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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】杭圧入装置及び杭圧入方法
(51)【国際特許分類】
E02D 7/20 20060101AFI20241007BHJP
【ＦＩ】
E02D7/20
【請求項の数】
6
(21)【出願番号】P 2024032913
(22)【出願日】2024-03-05
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502143319
【氏名又は名称】株式会社あけぼの産業
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】近藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】小池 悠介
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 一介
(72)【発明者】
【氏名】元木 正貴
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開昭５４－０８６９０４（ＪＰ，Ａ）
【文献】実開昭５４－０８５７０５（ＪＰ，Ｕ）
【文献】特開２０００－１４４７３６（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１４－１８９９４８（ＪＰ，Ａ）
【文献】実開昭５５－０４０００３（ＪＰ，Ｕ）
【文献】特開昭５２－１３５５０７（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開昭５２－１５５８０９（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開昭５４－０９４７０４（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１５－０１０４３８（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０００－０４５２７５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１８－１０９３３９（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開昭５４－０６０７０５（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｅ０２Ｄ ７／００－１３／１０
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に杭を圧入するための杭圧入装置であって、略平行に配置した長尺状の２本のレールユニットと、
前記レールユニットに沿って移動可能に前記レールユニット上に搭載した架台ユニットと、
前記架台ユニットの下部に下向きに付設した圧入ユニットと、
前記架台ユニットと前記レールユニットを連結可能な連結手段と、を備え、
前記架台ユニットが、反力架台と、前記反力架台を支持する複数の支持脚と、前記支持脚の下部に設けた移動輪と、前記支持脚から側方に突出する連結材と、を備える正面視略門型形状を呈し、
前記レールユニットが、長尺の基台と、前記基台上に設置したレール材と、を備え、
前記連結材が、前記連結材を高さ方向に連通する第１連結孔を備え、
前記基台が、前記基台を高さ方向に連通する第２連結孔を備え、
前記連結手段が、ネジ溝を有する連結バーと、前記連結バーに螺着可能なナットと、を備え、
前記連結バーを、前記第１連結孔と前記第２連結孔に連通し、ナットを螺着して、前記支持脚と前記基台を連結することによって、前記架台ユニット及び前記レールユニットの荷重を、前記圧入ユニットによる杭の圧入の反力に利用可能に構成したことを特徴とする、
杭圧入装置。
【請求項2】
前記圧入ユニットを、前記反力架台の底面に付設したことを特徴とする、請求項１に記載の杭圧入装置。
【請求項3】
前記連結材が、前記支持脚の両側から側方に突出することを特徴とする、請求項１に記載の杭圧入装置。
【請求項4】
