(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 3/06 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
A46B3/06
(21)【出願番号】P 2020118781
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】林 孝彦
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-507988(JP,A)
【文献】特開2002-153323(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131630(JP,U)
【文献】特開2016-163927(JP,A)
【文献】特開2005-007120(JP,A)
【文献】実開平07-017131(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる複数の毛材を集束させた毛材束と、
基台と、
前記毛材束の下部外周面と前記基台の外周面を覆うように形成された補強体とで構成された
ブラシの製造方法であって、
前記毛材束の一端を溶融結合することで前記基台を形成する工程と、
前記毛材束の一部を溶融結合することで前記補強体を形成する工程と、を有し、
前記補強体の内周面は、前記毛材束の外周面と溶融結合しており、前記補強体の下端部は前記基台の外周面と溶融結合して一体的に形成されることを特徴とする
ブラシの製造方法。
【請求項2】
熱可塑性樹脂からなる複数の毛材を集束させた毛材束と、
基台と、
前記毛材束の下部外周面と前記基台の外周面を覆うように形成された補強体とで構成された
ブラシの製造方法であって、
前記毛材束の一端を溶融結合することで前記基台を形成する工程と、
前記毛材束の一部を溶融結合することで前記補強体を形成する工程と、を有し、
前記補強体の内周面は、前記毛材束の外周面と溶融結合しており、前記補強体の下端部は前記基台の外周面と溶融結合して一体的に形成されると共に、前記基台は略板状に形成されると共に、前記補強体は前記毛材束及び前記基台の外周面を覆うように略帯状に形成されることを特徴とする
ブラシの製造方法。
【請求項3】
毛材束は、2種類以上の異なる材質の毛材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の
ブラシの製造方法。
【請求項4】
毛材束は、同一材質の毛材を集束させた毛材群と、該毛材群とは異なる材質の毛材を集束させた少なくとも1つ以上の他の毛材群とから構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の
ブラシの製造方法。
【請求項5】
補強体の外周面は、前記補強体の下端に向かって外側に拡がるように形成された傾斜面で
形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の
ブラシの製造方法。
【請求項6】
補強体の上端面は、長手方向に沿って略波状に
形成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の
ブラシの製造方法。
【請求項7】
補強体の上端面は、厚み方向が曲面にて
形成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の
ブラシの製造方法。
【請求項8】
補強体の高さ方向の長さは、基台の厚みに対して2倍以上
に形成されることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の
ブラシの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の機器類に組み付けて使用し、各種の産業用及び生活用の製品として使用するブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱可塑性樹脂の毛材を束ねたブラシが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1に記載のブラシは、熱溶融性材料からなる繊維を集束させて繊維束を作り、この繊維束の下端面を熱溶融性材料の熱溶融温度以上に加熱された金属製のブラシ台部の上面に圧接して繊維束の下端面部分を溶融させた後、ブラシ台部を冷却して、ブラシ台部に繊維束を固着させたものである。
【0004】
また、特許文献2に記載の刷毛は、合成樹脂製の毛を束ねて作った刷毛の毛束の頭部を加熱し、熱溶着で毛相互を接着させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3047999号公報
【文献】実開昭56-42129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のブラシは、ブラシ台部に金属を使用していることから、ブラシの重量が重くなっていた。また、製造時の工程が多くなりコスト高になると共に、廃棄時には繊維束とブラシ台部とを分離して廃棄しなければならないという課題を有していた。
