例2:
1.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の微細構造
順次構成した機能ユニットは、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーン、熱影響ゾーンで構成されている。セルラー結晶ゾーンの結晶粒子の粒径は1000nmであり、サイズが100nmであるTi
2Ni析出相が粒界に分布している。サイズが60nmであるTi
2Ni析出相が遷移ゾーン拡散分布している。サイズが5nmであるNi
4Ti
3クラスター(
図1および
図2を参照)が熱影響ゾーン分布している。
【0030】
2.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の機能特性
順次構成した機能ユニットにおけるセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度それぞれは、3.5 GPa,4.7 GPa,5.2 Gpa、ヤング率それぞれは、55 GPa,59 GPa,66 GPa(
図3を参照)、マトリックスニッケル含有量それぞれは、551.1%,51.8%,52.1%(at.%)である。
【0031】
3.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法
(1)粉砕:純チタンと純ニッケルを別々に精錬して単一のチタンロッドとニッケルロッドを取得し、電極誘導溶融ガス噴霧(EIGA)で単体チタン粉末およびニッケル粉末を調製し、前記粉末の粒子サイズは、100~1000nmまたは15~53 μm範囲である。チタン粉末の酸素含有量は580ppm、ニッケル粉末の酸素含有量は800ppmである。
(2)粉末混合および粉末改質:取得された単体チタン粉末(粉末粒径:15~53 μm)およびニッケル粉末(粉末粒径:100~1000nm)をPlasma-BM-Sプラズマボールミルに入れて表面改質を行い、混合粉末中のニッケルの原子比率は52.1%であり、電圧150V、電流1.2A、電極回転速度600 r/min、毎回の放電処理時間持続時間1 h,隣接する2回の放電処理の間隔30 min分放電処理の回数4回とするように制御する。
(3)4D印刷成形:粉末混合および粉末改質された粉末を混合し、EOS M280によって成形し、レーザー電力100 W、レーザー走査速度150 mm/s、粉末層の厚さ30 μm、走査間隔100 μmである工程パラメータを使用して、チタン-ニッケル形状記憶合金を調製して取得する。
【0032】
4、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の超弾性挙動:圧縮下(最大応力は800MPa)でのチタン-ニッケル合金の超弾性回復ひずみは6.3%であり、関連する文献の記載、例えば、4.6%の回復ひずみ(Acta Mater. 194 (2020) 178-189.)、5.62%の回復ひずみ(Sci. Rep. 9(1) (2019) 41)、5.77%の回復ひずみ(Acta Mater. 144 (2018) 552-560.)と比較すれば、本発明は優れた全体的な性能を持っている(Prog. Mater. Sci. 83 (2016) 630-663.)。
【0033】
実施例3:
1、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の微細構造
順次構成した機能ユニットは、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーン、熱影響ゾーンで構成されている。セルラー結晶ゾーンの結晶粒子の粒径は600nmであり、サイズが40nmであるTi
2Ni析出相が粒界に分布している。サイズが20nmであるTi
2Ni析出相が遷移ゾーン拡散分布している。熱影響ゾーン分布サイズが1~3nmであるNi
4Ti
3クラスター(
図1および
図2を参照)が熱影響ゾーン分布している。
【0034】
2、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の機能特性:
順次構成した機能ユニットにおけるセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度それぞれは、3.5 GPa,4.7 GPa,5.5 GPa;ヤング率それぞれは:50 GPa,56 GPa,66 GPa
図3を参照)、マトリックスニッケル含有量それぞれは、51.9%,52.4%,53.0%(at.%)である。
【0035】
3.順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法
(1)粉砕:純チタンと純ニッケルを別々に精錬して単一のチタンロッドとニッケルロッドを取得し、プラズマ回転電極噴霧粉末法(PREP)により元素チタン粉末とニッケル粉末を調製する。前記粉末の粒子サイズ範囲は100~1000nmまたは15~53 μmであり、チタン粉末の酸素含有量は510ppm、ニッケル粉末の酸素含有量は780ppmである。
(2)粉末混合および粉末改質:取得された単体チタン粉末(粉末粒径:100~1000nm)およびニッケル粉末(粉末粒径:15~53 μm)をPlasma-BM-Sプラズマボールミルに入れて表面改質を行い、混合粉末中のニッケルの原子比率は53%であり、電圧140 V,電流1.4 A,電極回転速度800 r/min,毎回の放電処理時間持続時間2 h、隣接する2回の放電処理の間隔40 min、放電処理の回数2回とするように制御する。
(3)4D印刷成形:粉末混合および粉末改質された粉末を混合し、通?EOS M290によって成形し、レーザー電力150 W、レーザー走査速度200 mm/s、粉末層の厚さ30 μm、走査間隔100 μmである工程パラメータを使用して、チタン-ニッケル形状記憶合金を調製して取得する。
【0036】
4、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の超弾性挙動:圧縮下(最大応力は800MPa)でのチタン-ニッケル合金の超弾性回復ひずみは6.5%であり、関連する文献の記載、例えば、4.6%の回復ひずみ(Acta Mater. 194 (2020) 178-189.)、5.62%の回復ひずみ(Sci. Rep. 9(1) (2019) 41)、5.77%の回復ひずみ(Acta Mater. 144 (2018) 552-560.)と比較すれば、本発明は優れた全体的な性能を持っている(Prog. Mater. Sci. 83 (2016) 630-663.)。
【0037】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は、上記の実施例によって限定されるものではなく、本発明の精神と原則から逸脱しないその他の変更、修正、置換、組み合わせ、および簡略化は、同等の置換方法であり、本発明の保護範囲に含まれる。
