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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/02 20060101AFI20241007BHJP
   F23D 14/66 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F23L15/02
F23D14/66 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024019100
(22)【出願日】2024-02-13
【審査請求日】2024-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】浜村 英樹
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-105515(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02207229(GB,A)
【文献】特開2008-232474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/02
F23D 14/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体に第1給排口と第2給排口とが設けられ、高温ガスを前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、高温ガスの熱を前記の蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後におけるガスを前記の第2給排口を通して排気させる一方、低温ガスを前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって低温ガスを加熱させ、加熱されたガスを前記の第1給排口を通して排気させる蓄熱ユニットにおいて、前記の蓄熱材収容体を、第1直立部と第2直立部の下部を連結部により連結させた凹型状に形成し、前記の第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設け、前記の第1直立部、第2直立部及び連結部の内部に蓄熱材を収容させ、前記の第1直立部の断面積を、前記の第2直立部の断面積よりも大きくしたことを特徴とする蓄熱ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄熱ユニットにおいて、前記の連結部の断面積が、前記の第1直立部及び第2直立部の断面積よりも小さくなっていることを特徴とする蓄熱ユニット。
【請求項3】
蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体に第1給排口と第2給排口とが設けられ、高温ガスを前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、高温ガスの熱を前記の蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後におけるガスを前記の第2給排口を通して排気させる一方、低温ガスを前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって低温ガスを加熱させ、加熱されたガスを前記の第1給排口を通して排気させる蓄熱ユニットにおいて、前記の蓄熱材収容体を、第1直立部と第2直立部の下部を連結部により連結させた凹型状に形成し、前記の第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設け、前記の第1直立部及び第2直立部の内部に蓄熱材を収容させる一方、前記の連結部と第1直立部及び第2直立部との間にそれぞれ通気性を有する抑止部材を設けて、前記の連結部の内部に蓄熱材を収容させないようにし、前記の第1直立部の断面積を、前記の第2直立部の断面積よりも大きくしたことを特徴とする蓄熱ユニット。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載の蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備において、炉内において燃料を燃焼された後の高温ガスである燃焼排ガスを、第1案内管により前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導き、燃焼排ガスの熱を蓄熱材収容体内に収容された蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後における前記の燃焼排ガスを前記の第2給排口から第2案内管を通して排気させる蓄熱動作を行う一方、低温ガスである燃焼用空気を、第2案内管により前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導き、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって前記の燃焼用空気を加熱させ、加熱された燃焼用空気を前記の第1給排口から前記の第1案内管を通して炉内に導き、加熱された燃焼用空気を燃料と混合させて炉内で燃焼させる燃焼動作を行うことを特徴とする蓄熱式燃焼設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