【0007】
一方、特許文献2に記載の刷毛は、上記特許文献1に記載のブラシが有する課題を解決するものではあるが、毛束の頭部のみを熱溶着で接着させていることから、使用時に毛束の外周側の毛材が抜け易く、折れ易いという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、製造コストを増加させること無く、ブラシを軽量化すると共に、毛材の抜けや折れの発生を防ぐことができるブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、熱可塑性樹脂からなる複数の毛材を集束させた毛材束と、基台と、前記毛材束の下部外周面と前記基台の外周面を覆うように形成された補強体とで構成されたブラシの製造方法であって、前記毛材束の一端を溶融結合することで前記基台を形成する工程と、前記毛材束の一部を溶融結合することで前記補強体を形成する工程と、を有し、前記補強体の内周面は、前記毛材束の外周面と溶融結合しており、前記補強体の下端部は前記基台の外周面と溶融結合して一体的に形成されることを特徴としている。請求項1の発明では、毛材束、基台及び補強体の全てが同材質で形成されるため、基台に金属製金具を使用した場合と比較して軽量化が図られると共に、製造時及び廃棄時の工程を短縮することができ、コストを削減することができる。また、毛材束、基台及び補強体が溶融結合によって一体的に形成されるため、毛材の抜け及び折れを防止することができる。
【0010】
請求項2の発明は、熱可塑性樹脂からなる複数の毛材を集束させた毛材束と、基台と、前記毛材束の下部外周面と前記基台の外周面を覆うように形成された補強体とで構成されたブラシの製造方法であって、前記毛材束の一端を溶融結合することで前記基台を形成する工程と、前記毛材束の一部を溶融結合することで前記補強体を形成する工程と、を有し、前記補強体の内周面は、前記毛材束の外周面と溶融結合しており、前記補強体の下端部は前記基台の外周面と溶融結合して一体的に形成されると共に、前記基台は略板状に形成されると共に、前記補強体は前記毛材束及び前記基台の外周面を覆うように略帯状に形成されることを特徴としている。したがって、補強体が基台と毛材束の両方に結合しているため、毛材の抜け及び折れをより防止することができる。また、補強体と毛材束が互いに支え合うことにより強度を増加させることができる。また、毛材束の一端と、その一端側の下部外周面を、基台と補強体とで覆うこととなるので、毛材の抜け及び折れを防止することができる。また、ブラシをブラシ台に装着する場合にブラシを安定させることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、毛材束は、2種類以上の異なる材質の毛材で構成されていることを特徴としている。したがって、2種類以上の異なる材質の毛材が含まれることで洗浄性及び研磨性を向上させることができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、毛材束は、同一材質の毛材を集束させた毛材群と、該毛材群とは異なる材質の毛材を集束させた少なくとも1つ以上の他の毛材群とから構成されていることを特徴としている。したがって、異なる材質の毛材群を設けることで洗浄性及び研磨性を向上させることができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、補強体の外周面は、前記補強体の下端に向かって外側に拡がるように形成された傾斜面で形成されることを特徴としている。したがって、ブラシの下端面の面積が増加するため、ブラシを設置する際に安定させることができる。また、補強体の下端側の厚みが増加するため、基台及び毛材束の強度を増加させることができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1~5のいずれかの発明において、補強体の上端面は、長手方向に沿って略波状に形成されることを特徴としている。したがって、ブラシを使用する際に、補強体の上端面の谷部と山部とによって毛材が波状に広がることから、洗浄性及び研磨性を向上させることができる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1~6のいずれかの発明において、補強体の上端面は、厚み方向が曲面にて形成されることを特徴としている。したがって、毛材と補強体の上端面との摩擦力を軽減させることができ、毛材の切れ及び折れを防止することができる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、補強体の高さ方向の長さは、基台の厚みに対して2倍以上に形成されることを特徴としている。したがって、ブラシ全体の長さを短くすることができると共に、強度を増加させることができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1及び2のブラシの製造方法の発明は、基台に金属製金具を使用した場合と比較して軽量化が図られると共に、製造時及び廃棄時の工程を短縮することができ、コストを削減することができる。また、毛材束、基台及び補強体が溶融結合によって一体的に形成されるため、毛材の抜け及び折れを防止することができる。また、請求項3、4及び6の発明は、洗浄性及び研磨性を向上させることができる。
