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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】軌道整備装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/20 20060101AFI20241007BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
E01B27/20
E02F3/36 Z
E02F3/36 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021079443
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022173628
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】500418244
【氏名又は名称】株式会社交通建設
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 祐亮
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-001803(JP,A)
【文献】特開平05-118001(JP,A)
【文献】特開2020-007865(JP,A)
【文献】特開2020-152573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/20
E02F 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホーのアーム先端に取り付けられる装置本体と、
前記装置本体に揺動自在に取り付けられている少なくとも一対のタイタンパーアームと、
対を成している前記タイタンパーアームの下端側を近接・離隔させるように揺動させる駆動部と、
前記装置本体に配設され、所定の振動を発生させる加振部と、
前記装置本体に回動可能に軸支されているバケットと、
前記バケットの配置を、前記バケットを閉じる方向に回動させて前記タイタンパーアームをバケット内に収容する第1の配置と、前記バケットを開く方向に回動させて前記タイタンパーアームをバケット外に露出させる第2の配置とに切り替える切替手段と、
を備えた軌道整備装置であって、
前記バケットを第1の配置に切り替えた状態で前記軌道整備装置をショベルとして使用可能にし、前記バケットを第2の配置に切り替えた状態で前記軌道整備装置をタイタンパーとして使用可能にするように構成されていることを特徴とする軌道整備装置。
【請求項2】
前記加振部は、前記装置本体に着脱可能に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の軌道整備装置。
【請求項3】
前記バケットが前記第1の配置に切り替えられている状態で、前記対を成している前記タイタンパーアームのうち前記バケットの縁側にあるタイタンパーアームを揺動させて、そのタイタンパーアームと前記バケットとで対象物を掴んで放す動作を可能にするように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軌道整備装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の軌道を整備するための軌道整備装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軌道を整備する作業においてマクラギ交換を行う際に、新たに設置したマクラギの下側の道床バラストを突き固めるのに用いる装置としてのタイタンパーが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
このタイタンパーは、バックホーのアーム先端に取り付けて使用するアタッチメントとして実用化されており、軌道整備の作業に応じて適宜付け替えて使用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-1803号公報
【文献】特開2003-96702号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】軌陸車テック株式会社ホームページ、[令和3年4月14日検索]、インターネット<URL:http://kirikutech.jp/rental/rental16.html>、アタッチメント/4頭タイタンパー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記アタッチメントとしてのタイタンパーを使用する場合、バックホーのアーム先端からバケットを取り外してタイタンパーを取り付ける作業を行うため、その付け替え作業に時間や労力を要してしまうことがあった。
