(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】医薬、医療または美容用途のための物質のための複数の容器を同時に保持するための保持構造、輸送ユニット、および該輸送ユニットを有する輸送または包装コンテナ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/14 20230101AFI20241007BHJP
【FI】
A61J1/14 520
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019207017
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10 2018 128 817.4
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】323001797
【氏名又は名称】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン コマン
(72)【発明者】
【氏名】アニル-クマー ブシミ
(72)【発明者】
【氏名】アーネ クローケ
【審査官】立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/130349(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0166217(US,A1)
【文献】国際公開第2017/038878(WO,A1)
【文献】特表2013-525218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0181285(US,A1)
【文献】国際公開第2017/132554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器(6;6’;60;61)またはそのような容器を有する複数の器具を同時に保持するための保持構造であって、前記保持構造は、前記容器を受け入れるための複数のレセプタクル(5)を有し、
前記レセプタクル(5)は、規則的な配列に配置されるとともに、周状に形成された側壁(10)によって形成されている保持構造において、
平面図で見て、前記レセプタクルは、点対称または鏡面対称の仮想的な基本形状から始まり、第1の方向(53)に縮小されるとともに前記第1の方向(53)に対して横方向の第2の方向に拡大されており、
前記レセプタクルは、六角形の形状を有しており、前記第2の方向での前記レセプタクル(5)の幅は、前記第1の方向(53)での前記レセプタクル(5)の幅よりも少なくとも17%だけ大きく、
前記保持構造は、前記保持構造の一部を形成するプレート状のキャリア(2)をさらに備えており、
前記側壁(10)の各々は、上方の側壁部(10a)および下方の側壁部(10b)を備えており、前記上方の側壁部(10a)は、前記プレート状のキャリア(2)から上方に垂直に突出し、前記下方の側壁部(10b)は、前記プレート状のキャリア(2)から下方に垂直に突出していることを特徴とする、
保持構造。
【請求項2】
前記第1の方向(53)での前記レセプタクル(5)の幅が前記第1の方向での前記仮想的な基本形状の幅よりも小さくなるとともに、前記第1の方向(53)に対して横方向の前記第2の方向での前記レセプタクルの幅が前記第2の方向での前記仮想的な基本形状の幅よりも大きくなるように、前記レセプタクルは、前記第1の方向(53)に縮小されるとともに、前記第1の方向(53)に対して横方向の前記第2の方向に拡大されている、
請求項1記載の保持構造。
【請求項3】
前記レセプタクル(5)のコーナ領域は、平面図で見たときに、点(54)に向かってまたは接続ウェブ(55)に向かって収束角(α)で収束する2つの側壁(50,51)によって形成され、前記収束角は、0°<α<110°が当てはまる、
請求項1または2記載の保持構造。
【請求項4】
収束する前記側壁(50,51)は、前記第1の方向(53)および前記第2の方向に垂直な前記レセプタクルの縦方向に延びる直線状のコーナ領域(54)に収束するか、または、
収束する前記側壁(50,51)は、前記接続ウェブ(55)と一緒に、前記レセプタクルの前記縦方向に延びる直線状のコーナ領域を形成する、
請求項3記載の保持構造。
【請求項5】
側壁(10;50,51)は、前記複数のレセプタクルのうち直接隣接するレセプタクル(5)の各対間の共通の分離壁として形成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項6】
それぞれの前記共通の分離壁の高さ(H)は、前記対をなす前記直接隣接するレセプタクル(5)の軸線方向長さに対応し、それぞれの前記共通の分離壁は、前記高さ(H)の少なくとも80%にわたって固体材料から形成されている、
請求項5記載の保持構造。
【請求項7】
前記レセプタクル(5)のすべては、同一の形状であり、前記レセプタクル(5a,5b)は、いずれも、行と前記行に直交して延びる列とに沿って互いにオフセットして配置されており、前記列または前記行に沿って互いに直接隣接して配置された前記レセプタクルは、いずれも、前記列または前記行に関して鏡像式に配置されている(
図1f)、
請求項1から6までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項8】
平面図で見て、前記レセプタクル(5)は、いずれも、六角形の形状を有し、前記六角形の形状は、平面図で見て、収束する前記側壁(50,51)に比べて短い2つの平坦な接続ウェブ(52,55)を有する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項9】
前記レセプタクルの下端部に保持部(22)が設けられており、前記容器を前記レセプタクル内に保持し、かつ、前記レセプタクルの前記下端部へ向かう、前記レセプタクル内での前記容器の軸線方向の可動性を制限する、
請求項1から8までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項10】
前記容器(6;6’;60;61)は、プラスチックまたはガラスから生産されており、前記容器(6;6’;60;61)は、円筒形を有する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の保持構造(1)と、前記保持構造(1)に保持される、医薬、医療もしくは美容用途のための物質の複数の容器(6;6’;60;61)またはそのような容器を有する複数の器具と、の組合せからなる輸送ユニットであって、前記容器または前記器具は、前記レセプタクル(5)内の少なくとも特定の部分に受け入れられている、
輸送ユニット。
【請求項12】
前記容器(60,61)は、円筒形設計であり、狭窄首部(65)を有する上端部と、前記狭窄首部(65)に隣接するとともに前記容器の円筒形の側壁(62)に合流する肩部(64)と、を有しており、前記レセプタクル(5)の下端部の保持突起(22)間の開口幅は、前記容器が前記レセプタクル内に上下逆さまに受け入れられている際に、前記容器の前記上端部が前記保持突起の間の開口を貫通して延び、前記レセプタクル(5)内の前記容器の軸線方向の可動性を制限するために前記容器の前記肩部が前記保持突起(22)上に直接支持されるように、前記容器の前記上端部の外径に合わせられている、
請求項11記載の輸送ユニット。
【請求項13】
前記容器または器具(60;61;6’)は、非円筒形の形状を有する、
請求項11記載の輸送ユニット。
【請求項14】
前記容器または器具(60;61;6’)は、円筒形の本体(6a)から側方に突出する側方延長部(6b)を有し、
周状の前記側壁(10)の上縁部は、前記保持構造の上側に垂直な方向で局所的な最大部(502)と局所的な最小部(501)とを有する閉じられた滑らかな曲線を形成し、前記局所的な最小部(501)は、それぞれのレセプタクル(5)の互いに対向する2つの前記側壁(50,51)の収束領域に位置する、
請求項13記載の輸送ユニット。
【請求項15】
医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器(60,61)のためのまたはそのような容器を有する複数の器具のための輸送または包装コンテナであって、箱形設計の輸送または包装コンテナ(90)において、
前記複数の容器または器具を前記輸送または包装コンテナ内に保持するために、
請求項1から10までのいずれか1項記載の保持構造(1)が、前記保持構造に保持された前記容器と一緒に箱形の前記輸送または包装コンテナ内に受け入れられていることを特徴とする、
輸送または包装コンテナ。
【請求項16】
医薬、医療もしくは美容目的のための複数の容器の無菌輸送のためのまたはそのような容器を有する複数の器具の無菌輸送のための無菌包装構造であって、
請求項11から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの輸送ユニットを有するか、または、
請求項15記載の少なくとも1つの輸送または包装コンテナを有するとともに前記輸送または包装コンテナに受け入れられた前記容器または器具を有する、無菌包装構造において、
前記少なくとも1つの輸送ユニットまたは前記少なくとも1つの輸送または包装コンテナは、少なくとも1つの無菌外装袋に受け入れられ、周囲に対して無菌的に包装されている、
無菌包装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医薬、医療または美容用途のための物質のための容器の処理に関し、特には、医薬、医療または美容用途のための物質のための複数の容器、例えば、バイアル、アンプルまたはカープル、あるいはそのような容器を有する複数のより複雑なアセンブリなどを同時に保持するための保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、バイアル、アンプルまたはカープルなどの薬剤容器は、投与するための医療、医薬または美容調合品を、液体形態で、特に事前に適量に分けられた量で、保管するための容器として広く使用されている。これらの薬剤容器は一般に円筒形であり、プラスチックまたはガラスから生産でき、費用効果的な方法で大量に入手可能である。この点において、容器は、保持構造に入れられ、所定の幾何学的配列で医薬品製造業者にまたは後続の処理作業にますます届けられるようになっており、容器は、保持構造に保持されまたは受け入れられている間にさらに処理される。この目的のために、可能な限りスペースをとらない配列で容器を保持または受け入れる、費用効果的でかつ耐久性のある保持構造が要求されている。
【0003】
中国特許出願公開第103359348号明細書には、複数の垂直位置決めペグが設けられた底部を有する、トラフ形状の保持トレイの形態の保持構造が開示されており、容器は、複数の垂直位置決めペグ間に相互に接触することなく受け入れられ得る。保持構造は、射出成形によりプラスチックから形成される。垂直位置決めペグは同時に、該位置決めペグによって形成されたレセプタクル内に容器を挿入するための案内部として機能する。しかしながら、容器は比較的大きな遊びをもって保持される。達成可能な容器の包装密度は比較的小さい。
【0004】
国際公開第2012/126582号には、プレート状のキャリアを備える、シリンジ体のためのさらなる保持構造が開示されており、プレート状のキャリアには、周状に形成された側壁を有する複数の円筒形のレセプタクルが形成されている。シリンジ体は、その保持フランジによって円筒形のレセプタクルの上端部に載置される。キャリアを強固にするため、円筒形のレセプタクルは、キャリアの下側の接続ウェブを介して互いに接続されている。円筒形のレセプタクル間の距離は比較的大きく、その結果、この保持構造によって達成可能な包装密度は最適ではない。
【0005】
国際公開第2014/130349号には、同等の保持構造が開示されている。
【0006】
国際公開第2017/038878号には、プレート状のキャリアを有するさらなる保持構造が開示されており、プレート状のキャリアには、周状に形成された側壁を有する複数の円筒形のレセプタクルが形成されている。円筒形のレセプタクルは互いに比較的短い距離で配置されるが、そのために、互いに比較的短い距離で2つの側壁を生産する必要がある。プラスチック射出成形による生産中、これは、非常に薄壁で壊れやすい、冷却が困難なリブ状の外形を必要とさせる。これは、さらには、金型の設計において、非常に複雑で、したがって高価な金型につながる。その上、このような設計は、射出成形に使用される金型の耐用年数に悪影響を与える可能性もある。これらの繊細な構造は、射出成形中に、仮に可能であったとしても、非常に大きな労力をかけてしか冷却できないため、この設計は生産プロセスのサイクルタイムにも悪影響を及ぼし、単位生産費の高騰を招く。
【0007】
