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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】評価プログラム,評価装置及び評価方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241007BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241007BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241007BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B5/00 G
G06T7/00 612
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021097536
(22)【出願日】2021-06-10
(65)【公開番号】P2022189139
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】酒井 彬
(72)【発明者】
【氏名】小松 正明
(72)【発明者】
【氏名】笹野 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】有馬 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】浜本 隆二
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-227568(JP,A)
【文献】国際公開第2021/050976(WO,A1)
【文献】特開2016-067720(JP,A)
【文献】特表2007-530160(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0125298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
A61B 5/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、前記2以上の動画における前記検査対象物の壁を特定し、
前記2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価し、
前記2以上の動画のうちの前記第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する、
処理をコンピュータに実行させる、評価プログラム。
【請求項2】
前記壁の特定は、
前記2以上の動画それぞれに対して、機械学習を用いて前記壁の部分を特定し、
前記2以上の動画についての、前記壁の部分を複数のフレームについてトラッキングした結果に基づいて行う、
処理を前記コンピュータに実行させる、請求項1に記載の評価プログラム。
【請求項3】
前記第1の断面は鉛直方向の断面であり、前記第2の断面は水平方向の断面であり、
円形のGraphic User Interface(GUI)において、半径方向において前記第1の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示すると共に、円周方向において前記第2の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示する、
処理を前記コンピュータに実行させる、請求項1又は2に記載の評価プログラム。
【請求項4】
互いに対応する前記第1の分割領域及び前記第2の分割領域において、前記第1の分割領域についての評価結果と前記第2の分割領域についての評価結果との少なくともいずれかが不良である場合に、対応する前記GUIの領域を強調表示する、
処理を前記コンピュータに実行させる、請求項3に記載の評価プログラム。
【請求項5】
前記検査対象物は、人体の心臓である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の評価プログラム。
【請求項6】
検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、前記2以上の動画における前記検査対象物の壁を特定し、
前記2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価し、
前記2以上の動画のうちの前記第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する、
プロセッサを備える、評価装置。
【請求項7】
検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、前記2以上の動画における前記検査対象物の壁を特定し、
前記2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価し、
前記2以上の動画のうちの前記第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する、
処理をコンピュータが実行する、評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価プログラム,評価装置及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波検査で筐体の壁の健全性等を評価する際には、対象物に対して長軸断面及び短軸断面の映像を取得し、長軸断面及び短軸断面の映像の組み合わせを用いて評価することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-113083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波検査で筐体の壁の健全性等を評価する際には、検査するに値する断面の映像が取得されているかどうかが重要になる。検査するに値する断面の映像が取得されていない場合には、筐体の壁の健全性等について、正確な評価を実施できないおそれがある。