【0024】
請求項5の発明は、基台及び毛材束の強度を増加させることができる。また、請求項7の発明は、毛材の切れ及び折れを防止することができる。また、請求項8の発明は、ブラシ全体の長さを短くすることができると共に、強度を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(a)本発明に係るブラシの第1実施形態を示す斜視図(b)
図1(a)のA-A断面図
【
図2】(a)~(d)本発明を構成する補強体の第2~第5実施形態を示す断面図(e)本発明を構成する補強体の第6実施形態を示す斜視図
【
図3】(a)~(c)本発明に係るブラシの第2~第4実施形態を示す斜視図
【
図4】(a)本発明に係るブラシの第5実施形態を示す斜視図(b)
図4(a)のB-B断面図(c)本発明に係るブラシの第6実施形態を示す斜視図(d)
図4(c)のC-C断面図
【
図5】(a)本発明に係るブラシの第7実施形態を示す斜視図(b)本発明に係るブラシの第8実施形態を示す斜視図
【
図6】(a)本発明に係るブラシの第9実施形態を示す斜視図(b)
図6(a)のD-D断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1(a)は、本発明に係るブラシの第1実施形態を示す斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)のA-A断面図である。
【0028】
第1実施形態のブラシ10は、
図1に示すとおり、熱可塑性樹脂からなる複数の毛材1a、1a・・・を集束させた四角柱形状の毛材束1と、この毛材束1の一端を溶融結合することで形成された長方形板状の基台2と、毛材束1の下部外周面1bと基台2の外周面2aを覆うように形成された補強体3とで構成されている。
【0029】
そして、毛材束1と、基台2と、補強体3とは同材質であって、溶融結合によって一体的に形成されている。第1実施形態のブラシ10は、毛材束1、基台2及び補強体3の全てが同材質で形成されているため、基台に金属製金具を使用した場合と比較して軽量化が図られると共に、製造時及び廃棄時の工程を短縮することができ、コストを削減することができる。また、毛材束1、基台2及び補強体3が溶融結合によって一体的に形成されているため、毛材1aの抜け及び折れを防止することができる。
【0030】
また、基台2は略板状に形成されていると共に、補強体3は略帯状に形成されている。したがって、毛材束1の一端と、その一端側の下部外周面1bを、基台2と補強体3とで覆うこととなるので、毛材1aの抜け及び折れを防止することができる。また、ブラシ10を後述するブラシ台に装着する場合には、ブラシ10を安定させることができる。
【0031】
そして、補強体3の内周面3aは、毛材束1の下部外周面1bと溶融結合しており、補強体3の下端部3bは基台2の外周面2aと溶融結合している。したがって、補強体3が基台2と毛材束1の両方に結合しているため、毛材1aの抜け及び折れを防止することができる。また、補強体3と毛材束1が互いに支え合うことにより強度を増加させることができる。
【0032】
尚、好適には補強体3の高さ方向の長さXは、基台の厚みに対して2倍以上であることが望ましい。これにより、ブラシ10全体の長さを短くすることができると共に、強度を増加させることができる。尚、第1実施形態のブラシ10の毛材束1は、その横断面を長方形状としているがこれに限定するものでは無く、円形状、星形状、三角形状など様々な形状を採用することができる。
【0033】
第1実施形態のブラシ10の製造手順の一例を以下に示す。
(1)まず、毛材1aを型枠に投入する。
(2)次に、ヒーターで熱せられた鉄板の底面を毛材束1の上面に当接する。
(3)次に、鉄板の熱で毛材束1の端部を溶融させる。
(4)次に、溶融された毛材1aは型枠の内側端部に設けられた溝(補強体3を形成する部分)に流れ込む。
(5)次に、鉄板で毛材1aを押し付けて基台2が形成される。
(6)次に、溶融された毛材1aが補強体3を形成する溝に充填されるのを確認した後、鉄板を離して毛材を冷却する。
(7)最後に、基台2及び補強体3に形成されているバリを刃物等で切断してブラシ10が完成する。
【0034】
図2の(a)~(e)は、本発明のブラシを構成する補強体の第2実施形態~第6実施形態を示している。これらの図を用いて種々の補強体の実施形態について以下に説明する。
【0035】
