(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】床材用梱包箱、及び床材梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/02 20060101AFI20241007BHJP
B65D 25/30 20060101ALI20241007BHJP
B65D 5/468 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B65D77/02 D
B65D25/30
B65D5/468 100
(21)【出願番号】P 2021073189
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 卓二
(72)【発明者】
【氏名】大西 祐司
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3037493(JP,U)
【文献】特開2019-089558(JP,A)
【文献】特開2016-132499(JP,A)
【文献】特開2019-112100(JP,A)
【文献】特開2007-022539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 25/30
B65D 5/468
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の枚葉状の床材を重ねた積層物を梱包する梱包箱であって、
前記積層物の大面積面を覆う正面板及び背面板と、前記正面板及び背面板の各縁部間に介在され且つ前記積層物の各厚み面を覆う複数の側面板と、を有し、
正面視で前記正面板の左右方向略中央部と左縁部の間の領域に、
正面左持ち手部が形成され
、且つ、正面視で前記正面板の左右方向略中央部と右縁部の間の領域に、正面右持ち手部が形成され、前記正面左持ち手部と前記正面右持ち手部との間の幅が300mm以上700mm以下であり、前記正面左持ち手部と前記正面右持ち手部が、前記正面板の上縁部から下方に300mm以上500mm以下の範囲に設けられており、
背面視で前記背面板の左右方向略中央部と左縁部の間の領域に、
背面左持ち手部が形成され
、且つ、背面視で前記背面板の左右方向略中央部と右縁部の間の領域に、背面右持ち手部が形成されており、前記背面左持ち手部と前記背面右持ち手部との間の幅が300mm以上700mm以下であり、前記背面左持ち手部と前記背面右持ち手部が、前記背面板の上縁部から下方に300mm以上500mm以下の範囲に設けられている、床材用梱包箱。
【請求項2】
上面視で、前記
正面左持ち手部と前記
背面左持ち手部を結んだ仮想線
又は前記正面右持ち手部と前記背面右持ち手部を結んだ仮想線が、前記正面板の上縁部に対して0度を超え30度以下の角度を成している、請求項1に記載の床材用梱包箱。
【請求項3】
前記正面板が、縦長さ及び横長さがそれぞれ独立して800mm以上1200mm以下の矩形状である、請求項1または2に記載の床材用梱包箱。
【請求項4】
前記床材が、縦長さ及び横長さがそれぞれ独立して800mm以上1200mm以下の矩形状である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の床材用梱包箱。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の床材用梱包箱と、その梱包箱に梱包された積層物であって複数の枚葉状の床材を重ねた積層物と、を有し
、
前記梱包箱の厚みが、10mm以上100mm以下であ
り、
前記積層物の重量が、18kg以上40kg以下である、床材梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の枚葉状の床材を一纏めにして梱包する床材用梱包箱などに関する。
【背景技術】
【0002】
床材の形態は、大別して、長尺状と枚葉状とがある。長尺状の床材は、比較的長い長方形状であり、一般に、ロール状に巻いて施工場所に運搬され、そのロールから巻き出して施工面である床面に敷設される。枚葉状の床材は、比較的小面積の正方形状又は長方形状などの所定の平面視形状であり、一般に、複数枚重ねた状態で施工場所に運搬され、1枚ずつ取り出して床面に敷設される。
このような枚葉状の床材としては、タイルカーペット、合成樹脂製床材、合板などの木質床材などが挙げられる。
枚葉状の床材は、その複数を積み重ねて段ボール箱などの梱包箱に梱包した床材梱包体の状態で運搬される。このような床材梱包体は、特許文献1などに開示される縦置き型と、特許文献2などに開示される平置き型と、に大別される。
例えば、特許文献1には、複数のタイルカーペットを梱包する梱包箱(収納箱)が開示されている。この梱包箱は、上面に提げ手を有する外ケースと、有底箱状の内ケースと、を有する床材梱包体が開示され、この梱包体は、正方形のタイルカーペットの複数枚を重ね合わせて内ケースに収納した状態で、その内ケースを外ケースの側面から内部に引出し状に収納するようになっている。特許文献2には、複数のタイルなどを包着した梱包箱(梱包材)と、前記梱包箱に並設された切れ目と、を有し、前記切れ間の間を手提げ部として使用する床材梱包体が開示されている。
特許文献1及び2のように、梱包箱を用いることにより、複数のタイルカーペットを一纏めにして保管・運搬することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3037493号公報
【文献】実開昭53-050732号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、一般的なタイルカーペットなどの枚葉状の床材は、縦横が300mm~600mmの矩形状であるが、最近、大面積の枚葉状の床材(例えば縦横が1000mmの正方形状のタイルカーペットなど)も市場に提供されるようになっている。このような比較的大面積の床材は、一般的な枚葉状の床材に比して、ダイナミックな柄表現などを表出できる。
しかしながら、前記大面積の床材は、その面積に比例して重量が増すので、その複数枚を梱包箱に梱包した床材梱包体は、その運搬が非常に困難となる。
