(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ケーブル端末処理装置及びケーブル端末処理方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20241007BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20241007BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20241007BHJP
H01R 43/048 20060101ALI20241007BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241007BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20241007BHJP
【FI】
H02G1/12 056
H02G1/14
H02G1/12 065
B26D3/00 603Z
H01R43/048 Z
G06T7/00 350B
G06T7/70 A
(21)【出願番号】P 2021080084
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2020083439
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019国際ロボット展出展 令和元年12月18日(開催期間12/18~12/21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 電線新聞 発行者 株式会社工業通信、令和元年12月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019国際ロボット展にて株式会社日刊工業新聞社より取材、令和元年12月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019国際ロボット展にて株式会社日本物流新聞社より取材、令和元年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】510337746
【氏名又は名称】株式会社HCI
(74)【代理人】
【識別番号】100177806
【氏名又は名称】門田 康
(72)【発明者】
【氏名】奥山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】萩原 啓道
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-122100(JP,A)
【文献】特開2016-197962(JP,A)
【文献】特開2007-330056(JP,A)
【文献】特開2014-203724(JP,A)
【文献】特開2019-029104(JP,A)
【文献】国際公開第2019/245052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
H02G 1/14
B26D 3/00
H01R 43/048
G06T 7/00
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線が外皮で被覆された多芯のケーブルについて、前記ケーブルの端から所定の長さの端末外皮を除去して、露出した前記電線を分散処理するケーブル端末処理装置であって、
前記端末外皮と前記ケーブルの本体側に残留する本体外皮とを相対的に変位させる外皮操作部と、
前記端末外皮と前記本体外皮との間に露出した前記電線の位置情報を取得する計測部と、
仕切部材を有し、前記位置情報に基づいて、露出した前記電線のすきまに前記仕切部材を挿入する仕切操作部と、
前記仕切部材を前記すきまに挿入した状態で変位させて露出した前記電線を分散させる分散部と、を備えたケーブル端末処理装置。
【請求項2】
前記端末外皮と前記本体外皮との間に露出した前記電線を平面状に整列する整線部を備えた請求項1に記載するケーブル端末処理装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記本体外皮と前記端末外皮との間に露出した前記電線にレーザ光を照射して反射光を検出することによって前記電線の位置情報を取得するレーザ装置を備える請求項1又は請求項2のいずれかに記載するケーブル端末処理装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記本体外皮と前記端末外皮との間に露出した前記電線を撮影して画像データを取得する撮影装置と、前記画像データを画像解析することによって前記電線の位置情報を取得する画像処理装置とを備える請求項1又は2のいずれかに記載するケーブル端末処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、AI(人工知能)を備え、画像データとマスク画像とを対応させた機械学習を行うことにより、前記画像データにおける前記電線を識別して、前記本体外皮と前記端末外皮との間に露出した前記電線の位置情報を取得する請求項4に記載するケーブル端末処理装置。
【請求項6】
前記電線の絶縁被覆を除去して配線用端子を取り付ける端末処理部を更に備えた請求項1から5のいずれかに記載するケーブル端末処理装置。
【請求項7】
複数の電線が外皮で被覆されたケーブルについて、前記ケーブルの端から所定の長さの端末外皮を除去して、露出した前記電線を分散処理するケーブル端末処理方法であって、
前記端末外皮を前記電線の一部が内側に残留する状態まで引き抜き、前記端末外皮と前記ケーブルの本体側に残留した本体外皮との間に前記電線が露出した露出部を形成する引抜工程と、
前記端末外皮を、前記本体外皮に対して相対的に変位させ、前記露出部の前記電線を緩ませる緩み工程と、
前記露出部の前記電線の位置情報を取得する計測工程と、
前記露出部の前記電線に対して変位可能な仕切部材を備え、前記位置情報に基づいて前記仕切部材の位置を制御して、前記露出部の前記電線のすきまに前記仕切部材を挿入する仕切工程と、
前記仕切部材を前記すきまに挿入した状態で変位させて露出した前記電線を分散させる分散工程と、
を備えたケーブル端末処理方法。
【請求項8】
前記緩み工程の後、露出した前記電線を平面状に整列する整線工程を備えた請求項7に記載するケーブル端末処理方法。
【請求項9】
前記分散工程の後に、前記電線の絶縁被覆を除去して配線用端子を取り付ける端末処理工程を備えた請求項7または8のいずれかに記載するケーブル端末処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線が外皮で被覆された多芯ケーブルについて、端末の外皮を除去して内部の電線を配線可能に処理するケーブル端末処理装置及びケーブル端末処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
信号を送受信するケーブルには、複数の電線を塩化ビニル(PVC)等の外皮で被覆した多芯ケーブルが使用される。ケーブルを電気機器等に接続するときには、ケーブルの端から所定長さの外皮を除去した後、露出した各電線端末の絶縁被覆を除去して、配線用端子を取付ける等の処理が行われる。
通常、各電線は、外皮の内側で互いに螺旋状に組み込まれている。このため、外皮を除去して、各電線端末の絶縁被覆を除去したり、電線の端末に配線用の端子を取り付ける等の端末処理をするときは、先ず撚り合わされた電線をほぐしてバラバラに分散させる必要がある。しかしながら、この作業は煩雑で非常に工数がかかるため、自動化が困難であった。
