(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】撮像装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20241007BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20241007BHJP
H04N 21/437 20110101ALI20241007BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 A
H04N21/442
H04N21/437
(21)【出願番号】P 2023187722
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2019096702の分割
【原出願日】2019-05-23
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】506226175
【氏名又は名称】ビーコア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 葉
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200680(JP,A)
【文献】特開2018-93357(JP,A)
【文献】特開2008-35070(JP,A)
【文献】特開2005-310066(JP,A)
【文献】特開2017-4443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 21/442
H04N 21/437
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を識別するための光学式認識コードが付された当該対象を含む画像を撮像するための撮像装置において、
前記撮像装置において撮像された画像を順次取得する第1取得手段と、
前記取得された画像を当該画像が撮像された時刻に対応づけて順次格納する格納手段と、
前記格納手段に第1画像が格納された場合に、当該第1画像に光学式認識コードが含まれるかを判定する判定手段と、
前記第1画像に光学式認識コードが含まれると判定された場合、当該光学式認識コードを含む第1画像に対応づけて前記格納手段に格納されている第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間を決定し、当該決定された期間内に該当する第2時刻に前記撮像装置において撮像された第2画像を取得する第2取得手段と、
前記取得された第2画像を、前記撮像装置と通信可能に接続されているサーバ装置に送信する送信手段と
を具備し、
前記第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間は、前記光学式認識コードによって識別される対象に応じて異なる
撮像装置。
【請求項2】
対象を識別するための光学式認識コードが付された当該対象を含む画像を撮像するための撮像装置が実行する方法であって、
前記撮像装置において撮像された画像を順次取得するステップと、
前記取得された画像を当該画像が撮像された時刻に対応づけて格納手段に順次格納するステップと、
前記格納手段に第1画像が格納された場合に、当該第1画像に光学式認識コードが含まれるかを判定するステップと、
前記第1画像に光学式認識コードが含まれると判定された場合、当該光学式認識コードを含む第1画像に対応づけて前記格納手段に格納されている第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間を決定し、当該決定された期間内に該当する第2時刻に前記撮像装置において撮像された第2画像を取得するステップと、
前記取得された第2画像を、前記撮像装置と通信可能に接続されているサーバ装置に送信するステップと
を具備し、
前記第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間は、前記光学式認識コードによって識別される対象に応じて異なる
方法。
【請求項3】
対象を識別するための光学式認識コードが付された当該対象を含む画像を撮像するための撮像装置のコンピュータが実行するプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記撮像装置において撮像された画像を順次取得するステップと、
前記取得された画像を当該画像が撮像された時刻に対応づけて格納手段に順次格納するステップと、
前記格納手段に第1画像が格納された場合に、当該第1画像に光学式認識コードが含まれるかを判定するステップと、
