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特許7566249アンカー材およびあと施工アンカーの施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】アンカー材およびあと施工アンカーの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/41 20060101AFI20241007BHJP
   E21D 20/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
E04B1/41 503D
E21D20/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020046903
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021147813
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520053935
【氏名又は名称】廣瀬 かずみ
(73)【特許権者】
【識別番号】503121088
【氏名又は名称】株式会社ビー・ビー・エム
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 かずみ
(72)【発明者】
【氏名】合田 裕一
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-316286(JP,A)
【文献】特開平10-077800(JP,A)
【文献】特開2011-247049(JP,A)
【文献】実開昭57-041999(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/41
E04G 21/12
E21D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート部材に形成されたアンカー孔内に挿入されて、先端面が前記アンカー孔の底面に当接した状態で、前記アンカー孔に充填された充填材により前記アンカー孔内に固定されるアンカー材であって、
前記アンカー孔の深さよりも大きい長さで、外径および内径が一定の両端が開口した筒状の鋼管からなり、
先端部に前記鋼管の内外を直径方向に貫く注入口が形成されていることを特徴とするアンカー材。
【請求項2】
前記注入口が、端面において開口する溝であることを特徴とする請求項1に記載のアンカー材。
【請求項3】
基端部に雄ネジが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンカー材。
【請求項4】
外面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアンカー材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のアンカー材を用いるあと施工アンカーの施工方法であって、
コンクリート部材を削孔してアンカー孔を形成する削孔工程と、
前記アンカー孔に前記アンカー材を挿入するアンカー材配設工程と、
前記アンカー孔内に充填材を注入する注入工程と、を備え、
前記注入工程では、前記アンカー材の先端面を前記アンカー孔の底面に当接させた状態で、前記アンカー材を介して圧送された前記充填材を前記注入口から前記アンカー孔内に注入することを特徴とするあと施工アンカーの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物に設置するアンカー材およびあと施工アンカーの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設コンクリート構造物に対して、耐震補強や補修を行う場合、付帯設備の増設、新設構造物を増設する際等の接合部材として、あと施工アンカーを施工する場合がある。あと施工アンカーの施工は、既設コンクリート構造物に対してアンカー孔を形成し、このアンカー孔内に挿入したアンカー材をアンカー孔内に固定することにより行っている。
【0003】
このようなあと施工アンカーの施工方法として、特許文献1には、拡開スリーブが外装されたアンカー材をアンカー孔内に挿入し、アンカー材の後端を打撃することにより拡開スリーブを拡開させることで拡径スリーブをアンカー孔の内壁に固定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、コンクリート部材の形成されたアンカー孔内に充填材を充填した後、アンカー筋をアンカー孔に挿入し、充填材が固化することでアンカー筋を固定するあと施工アンカーの施工方法が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、コンクリート部材に形成されたアンカー孔内にアンカー材を挿入した後、アンカー孔内に充填材を充填するあと施工アンカーの施工方法が開示されている。特許文献3のあと施工アンカーの施工方法では、アンカー孔内に、アンカー孔の上面に当接するように排気管を配管し、この排気管によってアンカー孔内の空気を排気しつつ、充填材を注入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-127733号公報
