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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】モータ用制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/00 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
H02K5/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020062678
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021164245
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】内貴 英男
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209994286(CN,U)
【文献】特開2015-088949(JP,A)
【文献】特開2018-182911(JP,A)
【文献】特開2019-046848(JP,A)
【文献】特開平11-243283(JP,A)
【文献】特開2017-077170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を備えた基板と、外郭体を有し、
前記外郭体の中に前記基板が収容されたモータ用制御装置であって、
前記外郭体は、遮光材料を含有する樹脂によって成形されており、
前記外郭体は、一部に他の大部分よりも薄く成形された薄肉部を有し、前記薄肉部は、前記発光部に対向する位置にあり、さらに、
前記外郭体は、正面壁を有し、当該正面壁に前記薄肉部があり、
前記外郭体内を仕切る仕切り部材を有し、
当該仕切り部材は、前記正面壁に対向する内側対向壁を有し、
前記基板は、前記仕切り部材よりも裏面側に配置されており、
前記仕切り部材の前記発光部に対応する部位に開口が設けられていることを特徴とするモータ用制御装置。
【請求項2】
前記正面壁側の前記開口の周囲が、遮光壁で囲まれていることを特徴とする請求項1に記載のモータ用制御装置。
【請求項3】
前記正面壁には、裏面側に凹んだ凹部があり、当該凹部の最も凹んだ位置に前記薄肉部があることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ用制御装置。
【請求項4】
前記凹部は、開口面積が奥に向かって次第に狭まっていることを特徴とする請求項3に記載のモータ用制御装置。
【請求項5】
前記正面壁には、裏面側に凹んだ凹部があり、当該凹部の最も凹んだ位置に前記薄肉部があり、さらに
前記遮光壁と前記凹部は、接しているか、あるいは近接していることを特徴とする請求項2に記載のモータ用制御装置。
【請求項6】
前記凹部は、開口面積が奥に向かって次第に狭まっていることを特徴とする請求項5に記載のモータ用制御装置。
【請求項7】
外郭体の側面には、外郭体側側壁があり、
前記仕切り部材の側面には、仕切り部材側側壁があり、
前記外郭体側側壁に、前記仕切り部材側側壁が嵌合し、
前記外郭体側側壁と、前記仕切り部材側側壁が略同一平面となることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のモータ用制御装置。
【請求項8】
前記外郭体側側壁と前記仕切り部材側側壁のそれぞれに、半割状の切欠きがあり、
前記切欠き同士が合致して、側方側開口が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のモータ用制御装置。
【請求項9】
前記仕切り部材の内側対向壁の正面側の面に、ケーブルを固定する溝部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のモータ用制御装置。
【請求項10】
前記溝部は、曲線状に延びていることを特徴とする請求項9に記載のモータ用制御装置。
【請求項11】
前記外郭体は、正面壁を有し、当該正面壁に前記薄肉部があり、
前記正面壁に正面側開口があり、
前記仕切り部材の、前記正面側開口に対向する位置に切欠き又は開口があり、