そこで、本発明者らが鋭意検討し、バケットの使用とタイタンパーの使用を好適に切り替えて、軌道整備を行うことができる技術を開発するに至った。
【0006】
本発明の目的は、より好適に軌道の整備を行うことができる軌道整備装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、
バックホーのアーム先端に取り付けられる装置本体と、
前記装置本体に揺動自在に取り付けられている少なくとも一対のタイタンパーアームと、
対を成している前記タイタンパーアームの下端側を近接・離隔させるように揺動させる駆動部と、
前記装置本体に配設され、所定の振動を発生させる加振部と、
前記装置本体に回動可能に軸支されているバケットと、
前記バケットの配置を、前記バケットを閉じる方向に回動させて前記タイタンパーアームをバケット内に収容する第1の配置と、前記バケットを開く方向に回動させて前記タイタンパーアームをバケット外に露出させる第2の配置とに切り替える切替手段と、
を備えた軌道整備装置であって、
前記バケットを第1の配置に切り替えた状態で前記軌道整備装置をショベルとして使用可能にし、前記バケットを第2の配置に切り替えた状態で前記軌道整備装置をタイタンパーとして使用可能にするように構成されているようにした。
【0008】
かかる構成の軌道整備装置は、バケットの配置を切り替えるようにして、軌道整備装置をショベルとして使用することと、軌道整備装置をタイタンパーとして使用することができる。
軌道整備装置をショベルとして使用する第1の配置の場合、バケット内の隅にタイタンパーアームが存在しているため、その分、バケット容量が低下してしまうが、バケットによる掘削には支障がない。
そして、上述した従来技術のようにアタッチメント(タイタンパーとバケット)を交換する作業を行うよりも、この軌道整備装置においてバケットの配置を切り替える作業の方が短時間で簡便に行うことができるので、バケットのバケット容量がある程度低下してしまうことがあっても、この軌道整備装置をショベルとして使用することにはメリットがある。
また、軌道整備装置をタイタンパーとして使用する第2の配置の場合、バケットがアーム先端側の上方に退避しているので、道床バラストにタイタンパーアームを突き入れるのを妨げないようになっている。
そして、対を成すタイタンパーアームでマクラギの下側の道床バラストを突き固めたり寄せ固めたりすることができる。
【0009】
また、望ましくは、
前記加振部は、前記装置本体に着脱可能に配設されているようにする。
【0010】
軌道整備装置をタイタンパーとして使用する場合には、加振部を装置本体に固定して作動させるようにする。
また、軌道整備装置をショベルとして使用する場合には、加振部を装置本体から取り外すようにする。加振部を装置本体から取り外すことで、加振部がバケットの動きを妨げてしまうことはなく、バケットの可動範囲が広がるので、軌道整備装置をショベルとして好適に使用することができる。
なお、加振部がバケットの動きの妨げにならない場合には、加振部を装置本体から取り外さずに道整備装置をショベルとして使用することができる。
【0011】
また、望ましくは、
前記バケットが前記第1の配置に切り替えられている状態で、前記対を成している前記タイタンパーアームのうち前記バケットの縁側にあるタイタンパーアームを揺動させて、そのタイタンパーアームと前記バケットとで対象物を掴んで放す動作を可能にするように構成されているようにする。
【0012】
軌道整備装置におけるバケットが第1の配置に切り替えられている状態で駆動部を作動させると、対を成しているタイタンパーアームのうちバケットの奥側にあるタイタンパーアームはバケットの内面に当接したまま動かず、対を成しているタイタンパーアームのうちバケットの縁側にあるタイタンパーアームのみが揺動するようになる。
つまり、対を成しているタイタンパーアーム20を閉開させる態様で、バケットの縁側にあるタイタンパーアームを揺動させることで、そのタイタンパーアームをバケットの縁に対して接離させることができるので、タイタンパーアームとバケットとで対象物を掴んで放す動作を行うことができる。
こうすることで、軌道整備装置をショベルとして使用する作業と、タイタンパーとして使用する作業に加えて、対象物を掴んで放す作業にも使うことができるので、1つの軌道整備装置で3つの作業を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より好適に軌道の整備を行うことができる軌道整備装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の軌道整備装置を示す側面図(a)と、後面図(b)と、正面図(c)であり、バケットを開いた状態を示している。
図2】バケットを開いた状態の軌道整備装置を示す上面図である。
図3】本実施形態の軌道整備装置を示す側面図(a)と、後面図(b)と、正面図(c)であり、バケットを閉じた状態を示している。
