(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】静脈内カテーテルデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20241007BHJP
A61M 39/26 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 580
A61M39/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002236
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2022515952の分割
【原出願日】2019-11-11
【審査請求日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】201911036272
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】522310100
【氏名又は名称】メドソース・インターナショナル・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】MedSource International LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,ネーラジ
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-046507(JP,A)
【文献】特表2013-526338(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096549(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/051242(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065943(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 39/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈内カテーテルデバイス(100)であって、
近位端(134)、遠位端(136)、およびそれを貫通して延びる同軸凹部(148)を有するカテーテルハブ(102);
カテーテルハブ(102)の同軸凹部(148)の内部に配置されるように適合された弁部材(158)であって、弁部材(158)は、円筒部分(160)と、円筒部分(160)の一端に配置された錐形または湾曲部分(162)とによって規定され、同軸凹部(168)は円筒部分(160)から錐形または湾曲部分(162)まで延び、錐形または湾曲部分(162)には複数のプロング(172)を規定する1つ以上のスリット(170)を備え、スリット(170)は針(116)がスリット(170)を通過して患者の静脈を穿刺できるように構成された弁部材(158);
軸方向ボア(186)を有するアクチュエータ部材(176)であって、アクチュエータ部材(176)は、弁部材(158)の同軸凹部(168)の内部に配置されるように適合され、アクチュエータ部材(176)は、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)に向かう方向(D1)に軸方向に変位するように適合され、これにより、ルアーロック部材(206)がカテーテルハブ(102)の近位端(134)と係合するときに、弁部材(158)の複数のプロング(172)を開いて、カテーテルハブ(102)の近位端(134)からカテーテルハブ(102)の遠位端(136)への流体の流れのための通路(204)を形成するアクチュエータ部材(176);を含み、
弁閉鎖部材(192)は、近位端(196)における第1の表面(194)、遠位端(200)における第2の表面(198)、近位端(196)と遠位端(200)との間に延びる貫通孔(202)を含み、弁閉鎖部材(192)の第1の表面(194)が弁部材(158)の錐形または湾曲部分(162)に突き当たるように、弁閉鎖部材(192)はカテーテルハブ(102)の内部に配置され、
弁閉鎖部材(192)は、弁部材(158)の複数のプロング(172)を閉鎖するように適合され、これにより、ルアーロック部材(206)がカテーテルハブ(102)の近位端(134)から取り外されたとき、流体の流れのための通路(204)を閉鎖し、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)からカテーテルハブ(102)の近位端(134)への患者の穿刺された静脈からの血流を防止し、
弁閉鎖部材(192)は、弁部材(158)の複数のプロング(172)の硬度よりも硬く、ルアーロック部材(206)がカテーテルハブ(102)から取り外れたとき、弁閉鎖部材(192)は、複数のプロング(172)およびアクチュエータ部材(176)を、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)から離れる方向(D2)に押し、これにより、流体の流れのための通路(204)を閉じ、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)からカテーテルハブ(102)の近位端(134)への、患者の穿刺された静脈から血流を防止する、静脈内カテーテルデバイス(100)。
【請求項2】
弁部材(158)の錐形または湾曲部分(162)は、弁閉鎖部材(192)の第1の表面(194)に適合する請求項1に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項3】
弁閉鎖部材(192)の第1の表面(194)は、凹形状または錐形である請求項1に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項4】
弁閉鎖部材(192)の第1の表面(194)は、弁部材(158)の錐形または湾曲部分(162)を受容するように構成された空洞を規定する請求項3に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項5】
