(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】シート折装置
(51)【国際特許分類】
B65H 45/16 20060101AFI20241007BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B65H45/16
B65H37/06
(21)【出願番号】P 2020077136
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】中村 良之
(72)【発明者】
【氏名】干潟 誠司
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-056674(JP,A)
【文献】特開2010-168175(JP,A)
【文献】特開2008-024474(JP,A)
【文献】特開2015-016975(JP,A)
【文献】特開2002-348032(JP,A)
【文献】特開2012-224451(JP,A)
【文献】特開2012-126553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/00-45/30
B65H 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送方向下流側に設けられた第1折ローラと、
前記第1折ローラに隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第1折ローラとの間に挿入されることで前記シートを前記第1折ローラと共に折畳む第2折ローラと、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラの回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部によって、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラを正転及び逆転させて、前記シートに2回以上の折処理を行
い、
前記第2折ローラの搬送方向下流側には、第3折ローラが隣接して配置され、
前記シートにおける折目を形成する部位が前記第2折ローラと前記第3折ローラとの間に挿入されることで、前記第2折ローラ及び前記第3折ローラによって前記シートを折畳み、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラによって前記シートの長さ方向両端部を長さ方向中央側へ折畳むと共に、前記第2折ローラ及び前記第3折ローラによって前記シートの長さ方向中央部を折畳むことを特徴とするシート折装置。
【請求項2】
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送方向下流側に設けられた第1折ローラと、
前記第1折ローラに隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第1折ローラとの間に挿入されることで前記シートを前記第1折ローラと共に折畳む第2折ローラと、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラの回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部によって、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラを正転及び逆転させて、前記シートに3回の折処理を行うもので、
1回目及び2回目の折処理によって前記シートの長さ方向両端部を長さ方向中央側へ折畳むと共に、
3回目の折処理によって前記シートの長さ方向中央部を折畳むことを特徴とするシート折装置。
【請求項3】
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラのニップ部に前記シートを押込む押込部材を備え、
前記押込部材は、ガイド部材を有しており、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラによって折畳まれた状態の前記シートが搬送方向上流側へ搬送されるときに、前記ガイド部材によって折畳状態の前記シートを前記第1折ローラ側へガイドすることを特徴とする請求項1~請求項
2の何れか1項に記載のシート折装置。
【請求項4】
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送方向下流側に設けられた第1折ローラと、
前記第1折ローラに隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第1折ローラとの間に挿入されることで前記シートを前記第1折ローラと共に折畳む第2折ローラと、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラの回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部によって、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラを正転及び逆転させて、前記シートに2回以上の折処理を行い、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラのニップ部に前記シートを押込む押込部材を備え、
前記押込部材は、ガイド部材を有しており、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラによって折畳まれた状態の前記シートが搬送方向上流側へ搬送されるときに、前記ガイド部材によって折畳状態の前記シートを前記第1折ローラ側へガイドすることを特徴とするシート折装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記第1折ローラの周方向に延在されたガイド面を有していることを特徴とする請求項
3~請求項4
の何れか1項に記載のシート折装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート折装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙折装置(シート折装置)では、用紙(シート)における折目を形成する部位を、一対の折ローラの間に挿入させ、一対の折ローラによって用紙を搬送することで、用紙に折目を形成すると共に、用紙を折畳んでいる。例えば、下記特許文献1に記載の紙折装置は、3個の折ローラを備えており、3個の折ローラによって2箇所のニップ部を形成するように構成されている。これにより、用紙における折目を形成する部位を2箇所のニップ部に通過させることで、2回の折処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記紙折装置では、折ローラによるニップ部の形成箇所の個数と、折処理の回数と、が一致していた。すなわち、折ローラの個数に応じて、折処理の回数が制限されるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、折ローラの個数に寄らずに、折処理の回数を増加することができるシート折装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向下流側に設けられた第1折ローラと、前記第1折ローラに隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第1折ローラとの間に挿入されることで前記シートを前記第1折ローラと共に折畳む第2折ローラと、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部によって、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラを正転及び逆転させて、前記シートに2回以上の折処理を行い、前記第2折ローラの搬送方向下流側には、第3折ローラが隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第2折ローラと前記第3折ローラとの間に挿入されることで、前記第2折ローラ及び前記第3折ローラによって前記シートを折畳み、
