(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】サンケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20241007BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241007BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20241007BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241007BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20241007BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20241007BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20241007BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20241007BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/41
A61K8/35
A61K8/49
A61K8/368
A61K8/40
A61K8/58
A61K8/06
A61Q17/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019227503
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼崎 友美
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019688(JP,A)
【文献】特開2019-014670(JP,A)
【文献】国際公開第2019/209483(WO,A1)
【文献】特開平03-200721(JP,A)
【文献】米国特許第05512094(US,A)
【文献】国際公開第2018/221406(WO,A1)
【文献】特開2017-88497(JP,A)
【文献】特開2005-053846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子と
を含
み、
(b)中空シリカ球粒子が非孔質であり、10体積%以上70体積%以下の空隙率を有する、非粉末状化粧用組成物。
【請求項2】
(b)中空シリカ球粒子が、0.5μm以
上100μm以
下の平均一次粒径を有する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
(b)中空シリカ球粒子が、50m
2/g以
下0.1m
2/g以
上の、BET法によって決定された比表面積を有する、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)中空シリカ球粒子が
、60体積%以
下20体積%以
上の空隙率を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)中空シリカ球粒子が、200mL/100g以
下10mL/100g以
上の吸油能を有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(b)中空シリカ球粒子が、1.1g/cm
3以
上1.7g/cm
3以
下の比重を有する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(a)親油性有機UV遮蔽剤が、少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤と少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤との組合せを含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(a)親油性有機UV遮蔽剤が、アミノベンゾフェノン化合
物、ジベンゾイルメタン化合物
、トリアジン化合物
、サリチル酸化合物
、β,β-ジフェニルアクリレート化合物
、及びベンゾトリアゾール化合
物、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
W/Oエマルション又は溶液の形態である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(a)親油性有機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して、1質量%以
上50質量%以
下である、請求項1から
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(b)中空シリカ球粒子の量が、組成物の総質量に対して、0.5質量%以
上40質量%以
下である、請求項1から1
0のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
中空シリカ粒子以外の無機充填剤を、10質量%以
下の量で含む、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン基質のための美容方法であって、請求項1から1
2のいずれか一項に記載の組成物をケラチン基質に適用する工程を含む、美容方法。
【請求項14】
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状組成物のUV吸光度を高めるための、(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子の使用
であって、(b)中空シリカ球粒子が非孔質であり、10体積%以上70体積%以下の空隙率を有する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等のケラチン物質のための、サンケア組成物、特に非粉末状サンケア化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
中空粒子は、化粧品を含む多くの技術分野において添加剤又は充填剤として広く使用されている。
【0003】
例えば、JP-A-2009-57315は、中空シリコーン系微粒子(A)を含む化粧品を開示している。また、JP-A-2010-53200は、複数のミクロ細孔を有する酸化ケイ素系多孔質殻を構成要素とする中空粒子から構成され、紫外光から赤外光までの波長範囲の光の平均90%以上を反射する光反射材料を開示している。
【0004】
サンケア製品について、良好なUV防御効果及び良好な使い勝手は、主要機能の1つである。したがって、良好なUV防御効果を呈するサンケア組成物が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】JP-A-2009-57315
【文献】JP-A-2010-53200
【非特許文献】
【0006】
【文献】ASTM-D445-97
【文献】JIS-K5101
【文献】CTFA Dictionary(第6版、1995年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、良好なUV防御特性を有するサンケア組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子と
を含む、非粉末状化粧用組成物によって達成することができる。
【0009】
(b)中空シリカ球粒子は、非孔質であってもよい。
【0010】
(b)中空シリカ球粒子は、0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上、特に2μm以上であって、100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、特に6μm以下の平均一次粒径を有しうる。
【0011】
(b)中空シリカ球粒子は、50m2/g以下、好ましくは30m2/g以下、より好ましくは10m2/g以下、更により好ましくは5m2/g以下であって、0.1m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは1m2/g以上、更により好ましくは2m2/g以上の、BET法によって決定された比表面積を有しうる。
【0012】
(b)中空シリカ球粒子は、70体積%以下、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下、更により好ましくは40体積%以下であって、10体積%以上、好ましくは20体積%以上、より好ましくは25体積%以上、更により好ましくは30体積%以上の空隙率を有しうる。
【0013】
(b)中空シリカ球粒子は、200mL/100g以下、好ましくは150mL/100g以下、より好ましくは100mL/100g以下、更により好ましくは70mL/100g以下であって、10mL/100g以上、好ましくは20mL/100g以上、より好ましくは30mL/100g以上、更により好ましくは40mL/100g以上の吸油能を有しうる。