体に第1給排口と第2給排口とが設けられ、高温ガスを前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、高温ガスの熱を前記の蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後におけるガスを前記の第2給排口を通して排気させる一方、低温ガスを前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって低温ガスを加熱させ、加熱されたガスを前記の第1給排口を通して排気させるようにした蓄熱ユニット及びこのような蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備に関するものである。特に、前記の蓄熱ユニットにおいて、蓄熱材収容体の高さが高くなったり、蓄熱材収容体の横方向の長さが長くなったりすることがなく、また粒状やボール状の蓄熱材を用いた場合に、粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体内から勝手にこぼれ出ないようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、蓄熱式燃焼設備においては、一般に、特許文献1~5に示されるように、蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体に第1給排口と第2給排口とを設け、高温ガスを前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、高温ガスの熱を前記の蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後におけるガスを前記の第2給排口を通して排気させる一方、低温ガスを前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって低温ガスを加熱させ、加熱されたガスを前記の第1給排口を通して排気させるようにした蓄熱ユニットが用いられている。
【0003】
そして、このような蓄熱ユニットにおいては、前記の蓄熱材収容体として、蓄熱材を上下方向に収容させるようにした縦型の蓄熱材収容体や、蓄熱材を横方向に収容させるようにした横型の蓄熱材収容体が使用されている。
【0004】
しかし、前記の縦型の蓄熱材収容体においては縦方向の長さが長くなる一方、横型の蓄熱材収容体においては横方向の長さが長くなったり、配管が水平方向に配置されるため飛び出して邪魔になったりし、蓄熱材収容体の設置場所が制限されるという問題があった。
【0005】
また、前記の蓄熱材に粒状やボール状の蓄熱材を用いた場合、粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体内からこぼれ出ないようにするため、前記の縦型の蓄熱材収容体においては、粒状やボール状の蓄熱材がこぼれ出るのを防止するグレーチング等の通気性を有する抑止部材を蓄熱材収容体内の下部に設けることが必要になり、また前記の横型の蓄熱材収容体においては、粒状やボール状の蓄熱材がこぼれ出るのを防止するグレーチング等の通気性を有する抑止部材を蓄熱材収容体内の両側に設けることが必要になり、蓄熱材の全重量が下部や両側の抑止部材にかかるため、高温状態と相まって抑止部材が変形しやすくなる。また蓄熱材に蓄熱された熱によって抑止部材が変形した場合は隙間が開いてしまって、粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体内から外(下方や側方)にこぼれだしてしまう。それを阻止するためには抑止部材の強度を上げる必要があり、部品のサイズが大きくなり材質も高級になってコストが高くつく。また、変形した抑止部材を交換するには操業を止める必要があり、生産性が悪くなり、交換作業にも手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-170748号公報
【文献】特許第5450869号公報
【文献】特許第5795552号公報
【文献】特許第5782094号公報
【文献】特許第5785240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体に第1給排口と第2給排口とが設けられ、高温ガスを前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、高温ガスの熱を前記の蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後におけるガスを前記の第2給排口を通して排気させる一方、低温ガスを前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって低温ガスを加熱させ、加熱されたガスを前記の第1給排口を通して排気させるようにした蓄熱ユニット及びこのような蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0008】