前記第1折ローラ及び前記第2折ローラによって前記シートの長さ方向両端部を長さ方向中央側へ折畳むと共に、前記第2折ローラ及び前記第3折ローラによって前記シートの長さ方向中央部を折畳むことを特徴とするシート折装置である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向下流側に設けられた第1折ローラと、前記第1折ローラに隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第1折ローラとの間に挿入されることで前記シートを前記第1折ローラと共に折畳む第2折ローラと、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部によって、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラを正転及び逆転させて、前記シートに3回の折処理を行うもので、1回目及び2回目の折処理によって前記シートの長さ方向両端部を長さ方向中央側へ折畳むと共に、3回目の折処理によって前記シートの長さ方向中央部を折畳むことを特徴とするシート折装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向下流側に設けられた第1折ローラと、前記第1折ローラに隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第1折ローラとの間に挿入されることで前記シートを前記第1折ローラと共に折畳む第2折ローラと、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部によって、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラを正転及び逆転させて、前記シートに2回以上の折処理を行い、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラのニップ部に前記シートを押込む押込部材を備え、前記押込部材は、ガイド部材を有しており、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラによって折畳まれた状態の前記シートが搬送方向上流側へ搬送されるときに、前記ガイド部材によって折畳状態の前記シートを前記第1折ローラ側へガイドすることを特徴とするシート折装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、折ローラの個数に寄らずに、折処理の回数を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態に係る紙折装置を示す側断面図である。
【
図2】
図1に示される紙折装置における折処理部を拡大して示す側断面図である。
【
図3】(A)は、両観音折りの折り形態を説明するための折畳後の用紙を示す斜視図であり、(B)は、観音折りの折り形態を説明するための折畳後の用紙を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示される紙折装置において両観音折りの折処理を説明するための説明図である。
【
図5】変形例の紙折装置における折処理部を拡大して示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る「シート折装置」としての紙折装置10について説明する。紙折装置10は、「シート」としての用紙90に折目を形成して用紙90を折畳む装置として構成されている。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印LHは、紙折装置10の上側、左側を示している。そして、以下の説明において、上下、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、紙折装置10の上下方向、左右方向を示すものとする。また、紙折装置10の上下方向及び左右方向に直交する方向(
図1の紙面に直交する方向)を手前奥方向とし、
図1の紙面手前側を手前方向とし、
図1の紙面奥側を奥方向とする。
【0014】
図1に示されるように、紙折装置10は、用紙90を送り出す給紙部20と、給紙部20から送り出された用紙90に折処理を施す折処理部30と、給紙部20及び折処理部30を制御する制御部80と、を含んで構成されている。なお、
図1及び
図2では、便宜上、ハッチングを図示省略している。
【0015】
(給紙部20について)
給紙部20は、エアサクション式の給紙機構として構成されている。給紙部20は、給紙台21と、給送機構22と、を含んで構成されている。
【0016】
給紙台21は、用紙90を載置する台として構成されている。給紙台21は、紙折装置10のフレーム100に上下方向に移動可能に支持されると共に、昇降機構(図示省略)によって上下方向に昇降するように構成されている。
【0017】
給送機構22は、搬送ベルト23及びサクションダクト24を含んで構成されている。搬送ベルト23は、給紙台21の左側端部の上側に配置されている。サクションダクト24には、エア吸引用のファンが内蔵されており、ファンは、後述する制御部80によって駆動するようになっている。そして、ファンが回転することにより、サクションダクト24の下端部に設けられた吸引用開口部(図示省略)からエアが吸引されるようになっている。
【0018】
搬送ベルト23は、サクションダクト24の下端部に設けられている。具体的には、搬送ベルト23の用紙搬送面(下面)が、サクションダクト24の引用開口部の近傍に配置されている。また、搬送ベルト23は、後述する制御部80によって駆動するようになっている。これにより、搬送ベルト23を駆動しながら、ファンを回転させることで、搬送ベルト23の近傍においてサクションダクト24の吸引用開口部からエアが吸引されて、給紙台21に載置された用紙90のうち最上位の用紙90を搬送ベルト23の下面に吸着するようになっている。そして、搬送ベルト23によって、吸着した用紙90を左側へ搬送するようになっている。
【0019】
(折処理部30について)
図1及び
