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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】風力タービン用のガスケット
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20241007BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20241007BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
F03D13/20
E02D27/32 Z
E02D27/52 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019505286
(86)(22)【出願日】2017-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2017059092
(87)【国際公開番号】W WO2017178657
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-04-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】16165479.3
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16168839.5
(32)【優先日】2016-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16198309.3
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518365318
【氏名又は名称】ピーユーアール ウインド エーピーエス
(73)【特許権者】
【識別番号】519093311
【氏名又は名称】ローゼン スイス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ニッセン ピーターセン,クラウス
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】長馬 望
【審判官】北村 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253536(JP,A)
【文献】特開2015-55046(JP,A)
【文献】特開2002-129778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/20
E02D 27/32
E02D 27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンの移行部分の下部にぴったり合わせるためのガスケットであって、前記移行部分は、杭構造と前記風力タービンとの間に配置されており、前記移行部分および前記杭構造は、円錐台の形状を有し、前記ガスケットは、前記杭構造の周囲に配置されるように構成されており、かつ、前記杭構造にぴったり合っており、前記ガスケットは、前記移行部分と前記杭構造との間に配置されるように構成されており、前記ガスケットは、70%~100%のエラストマー材を含み、かつ、連続中空長尺体として成形されている、ガスケット。
【請求項2】
前記ガスケットは、10N/mmを超える圧縮力に耐えるように構成されている、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記エラストマー材は、ポリウレタン(PUR)、ゴム、ナイロン、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、および、これらの任意の組み合わせから成るグループから選択され、または、前記エラストマー材は、少なくとも70のASTM D2240によるショアA硬度を有し、または、少なくとも50のショアD硬度を有する、請求項1~2のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項4】
前記ガスケットは、少なくとも95%のエラストマー材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項5】
記連続中空長尺体は、少なくとも20mmの壁厚を有し、または、前記連続中空長尺体は、少なくとも7mの高さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項6】
前記連続中空長尺体は、前記連続中空長尺体の半径方向に広がる上部フランジを更に備え、または、前記連続中空長尺体の一端は、閉じられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項7】
前記連続中空長尺体は、一つ以上の開口を備える表面を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項8】