この課題に対応して、特許文献1では、ほぐした電線のすきまに櫛を挿入して、互いに撚り合わされている電線を分散させる装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外皮を除去したときの電線には撚り合わされていたときのひずみが残留しており、形状が不揃いである。このため、特許文献1の装置では、露出部の電線のすきまに櫛を挿入するときに、櫛の先端がすきまに挿入されず電線に突き当てられる場合があり、電線を折り曲げてしまうおそれがある。電線が折り曲げられると、手作業での修正が必要となり、電線端末処理の自動化が困難である。
【0005】
そこで、本発明は、複数の電線が外皮で被覆された多芯ケーブルについて、ケーブル端末の外皮を除去した後、露出した電線の撚りをほどき確実に分散させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、複数の電線が外皮で被覆された多芯のケーブルについて、前記ケーブルの端から所定の長さの端末外皮を除去して、露出した前記電線を分散処理するケーブル端末処理装置であって、前記端末外皮と前記ケーブルの本体側に残留する本体外皮とを相対的に変位させる外皮操作部と、前記端末外皮と前記本体外皮との間に露出した前記電線の位置情報を取得する計測部と、仕切部材を有し、前記位置情報に基づいて、露出した前記電線のすきまに前記仕切部材を挿入する仕切操作部と、前記仕切部材を前記すきまに挿入した状態で変位させて露出した前記電線を分散させる分散部と、を備えたケーブル端末処理装置である。
【0007】
本発明の他の形態は、複数の電線が外皮で被覆されたケーブルについて、前記ケーブルの端から所定の長さの端末外皮を除去して、露出した前記電線を分散処理するケーブル端末処理方法であって、前記端末外皮を前記電線の一部が内側に残留する状態まで引き抜き、前記端末外皮と前記ケーブルの本体側に残留した本体外皮との間に前記電線が露出した露出部を形成する引抜工程と、前記端末外皮を、前記本体外皮に対して相対的に変位させ、前記露出部の前記電線を緩ませる緩み工程と、前記露出部の前記電線の位置情報を取得する計測工程と、前記露出部の前記電線に対して変位可能な仕切部材を備え、前記位置情報に基づいて前記仕切部材の位置を制御して、前記露出部の前記電線のすきまに前記仕切部材を挿入する仕切工程と、前記仕切部材を前記すきまに挿入した状態で変位させて露出した前記電線を分散させる分散工程と、を備えたケーブル端末処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、複数の電線が外皮で被覆された多芯のケーブルについて、ケーブル端末の外皮を除去した後、露出した電線の撚りをほどき確実に分散させることができる。これにより、各電線端末の絶縁被覆を除去したり、各電線端末に配線用端子を取り付ける等の端末処理を効率良く実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のケーブル端末処理方法で処理されるケーブルの断面図である。
【
図2】ケーブル端末処理装置の構成を示す構成図である。
【
図4】引抜工程における外皮操作部の動作を説明する説明図である。
【
図5】計測部の構成と計測工程の処理内容を説明する説明図である。
【
図6】イメージセンサに表示された電線の画像データから電線の位置情報を取得する方法を説明する説明図である。
【
図7】学習済みモデルを構築するための教育画像データとこれに対応するマスク画像の例である。
【
図8】仕切操作部の構成と仕切工程の処理内容を説明する説明図である。
【
図9】分散工程で電線の端末を分散する過程を示す模式図である。
【
図10】電線ガイドで分散した電線の位置決めする動作を説明する説明図である。
【
図11】端末処理工程で電線の絶縁被覆を除去する処理を説明する説明図である。
【
図12】端末処理工程で電線に配線用端子を固定する処理を説明する説明図である。
【
図13】整線部材を用いて露出部の電線を整列させた状態を示す模式図である。
【
図14】第4実施形態の計測工程の処理方法を説明する説明図である。
【
図15】第4実施形態の仕切工程の処理内容を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態(第1実施形態)を図を用いて詳細に説明する。第1実施形態に係るケーブル端末処理方法では、複数の電線11が外皮12で被覆された多芯のケーブル10について、端から所定の長さの外皮12を除去して、露出した電線11を配線可能に処理している。露出させた部分の電線11の長さは、通常、数センチメートルから10センチメートル程度である。以下の説明では、除去されるケーブル端末の外皮12を「端末外皮12a」といい、ケーブル10の本体側に残留する外皮12を「本体外皮12b」という。
【0011】
図1は、第1実施形態のケーブル端末処理方法で処理されるケーブル10の、中心軸mと直交する向きの断面を示している。ケーブル10は、3本の電線11が、まとめて外皮12で覆われている。外皮12は、塩化ビニル(PVC)等の樹脂製である。各電線11は、銅などの導体からなる信号線13が、樹脂製の絶縁体(絶縁被覆14)で被覆されている。電線11の直径dは、概ね0.5mm~4mm程度である。各電線11は、中心軸mに沿って所定のピッチで螺旋状にねじれた状態で、外皮12の内側に組み込まれている。なお、ケーブル10に組み込まれる電線11の本数は例示であって、これに限定されるものではない。
【0012】
図2は、第1実施形態に係るケーブル端末処理方法を実行するために使用されるケーブル端末処理装置70の構成を示す構成図である。
ケーブル端末処理装置70は、外皮操作部21、整線部31、計測部41、及び、仕切操作部51を備えている。各部21、31、41、51は、制御装置61によって統合して制御されている。制御装置61は、記憶部61aと演算部61bとを備えている。演算部61bは、所定のプログラムが設定されており、記憶部61aのデータや外部機器からの入力信号に基づいて演算した結果に基づいて、外部機器の動作を制御することができる。各部21、31、41、51は、一の架台68(
図3参照)に搭載されており、制御装置61と信号を送受信することによって、協働してケーブル10に作用して、ケーブル10の端末処理を行っている。説明の便宜のため、
図3に示すように、各部21、31、41、51を搭載する架台68の搭載面を水平面からなるXY平面とし、鉛直方向にZ軸を定める。なお、各部21、31、41、51は、同時に架台68に搭載されているが、図が煩雑になるため、以下の説明では、各工程で使用する要素のみを示して、使用しない要素の図示を省略する。
【0013】
端末処理とは、外皮12を除去し、露出した電線11をバラバラに分散させて配線可能な状態に処理することを意味しており、電線11の端末に配線用端子を装着する処理も含まれる。通常、外皮12を除去しただけでは、電線11が互いに撚り合わされているので、電線端末に配線用端子を装着するときには、まず電線11の撚りをほぐして、各電線11の端末を他の電線11の端末と離れた状態に分離する必要がある。しかしながら、この作業は煩雑でこれまで手作業によるところが大きく、工数がかかる作業であった。本実施形態に係るケーブル端末処理方法によると、外皮12を除去するとともに電線11を分散させる処理を自動化できるので、電線端末に配線用端子を取り付けてケーブル10を配線可能にする等の処理が極めて容易になり、ケーブル10の生産効率を向上させることができる。
【0014】