図2に示されるように、折処理部30は、給紙部20の左側に配置されている。折処理部30は、搬送部32と、第1折ローラ40と、第2折ローラ44と、第3折ローラ46と、第1押込み機構60と、第2押込み機構70と、を含んで構成されている。
【0020】
<搬送部32について>
搬送部32は、上下一対の搬送ローラ34を有している。搬送ローラ34は、紙折装置10の手前奥方向を軸方向として、回転可能に設けられている。搬送ローラ34は、不図示の搬送モータに連結されており、搬送モータは、後述する制御部80に電気的に接続されている。これにより、制御部80の制御によって搬送モータが駆動することで、搬送ローラ34が、正転(
図1及び
図2の矢印で示される方向の回転)又は逆転するように構成されている。そして、前述した給紙部20から送り出された用紙90が一対の搬送ローラ34に間に挿入されて、用紙90が左側又は右側に搬送されるようになっている。
【0021】
以下、「搬送方向」というときは、給紙部20から給紙された用紙90が一対の搬送ローラ34のニップ部、後述する第1折ローラ40と対向ローラ42とのニップ部、第1折ローラ40と第2折ローラ44とのニップ部、及び、第2折ローラ44と第3折ローラ46とのニップ部を通過して排紙部50に至るまでの搬送経路における給紙部20から排紙部50に向かう用紙90の移動方向(各ローラの正転によって搬送される用紙90の移動方向)を意味する。
【0022】
また、下側の搬送ローラ34の手前奥方向の側方には、用紙センサ36が設けられている。用紙センサ36は、一例として光センサによって構成されて一対の搬送ローラ34の間を通過する用紙90を検知するように構成されている。そして、用紙センサ36は、後述する制御部80に電気的に接続されており、制御部80に検知信号を出力するようになっている。
【0023】
<第1折ローラ40について>
第1折ローラ40は、紙折装置10の手前奥方向を軸方向として、回転可能に設けられると共に、上側の搬送ローラ34の左側(搬送方向下流側)に配置されている。第1折ローラ40は、搬送モータに連結されて、搬送モータの駆動によって正転(
図1及び
図2の矢印で示される方向の回転)又は逆転するように構成されている。第1折ローラ40の下側には、対向ローラ42が設けられている。対向ローラ42は、紙折装置10の手前奥方向を軸方向として回転可能に設けられると共に、第1折ローラ40の下側に隣接して配置されて第1折ローラ40に当接している。これにより、一対の搬送ローラ34から左側に搬送された用紙90を、第1折ローラ40及び対向ローラ42によって挟持し搬送するように構成されている。
【0024】
<第2折ローラ44について>
第2折ローラ44は、紙折装置10の手前奥方向を軸方向として、回転可能に設けられると共に、第1折ローラ40の左側に隣接して配置されて第1折ローラ40に当接している。第2折ローラ44は、搬送モータに連結されて、搬送モータの駆動によって、正転(
図1及び
図2の矢印で示される方向の回転)又は逆転するように構成されている。これにより、用紙90が第1折ローラ40と第2折ローラ44との間に挿入されることで、第1折ローラ40及び第2折ローラ44によって、用紙90が、上側又は下側へ搬送される構成になっている。
【0025】
<第3折ローラ46について>
第3折ローラ46は、紙折装置10の手前奥方向を軸方向として、回転可能に設けられると共に、第2折ローラ44の左斜め上方に隣接して配置されて第2折ローラ44に当接している。ここで、側面視における第2折ローラ44と第3折ローラ46との対向方向に対して直交する方向を傾斜方向(
図1及び
図2の矢印A及び矢印B方向)としており、傾斜方向は、側面視で左右方向に対して右側へ向かうに従い上側へ傾斜している。そして、第3折ローラ46が、搬送モータに連結されて、搬送モータの駆動によって、正転(
図1及び
図2の矢印で示される方向の回転)又は逆転するように構成されている。これにより、第2折ローラ44及び第3折ローラ46の正転時に、用紙90が第2折ローラ44と第3折ローラ46との間に挿入されることで、第2折ローラ44及び第3折ローラ46によって、用紙90が傾斜方向一方側(
図1及び
図2の矢印A方向側)に搬送される構成になっている。
【0026】
また、第2折ローラ44及び第3折ローラ46の傾斜方向一方側には、排紙部50が設けられている。排紙部50は、側面視で左右方向に延在されており、第2折ローラ44及び第3折ローラ46を通過した用紙90を受けるように構成されている。なお、排紙部50の左側に排紙トレイや排紙装置などを接続して、左右方向に比較的長い用紙90を排紙トレイや排紙装置などによって受ける構成としてもよい。
【0027】
ここで、紙折装置10では、装置右側に位置する給紙部20から用紙90の給紙を受け、紙折装置10の内部を通過する用紙90に対して折処理を施し、装置左側に位置する排紙部50に用紙90を排紙する。よって、以下の説明では、紙折装置10の右から左に向かう方向を「通紙方向」、装置右側を「通紙方向上流側」、装置左側を「通紙方向下流側」とも呼ぶ。
【0028】
<第1押込み機構60>
第1押込み機構60は、第1折ローラ40及び第2折ローラ44の下側に配置されている。第1押込み機構60は、第1駆動機構61と、「押込部材」としての第1折ナイフ64と、第1可動ローラ66と、を含んで構成されている。
【0029】
第1駆動機構61は、第1モータ62と、第1伝達機構63と、を含んで構成されている。第1モータ62は、制御部80に電気的に接続されると共に、第1伝達機構63に連結されている。第1伝達機構63は、複数のギヤ列によって構成されており、後述する第1折ナイフ64に第1モータ62の回転を伝達するようになっている。
【0030】
第1折ナイフ64は、側面視で上下方向に延在されており、第1伝達機構63の左側において上下方向にスライド可能に第1伝達機構63に連結されている。具体的には、第1折ナイフ64は、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部の下側に配置されている。これにより、制御部80によって第1モータ62が駆動することで、第1折ナイフ64が上下方向にスライドする構成になっている。具体的には、第1折ナイフ64が、押込手前位置(
図1及び
図2の実線にて示される位置)に対して下側にスライドした待機位置(図示省略)と、押込手前位置に対して上側にスライドした押込位置(
図1及び
図2の2点鎖線にて示される位置)と、の間を移動する構成になっている。そして、第1折ナイフ64の押込手前位置では、第1折ナイフ64の上端部(先端部)が、第1折ローラ40及び対向ローラ42によって通紙方向下流側(左側)へ搬送された用紙90の下側に近接して配置される設定になっている。
【0031】
第1折ナイフ64の先端部(上端部)には、ガイド部材65が設けられており、ガイド部材65は、第1折ナイフ64の先端部の通紙方向上流側(右側)に配置されている。ガイド部材65は、ガイド面65Aを有しており、ガイド面65Aは、側面視で右斜め上方(通紙方向上流側の斜め上方)へ開放された円弧状に湾曲されている。そして、第1折ナイフ64の押込位置では、ガイド面65Aが、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部の下側で且つ第1折ローラ40の径方向外側に近接して配置されると共に、第1折ローラ40の周方向に延在されている。