前記基板に、コネクタ片が設けられており、当該コネクタ片が、前記正面側開口に臨む位置にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のモータ用制御装置。
【請求項12】
前記基板の裏面側に放熱板が設けられており、前記放熱板が前記外郭体と一体化されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のモータ用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を搬送するコンベヤ等の駆動源として使用できるギヤードモータ等のモータを制御するためのモータ用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの動作を制御する制御回路を備えた基板を有する制御装置が使用されている。この基板には、装置が正常に動作しているとき、又は動作に異常が発生したときに発光する発光部が設けられているものが存在する。
【0003】
特許文献1には、このような基板を備えた回路遮断器が開示されている。特許文献1に開示された回路遮断器には、漏電表示ランプ(発光部)を有するプリント基板が設けられている。回路遮断器は、ケース(筐体)を有し、ケースにおける漏電表示ランプが近接する部位には孔が設けられている。すなわち、ケースの孔を介して外部から漏電表示ランプを視認することができる。そして、漏電が生じた際に漏電表示ランプが点灯し、作業者が漏電表示ランプの点灯状態を確認することにより、適切な処置を施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭63-50768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているような従来の装置では、ケースに孔を設け、ケース内の漏電表示ランプが当該孔を介して外部から確認できるように構成されたものであるが、明るい環境下では、漏電表示ランプの発光状態を確認しにくいという問題があった。また、制御装置自体も何の変哲もないものであり、制御装置が設置された周囲の景観は、一般に殺伐としている。
【0006】
そこで本発明は、基板上の発光部の発光状態を確認し易いモータ用制御装置を提供することを課題としている。また、本発明は、高級感を醸し出すことができるモータ用制御装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の様相は、発光部を備えた基板と、外郭体を有し、前記外郭体の中に前記基板が収容されたモータ用制御装置であって、前記外郭体は、遮光材料を含有する樹脂によって成形されており、前記外郭体は、一部に他の大部分よりも薄く成形された薄肉部を有し、前記薄肉部は、前記発光部に対向する位置にあることを特徴とするモータ用制御装置である。
【0008】
本様相のモータ用制御装置では、発光部を備えた基板と、外郭体を有し、前記外郭体の中に前記基板が収容されたモータ用制御装置であって、外郭体は、遮光材料を含有する樹脂によって成形されているので、外郭体の外部から内部への光の透過が遮断または抑制される。そのため、外郭体の内部は暗い環境が作られる。また、外郭体は、一部に他の大部分よりも薄く成形された薄肉部を有するので、外郭体における当該薄肉部のみは光の透過が許容されている。そして、薄肉部は、基板の発光部に対向する位置にあるので、発光部が発光すると、薄肉部を介して、外郭体の外部から視認することができる。その際、薄肉部の周囲の部位は遮光されているため、薄肉部のみが明るく見える。すなわち、基板の発光部から発した光のみが、モータ用制御装置の内部から薄肉部を透過し、発光部が発光していることを容易に確認することができる。
また、外郭体における薄肉部以外の部位から外郭体の内部に光が透過しにくい。したがって、発光部が発する光以外の光が、薄肉部を介して外郭体の内部から外部に発せられることがない。そのため、作業者は、発光部が発光しているか否かを容易に判別することができる。
さらに、ホコリの侵入も阻止することができる。すなわち、基板は、通電されていてホコリを引き寄せ易いが、モータ用制御装置全体が遮蔽されているので、内部にホコリが侵入しにくい。
