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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】広告システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20241007BHJP
   G06Q 30/0242 20230101ALI20241007BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q30/0242
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021564183
(86)(22)【出願日】2020-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2020046441
(87)【国際公開番号】W WO2022123797
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520400450
【氏名又は名称】天神株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】平泉 紘平
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186538(JP,A)
【文献】特開2009-020668(JP,A)
【文献】特開2016-024699(JP,A)
【文献】特開2007-106422(JP,A)
【文献】特開2012-248073(JP,A)
【文献】特開2017-182338(JP,A)
【文献】特開2008-052754(JP,A)
【文献】特開2004-326746(JP,A)
【文献】特開2005-202777(JP,A)
【文献】特開2016-184093(JP,A)
【文献】特開2010-168116(JP,A)
【文献】特開2018-132938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が手持ちすることが可能な、広告を付したコップと、上記コップに注入される飲料からなる、受け渡し場所に配置されるノベルティと
顧客属性をシステムに提供して会員登録を受けた顧客の属性情報を記録する管理サーバの顧客データベースと
ノベルティの種類、配布対象層に関する情報を格納する管理サーバのノベルティデータベースと、
ノベルティの受け渡し場所の情報を格納する管理サーバの受け渡し場所データベースと
ネットワークを介して管理サーバに接続可能な顧客の端末と、
上記端末に導入されるシステム用アプリケーションと、
顧客データベースに記録された顧客情報を検索し、受け渡し場所に配置されるノベルティの配布対象となる特定の属性を有する顧客を決定する手段と
上記特定の属性を有する顧客層の端末にシステム用アプリケーションを介してノベルティ情報と受け渡し場所情報を知らせる手段と、
顧客が受け渡し場所においてノベルティを受け取った際にその際の受け渡し場所情報と顧客の属性情報を紐付けて管理サーバーに記録する手段を有することを特徴とする広告システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は広告システムに関し、より詳細には広告媒体の補助手段として人間を利用することを企図した広告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業にとって、自社の商品や事業内容を広告することは欠かせない。広告には、テレビやラジオ、新聞や雑誌などのマスデイアを媒体とする手法、各種交通機関内や屋内外に設置した看板を媒体とする手法、インターネット上のホームページ、ブログ、SNSなどを媒体とする手法、ダイレクトメールを媒体とする手法、チラシなどを媒体とする手法などがある。
【0003】
一番目および二番目の手法は距離的制約がなく一度に多数の者に広告を露出できる点においては優れているが、コストを要するという問題があった。
【0004】
三番目の手法は一番目および二番目の手法に比しコストは低いが、看板は固定されているのでその前を通る者にしか露出できないという問題があった。
【0005】
また、以上の手法は不特定多数の者を対象として広告を露出するので、はなから広告の効果を期待できない者に対しても広告コストを費やすという無駄があった。
【0006】
これに対し、三番目、四番目の手法は対象を絞って広告を露出するので効率に優れている。
【0007】
しかしながら、三番目の手法のダイレクトメールは適切な対象の選定および住所、氏名が必要となり、また郵送費も嵩む問題があった。
【0008】
一方、四番目の手法のチラシに関しては、配布手段としては次の4種類がある。
(1) 通行人に広告用チラシを手渡しする。
(2) 住宅や会社のポストに広告用チラシを投函する。
(3) 宅配される新聞などに広告用チラシを折り込む。
(4) タイアップ先に広告用チラシを配布してもらう。
【0009】
前記の内の(2) の「ポスティング」と呼ばれる住宅や会社のポストに広告用チラシを投函する手段は情報伝達の確実性とインパクトにおいて優れているとされ、多数の企業が採用していることは周知のところである(例えば特許文献1)。
【0010】
ただ、その場合でも対象の絞り込みといっても、それは地理的な絞り込みに過ぎないので、近辺の例えば店舗の広告に適しているに過ぎなかった。
【0011】