【0032】
第1可動ローラ66は、手前奥方向を軸方向として第1ローラホルダ67に回転可能に支持されると共に、第2折ローラ44の下側に配置されている。第1ローラホルダ67は、第1折ナイフ64の通紙方向下流側(左側)において上下方向にスライド可能に第1折ナイフ64に連結されている。また、第1ローラホルダ67は、第1折ナイフ64に設けられた第1ダンパ68に連結されており、第1ダンパ68が、第1ローラホルダ67を上側へ付勢している。さらに、第1折ナイフ64には、第1ローラホルダ67と当接して第1ローラホルダ67の上側への移動を制限するストッパ(図示省略)が設けられている。これにより、第1ダンパ68の付勢力によって、第1ローラホルダ67がストッパに当接して、第1ローラホルダ67及び第1可動ローラ66が、第1折ナイフ64と上下方向に一体にスライドする構成になっている。
【0033】
そして、第1折ナイフ64の待機位置では、第1可動ローラ66が第2折ローラ44の下側に離間して配置されており、第1折ナイフ64の押込手前位置では、第1可動ローラ66が第2折ローラ44に当接する設定になっている。これにより、第1折ナイフ64の待機位置と押込手前位置との間では、第1可動ローラ66と第1折ナイフ64とが一体に上下方向に移動する構成になっている。
【0034】
一方、第1折ナイフ64が押込手前位置から押込位置へ移動するときには、第1可動ローラ66は第2折ローラ44に当接しているため、第1可動ローラ66の上側への移動が第2折ローラ44によって制限されている。このため、第1折ナイフ64のストッパと第1ローラホルダ67との当接状態が解除されて、第1折ナイフ64のみが上側へ移動する。すなわち、第1折ナイフ64が、第1可動ローラ66に対して上側へ相対移動する構成になっている。これにより、第1折ナイフ64の押込位置では、第1ダンパ68の付勢力によって第1可動ローラ66が第2折ローラ44を圧接する構成になっている。
【0035】
また、第2折ローラ44の通紙方向下流側(左側)には、第1折ガイド52が設けられている。第1折ガイド52は、通紙方向(左右方向)に延在されており、第2折ローラ44の下側を通過する用紙90を受けるようになっている。
【0036】
<第2押込み機構70>
第2押込み機構70は、第2折ローラ44及び第3折ローラ46の傾斜方向他方側(
図1及び
図2の矢印B方向側)に配置されている。また、第2押込み機構70は、第1押込み機構60と同様に構成されている。すなわち、第2押込み機構70は、第2駆動機構71と、第2折ナイフ74と、第2可動ローラ76と、を含んで構成されている。
【0037】
第2駆動機構71は、第2モータ72と、第2伝達機構73と、を含んで構成されている。第2モータ72は、制御部80に電気的に接続されると共に、第2伝達機構73に連結されている。第2伝達機構73は、ギヤ列によって構成されており、後述する第2折ナイフ74に第2モータ72の回転を伝達するようになっている。
【0038】
第2折ナイフ74は、側面視で傾斜方向に沿って延在されており、第2伝達機構73の上側において傾斜方向にスライド可能に第2伝達機構73に連結されている。具体的には、第2折ナイフ74は、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部の傾斜方向他方側に配置されている。これにより、制御部80によって第2モータ72が駆動することで、第2折ナイフ74が傾斜方向にスライドする構成になっている。具体的には、第2折ナイフ74が、押込手前位置(
図1及び
図2の実線にて示される位置)に対して傾斜方向他方側に配置された待機位置(図示省略)と、押込手前位置に対して傾斜方向一方側に配置された押込位置(
図1及び
図2の2点鎖線にて示される位置)と、の間を移動する構成になっている。そして、第2折ナイフ74の押込手前位置では、第2折ナイフ74の一端部(先端部)が、第1折ローラ40と第2折ローラ44との間を通過し上側へ搬送された用紙90の傾斜方向他方側に近接して配置される設定になっている。
【0039】
第2折ナイフ74の先端部には、サポート部材75が設けられており、サポート部材75は、第2折ナイフ74の先端部の上側に配置されている。サポート部材75は、サポート面75Aを有しており、サポート面75Aは、側面視で略通紙方向下流側(左側)へ開放された円弧状に湾曲されている。そして、第2折ナイフ74の押込位置では、サポート面75Aが、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部の傾斜方向他方側で且つ第3折ローラ46の径方向外側に近接して配置されて、第3折ローラ46の周方向に延在されている。
【0040】
第2可動ローラ76は、手前奥方向を軸方向として第2ローラホルダ77に回転可能に支持されると共に、第3折ローラ46の傾斜方向他方側に配置されている。第2ローラホルダ77は、第2折ナイフ74の上側において、傾斜方向にスライド可能に第2折ナイフ74に連結されている。また、第2ローラホルダ77は、第2折ナイフ74に設けられた第2ダンパ78に連結されており、第2ダンパ78は、第2ローラホルダ77を傾斜方向一方側へ付勢している。さらに、第2折ナイフ74には、第2ローラホルダ77と当接して第2ローラホルダ77の傾斜方向一方側への移動を制限するストッパ(サポート部材75の傾斜方向他方側の壁面)が設けられている。これにより、第2ダンパ78の付勢力によって、第2ローラホルダ77がストッパに当接して、第2ローラホルダ77及び第2可動ローラ76が、第2折ナイフ74と傾斜方向に一体にスライドする構成になっている。
【0041】
そして、第2折ナイフ74の待機位置では、第2可動ローラ76が第3折ローラ46の傾斜方向他方側に離間して配置されており、第2折ナイフ74の押込手前位置では、第2可動ローラ76が第2折ローラ44に当接する設定になっている。これにより、第2折ナイフ74の待機位置と押込手前位置との間では、第2可動ローラ76と第2折ナイフ74とが一体に傾斜方向に移動する構成になっている。
【0042】
一方、第2折ナイフ74が押込手前位置から押込位置へ移動するときには、第2可動ローラ76は第3折ローラ46に当接しているため、第2可動ローラ76の傾斜方向一方側への移動が第3折ローラ46によって制限されている。このため、第2折ナイフ74のストッパと第2ローラホルダ77との当接状態が解除されて、第2折ナイフ74のみが傾斜方向一方側へ移動する。すなわち、第2折ナイフ74が第2可動ローラ76に対して傾斜方向一方側へ相対移動する構成になっている。これにより、第2折ナイフ74の押込位置では、第2ダンパ78の付勢力によって第2可動ローラ76が第3折ローラ46を圧接する構成になっている。
【0043】
また、第3折ローラ46の上側には、第2折ガイド54が設けられている。第2折ガイド54は、左斜め上方(通紙方向下流側の斜め上方)に延在されており、第3折ローラ46の傾斜方向他方側を通過する用紙90を受けるようになっている。
【0044】
(制御部80について)
