(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】型枠兼用外装パネル、及びコンクリート壁体の構築構造
(51)【国際特許分類】
E04C 2/292 20060101AFI20241007BHJP
E04B 2/86 20060101ALI20241007BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20241007BHJP
E04C 2/26 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
E04C2/292
E04B2/86 601K
E04B2/86 601L
E04B1/76 500E
E04B2/86 611D
E04B2/86 611M
E04C2/26 T
E04C2/26 V
(21)【出願番号】P 2021111210
(22)【出願日】2021-07-05
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000253400
【氏名又は名称】舩木商事有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-133656(JP,A)
【文献】特開2007-068268(JP,A)
【文献】特開平10-046750(JP,A)
【文献】特開平10-152945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/292
E04B 2/86
E04B 1/76
E04C 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材と、該断熱材の外側に添設されると共にその先端と奥端とが連結される複数の外装材とからなる型枠兼用外装パネルであって、
前記外装材は、少なくとも第1の外装材と第2の外装材とが交互に直列状に組み合わされて連結されるものであって、
前記第1の外装材の先端と前記第2の外装材の奥端との連結部分は、挿着部材が挿通される取付部であり、その挿着部材は埋設或いは躯体側に固定され、
前記第1の外装材の奥端と前記第2の外装材の先端との連結部分は、L字状の係合凸部がL字状の係合空部に係合される係合部であり、
前記断熱材は、先端に段状の被重合部が、奥端に前記被重合部と重合される重合部が形成され、その表面側には、前記取付部が位置される凹状部が形成され、
隣り合う当該型枠兼用外装パネル同士は接続可能であり、コンクリート打設空間内に配設される前記挿着部材を、前記断熱材の裏面側から前記取付部に挿通させて連結することができることを特徴とする型枠兼用外装パネル。
【請求項2】
前記係合凸部の上端は、円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の型枠兼用外装パネル。
【請求項3】
前記断熱材には、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔には棒状部材が挿通可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の型枠兼用外装パネル。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の前記型枠兼用外装パネルをコンクリート打設空間の少なくとも一方の型枠として用いたことを特徴とするコンクリート壁体の構築構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠兼用外装パネルを構成する外装材と断熱材が、隣り合う型枠兼用外装パネルの外装材と断熱材とそれぞれ接続可能であるため、接続強度が高く、コンクリート打設後の仕上げを必要とすることなく、そのまま外装材として用いることができ、しかも隣り合うパネル同士の接続部分からのノロの漏れ出しをも防止できる型枠兼用外装パネル、及びコンクリート壁体の構築構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物を構築するにあたり、外装材や下地材(断熱材)を型枠として用いる兼用型枠が提案され、その多くは、断熱材を型枠として用い、コンクリート硬化後に断熱材表面に仕上げ処理(化粧材の貼付、外装材の敷設)を行っている。
【0003】
特許文献1には、断熱材6に複合補強材7を一体化した構成の兼用断熱材パネルAを用いてコンクリートを打設する方法が開示されている。
しかし、この特許文献1では、型枠締め付け用金具であるフォームタイ(登録商標)3・セパレータ5等が断熱材6、複合補強材7を貫通し、複合補強材7の表面(外側)まで突出しているため、貫通孔からノロ(セメント水)が漏れるという問題があった。また、このノロは、強アルカリであって複合補強材7の外面を汚損するため、硬化後にノロを拭き取ったり、複合補強材7の外面を仕上げ材(内装ボード11)で覆う必要があった。さらに、複合補強材7で兼用型枠を押さえるため、作業を兼用断熱材パネルAの外側から行う必要があり、足場を組むスペースが必要となり、狭小地(隣家との間に十分なスペースが無い等)での構築は難しかった。また、硬化後の化粧仕上げも、狭小地の場合、作業が困難になるという問題もあった。
