IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 会計バンク株式会社の特許一覧

特許7566263売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム
<>
  • 特許-売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム 図1
  • 特許-売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム 図2
  • 特許-売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム 図3
  • 特許-売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム 図4
  • 特許-売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム 図5
  • 特許-売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20241007BHJP
【FI】
G06Q40/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023086692
(22)【出願日】2023-05-26
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】518106434
【氏名又は名称】会計バンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】反町 秀樹
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0191587(US,A1)
【文献】特開2002-140528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
債権を期日前に一定の手数料を徴収して譲り受ける役務に関する情報である売掛債権譲渡情報を管理する売掛債権譲渡情報管理装置であって、
用者の経理情報を前記利用者の端末装置を介して取得し、記憶する経理情報記憶部と、
前記経理情報に基づき当該利用者が保有する売掛債権のうち、期日前譲渡が必要な前記売掛債権を選択する売掛債権選択部と、を有し、
前記売掛債権選択部が選択した前記売掛債権を譲渡候補の前記売掛債権譲渡情報として記憶する譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部と、
前記譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶される前記売掛債権を含む前記利用者が保有する全ての前記売掛債権のうち、譲渡された前記売掛債権の手数料情報の一部を寄付金情報とすると共に、前記寄付金情報を寄付金控除情報として前記利用者の前記経理情報に含める構成となっていることを特徴とする売掛債権譲渡情報管理装置。
【請求項2】
前記売掛債権選択部が、前記利用者の前記経理情報に基づいて、前記利用者の資金不足状態を予測し、対応する譲渡可能な売掛債権を特定する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の売掛債権譲渡情報管理装置。
【請求項3】
付金を送金する対象が地方公共団体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の売掛債権譲渡情報管理装置。
【請求項4】
確定申告用情報を生成する確定申告情報生成部を有し、
前記確定申告情報生成部は、前記寄付金控除情報を含めて前記確定申告用情報を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の売掛債権譲渡情報管理装置。
【請求項5】
確定申告用情報を生成する確定申告情報生成部を有し、
前記確定申告情報生成部は、前記寄付金控除情報を含めて前記確定申告用情報を生成することを特徴とする請求項3に記載の売掛債権譲渡情報管理装置。
【請求項6】
債権を期日前に一定の手数料を徴収して譲り受ける役務に関する情報である売掛債権譲渡情報を管理する売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法であって、
用者の経理情報を前記利用者の端末装置を介して取得し、経理情報記憶部に記憶し、
売掛債権選択部が前記経理情報に基づき当該利用者が保有する売掛債権のうち、期日前譲渡が必要な前記売掛債権を選択し、
前記売掛債権選択部が選択した前記売掛債権を譲渡候補の前記売掛債権譲渡情報として譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶し、
前記譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶される前記売掛債権を含む前記利用者が保有する全ての前記売掛債権のうち、譲渡された前記売掛債権の手数料情報の一部を寄付金情報とすると共に、前記寄付金情報を寄付金控除情報として前記利用者の前記経理情報に含める構成となっていることを特徴とする売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法。