特に、本発明においては、前記のような蓄熱ユニットにおいて、蓄熱材収容体の高さが高くなったり、蓄熱材収容体の横方向の長さが長くなったりして、蓄熱材収容体の設置場所が制限されるということがなく、また粒状やボール状の蓄熱材を用いた場合にも、粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体内からこぼれ出ないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1の蓄熱ユニットにおいては、前記のような課題を解決するため、蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体に第1給排口と第2給排口とが設けられ、高温ガスを前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、高温ガスの熱を前記の蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後におけるガスを前記の第2給排口を通して排気させる一方、低温ガスを前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって低温ガスを加熱させ、加熱されたガスを前記の第1給排口を通して排気させる蓄熱ユニットにおいて、前記の蓄熱材収容体を、第1直立部と第2直立部の下部を連結部により連結させた凹型状に形成し、前記の第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設け、前記の第1直立部、第2直立部及び連結部の内部に蓄熱材を収容させ、前記の第1直立部の断面積を、前記の第2直立部の断面積よりも大きくした
【0010】
そして、本発明の第1の蓄熱ユニットにおいては、前記のように蓄熱材収容体を、第1直立部と第2直立部の下部を連結部により連結させた凹型状に形成し、第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設けるようにしたため、従来の縦型の蓄熱材収容体のように縦方向の長さが長くなったり、横型の蓄熱材収容体のように横方向の長さが長くなったりせず、配管が上方に配置できるようになるので水平方向に飛び出すことがなく邪魔になったりせず、蓄熱材収容体の設置場所が制限されるということがなくなる。また、前記の第1給排口を第1直立部の上に設けると共に、第2給排口を第2直立部の上に設けているため、蓄熱材に粒状やボール状の蓄熱材を用いた場合にも、下部や両側で保持するための通気性を有する抑止部材が不要となるため、熱変形などで抑止部材の隙間が開いて粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体内からこぼれ出るということがなくなる。
【0011】
そして、本発明の第1の蓄熱ユニットにおいては、前記の連結部の断面積を、前記の第1直立部及び第2直立部の断面積よりも小さくすることが好ましい。このように、連結部の断面積を第1直立部及び第2直立部の断面積よりも小さくすると、前記の第1給排口から第1直立部に導かれた高温ガスが前記の連結部に導かれる場合に、連結部の断面積が小さいため流れに抵抗が生じ、高温ガスが第1直立部内に滞留する時間が長くなり、第1直立部内全体に導かれ、高温ガスによって第1直立部に収容された蓄熱材全体が十分に加熱されるようになる一方、前記の第2給排口から第2直立部に導かれた低温ガスが前記の連結部に導かれる場合も、連結部の断面積が小さいため流れに抵抗が生じ、低温ガスが第2直立部内に滞留する時間が長くなり、第2直立部内全体に導かれ、低温ガスが第2直立部内に収容された蓄熱材に蓄熱された熱によって十分に加熱されるようになる。
【0012】
また、本発明に係る第2の蓄熱ユニットにおいては、蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体に第1給排口と第2給排口とが設けられ、高温ガスを前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、高温ガスの熱を前記の蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後におけるガスを前記の第2給排口を通して排気させる一方、低温ガスを前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導いて、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって低温ガスを加熱させ、加熱されたガスを前記の第1給排口を通して排気させる蓄熱ユニットにおいて、前記の蓄熱材収容体を、第1直立部と第2直立部の下部を連結部により連結させた凹型状に形成し、前記の第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設け、前記の第1直立部及び第2直立部の内部に蓄熱材を収容させる一方、前記の連結部と第1直立部及び第2直立部との間にそれぞれ通気性を有する抑止部材を設けて、前記の連結部の内部に蓄熱材を収容させないようにし、前記の第1直立部の断面積を、前記の第2直立部の断面積よりも大きくした
【0013】
そして、本発明の第2の蓄熱ユニットにおいても、前記のように蓄熱材収容体を、第1直立部と第2直立部の下部を連結部により連結させた凹型状に形成し、第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設けるようにしたため、前記の第1の蓄熱ユニットと同様に、従来の縦型の蓄熱材収容体のように縦方向の長さが長くなったり、横型の蓄熱材収容体のように横方向の長さが長くなったり、配管が邪魔になったりするということがなく、蓄熱材収容体の設置場所が制限されるということがなくなる。ここでは通気性を有する抑止部材を用いるが、抑止部材のグレーチング等が熱変形等で隙間が開いて粒状やボール状の蓄熱材が外にこぼれたとしても蓄熱材収容体内に納まっているので支障は軽減できる。