制御部80には、前述した第1モータ62、第2モータ72、及び搬送モータが電気的に接続されており、制御部80によって第1モータ62、第2モータ72、及び搬送モータが駆動制御されるように構成されている。また、制御部80には、用紙センサ36が電気的に接続されている。さらに、制御部80は、用紙センサ36からの検知信号と、搬送モータの回転量とに基づいて、用紙センサ36を通過した用紙90の搬送距離を算出するように構成されている。そして、制御部80は、算出した用紙90の搬送距離に基づいて、第1モータ62、第2モータ72、及び搬送モータを駆動制御する構成になっている。
【0045】
(作用効果)
次に、紙折装置10によって用紙90を両観音折りする手順を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。なお、両観音折りとは、
図3(A)に示されるように、用紙90の長さ方向(
図3(A)の矢印にて示される方向)の両端側部分に一対の第1の折目90A,90Bを形成して、用紙90の長さ方向両端部を長さ方向中央側へ折畳むと共に、用紙90の長さ方向中央部に第2の折目90Cを形成して、折畳まれた用紙90の長さ方向両端部を厚み方向に重ねるように折畳む折り形態をいう。
【0046】
紙折装置10の非作動状態では、第1折ナイフ64及び第2折ナイフ74が待機位置に配置されている。すなわち、第1折ナイフ64が、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部の下側に配置されており、第1可動ローラ66が第2折ローラ44の下側に離間して配置されている。また、第2折ナイフ74が、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部の傾斜方向他方側に配置されており、第2可動ローラ76が第3折ローラ46の傾斜方向他方側に離間して配置されている。
【0047】
そして、用紙90の長さ方向を紙折装置10の通紙方向にして、用紙90を給紙部20の給紙台21にセットする。この状態で紙折装置10を作動させると、給紙部20から折処理部30の一対の搬送ローラ34の間に用紙90が送り出される。
ここで、紙折装置10内を搬送される用紙90は折処理の制御によって移動方向が変化する。このため、以下の説明では、用紙90の長さ方向の両端部における給紙部20から送り出される際に先端となっていた端部を「送出方向先端」と呼び、送り出される際に後端となっていた端部を「送出方向後端」と呼ぶ。
また、紙折装置10の作動時には、制御部80によって搬送モータが正転駆動して、搬送ローラ34、第1折ローラ40、第2折ローラ44、及び第3折ローラ46が正転する。これにより、用紙90が、一対の搬送ローラ34によって通紙方向下流側(左側)に搬送されると共に、第1折ローラ40及び対向ローラ42によって通紙方向下流側(左側)に搬送される(
図4の(a)参照)。そして、用紙90が、第2折ローラ44の下側を通過して、第1折ガイド52に搬送される。
【0048】
用紙90の第1折ガイド52への搬送後には、制御部80は、用紙90の搬送距離に基づいて、搬送モータの駆動を停止させる。具体的には、用紙90の送出方向先端から用紙90の長さ方向の1/4離間した部位(第1の折目90Aに対応する部位)が、第1折ナイフ64の真上に配置されているように、搬送モータを停止させる。
【0049】
搬送モータの停止後、制御部80は、第1モータ62を駆動させて第1折ナイフ64を待機位置から押込位置にスライドさせる。これにより、第1折ナイフ64が押込手前位置に到達した時点で、第1可動ローラ66が用紙90を介して第2折ローラ44に当接すると共に、第1折ナイフ64が、用紙90の下側に近接して配置される。さらに、第1折ナイフ64が押込手前位置に到達した時点で、制御部80が、搬送モータの正転駆動を再開させて、搬送ローラ34、第1折ローラ40、第2折ローラ44、及び第3折ローラ46、を正転させる。
【0050】
これにより、用紙90の第1可動ローラ66及び第2折ローラ44によって挟持された部分(用紙90の送出方向先端側の部分)が、通紙方向上流側(右側)に搬送され、用紙90の第1折ローラ40及び対向ローラ42によって挟持された部分(用紙90の送出方向後端側の部分)が、通紙方向下流側(左側)に搬送される。このため、用紙90が、第1の折目90Aに対応する部位を起点に撓み変形する。また、このときには、第1折ナイフ64は、押込手前位置から上側へスライドしている。このため、第1折ナイフ64によって、用紙90が第1の折目90Aに対応する部位を起点に上側へ撓み変形する(
図4の(b)参照)。
【0051】
そして、第1折ナイフ64の押込位置への到達時には、第1折ナイフ64の先端部が、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部の下側に近接して配置される。これにより、用紙90の第1の折目90Aに対応する部位が、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に押し込まれる。その結果、用紙90に第1の折目90Aが形成され、用紙90が第1の折目90Aを起点に折畳まれると共に、上側へ搬送される(
図4の(c)参照)。また、用紙90の折畳み後では、第1折ナイフ64が押込位置に維持されている。なお、第1折ナイフ64の押込位置への到達後において、制御部80によって第1折ナイフ64を下側へスライドさせて待機位置に配置させてもよい。
【0052】
用紙90の第1の折目90Aでの折畳み後、制御部80は、搬送モータを逆転駆動させて、搬送ローラ34、第1折ローラ40、第2折ローラ44、及び第3折ローラ46を逆転させる。これにより、第1の折目90Aで折畳まれた状態の用紙90が、第1折ローラ40及び第2折ローラ44の間から下側(搬送方向上流側)へ搬送される。また、このときには、用紙90の第1折ローラ40及び対向ローラ42によって挟持され且つ一対の搬送ローラ34によって挟持された部分(用紙90の送出方向後端側の部分)が、通紙方向上流側(右側)へ搬送される(
図4の(d)参照)。また、このときには、ガイド部材65のガイド面65Aが、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部の下側で且つ第1折ローラ40の径方向外側に配置されると共に、第1折ローラ40の周方向に延在している。このため、第1の折目90Aを起点に折畳まれた用紙90が、ガイド面65Aによってガイドされて、ガイド面65Aと第1折ローラ40との間を通過して、第1折ナイフ64に対して通紙方向上流側(右側、搬送方向上流側)へ搬送される(
図4の(e)参照)。
【0053】
第1の折目90Aで折畳まれた用紙90の通紙方向上流側(右側、搬送方向上流側)への搬送後、制御部80によって搬送モータの逆転駆動を停止させる(
図4の(f)参照)。搬送モータの停止後、制御部80によって第1モータ62を駆動させて、第1折ナイフ64を押込位置から待機位置へスライドさせる。これにより、第1可動ローラ66が、第2折ローラ44から下側へ離間する。
【0054】
第1折ナイフ64の待機位置へのスライド後、制御部80によって、搬送モータを正転駆動させて、搬送ローラ34、第1折ローラ40、第2折ローラ44、及び第3折ローラ46を正転させる。これにより、用紙90は、第1の折目90Aが移動方向先端となった状態で、一対の搬送ローラ34によって通紙方向下流側(左側)へ搬送されると共に、第1折ローラ40及び対向ローラ42によって通紙方向下流側(左側)へ搬送される。これにより、用紙90が、第2折ローラ44の下側を通過して、第1折ガイド52に搬送される。