本出願人の独国実用新案第202016107209号明細書には、前述のタイプのさらなる保持構造が開示されており、保持構造の内部レセプタクルは、軸線方向に延びる位置決めシリンダと、該位置決めシリンダを互いに接続する分離ウェブによって形成されている。この配置は容器のより高い包装密度を可能にするが、プラスチック射出成形による保持構造の生産は比較的複雑である。
【0008】
本出願人の未公開の独国特許出願第102017101398.9号には、レセプタクルが比較的薄い分離および接続ウェブによって形成されるさらなる保持構造が開示されており、該保持構造は、プラスチック射出成形による保持構造の生産を比較的複雑にする。
【0009】
2018年5月14日に出願された本出願人の独国特許出願第102018111491.5号「医薬、医療または美容用途のための物質のための複数の容器を同時に保持するための保持構造、輸送ユニット、および該輸送ユニットを有する輸送または包装コンテナ」には、医薬、医療または美容用途のための物質のための複数の容器を同時に保持するための、該容器を受け入れるための複数のレセプタクルを有する保持構造が開示されており、レセプタクルは、規則的な配列で配置されており、平面図で見たとき、レセプタクルは多角形設計である。ここで、レセプタクルは側壁によって形成されるとともにいずれも周状であり、複数のレセプタクルのうち直接隣接するレセプタクルの各対間には、共通の分離壁としての側壁が形成されている。
【0010】
多くのさまざまな理由により、従来技術によれば、通常、周状の側壁によってレセプタクルが形成された保持構造が使用されている。円筒形の基体を有する容器を保持するために、ここでのレセプタクルは、独国特許出願公開第19815993号明細書に開示されているように、常に、円形の基本形状、または四角形の基本形状、すなわち正方形または長方形の基本形状、または六角形の基本形状のいずれかを有する。
【0011】
図1aは、従来技術に従う保持構造100の六角形に形成されたレセプタクル101内の、円筒形の基体を有する保持容器102の幾何学的形状を要約したものである。レセプタクルの6つのコーナの各々において、2つの隣接する側壁105,106はいずれも、破線で示すように、角度θ=60°で収束する。ここで、比較的狭い隙間104だけが、容器102の円筒形の側壁とレセプタクル101の側壁105,106との間に残され、その隙間の幅は、保持構造100の包装密度を最適化するという理由で一般に最小化され、また、この隙間の幅は、一般に、レセプタクル101内に容器102を挿入かつ位置決めするのに役立つ、側壁105,106上の案内リブの長さによって定められている。
【0012】
四角形または六角形の基本形状を有するレセプタクル101の場合、この隙間104の最大幅は、側壁105,106上の案内リブの長さに実質対応する三角形の高さによって形成される。円形の基本形状を有するレセプタクル101の場合、受け入れられた容器102の外周に沿ったこの隙間104の幅は一定であり、側壁105,106上の案内リブの長さによって定められる。
【0013】
これは、前述のタイプの保持構造のレセプタクル内に受け入れられている容器へのアクセスおよび該容器のハンドリング(例えば持上げや除去)のために、補助的なツールを係合させるための特定の手段を設けなければならないことを意味し、該特定の手段は、保持構造の安定性をしばしば低下させる。
【0014】
六角形に形成されたレセプタクルを有する保持構造に共通することは、レセプタクル102のコーナ領域で収束する、直接隣接する側壁105,106が、
図1aに破線で示すように、鈍角θ=120°を囲むことである。八角形に形成されたレセプタクル102の場合、直接隣接する側壁105,106は角度θ=135°を囲む。正方形または長方形のレセプタクルの場合、直接隣接する側壁105,106は、対照的に、直角(θ=90°)を囲む。
【0015】
したがって、例えば、独国特許出願公開第102009027454号明細書には、その下側に複数の円筒形のレセプタクルが形成されたプレート状のキャリアプレートを有する保持構造が開示されており、該複数の円筒形のレセプタクルは、キャリアプレートで始まり、まず、周状の側壁によってレセプタクルの下端部にまで形成され、しかしながら、縦方向スロットが2つの正対する側に形成され、該縦方向スロットは、レセプタクル内の1行の容器を持ち上げるための帯状ツールの係合を可能にする。したがって、レセプタクルの側壁は、下端部において周状に形成することができず、レセプタクルの機械的な安定性を低下させるとともに、特に、レセプタクルに対して垂直に作用する力が容器に加わった際に、レセプタクルの開拡を招くおそれがある。
【0016】
したがって、前述のタイプの保持構造の生産の改善に対するさらなる要求がある。
【0017】
発明の概要
本発明の目的は、医薬、医療または美容用途のための物質のための複数の容器を同時に保持するための改善された保持構造であって、簡単かつ費用効果的に生産することができ、しかも有利に高い剛性および容器の高い包装密度を可能にする改善された保持構造を提供することである。それと同時に、保持構造のレセプタクル内に容器を挿入できるとともに、そこから再び容器を単純かつ確実に取り除くこともできるようにしなければならない。本発明のさらなる態様は、輸送ユニットあるいは輸送または包装コンテナに関し、また、そのような保持構造を有する無菌包装構造に関する。
【0018】
これらの目的は、請求項1に従う保持構造、請求項21に従う輸送ユニット、請求項25に従う輸送または包装コンテナ、および請求項27に従う無菌包装構造によって達成される。さらなる有利な実施形態は、上記請求項を引用する従属請求項の主題を形成する。
【0019】
本発明によれば、医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器、またはそのような容器を有する複数の器具を同時に保持するための保持構造であって、容器または器具を受け入れるための複数のレセプタクルを有し、該レセプタクルが規則的な配列に配置されており、また、レセプタクルが周状に形成された側壁によって形成されている、保持構造が提供される。ここで、レセプタクルは、容器または器具がレセプタクルに受け入れられている際に、該容器または器具の側壁とレセプタクルの周状に形成された側壁との間に環状の隙間が形成されるように、容器または器具の外形に合わせられている。この目的のために、上述の隙間は、特に、レセプタクル内へ半径方向内向きに延びる案内および位置決めリブによって正確に予め定めることができる。ここで、この環状の隙間の幅は、特定の部分において、例えばいくつかの点状の領域で、無限小であり得る。
【0020】
本発明によれば、平面図で見て、レセプタクルは、点対称または鏡面対称の仮想的な基本形状から始まり、第1の方向に縮小されるとともに該第1の方向に対して横方向の第2の方向に拡大され、その結果、上記隙間がレセプタクルの少なくとも1つの領域において拡幅され、レセプタクルに受け入れられた容器または器具のハンドリングのための拡幅されたクリアランスが形成されている。少なくとも1つの拡幅されたクリアランスは、レセプタクルに受け入れられた容器または器具のハンドリングを大幅に容易にすることができる。なぜならば、レセプタクルに受け入れられている容器または器具へは、ツールなどを用いて大幅に、より簡単にアクセス可能となっているからである。
【0021】
点対称または鏡面対称の仮想的な基本形状は、特に、円形または正n角形(ここでnは4以上)とすることができる。ここで、平面図で見て、レセプタクルの形状は、非点対称とすることができる。しかしながら、原理的には、レセプタクルの点対称の基本形状も考えられ、特に、点対称ではないが鏡面対称のレセプタクルも考えられる。
【0022】
点対称性は、通常のレセプタクルによっていずれも形成される幾何学図形(例えば、通常のn角形または円形)に常に見つけることができ、この点対称性はこの図形自体に投影されるが、そのような対称中心は、本発明に従うレセプタクルにおいては、必ずしも見つけることはできない。
【0023】
前述の隙間は、便宜的には、レセプタクルに受け入れられた容器または器具とレセプタクルの側壁との間に一定の隙間幅を有し、便宜的には、案内および位置決めリブによって正確に予め定められており、その一方で、その隙間幅は、ツールなどによって容器または器具へのアクセスを可能とするために、拡幅されたクリアランスを有する1つの端部領域でのみまたは2つの端部領域でのみ非常に大きくなる。ここで、それぞれの拡幅されたクリアランスの領域では、レセプタクルの幾何学的形状は、該レセプタクルの他のすべての領域の幾何学的形状とは大幅に異なる。レセプタクルは、例えば、主に放射対称のまたは点対称のまたは鏡面対称の基本形状、例えば、円形、四角形または六角形の基本形状を有するが、それぞれの拡幅されたクリアランスの形状は、該レセプタクルの他のすべての部分におけるこの基本形状の幾何学的形状とは大幅に異なる。
【0024】
本発明によれば、レセプタクルのこの幾何学的形状により、レセプタクルに収容された容器または器具のハンドリングのための該容器または器具への最適なアクセス性と併せて、非常に高い面積使用指数(包装密度)を実現することが可能になる。円形の基本形状または正多角形の基本形状とは異なるレセプタクルの基本形状によって、本発明によれば、非対称に形成された大きな容器(例えば、マイクロインジェクタなどのためのサブアセンブリ)の受け入れにも利用可能な十分なスペースがもたらされ、本発明によれば、利用可能な拡幅されたクリアランスによってそのハンドリングが容易になる。
【0025】
例えば、輸送および包装コンテナの内部、保持構造、ならびに該保持構造に保持された容器または器具の内容積を、輸送および包装コンテナ内へのガスの流入によって滅菌することを意図する場合、拡幅されたクリアランスはさらに、容器または器具を保持した保持構造を受け入れる輸送および包装コンテナ内のガス交換のための追加の流路を利用可能とする。
【0026】
ここで、第1の方向でのレセプタクルの幅が該第1の方向での仮想的な基本形状の幅よりも小さくなるとともに、第1の方向に対して横方向の第2の方向でのレセプタクルの幅が該第2の方向での仮想的な基本形状の幅よりも大きくなるように、レセプタクルは、便宜的に、第1の方向に縮小されるとともに該第1の方向に対して横方向の第2の方向に拡大されている。ここで、レセプタクルの基本形状を決定する縮小係数および拡大係数は、原理的には、同一とすることができ、でなければ異ならせることができる。
【0027】
さらなる実施形態によれば、第1の方向でのレセプタクルの幅が第1の方向での仮想的な基本形状の幅よりも小さくなるとともに、第1の方向に対して横方向の第2の方向でのレセプタクルの幅が第2の方向での仮想的な基本形状の幅よりも大きくなるように、レセプタクルは、便宜的に、第1の方向に縮小されるとともに、該第1の方向に対して横方向の第2の方向に拡大されている。ここで、レセプタクルの基本形状を決定する縮小係数および拡大係数は、原理的には、同一とすることができ、でなければ異ならせることができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルは、六角形の基本形状を有するか、または六角形の基本形状から派生しており、第2の方向でのレセプタクルの幅は、第1の方向でのレセプタクルの幅よりも少なくとも30%だけ、より好ましくは少なくとも22%だけ、より一層好ましくは少なくとも17%だけ大きい。本発明によれば、レセプタクルの幾何学的形状は、正六角形の幾何学的形状とは明らかに異なり、その最小幅と最大幅との比率はおおよそ1:1.16である。
【0029】
さらなる実施形態によれば、第1の方向に沿って互いに対向して位置する、レセプタクルの頂部に近い隙間の幅は無限小であるか、または第2の方向に沿って互いに対向して位置する、レセプタクルのコーナ領域または端部領域に近い隙間の幅よりも小さく、直前に述べた幅は、レセプタクルの前述の拡大係数の選択を介して、簡単に決定することができる。
【0030】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルは、六角形の規則的な配列に分散式に配置され、容器間または器具間の拡幅されたクリアランスは、周囲の容器または器具に対して非対称的に割り当てられている。該クリアランスは、クリアランスの他のすべての部分の通常の幾何学的形状とは異なるため、本発明によれば、レセプタクルに収容された容器または器具のハンドリングのために、該容器または器具へのアクセスを可能にするための拡幅されたクリアランスを提供することができる。
【0031】
前述の第1の態様とは独立して特許請求することができるが、それと組み合わせることもできる本発明のさらなる態様によれば、拡幅されたクリアランスは、コーナ領域によって形成され、該コーナ領域は、拡幅されたクリアランスを形成するために、平面図で見たときに、点にまたは短い接続ウェブに或る収束角で収束する2つの側壁によって形成され、該収束角には以下が当てはまる:0°<α<110°、より好ましくは0°<α<45°、より一層好ましくは0°<α<30°。