【0014】
さらに、本発明の第2の蓄熱ユニットにおいては、前記のように前記の第1直立部及び第2直立部の内部に蓄熱材を収容させる一方、前記の連結部と第1直立部及び第2直立部との間にそれぞれ通気性を有する抑止部材を設けて、前記の連結部の内部に蓄熱材を収容させないようにしたため、流れの抵抗が減り、高温ガスが前記の第1給排口から第1直立部に導かれ、第1直立部内に収容された蓄熱材に高温ガスの熱が蓄熱された後は、前記の蓄熱材が収容されていない連結部を通して速やかに第2直立部に導かれ、高温ガスの熱が第2直立部内に収容された蓄熱材にも蓄熱された後、第2給排口から排出される一方、低温ガスが前記の第2給排口から第2直立部に導かれ、第2直立部内に収容された蓄熱材に蓄熱された熱によって加熱された後は、蓄熱材が収容されていない連結部を通して速やかに第1直立部に導かれ、第1直立部内に収容された蓄熱材に蓄熱された熱によってガスがさらに加熱され、このように加熱されたガスが前記の第1給排口から排出されるようになる。このため、前記のように高温ガスや低温ガスの給気や排気を行うために、大型のブロワー等の給排気装置を用いる必要がなくなり、装置コストやランニングコストが低減される。
【0015】
なお、前記の第1の蓄熱ユニットと前期の第2の蓄熱ユニットとは相反する作用効果を生じるが、蓄熱ユニットを使用する場面に応じてどちらにも使い分けができる。
【0016】
また、本発明に係る蓄熱式燃焼設備においては、前記の第1又は第2の蓄熱ユニットを用い、炉内において燃料を燃焼された後の高温ガスである燃焼排ガスを、第1案内管により前記の第1給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導き、燃焼排ガスの熱を蓄熱材収容体内に収容された蓄熱材に蓄熱させ、蓄熱後における前記の燃焼排ガスを前記の第2給排口から第2案内管を通して排気させる蓄熱動作を行う一方、低温ガスである燃焼用空気を、第2案内管により前記の第2給排口を通して前記の蓄熱材収容体内に導き、前記の蓄熱材に蓄熱された熱によって前記の燃焼用空気を加熱させ、加熱された燃焼用空気を前記の第1給排口から前記の第1案内管を通して炉内に導き、加熱された燃焼用空気を燃料と混合させて炉内で燃焼させる燃焼動作を行うようにした。
【0017】
そして、本発明に係る蓄熱式燃焼設備においては、前記の第1の蓄熱ユニット又は第2の蓄熱ユニットを用いるようにしたため、従来の縦型の蓄熱材収容体のように縦方向の長さが長くなったり、横型の蓄熱材収容体のように横方向の長さが長くなったり、配管が水平方向に飛び出して邪魔になったりするということがなく、蓄熱材収容体の設置場所が制限されるということがなくなると共に、蓄熱材に粒状やボール状の蓄熱材を用いた場合においても、粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体からこぼれ出るということがなくなり、蓄熱動作と燃焼動作とを交互に切り換えて、効率の良い燃焼を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における第1及び第2の蓄熱ユニット、これらの蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備においては、蓄熱材収容体を第1直立部と第2直立部の下部が連結部により連結させた凹型状に形成し、第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設けるようにしたため、従来の縦型の蓄熱材収容体のように縦方向の長さが長くなったり、横型の蓄熱材収容体のように横方向の長さが長くなったり蓄熱材収容体の設置場所が制限されるということがなくなり、また、第1給排口を第1直立部の上に設けると共に、第2給排口を第2直立部の上に設けているため、配管が邪魔になったりするということがなく、蓄熱材に粒状やボール状の蓄熱材を用いた場合においても、抑止部材を必要としないので粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体内からこぼれ出るということがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態1に係る蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備において、燃焼用空気からなる低温ガスを、第2案内管を通して第2給排口から蓄熱材収容体内における第2直立部、連結部、第1直立部の順に導いて、これらに収容された蓄熱材に蓄熱された熱により燃焼用空気を加熱させ、加熱された燃焼用空気を第1給排口から第1案内管を通して炉内に導くと共に、燃料供給管から燃料を炉内に供給し、燃料を加熱された燃焼用空気と混合させて炉内で燃焼させる状態を示した概略断面図である。
図2】同実施形態1に係る蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備において、炉内において燃料を燃焼された後の燃焼排ガスからなる高温ガスを、第1案内管を通して第1給排口から蓄熱材収容体内における第1直立部、連結部、第2直立部の順に導いて、これらに収容された蓄熱材に燃焼排ガスの熱を蓄熱させ、蓄熱後の燃焼排ガスを第2給排口から第2案内管を通して排気させる状態を示した概略断面図である。
