(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】散薬配分装置、散薬分包装置及び散薬収容容器
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310F
(21)【出願番号】P 2021004544
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-10-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】大村 司郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】関根 巧
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特許第6777832(JP,B1)
【文献】特開平10-291501(JP,A)
【文献】特開2000-211747(JP,A)
【文献】実開昭60-154324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に散薬が収容され、収容された散薬を少量ずつ放出する散薬収容容器を有する散薬供給装置と、
前記散薬供給装置から放出された散薬を受け取り、回転することにより外周近傍に散薬が均等に配分される配分円盤と、
前記配分円盤が載置されて前記配分円盤を回転駆動する回転駆動部と、
前記回転駆動部の下方に設けられ、前記散薬供給装置を除く、前記配分円盤及び前記回転駆動部の総重量を測定することにより、前記散薬供給装置から前記配分円盤に供給された散薬の重量を測定する秤量部と、を有し、
前記散薬収容容器は、
内部に散薬を収容する内部が円筒状の薬剤収容部本体と、
前記薬剤収容部本体の下部に設けられ、内部が下方へ向け径が縮小する逆円錐部と、前記逆円錐部の下方に形成された円筒部とを備えた散薬放出部と、
前記薬剤収容部本体から前記散薬放出部の前記円筒部に渡って延び、前記逆円錐部から前記円筒部に対応する部分の外周部に前記円筒部の内壁に近接したスクリューが形成され、回転することにより、前記逆円錐部内の散薬を前記スクリューの凹部に沿って下方に移送して前記円筒部の下端から放出するとともに、前記スクリューの最下部の凹部にのみ前記凹部から径方向に突出して形成され、前記スクリューの凹部によって移送される散薬をその先端部によってほぐす山部が形成された散薬供給軸と、
前記散薬供給軸から径方向に突出して形成された支持部の先端に前記逆円錐部の内面に近接して設けられ、前記散薬供給軸とともに回転することにより、前記逆円錐部の内壁面近傍の散薬を前記散薬供給軸側に移送する攪拌部材とを有し、
前記攪拌部材は、前記逆円錐部の内壁側に1つの側面が対向し、その側面と接しない辺側が前記支持部側に設けられるとともに、回転方向の先端の辺を挟む側面で形成される角度が鋭角に形成された三角柱で形成されている、
ことを特徴とする散薬配分装置。
【請求項2】
前記散薬供給軸の最下部の凹部に形成された山部の高さは、回転方向の先端部から徐々に高くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の散薬配分装置。
【請求項3】
前記散薬供給軸の最下部の凹部に形成された山部の幅は、回転方向の先端部から徐々に幅が大きくなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の散薬配分装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の散薬配分装置と、
前記配分円盤から1包分ずつ散薬を放出して包装する包装装置と、
を有することを特徴とする散薬分包装置。
【請求項5】
内部に散薬を収容する内部が円筒状の薬剤収容部本体と、
前記薬剤収容部本体の下部に設けられ、内部が下方へ向け径が縮小する逆円錐部と、前記逆円錐部の下方に形成された円筒部とを備えた散薬放出部と、
前記薬剤収容部本体から前記散薬放出部の前記円筒部に渡って延び、前記逆円錐部から前記円筒部に対応する部分の外周部に前記円筒部の内壁に近接したスクリューが形成され、回転することにより、前記逆円錐部内の散薬を前記スクリューの凹部に沿って下方に移送して前記円筒部の下端から放出するとともに、前記スクリューの最下部の凹部にのみ前記凹部から径方向に突出して形成され、前記スクリューの凹部によって移送される散薬をその先端によってほぐす山部が形成された散薬供給軸と、
