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特許7566359照合システム、照合方法、及び、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】照合システム、照合方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20241007BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241007BHJP
【FI】
G06F21/31
G06Q50/20 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023008422
(22)【出願日】2023-01-23
(65)【公開番号】P2024104258
(43)【公開日】2024-08-02
【審査請求日】2024-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519330386
【氏名又は名称】アカメディア・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】菊池 参
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-059107(JP,A)
【文献】特開2022-042577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信される学習教材の修了証の照合システムであって、
読取装置と、
処理装置と、を備え、
登録ユーザの固有情報と関連付けて、前記学習教材の配信を指示した第1ユーザが前記登録ユーザであることのユーザ認証に用いられる第1の識別情報が第1のサーバに記憶されており、
前記修了証は、前記第1の識別情報に対応させた第1情報と、前記固有情報に対応させた第2情報とを含み、
前記読取装置は、前記修了証から前記第1情報と前記第2情報とを読み取り、
前記処理装置は、読み取られた前記第1情報から得られる識別情報を、読み取られた前記第2情報から得られる固有情報に関連付けて前記第1のサーバに記憶されている前記第1の識別情報と照合する、ように構成されている
照合システム。
【請求項2】
前記学習教材は、前記ユーザ認証が成功の場合に配信される
請求項1に記載の照合システム。
【請求項3】
前記登録ユーザの第2の識別情報が、前記登録ユーザの前記固有情報と関連付けて、前記第1のサーバとは異なる第2のサーバに記憶されており、
前記処理装置は、読み取られた前記第1情報から得られる識別情報を、さらに、読み取られた前記第2情報から得られる固有情報に関連付けて前記第2のサーバに記憶されている前記第2の識別情報と照合する、ように構成されている
請求項1に記載の照合システム。
【請求項4】
前記学習教材の配信中に受講中である第2ユーザから得られ、前記第1の識別情報を用いて前記第2ユーザが前記登録ユーザであることの認証に用いられた第2の識別情報が、前記登録ユーザの前記固有情報と関連付けて記憶されており、
前記処理装置は、読み取られた前記第1情報から得られる識別情報を、さらに、前記第2の識別情報と照合する、ように構成されている
請求項1に記載の照合システム。
【請求項5】
前記学習教材の受講中に前記第2ユーザから複数の前記第2の識別情報が得られ、
前記複数の前記第2の識別情報は、少なくとも2以上のサーバに分散して記憶されており、
前記第2の識別情報と照合することは、読み取られた前記第1情報から得られる識別情報を、前記2以上のサーバに記憶されている複数の前記第2の識別情報それぞれと照合する、ことを含む
請求項4に記載の照合システム。
【請求項6】
前記処理装置は、前記第1の識別情報との前記照合が成功した場合に、さらに、前記第2の識別情報との前記照合を行う、ように構成されている
請求項3又は4に記載の照合システム。
【請求項7】
前記第1の識別情報は、前記登録ユーザの少なくとも一部を撮影して得られる撮影画像を含み、
前記読取装置は撮影装置を含み、
前記第1情報を読み取ることは、前記撮影装置によって前記修了証の前記第1情報を撮影することを含む
請求項1に記載の照合システム。
【請求項8】
前記第2情報はコード情報により表されている
請求項7に記載の照合システム。
【請求項9】
処理装置と読取装置とを含む照合システムにおける、配信される学習教材の修了証の照合方法であって、
登録ユーザの固有情報と関連付けて、前記学習教材の配信を指示した第1ユーザが前記登録ユーザであることのユーザ認証に用いられる第1の識別情報が第1のサーバに記憶されており、
前記修了証は、前記第1の識別情報に対応させた第1情報と、前記固有情報に対応させた第2情報とを含み、
前記読取装置が、前記修了証から前記第1情報と前記第2情報とを読み取り、
前記読取装置が、読み取って得られた読取情報を前記処理装置に渡し、
前記処理装置が、読み取られた前記第1情報から得られる識別情報を、読み取られた前記第2情報から得られる固有情報に関連付けて前記第1のサーバに記憶されている前記第1の識別情報と照合する、ことを備える
照合方法。
【請求項10】
配信される学習教材の修了証の照合のための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
登録ユーザの固有情報と関連付けて、前記学習教材の配信を指示した第1ユーザが前記登録ユーザであることのユーザ認証に用いられる第1の識別情報が第1のサーバに記憶されており、
前記修了証は、前記第1の識別情報に対応させた第1情報と、前記固有情報に対応させた第2情報とを含み、
前記コンピュータに、
前記修了証から前記第1情報と前記第2情報とを読み取り、
読み取られた前記第1情報から識別情報を得、
読み取られた前記第2情報から固有情報を得、
前記識別情報を、前記固有情報に関連付けて前記第1のサーバに記憶されている前記第1の識別情報と照合する、ことを実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照合システム、照合方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リアルタイム配信される講習または録画された講習を、インターネット等を介して配信してユーザに履修させる、いわゆるe-learningが広く用いられている。このような学習教材の配信において、受講が修了すると修了証が発行される場合がある。修了証は、予め登録されたユーザの修了を照明するものであって、講習を含むコンテンツの視聴の証明証と言い換えることもできる。例えば、エンターテイメントなどのコンテンツの再生の場合は、予め規定された回数、コンテンツの視聴が完了したことの証明証などであってもよい。