【0055】
そして、制御部80は、搬送モータの回転量に基づいて、搬送モータの正転駆動を停止させる。具体的には、用紙90の送出方向後端から用紙90の長さ方向の1/4離間した部位(第1の折目90Bに対応する部位)が、第1折ナイフ64の真上に配置されているように、搬送モータを停止させる(
図4の(g)参照)。
【0056】
そして、上述と同様に、搬送モータの停止後、制御部80によって第1折ナイフ64を待機位置から押込位置にスライドさせる。また、第1折ナイフ64の押込手前位置への到達時点で、制御部80によって搬送モータの正転駆動を再開させて、搬送ローラ34、第1折ローラ40、第2折ローラ44、及び第3折ローラ46を正転させる。これにより、用紙90が、第1の折目90Bに対応する部位を起点に上側へ撓み変形すると共に、第1折ナイフ64の先端部によって上側へ押し込まれる(
図4の(h)参照)。
【0057】
そして、第1折ナイフ64の押込位置では、用紙90の第1の折目90Bに対応する部位が、第1折ナイフ64によって、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に押し込まれる。これにより、第1折ローラ40及び第2折ローラ44によって、用紙90に第1の折目90Bが形成され、用紙90は、第1の折目90Bの部位で折畳まれると共に、第1の折目90Bが移動方向先端となった状態で上側へ搬送される(
図4の(i)参照)。つまり、2箇所の第1の折目90A,90Bの部位で折畳まれた状態の用紙90が、第1折ローラ40と第2折ローラ44との間から上側へ搬送される。
【0058】
第1の折目90A,90Bの部位で折畳まれた状態の用紙90は、第2折ナイフ74の傾斜方向一方側及び第3折ローラ46の傾斜方向他方側に配置されると共に、第2折ガイド54に搬送される。そして、制御部80によって搬送モータの正転駆動を停止させる。具体的には、用紙90の長さ方向中央部(第2の折目90Cに対応する部位)が、第2折ナイフ74の傾斜方向一方側に配置されているように、搬送モータを停止させる。
【0059】
搬送モータの停止後、制御部80は、第2モータ72を駆動させて第2折ナイフ74を待機位置から押込位置にスライドさせる。これにより、第2折ナイフ74が押込手前位置に到達した時点で、第2可動ローラ76が用紙90を介して第3折ローラ46に当接すると共に、第2折ナイフ74が、用紙90の傾斜方向他方側に近接して配置される。また、第2折ナイフ74が押込手前位置に到達した時点で、制御部80は、搬送モータの正転駆動を再開させて、搬送ローラ34、第1折ローラ40、第2折ローラ44、及び第3折ローラ46を正転させる。
【0060】
これにより、用紙90の第3折ローラ46及び第2可動ローラ76によって挟持された部分(用紙90の送出方向先端側の部分)が、下側に搬送され、用紙90の第1折ローラ40及び第2折ローラ44によって挟持された部分(用紙90の送出方向後端側の部分)が、上側に搬送される。これにより、用紙90が、第2の折目90Cに対応する部位を起点に撓み変形する。また、このときには、第2折ナイフ74は、押込手前位置から傾斜方向一方側へスライドしている。このため、第2折ナイフ74によって、用紙90が第2の折目90Cに対応する部位を起点に傾斜方向一方側へ撓み変形する。
【0061】
そして、第2折ナイフ74の押込位置への到達時には、第2折ナイフ74の先端部が、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部の傾斜方向他方側に近接して配置される。これにより、用紙90の第2の折目90Cに対応する部位が、第2折ナイフ74によって、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部に押し込まれる。その結果、用紙90に第2の折目90Cが形成され、用紙90が第2の折目90Cの部位で折畳まれると共に、傾斜方向一方側へ搬送される(
図4の(j)参照)。そして、第2折ローラ44及び第3折ローラ46の間を通過した用紙90が、排紙部50に搬送される。以上により、用紙90に対して3回の折処理が行われて、用紙90に両観音折りが施される。
【0062】
なお、上記の説明では、用紙90に3回の折処理を行って、両観音折りを行う例を説明したが、用紙90に対して1回又は2回の折処理を行うこともできる。以下、1回及び2回の折処理について説明する。
【0063】
<1回の折処理について>
用紙90に1回の折処理を行う場合には、制御部80によって第1モータ62を駆動させて、第1折ナイフ64を押込位置にスライドさせる。この状態で、制御部80によって搬送モータを正転駆動させる。これにより、一対の搬送ローラ34のニップ部と、第1折ローラ40及び対向ローラ42のニップ部と、を通過し通紙方向下流側(左側)へ搬送された用紙90が、第1折ナイフ64のガイド部材65によってガイドされて、上側へ向かう経路に変更される。このため、用紙90が、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部を通過して、第2折ガイド54側へ搬送する。すなわち、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部では、用紙90に対して折処理を行わない。
【0064】
用紙90の第2折ガイド54側への搬送後は、上記の両観音折りにおける3回目の折処理と同様の折処理を行う。すなわち、第2折ナイフ74を作動させ、第2折ナイフ74の作動後に搬送モータを正転駆動させる。これにより、用紙90が撓み変形すると共に、第2折ナイフ74によって、用紙90の撓み部が、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部に押し込まれる。これにより、用紙90に折目が形成されると共に、用紙90が折畳まれる。以上により、用紙90に1回の折処理が施され、2つ折りを行うことができる。
【0065】
<2回の折処理について>
用紙90に2回の折処理を行う場合には、上記の両観音折りの2回目の折処理を省略することで実現することができる。すなわち、1回目の折処理後に、制御部80によって搬送モータを逆転駆動させずに、用紙90を第2折ガイド54側へ搬送する。そして、用紙90の第2折ガイド54側への搬送後は、上述のように、両観音折りにおける3回目の折処理と同様に、用紙90に対して折処理を行う。これにより、用紙90に2箇所の折目が形成されると共に、用紙90が折畳まれる。そして、2回の折処理では、用紙90における1回目の折り目及び2回目の折り目に対応する部位を異ならせることで、4つ折り、片袖折り、内3つ折り、外3つ折り及び観音折りなどを行うことができる。
【0066】
なお、2回の折処理における用紙90の第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部の通過後、2回目の折処理前の搬送モータの停止前までは、用紙90における1回目の折目の形成部位が用紙90の移動方向先端となる。このため、例えば、