前記ガスケットは、複数の部品から組み立てられ、前記複数の部品のうちの各部品は、中空円錐台の形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項9】
風力タービンの移行部分をモノパイルに取り付けるための方法であって、前記方法は、
請求項1~8のいずれか一項に記載のガスケットを前記移行部分の下部に取り付けるステップと、
前記ガスケットが前記移行部分と前記モノパイルとの間に挟まれるように、前記モノパイルが地中に固定された位置で、前記移行部分を前記モノパイルに組み立てるステップと
を含む、方法。
【請求項10】
風力タービン用の複数のタワー部分を取り付けるための方法であって、前記複数のタワー部分のうちの各タワー部分は、円錐台の形状を有し、前記方法は、陸上または海上で実施され、前記方法は、
a)前記複数のタワー部分のうちの第1のタワー部分を提供するステップと、
b)スケットを前記第1のタワー部分の第1の端部に取り付けるステップであって、前記ガスケットは、前記第1のタワー部分の周囲に配置されるように構成されており、かつ、前記第1のタワー部分にぴったり合っており、前記ガスケットは、70%~100%のエラストマー材を含み、かつ、連続中空長尺体として成形されている、ステップと、
c)前記複数のタワー部分のうちの第2のタワー部分を前記第1のタワー部分の前記第1の端部に組み付けるステップであって、前記ガスケットは、前記第1のタワー部分と前記第2のタワー部分との間に挟まれる、ステップと、
d)前記複数のタワー部分のうちの更なるタワー部分のためにステップa)~ステップc)を繰り返すステップと
を含む、方法。
【請求項11】
風力タービンの杭基礎を取り付けるための方法であって、前記方法は、
前記基礎用の一つ以上の脚を提供するステップであって、各脚は、海底との接触のための下部および移行部分に対する接触のための一つ以上の上部を備え、随意に前記基礎は、三脚またはテトラポッド基礎などのジャケット基礎である、ステップと、
請求項1~8のいずれか一項に記載のガスケットを前記下部に取り付けるステップと、
前記ガスケットが前記下部と前記上部との間に挟まれるように、前記下部を前記上部に組み付けるステップと
を含む、方法。
【請求項12】
風力タービンの移行部分の下部用のガスケットを製造する方法であって、前記ガスケットは、請求項1~8のいずれか一項に記載のガスケットであり、前記方法は、
エラストマー材の層が形成されるように、流体エラストマー材を杭構造とともに組み立てられる前記移行部分の一部の下部内面に徐々に吹き付けるステップと、
ガスケットが形成されるように前記エラストマー材の層を硬化させるステップと
を含む、方法。
【請求項13】
風力タービンの移行部分の下部用のガスケットを製造する方法であって、前記ガスケットは、請求項1~8のいずれか一項に記載のガスケットであり、前記方法は、
流体エラストマー材を一つ以上の予備成形された型に注入するステップと、
一つ以上の部品を備えるガスケットを形成するために前記エラストマー材を硬化させるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移行部分と杭構造(例えば、風力タービンのモノパイル、または風力タービンの三脚もしくはテトラポッド用の杭)の間に配置されるように構成されるガスケット等の海上風力タービン構造を取り付けるためのガスケットに関する。ガスケットは、複数のタワー部分等の対応する構造形状を有する他の海上風力タービン関連の構造を取り付けるのに更に適している。
【背景技術】
【0002】
風力タービンおよび海上風力タービン等の大規模な構造は、通常、モノパイルと移行部分のアセンブリに取り付けられる。モノパイルの一端は地面または海底に固定されて、モノパイルの他端(上端)で、移行部分が取り付けられる。このように、アセンブリは、タービン自体を取り付けるためのレベル・プラットフォームを提供する。それゆえに、移行部分の下部は、モノパイルの上部に取り付けられる。
【0003】
移行部分とモノパイルのアセンブリは、風力タービンの負荷を担持する。従って、アセンブリが安定であること、そして移行部分がモノパイルに対して移動しないことが重要である。
【0004】
従来は、移行部分は、グラウトを注入によって、または2つを一緒にボルト締めにすることによって、またはこの組み合わせによって、モノパイルに対して固定するかまたは安定させる。モノパイルおよび移行部分は、間に空間を有して同心で配置される円筒体であり、ついで2つの本体は取り付けられて、モノパイルと移行部分の間の環状スペースに形成されるグラウト充填材によって、および/または移行部分とモノパイルを一緒にボルト締めにすることによって、例えば、2つの要素の対応するフランジをボルト締めにすることによって一緒に固定する。
【0005】
据え付け後に、動作による振動、ならびに波、風、および流れによる運動が、移行部分に対してモノパイルの運動を誘発することがありえるので、アセンブリは重大な応力を受ける。従来のグラウトは、据え付け後に割れおよび破損を起こし、それはアセンブリの不安定につながり、そして移行部分は、通常、時間とともにモノパイルに対して下方へ徐々に移動する。