【0014】
(b)中空シリカ球粒子は、1.1g/cm3以上、好ましくは1.2g/cm3以上、より好ましくは1.3g/cm3以上であって、1.7g/cm3以下、好ましくは1.6g/cm3以下、より好ましくは1.5g/cm3以下の比重を有しうる。
【0015】
(a)親油性有機UV遮蔽剤は、少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤と少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤との組合せを含んでもよい。
【0016】
(a)親油性有機UV遮蔽剤は、アミノベンゾフェノン化合物、例えばジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB)、ジベンゾイルメタン化合物、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン、トリアジン化合物、例えばエチルヘキシルトリアゾン、サリチル酸化合物、例えばホモサレート、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、例えばオクトクリレン、及びベンゾトリアゾール化合物、例えばドロメトリゾールトリシロキサン、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0017】
本発明による組成物は、W/Oエマルション又は溶液の形態であってもよい。
【0018】
(a)親油性有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上であってもよく、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更により好ましくは25質量%以下であってもよい。
【0019】
(b)中空シリカ球粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更により好ましくは3質量%以上であってもよく、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0020】
本発明による組成物は、中空シリカ粒子以外の無機充填剤を、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更により好ましくは1質量%以下の量で含んでもよい。
【0021】
本発明はまた、皮膚等のケラチン基質のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン基質に適用する工程を含む、美容方法に関する。
【0022】
本発明はまた、(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状組成物のUV吸光度を高めるための、(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例1並びに比較例1及び2による組成物の各々のUV吸光度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
UV遮蔽剤は、サンケア組成物にUV防御特性を付与するために広く使用されている。しかし、UV遮蔽剤の使用は、オイリーで油っぽい感覚等の悪影響を引き起こしうる。
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者等は、驚くべきことに、中空シリカ球粒子が、少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状組成物のUV防御特性を高めることができることを発見し、こうして、本発明を完成させた。
【0026】
そのため、本発明は、
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子と
を含む、非粉末状化粧用組成物に関する。
【0027】
以下で、本発明による粒子、組成物、方法、及び使用を、より詳細に説明する。
【0028】
[組成物]
本発明による組成物は、非粉末状化粧用組成物である。本明細書における「非粉末状組成物」という用語は、ルース又はコンパクトパウダーの形態でない任意の組成物を意味する。非粉末状組成物は、種々の形態、例えば、溶液、ゲル、ローション、セラム、懸濁液、分散体、流体、ミルク、ペースト、クリーム、エマルション(O/W又はW/O型)等をとりうる。本発明による組成物は、W/Oエマルションの形態であることが好ましい。
【0029】
本発明による組成物は、局所用の化粧用組成物としての使用が意図されていてもよい。そのため、本発明による組成物は、ケラチン物質への適用が意図されていてもよい。本明細書におけるケラチン物質とは、ケラチンを主な構成要素として含有する材料を意味し、その例は、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等を含む。特に、本発明による組成物は、皮膚を紫外線から防御するための皮膚のサンケア化粧用組成物であってもよい。
【0030】
本発明による組成物のpHは、特に限定されない。組成物のpHは、2.0から12.0、好ましくは3.0から11.0、より好ましくは4.0から10.0であってもよい。
【0031】
本発明による組成物の粘度は、特に限定されない。好ましくは、本発明による組成物の粘度は、25℃で1から1,000,000mm2/s、より好ましくは2mm2/sから500,000mm2/s、更により好ましくは5mm2/sから100,000mm2/sの範囲である。本発明による組成物の粘度は、規格ASTM-D445-97に従って、25℃の温度で、Poiseuilleレオメータを使用して測定することができる。
【0032】
本発明者等は、驚くべきことに、中空シリカ球粒子が、少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状組成物のUV吸光度を上昇させることができることを発見した。したがって、本発明による組成物は、例えば、オイリーな又は油っぽいテクスチャの点で、化粧用組成物に対する悪影響を引き起こしうる多量のUV遮蔽剤、例えば親油性有機UV遮蔽剤を含まない場合でも、十分なUV防御特性を達成することができる。したがって、本発明による組成物は、非粉末状サンケア組成物中のUV遮蔽剤、特に親油性有機UV遮蔽剤の量の減少を考慮して、良好なUV防御効果及び良好なテクスチャを呈することができる。
【0033】
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤と、(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子とを含む。組成物中の成分を、下記に詳細に説明する。
【0034】
(親油性有機UV遮蔽剤)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む。2種以上の親油性有機UV遮蔽剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの親油性有機UV遮蔽剤、又は異なるタイプの親油性有機UV遮蔽剤の組合せを使用することができる。
【0035】
本明細書における「UV」という用語は、UV-B領域(波長260~320nm)、UV-A領域(波長320~400nm)、及び高エネルギー可視光領域(波長400~450nm)を含む。したがって、UV遮蔽剤とは、紫外線、特にUV-A、UV-B、及び高エネルギー可視光領域の波長における遮蔽効果を有する任意の材料を意味する。
【0036】
本発明に使用されるUV遮蔽剤は、単独で又は組合せで、UV-A及び/又はUV-B領域において、好ましくはUV-A及びUV-B領域の両方において活性でありうる。したがって、本発明において使用されるUV遮蔽剤は、320から400nmのUV照射を吸収することが可能なUV-A遮蔽剤、280から320nmのUV照射を吸収することが可能なUV-B遮蔽剤、並びに280から400nmのUV照射を吸収することが可能なUV-A及びUV-B遮蔽剤を含む。
【0037】
本明細書における「親油性UV遮蔽剤」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)で、油の総質量に対して少なくとも1質量%の濃度で油に溶解性であるUV遮蔽剤を意味する。
【0038】
親油性有機UV遮蔽剤は、固体であっても液体であってもよい。「固体」及び「液体」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)での固体及び液体を意味する。
【0039】
本発明において使用される親油性有機UV-A遮蔽剤は、アミノベンゾフェノン化合物、ジベンゾイルメタン化合物、アントラニル酸化合物、及び4,4-ジアリールブタジエン化合物を含みうるがこれらに限定されない。
【0040】