前記第1画像に光学式認識コードが含まれると判定された場合、当該光学式認識コードを含む第1画像に対応づけて前記格納手段に格納されている第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間を決定し、当該決定された期間内に該当する第2時刻に前記撮像装置において撮像された第2画像を取得するステップと、
前記取得された第2画像を、前記撮像装置と通信可能に接続されているサーバ装置に送信するステップと
を実行させ、
前記第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間は、前記光学式認識コードによって識別される対象に応じて異なる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、例えば監視カメラとして用いられる撮像装置と当該撮像装置において撮像された画像を管理するサーバ装置とを備えるシステムにおいては、当該撮像装置において撮像された全ての画像を当該サーバ装置に送信する必要があるため、撮像装置からサーバ装置に対する通信容量が大きくなる。
【0003】
これに対して、撮像装置からサーバ装置への通信容量を削減するために、例えば撮像装置において撮像された画像よりも画質を下げて画像を送信する場合がある。しかしながら、サーバ装置において管理される画像を分析するような場合があることを鑑みると、画質を下げることは好ましくない。
【0004】
また、撮像装置において撮像された画像を圧縮してサーバ装置に送信することが考えられるが、このような構成であっても、実現可能な通信容量の削減には限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、サーバ装置への通信容量を削減することが可能な撮像装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、対象を識別するための光学式認識コードが付された当該対象を含む画像を撮像するための撮像装置が提供される。前記撮像装置は、前記撮像装置において撮像された画像を順次取得する第1取得手段と、前記取得された画像を当該画像が撮像された時刻に対応づけて順次格納する格納手段と、前記格納手段に第1画像が格納された場合に、当該第1画像に光学式認識コードが含まれるかを判定する判定手段と、前記第1画像に光学式認識コードが含まれると判定された場合、当該光学式認識コードを含む第1画像に対応づけて前記格納手段に格納されている第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間を決定し、当該決定された期間内に該当する第2時刻に前記撮像装置において撮像された第2画像を取得する第2取得手段と、前記取得された第2画像を、前記撮像装置と通信可能に接続されているサーバ装置に送信する送信手段とを具備する。前記第1時刻よりも前の時刻から当該第1時刻よりも後の時刻までの期間は、前記光学式認識コードによって識別される対象に応じて異なる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、サーバ装置への通信容量を削減することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る撮像装置を含むネットワークシステムの構成の一例を示す図。
【
図2】撮像装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図4】撮像装置において撮像された画像の一例を示す図。
【
図5】カラービットコードについて詳細に説明するための図。
【
図6】撮像装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【
図7】撮像装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る撮像装置を含むネットワークシステム(撮像システム)の構成の一例を示す。
図1に示すネットワークシステムは、撮像装置10及びサーバ装置20を含む。撮像装置10及びサーバ装置20は、ネットワーク30を介して互いに通信可能に接続されている。
【0011】
撮像装置10は、例えば画像を撮像するカメラを備え、後述する光学式認識コードを読み取る(認識する)機能を有する。
【0012】
サーバ装置20は、撮像装置10において撮像された画像を管理する機能を有する。サーバ装置20は、各種クラウドコンピューティングサービスを提供するサーバ装置であってもよい。
【0013】
図2は、
図1に示す撮像装置10のハードウェア構成の一例を示す。
図2に示すように、撮像装置10は、バス11に接続された、不揮発性メモリ12、CPU13、メインメモリ14、無線通信デバイス15及びカメラ16等を備え、全体でエッジコンピュータとして機能する。
【0014】