図4】バケットを閉じた状態の軌道整備装置を示す上面図である。
図5】軌道整備装置のタイタンパーアームによってマクラギの下に道床バラストを寄せ固める態様を示す側面図(a)と、後面図(b)である。
図6】バケットを閉じた状態において、バケットとタイタンパーアームとで対象物を掴むことに関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る軌道整備装置の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態の軌道整備装置は、油圧ショベルとタイタンパーの機能を兼ね備えた装置であり、それぞれの動作に切り替えて所定の軌道整備を行うことを可能にしている。
【0016】
本実施形態の軌道整備装置100は、例えば、図1図4に示すように、バックホーのアーム先端Hに取り付けられる装置本体10と、装置本体10に揺動自在に取り付けられている少なくとも一対のタイタンパーアーム20と、対を成しているタイタンパーアーム20を揺動させる駆動部30と、装置本体10に配設されている加振部40と、装置本体10に回動可能に軸支されているバケット50と、バケット50の配置を第1の配置と第2の配置とに切り替える切替手段としての配置切替用ボルト60等を備えている。
本実施形態では、軌道整備装置100が四頭タイタンパーとして機能するように、装置本体10に二対のタイタンパーアーム20が設けられている。
【0017】
装置本体10には、軌道整備装置100をアーム先端Hに取り付けるための取付部11が設けられている。この取付部11とアーム先端Hを所謂バケットピンによって連結することで、アーム先端Hに軌道整備装置100が取り付けられる。
また、この装置本体10に、バケット50が回動軸12を軸心にして回動可能に取り付けられている。
【0018】
タイタンパーアーム20は、回動軸21を軸心にして装置本体10に揺動自在に取り付けられている揺動部材22と、揺動部材22に固定されているアーム部材23とを備えている。
つまり、装置本体10に二対の揺動部材22が設けられており、各揺動部材22にアーム部材23が固定されている。
なお、アーム部材23は揺動部材22に交換可能に取り付けられており、作業状況に応じて交換したり、老朽化したものを新しいものに交換したりできる。
このアーム部材23の先端(下端)には、平板状のブレード24が設けられている。ブレード24は、道床バラストを押し易くするために設けられている。
また、装置左側(図1(a)中、手前側)の揺動部材22と装置右側(図1(a)中、奥側)の揺動部材22は回動軸21を介して繋がれている。
この回動軸21を介して繋がれている装置左側と装置右側の揺動部材22は連動するようになっている。
そして、対を成しているタイタンパーアーム20を揺動させる駆動部30は、図1(a)(b)に示すように、装置左側に配されている揺動部材22,22に対して取り付けられている。
【0019】
駆動部30は、タイタンパーアーム20(揺動部材22)の上端側に配設されている。
この駆動部30は、例えば、油圧シリンダーであり、そのシリンダーを伸縮することで、タイタンパーアーム20(揺動部材22)を揺動させる。なお、油圧シリンダーを作動させるための油圧力を伝導する油圧ホースの図示は省略している。
具体的には、シリンダーを収縮させることで、対を成すタイタンパーアーム20(揺動部材22)の上端側を近接させ、その下端側を離隔させるように、タイタンパーアーム20を揺動させる。
また、シリンダーを伸長させることで、対を成すタイタンパーアーム20(揺動部材22)の上端側を離隔させ、その下端側を近接させるように、タイタンパーアーム20を揺動させる。
【0020】
そして、前述したように、回動軸21を介して繋がれている装置左側と装置右側の揺動部材22は連動するようになっているので、駆動部30による駆動によって、二対のタイタンパーアーム20は連動して揺動するようになっている。
具体的には、この駆動部30が、対を成すタイタンパーアーム20の下端側を近接、離隔させるように揺動させることで、対を成すタイタンパーアーム20を開閉するようになっている。
【0021】
加振部40は、所定の振動を発生させる振動発生機構であり、例えば、加振機ケース内に回転自在に設けられている偏心ウエイトを備えた軸を、加振機モータで回転駆動することで振動を発生させることができる。
例えば、タイタンパーによる軌道整備を行う際、加振部40を作動させてタイタンパーアーム20を振動させながら道床バラストを突き固める作業を行うようになっている。
なお、加振部40を作動させるための油圧力を伝導する油圧ホースの図示は省略している。
【0022】
特に、この加振部40は、装置本体10に着脱可能に配設されている。
具体的には、図1図2に示すように、加振部40は装置本体10の上面に固定用ボルトで固定されている。
また、図3図4に示すように、固定用ボルトを外すことで、加振部40を装置本体10の上面から取り外すことができる。