例えば、上記特許文献1のような提げ手付きの梱包箱に複数の大面積の床材を梱包した場合、提げ手を介して持ち上げ且つ梱包箱の底面が地面に触れないようにしつつ運搬することが困難であり、さらに、運搬中に提げ手が外れるおそれもある。提げ手が外れないようにするためには、提げ手を高強度にする必要があるが、そうすると梱包箱の構造が複雑化し、コストもアップする。一方、提げ手を利用しない場合、床材を梱包した床材梱包体は、大面積であるため、それを腹前にて両手を大きく広げて抱えて運搬することは非常に困難であり、より大面積のものは、もはや1人で運搬することさえできない。同様に、上記特許文献2の床材梱包体の場合、床材が大面積になるほど中央部にある手提げ部に手が届き難くなるので、その梱包体の運搬が困難となる。特に、複数の大面積の床材を梱包した場合、人力での運搬が非常に困難である。
このように従来の床材梱包体は、縦置き型及び平置き型のいずれの場合でも、人力で運搬することが困難である。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、複数の床材を纏めて梱包でき、且つ、それを梱包した状態で人力にて容易に運搬できる床材用梱包箱を提供することである。
本発明の第2の目的は、梱包箱とその箱に纏めて梱包された複数の床材とを有する床材梱包体であって、人力にて容易に運搬できる床材梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の床材用梱包箱は、複数の枚葉状の床材を重ねた積層物を梱包するものであり、前記積層物の大面積面を覆う正面板及び背面板と、前記正面板及び背面板の各縁部間に介在され且つ前記積層物の各厚み面を覆う複数の側面板と、を有し、正面視で前記正面板の左右方向略中央部と左縁部の間の領域に、正面左持ち手部が形成され、且つ、正面視で前記正面板の左右方向略中央部と右縁部の間の領域に、正面右持ち手部が形成され、前記正面左持ち手部と前記正面右持ち手部との間の幅が300mm以上700mm以下であり、前記正面左持ち手部と前記正面右持ち手部が、前記正面板の上縁部から下方に300mm以上500mm以下の範囲に設けられており、背面視で前記背面板の左右方向略中央部と左縁部の間の領域に、背面左持ち手部が形成され、且つ、背面視で前記背面板の左右方向略中央部と右縁部の間の領域に、背面右持ち手部が形成されており、前記背面左持ち手部と前記背面右持ち手部との間の幅が300mm以上700mm以下であり、前記背面左持ち手部と前記背面右持ち手部が、前記背面板の上縁部から下方に300mm以上500mm以下の範囲に設けられている。
【0007】
本発明の好ましい床材用梱包箱は、上面視で、前記正面左持ち手部と前記背面左持ち手部を結んだ仮想線又は前記正面右持ち手部と前記背面右持ち手部を結んだ仮想線が、前記正面板の上縁部に対して0度を超え30度以下の角度を成している。
本発明の好ましい床材用梱包箱は、前記正面板が、縦長さ及び横長さがそれぞれ独立して800mm以上1200mm以下の矩形状である。
本発明の好ましい床材用梱包箱は、前記床材が、縦長さ及び横長さがそれぞれ独立して800mm以上1200mm以下の矩形状である。
【0008】
本発明の別の局面によれば、床材梱包体を提供する。
本発明の床材梱包体は、上記いずれかの床材用梱包箱と、その梱包箱に梱包された積層物であって複数の枚葉状の床材を重ねた積層物と、を有し、前記梱包箱の厚みが、10mm以上100mm以下であり、前記積層物の重量が、18kg以上40kg以下である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の床材用梱包箱を用いて積層物を梱包することによって得られる床材梱包体は、運搬者の脇に抱えて運搬することができる。このため、本発明の床材用梱包箱を用いた床材梱包体は、人力で容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る床材梱包体を正面側且つ上斜め側から見た斜視図。
【
図2】同床材梱包体を背面側且つ下斜め側から見た斜視図。
【
図8】上面視における各持ち手部の位置関係を説明するための床材梱包体の参考上面図。
【
図11】展開シートから梱包箱を組み立てる過程を示す参考斜視図。
【
図12】各板を粘着テープで接合した床材梱包体を背面側且つ下斜め側から見た斜視図。
【
図13】床材梱包体を右脇に抱えて運搬する状態を示す参考右側面図。
【
図15】床材梱包体を左脇に抱えて運搬する状態を示す参考右側面図。
【
図17】
図17は、第2実施形態の床材用梱包箱の持ち手部の拡大平面図。
【
図18】
図18の(a)及び(b)は、第3実施形態の床材用梱包箱の持ち手部の拡大平面図、
図18の(c)は、第4実施形態の床材用梱包箱の持ち手部の拡大平面図。
【
図19】第5実施形態の床材用梱包箱を形成する展開シートの平面図。
【
図20】第5実施形態の床材梱包体を背面側且つ下斜め側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、「正面視」は、床材用梱包体又は床材梱包体を正面側から背面側に向かって見た状態をいい、「背面視」は、床材用梱包体又は床材梱包体を背面側から正面側に向かって見た状態をいい、「上面視」は、床材用梱包体又は床材梱包体を上側から下側に向かって見た状態をいう。
本明細書において、下限値以上上限値以下の数値範囲が、別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値以上任意の上限値以下」の数値範囲を設定できるものとする。
【0012】
[第1実施形態]
<床材梱包体並びに床材用梱包箱及び積層物>
図1乃至
図6は、本発明の床材梱包体Aを各方面から見た図である。
図1乃至
図6において、床材梱包体Aは、積層物1と、床材用梱包箱2と、を有する。
積層物1は、
図6に示すように、複数の床材11が積み重ねられた、床材11の集合物をいう。
床材11の種類は、特に限定されず、タイルカーペット、合成樹脂製床材、合板などの木質床材などが挙げられる。本発明は、床材11がタイルカーペット又は合成樹脂製床材である場合に好適であり、さらに、タイルカーペットである場合に特に好適である。