前記散薬供給軸から径方向に突出して形成された支持部の先端に前記逆円錐部の内面に近接して設けられ、前記散薬供給軸とともに回転することにより、前記逆円錐部の内壁面近傍の散薬を前記散薬供給軸側に移送する攪拌部材とを有し、
前記攪拌部材は、前記逆円錐部の内壁側に1つの側面が対向し、その側面と接しない辺側が前記支持部側に設けられるとともに、回転方向の先端の辺を挟む側面で形成される角度が鋭角に形成された三角柱で形成されている、
ことを特徴とする散薬収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散薬を配分円盤に少量ずつ供給して配分する散薬配分装置、散薬を1包分ずつ供給して包装する散薬分包装置及び散薬を定量ずつ放出する散薬収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の散薬分包装置は、一処方分の散薬の重量を薬剤師が計量して、その計量した散薬をホッパに収容していた。そのホッパは底面が水平面からやや下方に傾斜した振動面を有し、振動面を振動させることによって内部の散薬が放出口を介して放出され、回転円盤の外周に設けられた凹溝に捲かれることによって、リング状の散薬の山を形成している。そして、リング状の散薬の山から1包分ずつ放出されて包装紙に収容されている。しかしながらこれでは、薬剤師がその都度散薬の重量を計量しなければならず、薬剤師の負担が大きいものであった。これを解消するために、散薬を収容した容器から作動装置を利用して散薬を配分円盤に放出し、配分円盤の重量を測定することにより放出した散薬の重量を計量するようにしたものがある(特許文献1)。
【0003】
また、散薬ではないが粉粒体を定量供給する技術として、逆円錐形状のホッパの底部に外周面にネジ溝を形成したスクリュー軸を回転自在に挿入し、スクリュー軸を回転させることによって粉粒体をホッパの下方から排出する技術が知られている(特許文献2)。
【0004】
一般の散薬の定量放出ホッパでは、計量目標値に対する一致度が求められるだけであるが、配分円盤秤量方式では、配分円盤に撒かれる途中の流量の一定性が求められる。この一定性が変動すると、配分円盤の円周360°の範囲で、堆積した散薬の質量の不均一が発生し、各包に収容される散薬の質量が異なったものとなるからである。計量目標値が大きい場合は、散薬放出完了までの配分円盤の回転回数が十分多くなることで、この質量不均一は円周方向に拡散される。しかしながら新生児や小児用の処方にあっては、その処方全量が0.5g等の小量になる場合があり、この0.5gの放出完了までの配分円盤の回転回数が減少して、配分円盤の円周360°方向での質量誤差が十分に拡散されない虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6777832号公報
【文献】特開2000-211747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の技術では、極少量の散薬を配分円盤に均等に供給することは考慮されておらず、少量の散薬を配分した場合は配分円盤上に捲かれた散薬は円周方向で不均一なものとなってしまう。
【0007】
また、特許文献2では、垂直なスクリューは、逆円錐形状の容器底部から、スクリュー外形にほぼ一致した円筒部に連通している。この場合、スクリュー上部は容器壁面に接しないが、スクリュー下部は円筒に接する。
【0008】
そうするとスクリュー上部にあっては、逆円錐形容器底部との間のくさび状部分に、粉粒体が圧縮されて残留しやすかったり、逆に底部で粉粒体をスクリューの凹部内に巻き込んで、凹部内の粉粒体層のカサ密度が不均一になったりする問題がある。一方で、スクリュー下部では、スクリューの凹部内の粉粒体が円筒内壁と接触して摩擦抵抗を受け、粉粒体層が不均一になるという問題がある。この双方の影響によってスクリュー下端から落下する粉粒体の質量不均一が発生するという問題がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、配分円盤上に配分される散薬の均一性が向上する散薬配分装置、散薬分包装置及び散薬収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の散薬配分装置は、内部に散薬が収容され、収容された散薬を少量ずつ放出する散薬収容容器を有する散薬供給装置と、前記散薬供給装置から放出された散薬を受け取り、回転することにより外周近傍に散薬が均等に配分される配分円盤と、前記配分円盤が載置されて前記配分円盤を回転駆動する回転駆動部と、 