カテーテルハブ(102)は、カテーテルハブ(102)の近位端(134)に配置された環状ストッパ(152)をさらに含む請求項1~4のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項6】
弁部材(158)の第1の端部(174)がカテーテルハブ(102)の環状ストッパ(152)に突き当たったときに、弁部材(158)がカテーテルハブ(102)の同軸凹部(148)内の所定位置に保持されるように適合されている請求項5に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項7】
カテーテルハブ(102)は、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)に向かって設けられたアンダーカット部(156)をさらに含む請求項1~6のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項8】
フラッシュバックチャンバ(124)をさらに含む請求項1~7のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項9】
フラッシュバックチャンバ(124)は、カテーテルハブ(102)の近位端(134)に配置されるように適合されている請求項8に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項10】
ルアーロック部材(206)は、ルアーロックを含む請求項1に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項11】
ルアーロック部材(206)は、ルアースリップを含む請求項1に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項12】
ルアーロック部材(206)は、カテーテルハブ(102)の近位端(134)と係合したときに、アクチュエータ部材(176)の近位端に突き当たる請求項1~11のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項13】
弁部材(158)は、シリコーンまたはゴムを含む請求項1~12のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項14】
スリット(170)は、Y字形、X字形、+字形、またはそれらの組み合わせを規定する請求項1~13のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項15】
弁部材(158)およびアクチュエータ部材(176)は、カテーテルハブ(102)内で互いに係合するように適合されている請求項1~14のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項16】
アクチュエータ部材(176)は、弁部材(158)上の突出部(164)を受容するように構成された凹部(188)を規定している請求項15に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項17】
アクチュエータ部材(176)は、半径方向に延びるフランジ(180)を含む請求項1~16のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項18】
針刺し安全装置をさらに含む請求項1~17のいずれか1項に記載の静脈内カテーテル装置(100)。
【請求項19】
静脈内カテーテル装置(100)用のバルブアセンブリであって、
カテーテルハブ(102)内に配置されるように適合された弁部材(158)であって、弁部材(158)は、円筒部分(160)と、円筒部分(160)の一端に配置された錐形または湾曲部分(162)とにより規定され、同軸凹部(168)は、円筒部分(160)から錐形または湾曲部分(162)まで延び、弁部材(158)、錐形または湾曲部分(162)は、複数のプロング(172)を規定する1つまたは複数のスリット(170)を備え、スリット(170)は針(116)が患者の静脈を穿刺できるように構成された弁部材(158);
軸方向ボア(186)を有するアクチュエータ部材(176)であって、アクチュエータ部材(176)は、弁部材(158)の同軸凹部(168)内に配置されるように適合され、アクチュエータ部材(176)は、弁部材(158)内で軸方向に方向(D1)に変位するように適合され、これによって弁部材(158)の複数のプロング(172)が開いて、流体の流れのための通路(204)を形成するアクチュエータ部材(176);および、
近位端(196)に設けられた第1の表面(194)と、遠位端(200)に設けられた第2の表面(198)と、近位端(196)と遠位端(200)との間に延びる貫通孔(202)とを含む弁閉鎖部材(192)であって、弁部材(158)の錐形または湾曲部分(162)に突き当たる弁閉鎖部材(192)と、含み、
弁閉鎖部材(192)は、ルアーロック部材(206)がアクチュエータ部材(176)の近位端(134)から外れたときに、弁部材(158)の複数のプロング(172)を閉鎖するように適合されており、
弁閉鎖部材(192)は、弁部材(158)の複数のプロング(172)の硬度よりも硬い、バルブアセンブリ。
【請求項20】
弁部材(158)とアクチュエータ部材(176)とは、弁部材(158)の内面(166)における突出部(164)とアクチュエータ部材(176)の外面(190)における相補的な凹部とを介して、互いに係合するように適合されている請求項19に記載のバルブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器に関する。より詳細には、血液の逆流を防止するための静脈内カテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、古来より人類に利用されてきた。古代シリア人は、葦でカテーテルを作った。古代ギリシャでは、尿道から患者の膀胱に挿入して膀胱を空にする中空の金属製チューブが使用されていた。近代医学では、1868年にN.B.Sornborger博士が注射器とカテーテルの特許を取得し、カテーテルの使用が初めて報告された。