【請求項7】
債権を期日前に一定の手数料を徴収して譲り受ける役務に関する情報である売掛債権譲渡情報を管理する売掛債権譲渡情報管理装置に、
用者の経理情報を前記利用者の端末装置を介して取得し、経理情報記憶部に記憶する機能、
売掛債権選択部が前記経理情報に基づき当該利用者が保有する売掛債権のうち、期日前譲渡が必要な前記売掛債権を選択する機能、
前記売掛債権選択部が選択した前記売掛債権を譲渡候補の前記売掛債権譲渡情報として譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶する機能、
前記譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶される前記売掛債権を含む前記利用者が保有する全ての前記売掛債権のうち、譲渡された前記売掛債権の手数料情報の一部を寄付金情報とすると共に、前記寄付金情報を寄付金控除情報として前記利用者の前記経理情報に含める機能、を実行させることを特徴とする売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、売掛債権譲渡情報を管理する売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、寄付金等をより集めるための提案はなされている(例えば、特許文献1等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-32124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、寄付金は、個人等が、その自発的な意思で金銭等を提供するため寄付金額の総額を飛躍的に増大させることは困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、事業を行っている個人や事業体からの寄付金を飛躍的に増加させることができる売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、債権を期日前に一定の手数料を徴収して譲り受ける役務に関する情報である売掛債権譲渡情報を管理する売掛債権譲渡情報管理装置であって、利用者の経理情報を前記利用者の端末装置を介して取得し、記憶する経理情報記憶部と、前記経理情報に基づき当該利用者が保有する売掛債権のうち、期日前譲渡が必要な前記売掛債権を選択する売掛債権選択部と、を有し、前記売掛債権選択部が選択した前記売掛債権を譲渡候補の前記売掛債権譲渡情報として記憶する譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部と、前記譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶される前記売掛債権を含む前記利用者が保有する全ての前記売掛債権のうち、譲渡された前記売掛債権の手数料情報の一部を寄付金情報とすると共に、前記寄付金情報を寄付金控除情報として前記利用者の前記経理情報に含める構成となっていることを特徴とする売掛債権譲渡情報管理装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、利用者の端末装置から利用者の経理情報(売上情報、支出情報、売掛債権情報等)を取得し、この経理情報に基づいて、売掛債権選択部が譲渡すべき売掛債権を選択すると共に、選択された売掛債権を含む利用者の全ての売掛債権のうち、譲渡された売掛債権の手数料の一部を寄付金とする。
したがって、利用者は、売掛債権を譲渡し、その際に手数料を支払うことで寄付ができるため、極めて簡易に寄付を行うことができる。
特に、利用者が日常的に業務等の一環として利用している売掛債権譲渡の実行毎に手数料の一部を寄付することで、寄付金を飛躍的に増大させることできる。
すなわち、利用者が日常的に利用している売掛債権譲渡は、事業者等の利用者がその業務で利用するものであるため、金額が高額で手数料も高額なので、その寄付金も個人等の寄付金と比べ、格段に高額となる。このため、寄付金額を迅速且つ飛躍的に増やすことができる。
【0008】
また、利用者が譲渡すべき売掛債権を特定する際に、売掛債権選択部が適切な売掛債権を選択し、候補情報として提示するので、利用者は適切に売掛債権の譲渡を判断することができる。
そして、寄付金は、利用者が支払った手数料の一部であるので、利用者にとって寄付は直接的ではなく、間接的で負担感が小さく、積極的に寄付を行う動機付けとなる。
さらに、前記構成によれば、寄付金情報は寄付金控除情報として前記利用者の前記経理情報に含める構成ともなっている。
このように、寄付金控除の処理は自動的に実行されるので、顧客は煩雑な手数をかけることなく、処理できる。
以上のように、前記構成によれば、利用者が事業の一環として行う売掛債権譲渡を通じて寄付する寄付金を飛躍的に増大させることができる。
【0009】