前記回転駆動部の下方に設けられ、前記散薬供給装置を除く、前記配分円盤及び前記回転駆動部の総重量を測定することにより、前記散薬供給装置から前記配分円盤に供給された散薬の重量を測定する秤量部と、を有し、前記散薬収容容器は、内部に散薬を収容する内部が円筒状の薬剤収容部本体と、前記薬剤収容部本体の下部に設けられ、内部が下方へ向け径が縮小する逆円錐部と、前記逆円錐部の下方に形成された円筒部とを備えた散薬放出部と、前記薬剤収容部本体から前記散薬放出部の前記円筒部に渡って延び、前記逆円錐部から前記円筒部に対応する部分の外周部に前記円筒部の内壁に近接したスクリューが形成され、回転することにより、前記逆円錐部内の散薬を前記スクリューの凹部に沿って下方に移送して前記円筒部の下端から放出するとともに、前記スクリューの最下部の凹部にのみ前記凹部から径方向に突出して形成され、前記スクリューの凹部によって移送される散薬をその先端によってほぐす山部が形成された散薬供給軸と、前記散薬供給軸から径方向に突出して形成された支持部の先端に前記逆円錐部の内面に近接して設けられ、前記散薬供給軸とともに回転することにより、前記逆円錐部の内壁面近傍の散薬を前記散薬供給軸側に移送する攪拌部材とを有し、前記攪拌部材は、前記逆円錐部の内壁側に1つの側面が対向し、その側面と接しない辺側が前記支持部側に設けられるとともに、回転方向の先端の辺を挟む側面で形成される角度が鋭角に形成された三角柱で形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の散薬分包装置の円盤配分部の斜視図。
【
図2】実施形態の散薬分包装置の円盤配分部の正面図。
【
図5】実施形態の薬剤収容容器の下部の一部示す斜視図。
【
図6】実施形態の散薬供給軸と円筒部とを示す模式図。
【
図7】実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と秤量部を示す斜視図。
【
図8】実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と秤量部を示す正面図。
【
図9】実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と回転駆動部の分解正面図。
【
図11】実施形態の散薬分包装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る散薬分包装置を、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は本実施形態の散薬分包装置の一部である円盤配分部の斜視図で、
図2は散薬分包装置の正面図である。
図1及び
図2において、円盤配分部は、秤量装置10とその上部に配置された回転駆動部30と、回転駆動部30の上部に設置された散薬の配分円盤20とから構成されている。秤量装置10は分包装置の筐体連結部16に固定されている。配分円盤20の上部には図示しない筐体に固定された散薬供給装置60が設けられている。この散薬供給装置60は、図示しない筐体に固定された支持部材61に着脱自在に固定された散薬収容容器62と、散薬収容容器62内の回転軸(散薬供給軸)を回転駆動するモータ63とを有する。
【0014】
50は配分円盤20から散薬を1包分ずつ掻き出す掻き出し部で、この掻き出し部50で掻き出された散薬は落下ホッパ51によって後述する包装装置に送られる。
【0015】
次に、散薬供給装置60について、
図3乃至
図6を用いて詳細に説明する。
図3(a)は散薬収容容器62の断面図で、シャッタ622を閉じた状態を示し、
図3(b)はシャッタ622を開いた状態を示している。散薬収容容器62は、上部に設けられた散薬を収容する内部が円筒状の薬剤収容部本体624と、この薬剤収容部本体624の下部に設けられ、内部が下方へ向けて径が縮小する逆円錐部626と、この逆円錐部626の下方に逆円錐部626と一体に形成された円筒部628とで構成されている。これらの逆円錐部626と円筒部628とで散薬放出部を構成している。
【0016】
また、薬剤収容部本体624の内部にはモータ63によって回転駆動される回転駆動軸630が設けられている。この回転駆動軸630の上部には図示を省略しているが、モータ63の回転軸によって回転させられるマグネット式非接触動力伝達機構が取付けられている。
【0017】
また、この回転駆動軸630の下部には回転駆動軸630と連結されて、一緒に回転する散薬供給軸632が設けられている。
図4(a)は、
図3のA-A線に沿って上方から見た断面図で、散薬供給軸632の上部は、逆円錐部626から延びた3つのガイド634に固定された軸受け636によって回転自在にガイドされている。さらに、