アミノベンゾフェノン化合物として、BASF社から「Uvinul A+」という商品名で販売されているn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートを挙げることができ、その代替名はジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB)である。
【0041】
ジベンゾイルメタン化合物として、Merck社から「Eusolex 8020」という名称で販売されている4-イソプロピルジベンゾイルメタン、Quest社から「Pongamol」という名称で販売されている1-(4-メトキシ-1-ベンゾフラン-5-イル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオン、1-(4-(tert-ブチル)フェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、及びHoffmann-La Roche社から「Parsol 1789」という商品名で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタンを挙げることができる。
【0042】
アントラニル酸化合物として、Symrise社によって「NEO HELIOPAN MA」という名称で市販されているアントラニル酸メンチルを挙げることができる。
【0043】
4,4-ジアリールブタジエン化合物として、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン及びジフェニルブタジエンマロネート及びマロノニトリルを挙げることができる。
【0044】
本発明において使用される親油性有機UV-B遮蔽剤は、トリアジン化合物、パラ-アミノ安息香酸化合物、サリチル酸化合物、シンナメート化合物、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、ベンジリデンカンファ化合物、フェニルベンゾイミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、ベンザルマロネート化合物、及びメコシアニン(mecocyanine)化合物を含みうるがこれらに限定されない。
【0045】
トリアジン化合物として、BASF社によって「UVINUL T-150」という名称で市販されているエチルヘキシルトリアゾン、SIGMA 2V社によって「UVASORB HEB」という名称で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、及び2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジンを挙げることができる。
【0046】
パラ-アミノ安息香酸誘導体として、パラ-アミノベンゾエート(PABA)、例えば、エチルPABA(パラ-アミノベンゾエート)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、及びISP社から「ESCALOL 5972」という名称で市販されているジメチルPABAエチルヘキシルを挙げることができる。
【0047】
サリチル酸化合物として、Rona/EM industries社によって「Eusolex HMS」という名称で市販されているホモサレート、及びSymrise社によって「NEO HELIOPAN OS」という名称で市販されているサリチル酸エチルヘキシルを挙げることができる。
【0048】
シンナメート化合物として、DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社によって「PARSOL CX」という名称で市販されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、エトキシケイ皮酸イソプロピル、Symrise社によって「NEO HELIOPAN E 1000」という名称で市販されているメトキシケイ皮酸イソアミル、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、シノキセート、及びエチルヘキサン酸ジメトキシケイ皮酸グリセリルを挙げることができる。
【0049】
β,β-ジフェニルアクリレート化合物として、BASF社によって「UVINUL N539」という名称で市販されているオクトクリレン、及びBASF社によって「UVINUL N35」という名称で市販されているエトクリレンを挙げることができる。
【0050】
ベンジリデンカンファ化合物として、CHIMEX社から「MEXORYL SD」という名称で市販されている3-ベンジリデンカンファ、MERCK社によって「EUSOLEX 6300」という名称で市販されているメチルベンジリデンカンファ、CHIMEX社によって「MEXORYL SW」という名称で市販されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファ、及びChimex社によって「Mexoryl SX」という名称で市販されているテレフタリリデンジカンファスルホン酸を挙げることができる。
【0051】
フェニルベンゾイミダゾール化合物として、Merck社によって「Eusolex 232」という名称で市販されているフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan AP」という名称で市販されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムを挙げることができる。
【0052】
イミダゾリン化合物として、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシルを挙げることができる。
【0053】
ベンザルマロネート化合物として、ベンザルマロネート部分を含有するポリオルガノシロキサン、例えば、DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社によって「Parsol SLX」という名称で市販されているポリシリコーン-15、及びジ-ネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネートを挙げることができる。
【0054】
本発明の親油性有機UV遮蔽剤は、親油性有機UV-A及びUV-B遮蔽剤を含んでもよい。以下は、親油性有機UV-A及びUV-B遮蔽剤の非限定的な例である:
- ベンゾフェノン化合物、例えばBASF社によって「UVINUL 400」という名称で市販されているベンゾフェノン-1、BASF社によって「UVINUL 500」という名称で市販されているベンゾフェノン-2、BASF社によって「UVINUL M40」という名称で市販されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、Norquay社によって「Helisorb 11」という名称で市販されているベンゾフェノン-6、American Cyanamid社によって「Spectra-Sorb UV-24」という名称で市販されているベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-10、ベンゾフェノン-11、及びベンゾフェノン-12;
- ベンゾトリアゾール化合物、例えばRhodia Chimie社によって「Silatrizole」という名称で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン、CIBA-GEIGY社によって「TINOGUARTD AS」という名称で市販されているブメトリゾール、及び、フェニルベンゾトリアゾール誘導体:分枝状及び直鎖状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノ;
- ビス-レゾルシニルトリアジン化合物、例えばCIBA-GEIGY社によって「TINOSORB S」という名称で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;並びに
- ベンゾオキサゾール化合物、例えばSigma 3V社によって「Uvasorb K2A」という名称で市販されている2,4-ビス[5-(1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0055】
好ましくは、親油性有機UV遮蔽剤は、アミノベンゾフェノン化合物、例えばジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB)、ジベンゾイルメタン化合物、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン、トリアジン化合物、例えばエチルヘキシルトリアゾン、サリチル酸化合物、例えばホモサレート、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、例えばオクトクリレン、及びベンゾトリアゾール化合物、例えばドロメトリゾールトリシロキサン、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0056】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の親油性有機UV遮蔽剤は、少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤と少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤との組合せを含む。