【0004】
また、特許文献2は、断熱材2に、仕上げ材となるタイル3が一体化されたセメント系硬質材4を接合した建築物外断熱壁が開示されている。
しかし、この特許文献2では、図示されるように、アンカー部材5のボルトやナット、セパレータの端部などが仕上げ材3の表面に表れるため、意匠的に好ましくなかった。それを解消するためには、前記特許文献1と同様の処理が必要であった。
さらに、アルミ押出材は、成形時の精度が高く誤差が生じにくいため様々な建材に用いられており、成形時の誤差が生じにくいため、精度の高い成型が行え、押出材同士の組付けも精度良く行え、成型誤差による施工時の不具合も生じ難いという利点があったが、その反面、熱の影響を受け易いことが問題となっていた。
特に、アルミ押出型材を「外装材」に用いる場合、太陽熱を直に受けるため、熱伸縮による「音」が大きな問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公平7-6244号公報
【文献】特開平11-315601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、前記特許文献1,2に記載される型枠兼用外装パネルは、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とするものであって、そのまま外装材や内装材等として用いることができないものであった。
また、隣り合うパネル同士の接続構造について、十分に記載されていないので、大面積のコンクリート構造物に適用できるか否かも不明であるが、さらに、その接続部分、断熱材の突き合わせ部分から、ノロが漏れ出し、前述のように硬化後にノロを拭き取ったり、表層材の外面を仕上げ材で覆う必要があることは、容易に想定されるものであった。
【0007】
そこで、本発明は、型枠兼用外装パネルを構成する外装材と断熱材が、隣り合う型枠兼用外装パネルの外装材と断熱材とそれぞれ接続可能であるため、接続強度が高く、コンクリート打設後の仕上げを必要とすることなく、そのまま外装材として用いることができ、しかも隣り合うパネル同士の接続部分からのノロの漏れ出しをも防止できる型枠兼用外装パネル、及びコンクリート壁体の構築構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、断熱材と、該断熱材の外側に添設されると共にその先端と奥端とが連結される複数の外装材とからなる型枠兼用外装パネルであって、前記外装材は、少なくとも第1の外装材と第2の外装材とが交互に直列状に組み合わされて連結されるものであって、前記第1の外装材の先端と前記第2の外装材の奥端との連結部分は、挿着部材が挿通される取付部であり、その挿着部材は埋設或いは躯体側に固定され、前記第1の外装材の奥端と前記第2の外装材の先端との連結部分は、L字状の係合凸部がL字状の係合空部に係合される係合部であり、前記断熱材は、先端に段状の重合部が、奥端に前記重合部と重合される被重合部が形成され、その表面側には、前記取付部が位置される凹状部が形成され、隣り合う当該型枠兼用外装パネル同士は接続可能であり、コンクリート打設空間内に配設される前記挿着部材を、前記断熱材の裏面側から前記取付部に挿通させて連結することができることを特徴とする型枠兼用外装パネルに関するものである。
【0009】
また、本発明は、前記型枠兼用外装パネルにおいて、前記係合凸部の上端は、円弧状に形成されていることを特徴とする型枠兼用外装パネルをも提案する。
【0010】
また、本発明は、前記型枠兼用外装パネルにおいて、前記断熱材には、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔には棒状部材が挿通可能であることを特徴とする型枠兼用外装パネルをも提案する。
【0011】
さらに、本発明は、前記型枠兼用外装パネルをコンクリート打設空間の少なくとも一方の型枠として用いたことを特徴とするコンクリート壁体の構築構造をも提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の型枠兼用外装パネルは、隣り合う第1の外装材及び第2の外装材の係合凸部と係合空部を係合によって接続できると共に、隣り合う断熱材同士を重合によって接続できるので、隣り合う型枠兼用外装パネル同士の接続強度が高いものとなる。
また、隣り合う型枠兼用外装パネル同士の接続部分からセメント水(ノロ)が漏れだそうとしても、特に断熱材の接続部分は段状に重合されて漏れ出し流路が屈折状となり、外装材が挿着部材で内側へ引っ張られ、コンクリートの打設圧で内側から断熱材が外側へ押されることにより、両側からの圧力を受けて重合部分の密度が増すため、ノロの回る屈折状の隙間を圧迫して極力なくすことができる。さらに、コンクリートの打設空間から棒状部材が連結される取付部は、外装材の裏面側に形成されているので、この取付部にて外装材の表面への漏れ出しが防止される。