【0005】
1つの側面では、筐体の壁の健全性等を正確に評価できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、評価プログラムは、検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、前記2以上の動画における前記検査対象物の壁を特定し、前記2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価し、前記2以上の動画のうちの前記第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、筐体の壁の健全性等を正確に評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における評価処理を簡単に説明する図である。
図2】実施形態における評価処理を説明するフローチャートである。
図3図2に示したトレース処理を説明するための映像の一例である。
図4図2に示したトラッキング処理を説明するための映像の一例である。
図5図2に示した切り出し処理を説明するための映像の一例である。
図6】実施形態における評価処理で取得した映像の適例及び不適例を示す図である。
図7図2に示したGUI出力処理において出力されるGraphic User Interface(GUI)の一例である。
図8】実施形態における評価装置のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
図9図8に示した評価装置のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔A〕実施形態
以下、図面を参照して一実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。
【0010】
以下、図中において、同一の各符号は同様の部分を示しているので、その説明は省略する。
【0011】
図1は、実施形態における評価処理を簡単に説明する図である。
【0012】
符号A1に示すように、超音波検査によって、複数枚(例えば、3枚)の長軸断面の動画と、複数枚(例えば、3枚)の短軸断面の動画とが撮影される。評価対象の筐体は、壁を有していればよい。図1に例示する筐体は鉛直方向が長いのに対して水平方向が短いため、鉛直方向に切り取った断面を長軸断面として、水平方向に切り取った断面を短軸断面としている。しかしながら、評価対象の筐体は鉛直方向の長さと水平方向の長さとでどちらが長くてもよく、評価対象の筐体としては種々の筐体を適用することができる。
【0013】
符号A2に示すように、長軸断面の動画及び短軸断面の動画が取得される。符号A2に示す長軸断面及び短軸断面のそれぞれにおいて破線枠で示されているように、機械学習処理によって筐体の壁の位置が特定されてよい。
【0014】
符号A3に示すように、長軸断面の動画及び短軸断面の動画から特定された壁の映像の良又は不良がGUIに表示される。壁の映像の良又は不良は、機械学習処理によって判定されてよい。GUIにおいては、例えば、撮影状況が良好な壁の位置は白色で表示され、撮影状況が不良な壁の位置は着色されて強調表示されてよい。符号A3に示すGUI表示は、短軸断面方向から俯瞰した図である。GUI表示において、円形の中心点から円周方向に複数の領域を定義するための複数の境界線が引かれ、短軸断面の外周における壁の位置のそれぞれに対応して、GUIの円周状の各領域に映像の良又は不良が表示される。また、GUI表示において、円形の中に複数の領域を定義するための複数の同心円が引かれ、長軸断面の上側における壁の位置のそれぞれがGUIの外側の各領域に対応し、長軸断面の下側における壁の位置のそれぞれがGUIの内側の各領域に対応して、映像の良又は不良が表示される。そして、長軸断面の壁と短軸断面の壁との少なくともいずれかが不良である位置に対応するGUIの領域が色によって強調表示されてよい。
【0015】
実施形態における評価処理を、図3図7を参照しながら、図2に示すフローチャート(符号B1~B7)に従って説明する。図3図2に示したトレース処理を説明するための映像の一例であり、図4図2に示したトラッキング処理を説明するための映像の一例であり、図5図2に示した切り出し処理を説明するための映像の一例である。また、図6は実施形態における評価処理で取得した映像の適例及び不適例を示す図であり、図7図2に示したGUI出力処理において出力されるGUIの一例である。
【0016】
実施形態においては、例えば16歳以上の成人の心臓を超音波検査によって撮影した6つの基本断面の動画から、17個ある左心室の壁のパートを観察して評価する。そして、GUIによって各パートが正常に撮影されているかが検査者に対して表示される。各パートは、6つの基本断面のいずれかで撮影されていればよい。
【0017】
符号B1において、6つの基本断面の動画が入力される。
【0018】
符号B2において、入力された動画を断面毎に分類する。
【0019】
符号B3において、入力された動画に表示されている心室の壁をトレースする。図3においては、左心室の内側(別言すれば、内膜)が符号C1に示す破線のようにトレースされる。トレースは、機械学習処理によって実施されてよい。また、トレースは、分類された動画について20~30フレーム毎(別言すれば、20~30フレーム飛ばし)で実行されてよい。
【0020】