図2(a)は、補強体の第2実施形態を示す断面図である。第2実施形態の補強体13aは、外周面が補強体13aの下端に向かって外側に拡がるように形成された傾斜面4で形成されている。したがって、ブラシ10aの下端面の面積が増加するため、ブラシ10aを設置する際に安定させることができる。また、補強体13aの下端側の厚みが増加するため、基台2及び毛材束1の強度を増加させることができる。
【0036】
図2(b)は、補強体の第3実施形態を示す断面図である。第3実施形態の補強体13bは、下端部近傍に複数の突起5a、5bが形成されている。この突起5a、5bは、後述するブラシ台にブラシ10bを装着した際に、複数の突起5a、5bがブラシ台の孔部又は溝部の壁面に当接して抜け止めがなされる。したがって、ブラシ10bがブラシ台から外れるのをより一層防止することができると共に、ブラシがブラシ台の設置位置においてズレるのを防止することができる。尚、ブラシ台の孔部又は溝部の壁面に、突起を収容するための専用の溝又は孔をさらに設けることによって、ブラシ台への固定を強くすることができる。また、補強体13bを構成する熱可塑性樹脂が柔らかい場合には、突起は変形してブラシ台の孔部又は溝部の壁面に当接するため、突起を収容するための専用の溝又は孔を別途設ける必要はない。
【0037】
図2(c)は、補強体の第4実施形態を示す断面図である。第4実施形態の補強体13cは、上端面の厚み方向が曲面にて形成されていることを特徴としている。したがって、ブラシ10cの毛材1aと補強体13cの上端面との摩擦力を軽減させることができ、毛材1aの切れ及び折れを防止することができる。
【0038】
図2(d)は、補強体の第5実施形態を示す断面図である。第5実施形態の補強体13dは、外周面が補強体13dの上端に向かって外側に拡がるように形成された傾斜面6で形成されている。これにより後述するブラシ台に装着した際に、ブラシ台の表面側からブラシ10dが抜けるのを防ぐことができる。
【0039】
図2(e)は、補強体の第6実施形態を示す斜視図である。第6実施形態の補強体13eは、上端面が長手方向に沿って略波状に形成されている。したがって、ブラシ10eを使用する際に、毛材1aが谷部7a側に寄せられ、密の部分と疎の部分とが形成されることから、洗浄性及び研磨性を向上させることができる。また、補強体13eの上端面の谷部7aと山部7bとによって毛材1aが波状に広がることから、洗浄性及び研磨性を向上させることができる。
【0040】
図3の(a)~(c)は、本発明に係るブラシの第2実施形態~第4実施形態を示す斜視図である。
図3(a)に示す第2実施形態のブラシ10fは、同一材質の毛材を集束させた毛材群A8aと、この毛材群A8aとは異なる材質の毛材を集束させた他の毛材群B8bとから構成されており、ブラシ10fの長手方向の中間部分で分けて毛材群A8aと毛材群B8bを配置している。したがって、異なる材質の毛材群を設けることで洗浄性及び研磨性を向上させることができる。尚、
図3(a)に示す例では、他の毛材群Bが1つの場合を示しているが、少なくとも1つ以上であれば本発明に含まれる。
【0041】
具体的には、毛材群A8aの材質を砥粒入りの樹脂として、毛材群B8bの材質を砥粒無しの樹脂にする場合、毛材群A8aの材質をナイロンとし、毛材群B8bをポリエチレンにする等、樹脂の違いによって異なる材質にする場合、毛材群A8aを構成する毛材の断面形状を四角形状にし、毛材群B8bを構成する毛材の断面形状を円形状にする場合等、毛材の違いによって異なる材質にする場合等を採用することができる。
【0042】
図3(b)に示す第3実施形態のブラシ10gは、砥粒無しの毛材群B9bをブラシ10gの短手方向の中央に配置し、砥粒入りの毛材群A9aが毛材群B9bを挟むようにブラシ10gの長手方向に沿って平行に配置されている。
【0043】
図3(c)に示す第4実施形態のブラシ10hは、毛材束11が2種類の異なる材質の毛材で構成されている例を示している。具体的には毛材束11は、砥粒入りの毛材11aと砥粒無しの毛材11bが混毛して構成されている。したがって、2種類の異なる材質の毛材が含まれることで洗浄性及び研磨性を向上させることができる。尚、
図3(c)に示す例では、毛材束が2種類の異なる材質の毛材で構成されている場合を示しているが、3種類以上の異なる材質の毛材であっても良く、毛材束が少なくとも2種類以上の異なる材質の毛材で構成されていれば本発明に含まれる。
【0044】
図4(a)は、本発明に係るブラシの第5実施形態を示す斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)のB-B断面図である。第5実施形態のブラシ10iは、補強体13fの内周面と外周面に補強部材12a、12bが固定されている。したがって、補強体の強度を増加させることができる。また、毛材束1、基台及び補強体を溶融結合する際に補強部材12a、12bを固定することができるので、製造が容易である。
【0045】
