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▶ 友廣 誠二の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】給排気装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/00 20060101AFI20241007BHJP
   B65D 30/24 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F16K24/00 U
B65D30/24 Z
F16K24/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024047793
(22)【出願日】2024-03-25
【審査請求日】2024-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523083126
【氏名又は名称】友廣 誠二
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(72)【発明者】
【氏名】友廣 誠二
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3195835(JP,U)
【文献】特開2010-132323(JP,A)
【文献】特開2003-034379(JP,A)
【文献】特開2001-233384(JP,A)
【文献】特開2007-259798(JP,A)
【文献】登録実用新案第3042092(JP,U)
【文献】実開平07-035340(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 24/00
B65D 30/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給排気弁用穴が設けられていない密閉可能な収納袋の排気又は給気を可能とする、非通気性の材料からなる給排気装置であって、
前記給排気装置は、前記収納袋に脱着可能に固定される給排気弁と、前記給排気弁の上端開口部をガイドとする、下端に刃を有する穴明け具とを備え、
前記給排気弁は、
略円筒状の弁周壁部の上端部に設けた前記上端開口部、前記弁周壁部の下端部に設けた、前記収納袋の表面側に接する円環状の上フランジ部、並びに、前記弁周壁部の内部に、空気を遮断又は流動させる、弁体及びコイルスプリングを有する弁作動部を内設し、かつ上壁となる弁蓋部を有する弁室を有し、前記収納袋の表面側に着設可能な表面側構造部と、
前記上フランジ部に対向させ、前記収納袋の裏面側に接する円環状の下フランジ部、並びに、前記下フランジ部の半径方向で内側に空気を流動させる空気孔、及び、前記弁室の底面となる弁座を形成した弁座部を有し、前記収納袋の裏面側に着設可能な裏面側構造部とを備え、
前記穴明け具を前記上端開口部に押し込むことにより前記収納袋への、前記表面側構造部と前記裏面側構造部とを固定させる螺合部の直径とほぼ同じ大きさの穴径の給排気弁用穴の加工が可能で、前記表面側構造部と前記裏面側構造部とを螺合により前記収納袋に気密接触かつ脱着可能に固定できることを特徴とする給排気装置。
【請求項2】
給排気弁用穴が設けられていない密閉可能な収納袋の排気又は給気を可能とする、非通気性の材料からなる給排気装置であって、
前記給排気装置は、前記収納袋に脱着可能に固定される給排気弁と、前記給排気弁の上端開口部をガイドとする穴明け具とを備え、
前記給排気弁は、前記収納袋の表面側に着設可能な表面側構造部と、前記収納袋の裏面側に着設可能な裏面側構造部と、を備え、
前記表面側構造部は、
弁室の周壁を形成する弁周壁部と、
前記弁周壁部を前記弁室より上方に延在させた延在部分に設けた、略円筒状の前記穴明け具を嵌入可能な前記上端開口部と、
前記弁室の上壁を形成する、上面に前記穴明け具の下端部が当接可能な平面状の当接面を形成し、弁棒用孔及び空気孔を形成した円板状の弁蓋部と、
前記弁周壁部の下端部に半径方向で外側に設けられ、前記収納袋の表面に気密接触させる円環状の上フランジ部と、を備え、
前記裏面側構造部は、
前記上フランジ部に対向させて前記収納袋の裏面に気密接触させる円環状の下フランジ部と、
前記下フランジ部より半径方向で内側に設けられ、前記弁室の底壁を形成する、内側に空気孔を形成した円環状の弁座部と、を備え、
前記弁座部に押付又は離隔可能な円板状の弁体、前記弁蓋部の下面と前記弁体の上面との間に介装させた、伸長方向に付勢力を有するコイルスプリング、及び、前記弁体に下端部を連結され、前記コイルスプリングの内側に貫入され、前記弁棒用孔を挿通され前記上端開口部から突出可能な弁棒とを有する、前記弁室内に内設される弁作動部と、を備え、
前記穴明け具を前記上端開口部に押し込むことにより前記収納袋への給排気弁用穴加工が可能で、
前記表面側構造部の前記上フランジ部と前記裏面側構造部の前記下フランジ部とは螺合により前記収納袋に気密接触かつ脱着可能に固定でき、円環状の座面部と一体化した部位を螺合により前記座面部が前記弁室の底壁を形成するように配設可能とし、
前記コイルスプリングの付勢力により前記弁体を前記弁座部に押付可能とし、前記上端開口部に嵌入される真空手段の吸引により、又は、前記弁棒を上方に移動させることにより、前記弁体を前記弁座部から離隔可能とすることを特徴とする給排気装置。
【請求項3】
前記弁蓋部の形態が、前記弁周壁部と前記弁蓋部とが一体化された弁蓋第一形態、あるいは、前記弁蓋部が、前記弁周壁部から半径方向で内側に円周方向全周に亘って突設された、前記当接面を形成する円環状で顎状の第一弁蓋部と、円環状の前記第一弁蓋部の下面に当接する、前記弁棒用孔及び前記空気孔を形成した円板状の第二弁蓋部とに分割された弁蓋第二形態であることを特徴とする請求項2に記載の給排気装置。
【請求項4】
少なくとも前記弁座部の下面に、前記弁座部の内周縁から半径方向で外周縁まで連通する溝部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の給排気装置。
【請求項5】
