(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】基板効果を除去したOLEDoS画素補償回路およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20241007BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241007BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241007BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241007BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 641D
G09G3/20 612E
G09G3/20 611J
G09G3/20 642A
G09G3/20 611H
H10K50/10
H10K77/10
(21)【出願番号】P 2023569593
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2022000419
(87)【国際公開番号】W WO2022164078
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0010917
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516162412
【氏名又は名称】ソニック システム リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】523284136
【氏名又は名称】アルテテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘドン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソンイク
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-013551(JP,A)
【文献】特開2008-040444(JP,A)
【文献】特開2009-115840(JP,A)
【文献】特開2009-116115(JP,A)
【文献】特開2020-101604(JP,A)
【文献】特開2013-131608(JP,A)
【文献】特開2020-076974(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0087128(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード・オン・シリコン(OLEDoS)画素補償回路であって、
OLEDoS素子と;
第2ノードに連結されたゲート電極に印加されるデータ信号電圧により前記OLEDoS素子を駆動し、電源電圧と第3ノードの間を連結する駆動トランジスタと;
現在スキャン信号SCAN[n]によりスイッチングされ、入力されるデータ信号電圧を第1ノードに連結された第2
キャパシタに伝達する第1トランジスタと;
補償信号によりスイッチングされ、基準電圧を前記第1ノードに連結された第2
キャパシタに伝達する第2トランジスタと;
前記現在スキャン信号より2タイミング前のスキャン信号SCAN[n-2]によりスイッチングされ、前記基準電圧を第1
キャパシタと前記第2
キャパシタの間の第2ノードに伝達する第3トランジスタと;
前記現在スキャン信号より1タイミング前のスキャン信号SCAN[n-1]によりスイッチングされ、前記第2ノードと前記第3ノードの間を連結する第4トランジスタと;
発光信号によりスイッチングされ、一端が接地に連結されたOLED素子の他端と前記第3ノードの間を連結する第5トランジスタと;
前記電源電圧と前記第2ノードの間に連結された第1
キャパシタと;
前記第1ノードと前記第2ノードの間に連結された第2
キャパシタと;を含み、
前記第1~第5トランジスタおよび駆動トランジスタは、P型トランジスタであり、それぞれのボディ(body)は、前記電源電圧に連結され、
初期化段階において、前記基準電圧が、前記第2トランジスタを介して前記第2
キャパシタと、前記第3トランジスタを介して前記
第1キャパシタとに伝達され、それによって前記基準電圧が前記第1
キャパシタ及び前記第2
キャパシタに蓄積され、初期化され、
前記駆動トランジスタの前記ゲート電圧(Vx)が下記数式1により定義され、前記OLEDoS素子の前記駆動電流(I
OLED)が下記数式2により定義され、
(数式1)
(数式2)
数式1及び2において、C
1及びC
2は、それぞれ、前記第1
キャパシタ及び前記第2
キャパシタのキャパシタンスを表し、V
dataは前記データ信号電圧を表し、V
DD
は、前記電源電圧を表し、V
th,TDは閾値電圧を表し、Vrefは前記基準電圧を表し、I
oは初期電流を表し、ηV