【0003】
また、静脈内カテーテルも古くから存在する。静脈内カテーテルは、薬や液体を直接静脈に注入したり、検査のために血液サンプルを採取するために使用される静脈デバイスである。静脈内カテーテルは、針を刺して静脈に挿入し、粘着テープで患者の皮膚に固定する。
【0004】
オーバーニードル方式の静脈内カテーテルの欠点は、カテーテルから針を抜くと、血液がカテーテル内を流れ、カテーテルハブから流出する経路が空いてしまうことである。血液は汚染されている可能性があり、医療従事者の感染のリスクにつながる可能性がある。さらに、血液の流出は、患者だけでなく、カテーテルが適用される医療空間においても不衛生な状態につながり、血液の流出は、現在、静脈(IV)カテーテル投与時の大きな問題である。
【0005】
血液の流出を防ぐ方法は知られているが、これらの方法にはそれぞれ一定のリスクと欠点がある。針を抜く前に静脈に手で圧力をかけて血液の流れを止めるが、この方法は正確な技術を持った両手の技術か、2人のオペレータを必要とし、それでも血液の流れは止められない。そこで、血液の通り道にデッドストッパーを設けて血液の流れを止め、逆流の可視化のために空気の逃げを可能にし、液体の注入を可能にするために、カテーテルに対して所定の角度でサイドポートを設けた閉鎖系静脈内カテーテルが使用される。しかしながら、これらの製品は、一般的な製品に比べて大きく、使い方が複雑で、高価である。
【0006】
他の公知の方法では、カテーテル空間は、適切な技術と訓練を必要とするマンドレルまたはオブチュレータによって塞がれることがあり、それはさらに、製品の構造や操作を複雑にし、高価なものにする。
【0007】
他の公知のカテーテルデバイスは、米国特許第4、874、377号(以下、「377特許」と略す。)に開示されている。この377特許には、血液の逆流を防止するための弁を備えたカテーテルハブアセンブリが記載されている。この弁は、カテーテルハブにコネクタを取り付けると圧力で変形し、その変形を流体が通過できるように制御するものである。377特許の変形を許容するためには、ハブの直径と全体の大きさを大きくすることが想定される。377特許は、現実的に可能な解決策を提供しようとしているが、サイズの増大は、製品の全体的な機能を大幅に阻害し、患者の快適性に大きく影響する。
【0008】
さらに他の公知のカテーテルデバイスが米国特許第5、064、416号(以下、「416特許」と略す。)に開示されている。416特許には、ルアー接続で作動するが、接続を外すと後ろに滑る滑らかな先端を有する錐体アクチュエータが記載されている。この種の動作は、特に保存期間が長い(例えば3年以上)装置では実用上の問題がある。さらに、416特許には、弁がどのように設計されるか、またはカテーテルハブにどのように装着されるかについて記載はない。
【0009】
さらに他の公知のカテーテルデバイスは、米国特許第5、154、703号(以下、「703特許」と略す。)に開示されている。この703特許には、ルアーとの接続時にディスクを貫通する鋭い針と組み合わせた単純なディスク形状のバルブが記載されている。703特許では、鋭利な針が追加されたことにより、製品の適切な取り扱いや廃棄を含む多くの安全に関する問題が生じている。また、小さなサイズの鋭利な針を小さなアセンブリ内に組み立てることは、複雑である。
【0010】
さらに他の公知のカテーテルデバイスが、米国特許第5、053、014号(以下、「014特許」と略す。)に開示されている。この014特許には、膜が干渉嵌合を用いて挿入される2つの部分からなるカテーテルハブアセンブリが記載されている。そして、ルアー接続が適用されたときにメンブレンを貫通するように、平滑なプランジャーも部品アセンブリ内に封入されている。
【0011】
さらに他の種類のカテーテルデバイスが、PCT特許公開番号WO2017042825A2(以下、「825特許」と略す。)に開示されている。この825特許のカテーテルデバイスは、静脈を針で穿刺した際に血液の逆流を防止するためのスリットを有する一方向弁を開示している。
【0012】
さらに他の種類のカテーテルデバイスが、PCT特許公開番号WO2018096549A1(以下、「549特許」と略す。)に開示されている。この549特許のカテーテルデバイスは、静脈を針で穿刺した際に血液の逆流を防止するためのスリットを有する一方向弁を開示している。
【0013】
しかしながら、825特許および549特許の一方向弁のスリットは、ユーザが流体経路を閉じたいときに完全に閉じず、一方向弁は、意図された完全な解決策を提供するものではない。
【0014】
血液の逆流を防止するために、アクチュエータを有するまたは有しない弁の多くの設計が提供されているが、これらの弁の設計は非常に複雑であり、製造、組立および製品性能においてかなりの課題を含んでいる。
【0015】
したがって、本開示は、上述のような問題の1つまたは複数を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0016】
本開示の1つの目的は、血液の逆流を回避する静脈内カテーテルを提供することである。
【0017】
本開示の他の目的は、血液の逆流防止を担う新規な一方向弁の設計を有する静脈内カテーテルを提供することである。
【0018】
本開示の他の目的は、様々な他のカテーテルデバイスに適用される血液の逆流を防止するための機構を提供することである。
【0019】