【文献】特開2019-163668号公報
【文献】特開2014-001495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のあと施工アンカーは、拡径スリーブの拡径部分がアンカー孔の孔壁に係止されているものの、それ以外の部分においてアンカー材とアンカー孔との間に隙間が形成されてしまう。そのため、振動などの影響により、アンカー材に緩みが生じる恐れがある。
【0008】
また、特許文献2のあと施工アンカーは、上向きや横向きのアンカー孔に対しては、充填材をアンカー孔に注入してからアンカー筋を挿入するまでの間に、充填材がアンカー孔から流れ出すおそれがあるため、施工を慎重に行う必要がある。
【0009】
さらに、特許文献3のあと施工アンカーでは、アンカー孔内に、アンカー材の他に、充填材を注入するための注入管とを配管するため、アンカー孔をアンカー材に対して大きめに形成する必要がある。そのため、アンカー孔の削孔や、充填材の注入などに手間がかかる。
【0010】
本発明は、比較的簡易に施工することができ、また、充填材をより確実に充填することを可能としたアンカー材およびあと施工アンカーの施工方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための本発明のアンカー材は、コンクリート部材に形成されたアンカー孔内に挿入されて、先端面が前記アンカー孔の底面に当接した状態で、前記アンカー孔に充填された充填材により前記アンカー孔内に固定されるアンカー材であって、前記アンカー孔の深さよりも大きい長さで、外径および内径が一定の両端が開口した筒状の鋼管からなり、先端部に前記鋼管の内外を直径方向に貫く注入口が形成されたものである。
【0012】
また、本発明のあと施工アンカーの施工方法は、前記アンカー材を使用するものであって、コンクリート部材を削孔してアンカー孔を形成する削孔工程と、前記アンカー孔に前記アンカー材を挿入するアンカー材配設工程と、前記アンカー孔内に充填材を注入する注入工程とを備えている。前記注入工程では、前記アンカー材の先端面を前記アンカー孔の底面に当接させた状態で、前記アンカー材を介して圧送された前記充填材を前記注入口から前記アンカー孔内に注入する。
【0013】
本発明のアンカー材およびあと施工アンカーの施工方法によれば、アンカー材が鋼管により形成されているため、アンカー材を充填材の注入管として使用することができる。また、別途注入管を配管する必要が無いため、アンカー孔をアンカー材の形状に応じた大きさに形成することができ、施工性に優れている。また、アンカー材の先端部には、注入口が形成されているため、アンカー材の先端をアンカー孔の底面に当接させた状態で、アンカー材の先端部から充填材を注入することができる。すなわち、充填材の注入をアンカー孔の底部から行うことで、より確実に充填材を充填することができる。
【0014】
なお、前記注入口が、端面において開口する溝であれば、アンカー孔の底面から充填材を注入することができ、充填材の充填性がより向上する。
また、前記アンカー材の基端部に雄ネジが形成されていれば、アンカー材に新設部材を取り付けやすくなる。
さらに、前記アンカー材の外面に凹凸が形成されていれば、充填材との定着性が向上する。
【0015】
また、前記アンカー材配設工程において、前記アンカー孔の底部に先端が位置するように排気管を挿入し、前記注入工程では、前記排気管により前記アンカー孔内の空気を吸引し、前記排気管によって充填材が吸引された段階で充填材の注入を停止するようにすれば、充填材の充填性がより高まる。
また、前記アンカー材配設工程において、前記アンカー孔の孔口を蓋材により遮蔽すれば、充填材の流出を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアンカー材およびあと施工アンカーの施工方法によれば、施工性が向上し、また、充填材をより確実に充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るあと施工アンカーの使用状況を示す概略図である。
図2】あと施工アンカーを示す断面図である。
図3】アンカー材を示す斜視図である。
図4】あと施工アンカーの施工方法を示す図であって、(a)は削孔工程、(b)はアンカー材配設工程、(c)は注入工程である。
図5】(a)および(b)は他の形態に係るアンカー材を示す斜視図である。
図6】(a)および(b)はその他の形態に係るアンカー材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態では、既設の橋梁20のコンクリート橋桁(コンクリート部材)2の耐震補強の一環として、コンクリート橋桁2に落橋防止部材3を設置する場合について説明する。落橋防止部材3は、図1に示すように、あと施工アンカー1によりコンクリート橋桁2に固定する。本実施形態の落橋防止部材3は、いわゆる鋼製ブラケットであって、コンクリート橋桁2と橋脚21との角部において、コンクリート橋桁2の下面に貼設された取付板31と、取付板31の端部から下方に延びる縦板32と、取付板31および縦板32に対して垂直となるように取付板31および縦板32に固定されたリブ材33とを備えている。落橋防止部材3は、コンクリート橋桁2の下面から突出するあと施工アンカー1の基端部に取付板31を固定することにより、コンクリート橋桁2の下面に固定する。
