(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】トイレキャビネット
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
A47K17/00
(21)【出願番号】P 2019148777
(22)【出願日】2019-08-14
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 嘉彦
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-169901(JP,A)
【文献】特開2017-137732(JP,A)
【文献】特開2016-061117(JP,A)
【文献】特開平08-256937(JP,A)
【文献】特開2002-302983(JP,A)
【文献】特開2022-121672(JP,A)
【文献】特開2007-197900(JP,A)
【文献】特開2010-062110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたトイレキャビネットであって、
前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた平板状の幕板と、
前記トイレ空間の前記壁面に固定されると共に前記幕板が固定される固定フレーム部と、
前記幕板の裏面側に設けられ、前記幕板の裏面側から前記床面を間接的に照らす光源と、を有し、
前記光源の上方において前記幕板の裏面側から前記壁面に向かって突出するように設けられた板を備える、トイレキャビネット。
【請求項2】
前記幕板の裏面側から前記壁面に向かって突出するように設けられた前記板は、前記光源からの光を反射する反射面を有する反射板である、請求項1に記載のトイレキャビネット。
【請求項3】
トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、 前記キャビネットに設けられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた幕板と、
前記幕板の裏面側から前記床面を間接的に照らす光源と、
前記光源の上方において前記幕板の裏面側から前記壁面に向かって突出するように設けられた反射板と、を有する、トイレキャビネット。
【請求項4】
前記幕板と前記反射板と前記壁面とにより形成された空間に前記光源の配線が収納される、
請求項2または3に記載のトイレキャビネット。
【請求項5】
前記光源は、前記壁面を照射する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。
【請求項6】
前記光源は、前記便器の側方から見て前記便器と重なる位置に配置されている、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。
【請求項7】
前記幕板は、前記幕板に形成された紙巻器を収納するための開口部から視認される位置に配置された金具により前記固定フレーム部に固定される、
請求項1
または2に記載のトイレキャビネット。
【請求項8】
前記幕板に設けられたセンサ窓を備え、
前記センサ窓は、人を感知する人感センサの受光方向が前記便器の正面方向に向かうように形成されている、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ空間に設置された便器とこの便器の後方や側方の壁面との間に設けられるトイレキャビネットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなトイレキャビネットは、便器と壁面との空間を覆うカバー部を有し、便器の後方や側方に設けられた止水栓やコンセント、給排水管などを隠すことができる。カバー部は、例えば、壁面と間隔をあけて対向して設けられる幕板と、幕板の上部から壁面へ延びる天板と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなトイレキャビネットに照明を取り付ける場合、特許文献1に開示された照明は、夜中に照明がつくことで眩し過ぎにならないように便器の側方のカバー部の裏面に光源を設けてキャビネットの下面から床面を照射している。しかし、トイレキャビネットは、照明を含めたデザイン性が求められる。発明者らは、トイレキャビネットの照明の装飾的効果について鋭意研究を重ねてきた。
【0005】