Tは熱電圧を表す、
画素補償回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLED駆動のための画素回路に関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDを駆動するための一般的な画素補償回路は、4個のトランジスタと2個の蓄電池で構成される。
図1は、このような一般的な画素補償回路の例を示す。これに使用されたトランジスタは、全部P型トランジスタである。
【0003】
OLED駆動は、3つの段階からなるが、閾値電圧を感知し、情報を伝達し、発光する段階からなる。
【0004】
閾値電圧感知段階では、T4がオフし、OLEDがオフし、T1、T3がオンすることにより、ソース(source)とゲート(gate)の電圧差が閾値電圧に設定され、蓄電池C1、C2に保存される。
【0005】
情報伝達段階では、T3もオフし、T1のみがオンすることにより、DATAがT1を介してC1に伝達される。伝達された電圧情報は、C1とC2に分けて保存される。
【0006】
発光段階では、T1がオフし、T4のみがオンし、ELVDDからOLEDまで電流が流れることになり、したがって、OLEDが発光することになる。
【0007】
ところで、閾値電圧感知段階でT2のソース-ボディ(body)の間の電圧と発光段階でのT2のソース-ボディの間の電圧が変わるが、これは、T2のソース電圧が変わるためである。したがって、基板効果のため、T2の各段階ごとの閾値電圧が変わり、OLED駆動電流にも誤差が発生し、映像が出力される問題がある。
【0008】
本発明の発明者らは、このような従来技術のOLED駆動回路の問題点を解決するために研究努力してきた。駆動トランジスタのソース電圧を固定し、基板効果を除去することにより、OLED駆動電流の誤差を減らし、より正確な補償が可能なOLED駆動回路およびその制御方法を提供するためにたくさんの努力の末に本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、基板効果を除去し、OLED駆動電流の誤差を減らしたOLED画素補償回路およびその制御方法を提供することにある。
【0010】
なお、本発明の明示されていない他の目的は、下記の詳細な説明およびその効果から容易に推論できる範囲内でさらに考慮される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるOLED画素補償回路は、
OLED素子と;第2ノードに連結されたゲート電極に印加されるデータ信号電圧により前記OLED素子を駆動し、電源電圧と第3ノードの間を連結する駆動トランジスタと;現在スキャン信号SCAN[n]によりスイッチングされ、入力されるデータ信号電圧を第1ノードに連結された第2蓄電池に伝達する第1トランジスタと;補償信号によりスイッチングされ、基準電圧を前記第1ノードに連結された第2蓄電池に伝達する第2トランジスタと;前記現在スキャン信号より2タイミング前のスキャン信号SCAN[n-2]によりスイッチングされ、前記基準電圧を第1蓄電池と前記第2蓄電池の間の第2ノードに伝達する第3トランジスタと;前記現在スキャン信号より1タイミング前のスキャン信号SCAN[n-1]によりスイッチングされ、前記第2ノードと前記第3ノードの間を連結する第4トランジスタと;発光信号によりスイッチングされ、一端が接地に連結されたOLED素子の他端と前記第3ノードの間を連結する第5トランジスタと;前記電源電圧と前記第2ノードの間に連結された第1蓄電池と;前記第1ノードと前記第2ノードの間に連結された第2蓄電池と;を含む。
【0012】
前記第1~第5トランジスタおよび駆動トランジスタは、P型トランジスタであることを特徴とする。
【0013】
前記OLED素子は、OLEDoS(OLED on Silicon)であることを特徴とする。
【0014】
前記第1~第5トランジスタおよび前記駆動トランジスタのボディ(body)は、前記電源電圧に連結されることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の実施形態によるOLED画素補償回路の制御方法は、
(a)前記第2トランジスタと第3トランジスタをオンさせ(Turn-on)、残りのトランジスタをオフさせる(Turn-off)初期化段階と;(b)前記第2トランジスタをオンさせた状態を維持し、前記第4トランジスタをオンさせ、残りのトランジスタをオフさせる閾値電圧感知段階と;(c)前記第1トランジスタのみをオンさせ、残りのトランジスタをオフさせる情報入力段階と;(d)前記第5トランジスタのみをオンさせ、前記第1~第4トランジスタをオフさせ、前記駆動トランジスタは前記第2ノードの電圧によりスイッチングされ、前記OLED素子を駆動する発光段階と;を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駆動トランジスタのソース電圧およびボディ電圧を全て固定することにより、基板効果による誤差が発生せず、より正確な画素補償結果を提示することができる効果がある。