不揮発性メモリ12は、各種プログラムを格納する。不揮発性メモリ12に格納されている各種プログラムには、撮像装置10上で動作するソフトウェアが含まれる。
【0015】
CPU13は、例えば不揮発性メモリ12に格納されている各種プログラムを実行する。なお、CPU13は、撮像装置10全体の制御を司るものである。
【0016】
メインメモリ14は、例えばCPU13が各種プログラムを実行する際に必要とされるワークエリア等として使用される。
【0017】
無線通信デバイス15は、例えば外部のサーバ装置20等との通信を制御する機能を有する。カメラ16は、各種画像を撮像可能な撮像デバイスである。
【0018】
ここで、本実施形態における撮像装置10及びサーバ装置20の使用態様の一例について説明する。
【0019】
本実施形態において、撮像装置10及びサーバ装置20は、例えば予め定められた領域に進入する人物等を監視(管理)するために用いられる。
【0020】
具体的には、
図3に示すように、例えば企業における作業領域への出入口等に設けられているドア100の近傍に撮像装置10を設置する。これによれば、ドア100を介して作業領域に出入りする人物(例えば、従業員等)を含む画像を撮像装置10において撮像することができ、当該人物の作業領域への入退室等を管理することができる。作業領域は、例えば従業員が使用するデスクが配置されるようなオフィス等であってもよいし、工場等の敷地であってもよいし、他の空間であってもよい。また、作業領域への入退室を管理する場合には、作業領域の内側及び外側の両方に撮像装置10が設置されるものとする。本実施形態においては、作業領域への入退室を管理するものとして説明するが、当該作業領域への入室及び退室の一方のみを管理することも可能である。
【0021】
ところで、上記したように人物の作業領域への入退室を管理するためには撮像装置10において撮像された画像から当該人物を認識(識別)する必要があるが、本実施形態においては、当該人物を認識するために光学式認識コードを利用するものとする。
【0022】
図4は、上記したようにドア100の近傍に設置された撮像装置10において人物が撮像された画像の一例を示す。
【0023】
図4に示すように、入退室が管理される人物の胸部には、光学式認識コード200が付されている。なお、光学式認識コード200は、人物の胸部に限らず、他の箇所に付されていてもよい。本実施形態においては、このような人物を含む画像を撮像装置10が撮像し、当該画像から光学式認識コード200を読み取ることによって、当該人物の入退室を管理するものとする。
【0024】
すなわち、本実施形態において、撮像装置10(カメラ16)は、ドア100に近づく人物の胸部(光学式認識コード200)を撮像可能な位置に設置されているものとする。
【0025】
以下、本実施形態において利用される光学式認識コードについて具体的に説明する。本実施形態における光学式認識コードは、例えば複数のエレメントが線状(棒状)に形成されたコード(以下、カラービットコードと表記)を含む。このカラービットコードは、例えば3色以上の色彩のうちの1の色彩が付されたセル(エレメント)が複数配列された構成を有する。このカラービットコードによれば、複数配列された各セルに付されている色彩の遷移によって識別情報(例えば、ID等)のような特定のデータを表すことができる。
【0026】
以下の説明においては、本実施形態において利用される光学式認識コードはカラービットコードであるものとして説明する。
【0027】
図5を参照して、カラービットコードについて詳細に説明する。なお、
図5においては、便宜的にカラービットコードの一部分のみが示されている。
【0028】
図5に示すように、カラービットコードは、例えば赤色、緑色及び青色のうちの1の色彩が付されたセル300が複数配列されて構成されている。
図5において、赤色はR、緑色はG、青色はBとして示されている。なお、
図5においては、説明の便宜上、カラービットコードに3色の色彩(赤色、緑色及び青色)が用いられている例が示されているが、各セル300に付されている色彩の遷移を識別することができるのであれば、4色以上の色彩を用いてカラービットコードが作成されていてもよい。
【0029】
カラービットコードを構成するセル300は、1つの色彩が付される範囲または領域であり、種々の形状を有することができる。
図5に示す例では、複数のセル300の各々は四角形状であるが、例えば丸形状または三角形状等であっても構わない。このような複数のセル300を線状(直線状または曲線状)に配列することによってカラービットコードは作成される。
【0030】
なお、カラービットコードは上記したように色彩の遷移によって特定のデータを表すものであるから、当該カラービットコードにおいて、隣接するセル300同士には同色は付されず、異なる色彩が付される。カラービットコードはこのような条件等に基づいて作成される。