前記タイルカーペットは、表面にパイル生地を有する従来公知の床材であり、基布にパイルがタフトされた生機と、前記生機の裏面に設けられたバッキング層と、を有する(図示せず)。前記合成樹脂製床材は、表面に合成樹脂層を有する従来公知の床材であり、例えば、JIS A 5705:2016に規定される床タイル及び床シートを含む(図示せず)。前記木質床材は、表面に木材又は木目化粧材付きの合板を有する従来公知の床材であり、木材又は合板からなる表面層と、必要に応じて設けられる裏面層と、を有する(図示せず)。このような床材11を重ねて積層物1を構成する際には、床材11の表面を保護する観点から、重ねられる2つの床材11の表面側どうしを互いに接触させて積層することが好ましい。
【0013】
床材11の平面視形状は、特に限定されないが、通常、矩形状であり、好ましくは、正方形状である。なお、矩形状は、正方形状又は長方形状を意味する。本明細書において、平面視形状は、床材11、積層物1又は梱包箱2の表面に対して垂直な方向から見たときの形状をいう。
また、本明細書において、矩形状などの形状は、本発明の属する技術分野において許容される範囲の形状を含む。例えば、矩形状は、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。なお、角部が面取りされているとは、角張った部分の角を取り去り、その部分を弧状又はなだらかな鈍角状に形成することをいう。また、正方形は、4辺が厳密に同長である場合のほか、一部の辺が他の辺よりも若干長い場合を含む。
【0014】
床材11は、その形状及び大きさから、表裏の2つの大面積面と、それに比して非常に小面積の複数の厚み面と、を有する。矩形状の床材11については、2つの大面積面と、4つの厚み面と、を有する。なお、厚み面は、端面とも呼ばれ、床材11又は積層物1を側方から見たときに表れる面である。
床材11の大面積面の寸法は、人力で運搬できる程度であり、例えば、平面視矩形状の床材11を基準にして、縦長さ及び横長さがそれぞれ独立して800mm以上であり、好ましくは、900mm以上である。また、平面視矩形状の床材11の寸法の上限値は、例えば、縦長さ及び横長さがそれぞれ独立して1200mm以下であり、好ましくは、1100mm以下である。上限値よりも大きい床材は、運搬時に床材梱包体の底面が地面に接触するおそれがある。
前記のような縦長さ及び横長さの床材を、以下、「大判床材」という。大判床材は、人が両手で抱えて運搬することが困難であるところ、大判床材を梱包することに本発明を適用することが効果的である。
【0015】
積層物1の重量は、人力で運搬できる程度であり、例えば、18kg以上40kg以下であり、好ましくは20kg以上35kg以下であり、より好ましくは22kg以上30kg以下である。
積層物1を構成する大判床材11の枚数は、特に限定されず、前記積層物1の重量から逆算して決定される。つまり、積層物1の重量=大判床材11の枚数×大判床材11の重量であるので、大判床材11の重量と前記積層物1の重量とを考慮して、大判床材11の枚数が決定される。例えば、5.5kg/枚の大判床材11の場合には、4枚乃至7枚の大判床材11を積み重ねることにより、積層物1が構成される。
大判床材11を数枚重ねて構成される前記積層物1は、大判床材11と同様に、表裏の2つの大面積面と、それに比して非常に小面積の複数の厚み面と、を有する。矩形状の大判床材11の複数枚からなる積層物1については、2つの大面積面と、4つの厚み面と、を有する。従って、積層物1の大面積面は、大判床材11の大面積面と同一である。
積層物1の厚み(積層物1の厚み面の寸法)は、特に限定されず、大判床材11の厚みと枚数から定まる。つまり、積層物1の厚み≒大判床材11の枚数×大判床材11の厚みであるので、大判床材11の厚みと枚数から積層物1の厚みは定まる。例えば、積層物1の厚み(積層物1の厚み面の寸法)は、8mm以上98mm以下であり、好ましくは、18mm以上78mm以下であり、より好ましくは、28mm以上68mm以下である。
【0016】
床材用梱包箱2は、積層物1の2つの大面積面を覆う正面板3及び背面板4と、前記正面板3及び背面板4の各縁部間に介在され且つ前記積層物1の各厚み面を覆う複数の側面板5U,…と、を有する。梱包箱2は、後述するように、展開シート(正面板3などの各板部分を象ったシート材)から形成される。
図示例の梱包箱2は、平面視矩形状の積層物1(大判床材11)に適した梱包箱2であり、従って、梱包箱2は、正面板3、背面板4及び4つの側面板5U,…を有する中空直方体であり、その内部に積層物1が収納されている。以下、4つの側面板5U,…をそれぞれ区別する必要がある場合に、正面側から見て上側の側面板を「第1側面板5U」、同右側の側面板を「第2側面板5R」、同下側の側面板を「第3側面板5D」、同左側の側面板を「第4側面板5L」という。
【0017】
梱包箱2は、積層物1がずれない程度に、その内部に積層物1を収納できる。梱包箱2の正面板3及び背面板4は、収納した積層物1の表面及び裏面に接し又は接近し、梱包箱2の各側面板5U,…は、収納した積層物1の各厚み面に接し又は近接する。従って、梱包箱2の内容積は、概ね積層物1の体積に等しいか又は積層物1の体積よりも若干大きい。
【0018】
梱包箱2の正面板3及び背面板4の形状は、積層物1(大判床材11)の大面積面の形状と略同じである。図示例の梱包箱2は、平面視正方形状の積層物1(大判床材11)を収納するものを例示しており、正面板3及び背面板4は、平面視正方形状である。梱包箱2の正面板3及び背面板4の内部寸法は、上記積層物1(大判床材11)の大面積面の寸法と略同じである。
梱包箱2の側面板5U,…の形状は、積層物1(大判床材11)の厚み面の形状と略同じである。梱包箱2の側面板5U,…の内部寸法は、上記積層物1の厚み面の寸法と略同じである。例えば、前記梱包箱2の厚みは、10mm以上100mm以下であり、好ましくは、20mm以上80mm以下であり、より好ましくは、30mm以上70mm以下である。
複数の大判床材11を梱包する梱包箱2は、前記のように大面積でありながら厚みが小さい。このような大面積且つ小厚みの梱包箱2に大判床材11が梱包された床材梱包体Aによれば、運搬者がそれを脇に抱えて運搬できる。