【0017】
なお、ここで明らかに言及されていない効果といっても、本発明の技術的特徴によって期待される以下の明細書で記載された効果およびその暫定的な効果は、本発明の明細書に記載されたように扱われることを付け加える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、従来技術の画素補償回路の例を示す。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路の構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路のタイミングに応じた動作を示す。
【
図4】
図4は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路のタイミングに応じた動作を示す。
【
図5】
図5は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路のタイミングに応じた動作を示す。
【
図6】
図6は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路のタイミングに応じた動作を示す。
【
図7】
図7は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路の効果を示す。
【
図8】
図8は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路の効果を示す。
【
図9】
図9は、本発明の好ましい他の実施形態による画素補償回路の制御方法のフローチャートである。 添付の図面は、本発明の技術思想に対する理解のために参照として例示されたことを明らかにし、それによって本発明の権利範囲が制限されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の多様な実施形態が案内する本発明の構成と当該構成による効果について説明する。本発明を説明するに際して、関連した公知機能についてこの分野の技術者に自明な事項であり、本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0020】
「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は、上記の用語によって限定されるべきではない。上記の用語は、ただ1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用できる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、「第1構成要素」は「第2構成要素」と命名することができ、同様に、「第2構成要素」も「第1構成要素」と命名することができる。また、単数の表現は、門脈上明白に相異に表現しない限り、複数の表現を含む。本発明の実施形態において使用される用語は、別途定義しない限り、当該技術分野における通常の知識を有する者に通常的に知られている意味と解することができる。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の様々な実施形態が案内する本発明の構成と当該構成による効果について説明する。
【0022】
図2は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路の構造図である。
【0023】
本発明による画素補償回路は、基板効果を除去するために、6個のトランジスタと2個の蓄電池で構成される。本発明に使用されるトランジスタは、全部P型トランジスタであってもよい。また、発光素子であるOLEDは、OLEDoS(OLED on Silicon)であってもよい。
【0024】
発光素子であるOLED素子を駆動するための駆動トランジスタTDは、電源電圧VDDをOLEDに伝達し、第2ノードN2がゲート電極に連結され、データ(DATA)電圧によりスイッチングされる。このために、駆動トランジスタTDは、電源電圧VDDと第3ノードN3の間を連結する。駆動トランジスタTDは、ゲート(gate)とソース(source)の間の電圧差を利用してOLEDに流れる電流を調整する。
【0025】
第1トランジスタT1は、現在スキャン信号SCAN[n]によりスイッチングされ、データ電圧DATAを第1ノードN1に連結された第2蓄電池C2に伝達する。
【0026】
第2トランジスタT2は、補償信号COMP[n]によりスイッチングされ、基準電圧Vrefを第1ノードN1に連結された第2蓄電池C2に伝達する。
【0027】
第3トランジスタT3は、現在スキャン信号SCAN[n]より2タイミング前のスキャン信号SCAN[n-2]によりスイッチングされ、基準電圧Vrefを第1蓄電池C1と第2蓄電池C2の間の第2ノードN2に伝達する。