前記穴明け具が、前記上端開口部に嵌入可能な円筒状部位を有し、前記円筒状部位の下端部に、先端が尖った鋭角の三角形の刃を円周方向に全周に亘って複数設け、前記刃は先端にいくほど肉厚を薄くし、前記円筒状部位の上端部に押下げ又は旋回操作を可能とする操作部位を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の給排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の被収納物を出し入れする開口部を封止するチャック部がある収納袋に給排気弁用の穴がなくても、収納袋内を真空状態にすることができ、被収納物が真空状態で収納されている収納袋内を大気圧状態に戻すことができる給排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上蓋、中蓋、下蓋を含み、前記下蓋が真空圧縮袋の内部にあり、前記上蓋が真空圧縮袋の外部にあり、前記中蓋の内部に吸気パイプが設置され、前記吸気パイプの上部が挿入口であり、前記吸気パイプの下部に固定カバーが設置され、前記固定カバーと前記吸気パイプとが内部に配置される固定桶が形成され、前記下蓋の上部に穴凸部が設置され、前記穴凸部の底部に設置されている吸気スペーサが吸気口の上方を覆い、前記下蓋と前記中蓋とが、前記穴凸部が前記固定桶に挿入されて固定・連接され、前記上蓋に穴あけ装置が設置され、前記穴あけ装置の先端が下蓋の前記穴凸部に挿入され、前記下蓋の底部に複数の導通スペーサが設置され、隣接する前記導通スペーサの間に前記吸気口とつながっている前記導通桶が形成される真空圧縮袋の吸気弁が開示されている。
【0003】
特許文献2には、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる2枚の薄厚シートが重ね合わされた状態で、前記薄厚シートの周縁部に被収納物を挿入出可能な開口部を形成した袋状の圧縮収納袋であって、前記圧縮収納袋は、前記開口部を形成した部位の2枚の前記薄厚シートにそれぞれ融着された、前記開口部と同じ長さの凸状部と、前記凸状部を嵌装可能な凹状溝部とを有して前記開口部の封止を可能にする、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなるチャック部と、前記薄厚シートの所定の位置に設けた、空気を流出入可能な孔の周縁部に気密接着で固定した、前記薄厚シートから突出状態で排気又は給気可能な、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる排気・給気弁体部と、を備え、前記排気・給気弁体部は、上端部に半径方向で厚みのある円形状の開口部を形成し、下端部に前記薄厚シートに気密接着した平円環状のフランジ部を有する、略円筒状の円筒状枠体部と、前記円筒状枠体部の内周壁部に、前記薄厚シート表面から離隔した高さで、かつ前記円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に円周方向に沿って一体的に突設された、平面視で円環状の天井部支持部、及び、前記天井部支持部が形成する穴を半径方向で覆う、前記天井部支持部と一体的に形成され円周方向に沿って所定の範囲に切目を設けた天井部を有する弁体部と、を備え、前記弁体部は、半径方向の挟圧により変形させて空気を流動可能に開状態にでき、前記挟圧の解放により元の形状に復帰して空気の流動を遮断可能に閉状態に可変できる圧縮収納袋が開示されている。
【0004】
特許文献3には、収納物を出し入れする開口を開閉するファスナー付きの袋体に取り付けた状態で使用され、前記袋体の内部から外部への空気の流出を可能にしながら、前記袋体の外部から内部への空気の流入を防止する逆流防止機能を有する脱気弁であって、排気孔が中央部又は中央部近傍に形成された底板及び前記底板の端縁から立起する側板からなる基体と、凹凸嵌合部が中央下面に形成されるとともに、排気孔が形成され、前記基体の上端部に取り付けられる蓋体と、前記蓋体の凹凸嵌合部に嵌合する凹凸嵌合部が中央上面に形成された、可撓性を有する円盤状の開閉弁部を有する弁体とを備え、前記蓋体の凹凸嵌合部に前記弁体の凹凸嵌合部を嵌合させ、前記蓋体を前記基体の上端部に取り付けた状態では、前記弁体の開閉弁部が前記底板の排気孔の周囲に上方から当接して弾性変形した状態となり、前記開閉弁部により前記底板の排気孔が塞がれることを脱気弁が開示されている。
【0005】
特許文献4には、外層シートと、マットと、マット内に充填された緩衝体との組み合わせにバルブを有する宅配便用物品梱包袋であって、前記外層シートは、マットの表面保護カバーであり、前記マットは、2つ折りに折曲して少なくとも1面が開放されたホルダーを形成するものであり、マット内には緩衝体が充填され、前記緩衝体は、マット内の空気が抜き取られてマットの容積が減少したときに、ホルダーに格納された物品の形状になじんで充填密度が増大し、物品の表面形状を象って固化し、外部から受ける衝撃を緩和させる機能を有するものであり、前記バルブは、逆止弁と吸気弁との組み合せであり、前記逆止弁は、マット内の脱気に際し、ポンプの吸引力が作用したときに開弁し、脱気後は閉弁してマット内への外気の導入を阻止するものであり、前記吸気弁は、押しボタン操作により開弁し、脱気されたマット内への外気の導入を可能にするものであり、逆止弁と吸気弁とは、マットに取付けられた弁箱内に組み込まれ、弁箱は、ポンプまたはポンプに接続されたホースの吸い口に装着されたカプラーと脱着可能に結合される宅配便用物品梱包袋が開示されている。
【0006】
特許文献5には、上部を開口し下部に可動の底部とを有する円筒状の給排気部と、該給排気部の外側に可撓性を有する連結バンドを介して連結した栓部とから成り、袋体内に空気を注入、排出するための空気栓であって、前記栓部は、前記連結バンドに連結する円板状の頂面部と、該頂面部の裏面に設け封止時に前記給排気部内に挿入する円筒部と、前記頂面部の前記連結バンドからの接続個所に対して前記頂面部から直角方向であって、前記頂面部の表面と平行するように両側に耳状に張り出した一対の摘み片とを備えることを特徴とする空気栓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3195835号公報
【文献】特許第7343726号公報
【文献】実用新案登録第3173542号公報
【文献】特開2010-132323号公報
【文献】特開2017-46949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の考案は、穴あけ装置は中蓋の内部に設けられており、下側に給気スペーサがあるので収納袋に穴を開けることが困難であるという問題があった。また、チャック部で開口部を封止された真空状態で収納物と収納袋とが密着状態のチャック部が指で開けることが極めて困難になるという問題もあった。
【0009】