本発明は、静脈内カテーテルデバイスに関するものである。静脈内カテーテルデバイスは、近位端および遠位端を有するカテーテルハブと、カテーテルハブの近位端に配置された環状ストッパを有する同軸凹部と、カテーテルハブの遠位端に向かって設けられたアンダーカット部とを含む。静脈内カテーテルデバイスは、カテーテルハブの同軸凹部の内部に配置されるように適合された弁部材をさらに含む。弁部材は、円筒部分と、円筒部分の一端に配置された湾曲部分と、円筒部分から湾曲部分まで延びる同軸凹部とによって規定される。湾曲部分は、複数の突起を規定する1つ以上のスリットを備える。スリットは、患者の静脈を穿刺するために針が通過することを可能にするように構成されている。静脈内カテーテルデバイスは、カテーテルハブの近位端に配置されるように適合されたフラッシュバックチャンバをさらに含み、フラッシュバックチャンバへの血流は、針による静脈の穿刺を確認させる。静脈内カテーテルデバイスは、軸方向ボアを有するアクチュエータ部材をさらに含む。アクチュエータ部材は、弁部材の同軸凹部内に配置されるように適合される。アクチュエータ部材は、カテーテルハブの遠位端に向かう方向に軸方向に変位し、それによって、ルアーロック部材がアクチュエータ部材に接してカテーテルハブの近位端で取り外し可能に接続された場合、バルブ部材の複数のプロングを開いてカテーテルハブの近位端から遠位端への流体流のための通路を形成する。静脈内カテーテルデバイスは、近位端の第1の表面と、遠位端の第2の表面と、近位端と遠位端との間に延びる貫通孔とを含む弁閉鎖部材をさらに含み、弁閉鎖部材の第1の表面がカテーテルハブのアンダーカット部分に接し、弁閉鎖部材の第2の表面が弁部材の曲線部分に接するように、カテーテルハブ内に配置される。ここで、弁閉鎖部材は、弁部材の複数の突起を閉鎖するように適合され、これによって、アクチュエータ部材に接しているルアーロック部材が取り外された場合、流体の流れのための通路を閉鎖し、カテーテルハブの遠位端からカテーテルハブの近位端への患者の穿刺された静脈からの血流を防止する。
【0020】
1つの実施形態では、弁閉鎖部材は、約50ショアから約80ショアの範囲の硬度を有し、弁部材は、約20ショアから約45ショアの範囲の硬度を有する。
【0021】
1つの実施形態では、弁閉鎖部材の第1の表面は、凹形状または空洞形状の円錐台形形状である。
【0022】
1つの実施形態では、弁部材の湾曲部分は、凸形状または円錐台形形状の形状である。
【0023】
1つの実施形態では、弁部材は、弁部材の第1の端部がカテーテルハブの環状ストッパに接している場合、カテーテルハブの同軸凹部に保持されるように適合される。
【0024】
1つの実施形態では、弁部材は、シリコーンおよびゴムからなる群から選択される可撓性材料で作られている。
【0025】
1つの実施形態では、スリットは、Y字形状またはX字形状または+字形状またはそれらの組み合わせの形状である。
【0026】
1つの実施形態では、弁部材の円筒部は、内面に突起部を有する。
【0027】
1つの実施形態では、アクチュエータ部材は、アクチュエータ部材の外面に円形凹部を有し、弁部材の突起は、アクチュエータ部材の円形凹部と係合し、これによって弁部材およびアクチュエータ部材の組立体をカテーテルハブの内部にそのまま配置するように適合される。
【0028】
1つの実施形態では、アクチュエータ部材は、半径方向に延びるフランジを有する第1の端部と、凸面を有する第2の端部と、アクチュエータ部材の第1の端部と第2の端部との間の軸方向ボアとを含む。
【0029】
1つの実施形態では、弁閉鎖部材は、弁部材の複数のプロングの硬度よりも硬く、ルアーロック部材がカテーテルハブから外れた場合、弁閉鎖部材は、複数のプロングおよびアクチュエータ部材をカテーテルハブの遠位端から離れる方向に押し、それによって流体の流れのための通路を閉じ、カテーテルハブの遠位端からカテーテルハブの近位端までの患者の穿刺した静脈からの血流を防止する。
【0030】
1つの実施形態では、アクチュエータ部材は、硬質プラスチック材料または金属で作られている。
【0031】
1つの実施形態では、フラッシュバックチャンバは、フラッシュバックチャンバ内で、空気を逃がし、血液を流すための多孔質フィルタおよびカバーのうちのいずれか1つを含む。
【0032】
1つの実施形態では、本デバイスは、針刺し安全デバイスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、静脈内カテーテルデバイスの斜視図である。
【
図2】
図1に示される静脈内カテーテルデバイスの断面図である。
【
図3】
図2に示される部分「A」として示される静脈内カテーテルデバイスのカテーテルハブの拡大図である。
【
図4】
図1~3に示されるカテーテルハブの斜視図である。
【
図5a】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスのアクチュエータ部材の斜視図である。
【
図5b】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスのアクチュエータ部材の断面図である。
【
図6a】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁部材の斜視図である。
【
図6b】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁部材の断面図である。
【
図6c】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁部材の正面図である。
【
図6d】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁部材の背面図である。
【
図7a】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁閉鎖部材の斜視図である。
【
図7b】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁閉鎖部材の断面図である。
【
図7c】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁閉鎖部材の正面図である。
【
図7d】本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイスの弁閉鎖部材の背面図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による、静脈を穿刺するために針が弁部材に挿入されたときの静脈内カテーテルデバイスの動作を示す断面図である。
【
図9】ルアーロック部材が静脈内カテーテルデバイスの近位端に解放可能に接続されたときの、流体の流れのための通路を形成するためのルアーロック部材の動作を示す静脈内カテーテルデバイスの断面図であり、本開示の例示的な一実施形態によるルアーロック部材が、静脈内カテーテルデバイスの近位端に解放可能に接続されている。