本開示は、照明効果の装飾的効果を向上させることができるトイレキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るトイレキャビネットは、トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたトイレキャビネットであって、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた平板状の幕板と、 前記トイレ空間の前記壁面に固定されると共に前記幕板が固定される固定フレーム部と、前記幕板の裏面側に設けられ、前記幕板の裏面側から前記床面を間接的に照らす光源と、を有し、前記光源の上方において前記幕板の裏面側から前記壁面に向かって突出するように設けられた板を備える、トイレキャビネットである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】トイレキャビネットが設けられたトイレ空間の一例を示す斜視図である。
【
図4】トイレキャビネットおよび手洗い器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1-
図3に示すように、トイレキャビネット1は、トイレ空間11に便器12および手洗い器13と共に設置されている。トイレキャビネット1は、床面Gから上方に離間して第1壁面14と第2壁面15とにより形成された角部に設置されている。以下では、便器12については、その便座に着座した使用者の前方となる側を前側、その反対側を後側とし、前側と後側とを結ぶ方向を前後方向とする。前後方向と直交する水平方向を左右方向とし、左右方向の右側および左側は、便座に着座し前側を向く使用者の右側および左側と同じ側とする。即ち、便器12の右側および左側を側方とする。
【0009】
便器12の後側には壁面が前後方向を向く第1壁面14が設けられ、便器12の左側には壁面が左右方向を向く第2壁面15が設けられている。便器12は、第1壁面14と第2壁面15との角部16寄りに設けられている。便器12は、水道直結式で、所謂タンクレストイレとして構成されている。つまり、便器12は、洗浄水を貯留するタンク(ロータンク)を備えていない。
【0010】
図2および
図3に示すように、便器12へ接続される給水管171は、第1壁面14に設けられた止水栓172から給水されるように構成されている。止水栓172は、第1壁面14から前方に突出している。止水栓172には、下流側の流水方向を第1壁面14に沿った方向(下方向)に屈曲させるエルボ部材173が用いられている。給水管171は、エルボ部材173の下流側に接続されている。エルボ部材173の下流側の流水方向は、第1壁面14に沿った方向となるため、エルボ部材173の下流側に接続される給水管171は、第1壁面14に沿った姿勢に配置されている。便器12の排水は、床下の排水管へ流れるように構成されている。
【0011】
手洗い器13は、第2壁面15に取り付けられている。本実施形態では、手洗い器13の給排水は、便器12の給排水と別系統ではなく統合されている。このため、手洗い器13に接続されている給水管131(
図2参照)は、止水栓172から分岐されている。手洗い器13に接続されている排水管132は、便器12の排水管に接続され、便器12の排水とともに床下の排水管に流れるように構成されている。手洗い器13に接続された給水管131および排水管132は、第1壁面14および第2壁面15に沿って配管されている。
【0012】
図4に示すように、トイレキャビネット1は、壁面第1キャビネット2と、壁面第2キャビネット4と、接続部6と、を有している。第1キャビネット2は、第1壁面14に沿って設けられる。第2キャビネット4は、第1キャビネット2と離間し第2壁面15に沿って設けられる。接続部6は、第1壁面14と第2壁面15との角部16(
図1-
図3参照)に沿って設けられる接続部6は、第1キャビネット2と第2キャビネット4とを接続する。
【0013】
第1キャビネット2は、平面視形状が左右方向に長い長方形で、左側の端部が第2壁面15と離間している(
図1参照)。第2キャビネット4は、平面視形状が前後方向に長い長方形で、後側の端部が第1壁面14と離間している(
図1参照)。第2キャビネット4は、手洗い器13の後側に設けられている。第2キャビネット4の前側の縁部が手洗い器13と当接している。
【0014】
第1キャビネット2の左側の端部は、第2キャビネット4の右側の端部(第2幕板43の表面431)よりも右側に位置している。すなわち、第1キャビネット2の左側の端部と第2壁面15との間隔は、第2キャビネット4の左右方向の寸法よりも大きく設定されている。
【0015】
第2キャビネット4の後側の端部は、第1キャビネット2の前側の端部(第1幕板23の表面231)よりも前側に位置している。すなわち、第2キャビネット4の後側の端部と第1壁面14との間隔は、第1キャビネット2の前後方向の寸法よりも大きく設定されている。接続部6は、第1キャビネット2の左側の端部と第2キャビネット4の後側の端部との間に設けられている。
【0016】