【0003】
例えば、特開2002-351299号公報(以下、特許文献1)はネットワークを用いた教育システムを開示しており、その中で、設定された修了条件を満たした受講者の受講者用クライアント装置に対して修了証を送信する構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-351299号公報
【発明の概要】
【0005】
学習教材の履修が、例えば、資格や免許の取得に際して必要な講習である場合、資格や免許を付与する側においては修了証の真偽の確認が重要になる。すなわち、修了証を呈示したユーザが、実際に受講したユーザであるかの真偽の確認が重要になる。例えば、予め登録しているユーザが学習教材を受講して修了証を得た後、第三者が修了証を書き換えて、あたかも自身が修了したかのように提示する、というなりすましを効果的に防ぎたいという要望がある。そこで、本開示は、配信される学習教材の修了証の照合を行う照合システム、照合方法、及び、コンピュータプログラムを提供することを目的の1つとする。
【0006】
ある実施の形態に従うと、照合システムは、配信される学習教材の修了証の照合システムであって、読取装置と、処理装置と、を備え、登録ユーザの固有情報と関連付けて、学習教材の配信を指示した第1ユーザが登録ユーザであることのユーザ認証に用いられる第1の識別情報が第1のサーバに記憶されており、修了証は、第1の識別情報に対応させた第1情報と、固有情報に対応させた第2情報とを含み、読取装置は、修了証から第1情報と第2情報とを読み取り、処理装置は、読み取られた第1情報から得られる識別情報を、読み取られた第2情報から得られる固有情報に関連付けて第1のサーバに記憶されている第1の識別情報と照合する、ように構成されている。
【0007】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る照合システムの概略図である。
図2図2は、オンライン学習システムの概略構成を示す概要図である。
図3図3は、教育機関サーバの概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、ユーザ登録データの一例を示す図である。
図5図5は、ユーザ端末の概略構成を示すブロック図である。
図6図6は、オンライン学習システムでのオンライン学習の提供方法の流れの一例を概略的に表した図である。
図7図7は、修了証の一例を概念的に表した概略図である。
図8図8は、処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図9図9は、読取装置の概略構成を示すブロック図である。
図10図10は、照合システムでの修了証の照合方法の流れの一例を概略的に表した図である。
図11図11は、処理装置での処理の流れの概略を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[システムの概要]
図1は、本実施の形態に係るシステムの概要を表した概略図である。本実施の形態では、オンライン学習システム100aにおいて登録したユーザAが、配信される学習教材(コンテンツ)を受講して履修すると、履修を証明する修了証130が発行される(#1)。ユーザAは、発行された修了証130を運転免許センターなどに持参し、提出する(#2A)。運転免許センターなどでは、認証システム700aを利用して、提出された修了証が、ユーザAによる履修を証明する修了証130であることを認証する(#3~#6)。これにより、ユーザAではないユーザBが修了証130を取得し、自身のもののように改ざんした修了証130Bを提出する(#2B)、いわゆるなりすましを判別することができる。
【0010】
詳しくは、ユーザAは、オンライン学習システム100aに含まれる教育機関サーバ201(第1のサーバ)に対して認証用顔写真データ(第1の識別情報)215とID(identification)(第2の識別情報)とを登録しておく。認証用顔写真データ215とIDとは、オンライン学習システム100aにおいて、学習教材の配信の際のユーザ認証に用いられる。つまり、ユーザ認証に成功して初めて、学習教材が配信装置100からユーザAのユーザ端末301に配信される。
【0011】
認証用顔写真データ215とIDとは、オンライン学習システム100aにおいて、学習教材の配信中の適当なタイミングでのユーザ端末301で撮影された受講者の顔画像(サンプリングデータ)を用いたユーザ認証にも用いられる。これにより、オンライン学習システム100aにおいてユーザAによる受講が確認される。
【0012】
受講中のユーザ認証に成功したサンプリングデータ601A,601B,601C,…は教育機関サーバ201とは異なる、複数の保存用サーバ600a,600b,600c,…(第2のサーバ)に分散して記憶される。
【0013】
修了証130には、ユーザAの顔画像を表した第1画像131と、IDを表した第2画像132と、が表示されている。ユーザAが修了証130を持参すると、第1の例として、係員が携帯する読取装置900Aで撮影して第1画像131及び第2画像132を読み取る(#3A)。第2の例として、修了証130を持参したユーザAは、運転免許センターなどに設置されている専用の読取装置900Bに修了証130を読み込ませる(#3B)。
【0014】
読み取られた第1画像131の画像データ、及び、第2画像132から得られたIDは、認証サーバ700に渡され(#4)、受け取ったIDによって教育機関サーバ201から読み出されるユーザAの認証用顔写真データ215と照合される(#5)。さらに、認証サーバ700では、受け取ったIDによって保存用サーバ600a,600b、600cから読み出される複数のサンプリングデータと照合される(#6)。
【0015】
ユーザAが自身の修了証130を提出した場合(#2A)、第2画像132からユーザAのIDが読み出され、教育機関サーバ201からもいずれの保存用サーバ600a,600b、600cからも自身の顔画像が読み出されるため、第1画像131から読み出される顔画像の照合は成功する。そのため、認証システム700aでは、修了証130AがユーザAの学習教材の履修を証明するものであることが認証される。
【0016】
一方、ユーザAではないユーザBが修了証130を取得し、自身のもののように改ざんした修了証130Bを提出した、いわゆるなりすましの場合(#2B)、修了証130Bは、顔写真がユーザBの顔写真に改ざんされた第1画像131Bと、ユーザAの第2画像132と、が表示されていると考えられる。この場合、教育機関サーバ201からもいずれの保存用サーバ600a,600b、600cからも、ユーザAのIDに対応したユーザAの認証用顔写真データ215が得られ、ユーザBの顔画像との照合は失敗する。
【0017】