特許文献2の発明は、指で摘むために排気・給気弁体部を柔らかい材質で製造しなればならないため、製造面で硬めの材質に比較して、三次元プリンターで製造しにくいという問題があった。また、排気・給気弁体部がある収納袋の形態で市場に流通させることができるが、排気・給気弁体部用穴がない収納袋には使用できないので排気・給気弁体部単体で市場に流通させることができないという問題があった。また、収納袋を繰り返し使用できるが、接着で固定している排気・給気弁体部を取り外せないので給排気弁単体では繰り返し使用できないという問題もあった。
【0010】
特許文献3の考案は、袋内の空気を吸いだして真空状態にした後に袋を開封するときに、真空で2枚のシートが密着した部位を開くのは特に指の力が弱い高齢者や子供にとって無理で困難であるという問題があった。この場合にはハサミ等で袋を切断して被収納物を取り出すので袋の再利用ができないという問題があった。また、開口部を封止するチャック部があるが給排気弁用の穴がない収納袋には使用できないという問題があった。
【0011】
特許文献4の発明は、袋内の排気と、空気を抜いた後に空気を給気可能な構造にしているので、袋の再利用ができるが、構造が複雑であるので、高価格になり手軽に活用できないという問題があった。また、開口部を封止するチャック部があるが給排気弁用の穴がない収納袋には使用できないという問題があった。
【0012】
特許文献5の発明は、収納袋内に空気を抜かずに収納した被収納物と収納袋のシートとが密着していない状態で使用する場合には弁部を指で摘めるが、収納袋内に被収納物が収納されて、被収納物と収納袋のシートとが密着状態で使用する場合には、弁部が前記シートにほぼ接するので指で摘まめないので弁部を開にできないという問題があった。また、開口部を封止するチャック部があるが給排気弁用の穴がない収納袋には使用できないという問題があった。
【0013】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、食品等の被収納物を出し入れする開口部を封止するチャック部がある収納袋に給排気弁用の穴がなくても、収納袋内を真空状態にすることができ、被収納物が真空状態で収納されている収納袋を密着したチャック部を指で無理しなくても大気圧状態に戻すことができる給排気装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の給排気装置は、給排気弁用穴が設けられていない密閉可能な収納袋の排気又は給気を可能とする、非通気性の材料からなる給排気装置であって、前記給排気装置は、前記収納袋に脱着可能に固定される給排気弁と、前記給排気弁の上端開口部をガイドとする、下端に刃を有する穴明け具とを備え、前記給排気弁は、略円筒状の弁周壁部の上端部に設けた前記上端開口部、前記弁周壁部の下端部に設けた、前記収納袋の表面側に接する円環状の上フランジ部、並びに、前記弁周壁部の内部に、空気を遮断又は流動させる、弁体及びコイルスプリングを有する弁作動部を内設し、かつ上壁となる弁蓋部を有する弁室を有し、前記収納袋の表面側に着設可能な表面側構造部と、前記上フランジ部に対向させ、前記収納袋の裏面側に接する円環状の下フランジ部、並びに、前記下フランジ部の半径方向で内側に空気を流動させる空気孔、及び、前記弁室の底面となる弁座を形成した弁座部を有し、前記収納袋の裏面側に着設可能な裏面側構造部とを備え、前記穴明け具を前記上端開口部に押し込むことにより前記収納袋への、前記表面側構造部と前記裏面側構造部とを固定させる螺合部の直径とほぼ同じ大きさの穴径の給排気弁用穴加工が可能で、前記表面側構造部と前記裏面側構造部とを螺合により前記収納袋に気密接触かつ脱着可能に固定できることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の給排気装置は、給排気弁用穴が設けられていない密閉可能な収納袋の排気又は給気を可能とする、非通気性の材料からなる給排気装置であって、前記給排気装置は、前記収納袋に脱着可能に固定される給排気弁と、前記給排気弁の上端開口部をガイドとする穴明け具とを備え、前記給排気弁は、前記収納袋の表面側に着設可能な表面側構造部と、前記収納袋の裏面側に着設可能な裏面側構造部と、を備え、前記表面側構造部は、弁室の周壁を形成する弁周壁部と、前記弁周壁部を前記弁室より上方に延在させた延在部分に設けた、略円筒状の前記穴明け具を嵌入可能な前記上端開口部と、前記弁室の上壁を形成する、上面に前記穴明け具の下端部が当接可能な平面状の当接面を形成し、弁棒用孔及び空気孔を形成した円板状の弁蓋部と、前記弁周壁部の下端部に半径方向で外側に設けられ、前記収納袋の表面に気密接触させる円環状の上フランジ部と、を備え、前記裏面側構造部は、前記上フランジ部に対向させて前記収納袋の裏面に気密接触させる円環状の下フランジ部と、前記下フランジ部より半径方向で内側に設けられ、前記弁室の底壁を形成する、内側に空気孔を形成した円環状の弁座部と、を備え、前記弁座部に押付又は離隔可能な円板状の弁体、前記弁蓋部の下面と前記弁体の上面との間に介装させた、伸長方向に付勢力を有するコイルスプリング、及び、前記弁体に下端部を連結され、前記コイルスプリングの内側に貫入され、前記弁棒用孔を挿通され前記上端開口部から突出可能な弁棒とを有する、前記弁室内に内設される弁作動部と、を備え、前記穴明け具を前記上端開口部に押し込むことにより前記収納袋への給排気弁用穴加工が可能で、前記表面側構造部の前記上フランジ部と前記裏面側構造部の前記下フランジ部とは螺合により前記収納袋に気密接触かつ脱着可能に固定でき、円環状の座面部と一体化した部位を螺合により前記座面部が前記弁室の底壁を形成するように配設可能とし、前記コイルスプリングの付勢力により前記弁体を前記弁座部に押付可能とし、前記上端開口部に嵌入される真空手段の吸引により、又は、前記弁棒を上方に移動させることにより、前記弁体を前記弁座部から離隔可能とすることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の給排気装置は、請求項2において、前記弁蓋部の形態が、前記弁周壁部と前記弁蓋部とが一体化された弁蓋第一形態、あるいは、前記弁蓋部が、前記弁周壁部から半径方向で内側に円周方向全周に亘って突設された、前記当接面を形成する円環状で顎状の第一弁蓋部と、円環状の前記第一弁蓋部の下面に当接する、前記弁棒用孔及び前記空気孔を形成した円板状の第二弁蓋部とに分割された弁蓋第二形態であることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の給排気装置は、請求項1又は2において、少なくとも前記弁座部の下面に、前記弁座部の内周縁から