(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
A47G9/10 M
(21)【出願番号】P 2019222682
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-12-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトのプリント:[楽天市場]枕[スニーピー]パイプ高さ調整スニーカー:公開日(販売開始日)令和1年11月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592150930
【氏名又は名称】富士ベッド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】八橋 史織
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-016472(JP,U)
【文献】特開平2-41101(JP,A)
【文献】実開昭59-130528(JP,U)
【文献】実開昭50-138216(JP,U)
【文献】実開平04-010043(JP,U)
【文献】実開昭59-150369(JP,U)
【文献】実開平01-180965(JP,U)
【文献】特開2013-17650(JP,A)
【文献】登録実用新案第3114841(JP,U)
【文献】特開平11-152148(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199068(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
右縁部及び左縁部を有する枕であって、
前記右縁部
の上下端部に横方向に沿って上下に2列の複数の第1の紐通部を設け、
前記左縁部
の上下端部に横方向に沿って上下に2列の複数の第2の紐通部を設け、
前記2列の複数の第1の紐通部に第1の紐を折り返して挿通し、
前記2列の複数の第2の紐通部に第2の紐を折り返して挿通し、
前記第1の紐は前記2列の複数の第1の紐通部の列間を交互に挿通させ、
前記第2の紐は前記2列の複数の第2の紐通部の列間を交互に挿通させ、
前記各紐通部は前記右縁部
の上下端部の外側又は前記左縁部
の上下端部の外側に横方向に沿った
上下に曲がり易い孔
部を有
して前記右縁部の上下端部又は前記左縁部の上下端部に縫合された縫合物である枕。
【請求項2】
前記第1の紐の両端側に第1のストッパを設け、
前記第2の紐の両端側に第2のストッパを設けた請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記第1の紐の先端に第1のコードエンドを設け、
前記第2の紐の先端に第2のコードエンドを設けた請求項1に記載の枕。
【請求項4】
前記右縁部を横方向に複数の第1の領域に分割し、前記第1の紐は前記各第1の領域毎に設けられ、
前記左縁部を横方向に複数の第2の領域に分割し、前記第2の紐は前記各第2の領域毎に設けられた請求項1に記載の枕。
【請求項5】
前記各第1、第2の紐はゴム紐である請求項1~4のいずれかに記載の枕。
【請求項6】
前記枕は複数の仕切布によって複数の室に仕切られ、前記各室は前記仕切布の一部を開放又は開孔することによって通じている請求項1に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高さ調整可能な枕に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は第1の従来の枕を示す上面斜視図である。尚、以後の図における前(頭下)、後(頭上)、左、右は仰臥位の被験者から見た方向である。
【0003】
図6においては、枕は、前後左右対称をなしており、中央に位置する後頭支持室101、後頭支持室101の前後側に対称的に位置する首支持室102、103、及び後頭支持室101、首支持室102、103の左右側に対称的に位置する横寝支持室104、105よりなる。この場合、各室101、102、103、104、105間は壁状の格子構造の仕切布106によって仕切られており、従って、各室101、102、103、104、105に開閉自在のファスナ101a、102a、103a、104a、105a(104a、105aのみ図示)を設けて充填部材を挿入する。つまり、5個のファスナを設ける。従って、各室101、102、103、104、105の充填部材たとえばパイプの量を調整することにより各室101、102、103、104、105の高さを調整できる。
【0004】