第1実施形態のケーブル端末処理方法では、外皮12を引き抜く引抜工程と、露出した電線11を緩ませる緩み工程と、露出した電線11の位置情報を取得する計測工程と、露出した電線11のすきまに爪52(仕切部材)を挿入する仕切工程と、電線11を分散させる分散工程と、が順次実行される。
【0015】
(引抜工程)
図3、
図4によって、引抜工程について説明する。
図3は、外皮操作部21の構成を示す模式図であり、
図4は、引抜工程における、外皮操作部21の動作を説明するための説明図である。引抜工程では、被加工物としてのケーブル10を外皮操作部21に組み付けて、ケーブル10の端から所定の長さの端末外皮12aを引き抜いて、電線11を露出させている。このとき、端末外皮12aは完全に引き抜かれるのではなく、端末外皮12aの内側に電線11の一部が残留する状態まで引き抜かれる。なお、以下の説明では、各軸の矢印の向きを(+)、矢印と反対の向きを(-)という場合がある。
【0016】
図3を参照する。外皮操作部21は、第1把持部22と、スライド部23と、第2把持部24と、を備えており、ケーブル端末処理装置70の架台68に搭載されている。
【0017】
第1把持部22は、シャフト22aに固定された第1把持手段22bを備えている。ケーブル10は、第1把持手段22bで、中心軸mを図の左右方向(Y軸方向)に向けて保持されている。第1把持手段22bはエアチャックであって、空気圧を供給することによってケーブル10を変位不能に把持することができる。ケーブル10には、あらかじめ、端末外皮12aと本体外皮12bとの境界部に切込部15が形成されている。
シャフト22aは、その中心軸nをY軸方向に向けて設置され、深溝玉軸受などの転がり軸受で回転自在に支持されており、モータ22cで駆動される。シャフト22aにはエンコーダ22dが取り付けられており、回転角に応じたパルス信号S2が制御装置61に送信されている。第1把持手段22bは、制御装置61からの指令に応じて、所定の角度だけ回転することができる。
【0018】
スライド部23は、第1クランプ装置23bと、第1クランプ装置23bを搭載する第1直動装置71と、を備えている。
第1クランプ装置23bはエアチャックであり、空気圧を供給することによって互いに接近しまたは離反する一対のクランプ23a、23aを有する。
一組のクランプ23a、23aは、互いに向き合う側の端部にそれぞれ凹部23cを備えている。
図3(a)は、クランプ23aの端部をY軸方向から見た部分側面図である。各凹部23cは半円形状であって、上下のクランプ23aが互いに接近したときには、単一の円筒孔を形成する。この円筒孔の直径は、ケーブル10の外皮12の外径より小径で、かつ、内部の複数の電線11の外接円の直径より大径である。
【0019】
第1直動装置71は、公知の直動装置であって、直動軸受で支持されたベースHが、ボールねじGとモータMで駆動されてY軸方向に直線的に移動する装置である。ボールねじGにはエンコーダFが取り付けられており、制御装置61からの指令によって所定の角度回転し、ベースHがY軸方向に所定の距離だけ移動する。第1直動装置71の詳細構造については図示を省略する。
第1クランプ装置23bは、第1直動装置71のベースHに固定されており、制御装置61からの指令に応じて、Y軸方向に所定距離だけ移動することができる。
【0020】
第2把持部24は、第1把持部22と同様の形態で、シャフト24aに固定された第2把持手段24bを備えている。第1把持手段22bと第2把持手段24bは、Y軸方向で互いに向き合うように配置されており、シャフト22aとシャフト24aは互いに同軸に配置されている。
シャフト24aは、モータ24cで駆動されており、エンコーダ24dが取り付けられている。これにより、第2把持手段24bは、制御装置61からの指令に応じて所定の角度だけ回転する。また、第2把持手段24bは、第2直動装置72に搭載されており、Y軸方向に移動することができる。第2直動装置72の構造は第1直動装置71と同様であり説明を省略する。
なお、本実施形態では、第1クランプ装置23b及び各把持手段22b、24bとしてエアチャックを使用しているが、電動チャックなどその他のアクチュエータを使用してもよい。
【0021】
図4では、外皮12の内側の電線11を、一点鎖線で示している。なお、図が煩雑になるのを避けるため、直動装置やエアチャック等の表示を省略し、又は簡略にしている。引抜工程では、
図4(a)、(b)の順に処理が実行される。
【0022】
図4(a)に示すように、ケーブル10は、端末をY軸の(-)の方向に向けて、本体外皮12bの部分が第1把持手段22bで軸方向に変位不能に把持されている。
次に、ケーブル10の切込部15の位置で一対のクランプ23a、23aが互いに接近し、内部の電線11をZ軸方向に挟んだ状態となる。各クランプ23aの凹部23c(
図3(a)参照)の内径は複数の電線11の外接円の直径より大径であるため、電線11を拘束しない。
【0023】
次に、
図4(b)に示すように、クランプ23aが電線11を挟んだ状態のまま、Y軸の(-)方向に移動する。凹部23cの内径は外皮12の外径より小径であり、また、電線11は第1把持手段22bによって固定されているので、端末外皮12aのみがY軸の(-)方向に移動する。
【0024】
クランプ23aは、電線11が端末外皮12aから完全に抜け切る手前で移動を停止する。すなわち、端末外皮12aの内側に電線11の端部が残留している。
図4(b)では、端末外皮12aの内側に残留する電線11にハッチングを付してPで示している。端末外皮12aの内側に残留する電線11の軸方向の長さは、端末外皮12aによって複数の電線11の端末を保持することができる程度の長さであって、電線11が撚り合わされる螺旋のピッチ(螺旋の1周期の軸方向長さ)の1/2以下、更に好ましくは螺旋のピッチの1/4以下に設定される。
【0025】
こうして、端末外皮12aと本体外皮12bとの間に、電線11が露出した露出部28が形成される。露出部28では、各電線11は、螺旋状に撚り合わされており、複数の電線11の間に殆どすきまがない状態となっている。
【0026】
なお、第1実施形態では、あらかじめ切込部15を形成したケーブル10を準備しているが、クランプ23aの凹部23cの内周に鋭利な刃先を設けて、刃先をケーブル10に押し付けて切込部15を形成しつつ端末外皮12aを軸方向に移動させて、露出部28を形成してもよい。
【0027】
(緩み工程)
図4(c)によって緩み工程の処理方法を説明する。
緩み工程では、端末外皮12aと本体外皮12bとの間で撚り合わされた状態で露出している電線11を緩ませて、電線11と電線11との間にすきまsを形成している。
図4(c)は、
図4(b)で露出部28が形成されたあと、端末外皮12aがY軸の周りで矢印R1の向きに回転するとともにY軸の(+)方向に変位した状態を模式的に示している。
【0028】
緩み工程では、第2把持手段24bが、端末外皮12aを把持した状態で、中心軸nを中心として矢印R1の向きに回転している。この回転の向きは、露出部28において螺旋状に撚り合わされている電線11が緩む向きである。螺旋のピッチやねじれ方向は既知である。このため、第2把持手段24bを、電線11が撚り合わされている方向と逆向きに所定の角度だけ回転させることによって、露出部28の電線11を緩ませることができる。好ましくは、露出部28の軸方向両端で各電線11の周方向の位相が同じ位相となり、各電線11がY軸方向に捩じれないように第2把持手段24bを回転させるのがよい。これにより、各電線11の密着度が低減する。
【0029】
端末外皮12aを矢印R1の向きに回転させた後、又は、回転と同時に、第2把持手段24bがY軸の(+)方向に移動する。この結果、露出部28の軸方向の長さが短くなるので、各電線11が撓んで、各電線11の間に大きいすきまsを形成することができる。