このように本発明の型枠兼用外装パネル同士を高い接続強度にて接続することができ、しかも型枠兼用外装パネル同士の接続部分や挿着部材を伝ってノロが漏れ出そうとしても、それらを確実に防止できるので、外装材を別途仕上げ処理(拭き取り等)する必要が無く、そのまま用いることができる。さらに、取付部としてナット等を取り付けた状態で搬送すればよく、平坦状のボートとして取り扱うことができ、積み重ねも可能であり、搬送コストの削減にも繋がる。しかも、二つの連結部分は、熱伸縮時における「こすれ」が生じ難い構造であるため、「こすれ」の音が軽減される。
【0013】
また、前記係合凸部の上端が、円弧状に形成されている場合には、L字状の係合空部に対して上方から傾斜状に臨ませたL字状の係合凸部が、回動状に取り付けて係合される操作を容易に且つ滑らかに行うことができる。特に二つの連結部分の接触部分に円弧状を採用することで、「こすれ」の音が軽減される。
【0014】
また、前記断熱材に、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔に棒状部材が挿通可能である場合には、貫通孔に棒状部材を突き立てた状態で型枠兼用外装パネルを敷設することができ、所定位置に敷設した後に、棒状部材を締め付ければよく、連結作業を極めて簡易に実施できる。前述のように、この棒状部材としては、間隔保持部材(セパレータ)の一部を用いることができ、容易に型枠を構築することができる。
【0015】
さらに、本発明のコンクリート壁の構築構造は、前記構成の型枠兼用外装パネルを、コンクリート型枠工法の型枠として用いるものであり、前述のように適宜に断熱材や外装材を選定して様々な仕様のコンクリート壁を容易に且つ安価に構築することができる。
例えば外装材として高強度の金属面材を用いることにより、コンクリートの打設圧力に抗する強度を備え、広い面積を備える壁体にも適用することができる。また、外装材を仕上げ材として用いる場合、外装材の裏面側に取付部を設けたため、必ずしも外側からの施工が必要なく、内側のみの施工も可能となる。この場合、外側の足場が不要となりコストの削減が実現できる。さらに、外側に足場を必要としないため、足場の組めない敷地(施工場所)においても施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)本発明の実施例1の型枠兼用外装パネルを示す側面図、(b)それに用いられた外装材を示す側面図、(c)それに用いられた断熱材を示す側面図である。
【
図2】(a)実施例1の型枠兼用外装パネルに用いられる二種の外装材が直列状に連結された状態を示す側面図、(b)係合空部に係合凸部を傾斜状に臨ませた状態を示す側面図、(c)係合空部の下方が開放する溝部に、係合凸部の上端を当接させた状態を示す側面図、(d)係合空部に対して係合凸部を回動させつつ係合させた状態を示す側面図である。
【
図3】実施例1の型枠兼用外装パネルを示す斜視図である。
【
図4】実施例1の型枠兼用外装パネルを型枠として用い、コンクリートを打設する直前の状態を示す断面図である。
【
図5】実施例1の型枠兼用外装パネルを型枠として用い、コンクリートを打設して施工されたコンクリート壁体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の型枠兼用外装パネルは、断熱材と、該断熱材の外側に添設されると共にその先端と奥端とが連結される複数の外装材とからなり、前記外装材は、少なくとも第1の外装材と第2の外装材とが交互に直列状に組み合わされて連結されるものであって、前記第1の外装材の先端と前記第2の外装材の奥端との連結部分は、挿着部材が挿通される取付部であり、その挿着部材は埋設或いは躯体側に固定され、前記第1の外装材の奥端と前記第2の外装材の先端との連結部分は、L字状の係合凸部がL字状の係合空部に係合される係合部であり、前記断熱材は、先端に段状の重合部が、奥端に前記重合部と重合される被重合部が形成され、その表面側には、前記取付部が位置される凹状部が形成され、隣り合う当該型枠兼用外装パネル同士は接続可能であり、コンクリート打設空間内に配設される前記挿着部材を、前記断熱材の裏面側から前記取付部に挿通させて連結することができることを特徴とする。
【0018】
前記型枠兼用外装パネルを構成する断熱材、外装材は、それぞれ別々に成形されるものであって、適宜に選択して所望の構成とすることができる。例えば型枠兼用外装パネル全体の強度やその他の特性を所望のレベルに設定しようとすれば、これらの断熱材、外装材を適宜に選択して所望の特性を得ることができる。
以下に、外装材、断熱材について、それぞれ説明する。
【0019】
前記外装材は、少なくとも第1の外装材と第2の外装材とが交互に直列状に組み合わされて連結されるものであり、以下に説明する構成以外は特に限定しない。なお、以後の説明において、外装材という文言は、組み合わせた連結体に限定されず、個々の外装材をも指すものである。また、第1の外装材と第2の外装材を一組として、複数組が断熱材の表面に配置される。
前記面板部は、端部(先端及び奥端)間に形成される仕上げ面であるので、略平坦状でもよく、任意の意匠(化粧)性を付与したものでもよく、特にその形状を限定するものではない。
