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特許7566400電極タブ-電極リード溶接部の溶接品質検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電極タブ-電極リード溶接部の溶接品質検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/536 20210101AFI20241007BHJP
【FI】
H01M50/536
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022549185
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2021007801
(87)【国際公開番号】W WO2022055085
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0116258
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン・ホ・ベ
(72)【発明者】
【氏名】フン・ブム・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ファ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】チャ・フン・ク
(72)【発明者】
【氏名】ス・テク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ミン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ソク・ベク
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-103691(JP,A)
【文献】特開2000-221016(JP,A)
【文献】特開2008-145252(JP,A)
【文献】特開2013-165054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ型リチウム二次電池の電極タブ-電極リード溶接部の溶接品質を検査する方法であって、
ビジョン検査装置で溶接部の溶接痕を認識するビジョン検査ステップと、
前記認識された溶接痕のサイズを測定する測定ステップと、
前記測定されたサイズと基準値を比較して弱溶接、過溶接及び正常溶接のうちの一つとして判断する判断ステップとを含み、
前記測定ステップは、前記溶接痕の対角線の長さを測定することを含
前記判断ステップは、測定された前記対角線の長さと基準値とを比較して、基準値を下回る場合には弱溶接に、基準値を上回る場合には過溶接、基準値に該当する場合には正常溶接として判断することを含む、溶接品質検査方法。
【請求項2】
前記溶接が超音波溶接またはレーザー溶接方法である、請求項1に記載の溶接品質検査方法。
【請求項3】
前記ビジョン検査ステップは、前記溶接部の電極リード面をビジョン検査する、請求項1または2に記載の溶接品質検査方法。
【請求項4】
前記測定ステップは、前記溶接痕の面積を測定することをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の溶接品質検査方法。
【請求項5】
前記基準値は、溶接ホーンのピッチに応じた溶接品質の相関関係データから得られたものである、請求項2に記載の溶接品質検査方法。
【請求項6】
前記判断ステップは、溶接痕のサイズの平均値が基準値より小さい場合には弱溶接、基準値より大きい場合には過溶接として判断する、請求項1から5のいずれか一項に記載の溶接品質検査方法。
【請求項7】
前記測定ステップは、溶接部の上/下/左/右の各第1行に存在する圧点を除いた残りの圧点に対してサイズを測定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の溶接品質検査方法。
【請求項8】
前記判断ステップにより正常溶接として判断された個体を対象に引張強度検査を行うことを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の溶接品質検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年09月10日付の韓国特許出願第10-2020-0116258号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極タブと電極リードの溶接部における弱溶接、過溶接及び正常溶接の可否を判別する溶接品質検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源としての二次電池に対する需要が急激に増加しており、そのような二次電池の中でもエネルギー密度と作動電位を示し、サイクル寿命が長く、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化されて、広く使われている。
【0004】
リチウム二次電池は、電流集電体上に活物質がそれぞれ塗布されている正極と負極の間に多孔性の分離膜が介在された電極組立体にリチウム塩を含む非水系電解質が含浸されている構造からなっている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、外装材ケースの形状によってセルアセンブリが金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、セルアセンブリがアルミニウムラミネートシートのパウチケースに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類される。
【0006】
