IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社大平技研の特許一覧

<>
  • 特許-流星投影機 図1
  • 特許-流星投影機 図2
  • 特許-流星投影機 図3
  • 特許-流星投影機 図4
  • 特許-流星投影機 図5
  • 特許-流星投影機 図6
  • 特許-流星投影機 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】流星投影機
(51)【国際特許分類】
   G09B 27/00 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
G09B27/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021009392
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113278
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】508067839
【氏名又は名称】有限会社大平技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 貴之
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-224871(JP,A)
【文献】特公昭35-001963(JP,B1)
【文献】特開2015-138045(JP,A)
【文献】特表2002-529796(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138637(WO,A1)
【文献】特開2015-109527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00 -29/14
G03B 21/00 -21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流星の本体を表す輝点光を出射するように構成された光学式の輝点投影機と、
少なくとも前記輝点光の投影位置を移動させることができるように構成された偏向機構と、
前記本体に応じた流星の痕を表す映像の映像光を出射するように構成されたビデオプロジェクターと
を備える流星投影機。
【請求項2】
前記輝点投影機から出射した輝点光と、前記ビデオプロジェクターから出射した映像光とを重ね合わせた合成光をつくるように構成された光学系をさらに備え、
前記偏向機構は、前記合成光の投影位置を移動させるように構成されている、
請求項1に記載の流星投影機。
【請求項3】
前記偏向機構は、前記合成光を反射するように構成され、傾きを変化させることで前記投影位置を移動させるように構成された偏向ミラーを備え、
前記痕を表す映像における痕の向きは、前記偏向ミラーの傾きに応じて変化するように構成されている、
請求項2に記載の流星投影機。
【請求項4】
前記痕を表す映像における痕の長さは、前記投影位置の移動量に応じるように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の流星投影機。
【請求項5】
前記輝点投影機は、投影中に前記輝点光の輝度を変化させることができるように構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の流星投影機。
【請求項6】
前記痕を表す映像における痕は、前記輝点光の輝度の変化に応じたものとなるように構成されている、請求項5に記載の流星投影機。
【請求項7】
前記偏向機構による前記投影位置の移動の方向を放射状に変更できるように、前記偏向機構を回転させるように構成された回転機構をさらに備える、請求項1乃至6の何れかに記載の流星投影機。
【請求項8】
前記ビデオプロジェクターは、前記輝点投影機による前記輝点光の出射が停止した後にも、前記痕を表す映像の映像光を出射するように構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の流星投影機。
【請求項9】
前記偏向機構は、前記輝点投影機による前記輝点光の出射が停止した後に、投影位置の移動を停止するように構成されている、請求項8に記載の流星投影機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流星投影機に関する。
【背景技術】
【0002】
プラネタリウムにおいて、流星を投影することがあり、流星を投影するための装置が知られている。例えば、螺旋状のスリットパターンを持つ円板と、放射状のスリットパターンを持つ円板とを重ねて異なる速度で回転させ、これらの両パターンを透過した光を投影することで、線状に移動する流星像を投影する装置が知られている。例えば、特許文献1には、このような投影装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭57-116382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実際の流星を観察すると、移動する輝点のみではなく、明るく移動する輝点とそれが通過した位置に淡く線状に現れる痕とが見られることがある。プラネタリウムにおける流星投影機においても、このような輝点と痕とからなる流星像を投影できるような高い表現力が求められている。