半径方向で外周縁まで連通する溝部を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の給排気装置は、請求項1又は2において、前記穴明け具が、前記上端開口部に嵌入可能な円筒状部位を有し、前記円筒状部位の下端部に、先端が尖った鋭角の三角形の刃を円周方向に全周に亘って複数設け、前記刃は先端にいくほど肉厚を薄くし、前記円筒状部位の上端部に押下げ又は旋回操作を可能とする操作部位を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1又は2に記載の給排気装置は、食品等の被収納物を出し入れする開口部を封止するチャック部がある収納袋に給排気弁用の穴がなくても、又は、吸排気弁が取り付けられていなくても、収納袋内を真空状態にすることができ、被収納物が真空状態で収納されている収納袋を密着したチャック部を指でこじあけようと無理しなくても大気圧状態に戻すことができるという効果を奏する。
【0020】
また、収納袋の厚みや材質にかかわらず、食品等の被収納物を出し入れする開口部を封止するチャック部があるが給排気弁穴がない、又は吸排気弁が取り付けられていない収納袋に給排気弁用の穴を開けて収納袋内を真空状態にすることができるという効果を奏する。
【0021】
また、給排気弁用の穴を収納袋のどの部位にも開けることができるので、収納物の大きさや厚みに応じて適切な位置に給排気弁用の穴を開けることができる。
【0022】
前記給排気弁は、収納袋に接着ではなく螺子構造で固定することができるので、繰り返し使用することができるという効果を奏する。
【0023】
前記給排気弁は、指で給排気弁を強く摘まむ必要がないので柔らかい合成樹脂で製造する必要がなくなり、金属や硬質の合成樹脂で製造できるので、三次元プリンターでの製造が容易にできるという効果を奏する。
【0024】
請求項3に記載の給排気装置は、前記弁棒用孔と前記空気孔を有する前記弁蓋部の形態を、製造面の造りやすさやコスト面を考慮して適宜選択できるという効果を奏する。
【0025】
請求項4に記載の給排気装置は、真空にするときであって前記収納袋内に空気がわずかに残っているときに、被収納物と給排気弁の底面との間に空気を吸い出す隙間を確保できるので、前記収納袋内の空気を残さず真空にすることができ、被収納物と給排気弁の底面とが真空により密着状態になったときに、空気を送り込む隙間を確保できるので、真空になっている前記収納袋内に空気を送り込ませることができるという効果を奏する。
【0026】
請求項5に記載の給排気装置は、前記穴明け具が鋭利な刃を有するので、厚みや材質にかかわらず容易に前記収納袋に給排気弁用の穴を開けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の給排気装置の正面視の説明図で、給排気弁と穴明け具の説明図である。
図2図1の中央線における縦断面の説明図で、給排気弁と穴明け具と断面説明図である。
図3図2の状態から給排気弁に穴明け具を押し込んだ状態の断面説明図である。
図4】給排気弁の1形態の説明図で、弁周壁部を分割し、弁蓋部を分割した形態の断面説明図である。
図5】給排気弁の他の形態の説明図で、弁周壁部を分割した形態の断面説明図である。
図6】給排気弁の他の形態の説明図で、弁周壁部を分割し、下フランジ部と弁座部を分割した形態の断面説明図である。
図7】給排気弁の他の形態の説明図で、弁周壁部を分割せず、弁蓋部を分割せず、下フランジ部と弁座部を分割した形態の断面説明図である。
図8】収納袋に固定した、図7に示す給排気弁に、真空手段のホース及び継手を装着し、真空手段により吸引している状態の説明図である。
図9】収納袋に固定した、図7に示す給排気弁に、収納体内を真空にした後に遮断蓋を螺合させて取り付けた状態の説明図である。
図10図7に示す給排気弁を使用して、大気圧の空気を真空状態の収納袋内に送り込む状態の説明図である。
図11図7に示す給排気弁の平面視の説明図である。
図12図7に示す給排気弁の底面視の説明図である。
図13図7に示す給排気弁の構成部品の説明図で、表面側構造部と一部裏面側構造部を有する構成部品の説明図であり、(a)は平面視の説明図で、(b)は正面視の説明図で、(c)は(a)におけるA-A断面の説明図で、(d)は底面視の説明図である。
図14図7に示す給排気弁の構成部品の説明図で、下フランジ部の説明図であり、(a)は平面視の説明図で、(b)は正面視の説明図で、(c)は(a)におけるB-B断面の説明図で、(d)は底面視の説明図である。
図15図7に示す給排気弁の構成部品の説明図で、座面部の説明図であり、(a)は平面視の説明図で、(b)は正面視の説明図で、(c)は(a)におけるC-C断面の説明図で、(d)は底面視の説明図である。
図16】弁作動部の、掴み部やコイルバネの形態を変えた縦断面の説明図で、(a)は掴み部が螺合により弁棒と固定されコイルスプリングの直径が小さい形態の弁作動部の縦断面の説明図で、(b)は掴み部が弁棒の先端部で屈曲された形成コイルスプリングの直径が大きい形態の弁作動部の縦断面の説明図である。
図17図4に示す給排気弁の、弁棒用孔及び空気孔を設けた方の弁蓋部の平面視の説明図である。
図18】穴明け具の説明図で、(a)は正面視の説明図で、(b)は平面視の説明図で、(c)は(a)のE-E断面の刃の部分の説明図である。
図19】収納袋内に図7に示す給排気弁を入れて、給排気弁の上端開口部に向けて穴明け具の押込みが可能になるように穴明け具を収納袋の表面側に置いた状態の説明図である。
図20図17の状態から穴開け具を下方に押し込んで、収納袋に穴を開けた瞬間の説明図である。
図21】吸排気弁用穴がない収納袋の平面視の説明図である。
図22】吸排気弁用穴のない収納袋に穴明け具で吸排気弁用穴を開けた収納袋の説明図である。
図23】吸排気弁用穴を開けた収納袋に、図7に示す給排気弁を固定する直前の状態の説明図である。
図24】吸排気弁用穴を開けた収納袋に、図4に示す給排気弁を固定する直前の状態の説明図である。
図25】収納袋に本発明の給排気弁を取り付けた状態の平面視の説明図である。
図26】収納袋に本発明の給排気弁を取り付けた状態の図23におけるD-D断面の説明図である。
図27】収納袋内に被収納物として魚を収納し真空状態にした状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の給排気装置1は、魚等の食品等の被収納物90を出し入れする開口部を封止するチャック部82がある収納袋80に給排気弁用穴81がなくても、収納袋80内を真空状態にすることができ、被収納物90が真空状態で収納されている収納袋80内を前記チャック部82をこじ開けなくても大気圧状態に戻すことができる給排気装置1である。