符号B4において、各フレームに対するトラッキングが行われる。図4の符号C2に示すように、飛び飛びの複数(図5に示す例では、3枚)のフレームに対してトレースで特定した内膜の位置がトラッキングによって動画全体で推定される。トラッキング処理は、ルーカス・金出法等のルールベースシステムによって実行されてよい。
【0021】
符号B5において、トレース線に従って画像の切り出しが行われる。図5の符号C3に示すように、動画の全フレームに対して特定したトレース線に従って一定の比率で画像が切り出される。図6に示す例では、3等分にした3つの矩形が切り出されている。
【0022】
符号B6において、切り出した矩形毎に心臓壁の撮影状況の良又は不良が判定される。良又は不良の判定は、機械学習処理によって実施されてよい。図6の符号D1に示す適例の動画が撮影された場合には、心臓壁の位置等に不鮮明な箇所がないため、撮影状況は良であると判定される。一方、図6の符号D2に示す不適例の動画が撮影された場合には、白線枠で示される領域において心臓壁の映りが悪い領域が存在するため、撮影状況は不良であると判定される。
【0023】
符号B7において、撮影状況の判定結果がGUIに表示される。図7の符号E1に示すように、GUI表示の各領域に対して6つの基本断面(図7に示す例では、2つのTwo chamber,2つのFour chamber及び2つのLong axis)が対応づけられている。符号E1に示すGUI表示において表示されている数字は、図5において切り取った各矩形を特定するための識別子である。
【0024】
図8は、実施形態における評価装置1のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0025】
図8に示すように、評価装置1は、CPU11,メモリ部12,表示制御部13,記憶装置14,入力Interface(IF)15,外部記録媒体処理部16及び通信IF17を備える。
【0026】
メモリ部12は、記憶部の一例であり、例示的に、Read Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)などである。メモリ部12のROMには、Basic Input/Output System(BIOS)等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ部12のソフトウェアプログラムは、CPU11に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ部12のRAMは、一時記録メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0027】
表示制御部13は、表示装置130と接続され、表示装置130を制御する。表示装置130は、液晶ディスプレイやOrganic Light-Emitting Diode(OLED)ディスプレイ,Cathode Ray Tube(CRT),電子ペーパーディスプレイ等であり、オペレータ等に対する各種情報を表示する。表示装置130は、入力装置と組み合わされたものでもよく、例えば、タッチパネルでもよい。
【0028】
記憶装置14は、例えば、Dynamic Random Access Memory(DRAM)やSSD,Storage Class Memory(SCM),HDDが用いられてよい。
【0029】
入力IF15は、マウス151やキーボード152等の入力装置と接続され、マウス151やキーボード152等の入力装置を制御してよい。マウス151やキーボード152は、入力装置の一例であり、これらの入力装置を介して、オペレータが各種の入力操作を行う。
【0030】
外部記録媒体処理部16は、記録媒体160が装着可能に構成される。外部記録媒体処理部16は、記録媒体160が装着された状態において、記録媒体160に記録されている情報を読み取り可能に構成される。本例では、記録媒体160は、可搬性を有する。例えば、記録媒体160は、フレキシブルディスク、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は、半導体メモリ等である。
【0031】
通信IF17は、外部装置との通信を可能にするためのインタフェースである。
【0032】
CPU11は、プロセッサの一例であり、種々の制御や演算を行う処理装置である。CPU11は、メモリ部12に読み込まれたOperating System(OS)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0033】
評価装置1全体の動作を制御するための装置は、CPU11に限定されず、例えば、MPUやDSP,ASIC,PLD,FPGAのいずれか1つであってもよい。また、評価装置1全体の動作を制御するための装置は、CPU,MPU,DSP,ASIC,PLD及びFPGAのうちの2種類以上の組み合わせであってもよい。なお、MPUはMicro Processing Unitの略称であり、DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略称である。また、PLDはProgrammable Logic Deviceの略称であり、FPGAはField Programmable Gate Arrayの略称である。
【0034】
図9は、図8に示した評価装置1のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0035】
評価装置1のCPU11は、制御部110として機能する。制御部110は、分類部111,トレース部112,トラッキング部113,切り出し部114及び判定部115として機能する。
【0036】
分類部111は、入力された例えば6つの動画141を基本断面毎に分類する。
【0037】