【0031】
また、カラービットコードを構成する複数のセル300には、端点セルが含まれる。端点セルは、線状に連なったセル群から構成されるカラービットコードの端点(両端)に位置するセル300である。カラービットコード内にあるセル300は、2つのセル300と隣接するが、端点セルは1つのセル300としか隣接しない。このような端点セルは必ずカラービットコード内に2つある。また、このような2つの端点セルに付される色彩は必ず異なるものとする。これにより、端点セルの各々に付されている色彩によって、当該端点セルが始点となるセル(以下、始点セルと表記)であるか終点となるセル(以下、終点セルと表記)であるかを判定することが可能である。
【0032】
上記したようなカラービットコードによれば例えば3色の色彩の遷移(配列)によって特定のデータを表すことができるため、当該カラービットコードにおける各色彩の占める領域の大きさ及び形状の制限は緩く、当該カラービットコードが例えば凹凸のある表面や柔軟性のある素材上に付されている場合やデジタルサイネージ等の表示装置に表示されている場合であっても、高い読み取り精度を実現することができる。
【0033】
本実施形態においてカラービットコードは、上記したように人物の作業領域への入退室を管理するために当該人物に付されて利用される。このため、本実施形態において人物に付されたカラービットコードは、当該人物を識別するための識別情報(例えば、従業員ID)を表すものとする。これにより、人物に付されたカラービットコードを読み込む(つまり、当該カラービットコードによって表される識別情報を取得する)ことで、当該人物の入室または退室等を高い精度で管理することができる。
【0034】
なお、上記した
図4に示す例では光学式認識コード200が貼付された名札が人物に装着されているが、カラービットコードは上記したように高い読み取り精度を実現することができるため、当該光学式認識コード200としてカラービットコードを利用した場合には、当該光学式認識コード200(カラービットコード)を例えば人物が着用する上着等に直接印刷することも可能であるし、当該光学式認識コード200を上着に直接縫い付けることも可能である。
【0035】
次に、
図6は、本実施形態に係る撮像装置10の機能構成の一例を示す。
図6に示すように、撮像装置10は、第1画像取得部101、格納部102、デコード処理部103、第2画像取得部104及び送信処理部105を含む。
【0036】
本実施形態において、第1画像取得部101、デコード処理部103、第2画像取得部104及び送信処理部105は、例えば
図2に示すCPU13(つまり、撮像装置10のコンピュータ)が不揮発性メモリ12に格納されている所定のプログラムを実行すること、つまり、ソフトウェアによって実現されるものとする。なお、このCPU13によって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布されてもよいし、ネットワーク30を介して撮像装置10にダウンロードされても構わない。また、本実施形態において、格納部102は、例えば
図2に示す不揮発性メモリ12等によって実現される。
【0037】
第1画像取得部101は、撮像装置10に備えられているカメラ16によって撮像された画像を取得する。第1画像取得部101によって取得された画像は、色情報の最小単位である複数の画素(ピクセル)から構成される。
【0038】
なお、本実施形態に係る撮像装置10(カメラ16)は、例えば人物の入退出を管理するために用いられるため、人物が入退出を行う可能性のある時間帯において継続的に動作するものとする。この場合、第1画像取得部101はカメラ16によって撮像された画像を連続的に(リアルタイムで)順次取得することになるが、当該第1画像取得部101によって取得される画像には、例えばカラービットコードが付された人物を含む画像及び当該人物を含まない画像が含まれる。
【0039】
格納部102は、第1画像取得部101によって順次取得された画像を格納する。なお、画像は、当該画像が撮像された時刻に対応づけて格納部102に格納される。画像が撮像された時刻は、当該画像が撮像された際に撮像装置10内に備えられているクロック等から取得可能である。
【0040】
デコード処理部103は、格納部102に格納された画像(第1画像取得部101によって取得された画像)に含まれるカラービットコードを読み取る(デコードする)処理を実行する。なお、デコード処理部103によるデコードは、カラービットコードにおける色彩の遷移(つまり、当該カラービットコードを構成する複数のセルの各々に付されている色彩の遷移)に基づいて行われる。これにより、デコード処理部103は、画像に含まれるカラービットコードによって表される識別情報を取得することができる。