本実施形態では、第1キャビネット2、第2キャビネット4および接続部6は、ほぼ同じ高さ寸法に形成されている。第1キャビネット2、第2キャビネット4および接続部6は、それぞれ下端部が床上約200mmに位置し、上端部が約800mmに位置するように同じ高さに設けられている。手洗い器13についても第1キャビネット2、第2キャビネット4および接続部6とほぼ同じ高さ寸法に形成され、ほぼ同じ高さに配置されている。
【0017】
第1キャビネット2は、便器12(
図1参照)の後方に設けられている。第1キャビネット2は、便器12と第1壁面14との間の空間を閉塞する第1カバー部21と、第1壁面14に固定され、第1カバー部21を着脱可能な第1固定フレーム部22(本体部)と、を有している。
【0018】
図5および
図6に示すように、第1カバー部21は、第1壁面14に対向して取り付けられた第1幕板23と、第1幕板23と連結された第1天板24と、第1幕板23に取り付けられて第1固定フレーム部22に係止される第1幕板被係止部25(
図6参照)と、第1天板24に設けられて第1固定フレーム部22に係止される第1天板被係止部26(
図6参照)と、を有している。
【0019】
第1幕板23は、矩形の平板状に形成されている。第1幕板23は、板面が鉛直方向に沿って第1壁面14から離間して取り付けられている。第1幕板23は、板面が前後方向を向いた姿勢で便器12の後方に設置される。第1幕板23の上記の姿勢における前面を表面231とし、後側の面を裏面232とする。
【0020】
第1幕板23には、下部側の左右方向の中間部に、下側に開口する切り欠き部233が形成されている。第1幕板23が便器12の後方に設置されると、切り欠き部233には便器12と接続される給水管、排水管が設置される。
【0021】
第1天板24は、平板状に形成され板面が上下方向を向いた姿勢で第1幕板23の裏面232の上縁部近傍に後側に突出するように連結されている。本実施形態では、第1天板24と第1幕板23とは、L字形金具などで固定されている。
【0022】
図7に示すように、第1天板24の前端面241(便器12側の端面)は、全体が第1幕板23の上部側の裏面232(側面)と面接触している。換言すると、第1幕板23は、第1天板24に対して縦勝ちに配置されている。第1天板24の上面242は、第1幕板23の上端面234(上端部)よりもやや下側(例えば、1~7mm下側)に配置されている。このため、第1カバー部21には、第1幕板23の裏面232と、第1天板24の上面242とがなす段部212が形成されている。
【0023】
図6および
図8に示すように、第1幕板被係止部25は、鋼板を加工した第1金具71が使用され、第1金具71が第1幕板23の裏面232に固定されることで構成されている。第1金具71は、弾性変形可能に構成されている。
【0024】
図8に示すように、第1金具71は、第1幕板23の裏面232に沿って固定される固定板部711と、固定板部711の下縁部から後に突出する突出板部712と、突出板部712の後縁部から下側に延びる鉛直板部713と、鉛直板部713から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部714と、第1傾斜板部714の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部715と、を有している。
【0025】
固定板部711は、ネジなどの固定具で第1幕板23に固定されている。鉛直板部713は、第1幕板23の裏面232と平行に設けられている。本実施形態では、第1幕板被係止部25は、切り欠き部233の左右方向の両側に設けられている。
【0026】
第1金具71が第1幕板23の裏面232に固定されると、鉛直板部713、第1傾斜板部714および第2傾斜板部715は、それぞれ第1幕板23の裏面232と離間し、突出板部712の下側で、鉛直板部713、第1傾斜板部714および第2傾斜板部715と、第1幕板23の裏面232との間に隙間(以下、第1係止空部716とする)が形成される。
【0027】
第1傾斜板部714と第2傾斜板部715との接続部分には、角部718が形成されている。この角部718は、第1幕板23の裏面232に向かって突出している。角部718と第1幕板23の裏面232との間隔が、鉛直板部713と第1幕板23の裏面232との間隔よりも小さく設定されている。角部718と第1幕板23の裏面232との間隔は、第1幕板係止部35の第2金具72の第1板部721の厚さ寸法よりもやや小さく設定されている。
【0028】
図6および
図8に示すように、第1天板被係止部26は、鋼板を加工した第2金具72が使用され、第2金具72が第1天板24の下面に固定されることで構成されている。第2金具72は、L字形状に形成され、L字形を形成する一つの辺となる第1板部721と、他方の片となる第2板部722と、を有している。第1板部721と第2板部722とは、直角を成すように接続されている。