パウチ型リチウム二次電池は、製造コストが安くて、エネルギー密度が高く、直列または並列の連結を通じて大容量の電池パックを構成しやすいという長所がある。そのため、最近の電気自動車やハイブリッド自動車の電力源として脚光を浴びている。このようなパウチ型リチウム二次電池は、板状からなる電極リードが接続されたセルアセンブリがパウチケースに電解液と共に密封された構造を有する。電極リードの一部はパウチケースの外部に露出され、露出された電極リードは二次電池が装着される装置に電気的に連結されるか、二次電池の相互を電気的に連結するのに使用される。
【0007】
パウチ型リチウム二次電池は、電極組立体と、電極組立体から延長されている複数の電極タブと、電極タブに溶接されて結合された電極リードと電極組立体を受容するパウチ外装材などに構成される。
【0008】
このような電極タブは電極組立体の各極板から延長され、電極リードは各極板から延長された複数個の電極タブと溶接によってそれぞれ電気的に連結され、パウチ外装材の外部に一部露出された形態で結合される。
【0009】
電極タブと電極リードを溶接するとき、レーザー溶接、抵抗溶接および超音波溶接が使用され得る。ここで、超音波溶接は10kHz~75kHzの超音波振動を発生させ、金属間の超音波振動摩擦熱を通じて金属を溶接する技法である。すなわち、電極タブと電極リードが互いに接触された状態で超音波溶接装置によって超音波振動が加わると、電極タブと電極リードとの接触面で摩擦熱が発生し、このように発生した摩擦熱に起因して電極タブと電極リードが互いに溶接される。
【0010】
電極タブ-電極リード溶接部の溶接品質は、電極タブと電極リードをそれぞれグリッパで引っ張って引張強度を測定することにより判別されたが、それは破壊的検査方法であって、全数検査が不可能であり、間欠的なサンプル検査で溶接品質を確認するしかなかった。
【0011】
韓国登録特許第10-1678662号は、検査領域で溶接ポイントをビジョンで測定した後、溶接ポイントの合計と溶接強度を比較して溶接品質を判別する技術を開示している。しかし、上記の技術は、検査領域が一部の圧点ポイントに限定しているので、信頼性が落ちるという問題がある。したがって、電極タブと電極リード溶接部の溶接品質検査において、検査の信頼性を向上させることができる非破壊検査方法に対する技術開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するために案出されたものであって、パウチ型リチウム二次電池の電極タブと電極リード溶接部の溶接品質を非破壊的に検査する方法を提供しようとする。
【0013】
また、本発明は、手軽い方法で溶接品質が判別し得る検査方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態に係る溶接品質検査方法は、ビジョン検査装置で溶接部の溶接痕を認識するビジョン検査ステップと、上記認識された溶接痕のサイズを測定する測定ステップと、上記測定されたサイズと基準値を比較して弱溶接、過溶接および正常溶接のうちの1つとして判断する判断ステップとを含む。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記測定ステップは、溶接痕の対角線の長さを測定することを含む。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記溶接は、超音波溶接またはレーザー溶接であり得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記ビジョン検査ステップは、溶接部の電極リード面をビジョン検査することであり得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記測定ステップは、溶接痕の面積を測定することをさらに含むことであり得る。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記基準値は、溶接ホーン(horn)のピッチによる溶接品質の相関関係データから得られたものであり得る。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記判断ステップは、溶接痕のサイズの平均値が基準値より小さい場合には弱溶接、基準値より大きい場合には過溶接として判断することであり得る。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記測定ステップは、溶接部の上/下/左/右の各第1行に存在する圧点を除いた残りの圧点に対するサイズを測定することであり得る。
【0022】
本発明の一実施形態において、本発明の溶接品質検査方法は、上記判断ステップによって正常溶接として判断された個体を対象に、引張強度検査をさらに行うことを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、溶接部の溶接痕の対角線の長さの測定値と基準値を比較して、溶接品質を判別するので、手軽い方法で溶接品質を判断し得るという利点がある。
【0024】
本発明は、溶接部リード面をビジョン検査する。そのため、溶接痕の境界を明確に認識し得るので、より正確に品質検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る溶接品質検査方法の手順を示したフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態に係るビジョン検査過程を示した模式図である。
図3】溶接痕のサイズを示す概念図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る溶接品質検査方法の手順を示したフローチャートである。
図5】本発明の実施形態にしたがって溶接痕のサイズをビジョン測定した結果を示した図面である。