【0032】
言い換えると、それぞれの拡幅されたクリアランスの領域では、拡幅されたクリアランスの頂角は、保持構造のレセプタクルのための基本形状として用いられている、従来技術に従う正六角形(α=120°)、八角形(α=135°)または十二角形(α=160°)の幾何学的形状に対応する頂角よりも小さい。したがって、拡幅されたクリアランスを形成するために、レセプタクルに受け入れられた容器または器具と、関連するレセプタクルの側壁との間の前述の隙間は、レセプタクルの1つの領域または2つの領域において半径方向外向きに伸張されまたは拡大されており、該拡幅されたクリアランスは、レセプタクルに受け入れられた容器または器具のハンドリングを、特に、ツール、例えば把持ツールや容器または器具を持ち上げるためのツールをこのようにして設けられた拡幅されたクリアランス内に挿入することによって、大幅に簡単にする。
【0033】
レセプタクルの幾何学的形状は、1つの拡幅されたクリアランスまたは2つの拡幅されたクリアランスを除いて、他のすべての領域で、単純な幾何学的形状、例えば円筒形の基本形状に、点対称の幾何学的形状に、鏡面対称の対称形状に、または正多角形(特に六角形または八角形)の対称形状に対応した単純な幾何学的形状に便宜的には対応させることができるのに対し、それぞれの拡幅されたクリアランスの幾何学的形状は、前述の半径方向外向きの拡大または伸張によって、他のすべての領域におけるこの幾何学的形状とは大幅に異なる。
【0034】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルの収束する側壁は、レセプタクルの縦方向にいずれも延びかつそれぞれのレセプタクルのコーナ領域に配置された直線状のコーナ領域に収束することができるか、または収束する側壁はいずれも、短い接続ウェブと一緒に、レセプタクルの縦方向にいずれも延びかつそれぞれのレセプタクルのコーナ領域に配置される直線状のコーナ領域を形成することができる。レセプタクルの幾何学的形状のこの単純な変更によって、レセプタクルに受け入れられた容器または器具のハンドリングのための拡幅されたクリアランスを簡単な方法で達成することができる。それにもかかわらず、保持構造は、費用効果的にしかも比較的単純に設計された成形ツールを用いて生産することができ、有利に高い包装密度を同時に達成することができる。
【0035】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルは互いに直接隣接することができ、側壁は、複数のレセプタクルのうち直接隣接するレセプタクルの各対間の共通の分離壁として形成されており、これにより包装密度を最適化することができる。共通に使用される分離壁によって、繊細な二重壁構造を効果的に回避でき、プラスチックからの射出成形による生産を大幅に簡単にする。したがって、本発明によれば、金型設計において冷却するのが困難な、薄壁で壊れやすいリブ状の外形を回避することができ、その結果、金型の耐用年数が長くなる。さらに、生産プロセスのサイクルタイムを著しく短縮でき、単位生産費を削減することができる。
【0036】
分離壁は、特に、比較的薄壁に形成することができ、それにもかかわらず、保持構造の高い固有の剛性を実現することができる。これにより、材料の使用量の削減と相まって比較的軽量の保持構造および低生産コストが可能になる。
【0037】
それと同時に、すべての側壁が、レセプタクルのコーナ領域によって互いに直接接続され、かつ協働して対称性の高い中空ハニカム構造であって、保持構造のプレート状の上側から垂直に突出する側壁によって形成された中空ハニカム構造を形成するため、保持構造の非常に高い固有の剛性を達成することができる。
【0038】
共通の分離壁は、本発明の文脈において、分離壁が、断面で見て、いずれも一体にかつ実質的な途切れ部を有することなく形成されていることを意味すると特に理解されるべきである。ここで、それぞれの共通の分離壁の高さは、直接隣接する2つのレセプタクルの軸線方向長さに実質対応し、その結果、それぞれの共通の分離壁は、好ましくはこの高さの少なくとも80%にわたって、固体材料から形成されている。
【0039】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルの側壁は、いずれも平面状の平坦な分離壁として形成されており、直接隣接するレセプタクルの側壁は、該レセプタクルの縦方向にいずれも延びるとともにそれぞれのレセプタクルのコーナ領域に配置された接続領域に収束する。その結果、例えばレセプタクルの六角形配列の場合、平面図で見ると、高い対称性に形成された接続領域は星形となる。これにより、力の高度な対称放散が可能になり、その結果、保持構造の固有剛性が有利に高くなる。
【0040】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルはいずれも、平面図で見て対称軸線に関して鏡面対称に形成されており、少なくとも1つの拡幅されたクリアランスは、対称軸線に直交する方向に形成され、レセプタクルの側壁と該レセプタクルに受け入れられた容器または器具との間に大幅により小さな開口幅を有する小さなクリアランスは、対称軸線の延在方向に形成される。
【0041】
さらなる実施形態によれば、平面図で見て、レセプタクルの側壁の2つの頂点は、前述の対称軸線上にあり、または前述の対称軸線は、平面図で見て、平坦化されたもしくは対称的に凹状に湾曲した側壁と直角に交差する。ここで、レセプタクルの中央部分は、受け入れられた容器または器具とレセプタクルの側壁との間に狭い端部隙間をもつ幾何学的形状を有し、該端部隙間は、便宜的には、案内および位置決めリブによって定められ、一定の隙間幅を有する。それと同時に、ここでは、少なくとも1つの拡幅されたクリアランスの幾何学的形状がこの幾何学的形状とは大幅に異なり、その結果、高い包装密度を有する場合でも、容器または器具のハンドリングのために、ツールなどによる容器または器具への非常に良好なアクセス性を達成することができる。
【0042】
さらなる実施形態によれば、平面図で見て、収束する側壁はいずれも、弧の形で凹状に湾曲している。したがって、収束する側壁は、コーナ領域で集まるか、またはそれぞれの拡幅されたレセプタクルの短い接続ウェブに、無視できるほどの収束角(α=0°)で、すなわち互いに平行に集まる。ここで、接続ウェブの長さは、容器または器具を受け入れる部分の開口幅よりも大幅に小さい。
【0043】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルはいずれも、互いに対向するコーナ領域または収束する側壁の短い接続ウェブに形成された、ハンドリングのための2つの拡幅されたクリアランスを有する。したがって、レセプタクルはいずれも、中心線に関して鏡面対称に形成される。したがって、レセプタクルに受け入れられた容器または器具は、そのハンドリングのために、2つのクリアランスからツールによって、例えば、ツールの把持アームによってハンドリングすることができ、該把持アームはいずれも、拡幅されたクリアランスの1つに引き込まれ、そしてレセプタクルに収容された容器または器具に側方から作用する。
【0044】
さらなる実施形態によれば、レセプタクルは同一の基本形状であるとともに、ハンドリングのための拡幅されたクリアランスをいずれも有し、該拡幅されたクリアランスは、コーナ領域にまたは短い接続ウェブに収束するとともに収束する側壁によって形成されており、レセプタクルはいずれも、行と該行に直交して延びる列とに沿って互いにオフセットして配置されており、列または行に沿って互いに直接隣接するレセプタクルはいずれも、列または行に関して鏡像式に配置されている。言い換えると、レセプタクルは、いずれも反対方向に交互に拡大または伸張され、かついずれも反対向きに組み合わされて保持構造を形成する。したがって、特に、容器または器具を受け入れるために、側方にまたは中央のレセプタクルから半径方向に離れるように拡大されまたは伸張された拡幅されたクリアランスを1つだけ有するレセプタクルの場合、本発明によれば、レセプタクルに受け入れられた容器または器具への、それらのハンドリングのための改善されたアクセスを有しつつ、非常に高い包装密度を達成することが可能である。
【0045】
さらなる実施形態によれば、平面図で見て、レセプタクルはいずれも、六角形の基本形状を有し、該六角形の基本形状は、平面図で見て、収束する側壁に比べて著しく短い2つの平坦な接続ウェブを有する。ここで、直接隣接するレセプタクルの接続ウェブは、両レセプタクルによって使用される共通の分離壁を形成することもでき、これにより、より高い包装密度が可能になる。それと同時に、ここでは、接続ウェブを、前述の対称軸線に、または容器または器具を受け入れる中央のレセプタクルの中心線に整列させることができる。この配置は、高い包装密度と保持構造の非常に高い固有の剛性とを同時に可能にする。
【0046】
さらなる実施形態によれば、保持構造はさらに、保持構造の上側を形成するプレート状のキャリアを有しており、側壁およびレセプタクルは、プレート状のキャリアから垂直に突出する。これは、保持構造の固有の剛性をさらに増大させる。
【0047】
さらなる実施形態によれば、周状の側壁の上縁部は、保持構造の上側に垂直な方向で少なくとも1つの局所的な最大部と少なくとも1つ局所的な最小部とを有する閉じられた滑らかな曲線を形成し、それぞれの局所的な最小部は、拡幅されたクリアランスがそれぞれ割り当てられた領域に位置する。したがって、周状の側壁の上縁部には、非対称基本形状を有する容器または器具の角度配向を可能にする一種のスライドまたは傾斜面が形成される。そのような容器または器具は、第1の方向において、該第1の方向に直交する方向よりも幅広であり、該容器または器具は、レセプタクルへの挿入中に、上方から垂直方向で自動的に案内されるとともに、容器または器具が幅広である第1の方向が、レセプタクルが幅広であるレセプタクルの方向と平行になるように自動的に配向されるように回転させられる。これにより、容器または器具の回転配向の自動的な角度決めが可能になる。
【0048】
さらなる実施形態によれば、側壁の、保持構造の上側に面する上端部は、弧の形で凹に湾曲した輪郭を有し、したがって、保持構造の垂直上方からレセプタクルへの容器または器具の挿入を容易にする漏斗状である。ここで、特に、側壁の上端部は、保持構造の上側からどの地点でも突出していない。これにより、側壁の上端部の望ましくない詰まりが回避されるため、スペースを節約した、保持構造の互いに上下への積重ねが容易になる。
【0049】
さらなる実施形態によれば、側壁上には案内リブが形成され、該案内リブは、レセプタクルの縦方向に延びるとともに、レセプタクルの上端部内への容器または器具のねじ込みまたは挿入を支援する。ここで、保持構造の上側からレセプタクル内への容器または器具の挿入をさらに容易にするために、案内リブの上端部に、案内リブに対して傾斜している挿入傾斜を形成することができる。
【0050】
さらなる実施形態によれば、案内リブは、それぞれのレセプタクルの幾何学的中心に向かう方向でレセプタクル内に内向きに突出し、その結果、容器または器具を、レセプタクルの側壁から離して中央受け入れ領域に位置させることができ、少なくとも1つの拡幅されたクリアランスは、この中央受け入れ領域から側方に突出している。案内リブのこの最適化された設計により、容器または器具の低摩耗挿入が容易になる。ここで、案内リブは、便宜的には、それぞれのレセプタクルの中央受け入れ領域の幾何学的中心に向かう方向で、レセプタクル内に内向きに突出する。
【0051】
さらなる実施形態によれば、容器をレセプタクル内に保持し、かつレセプタクルの下端部へ向かう、レセプタクル内での容器または器具の軸線方向の可動性を制限するために、レセプタクルの下端部に保持部が設けられている。原理的には、この目的のために、それぞれのレセプタクルの下端部の適切な位置に配置された保持部で十分である。いずれも場合も2つの保持部は、レセプタクルの下端部上で互いに正対して位置している。しかしながら、原理的には、保持部は、それぞれのレセプタクルの円周に沿ってその下端部に1つ以上の途切れ部を有する周縁または実質的に周縁になるように設計することもできる。
【0052】
本発明によれば、特に、非常に高い包装密度が達成される長い、薄いまたは細長い容器の場合には、移動自由度がますます制限された容器間のガラス同士の接触は起こり難くなるため、レセプタクル内での容器または器具の非常に正確な位置決めおよび案内が可能である。
【0053】
レセプタクル内の容器または器具の大幅に制限された移動自由度によって、必要な案内長さも大幅に削減するができる。これは、例えばカープルやシリンジのような、例えば長い、薄いまたは細長い容器で、特に小さいサイズの容器の場合に関連し、なぜならば、これらは、下半分までしかレセプタクル内に挿入できないことが多いためである。本発明によれば、容器または器具の非常に正確な位置決めおよび案内により、それにもかかわらず、ガラス同士の接触がないことを確実に保証することができる。したがって、本発明によれば、材料も節約することができる。