好ましくは、前記売掛債権譲渡情報管理装置の前記売掛債権選択部が、前記利用者の前記経理情報に基づいて、前記利用者の資金不足状態を予測し、対応する譲渡可能な売掛債権を特定する構成となっていることを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、売掛債権選択部が、利用者の経理情報に基づいて、利用者の資金不足状態を予測し、対応する買い取り可能な債権を特定することができる。
したがって、自動的に譲渡すべき適切な売掛債権を抽出することができ、利用者にとって使い易い装置となる。
また、適切な売掛債権の抽出によって、寄付金を飛躍的の増加させることができる。
【0011】
好ましくは、前記売掛債権譲渡情報管理装置の寄付金を送金する対象が地方公共団体であることを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、地方公共団体への寄付金を安定的に増加させることができる。
【0013】
好ましくは、前記売掛債権譲渡情報管理装置の確定申告用情報を生成する確定申告情報生成部を有し、前記確定申告情報生成部は、前記寄付金控除情報を
含めて前記確定申告用情報を生成することを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、寄付金控除情報を含む確定申告用情報を自動的に生成することができる。
【0015】
上記目的は、本発明にあっては、債権を期日前に一定の手数料を徴収して譲り受ける役務に関する情報である売掛債権譲渡情報を管理する売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法であって、利用者の経理情報を前記利用者の端末装置を介して取得し、経理情報記憶部に記憶し、売掛債権選択部が前記経理情報に基づき当該利用者が保有する売掛債権のうち、期日前譲渡が必要な前記売掛債権を選択し、前記売掛債権選択部が選択した前記売掛債権を譲渡候補の前記売掛債権譲渡情報として譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶し、前記譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶される前記売掛債権を含む前記利用者が保有する全ての前記売掛債権のうち、譲渡された前記売掛債権の手数料情報の一部を寄付金情報とすると共に、前記寄付金情報を寄付金控除情報として前記利用者の前記経理情報に含める構成となっていることを特徴とする売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法により達成される。
【0016】
上記目的は、本発明にあっては、債権を期日前に一定の手数料を徴収して譲り受ける役務に関する情報である売掛債権譲渡情報を管理する売掛債権譲渡情報管理装置に、利用者の経理情報を前記利用者の端末装置を介して取得し、経理情報記憶部に記憶する機能、売掛債権選択部が前記経理情報に基づき当該利用者が保有する売掛債権のうち、期日前譲渡が必要な前記売掛債権を選択する機能、前記売掛債権選択部が選択した前記売掛債権を譲渡候補の前記売掛債権譲渡情報として譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶する機能、前記譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶される前記売掛債権を含む前記利用者が保有する全ての前記売掛債権のうち、譲渡された前記売掛債権の手数料情報の一部を寄付金情報とすると共に、前記寄付金情報を寄付金控除情報として前記利用者の前記経理情報に含める機能、を実行させることを特徴とする売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明は、事業を行っている個人や事業体からの寄付金を飛躍的に増加させることができる売掛債権譲渡情報管理装置、売掛債権譲渡情報管理装置の制御方法及び売掛債権譲渡情報管理装置の制御プログラムを提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の売掛債権譲渡情報管理装置である例えば、管理サーバ10を有するファクタリングサービスシステム1を示す概略図である。
図2図1の携帯端末100の主な構成を示す概略ブロック図である。
図3図1の管理サーバ10の主な構成を示す概略ブロック図である。
図4】本実施の形態にかかる「ファクタリングサービスシステム1」の主な動作例を示す概略フローチャートである。
図5】本実施の形態にかかる「ファクタリングサービスシステム1」の主な動作例を示す他の概略フローチャートである。
図6】本実施の形態にかかる「ファクタリングサービスシステム1」の主な動作例を示す他の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0020】
図1は、本発明の売掛債権譲渡情報管理装置である例えば、管理サーバ10を有するファクタリングサービスシステム1を示す概略図である。
ファクタリングサービスは、「債権を期日前に一定の手数料を徴収して譲り受ける役務(売掛債権譲渡情報)」の一例で、個人又は企業が、所定の期日に実行される売掛債権を有する場合で、当該期日前に当該売掛債権を手数料を支払って譲渡することができるサービスで、売掛債権を期日前に現金化するための資金調達手段である。