そして、第1の外装材の先端と第2の外装材の奥端との連結部分は、挿着部材が挿通される取付部であり、その挿着部材は埋設或いは躯体側に固定される。この取付部は、例えば何れか一方に空間部(取付具が装着される空部)が形成される構成を採用してもよいが、後述する図示実施例のように一方に横方向に開放する略コ字状の内係合部を形成し、他方に前記内係合部の外側に包持状に配設される外係合部を形成して係合状に組み合わせるようにしてよい。
また、第1の外装材の奥端と第2の外装材の先端との連結部分は、L字状の係合凸部がL字状の係合空部に係合される係合部である。この係合部は、後述する図示実施例のように一方を回動させつつ係合させる挙動にて取り付けることができる。
これらの外装材は、素材や成形法を限定するものではなく、各種素材の面材を適用することができ、金属面材でも硬質樹脂板でもよいし、アルミ等の押出型材を用いてもよい。
【0020】
この外装材については、後述する図示実施例のようにアルミ等の押出型材にてそれぞれ形成されることが望ましく、仕上げ面となる面板部の両端(先端及び奥端)に、前記連結部分(前記取付部や前記係合部)が形成されるように形状構成が選択される。
取付部については、前述のように略コ字状の内係合部の外側に包持状に外係合部を配設して取付具が装着される空間部を形成するが、該空間部に六角ナットやスペーサ等を配設することで、コンクリート打設空間内に配設される棒状部材を、前記断熱材の裏面側から前記取付部に挿通させて連結させることができる。
係合部については、前述のようにL字状の係合凸部がL字状の係合空部に係合される構成であるが、例えば係合凸部の上端が円弧状に形成されている場合には、回動させつつ係合させる挙動をより滑らかに行うことができる。また、この係合凸部の角部(の外側部分)も、回動させる際に係合空部の底部に当接されつつ行われるので、該角部を円弧状に加工することにより、挙動をより滑らかに行うことができる。なお、上端とはL字を形成する縦片の上端であり、角部とはL字を形成する縦片と横片の交差部分を指す。
これらの二つの連結部分は、熱伸縮時における「こすれ」が生じ難い構造であるため、「こすれ」の音が軽減される。特に二つの連結部分の接触部分に円弧状を採用することによりで、「こすれ」の音が更に軽減される。
【0021】
また、特にこの外装材の厚みを限定するものではないが、大凡厚みは1.2~1.6mm以上であって、コンクリート打設圧等の多少の応力が作用しても面が歪んだり変形することがない強度を有するものがより望ましい。但し、成形上或いはコスト等の問題からこの押出型材からなる外装材は、概ね幅が200mm程度が汎用的(実用的)であるため、通常1m近い幅に成形される前記断熱材に対して複数枚(複数組)の外装材が添設されるものとなる。
【0022】
次に、前記面板部の裏面側に設ける取付部について説明する。
この取付部は、棒状部材を螺合させる螺子部を備えるものであればよく、雌螺子部でも雄螺子部でもよい。
・取付部が雌螺子部を有し、棒状部材が雄螺子部を有する場合;
取付部は、後述する図示実施例のように六角ナット、四角ナットなどの角ナットや複数の雌螺子部を螺設した板状材を定着具として配置したもの、或いは被重合片を厚肉にしてタップ加工(雌ねじ加工)を施したものでもよい。その場合の棒状部材は、棒状のボルト材等を用いる。なお、前述のように外装材を押出型材にて成形する場合には、厚肉の被重合片を成形する態様にも容易に対応できる。
・取付部が雄螺子部を有し、棒状部材が雌螺子部を有する場合;
取付部は、形成された空間部の外側(=断熱材側)にボルトを立設されるもの(溶接等による固着)、孔からボルトを立設したものでもよい。その場合の棒状部材は、少なくともその先端に雌ねじ加工を施したもの、或いは筒状の部材等が用いられる。
【0023】
特に好ましくは、面板部の裏面側に、側方又は裏面側が開放する空間部を設け、該空間部内に螺子部を有する定着具を取り付けて取付部を形成してもよい。この場合の定着具としては、雌螺子部を備える定着具として、前述の六角ナット、四角ナットなどの角ナットや複数の雌螺子部を螺設した板状材が挙げられ、雄螺子部を備える定着具として、前述のボルト等が挙げられる。なお、前述のように外装材を押出型材にて成形する場合には、定着具の保持(包持)強度も高いものとなる。
取付部として、汎用のナットを用いた場合には、ナットの頭部は角形であるため、棒状部材(ボルト材)の取付に際してとも回り(自転)が防止されるものとなる。
【0024】
なお、空間部には、定着具のみを配設するのではなく、定着具と外装材との接触を防止する緩衝材を介在させることが望ましい。例えば定着具が外装材に押し付けられて、外装材の面板部に痕跡などが生じないようにするためである。
この緩衝材としては、前記断熱材と同材であってもよいし、ゴム等の弾性材であってもよい。また、この緩衝材は、空間部内に連続的に設けるものでも、ナット介在部分(棒状部材の先端位置)のみに配するものでもよい。さらに、予め、或いは配設作業に際し、外装材の裏面側に設けるものであっても、定着具の上部(ナット頭部)に設けるものであってもよい。