図6】本発明の実施形態にしたがって溶接痕のサイズをビジョン測定した結果を示した図面である。
図7】本発明の実施形態にしたがって溶接痕のサイズをビジョン測定した結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語または単語は、通常的であるか、或いは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は彼自身の発明を最良の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されるべきである。
【0027】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、本明細書上に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはそれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、それは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるとすることは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る溶接品質検査方法の手順を示したフローチャートである。図1を参照すると、本発明の溶接品質検査方法は、パウチ型リチウム二次電池の電極タブ-電極リード溶接部の溶接品質を検査する方法であって、ビジョン検査装置で溶接部の溶接痕を認識するビジョン検査ステップ(S10)と、上記認識された溶接痕のサイズを測定する測定ステップ(S20)と、上記測定されたサイズと基準値とを比較して、弱溶接、過溶接および正常溶接のうちの1つに判断する判断ステップ(S30)とを含む。
【0030】
本発明の発明者らは、溶接部の溶接強度が大きいほど、溶接部における溶接痕のサイズが大きいという点に着目して、溶接部の溶接痕のサイズを測定し、溶接品質を判別する本発明を案出することになった。
【0031】
本発明において溶接痕とは、超音波溶接の場合は溶接圧点を、レーザー溶接の場合は溶接ビードを含む概念である。
【0032】
従来の溶接品質検査方法は、電極タブと電極リードをそれぞれグリッパで引っ張って測定する引張強度が唯一の方法であったが、それは電池を破壊する。そのため、サンプルテストのような間欠的検査にとどまった。しかし、本発明の溶集品質検査方法は、溶接部の溶接痕をビジョン検査し、ビジョン検査で認識された溶接痕のサイズを測定して溶接品質を決定するところ、溶接品質検査時に電池が破壊されないので、全数検査が可能という利点がある。
【0033】
上記ビジョン検査ステップ(S10)は、電極タブと電極リードが溶接された溶接部位を、ビジョン検査装置で溶接痕を認識することを含む。上記ビジョン検査装置は、顕微鏡、画像カメラとなり得る。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る超音波溶接部のビジョン検査過程を示した模式図であって、図2を参照すると、ビジョン検査部210は溶接部を撮影するか、或いはスキャンして映像データ又はイメージファイルをデータ入力部220に電送し得る。データ入力部220は、ビジョン検査部210から電送された映像イメージのようなデータを測定部230に伝達し、測定部230はデータ入力部220から受信した映像イメージから圧点の対角線の長さ又は/および圧点の面積を測定してそれをデータ貯蔵部(図示せず)に電送するか、表示部250に電送するか、判断部240に電送し得る。そして、判断部240は、測定部230から電送された圧点のサイズを表象する圧点の対角線の長さ又は/及び圧点の面積測定値と溶接不良の基準となる基準値とを比較して、溶接部の溶接品質が弱溶接なのか、過溶接なのか、正常溶接なのかの可否を判断するのである。
【0035】
図2を参照すると、超音波溶接の場合、電極タブ120が電極リード110の上部に位置した状態で溶接が行われ、上記ビジョン検査部210は、電極タブ120と電極リード110溶接部の上面(Top)と下面(back)のうち、電極リード面である下面(back)をビジョン検査する。それは、溶接部の上面は電極タブ面であるが、電極タブは電極集電体ホイル素材であるので光反射があり、ビジョン検査のときに溶接痕の境界が明確に認識されないためである。その反面、溶接部の下面であるリード面は電極集電体ホイルとは異なり、光反射に起因する境界不明確という問題がない。そこで、本発明の検査方法は、ビジョン検査ステップにおいて、溶接部のリード面に対してビジョン検査を行うことを特徴とする。
【0036】
一方、レーザー溶接の場合には超音波溶接とは逆に、電極タブが電極リードの下部に位置した状態で溶接が行われるので、この場合のビジョン検査部は電極リード溶接部の電極リード面である上面をビジョン検査することになる。
【0037】
上記測定ステップS20は、ビジョン検査によって得た溶接部のイメージから、溶接痕のサイズを測定するステップである。一つの具体例において、圧点のサイズは溶接痕の対角線の長さであり得る。図3は溶接痕のサイズに対する概念図であって、図3を参照すると、溶接部は多数の溶接痕を含んでおり、1つの溶接痕は菱形の形態を有している。菱形の溶接痕は、対向する2つの頂点間の距離である対角線(a、b)の長さで、そのサイズを測ることができる。
【0038】
一具体例において、溶接痕の面積を測定することによって、溶接痕のサイズを測ることもできる。溶接痕の面積を測定する方法は多様であり得るが、一つの好ましい例として、映像イメージのピクセル単位で測定することが挙げられる。映像イメージにおける溶接痕が占める面積に該当するピクセルの個数を認識することによって、自動化可能で均一な測定基準を適用し得るので、好ましい。
【0039】
一具体例において、上記測定ステップは、上記ビジョン検査ステップで得た溶接部の映像イメージから、溶接部の上/下/左/右の各第1行に存在する圧点を除いた残りの圧点に対して、サイズを測定するものであり得る。