【0057】
したがって、本発明の別の好ましい実施形態では、親油性有機UV遮蔽剤は、アミノベンゾフェノン化合物及びジベンゾイルメタン化合物から選択される少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤と、トリアジン化合物、サリチル酸化合物、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、及びベンゾトリアゾール化合物から選択される少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤とを含む。
【0058】
本発明による組成物中の親油性有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上であってもよい。組成物中の親油性有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更により好ましくは25質量%以下であってもよい。
【0059】
本発明の特定の一実施形態では、組成物中の親油性有機UV-A遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。
【0060】
本発明の別の特定の実施形態では、組成物中の親油性有機UV-B遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16質量%以下である。
【0061】
(中空シリカ球粒子)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子を含む。2種以上の中空シリカ球粒子を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの中空シリカ球粒子、又は異なるタイプの中空シリカ球粒子の組合せを使用することができる。
【0062】
本発明による組成物中で使用される粒子は、シリカ系粒子である。シリカ系粒子は、外殻及び外殻内部の空洞を有して中空構造を形成する。加えて、本発明の粒子の形状は、球状形状である。
【0063】
中空シリカ球粒子の外殻は、多孔質又は非孔質であることができる。好ましくは、中空シリカ球粒子の外殻は、非孔質である。
【0064】
本発明の中空シリカ球粒子のサイズは、特に限定されない。一般に、中空シリカ球粒子は、0.1μmから200μmの平均一次粒径を有する。好ましくは、中空シリカ球粒子は、0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更により好ましくは1.5μm以上、特に2μm以上の平均一次粒径を有する。好ましくは、中空シリカ球粒子は、100μm以下、より好ましくは50μm以下、更により好ましくは10μm以下、特に6μm以下の平均一次粒径を有する。
【0065】
本明細書で使用される「平均一次粒径」という用語は、集団の半分に対する統計的粒径分布によって与えられる数平均サイズ平均直径(number-average size mean diameter)を表し、D50と称される。例えば、数平均サイズ平均直径は、レーザー回折粒径分布分析器、例えばMalvern Corp.社によるMastersizer 2000によって測定することができる。
【0066】
本発明の中空シリカ球粒子は、50m2/g以下、好ましくは30m2/g以下、より好ましくは10m2/g以下、更により好ましくは5m2/g以下の、BET法によって決定された比表面積を有しうる。中空シリカ球粒子は、0.1m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは1m2/g以上、更により好ましくは2m2/g以上の、BET法によって決定された比表面積を有しうる。
【0067】
本発明において、「BET法によって決定された比表面積」とは、測定用試料を1kPa以下の減圧下200℃で3時間以上乾燥させ;その後、液体窒素温度で窒素吸着のみの吸着等温線を測定し;BET法によって吸着等温線を分析することによって決定された値を意味しうる。分析に使用される圧力範囲は、0.1から0.25の相対圧力である。
【0068】
本発明の中空シリカ球粒子は、70体積%以下、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下、更により好ましくは40体積%以下の外殻内部の空洞による空隙率を有しうる。中空シリカ球粒子は、10体積%以上、好ましくは20体積%以上、より好ましくは25体積%以上、更により好ましくは30体積%以上の空隙率を有しうる。
【0069】
本明細書における空隙率は、例えば、画像分析によって測定することができる。具体的には、空隙率は、粒子のTEM写真を撮影し、例えば50個の粒子について、粒子の粒子直径を測定し、平均粒子直径を決定し、粒子を半分に割り、各破片について空洞の直径を測定して空洞の平均直径を決定し、次いで、空隙率を算出することによって決定することができる。
【0070】
本発明の中空シリカ球粒子は、200mL/100g以下、好ましくは150mL/100g以下、より好ましくは100mL/100g以下、更により好ましくは70mL/100g以下の吸油能を有しうる。本発明の中空シリカ球粒子は、10mL/100g以上、好ましくは20mL/100g以上、より好ましくは30mL/100g以上、更により好ましくは40mL/100g以上の吸油能を有しうる。本明細書における吸油能は、JIS-K5101による顔料試験方法により煮アマニ油を使用して測定することができる。
【0071】
本発明の中空シリカ球粒子は、200mL/100g以下、好ましくは150mL/100g以下、より好ましくは100mL/100g以下、更により好ましくは70mL/100g以下の吸油能を有しうる。本発明の中空シリカ球粒子は、10mL/100g以上、好ましくは20mL/100g以上、より好ましくは30mL/100g以上、更により好ましくは40mL/100g以上の吸油能を有しうる。本明細書における吸油能は、JIS-K5101による顔料試験方法により煮アマニ油を使用して測定することができる。
【0072】
本発明の中空シリカ球粒子の比重は、特に限定されない。中空シリカ球粒子の比重は、一般に、1.1g/cm3以上、好ましくは1.2g/cm3以上、より好ましくは1.3g/cm3以上であって、1.7g/cm3以下、好ましくは1.6g/cm3以下、より好ましくは1.5g/cm3以下でありうる。
【0073】
本発明の中空シリカ球粒子は、1.5以下、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下の屈折率を有しうる。中空シリカ球粒子の屈折率の下限は、限定されないが、一般に1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。
【0074】
本発明の一実施形態では、本発明の中空シリカ球粒子の外殻内部の空洞は、球状であってもよく、0.5μm以上、好ましくは1μm以上、更により好ましくは1.5μm以上であって、50μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは6μm以下の直径サイズを有しうる。中空シリカ球粒子中の球状空洞の直径サイズは、例えば、上述のTEMを使用する画像分析によって測定することができる。具体的には、これは、粒子を半分に割り、粒子の破片のTEM写真を撮影し、各破片について空洞の直径を測定することによって測定することができる。
【0075】
本発明による組成物中の中空シリカ球粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更により好ましくは3質量%以上であってもよい。組成物中の中空シリカ球粒子の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0076】
(他の成分)
・油
本発明による組成物は、少なくとも1種の油を含んでもよい。2種以上の油が使用される場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0077】
本明細書では、「油」とは、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態である脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品中で一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組合せで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0078】