【
図10】本開示の例示的な実施形態によるルアーロック部材が非係合位置にあり、流体流のための通路が閉鎖されているときの、
図9に示す静脈内カテーテルデバイスの断面図である。
【
図11】本開示の他の例示的な実施形態による静脈内カテーテルデバイスの斜視図である。
【
図12】本開示の他の例示的な実施形態による静脈内カテーテルデバイスの断面図である。
【
図13】
図11および
図12に示される静脈内カテーテルデバイスのカテーテルハブの斜視図である。
【
図14】本開示のさらに他の例示的な実施形態による静脈内カテーテルデバイスの斜視図である。
【
図15】
図14に示される静脈内カテーテルデバイスの断面図である。
【
図16】
図14および
図15に示される静脈内カテーテルデバイスのカテーテルハブの斜視図である。
【
図17】本開示のさらに他の例示的な実施形態による静脈内カテーテルデバイスの斜視図である。
【
図18】
図17に示される静脈内カテーテルデバイスの断面図である。
【
図19】
図17および
図18に示された静脈内カテーテルデバイスのカテーテルハブの斜視図である。
【
図20a】フィルタを有するフラッシュバックチャンバの斜視図である。
【
図20b】フィルタを有するフラッシュバックチャンバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に提供されるのは、本開示の非限定的な例示的実施形態であり、次に、添付の図面に例示される特定の実施形態または特徴について詳細に言及される。可能な限り、対応するまたは類似の参照番号は、同一または対応する部品を参照するために、図面全体を通して使用される。さらに、本明細書に記載される様々な要素への言及は、同じタイプの複数の要素が存在し得る場合、集合的にまたは個別に行われる。しかしながら、そのような参照は、本質的に単に例示的なものである。単数形の要素へのいかなる言及も、添付の請求項に明示的に規定されない限り、かかる要素の正確な数またはタイプに本開示の範囲を限定することなく、複数形に関連すると解釈され得ること、およびその逆もまた、留意され得る。
【0035】
図1および
図2は、それぞれ、本開示の例示的な実施形態によるカテーテルデバイス(100)の斜視図および断面図を示す。カテーテルデバイス(100)は、静脈内療法によって薬液を投与するための治療を受けている患者の上に使用される医療装置であり、またはカテーテルデバイス(100)は、カテーテルの種類に基づく他の作業を実行するために使用されてもよい。示された図では、カテーテルデバイス(100)は、静脈内カテーテルデバイスである。本開示で言及される「静脈内カテーテルデバイス」という用語は、「カテーテルデバイス」という用語によって交換可能に使用されるであろう。用語「静脈内カテーテルデバイス」と「カテーテルデバイス」の両方が、同じデバイスに関連することが理解されよう。
図1に示されるような静脈内カテーテルデバイス(100)は、カテーテルハブ(102)を含む(カテーテルハブ(102)の拡大図を示す
図3により明確に示され、それは
図2において部分「A」によって示される)。
【0036】
カテーテルデバイス(100)は、針カバー(104)をさらに含み、これは、針カバー(104)上の凹部(106)がカテーテルハブ(102)の突起部(108)と係合するように、カテーテルハブ(102)に接続され得る。針カバー(104)は、針(116)を受け入れるための軸方向に延びるスリット(112)およびボア(114)を有する筒状スリーブ(110)をさらに含み、針(116)がカテーテルハブ(102)から引き出された場合、カテーテルハブ(102)と締まり嵌めの関係にある針カバー(104)がカテーテルハブ(102)との係合が解除される。1つの実施形態において、カテーテルデバイス(100)の針カバー(104)は、患者の静脈(図示せず)を穿刺した後に針(116)をカテーテルハブ(102)から引き抜く場合に、針(116)の先端部の露出を防止するための安全機構または針刺し安全装置(図示せず)を含む。カテーテルデバイス(100)は、針カバー(104)および針ハブ(120)の両方を部分的に包むケーシング(118)を更に含む。ケーシング(118)は、カテーテルデバイス(100)の挿入または引き込みの際に、操作者(図示せず)に把持を提供するためのサムグリップ(122)を備えてもよい。
【0037】
ケーシング(118)は、リブ(図示せず)を介して針カバー(104)に着脱可能に接続できる。さらに、針ハブ(120)は、針ハブ(120)の延長部分(126)を介してフラッシュバックチャンバ(124)に解放可能に接続され、一端においてネジ付きキャップまたはルアーロックキャップ(128)を用いて閉鎖できる。他端の針ハブ(120)は、針(116)と固定的に接続される。フラッシュバックチャンバ(124)への血液の流入は、針(116)による静脈の穿刺を確認するものである。フラッシュバックチャンバ(124)は、フラッシュバックチャンバ(124)の内部に空気を逃がし、血液を流すための多孔質フィルタ(130)(
図20aおよび20bに示す)およびカバー(図示せず)のうちのいずれか1つを含むことができる。フラッシュバックチャンバ(124)は、フラッシュバックチャンバ(124)からの血液の流出を防止するための疎水性フィルタ(132)をさらに含んでもよい。
【0038】
図4は、
図1~3に示すカテーテルハブ(102)の斜視図である。カテーテルハブ(102)は、近位端(134)および遠位端(136)を含む。本開示で使用される「近位端」という用語は、カテーテルデバイス(100)を操作する操作者に近い端部として定義され得ることが理解される。本開示で使用される「遠位端」という用語は、「近位端」とは反対側の、操作者から離れた端部として定義されてもよい。1つの実施形態において、カテーテルハブ(102)は、剛性であり得る生体適合性材料で作られ、それに関連する構成要素をしっかりと保持することができる。カテーテルハブ(102)は、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)において固定して接続されたカテーテルチューブ(138)(
図1および