そして、最大の問題は以上の広告手法においては、広告の効果を広告対象の商品やサービスの売上のアップといった結果でしか知ることができず、広告自体の露出効果、すなわちどのような層がその広告に興味をもってくれたかまでは知ることができないことであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2007-65896
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明は以上の従来技術の問題点を解消した全く新たな発想にもとづく広告システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本願発明の広告システムは、特定の受け渡し場所に配置されるべき広告を付した物品または役務からなるノベルティと、顧客の属性情報およびノベルティの位置情報を記録、管理する管理サーバと、ネットワークを介して管理サーバに接続可能な顧客の端末と、上記端末に導入されるシステム用アプリケーションを有し、
特定の属性を有する顧客層を配布対象としたノベルティを受け渡し場所に配置するとともに、上記特定の属性を有する顧客層の端末にシステム用アプリケーションを介してノベルティ情報と受け渡し場所情報を知らせ、
受け渡し場所において顧客の端末のシステム用アプリケーションを介してノベルティの受け取り資格を判定してノベルティを渡すとともに、その際の受け渡し場所情報と顧客情報を管理サーバーに記録することを特徴とする。
【0015】
また、請求項2記載の発明は前記の広告システムにおいて、ノベルティは顧客が手持ちすることが可能な包装入り食品であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3記載の発明は前記の広告システムにおいて、ノベルティは飲料であり、広告を付したとコップと、上記コップに注入すべき飲料とに分けて受け渡し場所に配置することを特徴とする。
【0017】
また、請求項4記載の発明は前記の広告システムにおいて、役務に関するノベルティにおいて、役務の提供に際して顧客が利用する物品に広告を付したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項5記載の発明は前記の広告システムにおいて、受け渡し場所は商業施設であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項6記載の発明は前記の広告システムにおいて、受け渡し場所はイベント会場であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項7記載の発明は前記の広告システムにおいて、受け渡し場所は路上であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8記載の発明は前記の広告システムにおいて、顧客が受け取ったノベルティと受け渡し場所情報を顧客の属性情報と紐付けて記憶する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本願発明の広告システムの最大の特徴は人間を広告媒体の補助手段として利用使用する点にある。すなわち、広告を付したノベルティを顧客が手持ちすることが可能なものとすれば、それを受け取った顧客がそれを持って街中を歩き回ることにより広告の露出場所が固定されず、しかも露出時間が長くなる。
【0023】
特に、請求項3記載の発明のように、ノベルティを飲料とし、広告を付したとコップと、上記コップに注入すべき飲料とに分けて受け渡し場所に配置する場合は、コップは手持ちせざるを得ないので前記の効果を特に発揮できる。
【0024】
また、コップと、上記コップに注入すべき飲料とに分けるので、広告主は紙コップなどの使い捨て容器だけをオリジナルで用意すればよく、飲料は使用量分だけが消費されるので無駄がない。
【0025】
さらに、請求項5記載の発明のように、受け渡し場所を小売店舗やショッピングモールなどの商業施設とすれば、そこへの集客効果も期待できる。
【0026】
次に本願発明の広告システムの第二の特徴は予め顧客の属性情報を記録し、特定の属性を有する顧客層を配布対象としたノベルティを受け渡し場所に配置する点にある。これにより、広告対象者を絞った効率のよい広告を実現することができる。
【0027】
一方、請求項8記載の発明のように、顧客が受け取ったノベルティと受け渡し場所情報を顧客の属性情報と紐付けて記憶すれば、これらの相関関係を解析してマーケティング分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願発明の広告システムのブロック図。
図2】ノベルティの斜視図。
図3】本願発明の広告システムの管理者側の手順の流れを示すフローチャート。
図4】本願発明の広告システムの顧客側の手順の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本願発明の広告システムの具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。本願発明の広告システムはノベルティ9と、顧客の属性情報およびノベルティの位置情報を記録、管理する管理サーバ2と、ネットワーク6を介して管理サーバに接続可能な顧客の端末7を有する。ここでは顧客は管理サーバ2からスマートフォンやタブレットなどの顧客の端末7に対してシステム用アプリケーションの提供を受けてこの広告システムに参加する。参加に際して顧客は例えば性別、年令、居住地域、行動地域、職種、嗜好などの顧客属性をシステムに提供して会員登録を受け、ID、パスワードを得る。