【0040】
図6図7は、本発明の実施形態によってビジョン検査部で得た溶接部の映像イメージを示した図面である。図6は正極タブとリード溶接部におけるリード面の映像イメージであり、図7は負極タブとリード溶接部におけるリード面の映像イメージであって、測定部は上記図6及び図7の映像イメージから、多数の溶接痕に対する面積(area)、対角線の長さ(width、height)を測定し、表示部を介してこれらの測定値を表示し得る。そして、検査領域内にある全ての溶接痕に対するサイズを測定することもできるが、上/下/左/右の各第1行に存在する圧点は測定対象から除外する。図6を参照すると、上部の第1行に存在する圧点は、他の圧点と比較して、そのサイズが著しく小さいことが分かる。図7を参照すると、検査領域下部の第1行に存在する圧点が他の圧点と比較して、そのサイズが著しく小さい。したがって、このような溶接痕は、ノイズとなるため、溶接品質検査時に除外する。
【0041】
上記判断ステップS30は、上記測定ステップS20によって測定された溶接痕の対角線の長さおよび/面積と基準値を比較して、溶接部の溶接不良の可否を判断するステップである。上記基準値は、事前に、溶接痕のサイズによる溶接品質結果のデータから、正常溶接を満足する溶接痕のサイズの数値範囲を基準値に設定し、設定された基準値を下回る場合には弱溶接に、基準値を上回る場合には過溶接、基準値に該当する場合には正常溶接として判断する過程を含む。
【0042】
一具体例において、上記基準値は、溶接ホーン(horn)のピッチに応じた溶接品質の相関関係データから得られたものであり得る。ここで、溶接ホーンとは、超音波溶接装置に含まれる部材である。超音波溶接は、ホーン(horn)とアンビル(anvil)溶接体の間に被溶接物を挟んだ状態で超音波振動を通じて接合するが、ホーンのピッチ(pitch)を調節して溶接条件を定めることができる。一つの好ましい例において、上記基準値は、ホーンピッチを基準にして設定され得る。
【0043】
ホーンピッチの長さは、菱形の溶接痕において一つの辺の長さであり、四つの辺の長さが同じであると仮定するとき、ホーンのピッチが0.9mmである場合の対角線の長さは下記のとおりである。
【0044】
【数1】
【0045】
すなわち、0.9mmのピッチを有する溶接ホーンの対角線の長さである1.27mmを基準に、上記長さの70~80%の数値範囲(=0.889mm~1.016mm)を基準値として設定し得る。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態にしたがって、ホーンのピッチに応じた基準値を設定し、設定された基準値によって溶接品質を判別した結果を示している。ホーンピッチが0.9mmであるとき、正常溶接の基準値は0.0889~1.016mmであるため、測定ステップにより測定された溶接痕のサイズが上記数値範囲を下回る場合は弱溶接、上記数値範囲を上回る場合は過溶接として判別した。ホーンピッチが1.2mmの場合も上述したように、基準値を設定して弱溶接、過溶接及び正常溶接を判別し得る。
【0047】
溶接痕の対角線の長さを比較して溶接品質を判断することは、溶接面積を比較して溶接品質を判断する場合と比較して、測定方法がさらに手軽いという利点がある。
【0048】
図5は、溶接痕の対角線の長さを測定して、溶接不良の可否を判別した実施例であるが、溶接痕が占める面積を測定して、溶接不良の可否を判別することもできる。
【0049】
そして、溶接痕は複数であり、溶接痕の各対角線の長さ又は面積がそれぞれ異なるので、多数の溶接痕の対角線の長さ又は面積をそれぞれ測定し、測定された値の平均値を計算し、計算された平均値と基準値を比較して、溶接品質を判別することができる。
【0050】
図4は、本発明の他の実施形態に係る溶接品質検査方法の手順を示すフローチャートである。図4を参照すると、上述した非破壊的溶接品質検査方法を行った後、正常溶接として判断された個体に対して、さらに追加的に引張強度検査を行う過程を含むことができる。本発明の溶接痕のサイズをビジョンで測定し、溶接品質を判断する方法は、溶接痕のサイズから溶接強度を推定するものであるため、実際には弱溶接であっても正常溶接として判断され得る。そこで、さらに追加的に、引張強度検査を行う。引張強度検査は検査方法上、溶接部が破断する破壊検査であるため、正常として判断された全ての個体に対して検査を行うことはできず、間欠的に一部の個体に対して検査を行うことになる。本発明の検査方法は、電池セル全数に対して上述した非破壊的検査を含むので、間欠的引張強度検査を補完し得るという利点がある。
【0051】
一方、本発明の検査方法によって良否判定の対象となる電池セルは、正極、分離膜及び負極が交互に積層された構造の電極組立体が電池ケース内部に収容された構造であり得る。上記正極及び負極はそれぞれ、集電体に電極活物質を含む電極スラリーが塗布された後、乾燥及び圧延過程を経て活物質層が形成された構造である。電池ケースに電極組立体が収容されると、内部に電解液を注入し、密封して電池セルを製造することがきる。
【0052】
ここで、集電体は、正極集電体または負極集電体であり得る。そして、上記電極活物質は正極活物質または負極活物質であり得る。また、上記電極スラリーは、電極活物質の外に導電材及びバインダーをさらに含み得る。
【0053】
本発明において、正極集電体の場合、一般的に3~500μmの厚さで作る。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、高い導電性を有するものであれば特に制限されない。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。集電体は、それの表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など、多様な形態が可能である。