図2に示される)を含む。カテーテルチューブ(138)は、可撓性または軟質の材料で作ることができ、これには、プラスチックまたはポリマー、または可撓性/軟質の性質を有する生体適合性の材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。カテーテルチューブ(138)は、ボア(140)を有する細い細長い管状構造である。カテーテルチューブ(138)のボア(140)は、静脈内カテーテルデバイス(100)の針(116)を包むように適合される。カテーテルチューブ(138)は、カテーテルハブ(102)と共に、カテーテルチューブ(138)を保持する目的を果たすために、圧入または接着結合または当技術分野で公知の他の方法を含むがこれらに限定されない方法によって、カテーテルハブ(102)と固定するように適合させることができる。他の実施形態では、カテーテルチューブ(138)は、カテーテルハブ(102)と一体的に製造されてもよい。
【0039】
図1~4に示された実施形態では、カテーテルハブ(102)は、カテーテルハブ(102)の外面(144)に接して、カテーテルハブ(102)の同軸凹部(148)と連絡する補助流体経路(146)を形成する外側ポート(142)を更に含む。このように、本実施形態に係る静脈内カテーテルデバイス(100)は、双方向流体機構を有するように適合される。カテーテルハブ(102)の外側ポート(142)には、流体(図示せず)の供給のために外側ポート(142)を開閉するための吐出しキャップ(150)(
図1および
図2に示す)が設けられてもよい。吐出しキャップ(150)は、ヒンジまたはねじ、あるいは当技術分野で知られている他の機構を介して開閉するように操作されてもよい。
【0040】
カテーテルハブ(102)は、カテーテルハブ(102)の内面(154)上に環状ストッパ(152)を更に含む。環状ストッパ(152)は、カテーテルハブ(102)の近位端(134)に配置される。カテーテルハブ(102)の同軸凹部(148)は、アンダーカット部分(156)を含む(
図3および
図8に示す)。図示された実施形態では、アンダーカット部分(156)は、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)に向かって設けられている。図示された実施形態では、ルアーロックキャップ(128)は、カテーテルハブ(102)の近位端(134)を封止するように設けられる。カテーテルハブ(102)は、カテーテルデバイス(100)の弁部材(158)を収容するように適合される。
【0041】
図示された
図1~3において、弁部材(158)は、カテーテルハブ(102)の同軸凹部(148)の内部に配置されるように適合される。弁部材(158)は、円筒部分(160)(
図6aにより明確に示されている)と、円筒部分(160)の一端に配置された湾曲部分(162)(
図6aにより明確に示されている)とによって画定される。弁部材(158)の円筒部分(160)は、内面(166)に突起部(164)(
図6bに示す)を有する。弁部材(158)は、円筒部分(160)から湾曲部分(162)へ延びる同軸凹部(168)(
図6bに示す)をさらに含む。図示された実施形態では、湾曲部分(162)は凸形状であるが、湾曲部分(162)はまた、円錐台形形状などの他の形状であってもよいが、これに限定されるものではない。本開示で使用される用語「湾曲部分」および「凸部」は、互換的に使用され、これらは、弁部材(158)の同じ部分に関する。弁部材(158)の凸部(162)は、1つ以上のスリット(170)を備え、それによって複数のプロング(172)を画定する。1つ以上のスリット(170)は、針(116)がスリット(170)を通過できるように設計されており、針(116)が引き出されるとスリット(170)が自己密閉できるようにする。
【0042】
図示された実施形態では、弁部材(158)は、弁部材(158)の第1の端部(174)がカテーテルハブ(102)の環状ストッパ(152)に突き当たると、カテーテルハブ(102)の同軸凹部(148)で所定の位置に保持されるように適合される。例示的な実施形態では、弁部材(158)は、シリコーンおよびゴムからなる群から選択される柔軟な材料で作られており、スリット(170)は、「Y」または逆「Y」または「X」などの形状であるが、これらに限定されるものではない。または水平スリットまたは垂直スリットまたは「+」形状またはその組み合わせ、あるいは、弁部材(158)の同軸凹部(168)の内部で、針(116)およびアクチュエータ部材(176)のそれぞれの挿入中に複数のプロング(172)の開放および拡大を容易にする他の任意の形状である。
【0043】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示される静脈内カテーテルデバイス(100)のアクチュエータ部材(176)の斜視図である。アクチュエータ部材(176)は、半径方向に延びるフランジ(180)を有する第1端(178)と、凸面(184)を有する第2端(182)と、アクチュエータ部材(176)の第1端(178)と第2端(182)の間の軸方向ボア(186)とを含む。例示的な実施形態では、アクチュエータ部材(176)は、例えばポリオキシメチレン(POM)のような硬質プラスチック材料、または例えばステンレス鋼のような金属など、当技術分野で知られている医療用途適合材料で作られているが、これらに限定されるものではない。
【0044】
アクチュエータ部材(176)は、外面(190)上に円形凹部(188)を更に含む。弁部材(158)の突起部(164)は、アクチュエータ部材(176)の円形凹部(188)と係合するように適合される。弁部材(158)の突起部(164)とアクチュエータ部材(176)の円形凹部(188)との係合は、弁部材(158)とアクチュエータ部材(176)の組立体がカテーテルハブ(102)から落ちないように、弁部材(158)とアクチュエータ部材(176)の組立体をカテーテルハブ(102)の内部にそのまま配置させる。他の実施形態では、弁部材(158)およびアクチュエータ部材(176)は、突起部(164)および凹部(188)とは他の任意の方法、例えば当技術分野で知られているネジ山(図示せず)、またはスナップフィット配置(図示せず)等によって接続されてもよい。さらに他の実施形態において、アクチュエータ部材(176)は、バルブ部材(158)上に形成された突起部(164)と同様の突起部を含むことができ、バルブ部材(158)は、アクチュエータ部材(176)の円形凹部(188)と同様の円形凹部を含んでもよい。アクチュエータ部材(176)およびバルブ部材(158)に作られた円形凹部(188)および突起(164)は、本開示の範囲を限定するべきではなく、アクチュエータ部材(176)とバルブ部材(158)を一体にさせる目的に適った任意の機構(例えば:ネジ)も使用できることが理解できるはずである。
