(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/80 20170101AFI20241007BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241007BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20241007BHJP
H05B 47/10 20200101ALI20241007BHJP
B60Q 3/74 20170101ALI20241007BHJP
B60Q 3/60 20170101ALI20241007BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20241007BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241007BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241007BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20241007BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241007BHJP
F21W 106/00 20180101ALN20241007BHJP
F21W 104/00 20180101ALN20241007BHJP
【FI】
B60Q3/80
F21V23/00 140
F21V9/32
H05B47/10
B60Q3/74
B60Q3/60
F21S43/14
H01L33/00 L
G02B5/20
F21Y113:13
F21Y115:10
F21W106:00
F21W104:00
(21)【出願番号】P 2020040849
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】597096161
【氏名又は名称】株式会社朝日ラバー
(73)【特許権者】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文泰
(72)【発明者】
【氏名】川口 武
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 啓一
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-258356(JP,A)
【文献】特開2012-015456(JP,A)
【文献】特表2016-522542(JP,A)
【文献】特開2009-266484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/80
F21V 23/00
F21V 9/32
H05B 47/10
B60Q 3/00
F21S 43/14
H01L 33/00
G02B 5/20
F21Y 113/13
F21Y 115/10
F21W 106/00
F21W 104/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の蛍光体含有LED装置と
、複数の第2の蛍光体含有LED装置と
、前記第1の蛍光体含有LED装置及び/または前記第2の蛍光体含有LED装置をそれぞれ複数個実装する複数のLED実装基板と、前記第1の蛍光体含有LED装置に供給される電力及び前記第2の蛍光体含有LED装
置に供給される電力
をそれぞれ制御する電力制御部とを備え、
前記第1の蛍光体含有LED装置は、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれるLED素子と第1の蛍光体とを含み、前記第2の蛍光体含有LED装置は、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれるLED素子と第2の蛍光体とを含み、
前記第2の蛍光体含有LED装置と前記第1の蛍光体含有LED装置とは、それぞれの発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れており
、各前記蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上であり、
前記
各LED実装基板は筐
体の内部に収容されており、
前記筐体は、その内壁面に前記各蛍光体含有LED装置の発光を反射させるための反射膜を備え、且つ、前記反射膜により反射された光を通過さ
せて照明光を発するための、前記各蛍光体含有LED装置に対面しない光取り出し口を備
え、
前記第1の蛍光体含有LED装置及び前記第2の蛍光体含有LED装置に供給される電力を調整することにより、前記照明光の分光分布が調整される、ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
複数の前記第1の蛍光体含有LED装置と、複数の前記第2の蛍光体含有LED装置と、複数の第3の蛍光体含有LED装置と、前記第1の蛍光体含有LED装置,前記第2の蛍光体含有LED装置及び/または前記第3の蛍光体含有LED装置をそれぞれ複数個実装する複数の前記LED実装基板と、前記第1の蛍光体含有LED装置に供給される電力,前記第2の蛍光体含有LED装置に供給される電力及び前記第3の蛍光体含有LED装置に供給される電力をそれぞれ制御する前記電力制御部とを備え、
前記第3の蛍光体含有LED装置は
、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれるLED素子と第3の蛍光体と、を含み、
前記第3の蛍光体含有LED装置の発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長は、前記第1の蛍光体含有LED装置及び前記第2の蛍光体含有LED装置の少なくとも何れか1つの各前記蛍光ピーク波長と10nm以上離れており
、各前記蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上であり、
前記第1の蛍光体含有LED装置、前記第2の蛍光体含有LED装置及び前記第3の蛍光体含有LED装置に供給される電力を調整することにより、前記照明光の分光分布が調整される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
複数の前記第1の蛍光体含有LED装置と、複数の前記第2の蛍光体含有LED装置と、複数の前記第3の蛍光体含有LED装置と、複数の第4の蛍光体含有LED装置と、前記第1の蛍光体含有LED装置,前記第2の蛍光体含有LED装置,前記第3の蛍光体含有LED装置及び/または前記第4の蛍光体含有LED装置をそれぞれ複数個実装する複数の前記LED実装基板と、前記第1の蛍光体含有LED装置に供給される電力,前記第2の蛍光体含有LED装置に供給される電力,前記第3の蛍光体含有LED装置及び前記第4の蛍光体含有LED装置に供給される電力をそれぞれ制御する前記電力制御部とを備え、
前記第4の蛍光体含有LED装置は
、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれるLED素子と第4の蛍光体と、を含み、
前記第4の蛍光体含有LED装置の発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長は、前記第1の蛍光体含有LED装置,前記第2の蛍光体含有LED装置及び前記第3の蛍光体含有LED装置の少なくとも何れか1つの各前記蛍光ピーク波長と10nm以上離れ
ており、各前記蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上であり、