【0054】
さらなる実施形態によれば、容器または器具の上端部または下端部がレセプタクルから突出し、それによって保持構造の上方から自由にアクセスできるように、レセプタクルの長さは、容器または器具の長さに合わせられている。これは、容器または器具が、レセプタクル内に受け入れられているとともに保持構造上に保持されている間に、容器または器具のさらなる加工(processing)または処理(treatment)のために使用することができる。例えば、保持構造(いわゆるネスト(nest))は、保持構造上に保持された容器または器具の中に充填開口を介して物質が充填される間に、または容器または器具が保持構造上に保持されている間に容器または器具の端部内に、容器または器具を閉鎖するための栓または他の適切な閉鎖要素が圧入される間に、またはレセプタクルから突出する端部が、容器または器具を把持し該容器または器具をレセプタクルから除去するために使用され得る間に、加工(process)ステーションの保持フレーム、例えば医薬充填装置に一時的に保持されることができる。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、容器またはそのような容器を有する器具のための輸送ユニットが提供され、該輸送ユニットは、上述した保持構造と、該保持構造に保持された、医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器またはそのような容器を有する複数の器具と、の組合せからなり、容器または器具は、上述したように、保持構造のレセプタクル内の少なくとも特定の部分に受け入れられ、保持構造上に軸線方向で固定式に保持されている。この目的のため、バイアル、カープルまたは同等の医薬容器、あるいは例えばサブアセンブリや自己治療のためのマイクロインジェクションなどの、そのような容器を収容する複雑な医療器具を保持するために、保持構造を、特に、いわゆるネストとして形成することができる。レセプタクルはいずれも、少なくとも1つの拡幅されたクリアランス、好ましくは、レセプタクルの正対するコーナ領域に位置する2つの拡幅されたクリアランスを有するため、外形が非円形の、特に1つ以上の半径方向突出部を有する医薬容器または複雑な医療器具も受け入れることができる。
【0056】
さらなる実施形態によれば、容器または器具は円筒形に形成され、特に、円筒形のカープルまたはバイパスを有するカープルとして形成され、これらの容器または器具は、狭窄首部を有する上端部と、狭窄首部に隣接するとともに容器の円筒形の側壁に合流する肩部とを有しており、レセプタクルの下端部の保持突起間の開口幅は、容器がレセプタクル内に上下逆さまに受け入れられている際に、容器の上端部が保持突起の間の開口を貫通して延び、レセプタクル内の容器の軸線方向の可動性を制限するために容器の肩部が保持突起上に直接支持されるように、容器の上端部の外径に合わせられている。
【0057】
本発明のさらなる態様によれば、医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器のための、またはそのような容器を有する複数の器具のための輸送または包装コンテナが提供され、該輸送または包装コンテナは、箱形であり、複数の容器または器具を輸送または包装コンテナ内に保持するために、上述のように、いわゆるネストとして形成された保持構造が、該保持構造に保持された容器または器具と一緒に箱形の輸送または包装コンテナ内に受け入れられている。
【0058】
ここで、輸送または包装コンテナは、ガス透過性プラスチックフィルムを介したガスの流入による容器または器具の滅菌を可能にするため、特にガス透過性プラスチックフィルムによって、特にプラスチック繊維のガス透過性交絡物から形成されたプラスチックフィルムによって閉鎖または密封することができ、特に、プラスチックフィルムはTyvek(登録商標)フィルムである。
【0059】
さらなる態様によれば、ガス透過性プラスチックフィルムを介したガスの流入による容器または器具の滅菌を可能にするため、輸送または包装コンテナは、特にガス透過性プラスチックフィルムによって、特にプラスチック繊維のガス透過性交絡物から形成されたプラスチックフィルム、好ましくは高密度ポリエチレン繊維から形成されたプラスチックフィルムによって閉鎖または密封することができ、特に、プラスチックフィルムはTyvek(登録商標)フィルムである。
【0060】
無菌輸送および保管のため、少なくとも1つの上述した輸送ユニットを有するか、または少なくとも1つの上述した輸送または包装コンテナを有するとともに該輸送または包装コンテナに受け入れられた容器または器具を有する無菌包装構造がさらに提供され、少なくとも1つの輸送ユニットまた少なくとも1つの輸送または包装コンテナは、少なくとも1つの無菌外装袋に受け入れられ、周囲に対して無菌的に包装されている。ここで、少なくとも1つの無菌外装袋は、特に、例えばポリプロピレン繊維(PP)などのプラスチック繊維の交絡物によって形成されたガス透過性部分を有することができる。
【0061】
本発明は、例として、添付の図面を参照して以下に説明され、さらなる特徴、利点および達成されるべき目的を明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1a】従来技術に従う保持構造の詳細を示す概略平面図である。
【
図1b】本発明の第1の実施形態に従う保持構造の詳細を示す概略平面図である。
【
図1c】本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクルの基本形状の例を示す図である。
【
図1d】本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクルの基本形状の例を示す図である。
【
図1e】本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクルの基本形状の例を示す図である。
【
図1f】本発明のさらなる実施形態に従う保持構造の詳細を示す概略平面図である。
【
図1g】本発明に従う保持構造のレセプタクルの四角形の基本形状のさらなる例を示す図である。
【
図1h】本発明に従う保持構造のレセプタクルの四角形の基本形状のさらなる例を示す図である。
【
図1i】本発明に従う保持構造のレセプタクルの四角形の基本形状のさらなる例を示す図である。
【
図1j】本発明に従う保持構造のレセプタクルの四角形の基本形状のさらなる例を示す図である。
【
図2a】
図1dに従う基本形状をもつ複数のレセプタクルを有する、本発明のさらなる実施形態に従う保持構造を示す平面図である。
【
図2b】
図2aに従う保持構造を示す平面斜視図である。
【
図2c】
図2aに従う保持構造を示す側面図である。
【
図2d】
図2aに従う保持構造を下側から示す斜視図である。
【
図2e】
図2aに従う保持構造を下側から示す、大きく拡大された部分図である。
【
図3a】
図2aに従う保持構造と、意図されたとおり該保持構造上に保持された複数のカープルと、の組合せを示す概略平面図である。
【
図3b】
図3aに従う組合せを下側から示す拡大斜視部分図である。
【
図3c】輸送および包装コンテナ内の
図3aに従う組合せの受け入れを示す概略部分断面図である。
【
図4a】
図2aに従う保持構造と、意図されたとおり該保持構造上に保持された複数の複雑な医療アセンブリと、の組合せを示す平面斜視図である。
【
図4b】
図3aに従う組合せを下側から示す斜視図である。
【
図5a】本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内のバイパスカープルの保持を示す概略部分平面図である。
【
図5b】本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内のバイパスカープルの保持を示す平面斜視図である。
【
図5c】
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態に従う保持構造のレセプタクルを、バイパスカープル無しで示す図である。
【
図6a】
図2aに従う保持構造と、意図されたとおり該保持構造上に保持された複数のシリンジ体と、の組合せを示す平面斜視図である。
【
図6b】
図6aに従う組合せを下側から示す斜視図である。
【
図7a】
図2aに従う保持構造と、意図されたとおり該保持構造上に保持された複数のバイアルと、の組合せを示す平面斜視図である。
【
図8a】
図3aに従う組合せにおけるカープルの、ツールによる持ち上げであって、本発明に従って、カープルに割り当てられたレセプタクルのクリアランス内に引き込まれるツールによる持ち上げを示す平面斜視図である。
【
図8b】
図8aに従う組合せにおけるカープルの支持を、該カープルの持ち上げ前に示す部分斜視断面図である。
【
図8c】
図8aに従う組合せにおけるカープルの支持を、該カープルの持ち上げ状態で示す部分斜視断面図である。
【
図9a】側方延長部を有する容器を、本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内に挿入する間の順次異なる段階を示す図である。
【
図9b】側方延長部を有する容器を、本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内に挿入する間の順次異なる段階を示す図である。
【
図9c】側方延長部を有する容器を、本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内に挿入する間の順次異なる段階を示す図である。
【
図9d】側方延長部を有する容器を、本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内に挿入する間の順次異なる段階を示す図である。
【
図9e】側方延長部を有する容器を、本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内に挿入する間の順次異なる段階を示す図である。
【
図9f】この実施形態に従う保持構造のレセプタクル内の、側方延長部を有する容器を、該容器がレセプタクル内に最終的に保持されているときに示す図である。
【
図9g】この実施形態に従うレセプタクルを示す平面斜視図である。
【
図9h】この実施形態に従うレセプタクルを下側から示す斜視図である。
【0063】
実施形態の詳細な説明
図において、同一の参照番号は、同一または実質的に同一に作用する要素または要素のグループを示す。
【0064】
図1bは、本発明の第1の実施形態に従う保持構造1の詳細を概略平面図で示している。保持構造1は、規則的な配列(アレイ)に配置されるとともに医薬容器、特にバイアル、カープルまたはシリンジ体の受け入れ部として、あるいはそのような医薬容器を内部に有するより複雑に設計されたアセンブリの受け入れ部として役立つ複数のレセプタクル5を有する。本発明によれば、レセプタクル5はn角形の基本形状を有し、ここでnは4以上である。ここで好ましいのは、
図1c~
図1fに従う例示的な実施形態に示されるような六角形の基本形状(n=6)、または
図1bに従う例示的な実施形態に示されるような基本形状であり、したがって基本的に六角形の基本形状でもあり、平面図で見ると、側壁50の相互に正対する2つの頂部52は凹状に湾曲している。しかしながら、原理的には、例えば
図1g~
図1jに示すように、レセプタクルの基本形状として正方形、長方形または菱形も考えられる。
【0065】
レセプタクル5の基本形状に対応して、レセプタクル5は規則的な配列に互いに直接隣接して配置される。したがって、
図1bでは、レセプタクル5の六角形のハニカム配列を見ることができる。しかしながら、原理的には、レセプタクル5は、例えば、行と該行に対して直交して延びる列に沿って互いにオフセットして配置することができる。
【0066】
同一に形成されたレセプタクル5の開口幅は、容器がレセプタクル内に、比較的小さな遊びのみをもってかつ容器6とレセプタクル5の側壁50~52との間に比較的狭い隙間を形成して受け入れられるように、該レセプタクルに受け入れられる容器の最大外径または最大外寸法に合わせられている。したがって、
図1bに従う例示的な実施形態では、相互に正対する頂部52間の距離は、レセプタクル5内に受け入れられる円筒容器6の直径よりもわずかに大きい。この拡大代は、後述するように、側壁50上の案内および位置決めリブがレセプタクル5内に突出する距離によって実質的に予め定められている。
【0067】
それにもかかわらず、保持構造1の輸送中にレセプタクル内の容器の望ましくない傾きまたは揺れを防止するために、ここでは、容器6が該容器6の軸線方向長さの大部分にわたってレセプタクル5内に受け入れられていると好ましい。ここで、レセプタクル5内の容器6の遊びは、以下でより詳細に説明するように、便宜的には、案内リブによって設定される。
【0068】