【0019】
第1側面板5Uは、正面板3の上縁部3u及び背面板4の上縁部4uの間に介在され、それらの上縁部3u,4uに接続されている。図示例では、第1側面板5Uは、梱包箱2の上面板を成している。第2側面板5Rは、正面板3の右縁部3r及び背面板4の左縁部4lの間に介在され、前記右縁部3r及び左縁部4lに接続されている。第3側面板5Dは、正面板3の下縁部3d及び背面板4の下縁部4dの間に介在され、それらの下縁部3d,4dに接続されている。図示例では、第3側面板5Dは、梱包箱2の下面板を成している。第4側面板5Lは、正面板3の左縁部3l及び背面板4の右縁部4rの間に介在され、前記左縁部3l及び右縁部4rに接続されている。
なお、本明細書において、「接続」は、対象となる2つの板の縁部が一体的に連設されている場合(例えば、対象となる2つの板が1枚の板状材料で形成され、折り目にて互いの縁部が繋がっている場合)、及び、対象となる2つの板の縁部が一体的に連設されていないが、互いの縁部が接し若しくは接近し又は縁部を含む端領域が互いに重なり合い、概念上、2つの縁部が繋がっているとなされる場合、などを含む。前記折り目としては、押し罫線、ハーフカット線などが挙げられる。
【0020】
正面板3及び背面板4の面内には、それぞれ、少なくとも1つの持ち手部6が形成されている。
例えば、正面板3は、正面視で左右方向略中央部3cと左縁部3lの間の領域に形成された持ち手部6と、正面視で左右方向略中央部3cの領域に形成されたもう1つの持ち手部6と、正面視で左右方向略中央部3cと右縁部3rの間の領域に形成されたもう1つの持ち手部6と、を有する。また、背面板4は、背面視で左右方向略中央部4cと左縁部4lの間の領域に形成された持ち手部6と、背面視で左右方向略中央部4cの領域に形成されたもう1つの持ち手部6と、背面視で左右方向略中央部4cと右縁部4rの間の領域に形成されたもう1つの持ち手部6と、を有する。正面板3の左右方向略中央部3cは、正面板3の左縁部3lと右縁部3rの中点又はその中点近傍を意味し、背面板4の左右方向略中央部4cは、背面板4の左縁部4lと右縁部4rの中点又はその中点近傍を意味する。
以下、これら複数の持ち手部6について共通する事項について説明するときには、これらを総称して「持ち手部6」といい、持ち手部6を区別して説明する必要があるときには、正面板3に形成されたものを順に「正面左持ち手部63L」、「正面中持ち手部63C」、「正面右持ち手部63R」といい、背面板4に形成されたものを順に「背面左持ち手部64L」、「背面中持ち手部64C」、「背面右持ち手部64R」という。
【0021】
図7は、持ち手部6(手で持ち得る部分)を拡大した平面図である。
図1乃至
図7を参照して、本実施形態の持ち手部6は、破断用補助線から構成されている。破断用補助線で区画された範囲79(以下、破断用補助線で区画された範囲を補助線区画範囲79という)を引き出す又は押し込むことにより、正面板3及び背面板4の面内に手を入れる穴部が生じ、その穴部が持ち手部6となる。
前記破断用補助線は、その線を利用して正面板3及び背面板4を構成するシート材を人力で容易に破断できるように、正面板3及び背面板4の面内に形成された線状痕からなる。破断用補助線を利用してその線に沿って又はその線の近傍に沿ってシート材(正面板3及び背面板4)を破断することにより、正面板3及び背面板4の面内に手を入れる穴部が生じる。破断用補助線としては、代表的には、ミシン目線が挙げられる。ミシン目線は、シート材の表裏面を貫通する複数の小孔を有し、その小孔が間隔を開けて並設されることにより、線状を成しているものである。図示例では、破断用補助線としてミシン目線が用いられている。
破断用補助線は、平面視非直線状である。破断用補助線は、両端部を有する非直線状、或いは、無端環状のいずれでもよいが、後述するように、穴部を再封できることから、両端部を有する非直線状であることが好ましい。
【0022】
具体的には、
図7を参照して、破断用補助線は、第1端部71aを含み且つ弧状、屈曲状又は直線状になって下方に延びる第1線部71と、第2端部72aを含み且つ弧状、屈曲状又は直線状になって下方に延びる第2線部72と、前記第1線部71と第2線部72の下端部間を繋ぎ且つ弧状、屈曲状又は直線状になって左右方向に延びる第3線部73と、を有する。図示例では、第1線部71は、弧状(C字状)、第2線部72は、弧状(逆C字状)、第3線部73は、直線状に延びる。
【0023】
必要に応じて、破断用補助線に関連して、起点部75や折り目76などが設けられていてもよい。例えば、
図7などに示すように、破断用補助線の一部分に連続して、起点部75が形成されている。起点部75は、破断用補助線を利用して補助線区画範囲79を引き出すなどの際に、その破断用区画範囲に指先を引っ掛けるために利用される小穴である。起点部75は、シート材(正面板3及び背面板4)の表裏面に貫通する穴であって、少なくとも1本の指先を挿入できる大きさの小穴からなる。起点部75は、例えば、2本以上の指先を挿入できる大きさであってもよいが、梱包箱2内に粉塵などが入り込むことをより少なくする観点から、前記起点部75は可及的に小さいことが好ましい。かかる観点から、起点部75は、1本の指先(例えば、中指)を挿入でき且つ2本以上の指先を同時に挿入することが困難な大きさに形成されている。
【0024】
起点部75は、破断用補助線の一部分に実質的に連続した位置に形成されている。起点部75の形成位置は、特に限定されないが、破断用補助線を利用して補助線区画範囲79を容易に引き出すことができることから、起点部75は、破断用補助線の第3線部73の一部分に実質的に連続して形成されていることが好ましい。図示例では、起点部75は、破断用補助線の第3線部73の、左右方向略中央部に実質的に連続して形成されている。
折り目76は、破断用補助線の第1端部71aと第2端部72aを繋ぐように、両端部間において直線状、弧状又は屈曲状に延びて形成される。図示例では、折り目76は、第1端部71aと第2端部72aの間に直線状に延在されている。なお、各図において、折り曲げる前の折り目を一点鎖線で示している。
折り目76としては、押し罫線、ハーフカット線などが挙げられる。