【0054】
負極集電体用シートの場合、一般的に3~500μmの厚さで作られる。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面エカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など、多様な形態で使用され得る。
【0055】
本発明において正極活物質は、電気化学的反応を起こし得る物質であって、リチウム遷移金属酸化物として、2以上の遷移金属を含む。例えば、1以上の遷移金属で置換されたリチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物、1またはそれ以上の遷移金属で置換されたリチウムマンガン酸化物、化学式LiNi1-yy(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B、Cr、ZnまたはGaであり、上記元素のうちの少なくとも1つ以上の元素を含み、0.01≦y≦0.7である)で表現されるリチウムニッケル系酸化物、Li1+zNi1/3Co1/3Mn1/3、Li1+zNi0.4Mn0.4Co0.2などのように、Li1+zNibMncCo1-(b+c+d)d(2-e)e (ここで、-0.5≦z≦0.5、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、0≦d≦0.2、0≦e≦0.2、b+c+d<1であり、M=Al、Mg、Cr、Ti、SiまたはYであり、A=F、PまたはClである)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、化学式Li1+x1-yM'yPO4-zz(ここで、M=遷移金属、好ましくはFe、Mn、CoまたはNi、M'=Al、MgまたはTi、X=F、SまたはNであり、0.5≦x≦+0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1である)で表されるオリビン系リチウム金属ホスフェート等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0056】
負極活物質は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;珪素系合金;スズ系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などが使用し得る。
【0057】
上記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物全体の重量に基づいて、1~30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維、フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。
【0058】
上記バインダーは、活物質と導電材等の結合と集電体に対する結合に助力する成分であって、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準にして、1~30重量%で添加される。そのようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0059】
一方、上記分離膜は、正極と負極との間に介在され、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が用いられる。分離膜の気孔の直径は、一般的に0.01~10μmであり、厚さは一般的に5~300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレン等のオレフィン系ポリマーと、ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが用いられる。
【0060】
電極組立体において、電極の一側には電極タブが形成され、上記電極タブは正極タブまたは負極タブであり得る。上記正極タブ及び負極タブにはそれぞれ、正極リードと負極リードが連結される。上記正極リード及び負極リードは、電池ケースの外部に引出されて、外部と電気的に連結される端子としての役割を行うことになる。このとき、上記正極リードおよび負極リードはそれぞれ、正極タブおよび負極タブと溶接で接合され得る。
【0061】
一方、上記電池ケースは、電池を包装するための外装材として使用されるものであれば特に制限されず、円筒形、角形またはパウチ型が使用され得るが、詳細にはパウチ型電池ケースが使用され得る。パウチ型電池ケースは、通常、アルミニウムラミネートシートからなっており、密封のための内部シーラント層、物質の浸透を防止する金属層、およびケースの最外郭をなす外部樹脂層で構成され得る。以下、電池ケースに対する具体的な内容は、通常の技術者に公知された事項であるため、詳しい説明は省略する。
【0062】
上記電極組立体を構成する電極は、外部機器または他の電池セルとの電気的に連結するために、一側に電極タブが引出される。上記電極タブは正極タブまたは負極タブであり得る。そして、上記正極タブおよび上記負極タブはそれぞれ、電極リードとの溶接を通じて結合される。上記電極リードは電池ケースの外部に引出される。
【0063】
一方、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が用いられたが、このような用語は説明の便宜のためのものであって、対象となるモノの位置や観測者の位置などによって変わり得ることは自明である。
【符号の説明】
【0064】
110:電極リード
120:電極タブ
a、b:溶接痕の対角線の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7