【0006】
グラウトのひび割れの危険率を低下させるために、そして充填材の破損の危険率を最小化するために、グラウトは、欧州特許第2672016号明細書に開示したように、発泡ポリウレタン等の弾性的に圧縮可能な構成要素を備えることができる。
【0007】
グラウトの代わりに、またはそれに加えて、移行部分とモノパイルの間のいかなる運動も、移行部分とモノパイルの間に取り付けられる複数の別々のベアリング部品を用いて減らすことができる。別々のベアリング部品は、欧州特許第2518306号明細書に記載のポリウレタンまたは欧州特許第2604757号明細書に記載のゴム等のエラストマー部品を備えることができる。
【0008】
エラストマー部品は、付加的な利点を有することができる。独国特許第102013019288号明細書は、粘弾性ポリマー、ゴム、シリコーンゴム、ポリウレタン、エラストマー、熱可塑性エラストマー、または瀝青でありえる、振動低下コーティングによって少なくとも部分的にカバーされる海上杭を開示する。コーティングは、海上杭の海底への据え付けの間のノイズを減らすために開示される。
【0009】
風力タービンおよび海上風力タービンを更に強化するために、大規模な構造は、モノパイル以外の杭構造に取り付けることができる。他の杭構造は、三脚またはテトラポッド基礎等のあらゆるタイプのジャケット基礎を含む。風力タービンは、風力タービンの高さを増大させるために、および/または取り付けた構造の応力許容度を高めるために、複数のタワー部分を更に備えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
グラウトおよび/または別々のベアリング部品の進歩、ならびに杭構造の構造的進歩にもかかわらず、杭構造と関連する移行部分のより長期の耐久性がある効果的な安定化、ならびにタワー部分等の移行部分を構成する要素の安定化が必要である。移行部分を組み立てて取り付けるための、および/または移行部分を組み立ててモノパイル等の杭構造に取り付けるためのより簡単でより経済的な方法が更に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、移行部分を海上モノパイルに特に適しているモノパイル等の杭構造に取り付けて固定するためのガスケットに関する。本開示は、更に、複数のタワー部分等の複数の移行部分を取り付けて固定するためのガスケットに関する。本開示のガスケットは、2つの部材のより安定な長期の耐久性があるアセンブリ、ならびにモノパイルおよび移行部分等の2つの部材を組み立てるためのより簡単な方法を提供し、それで風力タービンの据え付けの費用効果性を改善する。このように、本開示のガスケットは、耐荷重であり且つ荷重吸収するように構成される。例えば、それは、移行部分等の大規模な構造の荷重を担持するように構成される。耐荷重性構成は、形状が完全に合わない2つの部材が取り付けられて一緒に固定できることを更に容易にする。例えば、杭構造および完全には同心円でない移行部分、および/またはここで、部材の一つは円筒形であり、そして他の部材はより楕円筒形である。モルタル、グラウト、砂、砂利、セメント、および/またはコンクリートの使用を回避できるように、本開示のガスケットは、2つの大規模な部材の間のジョイントを更に提供する。このように、ガスケットは、ガスケットを製造して杭構造および移行部分に組み立てるために改良された柔軟性および簡単さを提供する。例えば、ガスケットは、杭構造および移行部分と独立して製造して凝固できる。例えば、杭構造および/または移行部分にその後取り付けられる独立部分として製造される。
【0012】
本開示の第1の態様は、風力タービンの移行部分の下部にぴったり合うためのガスケットに関するものであり、ガスケットは、杭構造に対して移行部分の位置を安定させる。すなわち、ガスケットは、通常、杭構造の上部外面を囲んで、移行部分の最下部の内面に当接するように、ガスケットは、主にエラストマー材で製造されて、移行部分と杭構造の間に取り付けられるときに、モノパイル、三脚、またはテトラポッド用の杭等の杭構造の少なくとも一部を囲むための中空の長尺体として成形される。
【0013】
本開示は、移行部分の部分を組み立てるのに更に適している。本発明の更なる態様は、第1のタワー部分の下部等の第1の移行部分部の下部にぴったり合うためのガスケットに関するものであり、ガスケットが、第2の移行部分部に対して第1の移行部分部の位置を安定させるように、ガスケットは、主にエラストマー材で製造されて、第1の移行部分部と第2の移行部分部の間に取り付けられるときに、第2のタワー部分の上部等の第2の移行部分部の少なくとも一部を囲むための中空長尺体として成形される。
【0014】