具体的には、板状の補強部材12bを補強体13fの外周面に固定した場合には、ブラシ10iを後述するブラシ台に固定する際に、補強部材12bがブラシ台と当接することとなり、摩擦の発生を軽減することができる。また、板状の補強部材12aを補強体13fの内周面に固定した場合には、毛材束1と補強体13fの形状を整えると共に、ブラシ台に当接することはないので、補強部材を棒状や網状にした場合でもブラシ台を傷つけることはない。尚、
図4(a)及び(b)では補強部材を補強体の内周面と外周面の両方に固定した場合を示しているがどちらか一方でも本発明に含まれるものであり、環状に補強体の周囲を覆う場合のほか、補強体の側面だけを覆う場合、一部だけを覆う場合も本発明に含まれる。また、補強部材を板状に限定するものでは無く、網状、ベルトに凹凸がある形状、棒状であってもよい。また、補強部材は同材質でも異材質でも補強体の強度を増加させる構造であれば本発明に含まれるが、特に金属等の異材質を採用することでより高強度にできる。
【0046】
図4(c)は、本発明に係るブラシの第6実施形態を示す斜視図であり、
図4(d)は、
図4(c)のC-C断面図である。第6実施形態のブラシ10jは、基台2の外底面に補強部材14aが固定されている。したがって、基台2の強度を増加させることができる。また、毛材束1、基台2及び補強体13gを溶融結合する際に補強部材14aを固定することができるので、製造が容易である。尚、基台2の内底面だけに補強部材が固定されている場合、基台2の外底面と内底面の両方に補強部材が固定されている場合も本発明に含まれる。また、板状の補強部材14aの代わりに、基台2の外底面を鉄粉で覆い補強部材として強度を増加させた場合も本発明に含まれる。
【0047】
図5(a)は、本発明に係るブラシの第7実施形態を示す斜視図である。第7実施形態のブラシ10kは、毛材束15が円柱形状に形成されており、この毛材束の一端を溶融結合することで形成された円形板状の基台(図示せず)と、毛材束の下部外周面と基台の外周面を覆うように形成されたリング状の補強体13hとで構成されている。
【0048】
図5(b)は、本発明に係るブラシの第8実施形態を示す斜視図である。第8実施形態のブラシ10lは、毛材束16が円柱形状に形成されており、この毛材束16の一端を溶融結合することで形成された円形板状の基台(図示せず)と、毛材束の下部外周面と基台の外周面を覆うように形成されたリング状の補強体13iとで構成されている。また、毛材束16を構成する毛材11c、11dは、長手方向に波状に形成されている。したがって、補強体と溶融結合されていない毛材束16の内部の毛材11dは、補強体と溶融結合されている外周面の毛材11cと接触することとなり、長手方向に直線状の毛材と比較して抜け止めを強固にすることができる。尚、毛材の形状は、波状以外にも様々の形状を採用することができ、これも本発明に含まれる。
【0049】
図6(a)は、本発明に係るブラシの第9実施形態を示す斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)のD-D断面図である。第9実施形態のブラシ10mは、第1実施形態で説明したブラシ10を複数個と、複数の孔部17b及び溝部17aを備えたブラシ台17と、ブラシ台17の底面に固定される蓋体18とを有し、ブラシ台17の溝部17aにブラシ10の補強体3が嵌合している。したがって、別途抜け止め用の金具を装着する必要が無く、ブラシ10がブラシ台17から外れるのを防止することができる。尚、第9実施形態のブラシ10mブラシ台は、孔部17bと溝部17aの両方を備えているが、どちらか一方のみを有するブラシ台であってもよく、孔部又は溝部に補強体3が嵌合する構成を備えていれば本発明に含まれる。また、第9実施形態のブラシ10mは、ブラシ台に複数のブラシ10、10、・・・を固定する構成としているが、ブラシ10が1つであっても本発明に含まれる。さらに、前述したように、補強体の下端部近傍に複数の突起が形成された構成とすることもできる。(
図2(b)参照)そして、複数の突起がブラシ台の孔部又は溝部の壁面に当接することにより、抜け止めがなされる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るブラシは、各種の機器類に組み付けて利用され、各種の産業用及び生活用の製品で利用される。
【符号の説明】
【0051】
1、11、15、16 毛材束
1a、11a、11b、11c 毛材
1b 下部外周面
2 基台
2a 外周面
3、13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h、13i 補強体
3a 内周面
3b 下端部
4、6 傾斜面
5a、5b 突起
7a 谷部
7b 山部
8a、9a 毛材群A
8b、9b 毛材群B
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m ブラシ
12a、12b、14a 補強部材
17 ブラシ台
17a 溝部
17b 孔部
18 蓋体
X 補強体の高さ方向の長さ