前記第1の蛍光体含有LED装置、前記第2の蛍光体含有LED装置、前記第3の蛍光体含有LED装置及び前記第4の蛍光体含有LED装置に供給される電力を調整することにより、前記照明光の分光分布が調整される、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の蛍光体,前記第2の蛍光体,前記第3の蛍光体,及び前記第4の蛍光体は、410~470nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体,430~490nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体,490~530nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体、500~590nmの範囲にピーク波長を有する蛍光体、580~680nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体から選ばれる請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
蛍光体を含まないLED装置をさらに備え、前記電力制御部は前記蛍光体を含まないLED装置に供給される電力を制御する請求項1~4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
自動車の内部照明である請求項1~5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記照明装置は、前記電力制御部のPWM制御により1/fゆらぎ点灯することを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光の分光分布を調整でき、連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業時の疲労感を低減したり、視認性を向上させたり、良質な睡眠を促したりする照明装置が提案されている。具体的には、照射される光の色座標の範囲を調整したり、発光スペクトルの形状を調整したりして、各作用を有する光を発する照明装置が提案されている。
【0003】
下記特許文献1は、人に自然で良質な睡眠を促すことが可能な照明装置として、LED素子の発光により、国際照明委員会が定めるxy色度図上の点A(0.555,0.394)を通る等色温度線及び黒体輻射軌跡に対する等偏差線と、点B(0.419,0.343)を通る等色温度線及び黒体輻射軌跡に対する等偏差線とで囲まれる領域内の照明色の照明光を出射することを特徴とする照明装置を開示する。
【0004】
また、下記特許文献2は、快適性を向上させて作業時の疲労感を低減させるLED素子の発光により照明光を出射して照明を行う照明装置として、照明光のスペクトルの400nmから800nmの面積に対して、600nmから700nmの面積が30%以上70%以下であるとともに、400nmから500nmの面積が20%以下であり、照明光のスペクトルが600nmから700nmの間に最大値を有し、該最大値に対して500nmから600nmのスペクトルの最大値が70%以下である照明装置を開示する。
【0005】
また、下記特許文献3は、ディスプレイの文字の読みやすさ感を向上させることができる照明装置として、ディスプレイ用照明として第1照明光を照射する発光部を備え、第1照明光の光特性は、相関色温度が3800K以上6500K以下の範囲で、色偏差Duvが-9以上0以下の範囲で、内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)刺激量がD65光源から照射される光で規格化した値で0.6以上である 照明装置を開示する。
【0006】
また、下記特許文献4は、暗所において明るく感じさせて高い視認性を与え、かつ疲労感を与えにくい光を発する光源、LED装置及び発光表示構造として、CIE1931の色度図の座標において、無彩色を示す座標W(0.33,0.33)とスペクトル軌跡上の480nmの座標B(0.091,0.133)と、560nmの座標G(0.373,0.624)とを結ぶ線分WB及び線分WGとスペクトル軌跡に囲まれる領域における、色純度が2~50の領域に含まれ、かつ、波長領域480~540nmにおいて連続した分光波長が占める面積が380~780nmの光源全体の分光波長面積に対して15%以上である光を発する光源を開示する。
【0007】
ここで、赤色LED素子,緑色LED素子,青色LED素子の異なる色の光を発するLEDを組み合わせて構成されたLED装置は、フルカラーLED装置またはRGB3in1LED装置、として知られている。フルカラーLED装置を用いて発光色を調整する技術も知られている。
【0008】
例えば、下記特許文献5は、光の3原色の各色の発光ダイオードを搭載した発光色可変LED装置と、発光ダイオードへ流す電流を各色毎に制御する電流制御回路とを具えたLED発光色制御装置を開示する。このようなLED発光色制御装置によれば、発光の色及び強さを制御することにより、発光する色の種類が可変できる発光色可変LED装置が得られる。
【0009】
また、下記特許文献6は、例えば、赤色(R),緑色(G),青色(B)の異なるLED素子を複数組み合わせて発光体を構成し、各色のLEDへ送る電力を電力制御部で制御することにより、出力する光色を任意の色となるように電力制御を行うLED光源を開示する。
【0010】
また、下記特許文献7は、赤色の波長を含む光、緑色の波長を含む光及び青色の波長を含む光を、特定色の混色光を生成するようにそれぞれ発する赤色LED、緑色LED及び青色LEDと、赤色LEDに流れる電流を電流制御信号に従って調整する赤色用電流駆動手段と、緑色LEDに流れる電流を一定の設定電流に調整する緑色用電流駆動手段と、青色LEDに流れる電流を一定の設定電流に調整する青色用電流駆動手段と、赤色LEDの発光量に関連する検出信号を出力する検出手段と、この検出手段から出力される検出信号から得られる値が予め決定された発光量の値に等しくなるように、電流制御信号を赤色用電流駆動手段に出力する制御手段と を備えるLED光源を開示する。
【0011】
また、下記特許文献8は、出射する光の輝度に応じて光の色温度が変化するLED照明装置が開示されている。具体的には、360nm以上480nm以下に発光ピーク波長を有する半導体発光素子を有する第1LEDと、360nm以上480nm以下に発光ピーク波長を有する半導体発光素子を有し、所定の色温度の白色光を出射する第2LEDと、第1LEDの光射出方向に配置されており、第1LEDから出射される光を赤色光~オレンジ色光に変換する光変換部材を有する非レンズ部、及び前記第2LEDの光射出方向に配置されたレンズ部を有するレンズモジュールと、外部から供給される駆動信号が供給される期間において、第1LEDに供給される駆動電流を一定値で制御するとともに、第2LEDに供給される駆動電流を前記駆動信号に応じて可変電流で制御する電流制御部とを備えるLED照明装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2013-171686号公報
【文献】特開2013-171689号公報
【文献】特開2018-088374号公報
【文献】特開2019-125577号公報
【文献】特開平8-250771号公報
【文献】特開平11-162660号公報
【文献】特開2007-080865号公報
【文献】特開2014-197501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1~4に開示された各照明装置はそれぞれ、人に自然で良質な睡眠を促したり、疲労感を低減させたり、文字を読みやすくさせたり、暗所において明るく感じさせて高い視認性を与える効果を有する照明光を得られる。しかしながら、それらの各照明装置は、それぞれの目的に合うようにあらかじめ調光されているために、人の体調や状況に応じて、光の種類を選択することができなかった。具体的には、人が睡眠を促したいときには睡眠を促す光に調整し、疲労感を低減させたいときには疲労感を低減させる光に調整し、文字を読みやすくさせたいときには文字を読みやすくして疲労感を低減させる光に調整したりすることができなかった。
【0014】