本開示の第2の態様は、風力タービンの移行部分の下部に適合し、および/またはぴったり合うように好ましくは構成されるガスケットに関する。ガスケットは、従って、中空長尺体として成形できる。好ましい実施形態において、ガスケットは、主にPUR等のエラストマー材で製造される。ガスケットは、好ましくは自立構造である。ガスケットは、したがって、移行部分とモノパイルの間に取り付けるときに、すなわち、移行部分とモノパイル間のサンドイッチ構造でモノパイルの少なくとも一部を囲むことができる。それにより、ガスケットが、2つの要素の組み立ての間と後にモノパイルに対して移行部分の位置を安定させる。
【0015】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、ガスケットは、複数の部品から組み立てられる。更なる好ましい実施形態では、ガスケットは複数の部品から組み立てられて、そこでは、各部品は隣接部品に適合するように構成される。任意に、複数の部品は、パズルと同様の方法で互いに適合していて、ここで、隣接部品の隣接端は、予め定められた方法でだけ嵌入できる。好ましい実施形態において、隣接部品は、円筒状または円錐形状であり、ここで、部品は、各々の上に、または各々の延長に配置することができて、それによって、組み立てられた部品の累積的な高さである高さによりシリンダまたは円錐を形成する。更なる好ましい実施形態では、隣接部品は、円筒状または円錐形状であり、そして上部および下部の周辺部に沿った端の少なくとも1つは、鋭角を形成する。そうすると、隣接部品は、楔状に適合するかまたは組み立てることができる。
【0016】
本開示の第3の態様は、海上構造を取り付ける、例えば、移行部分をモノパイル、三脚またはテトラポッド用の杭等の杭構造に取り付けるための、および/または移行部分を取り付ける、例えば、複数のタワー部分を取り付けるための、本発明の第1または第2の態様によるガスケットの使用に関する。
【0017】
本開示の第4の態様は、風力タービンの移行部分をモノパイルに取り付ける方法に関する。第1のステップは、本開示のガスケットを移行部分の下部に取り付けることである。ガスケットが、モノパイルの位置へ移動されるときに移行部分の下部に設置され、嵌入されて、固定されるように、この取り付け手順を土地に施すことができる。更なるステップは、モノパイルが地中に取り付けられた位置、例えば海上位置における移行部分およびモノパイルの組み立てである。移行部分およびモノパイルは、間にガスケットを備えて同心で配置できる。その場合、ガスケットは、移行部分とモノパイルとの間に固定シールがあることを確実にする。そして、最も重要なのは、モノパイルへの移行部分の組み立ては、グラウトおよび/またはボルト締めを用いずに施すことができて、本開示のガスケットおよび方法は、海上風力タービンの据え付けのための非常に費用効率の高い解決策となることである。
【0018】
本開示の第5の態様は、風力タービン用の複数のタワー部分を取り付ける方法に関するものであり、この方法は、陸上または海上で任意に実施されて、第1のタワー部分を提供するステップと、第1の態様によるガスケットを第1のタワー部分の第1の端部に取り付けるステップと、ガスケットが2つの部分の間に挟まれるように、第2のタワー部分を第1のタワー部分の第1の端部に組み立てるステップと、すべてのタワー部分に対してこのプロセスを繰り返すステップとを含む。
【0019】
本開示の第6の態様は、風力タービンのジャケット基礎等の杭基礎を取り付ける方法に関するものであり、この方法は、基礎用の一つ以上の脚を提供するステップであって、各脚は、海底との接触のための下部および移行部分との接触のための一つ以上の上部を備えるステップと、第1の態様によるガスケットを下部脚に取り付けるステップと、ガスケットが2つの脚部品の間に挟まれるように、下部脚を上部脚に組み立てるステップとを含む。
【0020】
本発明の第6の態様の好ましい実施形態において、基礎は、三脚またはテトラポッド基礎等のジャケット基礎である。
【0021】
本開示の第7の態様は、風力タービンの移行部分の下部を杭構造にぴったり合わせるためのガスケットの製造に関する。好ましい実施形態において、ガスケットは、金型注型等の注型プロセスにより製造されて、ガスケットおよび移行部分は、海上サイトまたは陸上で組み立てることができる。別の好ましい実施形態において、ガスケットは、移行部分の内面または移行部分の下部への熱吹き付けまたは吹き付け乾燥等の吹き付けプロセスまたは被覆プロセスにより製造される。好ましくは、移行部分は、海上または陸上で組み立てる前にガスケットで被覆される。任意に、移行部分は、陸上で、例えば移行部分製造サイトで被覆される。更なる好ましい実施形態では、ガスケットは、ポリ尿素の溶液を吹き付けることにより製造され、それによって、ガスケットは、ポリ尿素のコーティングとして形成される。
【0022】
本発明の第7の態様の好ましい実施形態は、風力タービンの移行部分の下部用のガスケットを製造する方法に関するものであり、この方法は、エラストマー材の層が形成されるように、杭構造と共に組み立てられる移行部分の部分の下部の内面に流体エラストマー材を少しずつ吹き付けるステップと、ガスケットが形成されるように、エラストマー材の層を硬化させるステップとを含む。
【0023】