油は、非極性油、例えば炭化水素油、シリコーン油等;極性油、例えば植物若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油;又はそれらの混合物であってもよい。
【0079】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0080】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、コーン油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0081】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールとの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0082】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中から少なくとも1つは分枝状である。一酸とモノアルコールとのモノエステルのうち、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0083】
とりわけ、以下を挙げることができる:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、及びジイソノナン酸ジエチレングリコール。
【0084】
エーテル油の例として、例えば、短い炭化水素鎖を有するエーテル油、例えばジカプリリルエーテルを挙げることができる。
【0085】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0086】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS、ジメチコン)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上で定義したシリコーン油であり、その構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0087】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例は、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン、及びイソデカンを含む;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0088】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子が含まれることを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0089】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル及びC12~C20アルケニル基から選択することができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、へキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。そのため、脂肪アルコールは、直鎖又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、へキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0090】
本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、5から60質量%、好ましくは10から50質量%、より好ましくは15から40質量%の範囲であってもよい。
【0091】
・化粧品として許容される親水性有機溶媒
本発明による組成物は、少なくとも1種の化粧品として許容される親水性有機溶媒を含んでもよい。化粧品として許容される親水性有機溶媒は、例えば、1から8個の炭素原子を有する実質的に直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、及びイソブタノール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ポリオール又はポリオールエーテル、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、カプリリルグリコール、ソルビトール、エチレングリコールのモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールのモノエチルエーテル又はモノブチルエーテル;ポリエチレングリコール、例えばPEG-4、PEG-6、及びPEG-8、並びにその誘導体、並びにそれらの組合せを含みうる。
【0092】
本発明による組成物中の化粧品として許容される親水性有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、1から25質量%、好ましくは2から20質量%、より好ましくは3から15質量%の範囲であってもよい。
【0093】
・界面活性剤
本発明による組成物は、単独で又は混合物として使用される、両性、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0094】
本発明の組成物中で使用可能な非イオン性界面活性剤の例は、ポリエトキシル化脂肪アルコール又はポリグリセロール化脂肪アルコール、例えばエチレンオキシドとラウリルアルコールとの付加物、とりわけ9から50個のオキシエチレン単位を含有するもの(INCI名としてはラウレス-9からラウレス-50)、特にラウレス-9;ポリオールと、例えば8から24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和鎖を有する脂肪酸とのエステル、及びそのオキシアルキレン化誘導体、すなわちオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位を含むもの、例えばグリセロールとC8~C24脂肪酸とのエステル、及びそのオキシアルキレン化誘導体、特にポリオキシエチレン化グリセリルステアレート(モノ-、ジ-及び/又はトリステアレート)、例えばトリイソステアリン酸PEG-20グリセリル;糖とC8~C24脂肪酸とのエステル及びそのオキシアルキレン化誘導体、例えばC8~C24脂肪酸のポリエトキシル化ソルビトールエステル、特にポリソルベート80、例えばCroda社によって「TWEEN 80」という名称で市販されている製品;糖とC8~C24脂肪酸とのエーテル、例えばカプリリル/カプリルグルコシド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド;アルキルアミンオキシド;アルキルポリグリコシド及びシリコーン界面活性剤、例えばオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含有するポリジメチルシロキサン、例えば、PEG-10ジメチコン、ビス-PEG/PPG-14/14ジメチコン、ビス-PEG/PPG-20/20ジメチコン、及びPEG/PPG-20/6ジメチコン;及びポリグリセリル脂肪酸エステル、例えばカプリン酸ポリグリセリル-4、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-2、及びポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6;並びにそれらの混合物を含みうる。
【0095】
加えて、非イオン性界面活性剤として、以下の一般式(1):
R-O-(G)x(1)
(式中、Rは、14から24個の炭素原子を含む分枝状及び/又は不飽和のアルキル基を表し、Gは、5又は6個の炭素原子を含む還元糖を表し、xは、1から10、好ましくは1から4の範囲の値を示し、Gは、特にグルコース、フルクトース又はガラクトースを示す)
によって表されるアルキルポリグリコシドを挙げることができる。このタイプのアルキルポリグリコシドとして、アルキルポリグルコシド(G=式(I)中のグルコース)、特に式(I)の化合物であって、Rがより特定するとオレイル基(不飽和C18基)又はイソステアリル(飽和C18基)を表し、Gがグルコースを示し、xが1から2の範囲の値である化合物、特にイソステアリルグルコシド、オレイルグルコシド及びそれらの混合物を挙げることができる。このアルキルポリグルコシドは、共乳化剤(coemulsifier)との混合物、とりわけ脂肪アルコール、特にアルキルポリグルコシドと同じ脂肪鎖を有する脂肪アルコール、すなわち、14から24個の炭素原子を含み、分枝状及び/又は不飽和鎖を有するもの、例えばアルキルポリグルコシドがイソステアリルグルコシドである場合はイソステアリルアルコール、アルキルポリグルコシドがオレイルグルコシドである場合はオレイルアルコールとの混合物として使用することができる。例えば、Seppic社によってMontanov WO 18という名称で販売されているイソステアリルグルコシドとイソステアリルアルコールとの混合物、及び更にSeppic社によってFludanov 20Xという名称で販売されているオクチルドデカノールとオクチルドデシルキシロシドとの混合物を使用することができる。