【0025】
前記断熱材としては、一方の端部に段状の重合部を、他方の端部に前記重合部と重合する被重合部を有するものであれば、それ以外の構成は特に限定するものではない。
例えば各種素材の断熱材を適用することができ、例えば合成樹脂製ボートに限らず木製ボードでもよく、また単層でも複層でもよく、異なる材質の複層構成でもよい。そのため、難燃性、不燃性等の機能性ボード材を用いてもよく、また厚み等についても何等制限がなく、どのような断熱材を用いてもよい。
なお、この断熱材の表面側には、外装材の取付部を収納(もしくは位置)するための凹状部を設けてもよいし、前記重合部と被重合部との接続部分に凹状部を形成してもよい。
また、一体の断熱材に一組のみの外装材(第1の外装材と第2の外装材)を取り付けても二組以上の外装材を取り付けてもよいので、前記凹状部が複数設けられるようにしてもよい。
【0026】
この断熱材には、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔にコンクリート打設空間内に配設される棒状部材が挿通可能であることが望ましい。この場合、貫通孔に棒状部材を突き立てた状態で型枠兼用外装パネルを敷設することができ、所定位置に敷設した後に、棒状部材を締め付ければよいため、連結作業を極めて簡易に実施できる。また、この断熱材の表面又は裏面側に、コンクリートの打設圧を補強するための補強板を適宜に設けてもよい。
【0027】
続いて、前記断熱材の裏面側から前記取付部の螺子部に螺合させて連結する棒状部材について説明する。
この棒状部材は、前記取付部の螺子部に螺合する螺合受部を有する構成であり、取付部がナット等のように雌螺子部を有する場合には、この棒状部材として雄螺子部を備えるボルト材等を用いればよく、後述する図示実施例のように間隔保持部材(セパレータ)の一部を兼ねるものであってもよい。また、取付部がボルトを立設した雄螺子部を有する場合には、この棒状部材として雌螺子部を備える筒状部材等を用いればよい。
また、後述する図示実施例では、鍔状材(押さえ部材)を備える構成であるが、この鍔状材の有無、形状等は特に限定するものではない。さらに、鍔状材を用いる場合であっても、必ずしも全ての棒状部材に用いる必要はなく、所定の列や隅部等の任意の位置に用いるものでもよい。即ち外装材と断熱材の一体化手段の仕様や強度、或いは全体の強度等に応じて適宜に設ければよい。
【0028】
これらの各部材をそれぞれ配設してなる本発明の型枠兼用外装パネルは、以下の成形工程、一体化工程、接続工程により製造される。なお、一体の断熱材に一組の外装材(第1の外装材と第2の外装材)を二組取り付ける例を示す。
【0029】
・成形工程
まず、外装材については、少なくとも第1の外装材と第2の外装材とが交互に直列状に組み合わされて連結される。
第1の外装材の先端と第2の外装材の奥端との連結部分は、挿着部材が挿通される取付部であり、第1の外装材の奥端と第2の外装材の先端との連結部分は、L字状の係合凸部がL字状の係合空部に係合される係合部である。
また、前記取付部には、ナット等の定着具が収容されて取付部とする。なお、定着具のズレや分離が懸念される際には、適宜接着剤などを用いて接着しておくようにしてもよいし、緩衝材等を配して装着しておくようにしてもよい。
一方、断熱材については、後述する図示実施例のように単層の場合には、外装材の取付部を嵌め込む凹状部を設けることにより、外装材のズレ等を生ずることがなく配設することができる。
【0030】
・一体化工程
前記断熱材の表面に、前記二種の外装材を交互に直列状に組み合わされて連結されて添設される。
なお、断熱材と外装材とは、当該型枠兼用外装パネルの使用に際して分離したりズレたりしない程度に一体化するが、その手段を限定するものではなく、例えば面板部裏面を断熱材表面と接着してもよいし、爪等により係止状に接合させたものでもよい。或いは後述する図示実施例では、棒状部材に鍔状材を取り付けて断熱材を押さえる(挟着する)役割を果たすので、それまでの仮止めであってもよい。また、接着して一体化する場合には、使用する接着剤や接着面(全面接着に限らず部分接着でもよい)について何等限定するものではない。
【0031】
・接続工程
第1の外装材の先端と第2の外装材の奥端との連結について、また第1の外装材の奥端と第2の外装材の先端との連結について、以下のとおりである。
前者の連結は、挿着部材が挿通される取付部であり、その挿着部材は埋設或いは躯体側に固定される。この取付部については、前述のように略コ字状の内係合部の外側に包持状に外係合部を配設して取付具が装着される空間部が形成され、該空間部に六角ナットやスペーサ等が配設されることで、コンクリート打設空間内に配設される棒状部材を、前記断熱材の裏面側から前記取付部に挿通させて連結させることができる。
後者の連結は、L字状の係合凸部がL字状の係合空部に係合される係合部であり、例えば係合凸部の上端が円弧状に形成されている場合には、回動させつつ係合させる挙動をより滑らかに行うことができる。また、この係合凸部の角部(の外側部分)も、回動させる際に係合空部の底部に当接されつつ行われるので、該角部を円弧状に加工することにより、挙動をより滑らかに行うことができる。