【0005】
本発明は、高い表現力を有して流星の映像を投影できる流星投影機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、流星投影機は、流星の本体を表す輝点光を出射するように構成された光学式の輝点投影機と、少なくとも前記輝点光の投影位置を移動させることができるように構成された偏向機構と、前記本体に応じた流星の痕を表す映像の映像光を出射するように構成されたビデオプロジェクターとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い表現力を有して流星の映像を投影できる流星投影機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係るプラネタリウムシステムの構成例の概略を示す模式図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る流星投影機の構成例の概略を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る流星投影機の光学系を模式的に示す図である。
図4図4は、流星について説明するための模式図である。
図5図5は、流星像を投影する際の、偏向ミラーの角度、小型ビデオプロジェクターから出射される画像、及び輝点投影機から出射される流星の本体を表す輝点を模式的に示す図である。
図6図6は、各タイミングでの偏向ミラー、輝点投影機、及び小型ビデオプロジェクターの動作の概略を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る流星本体投影機の構成例の概略を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、プラネタリウムシステム、特に、流星を投影するための流星投影機を有するプラネタリウムシステムに関する。本実施形態の流星投影機は、流星の本体である輝点と輝点の軌跡に沿って現れる痕とを含む実際の流星の様子をよく表す流星の映像を投影できる。
【0010】
〈プラネタリウムシステムの構成〉
図1は、本実施形態に係るプラネタリウムシステム1の構成例の概略を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態のプラネタリウムシステム1は、内面がスクリーン2になっている半球状のドーム3を備える。ドーム3の中央部には、プラネタリウム投影機4が配置されている。プラネタリウム投影機4は、ドーム3の内面のスクリーン2に、星の像を投影する。ドーム3の外周近くには、複数のデジタル式のビデオプロジェクター5が配置されている。各ビデオプロジェクター5は互いに異なる位置に映像を投映することで、全体としてスクリーン2の全面に映像を投影することができる。ビデオプロジェクター5は、スクリーン2に星空や景色や星座を表す絵などを投影する。また、ドーム3内には、本実施形態に係る流星投影機10が配置されている。流星投影機10は、スクリーン2に流星像を投影する。
【0011】
プラネタリウムシステム1は、プラネタリウム投影機4、ビデオプロジェクター5及び流星投影機10の動作を制御する制御装置6を備える。制御装置6は、コンピュータを備える。制御装置6は、Central Processing Unit(CPU)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、又はField Programmable Gate Array(FPGA)等の集積回路を備える。また、制御装置6は、Read Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)、ストレージ、入力装置、表示装置、各種インターフェースなどを備える。制御装置6は、プログラム又はハードウェアに従って動作する。
【0012】
制御装置6は、ビデオプロジェクター5又は流星投影機10を用いて投影する画像に関する各種画像処理を行って画像データを出力する、画像処理装置を含む。制御装置6は、プラネタリウム投影機4、ビデオプロジェクター5及び流星投影機10の動作の制御や画像処理に関する機能を有していれば、いくつの装置によって構成されていても、それらがどこに配置されていてもよい。
【0013】
〈流星投影機の構成〉
図2は、本実施形態に係る流星投影機10の構成例の概略を模式的に示す斜視図である。流星投影機10は、流星の本体である輝点と、輝点の軌跡に沿って現れる痕とを含む流星像を投影できるように構成されている。
【0014】
流星像を投影するための光学系20は、図2においては模式的にその底板のみが描かれている筐体13内に設けられている。図3は、この光学系20を模式的に示す図である。図2及び図3に示すように、流星投影機10の光学系20は、流星の本体の輝点を投影するための輝点投影機23と、流星の痕の映像を投影するための小型のデジタル式ビデオプロジェクターである小型ビデオプロジェクター31とを備える。輝点投影機23は、輝点光を出射するように構成された光学式の機器である。光学系20は、輝点投影機23による輝点光と小型ビデオプロジェクター31による痕の映像の映像光とを重ね合わせて流星を表す合成光をつくり、この合成光をスクリーン2に投影するように構成されている。