【0096】
組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1から15質量%、好ましくは0.5から10質量%、より好ましくは1から5質量%であってもよい。
【0097】
・増粘剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含んでもよい。2種以上の増粘剤を組み合わせることができる。増粘剤は、親水性又は親油性であってもよく、好ましくは親油性である。
【0098】
親油性増粘剤は、ポリマー又は粒子の形態であってもよい。
【0099】
親油性ポリマー増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、例えばCarbopol製品(カルボマー)及びPemulen製品(アクリレート/アクリル酸アルキル(C10~C30)コポリマー)又は「ポリアクリル酸アルキル(C10~30)」というINCI名を有するポリマー、例えばAir Products社製のIntelimer(登録商標)製品、例えばポリアクリル酸ステアリルである製品Intelimer(登録商標)IPA 13-1、若しくはベヘニルポリマーである製品30 Intelimer(登録商標)IPA 13-6から選択することができる。
【0100】
本発明による親油性増粘剤は、以下から選択することができる:
- 有機変性クレイ、これはとりわけ第四級アミン及び第三級アミンから選択される化合物で処理されたクレイである。挙げることができる有機変性クレイは、有機変性ベントナイト、例えばRheox社によってBentone 34という名称で販売されている製品、並びに有機変性ヘクトライト、例えばRheox社によってBentone 27及びBentone 38という名称で販売されている製品を含む。とりわけ、変性クレイ、例えば変性ケイ酸マグネシウム(Rheox社製のBentone gel(登録商標)VS38)、変性ヘクトライト、例えばC10からC22脂肪酸アンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例としてはジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト(ジステアルジモニウムヘクトライト)、例えばElementis社によってBentone 38VCGという名称で販売されている製品又はRheox社によってBentone 38 CEという名称で販売されている製品、又はElementis社によってBentone Gel(登録商標)V5 5Vという名称で販売されている製品、又はElementis社によってBentone gel(登録商標)ISD Vという名称で販売されている製品を挙げることができる;
- 疎水性ヒュームドシリカ、これはシラノール基の数の減少を生じさせる化学反応を介してシリカの表面を変性することによって得ることができ、これらの基は場合により、とりわけ疎水性基で置換されている。疎水性基は、トリメチルシロキシル基とすることができ、これは、とりわけヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することによって得られる。こうして処理されたシリカは、CTFA Dictionary(第6版、1995年)により、「シリル化シリカ」として公知である。それらは、例えば、Degussa社によってAerosil R812(登録商標)という参照名で、及びCabot社によってCab-O-Sil TS-530(登録商標)という参照名で販売されている。疎水性基は、ジメチルシリルオキシル又はポリジメチルシロキサン基であることができ、これは、とりわけポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理することによって得られる。こうして処理されたシリカは、CTFA Dictionary(第6版、1995年)により、「ジメチルシリル化シリカ」として公知である。それらは、例えば、Degussa社によってAerosil R972(登録商標)及びAerosil R974(登録商標)という参照名で、並びにCabot社によってCab-O-Sil TS-610(登録商標)及びCab-O-Sil TS-720(登録商標)という参照名で販売されている。
- 疎水性シリカエアロゲル、例えばDow Corning社によってVM-2260(INCI名:シリル化シリカ)という名称で販売されている製品、その粒子は、約1000ミクロンの平均サイズ及び600から800m2/gの範囲の質量単位当たりの比表面積を有する;Cabot社によってAerogel TLD 201、Aerogel OGD 201、Aerogel TLD 203、Enova(登録商標)Aerogel MT 1 100、Enova Aerogel MT 1200という参照名で販売されているエアロゲルも挙げることができる;
- 並びにそれらの混合物。
【0101】
組成物中の増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1から10質量%、好ましくは0.2から5質量%、より好ましくは1から3質量%であってもよい。
【0102】
・無機UV遮蔽剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含んでもよい。2種以上の無機UV遮蔽剤を組み合わせることができる。
【0103】
本発明に使用される無機UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性でありうる。無機UV遮蔽剤は、親水性及び/又は親油性であってもよい。無機UV遮蔽剤は、好ましくは、化粧品中で通常使用される水及びエタノール等の溶媒に不溶性である。
【0104】
無機UV遮蔽剤は、その平均(一次)粒子直径が1nmから50nm、好ましくは5nmから40nm、より好ましくは10nmから30nmの範囲であるような微粒子の形態であることが好ましい。本明細書における平均(一次)粒径又は平均(一次)粒子直径は、算術平均直径である。
【0105】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていてもいなくてもよい金属酸化物、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0106】
好ましくは、無機UV遮蔽剤は、金属酸化物で形成された顔料(平均一次粒径:一般に5nmから50nm、好ましくは10nmから50nm)、例えば、酸化チタン(非晶質又はルチル及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムで形成された顔料等から選択することができ、これらは全て、それ自体が周知のUV光防御剤である。好ましくは、無機UV遮蔽剤は、酸化チタン、酸化亜鉛から選択することができ、より好ましくは酸化チタンである。
【0107】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていてもいなくてもよい。無機UV遮蔽剤は、少なくとも1つのコーティングを有してもよい。コーティングは、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコーン、シラン、脂肪酸又はその塩(例えばナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩)、脂肪アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、ワックス、例えばビーズワックス、(メタ)アクリルポリマー、有機UV遮蔽剤、及び(ペル)フルオロ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0108】
公知のように、コーティング中のシリコーンは、様々な分子量の直鎖状又は環状及び分枝状又は架橋構造を含む有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであってもよく、これは好適な官能性シランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに接合され(シロキサン結合)、任意選択で置換された炭化水素基が炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接接合されている、主要繰り返し単位から本質的に構成される。
【0109】
コーティングに使用されるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択することができる。更により好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択される。