【0045】
図7a~
図7dは、本開示の例示的な実施形態による、
図1~4に示す静脈内カテーテルデバイス(100)の弁閉鎖部材(192)の種類の図である。弁閉鎖部材(192)は、近位端(196)における第1の表面(194)と、遠位端(200)における第2の表面(198)と、近位端(196)と遠位端(200)との間に延在する貫通孔(202)とを含む。弁閉鎖部材(192)は、弁閉鎖部材(192)の第2の表面(198)がカテーテルハブ(102)のアンダーカット部分(156)に接し、弁閉鎖部材(192)の第1の表面(194)が弁部材(158)の凸部(162)に接するようにカテーテルハブ(102)の内部に配置される。
【0046】
図示された実施形態では、弁部材(158)の凸部(162)は、弁閉鎖部材(192)の第1の表面(194)の形状に適合している。1つの実施形態において、弁閉鎖部材(192)は、約50ショアから80ショアの範囲の硬度を有し、弁部材(158)は、約20ショアから45ショアの範囲の硬度を有する。
【0047】
図8は、本開示の例示的な実施形態による静脈穿刺用の静脈内カテーテルデバイス(100)の動作を示す断面図である。針(116)が、カテーテルハブ(102)の同軸凹部(148)を通り、アクチュエータ部材(176)を経由するとき、針(116)は、弁部材(158)のスリット(170)を貫通するように適合されている。弁部材(158)のスリット(170)を突き通した後、針(116)は、患者の静脈を穿刺するためにカテーテルチューブ(138)を通過する。
【0048】
静脈に穿刺した後、針(116)を引き抜くと、弁部材(158)は、弁部材(158)の凸部(162)のスリット(170)における開口部を自己閉鎖できるような柔軟な材料で作られているため、弁部材(158)のスリット(170)は自己閉鎖する。
【0049】
1つの実施形態において、カテーテルデバイス(100)は、当該技術分野において既知の針刺し安全装置(図示せず)を含むことができる。針刺し安全装置は、針(116)の先端部が針カバー(104)内に存在するように収容するように適合させることができる。1つの実施形態において、針刺し安全装置は、針(116)の拡大寸法部分(図示せず)を保持するばね保持器(図示せず)を含み、これによって、針カバー(104)の外側に針(116)の先端が露出することを防止して、オペレータまたは患者に対する針刺し損傷を防止できる。
【0050】
図9は、本開示の実施形態による、ルアーロック部材(206)がカテーテルデバイス(100)に解放可能に接続されるときに、流体の流れのための通路(204)を形成する、カテーテルデバイス(100)の働きを示す断面図である。図示された実施形態では、ルアーロック部材(206)は、6%ユニバーサルテーパなどの当技術分野で既知の手段を介してカテーテルハブ(102)の近位端(134)で解放可能に接続されるが、これらに限定されるものではない。6%ユニバーサルテーパを有するルアーロック部材は、本開示の範囲を限定することを意味すべきではない。カテーテルデバイス(100)の嵌合部に適合する標準サイズのルアーロック部材またはISO規格を有する任意のルアーロック部材を使用することができる。例えば、6%ユニバーサルテーパを有するルアーロック部材には、ISO規格ISO-80369-20およびISO-80369-7を使用することができる。
【0051】
他の実施形態(図示せず)において、ルアーロック部材(206)は、様々な供給者または製造者から入手可能な様々な構成または形状のいずれかを有することができる。そのような形状の1つは、ルアーロックの代わりにルアースリップであってもよい。ルアーロックまたはルアースリップが6%テーパーに従う限り、装置の機能は変化しない。
【0052】
カテーテルハブ(102)の近位端(134)におけるルアーロック部材(206)の係合は、カテーテルハブ(102)の軸(X-X’)に沿って、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)に向かう力を、アクチュエータ部材(176)上に発生させる。即ち、ルアーロック部材(206)の前端(208)がアクチュエータ部材(176)のフランジ(180)に接触するように適合されると、アクチュエータ部材(176)は、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)に向かう方向「D1」に軸方向に変位する。アクチュエータ部材(176)のカテーテルハブ(102)の遠位端(136)に向かう軸方向変位は、弁部材(158)の複数のプロング(172)を開いて、カテーテルハブ(102)の近位端(134)からカテーテルハブ(102)の遠位端(136)に向かう流体流用の通路(204)を形成する。
【0053】
図10は、ルアーロック部材(206)が非係合位置にあるときの、
図9に示す静脈内カテーテルデバイス(100)の断面図である。ルアーロック部材(206)がカテーテルハブ(102)から係合解除されると、カテーテルデバイス(100)内の弁閉鎖部材(192)は、弁部材(158)の複数のプロング(172)を閉鎖し、これによって流体の流れのための通路(204)を閉じ、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)からカテーテルハブ(102)の近位端(134)にかけて患者の穿刺静脈からの血流を防止するよう適合される。
【0054】