【0019】
まず、本実施形態のあと施工アンカー1について説明する。あと施工アンカー1は、図2に示すように、コンクリート橋桁(コンクリート部材)2の下面から上向き(例えば鉛直)に施工する。なお、あと施工アンカー1の向きは、使用目的や設置個所に応じて適宜決定すればよく、上向き(鉛直方向)に限定されるものではない。
【0020】
あと施工アンカー1は、コンクリート橋桁2に形成されたアンカー孔4内に挿入されるアンカー材5と、アンカー孔4とアンカー材5との隙間に充填される充填材6とからなる。充填材6には、無収縮モルタルを使用する。なお、充填材6を構成する材料は、アンカー孔4内にアンカー材5を固定することが可能であれば無収縮モルタルに限定されるものではなく、例えば、コンクリートであってもよいし、樹脂製の固化材であってもよい。
【0021】
アンカー材5は、アンカー孔4の深さよりも大きい長さの鋼管からなる。アンカー材5を構成する鋼管は、図2に示すように、円筒状を呈していて、落橋防止部材3の固定部材として十分な強度を有している。なお、アンカー材5を構成する鋼管の断面形状は円形に限定されるものではなく、例えば正方形やその他の多角形であってもよい。図3に示すように、アンカー材5の基端部(図2において下側の端部)には、落橋防止部材3を取り付けるための雄ネジ52が形成されている。雄ネジ52は、アンカー材5をアンカー孔4に配設した際に、アンカー孔4から突出する部分(アンカー材5の基端部)に形成されている。なお、雄ネジ52は、必要に応じて形成すればよい。
【0022】
アンカー材5の先端面(図2において上側の端面)には、鋼管の内外を(直径方向に)貫く断面矩形の溝51が形成されている。本実施形態では、四つの溝51が、鋼管の周方向に等間隔で形成されている。溝51は、充填材6をアンカー孔4内に注入する際の注入口51として機能する。なお、溝51の断面形状、幅および深さは、充填材6の流れを妨げることがない形状であれば限定されるものではなく、例えば、U字状、半円状、三角形状であってもよい。また、溝51の数および配置は限定されるものではなく、鋼管(アンカー材5)の大きさや形状に応じて適宜決定すればよい。
【0023】
次に、あと施工アンカー1の施工方法について説明する。あと施工アンカー1の施工は、削孔工程と、アンカー材配設工程と、注入工程と、脱蓋工程により行う。
削孔工程は、図4(a)に示すように、コンクリート橋桁2を削孔してアンカー孔4を形成する工程である。本実施形態のアンカー孔4は、コンクリート橋桁2の下面から上向きに形成する。アンカー孔4は、アンカー材5の外径よりも大きな内径の円柱状を呈している。アンカー孔4の深さは、アンカー材5の定着長を確保できる長さとする。また、アンカー孔4の形状は、円柱状に限定されるものではなく、例えば、多角形状であってもよいし、先端部等に拡径部を有していてもよい。アンカー孔4を形成したら、アンカー孔4の内部を清掃して、アンカー孔4内に残存するコンクリート片等を除去するのが望ましい。
【0024】
アンカー材配設工程は、図4(b)に示すように、アンカー孔4にアンカー材5を挿入する工程である。アンカー材5は、先端面をアンカー孔4の底面(上端)に当接させる。このとき、アンカー材5の基端部(雄ネジ52)は、アンカー孔4の孔口から突出している。
【0025】
アンカー材配設工程では、アンカー材5とともに、排気管7をアンカー孔4内に挿入する。排気管7は、アンカー孔4の底面(上端)に先端が位置するように配管する。このとき、排気管7は、先端がアンカー孔4の底面(上端)に当接するように配管するのが望ましい。排気管7は、樹脂製のチューブからなり、アンカー材5よりも小さい外径を有している。また、排気管7の長さは、アンカー孔4の深さよりも大きく、排気管7の基端部はアンカー孔4の孔口から延設されて、真空ポンプP1に接続されている。なお、排気管7を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、塩化ビニル管や鋼管等であってもよい。アンカー材5と排気管7、個別にアンカー孔4に挿入してもよいし、アンカー材5に排気管7を添接した状態でアンカー孔4に挿入してもよい。
【0026】
アンカー材5と排気管7をアンカー孔4に挿入したら、アンカー孔4の孔口を蓋材8により遮蔽する。蓋材8には、アンカー材5と排気管7とを挿通するための貫通孔81が形成されていて、貫通孔81にアンカー材5および排気管7を挿通させた状態で、コンクリート橋桁2の下面に仮止めする。蓋材8のコンクリート橋桁2への固定方法は限定されるものではなく、例えば、アンカー孔4の周囲に対して、蓋材8を貫通せたビス82を締着すればよい。蓋材8は、充填材6を充填する際の型枠として機能する。また、蓋材8は、アンカー材5および排気管7の仮止め部材としても機能する。なお、アンカー材5および排気管7は、蓋材8とは別に設けられた治具により仮止めしてもよい。
【0027】
注入工程は、図4(c)に示すように、アンカー孔4内に充填材6を注入する工程である。アンカー孔4への充填材6の注入には、アンカー材5を利用する。すなわち、アンカー材5に注入ポンプP2から延設された輸送管61を接続して、輸送管61を介して注入ポンプP2により圧送された充填材6をアンカー材5からアンカー孔4内に注入する。アンカー材5を介して圧送された充填材6は、溝(注入口)51からアンカー孔4内に排出される。充填材6は、アンカー孔4内において、孔口側(蓋材8上)に落下し、アンカー孔4の下側(孔口側)から上昇する。なお、あと施工アンカー1の向きが横向きや下向きの場合には、充填材6はアンカー孔4の底部から充填される。