レセプタクル5は、周状に形成された側壁50によって形成されるが、これは、例えば、軽量化または材料節約のために、側壁50の特定の部分に途切れ部または切欠きが形成される可能性を排除することを意図していない。側壁50は、好ましくは、保持構造1のプレート状の上側から直角に突出する。射出成形に使用される金型からの保持構造1の脱型を容易にするために、側壁は、原理的には、半径方向内向きに、例えば、上側2の垂線に対して最大1°または最大2°の比較的小さい角度で傾斜させることもできる。
【0069】
図1bに示すように、レセプタクル5の多角形の基本形状により、2つの直接隣接するレセプタクル5間にはいずれも共通の分離壁が形成され、該分離壁は互いに隣接する2つのレセプタクル5の側壁50として同時に役立つ。これは、側壁50が一体にかつ固体材料から形成され、したがって断面が矩形であることを意味する。これは、側壁50の下端部または上端部にスロットまたは切欠きを設けることができる可能性を明確に排除するものではない。それにもかかわらず、いずれも共通の分離壁として使用される側壁は、それらの高さの少なくとも80%が固体材料から形成されている。
【0070】
図1aと
図1bとの直接の比較により、本発明の基本原理が明らかになり、それによれば、レセプタクル5は、互いに正対する2つの頂部52の仮想接続線に直交する少なくとも1つの方向では拡大されているのに対し、レセプタクル5は該方向に直交する方向、つまりこの仮想接続線の方向では縮小されている。言い換えると、レセプタクル5は、平面図で見て、点対称または鏡面対称の仮想的な基本形状から始まり、第1の方向に、例えば
図1cの対称軸線53の方向に縮小されるとともにこの第1の方向に対して横方向の第2の方向に拡大され、その結果、レセプタクルの少なくとも1つの領域の隙間が拡幅され、レセプタクル5に受け入れられた容器のハンドリングを容易にする拡幅されたクリアランス56を形成する。
【0071】
図1bに従う例示的な実施形態では、レセプタクル5は、図の平面内において、左方向および右方向の両方に拡大されている。したがって、その寸法が2つの頂部52に近い対応する小さなクリアランス58よりも大幅に大きい2つの拡幅されたクリアランス56が作られている。
図8a~
図8cを参照して以下により詳細に説明するように、拡幅されたクリアランスは、容器6のハンドリング、さらには処理のために、例えばグリッパ、トング、持ち上げツール、プランジャなどのツールによって、レセプタクル5内に受け入れられた容器6にアクセスするのに役立つ。
図1bから分かるように、前述の仮想接続線に直交する方向における、これらの拡幅されたクリアランス56の寸法は、実際には、レセプタクル5に受け入れられた容器6の直径の大きさのオーダであり得る。
【0072】
ここで、
図1bに従う例示的な実施形態は、側壁50が点状(平面図で見た場合)の収束領域に直接収束するのではなく、むしろ前述の仮想接続線に平行に延びる比較的短い接続ウェブ55にいずれも合流するという事実に基づいている。ここで、それぞれのレセプタクル5の側壁50の外端は、接続ウェブ55と実質的に直角に交差し、したがって、
図1bの2本の破線で示されるように、それぞれの接続ウェブ55との交差点で互いに平行に延びている。本出願の意味において、2つの側壁55は、レセプタクル5に受け入れられた容器6の両側に該容器のハンドリングのための2つの拡幅されたクリアランス56を形成するために、実質的に無限小の収束角で短い接続ウェブに収束する。
【0073】
図1bによれば、平面図で見ると、レセプタクル5は、前述の仮想接続線に対してかつ該仮想接続線に直交して延びる線に対しても鏡面対称に形成されている。当然ながら、2つの側壁50の端は、接続ウェブ55の無限小の長さを有するように、実質的に無限小の収束角で、すなわち、互いに実質的に接線アプローチで、点状の領域に直接収束することもできる。
【0074】
図1b~
図1fから容易に分かるように、少なくとも1つの拡幅されたクリアランス56の寸法は、レセプタクル5に受け入れられた容器6とレセプタクル5の側壁50~52との間の隙間の幅より大幅に大きい。レセプタクル5は六角形矩形配列に分散配置されているが、容器6間の拡幅されたクリアランス56は周囲の容器6に非対称的に割り当てられている。
【0075】
図1cは、本発明に従うレセプタクル5のさらなる可能な六角形の基本形状を示しており、2つの側壁50,51はいずれも、対称軸線53の両側で点状(平面図で見た場合)のコーナ領域54に鋭角αで収束し、該鋭角には以下が当てはまる:α<55°、より好ましくはα<45°、さらにより好ましくはα<30°。開口角または収束角αの具体的な大きさは、レセプタクル5に受け入れられた容器6の両側の拡幅されたクリアランス56の所望の寸法に依存する。
図1cから分かるように、2つの互いに対応する側壁50または51は、レセプタクル5に受け入れられた容器6の両側で、プレート状のまたは平面図で見たときに湾曲した接続ウェブ52を介して互いに接続される。容器6は、側壁50~52から離れて比較的狭いクリアランス57の形成を伴う案内および位置決めリブ(図示せず)によってレセプタクル5内に配置され、一方、拡幅されたクリアランス56は、適切に形成されたハンドリングツールによって容器6にアクセスするための十分なスペースを可能にする。
【0076】
図1dは、本発明に従うレセプタクル5のさらなる可能な六角形の基本形状を示しており、対称軸線53の両側の2つの側壁50,51はいずれも、対称軸線53に平行に延びる比較的短い接続ウェブ55に収束する。2つの収束する側壁50,51が接続ウェブを超えて延長された場合、それらは再び鋭角αを囲み、該鋭角には以下が当てはまる:α<110°、より好ましくはα<45°、さらにより好ましくはα<30°。
図1dから分かるように、2つの互いに対応する側壁50または51はいずれも、頂部52において鈍角(180°-α)を囲む。平面図で見ると、2つの接続ウェブは、
図1dに示すように直線状に延びるか、または凹に湾曲した輪郭を有することができる。
【0077】
図1eは、本発明に従うレセプタクル5のさらなる可能な六角形の基本形状を示している。
図1b~
図1dとは異なり、ここでのレセプタクルは、前述の仮想接続線(
図1eの破線で示された軸線53に対応)に直交する方向にのみ拡大されるが、軸線53の反対側では、基本的な形状は、正六角形の形状のそれに対応する。一方、平面図で見ると、軸線53の左側に小さなクリアランス57が形成されており、それらクリアランス57の開口幅は容器6へのアクセスのためには十分ではなく、反対側、つまり軸線53の右側の拡幅されたクリアランス56の寸法は大幅により大きい。この寸法は、
図1eに示すように、そこに受け入れられる容器6の直径よりも大きくすることができる。2つの収束する側壁50,51は、点状(平面図で見た場合)のコーナ領域54に鋭角αで収束し、該鋭角には以下が当てはまる:α<110°、より好ましくはα<45°、さらにより好ましくはα<30°。開口角または収束角αの具体的な大きさは、拡幅されたクリアランス56の所望の寸法に依存する。
【0078】
一般に、例えば、レセプタクル5の基本形状が辺長さaの正n角形の形状に基づいている場合、前述の収束角は、180°-360°/n、ただし(n≧4)である2つの側壁の収束角よりもとにかく小さくなる。ハンドリングツールによる、拡幅されたクリアランス56を介した容器へのアクセスを可能にするために、拡幅されたクリアランスの領域における収束角はいずれも、便宜的には、正n角形の収束角よりも大幅に小さく、その結果、前述の好ましい角度範囲が得られるが、具体的な用途にも依存する。
【0079】
図1eに従う基本形状のレセプタクル5を有する保持構造を形成するために、
図1fに示すように、レセプタクルが補完されて配列が形成されている。より簡単に言えば、個々のレセプタクル5が軸線53に直交する1方向のみに所定の拡大によって形成され、拡幅されたクリアランス56が形成される場合、列(または行)に沿って互いにオフセットして配置されたレセプタクルは、反対方向に交互に拡大されている。言い換えると、レセプタクル5はいずれも、行および該行に直交して延びる列に沿って互いにオフセットして配置され、列または行に沿って互いに直接隣接して配置されたレセプタクル5はいずれも、列または行に関して鏡像式に配列されている。したがって、容器6は、軸線53aおよび53bに沿ってオフセットされかつ拡幅されたクリアランス56の交互に反対方向の配向を伴って互いに直接隣接して配置される。
【0080】
本発明によれば、レセプタクル5の菱形の基本形状により、特に以下の利点、つまり、
- ハンドリングツール、例えばグリッパによるハンドリングのための、レセプタクルに受け入れられた容器への片側または両側からの自由なアクセス、
- 従来の保持構造と比較して、最大20%高い達成可能な包装密度、
- より高い剛性(保持構造に垂直に力を加えるとき、例えば保持構造のレセプタクルに受け入れられた容器内に栓を配置する場合、保持構造の歪みが大幅に少なくなる)、
- より経済的な製造/射出成形による製造中のサイクルタイムの短縮/より少ない材料消費、
- 金型の複雑さの軽減(より少ない投資コスト、より長い耐用年数)、
- プラスチックからの射出成形による生産中、金型は金型の片側のみに少数の大きなコアを必要とするため、金型およびその中に生産される保持構造を非常に良好に冷却できる、
- 容器または基本形状が円形の基本形状と異なるより複雑に設計されたユニットもレセプタクルに受け入れることができ、例えば、いわゆるバイパスカープル(側方に突出するバイパスを有する)を受け入れることができる、
を達成することができる。
【0081】
円筒形のカープルを保持するためのネストについては、同じベース面積のキャリアを使用すると、包装密度を最大58%増加させることができることが示されている(所定のベース面積を有する保持構造上に保持できるカープルの数が40カープルから63カープルに増加すると同時にネストの重量が約160gから113gに減少し、ネストの同等の剛性が得られる)。
【0082】
図1g~
図1jは、四角形のレセプタクルのいくつかのさらなる例示的な基本形状を示している。
【0083】
保持構造(いわゆるネスト)のためのいくつかの例示的な形状が、以下でより詳細に説明される。正四角形の形状から始まり、
図1gに従うレセプタクルは対称軸線53に平行な方向に縮小され、それに対応して該方向に直交する方向に拡大され、その結果、拡幅されたクリアランス56の領域において側壁51,52の収束角は80°となる。
図1hに従う例では、前述の縮小および拡大はより顕著であり、その結果、拡幅されたクリアランス56の領域において側壁51,52の収束角は60°となる。
図1iおよび
図1jに従う例では、前述の縮小および拡大はより一層顕著であり、その結果、拡幅されたクリアランス56の領域において側壁51,52の収束角は、それぞれ40°および20°となる。
【0084】
図2a~
図2eは、平面図で見たときに、キャリア2上に規則的な配列で配置された菱形のレセプタクル5を有する保持構造1の詳細を示している。保持構造1のハンドリングを容易にするために、その上側はプレート状のキャリア2として形成され、該キャリア2は、便宜的には、丸みを帯びたコーナ4を有する。上側2のアクセス開口9は、保持構造1を把持するのに役立ち、該開口は、保持構造1の互いに対向する2つの側で互いにオフセットして設けられている。また、保持構造1を、対応する位置決めペグまたは突起を有する保持構造受け上に位置的に正確な方法で配向できる可能性を可能にするために、プレート状のキャリア2のいくつかの位置には、特に位置決め孔として役立つことができる貫通孔としての開口25が形成されており、該保持構造受けは、例えば、保持構造に受け入れられる容器の挿入(ネスティング(nesting))、充填、閉鎖または除去(ディネスティング(denesting))の際に特に有用である。
【0085】
図2cから分かるように、側壁10a,10bは、キャリア2の上側およびキャリア2の下側の両方から直角に突出している。
【0086】
図2aおよび
図2bに示すように、側壁50,51は、角度αで収束するが、点状のコーナ領域ではなく、比較的短い接続ウェブ55で収束する。側壁50,51の頂部52は、弧状に凹に湾曲した輪郭を有することができる。
【0087】
図2aに示すように、レセプタクル5の図示された六角形配列では、4つの側壁50,51がいずれも比較的短い接続ウェブ55に収束する。直接隣接するレセプタクル5の側壁50,51および接続ウェブ55は、従来の保持構造の場合によくあるような二重壁構造を形成することなく、互いに一体に形成される。保持構造1の下側にも二重壁構造は存在せず、その結果、保持構造1は、側壁50,51および接続ウェブ55の壁厚ならびに上側2の壁厚が小さい場合でも有利に高い固有の剛性を有する。
【0088】