仮に、教育機関サーバ201がハッキングされてユーザAの認証用顔写真データ215がユーザBのものに書き換えられたとしても、複数の保存用サーバ600a,600b、600cすべてのサンプリングデータまで書き換えられる可能性は小さく、サンプリングデータを用いたユーザBの顔画像との照合は失敗する。
【0018】
[システムの詳細]
[認証システムの概略構成]
認証システム700aは、インターネット10などの通信網を介して相互に通信可能な処理装置の一例である認証サーバ700と、読取装置900と、を含む。他の例として、認証サーバ700と読取装置900とは一体の装置で構成されていてもよい。なお、第1の例の読取装置900A、及び第2の例の読取装置900Bを代表させて読取装置900と称する。認証サーバ700は、オンライン学習システム100aと通信可能である。
【0019】
[オンライン学習システムの概略構成]
オンライン学習システム100aは、オンラインでユーザに配信され、聴覚及び視覚の少なくとも一方によってユーザに情報を与えるコンテンツの一例としての学習教材を配信するシステムを指す。
【0020】
オンライン学習システム100aは、ユーザAの学習教材の履修が判定されると修了証130を発行する。修了証130は、ユーザAによるコンテンツの再生が規定量に達したことの証明証の一例である。
【0021】
図2は、オンライン学習システム100aの概略構成を示す概要図である。オンライン学習システム100aは、学習教材を、インターネット10を介して配信する配信装置100を含む。オンライン学習システム100aは、インターネット10を介して配信装置100に接続された、1又は複数の教育機関サーバ201a、201b、201c、・・・を含む。教育機関サーバ201a、201b、201c、・・・を代表させて教育機関サーバ201と称する。また、オンライン学習システム100aは、インターネット10を介して配信装置100に接続された、1又は複数のユーザ端末301a、301b、301c、・・・を含む。ユーザ端末301a、301b、301c、・・・を代表させてユーザ端末301と称する。
【0022】
[配信装置の説明]
配信装置100は、一例として、プロセッサとメモリとを有するコンピュータ、又は、一つのコンピュータおよびその周辺装置で構成されている。配信装置100は、複数のコンピュータが協働して実現されるものであってもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0023】
メモリは、プロセッサで実行されるコンピュータプログラム(以下、プログラム)を記憶している。プロセッサはプログラムを実行することによって、後述する各部として示される機能を実現する。なお、プロセッサ及びメモリの構成については、後述の教育機関サーバ201及びユーザ端末301も同様である。
【0024】
配信装置100は、オンライン学習教材を記憶するための講義データ記憶部11を有する。配信装置100は、受講進捗管理部12、受講者管理部13、配信制御部15、及び修了処理部17を有する。これらは、プロセッサがプログラムを実行することによって実現される機能である。
【0025】
受講進捗管理部12は、ユーザごとの受講履歴をメモリに記憶する。受講履歴は項目ごとであってもよい。受講進捗管理部12は、ユーザの固有情報に関連付けて受講履歴をメモリに記憶する。ユーザの固有情報はユーザを識別可能な情報であればよく、一例として、後述する教育機関サーバ201のユーザ登録データ210に含まれるユーザのID211と同じものである。
【0026】
受講者管理部13は、ユーザの管理を行う。ユーザの管理は、受講開始を指示するユーザ(第1ユーザ)のログイン処理を含む。ログイン処理は、一例として、後述する、教育機関サーバ201の登録データ記憶部21からユーザ登録データ210(図4)を読み出し、ユーザ端末301から入力された情報を用いてユーザ認証(本人確認)することを含む。ユーザ登録データ210は、教育機関サーバ201から取得し、メモリに記憶されていてもよい。
【0027】
登録ユーザの管理は、修了証を発行することを含む。修了証は、電子的に発行され、例えばスマートフォンなどの端末装置の画面に表示されるもの(デジタル修了証)であってもよいし、紙やプレートなどの物理的な媒体に印刷されるもの(アナログ修了証)であってもよい。配信装置100が修了証を発行してもよいし、教育機関サーバ201に発行を指示してもよい。
【0028】
配信制御部15は、学習教材の配信を制御する。配信の制御は、ユーザ端末301からの配信開始や停止などの指示に応じた配信の制御を含む。配信の制御は、受講者管理部13でのログイン処理が成功の場合に配信を許可し、失敗の場合に配信を許可しないことを含む。配信の制御は、受講履歴に基づいて配信位置(再生開始位置)を判定することを含んでもよい。
【0029】
好ましくは、配信装置100は、認証処理部14を含む。認証処理部14は、学習教材の配信中に、受講者の本人確認及び進捗確認を行うことを含む。配信中の本人確認及び進捗確認については後述する。
【0030】
配信装置100は、通信部16を有する。通信部16は、通信モジュールなどの通信装置と、通信装置を制御するプロセッサの機能と、によって実現される。通信部16は、インターネット10を介して、ユーザ端末301および教育機関サーバ201と通信する。
【0031】
[教育機関サーバの説明]
図3は、教育機関サーバ201の概略構成を示すブロック図である。教育機関サーバ201は、一例として、プロセッサとメモリとを有するコンピュータ、又は、一つのコンピュータおよびその周辺装置で構成されている。教育機関サーバ201は、複数のコンピュータが協働して実現されるものであってもよい。
【0032】
教育機関サーバ201は、ユーザ登録データを記憶するための登録データ記憶部21を有する。図4は、登録データ記憶部21に記憶されたユーザ登録データ210の一例を示す図である。ユーザ登録データ210は、オンライン学習システム100aを利用する受講者又は講師によってユーザ端末301から入力され、登録データ記憶部21に記憶される。
【0033】
ユーザ登録データ210は、ユーザごとに、当該ユーザを特定するために用いられ得る1以上の情報を含む。ユーザ登録データ210に情報が含まれているユーザを、以降の説明では登録ユーザとも称する。一例として、ユーザ登録データ210は、登録ユーザごとの、ID211、名前(例えば氏名)212、パスワード213、住所214、及び、認証用顔写真データ215を含む。また、ユーザ登録データ210に含まれるユーザの情報は、上記のデータ211~215に加えて、生年月日(図示省略)、電話番号(図示省略)、メールアドレス(図示省略)、などを含んでもよい。
【0034】