このように、緩み工程では、端末外皮12aと本体外皮12bとを相対的に変位させることによって露出部28の電線11を緩ませて、各電線11の間にすきまsを形成している。
【0030】
(計測工程)
計測工程では、露出部28における電線11の位置情報を取得している。
図5は、電線11の位置情報を取得する計測部41の構成を示すとともに、露出部28の複数の電線11をY軸と直交する向きの断面で示している。計測部41では、レーザ装置42を使用して電線11の位置情報を取得している。
位置情報とは、各電線11のX軸、Y軸、Z軸方向の位置に関する情報であって、各電線11の位置や、電線11と電線11との間のすきまsの位置や大きさなどが含まれる。なお、
図5の電線11の配置は例示である。通常、露出部28では、各電線11は不規則に配置される。
【0031】
計測部41は、レーザ装置42と、レーザ装置42を搭載する第3直動装置73と、制御装置61と、を主要構成要素としている。第3直動装置73は、ケーブル端末処理装置70の架台68に搭載されている。レーザ装置42は、レーザ光を発光する発光部42aと、反射したレーザ光を受光する受光部42bと、を備えている。
レーザ光は、露出部28の電線11に向けてX軸方向に照射されている。電線11で反射したレーザ光が受光部42bに到達すると、レーザ装置42から制御装置61に受光信号S1が送信される。レーザ光が電線11の存在しない場所に照射されたときには、受光部42bに反射光が到達しないので、受光信号S1は送信されない。
【0032】
レーザ装置42は、第3直動装置73に搭載されて、レーザ光を照射しながらZ軸方向に変位する。こうして、露出部28の全ての電線11に対してレーザ光が照射される。
第3直動装置73は、第1直動装置71と同様の構成であり、ボールねじGとモータMを備えている。ボールねじGにはエンコーダFが取り付けられており、ボールねじGが回転すると、回転角に応じたパルス信号S2が制御装置61に送信される。制御装置61は、演算部61bを内蔵しており、パルス信号S2に基づいて算出した回転角とあらかじめ記憶部61aに記憶されているボールねじGのリード長さとに基づいて、レーザ装置42のZ軸方向の位置を計測することができる。
【0033】
電線11の位置情報を取得する方法について、
図5のZ軸方向で最も(+)側の電線11bを例にして具体的に説明する。説明の便宜のため、Z軸方向の中央の電線11を11aとし、Z軸方向(+)側の電線11を11b、Z軸方向(-)側の電線11を11cとする。レーザ装置42は、レーザ光をX軸方向に照射しながら、各電線11のZ軸方向の(+)側から(-)側に向けて移動するものとする。
【0034】
図5に、取得した位置情報の例(計測例)を示している。計測例は、レーザ装置42のZ軸方向の位置と、受光信号S1の有無との関係を示している。計測例では、受光信号S1があるときを1、無いときを0として示している。
レーザ装置42が、電線11よりZ軸方向(+)側に位置しているとき(計測例のAで示す領域)は、レーザ光が電線11に照射されないので受光部42bに反射光が到達せず、受光信号S1は0である。レーザ装置42がZ軸の(-)方向に移動して、レーザ光が電線11に照射されたとき(計測例のBで示す領域)は、反射光が受光部42bに到達し、受光信号S1は1である。更に、レーザ装置42がZ軸の(-)方向に移動して、レーザ光が電線11よりZ軸方向(-)側に位置しているとき(計測例のCで示す領域)は、レーザ光が電線11に照射されないので受光部42bに反射光が到達せず、受光信号S1は0である。
【0035】
制御装置61は、受光信号S1を受信しない領域Aから受光信号S1を受信する領域Bに変化する位置P1が、電線11のZ軸方向(+)側の外周であり、受光信号S1を受信した領域Bから受光信号S1を受信しない領域Cに変化する位置P2が、電線11のZ軸方向(-)側の外周であるという位置情報を取得することができる。その他の電線11についても同様にして位置情報を取得することができる。
【0036】
こうして、制御装置61は、X軸方向からみたときの露出部28の各電線11の位置や、各電線11と電線11とのすきまsの位置、大きさなどの位置情報を取得することができる。特に、レーザ光は、室内の照明光と明確に区別できるので、室内照明等の外乱を受けることなく、電線11の位置を明確に検出できる。このため、電線11の位置情報を正確に取得することができる。
【0037】
なお、レーザ光を照射する方向は、必ずしもX軸と一致する必要はない。レーザ光が電線11に照射されれば受光部42bで反射光を検出できるので、レーザ光が、少なくともXY平面と平行で、ケーブル10の中心軸mに対して傾いた向きに照射されていれば、上記と同様の位置情報を取得できる。
また、上記の例では、反射光の有無によってZ軸方向の電線11の外周を検出して電線11の位置を特定しているが、これに限定されない。例えば、レーザ装置42が被照射体との距離を計測できる場合には、各電線11の頂点の位置(X軸方向でレーザ装置42に最も近い点)を検出して、各電線11の位置を特定することができる。電線11の直径dが既知であるので、記憶部61aに直径dの値を記憶しておくことによって、頂点の位置よりZ軸方向(+)側にd/2の位置と、Z軸方向(-)側にd/2の位置をそれぞれ電線11の外周として特定することができる。
また、第3直動装置73が、Y軸方向に変位し得る他の直動装置で支持された構造にすることによって、レーザ装置42のY軸方向の位置を変えて、すきまsの位置を計測することができる。これにより、YZ面内ですきまsの位置や大きさを測定できるので、更に詳細な位置情報を取得することができる。
【0038】
(仕切工程)
次に、
図8によって仕切工程について説明する。仕切工程では、計測工程で取得した位置情報に基づいて、爪52が露出部28の電線11のすきまsに挿入されるように、仕切操作部51が制御装置61によって制御されている。
図8は、仕切操作部51の構成を示す模式図である。
図8では、
図5と同様に、露出部28における複数の電線11を、Y軸と直交する向きの断面で示している。以下で詳細に説明するが、仕切工程では、露出部28よりX軸(+)側に配置された爪52が、白抜き矢印J1で示す向き(X軸(-)方向である)に移動して、露出部28に挿入された状態を模式的に示している。露出部28の電線11については、
図5と同様に、Z軸方向の中央の電線11を11aとし、Z軸方向(+)側の電線11を11b、Z軸方向(-)側の電線11を11cとして説明する。
【0039】
仕切操作部51は、爪52をX軸方向に移動する第4直動装置74と、第4直動装置74を搭載してZ軸方向に移動する第5直動装置75と、を備えている。第5直動装置75は、後述する第6直動装置76を介してケーブル端末処理装置70の架台68に搭載されている。各直動装置74、75は、いずれも第1直動装置71と同様の構成であり、ボールねじGにはモータMとエンコーダFが取り付けられている。各直動装置74、75は、制御装置61からの指令によって、ボールねじGを所定の角度だけ回転させて、それぞれのベースHがボールねじGの軸方向に移動する。
【0040】
仕切操作部51は、一組の爪52、52を備えている。各爪52は互いに同一の形状で、Y軸方向の断面が略矩形の角柱である。各爪52は、第2クランプ装置54の可動アームに、Z軸方向で互いに向き合って取り付けられており、Z軸方向で互に接近又は離反することができる。
各爪52は、先端部52a(