図5は散薬収容容器62を下方から見た斜視図で、散薬放出口639を塞ぐシャッタ622を開放した状態を示している。
図3及び
図5から判るように、散薬供給軸632の下部は、円筒部628の下部に設けられた軸受け638によって支承されている。
【0018】
640はシャッタ622の開閉機構で、シャッタ駆動部642がスプリング644によって上方に付勢されることによってシャッタ622は閉鎖される。また、シャッタ駆動レバー64が図示しないモータによって下方に駆動されることによってシャッタ駆動部642が下方に押圧され、シャッタ622が回動軸623を支点として回転し、シャッタ622が開放される。
【0019】
また、散薬供給軸632の外周には、逆円錐部626から円筒部628に対応する部分に渡って円筒部628の内壁に近接したスクリュー633が形成されている。スクリュー633の外周と円筒部628内壁との間隙は収容されている散薬が落下しない程度に近接していれば、一部は接触していてもよい。このように構成することで、散薬供給軸632が回転することによって、逆円錐部626内の散薬はスクリュー633の凹部に沿って下方に移送され、円筒部628の下部の散薬放出口639から放出される。
【0020】
図6は散薬供給軸632のスクリュー633と円筒部628との関係を模式的に示したものであり、
図6(a)は断面図を示し、
図6(b)は散薬供給軸632のスクリュー633を下方から見た図である。
図6(a)において、散薬供給軸632は上方から見て時計方向120に回転するようになっている。また、
図6(b)では、スクリュー633を下方から見た図であるので、その回転方向は反時計方向の回転である。
【0021】
散薬供給軸632のスクリュー633はリードがピッチLで形成されており、スクリュー633の凹部に散薬Pが収容され、散薬供給軸632が回転することによって散薬Pが下方に移送される。
【0022】
スクリュー633の回転のみによって散薬Pが移送されると、スクリュー633の下部ではスクリュー633の凹部の散薬Pが円筒部628の内壁との摩擦によって圧縮されて塊り(いわゆる「だま」)になる傾向にある。そのままスクリュー633が回転してスクリュー633の下部の散薬放出口639から散薬Pを放出すると、塊りになったまま散薬Pが落下することがある。このような塊のまま散薬Pを配分円盤20に放出すると、配分円盤20の円周上で不均一な散薬Pの配分となる。
【0023】
これを防止するために、本実施の形態では、スクリュー633の最下部の凹部650にのみ、凹部650のリードの1/2Lの位置に凹部から径方向に突出した山部652が形成されている。この山部652の高さは、
図6(b)から判るように回転方向の先端部から徐々に高くなるように形成されている。さらに、この山部652の幅(散薬供給軸632の軸方向の厚さ)は、
図6(a)から判るように回転方向の先端部から徐々に幅が大きくなるように形成されている。従って、散薬供給軸632の回転によって、山部652の先端によってスクリュー633の凹部に収容されている散薬Pの塊をほぐす効果を出すことができる。そのため、散薬Pが塊のまま放出されることが無く、配分円盤20に散薬を均等に撒くことができる。
【0024】
また、
図3に示すように散薬供給軸632には、散薬供給軸632から径方向に突出して形成された2つの支持部635が設けられている。そして、これらの支持部635の先端には逆円錐部626の内壁面近傍に沿って設けられた攪拌部材637が形成されている。この攪拌部材637は散薬供給軸632の回転に伴って一緒に回転し、逆円錐部626の内壁近傍の散薬Pを散薬供給軸632側に移送する機能を有している。
【0025】
すなわち、攪拌部材637の形状は
図4に示すように三角柱となっており、三角柱の1つの側面637aが逆円錐部626の内壁と対向し、その側面と接しない辺が支持部635に接続されている。さらに、攪拌部材637の回転方向先端の辺637bを挟む2つの側面で形成される角度θが鋭角に形成されている。
【0026】
散薬供給軸632のスクリュー633によって散薬Pを下方に移送すると、散薬供給軸632近傍の散薬Pのみが放出され、いわゆる「蟻地獄」のように逆円錐部626の中央部に散薬Pが少なくなるが、攪拌部材637をこのような三角柱形状で構成することによって、逆円錐部626の内壁近傍の散薬Pを散薬供給軸632近傍に集めることができるものである。なお、この実施の形態では、攪拌部材637を散薬供給軸626の周りに1つのみ設けたが、2つ以上設けても良いことは勿論である。また、631は薬剤収容部本体624内に設けられた攪拌部材である。