認証用顔写真データ215は、登録ユーザの識別情報(第1の識別情報)の一例であって、ユーザを走査することで得られる識別情報である。ユーザを走査することは、一例として、ユーザの身体の少なくとも一部を撮影することである。この場合、第1の識別情報は撮影画像から得られる情報(画像情報)であって、画像情報は、一例として、撮影画像そのものである。ユーザの身体の少なくとも一部は、例えば顔であってもよい。ユーザの顔を撮影して得られた第1の識別情報が認証用顔写真データ215に相当する。撮影画像は、他の例として、掌、指、又は、瞳などの撮影画像であってもよい。この場合、第1の識別情報は、掌紋、指紋、虹彩、及び、これらのうちの2以上の組み合わせ、などであってもよい。
【0035】
画像情報は、他の例として、撮影画像(例えば顔画像)から得られる特徴量であってもよい。特徴量は、特定の部位(例えば黒目の中心)の二次元又は三次元座標点、特定の部位間の距離、色の分布、及び、これらのうちの2以上の組み合わせ、などであってよい。
【0036】
認証用顔写真データ215は、ユーザ端末301からアップロードされてもよいし、教育機関において走査(例えば撮影)されて教育機関サーバ201に直接入力されてもよい。
【0037】
第1の識別情報としてこのような情報が用いられることによって、後述のログイン処理や照合を精度よく行うことが可能になる。また、顔画像データ以外の画像情報が用いられることによって、登録データ記憶部21に記憶させるユーザの個人情報を抑えることができ、個人情報流出の範囲を抑えることができるとともに、ユーザのプライバシーを好適に保護することができる。
【0038】
教育機関サーバ201は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現される機能であって、登録ユーザがオンライン学習教材(コンテンツ)を履修する都度、その情報を配信装置100から受け付けて、進捗データとして管理する、進捗データ受付部22を有する。
【0039】
教育機関サーバ201は、通信部26を有する。通信部26は、通信モジュールなどの通信装置と、通信装置を制御するプロセッサの機能とによって実現される。通信部26は、ユーザ端末301及び配信装置100との通信を制御する。
【0040】
[ユーザ端末の説明]
図5は、ユーザ端末301の概略構成を示すブロック図である。ユーザ端末301としては、パーソナルコンピュータ、タブレット、またはスマートフォン等の、インターネット10に接続可能であって、配信される学習教材を受信し、再生可能な端末であれば、任意の端末を利用できる。
【0041】
ユーザ端末301は、操作部32及びディスプレイ34を有する。ユーザ端末301は、さらに、スピーカ(図示省略)やマイク(図示省略)を含んでもよい。これらは、学習教材の再生に必要な構成の一例である。操作部32は、例えばディスプレイ34に一体化されたタッチパネル等で実現され、受講者からの入力を受け付ける。
【0042】
ユーザ端末301は、カメラ33を有する。カメラ33は、ユーザ端末301に対して規定の位置にいるユーザ(第2ユーザ)から識別情報(第2の識別情報)を得るための構成の一例である。第2の識別情報は、後述するログイン処理におけるユーザ認証に用いられる。また、第2の識別情報は、受講中の本人確認にも用いられる。
【0043】
第1の識別情報が撮影画像を解析して得られるものである場合には、第2の識別情報を得るための構成として、ユーザ端末301は、カメラ33に加えて、画像解析部(図示省略)を有する。又は、画像解析部は配信装置100に設けられていてもよい。
【0044】
ユーザ端末301は、通信部36を有する。通信部36は、通信モジュールなどの通信装置と、通信装置を制御するプロセッサの機能と、によって実現される。通信部36は、インターネット10を介して、ユーザ端末301及び教育機関サーバ201と通信する。通信部36は、配信装置100及び教育機関サーバ201との通信を制御する。
【0045】
ユーザ端末301は、動画再生部31を有する。動画再生部31はWebブラウザにより実現されてもよいし、プロセッサがオンライン学習用のアプリケーションを実行することによって実現される機能であってもよい。
【0046】
[オンライン学習の提供方法の説明]
図6は、オンライン学習システム100aでのオンライン学習の提供方法の流れの一例を概略的に表した図である。オンライン学習の提供方法では、初めに、ユーザ端末301が登録を希望するユーザから登録を指示する操作を受け付ける(ステップS10)。ステップS10では、例えば、名前、住所等の入力を受け付けるとともに、登録用の写真の撮影を行うことで顔画像の入力を受け付ける。
【0047】
ユーザ端末301は、一例として、ユーザ操作によって入力された名前、住所等を、メモリに記憶されているアプリケーションに従って教育機関サーバ201に送信するとともに、顔画像を教育機関サーバ201に送信する(ステップS11)。教育機関サーバ201は、ユーザ端末301からこれら情報を受け付けると登録処理(ステップS2)を実行して、これら情報をユーザ登録データ210として登録データ記憶部21に記憶する。
【0048】
登録処理において教育機関サーバ201は、登録するユーザに対してID及びパスワードを発行する(ステップS21)。ID及びパスワードの発行を受けると、登録ユーザは、ユーザ端末301から配信装置100に学習教材の配信を要求することができる。
【0049】
ユーザ端末301は、ユーザから学習教材の配信を要求する指示を受け付けて、ログインに必要なID及びパスワードを配信装置100に送信するとともに、配信に必要な顔画像を撮影し、画像データを配信装置100に送信する(ステップS12)。
【0050】
配信装置100は、ユーザ端末301から配信の要求を受け付けると配信処理を実行する(ステップS3)。配信処理は、ユーザ端末301からのID及びパスワードをユーザ登録データ210のID211及びパスワード212と照合するログイン処理(ステップS31)を含む。さらに、ログイン処理は、ユーザ端末301からの画像データを、認証用顔写真データ215を用いて顔認証することを含む。ログイン時に受講者の顔認証が行われることによって、学習教材の配信を指示したユーザ(第1ユーザ)が登録ユーザであることが確認されるようになる。そのため、他者による不正なログインを防止できるとともに、他人のなりすましの受講も防止できる。
【0051】
なお、配信の要求時にユーザ端末301から送信され、ログイン処理が成功であった顔画像の画像データは、後述の保存用サーバ600に記憶されてもよい。これにより、認証システム700aでの認証に第2の識別情報として用いることができる。
【0052】