また、特許文献5~8に開示された各照明装置は、赤色LED素子,緑色LED素子,青色LED素子の各LED素子へ流れる電流値を制御することにより、各LED素子から発せられる光を混色することによって光色を変化させる照明装置である。このような、赤色LED素子,緑色LED素子,青色LED素子からの発光をそのまま混合して調光した場合、青色LED素子は470nm付近、緑色LED素子は530nm付近,赤色LED素子は630nm付近に、それぞれ大きいシャープの波長ピークを有するだけの分光分布を示すために、これらが発する光を混合して得られる光も三原色を呈する鋭い各波長ピークを組み合わせただけの調色しかできず、自然光のような連続した分光波長を有する発光に調整できなかった。
【0015】
また、従来のフルカラーLED装置は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の異なるLED素子から構成されているために、各LED素子への順電圧が異なることにより供給電力の制御が難しかった。また、赤色LED素子の寿命が青色LED素子及び緑色LED素子の寿命よりも短いことにより、結果としてフルカラーLED装置全体の寿命が短かった。また、赤色LED素子は、緑色LED素子と青色LED素子よりも高温になると発光効率が低下するために、高温環境では設定した色に対して発光色がずれるという問題もあった。
【0016】
本発明は上述のような問題を解決できる、照明光の分光分布を調整でき、連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一局面は、複数の第1の蛍光体含有LED装置と、複数の第2の蛍光体含有LED装置と、第1の蛍光体含有LED装置及び/または第2の蛍光体含有LED装置をそれぞれ複数個実装する複数のLED実装基板と、第1の蛍光体含有LED装置に供給される電力及び第2の蛍光体含有LED装置に供給される電力をそれぞれ制御する電力制御部とを備え、第1の蛍光体含有LED装置は、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれるLED素子と第1の蛍光体とを含み、第2の蛍光体含有LED装置は、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれるLED素子と第2の蛍光体とを含み、第2の蛍光体含有LED装置と第1の蛍光体含有LED装置とは、それぞれの発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れており、各蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上であり、各LED実装基板は筐体の内部に収容されており、筐体は、その内壁面に各蛍光体含有LED装置の発光を反射させるための反射膜を備え、且つ、反射膜により反射された光を通過させて照明光を発するための、各蛍光体含有LED装置に対面しない光取り出し口を備え、第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置に供給される電力を調整することにより、照明光の分光分布が調整される照明装置である。このような照明装置においては、それぞれ異なる分光分布となる光を出射する2種類の蛍光体含有LED装置の蛍光ピーク波長の半値幅が何れも50nm以上であることにより、照明装置から出射される光がブロードで連続した分光分布を有する発光になる。また、異なる発光分布を有する蛍光体含有LED装置に供給される電力をそれぞれ独立して制御する電力制御部を備えるために、出射される光の分光分布の特定の波長領域の発光強度を調整してブロードで連続した分光分布に調整することができる。その結果、連続した分光分布を有する、多様な色の光に調整できる照明装置が得られる。
【0018】
照明装置は、複数の第1の蛍光体含有LED装置と、複数の第2の蛍光体含有LED装置と、複数の第3の蛍光体含有LED装置と、第1の蛍光体含有LED装置,第2の蛍光体含有LED装置及び/または第3の蛍光体含有LED装置をそれぞれ複数個実装する、複数のLED実装基板と、第1の蛍光体含有LED装置に供給される電力,第2の蛍光体含有LED装置に供給される電力及び第3の蛍光体含有LED装置に供給される電力をそれぞれ制御する電力制御部とを備え、第3の蛍光体含有LED装置は、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれるLED素子と第3の蛍光体とを含み、第3の蛍光体含有LED装置の発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長は、第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置の少なくとも何れか1つの各蛍光ピーク波長と10nm以上離れており、各蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上であり、第1の蛍光体含有LED装置,第2の蛍光体含有LED装置及び第3の蛍光体含有LED装置に供給される電力を調整することにより、照明光の分光分布が調整されることが好ましい。このような照明装置においては、それぞれ 異なる分光分布となる光を出射する3種類の蛍光体含有LED装置が実装されていることにより、さらに、照明光の分光分布を調整でき、ブロードで連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できる照明装置が得られる。また、照明装置が、さらに、第4の蛍光体含有LED装置をさらに備え、電力制御部が第4の蛍光体含有LED装置に供給される電力を制御する場合には、さらに、照明光の分光分布を調整でき、ブロードで連続した分光 分布を有する多様な色の光に調整できる照明装置が得られる。
【0019】
また、照明装置においては、蛍光体含有LED装置のそれぞれに含まれる各蛍光体は、410~470nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体,430~490nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体,490~530nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体、500~590nmの範囲にピーク波長を有する蛍光体、580~680nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体から選ばれることが、幅広い色座標の範囲の調光が可能になる点から好ましい。なお、例えば、第2蛍光体と第3蛍光体において、蛍光ピーク波長の範囲が重複する場合には、低波長側の蛍光ピーク波長を有する蛍光体を第2蛍光体とする。同様に、例えば、第3蛍光体と第4蛍光体において、蛍光ピーク波長の範囲が重複する場合には、低波長側の蛍光ピーク波長を有する蛍光体を第3蛍光体とする。
【0020】
また、照明装置は、蛍光体を含まないLED装置をさらに備え、電力制御部は蛍光体を含まないLED装置に供給される電力を制御する場合には、より幅広い色座標の範囲の調光が可能になる点から好ましい。さらに、蛍光体を含まないLED装置は、青色LED装置であることが、再現できる色度範囲が広がり、照明装置の長期信頼性が高まることから好ましい。
【0021】
また、前記照明装置は、自動車の内部照明として好ましく用いられる。
【0022】
また、電力制御部でPWM制御により、照明光を1/fゆらぎとなるようにすることにより、人に対してよりリラックス感を与えることができる光となるため好ましい。
【0023】
また、人工知能により照明光の分光分布を自動調整することにより、照明装置のユーザーが求める最適な照明光を過去の分光分布の設定や好み、その場の環境に応じて照明光を最適化できるため好ましい。
【0024】
また、照明光に連動して音又は/及び匂いを発する機能を有することで、人に対してより照明光が与えるリラックス感などの効果を高めることができることから好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、照明光の分光分布を調整でき、連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できる照明装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態の照明装置100で用いられる蛍光体含有LED装置10の上面模式図である。
【
図2】