請求項１乃至３のいずれか一項に記載の杭圧入装置を用いる杭圧入方法であって、前記架台ユニットを前記レールユニットに沿って移動させる移動工程と、
前記連結手段によって前記架台ユニットと前記レールユニットを連結する連結工程と、
前記架台ユニット及び前記レールユニットの荷重を反力に利用して、前記圧入ユニットによって杭を地中に圧入する圧入工程と、
前記連結手段による前記架台ユニットと前記レールユニットの連結を解除する解除工程と、を備えることを特徴とする、
杭圧入方法。
【請求項5】
前記連結工程において、前記レールユニット上に固定した複数の輪止材で前記架台ユニットを前後に挟むことで、前記架台ユニットの水平方向の移動を規制することを特徴とする、請求項４に記載の杭圧入方法。
【請求項6】
前記圧入工程において、地中に圧入した下方の分割杭の上端部に、上方の分割杭の下端部を接続することで、杭長を延長しながら圧入することを特徴とする、請求項４に記載の杭圧入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
杭圧入装置及び杭圧入方法に関し、特に狭隘な敷地や低空頭の環境でも精度よくかつ容易に施工可能な杭圧入装置及び杭圧入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
支持力不足の軟弱地盤に建物や構造物を構築する場合、基礎の安定性を確保するため、従来から鋼管杭工法が広く使用されている。鋼管杭工法では、通常小口径の構造用炭素鋼製の鋼管杭を使用し、施工機械によって鋼管杭を地盤に回転圧入させることで、鋼管杭の先端を地盤深部の支持層に到達させ、鋼管杭の先端支持力及び周面摩擦力によって基礎の安定性を確保する。
特許文献１には、複数の支持爪で鋼管杭を把持することで、鋼管杭にクランプ加工を施すことなく支持爪で把持して回転圧入する鋼管杭圧入装置が開示されている。
特許文献１には、複数の支持爪で鋼管杭を把持することで、鋼管杭にクランプ加工を施すことなく支持爪で把持して回転圧入する鋼管杭圧入装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０００－０６４２８２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には以下のような問題点があった。
＜１＞装置が大型であるため、都市部や住宅地などの狭隘な施工エリアで奥行きや幅が十分でない場合、作業半径が不足するため作業が困難である。
＜２＞杭を装置の上方に立設して施工するため、上空に橋梁や高圧線等の障害物が存在する低空頭の環境では、高さ不足で施工できない場合がある。
＜３＞多数の杭を直線状の配列で圧入する場合であっても、移動の度に装置を旋回させて位置決めする必要があるため、施工効率が悪く、施工精度が低い。
＜４＞動力に内燃機関を利用するため、排出ガスが二酸化炭素（ＣＯ２）や窒素酸化物（ＮＯｘ）を含み、地球環境に負荷を与える。また、回転圧入時に振動と騒音が生じるため、特に住宅地では近隣住民に負担を与える。
＜１＞装置が大型であるため、都市部や住宅地などの狭隘な施工エリアで奥行きや幅が十分でない場合、作業半径が不足するため作業が困難である。
＜２＞杭を装置の上方に立設して施工するため、上空に橋梁や高圧線等の障害物が存在する低空頭の環境では、高さ不足で施工できない場合がある。
＜３＞多数の杭を直線状の配列で圧入する場合であっても、移動の度に装置を旋回させて位置決めする必要があるため、施工効率が悪く、施工精度が低い。
＜４＞動力に内燃機関を利用するため、排出ガスが二酸化炭素（ＣＯ２）や窒素酸化物（ＮＯｘ）を含み、地球環境に負荷を与える。また、回転圧入時に振動と騒音が生じるため、特に住宅地では近隣住民に負担を与える。
【0005】
本発明の目的は、以上のような問題点を解決できる杭圧入装置及び杭圧入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の杭圧入装置は、略平行に配置した長尺状の２本のレールユニットと、レールユニットに沿って移動可能にレールユニット上に搭載した架台ユニットと、架台ユニットの下部に下向きに付設した圧入ユニットと、架台ユニットとレールユニットを連結可能な連結手段と、を備え、架台ユニットとレールユニットを連結することによって、架台ユニット及びレールユニットの荷重を、圧入ユニットによる杭の圧入の反力に利用可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明の杭圧入装置は、架台ユニットが、反力架台と、反力架台を支持する複数の支持脚と、支持脚の下部に設けた移動輪と、を備える正面視略門型形状を呈し、圧入ユニットを、反力架台の底面に付設していてもよい。