そして、モータ用制御装置は、薄肉部のみが光の透過が許容されていて、薄肉部以外の部位の光の透過が制限されているので、全体として落ち着いた色調を呈していて、薄肉部のみが部分的に光を透過し、高級感を醸し出すことができる。
【0009】
前記外郭体は、正面壁を有し、当該正面壁に前記薄肉部があり、前記外郭体内を仕切る仕切り部材を有し、当該仕切り部材は、前記正面壁に対向する内側対向壁を有し、前記基板は、前記仕切り部材よりも裏面側に配置されており、前記仕切り部材の前記発光部に対応する部位に開口が設けられているのが好ましい。
【0010】
この構成によれば、外郭体は正面壁を有し、正面壁に薄肉部があり、外郭体内を仕切る仕切り部材を有し、仕切り部材は、正面壁に対向する内側対向壁を有し、基板は、仕切り部材よりも裏面側に配置されており、仕切り部材の発光部に対応する部位に開口が設けられているので、発光部から発した光は、仕切り部材の開口を介して薄肉部に達する。そのため、たとえ発光部から発した光が仕切り部材の開口の周囲に散乱しても、散乱した部分は仕切り部材で遮断される。
そのため、発光部から発した光のうち、開口を通過した光のみが薄肉部(外郭体の内面)に達し、外郭体の外部からは、薄肉部を介して発光部が発した光を良好に確認することができる。
ここで、「裏面側」とは、正面側の反対側を指している。
【0011】
仕切り部材の内側対向壁の正面壁側の開口の周囲が、遮光壁で囲まれているのが好ましい。
【0012】
この構成によれば、基板の発光部から発した光は、仕切り部材の開口を介して薄肉部に達するが、途中で仕切り部材と外郭体の間で散乱することがない。そのため、薄肉部の周囲の部位からの光の漏れをさらに抑制することができる。その結果、薄肉部を介して発光部が発した光を確認し易くなる。
【0013】
前記外郭体は、正面壁を有し、当該正面壁に前記薄肉部があり、前記正面壁には、裏面側に凹んだ凹部があり、当該凹部の最も凹んだ位置に前記薄肉部があるのが好ましい。
【0014】
この構成によれば、正面壁には、裏面側に凹んだ凹部があり、当該凹部の最も凹んだ位置に前記薄肉部があるので、基板の発光部と外郭体の薄肉部の間隔は狭い。すなわち、発光部に対して薄肉部は近接している。そのため、発光部から発した光は、薄肉部から外部へ透過し易い。
また、発光部の光は、凹部の最も凹んだ底の部位である薄肉部から外郭体の外部へ透過する。凹部の底部である薄肉部の周囲の部位は遮光性を有するので、発光部の光を透過させた薄肉部と、薄肉部の周囲の部位との間の明暗の差が大きくなる。また、凹部によって、外郭体の正面壁に凹凸が形成されていることも相まって、モータ用制御装置は、高級感を醸し出すことができる。
【0015】
前記凹部は、開口面積が奥に向かって次第に狭まっているのが好ましい。
【0016】
この構成によれば、凹部は、開口面積が奥に向かって次第に狭まっているので、外郭体の表面の凹凸形状と明暗のコントラストによってモータ用制御装置は、高級感を醸し出すことができる。ここで「奥に向かって」とは、「正面側から裏面側へ向かって」の意味である。
【0017】
前記遮光壁と前記凹部は、接しているか、あるいは近接しているのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、仕切り部材側の遮光壁と、外郭体側の凹部は、接しているか、あるいは近接しているので、凹部の最も凹んだ部位である薄肉部の周囲に遮光壁が配置される。そのため、外郭体側の薄肉部と仕切り部材側の遮光壁とが近接し、基板の発光部から発した光が、遮光壁によって周囲に散逸することなく薄肉部に達する。そのため、外郭体の外部からは、薄肉部のみが明るく見える。
【0019】
外郭体の側面には、外郭体側側壁があり、前記仕切り部材の側面には、仕切り部材側側壁があり、前記外郭体側側壁に、前記仕切り部材側側壁が嵌合し、前記外郭体側側壁と、前記仕切り部材側側壁が略同一平面となるのが好ましい。
【0020】
この構成によれば、外郭体の側面には、外郭体側側壁があり、仕切り部材の側面には、仕切り部材側側壁があり、外郭体側側壁に、仕切り部材側側壁が嵌合し、外郭体側側壁と、仕切り部材側側壁が略同一平面となるので、モータ用制御装置の各部材同士の継目に凹凸がない。すなわち、各部材同士の継目が目立たず、シームレスのような外観を呈する。そのため、モータ用制御装置の外観は美観に優れ、高級感を醸し出すことができる。