図3】本発明の実施形態2に係る蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備において、燃焼用空気からなる低温ガスを、第2案内管を通して第2給排口から蓄熱材収容体内における第2直立部、連結部、第1直立部の順に導いて、第2直立部と第1直立部に収容された蓄熱材に蓄熱された熱により燃焼用空気を加熱させ、加熱された燃焼用空気を第1給排口から第1案内管を通して炉内に導くと共に、燃料供給管から燃料を炉内に供給し、燃料を加熱された燃焼用空気と混合させて炉内で燃焼させる状態を示した概略断面図である。
図4】同実施形態2に係る蓄熱ユニットを用いた蓄熱式燃焼設備において、炉内において燃料を燃焼された後の燃焼排ガスからなる高温ガスを、第1案内管を通して第1給排口から蓄熱材収容体内における第1直立部、連結部、第2直立部の順に導いて、第1直立部と第2直立部に収容された蓄熱材に燃焼排ガスの熱を蓄熱させ、蓄熱後の燃焼排ガスを第2給排口から第2案内管を通して排気させる状態を示した概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備は、特に下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、図1及び図2に示すように、蓄熱材収容体10として、第1直立部11と第2直立部12の下部が連結部13により連結されて凹型状に形成されたものを用い、前記の第1直立部11と第2直立部12と連結部13の内部にそれぞれ粒状やボール状の蓄熱材xを収容させ、前記の第1直立部11の上に第1給排口11aを設けると共に、第2直立部12の上に第2給排口12aを設けている。
【0022】
このようにすると、蓄熱材収容体10の縦方向の長さが長くなったり、蓄熱材収容体10の横方向の長さが長くなったり、蓄熱材収容体10の設置場所が制限されるということがなくなると共に、第1給排口11aを第1直立部11の上に設けると共に、第2給排口12aを第2直立部12の上に設けているため、配管が邪魔になったりすることがなく、抑止部材を必要としないので粒状やボール状の蓄熱材xが蓄熱材収容体10内からこぼれ出るということがなくなる。
【0023】
そして、実施形態1における蓄熱式燃焼設備においては、前記の第1直立部11の上に設けられた第1給排口11aと連通する第1案内管14を、炉1の炉壁1aを貫通するように設け、この第1案内管14により前記の蓄熱材収容体10と炉1内とを連通させる一方、前記の第2直立部12の上に設けられた第2給排口12aと連通する第2案内管15を設けている。
【0024】
ここで、実施形態1における蓄熱式燃焼設備においては、図1に示すように、燃焼用空気Airからなる低温ガスを、第2案内管15により前記の第2給排口12aを通して蓄熱材収容体10内に導き、蓄熱材収容体10内における前記の第2直立部12、連結部13、第1直立部11の順に導いて、燃焼用空気Airをこれらに収容されている蓄熱材xに蓄熱されている熱により加熱させ、加熱された燃焼用空気Airを、前記の第1給排口11aから前記の第1案内管14を通して炉1内に導くと共に、炉壁1aを貫通するように設けた燃料供給管21を通して燃料Gを炉1内に導き、前記の加熱された燃焼用空気Airと燃料Gを炉1内で混合させて燃焼させる燃焼動作を行うようにしている。
【0025】
また、前記のようにして燃焼動作を行った後は、図2に示すように、炉1内で燃料Gを燃焼させた後の燃焼排ガスGaからなる高温ガスを、第1案内管14により前記の第1給排口11aを通して蓄熱材収容体10内に導き、蓄熱材収容体10内における前記の第1直立部11、連結部13、第2直立部12の順に導いて、燃焼排ガスGaの熱をこれらに収容されている蓄熱材xに蓄熱させた後、その燃焼排ガスGaを、前記の第2給排口12aから前記の第2案内管15を通して排気させる蓄熱動作を行うようにしている。
【0026】
ここで、実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記の連結部13の断面積S3を、前記の第1直立部11の断面積S1及び第2直立部12の断面積S2よりも小さくしている。
【0027】
このようにすると、前記のように第1給排口11aから第1直立部11に導かれた高温ガスの燃焼排ガスGaが連結部13に導かれる場合に、連結部13の断面積S3が第1直立部11の断面積S1より小さいため、流れに抵抗が生じ燃焼排ガスGaが第1直立部11内に滞留する時間が長くなり、燃焼排ガスGaによって第1直立部11内に収容された蓄熱材x全体が十分に加熱されるようになる。また、第2給排口12aから第2直立部12に導かれたる低温ガスの燃焼用空気Airが連結部13に導かれる場合に、連結部13の断面積S3が第2直立部12の断面積S2より小さいため、流れに抵抗が生じ燃焼用空気Airが第2直立部12内に滞留する時間が長くなり、燃焼用空気Airが第2直立部12内に収容された蓄熱材x全体に蓄熱された熱によって十分に加熱されるようになる。
【0028】
また、実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記の第1直立部11の断面積S1を、前記の第1案内管14の断面積P1よりも大きくすると共に、前記の第2直立部12の断面積S2を、前記の第2案内管15の断面積P2よりも大きくしている。
【0029】