【0110】
当然ながら、金属酸化物で作製された無機UV遮蔽剤は、シリコーンによるその処理の前に、他の表面処理剤(surfacing agent)、特に、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又はそれらの混合物で処理されていてもよい。
【0111】
被覆無機UV遮蔽剤は、以下であってもよい:
シリカで被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil」;
シリカ及び酸化鉄で被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil F」;
シリカ及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」、Tioxide社製の製品「Tioveil」、及びRhodia社製の製品「Mirasun TiW 60」;
アルミナで被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(B)」及び「Tipaque TTO-55(A)」、並びにKemira社製の「UVT 14/4」;
アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z若しくはMT-01」、Uniqema社製の製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、並びにMerck社製の製品「Eusolex T-AVO」;
アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」;
酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」;
酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「BR351」;
シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」;
シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-30-DS」;
シリカで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばKemira社製の製品「UV-Titan X 195」;
アルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(S)」若しくはKemira社製の製品「UV Titan M 262」;
トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-65-S」;
ステアリン酸で被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(C)」;又は
ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」。
ステアリン酸及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 TV」、平均一次粒子直径15nm;
ジメチコン及びステアリン酸及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S4」、平均一次粒子直径15nm;
シリカで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 WP」、平均一次粒子直径15nm;
ジメチコン及びシリカ及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-Y02」及び「MT-Y-110 M3S」、平均一次粒子直径10nm;
ジメチコン及び水酸化アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S3」、平均一次粒子直径15nm;
ジメチコン及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えばSachtleben社製の製品「UV TITAN M170」、平均一次粒子直径15nm;
シリカ及び水酸化アルミニウム及びアルギン酸で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 AQ」、平均一次粒子直径15nm;並びに
水酸化アルミニウム及びジメチコン及びハイドロジェンジメチコンで被覆された酸化チタン、例えば三好化成株式会社製の「SAS-UT-A30」。
【0112】
組成物中の無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であって、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%でありうる。
【0113】
・充填剤
本発明による組成物は、中空シリカ粒子以外の少なくとも1種の充填剤を含んでもよい。2種以上の充填剤を組み合わせることができる。充填剤は、無機又は有機であることができる。充填剤はまた、シリコーン粉末であることができる。
【0114】
中空シリカ粒子以外の無機充填剤として、タルク、マイカ、非中空(中実)シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリメチルシロキシケイ酸又はシリル化シリカ、カオリン、ベントン(bentone)、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フルオロフロゴパイト、セリサイト、焼成タルク、焼成マイカ、焼成セリサイト、合成マイカ、パーライト、ラウロイルリジン、金属石けん、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及びそれらの混合物を挙げることができ、これらは任意選択で親水性又は疎水性処理されている。
【0115】
本明細書における無機充填剤は、上で説明した無機UV遮蔽剤とは異なる。
【0116】
有機充填剤として、アクリルポリマー粉末、シリコーン粉末、ワックス粉末、ポリアミド粉末、ウレタンポリマー粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、ポリアクリロニトリル粉末、ポリ-β-アラニン粉末、ポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ラウロイルリジン、デンプン、セルロース粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0117】
シリコーン粉末として、オルガノポリシルセスキオキサン粉末、オルガノポリシロキサン粉末、及びシリコーン樹脂粉末を挙げることができる。
【0118】
オルガノポリシルセスキオキサン粉末は、好ましくは、ポリメチルシルセスキオキサン粉末である。Momentive Performance Materials社によって「TOSPEARL」という商品名で販売されている材料、並びに日興リカ株式会社によってMSP-N050及びMSP-N080という名称で販売されている材料は、かかるポリメチルシルセスキオキサン粉末の例である。
【0119】
オルガノポリシロキサン粉末は、エラストマー性であっても非エラストマー性であってもよい。エラストマー性オルガノポリシロキサン粉末又はオルガノポリシロキサンエラストマー粉末を使用することが好ましい。
【0120】
エラストマー性オルガノポリシロキサンは、例えば、架橋することができ、
少なくとも1個の、ケイ素に連結した水素を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも1つの、ケイ素に連結したエチレン性不飽和基を含むジオルガノポリシロキサンとの、好ましくは例えば白金触媒の存在下での架橋付加反応を介して;又は
少なくとも1つのヒドロキシル末端基を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも1個の、ケイ素に連結した水素を含むジオルガノポリシロキサンとの間の、好ましくは例えば有機スズ化合物の存在下での脱水素架橋縮合反応を介して;又は
少なくとも1つのヒドロキシル末端基を含むジオルガノポリシロキサンと、加水分解性オルガノポリシランとの架橋縮合反応を介して;又は
オルガノポリシロキサンの、好ましくは例えばオルガノペルオキシド触媒の存在下での熱架橋を介して;又は
ガンマ線、紫外線又は電子ビーム等の高エネルギー放射線による、オルガノポリシロキサンの架橋を介して
得ることができる。
【0121】
使用することができるエラストマーオルガノポリシロキサン粉末は、Dow Corning社によって「Dow Corning 9505 Powder」及び「Dow Corning 9506 Powder」という名称で販売されているものを含む。これらの粉末は、INCI名:ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。