【0029】
第1天板被係止部26では、第1板部721が第1天板24の下面に沿って固定され、第2板部722が固定板部711の後縁部から下側に突出している。第1板部721は、ネジなどの固定具で第1天板24に固定されている。本実施形態では、第1天板被係止部26は、第1天板24の左右方向に間隔をあけた2か所それぞれに設けられている。
【0030】
図9に示すように、第1固定フレーム部22は、上側固定板部31および下側固定板部32と、一対の突出板部33と、連結板部34と、第1幕板係止部35と、第1天板係止部36と、を有している。上側固定板部31および下側固定板部32は、上下方向に間隔をあけて第1壁面14に固定される。一対の突出板部33は、左右方向に間隔をあけて配置され上側固定板部31および下側固定板部32それぞれに上側固定板部31および下側固定板部32よりも前方に突出するように固定される。連結板部34は、一対の突出板部33を連結する。第1幕板係止部35は、一対の連結板部34それぞれに固定され第1幕板被係止部25を係止する。第1天板係止部36は、上側固定板部31に固定され第1天板被係止部26を係止する。
【0031】
上側固定板部31は、板面が長方形となる長尺の平板状に形成されている。上側固定板部31は、左右方向に延びて板面が前後方向を向く向きで第1壁面14に固定されている。下側固定板部32は、板面が長方形となる長尺の平板状に形成されている。下側固定板部32は、上側固定板部31よりも長さ寸法が短く形成されている、下側固定板部32は、板面が左右方向に延びて前後方向を向く向きで第1壁面14に固定されている。
【0032】
上側固定板部31および下側固定板部32は、ネジなどの固定具で第1壁面14に固定されている。上側固定板部31の左側の端面31aは、下側固定板部32の左側の端面32aよりも左側に位置している。上側固定板部31の右側の端面31bは、下側固定板部32の右側の端面32bよりも右側に位置している。第1壁面14に止水栓などやコンセントが設けられている場合は、上側固定板部31および下側固定板部32は止水栓やコンセントを避けるように設置される。
【0033】
一対の突出板部33は、互いに同じ長尺の平板状に形成されている。一対の突出板部33は、上下方向に延びて板面が左右方向を向く向きで上側固定板部31および下側固定板部32に固定されている。一対の突出板部33には、上下方向の中間部に後側に開口する切り欠き部331が形成されている。切り欠き部331は、給水管、排水管や電気配線などを設置可能に構成されている。
【0034】
突出板部33は、上下方向の寸法(長さ寸法)が上側固定板部31の上端面31cから下側固定板部32の下端面32cまでの寸法と同じ寸法に形成され、上端面33aが上側固定板部31の上端面31cの高さとなり、下端面33bが下側固定板部32の下端面32cの高さとなるように上側固定板部31および下側固定板部32に固定されている。
【0035】
一対の突出板部33のうちの左側の突出板部33は、切り欠き部331の上方の部分が上側固定板部31の前面31dにおける左側の端部近傍に前側から固定され、切り欠き部311の下方の部分が下側固定板部32の左側の端面32aに左側から固定されている。一対の突出板部33のうちの右側の突出板部33は、切り欠き部331の上方の部分が上側固定板部31の前面31dにおける左右方向の中間部に前側から固定され、切り欠き部311の下方の部分が下側固定板部32の右側の端面32bに右側から固定されている。
【0036】
連結板部34は、長尺の平板状に形成されている、連結板部34は左右方向に延びて板面が前後方向を向く向きで一対の突出板部33それぞれの上下方向の中間部と連結されている。連結板部34は、前面が一対の突出板部33それぞれの前端面と略面一となるように設けられている。連結板部34は一対の突出板部33それぞれの切り欠き部331が形成されている高さ範囲に設けられている。
【0037】
第1固定フレーム部22は、一対の突出板部33および連結板部34によって、切り欠き部331に配置された給水管、排水管や電気配線などが第1壁面14から離間して前方に移動することを阻止することができる。
【0038】
第1幕板係止部35は、第1天板被係止部26に使用されている金具と同じ第2金具72が使用され、第2金具72が一対の突出板部33それぞれの互いに対向する側面に固定されることで構成されている。第1幕板係止部35では、第2金具72は第1天板被係止部26で使用されている向きと異なる向きで上側固定板部31に固定されている。
【0039】
図9および