図2は、蛍光体含有LED装置10の断面模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態の照明装置100の模式説明図である。
【
図4】
図4は、照明装置本体20に組み込まれたLED実装基板11の上面模式図である。
【
図5】
図5は、照明装置本体20に組み込まれた照明制御機構40の回路構成図である。
【
図6】
図6は、照明制御機構の他の例である照明制御機構41の回路構成図である。
【
図7】
図7は、照明制御機構の他の例である照明制御機構42の回路構成図である。
【
図8】
図8は、実施例で用いた各LED装置が発する光の発光スペクトルである。
【
図9】
図9は、実験番号1~9で得られた照明装置の発する光の発光スペクトルである。
【
図10】
図10は、実験番号1~9で得られた照明装置の発する光のCIE表色系の色度図の座標である。
【
図11】
図11は、実験番号10~13で得られた照明装置の発する光の発光スペクトルである。
【
図12】
図12は、実験番号10~13で得られた光のCIE表色系の色度図の座標である。
【
図13】
図13は、実験番号14~20で得られた照明装置の発する光の発光スペクトルである。
【
図14】
図14は、実験番号14~20で得られた照明装置の発する光のCIE表色系の色度図の座標である。
【
図15】
図15は、比較実験番号1~5で得られた照明装置の発する光の発光スペクトルである。
【
図16】
図16は、比較実験番号1~5で得られた光のCIE表色系の色度図の座標である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る一実施形態の照明装置は、第1の蛍光体含有LED装置と、第2の蛍光体含有LED装置と、第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置のそれぞれに供給される電力を制御する電力制御部とを備え、第1の蛍光体含有LED装置は、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれる1種のLED素子と第1の蛍光体とを含み、第2の蛍光体含有LED装置は、LED素子と第2の蛍光体とを含み、第2の蛍光体含有LED装置と第1の蛍光体含有LED装置とは、それぞれの発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れており、蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上である照明装置である。また、照明装置は、さらに、第3の蛍光体含有LED装置、第4の蛍光体含有LED装置等の、異なる発光の分光分布を示す、他の種類の蛍光体含有LED装置をさらに含んでもよい。また、青色LED装置等の蛍光体を含まないLED装置を含んでもよい。
【0028】
以下、本発明に係る照明装置の実施形態について説明する。
【0029】
[LED装置]
本実施形態の照明装置は、青色LED素子または近紫外LED素子から選ばれる1種のLED素子と蛍光体とを含み、互いに異なる分光分布を有する発光をする少なくとも2種の蛍光体含有LED装置を備える。少なくとも2種の蛍光体含有LED装置は、それぞれ第1の蛍光体含有LED装置と第2の蛍光体含有LED装置とを含む。そして、各蛍光体含有LED装置は、各LED素子からの発光に励起されて蛍光を発する蛍光体を含む。そして、第1の蛍光体含有LED装置と第2の蛍光体含有LED装置とは、各発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れている。そして、各蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上である。また、照明装置は、さらに、第3の蛍光体含有LED装置、第4の蛍光体含有LED装置等、または、それ以上の、異なる発光の分光分布を示す、他の種類の蛍光体含有LED装置を備えてもよい。また、照明装置は、第1の蛍光体含有LED装置と第2の蛍光体含有LED装置を備える限り、蛍光体を含まない青色LED装置等のLED装置を備えてもよい。なお、第1の蛍光体、第2の蛍光体、第3の蛍光体、第4の蛍光体等の表現は異なる種類の蛍光体を区別するための表現である。
【0030】
以下に、一例として、4種の蛍光体含有LED装置について詳しく説明する。
図1は本実施形態で用いられる4種の蛍光体含有LED装置10(10BG,10G,10Y,10R)の上面模式図である。また、
図2は、
図1に示した蛍光体含有LED装置10のB-B’断面における断面模式図である。蛍光体含有LED装置10は、430~490nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体3BGを含む蛍光体含有LED装置10BG,490~530nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体3Gを含む蛍光体含有LED装置10G,500~590nmの範囲にピーク波長を有する蛍光体3Yを含む蛍光体含有LED装置10Y,または580~680nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体3Rを含む蛍光体含有LED装置10Rの何れかである。さらに具体的には、蛍光体含有LED装置10は、LED装置本体5を、蛍光体である、蛍光体3BG,蛍光体3G,蛍光体3Y,または蛍光体3Rを含む蛍光体含有キャップ9(9BG,9G,9Y,9R)で覆うように形成された構成体である。
【0031】
図2に示すように、LED装置本体5は、青色LED素子1と、青色LED素子1を収容する収容凹部2aを備えるパッケージ部材2と、収容凹部2aに収容された青色LED素子1を封止する透明樹脂封止材4とを備えるLED発光装置である。収容凹部2aの内壁面には、銀メッキ等による反射膜7が形成されている。青色LED素子1の一方の電極はリード2bに接続され、青色LED素子1の他方の電極は金線6によりワイヤーボンディングされてリード2cに接続されて、各リード2b,2cが外部へ延出されている。リード2bはアノードであり、リード2cはカソードである。LED装置本体5のリード2bに電源の正極側、リード2cに電源の負極側を接続して、電力を付与することにより、青色LED素子1が発光する。このようなLED装置本体5においては、透明樹脂封止材4の上面が発光面になる。そして、LED装置本体5の発光面を覆うように蛍光体含有キャップ9(9BG,9G,9Y,9R)がそれぞれ装着されている。蛍光体含有キャップ9に含まれる蛍光体3は青色LED素子1の発光により励起されて蛍光を発する。そのために、蛍光体含有LED装置10から発せられる光の発光スペクトルは、青色LED素子1の発光と蛍光体3の蛍光とを混合したスペクトルを示す。
【0032】
青色LED素子1は、420nm~480nmの青色領域に発光ピーク波長を有する、青色LEDチップである。青色LED素子の具体例としては、例えば、GaN系等の素子が挙げられる。また、透明樹脂封止材4は、収容凹部2aに収容された青色LED素子1を封止して密封する。透明樹脂封止材を形成する透明樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。本実施形態のLED装置本体は表面実装型装置(SMD)と称されるタイプであるが、SMDの代わりに、いわゆる砲弾型、パッケージ型、チップオンボード型(COBタイプ)などの他のタイプのLED装置を用いてもよい。
【0033】
また、蛍光体を分散された蛍光体層を形成する蛍光体含有キャップ9は、蛍光体3BG,蛍光体3G,蛍光体3Y,または蛍光体3Rを光透過性樹脂に均一に分散させた蛍光体含有シートをキャップ状に成形した成形体である。好ましい光透過性樹脂の具体例としては、例えば、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー)やシリコーンレジン等のシリコーンや、エポキシ樹脂等が例示される。蛍光体層としては、キャップ状の蛍光体含有シートの代わりに、透明樹脂封止材中に埋設させた蛍光体含有シートであっても、透明樹脂封止材の発光面に蛍光体を含有する光透過性樹脂の組成物を塗布して形成された樹脂層であってもよい。また、蛍光体含有LED装置には、蛍光体層を形成する代わりに、LED素子を封止する透明樹脂封止材に蛍光体を分散させてもよい。