【0027】
次に、
図2及び
図7乃至
図11を用いて散薬分包装置について説明する。
図7は円盤配分部から配分円盤20を取り外した状態の斜視図で、
図8は円盤配分部から配分円盤20を取り外した状態の正面図である。
図9は回転駆動部30を分解し、モータ32とプーリ38とを回転駆動部30のベース31から上方に移動した状態を示す図である。
【0028】
図7乃至
図9に示されるように、秤量装置10の被測定物載置部12には回転駆動部30のベース31が固定されている。
図9の分解図に示されるように、ベース31にはベアリング35が固定されており、このベアリング35の周囲にはプーリ38が回転可能に設けられている。このプーリ38の上部には配分円盤ベース36が固定されており、この配分円盤ベース36の上部には配分円盤20が着脱自在に固定されている。
【0029】
プーリ38の外周にはタイミングギヤが形成されており、ベース31に固定されたモータ32の軸に取り付けられたタイミングギヤ33とプーリ38との間にはタイミングベルト34が掛渡されている。
【0030】
このような構成とすることにより、秤量装置10は、その秤量装置10の被測定物載置部12に固定されている回転駆動部30のベース31を含み、ベース31上に設けられているモータ32、プーリ38、ベアリング35、配分円盤ベース36、及び配分円盤20等の総重量を測定することが可能である。換言すると、配分円盤20に散薬が供給されていない状態では回転駆動部30等の風袋の重量を測定していることになる。
【0031】
図2に戻って説明すると、配分円盤20の上部に設けられた散薬供給装置60から散薬を配分円盤20の溝に少量ずつ落下させる。この散薬供給装置60は分包装置の筐体に固定されており、秤量装置10の重量測定対象とはなっていない。したがって、秤量装置10は被測定物載置部12に固定された回転駆動部30、配分円盤20等の総重量に、散薬収容容器62から配分円盤20に供給された散薬の重量を加算した重量を測定することになる。このため、秤量装置10が測定した重量から前述した風袋の重量を差し引くことにより、散薬収容容器62から配分円盤20に実際に供給した散薬の重量を算出することができる。
【0032】
散薬収容容器62から配分円盤20に散薬を供給するときは、モータ32によって配分円盤20を回転させながら散薬供給装置60のモータ63を回転させることによって散薬収容容器62から散薬を配分円盤20上に落下させる。これによって配分円盤20上に環状の散薬の山が形成される。
【0033】
また、50は配分円盤20に形成された環状の散薬を一包分ずつ落下ホッパ51に落下させるための掻き出し部である。この掻き出し部50は、レバー53がモータ52によって、軸54を中心にして上下に回動可能である。このレバー53の先端にはディスク55が取り付けられ、モータ56で矢印56a方向に回転可能である。散薬を回転する配分円盤20に捲くときはレバー53が反時計方向に回動してディスク55が配分円盤20から離れ、配分円盤20から散薬を分配するときはレバー53が時計方向に回動してディスク55が配分円盤20と接する。
【0034】
そして、ディスク55が回転することによって配分円盤20上に捲かれた散薬を1包分ずつ落下ホッパ51に落下させ、2つ折りされた分包紙57間に収容されるものである。これら掻き出し部50については周知の技術であり、例えば特開2019-202801号公報記載のものである。
【0035】
ここで、配分円盤20の下には秤量装置10が設けられており、散薬を収容する分包紙57を特開2019-202801号公報記載のように水平方向に搬送することができない。すなわち、配分円盤20から放出された散薬を落下ホッパ51に落下させ、水平搬送される包装紙に収容させるためには、落下ホッパ51を縦に長いものにする必要が生じる。これは、長い落下ホッパ中を散薬が通過することとなり、落下ホッパに付着する散薬が多くなることから、包装される散薬の重量が不正確なものとなる虞がある。また、落下ホッパ51が大きくなることから分包装置も大型となる虞がある。
【0036】
このため、
図2に示すように包装装置70は斜め搬送の包装装置が用いられている。すなわち、2つ折りされた分包紙57を巻き付けたロール(図示省略)を有する水平搬送の包装装置70が、その包装装置の70の底面が分包装置に対して斜めに装着されるようになっている。このロールから前方に引き出された分包紙57は前面側で右斜め下方に搬送される。
【0037】
そして、