図10に示すように、第1幕板係止部35の第2金具72は、第2板部722の板面が左右方向を向き第1板部721の板面が前後方向を向く姿勢となり、第2板部722が突出板部33の側面に固定され、第1板部721が第2板部722の前縁部から対向する突出板部33側に突出している。第2板部722は、ネジなどの固定具で突出板部33に固定されている。第1板部721は、突出板部33の前端面よりもやや前側に位置している。
【0040】
図9に示すように、第1天板係止部36は、第1幕板被係止部25に使用されている金具と同じ第1金具71が使用され、上側固定板部31の前面に固定されることで構成されている。第1天板係止部36は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられている。
【0041】
図11に示すように、第1天板係止部36では、第1金具71は第1幕板被係止部25で使用されている向きと異なる向きで上側固定板部31に固定されている。第1天板係止部36の第1金具71は、固定板部711が上側固定板部31の前面に沿って固定されている。第1金具71は、突出板部712が固定板部711の上縁部から前側に突出している。
【0042】
第1金具71は、鉛直板部713が突出板部712の前縁部から上側に延び、第1傾斜板部714が鉛直板部713から上側に向かって漸次後側に延び、第2傾斜板部715が第1傾斜板部714の上縁部からさらに上側に向かって漸次前側に延びる向きに配置されている。第1天板係止部36においても、固定板部711は、ネジなどの固定具で上側固定板部31に固定されている。
【0043】
第1金具71が上側固定板部31の前面31dに固定されると、鉛直板部713、第1傾斜板部714および第2傾斜板部715は、それぞれ上側固定板部31の前面と離間し、突出板部712の下側で、鉛直板部713、第1傾斜板部714および第2傾斜板部715と、上側固定板部31の前面31dとの間に隙間(以下、第2係止空部717とする)が形成される。
【0044】
第1傾斜板部714と第2傾斜板部715との角部718と、上側固定板部31の前面31dとの間隔は、鉛直板部713と上側固定板部31の前面31dとの間隔よりも小さく設定されている。角部718と、上側固定板部31の前面31dとの間隔は、第1天板被係止部26の第2金具72の第2板部722の厚さ寸法よりもやや小さく設定されている。
【0045】
このような第1カバー部21は、第1固定フレーム部22に対して上方から取り付けられるように構成されている。第1カバー部21を、第1固定フレーム部22の上方から下降させ、第1幕板23を第1固定フレーム部22の突出板部33の前側に配置し、第1固定フレーム部22の突出板部33および上側固定板部31の上側に配置する。このとき、
図12に示すように、第1幕板被係止部25の第1係止空部716に、第1幕板係止部35の第1板部721を下側から挿入させ、第1天板被係止部26の第2板部722を第1天板係止部36の第2係止空部717に上側から挿入する。
【0046】
上述したように、第1幕板被係止部25の第1金具71の角部718と第1幕板23の裏面232との間隔は、第1幕板係止部35の第2金具72の第1板部721の厚さ寸法よりもやや小さく設定されている。このため、第1板部721が第1係止空部716に挿入される際には、第1板部721が角部718とあたり、角部718と第1幕板23の裏面232との間隔を広げるように第1金具71を弾性変形させる。そして、第1金具71の復元力によって角部718が第1板部721を第1幕板23の裏面232に押し付け、第1板部721が第1金具71と第1幕板23の裏面232とに挟持された状態となる。
【0047】
また、上述したように、第1天板係止部36の第1金具71の角部718と、上側固定板部31の前面31dとの間隔は、第1天板被係止部26の第2金具72の第2板部722の厚さ寸法よりもやや小さく設定されている。このため、第2板部722が第2係止空部717に挿入される際には、第2板部722が角部718とあたり、角部718と上側固定板部31の前面31dとの間隔を広げるように第1金具71を弾性変形させる。そして、第1金具71の復元力によって角部718が第2板部722を上側固定板部31の前面31dに押し付け、第2板部722が第1金具71と上側固定板部31の前面31dとに挟持された状態となる。
【0048】
これにより、第1幕板被係止部25が第1幕板係止部35に係止され、第1天板被係止部26が第1天板係止部36に係止される。そして、第1カバー部21が第1固定フレーム部22を介して第1壁面14に係止される。
【0049】
第1固定フレーム部22から第1カバー部21を外すには、第1カバー部21を上方に引き上げ、第1幕板被係止部25の第1係止空部716から第1幕板係止部35の第1板部721を外し、第1天板被係止部26の第2板部722を第1天板係止部36の第2係止空部717から外した状態とする。これにより、第1カバー部21は第1固定フレーム部22から外れ、第1壁面14から外れた状態となる。