【0015】
図3に示すように、輝点投影機23は、光源LED25と、ピンホール原板26と、投影レンズ27とを有する。光源LED25から放射された光は、ピンホール原板26のピンホールを通過し、投影レンズ27によって平行光にされ、輝点投影機23から輝点光として出射する。この輝点光は、ハーフミラー33を透過して、偏向ミラー35に至る。偏向ミラー35で反射してスクリーン2に投影された輝点光は、スクリーン2に流星の本体を表す点状の像を形成する。輝点投影機23は、輝点光の輝度を変化させることができるように構成されている。輝度の変化は、例えば、光源LED25から放射される光の強度を変更することで行われても、光路中に設けられた図示しない絞りの開閉によって行われてもよい。
【0016】
小型ビデオプロジェクター31は、上述の流星の本体に応じた流星の痕を表す映像の映像光を出射する。図2及び図3に示すように、小型ビデオプロジェクター31から出射した痕の映像光は、輝点投影機23から偏向ミラー35に至る輝点光の光路の途中に設けられたハーフミラー33で反射して、偏向ミラー35に至る。偏向ミラー35で反射してスクリーン2に投影された映像光は、スクリーン2に流星の痕を表す映像を形成する。
【0017】
このように、光学系20では、輝点投影機23による輝点光と小型ビデオプロジェクター31による痕の映像光とがハーフミラー33で重ね合わされて流星を表す合成光がつくられ、この合成光が偏向ミラー35を介してスクリーン2に投影される。なお、痕は比較的暗いので、ハーフミラー33による小型ビデオプロジェクター31からの映像光の反射率は数パーセントでもよく、ハーフミラー33は実質的にガラスでもよい。
【0018】
星が高速で流れるという流星の動きを表現するために、本実施形態の流星投影機10は、偏向機構38を備える。偏向機構38は、上述の偏向ミラー35と、偏向ミラー35を回転させる偏向モータ37とを有する。偏向モータ37が、合成光を反射する偏向ミラー35を回転させることで、スクリーン2に投影される流星像はスクリーン2上で移動する。こうして、流星の動きが表現される。このように、偏向ミラー35及び偏向モータ37を有する偏向機構38は、流星を表す合成光の投影位置を移動させる。偏向ミラー35の回転のみによって投影光を移動させるので、高速での移動が可能となり、速い流星の動きを適切に再現できる。
【0019】
なお、偏向ミラー35の回転に伴って、小型ビデオプロジェクター31から出射してスクリーン2に投影される映像は回転することになる。そこで、スクリーン2に投影される痕の映像が回転しないように、小型ビデオプロジェクター31において出力される痕の映像は、偏向ミラー35の回転に応じて回転するように制御されている。このような映像の調整は、例えば制御装置6に設けられた画像処理部によって行われる。
【0020】
流星投影機10は、偏向ミラー35の回転によって表現する流星の移動の方向を変更できるように、光学系20が設けられた筐体13全体を回転可能に支持する回転支持部16を備える。回転支持部16には放射角モータ17が接続されており、回転支持部16は、放射角モータ17の動力によって軸15周りに筐体13を回転させることができる。このように回転支持部16と放射角モータ17とによって回転機構18が構成されている。回転機構18による回転によって、偏向ミラー35の回転による投影光の移動方向は、軸15とスクリーン2との交点を中心とした半径方向の何れの方向ともすることができる。
【0021】
回転支持部16は、台座19によって支持されている。台座19は、軸15を任意の方向に向けることができるように構成されていることが好ましい。軸15を流星群の輻射点に向けることで、流星投影機10は、偏向ミラー35による投影位置の移動の方向を輻射点から放射状とすることができ、輻射点を中心として放射状に現れる流星群の流星を再現することができる。
【0022】
〈流星投影機の動作〉
まず、一般的にみられる流星について、図4を参照して説明する。流星は、流れながらその明るさを変化させる。例えば、流星の明るさは、発光し始めてから徐々に明るくなり、途中で急激に明るくなり、その後暗くなって消滅する過程を辿る。また、ときには、流星の明るさは不規則に変化する。流星の痕の明るさは、この流星の本体の明るさに概ね追従し、痕の各位置における明るさは、その位置を通過したときの本体の明るさに比例する傾向がある。
【0023】
図4において、(a)~(e)は、時間の経過に応じた流星の様子を模式的に示している。図中の星印は、流星の本体61を表し、その大きさで明るさを表現している。図の(a)から(d)まで、流星の本体61は、右から左に移動している。発光し始めた(a)から途中の(c)に至るまで明るさが徐々に明るくなっており、その後、(d)に至るまで徐々に暗くなってその後消滅している。本体61がその位置を通過した瞬間の明るさを破線の星印で示すが、痕63の明るさは、本体61がその位置を通過したときの明るさに応じた明るさとなっている。