図2dによれば、保持部として作用する保持突起22がレセプタクル5の下端部に設けられており、レセプタクル5内へ半径方向内向きに延びている。各レセプタクル5は、便宜的には、互いに正対して位置する2つの保持突起22を有する。保持突起22は、以下により詳細に説明するように、レセプタクル5に受け入れられた容器の軸線方向の可動性を形状適合により制限し、容器をレセプタクル5内に保持する。原理的には、個々の保持突起22もこの目的のために十分であり、この突起は、周縁または実質的に周縁になるように設計することもできる。
【0089】
直接隣接するレセプタクル5の側壁50,51および接続ウェブ55はいずれも、レセプタクル5の軸線方向の全長にわたって互いに接続されるかまたは一体に形成される。 接続ウェブ55および頂部52の領域における点対称または実質的に星形の接続領域は、均一な力の流れを保証する。全体として、これらの対策は、保持構造1の固有の剛性を増大させる。
【0090】
レセプタクル5のすべての側壁50,51に案内リブ18が設けられ、該案内リブは、レセプタクル5内へ半径方向内向きに突出し、その結果、容器の側壁は、レセプタクル5内に挿入された際に案内リブ18に直接支えられるとともに該案内リブによって案内される。案内リブ18は、レセプタクル5の縦方向の実質全長にわたって延びている。案内リブ18は、保持構造1の上側2からわずかな距離離れて始まり、そしていずれもレセプタクル5の下端部まで下方に延びることができ、より正確には、保持突起22への移行領域までである。案内リブ18の上端部には、案内リブ18に対して鋭角に傾斜した挿入斜面19を形成することができる(
図2bを参照)。
【0091】
図3a~
図3cは、例として、カープル60が本発明に従う保持構造1上にどのように保持されるかを示している。カープル60は、他の医薬容器と同様に、通常、円筒形の側壁62と狭窄首部65とによって形成された本体を有し、円筒形の側壁62はテーパ状の肩部64に隣接し、狭窄首部65は拡幅された上縁部66に合流し、該上縁部66はその内部に形成された排出開口68を有し、該排出開口68は栓によって通常は閉鎖され、該栓は、かしめ装着される金属カバーによって上縁部66に軸線方向で固定される隔壁などを有する。反対側の端部には、充填するため、またそれに引き続きプランジャを受け入れるための充填開口67が位置している。カープル60は、保持構造1のレセプタクル5に上下逆さまに受け入れられ、その肩部64は、2つの保持突起22上に直接支持され、拡幅された上縁部66(ならびにそれに装着された栓および金属カバーがある場合は該栓および金属カバー)を有する端部は、2つの相互に対向する保持突起22の間の隙間を通って延びてレセプタクル5の下側から自由にアクセス可能である。この状態では、充填開口67を有する端部は、キャリア2の上側の上側壁10aの上縁部をわずかに超えてレセプタクル5から突出している。レセプタクル5内において、カープル60は、レセプタクル5内の案内および位置決めリブ18によって中心に位置決めされている。
図3bによれば、カープル60の両側に拡幅されたクリアランス56が形成され、該拡幅されたクリアランス56は、カープル60のハンドリング(例えば把持や持上げなど)のために、レセプタクル5に受け入れられているカープル60へのアクセスを可能にする。ここで、アクセスは、以下に説明するように、キャリア2の上側および/または下側から得ることができる。
【0092】
図3cは、輸送および包装コンテナ90内の保持構造1およびその上に保持された複数のカープル60の組合せの配置をさらに示している。
図3cによれば、輸送および包装コンテナ90は、実質的に箱形またはトラフ形であり、底部91と、そこから垂直に突出する周状に形成された側壁92と、該側壁から実質的に直角に突出する段部93と、周状に形成された上部側壁94と、フランジのように形成された上縁95と、を有する。保持構造1は、輸送および包装コンテナ90の段部93上に直接載置され、その結果、保持構造1は、輸送および包装コンテナ90内に正確に位置決めされ、複数のカープル60は、このようにして、規則的な配列で正確に規定された位置に配置かつ保持される。保護フィルム(図示せず)は、配送状態で上縁95に適用される。
【0093】
図4aおよび
図4bは、例として、より複雑に設計されたユニットが本発明に従う保持構造1にどのように保持されるかを示している。この例では、ユニットは、概して円筒形の基本形状の本体6aと、該本体6aから横方向に突出するがそれに接続されている側方延長部6bと、を有すると考えることができる。本体6aは、例えば医薬容器、例えばカープルまたはシリンジ体を受け入れることができる。そのようなユニットは、例えば、単純な医療器具を構成することができ、例えば、注射ペンにおいてまたは糖尿病などの自己治療のための自動注射器として使用することができる。
図4aおよび
図4bに示すように、側方延長部6bは、2つの拡幅されたクリアランス56の1つをほぼ完全に満たす。それにもかかわらず、ユニットにそのハンドリングのためにアクセスするために、反対側の拡幅されたクリアランス56を利用することができる。ここで、アクセスは、以下に説明するように、キャリア2の上側および/または下側から得ることができる。
【0094】
図5aおよび
図5bは、本発明のさらなる実施形態に従う保持構造のレセプタクル内のバイパスカープルの保持を示す概略部分平面図および平面斜視図である。カープルは、円筒形の本体6aと、レセプタクルの2つの拡幅されたクリアランス56の1つを満たす側方延長部6bと、を有する。それにもかかわらず、バイパスカープルにそのハンドリングのためにアクセスするために、反対側の拡幅されたクリアランス56を利用することができる。ここで、アクセスは、以下に説明するように、キャリア2の上側および/または下側から得ることができる。
図5cは、この保持構造のレセプタクルをバイパスカープル無しで示している。
【0095】
図5a~
図5cによれば、2つの側壁50,51は弧の形に湾曲しており、該2つの側壁50,51は、レセプタクルの2つのコーナ領域54で接線方向に収束するか、または比較的小さな鋭角を囲むように収束し、該鋭角には以下が当てはまる:α<55°、より好ましくはα<45°、より一層好ましくはα<30°。側壁50,51の頂部は凹状に湾曲しており、その領域に案内および位置決めリブ18が設けられている。
図5bおよび
図5cから分かるように、レセプタクルの周状の側壁の上縁部は、保持構造の上側に直交する方向で少なくとも1つの局所的な最大部52aと少なくとも1つの局所的な最小部52bとを有する閉じられた滑らかな曲線を形成する。より正確には、側壁の上縁部はいずれも、4つの局所的な最大部52aおよび局所的な最小部52bを有する。2つの局所的な最小部52bは、拡幅されたクリアランス56がそれぞれ割り当てられた領域に位置する。したがって、レセプタクルの上縁部は、非対称基本形状を有するバイパスカープルの角度配向を可能にする一種のスライドまたは傾斜面を形成する。第1の方向において、該第1の方向に直交する方向よりも幅広のバイパスカープルは、レセプタクル5への挿入中に、上方から垂直方向で自動的に案内されるとともに、バイパスカープルが幅広である第1の方向が、レセプタクル5が幅広であるレセプタクル5の方向と平行になるように自動的に配向されるように回転させられる。これにより、バイパスカープルの回転配向の自動的な角度決めが可能になる。
【0096】
図6aおよび
図6bは、例として、シリンジ体69が本発明に従う保持構造1上にどのように保持されるかを示している。シリンジ体69は、通常、その遠位端に排出開口68が形成された本体を有する。反対側の端部には、充填するため、またそれに引き続きプランジャを受け入れるための充填開口67が位置している。シリンジ体69は、保持構造1のレセプタクル5内に上下逆さまに受け入れられ、拡幅されたフランジ70は、キャリア2の上側上の側壁50,51の上端部上に載置される。この状態では、シリンジ体69は、レセプタクル5内の案内および位置決めリブ18によって中心に位置決めされている。
図6bによれば、拡幅されたクリアランス56がカープル60の両側に形成され、該拡幅されたクリアランス56は、レセプタクル5に受け入れられているシリンジ体69への、それらのハンドリング(例えば把持や持上げなど)のためのアクセスを可能にする。ここで、アクセスは、以下に説明するように、キャリア2の上側および/または下側から得ることができる。
【0097】
図7aおよび
図7bは、例として、ガラスバイアル61が本発明に従う保持構造1にどのように保持されるかを示している。バイアル61は、通常、円筒形の側壁62と狭窄首部とによって形成された本体を有し、該円筒形の側壁62はテーパ状の肩部64に隣接し、該狭窄首部は拡幅された上縁部66に合流し、該上縁部66はその内部に形成された排出開口68を有し、該排出開口68は栓などによって通常は閉鎖され、該栓などは、かしめ装着される金属カバーによって上縁部66に軸線方向で固定される。バイアル61の反対側の端部には、閉鎖された底部63が形成されている。
図7bによれば、バイアル61は、保持構造1のレセプタクル5内に直立して受け入れられ、その際、底部63は、2つの保持突起22上に直接支持されてレセプタクル5の下側からアクセス可能である。この状態では、充填開口67を有する端部は、キャリア2の上側上の上側壁50,51の上縁部をわずかに超えてレセプタクル5から突出している。レセプタクル5において、カープル60は、レセプタクル5内の案内および位置決めリブ18によって中心に位置決めされる。
図7aによれば、拡幅されたクリアランス56がバイアル61の両側に形成され、該拡幅されたクリアランス56は、レセプタクル5に受け入れられているバイアル61への、それらのハンドリング(例えば把持や持上げなど)のためのアクセスを可能にする。ここで、アクセスは、以下に説明するように、キャリア2の上側および/または下側から得ることができる。
【0098】
図8aから
図8cを参照して、本発明に従う医薬容器のハンドリングの一例として、カープル60に割り当てられた、保持構造1のレセプタクル5の拡幅されたクリアランス56内に、本発明に従って引き込まれるツールによるカープル60の持ち上げを組合せで以下に示す。
図8bおよび
図8cによれば、ハンドリング用のツール80は、上端部に2つのハンドリングアーム81が設けられた矩形の基体を有し、該ハンドリングアーム81は、小さな鋭角で互いに向かって近づき、適切であれば、トングのように共通の転心周りに枢着することができる。ハンドリングアーム81の間には凹部83が形成されており、該凹部83内へは、おそらくは金属カバーが固定された、カープル60の拡幅した上縁部66を突出させることができる。2つのハンドリングアーム81間の距離は、それらの自由上端82において、該距離がカープル60の肩部64の外径に実質的に対応するように選択される。ツール80の幅は、ツール80をレセプタクル5内に十分な程度まで挿入してカープル60を持ち上げることができるように、レセプタクル5の寸法に合わせられる。
【0099】
キャリア2の下側からレセプタクル5内にツール80を挿入すると、
図8bに示すように、ハンドリングアーム81の自由上端82が最終的にカープル60の肩部64と接触する。ツール80をさらに持ち上げる間、
図8aおよび
図8cに示すように、カープル60はそれに伴い上昇位置60’に持ち上げられる。この上昇状態60’では、カープル60は把持ツールによって把持して搬出することができ、またはカープル60がまだレセプタクル5内に部分的に受け入れられている間にさらなる処理のため保持することができる。
【0100】
修正されたツールを用いて、同じ方法で、カープル60のすべての行もしくは列、または保持構造1に保持されたすべてのカープル60を同時にハンドリング、例えば持ち上げたり、把持したりすることも可能である。そのように設計されたツールは、例えば、充填開口67に栓を配置する場合のように、例えば、軸線方向下向きに作用する力がカープル60に作用する場合に、カープル60を機械的に支持するためにも使用でき、それにより、キャリア2の曲がりに対抗することができる。
【0101】
ツール80のハンドリングアーム81は、例えば、レセプタクル5内に受け入れられたカープル60を把持し再び解放するために、トングのような協調した枢動を実行するように調整可能とすることもできる。
【0102】
保持構造1の固有の剛性は、特に、容器がレセプタクル5に受け入れられている間に容器をさらに加工することも可能にする。例えば、保持構造1がその下側の縁に沿って保持フレーム上に配置され、次いで閉鎖要素、例えば閉鎖栓が容器の端部に取り付けられ、該閉鎖要素が、好ましくは保持構造内に受け入れられたすべての容器または1行以上の容器に対して同時に、軸線方向に変位させられることが考えられる。ここで支配的な力は、保持構造によって十分な程度まで補償され、その結果、保持構造のわずかな曲がりしか発生せず(例えば、保持構造の長さにわたって最大でも2.0mm)、その結果、閉鎖要素の詰まりを回避することができる。
【0103】
図9aから
図9hを参照して、非円筒形の基本形状を有する容器または医療器具の挿入および保持について以下に説明する。全体的に参照符号6’で示され、
図4aおよび