トレース部112は、入力された動画に表示されている心室の壁をトレースする。別言すれば、トレース部112は、検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、2以上の動画における検査対象物の壁を特定する。トレース部112は、2以上の動画それぞれに対して、機械学習を用いて壁の部分を特定してよい。
【0038】
トラッキング部113は、各フレームに対するトラッキングによって、トレースで特定した内膜の位置が動画全体で推定される。別言すれば、トラッキング部113は、トラッキング部113は、2以上の動画についての、壁の部分を複数のフレームについてトラッキングした結果に基づいて壁の特定を行う。
【0039】
切り出し部114は、トレース線に従って、画像を複数の矩形に切り出す。
【0040】
判定部115は、切り出し部114によって切り出された矩形毎に、心臓壁の撮影状況の良又は不良を判定して、判定結果をGUI131に出力する。別言すれば、判定部115は、2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する。また、判定部115は、2以上の動画のうちの第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する。
【0041】
判定部115は、円形のGUIにおいて、半径方向において鉛直方向の断面に係る第1の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示すると共に、円周方向において水平方向の断面に係る第2の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示してよい。判定部115は、互いに対応する第1の分割領域及び第2の分割領域において、第1の分割領域についての評価結果と第2の分割領域についての評価結果との少なくともいずれかが不良である場合に、対応するGUIの領域を強調表示してよい。
【0042】
〔B〕効果
以下、実施形態としての評価プログラム,評価装置1及び評価方法によって奏することができる効果を説明する。
【0043】
トレース部112は、検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、2以上の動画における検査対象物の壁を特定する。判定部115は、2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する。また、判定部115は、2以上の動画のうちの第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する。これにより、筐体の壁の健全性等を正確に評価できる。
【0044】
トレース部112は、2以上の動画それぞれに対して、機械学習を用いて壁の部分を特定する。トラッキング部113は、2以上の動画についての、壁の部分を複数のフレームについてトラッキングした結果に基づいて壁の特定を行う。これにより、検査対象物の壁の特定を正確に行うことができる。
【0045】
判定部115は、円形のGUIにおいて、半径方向において鉛直方向の断面に係る第1の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示すると共に、円周方向において水平方向の断面に係る第2の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示する。これにより、評価結果をGUIに出力することができる。
【0046】
判定部115は、互いに対応する第1の分割領域及び第2の分割領域において、第1の分割領域についての評価結果と第2の分割領域についての評価結果との少なくともいずれかが不良である場合に、対応するGUIの領域を強調表示する。これにより、検査者が撮影された動画に不良があることを認識できる。
【0047】
検査対象物は、人体の心臓である。これにより、ヒトの心臓壁の検査において、撮影された動画に不良がないかを認識でき、心臓壁の健全性等を正確に評価できる。
【0048】
〔C〕その他
開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、成人の心臓の超音波検査で取得した動画に対して評価処理を行ったが、これに限定されるものではない。評価処理は、小児の心臓に対して行ってもよいし、ヒトを含む各種の生物における様々な臓器や器官等に対して行ってもよい。また、評価処理は、工場出荷時や定期検査時等の製品の筐体の内部検査に用いられてもよい。
【0050】
動画の撮影のために用いられる方法は、超音波検査に限られるものではなく、Magnetic Resonance Imaging(MRI)検査やComputed Tomography(CT)検査,マンモグラフィ検査等の種々の非破壊検査が用いられてよい。
【0051】
〔D〕付記
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0052】
(付記1)
検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、前記2以上の動画における前記検査対象物の壁を特定し、
前記2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価し、
前記2以上の動画のうちの前記第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する、
処理をコンピュータに実行させる、評価プログラム。
【0053】
(付記2)
前記壁の特定は、
前記2以上の動画それぞれに対して、機械学習を用いて前記壁の部分を特定し、