【0024】
流星の本体61の消滅後、痕63は、多くの場合には1秒未満で消滅するが、特に明るい流星の場合には数十秒以上残ることもある。痕63が長時間残る場合、流星の本体61の明るさの変化のパターンがそのまま空に残像のように残る。そしてこれが徐々に消滅していく過程で、高層大気の影響によって、その形は次第に不規則に変化していくことがある。図4(e)は、このような変形した痕64の様子を模式的に示している。
【0025】
以上のような流星の像を投影するための流星投影機10の動作について説明する。図5は、図4に示した(a)~(e)の各状態の流星像を投影する際の、地平面からの高度として表現した偏向ミラー35の角度、小型ビデオプロジェクター31から出射される画像、及び輝点投影機23から出射される流星の本体を表す輝点光を模式的に示す。
【0026】
流星が上から下に流れる(a)~(d)において、偏向ミラー35は回転して、図5に示すように地平面からの高度ALTは徐々に小さくなる。流星が消滅する(d)のタイミングにおいて、偏向ミラー35の回転は停止する。
【0027】
(a)~(d)の間、流星の本体、すなわち、輝点投影機23から出射する輝点71の明るさは、輝点71が出現する(a)以降(c)まで徐々に明るくなり、その後、(c)から(d)まで徐々に暗くなって、最後に消滅する。
【0028】
小型ビデオプロジェクター31で出力される画像72には痕の映像73が含まれる。輝点投影機23による輝点71は画像72の中央に重ね合わされるので、痕の映像73は、画像72の中央から進行方向後側に描画される。流星本体の移動量に応じて映像73の痕は徐々に長くなり、長くなるにしたがって、痕の映像73は、進行方向後側に徐々にずれていくことになる。また、上述のとおり、偏向ミラー35の回転に伴ってスクリーン2に投影される映像も回転するので、この回転を打ち消すように小型ビデオプロジェクター31から出力される画像72において映像73の痕の向きは回転するように変化する。すなわち、図5に示すように画像72中の痕の映像73の角度θは、(a)~(d)の間で徐々に変化する。また、偏向ミラー35の回転が止まって輝点71が消えた(e)の場合において、画像72は変形した痕の映像74を含む。
【0029】
図6は、各タイミングでの偏向ミラー35の位置及び速度、輝点投影機23の動作、並びに小型ビデオプロジェクター31の動作の概略を示す図である。
【0030】
初期状態のステップS1において、偏向ミラー35は原点に位置して停止している。このとき、輝点投影機23は輝点光を出射せず、小型ビデオプロジェクター31は映像光を出射しない。なお、原点はどのような位置に設定されてもよい。
【0031】
流星を投影する前段階のステップS2において、偏向モータ37によって偏向ミラー35は任意の速度で回転して、流星の出現位置の少し上流側の位置を目標位置として移動する。目標位置に到達したステップS3において、偏向ミラー35は停止し、流星の投影まで待機する。
【0032】
流星の投影の動作を開始するステップS4において、偏向ミラー35は、回転を開始し、加速して、回転速度が流星の移動速度に対応する所定速度となったら、当該所定速度での回転を維持する。
【0033】
偏向ミラー35が流星の出現位置に対応する位置に到達したステップS5において、輝点投影機23による輝点71の投影を開始し、小型ビデオプロジェクター31による痕の映像73の投影を開始する。
【0034】
流れている流星を投影しているステップS6の間、偏向ミラー35は所定速度で回転する。この間、輝点投影機23は、流星本体の明るさの変化を表現するように所定のパターンで輝点光の輝度を変化させる。また、小型ビデオプロジェクター31は、上述したように、徐々に長くなりながら位置がずれていき角度が変化する痕の映像73に係る映像光を出射する。
【0035】
偏向ミラー35が流星の消滅位置に対応する位置に到達したステップS7において、偏向ミラー35は、速やかに回転を停止する。このとき、輝点投影機23も輝点光の出射を停止する。小型ビデオプロジェクター31は、変形した痕の映像74に係る映像光を出射する。
【0036】
痕が消えるステップS8において、小型ビデオプロジェクター31は映像光の出射を停止し、偏向ミラー35は原点に向けて任意の速度で移動する。原点に到達したステップS9において、偏向ミラー35は停止し、初期状態のステップS1に戻る。
【0037】
以上のような動作によって、流星投影機10は、流星像をスクリーン2に投影する。場合によっては、流星投影機10は、以上の動作を繰り返して、流星像を次々とスクリーン2に投影する。
【0038】