図8ではX軸方向(-)側の端部である)のZ軸方向の厚さが薄くなっている。また、先端部52aは、本体部52bに対して内方(一組の爪52部材が互いに近づく向きを内方といい、互いに離れる向きを外方という)に傾いて設けられており、先端部52aでは、一組の爪52、52の内幅w1が本体部52b、52bの内幅w2よりわずかに狭くなっている。
各爪52の外方に、電線ガイド53が一体に取り付けられている。それぞれの電線ガイド53は、爪52が露出部28に挿入されたときに、露出部28の電線11をZ軸方向の両外側で囲むように配置されている。
【0041】
次に、仕切工程における処理方法を説明する。
仕切工程では、一組の爪52、52が、先端部52aを露出部28の電線11に向けて、露出部28よりX軸(+)方向に離れて配置される。このとき、一組の爪52、52の内幅w1が、電線11の直径dよりわずかに大きくなるように配置される。次に、計測工程で取得した位置情報に基づいて3本の電線11のうちZ軸方向の中央にある電線11aを選択し、一組の爪52、52のZ軸方向の位置と電線11aのZ軸方向の位置とが一致するように、第5直動装置75が制御装置61の指令を受けてZ軸方向に移動する。この状態で、制御装置61の指令を受けて、第4直動装置74がX軸(-)方向に移動して、一対の爪52、52が電線11aを跨いで露出部28に挿入される。
【0042】
爪52の内幅w1が、電線11aの直径dよりわずかに大きいので、Z軸方向(+)側の爪52は、電線11aのZ軸方向(+)側の近傍に挿入され、Z軸方向(-)側の爪52は、電線11aのZ軸方向(-)側の近傍に挿入される。
各電線11a、11b、11cは、Z軸方向に互いにすきまsをもって配置されている(
図5参照)。このため、爪52が、電線11aの近傍を通過することによって、電線11aのZ軸方向(+)側に挿入した爪52は、電線11aと電線11bとのすきまsに確実に挿入され、同時に、電線11aのZ軸方向(-)側に挿入した爪52は、電線11aと電線11cとのすきまsに確実に挿入される。また、爪52は、先端部52aの板厚が薄く形成されているので、すきまsが小さいときでも電線11と電線11との間隔を押し広げながら挿入される。
【0043】
こうして、仕切工程では、計測工程で取得した位置情報に基づいて露出部28の電線11のすきまsに爪52を挿入しているので、電線11が、爪52と衝突することによって折り曲げられるのを確実に防止できる。
なお、爪52を支持する第2クランプ装置54の可動アームを操作して、内幅w1を変更することにより、電線11の直径dが異なるケーブル10にも対応できる。
また、本実施形態では、爪52は、第5直動装置75によってZ軸方向に移動しているが、第4直動装置74を計測部41の第3直動装置73に搭載して、爪52とレーザ装置42とを一つの直動装置で移動させてもよい。また、爪52,52を6軸多関節ロボットで支持して、制御装置61の指示に基づいて6軸多関節ロボットを制御することによって、爪52を露出部28に向けて挿入してもよい。
【0044】
(分散工程)
図9によって、分散工程における処理方法を説明する。
分散工程では、爪52を電線11のすきまsに挿入した状態でY軸方向に変位させて電線11を分散させている。一組の爪52と、爪52をY軸方向に移動させる第6直動装置76とは、ケーブル端末処理装置70の分散部を構成する。
図9は、分散工程において、電線11の端末を分散する過程を示す模式図であって、(a)(b)(c)の順に処理が行われる。なお、爪52は、電線ガイド53を一体に備えているが、
図9では、図が煩雑になるため電線ガイド53の表示を省略している。
【0045】
図9(a)は、仕切工程で、
図8に示すように爪52が露出部28に挿入された状態を、爪52の先端部52aの側からX軸方向にみた模式図である。
図9(b)は、爪52が露出部28に挿入された状態で、端末外皮12aを除去したときの電線11の状態を示している。
図9(a)では端末外皮12aの内側に電線11の一部が残留しているに過ぎず、端末外皮12aを容易に取り除くことができる。端末外皮12aを除去したときには、電線11の端末が互いに近接した状態となっているので、個々の電線11を他の電線11から分離して取り出しにくく、この状態のままでは各電線端末の絶縁被覆14を除去したり、配線用端子を取り付けたりする作業が困難である。
【0046】
そこで本実施形態では、第6直動装置76のベースHがY軸方向に移動することによって、
図9(c)に示すように、爪52が、中央の電線11aを跨いで、電線11のすきまsに挿入された状態で、本体外皮12bの側に軸方向に移動している。爪52の本体部52bの内幅w2は先端部52aの内幅w1より大きく(
図8参照)、電線11aと爪52との間に比較的大きいすきまが形成されている。このため、一組の爪52、52が、中央の電線11aを跨いだ状態でY軸方向に容易に移動することができる。
【0047】
露出部28の電線11は、本体外皮12bの近傍では各電線11が束ねられた状態であり、各電線11が互いに近接している。爪52が本体外皮12bに向けて押し付けられると、両外側の電線11b、11cが爪52に押されて強く折り曲げられる。
爪52はZ軸方向に所定の厚みを有しており、また、本体部52bの内幅w2は電線11の直径dより大きくしているので、爪52の本体部52bの外幅w3(
図9(c)参照)は、電線11b,11cを外向きに折り曲げるのに十分な大きさを有している。
【0048】
図9(a)の状態では、端末外皮12aの内部に残留する電線11の長さが、外皮12の内側で撚り合わされた電線11の螺旋ピッチの1/2以下になるように端末外皮12aが引き抜かれるので、
図9(b)の状態では、電線11の端末は、互いに拘束されるほどに撚り合わされていない。このため、爪52が本体外皮12bに向けて押し付けられるだけで、両外側の電線11b、11cが電線11aから離れて外向きに変形することができるので、各電線11を容易に分散させることができる。
なお、
図9(a)において、端末外皮12aの内部に残留する電線11の長さを、螺旋のピッチの1/4以下にすれば、両外側の電線11b、11cを更に容易に変形させることができる。
【0049】
なお、爪52が可動チャック等で支持されて爪52の内幅w1が可変であるので、可動チャックを制御装置61でからの指令によって動作させて、一組の爪52を、露出部28に挿入した状態のまま互いに離れる向きにZ軸方向に大きく変位させて、両外側の電線11b、11cを中央の電線11aから離れる向きに動かすことによって、各電線11を分散させてもよい。
【0050】
以上説明したように、第1実施形態のケーブル端末処理方法によると、複数の電線11が外皮12で被覆された多芯のケーブル10について、ケーブル端末の外皮12を除去した後、露出した電線11の撚りをほどき、電線11のすきまsに爪52を確実に挿入することができるので、電線11の損傷を防止しつつ確実に分散させることができる。
これにより、後の工程において各電線端末の絶縁被覆14を除去したり、配線用端子を取り付けたりする端末処理の自動化が容易になる。
【0051】
(端末処理工程)
分散工程の後、各電線端末の絶縁被覆14を除去して配線用端子を固定する端末処理工程を設けることができる。これにより、ケーブル10について、外皮12を除去して配線用の端子を取り付けるまでの工程を一貫して自動化することができる。絶縁被覆14を除去する被覆除去装置80、及び、配線用端子を固定する圧着装置85は、端末処理部を構成する。
分散工程で電線11が分散された状態のケーブル10は、例えば、6軸多関節ロボット(図示を省略する。以下、単に「ロボット」という)によって、被覆除去装置80に搬送することができる。
【0052】
図10から
図12によって、端末処理工程について説明する。