第2の従来の枕は1本の紐を枕の長手方向の前縁と後縁との間を往復させて挿通させ、紐を引き絞ることにより枕の高さを高くし、紐を弛めることにより枕の高さを低くするようにしている(参照:特許文献1)。これにより、充填部材の挿入量を変えずに枕の高さを変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図6に示す第1の従来の枕においては、一度充填部材が枕に挿入されると、枕の高さはほぼ不変であり、この高さが不適切な場合、その都度、ファスナを開閉して充填部材の挿入量を調整しなければならず、この結果、高さ調整に時間を要するという課題がある。
【0007】
また、上述の第2の従来の枕においては、特殊な器具を用いて紐を枕内に挿通させる必要があり、この結果、使用中に万一紐が枕から引き抜かれた場合には、紐を枕内に再び挿通させるのが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係る枕は、右縁部及び左縁部を有する枕であって、右縁部の上下端部に横方向に沿って上下に2列の複数の第1の紐通部を設け、左縁部の上下端部に横方向に沿って上下に2列の複数の第2の紐通部を設け、2列の複数の第1の紐通部に第1の紐を折り返して挿通し、2列の複数の第2の紐通部に第2の紐を折り返して挿通し、第1の紐は2列の複数の第1の紐通部の列間を交互に挿通させ、第2の紐は2列の複数の第2の紐通部の列間を交互に挿通させ、各紐通部は右縁部の上下端部の外側又は左縁部の上下端部の外側に横方向に沿った上下に曲がり易い孔部を有して右縁部の上下端部又は左縁部の上下端部に縫合された縫合物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充填部材の挿入量を調整することなく枕の高さを調整でき、また、使用中に、万一紐が引き抜かれても紐を特殊な器具を用いずに簡単に紐通部に挿通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る枕の第1の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は右側斜視図である。
【
図2】
図1の紐挿通前のストッパの拡大斜視図である。
【
図3】
図1の紐挿通後のストッパ及びコードエンドの拡大斜視図である。
【
図4】
図1の枕の動作を説明するための斜視図である。
【
図5】本発明に係る枕の第2の実施の形態を示す右側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係る枕の第1の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は右側斜視図である。
【0012】
図1において、左右対称をなしている枕は、対
向する前縁(マチ)部E1及び後縁(マチ)部E2、対
向する右縁(マチ)部E3及び左縁(マチ)部E4によって規定され、仕切布7によって区分された後頭支持室1と、後頭支持室1の前方に設けられた首支持室2と、後頭支持室1及び
首支持室2の左右に対称的に設けられた横寝支持室3、3’、4と、中間室5、6とによって構成されている。枕は堅ろうなたとえば布はく(織物)によって形成されている。尚、横寝支持室4は首支持室2の下で繋がっている。
【0013】
仕切布7は枕内に垂直に壁状に縫合されており、たとえば布はく(織物)によって形成されている。後頭支持室1、横寝支持室3、3’を囲む仕切布7の一部は枕内部で開孔OP1、OP3によって開孔されている。たとえば、仕切布7は2枚の仕切布を上下縫合して作成するが、その際、一部の縫合をしない部分が開孔として作用する。これにより、各室1、3、3’、4、5、6の間で充填部材は移動可能である。従って、枕に充填部材たとえばパイプを充填するための開閉自在のファスナは1つのみであり、充填部材の挿入も容易となる。
【0014】
図1の(B)に示すように、対
向する右縁(マチ)部E3及び左縁(マチ)部E4には、それぞれ2列の複数の紐通部11、12が横方向に沿って縫合されている。紐通部11、12には2本の紐(たとえばゴム紐)13、14が折返して挿通される。たとえば、紐13は分割された紐通部11、12の
図1の(B)の左側部分において折返して挿通され、右縁(マチ)部E3の中央にて紐13の両端部分はストッパ13aによって束ねられ、さらに、両端部分の先端はコードエンド13bによって束ねられる。この場合、紐13は列間つまり紐通部11、12間を交互に挿通する。これにより、紐13が緩みにくくなる。同様に、紐14は分割された紐通部11、12の
図1の(B)の右側部分において折返して挿通され、右縁(マチ)部E3の中央にて紐14の両端部分はストッパ14aによって束ねられ、さらに、両端部分の先端はコードエンド14bによって束ねられる。この場合、紐14は列間つまり紐通部11、12間を交互に挿通する。これにより、紐14が緩みにくくなる。尚、紐13(14)が紐通部11、12間を交互に挿通する場合、紐通部1個毎でなくとも、2個毎等でもよい。
