(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20241007BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F28F3/08 301Z
F28D9/00
(21)【出願番号】P 2023083198
(22)【出願日】2023-05-19
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2022089632
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599018099
【氏名又は名称】株式会社HINO-TEC
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 拓也
(72)【発明者】
【氏名】田口 香里
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/138037(WO,A1)
【文献】特開平06-323775(JP,A)
【文献】特開平05-280884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/00-9/04
F28F 3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
向かい合う一対の側板及び前記一対の側板同士を繋ぐ横枠を含むフレームと、
前記フレームに収納され、複数のプレートから構成されるプレート積層体と、
前記プレート積層体を前記フレームに対して固定する固定部と、
前記フレームに着脱自在に装着され、前記フレーム中のプレート積層体を前記側板に押圧する挿入体と、を具備し、
前記固定部による前記プレート積層体の固定が解除されると、前記複数のプレートのそれぞれが
、前記一対の側板が向かい合う方向に対して略垂直な方向のうちのいずれか一方向において、前記フレー
ムから取り外し可能とな
り、
前記挿入体が前記フレームから取り出されると、前記複数のプレートのそれぞれが前記フレームにおける前記挿入体の装着空間を介して取り外し可能となること、
を特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記フレーム
が、前記横枠に沿って設けられたレールを更に含み、
各プレートが、前記レールと係合する係合片を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記
レールが、前記挿入体に対応する位置において切り欠かれていること、
を特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記
固定部が、前記レールとの間で前記係合片を挟持することで、前記プレートを前記横枠に対して固定すること、
を特徴とする請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記
挿入体が、前記フレーム中の前記プレート積層体を前記側板に押圧する押圧部を有すること、
を特徴とする請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記
複数のプレートのそれぞれを前記一方向においてスライド自在に支持するローラを更に具備すること、
を特徴とする請求項
1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記
ローラが、軸方向に所定の間隔で並ぶ、周方向に形成された溝を有し、
前記複数のプレートのそれぞれが、前記溝に係合する突起片を有して、
前記溝と前記突起片とが係合しながら、前記複数のプレートのそれぞれが前記ローラ上をスライドすること、
を特徴とする請求項
6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記
固定部が、前記フレームに着脱自在に装着され、前記一方向において通気を許容する扉であること、
を特徴とする請求項
1に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプレート式熱交換器では、例えば特許文献1(実用新案登録第3222546号公報)に開示されているように、複数の伝熱プレートが互いにロウ付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ロウ付け等により一体化された伝熱プレート積層体を清掃するのは手間である。また、いずれかのプレートが破損すると、伝熱プレート積層体の全体を交換する必要があり、プレート単位での交換は困難である。