【0029】
本発明の給排気装置1は、図21に示すように、給排気弁用穴81が設けられていない密閉可能な収納袋80の排気又は給気を可能とする、非通気性の材料からなる給排気装置1であって、前記給排気装置1は、図1図3に示すように、前記収納袋80に脱着可能に固定される給排気弁2と、前記給排気弁2の上端開口部12をガイドとする、下端に刃41を有する穴明け具3とを備え、前記給排気弁2は、図4図7に示すように、略円筒状の弁周壁部11の上端部に設けた前記上端開口部12、前記弁周壁部11の下端部に設けた、前記収納袋80の表面側に接する円環状の上フランジ部14、並びに、前記弁周壁部11の内部に、空気を遮断又は流動させる、弁体31及びコイルスプリング32を有する弁作動部6を内設した弁室7を有し、前記収納袋80の表面側に着設可能な表面側構造部4と、前記上フランジ部14に対向させ、前記収納袋80の裏面側に接する円環状の下フランジ部21、並びに、前記下フランジ部21の半径方向で内側に空気を流動させる空気孔24、及び、前記弁室7の底面となる弁座22aを形成した弁座部22を有し、前記収納袋80の裏面側に着設可能な裏面側構造部5とを備え、前記穴明け具3を前記上端開口部12に押し込むことにより前記収納袋80への給排気弁用穴81加工が可能で、前記表面側構造部4と前記裏面側構造部5とを螺合により前記収納袋80に気密接触かつ脱着可能に固定できる。
【0030】
また、本発明の給排気装置1は、図21に示すように、給排気弁用穴81が設けられていない密閉可能な収納袋80の排気又は給気を可能とする、非通気性の材料からなる給排気装置1であって、前記給排気装置1は、図1図7に示すように、前記収納袋80に脱着可能に固定される給排気弁2と、前記給排気弁2の上端開口部12をガイドとする穴明け具3とを備え、前記給排気弁2は、前記収納袋80の表面側に着設可能な表面側構造部4と、前記収納袋80の裏面側に着設可能な裏面側構造部5と、を備え、前記表面側構造部4は、弁室7の周壁を形成する弁周壁部11と、前記弁周壁部11を前記弁室7より上方に延在させた延在部分に設けた、略円筒状の前記穴明け具3を嵌入可能な前記上端開口部12と、前記弁室7の上壁を形成する、上面に前記穴明け具3の下端部が当接可能な平面状の当接面17を形成し、弁棒用孔15及び空気孔16を形成した円板状の弁蓋部13と、前記弁周壁部11の下端部に半径方向で外側に設けられ、前記収納袋80の表面に気密接触させる円環状の上フランジ部14と、を備え、前記裏面側構造部5は、前記上フランジ部14に対向させて前記収納袋80の裏面に気密接触させる円環状の下フランジ部21と、前記下フランジ部21より半径方向で内側に設けられ、前記弁室7の底壁を形成する、内側に空気孔24を形成した円環状の弁座部22と、を備え、前記弁座部22に押付又は離隔可能な円板状の弁体31、前記弁蓋部13の下面と前記弁体31の上面との間に介装させた、伸長方向に付勢力を有するコイルスプリング32、及び、前記弁体31に下端部を連結され、前記コイルスプリング32の内側に貫入され、前記弁棒用孔15を挿通され前記上端開口部12から突出可能な弁棒33とを有する、前記弁室7内に内設される弁作動部6と、を備え、前記穴明け具3を前記上端開口部12に押し込むことにより前記収納袋80への給排気弁用穴81加工が可能で、前記表面側構造部4の前記上フランジ部14と前記裏面側構造部5の前記下フランジ部21とは螺合により前記収納袋80に気密接触かつ脱着可能に固定でき、円環状の前記座面部22と一体化した部位を螺合により前記座面部22が前記弁室7の底壁を形成するように配設可能とし、前記コイルスプリング32の付勢力により前記弁体31を前記弁座部22に押付可能とし、前記上端開口部12に嵌入される真空手段60の吸引により、又は、前記弁棒33を上方に移動させることにより、前記弁体31を前記弁座部22から離隔可能とする。
【0031】
前記給排気装置1が対象にしている収納袋80は、図21に示すように、チャック部82があり密閉にできる収納袋80であって、前記チャック部82の開口部以外には外気と袋内とで空気が流動可能な穴が全くない収納袋80である。図21に示すような給排気弁用穴81がない収納袋80は、前記チャック部82があるので密閉はできるが真空にすることができないので、生の魚等の生ものを長期間にわたって保存し難いという問題があった。本発明の前記給排気装置1は、図22に示すように前記給排気弁用穴81を新たに設けて真空状態にでき、さらに真空状態から大気圧に戻すことができる。
【0032】
前記給排気装置1は、穴のない収納袋80に穴を開けるときは、図1図3図19図20に示すように、給排気弁2と穴明け具3を用い、真空にするときは、図8に示すように、給排気弁2と真空手段60を用い、真空状態から大気圧状態に戻すときは、図10に示すように、給排気弁2の弁棒33を引き上げて、又は、必要に応じて送風手段(図示なし)を用いる。また、真空状態を維持可能にするために、図9に示すように、遮断蓋62を螺合部55で螺合させて密閉状態をつくる。また、前記給排気装置1の材質は、前記コイルスプリング32、バルブシート34及びОリングシール18を除いて、プラスチック等の合成樹脂、又は、ステンレス等の金属などの非通気性の材料からなる。
【0033】
前記給排気弁2は、図4図7に示すように、前記収納袋80の表面側に着設する前記表面側構造部4と、前記収納袋80の裏面側に着設する前記裏面側構造部5と、前記表面側構造部4と前記裏面側構造部5とで構成する前記弁室7内に内設される前記弁作動部6と、を主要な構成要件とし、前記表面側構造部4と前記裏面側構造部5とは螺合により前記収納袋80に脱着可能に固定される。
【0034】
前記弁室7は、周壁を前記弁周壁部11で、上壁を前記弁蓋部13で、底壁を前記弁座部22でそれぞれ構成される。前記弁蓋部13には、図13(a)に示すように、上面に前記当接面17が形成され、中央部に前記弁棒用孔15、及び、前記弁棒用孔15の周囲に単数又は複数の前記空気孔16が形成され、前記弁座部22は、図15に示すように、上面に円環状の弁座22aが形成され、半径方向で内側に空気孔24が形成されている。前記弁作動部6を前記弁室7内に内挿後に、前記弁座部22を含む一体化された部材を螺合部52、螺合部54又は螺合部56の螺合により前記弁室7の底壁となる位置に配設する。
【0035】