【0025】
図3を参照して、正面中持ち手部63Cは、正面板3の左右方略向中央部3cを含む中央領域に設けられている。換言すると、正面板3の面内に形成される正面中持ち手部63Cは、正面板3の左右方向略中央部3cに重なっている。図示例では、正面中持ち手部63Cの左右方向略中央部が、正面板3の左右方向略中央部3cに一致している。正面中持ち手部63Cの左右方向略中央部は、正面中持ち手部63Cの左端と右端の中点又はその中点近傍を意味する。
【0026】
正面左持ち手部63Lは、正面板3の左右方向略中央部3cと左縁部3lの間の領域(以下、この領域を左領域という)に設けられている。正面左持ち手部63Lは、前記左領域中であればその左右方向位置は特に限定されず、前記左領域の中央部、左寄り又は右寄りのいずれでもよい。安定的に床材梱包体Aを運搬できることから、正面左持ち手部63Lは、前記左領域の中央部に重なる位置又は左寄りの位置に設けられていることが好ましく、さらに、前記左領域の中央部に重なる位置に設けられていることがより好ましい。前記左領域の中央部は、左右方向略中央部3cと左縁部3lの中点をいう。図示例では、正面左持ち手部63Lは、左領域の中央部に重なって設けられている。
【0027】
正面右持ち手部63Rは、正面板3の左右方向略中央部3cと右縁部3rの間の領域(以下、この領域を右領域という)に設けられている。正面右持ち手部63Rは、前記右領域中であればその左右方向位置は特に限定されず、前記右領域の中央部、左寄り又は右寄りのいずれでもよい。安定的に床材梱包体Aを運搬できることから、正面右持ち手部63Rは、前記右領域の中央部に重なる位置又は右寄りの位置に設けられていることが好ましく、さらに、前記右領域の中央部に重なる位置に設けられていることがより好ましい。前記右領域の中央部は、左右方向略中央部3cと右縁部3rの中点をいう。図示例では、正面右持ち手部63Rは、右領域の中央部に重なって設けられている。
具体的な寸法を例示すると、正面左持ち手部63Lの左右方向略中央部と正面右持ち手部63Rの左右方向略中央部との間の幅W1が、300mm以上700mm以下であり、好ましくは400mm以上600mm以下である。また、正面左持ち手部63Lの左右方向略中央部と正面中持ち手部63Cの左右方向略中央部との間の幅W2、及び、正面中持ち手部63Cの左右方向略中央部と正面右持ち手部63Rの左右方向略中央部の間の幅W3が、それぞれ独立して、150mm以上350mm以下であり、好ましくは200mm以上300mm以下である。
【0028】
正面左持ち手部63L、正面中持ち手部63C及び正面右持ち手部63Rの上下方向における位置は、特に限定されないが、後述するように、床材梱包体Aを脇に抱えるようにして運搬し易くする観点から、正面左持ち手部63L、正面中持ち手部63C及び正面右持ち手部63Rは、それぞれ独立して、正面板3の上縁部3uから下方に300mm以上500mm以下の範囲に設けられていることが好ましく、さらに、350mm以上450mm以下の範囲に設けられていることがより好ましい。前記上下方向の位置は、正面左持ち手部63L、正面中持ち手部63C及び正面右持ち手部63Rの各上端を基準とする。
特に、正面左持ち手部63L、正面中持ち手部63C及び正面右持ち手部63Rは、図示例のように、左右方向に直線状に並んで配置されていることが好ましい。
さらに、図示例では、正面左持ち手部63Lと正面右持ち手部63Rは、左右方向略中央部3cを通る上下方向直線(小破線で示す)を対称軸とする線対称の位置に配置されている。
【0029】
図4を参照して、背面中持ち手部64Cは、背面板4の左右方略向中央部4cを含む中央領域に設けられている。換言すると、背面板4の面内に形成される背面中持ち手部64Cは、背面板4の左右方向略中央部4cに重なっている。図示例では、背面中持ち手部64Cの左右方向略中央部が、背面板4の左右方向略中央部4cに一致している。背面中持ち手部64Cの左右方向略中央部は、背面中持ち手部64Cの左端と右端の中点又はその中点近傍を意味する。
【0030】
背面左持ち手部64Lは、背面板4の左右方向略中央部4cと左縁部4lの間の領域(以下、この領域を左領域という)に設けられている。背面左持ち手部64Lは、前記左領域中であればその左右方向位置は特に限定されず、前記左領域の中央部、左寄り又は右寄りのいずれでもよい。安定的に床材梱包体Aを運搬できることから、背面左持ち手部64Lは、前記左領域の中央部に重なる位置又は左寄りの位置に設けられていることが好ましく、さらに、前記左領域の中央部に重なる位置に設けられていることがより好ましい。前記左領域の中央部は、左右方向略中央部4cと左縁部4lの中点をいう。図示例では、背面左持ち手部64Lは、左領域の中央部に重なって設けられている。
【0031】
背面右持ち手部64Rは、背面板4の左右方向略中央部4cと右縁部4rの間の領域(以下、この領域を右領域という)に設けられている。背面右持ち手部64Rは、前記右領域中であればその左右方向位置は特に限定されず、前記右領域の中央部、左寄り又は右寄りのいずれでもよい。安定的に床材梱包体Aを運搬できることから、背面右持ち手部64Rは、前記右領域の中央部に重なる位置又は右寄りの位置に設けられていることが好ましく、さらに、前記右領域の中央部に重なる位置に設けられていることがより好ましい。前記右領域の中央部は、左右方向略中央部4cと右縁部4rの中点をいう。図示例では、背面右持ち手部64Rは、右領域の中央部に重なって設けられている。
具体的な寸法を例示すると、背面左持ち手部64Lの左右方向略中央部と背面右持ち手部64Rの左右方向略中央部との間の幅W4が、300mm以上700mm以下であり、好ましくは400mm以上600mm以下である。また、背面左持ち手部64Lの左右方向略中央部と背面中持ち手部64Cの左右方向略中央部との間の幅W5、及び、背面中持ち手部64Cの左右方向略中央部と背面右持ち手部64Rの左右方向略中央部の間の幅W6が、それぞれ独立して、150mm以上350mm以下であり、好ましくは200mm以上300mm以下である。
【0032】