【0041】
ここで、本実施形態において撮像装置10は継続的に動作するものとして説明したが、当該継続的に動作している間に撮像された全ての画像を格納部102に格納(保存)しておくことは、当該格納部102の容量の観点から不可能である。
【0042】
このため、本実施形態において撮像装置10において撮像された画像は、サーバ装置20に送信され、当該サーバ装置20内のより大容量の記憶装置等で管理(保存)されるものとする。
【0043】
しかしながら、撮像装置10において継続的に撮像された画像(動画)を全てサーバ装置20に送信するものとすると、通信容量が大きく、通信負荷等の観点から好ましくない。
【0044】
そこで、本実施形態においては、撮像装置10からサーバ装置20に画像を送信する際の通信容量を削減するための構成を有する。
【0045】
具体的には、第2画像取得部104は、デコード処理部103によるデコード結果(読み取り結果)に基づいて、格納部102に格納された画像(第1画像)にカラービットコード(が付された人物)が含まれるかを判定する。第2画像取得部104は、画像にカラービットコードが含まれると判定された場合、当該画像に対応づけて格納部102に格納されている時刻を含む期間内に該当する時刻に撮像装置10において撮像された画像(第2画像)を取得する。
【0046】
これにより、送信処理部105は、第2画像取得部104によって取得された画像をサーバ装置20に送信する。
【0047】
以下、
図7のフローチャートを参照して、本実施形態における撮像装置10の処理手順の一例について説明する。
【0048】
まず、例えば撮像装置10の電源がオンされると、当該撮像装置10に備えられているカメラ16が起動される。このようにカメラ16が起動されることによって、撮像装置10(カメラ16)における画像の撮像が可能となる。
【0049】
この場合、第1画像取得部101は、撮像装置10において撮像された画像を取得する(ステップS1)。
【0050】
ここで、本実施形態において入退室が管理される人物の各々には、上記したように当該人物を識別するための識別情報を表すカラービットコードが付されているものとする。これによれば、撮像装置10の近傍に設けられているドアに接近する(つまり、作業領域に入室するためにドアに近づくまたは作業領域から退室するためにドアに近づく)人物が存在する場合、ステップS1において取得された画像には、上記した
図4に示すようにカラービットコードが含まれる。一方、撮像装置10の近傍に設けられているドアに接近する人物が存在しない場合には、ステップS1において取得された画像には、カラービットコードは含まれない。以下の説明においては、ステップS1において取得された画像を便宜的に対象画像と称する。
【0051】
ステップS1の処理が実行されると、第1画像取得部101は、対象画像を格納部102に格納する(ステップS2)。
【0052】
次に、デコード処理部103は、対象画像に対する画像解析処理を実行する(ステップS3)。ステップS3においては、対象画像に含まれるカラービットコードに対するデコード処理(読み取り処理)が実行される。以下、このデコード処理について具体的に説明する。
【0053】
まず、デコード処理部103は、対象画像を各色領域に区分けする処理(以下、色領域区分け処理と表記)を実行する。ここで、一般的に対象画像は背景を含めて様々な色彩(を表示する画素)で構成されており、それらのパターンも様々である。このため、色領域区分け処理においては、この対象画像中の色彩を色空間の中で赤色、緑色、青色及び無彩色に区分けし、各画素の色彩をいずれかの領域に当てはめる処理(均色化処理)が行われる。すなわち、色領域区分け処理においては、対象画像中の各画素に対するラベリング処理が実行される。
【0054】
なお、上記した赤色、緑色及び青色はカラービットコードを構成する各セルに付される色彩として定義された色彩(以下、構成色と表記)であるが、色領域区分け処理においては、例えば照明、彩色、退色等を考慮して色空間上でこれらの構成色と認定することができる一定の範囲に包含される色彩であれば、当該色彩(の画素)を構成色として区分けするものとする。すなわち、例えば赤色の領域を区分けする場合には、当該赤色を中心とする一定の範囲の色彩を表示する画素の全てを赤色の領域として認定する。緑色及び青色の領域を区分けする場合についても同様である。
【0055】
また、無彩色とは、色領域区分け処理において赤色、緑色及び青色として認定される色彩以外の色彩である。
【0056】
また、上記したように対象画像に対しては均色化処理が行われるが、一般的に当該対象画像にはノイズ成分が混入している場合が多い。このノイズに相当する微小部位の色彩異変に対しては例えばその周囲の色彩に合わせる、または、平均化する等のノイズ除去処理を行うことによって、当該ノイズを除去することが好ましい。