【0034】
また、蛍光体含有LED装置は、発光色及び発光する光の分光スペクトルの形状を調整するために、蛍光体に加えて、必要に応じて着色剤を含んでもよい。また、混合された光の色むらを低減するために光拡散材等の添加剤を含んでもよい。着色剤は蛍光を発さず、所定の波長の光を吸収することにより発光色を調整するための成分として用いられる。このような着色剤の具体例としては、例えば、緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG、フタロシアニングリーン等の有機または無機顔料、酸化チタン,タルク,硫酸バリウムの白色顔料、カーボンブラックなどの黒色顔料が挙げられる。また、光拡散材としては、シリカ,炭酸カルシウムが挙げられる。
【0035】
蛍光体層を形成する場合、その厚さは特に限定されないが、例えば20~3000μm、さらには50~1000μmであることが好ましく、100~500μmであることが特に好ましい。また、蛍光体層に分散される蛍光体の割合は、蛍光体の種類や蛍光体層の厚さ等によって適宜調整されるが、一例としては、蛍光体層の厚さが100μmのとき、光透過性樹脂100質量部に対して、10~300質量部、さらには、50~200質量部配合することが好ましい。
【0036】
図2(a)に示す、蛍光体含有LED装置10BGは、430~490nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体3BGを含む蛍光体含有キャップ9BGを備える。また、
図2(b)に示す、蛍光体含有LED装置10Gは、490~530nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体3Gを含む蛍光体含有キャップ9Gを備える。また、
図2(c)に示す、蛍光体含有LED装置10Yは、500~590nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体3Yを含む蛍光体含有キャップ9Yを備える。また
図2(d)に示す、蛍光体含有LED装置10Rは、580~680nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体3Rを含む蛍光体含有キャップ9Rを備える。
【0037】
蛍光体3BGは、例えば青色LED素子の発光により励起されて、430~490nmの範囲にピーク波長を有する青~緑系の光を発する。このような蛍光体の具体例としては、例えば、シリケート系蛍光体、LuAG系蛍光体(LAG蛍光体)、アルミネート系蛍光体、ユーロピウム賦活ストロンチウム・アルミネイト系蛍光体(SAE蛍光体)、β-SiAlON:Eu等のサイアロン系の蛍光体、等が挙げられる。
【0038】
また、蛍光体3Gは、例えば青色LED素子の発光により励起されて、490~530nmの範囲にピーク波長を有する緑~黄系の光を発する。このような蛍光体の具体例としては、例えば、シリケート系蛍光体、イットリウムアルミニウムガーネット系蛍光体(YAG蛍光体)、LuAG系蛍光体、アルミネート系蛍光体、β-SiAlON:Eu等のサイアロン系蛍光体、等が挙げられる。
【0039】
また、蛍光体3Yは、例えば青色LED素子の発光により励起されて、500~590nmの範囲にピーク波長を有する黄系の光を発する。このような蛍光体の具体例としては、例えば、セリウム付活YAG系蛍光体等が挙げられる。
【0040】
また、蛍光体3Rは、例えば青色LED素子の発光により励起されて、580~680nmの範囲にピーク波長を有する赤系の光を発する。このような蛍光体の具体例としては、例えば、窒化物系蛍光体、シリケート系蛍光体、(Sr,Ca)CaAlSiN3:Eu、CaAlSiN3:Eu等のカズン系蛍光体、サイアロン系蛍光体、等が挙げられる。
【0041】
本実施形態の第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置にそれぞれ含まれる蛍光体は、互いに蛍光ピーク波長が10nm以上離れている。その結果、第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置からの各発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れている。第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置からの各発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れていることにより、照明光の分光分布を調整でき、幅広い波長域で連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できる。第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置の蛍光ピーク波長は、互いに10nm以上離れており、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上離れていることがより、幅広い波長域で連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できる点から好ましい。また、第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置の蛍光ピーク波長が離れすぎている場合には蛍光体の分光分布の発光強度が低い領域が照明装置からの発光スペクトルに顕著に表れやすくなるために、200nm以下、さらには、100nm以下の範囲で蛍光ピーク波長が離れていることが好ましい。
【0042】
ここで蛍光ピーク波長とは、蛍光体の蛍光スペクトルの強度が最も高い蛍光ピークの強度に対応する波長と定義される。また、蛍光ピーク波長の半値幅とは、蛍光ピーク波長の相対強度が0.5になる波長の幅と定義される。
【0043】
また、本実施形態の第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置からの各発光の蛍光ピーク波長は、半値幅が何れも50nm以上である。第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置の蛍光ピーク波長の半値幅が何れも50nm以上であることにより、幅広い波長域で連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できる。蛍光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であり、140nm以下であることが蛍光体の入手容易性等の点から好ましい。
【0044】
430~490nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体を含む蛍光体含有LED装置は、青色LED素子から発光される光と蛍光体が発する蛍光が混色されて、緑味の青色の光等を発することができる。
【0045】
また、490~530nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体を含む蛍光体含有LED装置は、青色LED素子から発光される光と蛍光体が発する蛍光が混色されて、黄緑色や緑味の青色、緑青味を帯びた白色等の光を発することができる。
【0046】
また、500~590nmの範囲にピーク波長を有する蛍光体を含む蛍光体含有LED装置は、青色LED素子から発光される光と蛍光体が発する蛍光が混色されて、黄色や白色等の光を発することができる。
【0047】
また、580~680nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する蛍光体を含む蛍光体含有LED装置は、青色LED素子から発光される光と蛍光体が発する蛍光が混色されて、赤色やピンク、紫色等の光を発することができる。
【0048】