【0032】
これらの工程より製造される本発明の型枠兼用外装パネルは、一枚の断熱材の表面に金属面材等の一組の外装材を二組配設してなる構成である。
そして、この型枠兼用外装パネルは、隣り合う型枠兼用外装パネル同士における外装材同士及び断熱材同士をそれぞれ確実に接続できるので、接続強度が高い接続を行うことができる。
【0033】
また、本発明のコンクリート壁の構築構造は、前記構成の型枠兼用外装パネルを、コンクリート型枠工法の型枠として用いるものであり、前述のように適宜に断熱材や外装材を選定して様々な仕様のコンクリート壁を容易に且つ安価に構築することができる。
そして、型枠兼用外装パネルの裏面側からノロが漏れ出そうとしても、断熱材の接続部分は段状に重合されているので、漏れ出し流路が屈折状となる。しかも、外装材が棒状部材で内側へ引っ張られ、コンクリートの打設圧で内側から断熱材が外側へ押されることにより、両側からの圧力を受けて重合部分の密度が増すため、ノロの回る屈折状の隙間を圧迫して極力なくすことができる。さらに、面板部の裏面側に設けた取付部も、その漏れ出しを防止できるので、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装材として用いることができる。
【実施例1】
【0034】
図1(a)に示す本発明の実施例1の型枠兼用外装パネル1は、一体の断熱材3の表面(図では上面側)にそれぞれ二枚ずつの外装材2I,2II(2Iが第1の外装材、2IIが第2の外装材である)が合計4枚添設(接着)されている構成であり、
図1(b)には外装材2のみが、
図1(c)には断熱材3のみが示されている。なお、この型枠兼用外装パネル1は、
図3に示すように縦長の略板状の建築資材であり、外装材2や断熱材3もそれぞれ縦長の原料資材である。
【0035】
図1(b)に示される外装材2は、第1の外装材2Iと第2の外装材2IIとが交互に直列状に組み合わされて連結されており、第1の外装材2Iの先端22aと第2の外装材2IIの奥端22dとの連結部分が、図示しない挿着部材5Aが挿通される取付部23であり、その挿着部材5Aは埋設或いは躯体側に固定され、前記第1の外装材2Iの奥端22bと前記第2の外装材2IIの先端22cとの連結部分が、L字状の係合凸部243がL字状の係合空部241に係合される係合部24である。この図では左側から第1の外装材2I、第2の外装材2IIの順に交互に直列状に配設され、左側が先端、右側が奥端となっている。
なお、これらの取付部23については後述する
図4にて詳細に説明し、係合部24については後述する
図2にて詳細に説明する。
【0036】
図1(c)に示される前記断熱材3は、先端(図では左端)に段状の被重合部31が、奥端(図では右端)に被重合部31と重合される重合部32が形成され、その表面側には、前記外装材2の取付部23が位置される凹状部33がほぼ中央付近に形成されている。なお、中央付近以外にも、後述する
図4に示されるように端部(被重合部31と重合部32)にも取付部23が位置される凹状部33'が設けられるが、「'」を付記して区別している。
この断熱材3は、単層の硬質ポリウレタンフォームである合成樹脂発泡面材を用い、その表面側の略中央には、上方が解放する溝状の凹状部33が形成され、その一方(図面右側)の端部には、厚み方向の下方が切り欠かれた段状の重合部32が形成され、他方(図面左側)の端部には、厚み方向の上方が切り欠かれた、前記重合部32と重合する被重合部31が形成されている。
【0037】
図2(a)に示すように前記第1の外装材2Iにも、前記第2の外装材2IIにも、仕上げ面となる面板部21の略中央及び奥端(右端)に略T字状に表面側へ突出する突条211,211'が設けられ、対向する奥端22bと先端22c、奥端22dと及び先端22aがそれぞれ連結部分となるアルミの押出型材である。
そして、前記第2の外装材2IIの奥端22dには、側方(図面左側)が開放する空間部230を備える内係合部231が形成されている。なお、前記空間部230は、面板部21から裏面側へ突出する略L字状片の内側に囲まれる略コ字状の空間を指す。また、この奥端22dには、下方が開放する二つの凹部232,234と、下方へ突出する凸部233とが形成されている。
これに対し、前記第1の外装材2Iの先端22aには、前記内係合部231の外側に包持状に配設される略L字状の外係合部235が形成されている。また、この先端22aには、上方へ突出する凸部236,238と、上方が開放する凹部237とが形成されている。
そして、接続時には、前記奥端22dの凹部232,234、凸部233と、前記先端22aの凸部236,238、凹部237とがそれぞれ嵌合させて連結される。
【0038】
また、対向する前記第1の外装材2Iの奥端22bと前記第2の外装材2IIの先端22cとの接続(係合部24の形成)について、
図2(b)~(d)に示す。
なお、前記第1の外装材2Iの奥端22bは、段部212を介してL字状の係合空部241が形成されると共にその底部である横片242が形成されている。