【0008】
本発明の杭圧入装置は、レールユニットが、長尺の基台と、基台上に設置したレール材と、を備え、連結手段が、支持脚と基台を連結していてもよい。
【0009】
本発明の杭圧入装置は、架台ユニットが、支持脚から側方に突出する連結材を備え、連結材が、連結材を高さ方向に連通する第１連結孔を備え、基台が、基台を高さ方向に連通する第２連結孔を備え、連結手段が、ネジ溝を有する連結バーと、連結バーに螺着可能なナットと、を備え、連結バーを、第１連結孔と第２連結孔に連通し、ナットを螺着することで、支持脚と基台を連結していてもよい。
【0010】
本発明の杭圧入装置は、連結材が、支持脚の両側から側方に突出していてもよい。
【0011】
本発明の杭圧入方法は、杭圧入装置を用い、架台ユニットをレールユニットに沿って移動させる移動工程と、連結手段によって架台ユニットとレールユニットを連結する連結工程と、架台ユニット及びレールユニットの荷重を反力に利用して、圧入ユニットによって杭を地中に圧入する圧入工程と、連結手段による架台ユニットとレールユニットの連結を解除する解除工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の杭圧入方法は、連結工程において、レールユニット上に固定した複数の輪止材で架台ユニットを前後に挟むことで、架台ユニットの水平方向の移動を規制してもよい。
【0013】
本発明の杭圧入方法は、圧入工程において、地中に圧入した下方の分割杭の上端部に、上方の分割杭の下端部を接続することで、杭長を延長しながら圧入してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の杭圧入装置及び杭圧入方法は、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
＜１＞レールユニット上を水平移動しながら杭を圧入する構成であるため、レールユニットを敷地の長手方向に配することで、奥行きや幅が十分でない狭隘な敷地でも容易に施工できる。
＜２＞架台ユニットとレールユニットを反力に、杭を架台ユニットの底部から下方に向かって圧入する構成であるため、橋梁や高圧線等の障害物が存在する低空頭の環境でも支障なく施工できる。
＜３＞レールユニットをガイドに水平移動することで、多数の杭を精度よく連続圧入することができる。
＜４＞圧入時に二酸化炭素等のガスを排出せず、振動と騒音をほとんど発生させないため、地球環境や近隣環境に優しい。
＜１＞レールユニット上を水平移動しながら杭を圧入する構成であるため、レールユニットを敷地の長手方向に配することで、奥行きや幅が十分でない狭隘な敷地でも容易に施工できる。
＜２＞架台ユニットとレールユニットを反力に、杭を架台ユニットの底部から下方に向かって圧入する構成であるため、橋梁や高圧線等の障害物が存在する低空頭の環境でも支障なく施工できる。
＜３＞レールユニットをガイドに水平移動することで、多数の杭を精度よく連続圧入することができる。
＜４＞圧入時に二酸化炭素等のガスを排出せず、振動と騒音をほとんど発生させないため、地球環境や近隣環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】杭圧入装置の説明図
【図2】架台ユニットの説明図
【図3】連結材と連結手段の説明図
【図4】杭圧入方法の説明図
【図5A】移動工程の説明図
【図5B】連結工程の説明図
【図5C】圧入工程の説明図
【図5D】解除工程の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の杭圧入装置及び杭圧入方法について詳細に説明する。なお本発明において「長さ」「幅」「高さ」「側方」「上」「下」等の方向性用語は、レールユニットの延在方向を長さ方向とし、レールユニットの並列方向を幅方向とした各方向を意味する。
【実施例1】
【0017】