配信処理は、学習教材の配信の制御(ステップS32)を含む。配信の制御は、ユーザ端末301によってリクエストされた学習教材を、ユーザ端末301の操作に従って配信したり配信を停止したりする制御を含む。ユーザ端末301は、配信装置100から学習教材を受け取ると再生する(ステップS41)。これにより、ユーザはユーザ端末301をコンテンツ再生装置として用いて学習教材を受講できる。
【0053】
配信処理は、受講の進捗管理(ステップS33)を含む。受講の進捗管理は、配信装置100が、ユーザ端末301に配信の開始したポイントから停止したポイントまでを受講済みとして受講者の受講履歴を更新することを含む。
【0054】
好ましくは、受講の進捗管理は、配信中の受講者(第2ユーザ)の本人確認および進捗確認を含む。ユーザ端末301はプログラムに従って、配信された学習教材を再生するとともに、所定のタイミング(例えば一定の時間間隔など)でカメラ33によって既定の位置の第2ユーザを撮影(サンプリング)させ、画像データ(サンプリングデータ)を配信装置100に送信する(ステップS42)。
【0055】
配信装置100は、サンプリングデータを第2の識別情報として、ユーザ登録データ210に含まれる認証用顔写真データ215とマッチングすることで、第2ユーザが登録ユーザであるか否かの本人確認を行う。本人確認は、例えば10秒ごとにサンプリングデータが得られるときに10秒ごとに行ってもよいし、10秒ごとに得られたサンプリングデータのいずれかを用いて10秒より長い間隔で行ってもよい。本人認証を行うタイミングはランダムであってもよい。マッチングの結果これらが一致した場合には本人確認は成功となり、一致しなかった場合には本人確認は失敗となる。
【0056】
本人確認が成功の場合、配信装置100は、学習教材の再生開始からサンプリングした時刻に再生されたポイントまでを登録ユーザ本人による受講済みとして、当該受講者の受講履歴を更新する。本人確認が失敗の場合、登録ユーザと異なるユーザが学習教材を聴講している、いわゆるなりすましや、登録ユーザ本人であっても居眠りや離席して適切に受講していない可能性があるため、一例として、配信装置100は、受講履歴を更新しない。配信装置100は、本人確認が失敗のときには、学習教材の配信を中止してもよい。好ましくは、配信装置100は、学習教材の再生中の所定期間内に所定の回数以上、本人認証が失敗であった場合、又は、本人認証の失敗が所定の回数以上連続して発生した場合に、受講履歴を更新しない。学習教材が項目を含む場合、本人確認が失敗のときには、当該項目自体を受講していないようにしてもよい。
【0057】
本人認証に成功したサンプリングデータは、登録ユーザのIDと関連付けてユーザ登録データ210とは異なる、複数の保存用600a,600b,600c,…に分散して記憶される。複数の保存用サーバ600a,600b,600c…を代表させて保存用サーバ600とも称する。複数の保存用サーバ600A,600B,600C,…は、例えばブロックチェーンであってもよい。なお、複数のサンプリングデータが1つの保存用サーバ600に記憶されていてもよい。
【0058】
配信装置100は、受講履歴より登録ユーザが学習教材を履修したことが検出されると、修了証を発行する(ステップS5)。修了証の発行は、コンテンツの再生が規定量に達したことが検出されたときに行われるものである。
【0059】
図7は、修了証の一例を概念的に表した概略図である。修了証130はデジタル修了証であってもアナログ修了証であってもよい。修了証130は、第1画像131を含む。第1画像131は、履修した登録ユーザの顔画像(第1の識別情報)を含む。第1画像131は、ユーザ登録データ210の登録ユーザの認証用顔写真データ215を修了証のフォーマット(図示省略)に組み込むことで表示される。
【0060】
修了証130は、第2画像132を含む。第2画像132は、履修した登録ユーザの固有情報に対応した情報である。固有情報は、例えばID211である。第2画像132は、一例として、QRコード(登録商標)などの二次元コード、バーコードなどの一次元コード、などのコードであってよい。読取装置900で第2画像132を光学的に読み取ることで、登録ユーザのID211が得られる。
【0061】
[認証サーバの説明]
図8は、認証サーバ700の概略構成を示すブロック図である。認証サーバ700は、一例として、プロセッサ71とメモリ72とを有するコンピュータ、又は、一つのコンピュータおよびその周辺装置で構成されている。認証サーバ700は、複数のコンピュータが協働して実現されるものであってもよい。
【0062】
プロセッサ71は、例えば、CPUである。メモリ72は、例えばROM、RAMなどを含む。メモリ72は、プロセッサ71で実行されるプログラム721を記憶している。プロセッサ71はプログラム721を実行することによって、後述する各処理を実行する。プログラム721は記録媒体に記録した状態で譲渡することもできるし、ダウンロードによって譲渡することもできる。
【0063】
認証サーバ700は通信装置73を有する。又は、認証サーバ700は、通信装置73に接続されている。通信装置73は通信モジュールなどであって、インターネット10を介して他の装置との間でデータの送受信を行う。
【0064】
プロセッサ71はプログラム721を実行することによって照合処理711を実行する。照合処理711は、第1の読み出し112を行うことを含む。第1の読み出し112は、教育機関サーバ201にアクセスし、ユーザ登録データ210から、読取装置900からのIDに関連付けられている認証用顔写真データ215を読み出すことを指す。照合処理711は、第1の照合113を行うことを含む。第1の照合113は、読取装置900から受信した顔画像を認証用顔写真データ215と照合することを指す。
【0065】
好ましくは、照合処理711は、第2の読み出し114を行うことを含む。第2の読み出し114は、読取装置900からのIDに関連付けて記憶されている認証用顔写真データ215以外の第2の識別情報を読み出すことを指す。
【0066】
第2の識別情報は、好ましくはサンプリングデータである。この場合、第2の読み出し114は、複数の保存用サーバ600にアクセスし、読取装置900からのIDに関連付けられて記憶されている複数のサンプリングデータを読み出すことを指す。ここでは、複数のサンプリングデータをランダムに読み出してもよい。第2の識別情報は認証用顔写真データ215以外であればよく、サンプリングデータに限定されない。例えば、配信を要求する際にユーザ端末301から送信され、ユーザ認証成功であった顔画像の画像データであってもよい。
【0067】
照合処理711は、第2の照合115を行うことを含む。第2の照合115は、読取装置900から受信した顔画像を、サンプリングデータなどの第2の識別情報と照合することを指す。
【0068】