背面左持ち手部64L、背面中持ち手部64C及び背面右持ち手部64Rの上下方向における位置は、特に限定されないが、後述するように、床材梱包体Aを脇に抱えるようにして運搬し易くする観点から、背面左持ち手部64L、背面中持ち手部64C及び背面右持ち手部64Rは、それぞれ独立して、背面板4の上縁部4uから下方に300mm以上500mm以下の範囲に設けられていることが好ましく、さらに、350mm以上450mm以下の範囲に設けられていることがより好ましい。前記上下方向の位置は、背面左持ち手部64L、背面中持ち手部64C及び背面右持ち手部64Rの各上端を基準とする。
特に、背面左持ち手部64L、背面中持ち手部64C及び背面右持ち手部64Rは、図示例のように、左右方向に直線状に並んで配置されていることが好ましい。
図示例では、背面左持ち手部64L及び背面右持ち手部64Rは、左右方向略中央部4cを通る上下方向直線(小破線で示す)を対称軸とする線対称の位置に配置されている。
【0033】
また、本発明の梱包箱2は、正面板3に設けられた持ち手部6と背面板4に設けられた持ち手部6が次のような位置関係になっているので、床材梱包体Aを脇に抱えるようにして運搬し易くなる。具体的には、
図8を参照して、上面視で、正面左持ち手部63Lと前記背面左持ち手部64Lを結んだ仮想線Xが、正面板3の上縁部3uに対して鋭角である角度αを成すように、前記正面左持ち手部63Lと背面左持ち手部64Lが配置されている。前記角度αは、例えば、0度を超え30度以下であり、好ましくは0度を超え20度以下であり、より好ましくは0度を超え10度以下である。同様に、上面視で、正面右持ち手部63Rと前記背面右持ち手部64Rを結んだ仮想線Yが、正面板3の上縁部3uに対して鋭角である角度βを成すように、前記正面右持ち手部63Rと背面右持ち手部64Rが配置されている。前記角度βは、例えば、0度を超え30度以下であり、好ましくは0度を超え20度以下であり、より好ましくは0度を超え10度以下である。また、上面視で、正面中持ち手部63Cと前記背面中持ち手部64Cを結んだ仮想線(図示せず)が、正面板3の上縁部3uに対して80度以上100度以下の角度を成すように、前記正面中持ち手部63Cと背面中持ち手部64Cが配置されている。なお、
図8の上面図にあっては、各持ち手部6が見えないので、便宜上、正面側及び背面側の空欄に、各持ち手部6の左端及び右端の位置を矢印で指示している。従って、左端を示す矢印と右端を示す矢印の間に、各持ち手部6が存在する。また、
図8において、各仮想線を二点鎖線で示している。各仮想線は、
図8のように、各持ち手部6の左端と右端の中点を基準として、その中点を通って概念的に引かれた直線をいう。
【0034】
具体的な図示例では、正面側から背面側へと透視したときに、正面左持ち手部63Lと背面右持ち手部64Rの略全体が重なり、正面中持ち手部63Cと背面中持ち手部64Cの略全体が重なり、正面右持ち手部63Rと背面左持ち手部64Lの略全体が重なるように、各持ち手部6が配置されている(
図3などを参照)。ただし、対応する持ち手部6の略全体が重なるように配置されている場合に限定されず、正面板3及び背面板4間で対応する持ち手部6が、部分的に重なるように配置されていてもよく、或いは、部分的にも重ならないように配置されていてもよい。前記重ならないように配置される場合としては、正面側から透視して、正面左持ち手部63Lと背面右持ち手部64Rが、上下方向及び/又は左右方向にずれて配置されている場合、正面中持ち手部63Cと背面中持ち手部64Cが上下方向及び/又は左右方向にずれて配置されている場合、正面右持ち手部63Rと背面左持ち手部64Lが、上下方向及び/又は左右方向にずれて配置されている場合が挙げられる。
【0035】
<床材用梱包箱の組み立て>
上記床材用梱包箱2は、通常、所定形状に形成されたシート材を組み立てることによって得られる。
シート材としては、段ボール板、比較的厚みの大きい合成樹脂シートなどを用いることができるが、段ボール板を用いることが好ましい。段ボール板は、紙製でもよく、或いは、合成樹脂製(いわゆるプラスチック段ボール)でもよいが、軽量で強度に優れ、加工性にも優れることから、紙製段ボール板を用いることが好ましい。
図9は、梱包箱2を形成する展開シートBの平面図である。
展開シートBは、正面板3と、正面板3の縁部に一体的に連設された第1乃至第4側面板5U,5R,5D,5Lと、第2側面板5Rの縁部に一体的に連設された第1背面片41と、第4側面板5Lの縁部に一体的に連設された第2背面片42と、を有する。前記第1背面片41及び第2背面片42は、両者が接続されることによって背面板4を形成する。また、大フラップ片81が第1側面板5U及び第3側面板5Dの縁部に一体的に連設され、小フラップ片82が、第1乃至第4側面板5U,5R,5D,5Lの側縁部に一体的に連設されている。大フラップ片81は、積層物1と背面板4の間に介在させるフラップであり、小フラップ片82は、隣接する側面板の間に介在させるフラップである。大フラップ片81及び小フラップ片82は、それぞれ必要に応じて設けられる。
段ボール板は、
図10に示すように、波型の中芯を有するトラス構造を成している。図示例の展開シートBは、
図9に示す矢印X方向が中芯の波の筋方向(巾方向)となっている。梱包箱2を組み立てた際には、この波の筋方向は、梱包箱2の正面板3及び背面板4の上下方向に沿っている。このため、床材梱包体Aを手で持ち上げた際に、持ち手部6を画成する縁が潰れにくくなる。
【0036】
図11(a)に示すように、前記展開シートBの正面板3に、積層物1を載せ、同図(b)に示すように、第1側面板5U及び大フラップ片81並びに第3側面板5D及び大フラップ片81を、積層物1側へ折り曲げ、各小フラップ片82を第1乃至第4側面板5U,5R,5D,5Lと積層物1の厚み面の間に差し込み、同図(c)に示すように、第1背面片41及び第2背面片42を積層物1側へ折り曲げることにより、積層物1が梱包箱2で梱包された床材梱包体Aが得られる。
第1背面片41と第2背面片42の戻りを防止するため、