図10は、分散工程で分散された電線11を、被覆除去装置80に搬送するときの各部の動作を説明する説明図である。
図10(a)は、
図9(c)と同一の模式図であって、爪52を電線11の根元に押し付けたときの電線11と電線ガイド53の配置を示している。電線ガイド53は、一対の爪52、52のそれぞれの外方に設けられており、それぞれ爪52と一体に形成されている。
図10(b)は、
図10(a)に対して爪52及び電線ガイド53をY軸(-)方向に移動させたときの、電線11と電線ガイド53の配置を示す模式図である。
分散工程で電線11を分散させた後、電線ガイド53をY軸(-)方向に移動することにより、ロボットが電線11を容易に把持することができる。
【0053】
電線11は、銅製の信号線13を樹脂製の絶縁被覆14で被覆された形態であり、折り曲げるときに粘弾性を有している。このため、爪52を本体外皮12bの側に押し付けて変形させたときの電線11b、電線11cの変形量は不確定である。
そこで、
図10(b)に示すように、爪52を再びY軸(-)方向に移動させて、爪52と一体に形成された電線ガイド53を電線11b、11cに押し付けることによって、両外側の電線11b、11cを弾性をもってY軸(-)方向に変位させている。これにより、電線11b、11cが、電線ガイド53と接触して、概ね一定の位置に配置される。
このため、ロボットが各電線11を把持するときに、電線11の位置を個別にセンシングする必要がなく、各電線を容易に把持して被覆除去装置80に搬送することができる。
【0054】
図11は、被覆除去装置80の構成を説明する説明図である。なお、被覆除去装置80の形態は例示であり、この形態に限定されるものではない。
被覆除去装置80は、回転軸58と、電線11の絶縁被覆14を切り取る刃60を有している。回転軸58は、図示しない転がり軸受等で支持されており、中心軸kの周りで回転する。刃60は、径方向の任意の位置に固定することができて、絶縁被覆14の切込量を調整することができる。
分散工程で分散された電線11は、ロボットで搬送されて、回転軸58と同軸に配置される。その後、刃60が回転して、絶縁被覆14の全周に切り込みが形成される。次に、刃60を軸方向に白抜き矢印J2の向きに移動させて絶縁被覆14が除去される。
その後、
図12に示すように、電線端末に露出した信号線13が配線用端子の一例としての圧着端子86の嵌合部86aに嵌め合わされた状態で、嵌合部86aが圧着装置85で白抜き矢印J4で示す向きにカシメられることによって、電線端末に圧着端子86が固定される。圧着端子86には、配線の目的に応じて種々の圧着端子を使用できる。また、圧着装置85は、公知の圧着装置が使用される。
【0055】
こうして、分散工程の後、端末処理工程を設けることによって、ケーブル10について、外皮12を除去して配線用の端子を取り付けるまでの工程を一貫して自動化することができる。
【0056】
以上説明したように、第1実施形態のケーブル端末処理方法によると、複数の電線11が外皮12で被覆されたケーブル10について、外皮12を除去した後、各電線11の端末をバラバラに分散させることができる。これによって、各電線11の端末処理を自動化して、各電線端末に圧着端子86を取り付ける等の作業を効率良く実施できる。
【0057】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態に比べて計測工程の動作のみが異なっている。図示を省略するが、第2実施形態の計測工程では、第1実施形態のレーザ装置42に替えてイメージセンサ62を備えた第1CCDカメラ(撮影装置)を用いて露出部28を撮影し、電線11の位置情報を取得している。第1CCDカメラは、第3直動装置73のベースHに搭載され、
図5におけるレーザ装置42の位置に、X軸(-)方向に向けて設置され、露出部28の複数の電線11a~11cを撮影している。
【0058】
図6は、イメージセンサ62に表示された露出部28の電線11a~11cの一部(図中にNで示す)を画像解析する例を示している。イメージセンサ62は、画素63が、二次元の平面状に配列されており、撮影した電線11が二次元の座標系に表示される。撮影した画像データは、制御装置61に送信される。制御装置61は画像処理装置として動作しており、受信した画像データを画像解析して、画素63の座標にもとづいて各電線11a~11cの位置情報を取得する。
図6では、矢印Lの向きにスキャンして、輝度や色(例えば、256階調で表現したRGB値である)などの画素63の属性が大きく変化する箇所(H1~H6で示す位置である)を電線11の外径の位置として認識し、各点の座標に基づいて各電線11a~11cの位置情報を取得することができる。
【0059】
こうして、第2実施形態においても第1実施形態と同様にして、制御装置61は、X軸(-)方向にみたときの露出部28の各電線11の位置や、各電線11と電線11とのすきまsの位置、大きさなどの位置情報を取得することができる。
【0060】
更に、第2実施形態では、複数のCCDカメラを使用して、互いに異なる方向から露出部28を撮影することによって、各電線11の三次元の位置情報を取得できる。例えば、図示を省略するが、第2CCDカメラを
図5において露出部28の電線11の上方(Z軸(+)方向である)に配置して、Z軸(-)方向に撮影し、第1、第2CCDカメラの撮影画像を画像解析して、各電線11の三次元の位置情報を取得することができる。
【0061】
また、第1、第2CCDカメラで、電線11の絶縁被覆14の色を判別することにより、分散した電線11の色を所定の順序に配列することが出来る。例えば、三本の電線11a~11cの絶縁被覆14の色が、赤、黒、白であるとき、
図9(c)において、中央の電線11aの色が赤となるように分散処理をする場合に、三本の電線11a~11cが所定の色の順に整列していないときは、当該計測工程において、第1把持手段22b及び第2把持手段24bを回転させて、端末外皮12aと本体外皮12bを同時に同一の方向に回転させることによって、中央の電線11aの色が赤となるようにケーブル10の向きを修正することができる。このように向きを修正した後、第1実施形態と同様に仕切工程及び分散工程の処理を行うことにより、
図9(c)に示すように電線11が分散されるとともに、電線11の色が所定の順に並んだケーブル10を製造することができるので、その後の配線作業を効率よく実施することができる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第2実施形態と同様に、計測工程において、イメージセンサ62を備えたCCDカメラ(図示を省略する)を用いて露出部28を撮影している。更に、第3実施形態の制御装置61の演算部61bには、AI(人工知能)のプログラムが設定されている。AIを使うことにより、電線11を明確に識別できるので、露出部28の電線11の位置情報をさらに明確に取得することができる。特に、CCDカメラで撮影した画像において複数の電線11の重なり状態を判別できるので、仕切工程に移行することの可否を判断することが出来る。
【0063】
第3実施形態では、
図7(a)、(b)に例示するような露出部28の電線11の画像データを大量に取得し、例えばディープラーニングによる機械学習を行い、電線11を識別するための学習済みモデルを構築している。すなわち、
図7(a)、(b)の画像データは教育用の画像データであり、あらかじめ大量の画像データが取得される。以下のAIの説明では、分散処理する対象の電線11を撮影した画像データと区別するために、教育用の画像データを「教育画像データ」として説明する。ここで、