本発明の第7の態様の別の好ましい実施形態は、風力タービンの移行部分の下部用のガスケットを製造する方法に関するものであり、この方法は、流体エラストマー材を一つ以上の予め形成された型に注入するステップと、エラストマー材を硬化させて、一つ以上の部品を備えるガスケットを形成するステップとを含む。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
風力タービンの移行部分の下部にぴったり合わせるためのガスケットであって、前記ガスケットは、主にエラストマー材で製造されて、前記移行部分と前記杭構造の間に取り付けられるときに、モノパイルのための杭、三脚、またはテトラポッド等の杭構造の少なくとも一部を囲むために中空長尺体として成形されて、それにより前記ガスケットは前記杭構造に対して前記移行部分の位置を安定させる、ガスケット。
(項目2)
前記移行部分および/または前記杭構造の運動により発生する圧縮、引っ張り、および/または剪断応力を吸収することによって、前記杭構造に対して前記移行部分の位置を安定させるように構成される、項目1に記載のガスケット。
(項目3)
10N/mm を超える、より好ましくは15N/mm を超える、そして最も好ましくは20N/mm を超える圧縮力に耐えるように構成される、項目1~2のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目4)
前記エラストマー材は、ポリウレタン(PUR)、ゴム、ナイロン、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、およびそれらのあらゆる組み合わせから成るグループから選択され、好ましくはポリ尿素等のポリウレタンである、項目1~3のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目5)
注型プロセスまたは吹き付けプロセスにより製造される、項目1~4のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目6)
前記エラストマー材は、少なくとも70、好ましくは少なくとも80、より好ましくは70~120、より好ましくは80~100、そして最も好ましくは85~95のASTM D2240によるショアA硬度を有するか、または少なくとも50、より好ましくは少なくとも60、そして最も好ましくは少なくとも75のショアD硬度を有する、項目1~5のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目7)
少なくとも95%のエラストマー材で構成される、項目1~6のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目8)
前記中空長尺体の形状は、中空円筒、中空円錐台、およびそれらのあらゆる組み合わせから成るグループから選択される、項目1~7のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目9)
前記中空長尺体は、少なくとも20mm、より好ましくは少なくとも30、40、または50mmの壁厚を有する、項目1~8のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目10)
前記中空長尺体は、少なくとも7m、より好ましくは6.5、6、5、4、または3mの高さを有する、項目1~9のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目11)
前記中空長尺体は、前記体の半径方向に広がる上部フランジを更に備える、項目1~10のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目12)
前記中空長尺体は一端が閉じている、項目1~10のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目13)
前記中空長尺体は、一つ以上の開口を備える表面を有する、項目1~12のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目14)
前記開口の領域は、前記中空長尺体の表面積の少なくとも25%を構成する、項目13に記載のガスケット。
(項目15)
前記中空長尺体は自立構造である、項目1~14のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目16)
複数の部品から組み立てられる、項目1~15のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目17)
6つの部品、より好ましくは5つまたは4つの部品、そして最も好ましくは2つまたは3つの部品から組み立てられる、項目16に記載のガスケット。
(項目18)
少なくとも2つの部品、より好ましくは少なくとも3つの部品、さらにより好ましくは少なくとも4つの部品から組み立てられる、項目16に記載のガスケット。
(項目19)
各部品は中空円錐台の形状を有する、項目16~18のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目20)