そして、軌道整備装置100をタイタンパーとして使用する場合には、加振部40を装置本体10の上面に固定する。
一方、軌道整備装置100をショベルとして使用する場合には、加振部40を装置本体10の上面から取り外すようにする。
加振部40を装置本体10の上面から取り外すことで、加振部40がバケット50の動きを妨げてしまうことはなく、バケット50の可動範囲が広がるので、軌道整備装置100をショベルとして好適に使用することができる。
なお、加振部40がバケット50の動きの妨げにならない場合には、加振部40を装置本体10の上面から取り外さなくてもよい。
【0023】
バケット50は、装置本体10に回動軸12を軸心にして回動可能に取り付けられており、その配置を第1の配置と第2の配置とに切り替え可能となっている。
例えば、バケット50には、配置切替用の小孔が設けられており、その小孔を通じて配置切替用ボルトを装置の一部に締結するようにして、バケット50の配置を切り替えることを可能にする。
本実施形態の場合、バケット50の両側面にはそれぞれ、配置切替用の小孔が3つずつ設けられている。
そして、バケット50の側面の3つの小孔のうち、2つの小孔51,51(図1(a)参照)がタイタンパーアーム20をバケット50内に収容する第1の配置への切り替えに使用される。
また、バケット50の側面の3つの小孔のうち、1つの小孔52(図3(a)参照)がタイタンパーアーム20をバケット50外に露出させる第2の配置への切り替えに使用される。
【0024】
具体的には、図1(a)に示している、バケット50の左側面に設けられている2つの小孔51,51が、タイタンパーアーム20をバケット50内に収容する第1の配置への切り替えに使用するものであり、図3(a)に示すように、バケット50を閉じる方向に回動させてタイタンパーアーム20をバケット50の内側に収容した状態で、その2つの小孔51,51を通じて配置切替用ボルト60をタイタンパーアーム20の回動軸21に対して締結することで、バケット50を第1の配置に切り替えた姿勢で固定することができる。
なお、バケット50の右側面に設けられている2つの小孔51,51にも配置切替用ボルト60が通されて回動軸21に対して締結されている。
【0025】
また、図3(a)に示している、バケット50の左側面に設けられている1つの小孔52が、タイタンパーアーム20をバケット50外に露出させる第2の配置への切り替えに使用するものであり、図1(a)に示すように、バケット50を開く方向に回動させてタイタンパーアーム20をバケット50の外側に露出した状態で、その1つの小孔52を通じて配置切替用ボルト60をタイタンパーアーム20の回動軸21に対して締結することで、バケット50を第2の配置に切り替えた姿勢で固定することができる。
なお、バケット50の右側面に設けられている1つの小孔52にも配置切替用ボルト60が通されて回動軸21に対して締結されている。
【0026】
なお、本実施形態の軌道整備装置100において、タイタンパーアーム20をバケット50内に収容する第1の配置では、対を成しているタイタンパーアーム20の全体がバケット50内に収容されているのではなく、対を成しているタイタンパーアーム20のうちバケット50の縁側にあるタイタンパーアーム20の一部(アーム部材23側)がバケット50の外側に露出した態様になっている(図1(a)参照)。このような状態でも、タイタンパーアーム20をバケット50内に収容した第1の配置とする。
また、本実施形態の軌道整備装置100において、タイタンパーアーム20をバケット50外に露出させる第2の配置では、対を成しているタイタンパーアーム20の全体がバケット50外に露出されているのではなく、対を成しているタイタンパーアーム20のうちバケット50の奥側にあるタイタンパーアーム20の一部(揺動部材22側)がバケット50の内側に収容された態様になっている(図3(a)参照)。このような状態でも、タイタンパーアーム20をバケット50外に露出させた第2の配置とする。
【0027】
切替手段としての配置切替用ボルト60は、バケット50の配置を第1の配置と第2の配置とに切り替えるための部材である。
そして、前述したように、バケット50を閉じる方向に回動させてタイタンパーアーム20をバケット50内に収容した状態で、2つの小孔51,51を通じて配置切替用ボルト60をタイタンパーアーム20の回動軸21に対して締結することで、バケット50を第1の配置に切り替えることができる(図3、特に図3(a)参照)。
また、前述したように、バケット50を開く方向に回動させてタイタンパーアーム20をバケット50外に露出した状態で、1つの小孔52を通じて配置切替用ボルト60をタイタンパーアーム20の回動軸21に対して締結することで、バケット50を第2の配置に切り替えることができる(図1、特に図1(a)参照)。
なお、バケット50の側面に設けられている小孔(51、52)は、バケット50の配置を切り替えるための切替手段としての機能も有している。