【0028】
第4トランジスタT4は、現在スキャン信号SCAN[n]より1タイミング前のスキャン信号SCAN[n-1]によりスイッチングされ、第2ノードN2と第3ノードN3の間を連結する。
【0029】
第5トランジスタT5は、発光信号EM[n]によりスイッチングされ、接地GNDに一端が連結されたOLED素子の他端と第3ノードN3の間を連結する。
【0030】
第1蓄電池C1は、電源電圧VDDと第2ノードN2の間を連結する。
【0031】
第2蓄電池C2は、第1ノードN1と第2ノードN2の間を連結する。
【0032】
本発明の画素補償回路に含まれたすべてのトランジスタは、ボディ(Body)が全て電源電圧VDDに連結されていてもよい。
【0033】
本発明による画素補償回路は、初期化、閾値電圧感知、情報入力、発光の4段階にわたって駆動することができる。
【0034】
図3~
図6は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路のタイミングに応じた動作を示す。
【0035】
4段階は、1フレームタイム(frame time)に行われるが、初期化、閾値電圧感知、情報入力段階は、それぞれ、1ラインタイム(line time)中に行われ、発光段階は、1フレームタイムから3ラインタイムを抜いた残りの時間に行われる。
【0036】
図3は、初期化段階の各トランジスタのオンオフ状態と制御信号のタイミングを示す。
【0037】
図3の(b)において、補償信号COMP[n]と2タイミング前のスキャン信号SCAN[n-2]のみが0であるから、第2トランジスタT2および第3トランジスタT3のみがオンする。
【0038】
したがって、基準電圧Vref信号が第2トランジスタT2を介して第2蓄電池C2に伝達され、第3トランジスタT3を介して第1蓄電池C1に伝達され、保存される。第1蓄電池C1の両端に電源電圧VDDと基準電圧Vrefが印加され、第2蓄電池C2の両端に基準電圧Vrefが印加されるので、2つの蓄電池は、いずれも、保存されていた内容が消去され、初期化される。
【0039】
次に、
図4は、閾値電圧感知段階の各トランジスタのオンオフ状態と制御信号のタイミングを示す。
【0040】
図4の(b)において、補償信号COMP[n]は、依然として0であり、1タイミング前のスキャン信号SCAN[n-1]が0であるから、第2トランジスタT2と第4トランジスタT4がオンする。
【0041】
第4トランジスタT4により第4トランジスタT4と連結された駆動トランジスタTDのゲートとソースに沿って駆動トランジスタTDのゲート電圧はVDD-Vth,TDに達する。
【0042】
この際、第1蓄電池C1と第2蓄電池C2に充電された第1電荷量Q1は、次の式で求めることができる。
【0043】
Q1=C1(Vth,TD)+C2(VDD+Vth,TD-Vref)
【0044】
次に、
図5は、情報入力段階の各トランジスタのオンオフ状態と制御信号のタイミングを示す。
【0045】
現在スキャン信号SCAN[n]のみが0であるから、第1トランジスタT1のみがオンする。したがって、OLED素子が表現する情報を入れたデータ電圧VDATAが第2蓄電池C2に伝達される。
【0046】
第2蓄電池C2に伝達されたデータ電圧VDATAは、駆動トランジスタTDのゲート電圧を変化させる。駆動トランジスタTDの変化したゲート電圧をVxとすると、第1蓄電池C1と第2蓄電池C2に充電された変化した電荷量である第2電荷量Q2は、次の式で求めることができる。
【0047】
Q1=C1(Vx-VDD)+C2(Vx-VDATA)
【0048】
電荷量保存の法則によって第1電荷量Q1と第2電荷量Q2は同一である(Q1=Q2)。したがって、駆動トランジスタTDのゲート電圧Vxは、次のように求めることができる。
【0049】
Vx=(C1(VDATA-Vref)/(C1+C2))+VDD+Vth,TD
【0050】
次に、
図6は、発光段階の各トランジスタのオンオフ状態と制御信号のタイミングを示す。
【0051】
発光信号EM[n]のみが0であるから、第5トランジスタT5を除いた他のトランジスタがオフし、電源電圧VDDからOLED素子に電流が流れるので、OLEDがオンする。
【0052】
この際、OLEDに流れる電流は、駆動トランジスタTDのソース-ドレーン電流と同一であり、これは、次の式と同じである。
【0053】
IOLED=IOexp((Vgate,TD-Vsource,TD)-Vth,TD)/ηVT)
【0054】
これに駆動トランジスタTDのゲート電圧であるVxを代入して整理すると、次の式を得ることができる。
【0055】
IOLED=IOexp((1/ηVT)*(C2/(C1+C2))(Vref-VDATA))
【0056】