また、前記第2の外装材2IIの先端22cは、段部212を介してL字状の係合凸部243が形成されると共にその裏面側に段状空部244が形成されている。
さらに、前記係合凸部243の上端24xは円弧状に形成され、該係合凸部243の角部(の外側)24yも円弧状に形成され、前記係合空部241の底面に相当する横片242の表面(上面)24zは円弧が連続する波状に形成されている。
【0039】
まず、
図2(b)には、係合空部241に係合凸部243を傾斜状に臨ませた状態が示されている。即ち水平状に奥端22bを配置した状態に、傾斜状に先端22cを臨ませて接近させている。
次に、
図2(c)には、係合空部241の下方が開放する溝部に、係合凸部243の上端24xが近接状に臨ませるように、その角部24yと係合空部241の横片242の表面24zとを当接させ、この状態で係合凸部243を回動させる。この時、前述のように角部24yは円弧状に形成され、横片232の表面24zは円弧が連続する波状に形成されているので、角部24yと表面24zとが緩く当接して回動軸の基端となり、回動が果たされる。
こうして
図2(d)には、奥端22bの係合空部241に先端22cの係合凸部243が係合状に取り付けられ、当該係合部24が形成されるが、横片242が段状空部244に嵌合されるように配設する。なお、前記奥端22bも前記先端22cも、略水平状の面板部21から表面側に隆起部212を介して形成されているので、この隆起部212の厚み分を横片242が補うように重合状となる。
このように連結部分の接触部分(24x~24z)に円弧状を採用したことで、「こすれ」の音が軽減される。
【0040】
なお、対向する前記第1の外装材2Iの先端22aと前記第2の外装材2IIの奥端22dとの接続(取付部23の形成)について、
図2(a)の両端部に示す。
図の右端に位置する前記奥端22dには、側方(図面左側)が開放する空間部230を備える内係合部231が形成されている。なお、前記空間部230は、面板部21から裏面側へ突出する略L字状片の内側に囲まれる略コ字状の空間を指す。また、この奥端22dには、下方が開放する二つの凹部232,234と、下方へ突出する凸部233とが形成されている。
一方、図の左端に位置する前記先端22aには、前記内係合部231の外側に包持状に配設される略L字状の外係合部235が形成されている。また、この先端22aには、上方へ突出する凸部236,238と、上方が開放する凹部237とが形成されている。
これらの奥端22dと先端22aとの連結は、図の中央に示すように上方に奥端22dが下方に先端22aが位置するように重合状に配され、奥端22dの凹凸232~234に先端22aの凹凸236~238がそれぞれ係合(嵌合)され、内係合部231及び外係合部235に囲まれた空間部230を備える取付部23が形成される。即ち上下に重合状に連結しているだけでなく、凹凸が三点も形成されているため、係合状ということができる。
【0041】
前記取付部23(空間部230)の利用を、当該実施例1の型枠兼用外装パネル1を一方の型枠として用いる例にて以下に説明する。
前記外装材2(第1の外装材2I、第2の外装材2II)及び断熱材3については、既に説明したとおりである。
【0042】
なお、断熱材3の表面側の略中央に凹状部33が形成され、該凹状部33に前記取付部23(空間部230)が嵌合状に配設され、この空間部230に螺子部を備える定着具(六角ナット)4Aがスペーサ4Bと共に取り付けられ、断熱材3の端部(被重合部31、重合部32)に形成された凹状部33'にも、同様に前記取付部23が配設され、定着具(六角ナット)4Aやスペーサ4Bが取り付けられていることは
図1(a)に示すとおりである。
【0043】
また、この実施例1では、前述のように一体の断熱材3に二種の外装材2I,2IIを二枚ずつ取り付けるので、略中央に凹状部33が、隣り合う型枠兼用外装パネル1との接続(連結)部分に凹状部33'が形成される。なお、これらの凹状部33,33'には、表裏に貫通する貫通孔34が設けられていることは
図1(a),(c)に示すとおりである。
【0044】
そして、前記断熱材3の表面に、前記二種の外装材(第1の外装材2I及び第2の外装材2II)を交互に直列状に敷設して接続するには、各面板部21を断熱材3の表面に接着すると共に、各外装材2I,2IIの端縁22a~22dを前述のように適宜に取付部23及び係合部24を形成しつつ連結させる。
このように前記第1の外装材2I、前記第2の外装材2IIの連結は、何れも係合によるものであって、各面板部21を断熱材3の表面に接着する構成と相俟って弾性的に係合するものとなる。
なお、この実施例1では、アルミの押出型材である第1の外装材2I及び第2の外装材2IIを、係合にて接続できるので、断熱材3に接着しない状態で第1の外装材2I及び第2の外装材2IIのみを係合させて接続させることができるので、その後に断熱材3と接着する加工を施して
図1(a)や
図3に示すような型枠兼用外装パネル1としてもよい。
【0045】