プロセッサ71はプログラム721を実行することによって判定処理716を実行する。判定処理716は、照合結果に基づいて修了証の真偽を判定することを含む。一例として、真偽の判定は、第1の照合113が成功のときに「真」、失敗のときに「偽」とするものであってもよい。真偽の判定は、他の例として、第1の照合113が成功及び第2の照合715が成功のときに「真」、第1の照合113が失敗のときに「偽」とするものであってもよい。真偽の判定は、さらに他の例として、第1の照合113が成功及び第2の照合715が成功のときに「真」、第1の照合113及び第2の照合715のうちの少なくとも1つが失敗のときに「偽」とするものであってもよい。
【0069】
プロセッサ71は、判定処理716の結果、第1の照合713の結果、及び、又は、第2の照合715の結果の少なくとも1つを通信装置73に渡し、規定の送信先に送信させる。規定の送信先は、例えば、係員が携帯する読取装置900Aである。これにより、係員は判定結果を知る、又は、修了証の真偽を判断することができる。
【0070】
好ましくは、プロセッサ71は、判定結果が「偽」であるとき、又は、判定結果に関わらず、認証用顔写真データ215を通信装置73に渡し、規定の送信先に送信させる。規定の送信先は同様である。これにより、係員は修了証130に記されたIDに対応付けて登録された顔画像を視認することができる。そのため、係員は、修了証を提出したユーザが登録ユーザ本人であるか否かを目視で判断することができる。
【0071】
規定の送信先は、運転免許センターなどに設置されている専用の読取装置900Bや教育機関サーバ201であってもよい。この場合、これら装置は、判定結果や照合結果に応じた出力を行ってもよい。例えば、判定結果が「偽」であるときにブザーを鳴らしたり、所定の送信先に通知を送ったりしてもよい。
【0072】
[読取装置の説明]
図9は、読取装置900の概略構成を示すブロック図である。第1の例の場合、読取装置900は、パーソナルコンピュータ、タブレット、またはスマートフォン等の、インターネット10に接続可能であって、修了証からアクセス情報を読み取るための構成の一例としてのカメラを有する装置であれば、任意の端末を利用できる。読取装置900は、一例として、プロセッサ91とメモリ92とを有するコンピュータ、又は、一つのコンピュータおよびその周辺装置で構成されている。読取装置900は、複数のコンピュータが協働して実現されるものであってもよい。
【0073】
プロセッサ91は、例えば、CPUである。メモリ92は、例えばROM、RAMなどを含む。メモリ92は、プロセッサ91で実行されるプログラム921を記憶している。プロセッサ91はプログラム921を実行することによって、後述する各処理を実行する。プログラム921は記録媒体に記録した状態で譲渡することもできるし、コンピュータ装置からのダウンロードによって譲渡することもできる。
【0074】
読取装置900は通信装置93を有する。また、読取装置900はカメラ94を有する。又は、読取装置900は、カメラ94に接続されている。カメラ94は、プロセッサ91の制御に従って撮影動作を行い、画像データをプロセッサ91に入力する。
【0075】
プロセッサ91はプログラム921を実行することによって第1の読み取り911を実行する。第1の読み取り911は、カメラ94から入力された修了証130の第2画像132の画像データからIDを読み取ることを指す。画像データからIDを読み取る技術については公知のいずれの技術を用いてもよい。なお、第1の読み取り911はプログラム921に従うものでなく、読取装置900に予めインストールされている他のプログラムに従って実行されるものであってもよい。
【0076】
プロセッサ91はプログラム921を実行することによって撮影制御912を実行する。撮影制御912は、撮影を指示するユーザ操作を受け付けることによって、カメラ94に撮影させることを含む。
【0077】
プロセッサ91はプログラム921を実行することによって第2の読み取り913を実行する。第2の読み取り913は、撮影され、入力された修了証130の画像データから第1画像131を読み取り、第1画像131から顔画像を読み取ることを含む。画像データから顔画像を読み取る技術については公知のいずれの技術を用いてもよい。
【0078】
プロセッサ91は、修了証130から読み取られた顔画像(以下、読取り顔画像)を通信装置93に渡し、プログラム921によって規定されている認証サーバ700である送信先に送信させる。これにより、認証サーバ700に照合処理711がリクエストされる。
【0079】
第2の例の場合、読取装置900は、さらにスキャン95を有する。スキャン95は、例えばコードリーダなどである。スキャン95は、読取範囲に置かれた修了証130の第2画像132をスキャンしてスキャン信号をプロセッサ91に入力する。プロセッサ91は第1の読み取り911を行ってスキャン信号からIDを読み取るとともに、IDが読み取られる第2画像132であった場合に、プログラム921に従ってカメラ94を起動させる。これにより、カメラ94は撮影可能な状態となる。プロセッサ91は撮影制御912を行って、撮影範囲に置かれた修了証130の第1画像131をカメラ94に撮影させる。
【0080】
なお、第2の例の場合、読取装置900は、さらにタッチパネルなどの操作部(図示せず)を有し、修了証130を提出するユーザのIDなどログイン情報の入力を受け付けてもよい。この場合、認証サーバ700は教育機関サーバ201のユーザ登録データ210にアクセスして、読取装置900から受け取ったログイン情報を用いてログイン処理を行ってもよい。
【0081】
[修了証の照合方法の説明]
図10は、認証システム700aでの修了証の照合方法の流れの一例を概略的に表した図である。修了証の照合方法では、はじめに、読取装置900で修了証130を読み取る。
【0082】
第1の例の場合、係員が、携帯する読取装置900Aで修了証130の第2画像132を撮影する(ステップS70)。読取装置900Aは、撮影画像中の第2画像132からIDを読み取り(ステップS71)、プログラム921によって規定されている認証サーバ700に読み取ったIDを送信することによって照合をリクエストする(ステップS73)。
【0083】
第2画像132からIDが読み取られた場合、読取装置900Aは、第1画像131を撮影可能な状態となってもよい。例えば、読取装置900Aではプログラム921に従って、「第1画像131を撮影してください」などの表示がなされたり、第1画像131をあわせる枠が表示されたりしてもよい。
【0084】
係員は、さらに、読取装置900Aで修了証130の第1画像131を撮影する(ステップS74)。読取装置900Aは、撮影画像中の第1画像131から顔画像を読み取り(ステップS75)、プログラム921によって規定されている認証サーバ700に読み取られた顔画像(読取り顔画像)を送信する(ステップS76)。
【0085】