前記2以上の動画についての、前記壁の部分を複数のフレームについてトラッキングした結果に基づいて行う、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記1に記載の評価プログラム。
【0054】
(付記3)
前記第1の断面は鉛直方向の断面であり、前記第2の断面は水平方向の断面であり、
円形のGraphic User Interface(GUI)において、半径方向において前記第1の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示すると共に、円周方向において前記第2の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記1又は2に記載の評価プログラム。
【0055】
(付記4)
互いに対応する前記第1の分割領域及び前記第2の分割領域において、前記第1の分割領域についての評価結果と前記第2の分割領域についての評価結果との少なくともいずれかが不良である場合に、対応する前記GUIの領域を強調表示する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記3に記載の評価プログラム。
【0056】
(付記5)
前記検査対象物は、人体の心臓である、
付記1~4のいずれか1項に記載の評価プログラム。
【0057】
(付記6)
検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、前記2以上の動画における前記検査対象物の壁を特定し、
前記2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価し、
前記2以上の動画のうちの前記第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する、
プロセッサを備える、評価装置。
【0058】
(付記7)
前記壁の特定は、
前記2以上の動画それぞれに対して、機械学習を用いて前記壁の部分を特定し、
前記2以上の動画についての、前記壁の部分を複数のフレームについてトラッキングした結果に基づいて行う、
付記6に記載の評価装置。
【0059】
(付記8)
前記第1の断面は鉛直方向の断面であり、前記第2の断面は水平方向の断面であり、
前記プロセッサは、円形のGraphic User Interface(GUI)において、半径方向において前記第1の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示すると共に、円周方向において前記第2の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示する、
付記6又は7に記載の評価装置。
【0060】
(付記9)
前記プロセッサは、互いに対応する前記第1の分割領域及び前記第2の分割領域において、前記第1の分割領域についての評価結果と前記第2の分割領域についての評価結果との少なくともいずれかが不良である場合に、対応する前記GUIの領域を強調表示する、
付記8に記載の評価装置。
【0061】
(付記10)
前記検査対象物は、人体の心臓である、
付記6~9のいずれか1項に記載の評価装置。
【0062】
(付記11)
検査対象物の直交する2種類の断面を撮影した2以上の動画を用いて、前記2以上の動画における前記検査対象物の壁を特定し、
前記2以上の動画のうちの第1の断面に関する第1の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第1の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価し、
前記2以上の動画のうちの前記第1の断面とは異なる第2の断面に関する第2の画像において特定された前記壁に対応する領域を複数に分割した第2の分割領域のそれぞれについて、撮影品質を評価する、
処理をコンピュータが実行する、評価方法。
【0063】
(付記12)
前記壁の特定は、
前記2以上の動画それぞれに対して、機械学習を用いて前記壁の部分を特定し、
前記2以上の動画についての、前記壁の部分を複数のフレームについてトラッキングした結果に基づいて行う、
付記11に記載の評価方法。
【0064】
(付記13)
前記第1の断面は鉛直方向の断面であり、前記第2の断面は水平方向の断面であり、
円形のGraphic User Interface(GUI)において、半径方向において前記第1の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示すると共に、円周方向において前記第2の分割領域のそれぞれについての撮影品質の評価結果を表示する、
処理を前記コンピュータが実行する、付記11又は12に記載の評価方法。
【0065】
(付記14)
互いに対応する前記第1の分割領域及び前記第2の分割領域において、前記第1の分割領域についての評価結果と前記第2の分割領域についての評価結果との少なくともいずれかが不良である場合に、対応する前記GUIの領域を強調表示する、
処理を前記コンピュータが実行する、付記13に記載の評価方法。
【0066】
(付記15)
前記検査対象物は、人体の心臓である、
付記11~14のいずれか1項に記載の評価方法。
【符号の説明】
【0067】
1 :評価装置
11 :CPU
110 :制御部
111 :分類部
112 :トレース部
113 :トラッキング部
114 :切り出し部
115 :判定部
12 :メモリ部
13 :表示制御部
130 :表示装置
131 :GUI
14 :記憶装置
141 :動画
15 :入力IF
151 :マウス
152 :キーボード
16 :外部記録媒体処理部
160 :記録媒体
17 :通信IF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9