図7(a)の画像は、複数の電線11bと11cとが重なっており、仕切工程に移行することができない状態の例を示している。
図7(b)の画像は、各電線11a~11cがバラバラに分散されており、仕切工程に移行できる状態の例を示している。
【0064】
機械学習による学習済みモデルについて説明する。機械学習では、教育画像データ取得プロセス、マスク画像作成プロセス、学習済みモデル構築プロセスの各プロセスが実行される。
教育画像データ取得プロセスでは、
図7(a)、(b)に示すような電線11の教育画像データを大量に取得し、制御装置61の記憶部61aに記憶される。第3実施形態では、3千から1万の教育画像データを記憶しているが、取得する教育画像データの数は、記憶部61aの容量に応じて更に増減させてもよい。
マスク画像作成プロセスでは、撮影した各教育画像データについて、電線11の色、形状、及び背景W等を明確にしてマスク画像を作成している。背景Wとは、電線11および外皮12を除いた領域を意味する。一般的に、マスク画像の作成は人の手を介して行われる。露出部28を撮影して取得した画像は、照明の反射や背景Wとのコントラストなどの影響で電線11の輪郭を明確に識別できない場合があるが、マスク画像を作成することにより、電線11の位置を明確にすることができる。
図7(c)、
図7(d)は、それぞれ
図7(a)、
図7(b)の教育画像データについて、各電線11a~11cの輪郭や背景Wとの境界を明確にするとともに、外皮12の形状を明確にしたマスク画像の例である。
図7(c)、(d)では、説明のために電線11および外皮12の輪郭を実線で表示しているが、実際のマスク画像では、各電線11a、11b、11cおよび外皮12を、それぞれの輪郭を含めて別々の単一色で塗りつぶして作成する。また、
図7(c)、(d)では、背景Wにクロスハッチングを施しているが、実際のマスク画像では、背景Wは、電線11や外皮12とは別の単一色で塗りつぶしている。こうして、マスク画像では、各電線11a、11b、11c、外皮12、背景Wがそれぞれ別々の単一色で塗り分けられて、電線11の位置が明確に表されている。
【0065】
学習済みモデル構築プロセスでは、教育画像データ取得プロセスで取得した教育画像データにおける各画素63のフィーチャーと、マスク画像作成プロセスで作成したマスク画像とを対応させて機械学習をすることによって学習済みモデルを構築している。フィーチャーとは、画像データにおける各画素63の属性であり、各画素63の色(例えば、256階調で表現したRGB値である)や、その画素63から各方向の他の画素63に向けて色の変化する程度、などの情報が含まれる。
すなわち、学習済みモデルは、画素63に撮影されているものが電線11である確率を画素63のフィーチャーに基づいて推定するための指標である。したがって、位置情報が未知の電線11の画像データTを取得したときに、その画像データTの各画素63のフィーチャーを知ることにより、学習済みモデルに基づいてその画素63に撮影されているものが電線11である確率を推定して、電線11の色、形状、及び背景W等を明確にした画像データを作成することが出来る。
【0066】
このようにAIを利用すると、第2実施形態で説明したようなイメージセンサ62上の輝度等の変化だけでは識別できない電線11の輪郭についても明確に識別することができる。例えば、多芯のケーブル10では、撚り合わせた内部の電線11同士が固着するのを防ぐためにタルクが塗布されている。このため、外皮12を除去したときに、電線11の表面がタルクによって白っぽくなり色を識別しにくくなったり、背景Wとの境界が不明確になって電線11の位置を明確に特定できない等の不都合が生じる場合がある。このような場合でも、タルクが付着した電線11のフィーチャーを学習することによって、タルクが付着していない状態の電線11の形態を推定して、電線11と背景Wとを明確に識別することができる。
【0067】
こうして、撮影した画像データTについて、電線11の形態を明確に識別した画像データを取得することにより、電線11と電線11との間のすきまsの大きさを判別して、露出部28の電線11の分散状態が、仕切工程に移行することができる状態か否かの判断をすることが出来る。
電線11の重なりがなく、仕切工程に移行できると判断された場合には、演算部61bは、撮影した画像データに基づき各電線11と電線11とのすきまsの位置、大きさなどの位置情報を取得する。
電線11と電線11とが重なっていると判断された場合には、第1把持手段22b及び第2把持手段24bを回転させて、端末外皮12aと本体外皮12bを同時に同一の方向に回転させることによってケーブル10の向きを修正し、電線11が互いに重ならない向きに配置することができる。こうして、再度画像データを取得して、電線11の重なりがない状態で位置情報を取得することができる。
【0068】
こうして、第3実施形態では、CCDカメラで撮影した露出部28の画像について、電線11の重なりの有無を判別しつつ、第2実施形態の計測工程と同様にして、X軸方向からみたときの露出部28の各電線11の位置や、各電線11と電線11とのすきまsの位置、大きさなどの位置情報を取得することができる。
【0069】
(第4実施形態)
本発明の他の実施形態(第4実施形態)について説明する。第4実施形態では、第1実施形態のケーブル端末処理方法に対して、緩み工程が終了した後、整線工程を設けた点が異なっている。第4実施形態のケーブル端末処理方法は、第1実施形態のケーブル端末処理方法に比べて、更に確実に電線11を分散させることができる。
【0070】
第4実施形態のケーブル端末処理方法は、引抜工程と、緩み工程と、整線工程と、計測工程と、仕切工程と、分散工程と、が順次実行される。整線工程を除く、その他の各工程の処理方法は第1実施形態とほぼ同様である。以下の説明では、第1実施形態と共通する構成、及び、処理方法については説明を省略し又は簡単にする。
なお、第4実施形態における引抜工程と緩み工程の処理方法は、第1実施形態と完全に同じ処理内容であり、説明を省略する。
【0071】
(整線工程)
図13によって整線工程について説明する。整線工程では、露出部28の電線11が、一対の整線部材32、32によって平面状に整列している。
図13は、各整線部材32の形態を示すとともに、一対の整線部材32、32を用いて露出部28の電線11を整列させた状態を模式的に示している。
図13(a)は、露出部28の電線11をX軸方向からみた要部拡大図であって、露出部28に整線部材32、32が組付けられた状態を示している。
図13(b)は、
図13(a)をY軸の方向から見た側面図である。
図13(a)、(b)では、互いにZ軸方向に離れた状態の整線部材32、32を一点鎖線で示しており、接近したときの状態を実線で示している。
【0072】
各整線部材32は、略長方形状の薄板であって、一の辺に開口する長孔33が設けられている。長孔33の幅w4は電線11の直径dよりわずかに大きく、電線11の2本分の直径(2×d)より十分に小さい。
各整線部材32は、それぞれ第3クランプ装置34の可動アームで支持されており、互いにZ軸方向に接近し又は離反することができる。一対の整線部材32,32と第3クランプ装置34は、整線部31を構成する。一対の整線部材32、32は、
図13(a)に示すように、互いにY軸方向にδだけ位置ずれした位置で、露出部28を挟んで、Z軸方向に離れて配置されている。
各整線部材32、32は、それぞれの長孔33の中心線を一致させて、互いに開口部が向き合うように配置されている。互いに接近したときには、それぞれの長孔33が重なって、Y軸方向に貫通するとともにZ軸方向に延在する空間Kが形成される。