【0015】
図2は
図1の紐挿通前のストッパ13a(14a)の拡大斜視図である。
【0016】
図2に示すように、ストッパ13a(14a)は、紐13(14)を挿通させるための2つの孔211、212を有する本体21と、紐13(14)を挿通させるための2つの孔221、222を有する切替ピン22とからなり、切替ピン22は本体21に対してスプリング(図示せず)によって押出されるようになっている。
【0017】
図3は
図1の紐挿通後のストッパ13a(14a)及びコードエンド13b(14b)の拡大斜視図である。
【0018】
切替ピン22を本体21に対して押込んだ状態で紐13(14)の両端部分を本体21の孔211、212及び切替ピン22の孔221、222に挿通させる。次に、紐13(14)の先端をコードエンド13b(14b)で固定することによりストッパ13a(14a)が紐13(14)から離脱することを防止する。切替ピン13a(14a)の無押下状態では、切替ピン22の孔221、222が紐13(14)を噛む状態となり、紐13(14)は停止状態となる。他方、切替ピン22の押下状態では、切替ピン22の孔221、222が本体21の孔211、212に一致して紐13(14)は摺動状態となる。
【0019】
【0020】
図4の(A)の状態では、紐13、14は弛緩状態にあり、従って、充填部材は左縁(マチ)部E3及び右縁(マチ)部E4近傍に集まり、この結果、枕の中央部特に、横寝支持室3、3’、4の高さは低くなる。
【0021】
図4の(B)の状態では、被験者はストッパ13a(14a)を切替ピン13b(14b)を押したまま、紐13(14)を所望量だけ引出して切替ピン13b(14b)を離す。この結果、左縁(マチ)部E3のマチ及び右縁(マチ)部E4のマチの高さが小さくなり、充填部材は左縁(マチ)部E3及び右縁(マチ)E4から枕の中央部に移動する。この結果、枕の高さが高くなる。特に、横寝支持室3、3’、4の高さが高くなり、横寝支持室3、3’、4の高さが被験者の要求の高さとなる。尚、紐13(14)をさらに引き出すと、左縁(マチ)部E3のマチの幅及び右縁(マチ)部E4のマチの幅が小さくなり、枕の高さがさらに高くなる。
【0022】
図5は本発明に係る枕の第2の実施の形態を示す右側斜視図である。
【0023】
図5においては、
図1の紐13(14)の代わりに、紐13’(14’)を設ける。紐13’(14’)は紐通部11、12間を行き交わらない。つまり、紐13’(14’)は一方の列から他方の列へ挿通する。この場合、紐13’(14’)を引出しても、
図1の場合に比較して左縁(マチ)部E3のマチの高さ及び右縁(マチ)部E4のマチの高さの減少は小さくなるが、紐13’(14’)を引張ると左縁(マチ)部E3のマチの幅及び右縁(マチ)部E4のマチの幅の減少を大きくでき、この結果、充填部材は左縁(マチ)部E3及び右縁(マチ)部E4から枕の中央部、特に、横寝支持室3、3’、4へ移動し、横寝支持室3、3’、4の高さが大きくなる。
【0024】
上述の実施の形態においては、右縁(マチ)部E3、左縁(マチ)部E4において、紐を右縁(マチ)部E3、左縁(マチ)部E4の両端側から中央へ折返しているが、中央から両端側へ折返してストッパ13a、14a及びコードエンド13b(14b)を右縁(マチ)部E3、左縁(マチ)部E4を両端側へ設けてもよい。
【0025】
また、上述の実施の形態においては、右縁(マチ)部E3、左縁(マチ)部E4において、紐を2本用いたが、1本又は3本以上設けてもよい。
【0026】
また、上述の実施の形態においては、右縁(マチ)部E3、左縁(マチ)部E4において、紐の両端側にストッパ及びコードエンドを設けたが、ストッパ及びコードエンドを設けずに、紐の両端部分を手によるはな結びで結んでもよい。
【0027】
さらに、上述の実施の形態においては、紐通部、紐及びストッパを対抗する右縁(マチ)部E3及び左縁部E4に設けているが、紐通部、紐及びストッパを対抗する前縁(マチ)部E1及び後縁(マチ)部E2に設けてもよい。
【0028】
さらに、前縁部E1、後縁部E2、右縁部E3及び左縁部E4には、マチ自体を設けなくともよい。この場合でも、対向する縁部に2列の紐通部を設ければよい。
【0029】
さらにまた、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲内でのいかなる変更にも適用し得る。
【符号の説明】
【0030】
E1:前縁部
E2:後縁部
E3:右縁部
E4:左縁部
1:後頭支持室
2:首支持室
3、3’、4:横寝支持室
5、6:中間室
7:仕切布
11、12:紐通部
13、13’,14、14’:紐
13a、14a:ストッパ
13b、14b:コードエンド
OP1、OP3:開孔