【0057】
次に、デコード処理部103は、色領域区分け処理によって区分けされた各色領域に基づいて複数の構成色(赤色、緑色及び青色)の領域が配列されてなるカラービットコードの領域(以下、コード領域と表記)を切り出す処理(以下、コード切り出し処理と表記)を実行する。このコード切り出し処理においては、各色領域の周囲の色彩(例えば、他の構成色の領域及び無彩色の領域の配置等)やカラービットコードを構成するセルの数等に基づいてコード領域が切り出される。コード切り出し処理によって切り出されるコード領域は、例えば画像上における座標値(XY座標値)によって表される。
【0058】
なお、上記した色領域区分け処理及びコード切り出し処理については、例えば特開2008-287414号公報等に開示されているため、ここではその詳細な説明については省略する。
【0059】
次に、デコード処理部103は、コード切り出し処理によって対象画像から切り出されたコード領域において配列されている複数の色領域における色彩の遷移(つまり、当該複数の色領域の順番)に基づいてカラービットコードをデコードする。これによれば、カラービットコードにおける例えば始点セル(カラービットコードの開始を表す端点セル)から終点セル(カラービットコードの終了を表す端点セル)までの色彩の遷移によって表される識別情報が取得される。
【0060】
上記したように対象画像にカラービットコードが含まれている場合と対象画像にカラービットコードが含まれていない場合があるところ、ステップS3の処理が実行されると、第2画像取得部104は、対象画像にカラービットコードが含まれている(つまり、対象画像においてカラービットコードが認識された)か否かを判定する(ステップS4)。
【0061】
ステップS4においては、上記したデコード処理が実行されることによって識別情報が取得された場合には、対象画像にカラービットコードが含まれていると判定される。一方、上記したデコード処理が実行されても識別情報が取得されない場合(つまり、コード切り出し処理によってコード領域を切り出すことができない等の場合)には、対象画像にカラービットコードが含まれていないと判定される。
【0062】
ここで、対象画像にカラービットコードが含まれている場合には、少なくとも対象画像が撮像された時点で、撮像装置10の近傍のドアを介して作業領域に出入りしようとする人物が存在すると推測することができる。また、上記したように撮像装置10において継続的(連続的)に画像を撮像している場合において、カラービットコード(が付された人物)が含まれない画像については、入退室の管理の点において有用性が低い場合が多い。
【0063】
そこで、ステップS4において対象画像にカラービットコードが含まれていると判定された場合(ステップS4のYES)、第2画像取得部104は、対象画像が撮像された時刻を基準として、一定期間内の画像(以下、送信画像と表記)を取得する(ステップS5)。なお、ステップS5において取得される送信画像(一定期間内の画像)は、対象画像に含まれるカラービットコードが付されている人物が作業領域に出入りする様子を示す画像に相当する。
【0064】
ここで、対象画像は、ステップS2において当該対象画像が撮像された時刻(以下、撮像時刻と表記)と対応づけて格納部102に格納されている。このため、ステップS5において、第2画像取得部104は、対象画像と対応づけられている撮像時刻を、格納部102を参照して特定する。また、第2画像取得部104は、特定された撮像時刻を含む一定期間内に撮像装置10において撮像された画像を送信画像として取得する。
【0065】
なお、第2画像取得部104によって特定された撮像時刻を含む一定期間とは、当該撮像時刻の前後t秒とすることができる。tは、予め定められた値であればよく、例えば10(秒)等とすることができる。この場合、第2画像取得部104によって取得される画像は、撮像時刻からt秒前までの時刻に対応づけて格納部102に格納されている画像及び当該撮像時刻からt秒後までの期間内に撮像装置10において撮像される画像を含む。なお、第2画像取得部104によって取得される画像には、上記した対象画像も含まれる。
【0066】
ここでは撮像時刻を含む一定期間が当該撮像時刻の前後t秒であるものとして説明したが、当該一定期間は、撮像時刻からt秒前までの期間のみであってもよいし、撮像時刻からt秒後までの期間のみであってもよい。更に、撮像時刻を含む一定期間は、当該撮像時刻からt1秒前までの期間及び当該撮像時刻からt2秒後までの期間等であってもよい。すなわち、撮像時刻からの前後の秒数は異なっていてもよい。
【0067】