前記複数の円錐の直径は、前記組み立てられた円錐が連続中空円錐台を形成するように構成される、項目19に記載のガスケット。
(項目21)
前記複数の部品は、楔状に当接しているように構成される、項目16~20のいずれか一項に記載のガスケット。
(項目22)
グラウトまたはボルト締めを用いずに、海上風力タービン構造を取り付ける、例えば、移行部分をモノパイル、三脚またはテトラポッド用の杭等の杭構造に取り付けるための、および/または複数のタワー部分等の前記移行部分の部品を取り付けるための、項目1~20のいずれか一項に記載のガスケットの使用。
(項目23)
風力タービンの移行部分をモノパイルに取り付ける方法であって、
項目1~21のいずれか一項に記載の前記ガスケットを前記移行部分の下部に取り付けるステップと、
前記ガスケットが前記移行部分と前記モノパイルの間に挟まれるように、前記モノパイルが地中に固定された位置で、例えば、海上の位置で、前記移行部分を前記モノパイルに組み立てるステップと
を含む、方法。
(項目24)
風力タービン用の複数のタワー部分を取り付ける方法において、任意に陸上または海上で実施される方法であって、
a)第1のタワー部分を提供するステップと、
b)項目1~21のいずれか一項に記載の前記ガスケットを前記第1のタワー部分の第1の端部に取り付けるステップと、
c)前記ガスケットが2つの部分の間に挟まれるように、第2のタワー部分を前記第1のタワー部分の前記第1の端部に組み付けるステップと、
d)更なるタワー部分のためにステップa~cを繰り返すステップと
を含む、方法。
(項目25)
風力タービンのジャケット基礎等の杭基礎を取り付ける方法であって、
前記基礎用の一つ以上の脚を提供するステップであって、各脚は、海底との接触のための下部および移行部分に対する接触のための一つ以上の上部を備えるステップと、
項目1~21のいずれか一項に記載の前記ガスケットを前記下部脚に取り付けるステップと、
前記ガスケットが前記2つの脚部品の間に挟まれるように、前記下部脚を前記上部脚に組み立てるステップと
を含む、方法。
(項目26)
前記基礎は、三脚またはテトラポッド基礎等のジャケット基礎である、項目25に記載の方法。
(項目27)
風力タービンの移行部分の下部用のガスケットを製造する方法であって、
エラストマー材の層が形成されるように、流体エラストマー材を杭構造とともに組み立てられる前記移行部分の部分の下部内面に徐々に吹き付けるステップと、
ガスケットが形成されるようにエラストマー材の前記層を硬化させるステップと
を含む、方法。
(項目28)
風力タービンの移行部分の下部用のガスケットを製造する方法であって、
流体エラストマー材を一つ以上の予備成形された型に注入するステップと、
一つ以上の部品を備えるガスケットを形成するために前記エラストマー材を硬化させるステップと
を含む、方法。
(項目29)
前記ガスケットは、項目1~21のいずれか一項に記載のガスケットである、項目27~28のいずれか一項に記載の方法。
【0024】
本発明は、以下に添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】モノパイル1に取り付けられる移行部分2を示し、そこでは、モノパイル1の上部が本開示のガスケット3の実施形態に含まれる。
図1A】アセンブリを斜視側面図で示し、そこで、線D-Dは、モノパイル1の中心且つ長手方向を示す。ガスケットは図1Aに見えない。
図1B】アセンブリの立断面図を示し、そこで、図1Aからの線D-Dは参考のために含まれる。ガスケット3は、ここで移行部分2とモノパイル1に挟まれて見える。
図2】上部にフランジ4を有する中空円錐台として成形される本開示のガスケット3の実施形態を示す。モノパイルの長手方向中心および長手方向は、線D-Dにより示される。
図2A】ガスケット3の下部からの斜視図を示す。
図2B】垂直断面図を示し、そこで、円錐台形状が示されて、ガスケットの例示的な寸法が更に示される。
図2C】円錐の水平断面図を示して、円錐台およびフランジ4の下部および上部の直径を例示する。例示的寸法が更に示される。
図2D】ガスケット3のフランジ4の実施形態の拡大図を示す。拡大図は、図2Bに「E」として示される領域に対応する。フランジ4は、円錐の水平および半径方向に広がるフランジ部分を備え、よってフランジの水平部分は、円錐の壁に対して90度を超える角度を形成する。壁厚および水平フランジ部分の拡張部の例示的寸法が示される。
図3】中空円錐台として形成される本開示のガスケット3’の別の実施形態を示し、そこで、円錐の湾曲面は複数の穴を更に備える。
図3A】ガスケット3’の下部からの斜視図を示す。
図3B】垂直断面図を示し、そこで、円錐台形状が示されて、ガスケット3’の例示的寸法が更に示される。モノパイルの中心且つ長手方向は、線D-Dにより示される。
図3C】円錐の水平方向断面図を示して、円錐台の下部および上部の直径、ならびに穴の位置を例示する。下部と上部の直径およびガスケット3’の例示的寸法が更に示される。