結果的に、上記の式で求めた電流によりOLEDが発光することになる。ここで、データ電圧VDATAに基準電圧Vrefが加算されており、C2/(C1+C2)が乗算されていることを確認することができる。したがって、2つの値を調節すると、出力OLED電流IOLEDに比べて入力情報電圧VDATAの範囲を調整することができる。第2蓄電池C2に比べて第1蓄電池C1の静電容量を増加させるほど同じ大きさの電流変化に対応する電圧範囲が広くなる。また、基準電圧Vrefは、入力電圧-出力電流反応曲線を平行移動させることによって、所望の部分を使用することができる。
【0057】
本発明によれば、OLED出力電流で駆動トランジスタTDの閾値電圧Vthの効果を除去することにより、基板効果をなくすことができる。従来技術とは異なって、駆動トランジスタTDのソース電圧が固定されているためである。
【0058】
また、本発明によれば、電源および閾値電圧の不均一の問題による効果をも除去することができる。上記で求めたOLED駆動電流の式には、電源電圧VDDおよび閾値電圧Vth,TDが示されていないことが見られる。したがって、電源電圧と閾値電圧が不均一であっても、OLED駆動電流に影響を及ぼさず、輝度に反映されないので、均一度を高めることができる効果を得ることができる。
【0059】
図7および
図8は、本発明の好ましい一実施形態による画素補償回路の効果を示す。
【0060】
図7は、OLEDの256階調を表現するための情報電圧の範囲を示す。
【0061】
従来技術は、256階調を表現するための情報電圧の範囲が0.284ボルトに過ぎない。すなわち情報電圧の小さいエラーにも階調が大きく変わることができる。
【0062】
一方、本発明による情報電圧の範囲は、2.5ボルトであり、従来技術に比べて9倍に近い範囲を有する。したがって、情報電圧のエラーにもかかわらず、従来技術に比べて一層正確な階調を表現することができる長所がある。
【0063】
図8は、発光電流と閾値電圧の変化による誤差率を示す。
【0064】
トランジスタ製造工程の過程でトランジスタの閾値電圧の偏差が発生するしかない。したがって、このような偏差を補償しなければ、映像に欠陥が発生する。
【0065】
図8は、閾値電圧の補償を確認するために、閾値電圧を+10mV、-10mV変化を与えてテストした結果であり、
図8の(a)は、従来技術、
図8の(b)は、本発明による結果を示す。
【0066】
従来発明では、階調変化によって両方向に20%を超える誤差を示すのに対し、本発明によれば、0.5%程度であり、従来技術に比べて1/40に過ぎない誤差率を示すので、補償がうまくいっていることを確認することができる。
【0067】
図9は、本発明の好ましい他の実施形態による画素補償回路の制御方法をもう一度整理したフローチャートである。
【0068】
本発明の
図2に示されたOLED画素補償回路を制御する方法は、4段階からなる。
【0069】
まず、初期化段階S10では、補償信号COMP[n]と2タイミング前のスキャン信号SCAN[n-2]を0とする。
【0070】
第2トランジスタT2と第3トランジスタT3がオンするので、第1蓄電池C1と第2蓄電池C2が初期化される。
【0071】
次に、閾値電圧感知段階S20では、補償信号COMP[n]を0に維持し、2タイミング前のスキャン信号SCAN[n-2]は1に変え、1タイミング前のスキャン信号SCAN[n-1]を0とする。
【0072】
これによって、第4トランジスタT4がオンし、第4トランジスタT4と連結された駆動トランジスタTDのゲート電圧が設定される。また、駆動トランジスタTDの閾値電圧により第1蓄電池C1と第2蓄電池C2が充電される。
【0073】
次に、情報入力段階S30では、現在スキャン信号SCAN[n]のみが0となるので、第1トランジスタT1のみがオンし、データ電圧VDATAが第2蓄電池C2に伝達され、これは、駆動トランジスタTDのゲート電圧を変化させる。
【0074】
次に、発光段階S40では、発光信号EM[n]のみが0であるから、第5トランジスタT5のみがオンする。
【0075】
第5トランジスタT5がオンすることにより、電源電圧VDDからOLED素子に電流が流れ、OLEDがオンする。この際、OLEDを駆動する電流は、駆動トランジスタTDのソース-ドレーン電流である。この電流は、基準電圧Vrefと蓄電池の影響を受けるので、基準電圧Vrefと第1蓄電池C1、第2蓄電池C2の静電容量を調節し、OLED駆動電流を制御することができる。
【0076】
以上のような本発明のOLED画素補償回路およびその制御方法によれば、駆動トランジスタのソース電圧とボディ電圧を全て固定することにより、基板効果による誤差が発生せず、したがって、より正確な画素補償が可能な長所がある。
【0077】
本発明の保護範囲が以上で明示的に説明した実施形態の記載と表現に制限されるものではない。また、本発明の属する技術分野における自明な変更や置換により本発明の保護範囲が制限されることもできないことをもう一度付け加える。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、自然法則を利用してOLEDの駆動電流の誤差を補償する回路および方法に関し、産業上の利用可能性がある。