【0030】
管理サーバ2は管理者が運営する管理センター1内に設置され、顧客から提供された顧客属性を格納する顧客データベース3、ノベルティに関する情報を格納するノベルティデータベース4、ノベルティの受け渡し場所の情報を格納する受け渡し場所データベース5を有する。
【0031】
本願発明においてはノベルティとは、対価と引き換えでなく無料で配布する物品または役務を指す。図2はノベルティの実例を示すものであり、ここでは表面に広告10を付した紙などの使い捨てコップをノベルティ9としている。この場合、上記コップに飲料が注がれ初めてノベルティとして完結する。本願発明においてはノベルティは顧客が持ち運ぶ際にそこに付した広告を露出することが目的なので、それに適したものであれば顧客が手持ちすることが可能な包装入り食品やその他の物品であってもよい。また、広告はノベルティ自体でなく、それを持ち運ぶ包装に付されてもよい。
【0032】
一方、役務のノベルティに関しては役務の提供に際して顧客が利用する物品に広告を付すことが可能なものがよく、例えば貸し自転車、貸し傘、貸しシャンパー、貸し帽子などが好適である。
【0033】
ノベルティの受け渡し場所としては、ノベルティを渡す際にノベルティの受け取り資格を判定するために管理サーバ2と通信する受け渡し場所端末8を配せればどこでもよく、例えば小売店舗やショッピングモールなどの商業施設、スポーツ大会やコンサートなどのイベント会場、あるいは公園や散策路、駅前などの路上であってもよい。
【0034】
以下、本願発明の広告システムの手順の流れをフローチャートに沿って説明することとする。
【0035】
図3は管理者側の手順の流れを示すフローチャートである。
【0036】
手順01(S1)
管理者は広告主からの広告目的、広告対象などの要望に沿ってノベルティの種類、配布対象層を策定するとともに、ノベルティを入手して個数、保管場所を決定し、これらの情報をノベルティデータベース4に記憶させる。
【0037】
手順02(S2)
次いで、配布場所、配布日時を策定しノベルティデータベース4に記憶させる。
【0038】
手順03(S3)
以上の情報に基づいて顧客データベース3に記録された顧客情報を検索し、配布対象者を決定する。
【0039】
手順04(S4)
ノベルティを配布場所に配置する。この際にノベルティの移動に関してノベルティデータベースの記録を更新する。
【0040】
手順05(S5)
ノベルティに関し、システム用アプリケーションを介して配布対象者に告知する。告知方法はここではブラウザ上にノベルティリストを表示し(図4フローチャート手順05(S5))、顧客が選択したノベルティに関し地図などの配布場所情報を知らせる(図4フローチャート手順07(S7))。
【0041】
手順06(S6) 手順07(S7)
配布場所においてノベルティの受け取りを希望する顧客の受け取り資格を判定してノベルティを配布する。具体的には顧客の端末のシステム用アプリケーションのブラウザ上に表示されるコードを受け渡し場所端末で読み取って判定する。
【0042】
手順08(S8)
顧客が受け取ったノベルティと受け渡し場所情報を顧客の属性情報と紐付けて記憶して、顧客データベースやノベルティデータベース、あるいはその他のデータベースに格納する。
【0043】
手順09(S9) 手順10(S10)
必要に応じて、顧客が受け取ったノベルティと受け渡し場所情報を顧客の属性情報と紐付けて記憶した記録において相関関係を解析し、広告効果の測定、あるいはマーケティング分析を行うために結果を出力する。
【0044】
以下、本願発明の広告システムの手順の流れをフローチャートに沿って説明することとする。
【0045】
図4は顧客側の手順の流れを示すフローチャートである。
【0046】
手順01(S1)
顧客はネットワークを介して端末から管理者の管理サーバにアクセスし、システム用アプリケーションをダウンロードする。
【0047】
手順02(S2)
顧客はシステム用アプリケーションを通じて本システムへの参加登録を申請し、申請に際して例えば性別、年令、居住地域、行動地域、職種、嗜好などの顧客属性をシステムに提供する。
【0048】
手順03(S3)
顧客は参加登録後ID、パスワードを受け取る。
【0049】
手順04(S4) 手順05(S5)
本システムの利用を望む顧客は端末に表示されるブラウザ上に表示される自分を対象としたノベルティリストを閲覧する。閲覧は顧客が必要に応じて行う場合と、管理者から配布対象に対するメールやプッシュ通知により促す場合がある(図3フローチャート手順05(S5))。
【0050】
手順06(S6) 手順07(S7)
顧客にはリストからノベルティを選択することにより、選択したノベルティに関し地図などの配布場所情報が知らされる。
【0051】
手順08(S8) 手順09(S9) 手順10(S10)
配布場所において、顧客が端末のブラウザ上の受け取りボタンを押すことにより、コードなどの受け取り資格がブラウザ上に表示される。例えば小売店舗の店員などの配布代行者はこれをこれを受け渡し場所端末で読み取って判定し、顧客にノベルティを渡す。
【符号の説明】
【0052】
1 管理センター
2 管理サーバ
3 顧客データベース
4 ノベルティデータベース
5 受け渡し場所データベース
6 ネットワーク
7 顧客の端末
8 受け渡し場所端末
9 ノベルティ
10 広告
図1
図2
図3
図4