[杭圧入装置]
＜１＞全体の構成（図１）
本発明の杭圧入装置１は、施工エリア内を移動しつつ地中に杭Ｐを圧入する装置である。
杭圧入装置１は、架台ユニット１０と、レールユニット２０と、圧入ユニット３０と、連結手段４０と、を少なくとも備える。詳細には、略平行に配置した２本のレールユニット２０上に架台ユニット１０を搭載し、架台ユニット１０の下部に圧入ユニット３０を下向きに付設する。連結手段４０は、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結し又は連結を解除する。
架台ユニット１０の移動時には、連結手段４０の連結を解除する。
圧入ユニット３０による杭Ｐの圧入時には、連結手段４０によって架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する。これによって、架台ユニット１０とレールユニット２０の荷重を杭Ｐ圧入の反力に利用する。
＜１＞全体の構成（図１）
本発明の杭圧入装置１は、施工エリア内を移動しつつ地中に杭Ｐを圧入する装置である。
杭圧入装置１は、架台ユニット１０と、レールユニット２０と、圧入ユニット３０と、連結手段４０と、を少なくとも備える。詳細には、略平行に配置した２本のレールユニット２０上に架台ユニット１０を搭載し、架台ユニット１０の下部に圧入ユニット３０を下向きに付設する。連結手段４０は、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結し又は連結を解除する。
架台ユニット１０の移動時には、連結手段４０の連結を解除する。
圧入ユニット３０による杭Ｐの圧入時には、連結手段４０によって架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する。これによって、架台ユニット１０とレールユニット２０の荷重を杭Ｐ圧入の反力に利用する。
【0018】
＜２＞架台ユニット（図２）
架台ユニット１０は、移動式の架台である。
本例では架台ユニット１０が、反力架台１１と、複数の支持脚１２と、複数の移動輪１３と、複数の連結材１４と、を備える。
詳細には、例えば反力架台１１の両側を片側３本ずつ計６本の支持脚１２で支持して正面視略門型のやぐら構造を構築し、反力架台１１と支持脚１２の間と、隣り合う支持脚１２の間をブレース材（不図示）で補強する。支持脚１２の中間部に連結材１４を付設する。支持脚１２の下部に移動輪１３を付設する。また、架台ユニット１０の重量を増やすため、反力架台１１の上に敷き鉄板や形鋼等のウェイト材１５を搭載してもよい。
なお、架台ユニット１０の構造は上記に限らず、例えば、支持脚１２の本数は４本又は８本以上であってもよい。要は、レールユニット２０上を移動でき、連結手段４０によってレールユニット２０と連結でき、かつ圧入ユニット３０による杭Ｐの反力として利用できる構造であればよい。
架台ユニット１０は、移動式の架台である。
本例では架台ユニット１０が、反力架台１１と、複数の支持脚１２と、複数の移動輪１３と、複数の連結材１４と、を備える。
詳細には、例えば反力架台１１の両側を片側３本ずつ計６本の支持脚１２で支持して正面視略門型のやぐら構造を構築し、反力架台１１と支持脚１２の間と、隣り合う支持脚１２の間をブレース材（不図示）で補強する。支持脚１２の中間部に連結材１４を付設する。支持脚１２の下部に移動輪１３を付設する。また、架台ユニット１０の重量を増やすため、反力架台１１の上に敷き鉄板や形鋼等のウェイト材１５を搭載してもよい。
なお、架台ユニット１０の構造は上記に限らず、例えば、支持脚１２の本数は４本又は８本以上であってもよい。要は、レールユニット２０上を移動でき、連結手段４０によってレールユニット２０と連結でき、かつ圧入ユニット３０による杭Ｐの反力として利用できる構造であればよい。
【0019】
＜２．１＞反力架台
反力架台１１は、架台ユニット１０の上部構造である。
本例では反力架台１１が、形鋼からなる複数の梁材１１ａと形鋼からなる複数の桁材１１ｂを格子状に組んでなる。形鋼は強度が強く重量が大きいため、圧入の反力部材として特に好適である。
詳細には、例えば幅方向に並列配置した２本の桁材１１ｂ（下段）の上部に、５本の梁材１１ａ（中段）を長さ方向に並列配置し、５本の梁材１１ａの上部に５本の桁材１１ｂ（上段）を幅方向に並列配置し、各部材を相互に連結する。