前記型枠兼用外装パネル1には、取付部23が二箇所に設けられ、該取付部23は、空間部230に螺子部を備える定着具(六角ナット)4Aやスペーサ4Bが取り付けられて取付部を形成している。なお、図示実施例でも、六角ナット4Aの外側(図面では上側)にスペーサ4Bを配設した。
そのため、
図4に示すように、棒状のボルト材である挿着部材5Aを前記取付部23へ断熱材3の裏面側から螺合させて連結することができる。この挿着部材5Aとしては、セパレータと称される間隔保持部材5の一部が用いられている。
この間隔保持部材5は、先端が前記空間部230内の定着具(六角ナット)4Aの図示しない螺子部に螺合する挿着部材5Aに、鍔状材5bを介して合成樹脂製の筒状部材5cが連結された構成であり、更に前記筒状部材5cより大径の中間連結部5dを介して内部に棒状部材5eが配された筒状部材5fが連結され、断面視台形状(錐状)の台座5gを介して他方側の型枠(型枠パネル)6に至る構成である。そして、この間隔保持部材5は、前記中間連結部5dにて分割可能であり、コンクリートの打設後には、他方側の棒状部材5eを抜き取って再利用することができ、熱橋の形成を防止することができる。なお、この挿着部材5Aは、隣接する断熱材3,3同士の重合部分(重合部32及び被重合部31)を貫通しているので、断熱材3,3同士の接続、即ち隣接する型枠兼用外装パネル1,1の接続にも寄与するものとなる。
【0046】
このように実施例1の型枠兼用外装パネル1は、隣り合う第1の外装材2I、第2の外装材2IIを係合によって連結でき、隣り合う断熱材3,3同士を重合によって接続できるので、隣り合う型枠兼用外装パネル1,1同士の接続強度が高いものとなる。
そのため、この型枠兼用外装パネル1は、容易に且つ高い接続強度で横方向に直列状に接続して型枠として用いることができ、その断熱材3側に取り付けた挿着部材5Aの先端に、前記
図4に示すように棒状部材5eや筒状部材5fを連結させて間隔保持部材5を構成すればよく、他方側の型枠(型枠パネル)6との間(打設空間90)にコンクリートを打設すればよい。
なお、当該
図4における符号7や符号8は、締着部材やバタを示しており、これらを用いて型枠6側から強固にテンションを与えた状態で、断熱材3と型枠6との間の打設空間90に図示しないコンクリートを打設する。
【0047】
図5では、コンクリートが硬化した後の施工状態が示されているので、硬化したコンクリート9を点線ハッチングで示し、再利用可能な部材については全て除去された状態を示している。その際、筒状部材5f等はコンクリート9中に残され、符号5g'は台座5gを除いたすり鉢状の凹面部を示している。
その際、隣り合う型枠兼用外装パネル1,1同士の接続部分からノロが漏れだそうとしても、特に断熱材3,3の接続部分は段状に重合されているので、漏れ出し流路が屈折状となる。しかも、外装材2が挿着部材5Aで内側へ引っ張られ、コンクリートの打設圧で内側から断熱材3が外側へ押されることにより、両側からの圧力を受けて重合部分の密度が増すため、ノロの回る屈折状の隙間を圧迫して極力なくすことができる。なお、外装材2が挿着部材5Aで内側へ引っ張られても、定着具4Aの外側にスペーサ4Bを配設しているので、定着具4Aが外装材2に圧接したり傷つけたりすることがない。
さらに、挿着部材5Aを伝ってノロが空間部230に浸入しても、この空間部230は面板部21の裏面側に設けているので、ノロの漏れ出しを防止でき、面板部21を汚すことがなく美麗に保持することができ、面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装材として用いることができる。
【0048】
また、この実施例1では、角ナットである六角ナットを定着具4Aとして空間部230に取り付けて取付部23として用いたので、定着具4Aとして汎用のナットを用いることができ、しかも頭部が角形であるため、挿着部材5Aの取付に際してとも回り(自転)が防止される。
さらに、この実施例1では、断熱材3に、表裏面に貫通する貫通孔34が所定間隔で開孔され、該貫通孔34に挿着部材5Aを挿通できるため、貫通孔34に挿着部材5Aを突き立てた状態で型枠兼用外装パネル1を敷設することができ、所定位置に敷設した後に、挿着部材5Aを締め付ければよく、連結作業を極めて簡易に実施できる。
また、この実施例1では、面板部21から略T字状に突出する突条211が設けられることで、
図3に示されるように縦縞状の仕上げ面が得られるので、この突条211を機能的又は意匠的に利用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 型枠兼用外装パネル
2 外装材
2I 第1の外装材
2II 第2の外装材
21 面板部
22a (第1の外装材の)先端
22b (第1の外装材の)奥端
22c (第2の外装材の)先端
22d (第2の外装材の)奥端
23 取付部
231 内係合部
235 外係合部
24 係合部
241 係合空部
243 係合凸部
31 被重合部
32 重合部
33,33' 凹状部
34 貫通孔
4A 定着具(六角ナット)
4B スペーサ(緩衝材)
5 間隔保持部材
5A 挿着部材
6 型枠(型枠パネル)
9 コンクリート
90 打設空間