図4bの基礎としてすでに上記で取り上げられているこのような容器または医療器具の場合、以下では、該容器または医療器具が、円筒形または実質的に円筒形の基本形状を有する本体6aと、そこから側方に突出する側方延長部6bと、を有すると仮定し、ここでは、単純化の理由から、該延長部が円筒形または実質的に円筒形の基本形状を有すると仮定するが、これは必ずしも必要ではない。本体6aの下端部は参照符号60aで示されており、側方延長部6bの下端部は参照符号60bで示されている。
【0104】
レセプタクル5の一般的な幾何学的形状は、
図9gおよび
図9hに示されており、
図1eを参照してすでに説明されている。レセプタクルの周状に形成された側壁10は、収束し、拡幅されたクリアランス56を形成する2つの側壁部50,51を有し、図示の小さなクリアランス57は、側壁部によってレセプタクルの反対側端部に形成される。これらの2つのクリアランス56,57は、
図9fに示されるように、器具6’が最終的にレセプタクル内に挿入されたときに生じる。
図9gによれば、周状に形成された側壁10の上縁部は、レセプタクルの軸線方向におけるまたは図示しないキャリア(
図2a参照)に直交する方向における局所的な最大部502と、同方向で見て局所的な最小部501と、を有する傾斜した設計である。傾斜500は、側壁10の上縁部において、最大部502または上側頂部と、最小部501または下側頂部との間に形成され、最小部501または下側頂部の方向に連続的に傾斜して延びる。
【0105】
図9hから分かるように、本体6aの下端部60aを支持するための2つの保持突起22が、
図3bを参照して上述した方法で、側壁10の下端部に設けられている。これらの保持突起22は、レセプタクル5の、拡幅されたクリアランス56の反対側に位置する側に位置している。
【0106】
レセプタクル5の基本形状は、器具6’をその中に受け入れることが可能なように器具6’の基本形状に合わせられており、その保持状態において、
図9fに示すように、側方延長部6bは拡幅されたクリアランス56内に受け入れられ、本体6aはレセプタクルの、このクリアランス56から離れる方を向く側に受け入れられる。器具6’は、
図9hに示される保持突起によってのみ保持され得る。しかしながら、原理的には、代替的に、他のまたは追加の保持要素、特に側方延長部6bの下端部60bを支持するために、拡幅されたクリアランスの領域に保持突起を設けることも可能である。
【0107】
原理的に、挿入のために、器具6’は、側方延長部6bが拡幅されたクリアランス56と整列するように、上方からレセプタクル5内へ垂直に配向すべきである。それにより器具6’を問題なく挿入することができる。ここで、側壁10の上縁部の挿入斜面(図示せず)は、器具6’をスムーズに案内し、レセプタクル5内での器具6’の適切な中心位置決めを保証することができる。
【0108】
しかしながら、器具6’のそのような最適な配向は、常に保証されるとは限らない。したがって、非円筒形の基本形状を有するそのような器具6’をロボットや把持アームなどによってハンドリングする場合、不正確さが発生して上方からレセプタクル5内への垂直な挿入がより困難になる可能性がある。
【0109】
そこで、完ぺきに配向されていない器具6’を、上方からレセプタクル5内に垂直に挿入する場合、まず、本体6aの下端部60aおよび/または側方延長部6bの下端部60bが、
図9bに示すように、側壁10の上縁部と接触する。器具6’の不正確な配向が、
図9fに従う完ぺきな配向とそれほど大きく変わらないと仮定した場合、側方延長部6bの下端部60bは、重力に従って、拡幅されたクリアランス56の方向にスライドし、これにより、最終的に
図9fに従う最適な配向が達成されるまで、器具6’の、その縦方向軸線周りの或る程度の回転変化がもたらされる。この目的のために、上方からレセプタクル5内へ垂直に挿入する間、器具6’が非回転式に堅固に保持され、ロボットや把持アームなどが器具6’の、その縦方向軸線周りの或る程度の回転を許可または積極的に駆動すると有利である。
【0110】
側壁10の上縁部の傾斜500によって、側方延長部6bの下端部60bは、
図9cから
図9eに順に示すように、最終的に、重力に従って、側壁部50,51の収束領域の最小部501の方向にさらにスライドする。ここで、本体6aも常に、最終的に
図9fに従う状態に到達するまでレセプタクル5内にさらに係合する。この状態では、側方延長部6bは、拡幅されたクリアランス56内で最大に係合する。
【0111】
上述のように、器具6’をレセプタクル5に挿入するために、器具6’が非回転式に堅固な方法でロボットや把持アームなどに保持されると有利である。代替的に、ロボットや把持アームなどは、側方延長部6bの、拡幅されたクリアランス56との適切な配向を可能にするために、器具6’の、その縦方向軸線周りの或る程度の回転を可能にする。
【0112】
側方延長部6bを案内するために、傾斜500は、必ずしも側壁10の上縁部全体にわたって延びる必要はなく、特に、傾斜500の下側頂部501に至るまでの全体にわたって延びる必要なない。むしろ、側壁10の上縁部の適切な位置の特定の部分に傾斜500が形成されていれば十分なこともある。
【0113】
拡幅されたクリアランスに向かって側方延長部を案内する前述の原理は、複数の側方延長部を有する同等の器具または容器にも適用でき、この場合、レセプタクルは、これらの側方延長部を受け入れるための対応する数の拡幅されたクリアランスを有する。したがって、例えば、さらなる実施形態に従う器具は、本体から、該本体の正対する側で側方に突出する2つの側方延長部を有することができる。そのような場合、レセプタクルは2つの拡幅されたクリアランスを有するように形成され、その際、2つの局所的な最大部および2つの局所的な最小部が、周状に形成された側壁の上縁部に形成され、そのような器具をレセプタクル内に挿入する際に、側方延長部が拡幅されたクリアランスに配向させられることを保証するために、その最大部と最小部との間に、上述した方法で器具部の下端部を案内するための傾斜が設けられる。
【0114】
保持構造1は、上述のように、例えばバイアルやカープルのような医薬容器を保管および輸送するのに役立つことができる。ハンドリングのために、保持構造1は、アクセス開口9を介して把持ツールなどによって把持および案内することができる。上述のように、医薬容器は、保持構造1によって保持しながらさらに加工(processing)または処理することができる。無菌輸送の場合、そのような保持構造は、例えば
図3cを参照して上述した方法で、トラフ形の輸送または包装コンテナ(いわゆるタブ)内に、いわゆるネストとして保管することができる。輸送または包装コンテナは、ガス透過性プラスチックフィルムによって、特にプラスチック繊維のガス透過性交絡物から形成されたプラスチックフィルムによって閉鎖または密封することができ、特に、プラスチックフィルムはTyvek(登録商標)フィルムである。
【0115】
さらなる実施形態によれば、保持構造1は、上述のように、例えばバイアルやカープルのような医薬容器を保管および輸送するのに役立つことができる。ハンドリングのために、保持構造1は、アクセス開口9を介して把持ツールなどによって把持および案内することができる。上述のように、医薬容器は、保持構造1によって保持しながらさらに加工または処理することができる。無菌輸送の場合、そのような保持構造は、例えば
図3cを参照して上述した方法で、トラフ形の輸送または包装コンテナ(いわゆるタブ)内に、いわゆるネストとして保管することができる。輸送または包装コンテナは、ガス透過性プラスチックフィルムによって、特にプラスチック繊維のガス透過性交絡物から形成されたプラスチックフィルム、好ましくは高密度ポリエチレン繊維から形成されたプラスチックフィルムによって閉鎖または密封することができ、特に、プラスチックフィルムはTyvek(登録商標)フィルムである。
【0116】
無菌輸送の場合、そのような輸送または包装コンテナは、同一タイプのさらなる輸送または包装コンテナと一緒にするのが適切な場合、少なくとも1つの無菌外装袋に収容され、周囲に対して無菌的に包装され得る。少なくとも1つの無菌外装袋は、ガス透過性部分を有するか、または完全にそのように形成することさえでき、その部分は、特に、例えばポリプロピレン繊維(PP)などのプラスチック繊維の交絡物によって形成される。
【0117】
上述のように、保持構造の設計は、特に、達成可能な包装密度に関して最適化されている。本発明に従う解決策では、レセプタクルの隣接する壁はいずれも組み合わされて、2つの隣接するレセプタクルによって共通に使用される壁が形成される。したがって、本発明によれば、ツール設計において冷却するのが困難な、薄壁で壊れやすいリブ状の外形を回避することができ、その結果、ツールの耐用年数が長くなる。さらに、生産プロセスのサイクルタイムを著しく短縮でき、単位生産費を削減することができる。
【0118】
従来のレセプタクルの丸い幾何学的形状は、本発明によれば、比較的小さな容積の容器(例えば最大15ml)に対しては六角形または菱形の構造に、より大きな容積の容器(例えば15mlより大きい)に対しては45°および90°のレセプタクルの配置が可能な八角形の構造に変換される。したがって、非常に高い包装密度を実現することができる。それと同時に、プラスチックからの射出成形による生産用のツールの設計が大幅に単純化される。金型および材料の冷却は非常に単純な方法で実現でき、金型のコアは単純な、しかも標準化された方法で生産することができる。
【0119】
さらに、保持構造の設計は、剛性および軽量構造に関しても最適化されている。特に、隣接するレセプタクルによって共通して使用されかつ一体に形成された側壁を有するハニカム設計は、曲がり(保持面の総面積に対する、空の状態で測定された最大2mmの曲がりが問題を有して実現され得た。)に対する要件に関して相当な利点を提供する。
【0120】
案内リブと組み合わせたレセプタクルの角度設計は、同時に、(例えば、オートクレーブのETOによる)蒸気滅菌のための優れたアクセス性を可能にする。
【0121】
水平(平坦)離型は、保持構造の脱型中の離型力に対する非常に有利な効果、したがって邪魔な隆起の形成のリスクひいては金型の摩耗の結果としての潜在的なパーティクルのリスクに対する非常に有利な効果を追加的に有する。加えて、保持構造それ自体の直接領域での離型はもはや行われない。
【0122】
離型面の最適化された位置によって、本発明に従う保持構造は、保持構造の脱型中だけでなく、その後の使用中においてもパーティクルの生成のリスクを著しく低減することができるため、特にクリーンルーム条件に完全に適していることが判明している。
【0123】
本発明の趣旨の範囲内の保持構造は、特にプラスチックからの射出成形によって、一体的に形成することができる。また、原理的には、プラスチックからの3D印刷による生産も考えられる。したがって、独立した特許請求項によって独立した発明として明示的に特許請求することもできる、本発明のさらなる態様は、例えばインハウスネットワークなどを介したまたはインターネットを介した送信のためでもある、コンピュータで読取り可能なまたはプロセッサで読取り可能なファイルに関し、該ファイルは、命令または制御コマンドであって、これらがコンピュータまたはプロセッサによってロードされた場合に、コンピュータまたはプロセッサによる制御下にある3D印刷機が、適切な材料から、特にプラスチック材料から、本出願で開示された保持構造を3次元形態に印刷するという作用をもたらす命令または制御コマンドを含む。
【0124】
好適な実施形態のリスト
実施形態1 医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器(6;6’;60;61)、またはそのような容器を有する複数の器具を同時に保持するための保持構造であって、上記容器を受け入れるための複数のレセプタクル(5)を有し、
上記レセプタクル(5)は、規則的な配列に配置されるとともに、周状に形成された側壁(10)によって形成され、かつ
上記レセプタクル(5)は、上記容器または上記器具が上記レセプタクルに受け入れられている際に、該容器または器具の側壁とそれぞれの上記レセプタクルの上記側壁(10)との間に環状の隙間が形成されるように、容器または器具(6;6’;60;61)の外形に合わせられている、保持構造において、
平面図で見て、上記レセプタクルは、点対称または鏡面対称の仮想的な基本形状から始まり、第1の方向(53)に縮小されるとともに該第1の方向(53)に対して横方向の第2の方向に拡大され、その結果、上記隙間が上記レセプタクルの少なくとも1つの領域において拡幅され、上記レセプタクル(5)に受け入れられた容器または器具(6;6’;60;61)のハンドリングのための拡幅されたクリアランス(56)が形成されていることを特徴とする、保持構造。
【0125】