【0021】
図1の同システム1は、ファクタリングサービスを提供するファクタリング会社Cが管理する「管理サーバ10」と、かかるファクタリングサービスを利用して、自己が所有する売掛債権を期日前に譲渡することを希望する会社Bの代表者である利用者Aが所持する端末装置である例えば、携帯端末100を有している。
また、同システム1は、寄付金を受け付ける地方公共団体の寄付金サーバ200も有し、これら管理サーバ10,携帯端末100及び寄付金サーバ200は、インターネット網2や基地局3等を介して、相互に通信可能に接続されている。
【0022】
また、図1の管理サーバ10、携帯端末100及び寄付金サーバ200は、コンピュータを有し、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等を有し、バスを介して接続されている。
【0023】
図2は、図1の携帯端末100の主な構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、携帯端末100は、「端末側制御部101」を有し、同制御部101は、管理サーバ10等と通信するための「端末側通信装置102」、各種情報を入力するための「端末側各種情報入力装置104」及び「タッチパネル103」を制御する。
このタッチパネル103は、表示部である例えば、ディスプレイと、位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、ディスプレイ上の表示に使用者が触れることで各種情報を入力できる入力装置である。
【0024】
また、同制御部101は、図1に示す経理情報記憶部である例えば「端末側経理情報記憶部105」や「端末側各種情報記憶部106」等も制御する。これらの構成については、後述する。
【0025】
図3は、図1の管理サーバ10の主な構成を示す概略ブロック図である。
図3に示すように、管理サーバ10は、「サーバ側制御部11」を有し、同制御部11は、携帯端末100等と通信するための「サーバ側通信装置12」、各種情報を表示する「ディスプレイ13」、各種情報を入力する「サーバ側各種情報入力装置14」を制御する。
また、同制御部11は、図3に示す経理情報記憶部である例えば、「サーバ側経理情報記憶部15」、「ファクタリング選択部(プログラム)16」、「ファクタリング候補売掛債権記憶部17(「譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部」の一例)」及び「確定申告書作成部(プログラム)18(「確定申告情報生成部」の一例)等を制御する。これらの構成については、後述する。
【0026】
図4乃至図6は、本実施の形態にかかる「ファクタリングサービスシステム1」の主な動作例を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、会社Bの代表者(利用者)Aが、その所持する携帯端末100を介して、管理サーバ10にアクセスし、ファクタリングサービスの提供を受け、同時に地方公共団体に寄付を行う工程を例に以下、説明する。
【0027】
先ず、ステップ(以下「ST」とする。)1では、利用者Aは、日常的に自社(B社)の売上額、支出額、売掛債権等の経理情報を時刻情報と共に自己の携帯端末100の図2の「端末側経理情報記憶部105」に記憶させる。
すなわち、B社の銀行の通帳等に入金される「売上額」、通帳から送金される支出額、通帳には反映しないが、請求書等を発行することで発生する「売掛債権」の額やその支払期日のデータ等を端末側経理情報記憶部105に記憶させる。
そして、携帯端末100は、端末側経理情報記憶部105に記憶された情報を管理サーバ10へ送信する。
【0028】
次いで、ST2へ進む。ST2では、管理サーバ10は、携帯端末100に入力され、管理サーバ10へ送信された売上額、支出額、売掛債権額等の経理情報をB社と関連つけて管理サーバ10の図3の「サーバ側経理情報記憶部15」に記憶させる。
【0029】
次いで、ST3へ進む。ST3では、管理サーバ10の図3の「ファクタリング選択部16(「売掛債権選択部」の一例)」が動作し、「サーバ側経理情報記憶部15」に記憶されている経理情報(売上額、支出額、売掛債権額等とこれらの時刻情報等)に基づいて、運転資金に不足が発生するか否かを判断する。
【0030】
すなわち、ファクタリング選択部16は、サーバ側経理情報記憶部15」に記憶されているB社の経理情報である売上額(入金額)と支出額等の履歴情報から、今後のB社の資金繰りを予想し、将来、運転資金の不足(資金不足状態)が発生するか否かを判断する。
【0031】
次いで、ST4に進み、運転資金に不足が発生したと判断すると、ST5へ進む。
ST5では、図3の「ファクタリング選択部16」が、不足が発生する金額と、その時期を特定する。例えば、6ヶ月後に、5000万円不足するとする。
一方、ST4で、運転資金に不足が発生しないと判断しないとすると、終了する。
【0032】
次いで、ST6へ進む。ST6では、図3の「ファクタリング選択部16」が、運転資金に不足が発生する不足時期の前に発生している売掛債権で、不足時期の後に支払予定の売掛債権の有無を判断する。