これは、弁閉鎖部材(192)が、弁部材(158)の複数のプロング(172)の硬度よりも大きな硬度を有しており、ルアーロック部材(206)がカテーテルハブ(102)から離脱したときに、弁閉鎖部材(192)は、弁部材(158)の複数のプロング(172)およびアクチュエータ部材(176)をカテーテルハブ(102)の遠位端(136)から離れる方向「D2」に押し、これによって、流体の流れのための通路(204)を閉鎖して、カテーテルハブ(102)の遠位端(136)からカテーテルハブ(102)の近位端(134)への、患者の穿刺した静脈からの血流を防止する。
【0055】
利点
開示された弁閉鎖部材(192)は、静脈内カテーテルデバイス(100)の複数のプロング(172)を押したり閉じたりするとき、ルアーロック部材(206)の取り外しによりアクチュエータ部材(176)が変位するときの、患者の静脈からの血液の望ましくない逆流を防止する。
【0056】
開示された弁閉鎖部材(192)およびアクチュエータ部材(176)は、複数回作動または非作動させて、患者の静脈が穿刺されたときに針を通る血液の流れを可能にし、または血液の望ましくない逆流を防止するが、かかる流れ/流れの防止の効力は、それぞれの作動または非作動において同様である。
【0057】
開示された弁部材(158)の複数のプロング(172)は、弁閉鎖部材(192)の硬度と比較すると柔軟であり、複数のプロング(172)は、静脈の穿刺が防止された後に針(116)が引き出されると自動的に自ら折り返されてスリット(170)を閉鎖する。
【0058】
開示された静脈カテーテルデバイス(100)は、弁部材(158)の複数のプロング(172)が弁閉鎖部材(192)によって閉鎖されることにより、血液の逆流が防止されるので、患者の血液が使用者の手に接触することを防止できる。これにより、血液の接触に起因する感染症や死亡を防止できる。
【0059】
開示された静脈内カテーテルデバイス(100)は、弁部材(158)、アクチュエータ部材(176)および弁閉鎖部材(192)の組立体が、プラスチックまたは生体適合材料で作られているので、経済的である。
【0060】
開示された静脈内カテーテルデバイス(100)は弁部材(158)のスリット(170)の閉鎖の改良を提供し、ここでは、ユーザまたは操作者のカテーテルハブ(102)の近位端(134)に向かって作用する押し力によって弁部材(158)の複数のプロング(172)が弁閉鎖部材(192)により閉じられ、これによって血液を逆流させずに通路(204)を閉鎖できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
弁部材(158)、アクチュエータ部材(176)および弁閉鎖部材(192)の開示された組立体は、
図13、
図16および
図19に示すカテーテルハブ(102-A、102-B、102-C)の1種類または2種類以上に用いることが可能である。
図13、
図16および
図19に開示されたカテーテルハブ(102-A、102-B、102-C)は、それぞれ、
図11、
図12、
図14、
図15、
図17および
図18に示すカテーテルデバイス(100-A、100-B、100-C)に使用される。したがって、弁部材(158)、アクチュエータ部材(176)および弁閉鎖部材(192)の組立品の適用は、
図1~4に開示されたカテーテルハブ(102)を有する静脈内カテーテルデバイス(100)に限定することを意図するものではない。
【0062】
開示された弁閉鎖部材(192)は、血液または薬液の逆流を防止するという要件が求められる他の適切な医療装置において、その適用を見出すことができる。
【0063】
本発明の態様、特に上述の実施形態を参照して示し、説明したが、開示されている範囲から逸脱することなく、開示された装置の修正によって様々な追加の実施形態が考えられることは、当業者には理解されよう。そのような実施形態は、特許請求の範囲およびその任意の等価物に基づいて決定される本発明の範囲に含まれるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0064】
100: カテーテルデバイスまたは静脈内カテーテルデバイス
100-A:他の実施形態のカテーテルデバイス
100-B:さらに他の実施形態のカテーテルデバイス
100-C:さらに他の実施形態のカテーテルデバイス
102: カテーテルハブ
102-A:他の実施形態のカテーテルハブ
102-B:さらに他の実施形態のカテーテルハブ
102-C:さらに他の実施形態のカテーテルハブ
104: 針カバー
106: 針カバーの凹部
108: カテーテルハブの突起部
110: 筒状スリーブ
112: 筒状スリーブのスリット
114: 筒状スリーブの内径
116: 針
118: ケーシング
120: 針ハブ
122: サムグリップ
124: フラッシュバックチャンバ
126: フラッシュバックチャンバの延長部分
128: ルアーロックキャップ
130: 多孔質フィルタ
132: 疎水性フィルタ
134: カテーテルハブの近位端
136: カテーテルハブの遠位端
138: カテーテルチューブ
140: カテーテルチューブのボア
142: アウターポート
144: カテーテルハブの外面
146: 補助流体経路
148: カテーテルハブの同軸上の凹部
150: 吐出しキャップ
152: 環状ストッパ
154: カテーテルハブの内面
156: カテーテルハブのアンダーカット部分
158: 弁部材
160: 弁部材の円筒部分
162: 弁部材の湾曲部分または凸部
164: 円筒部分の内面に設けられた突起部
166: 円筒部分の内面
168: 弁部材の同軸凹部
170: 1つまたは複数のスリット
172: 複数のプロング
174: 弁部材の第1の端部
176: アクチュエータ部材
178: アクチュエータ部材の第1の端部
180: アクチュエータ部材の径方向に延びるフランジ
182: アクチュエータ部材の第2の端部
184: 凸面
186: アクチュエータ部材の軸方向ボア
188: アクチュエータ部材の円形凹部
190: アクチュエータ部材の外面
192: 弁閉鎖部材
194: 弁閉鎖部材の第1の表面
196: 弁閉鎖部材の近位端
198: 第2の表面
200: バルブクロージャー部材の遠位端
202: 弁閉塞部材の貫通孔
204: 流体の流れのための通路
206: ルアーロック部材
208: ルアーロック部材の前端
A: 拡大表示部
D1: 方向
D2: 方向
X-X’: カテーテルハブの軸