また、上記した撮像時刻よりも後に撮像装置10において撮像される画像に対しては、対象画像と同様にステップS1~S3の処理が実行されるものとする。この場合、第2画像取得部104は、例えば撮像時刻よりも後に撮像装置10において撮像される画像のうち、カラービットコードを含む画像(つまり、カラービットコードが認識された画像)のみを取得するようにする構成も可能である。
【0068】
なお、上記したように撮像時刻から前後t秒の期間内に撮像された画像を送信画像として取得する構成の場合には、当該撮像時刻からt秒後までの期間に撮像される画像に対するステップS1~S3の処理は省略されても構わない。
【0069】
ステップS5の処理が実行されると、送信処理部105は、当該ステップS5において取得された送信画像をサーバ装置20に送信する(ステップS6)。
【0070】
なお、ステップS6において送信された送信画像は、サーバ装置20において管理(保存)され、例えば管理者等による閲覧(監視)が可能となる。
【0071】
図7においてはステップS6の処理が実行されると処理が終了されることが示されているが、
図7に示す処理は、撮像装置10の電源がオンされている間は継続して繰り返し実行される。
【0072】
一方、ステップS4において対象画像にカラービットコードが含まれていないと判定された場合(ステップS4のNO)、ステップS1に戻って処理が繰り返される。
【0073】
なお、
図7に示すステップS2の処理においては撮像装置10において撮像された画像(つまり、ステップS1において取得された画像)が格納部102に順次格納されるが、当該格納部102(例えば、撮像装置10に備えられる不揮発性メモリ12)の容量には制限があるため、当該格納部102に格納された画像は当該画像に対応づけられている時刻が前のものから順次削除されるものとする。なお、この画像の削除は、格納部102の空き容量等に応じて実行されてもよいし、予め定められた時間帯等に定期的に実行されてもよい。
【0074】
上記したように本実施形態においては、撮像装置10において撮像された画像を順次取得し、当該取得された画像を当該画像が撮像された時刻に対応づけて格納部102に順次格納する。ここで、格納部102に格納された第1画像にカラービットコード(光学式認識コード)が含まれると判定された場合、当該カラービットコードを含む第1画像に対応づけて格納部102に格納されている第1時刻を含む期間内に該当する第2時刻に撮像装置10において撮像された第2画像を取得し、当該取得された第2画像をサーバ装置20に送信する。
【0075】
すなわち、本実施形態においては、カラービットコードが含まれる(つまり、カラービットコードが認識される)ことをトリガーとして、撮像装置10において撮像された画像を撮像装置10側(エッジコンピュータ)で断片化してサーバ装置20に送信する。
【0076】
このような構成によれば、撮像装置10において撮像された画像の全てをサーバ装置20に送信する場合と比較して、必要と推測される画像のみをサーバ装置20に送信することができるため、撮像装置10からサーバ装置20への通信容量を削減することができる。また、本実施形態においては、サーバ装置20において管理される画像の質を低下させることもない。更に、撮像装置10からサーバ装置20に送信された画像は当該サーバ装置20において保存(管理)されるが、当該サーバ装置20において確保すべき画像の保存容量を削減することもできる。
【0077】
したがって、本実施形態においては、撮像装置10及びサーバ装置20間の通信負荷の低減、当該サーバ装置20において管理される画像の質の維持、及び当該サーバ装置20において保存容量を確保するためのコストの低減を同時に実現することができる。
【0078】
なお、サーバ装置20側においても画像を保存するための容量に制限があるため、一定期間保存された画像を削除する等の処理が必要であるが、本実施形態においては、撮像装置10からサーバ装置20に送信される画像の量(枚数)を低減することができるため、当該画像を削除する処理の頻度を減らすことも可能である。
【0079】
更に、撮像装置10からサーバ装置20に送信された画像は、入退室の管理等に用いられるだけでなく、例えば防犯目的で分析されるような場合がある。本実施形態においては、カラービットコードを含む第1画像が撮像された第1時刻を含む一定期間内に撮像された画像のみがサーバ装置20に送信されるため、このような分析の対象となる画像を削減することができ、当該分析に要する処理時間等の削減を実現することもできる。また、上記したように撮像装置10において撮像された画像の質を維持したままサーバ装置20に送信することができることは、このような画像の分析を行うという観点においても利点がある。
【0080】