【0005】
そこで、本発明は、簡便にプレートを清掃することができ、破損したプレートの交換を容易に行うことができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明は、
向かい合う一対の側板及び前記一対の側板同士を繋ぐ横枠を含むフレームと、
前記フレームに収納され、前記横枠に沿ってスライドする複数のプレートから構成されるプレート積層体と、
前記フレームに着脱自在に装着され、前記フレーム中のプレート積層体を前記側板に押圧する挿入体と、
前記プレート積層体を前記横枠に対して固定する固定部と、を具備し、
前記挿入体が前記フレームから取り出されると、前記プレートが前記フレームにおける前記挿入体の装着空間を介して取り外し可能となること、
を特徴とする熱交換器、を提供する。
【0007】
本発明の熱交換器では、前記フレームが、前記横枠に沿って設けられたレールを更に含み、各プレートが、前記レールと係合する係合片を有すること、が好ましい。
【0008】
本発明の熱交換器では、前記レールが、前記挿入体に対応する位置において切り欠かれていること、が好ましい。
【0009】
本発明の熱交換器では、前記固定部が、前記レールとの間で前記係合片を挟持することで、前記プレートを前記横枠に対して固定すること、が好ましい。
【0010】
本発明の熱交換器では、前記挿入体が、前記フレーム中の前記プレート積層体を前記側板に押圧する押圧部を有すること、が好ましい。
【0011】
本発明の熱交換器は、前記複数のプレートのそれぞれを前記フレームの前後方向にスライド自在に支持するローラを更に具備すること、が好ましい。
【0012】
本発明の熱交換器では、前記ローラが、軸方向に所定の間隔で並ぶ、周方向に形成された溝を有し、前記複数のプレートのそれぞれが、前記溝に係合する突起片を有して、前記溝と前記突起片とが係合しながら、前記複数のプレートのそれぞれが前記ローラ上をスライドすること、が好ましい。
【0013】
本発明の熱交換器では、前記固定部が、前記フレームの前面に着脱自在に装着され、前記フレームの前後方向の通気を許容する扉であること、が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便にプレートを清掃することができ、破損したプレートの交換を容易に行うことができる熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に係る熱交換器1の正面図、側面図、A-A線断面図、及びB部分拡大図である。
【
図2】エレメント50の正面図、側面図、C部分拡大正面図、及びC部分拡大側面図である。
【
図5】挿入体7をフレーム3から取り出す途中の状態の熱交換器1の斜視図である。
【
図6】挿入体7がフレーム3から取り出された状態の熱交換器1の部分拡大斜視図である。
【
図7】固定部が解放された状態の熱交換器1の部分拡大斜視図である。
【
図8】1つのエレメント50がフレーム3内をスライドしている状態の熱交換器1の部分拡大斜視図である。
【
図9】1つのエレメント50がフレーム3から取り出されようとしている状態の熱交換器1の部分拡大斜視図である。
【
図10】1つのエレメント50がフレーム3から取り出されている状態の熱交換器1の斜視図である。
【
図11】1つのエレメント50がフレーム3から取り出された状態の熱交換器1の斜視図である。
【
図12】エレメント50及びプレート積層体5の構成の一例を示す図である。
【
図13】エレメント50及びプレート積層体5の構成の他の例を示す図である。
【
図14】実施形態2に係る熱交換器101の斜視図である。
【
図19】1つの扉109がフレーム103から取り外された状態の熱交換器101の斜視図である。
【
図20】1つのエレメント150がフレーム103から取り出されようとしている状態の熱交換器101の斜視図である。
【
図21】1つのエレメント150がフレーム103から取り出された状態の熱交換器101の斜視図である。
【
図22】別のエレメント150がフレーム103から取り出されようとしている状態の熱交換器101の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る熱交換器の代表的な実施形態を、図を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られるものではない。図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0017】
A.実施形態1
図1~
図13を参照して、実施形態1に係る熱交換器を説明する。
【0018】
1.熱交換器1の構成