図2に示すように、配分円盤20から配分された散薬は、配分円盤20のすぐ下で落下ホッパ51に落下させ、2つ折りされた分包紙57間に収容する。この散薬が収容された分包紙57は包装装置70内で1包ずつにシールされて、図中右下方向に斜め搬送され、秤量装置10の下を通って分包薬剤集積部75に集積される。このように、包装装置70の分包紙57の搬送路を斜め搬送とすることにより、配分円盤の下方に秤量装置10を設けても装置を大型化することなく構成することができる。散薬が収容された分包紙57は分包薬剤集積部75に設けられたリールによって巻き取るようにしてもよいし、機体外に搬送排出するようにしてもよい。
【0038】
図10は散薬分包装置のブロック図である。
図10において、300は散薬分包装置で、その全体制御部310は薬局の処方箋システム400に接続されている。全体制御部310には包装装置70と円盤配分部330の円盤配分制御部340が接続されている。円盤配分部330の円盤配分制御部340には、配分円盤20の回転用の第1のモータ32、掻き出しディスクレバー駆動用の第2のモータ52、ディスク回転用の第3のモータ56、散薬供給装置60の駆動用モータ63及び秤量部10がそれぞれ接続されている。
【0039】
次に、このように構成された円盤配分部の秤量動作について
図11を参照しながら説明する。
【0040】
散薬の分包動作が開始されると、全体制御部310は処方箋システム400から処方すべき散薬の種類と一処方分の散薬の重量情報とを取得する(ST1)。全体制御部110は取得した散薬の重量情報を円盤配分部330の円盤配分制御部340に出力する。その後、円盤配分制御部340は、回転駆動部30のモータ32を駆動して配分円盤20を回転させて(ST2)、配分円盤20への散薬の供給の準備が完了する。そして、散薬が供給される前に、配分円盤20及び回転駆動部30等の風袋の重量が測定される(ST3)。この風袋の重量は散薬が供給された後に測定された重量から減算されて散薬のみの重量を演算してもよいし、風袋の重量を測定した値をゼロ基準として散薬のみの重量を得るようにしてもよい。
【0041】
その後、円盤配分制御部340は、シャッタ開閉用(開閉アーム駆動用)モータ(図示せず)を動作させてシャッタ駆動レバー64を駆動し、散薬収容容器62のシャッタ622を開放し(ST4)、散薬供給装置60の駆動モータ63を回転駆動させることによって(ST5)、散薬収容容器62から散薬を少量ずつ配分円盤20に落下する。このように散薬を落下させながら秤量装置10によって配分円盤20へ落下された散薬の重量を測定する(ST6)。
【0042】
その後、散薬を供給しつつ、測定した散薬の重量が1処方量の重量に達したか否かを判断し(ST7)、供給された散薬の重量が1処方量の重量に達するまで継続される。1処方量の重量に達すると、散薬供給装置60の駆動用モータ63の駆動を停止するとともに、シャッタ開閉用(開閉アーム駆動用)モータを動作させて、散薬収容容器62のシャッタ622を閉鎖し、さらに回転駆動部30のモータ32を停止させる(ST8)。
【0043】
配分円盤20に一処方分の散薬が供給されると、第2のモータ52を回転させ、掻き出し用のディスク55が配分円盤20に接するように移動した後、第3のモータ56と配分円盤20を間欠的に回転し、掻き出し部50によって1包分ずつ散薬を落下ホッパ51に落下させる掻き出し動作が行われる(ST9)。落下ホッパ51に落下された散薬は包装装置70によって1包ずつシールして分包薬剤集積部75に集積される。
【0044】
以上のように構成された、実施形態によれば、散薬収容容器62から配分円盤20に散薬を少量ずつ放出可能であり、しかも少量の散薬であっても配分円盤20の周方向に均等に撒くことができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態、変形例を説明したが、これらの実施形態、変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態、変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10・・・秤量部
20・・・配分円盤
30・・・回転駆動部
50・・・掻き出し部
51・・・落下ホッパ
60・・・散薬供給装置
62・・・散薬収容容器
63・・・散薬供給用モータ
70・・・包装装置
620・・・散薬放出部
624・・・薬剤収容部本体
626・・・逆円錐部
628・・・円筒部
630・・・回転駆動軸
632・・・散薬供給軸
635・・・支持部
637・・・攪拌部材
637a・・・三角柱の1つの辺
637b・・・回転方向先端の辺
650・・・最下部の凹部
652・・・山部