【0122】
組成物中の充填剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であって、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下でありうる。
【0123】
本発明の一実施形態では、本発明による組成物は、中空シリカ粒子以外の無機充填剤を、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更により好ましくは1質量%以下の量で含む。本発明の別の実施形態では、本発明による組成物は、中空シリカ粒子以外の無機充填剤を含まない。無機充填剤は、金属酸化物であってもよい。無機充填剤は、粒子増粘剤であってもよく、又は上で説明した粒子増粘剤でなくてもよい。
【0124】
・水
本発明による組成物は、水を含むことができる。
【0125】
組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であって、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下でありうる。
【0126】
・補助剤
本発明による組成物はまた、サンケア製品のための組成物中で従来使用されている種々の補助剤を含有してもよく、これは、生理学的に許容される媒体、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性若しくは双性イオン性のポリマー又はそれらの混合物、抗酸化剤、例えばトコフェロール、中和剤、例えばトリエタノールアミン、金属イオン封鎖剤、例えばエチレンジアミンジコハク酸三ナトリウム、緩衝液、例えばトロメタミン、香料、皮膚軟化剤、分散剤、染料及び/又は顔料、皮膜形成剤及び/又は増粘剤、セラミド、保存剤、例えばフェノキシエタノール、共保存剤(co-preservative)並びに不透明化剤から選択することができる。
【0127】
補助剤は、本発明の組成物中に、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.01質量%から30質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは0.5質量%から10質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0128】
本発明による組成物は、必須成分としての成分(a)及び(b)、並びに上で説明した任意選択の成分を、好適な媒体、例えば水又は油中で混合することによって調製することができる。
【0129】
[美容方法]
本発明はまた、
皮膚等のケラチン基質のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン基質に適用する工程を含む、美容方法
に関する。
【0130】
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物として使用することができる。化粧用組成物は、皮膚等のケラチン物質を紫外線から防御するためのサンケア組成物であってもよい。
【0131】
本明細書における美容方法とは、皮膚等のケラチン基質の表面をケア及び/又はメイクアップするための非治療的美容方法を意味する。
【0132】
したがって、本発明は、ケラチン物質をUV照射から防御するための美容方法であって、本発明による組成物を皮膚等のケラチン物質に適用する少なくとも1つの工程を含む、美容方法に関する。
【0133】
[使用]
本発明はまた、(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状組成物のUV吸光度を高めるための、(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子の使用に関する。
【0134】
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子、非粉末状組成物、及び非粉末状組成物に含めることができる他の任意選択の成分に関する上記の説明は、本発明による上記の使用におけるものに適用されうる。
【0135】
本発明者等は、驚くべきことに、(b)中空シリカ球粒子が、(a)親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状組成物のUV吸光度を上昇させることができることを発見した。したがって、(b)中空シリカ球粒子の使用は、(a)親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状組成物による十分なUV防御特性をもたらすことができる。この事実は、非粉末状化粧用組成物中の、化粧用組成物に対する悪影響、例えば、オイリーな又は油っぽいテクスチャを引き起こしうるUV遮蔽剤、例えば親油性有機UV遮蔽剤の量の減少につながりうる。したがって、本発明による使用は、非粉末状サンケア組成物中のUV遮蔽剤、特に親油性有機UV遮蔽剤の量の減少を考慮して、良好なUV防御効果及び良好なテクスチャをもたらすことができる。
【0136】
したがって、本発明はまた、(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む非粉末状化粧用組成物における、SPFブースターとしての(b)少なくとも1種の中空シリカ球粒子の使用に関する。
【実施例】
【0137】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0138】
(実施例1並びに比較例1及び2)
[組成物]
実施例1(Ex. 1)によるW/Oエマルション組成物並びに比較例1及び2(Comp. Ex. 1及びComp. Ex. 2)によるW/Oエマルション組成物の各々を、均質となるように、以下のTable 1(表1)に列挙した成分を混合することによって調製した。配合もまた、以下のTable 1(表1)に示す。成分のうち、中空シリカ球粒子は、日揮触媒化成株式会社から入手した(製品名:BA4)。この中空シリカ球粒子は、非孔質であり、4μmの平均一次粒径、3m2/gのBET比表面積、36%の内部空洞による空隙率、JIS-K5101により煮アマニ油を使用して測定された50mL/100gの吸油能、1.4g/cm3の比重、及び1.2の屈折率を有していた。
【0139】
成分の量の数値は全て、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0140】
[評価]
(UV吸光度)
組成物の各々を、プレート(Helio plate HD 6、PMMA、粗さ:6μm)上に調整可能なピペットでプレート1cm
2当たり20mgの量で移し、次いで、指で均一に広げた。被覆したプレートを、室温で15分間、空気乾燥させた。得られた試料プレートを、Labsphere Ultraviolet Transmittance Analyzer(Solar Light Company社、Philadelphia、Pennsylvania製のモデルUV-2000)中に置いた。紫外線の照射を、試料プレート上の12地点で行った。250から420nmの波長における試料プレートによるUV吸光度を記録した。結果をTable 1(表1)及び
図1に示す。
【0141】
【0142】
Table 1(表1)及び
図1から、少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤と少なくとも1種の中空シリカ球粒子との組合せを含む実施例1による組成物は、該組合せを含まない比較例1、及び実施例1の組成物における中空シリカ球粒子の代わりにホウケイ酸カルシウムアルミニウムを含む比較例2による組成物よりも高い、とりわけ290nmから380nmのUV吸光度を有することが明らかである。より高いUV吸光度は、中空シリカ球粒子を親油性有機UV遮蔽剤とともに使用することによってもたらされると認識することができる。この事実は驚くべきことであり、その理由は、中空シリカ球粒子自体は特定のUV吸光度特性を呈さないことが周知であるからである。また、実施例1の組成物における中空シリカ球粒子の代わりにホウケイ酸カルシウムアルミニウムを含む比較例2による組成物が、いかなる同等の無機充填剤も含まない比較例1による組成物よりも更に低いUV吸光度を示したことは驚くべきことである。したがって、これらの結果は、親油性有機UV遮蔽剤によるUV吸光度を高めることができる中空シリカ球粒子の非常に顕著な特性を示したと言うことができる。
【0143】
したがって、本発明による粒子は、非粉末状サンケア化粧品中の紫外線を遮蔽するためのSPFブースター成分として非常に好ましいものでありうると結論づけることができる。
【0144】
(実施例2)
実施例2(Ex. 2)による溶液組成物(実施例2)を、均質となるように、以下のTable 2(表2)に列挙した成分を混合することによって調製した。配合もまた、以下のTable 2(表2)に示す。成分のうち、中空シリカ球粒子は、上記の実施例1において使用したものと同じであった。
【0145】