熱交換器1は、排ガス利用の空気予熱器用に使用されることを想定しているが、これに限られない。
熱交換器1は、略直方体状であり、ステンレス鋼などの金属材料で作製される。ここでは、熱交換器1の前面及び後ろ面が放熱側の流体(例えば排ガス)の流路となり、熱交換器1の上面及び下面が受熱側の流体(例えば空気)の流路となることとして説明するが、本発明はこれに限られない。
【0019】
熱交換器1は、フレーム3、プレート積層体5、挿入体7及び固定部9を含む。以下、これらの構成要素を詳細に説明する。
【0020】
フレーム3は、向かい合う一対の側板31,32を含む。側板31,32は略長方形状であるが、これに限られない。
また、フレーム3は、側板31,32同士を繋ぐ横枠33~36を含む。ここでは、横枠33~36は、側板31,32の対応する角部同士を接続している。
したがって、フレーム3の前面及び後ろ面は放熱側の流路となるために、また、フレーム3の上面及び下面は受熱側の流体(例えば空気)の流路となるために、それぞれ開放されている。
【0021】
フレーム3は更に、横枠33~36に沿って設けられたレール37~40を含んでもよい。ここで、レール37~40は、内側に突出する板状体である。
レール37~40は、挿入体7に対応する位置において切り欠かれている。あるいは、レール37~40のそれぞれは、所定間隔だけ離間して配置された左右一対の板状片から構成されると言ってもよい。この切り掛かれた部位から、後述する挿入体7及びプレート50がフレーム3外に取り出される(
図5及び
図9参照)。
【0022】
フレーム3には、プレート積層体5が収納される。
プレート積層体5は、複数のプレート(エレメント)50から構成される。すなわち、複数のエレメント50が厚さ方向に積層されてプレート積層体5を形成する。隣り合うエレメント50同士は溶接されていない。
図2に示すように、エレメント50は、略長方形状をなす。
【0023】
ここで、エレメント50の構成例(エレメント50A,B)を説明する。
図12(A)に示すように、パーツ60を一組準備する。パーツ60は、対向する板材61,62からなり、特殊な形状にプレス加工(曲げ加工)されている。板材61,62の上下の縁部同士は互いに連結され、板材61,62の前後の縁部からは略L字状の連結片63,64が突出している。そして、板材61,62の連結片63,64同士を溶接などにより接合することで、エレメント50Aが構成される(
図12(B)参照)。
したがって、エレメント50A内には3つの流路66A~66Cが形成される。中央の流路66Aは上下方向の流路、すなわち受熱側通路を形成する。また、両側の流路66B,66Cは、前後方向の流路、すなわち放熱側通路を形成する。
そして、複数のエレメント50が厚み方向(左右方向)に密着され積層されることで、プレート積層体5が形成される(
図12(C),(D)参照)。すなわち、エレメント50Aから構成されるプレート積層体5は、受熱側の流体及び放熱側の流体が互いに混じらないように構成される。
【0024】
あるいは、
図13に示すように、一組のパーツ60の組合せ方の異なるエレメント50Bを用いることも可能である。
すなわち、一組のパーツ60を板材61において接合することでエレメント50Bを構成する(
図13(A),(B)参照)。エレメント50Bはその内部に同じ方向(前後方向)の流路67A,67Bを含み、更に、複数のエレメント50Bが密着され積層されることで、隣り合うエレメント50Bとの間に別方向(上下方向)の流路67Cを形成する((
図13(C),(D)参照))。すなわち、エレメント50Bから構成されるプレート積層体5もまた、受熱側の流体及び放熱側の流体が互いに混じらないように構成される。
【0025】
図2に戻ると、エレメント50は、角部に、レール37~40と係合する係合片51~54を有する。係合片51~54はエレメント50の角部から上下方向の外側に突出している。ここでは突出片は略L字状であるが、これに限られない。
【0026】
係合片51~54は、エレメント50がフレーム3内に収納された状態において、レール37~40の外側に位置する(例えば
図7参照)。それゆえ、係合片51~54がレール37~40に係合することで、エレメント50が横枠33~36に沿ってスライドすることになる(
図7及び
図8参照)。
【0027】
また、係合片51~54は、エレメント50がフレーム3内に収納された状態において、固定部9(91~94)の内側に位置する(例えば
図7参照)。したがって、追って述べるように、係合片51~54は、レール37~40と固定部9(91~94)との間に挟持されることができる。
【0028】
プレート積層体5は、挿入体7によりフレーム3の側板31,32に押圧され一体化される。