【0028】
以上のように、本実施形態の軌道整備装置100は、タイタンパーアーム20をバケット50内に収容した第1の配置と、タイタンパーアーム20をバケット50外に露出させた第2の配置とに切り替えることができる。
そして、バケット50を第1の配置に切り替えた軌道整備装置100をショベルとして使用することができ、また、バケット50を第2の配置に切り替えた軌道整備装置100をタイタンパーとして使用することができる。
【0029】
軌道整備装置100をショベルとして使用する場合、バケット50内の隅にタイタンパーアーム20が存在しているため、その分、バケット容量が25%~35%ほど低下してしまうが、バケット50による掘削には支障がない。
そして、上述した従来技術のようにアタッチメント(タイタンパーとバケット)を交換する作業を行うよりも、この軌道整備装置100においてバケット50の配置を切り替える作業の方が短時間で簡便に行うことができるので、バケット50のバケット容量がある程度低下してしまうとしても、この軌道整備装置100をショベルとして使用することには十分なメリットがある。
【0030】
また、軌道整備装置100をタイタンパーとして使用する場合、バケット50がアーム先端H側の上方に退避しているので、道床バラストにタイタンパーアーム20を突き入れるのを妨げないようになっている。
そして、例えば、図5に示すように、対を成すタイタンパーアーム20でマクラギMの下側の道床バラストを突き固めたり寄せ固めたりすることができる。
なお、軌道整備装置100の装置本体10の下面には、マクラギM上のレールRを損傷させないようにレール保護用のゴムパッド15が配設されている。
【0031】
このように、本実施形態の軌道整備装置100は、バケット50の配置を切り替えるようにして、軌道整備装置100をショベルとして使用することと、軌道整備装置100をタイタンパーとして使用することができる。
特に、装置本体10に回動可能に取り付けられているバケット50の姿勢を所定の向きに調整した後、バケット50の側面に設けられている小孔(51、52)を通じて配置切替用ボルト60をタイタンパーアーム20の回動軸21に対して締結することで、そのバケット50の配置を容易に切り替えることができるので、軌道整備装置100をショベルとして使用することとタイタンパーとして使用することを適宜切り替える作業を行うようにして、より好適に軌道の整備を行うことができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図6に示すように、軌道整備装置100におけるバケット50が第1の配置に切り替えられている状態で駆動部30を作動させると、対を成しているタイタンパーアーム20のうちバケット50の奥側にあるタイタンパーアーム20はバケット50の内面に当接したまま動かず、対を成しているタイタンパーアーム20のうちバケット50の縁側にあるタイタンパーアーム20のみが揺動するようになる。
そして、対を成しているタイタンパーアーム20が開閉する態様で、バケット50の縁側にあるタイタンパーアーム20を揺動させることができる。
【0033】
このようにバケット50が第1の配置に切り替えられている状態で、バケット50の縁側にあるタイタンパーアーム20のみを揺動させるようにして、そのタイタンパーアーム20とバケット50とで対象物を掴んで放す動作を行うことができる。
例えば、軌道整備装置100をショベルとして使用した軌道整備を行う際に、その作業地点に何らかの支障物が生じた場合に、その支障物を掴んで作業地点から排除することができる。
また、軌道整備装置100をショベルとして使用した軌道整備を行う際に、その作業地点に運び込む資材が生じた場合に、その資材を掴んで作業地点に移動させることができる。
つまり、軌道整備装置100をショベルとして使用した軌道整備中に、バックホーのアーム先端Hのアタッチメントを付け替えることなく、対象物を掴んで放す作業を行うことができるので、より好適に軌道の整備を行うことができる。
このように、本実施形態の軌道整備装置100は、ショベルとして使用する作業と、タイタンパーとして使用する作業に加えて、対象物を掴んで放す作業にも使うことができるので、1つのアタッチメントとして3つの作業を可能にする優れた装置である。
【0034】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 装置本体
11 取付部
12 回動軸
15 ゴムパッド
20 タイタンパーアーム
21 回動軸
22 揺動部材
23 アーム部材
24 ブレード
30 駆動部
40 加振部
50 バケット
51 小孔(第1の配置への切り替え用の小孔)
52 小孔(第2の配置への切り替え用の小孔)
60 配置切替用ボルト(切替手段)
100 軌道整備装置
H アーム先端
M マクラギ
R レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6