【0038】
(付記)
(付記1)
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金であり、
(1)微細構造特性と、(2)組成特性と、(3)機能特性とを含み、
(1)微細構造特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金は、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーン3つの特徴的なゾーンを含み、上記3つの特徴的なゾーンは、機能的基本要素を構成し、
(2)組成特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金におけるセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンは、ニッケル含有量が異なり、勾配変化の特性を有し、
(3)機能特性:順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金内のセルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度、ヤング率、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力が異なり、勾配変化の特性を有する、ことを特徴とする順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【0039】
(付記2)
前記特性(1)のセルラー結晶ゾーンの結晶粒子の粒径は600~1000nmであり、サイズが40~100nmのTi2Niナノ析出相が粒界に分布しており、遷移ゾーンの結晶粒子内にサイズが20~60nmであるTi2Niナノ沈殿物が拡散分布しており、熱影響ゾーンに多数のNi4Ti3クラスターが分布しており、サイズは1~5nmである、ことを特徴とする付記1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【0040】
(付記3)
前記特性(1)の3つの特徴的なゾーンからなる順次構成した機能ユニットは、チタン-ニッケル形状記憶合金に周期的に現れ、かつ3つの特徴的なゾーンのマトリックスはすべてオーステナイト相であり、一方、セルラー結晶ゾーンの比率は、20~25%であり、遷移ゾーンの比率は20~25%であり、熱影響ゾーの比率は50~60%である、ことを特徴とする付記1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【0041】
(付記4)
前記特性(2)において、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンにおけるマトリックスニッケル含有量は勾配的に減少し、ニッケルの原子比率は50%~53%範囲である、ことを特徴とする付記1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【0042】
(付記5)
前記特性(3)において、セルラー結晶ゾーン、遷移ゾーンおよび熱影響ゾーンのナノ硬度、ヤング率、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力勾配が変化し、前記ナノ硬度およびヤング率勾配が増加し、応力誘起マルテンサイト変態の臨界応力勾配が減少し、前記ナノ硬度は3.5から5.5GPaまで変化し、ヤング率は50から66GPaまで変化する、ことを特徴とする付記1に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金。
【0043】
(付記6)
順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法であって、
粉砕ステップ(1)と、粉末混合および粉末改質ステップ(2)と、4D印刷成形ステップ(3)とを含み、
(1)粉砕:純チタンと純ニッケルを別々に精錬して、単一のチタンロッドとニッケルロッドを取得し、プラズマ噴霧、電極誘導溶融ガス噴霧またはプラズマ回転電極噴霧粉末法によって単体チタン粉末およびニッケル粉末を調製し、前記粉末の粒子サイ粉末の粒子サイズは100~1000nmまたは15~53μm.ppmの範囲であり、チタン粉末の酸素含有量は510~650ppm、ニッケル粉末の酸素含有量は700~800ppmであり、
(2)粉末混合および粉末改質:ステップ(1)で取得された単体チタン粉末およびニッケル粉末(少なくとも1つの粉末の粒子サイズ範囲が15~53μmである)を放電プラズマ支援ボールミルに入れて放電処理を行い、粉末混合の表面を改質し、粉末混合中のニッケルの原子比率は50~53%であり、
(3)4D印刷成形:ステップ(2)で粉末混合および粉末改質された粉末を混合し、選択的レーザー溶融によって成形し、チタン-ニッケル形状記憶合金を取得する、ことを特徴とする順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法。
【0044】
(付記7)
前記ステップ(2)のプラズマボールミルが、混合粉末に対して放電処理を行う場合、制御パラメータは、電圧が130~150V、電流が1~1.4A、電極回転速度が400~800 r / min、毎回放電処理時間持続時間が0.5~2h、隣接する2回の放電処理の間隔が15~45分、放電処理の回数が2~8回である、ことを特徴とする付記6に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法。
【0045】
(付記8)
前記ステップ(3)の4D印刷の調製方法の工程パラメータは、70~150Wのレーザー電力、80~200mm/秒のレーザー走査速度、30μmの粉末層の厚さ、および100μmの走査間隔である、ことを特徴とする付記6に記載の順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の4D印刷の調製方法。
【0046】
(付記9)
調製眼鏡フレーム、歯列矯正ワイヤー、圧迫骨プレート、脊椎整形外科用ロッド、駆動装置、エグゼクティブコンポーネント、複雑なダンパー、インテリジェント温度制御装置、自己拡張型トラス、自己拡張型通信衛星コンポーネントおよびバリアント航空機などのコンポーネントにおける、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の用途。
【0047】
(付記10)
調製関節インプラント、脊椎インプラント、肩インプラント、頭蓋顎顔面インプラント、足首インプラント)およびその他のインプラントにおける、順次構成した機能ユニットを有する超高超弾性チタン-ニッケル形状記憶合金の用途。