挿入体7は、対向する一対の板材71,72、板材71,72同士を連結する連結部73、板材71,72の角部同士に亘って設けられた押圧部74~77、正面側の板材71に取り付けられた取手78、及び、押圧部74~77を側板31,32の方向に変位させる変位機構(例えばハンドル)79を含む。
【0029】
挿入体7は、レール37~40の切欠きを介してフレーム3に挿入したりフレーム3から取り出したりすることができる(
図5参照)。また、フレーム3に装着された挿入体7は、変位機構79の操作に応じて押圧部74~77を外側(側板31,32側)に変位させ、これによりプレート積層体5を側板31,32に押圧する。
【0030】
プレート積層体5(エレメント50)は、固定部91~94(総称して固定部9ということがある。)によりフレーム3に固定される。ここで、固定部9は、略L字状の板片である。固定部9は、エレメント50の係合する係合片51~54を対応するレール37~40に押圧することで、当該エレメント50をフレーム3(横枠33~36)に固定する。
【0031】
固定部9は、固定部9を所定位置に保持するロック機構95を有する。ロック機構95としては、ハンドル付きのネジ部材が想定されている(
図1(E)参照)が、これに限られない。
【0032】
2.熱交換器1の動作
熱交換器1の動作を、特にメンテナンスの観点から説明する。
【0033】
動作中の熱交換器1は、例えば、フレーム3の前後面から排ガスを流通させ、フレーム3の上下面から空気を流通させることで、熱交換を行う(
図4参照)。
【0034】
熱交換器1の手入れやパーツ交換は、以下の手順で行われる。
すなわち、挿入体7によるエレメント50の押圧を解除し、挿入体7をフレーム3から抜き取る(
図5参照)。
【0035】
次いで、固定部9のロック機構95を解除し、固定部9をエレメント50から遠ざけることで、エレメント50とフレーム3との固定を解除する(
図6及び
図7参照)。
エレメント50を中央側にスライドさせ、フレーム3から抜き取る(
図8~
図11参照)。
【0036】
必要な清掃や部品交換を実施し、その後、上記と逆の手順で、エレメント50をフレーム3に差し込んで側板31,32側にスライドさせ、挿入体7をフレーム3に差し込み固定する。
これにより、挿入体7及びプレート積層体5の清掃や部品交換を簡便に実施することができる。
【0037】
3.実施形態1の効果
本実施形態では、プレート積層体5を構成するエレメント50が溶接等により一体化されておらず、個々のエレメント50をフレーム3から取り出すことができる。したがって、熱交換器1のメンテナンス及び清掃が容易であるだけでなく、破損したエレメント50を交換することで、残りのエレメント50を引き続き使用可能である。
【0038】
B.実施形態2
図14~
図22を参照して、実施形態2に係る熱交換器を説明する。
【0039】
1.熱交換器101の構成
例えば
図14に示すように、熱交換器101は、フレーム103、プレート積層体105、ローラ107、及び、固定部の一例としての扉109を含む。
【0040】
フレーム103は、向かい合う一対の側板131,132を含む。また、フレーム103は、側板131,132同士を繋ぐ横枠133~136を含む。したがって、フレーム103の前面及び後ろ面は放熱側の流路となるために、また、フレーム103の上面及び下面は受熱側の流体(例えば空気)の流路となるために、それぞれ開放されている。
【0041】
フレーム103には、プレート積層体105が収納される。例えば
図21に示すように、エレメント150は、略長方形状をなす。
プレート積層体105は、複数のプレート(エレメント)150から構成される。すなわち、複数のエレメント150が厚さ方向に積層されてプレート積層体105を形成する。隣り合うエレメント150同士は溶接されておらず、それゆえエレメント150ごとにフレーム103から取り出すことができる。
【0042】
ここで、エレメント150の構成例を説明する。
エレメント150は、対向する板材151,152からなり、特殊な形状にプレス加工(曲げ加工)されていてもよい。板材151,152は、所定の間隔で離間しており、上縁及び下縁において溶接等の接合手段により連結されている(例えば
図16参照)。したがって、エレメント150は上下方向には閉じており、前後方向には開いている。すなわち、エレメント150は前後方向の流路を形成する。
【0043】
上記の連結部位は、板材151,152の上端及び下端から突出し、後述する下側ローラ171、上側ローラ172の溝171A,172Aに入り込む係合片153,154を形成する(併せて