以上、青色LED素子を含む青色LED装置、蛍光体及び青色LED装置に各色の蛍光体を含む蛍光体含有LED装置について説明した。なお、本実施形態で用いられる蛍光体含有LED装置としては、350~420nmの範囲に発光ピーク波長を有する近紫外LED素子を含む近紫外LED装置を用いた、近紫外LED素子からの発光に励起されて410~470nmの範囲にピーク波長を有する青~青緑の光を発する蛍光体を含む蛍光体含有LED装置を用いてもよい。近紫外LED装置を用いた蛍光体含有LED装置は、青色LED装置を用いた蛍光体含有LED装置と組み合わせて用いてもよい。
【0049】
近紫外LED素子からの発光に励起されて410~470nmの範囲に蛍光ピーク波長を有する光を発する蛍光体の具体例として、ユーロピウム賦活ストロンチウム・アルミネイト系蛍光体(SAE蛍光体)、タングステン酸塩系蛍光体、りん酸塩系蛍光体、等が挙げられる。
【0050】
[照明装置]
本実施形態の照明装置は、各発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れている、互いに異なる色の光を発する、第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置を少なくとも含む、2種以上の蛍光体含有LED装置を含む。第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置は、好ましくはそれぞれ複数である。そして、第1の蛍光体含有LED装置と第2の蛍光体含有LED装置とは、各発光の分光分布に含まれる蛍光ピーク波長が互いに10nm以上離れており、各蛍光ピーク波長の半値幅が50nm以上である。そして、照明装置は、各蛍光体含有LED装置に供給する電力を制御する電力制御部を備える。次に、このような照明装置について、図面を参照して説明する。
【0051】
図3は、実施形態の照明装置100の模式説明図である。
図3において、破線で示した部分は内部構造を示している。
図3に示すように、照明装置100は、天井Wに固定された照明装置本体20と、照明装置本体20に接続された指示部50とを備える。
【0052】
照明装置本体20は、積分球筐体15と、積分球筐体15の光取り出し口として設けられた開口Fに配された拡散部材16と、を備える。そして、積分球筐体15の内壁面に、均等な間隔で4か所に互いに異なる種類の蛍光体含有LED装置を実装したLED実装基板11(11BG,11G,11Y,11R)が配されている。積分球筐体15の内壁面には、光を拡散させるための反射膜が形成されている。また、照明装置本体20にはLED実装基板11に電力を供給するための電源30が接続されている。LED実装基板11及び電源30は後述するような照明機構40を形成する。なお、拡散部材とは、照明用拡散板であり、例えば、アクリル製乳白板などが挙げられる。各蛍光体含有LED装置を発光させることにより、拡散部材16を通過した混合色の光Mが取り出される。
【0053】
照明装置100は、高い混色性能を示す積分球筐体15を備えているが、各LED装置からの発光を混色できる限り、このような形状に限られない。例えば、積分球筐体以外での各LED装置からの発光を混色する形態として、レンズや導光体などの光学部材、拡散板や反射板などの拡散反射部材などが挙げられる。また、LED実装基板11は、異なる種類の蛍光体含有LED装置を含むLED装置ごとにLED実装基板を設けてもよいし、1つの基板上で電力が制御される互いに異なる種類の蛍光体含有LED装置を実装した実装基板を用いてもよく、それらを組み合わせることによって照明装置を構成してもよい。
【0054】
11BGは、蛍光体3BGを含む蛍光体含有LED装置10BGが複数個,実装されている第1LED実装基板である。11Gは、蛍光体3Gを含む蛍光体含有LED装置10Gが複数個,実装されている第2LED実装基板である。11Yは、蛍光体3Yを含む蛍光体含有LED装置10Yが複数個,実装されている第3LED実装基板である。11Rは、蛍光体3Rを含む蛍光体含有LED装置10Rが複数個,実装されている第4LED実装基板である。
図4は、LED実装基板の一例の上面模式図を示す。各LED実装基板に実装される蛍光体含有LED装置の数及び配置は、用途や、各蛍光体含有LED装置の発光強度等に応じて、適宜、調整される。
【0055】
各蛍光体含有LED装置はLED実装基板に1個ずつ実装されていてもよく、複数個実装されていてもよい。複数の各蛍光体含有LED装置の数としては、例えば、2~200個、さらには、2~100個、が挙げられる。
【0056】
各LED装置においては、各LED実装基板に形成された回路の実装部に、各LED装置のアノード側に電源の正極側、カソード側に電源の負極側が接続される。各LED実装基板に実装されたLED装置は好ましくは並列接続されている。
【0057】
また、電源30としては、例えば、家庭用のAC100V交流電源や、乗物用のバッテリー等を一次電源とする電源が挙げられる。各LED装置には、直流電圧に変換された電流として電力が供給される。
【0058】
一方、指示部50は、各LED実装基板11(11BG,11G,11Y,11R)のそれぞれに供給される電力を指示する。指示部50は、各LED実装基板11(11BG,11G,11Y,11R)に対応するチャンネル(ch1~4)を備える。指示部50には、チャンネル(ch1~4)で設定された電力量を電気信号としてそれぞれ指示するための信号線L1~L4が接続されている。また、信号線L1~L4の他端は、各LED実装基板11(11BG,11G,11Y,11R)の信号入力端子に接続されている。そして、各ボリュームつまみ51~54をそれぞれ回すことによって、各LED実装基板11に供給される電力が設定される。電力量に対応する電流量が、チャンネル(ch1~4)に対応する電流値メーター55~58に表示される。
【0059】
なお、指示部50は各ボリュームつまみ51~54をそれぞれ回すことによって、各LED実装基板11に供給される電力を調整するものであるが、各LED装置に供給される電力を電圧値で指示したり、相対値による電力量で間接的に指示したり、光の分光分布や色味と関連付けて供給される電力量を間接的に指示したりするものであってもよい。
【0060】
また、照明装置100においては、照明装置本体20と指示部50とは信号線L1~L4を介した有線接続により信号が送信されている。このような信号線による通信の代わりに、赤外線通信,インターネット回線を介するITC技術を用いた通信,Wi-fi通信,Bluetooth通信等の無線通信や、音声認識機能を用いた音声通信を用いてもよい。また、指示部としては、専用機器端末の代わりに、上述のような電力量を直接または間接的に指示できるアプリケーションをインストールしたスマートフォンやパーソナルコンピューター等の電子機器端末を用いてもよい。また、人工知能(AI)やIoT技術を使用することにより、集積されたデータに基づいて、例えば、デスクワークをする場合には視認性が良い分光分布の照明光を照射する等のように、使用環境に応じて照明装置のユーザーが求める最適な光の分光分布を自動調整してもよい。
【0061】
人工知能(AI)の機能を有した照明装置の場合、例えば、照明装置の構成中に人工知能を処理部として設け、ユーザーの眼球運動や心拍などの生体情報をIoT測定したデータから、ユーザーが時間ごとに設定する光のパターンなどのデータからクラス分類や回帰を行い、人工知能処理部がユーザーの視認性や疲労度などの認知感性情報に係る特徴量を抽出したうえで、ルールやパターンを導入する処理部にて処理し、電力制御部へ電力を調整する指示を出すことで、ユーザーにとって快適な光環境をつくりだす光の分光分布を自動調整することが挙げられる。また、IoT技術を使用する場合は、処理部がネットワークに接続され、照明装置が設置されている室内のパソコンやエアコン等の他の装置や機器とネットワーク情報を取得し、他の装置や機器と連動して動作してもよい。
【0062】
次に、照明装置本体20に組み込まれたLED実装基板11及び電源30等を備える照明機構40について説明する。
図5は、照明機構40の概略構成図を示す。
【0063】