【0021】
前記外郭体側側壁と前記仕切り部材側側壁のそれぞれに、半割状の切欠きがあり、前記切欠き同士が合致して、側方側開口が形成されているのが好ましい。
【0022】
この構成によれば、外郭体側側壁と仕切り部材側側壁のそれぞれに、半割状の切欠きがあり、切欠き同士が合致して、側方側開口が形成されているので、モータ用制御装置の内外に渡って配置されるケーブル(配線)等の部材を配置し易い。すなわち、モータ用制御装置を組み立てる途中の段階でケーブル等を側方側開口に容易に配置することができる。
【0023】
前記仕切り部材の内側対向壁の正面側の面に、ケーブルを固定する溝部が設けられているのが好ましい。
【0024】
この構成によれば、仕切り部材の内側対向壁の正面側の面に、ケーブルを固定する溝部が設けられているので、モータ用制御装置の内部でケーブルが移動することを阻止することができる。そのため、ケーブルが摩耗せず。断線しにくい。
ここで、溝部の延長上に、側方側開口が配置されているのが好ましい。
【0025】
前記溝部は、曲線状に延びているのが好ましい。
【0026】
この構成によれば、溝部は、曲線状に延びているので、ケーブルが溝部から外れにくく、ケーブルを溝部に固定し易い。また、ケーブルが曲線状の溝部に沿うことにより、ケーブルに無理な負荷が掛からず、ケーブルが傷みにくい。
【0027】
前記外郭体は、正面壁を有し、当該正面壁に前記薄肉部があり、前記正面壁に正面側開口があり、前記仕切り部材の、前記正面側開口に対向する位置に切欠き又は開口があり、前記基板に、コネクタ片が設けられており、当該コネクタ片が、前記正面側開口に臨む位置にあるのが好ましい。
【0028】
この構成によれば、外郭体は、正面壁を有し、正面壁に薄肉部があり、正面壁に正面側開口があり、仕切り部材の、正面側開口に対向する位置に切欠き又は開口があり、基板に、コネクタ片が設けられており、コネクタ片が、正面側開口に臨む位置にあるので、基板のコネクタ片に対して、モータ用制御装置の外部からアクセス可能である。
【0029】
前記基板の裏面側に放熱板が設けられており、前記放熱板が前記外郭体と一体化されているのが好ましい。
【0030】
この構成によれば、基板の裏面側に放熱板が設けられており、給電された基板の昇温を抑制することができる。また、放熱板が外郭体と一体化されているので、モータ用制御装置の周囲が、外郭体と放熱板で覆われる。そのため、モータ用制御装置の内部に外部の光が入り込みにくい。そのため、基板の発光部から発した光のみが、モータ用制御装置の内部から薄肉部を透過し、発光部が発光していることを容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るモータ用制御装置は、基板上の発光部の発光状態を確認し易い。また、本発明に係るモータ用制御装置は、高級感を醸し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(a)は、本実施形態に係るモータ用制御装置の正面側から見た斜視図であり、(b)は、裏面側から見た斜視図である。
図2】本実施形態に係るモータ用制御装置の正面側から見た分解斜視図である。
図3】本実施形態に係るモータ用制御装置の裏面側から見た分解斜視図である。
図4】モータ用制御装置の外郭体と仕切り部材が嵌合した状態を裏面側から見た斜視図である。
図5】(a)は、図1のA-A断面図であり、(b)は、図1のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1(a)、図1(b)は、それぞれ本実施形態に係るモータ用制御装置1の正面側及び裏面側から見た斜視図である。モータ用制御装置1は、荷物を搬送するコンベヤ装置(図示せず)に使用されるギヤードモータ等のモータ(図示せず)の動作(起動、停止、変速等)を制御するための装置である。
【0034】
図1(a)、図1(b)に示すように、モータ用制御装置1の外観は、略直方体形状を呈している。モータ用制御装置1の正面側には外郭体4が配されており、裏面側には放熱板20が配されている。また、外郭体4と放熱板20の間には、仕切り部材7が設けられている。