例えば、上述の例では、現在、会社Bが有する金額5000万円の「売掛債権」で、6ヶ月以降に支払期日が到来(期日前譲渡)する「売掛債権」の有無を判断する。
【0033】
そして、ST7で「該当する売掛債権がある」と判断されると、ST8へ進む。
ST8では、図3の「ファクタリング選択部16」が、該当する売掛債権を「ファクタリング候補売掛債権(「譲渡候補の売掛債権情報」の一例)」として、図3の「ファクタリング候補売掛債権記憶部17に登録する。
例えば、上述の例では、現在、会社Bが有する金額5000万円の「売掛債権S」で、6ヶ月以降に支払期日が到来する「売掛債権S」を「ファクタリング候補売掛債権記憶部17」に登録する。
一方、ST7で「該当する売掛債権がない」と判断されると、終了する。
【0034】
次いで、ST9へ進む。ST9では、利用者Aの携帯端末100に「ファクタリング候補売掛債権(例えば「売掛債権S」等)」を表示し、当該ファクタリング候補売掛債権(「売掛債権S」等)を譲渡する意思の有無を利用者Aに確認する。
【0035】
このように、本実施の形態では、利用者Aが譲渡すべき売掛債権Sを特定する際に、ファクタリング選択部16が適切な売掛債権Sを選択し、譲渡の候補情報として提示するので、利用者Aは適切に売掛債権の譲渡を判断することができる。
【0036】
そして、ST10で、例えば、売掛債権Sを譲渡する意思があるときは、ST11へ進み、一方、譲渡する意思がないときは、終了する。
【0037】
ST11では、当該ファクタリング売掛債権(例えば、売掛債権S)の譲渡に際し、ファクタリング会社Cに支払うファクタリング手数料(手数料情報)の一部をB社が、所定の地方公共団体に「寄付」することに同意するか否かを携帯端末100に表示する。
【0038】
そして、ST12で、利用者Aが、譲渡に同意すると、ST13へ進む。ST13では、B社が当該ファクタリング候補売掛債権(例えば、売掛債権S)を譲渡するとき、ファクタリング会社Cに支払うファクタリング手数料のうち寄付金相当額を「寄付金」とし、ファクタリング会社Cが、B社の名義で当該地方公共団体に送金する。
【0039】
一方、ST12で、利用者Aが、譲渡に同意しないときは、ST14へ進む。ST14では、ST13と異なり、所定の地方公共団体に寄付することなく、ファクタリング手数料の全額を「ファクタリング手数料」として、B社の経理情報として、図3のサーバ側経理情報記憶部15に記憶する。
この情報は、携帯端末100に送信され、図2の端末側経理情報記憶部105に記憶されるため、利用者Aは、自己の携帯端末100で確認することができる。
【0040】
ここで、寄付対象となる地方公共団体の決定方法は、例えば、以下のとおりである。
例えば、B社が特定の地方公共団体(例えば、新潟県長岡市等)への寄付を希望する場合は、その希望する地方公共団体を寄付対象の地方公共団体とする。
【0041】
また、これと異なり、B社の前年の売上額情報の顧客の所在地情報に基づいて、売上額を地方公共団体別に集計した地方公共団体別売上額を算出し、この地方公共団体別売上額の比率を求め、この比率で寄付金額を按分して、地方公共団体への寄付金額としても構わない。
この場合、例えば、新潟市、長岡市、長野市、東京都について、売上比率がそれぞれ20%、40%、20%、20%の場合は、この比率に基づいて寄付金額を按分し、決定する。
【0042】
このように、本実施の形態では、譲渡対象(ファクタリング対象)となる売掛債権Sを自動的に選択し、利用者Aが同意したときは、自動的にファクタリング手数料の一部を寄付金とする構成となっている。
基本的に売掛債権を有するのは、事業を行っている個人や会社(法人)等であり、この場合、売掛債権の金額は高額となる。
また、このような高額な売掛債権の手数料も高額となる。そして、この高額の手数料の一部を「寄付金」とすると、結果的に寄付金を迅速且つ飛躍的に増加させることができる。
【0043】
すなわち、利用者Aの携帯端末100から利用者の経理情報(売上情報、支出情報、売掛債権情報等)を取得し、この経理情報に基づいて、ファクタリング選択部16が譲渡すべき売掛債権を選択すると共に、選択された売掛債権を含む利用者の全ての売掛債権のうち、譲渡された売掛債権の手数料の一部を寄付金とする構成となっている。
したがって、利用者Aは、売掛債権Sを譲渡し、その際に手数料を支払うことで寄付ができるため、極めて簡易に寄付を行うことができる。
特に、利用者Aが日常的に業務等の一環として利用している売掛債権譲渡の実行毎に手数料の一部を寄付することで、寄付金を飛躍的に増大させることできる。
利用者Aが日常的に利用している売掛債権譲渡(ファクタリングサービス)は、事業者等の利用者Aがその業務で利用するものであるため、金額が高額で手数料も高額なので、その寄付金も個人等の寄付金と比べ、格段に高額となる。このため、寄付金額を迅速且つ飛躍的に増やすことができる。
【0044】
また、利用者Aが譲渡すべき売掛債権Sを特定する際に、ファクタリング選択部16が適切な売掛債権Sを選択し、候補情報として提示するので、利用者は適切に売掛債権Sの譲渡を判断することができる。