図17参照)。これにより、エレメント150は、フレーム103に対して前後方向にスライドしやすくなる(つまりフレーム103から取り出し又は挿入しやすくなる)とともに、フレーム103の左右方向に正確に位置決めされる。
【0044】
また、板材151,152は、前縁及び後ろ縁において、他の部分よりも厚さ方向(横方向)に広がり、幅広部155,156を形成している(例えば
図21参照)。幅広部155,156は、複数のエレメント150が積層された状態において互いに接触し、エレメント150同士の間に上下方向の流路を形成する。
【0045】
したがって、エレメント150の積層体であるプレート積層体105は、エレメント150内に形成された前後方向の流路、及び、隣り合うエレメント150同士の間に形成された上下方向の流路、といった2つの流路を有する。例えば上下方向の流路が受熱側通路であり、前後方向の流路が放熱側通路であってもよいし、その逆でもよい。すなわち、プレート積層体105は、受熱側の流体及び放熱側の流体が互いに混じらないように構成される。
【0046】
フレーム103には、ローラ107が回転可能に支持されている。
ローラ107は、プレート積層体105の上側に配置された上側ローラ172、及び、プレート積層体105の下側に配置された下側ローラ171を含んでもよい(例えば
図16参照)。上側ローラ172及び下側ローラ171はそれぞれ2つのローラを含むが、本発明はかかる構成に限られるものではない。
【0047】
ローラ107は、側板131,132の間に亘って取り付けられている。すなわち、ローラ107は、エレメント150のスライド方向に直交する方向に配置されており、これにより、エレメント150のスムーズなスライドが可能となる。
【0048】
ローラ107には、周方向の溝171A,172Aが形成されている。
これらの溝171A,172Aはエレメント150の係合片153,154と係合する。ローラ107の回転により、エレメント150の引き出し及び差し入れが容易になる。また、フレーム103の左右方向におけるエレメント150の位置決めが容易になる。
【0049】
溝171A,172Aは、所定の間隔で形成されている。所定の間隔は、幅広部155,156の幅と略同一であることが好適であり、これにより、隣り合うエレメント150同士の間に上下方向の流路を形成することができる。
【0050】
フレーム103の前面には、扉109が着脱自在に装着される。扉109は、上述したとおり固定部の一例であり、プレート積層体105をフレーム103内に保持するために設けられる。例えば、扉109は、前面側の上下の横枠133,134から突出する保持片137の間に入れ込まれることで、フレーム103に保持される(
図18参照)。
【0051】
扉109には、プレート積層体105の前後方向の流路を妨げないように、開口191が形成されている。ここでは、開口191は、プレート積層体105の前後方向の流路の形状に対応して、上下方向に長く伸びたスリット状であるが、これに限られない。
【0052】
2.熱交換器101の動作
熱交換器101の動作を、特にメンテナンスの観点から説明する。
【0053】
動作中の熱交換器101は、例えば、フレーム103の前後面から排ガスを流通させ、フレーム103の上下面から空気を流通させることで、熱交換を行う(
図14参照)。
【0054】
熱交換器101の手入れやパーツ交換は、以下の手順で行われる。
すなわち、扉109をフレーム103から取り外して、エレメント150の保持を解除する(
図19参照)。
【0055】
任意の1つのエレメント150を前側にスライドさせ、フレーム103から抜き取る(
図20及び
図21参照)。必要に応じて、別のエレメント150を前側にスライドさせ、フレーム103から抜き取る(
図22参照)。そして、必要な清掃や部品交換を実施する。
このとき、また、所望のエレメント150だけを取り出せば足りるので、作業効率が向上する。
【0056】
3.実施形態2の効果
実施形態2では、清掃や部品交換を必要とするエレメント150だけを取り出し及び差し入れることができるので、実施形態1の効果に加えて、清掃や部品交換の作業が更に簡略化される。
また、ローラ107の回転により、エレメント150の出し入れがスムーズに実施される。
【0057】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、かかる設計変更した態様も全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1,101 熱交換器
3,103 フレーム
5,105 プレート積層体
7 挿入体
9 固定部
50,150 プレート(エレメント)
107 ローラ
109 扉