照明機構40においては、第1LED実装基板11BG,第2LED実装基板11G,第3LED実装基板11Y,及び第4LED実装基板11Rのそれぞれに電力制御部であるLEDドライバ25(25BG,25G,25Y,25R)が実装されている。LEDドライバ25BG,25G,25Y,25Rは、それぞれ独立して対応するLED実装基板11BG,11G,11Y,11Rに供給される電力を制御する。電力制御部は、LED実装基板に供給される電力を制御する機能を有していればよく、LEDドライバ以外にもマイコン(MCU)、手動で可変抵抗を調整等でもよく、適宜選択することができる。
【0064】
また、各LED実装基板には、各蛍光体含有LED装置が複数個,並列接続されている。電源30から電力制御部25を介して各LED実装基板へ電力が供給される。LEDドライバは、LEDをON/OFFする回路やLED装置を点灯するために電流の大小を制御して発光を制御する駆動モジュールである。LEDドライバは、例えば、明るさの制御を行うためのPWM制御回路や複数のLED装置を点灯するためのダイナミック点灯制御回路等を備える。また、LEDドライバのPWM制御によれば、1/fゆらぎを示す点灯に制御することもできる。
【0065】
各LEDドライバ25のそれぞれには、指示部50から各LED実装基板11に供給される電力を指示する信号を送信される信号線L1~L4が接続されている。具体的には、LEDドライバ25BGの入力端子DIMにはL1が、LEDドライバ25Gの入力端子DIMにはL2が、LEDドライバ25Yの入力端子DIMにはL3が、LEDドライバ25Rの入力端子DIMにはL4が接続されている。
【0066】
指示部50はボリュームつまみの操作に応答した指示を信号として各LEDドライバ25に送信する。各LEDドライバ25は信号を入力端子DIMを通じて受信して、各LED実装基板11BG,11G,11Y,11Rに供給される電流等を変化させて供給される電力をそれぞれ制御する。電力を制御する方法としては、各LED装置を定電流駆動してPWM制御によりDuty比を各々変化させる定電流制御や、定電圧制御が挙げられる。供給される電流量は電流センス抵抗Rfbにより検出される。
【0067】
各LED実装基板11に供給される電力を指示部50のボリュームつまみで設定して、各LEDドライバ25が各LED実装基板に実装されたLED装置への電力の供給量を変化させることにより、各LED実装基板に実装されたLED装置からの発光の強度が変化する。そして、各LED実装基板からの発光が照明装置本体20の積分球筐体15の内部で拡散及び混色され、拡散部材16を通過して光が取り出される。そして、さらに、指示部50の各ボリュームつまみ51~54をそれぞれ回すことによって、照明装置100からの発光スペクトルの分光分布が変化する。
【0068】
上述した照明装置100においては、第1の蛍光体含有LED装置及び第2の蛍光体含有LED装置を含む2種以上の蛍光体含有LED装置として、4種類の蛍光体含有LED装置を含む例を説明した。2種以上の蛍光体含有LED装置に含まれる蛍光体含有LED装置の種類としては、4種類に限られず、5種類以上、または、2~3種類であってもよい。このとき、蛍光体含有LED装置の種類が多いほど、照明光の分光分布の波長領域毎の強度を細かく調整することができる。また、上述したような2種以上の蛍光体含有LED装置を含む限り、蛍光体を有しない青色LED装置や拡散層を備える青色LED装置等を用いてもよい。
【0069】
また、照明制御機構の他の例として、例えば、
図6に示すような照明制御機構41も例示できる。照明制御機構41においては、一つのLED実装基板11上に、それぞれグループ化されて電力量が制御されるそれぞれ複数の蛍光体含有LED装置10BG、複数の蛍光体含有LED装置10G、複数の蛍光体含有LED装置10Y、複数の蛍光体含有LED装置10Rが実装されている。そして、各グループの複数の蛍光体含有LED装置(10BG,10G,10Y,10R)は、一つのLEDドライバ25により、供給される電力量がそれぞれ独立して制御される。具体的には、信号線L1~L4を介して送信される指示部50からの電力を指示する信号を受信したLEDドライバ25は、蛍光体含有LED装置10BGの制御された電流M1,蛍光体含有LED装置10Gの制御された電流M1,蛍光体含有LED装置10Yの制御された電流M3,蛍光体含有LED装置10Rの制御された電流M4,をそれぞれ供給する。すなわち、信号線L1~L4を介して送信された指示部50からの電力を指示する信号に応じて、LEDドライバ25は各グループごとの複数の蛍光体含有LED装置(10BG,10G,10Y,10R)にそれぞれ指示された量に応じた電流を供給する。
【0070】
また、照明制御機構の他の例として、例えば、
図7に示すような照明制御機構42も例示できる。照明制御機構42においては、一つのLED実装基板11上に、それぞれグループ化されて電力量が制御されるそれぞれ複数の蛍光体含有LED装置10BG、複数の蛍光体含有LED装置10G、複数の蛍光体含有LED装置10Y、複数の蛍光体含有LED装置10Rが実装されている。そして、各グループの複数の蛍光体含有LED装置(10BG,10G,10Y,10R)は、マイコン26により、供給される電力量がそれぞれ独立して制御される。具体的には、信号線L1~L4を介して送信される指示部50からの電力を指示する信号を受信したマイコン26は、蛍光体含有LED装置10BGの制御された電流M1,蛍光体含有LED装置10Gの制御された電流M1,蛍光体含有LED装置10Yの制御された電流M3,蛍光体含有LED装置10Rの制御された電流M4,をそれぞれ供給する。すなわち、信号線L1~L4を介して送信された指示部50からの電力を指示する信号に応じて、マイコン26は各グループごとの複数の蛍光体含有LED装置(10BG,10G,10Y,10R)にそれぞれ指示された量に応じた電流を供給する。
【0071】
このような照明装置によれば、互いに最大の蛍光ピーク波長が10nm以上離れており、最大の蛍光ピーク波長の半値幅が何れも50nm以上である蛍光体含有LED装置の発光強度を独立して調整できるために、照明光の分光分布を調整でき、ブロードで連続した分光分布に調整でき、多様な色の光に調整できる照明装置が得られる。
【0072】
以上説明した本実施形態の照明装置は、住宅用や病院などの施設用照明や間接照明,自動車、飛行機、船舶、電車等の輸送装置の内部照明,街路灯,照明モジュール等に好ましく用いられる。特には、輸送装置の内部照明として、自動車のルームランプやアンビエント照明やマップランプやバニティーランプやフットランプやライトガイド用光源、インストルメントパネルやステアリングスイッチやヒートコントロールパネルやパワーウィンドウスイッチやコンソールなどの操作用スイッチのバックライト光源として好ましく用いられる。
【0073】
本実施形態の照明装置による調光は次のような状況で役に立つ。例えば、自動車への長時間の乗車は、運転者や同乗者に疲労感,緊張感,眠気,作業効率低下,退屈感等を与える。このような場合、運転者や同乗者の状況に合わせて、リラックスさせる光、緊張感を与える光、読書に適した光、覚醒する光等、に調整することにより、照明により運転者や同乗者の意識を変化させ、車内での運転以外の過ごし方の多様化に応じて、最適な照明光に調整することができる。
【0074】
また、例えば、自然界に存在する月の色や、空の色,花弁の色,昆虫の色,水面の色,火の色,植物の色,キノコの色等の反射スペクトルを照明光で再現することにより、人の心理に親しみ感や冷静、不快感、危機感等の変化を与えることもできる。
【0075】
また、例えば、人の目に対して優しい光を提供することができる。人が光を感じるための目の視細胞としては、主に明るい環境で機能する錐体細胞と主に暗い環境で機能する桿体細胞という2種類の視細胞がある。視細胞は同一波長の光から連続的に刺激を受けた場合、眼精疲労や視細胞に悪影響を与える恐れがあることが知られている。従来の、赤色LED素子,緑色LED素子,青色LED素子の異なる色の光を発するLEDを組み合わせて構成された従来のフルカラーLED装置またはRGB3in1LED装置を用いた照明装置は、3原色の鋭いピークの発光を組み合わせて光の色が調整されるために、目に対する刺激が強いとされており、とくに、青色LED素子から発せられるブルーライトが網膜へ与える悪影響については、種々研究されている。また、色覚異常者は知覚できる光の波長範囲が狭い場合や、特定の波長領域の光を知覚することができない問題もあった。本実施形態の照明装置を用いれば、幅広い分光分布の照明光とすることで色覚異常者が知覚しやすい光に調整することもできる。