そして、寄付金は、利用者が支払った手数料の一部であるので、利用者にとって寄付は直接的ではなく、間接的で負担感が小さく、積極的に寄付を行う動機付けとなる。
【0045】
次いで、ST15へ進む。ST15では、ファクタリング手数料のうち、所定の地方公共団体送金された「寄付金」を「寄付金控除」として、図3のサーバ側経理情報記憶部15に記憶し、その他の金額を「ファクタリング手数料」として、図3のサーバ側経理情報記憶部15に記憶される。
この情報は、携帯端末100にも送信され、図2の端末側経理情報記憶部105に記憶されるため、利用者Aは、自己の携帯端末100で確認することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、ファクタリング選択部16が選択したファクタリング候補売掛債権(売掛債権S)について、利用者Aが同意することで、ファクタリングを実施する例について説明したが、本発明はこれに限らず、利用者Aの自己の判断で選択した売掛債権についてファクタリングを実施する場合も含まれる。
【0047】
次いで、ST16へ進む。ST16で、利用者Aの携帯端末100から確定申告書の作成指示の入力があると、管理サーバ10の図3の「確定申告書作成部(プログラム)18」が動作し、確定申告書に含まれる事項の情報を、図3のサーバ側経理情報記憶部15から抽出し、「確定申告書(「確定申告用情報」の一例)」データを生成し、携帯端末100に送信する。
このとき、サーバ側経理情報記憶部15に記憶されている「寄付金控除」の情報も抽出される。
このため、寄付金控除を含めた確定申告書を自動的に作成することができる。
【0048】
このように、寄付金情報は寄付金控除情報として利用者Aの経理情報に含める構成ともなっている。
したがって、寄付金控除の処理は自動的に実行されるので、顧客は煩雑な手数をかけることなく、経理処理を行うことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、利用者Aが事業の一環として行う売掛債権譲渡(ファクタリングサービス)を通じて、地方公共団体に寄付する寄付金の金額を飛躍的に増大させることができる。
【0049】
以上説明した本実施形態においては、装置として実現される場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納され頒布されてもよい。
【0050】
また、記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であればよい。記憶媒体の記憶形式は、特には限定されない。
【0051】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0052】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体には限定されず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0053】
また、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づいて本実施形態における各処理を実行すればよく、1つのパソコン等からなる装置であってもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等であってもよい。
【0054】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・ファクタリングサービスシステム、2・・・インターネット網、3・・・基地局、10・・・管理サーバ、11・・・サーバ側制御部、12・・・サーバ側通信装置、13・・・ディスプレイ、14・・・サーバ側各種情報入力装置、15・・・サーバ側経理情報記憶部、16・・・ファクタリング選択部、17・・・ファクタリング候補売掛債権記憶部、18・・・確定申告書作成部、100・・・携帯端末、101・・・端末側制御部、102・・・端末側通信装置、103・・・タッチパネル、104・・・端末側各種情報入力装置、105・・・端末側経理情報記憶部、106・・・端末側各種情報記憶部、200・・・寄付金サーバ、A・・・利用者、B・・・会社、C・・・ファクタリング会社
【要約】
【課題】事業を行っている個人や事業体からの寄付金を飛躍的に増加させることができる売掛債権譲渡情報管理装置等を提供すること。
【解決手段】利用者Aの経理情報を利用者の端末装置100を介して取得し、記憶する経理情報記憶部15と、経理情報に基づき当該利用者が保有する売掛債権のうち、期日前譲渡が必要な売掛債権を選択する売掛債権選択部16と、を有し、売掛債権選択部が選択した売掛債権を譲渡候補の売掛債権情報として記憶する譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部17と、譲渡候補売掛債権譲渡情報記憶部に記憶される売掛債権を含む利用者が保有する全ての売掛債権のうち、譲渡された売掛債権の手数料情報の一部を寄付金情報とすると共に、寄付金情報を寄付金控除情報として利用者の前記経理情報に含める構成となる売掛債権譲渡情報管理装置10。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6