前記給排気弁2は、前記表面側構造部4、前記裏面側構造部5、前記弁作動部6及び前記弁室7を備えている。前記給排気弁2の形態は、例えば図4図7に示すように、前記表面側構造部4、前記裏面側構造部5、前記弁作動部6及び前記弁室7の分割の部位により種々の形態がある。
【0036】
例えば、前記給排気弁2の形態は、図4に示すように、前記弁周壁部11が内側弁周壁部11aと外側弁周壁部11bとに分割され、前記弁蓋部13が前記当接面17を有する顎状の第二弁蓋部13bと、前記第二弁蓋部13bの下面に当接され、前記弁棒用孔15と前記空気孔17を有する円板状の第一弁蓋部13aに分割され、前記下フランジ部21が前記弁座部22と一体化された給排気弁2aがある。前記給排気弁2aの場合は、前記弁室7内に、図16(b)に示すような弁作動部6bを内挿後に、前記下フランジ部21及び前記弁座部22の一体物を螺合部52で前記内側弁周壁部11aと螺合し、前記外側弁周壁部11bを螺合部53で前記内側弁周壁部11aと螺合する。これにより前記給排気弁2aが組立てられる。
【0037】
例えば、前記給排気弁2の形態は、図5に示すように、前記弁周壁部11が内側弁周壁部11aと外側弁周壁部11bとに分割され、前記内側弁周壁部11aが前記弁蓋部13と一体化され、前記外側弁周壁部11bが前記上フランジ部14と一体化され、前記下フランジ部21が前記弁座部22と一体化された給排気弁2bがある。前記給排気弁2bの場合は、前記弁室7内に、図16(a)に示すような弁作動部6aを内挿後に、前記下フランジ部21及び前記弁座部22の一体物を螺合部52で前記内側弁周壁部11aと螺合し、前記外側弁周壁部11bを螺合部53で前記内側弁周壁部11aと螺合する。これにより前記給排気弁2bが組立てられる。
【0038】
例えば、前記給排気弁2の形態は、図6に示すように、前記弁周壁部11が内側弁周壁部11aと外側弁周壁部11bとに分割され、前記外側弁周壁部11bが下端部で前記上フランジ部14と一体化され、前記内側弁周壁部11aが上端部で前記弁蓋部13と下端部で前記下フランジ部21とそれぞれ一体化され、前記弁座部22が単独の構成となった給排気弁2cがある。前記給排気弁2cの場合は、前記弁室7内に、図16(a)に示すような弁作動部6aを内挿後に、前記弁座部22を螺合部54で前記内側弁周壁部11aと螺合し、前記外側弁周壁部11bを螺合部53で前記内側弁周壁部11aと螺合する。これにより前記給排気弁2cが組立てられる。
【0039】
例えば、前記給排気弁2の形態は、図7図11又は図12に示すように、前記弁周壁部11と上部で前記弁蓋部13とが一体化され、前記弁周壁部11と下部で前記上フランジ部14とが一体化され、前記下フランジ部21が単独で、前記弁座部22も単独の構成をした給排気弁2dがある。前記給排気弁2dの場合は、前記弁室7内に、図16(a)に示すような弁作動部6aを内挿後に、前記弁座部22を螺合部56で前記弁周壁部11と螺合し、前記下フランジ部21を螺合部57で前記弁周壁部11と螺合する。これにより前記給排気弁2dが組立てられる。
【0040】
前記給排気弁2は、前記表面側構造部4の構成要件、前記裏面側構造部5の構成要件、前記弁作動部6の構成要件及び前記弁室7の構成要件を備えておれば、前記給排気弁2a~2dに限らずいずれの形態でもよい。以下は、前記給排気弁2dを主に説明する。また、前記給排気弁2の板厚は強度と材質等から考慮して適宜設定する。
【0041】
前記表面側構造部4について説明する。前記表面側構造部4は、図7図11図12又は図13に示すように、弁室7の周壁を形成する弁周壁部11と、前記弁周壁部11を前記弁室7より上方に延在させた延在部分に設けた、略円筒状の前記穴明け具3を嵌入可能な前記上端開口部12と、前記弁室7の上壁を形成する、上面に前記穴明け具3の下端部が当接可能な平面状の当接面17を形成し、弁棒用孔15及び空気孔16を形成した円板状の弁蓋部13と、前記弁周壁部11の下端部に半径方向で外側に設けられ、前記収納袋80の表面に気密接触させる円環状の上フランジ部14と、を備える。
【0042】
前記弁周壁部11は、略円筒状の部分が、弁室7の周壁を形成するとともに、前記弁室7より上方に延在させた延在部分に、略円筒状の前記穴明け具3を嵌入可能な前記上端開口部12を形成し、下端部には、半径方向で外側に、前記収納袋80の表面に気密接触させる円環状の上フランジ部14を形成している。そして、前記上フランジ部14の半径方向で内側であって前記弁室7より外側であって、下方に延在させた下端部に円筒部を形成し、前記円筒部の内周面に前記弁座部22と螺合する雌螺子56bを螺刻し、前記円筒部の外周面に前記下フランジ部21と螺合する雄螺子57aを螺刻している。そして、前記弁周壁部11から半径方向で内側には、前記弁室7の上壁である円板状の前記弁蓋部13が前記弁周壁部11と一体的に形成されている。
【0043】
前記上端開口部12の内周面には、真空手段60のホースを接続させる継手61を螺合により固定させるため、又は、被収納物90を真空状態で保管するときの遮断蓋62を螺合により固定させるため、雌螺子55bが螺刻されている。
【0044】
前記弁周壁部11は、図7に示すように一体型、又は、図4図6に示すように分割型がある。前記分割型の場合には、内側弁周壁部11aと外側弁周壁部11bとが螺合部53の螺合により連結される。前記一体型と前記分割型とは、組み合わせの形態の相違であり、いずれでもよい。
【0045】
前記弁蓋部13は、図13に示すように、上面が前記上端開口部12の底面に該当し、前記穴明け具3の下端部が当接可能な平面状の当接面17を形成するとともに、中心部に前記弁棒33を挿通させガイドとなる弁棒用穴15が設けられ、前記弁棒用穴15の周囲に、前記収納袋80内を真空にするときに、又は、前記収納袋80内に空気を入れるときに空気が流れる、単数又は複数の空気孔16を設けている。
【0046】
前記弁蓋部13の形態が、図5図7に示すように、前記弁蓋部13が前記当接面17の部位と、前記弁棒用孔15及び前記空気孔16の部位とが分割されていない弁蓋第一形態、あるいは、前記弁蓋部13が、図4に示すように、前記弁周壁部11から半径方向で内側に円周方向全周に亘って突設された、前記当接面17を形成する円環状で顎状の第二弁蓋部13bと、図4図16(b)又は図17に示すように、円環状の前記第二弁蓋部13bの下面に当接する、前記弁棒用孔15及び前記空気孔16を形成した円板状の第一弁蓋部13aとに分割された弁蓋第二形態がある。前記弁蓋第一形態と前記弁蓋第二形態とは、分割するか、一体化するかの組み合わせの形態の相違であり、いずれでもよい。
【0047】