本例では、反力架台１１を現場で形鋼から組み立てることができるため、大型の完成品を工場から現場へ搬入する必要がなく、搬送コストが安価である。
反力架台１１は、架台ユニット１０の上部構造である。
本例では反力架台１１が、形鋼からなる複数の梁材１１ａと形鋼からなる複数の桁材１１ｂを格子状に組んでなる。形鋼は強度が強く重量が大きいため、圧入の反力部材として特に好適である。
詳細には、例えば幅方向に並列配置した２本の桁材１１ｂ（下段）の上部に、５本の梁材１１ａ（中段）を長さ方向に並列配置し、５本の梁材１１ａの上部に５本の桁材１１ｂ（上段）を幅方向に並列配置し、各部材を相互に連結する。
本例では、反力架台１１を現場で形鋼から組み立てることができるため、大型の完成品を工場から現場へ搬入する必要がなく、搬送コストが安価である。
【0020】
＜２．２＞支持脚
支持脚１２は、反力架台１１を支持する部材である。
本例では支持脚１２が、複数の形鋼を高さ方向に連結してなり、上部部材と下部部材の間にサポートジャッキ等の高さ調整具１２ａを介挿している。
支持脚１２の上部を反力架台１１における下段の桁材１１ｂと連結する。
支持脚１２の中間部に連結材１４を付設する。
支持脚１２の下部に移動輪１３を付設する。
支持脚１２は、反力架台１１を支持する部材である。
本例では支持脚１２が、複数の形鋼を高さ方向に連結してなり、上部部材と下部部材の間にサポートジャッキ等の高さ調整具１２ａを介挿している。
支持脚１２の上部を反力架台１１における下段の桁材１１ｂと連結する。
支持脚１２の中間部に連結材１４を付設する。
支持脚１２の下部に移動輪１３を付設する。
【0021】
＜２．３＞連結材（図３）
連結材１４は、連結手段４０と連結するための部材である。
本例では連結材１４として、フランジ側を上方に向けたチャンネル鋼材を採用し、支持脚１２の上部部材の内部に連結材１４を幅方向に連通し、連結材１４の両端を支持脚１２の両側から突出させる。
連結材１４の両端に、連結材１４を高さ方向に連通する第１連結孔１４ａを設ける。第１連結孔１４ａの内径は、後述する連結バー４１を挿通可能な径とする。
なお連結材１４の構造は上記に限らず、例えば支持脚１２と別部材でなく、支持脚１２の構造の一部としてもよい。また、支持脚１２ではなく反力架台１１や移動輪１３に設けてもよい。
連結材１４は、連結手段４０と連結するための部材である。
本例では連結材１４として、フランジ側を上方に向けたチャンネル鋼材を採用し、支持脚１２の上部部材の内部に連結材１４を幅方向に連通し、連結材１４の両端を支持脚１２の両側から突出させる。
連結材１４の両端に、連結材１４を高さ方向に連通する第１連結孔１４ａを設ける。第１連結孔１４ａの内径は、後述する連結バー４１を挿通可能な径とする。
なお連結材１４の構造は上記に限らず、例えば支持脚１２と別部材でなく、支持脚１２の構造の一部としてもよい。また、支持脚１２ではなく反力架台１１や移動輪１３に設けてもよい。
【0022】
＜３＞レールユニット
レールユニット２０は、架台ユニット１０の移動をガイドするユニットである。
本例ではレールユニット２０が、長尺の基台２１と、基台２１上に設置したレール材２２と、を備える。詳細には、形鋼からなる基台２１の上面に、断面略Ｉ字形状の鋼製レールを溶接して構成する。
基台２１のフランジには、基台２１を高さ方向に連通する第２連結孔２１ａを設ける。第２連結孔２１ａの内径は、後述する連結バー４１を挿通可能な径とする。
レールユニット２０は、架台ユニット１０の移動をガイドするユニットである。
本例ではレールユニット２０が、長尺の基台２１と、基台２１上に設置したレール材２２と、を備える。詳細には、形鋼からなる基台２１の上面に、断面略Ｉ字形状の鋼製レールを溶接して構成する。
基台２１のフランジには、基台２１を高さ方向に連通する第２連結孔２１ａを設ける。第２連結孔２１ａの内径は、後述する連結バー４１を挿通可能な径とする。
【0023】
＜４＞圧入ユニット
圧入ユニット３０は、杭Ｐを圧入するためのユニットである。
本例では圧入ユニット３０が、梁材１１ａの底面から下向きに設置したシリンダ３１と、シリンダ３１内から下方に伸縮可能なロッド３２と、を備える油圧ジャッキからなる。