図12に示すように、少なくとも第1背面片41と第2背面片42を止着手段によって止着する。図示例では、止着手段が片面粘着テープ9(例えば、ガムテープなど)であり、前記粘着テープ9が、第1背面片41の縁部と第2背面片42の縁部を接し又は接近させた状態で、両片の縁部を含む端領域に跨がって貼り付けられている。このようにして粘着テープを介して第1背面片41及び第2背面片42を接続することによって、背面板4が構成される。必要に応じて、前記背面板4と第1側面板5U及び背面板4と第3側面板5Dに跨がって、粘着テープを貼り付けてもよい。止着手段は、粘着テープに限られず、例えば、ステープラー、接着剤などを用いてもよい。
なお、
図1乃至
図6の床材梱包体Aにあっては、止着手段を図示していない。
【0037】
<床材用梱包箱の運搬など>
本発明の床材梱包体A(梱包箱2)は、正面左持ち手部63L及び背面左持ち手部64Lが設けられているので、脇に抱えて運搬することができる。
具体的には、
図13及び
図14に示すように、破断用補助線に関連して設けられた起点部75に指先を入れ、補助線区画範囲79を引き上げて穴部を生じさせ、その穴部である正面左持ち手部63Lに右手を挿入する。同様にして、補助線区画範囲79を引き上げて穴部を生じさせ、その穴部である背面左持ち手部64Lに左手を挿入する。正面左持ち手部63Lは正面板3の左領域に形成され、背面左持ち手部64Lは背面板4の左領域に形成されているので、運搬者の右側で両手を逆V字状に拡げ、正面左持ち手部63L及び背面左持ち手部64Lを各手で把持しつつ、床材梱包体Aを右脇に抱え上げることができる。このため、運搬者の腹前側(進行方向)に床材梱包体Aが存在せず、足をスムースに出すことができる。
特に、正面側から見て、正面左持ち手部63Lと背面左持ち手部64Lは、左右方向略中央部を通る上下方向直線を対称軸とする線対称に配置されているので、梱包体Aの重心が逆V字状に拡げた両手の中間に位置し、右脇で床材梱包体Aを抱え上げて容易に運搬できる。
【0038】
また、上記のように、正面右持ち手部63R及び背面右持ち手部64Rが設けられている場合には、床材梱包体Aを左脇に抱えて運搬することもできる。具体的には、
図15及び
図16に示すように、同様にして補助線区画範囲79を引き上げて穴部を生じさせ、その穴部である正面右持ち手部63Rに右手を挿入する。同様にして、補助線区画範囲79を引き上げて穴部を生じさせ、その穴部である背面右持ち手部64Rに左手を挿入する。正面右持ち手部63Rは正面板3の右領域に形成され、背面右持ち手部64Rは背面板4の右領域に形成されているので、運搬者の左側で両手を逆V字状に拡げ、正面右持ち手部63R及び背面右持ち手部64Rを各手で把持しつつ、床材梱包体Aを左脇に抱え上げることができる。このため、運搬者の腹前側(進行方向)に床材梱包体Aが存在せず、足をスムースに出すことができる。
特に、正面側から見て、正面右持ち手部63Rと背面右持ち手部64Rは、左右方向略中央部を通る上下方向直線を対称軸とする線対称に配置されているので、梱包体Aの重心が逆V字状に拡げた両手の中間に位置し、左脇で床材梱包体Aを抱え上げて容易に運搬できる。
複数の大判床材11からなる積層物1は、大面積面を有し且つ大重量であるため、それを抱えて運搬することは一般的には困難であるが、本発明の床材用梱包箱2を用いることにより、運搬者の脇に抱えるようにして床材梱包体Aを運搬できる。このため、本発明の床材用梱包箱2を用いることにより、積層物1を容易に運搬することができる。
なお、運搬後の床材梱包体Aは、その大面積面を地面などの載置面に載せて保管されるが、正面中持ち手部63C又は背面中持ち手部64Cに片手を掛けて引きずることによって、床材梱包体Aの載置位置を少し変えることができる。
【0039】
タイルカーペットや合成樹脂製床材は柔軟であるため、それらを梱包した梱包体を腹前にて両手で抱えて運搬すると、梱包体が自重により曲がるおそれがある。この点、本発明の床材梱包体Aにあっては、大面積面を鉛直方向と略平行にして運搬できるので、タイルカーペットや合成樹脂製床材を梱包する場合であっても曲がりを防止できる。特に、パイルを有するタイルカーペットはその厚み方向に押圧すると若干厚みが小さくなるため、複数のタイルカーペットを梱包した床材梱包体Aは、持ち手部6に生じさせた穴部に手を入れやすくなる。
なお、
【0040】
[第2実施形態]
上記第1実施形態の持ち手部6は、破断用補助線から構成されているが、例えば、
図17に示すように、持ち手部6が切込み線から構成されていてもよい。切込み線は、シート材の表裏面を貫通する切り目が連続した切断線をいい、同図において実線で表されている。切込み線は、第1端部711aを含み且つ弧状、屈曲状又は直線状になって下方に延びる第1線部711と、第2端部722aを含み且つ弧状、屈曲状又は直線状になって下方に延びる第2線部722と、前記第1線部711と第2線部722の下端部間を繋ぎ且つ弧状、屈曲状又は直線状になって左右方向に延びる第3線部733と、を有する。切込み線で区画された範囲78(以下、切込み線で区画された範囲を切込み線区画範囲78という)を引き出す又は押し込むことにより、正面板3及び背面板4の面内に手を入れる穴部が生じ、その穴部が持ち手部6となる。
また、必要に応じて、折り目76が形成されていてもよい。さらに、必要に応じて、起点部755が設けられていてもよい。第1実施形態の起点部75は、小穴から構成されているが、本実施形態の起点部755は、破断用補助線から構成される。同図に示すように、切込み線(持ち手部6)に連続して、破断用補助線744が形成されている。図示例では、破断用補助線744は、両端部が切込み線に繋がる平面視略弧状である。なお、図示しないが、破断用補助線744は、平面視略角状などの両端部が切込み線に繋がる非直線状であってもよい。この破断用補助線744で囲われた範囲である起点部755を押し込むことにより、指先を梱包箱2内に入れ、切込み線区画範囲78を容易に引き出すことができる。本実施形態の起点部755は小穴ではないので、梱包箱2内に粉塵などが入り込むことを確実に防止できる。
【0041】
[第3実施形態]
上記第1及び第2実施形態の持ち手部6は、第1線部71,711及び第2線部72,722が弧状である場合を図示したが、例えば、
図18(a)に示すように、それらが直線状であってもよい。また、第1及び第2実施形態の持ち手部6に付随する折り目76が、直線状である場合を図示したが、例えば、