第2の例の場合、修了証130を提出するユーザが、設置されている読取装置900Bに修了証130を挿入し、例えば認証開始ボタンを押すなどすることで、スキャン95によって第2画像132がスキャンされる(ステップS70)。読取装置900は、スキャン信号からIDを読み取る(ステップS71)。読取装置900Bは、スキャン信号からIDが読み取られた場合、プログラム921に従ってカメラ94を起動し、修了証130の第1画像131を撮影する(ステップS74)。読取装置900は、撮影画像中の第1画像131から顔画像を読み取り(ステップS75)、ステップS71で読み取ったIDとともに、プログラム921によって規定されている認証サーバ700に送信することによって照合をリクエストする(ステップS73)。
【0086】
次に、認証サーバ700では、読取り顔画像を照合する。すなわち、認証サーバ700は教育機関サーバ201にアクセスし、ユーザ登録データ210から、読取装置900からのIDに関連付けられている認証用顔写真データ215を読み出して(ステップS91)、読取り顔画像を照合する(ステップS92)。
【0087】
また、認証サーバ700は、複数の保存用サーバ600にランダムにアクセスし、読取装置900からのIDに関連付けて記憶されている1以上のサンプリングデータを読み出して(ステップS93)、読取り顔画像を照合する(ステップS94)。
【0088】
認証サーバ700ではこれらの照合結果に基づいて修了証130の真偽を判定し(ステップS95)、その結果を既定の装置に出力する(ステップS96)。既定の装置は、例えば読取装置900である。また、ステップS96では照合の結果を送信してもよいし、認証用顔写真データ215を送信してもよい。
【0089】
[認証サーバでの処理の説明]
図11は、認証サーバ700での処理の流れの概略を表したフローチャートである。認証サーバ700は、読取装置900からの照合のリクエストを待機しており、リクエストを受信すると(ステップS101でYES)、以降の処理を開始する。
【0090】
認証サーバ700は、リクエストを受けると教育機関サーバ201にアクセスし、ユーザ登録データ210から、読取装置900からのIDに関連付けられている認証用顔写真データ(第1の識別情報)215を読み出す(ステップS103)。認証サーバ700は、読取装置900からの読み取り顔画像をステップS103で読み出した認証用顔写真データ215と照合する(ステップS103)。照合が失敗の場合(ステップS107でNO)、認証サーバ700は「偽」と判定し(ステップS115)、その結果を出力する(ステップS119)。
【0091】
照合が成功の場合(ステップS107でYES)、認証サーバ700は、保存用サーバ600にアクセスして、読取装置900からのIDに関連付けて記憶されているサンプリングデータを読み出し(ステップS109)、読み取り顔画像をさらに照合する(ステップS111)。
【0092】
ここでは、複数の保存用サーバ600a,600b,600c…にランダムにアクセスして1以上のサンプリングデータを読み出して照合に用いてもよいし、1つの保存用サーバ600に記憶されているサンプリングデータの中からランダムに1以上のサンプリングデータを読み出して照合に用いてもよい。さらに、他の例として、サンプリングデータ以外に、又は、サンプリングデータに加えて、配信開始時のログイン処理に用いたユーザ端末301から得られた顔画像データを保存用サーバ600から読み出して照合に用いてもよい。
【0093】
照合が失敗の場合(ステップS113でNO)、認証サーバ700は「偽」と判定し(ステップS115)、その結果を出力する(ステップS119)。照合が成功の場合(ステップS113でYES)、認証サーバ700は「真」と判定し(ステップS117)、その結果を出力する(ステップS119)。
【0094】
ステップS105の照合(第1の照合)が失敗の場合、修了証130の第1画像131が認証用顔写真データ215と異なっている可能性が高い。これは、登録ユーザ(ユーザA)が履修して修了証を得た後に、修了証130の第1画像131が他のユーザ(ユーザB)の顔画像に差し替えられ(偽造)、ユーザBがユーザAになりすましていることが想定される(図1の#2B)。認証システム700aにおいて第1の照合が行われて修了証130の偽造が判定されることによって、このようななりすましが容易に検出される。
【0095】
ステップS111の照合(第2の照合)が失敗の場合、修了証130の第1画像131は認証用顔写真データ215と一致しているものの、再生途中に得られた顔画像(サンプリングデータ)とは異なっている可能性が高い。これは、修了証130の第1画像131がユーザBの顔画像に差し替えられ(偽造)、教育機関サーバ201のメモリに記憶されているユーザAの認証用顔写真データ215もあわせてユーザBの顔画像に改ざんされた上で、ユーザBが登録ユーザになりすましていることが想定される(図1の#2B)。
【0096】
仮に教育機関サーバ201の認証用顔写真データ215が改ざんされた場合であっても、教育機関サーバ201と異なるメモリに記憶されているサンプリングデータまで改ざんされる可能性は低い。さらに、複数のサンプリングデータが複数の保存用サーバ600a,600b,600c…に分散して記憶されている場合、すべてのサンプリングデータが改ざんされる可能性は低い。つまり、この例の場合、改ざんのリスクが抑えられる。そのため、仮にこのような教育機関サーバ201の改ざんが生じて第1の照合が成功であったとしても第2の照合が行われて修了証130の偽造が判定されることによって、なりすましを検出することができる。
【0097】
他の例として、第1の照合(ステップS105)の成否にかかわらずに第2の照合(ステップS111)を行ってもよい。さらに、第2の照合は、少なくとも2以上のサンプリングデータを用いて複数回、行われてもよい。この場合、第1の照合と第2の照合とのうちの少なくとも1回が成功のときに「真」と判定するようにしてもよい。このように2段階の照合を行うことで、ノイズ等生じた場合であっても真偽の判定が可能になる。又は、第1の照合と第2の照合とのすべてが成功である場合にのみ、「真」と判定するようにしてもよい。このように多段階の照合を行うことでよりセキュリティを向上させることができる。
【0098】
また、この例では、第2画像132にIDが含まれている。そのため、第2画像132が偽造されるとIDが読み出されず、又は、登録ユーザのIDとは異なるIDとなり、登録ユーザについての照合がリクエストされない。又は、照合に異なる登録ユーザの顔画像が用いられて照合が失敗することになる。そのため、そのことによって修了証130の偽造を容易に検出することができる。
【0099】
[他の例]