【0028】
注入工程では、充填材6の注入にともない、排気管7によりアンカー孔4内の空気を吸引する。排気管7によりアンカー孔4内に空気を吸引することで、アンカー孔4の上端部に空気が残留し難くなり、アンカー孔4の上端部に空気溜まり(未充填箇所)が形成されることを抑制、あるいは、アンカー孔4の上端部に形成される空気溜まりを最小限にする。
【0029】
注入された充填材6の上面がアンカー孔4の上端部にまで上昇し、排気管7によって充填材6が吸引された段階(排気管7の基端から充填材6が排出された段階)で充填材6の注入を停止する。充填材6の注入の停止に伴い、排気管7による吸気を停止する。排気管7は、空気が逆流してアンカー孔4内に空気が送り込まれることがないように遮蔽する。また、アンカー材5の基端部も、必要に応じて遮蔽する。
【0030】
脱蓋工程は、充填材6の養生後、蓋材8を取り外す工程である。蓋材8の撤去に伴い、排気管7をコンクリート橋桁2の表面において切断する。
蓋材8を取り外したら、アンカー材5を利用して、落橋防止部材3を設置する。落橋防止部材3は、取付板31に形成された貫通孔にアンカー材5を挿通させた状態で、アンカー材5の雄ネジ52にナットを螺着することにより固定する。
【0031】
本実施形態のあと施工アンカー1(アンカー材5)およびあと施工アンカー1の施工方法によれば、アンカー材5が鋼管により形成されているため、アンカー材5を充填材6の注入管として使用することができる。そのため、アンカー孔4内にアンカー材5とは別に注入管を配管する必要がなく、施工性に優れている。また、アンカー孔4内にアンカー材5の他に注入管を配管する必要が無いため、アンカー孔4をアンカー材5の形状に応じた大きさに形成することができる。
【0032】
また、アンカー材5の先端面には、溝51が形成されているため、アンカー材5の先端をアンカー孔4の底面に当接させた状態で充填材6を注入することができる。充填材6の注入をアンカー孔4の底部から行うことで、より確実に充填材6を充填することができる。すなわち、アンカー材5(注入管)の先端とアンカー孔4の底面との間に隙間を設けることなく、アンカー材5の先端に形成された溝51からアンカー孔4の底面に沿って充填材6を注入することで、アンカー孔4の底部(上端)に未充填箇所が形成されることを抑制する。
【0033】
さらに、排気管7によってアンカー孔4の上部から排気を行いながら充填材6を注入するため、アンカー孔4内に空気が残留し難い。そのため、あと施工アンカー1とコンクリート部材との間に隙間が形成され難く、高品質施工が可能となる。
【0034】
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、あと施工アンカー1を利用して、既設の橋梁20に落橋防止部材3を固定する場合について説明したが、あと施工アンカー1の用途は限定されるものではない。また、あと施工アンカー1を設置するコンクリート部材は、コンクリート橋桁2に限定されるものではない。
【0035】
また、前記実施形態では、アンカー材5の基端部に雄ネジ52を形成するものとしたが、雄ネジ52は必要に応じて形成すればよい。例えば、既設コンクリート部材に対して、新設コンクリート部材を添接する場合など、アンカー材5の基端部をコンクリート部材に所定の定着長を確保して埋め込む場合等には、雄ネジ52は形成する必要はない。
【0036】
また、アンカー材5の外面には、図5(a)および(b)に示すように、凹凸が形成されていてもよい。アンカー材5の外面に凹凸が形成されていれば、引き抜き抵抗力が向上する。アンカー材5の凹凸としては、例えば、図5(a)に示すように、異形鉄筋のようなフシ53が形成されていてもよいし、図5(b)に示すように螺旋状の突条54が形成されていてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、アンカー材5に、端面において開口する溝状の注入口(溝)51が形成されている場合について説明したが、注入口51の形状は限定されるものではなく、例えば、図6(a)に示すように、アンカー材5の先端部においてアンカー材5の内外を貫くように形成された貫通孔であってもよい。このとき、注入口51の形状は限定されるものではなく、矩形、円形、楕円形等であってもよい。また、注入口51は、アンカー材5の先端部に複数段形成されていてもよい。このとき、注入口51は、アンカー材5の端面に形成された溝51とアンカー材5の端部に形成された貫通孔とを含んでいてもよい(図6(b)参照)。
【0038】
また、排気管7は、は必要に応じて配管すればよい。
さらに、蓋材8は、必要に応じて使用すればよく、例えば、充填材6の粘度が高くアンカー孔4から充填材6が流出しない場合等には、蓋材8は省略してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 あと施工アンカー
2 コンクリート橋桁(コンクリート部材)
4 アンカー孔
5 アンカー材
51 溝(注入口)
52 雄ネジ
6 充填材
7 排気管
8 蓋材
図1
図2
図3
図4
図5
図6