本例では２本の梁材１１ａの底面に各２本、計４本の圧入ユニット３０を付設する。ただし、圧入ユニット３０の数や配置は上記に限らない。
圧入ユニット３０は、杭Ｐを圧入するためのユニットである。
本例では圧入ユニット３０が、梁材１１ａの底面から下向きに設置したシリンダ３１と、シリンダ３１内から下方に伸縮可能なロッド３２と、を備える油圧ジャッキからなる。
本例では２本の梁材１１ａの底面に各２本、計４本の圧入ユニット３０を付設する。ただし、圧入ユニット３０の数や配置は上記に限らない。
【0024】
＜５＞連結手段（図３）
連結手段４０は、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する手段である。
本例では連結手段４０が、ネジ溝を有する長尺の連結バー４１と、連結バー４１に螺着可能なナット４２と、の組合せからなる。
連結材１４の第１連結孔１４ａの位置と、基台２１の第２連結孔２１ａの位置を対応させた状態で、連結バー４１を第１連結孔１４ａと第２連結孔２１ａに連通して上下両端にナット４２を螺着することで、支持脚１２と基台２１を連結することができる。
なお、連結手段４０は連結バー４１とナット４２の組合せに限らず、例えば支持脚１２と基台２１に係合した挟持金具、支持脚１２と基台２１にかけ廻したチェーンとレバーホイストの組み合わせ、支持脚１２と基台２１を連結したワイヤとターンバックルの組み合わせ等であってもよい。要は架台ユニット１０とレールユニット２０を高さ方向に拘束できる手段であればよい。
連結手段４０は、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する手段である。
本例では連結手段４０が、ネジ溝を有する長尺の連結バー４１と、連結バー４１に螺着可能なナット４２と、の組合せからなる。
連結材１４の第１連結孔１４ａの位置と、基台２１の第２連結孔２１ａの位置を対応させた状態で、連結バー４１を第１連結孔１４ａと第２連結孔２１ａに連通して上下両端にナット４２を螺着することで、支持脚１２と基台２１を連結することができる。
なお、連結手段４０は連結バー４１とナット４２の組合せに限らず、例えば支持脚１２と基台２１に係合した挟持金具、支持脚１２と基台２１にかけ廻したチェーンとレバーホイストの組み合わせ、支持脚１２と基台２１を連結したワイヤとターンバックルの組み合わせ等であってもよい。要は架台ユニット１０とレールユニット２０を高さ方向に拘束できる手段であればよい。
【0025】
＜６＞杭圧入方法（図４）
本発明の杭圧入方法は、杭圧入装置１を使用して地中に連続して杭Ｐを圧入する方法である。杭圧入方法は、移動工程Ｓ１と、連結工程Ｓ２と、圧入工程Ｓ３と、解除工程Ｓ４と、を少なくとも備える。なお、以下の説明は前施工サイクルの解除工程Ｓ４が終了した状態から説明する。
本発明の杭圧入方法は、杭圧入装置１を使用して地中に連続して杭Ｐを圧入する方法である。杭圧入方法は、移動工程Ｓ１と、連結工程Ｓ２と、圧入工程Ｓ３と、解除工程Ｓ４と、を少なくとも備える。なお、以下の説明は前施工サイクルの解除工程Ｓ４が終了した状態から説明する。
【0026】
＜６．１＞移動工程（図５Ａ）
移動工程Ｓ１は、架台ユニット１０をレールユニット２０に沿って横引きする工程である。移動工程Ｓ１は例えば以下のように行う。
支持脚１２と基台２１の進行方向側の先端をチェーンで連結し、レバーホイスト等の牽引具でチェーンを巻き取る。チェーンの巻き取りにより、架台ユニット１０が、レールユニット２０を反力にして基台２１の先端側に引き寄せられ、レール材２２に沿って先端側に水平移動する。
同様の作業を繰り返し、圧入ユニット３０の位置が杭Ｐの次の圧入位置に達するまで架台ユニット１０を横引きする。なお、架台ユニット１０の横引きはレバーホイストに限らず、電動ウィンチや油圧ジャッキ等によってもよい。
移動工程Ｓ１は、架台ユニット１０をレールユニット２０に沿って横引きする工程である。移動工程Ｓ１は例えば以下のように行う。
支持脚１２と基台２１の進行方向側の先端をチェーンで連結し、レバーホイスト等の牽引具でチェーンを巻き取る。チェーンの巻き取りにより、架台ユニット１０が、レールユニット２０を反力にして基台２１の先端側に引き寄せられ、レール材２２に沿って先端側に水平移動する。