以上の例では、修了証130の第1画像131が読取装置900によって撮影されるものとしているが、第1画像131に替えて、又は、第1画像131に加えて、修了証130を提出するユーザの顔が撮影されてもよい。この場合、撮影で得られた顔画像データは、第1画像131から読み取られた顔画像データと同様に取り扱われることで、上の例と同様に修了証130の認証を行うことができる。
【0100】
以上の例では、配信される学習教材の修了証の照合システムを例示したが、修了証が証明する事項は、学習の修了に限定されない。例えば、娯楽系のコンテンツの視聴を完了したことの証明証、または、ゲームやクイズ等を完遂したことの証明書等の様々な証明書の真偽判定にも上記の照合システムを利用することが可能である。
【0101】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。また、実施の形態に係る照合システム、照合方法、及び、コンピュータプログラムは、次のように表すこともできる。
【0102】
(1)実施の形態に係る照合システムは、配信される学習教材の修了証の照合システムであって、読取装置と、処理装置と、を備え、登録ユーザの固有情報と関連付けて、学習教材の配信を指示した第1ユーザが登録ユーザであることのユーザ認証に用いられる第1の識別情報が第1のサーバに記憶されており、修了証は、第1の識別情報に対応させた第1情報と、固有情報に対応させた第2情報とを含み、読取装置は、修了証から第1情報と第2情報とを読み取り、処理装置は、読み取られた第1情報から得られる識別情報を、読み取られた第2情報から得られる固有情報に関連付けて第1のサーバに記憶されている第1の識別情報と照合する、ように構成されている。この構成を有することによって、照合システムでは、配信される学習教材が登録ユーザによって配信が指示されたことを証明する修了証であることの真偽を判定可能となる。
【0103】
(2)(1)の照合システムであって、好ましくは、学習教材は、ユーザ認証が成功の場合に配信される。これにより、修了証は、少なくともユーザに配信が許容されたことを証明するものとなる。
【0104】
(3)(1)又は(2)の照合システムであって、好ましくは、登録ユーザの第2の識別情報が、登録ユーザの固有情報と関連付けて、第1のサーバとは異なる第2のサーバに記憶されており、処理装置は、読み取られた第1情報から得られる識別情報を、さらに、読み取られた第2情報から得られる固有情報に関連付けて第2のサーバに記憶されている第2の識別情報と照合する、ように構成されている。これにより、証明証の真偽の判定精度を向上させることができる。
【0105】
(4)(1)又は(2)の照合システムであって、好ましくは、学習教材の配信中に受講中である第2ユーザから得られ、第1の識別情報を用いて第2ユーザが登録ユーザであることの認証に用いられた第2の識別情報が、登録ユーザの固有情報と関連付けて記憶されており、処理装置は、読み取られた第1情報から得られる識別情報を、さらに、第2の識別情報と照合する、ように構成されている。これにより、修了証は、登録ユーザが受講していたことを証明するものとなる。
【0106】
(5)(4)の照合システムであって、好ましくは、学習教材の受講中に第2ユーザから複数の第2の識別情報が得られ、複数の第2の識別情報は、少なくとも2以上のサーバに分散して記憶されており、第2の識別情報と照合することは、読み取られた第1情報から得られる識別情報を、2以上のサーバに記憶されている複数の第2の識別情報それぞれと照合する、ことを含む。2以上のサーバに分散して記憶されることで、第2の識別情報の改ざんの可能性を抑えることができる。
【0107】
(6)(3)又は(4)の照合システムであって、好ましくは、処理装置は、第1の識別情報との照合が成功した場合に、さらに、第2の識別情報との照合を行う、ように構成されている。多段階の照合が行われることによって、修了証の真偽の判定の精度を向上させることができる。
【0108】
(7)(1)~(6)のいずれかの照合システムであって、好ましくは、第1の識別情報は、ユーザの少なくとも一部を撮影して得られる撮影画像を含み、読取装置は撮影装置を含み、第1情報を読み取ることは、撮影装置によって修了証の第1情報を撮影することを含む。これにより、第1情報を容易に読み取ることができる。
【0109】
(8)(7)の照合システムであって、好ましくは、第2情報はコード情報により表されている。これにより、必要な情報を修了証に容易に含ませることができる。
【0110】
(9)実施の形態に係る照合方法は、処理装置と読取装置とを含む照合システムにおける、配信される学習教材の修了証の照合方法であって、登録ユーザの固有情報と関連付けて、学習教材の配信を指示した第1ユーザが登録ユーザであることのユーザ認証に用いられる第1の識別情報が第1のサーバに記憶されており、修了証は、第1の識別情報に対応させた第1情報と、固有情報に対応させた第2情報とを含み、読取装置が、修了証から第1情報と第2情報とを読み取り、読取装置が、読み取って得られた読取情報を処理装置に渡し、処理装置が、読み取られた第1情報から得られる識別情報を、読み取られた第2情報から得られる固有情報に関連付けて第1のサーバに記憶されている第1の識別情報と照合する、ことを備える。この方法によって、配信される学習教材が登録ユーザによって配信が指示されたことを証明する修了証であることの真偽を判定可能となる。
【0111】
(9)実施の形態に係るコンピュータプログラムは、配信される学習教材の修了証の照合のための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、登録ユーザの固有情報と関連付けて、学習教材の配信を指示した第1ユーザが登録ユーザであることのユーザ認証に用いられる第1の識別情報が第1のサーバに記憶されており、修了証は、第1の識別情報に対応させた第1情報と、固有情報に対応させた第2情報とを含み、コンピュータに、修了証から第1情報と第2情報とを読み取り、読み取られた第1情報から識別情報を得、読み取られた第2情報から固有情報を得、識別情報と固有情報とを処理装置に渡す、ことを実行させる。このプログラムによって、配信される学習教材が登録ユーザによって配信が指示されたことを証明する修了証であることの真偽を判定可能となる。
【符号の説明】
【0112】
100:配信装置、100a:オンライン学習システム、130:修了証、131:第1画像、132:第2画像、201:教育機関サーバ(第1のサーバ)、215:認証用顔写真データ(第1の識別情報)、301:ユーザ端末、600:保存用サーバ(第2のサーバ)、601A,601B,601C:サンプリングデータ(第2の識別情報)、700:認証サーバ(処理装置)、700a:認証システム、900:読取装置、921:プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11