実施形態2 上記第1の方向(53)での上記レセプタクル(5)の幅が上記第2の方向での上記仮想的な基本形状の幅よりも小さくなるとともに、上記第1の方向(53)に対して横方向の上記第2の方向での上記レセプタクルの幅が上記第2の方向での上記仮想的な基本形状の幅よりも大きくなるように、上記レセプタクルは、上記第1の方向(53)に縮小されるとともに該第1の方向(53)に対して横方向の上記第2の方向に拡大されている、実施形態1記載の保持構造。
【0126】
実施形態3 上記レセプタクルは、六角形の基本形状を有するか、または六角形の基本形状から派生しており、上記第2の方向での上記レセプタクル(5)の上記幅は、上記第1の方向(53)での上記レセプタクル(5)の上記幅よりも少なくとも30%だけ、より好ましくは少なくとも22%だけ、より一層好ましくは少なくとも17%だけ大きい、実施形態2記載の保持構造。
【0127】
実施形態4 上記第1の方向(53)に沿って互いに対向して位置する、上記レセプタクルの頂部(52)に近い隙間の幅は無限小であるか、または上記第2の方向に沿って互いに対向して位置する、上記レセプタクルのコーナ領域または端部領域(54)に近い隙間の幅よりも小さい、実施形態2または3記載の保持構造。
【0128】
実施形態5 上記拡幅されたクリアランス(56)は、コーナ領域によって形成され、該コーナ領域は、上記拡幅されたクリアランス(56)を形成するために、平面図で見たときに、点(54)に向かってまたは短い接続ウェブ(55)に向かって収束角(α)で収束する2つの側壁(50,51)によって形成され、上記収束角には以下が当てはまる:0°<α<110°、より好ましくは0°<α<45°、より一層好ましくは0°<α<30°、実施形態2または3記載の保持構造。
【0129】
実施形態6 収束する上記側壁(50,51)は、上記レセプタクルの縦方向にいずれも延びかつ上記それぞれのレセプタクルのコーナ領域に配置された直線状のコーナ領域(54)に収束するか、または
収束する上記側壁(50,51)はいずれも、上記短い接続ウェブ(55)と一緒に、上記レセプタクルの上記縦方向にいずれも延びかつ上記それぞれのレセプタクルのコーナ領域に配置されている直線状のコーナ領域を形成する、実施形態5記載の保持構造。
【0130】
実施形態7 側壁(10;50,51)が、上記複数のレセプタクルのうち直接隣接するレセプタクル(5)の各対間の共通の分離壁として形成されている、実施形態1から6までのいずれか1記載の保持構造。
【0131】
実施形態8 それぞれの上記共通の分離壁の高さ(H)は、上記対をなす上記直接隣接するレセプタクル(5)の軸線方向長さに実質対応し、上記それぞれの共通の分離壁は、上記高さ(H)の少なくとも80%にわたって固体材料から形成されている、実施形態7記載の保持構造。
【0132】
実施形態9 断面で見て、上記分離壁はいずれも一体にかつ途切れ部を有することなく形成されている、実施形態8記載の保持構造。
【0133】
実施形態10 平面図で見て、上記レセプタクル(5)はいずれも対称軸線(53)に関して鏡面対称に形成されており、少なくとも1つの上記拡幅されたクリアランス(56)は、上記対称軸線に直交する方向に形成され、上記レセプタクルの上記側壁と該レセプタクルに受け入れられた容器または器具との間に大幅により小さな開口幅を有する小さなクリアランス(57)は、上記対称軸線の延在方向に形成される、実施形態1から9までのいずれか1記載の保持構造。
【0134】
実施形態11 平面図で見て、上記レセプタクルの上記側壁の2つの頂部(52)は、上記対称軸線(53)上にあり、または上記対称軸線(53)は、平面図で見て、平坦化されたもしくは対称的に凹状に湾曲した側壁(52)と直角に交差する、実施形態10記載の保持構造。
【0135】
実施形態12 平面図で見て、収束する上記側壁(50,52)はいずれも、弧の形で凹状に湾曲している、実施形態11記載の保持構造。
【0136】
実施形態13 上記レセプタクルは(5)いずれも、互いに対向するコーナ領域(54)または収束する上記側壁(50,51)の短い接続ウェブ(55)に形成された、ハンドリングのための2つの拡幅されたクリアランス(56)を有する、実施形態10から12までのいずれか1記載の保持構造。
【0137】
実施形態14 上記レセプタクル(5)は同一の基本形状であるとともに、ハンドリングのための拡幅されたクリアランス(56)をいずれも有し、該拡幅されたクリアランス(56)は、コーナ領域(54)に向けてまたは短い接続ウェブ(55)に向けて収束するとともに収束する上記側壁(50,51)によって形成されており、上記レセプタクル(5a,5b)はいずれも、行と該行に直交して延びる列とに沿って互いにオフセットして配置されており、上記列または上記行に沿って互いに直接隣接して配置された上記レセプタクルはいずれも、上記列または上記行に関して鏡像式に配置されている(
図1f)、実施形態1から9までのいずれか1記載の保持構造。
【0138】
実施形態15 平面図で見て、上記レセプタクル(5)はいずれも、六角形の基本形状を有し、該六角形の基本形状は、平面図で見て、収束する上記側壁(50,51)に比べて著しく短い2つの平坦な接続ウェブ(52,55)を有する、実施形態1から14までのいずれか1記載の保持構造。
【0139】
実施形態16 上記保持構造(1)の上側を形成するプレート状のキャリア(2)をさらに備えており、上記側壁(10,51,52)および上記レセプタクル(5)は、上記プレート状のキャリア(2)から垂直に突出している、実施形態1から15までのいずれか1記載の保持構造。
【0140】
実施形態17 周状の上記側壁(10)の上縁部は、上記保持構造の上記上側に垂直な方向で少なくとも1つの局所的な最大部(52a;502)と局所的な最小部(52b;501)とを有する閉じられた滑らかな曲線を形成し、それぞれの上記局所的な最小部(52b;501)は、拡幅されたクリアランス(56)がそれぞれ割り当てられた領域に位置している、実施形態16記載の保持構造。
【0141】
実施形態18 上記側壁(10)上には、上記レセプタクル(5)の縦方向に延びる案内リブ(18)が形成されており、好ましくは、上記案内リブの上端部には該案内リブ(18)に対して傾斜している挿入傾斜(19)が形成されており、上記案内リブ(18)は、それぞれの上記レセプタクルの幾何学的中心(M)に向かう方向で上記レセプタクル(5)内に内向きに突出している、実施形態1から17までのいずれか1記載の保持構造。
【0142】
実施形態19 上記レセプタクル(5)の下端部には、該レセプタクル内の上記容器または上記器具を保持するための少なくとも1つの保持部(22)が設けられており、好ましくは、上記保持部は、関連する上記レセプタクル(5)内へ半径方向内向きにいずれも突出する保持突起(22)として形成されている、実施形態1から18までのいずれか1記載の保持構造。
【0143】
実施形態20 上記保持構造(1)は、プラスチックから射出成形によって一体に形成されている、実施形態1から19までのいずれか1記載の保持構造。
【0144】
実施形態21 実施形態1から20までのいずれか1記載の保持構造(1)と、該保持構造に保持される、医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器(6;6’;60;61)、またはそのような容器を有する複数の器具との組合せからなる輸送ユニットであって、上記容器または上記器具は、上記レセプタクル(5)内の少なくとも特定の部分に受け入れられている、輸送ユニット。
【0145】
実施形態22 上記容器(60,61)は、円筒形設計であり、狭窄首部(65)を有する上端部と、上記狭窄首部(65)に隣接するとともに上記容器の円筒形の側壁(62)に合流する肩部(64)とを有しており、上記レセプタクル(5)の下端部の保持突起(22)間の開口幅は、上記容器が上記レセプタクル内に上下逆さまに受け入れられている際に、上記容器の上記上端部が上記保持突起の間を貫通して延び、上記レセプタクル(5)内の上記容器の軸線方向の可動性を制限するために上記容器の上記肩部が上記保持突起(22)上に直接支持されるように、上記容器の上記上端部の外径に合わせられている、実施形態21記載の輸送ユニット。
【0146】
実施形態23 上記容器または上記器具(60;61;6’)は、非円筒形の基本形状を有し、特に、円筒形の本体(6a)から側方に突出する側方延長部(6b)を有する、実施形態21記載の輸送ユニット。
【0147】
実施形態24 周状の上記側壁(10)の上縁部は、上記保持構造の上側に垂直な方向で局所的な最大部(502)と局所的な最小部(501)とを有する閉じられた滑らかな曲線を形成し、上記局所的な最小部(501)は、上記側方延長部(6b)を受け入れるための拡幅されたクリアランス(56)を形成するための、それぞれのレセプタクル(5)の互いに対向する2つの上記側壁(50,51)の収束領域に位置する、実施形態23記載の輸送ユニット。
【0148】
実施形態25 医薬、医療もしくは美容用途のための物質のための複数の容器(60,61)のための、またはそのような容器を有する複数の器具のための輸送または包装コンテナであって、箱形設計の輸送または包装コンテナ(90)において、
上記複数の容器または器具を上記輸送または包装コンテナ内に保持するために、実施形態1から20までのいずれか1記載の保持構造(1)が、該保持構造に保持された上記容器と一緒に箱形の上記輸送または包装コンテナ内に受け入れられていることを特徴とする、輸送または包装コンテナ。
【0149】
実施形態26 上記輸送または包装コンテナは、ガス透過性プラスチックフィルムによって、特にプラスチック繊維のガス透過性交絡物から形成されたプラスチックフィルムによって閉鎖または密封されており、特に、上記プラスチックフィルムはTyvek(登録商標)フィルムである、実施形態25記載の輸送または包装コンテナ。
【0150】
実施形態27 医薬、医療もしくは美容目的のための複数の容器の無菌輸送のための、またはそのような容器を有する複数の器具の無菌輸送のための無菌包装構造であって、実施形態21から24までのいずれか1記載の少なくとも1つの輸送ユニットを有するか、または実施形態25または26記載の少なくとも1つの輸送または包装コンテナを有するとともに該輸送または包装コンテナに受け入れられた上記容器または器具を有する、無菌包装構造において、
上記少なくとも1つの輸送ユニットまたは上記少なくとも1つの輸送または包装コンテナは、少なくとも1つの無菌外装袋に受け入れられ、周囲に対して無菌的に包装されており、好ましくは、上記少なくとも1つの無菌外装袋は、特にプラスチック繊維の、例えばポリプロピレン繊維(PP)などの交絡物によって形成されるガス透過性部分を有する、無菌包装構造。
【符号の説明】
【0151】
1 保持構造
2 プレート状のキャリア
4 丸みを帯びたコーナ領域
5 (多角形設計の)レセプタクル
5a レセプタクル
5b レセプタクル
6 容器
6’ 医療器具
6a 本体
60a 本体6aの下端部
6b 本体6aの側方延長部
60b 側方延長部6bの下端部
9 アクセス開口
10 側壁
10a キャリア2より上方の側壁部
10b キャリア2より下方の側壁部
18 案内および位置決めリブ
19 案内および位置決めリブ18の挿入傾斜
20 さらなる案内および位置決めリブ
22 保持突起
25 開口
40 中央接続部
41 中央接続部の上縁部
42 開口
43 キャビティ
50 第1の側壁
50a,50b 第1の側壁
51 第2の側壁
51a,51b 第2の側壁
52 レセプタクル5の最小横断寸法を有する位置の頂部
52a 局所的な最大部
52b 局所的な最小部
53 対称軸線
53a,53b 対称軸線
54 収束領域
54a,54b 収束領域
55 接続ウェブ
56 ハンドリングのための拡幅されたクリアランス
56a,56b ハンドリングのための拡幅されたクリアランス
57 小さなクリアランス
58 小さなクリアランス57の収束領域
58a,58b 小さなクリアランス57aまたは57bの収束領域
500 傾斜
501 最小部
502 最大部
60 カープル/容器
60’ 上昇位置にあるカープル
61 バイアル/容器
62 円筒形の側壁
63 底部
64 肩部
65 狭窄首部
66 上縁部
67 充填開口
68 排出開口
69 シリンジ体
70 シリンジ体69のフランジ
80 ハンドリングのためのツール
81 ハンドリングアーム
82 ハンドリングアーム81の先端
83 凹部
90 輸送および包装コンテナ
91 輸送および包装コンテナ90の底部
92 輸送および包装コンテナ90の下部側壁
93 段部
94 輸送および包装コンテナ90の上部側壁
95 上部側壁94の上端のフランジ
α 収束角
M レセプタクル5または受け入れられた容器の幾何学中心
従来技術に関して
100 保持構造
101 レセプタクル
102 円形の外形を有する容器
103 側壁
104 クリアランス
105 共通のコーナ点に収束する一対の側壁103のうちの第1の側壁
106 共通のコーナ点に収束する一対の側壁103のうちの第2の側壁
M’ レセプタクル101の幾何学中心
MS 垂直二等分線
θ 第1の側壁105と第2の側壁106とが収束する位置の角度