【0050】
本実施形態では、第1キャビネット2における第1天板24の左右方向の縁部近傍の下側は空部が形成されている。このため、第1カバー部21を第1固定フレーム部22に着脱する際には、第1天板24の左右方向の両縁部を把持し第1カバー部21を上下に移動させることができる。
【0051】
図4に示すように、第2キャビネット4は、便器12の左側に設けられている。第2キャビネット4は、便器12の右側に設けられていてもよい。即ち、第2キャビネット4は、便器12の少なくとも片側の側方に設けられている。第2キャビネット4は、便器12(
図1参照)と第2壁面15との間の空間を閉塞する第2カバー部41と、第2壁面15に固定され、第2カバー部41を着脱可能な後述の第2固定フレーム部42(本体部:
図15参照)と、を有している。
【0052】
図13、
図14に示すように、第2カバー部41は、第2幕板43と、第2幕板43と連結された第2天板44と、第2幕板43に取り付けられて第2固定フレーム部42に係止される第2幕板被係止部45(
図14参照)と、第2天板44に設けられて第2固定フレーム部42に係止される第2天板被係止部46(
図14参照)と、第2幕板43の下方に設けられた反射板47と、反射板47に設けられた光源Eと、を有している。第2幕板43の下方とは、例えば、第2幕板43の下端部から上方30cm程度の範囲内の領域である。
【0053】
第2カバー部41の第2幕板43、第2天板44、第2幕板被係止部45、および第2天板被係止部46は、第1カバー部21の第1幕板23、第1天板24、第1幕板被係止部25、および第1天板被係止部26と設置位置や大きさ以外は、基本的にほぼ同様の構成を有する。以下の第2カバー部41の説明では、第1カバー部21と異なる点について説明する。
【0054】
第2幕板43は、平板状に形成され板面が左右方向を向いた姿勢で便器12の左側に設置されている。第2幕板43の上記の姿勢における右側を向く面を表面431とし、左側を向く面を裏面432とする。第2幕板43には、上部側の前側部分に、板面を貫通する開口部433が形成されている。開口部433には、トイレットペーパーホルダーH(紙巻器)が設置されるように構成されている。
【0055】
第2幕板43は、第2壁面15に第2固定フレーム部42(
図15参照)を介して固定される。第2幕板43は、固定時に開口部433を利用して第2固定フレーム部42に固定作業のアクセスをすることができる。即ち、第2幕板43は、第2幕板43の表側から見て開口部433内に視認される位置に配置された第3金具73により、第2固定フレーム部42に固定される。作業者は、開口部433から手を入れて第3金具73を第2固定フレーム部42にネジなどにより固定することで、第2幕板43を第2固定フレーム部42に固定する作業を行うことができる。
【0056】
また、第2幕板43には、開口部433の下方に板面を貫通する矩形の孔435が形成されている。孔435には、人感センサV(
図14参照)の受光部となるセンサ窓Qが取り付けられる。人感センサVは、例えば、赤外線センサ等の受光部を有する。人感センサVは、人体から放射される赤外線を感知して後述の光源Eを発光させるためのセンサである。センサ窓Qについては後述する。
【0057】
第2天板44は、平板状に形成され板面が水平面に沿った姿勢で第2幕板43の上端部に連結されている。
【0058】
第2幕板被係止部45は、第2幕板43の裏面432の下部側における前後方向に間隔をあけた2か所にそれぞれに第1幕板被係止部25と同様に第1金具71が取り付けられることで設けられている。突出板部712の下側で、鉛直板部713、第1傾斜板部714および第2傾斜板部715と第2幕板43の裏面432との間には、第1係止空部716が形成されている。
【0059】
第2天板被係止部46は、第2天板44の下面の左側の縁部近傍に取り付けられている。第2天板被係止部46は、第1天板被係止部26と同様に前後方向に間隔をあけた2か所に設けられた一対の第2金具72により構成されている。前側の第2金具72の前方に隣接して第3金具73が取り付けられている。第3金具73はL字形に形成された金具である。第3金具73は、第2幕板43を第2固定フレーム部42に固定するための金具である。
【0060】
反射板47は、第2幕板43の裏面432に設けられている。反射板47は、第2幕板43と壁との間の隙間を埋めるように第2幕板43の裏面432において下方に取り付けられている。反射板47は、第2幕板43の裏面432に向かって突出するように設けられている。反射板47の下面の反射面47Aは、例えば、白色の面となるように加工されている。反射板47は、取り付け角度を調整自在に構成し、光の反射方向を変化させるようにしてもよい。
【0061】