図13(b)では、理解を容易にするため、各整線部材32がX軸方向にわずかに位置ずれした状態で図示しているが、実際には各整線部材32の長孔33の位置はX軸方向で重なっている。
【0073】
次に、整線工程における処理方法を説明する。
整線工程では、一対の整線部材32、32が露出部28を挟んで互いにZ軸方向に接近し、双方の長孔33で形成される空間Kに、露出部28の電線11が並べて組み込まれる。露出部28の電線11は、緩み工程で緩んだ状態となっており、また、長孔33の開口部には大きな面取りが設けられているので、容易に空間Kに導入することができる。
長孔33の幅w4が電線11の2本分の直径(2×d)より十分に小さいので、各電線11は、長孔33の幅方向(X軸方向である)で互いに重なることがない。こうして整線工程では、露出部28の電線11が、中心軸mを含む一の平面(ケーブル10の中心軸mを含み長孔33の中心を通る平面である)上に概ね整列する。なお、電線11は、ケーブル10に組み込まれていたときの歪みが残留している。したがって、「一の平面上」とは、各電線が、概ねYZ平面に沿って配置されていればよく、幾何学的にYZ平面上に配置されることを意味するものではない。
【0074】
(計測工程)
次に、第4実施形態の計測工程における処理方法を説明する。
図14は、第4実施形態の計測工程における処理方法を説明する説明図である。
図14では、露出部28の電線11が、整線工程によってYZ方向に延在する一の平面p上に配置された状態を示している。なお、
図14では、整線部材32については長孔33のみを図示している。
また、
図14では、中央の電線11aがZ軸方向の(-)側の電線11cと接しており、電線11aと電線11cとの間にすきまsを有していない状態を例示している。
【0075】
第4実施形態においても、第1実施形態と同様のレーザ装置42を備えた計測部41によって、電線11の位置情報を取得している。レーザ装置42は、整線部材32とY軸方向に位置ずれした位置に配置され、レーザ光が露出部28の電線11に向けて照射される。なお、位置ずれした位置とは、レーザ装置42が、一対の整線部材32,32のY軸(+)側、Y軸(-)側、及び、整線部材32と整線部材32との間のいずれかの位置にあることを意味する。
【0076】
電線11aから離れた位置にある電線11bの位置情報は、第1実施形態と同様にしてレーザ装置42をZ軸方向に移動させて、電線11bが存在する領域D、Eを特定することによって取得できる。
互に接触している電線11aと電線11cの位置情報は、領域Eを特定することによって取得される。ここで、領域EのZ軸方向の長さは、電線11の2本分の直径(d×2)と等しい。各電線11の直径dが既知であるので、制御装置61では、領域Eに2本の電線11が存在することを容易に識別できる。
したがって、電線11aの中心が、領域EのZ軸(+)側の端からd/2の位置にあり、電線11cの中心が、領域EのZ軸(-)側の端からd/2の位置にあるという位置情報を取得できる。
【0077】
なお、第4実施形態においても、第2実施形態と同様にして、レーザ装置42に替えてイメージセンサ62を備えたCCDカメラを用いて各電線11の位置情報を取得してもよい。また、第3実施形態と同様にして、制御装置61は、CCDカメラで撮影した画像データをAIを用いて解析し、電線11の位置を判別するようにしてもよい。
【0078】
(仕切工程)
図15によって第4実施形態の仕切工程における処理方法を説明する。
図15は、露出部28に爪52を挿入する処理方法を説明する説明図である。仕切工程では、第1実施形態と同様の仕切操作部51が使用される。一組の爪52、52が、先端部52aを露出部28の電線11に向けて、露出部28よりX軸(+)方向に離れて配置される。
【0079】
第4実施形態では、第1実施形態と同様に、一組の爪52、52が、中央の電線11aを跨いで露出部28に挿入される。
具体的に説明すると、まず、計測工程で取得した位置情報に基づいて、一対の爪52、52のZ軸方向の位置と、中央の電線11aのZ軸方向の位置とが一致するように、第5直動装置75が制御装置61からの指令を受けてZ軸方向に移動する。
その後、第4直動装置74が制御装置61からの指令を受けてX軸(-)方向に移動して、一対の爪52、52が、白抜き矢印J3の向きに移動して電線11aを跨いで挿入される。
爪52、52は電線11aの近傍に挿入されるので、中央の電線11aのZ軸方向の(-)側では、爪52の先端が、電線11aと電線11cとの間に正確に挿入される。爪52の先端部52aは厚さが薄くなっているので、電線11aと電線11cとの間隔を押し広げながら爪52を挿入することができる。
【0080】
こうして、第4実施形態では、電線11aと電線11cとが密着している場合であっても、各電線11の間に爪52を確実に挿入できるので、爪52、52が、電線11aを跨いで挿入される。なお、各電線が互いに離れている状態であっても同様に処理することが出来るのはもちろんである。また、ケーブル10に含まれる電線11の数が4以上であっても、各電線11が一の平面p上に配置されているので、各電線11の位置を容易に識別できる。したがって、爪52、52を、特定の電線11を跨いで確実に挿入することができる。
【0081】
(分散工程)
第4実施形態の分散工程における処理方法は、第1実施形態と同様であるため簡単に説明する。
分散工程では、端末外皮12aを除去した後、第6直動装置76のベースHがY軸方向に移動することによって、一対の爪52、52が、電線11aを跨いだ状態で本体外皮12bの側に軸方向に移動する(
図9参照)。これにより、電線11aの両外側の電線11b、電線11cが爪52に押されて、電線11aから離れる向きに強く折り曲げられる。電線11の数が4以上のときは、一の電線11について分散工程の処理方法を実行した後、他の電線11を選択して同様の操作を順次繰り返せばよい。
【0082】
こうして、第4実施形態のケーブル端末処理方法によると、外皮12を除去した後の各電線11を更に確実に分散することができる。また、第1実施形態と同様に、分散工程の後、端末処理工程を設けることによって、ケーブル10について、外皮12を除去して配線用の端子を取り付けるまでの工程を一貫して自動化することができる。
【0083】
なお、第4実施形態で説明した整線工程は、第2実施形態及び第3実施形態でも組み込むことができる。第2実施形態及び第3実施形態においても、整線工程は、緩み工程が終了した後に組み込まれる。
【0084】
以上説明したように、本発明を用いたケーブル端末処理方法によると、複数の電線が外皮で被覆された多芯のケーブルについて、外皮を除去した後、電線を確実に分散させることができる。これにより、各電線端末を配線可能に処理する作業を効率良く実施できる。
なお、以上説明した実施形態は例示であって、これらに限定されるものではない。目的を達成する範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10:ケーブル、11:電線、12:外皮、12a:端末外皮、12b:本体外皮、13:信号線、14:絶縁被覆、15:切込部、21:外皮操作部、22:第1把持部、23:スライド部、24:第2把持部、28:露出部、31:整線部、32:整線部材、33:長孔、41:計測部、42:レーザ装置、42a:発光部、42b:受光部、51:仕切操作部、52:爪、52a:先端部、52b:本体部、53:電線ガイド、54:第2クランプ装置、61:制御装置、68:架台、70:ケーブル端末処理装置、71:第1直動装置、72:第2直動装置、73:第3直動装置、74:第4直動装置、75:第5直動装置、76:第6直動装置、80:被覆除去装置、85:圧着装置、86:圧着端子