同様の作業を繰り返し、圧入ユニット３０の位置が杭Ｐの次の圧入位置に達するまで架台ユニット１０を横引きする。なお、架台ユニット１０の横引きはレバーホイストに限らず、電動ウィンチや油圧ジャッキ等によってもよい。
【0027】
＜６．２＞連結工程（図５Ｂ）
連結工程Ｓ２は、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する工程である。連結工程Ｓ２は例えば以下のように行う。
上端付近にナット４２を螺着した連結バー４１を、連結材１４の上方から第１連結孔１４ａ内に落とし込み、下端を基台２１の第２連結孔２１ａに挿通する。第２連結孔２１ａより下方に突出した連結バー４１の下端にナット４２を螺着し、支持脚１２と基台２１を連結する。
同様の作業を全ての支持脚１２に繰り返すことで、架台ユニット１０をレールユニット２０に固定する。
また、本例では架台ユニット１０の前後において、レール材２１上に輪止材２３を設置してボルトで固定することで、架台ユニット１０を前後から輪止材２３で挟んで固定を強化する。
連結工程Ｓ２は、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する工程である。連結工程Ｓ２は例えば以下のように行う。
上端付近にナット４２を螺着した連結バー４１を、連結材１４の上方から第１連結孔１４ａ内に落とし込み、下端を基台２１の第２連結孔２１ａに挿通する。第２連結孔２１ａより下方に突出した連結バー４１の下端にナット４２を螺着し、支持脚１２と基台２１を連結する。
同様の作業を全ての支持脚１２に繰り返すことで、架台ユニット１０をレールユニット２０に固定する。
また、本例では架台ユニット１０の前後において、レール材２１上に輪止材２３を設置してボルトで固定することで、架台ユニット１０を前後から輪止材２３で挟んで固定を強化する。
【0028】
＜６．３＞圧入工程（図５Ｃ）
圧入工程Ｓ３は、圧入ユニット３０で地中に杭Ｐを圧入する工程である。圧入工程Ｓ３は例えば以下のように行う。
支持脚１２の高さ調整具１２ａを操作して、反力架台１１を水平調整する。
地盤上の打設位置に杭Ｐを立設し、圧入ユニット３０のロッド３２を伸長して、ロッド３２の先端を杭Ｐの頭部に接触させる。
圧入ユニット３０を操作して、油圧でロッド３２を押し出し、杭Ｐの先端を地中に貫入する。この際、圧入の反力で架台ユニット１０が圧入ユニット３０に押し上げられるが、架台ユニット１０とレールユニット２０の荷重によって浮き上がりを防止する。
本例では、杭Ｐを、全長を複数に分割した分割杭の組み合わせから構成する。
詳細には、まず圧入ユニット３０によって第１の分割杭Ｐ１を所定深さまで圧入後、第１の分割杭Ｐ１の上端部に第２の分割杭Ｐ２の下端部を当接し、接続部を全周溶接して第１の分割杭Ｐ１と第２の分割杭Ｐ２を高さ方向に接続する。
続いて、圧入ユニット３０によって第２の分割杭Ｐ２の頭部を支圧することで、第２の分割杭Ｐ２を介して第１の分割杭Ｐ１の先端を地中に圧入する。このようにして、地中に複数の分割杭の全長からなる杭Ｐを構築する。
圧入工程Ｓ３は、圧入ユニット３０で地中に杭Ｐを圧入する工程である。圧入工程Ｓ３は例えば以下のように行う。
支持脚１２の高さ調整具１２ａを操作して、反力架台１１を水平調整する。
地盤上の打設位置に杭Ｐを立設し、圧入ユニット３０のロッド３２を伸長して、ロッド３２の先端を杭Ｐの頭部に接触させる。
圧入ユニット３０を操作して、油圧でロッド３２を押し出し、杭Ｐの先端を地中に貫入する。この際、圧入の反力で架台ユニット１０が圧入ユニット３０に押し上げられるが、架台ユニット１０とレールユニット２０の荷重によって浮き上がりを防止する。
本例では、杭Ｐを、全長を複数に分割した分割杭の組み合わせから構成する。
詳細には、まず圧入ユニット３０によって第１の分割杭Ｐ１を所定深さまで圧入後、第１の分割杭Ｐ１の上端部に第２の分割杭Ｐ２の下端部を当接し、接続部を全周溶接して第１の分割杭Ｐ１と第２の分割杭Ｐ２を高さ方向に接続する。
続いて、圧入ユニット３０によって第２の分割杭Ｐ２の頭部を支圧することで、第２の分割杭Ｐ２を介して第１の分割杭Ｐ１の先端を地中に圧入する。このようにして、地中に複数の分割杭の全長からなる杭Ｐを構築する。
【0029】
＜６．４＞解除工程（図５Ｄ）
解除工程Ｓ４は、架台ユニット１０とレールユニット２０の連結を解除する工程である。解除工程Ｓ４は例えば以下のように行う。