【0076】
また、本実施形態の照明装置にリラックス感や緊張感、危機感などを与える照明光に連動して、リラックス感や緊張感、危機感などを人に与える音や匂いを発する機能を有してもよく、それにより照明光で得られるリラックス感といった効果を高めることができる。
【0077】
なお、本照明装置に匂いや音など光以外に、人に対してリラックスや覚醒、危険などを促す機能を有していてもよい。本照明装置の照明光以外にも人の嗅覚や聴覚へユーザーが必要としている機能性を提供できることにより、例えばリラックス効果や覚醒効果、危険の認知効果が高まるためよい。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明の範囲は、実施例に何ら限定されるものではない。
【0079】
実施例において、10種の蛍光体A~Jをシリコーンゴムにそれぞれ配合した蛍光体層を準備した。具体的には、10種の各蛍光体をそれぞれシリコーンゴムに均一分散させ、厚さ0.3mmの蛍光体層(蛍光体含有キャップ)を作製した。
【0080】
なお、実施例においては、発光ピーク波長450nmで半値幅16nmの青色LED装置を用いた。具体的には、青色LED装置は日亜化学工業(株)製のNSSC063Aを用いた。そして、次のようにして、各LED装置の発光面に上述した10種の各蛍光体層のいずれかをシリコーン系接着剤で接着して表1に示す蛍光体含有LED装置A1~J1を製造した。
【0081】
【0082】
蛍光体含有LED装置A1~J1の発光スペクトルを
図8に示す。
【0083】
そして、20×40mmで厚さ2mmのLED装置実装基板に、2×4個で合計8個のLED装置を実装した。各LED装置実装基板には、同種の上記いずれかの蛍光体含有LED装置または青色LED装置をグループ化して実装した。
【0084】
そして、
図3に示すような直径120mmの積分球の筐体であって、直径25mmの光取り出し口となる開口を有し、筐体の内壁面に均等な間隔で4か所に、4種類の何れかのLED装置を実装したLED実装基板を配した。なお、内壁面には硫酸バリウムからなる反射膜が形成されており、各LED装置からの発光は筐体の内壁面における反射により混合されて、拡散部材を経て開口から出射される。
【0085】
そして、各LED装置実装基板に実装されたLED装置に電力を供給するために、各基板に電源を接続した。なお、電源はAC100Vであり、各LED装置に付与される電流値をそれぞれ独立してボリュームつまみで電流値が制御される電流制御回路及びAC/DC変換器を備えたLEDドライバを介して接続した。
【0086】
そして、青色LED装置、または、10種の蛍光体含有LED装置A1~J1のいずれかがそれぞれ実装された各LED装置実装基板の組み合わせを変更して筐体の内壁面の4か所に配した。そして、各LED装置実装基板に実装されたLED装置に供給される電流量をボリュームつまみで変化させて、筐体の開口から4種類のLED装置からの発光が混合された混色光を取り出した。なお、このとき、XYZ表色系の色座標を純白色の色座標(x,y)=(0.333,0.333)を目標値として得るように各LED装置に供給される電流値をボリュームつまみで調整した。混色光の色座標及び演色性Raは結果を表2に示す。また、実験番号1~9における照明装置の発する混色光の発光スペクトルを
図9に、CIE表色系のXY色度図を
図10に示す。
【0087】
【0088】
実験番号1~9における混色光は、
図10に示すように、何れも純白色の色座標(x,y)=(0.333,0.333)に近似する色であった。そして、実験番号1~9における混色光は、
図9に示すように、互いに大きく異なる発光スペクトルを有していた。これらの結果から、本発明に係る照明装置によれば、各LED装置の組み合わせ及び各LED装置への電力を調整することにより、同じ色であっても大きく異なる発光スペクトルを示す発光に調整することができることがわかる。表2を参照すれば、発光スペクトルの違いによる影響は演色性Raが大きく異なることからもわかる。このような照明装置によれば、照明光の分光分布を調整でき、連続した分光分布を有する多様な色の光に調整できることがわかる。
【0089】
次に、実験番号10~13においては、実験番号1~9で用いた照明装置を用いて、色座標(x,y)=(0.31,0.35),(0.47,0.37),(0.50,0.38),(0.32,0.33)の色を調光した。
【0090】
なお、実験番号10は、疲労感を与えにくい光とされる特開2019-125577号公報に記載された発光を再現したものであり、実験番号11は、リラックスを与える光とされる特開2013-171689号公報に記載された発光を再現したものであり、実験番号12は、良質な睡眠が得られる光とされる特開2013-171686号公報に記載された発光を再現したものであり、実験番号13は、視認性に優れた光とされる特開2018-088374号公報に記載された発光を再現したものである。結果を表3に示す。また、実験番号10~13における混色光の発光スペクトルを
図11に、CIE表色系のXY色度図を
図12に示す。
【0091】
【0092】
実験番号10~13における混色光は、
図12に示すように、混色光の発光色は、それぞれ上記作用を有するとされている光の色座標に近似する色度及び分光分布であった。そして、実験番号10~13における混色光は、
図11に示すように、連続した分光分布を有していた。これらの結果から、本発明に係る照明装置によれば、各LED装置の組み合わせ及び各LED装置への電力を制御することにより、照明光の分光分布を調整でき、多様な色の光に調整できることがわかる。
【0093】
次に、実験番号14~20においては、実験番号1~13で用いた照明装置を用いて、色座標(x,y)=(0.298,0.293),(0.298,0.284),(0.291,0.252),(0.342,0.331),(0.321,0.290),(0.411,0.489),(0.362,0.523)の色を調光した。結果を表4に示す。また、実施例14~20における混色光の発光スペクトルを
図13に、CIE表色系のXY色度図を
図14に示す。
【0094】
【0095】
実験番号14~20は、3種類の蛍光体含有LED装置と青色LED装置の組み合わせを同じにして、各LED装置の電力を調整した。このような照明装置によれば、同じ4種類のLED装置の組み合わせによって、細かく分光分布を調整することができることがわかる。また、より細かく電力を調整することにより、さらに細かく分光分布を調整することができることがわかる。
【0096】
[比較例]
次に、従来の、赤色LED素子,緑色LED素子,青色LED素子の異なる色の光を発するLED装置であるRGB3in1LED装置を用いた照明装置において、各LED素子に供給される電流値を制御した。結果を表5に示す。比較実験番号1~5における混色光の発光スペクトルを
図15に、CIE表色系のXY色度図を
図16に示す。
【0097】
【0098】
比較実験番号1~5の混色光の発光スペクトルより、赤色、緑色、青色の発光素子のピーク波長は固定で、鋭いピークの発光となっており、比較実験番号1の純白色の座標(0.33,0.33)を再現した場合でもブロードな連続した分光分布ではなかった。また、比較実験番号2は実験番号10と同様の色座標となる光を再現したが、分光分布の形状が異なり疲労感を与えにくい光とはならなかった。
【符号の説明】
【0099】
1 青色LED素子
2 パッケージ部材
2a 収容凹部
2b リード
2c リード
3(3BG,3G,3R,3Y) 蛍光体
4 透明樹脂封止材
5 LED装置本体
6 金線
7 反射膜
9(9BG,9G,9R,9Y) 蛍光体含有キャップ
10(10BG,10G,10R,10Y) 蛍光体含有LED装置
11 LED実装基板
11BG 第1LED実装基板
11G 第2LED実装基板
11Y 第3LED実装基板
11R 第4LED実装基板
15 積分球筐体
16 拡散部材
20 照明装置本体
25 LEDドライバ(電力制御部)
26 マイコン(電力制御部)
30 電源
40,41,42 照明機構
100 照明装置