前記上フランジ部14は、図13に示すように、前記弁周壁部11の下端部に半径方向で外側に設けられ、前記収納袋80の表面に気密接触させる円環状の形状をしている。また、前記上フランジ部14の下面には、Oリングシール18が嵌設され、前記下フランジ部21と螺合部57の螺合により前記収納袋80を挟んだときに前記上フランジ部14と前記下フランジ部21との接合部からの空気の流動を遮断する。
【0048】
前記裏面側構造部5について説明する。前記裏面側構造部5は、前記上フランジ部14に対向させて前記収納袋80の裏面に気密接触させる円環状の下フランジ部21と、前記下フランジ部21より半径方向で内側に設けられ、前記弁室7の底壁を形成する円環状の弁座部22と、を備える。円環状の前記弁座部22の半径方向で内側には空気孔24が形成されている。
【0049】
前記下フランジ部21は、図12又は図14に示すように、円環状であり、同じく円環状の前記上フランジ部14と前記収納袋80のシート部83を表面側と裏面側とから挟んで前記収納袋80に前記給排気弁2を脱着可能に固定する。また、前記下フランジ部21の下面には、図4図5図7図12又は図14(d)に示すように、被収納物90と前記給排気弁2とが真空状態で密着していても空気の流動を可能にする溝部23bが形成され、図14(c)に示すように、前記弁周壁部11の下端部の螺合部57で螺合させる雌螺子57bが螺刻されている。
【0050】
前記弁座部22は、図15に示すように、平面状に形成した上面を弁座22aとし、前記弁座22aには弁体31に装着されたバルブシート34が当接して密着して空気の流動を遮断したり離隔して空気の流動を可能にしたりする。また、前記弁座部22の下面には、図4図5図7図13又は図15(d)に示すように、被収納物90と前記給排気弁2とが真空状態で密着していても空気の流動を可能にする溝部23aが形成され、図15(b)に示すように、前記弁周壁部11の下端部の螺合部56で螺合させる雄螺子56aが螺刻されている。
【0051】
前記溝部23の形態は前記給排気弁2の形態により異なるが、前記給排気弁2の底面の外周縁と前記空気孔24との間において、前記被収納物90と前記給排気弁2の底面との間に間隙を形成する形態であればいずれでもよい。例えば、前記給排気弁2a又は2bは前記下フランジ部21と前記弁座部22とが一体であるので前記溝部23は前記下フランジ部21の底面と前記弁座部22の底面を連続した溝であり、前記給排気弁2cは前記弁座部22の底面が前記下フランジ部21の底面より下方に突出させているので前記弁座部22の底面のみに溝を設け、前記給排気弁2dは前記下フランジ部21と前記弁座部22とが分割されているのでそれぞれに溝を設けている。なお、前記給排気弁2dは前記下フランジ部21と前記弁座部22との間の前記弁周壁部11の下端面は前記下フランジ部21及び前記弁座部22の底面より上方に位置させ引っ込めて前記弁周壁部11の下端部が空気の流動を妨げないようにしている。
【0052】
前記弁作動部6について説明する。前記弁作動部6は、図4図7図16に示すように、前記弁室7内に内設されており、前記弁座部22の弁座22aに押付又は離隔可能な円板状の弁体31、前記弁蓋部13の下面と前記弁体31の上面との間に介装させた、伸長方向に付勢力を有するコイルスプリング32、及び、前記弁体31に下端部を連結され、前記コイルスプリング32の内側に貫入され、前記弁棒用孔15を挿通され前記上端開口部12から突出可能な弁棒33とを有する。
【0053】
前記弁体31の直径は、前記弁室7の周壁を形成する前記弁周壁部11の内径より小さくし、空気の流動を可能とするための、前記弁体31の外周縁部と前記弁周壁部11の内周面との間に隙間を設ける。また、前記弁体31には、図16に示すように、前記弁座22aとの密着性を高めるためにバルブシート34を装着している。前記バルブシート34の材質には、例えばニトリルゴム、フッ素ゴム又はエチレンプロピレンゴム等の合成ゴム、フッ素樹脂、ポリウレタン又はシリコーン等の合成樹脂、天然ゴム、あるいは、メタルシート等があり、シール性を有する材質であれば前記事例に限らずいずれでもよい。
【0054】
前記コイルスプリング32は、前記真空手段60の吸引時には前記弁体31が前記真空手段60側に引き寄せられて圧縮されるが、前記真空手段60を作動をさせないときには伸長力により、前記弁体31及び前記バルブシート34を前記弁座22aに押付ける。前記コイルスプリング32の仕様は、真空手段60の吸引力、前記真空手段60の作動による前記弁体31の前記弁座22aとの離隔状況、手指で前記弁棒33の摘み部35を掴んで引張上げる力の程度、前記真空手段60が作動していないときの前記弁体31を前記弁座22aに押付けたときの空気の遮断状況などを考慮して適宜設定する。
【0055】
前記弁棒33は、下端部を前記弁体31に連結され、前記コイルスプリング32内を貫通し、上端部には摘み部35を設けている。前記摘み部35の形状は、前記弁作動部6bを表した図16(b)に示すように、前記弁棒33の先端部を加工して例えば輪状に加工した形態でもよく、前記弁作動部6aを表した図16(a)に示すように、前記弁棒33の先端部を雄螺子に螺刻し、雌螺子を螺刻した摘み部35を螺合させた形態でもよく、指で摘まめる形状であれば前記事例に限らずいずれの形態でもよい。
【0056】
また、前記弁体31と前記弁棒33との連結状態は、連結角度が一定の固定された状態でも連結角度が可変する連結された状態でもよい。また、前記コイルスプリング32と前記弁体31との連結、又は、前記コイルスプリング32と前記弁蓋部13との連結は、前記弁作動部6aを表した図16(a)に示すように、前記コイルスプリング32、前記弁蓋部13及び前記弁体31が互いに連結されずにそれぞれがフリーの状態でもよく、前記弁作動部6bを表した図16(b)に示すように、前記コイルスプリングの両端部をそれぞれ前記弁蓋部13又は前記弁体31に、例えば溶接等の固定手段で固定させた状態にしてもよい。
【0057】
次に、前記穴開け具3について説明する。前記穴明け具3は、図1図3図18図19又は図20に示すように、前記上端開口部12の穴に嵌入可能な円筒状の形状を有し、図18(a)、(c)に示すように、下端部に先端が尖った鋭角の三角形の刃41を円周方向に全周に亘って複数設け、前記刃41は先端にいくほど肉厚を薄くし、図18(a)に示すように、外周面に押下げ又は旋回操作を可能とする操作部位42を設けている。また、前記穴開け具3の上端は、図2図3又は図18(b)に示すように、上壁を設けている。また、前記穴開け具3の材質は、アクリルや、硬質のプラスチック等の合成樹脂、又は、鉄やステンレス等の金属などの押し当てて押さえ込むとフィルム製の前記収納袋80のシート部83を切断可能な材質であればいずれの材料でもよい。