このようにすると、前記の第1案内管14から第1給排口11aを通して導かれる高温ガスの燃焼排ガスGaが第1直立部11内で広がり、第1直立部11内に収容された蓄熱材xの上面全体に広がった状態になって、前記の燃焼排ガスGaが第1直立部11内に導かれ、第1直立部11内に収容された蓄熱材x全体が加熱されるようになる。また、前記の第2案内管15から第2給排口12aを通して導かれる低温ガスの燃焼用空気Airが第2直立部12内で広がり、第2直立部12内に収容された蓄熱材xの上面全体に広がった状態になって、前記の燃焼用空気Airが第2直立部12内に導かれ、第2直立部12内に収容された蓄熱材x全体に蓄熱された熱により加熱されるようになる。
【0030】
また、実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記の第1直立部11の断面積S1を、第2直立部12の断面積S2よりも大きくしている。
【0031】
このようにすると、燃焼用空気Airからなる低温ガスを、蓄熱材収容体10内における第2直立部12、連結部13、第1直立部11の順に導いて、燃焼用空気Airをこれらに収容されている蓄熱材x全体に蓄熱された熱により加熱させる場合に、温度の上昇により燃焼用空気Airの体積が増加しても、加熱された燃焼用空気Airが断面積S1の大きい第1直立部11内を通してスムーズに流れるようになると共に、燃料Gを燃焼させた後の燃焼排ガスGaからなる高温ガスを、蓄熱材収容体10における第1直立部11、連結部13、第2直立部12の順に導いて、燃焼排ガスGaの熱をこれらに収容されている蓄熱材xに蓄熱させる場合においても、燃料Gを燃焼させた後の高温で体積が大きい状態の燃焼排ガスGaが、前記の断面積S1が大きい第1直立部11内を通してスムーズに流れるようになる。
【0032】
(実施形態2)
実施形態2における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においても、図3及び図4に示すように、前記の実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備と同様に、蓄熱材収容体10として、第1直立部11と第2直立部12の下部が連結部13により連結されて凹型状に形成されたものを用い、前記の第1直立部11と第2直立部12とに粒状やボール状の蓄熱材xを収容させ、前記の第1直立部11の上に第1給排口11aを設けると共に、第2直立部12の上に第2給排口12aを設けている。
【0033】
このようにすると、前記の実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備と同様に、蓄熱材収容体10の縦方向の長さが長くなったり、蓄熱材収容体10の横方向の長さが長くなったり、蓄熱材収容体10の設置場所が制限されるということがなくなると共に、第1給排口11aを第1直立部11の上に設けると共に、第2給排口12aを第2直立部12の上に設けているため、配管が邪魔になったりすることがなく、粒状やボール状の蓄熱材xが蓄熱材収容体10内から下方にこぼれ出るということがなくなる。
【0034】
一方、実施形態2における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記の連結部13と前記の第1直立部11との間及び第2直立部12との間に、それぞれグレーチング等の通気性を有する抑止部材16を設けると共に、各抑止部材16をこれらの位置で倒れないように保持させるように、これらの抑止部材16間を突っ張るような固定部材17を設け、前記の連結部13の内部に蓄熱材xを収容させない空間部18を形成している。
【0035】
また、実施形態2における蓄熱式燃焼設備においても、前記の実施形態1における蓄熱式燃焼設備と同様に、前記の第1直立部11の上に設けられた第1給排口11aと連通する第1案内管14を、炉1の炉壁1aを貫通するように設け、この第1案内管14により前記の蓄熱材収容体10と炉1内とを連通させる一方、前記の第2直立部12の上に設けられた第2給排口12aと連通する第2案内管15を設けている。
【0036】
ここで、実施形態2における蓄熱式燃焼設備においては、図3に示すように、燃焼用空気Airからなる低温ガスを、第2案内管15により前記の第2給排口12aを通して蓄熱材収容体10内に導き、蓄熱材収容体10内における前記の第2直立部12、連結部13、第1直立部11の順に導いて、燃焼用空気Airを前記の第2直立部12と第1直立部11とに収容されている蓄熱材xに蓄熱された熱により加熱させ、加熱された燃焼用空気Airを、前記の第1給排口11aから前記の第1案内管14を通して炉1内に導くと共に、炉壁1aを貫通するように設けた燃料供給管21を通して燃料Gを炉1内に導き、前記の加熱された燃焼用空気Airと燃料Gを炉1内で混合させて燃焼させる燃焼動作を行うようにしている。
【0037】
また、前記のようにして燃焼動作を行った後は、図4に示すように、炉1内で燃料Gを燃焼させた後の燃焼排ガスGaからなる高温ガスを、第1案内管14により前記の第1給排口11aを通して蓄熱材収容体10内に導き、蓄熱材収容体10内における前記の第1直立部11、連結部13、第2直立部12の順に導いて、燃焼排ガスGaの熱を前記の第1直立部11と第2直立部12とに収容されている蓄熱材xに蓄熱させた後、蓄熱後における燃焼排ガスGaを、前記の第2給排口12aから前記の第2案内管15を通して排気させる蓄熱動作を行うようにしている。
【0038】