また、本実施形態においては、第1画像にカラービットコードが含まれる場合に当該第1画像が撮像された第1時刻を含む一定期間内に撮像された第2画像がサーバ装置20に送信されるものとして説明したが、当該一定期間は、当該カラービットコードによって表される識別情報(デコード処理によって取得される識別情報)に応じて異なるようにしてもよい。具体的には、第1画像に含まれるカラービットコードが例えば従業員を識別する識別情報を表す場合と、来客を識別する識別情報を表す場合とで、画像を取得するための一定期間の長さを変えるようにすることができる。
【0081】
更に、例えばサーバ装置20において、デコード処理によって取得される識別情報に対応する属性情報を管理している場合がある。このような場合においては、画像に含まれるカラービットコードによって表される識別情報及び当該識別情報に対応する属性情報等を組み合わせて、撮像装置10及びサーバ装置20の管理者にアラートを通知するような構成としてもよい。
【0082】
具体的には、例えば従業員(人物)の作業領域への入退室を管理している場合において、当該従業員の退出時間が予め定められた時間を超えているような場合にアラートを通知することができる。更に、作業領域への入退室に基づいて従業員の出退勤(時間)を管理するような場合には、残業時間数が一定時間を超えている従業員が退室(退勤)する際にアラートを通知するようにしてもよい。また、予め定められた来客(重要な来客)が入室した際に、当該来客に対して応対する者に対して例えば携帯電話またはスマートフォン等を介して通知を行うような構成とすることも可能である。
【0083】
なお、本実施形態においては、光学式認識コードとしてカラービットコードが用いられるものとして説明したが、当該光学式認識コードとしては、例えばバーコード等の他の光学式認識コード(自動認識技術)が用いられても構わない。
【0084】
更に、本実施形態においては光学式認識コードが主に人物に付されるものとして説明したが、当該光学式認識コードは、例えば監視の対象であれば動物や自動搬送ロボットのような物体等に付されていてもよい。
【0085】
また、本実施形態においては、第1画像に光学式認識コードが含まれることをトリガーとして第2画像を取得し、当該第2画像をサーバ装置20に送信するものとして説明したが、例えば撮像装置10において生体認証、カード認証、無線認証、音声認証またはパスワード(パスコード)認証等が行われたことをトリガーとしてもよい。更に、撮像装置10に設けられているボタン(図示せず)が押下されたことをトリガーとしてもよいし、振動等がセンサによって検知されたことをトリガーとしてもよい。すなわち、本実施形態においては、撮像装置10において検知可能な事象の発生(時刻)に基づいて一定期間内の第2画像を取得する構成であればよい。
【0086】
また、本実施形態においては、撮像装置10及びサーバ装置20が人物等の監視に用いられるものとして説明したが、本実施形態は、継続的に撮像される画像の一部を撮像装置10側で切り取り(断片化し)、サーバ装置20に送信するものであれば適用可能である。
【0087】
なお、本実施形態においては、撮像装置10が1つの装置として実現されるものとして説明したが、本実施形態に係る撮像装置10は、複数の装置から実現されていても構わない。具体的には、撮像装置10は、カメラ16を含む第1装置(撮像装置)と、
図7に示す処理を実行する第2装置(画像処理装置)とが接続されることによって実現されていてもよい。
【0088】
なお、上記した実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0089】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。
【0090】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0091】
更に、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0092】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であってもよい。
【0093】
なお、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
【0094】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0095】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10…撮像装置、11…バス、12…不揮発性メモリ、13…CPU、14…メインメモリ、15…無線通信デバイス、16…カメラ、20…サーバ装置、30…ネットワーク、101…第1画像取得部、102…格納部、103…デコード処理部、104…第2画像取得部、105…送信処理部、200…光学式認識コード、300…セル。