【0035】
放熱板20は、熱伝導率の高い金属で構成された略長方形形状を呈する部材である。放熱板20は、外郭体4及び仕切り部材7と密着して係合する。また放熱板20は、後述の通電されて昇温した基板2を冷却する機能を有する部材である。
【0036】
図2図3に示すように、モータ用制御装置1の内部には、基板2が収容されている。基板2は、仕切り部材7と放熱板20の間に配置されている。基板2は、略長方形形状の板状の部材であり、図示しないモータを制御するための処理回路を有している。また、基板2は、発光部3、コネクタ片18、入出力ポート19、電源ポート等を備えている。
【0037】
入出力ポート19は、制御信号を送受信するための制御信号ケーブルが接続されるポートである。
電源ポート39は、電源ケーブルが接続されるポートである。電源ポート39は、入出力ポート19の下方に近接して設けられている。
【0038】
発光部3は、例えばLED(発光ダイオード)で構成されており、電源ポート39に図示しない電源ケーブルが接続されており、電源が投入されているとき(すなわち、電力が供給されているとき)に常時発光(点灯)するように構成されている。また、基板2に異常が発生した場合には、発光部3は点滅する。
【0039】
コネクタ片18は、基板2の設定値を変更する際(メンテナンス時)に使用されるポートである。コネクタ片18は、モータ用制御装置1の外部から直接アクセスが可能であり、図示しない信号ケーブルが着脱可能に接続される。
【0040】
外郭体4は、遮光材料を含有する樹脂によって成形されている。すなわち、外郭体4は、光を透過しにくい。外郭体4は、正面壁6、外郭体側側壁4a、4b、上面壁21、下面壁22を有し、モータ用制御装置1の筐体に相当する部材である。
【0041】
図1(a)、図2に示すように、正面壁6には、凹部11と正面側開口16が設けられている。
【0042】
凹部11は、平行に対向する上壁11c(図2)及び下壁11d(図3)と、正面側から裏面側へ行くほど互いに接近する両側壁(傾斜面11a、11b)を有し、奥側へ行くほど両側壁(傾斜面11a、11b)の間隔が次第に狭まっている。すなわち、凹部11の開口面積(正面壁6と平行な平面で切断した断面積)は、奥(裏面側)に向かって次第に狭まっている。凹部11の最も凹んだ位置(裏面側の端部である底部)には、薄肉部5が設けられている。薄肉部5は、外郭体4の遮光性を有する他の大部分の部位の肉厚よりも薄い部位であり、光を透過することができる程度まで厚みを薄くした部位である。図3に示すように、外郭体4を裏面側から見ると、薄肉部5は、手前側(裏面側)に突出した突出部の先端に設けられている。凹部11を構成する上壁11c、下壁11d、両側壁(傾斜面11a、11b)の肉厚は、薄肉部5よりも厚く、光を透過しにくい。
【0043】
正面側開口16は、正面壁6の中央の領域であって、上面壁21の近傍に設けられた貫通孔である。正面側開口16における裏面側の縁には、裏面側に向かって起立する起立壁部16aが設けられている。図3に示すように、起立壁部16aは、筒状(環状構造)を呈している。正面側開口16は、普段は図示しない蓋で閉塞されている。すなわち、筒状の起立壁部16aは、図示しない蓋を係合させる係合部として機能する。
【0044】
また、正面壁6の上部には、傾斜壁6aを経て上部正面壁6bが設けられている。傾斜壁6aは、上方へいくほど裏面側に近づくように傾斜しており、上部正面壁6bは、下方の正面壁6と平行である。すなわち、上部正面壁6bは、正面壁6よりも一段、裏面側に退避したような位置にある。
【0045】
外郭体側側壁4aは、図2に示すように、係合部23aを有する。係合部23aは、後述の仕切り部材7と係合する部位である。係合部23aにおける上下の2箇所に半割状の切欠き12a、12bが設けられている。上方の切欠き12aは、半円形の切欠きであり、下方の切欠き12bは、略矩形の切欠きである。
【0046】
外郭体側側壁4bは、図3に示すように、係合部23bを有する。係合部23bも、係合部23aと同様に、後述の仕切り部材7と係合する部位である。係合部23bには、半円形の切欠き12cが設けられている。
【0047】