反射面47A側には、照明用の光源Eが取り付けられている。光源Eは、便器12と左右方向に重なる位置に設けられている。即ち、光源Eは、便器12の側方から見て便器12と重なる位置に配置されている。光源Eは、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)の発光体が水平方向に列状に配置されている。光源Eは、LEDだけでなく、有機EL(Electro Luminescence)等の他の発光源が用いられてもよい。光源Eは、人感センサV(
図14参照)が人を感知すると発光する。
【0062】
光源Eは、単色で発光するものであってもよいし、スイッチ等の操作に基づいて発光色が変化するものであってもよい。また、光源Eは、発光強度が変化するだけでなく、発光強度、色、点滅などの組み合わせで経時的に様々な発光パターンが変化するものであってもよい。光源Eは、固定部材48を介して反射板47に取り付けられている。光源Eは、床面Gを間接的に照射する。光源Eは、発光面E1が第2壁面15を照射するように取り付けられている。光源Eは、発光面E1が第2壁面15を照射するだけでなく、床面Gや反射板47等を含む他の方向を照射するように取り付けられていてもよい。
【0063】
光源Eが発光すると、光源Eから照射された光は、反射面47Aに反射すると共に、第2壁面15に照射される。反射面47Aから反射した光と、第2壁面15に照射された光とにより、床面Gが照射される。即ち、光源Eから照射された光により床面Gと第2壁面15が発光し、第2幕板43の下部から光が漏れ出て足元を間接的に照射する間接照明となる。光源Eは、第2キャビネット4と同様に第1キャビネット2や接続部6に設けられていてもよい。光源Eは、第2キャビネット4において第1幕板23の裏面側で第1壁面14や床面Gを間接的に照射するものであってもよい。光源Eは、第2キャビネット4において第1幕板23の裏面側で第1壁面14や床面Gを間接的に照射するものであってもよい。光源Eは、接続部6においてカバー部Pの裏面側で角部16や床面Gを間接的に照射するものであってもよい。
【0064】
図15に示すように、第2固定フレーム部42は、互いに上下方向に間隔をあけて第2壁面15に固定される上側固定板部51および下側固定板部52と、上側固定板部51および下側固定板部52を前後方向から挟んだ状態で上側固定板部51および下側固定板部52にそれぞれに固定され、上側固定板部51および下側固定板部52よりも右側に突出する一対の突出板部53と、一対の突出板部53それぞれに固定され第2幕板被係止部45を係止する第2幕板係止部55と、上側固定板部51に固定され第2天板被係止部46を係止する第2天板係止部56とを有している。
【0065】
上側固定板部51は、板面が長方形となる長尺の平板状に形成されている。
図16に示すように、上側固定板部51は、前後方向に延びて板面が左右方向を向く向きで第2壁面15に固定されている。第2幕板43と、反射板47と、第2壁面15とにより囲まれて空間Sが形成されている。空間Sには、光源Eの配線が収納されている。これにより、配線が外部から見えることなく、人が配線に触れることが防止される。
【0066】
下側固定板部52は、板面が長方形となる長尺の平板状に形成されている。下側固定板部52は、上側固定板部51と同じ長さ寸法に形成されている。下側固定板部52は、板面が前後方向に延びて左右方向を向く向きで第2壁面15に固定されている。下側固定板部52は、上側固定板部51の鉛直方向下側に配置されている。上側固定板部51および下側固定板部52は、プラスチックプラグ(不図示)を介してネジ(不図示)などの固定具で第2壁面15に固定されている。
【0067】
一対の突出板部53は、互いに同じ長尺の平板状に形成されている。一対の突出板部53は、上下方向に延びて板面が前後方向を向く向きで上側固定板部51および下側固定板部52に固定されている。一対の突出板部53には、第1固定フレーム部22の一対の突出板部33と同様に切り欠き部531が形成されている。切り欠き部531は、給水管、排水管や電気配線などを設置可能に構成されている。
【0068】
突出板部53は、上下方向の寸法(長さ寸法)が上側固定板部51の上端面51aから下側固定板部52の下端面52aまでの寸法と同じ寸法に形成され、上端面53aが上側固定板部51の上端面51aの高さとなり、下端面53bが下側固定板部52の下端面52aの高さとなるように上側固定板部51および下側固定板部52に固定されている。一対の突出板部53のうちの前側の突出板部53は、上側固定板部51および下側固定板部52の前側の端面51b,52bに固定され、後側の突出板部53は、上側固定板部51および下側固定板部52の後側の端面51c,52cに固定されている。
【0069】