ここで、実施形態2における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記のように第1直立部11との間及び第2直立部12との間の連結部13に蓄熱材xを収容させない空間部18を形成しため流れの抵抗が減り、高温ガスである燃焼排ガスGaが、第1案内管14を通して第1給排口11aから第1直立部11に導かれ、第1直立部11内に収容された蓄熱材xに燃焼排ガスGaの熱が蓄熱された後は、蓄熱材xが収容されていない連結部13の空間部18を通して速やかに第2直立部12に導かれ、燃焼排ガスGaの熱が第2直立部12内に収容された蓄熱材xにも蓄熱された後、第2給排口12aから第2案内管15を通して排気される一方、低温ガスである燃焼用空気Airが、第2案内管15を通して第2給排口12aから第2直立部12に導かれ、第2直立部12内に収容された蓄熱材xに蓄熱された熱によって加熱された後は、蓄熱材xが収容されていない連結部13の空間部18を通して速やかに第1直立部11に導かれ、第1直立部11内に収容された蓄熱材xに蓄熱された熱によって燃焼用空気Airがさらに加熱され、このように加熱された燃焼用空気Airが前記の第1給排口11aから前記の第1案内管14を通して炉1内に導かれて燃焼に使用されるようになる。
【0039】
このため、実施形態2における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記の高温ガスである燃焼排ガスGaや低温ガスである燃焼用空気Airの給気や排気を行うために、大型のブロワー等の給排気装置を用いる必要がなくなり、装置コストやランニングコストが低減される。
【0040】
また、実施形態2における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記の実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備と同様に、前記の第1直立部11の断面積S1を、前記の第1案内管14の断面積P1よりも大きくすると共に、前記の第2直立部12の断面積S2を、前記の第2案内管15の断面積P2よりも大きくしている。
【0041】
このようにすると、前記の実施形態1の場合と同様に、前記の第1案内管14から第1給排口11aを通して導かれる高温ガスの燃焼排ガスGaが第1直立部11内で広がり、第1直立部11内に収容された蓄熱材xの上面全体に広がった状態になって、前記の燃焼排ガスGaが第1直立部11内に導かれ、第1直立部11内に収容された蓄熱材x全体が加熱されるようになる。また、前記の第2案内管15から第2給排口12aを通して導かれる低温ガスの燃焼用空気Airが第2直立部12内で広がり、第2直立部12内に収容された蓄熱材xの上面全体に広がった状態になって、前記の燃焼用空気Airが第2直立部12内に導かれ、第2直立部12内に収容された蓄熱材x全体に蓄熱された熱により加熱されるようになる。
【0042】
さらに、実施形態2における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備においては、前記の実施形態1における蓄熱ユニット及び蓄熱式燃焼設備と同様に、前記の第1直立部11の断面積S1を、第2直立部12の断面積S2よりも大きくしている。
【0043】
このようにすると、前記の実施形態1の場合と同様に、燃焼用空気Airからなる低温ガスを、蓄熱材収容体10内における第2直立部12、連結部13、第1直立部11の順に導いて、燃焼用空気Airをこれらに収容されている蓄熱材xに蓄熱された熱により加熱させる場合に、温度の上昇により燃焼用空気Airの体積が増加しても、加熱された燃焼用空気Airが断面積S1の大きい第1直立部11内を通してスムーズに流れるようになると共に、燃料Gを燃焼させた後の燃焼排ガスGaからなる高温ガスを、蓄熱材収容体10における第1直立部11、連結部13、第2直立部12の順に導いて、燃焼排ガスGaの熱をこれらに収容されている蓄熱材xに蓄熱させる場合においても、燃料Gを燃焼させた後の高温で体積が大きい状態の燃焼排ガスGaが、前記の断面積S1が大きい第1直立部11内を通してスムーズに流れるようになる。
【符号の説明】
【0044】
1 :炉
1a :炉壁
10 :蓄熱材収容体
11 :第1直立部
11a :第1給排口
12 :第2直立部
12a :第2給排口
13 :連結部
14 :第1案内管
15 :第2案内管
16 :抑止部材
17 :固定部材
18 :空間部
21 :燃料供給管
Air :燃焼用空気(低温ガス)
G :燃料
Ga :燃焼排ガス(高温ガス)
P1 :第1案内管の断面積
P2 :第2案内管の断面積
S1 :第1直立部の断面積
S2 :第2直立部の断面積
S3 :連結部の断面積
x :蓄熱材
【要約】
【課題】 蓄熱材を収容させた蓄熱材収容体において、高温ガスの熱を蓄熱材に蓄熱させる一方、低温ガスを蓄熱材に蓄熱された熱により加熱させるにあたり、蓄熱材収容体の高さが高くや横方向の長さが長くならないようすると共に、粒状やボール状の蓄熱材が蓄熱材収容体内からこぼれ出ないようにする。
【解決手段】 蓄熱材xを収容させた蓄熱材収容体10を、第1直立部11と第2直立部12の下部を連結部13により連結させた凹型状に形成し、第1直立部の上に第1給排口を設けると共に、第2直立部の上に第2給排口を設け、少なくとも前記の第1直立部と第2直立部の内部に蓄熱材を収容させた。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4