【0058】
前記穴開け具3の刃41の形状は、下方の先端部が三角形状でなくても先端にいくほど板厚を薄くした形状であれば、一瞬に強く押下げることで前記収納袋80のシート部83を切断できる形状であれば、三角形状が好ましいが三角形状でなくてもよい。
【0059】
次に、使用方法について説明する。まず、穴明けステップである。まず、対象とする収納袋80は、図21に示すように、前記チャック部82の開口部以外には外気と袋内とで空気が流動可能な穴が全くない収納袋80である。そして、図19に示すように、前記収納袋80の中に前記給排気弁2を入れ、穴を開けたい位置に持っていき、開けたい位置に置いた前記給排気弁2の前記上端開口部12の内周縁の内側に前記穴開け具3の外周面が入り込むように置く。
【0060】
そして、図20に示すように、前記穴明け具3を操作部位42に手を当てて一気に下方に押し込むと、前記刃41が前記シート部83に、図22に示すように、給排気弁用穴81を開ける。
【0061】
次に、真空前準備ステップである。図23に示すように、前記収納袋80内から前記給排気弁2(2d)を取り出して、前記下フランジ部21を前記給排気弁2(2d)から螺合部57で螺子を緩めて外す。そして、図23に示すように、開けた前記給排気弁用穴81に、前記収納袋80の表面側から前記下フランジ部21を外した前記給排気弁2(2d)の前記弁周壁部11の下端部を嵌め込む。そして、前記下フランジ部21を前記収納袋80内に入れ、前記シート部83を挟んで前記下フランジ部21の雌螺子57bと前記弁周壁部11の雄螺子57aに螺合させて、図25又は図26に示すように、前記給排気弁2(2d)を前記収納袋80に密着させて脱着可能に固定させる。そして、被収納物90を前記収納袋80内に入れ、チャック部82で密封する。
【0062】
前記収納袋80に前記給排気弁2を固定させるときの前記給排気弁2の前記収納袋80への取付方法には、図23に示すように、前記下フランジ部21を外した前記給排気弁2dを前記収納袋80の表面側から前記給排気弁用穴81に嵌め込み、前記給排気弁2から外した前記下フランジ部21を前記収納袋80内に入れ、前記下フランジ部21を下方から螺合部57で螺合させて前記給排気弁2dを前記収納袋80に固定する方法と、図24に示すように、前記外側弁周壁部11bを外した前記給排気弁2aを前記収納袋80内に入れて前記給排気弁用穴81から突出させ、前記給排気弁2aから外した前記外側弁周壁部11bを上方から螺合部53で螺合させて前記給排気弁2aを前記収納袋80に固定する方法とがある。
【0063】
次に、真空ステップである。図8に示すように、前記上端開口部12の雌螺子55bに継手61の雄螺子を螺合させて固定し、その後に前記継手61に前記真空手段60である真空ポンプのホースを接続する。そして、図8に示すように、真空ポンプを作動させるとて、前記弁体31が上昇し前記コイルスプリング32が圧縮して、前記収納袋80内の空気が、順に、前記空気孔24、前記弁体31の外周縁と前記弁周壁部11の内周壁との隙間、前記空気孔16を流動して、前記真空手段60のホース内に吸い込まれ、図27に示すように、前記収納袋80内は真空になる。被収納物90と前記下フランジ部21の下面又は前記弁座部22の下面とが接触しても溝部23a、23bがあるので空気を前記収納袋80内に残さずに真空にすることができる。
【0064】
次に、保管ステップである。前記上端開口部12の雌螺子55bに、前記継手61を螺子を緩めて外し、図9に示すように、前記上端開口部12の蓋となる遮断蓋62を螺合させて前記上端開口部12と外気との空気の流動を遮断する。また、前記真空手段60の作動を止めた時から、前記コイルスプリング32が伸長して前記弁体31を前記弁座22aに押し付けて空気の流動を遮断する。これにより、長期の真空保管ができる。
【0065】
次に、真空状態の前記収納袋80内を大気圧に戻すステップである。図10に示すように、前記遮断蓋62を緩めて外し、前記弁棒33の上端部の掴み部35を指で上方に引っ張り上げる。これにより、前記コイルスプリング32が圧縮されて前記弁体31が前記弁座22aから離隔し、空気が前記収納袋80内に、順に、前記上端開口部12、前記空気孔16、前記弁体の外周縁と前記弁周壁部11の内周壁との隙間、前記空気孔24を流動し、前記溝部23b、23aを流動して前記収納袋80内に流入し、前記収納袋80内が大気圧に戻る。これにより容易にチャック部82を指の力が弱い人でも開けることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 給排気装置
2、2a、2b、2c、2d 給排気弁
3 穴開け具
4 表面側構造部
5 裏面側構造部
6 弁作動部
7 弁室
11 弁周壁部
11a 内側弁周壁部
11b 外側弁周壁部
12 上端開口部
13 弁蓋部
13a 第一弁蓋部
13b 第二弁蓋部
14 上フランジ部
15 弁棒用孔
16 空気孔
17 当接面
18 Oリングシール
21 下フランジ部
22 弁座部
22a 弁座
23 溝部
24 空気孔
31 弁体
32 コイルスプリング
33 弁棒
34 バルブシート
35 掴み部
41 刃
42 操作部位
52 螺合部
53 螺合部
54 螺合部
55 螺合部
56 螺合部
57 螺合部
60 真空手段
61 継手
62 遮断蓋
80 収納袋
81 給排気弁用穴
82 チャック部
83 シート部
90 被収納物
【要約】
【課題】食品等の被収納物を収納する収納袋に給排気弁用の穴がなくても給排気弁を取り付け、収納袋内を真空にでき、大気圧状態に戻すことができる給排気装置を提供することを課題とする。
【解決手段】収納袋に脱着可能に固定される給排気弁と、給排気弁の上端開口部をガイドとする穴明け具とを備えた給排気装置であって、給排気弁は、収納袋の表面側に着設可能な円環状の上フランジ部を有する表面側構造部と、収納袋の裏面側に着設可能な、円環状の下フランジ部を有する裏面側構造部と、表面側構造部内に形成された弁室内に、弁座部に押付又は離隔可能な円板状の弁体、弁蓋部の下面と弁体の上面との間に介装させた、伸長方向に付勢力を有するコイルスプリング、及び、コイルスプリングの内側に貫入された弁棒を有する弁作動部と、を備え、螺合により給排気装置を収納袋に気密接触かつ脱着可能に固定可能とする給排気装置により課題解決ができた。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図25
図26
図27