連結バー４１の下端に螺着しているナット４２を取り外し、基台２１の第２連結孔２１ａと連結材１４の第１連結孔１４ａから、連結バー４１を上方に引き抜く。
同様の作業を全ての支持脚１２に繰り返すことで、架台ユニット１０とレールユニット２０の固定を解除する。
続いて、レール材２１に固定した輪止材２３のボルトを緩めて取り外すことで、架台ユニット１０がレール材２１に沿って移動可能となる。
解除工程Ｓ４は、架台ユニット１０とレールユニット２０の連結を解除する工程である。解除工程Ｓ４は例えば以下のように行う。
連結バー４１の下端に螺着しているナット４２を取り外し、基台２１の第２連結孔２１ａと連結材１４の第１連結孔１４ａから、連結バー４１を上方に引き抜く。
同様の作業を全ての支持脚１２に繰り返すことで、架台ユニット１０とレールユニット２０の固定を解除する。
続いて、レール材２１に固定した輪止材２３のボルトを緩めて取り外すことで、架台ユニット１０がレール材２１に沿って移動可能となる。
【符号の説明】
【0030】
１ 杭圧入装置
１０ 架台ユニット
１１ 反力架台
１１ａ 梁材
１１ｂ 桁材
１２ 支持脚
１２ａ 高さ調整具
１３ 移動輪
１４ 連結材
１４ａ 第１連結孔
１５ ウェイト材
２０ レールユニット
２１ 基台
２１ａ 第２連結孔
２２ レール材
２３ 輪止材
３０ 圧入ユニット
３１ シリンダ
３２ ロッド
４０ 連結手段
４１ 連結バー
４２ ナット
Ｐ 杭
Ｓ１ 移動工程
Ｓ２ 連結工程
Ｓ３ 圧入工程
Ｓ４ 解除工程
１０ 架台ユニット
１１ 反力架台
１１ａ 梁材
１１ｂ 桁材
１２ 支持脚
１２ａ 高さ調整具
１３ 移動輪
１４ 連結材
１４ａ 第１連結孔
１５ ウェイト材
２０ レールユニット
２１ 基台
２１ａ 第２連結孔
２２ レール材
２３ 輪止材
３０ 圧入ユニット
３１ シリンダ
３２ ロッド
４０ 連結手段
４１ 連結バー
４２ ナット
Ｐ 杭
Ｓ１ 移動工程
Ｓ２ 連結工程
Ｓ３ 圧入工程
Ｓ４ 解除工程
【要約】
【課題】狭隘な敷地や低空頭の環境でも精度よくかつ容易に施工可能な杭圧入装置及び杭圧入方法を提供する。
【解決手段】本発明の杭圧入装置１は、架台ユニット１０と、２本のレールユニット２０と、圧入ユニット３０と、連結手段４０と、を備え、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結することによって、架台ユニット１０及びレールユニット２０の荷重を、圧入ユニット４０による杭Ｐの圧入の反力に利用可能に構成したことを特徴とする。本発明の杭圧入方法は、架台ユニット１０をレールユニット２０に沿って移動させる移動工程Ｓ１と、連結手段４０によって架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する連結工程Ｓ２と、架台ユニット１０及びレールユニット２０の荷重を反力に利用して、圧入ユニット３０によって杭Ｐを地中に圧入する圧入工程Ｓ３と、連結手段４０による架台ユニット１０とレールユニット２０の連結を解除する解除工程Ｓ４と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図１
【解決手段】本発明の杭圧入装置１は、架台ユニット１０と、２本のレールユニット２０と、圧入ユニット３０と、連結手段４０と、を備え、架台ユニット１０とレールユニット２０を連結することによって、架台ユニット１０及びレールユニット２０の荷重を、圧入ユニット４０による杭Ｐの圧入の反力に利用可能に構成したことを特徴とする。本発明の杭圧入方法は、架台ユニット１０をレールユニット２０に沿って移動させる移動工程Ｓ１と、連結手段４０によって架台ユニット１０とレールユニット２０を連結する連結工程Ｓ２と、架台ユニット１０及びレールユニット２０の荷重を反力に利用して、圧入ユニット３０によって杭Ｐを地中に圧入する圧入工程Ｓ３と、連結手段４０による架台ユニット１０とレールユニット２０の連結を解除する解除工程Ｓ４と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図１
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