図3(B)に示されるような観音折りを用紙90に施す場合には、用紙90の送出方向後端側に1回目の折目を形成する。そして、用紙90の折畳まれた部分(折畳み部)を第2折ナイフ74の傾斜方向一方側において通過させた後に、用紙90の搬送を停止する。このため、2回目の折目を形成するときには、サポート部材75のサポート面75Aが、用紙90における1回目の折畳み部を支えて、当該折畳み部が開かないようになっている。これにより、用紙90における1回目の折畳み部を第3折ローラ46の外周部に沿わせて、用紙90の撓み部分を第2折ローラ44と第3折ローラ46との間に押し込むことができる。したがって、サポート部材75のサポート面75Aによって2回目の折処理を良好に行うことができると共に、紙折装置10内における用紙90の詰まりを防止することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の紙折装置10によれば、用紙90の折目に対応する部位を、正転状態の第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に挿入させることで、用紙90に折目を形成して折畳むことができる。さらに、制御部80によって第1折ローラ40及び第2折ローラ44を逆転させることで、折畳み後の用紙90を第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に対して搬送ローラ34側(搬送方向上流側)へ戻すことができる。これにより、折目位置を変更した用紙90を、正転状態の第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に再度挿入させることで、用紙90に他の折目を形成して折畳むことができる。すなわち、第1折ローラ40及び第2折ローラ44の正転及び逆転を繰り返し、用紙90の折目位置を変更することで、用紙90に2回以上の折処理を行うことができる。したがって、本実施の形態の紙折装置10によれば、折ローラの個数によらずに、用紙90に対する折処理の回数を増加することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、第2折ローラ44の搬送方向下流側に第3折ローラ46が隣接して設けられている。そして、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に、用紙90を2回通過させ、用紙90に第1の折目90A,90Bを形成することで、用紙90の長さ方向両端側を長さ方向中央側へ折畳むことができる。また、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部に、用紙90を通過させ、用紙90に第2の折目90Cを形成することで、用紙90の長さ方向中央部を折畳むことができる。したがって、紙折装置10の1回の通紙動作で、3回の折処理を行い、用紙90に両観音折りを施すことができる。
【0069】
また、紙折装置10は、上下方向にスライド可能に構成された第1折ナイフ64を有している。そして、第1折ナイフ64の押込位置では、撓み変形した用紙90の撓み部が、第1折ナイフ64によって、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に押し込まれる。これにより、第1折ローラ40及び第2折ローラ44によって用紙90を良好に折畳むことができる。また、用紙90が厚紙の場合でも、用紙90において所望の位置に折り目を形成することができる。すなわち、用紙90が厚紙の場合には、用紙90の第1可動ローラ66及び第2折ローラ44によって挟持された部分と、用紙90の第1折ローラ40及び対向ローラ42によって挟持された部分と、の搬送方向を互いに逆方向とするだけでは、用紙90に撓みが生じ難くなるときがある。このときには、用紙90において、折目を形成したい位置とは異なる位置で座屈が生じて、その位置で折目が形成される可能性がある。これに対して、本実施形態の紙折装置10では、第1折ナイフ64によって、用紙90における折目に対応する部位を第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部側へ押し込むことができる。したがって、用紙90が厚紙の場合でも、所望の位置に折り目を形成できる。
【0070】
また、第1折ナイフ64には、ガイド部材65が設けられており、ガイド部材65は、ガイド面65Aを有している。ガイド面65Aは、第1折ローラ40の周方向に沿った円弧状に形成されている。そして、第1折ナイフ64の押込位置では、ガイド面65Aが第1折ローラ40の径方向外側に近接して配置されている。これにより、第1折ローラ40及び第2折ローラ44によって用紙90を折畳んだ後、第1折ローラ40及び第2折ローラ44を逆転させて用紙90を搬送方向上流側に戻すときには、折畳まれた状態の用紙90が、ガイド面65Aによってガイドされて第1折ローラ40の径方向外側に配置されるようになる。このため、用紙90の折畳み部が捲れることを防止することができる。したがって、第1折ナイフ64及び第2折ナイフ74によって、用紙90に対して2回以上の折処理を良好に行うことができる。
【0071】
<変形例>
次に、
図5を用いて、本実施形態の紙折装置10に、捲れ防止の構成を追加した変形例について説明する。
図5は、変形例に係る紙折装置10の折処理部30の側断面図である。
この図に示すように、変形例の紙折装置10は、第2ガイド部材69、弾性シート56、エアノズル57及びエア供給装置(不図示)を備える点で実施形態の紙折装置10と異なり、他の点は上述した実施形態の紙折装置10と共通するため、共通点についての説明は省略する。
【0072】
エアノズル57は、第1折ナイフ64の通紙方向下流側(左側)に配置されている。エアノズル57は、エア供給装置に接続されており、エア供給装置から供給された空気を、
図5の一点鎖線の矢印にて示すように、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部近傍の第1折ローラ40の表面に向けて吐出する。エアノズル57は、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部で2回目の折処理を施すために、第1折ローラ40及び第2折ローラ44を逆転させたときに、用紙90における1回目の折処理で折り畳まれた部分が捲れることを防止する捲れ防止手段としての機能を有する。
【0073】
すなわち、上述した
図4(d)に示す状態から第1折ローラ40及び第2折ローラ44を逆転させ続けた際に、用紙90の折畳み部が捲れて、第1折ナイフ64の通紙方向下流側(左側)に向かってしまうと、1回目の折処理での折目が開いてしまう。
これに対して、変形例の紙折装置10では、第1折ローラ40及び第2折ローラ44を逆転させたときに、制御部80がエア供給装置を駆動し、エアノズル57から空気を吐出する。これにより、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部を搬送方向上流側に搬送される用紙90の折り畳まれた部分が、エアノズル57から吐出された空気によって、第1折ローラ40の表面に押し付けられる。したがって、用紙90の折り畳まれた部分が第1折ナイフ64の通紙方向下流側(左側)に向かうことを防止できると共に、用紙90の折り畳まれた部分が捲れることを防止できる。