なお、流星の出現及び消滅する位置、出現位置から消滅位置までの移動速度、流星本体の輝度の変化のパターン、痕が残る時間など、投影される流星の態様を決定する情報は、どのような方法で得られてもよい。予め複数のパターンのデータが用意されており投影時にその中の何れかのデータが選択されてもよいし、投影時に所定の関数に基づいてそれらデータが算出されてもよい。例えば、流星本体の輝度の変化が、時間の関数又は角位置の関数によって得られてもよい。また、例えば、現実の空における流星の3次元座標に基づいて角位置が算出され、流星の物理的な光度変化に基づいて見た目の明るさが算出されて輝点の輝度が決定されてもよい。このとき、流星の出現する初期位置は、乱数に基づいて決定されてもよい。また、このとき、流星の進行方向は、流星群に属する流星ならば該当する流星群ごとに決められている固有値に基づいて算出されてもよい。あるいは、輝点の輝度は、流星の物理シミュレーションに基づいて算出されてもよい。輝度の変化のパターン又はそれを算出する関数は、例えば、観測データ、物理シミュレーション、人為的な創作など、種々の方法の何れかで決定され得る。
【0039】
本実施形態に係る流星投影機10は、輝点投影機23と小型ビデオプロジェクター31とを組み合わせて用いることで、高い輝度を有する流星本体と様々なパターンがあり得る痕とを含む流星の像を投影することができ、高い表現力を有する。また、輝点投影機23による輝点と小型ビデオプロジェクター31による痕の映像とを重ね合わせた合成光を、偏向ミラー35の回転によって移動させるので、プロジェクタ画面上での輝点に相当する位置は、偏向ミラー35による像の投影位置変化によらず固定である。したがって、流星が高速で移動した場合でも、痕と輝点との位置関係を容易に正確に保つことができる。
【0040】
なお、上述の実施形態は、一例であり、適宜に変更され得る。例えば、光学系20の構成は同様の機能を果たせれば適宜に変更され得る。例えば、輝点投影機23の出射光と小型ビデオプロジェクター31から出射される映像光とが重ね合わされるように、ハーフミラー33に代えて、輝点投影機23から出射した光が通過する穴を有するミラーが設けられてもよいし、その他の光学素子が設けられてもよい。また、輝点投影機23の出射光と小型ビデオプロジェクター31の出射光とが平行になるように近接して配置される構成が取られてもよい。また、流星の投影位置を移動させる偏向機構は、偏向ミラー35及び偏向モータ37からなる構成に限らず、例えば輝点投影機23及び小型ビデオプロジェクター31を含む構造物全体を回転させることなどを含め、投影位置を移動させることができればどのような構成を有していてもよい。
【0041】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態の流星投影機10は、輝点投影機23と小型ビデオプロジェクター31とを備え、流星本体の輝点光と痕の映像光とを重ね合わせた状態で同時に投影する。これに対して、第2の実施形態では、第1の実施形態の流星投影機10の代わりに、流星本体投影機90を用いる。
【0042】
図7は、第2の実施形態に係る流星本体投影機90の構成例の概略を示す斜視図である。流星本体投影機90は、第1の実施形態の流星投影機10から小型ビデオプロジェクター31とハーフミラー33とが取り除かれた光学系91を有する。したがって、流星本体投影機90は、流星の本体を表す輝点のみを投影する。第2の実施形態の流星本体投影機90のその他の構成は第1の実施形態の流星投影機10の構成と同様である。
【0043】
本実施形態のプラネタリウムシステム1では、流星の痕の映像をドーム3内に設けられたビデオプロジェクター5が投影する。したがって、流星本体投影機90によって投影された流星本体を表す輝点と、ビデオプロジェクター5によって投影された流星の痕の映像とによって、流星の様子が再現される。このように、本実施形態では、流星本体投影機90とビデオプロジェクター5との組み合わせによって、流星の本体と痕とを投影する流星投影機が構成されている。
【0044】
本実施形態の流星本体投影機90とビデオプロジェクター5とからなる流星投影機によっても、高い輝度を有する流星本体と様々なパターンがあり得る痕とを含む流星の様子が再現され、高い表現力が実現され得る。
【0045】
なお、流星本体投影機90は、流星の本体の投影のみに用いられてなくてもよい。例えば、流星本体投影機90と同様の機器(ここではこの機器も流星本体投影機90と称することにする)が、明るい恒星の投影に用いられてもよい。この場合、プラネタリウムシステム1は、プラネタリウム投影機4の代わりに多数の流星本体投影機90を備え、それらが明るい恒星を投影し、その他の星をビデオプロジェクター5が投影し、一部の流星本体投影機90が流星の本体を投影してもよい。
【0046】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 プラネタリウムシステム
2 スクリーン
3 ドーム
4 プラネタリウム投影機
5 ビデオプロジェクター
6 制御装置
10 流星投影機
13 筐体
15 軸
16 回転支持部
17 放射角モータ
18 回転機構
19 台座
20 光学系
23 輝点投影機
25 光源LED
26 ピンホール原板
27 投影レンズ
31 小型ビデオプロジェクター
33 ハーフミラー
35 偏向ミラー
37 偏向モータ
38 偏向機構
61 本体
63 痕
64 変形した痕
71 輝点
72 画像
73 痕の映像
74 変形した痕の映像
90 流星本体投影機
91 光学系

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7