図3に示すように、下面壁22には、幅方向の複数箇所にストッパ33が設けられている。ストッパ33は、後述の仕切り部材7の内側対向壁8(図4)が当接する部位である。
【0048】
仕切り部材7は、図2図3に示すように、外郭体4と同等の幅と高さを有する薄板状の部材である。仕切り部材7は、外郭体4と同様の遮光材料を含む樹脂で構成されており、内側対向壁8、仕切り部材側側壁7a、7b、開口9、中央切欠き17、溝部15a、15bを有する。
【0049】
内側対向壁8は、外郭体4の正面壁6と平行に対向する部位であり、仕切り部材7の本体を構成する部位である。
内側対向壁8の中央の領域であって、上方側の部位には中央切欠き17が設けられている。中央切欠き17は、仕切り部材7が外郭体4と一体化した際に、外郭体4の正面側開口16と対向する位置に設けられている。
【0050】
また、内側対向壁8には、曲線状(円弧状)の溝部15a、15bが設けられている。溝部15aは、内側対向壁8に立設した同芯の外周壁部27aと内周壁部28aで構成されている。同様に、溝部15bは、外周壁部27bと内周壁部28bで構成されている。
【0051】
溝部15a、15bは、中央切欠き17の両側に設けられており、溝部15a、15bの一端が、中央切欠き17と連続している。
溝部15a、15bの他端側には、切欠き25、26が設けられている。切欠き25、26は、仕切り部材7(内側対向壁8)の幅方向に延びる長孔である。
切欠き25は、溝部15aと連続すると共に、内側対向壁8の端部(仕切り部材側側壁7a側の端部)に至って延びている。同様に、切欠き26は、溝部15bと連続すると共に、内側対向壁8の端部(仕切り部材側側壁7b側の端部)に至って延びている。
【0052】
すなわち、内側対向壁8の中央切欠き17の一方側には、溝部15a、切欠き25が連続しており、他方側には、溝部15b、切欠き26が連続している。これらは、信号ケーブル35を配置する信号ケーブル配置部として機能する。
【0053】
内側対向壁8の両側には、仕切り部材側側壁7a、7bが連続している。
仕切り部材側側壁7aは、仕切り部材7の一方の側壁を構成しており、正面側の端辺に上から順に半割状の切欠き13a、13bが設けられている。切欠き13aは、半円形を呈しており、切欠き13bは、略矩形を呈している。
仕切り部材側側壁7bは、仕切り部材7の他方の側壁を構成しており、正面側の端辺に半割状の切欠き13cが設けられている。
半円形の切欠き13a、13bは、それぞれ内側対向壁8の長孔である切欠き25、26と連続している。
【0054】
開口9は、内側対向壁8における、外郭体4と仕切り部材7が一体化した際に、外郭体4の薄肉部5と対向する位置に設けられている。開口9は、内側対向壁8の正面側と裏面側とを貫通する孔である。内側対向壁8における正面壁6(外郭体4)側の開口9の周囲(縁)には、筒状の遮光壁10が設けられている。筒状の遮光壁10は、内側対向壁8から正面側に起立するように設けられている。
【0055】
外郭体4と仕切り部材7は、互いに凹凸嵌合して係合しており、外郭体4と仕切り部材7の周囲の係合部分は密着している。図5(a)に示すように、仕切り部材7の内側対向壁8の上部は、外郭体4の上部正面壁6bの内面に当接している。また、仕切り部材7の下部の長手方向の途中の部位は、外郭体4側の複数のストッパ33(図3図4)が当接している。よって、外郭体4と仕切り部材7の相対位置が固定されている。
【0056】
同様に、外郭体4と放熱板20の間、及び仕切り部材7と放熱板20の間の係合部分も密着している。基板2は、モータ用制御装置1の内部に収容されており、基板2の正面側及び裏面側には、外郭体4、仕切り部材7、放熱板20に支持されている部位がある。
【0057】
外郭体4と仕切り部材7が凹凸嵌合すると、外郭体側側壁4aと仕切り部材側側壁7aが一致して同一平面となり、継目が目立たないシームレスのような外観を呈する。また、外郭体4の半割状の切欠き12a、12bと、仕切り部材7の切欠き13a、13bが合致する。その結果、図1(b)に示すように、丸孔29(側方側開口)と矩形孔30(側方側開口)が形成される。また、外郭体4の半割状の切欠き12cと、仕切り部材7の切欠き13cが合致し、丸孔31(側方側開口)が形成される。丸孔29、31は、中央切欠き17に至るケーブル配置部の端部を構成している。矩形孔30は、基板2の入出力ポート19を突出させる部位である。