第2幕板被係止部45は、一対の突出板部53の互いに対向する側面に第1幕板係止部35と同様に第2金具72が固定されることで設けられている。第2幕板被係止部45の第2金具72は、第2固定フレーム部42の一対の突出板部53に対して第1幕板係止部35の第2金具72が第1固定フレーム部22の一対の突出板部33に取り付けられているのと同様に取り付けられている。
【0070】
第2天板被係止部46は、第1幕板被係止部25に使用されている金具と同じ第1金具71が使用され、上側固定板部31の右側の面に固定されることで構成されている。第2天板被係止部46の第1金具71は、第2固定フレーム部42の上側固定板部51に対して、第1天板係止部36の第1金具71が第1固定フレーム部22の上側固定板部31に取り付けられているのと同様に取り付けられている。突出板部712の下側で、鉛直板部713、第1傾斜板部714および第2傾斜板部715と、上側固定板部31の前面との間には、第2係止空部717が形成されている。
【0071】
第2カバー部41は、第1カバー部21が第1固定フレーム部22に着脱するのと同様に第2固定フレーム部42に着脱可能に構成されている。
【0072】
次に、センサ窓Qについて説明する。
【0073】
図17に示すように、センサ窓Qは、人感センサVに赤外線を受光させるように形成されている。センサ窓Qは、例えば、人感センサVの受光方向が便器12の正面方向に向かうように形成されている。センサ窓Qは、孔435(
図14参照)に取り付けるためのフランジ部Q1が形成されている。フランジ部Q1は、例えば、孔435の外周よりも大きく第2幕板43の表面431側に引っ掛かるように形成されている。
【0074】
フランジ部Q1に囲まれた領域には第2幕板43の表面431と平行に形成された面板Q2が形成されている。面板Q2には、窪みQ3が形成されている。窪みQ3は、前側から後側に向かうほど第2壁面15の方向に深さが増すようなテーパ面Q4が形成されている。テーパ面Q4の後ろ側と面板Q2とのギャップを埋めるように段差面Q5が形成されている。
【0075】
段差面Q5の裏側には、人感センサVが取り付けられている。人感センサVは、受光方向が便器12の正面方向に向かうように取り付けられる。センサ窓Qは、人が便器12の前方に近付いた際、人を感知しやすくなるように形成されている。人感センサVは、センサ窓Qを介して人を感知して照明用の光源Eを起動させる。人感センサVは、便器12に設けられた便蓋12Aや弁座の開閉のための人感センサW(
図1参照)と別体に設けられている。
【0076】
光源E用の人感センサVは、便器12用の人感センサWよりも早く人体を検知する。従って、人がトイレ空間11に近付くと、先ず光源E用の人感センサVにより光源Eが点灯することにより間接照明が照射され、所定時間後にタイミングがずれて便器12用の人感センサWにより便蓋12Aが開く。光源E用を起動するための人感センサVは、便器12用の人感センサWを用いて共用するものであってもよい。この場合、光源Eを点灯させてから所定時間後に便蓋12Aが開くように制御を行ってもよい。
【0077】
上述したように、トイレキャビネット1によれば、便器12の側方に設けられた第2キャビネット4の下方に設けられた光源Eにより、床面Gと第2壁面15を照射する間接照明を実現することができる。光源Eは、使用者の足元を照らすような間接照明とすることにより、トイレ空間11に直線光と異なり眩し過ぎとならない照明を提供すると共に、照明効果の装飾的効果を向上させることができる。
【0078】
以上、本開示は上記の一実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、便器12はタンクレストイレであるが、ロータンクを有する便器であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1、1B-1D…トイレキャビネット、2、2C、2D…第1キャビネット、4…第2キャビネット、6…接続部、11…トイレ空間、12…便器、13…手洗い器、14…第1壁面、15…第2壁面、21…第1カバー部、22…第1固定フレーム部(本体部)、23…第1幕板、23D…第1幕板、24…第1天板、24D…第1天板、25…第1幕板被係止部、26…第1天板被係止部、31…上側固定板部、32…下側固定板部、33…突出板部、34…連結板部、35…第1幕板係止部、36…第1天板係止部、41…第2カバー部、42…第2固定フレーム部(本体部)、43…第2幕板、44…第2天板、45…第2幕板被係止部、46…第2天板被係止部、47…反射板、47A…反射面、48…固定部材、432…裏面(側面)、435…孔、73…金具、E…光源、E1…発光面、G…床面、H…トイレットペーパーホルダー、P…パネル部、Q…センサ窓、Q1…フランジ部、Q2…面板、Q4…テーパ面、Q5…段差面、V、W…人感センサ