図18(b)に示すように、折り目76が、弧状(好ましくは下方に膨らむ弧状)であってもよい。
なお、第1乃至第3実施形態において、持ち手部や起点部を幾つか例示したが、第1乃至第3実施形態の中から一部の構成を幾つか取り出し、それらを組み合わせて持ち手部及び起点部を構成してもよい。
【0042】
[第4実施形態]
さらに、上記第1乃至第3実施形態では、持ち手部6は補助線区画範囲79を引き出す又は押し込むことによって穴部を生じさせるものであったが、例えば、
図18(c)に示すように、持ち手部6が予め穿設された穴部であってもよい。もっとも、上記第1乃至第3実施形態のように破断用補助線又は切込み線を形成し、補助線区画範囲79又は切込み線区画範囲78を利用して穴部を生じさせる場合には、補助線区画範囲79又は切込み線区画範囲78が正面板3及び背面板4に繋がったままなので、持ち手部6に手を挿入して運搬した後、補助線区画範囲79又は切込み線区画範囲78を元に戻すことができる。このため、床材梱包体Aを運搬後に保管する際に、穴部から梱包箱2内に粉塵などが入り込むことを防止できる。
【0043】
[第5実施形態]
上記第1実施形態では、
図9に示すような展開シートBを例示したが、梱包箱2を形成する展開シートは様々な形態のものを用いることができる。
例えば、
図19に示すように、第1背面片41が第1側面板5Uに一体的に連設され且つ第2背面片42が第3側面板5Dに一体的に連設されているような展開シートBを用いてもよい。
図20は、
図19の展開シートBを組み立てて得られる床材梱包体A(梱包箱2)を示している。
また、展開シートBは、1枚のシート材を所定形状に形成したものに限られず、所定形状に形成した2枚以上のシート材を接着剤などを介して接続することによって1つの展開シートを構成してもよい。
【0044】
[第6実施形態]
上記各実施形態では、正面板3に、正面左持ち手部63L、正面中持ち手部63C及び正面右持ち手部63Rが設けられ、背面板4に、背面左持ち手部64L、背面中持ち手部64C及び背面右持ち手部64Rが設けているが、これらの持ち手部のうちの幾つかを省略してもよく、或いは、これら以外の持ち手部6を正面板3及び/又は背面板4に付加してもよい。
例えば、正面板3に正面左持ち手部63Lのみが設けられ、背面板4に背面左持ち手部64Lのみが設けら
れていてもよい(図示せず)。この場合、持ち手部6が、正面板3及び背面板4にそれぞれ1つだけ設けられているので、運搬者が持ち手箇所を間違うおそれがなく、また、梱包箱2の強度も向上する。
また、正面板3に正面左持ち手部63L及び正面右持ち手部63Rのみが設けられ、背面板4に背面左持ち手部64L及び背面右持ち手部64Rのみが設
けられていてもよい(図示せず)。この場合、右利きの運搬者及び左利きの運搬者のいずれでも、
図13内示
図16に示すように、右脇及び左脇に床材梱包体Aを抱えて運搬できる。
また、正面板3に正面左持ち手部63L及び正面中持ち手部63Cのみが設けられ、背面板4に背面左持ち手部64L及び背面中持ち手部64Cのみが設
けられていてもよい(図示せず)。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0046】
K7ライナー、Aフルートの紙製段ボール板を、
図9に示すような展開シートBに裁断し、1000mm角のタイルカーペットを4枚積み重ねて梱包することにより、
図1乃至
図6に示すような床材梱包体を作製した。前記4枚のタイルカーペットからなる積層物の重量は、23.7kgで、その積層物の厚みは、約35mmであった。この床材梱包体の梱包箱には、正面左持ち手部63L、正面中持ち手部63C、正面右持ち手部63R、背面左持ち手部64L、背面中持ち手部64C及び背面右持ち手部64Rが形成されており、その幅W1及び幅W4は、いずれも500mm、幅W2、幅W3、幅W5及び幅W6は、いずれも250mmであった。また、各持ち手部63L,63C,63R,64L,64C,64Rは、いずれも、正面板3の上縁部3u又は背面板4の上縁部4uから下方に400mmの位置に配置した。なお、各持ち手部63L,63C,63R,64L,64C,64Rは、いずれも、片手の親指を除く四指を丁度挿入できる大きさの穴部を形成できるものである。
【0047】
[運搬性の評価]
右利きの成人の男女合計10名が、それぞれ持ち手の位置を変えて床材梱包体を両手で持ち上げ、その状態で20m直線移動したときの運搬のし易さを評価した。
運搬方法(1):正面左持ち手部63Lに右手を入れ且つ背面左持ち手部64Lに左手を入れて持ち上げ運搬したときには(
図13及び
図14参照)、10名とも、『非常に持ち運びし易く且つ疲れない』と評価した。
運搬方法(2):正面右持ち手部63Rに右手を入れ且つ背面右持ち手部64Rに左手を入れて持ち上げ運搬したときには(
図15及び
図16参照)、10名とも、『持ち運びし易い』と評価した。
運搬方法(3):正面中持ち手部63Cに右手を入れ且つ背面中持ち手部64Cに左手を入れて持ち上げ運搬したときには、10名とも、『持ち運び可能ではあるが、疲れる』と評価した。
運搬方法(1)は、利き腕である右手が梱包体の外側にくるので、主として右手で梱包体を引き上げることができ、腕のみならず体幹の筋力をも使用できるので、容易に持ち運びができ、長距離を移動しても疲れを感じなかったものと推測される。また、
図13に示すように、右手が移動時の進行方向の後ろ側に位置するので、体全体で右手を引き上げた状態では、進行方向に対して体が少し前傾姿勢をとることができ、歩き易くなったものと推測される。
【符号の説明】
【0048】
A 床材梱包体
1 積層物
11 大判床材
2 床材用梱包箱
3 正面板
3c 正面板の左右方向略中央部
3u 正面板の上縁部
3l 正面板の左縁部
3r 正面板の右縁部
4 背面板
4c 背面板の左右方向略中央部
4u 背面板の上縁部
4l 背面板の左縁部
4r 背面板の右縁部
63L 正面板の左右方向略中央部と左縁部の間の領域に設けられた持ち手部
63R 正面板の左右方向略中央部と右縁部の間の領域に設けられた持ち手部
64L 背面板の左右方向略中央部と左縁部の間の領域に設けられた持ち手部
64R 背面板の左右方向略中央部と右縁部の間の領域に設けられた持ち手部