【0058】
モータ用制御装置1は、次のように組み立てられる。
仕切り部材7のケーブル配置部である中央切欠き17、溝部15a、切欠き25、半割状の切欠き13aと、中央切欠き17、溝部15b、切欠き26、半割状の切欠き13cに、それぞれ信号ケーブル35、36を沿わせて配置する。信号ケーブル35、36は、基板2の所定のポートに接続されており、それぞれ別のモータ(図示せず)の動力線として機能する。すなわち、モータ用制御装置1は、2つのモータの動作を制御する制御装置である。
【0059】
仕切り部材7の内側対向壁8の開口32に、基板2の入出力ポート19を配置する。入出力ポート19は、矩形状の切欠き13bから側方へ突出する。図5(a)に示すように、基板2の発光部3が、仕切り部材7の開口9に近接する。また、基板2のコネクタ片18は、中央切欠き17に配される。
【0060】
基板2と共に、仕切り部材7を外郭体4に係合させる。
その結果、外郭体4と仕切り部材7の間に、丸孔29(図1(b)、図4)、丸孔31(図1(a))が形成され、丸孔29、31(側方側開口)に信号ケーブル35、36が挿通された状態になる。また、図1(b)に示すように、矩形孔30に入出力ポート19が挿通された状態になる。
【0061】
信号ケーブル35、36の直径は、丸孔29、31の内径と一致しており、丸孔29、31からモータ用制御装置1内に外部の光やホコリが入り込むことはない。また、入出力ポート19は、矩形孔30にちょうど配置される大きさ及び形状を有しており、矩形孔30からモータ用制御装置1内に外部の光やホコリが入り込むことはない。
【0062】
図5(b)に示すように、基板2のコネクタ片18が、外郭体4の正面側開口16に臨んでいる。コネクタ片18は、基板2の設定値を設定する、又は変更するメンテナンス用のポートであり、必要に応じて図示しない信号ケーブルが接続される。コネクタ片18に図示しない信号ケーブルが接続されると、正面側開口16が塞がれる。また、コネクタ片18に信号ケーブルが接続されない場合には、正面側開口16を塞ぐ蓋(図示せず)が使用される。よって、外部から光やホコリが、正面側開口16を介してモータ用制御装置1内に入り込むことはない。
【0063】
仕切り部材7及び基板2が係合した外郭体4に、放熱板20が係合し、図1(a)、図1(b)に示すように一体化する。外郭体4と放熱板20の間にも隙間はなく、モータ用制御装置1内に外部の光が入り込むことはない。
【0064】
入出力ポート19から基板2に制御信号や電力が供給され、また、信号ケーブル35、36等を介して図示しないモータに対する制御信号が送受信される。その際、発光部3が点灯し、光を発する。発光部3が発した光は、仕切り部材7の開口9(遮光壁10)、外郭体4の薄肉部5を介してモータ用制御装置1の外部から確認することができる。その際、モータ用制御装置1内には、外部の光が入り込まず、モータ用制御装置1の内部は暗い環境が作られている。そのため、薄肉部5から発光部3が発した光を良好に確認することができる。
【0065】
モータ用制御装置1は、薄肉部5以外に光を透過する部位がなく、全体としてダーク色を呈しており、発光部3が発光(点灯、又は点滅)すると、薄肉部5の部位のみが部分的に明るくなり、落ち着いた高級感を醸し出す。
【0066】
また、ホコリの侵入も阻止することができる。すなわち、基板2は、通電されていてホコリを引き寄せ易いが、モータ用制御装置1の各部材の継目が遮蔽されているので、モータ用制御装置1の内部にホコリが侵入しにくい。引いては、ホコリに起因する故障が生じにくい。
【符号の説明】
【0067】
1 モータ用制御装置
2 基板
3 発光部
4 外郭体
4a 外郭体側側壁
5 薄肉部
6 正面壁
7 仕切り部材
7a 仕切り部材側側壁
8 内側対向壁
9 開口
10 遮光壁
11 凹部
12a、12b 外郭体側の半割状の切欠き
13a、13b 仕切り部材側の半割状の切欠き
15a、15b 仕切り部材の溝部
16 正面側開口
17 仕切部材の中央切欠き
18 基板のコネクタ片
20 放熱板
29 丸孔(側方側開口)
30 矩形孔(側方側開口)
31 丸孔(側方側開口)
図1
図2
図3
図4
図5