【0074】
次に、弾性シート56について説明する。弾性シート56では、上部が第2折ガイド54の表面に張り付けられている。一方、弾性シート56の下部は第2折ガイド54の表面に張り付けられておらず、弾性シート56の下部の一部が屈曲され、その屈曲部が第2折ガイド54と対向する対向ガイド55に近接また接触するように配置されている。第2折ガイド54と対向ガイド55との間に用紙90が進入してくると、弾性シート56の屈曲部が用紙90を対向ガイド55に押し付ける状態となる。これにより、用紙90の折畳み部が第2折ガイド54と対向ガイド55との間に進入したときに、用紙90の折畳み部を用紙90における重なる部分に押し付けることができる。その結果、第2折ローラ44及び第3折ローラ46のニップ部で用紙90に折処理を施すときや第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に用紙90を再通紙するときに、用紙90の折畳み部が開くことを防止できる。
【0075】
特に、用紙90として折畳み部が開く不具合が生じ易い薄紙が第2折ガイド54と対向ガイド55との間に進入してきたときには、弾性シート56が薄紙の重なった部分を対向ガイド55に押し付けることで、用紙90の折畳み部が開くことを防止できる。また、用紙90として折畳み部が開く不具合が生じ難い厚紙が第2折ガイド54と対向ガイド55との間に進入してきたときには、弾性シート56が厚紙によって容易に押し退けられるため、用紙90の搬送を阻害することがない。
【0076】
なお、第2折ガイド54と対向ガイド55との間に進入した用紙90の折畳み部が開くことを防止する構成としては、弾性シート56を第2折ガイド54に設ける構成に限られない。例えば、用紙90の厚さに応じて第2折ガイド54と対向ガイド55との間の隙間の大きさを調節可能な構成を採用してもよい。この場合には、第2折ガイド54と対向ガイド55との少なくとも一方を他方に対して移動可能に構成し、用紙90の厚さが厚いほど、第2折ガイド54と対向ガイド55との間の隙間を大きくするように制御する。これにより、薄紙の折畳み部が開くことを防止するとともに、厚紙の搬送を阻害することも防止できる。また、用紙90の厚さは、使用者が操作部(不図示)から入力してもよいし、給紙部20や搬送経路に配置したセンサによって用紙90の厚みを取得してもよい。
【0077】
次に、第2ガイド部材69について説明する。変形例では、第1折ナイフ64の通紙方向下流側(左側)に第2ガイド部材69が設けられており、第2ガイド部材69は、第2ガイド面69Aを有している。第2ガイド面69Aは、第2折ローラ44の周方向に沿った円弧状に形成されており、第1折ナイフ64の押込位置では、第2ガイド面69Aが第2折ローラ44の径方向外側に近接して配置される状態となる。これにより、第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部によって、用紙90に2回目の折処理を行う際に、用紙90における第1の折目90Aよりも送出方向先端側の折畳み部が第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に進入する際(
図4(i)から
図4(j)に移行する際)に、当該折畳み部の先端(用紙90の送出方向先端)を第2ガイド面69Aによって第1折ローラ40及び第2折ローラ44のニップ部に向けて案内することができる。このため、用紙90の折畳み部が捲れることを防止することができる。
【0078】
なお、上述した本実施の形態及び変形例では、用紙90に対して、第1折ローラ40及び第2折ローラ44によって1回目及び2回目の処理を行い、第2折ローラ44及び第3折ローラ46によって3回目の折処理を行うことで、両観音折りを行っている。これに代えて、用紙90に対して、第1折ローラ40及び第2折ローラ44によって3回の折処理を行い、両観音折を施してもよい。すなわち、用紙90に第1の折目90A,90Bを形成するまでは、上記の両観音折りと同様の処理を行う。そして、2回目の折処理(第1の折目90Bの形成)後、制御部80によって第1折ローラ40及び第2折ローラ44を逆転させる。このとき、折り畳まれた用紙90を、第1折ナイフ64に対して通紙方向下流側(左側)へ搬送させる搬送ガイドを設ける。そして、第2の折目90Cが第1折ナイフ64の真上に配置されるように、用紙90を搬送する。この状態で、第1折ローラ40及び第2折ローラ44を正転させることで、用紙90に第2の折目90Cを形成することができる。
[態様1]
態様1のシート折装置は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向下流側に設けられた第1折ローラと、前記第1折ローラに隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第1折ローラとの間に挿入されることで前記シートを前記第1折ローラと共に折畳む第2折ローラと、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部によって、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラを正転及び逆転させて、前記シートに2回以上の折処理を行うことを特徴とするシート折装置である。
[態様2]
態様2のシート折装置は、前記第2折ローラの搬送方向下流側には、第3折ローラが隣接して配置され、前記シートにおける折目を形成する部位が前記第2折ローラと前記第3折ローラとの間に挿入されることで、前記第2折ローラ及び前記第3折ローラによって前記シートを折畳むことを特徴とする態様1に記載のシート折装置である。
[態様3]
態様3のシート折装置は、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラによって前記シートの長さ方向両端部を長さ方向中央側へ折畳むと共に、前記第2折ローラ及び前記第3折ローラによって前記シートの長さ方向中央部を折畳むことを特徴とする態様2に記載のシート折装置である。
[態様4]
態様4のシート折装置は、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラのニップ部に前記シートを押込む押込部材を備え、前記押込部材は、ガイド部材を有しており、前記第1折ローラ及び前記第2折ローラによって折畳まれた状態の前記シートが搬送方向上流側へ搬送されるときに、前記ガイド部材によって折畳状態の前記シートを前記第1折ローラ側へガイドすることを特徴とする態様1~態様3の何れかの態様に記載のシート折装置である。
[態様5]
態様5のシート折装置は、前記ガイド部材は、前記第1折ローラの周方向に延在されたガイド面を有していることを特徴とする態様4に記載のシート折装置である。
【符号の説明】
【0079】
10 紙折装置(シート折装置)
32 搬送部
40 第1折ローラ
44 第2折ローラ
46 第3折ローラ
64 第1折ナイフ(押込部材)
65 ガイド部材
65A ガイド面
80 制御部
90 用紙(シート)
90A 第1の折目(折目)
90B 第1の折目(折目)
90C 第2の折目(折目)