図3D】ガスケット3’のフランジ4の拡大図を示す。拡大図は、図3Bに「E」として示される領域に対応する。フランジ4は、円錐の水平および半径方向に広がるフランジ部分を備え、よってフランジの水平部分は、円錐の壁に対して90度を超える角度を形成する。円錐壁厚および水平フランジ部分の拡張部の例示的寸法が示される。
図4A】円錐の水平および半径方向に広がるフランジ4部分を備えて、モノパイル1の上部に係合するように更に構成されるガスケット3の図1の実施形態を示す。
図4B】円錐の水平および半径方向に広がるフランジ4部分を備えて、モノパイル1の上部に係合するように更に構成されるガスケット3の図1の実施形態を示す。
図5】中空円錐台として形成される本開示のガスケット3’’の別の実施形態を示し、そこで、円錐は3つの部品1~3から組み立てられる。
図5A】ガスケット3’’の下部からの斜視図を示す。
図5B】垂直断面図を示し、そこで、円錐台形状が示されて、3つの部品1~3が示される。ガスケット3’’および部品1~3の例示的な寸法が更に示される。モノパイルの中心および長手方向は、線D-Dにより示される。
図5C】円錐の水平断面図を示して、円錐台の下部および上部の直径を例示する。ガスケット3’’の下部および上部の直径の例示的寸法が更に示される。
図5D】ガスケット3’’、部品3のフランジ4の拡大図を示す。拡大図は、図5Bに「E」として示される領域に対応する。フランジ4は、円錐の水平および半径方向に広がるフランジ部分を備え、よってフランジの水平部分は、円錐の壁に対して90度を超える角度を形成する。円錐壁厚および水平フランジ部分の拡張部の例示的寸法が示される。
図6】3つのタワー部分5から組み立てられる風車タワーの実施形態の断面を示し、そこで、部分は、本開示によるガスケット3’’’の実施形態と共に組み立てられて、取り付けられる。タワー部分は円錐形状あり、そしてガスケットは、下に配置された部分のより小さい直径を有する端に取り付けられる。ガスケットが2つの部分の間で円錐形接触領域において挟まれるように、部品は、上に配置された部分のより大きい直径を有する端を下げることによって組み立てられる。
図7図6に示される風車タワーの実施形態の断面を示し、そこで、タワーは、海上で移行部分2上に配置されて、海面7に配置される。
図8】ジャケット基礎の実施形態を示し、そこで、基礎は3本の脚1’を備える三脚である。
図9】ジャケット基礎の実施形態を示し、そこで、基礎は4本の脚1’を備えるテトラポッドである。
図10】海底8との接触のための下部および移行部分9に対する接触のための上部を備える基礎脚1’の実施形態の分解図を示し、そこで、下部および上部は円筒状のぴったり合うアセンブリを形成する。ガスケット3’’’’は下部に取り付けられて、組み立てにより、ガスケットは、2つの部品の間で接触領域において挟まれる。
図11】海底8’との接触のための下部および移行部分9’に対する接触のための上部を備える基礎脚1’の実施形態の分解図を示し、そこで、下部および上部は閉管状のぴったり合うアセンブリを形成する。ガスケット3’’’’’は下部に取り付けられて、組み立てにより、ガスケットは、2つの部品の間で接触領域において挟まれる。
図12】本開示の実施形態を示し、そこで、ガスケットは、円錐形ガスケットに組み立てられるように構成される5つの円錐形部品(部品3-1、3-2、3-3、3-4、および3-5)を備える。図は、断面図のガスケットを示し、そして各部品の周囲縁の少なくとも1つは、鋭角を形成し、その結果隣接部品は楔状に組み立てられる。移行部分2に対する接触領域は、移行部分2対する位置が図12の右側に示されるように表される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
移行部分がモノパイルに取り付けられるとき、本開示のガスケット3、3’、3’’、3’’’、3’’’’、3’’’’’、3-1は、現在の標準的手順であるグラウトおよびボルト締めを置き換えることができる。グラウトは、海面より上にあるモノパイルの部分に実行できるだけであり、そしてグラウトは、特定の温度を超えるような特定の気象状況において実行できるだけである。また、2つの要素を一緒にボルト締めすることは、複雑な、時間がかかる高価な手順である。本開示のガスケット3、3’、3’’、3’’’、3’’’’、3’’’’’、3-1は、モノパイルと移行部分の間のアセンブリが移行部分とモノパイルの間にアセンブリの位置を下げることを可能にする海面の下にある状況において使用できる。場合によっては、移行部分およびモノパイルのアセンブリ位置は、本開示のガスケットを用いて10メートルも下げることができる。それによって、全風力タービン構造の質量中心を著しく下げる。
【0027】
本開示のガスケットは、さらに、グラウトと同じ程度に気象状況に左右されない。ガスケットは、モノパイルの位置に輸送する前に、地上で移行部分の下部に取り付けることもできる。円筒状移行部分の内面等の移行部分の下部は、移行部分に取り付けるガスケットを形成するために被覆されるかまたは吹き付け被覆されることができる。本願明細書に開示されたガスケットは、このことにより、風力タービン、特に海上風力タービンの据え付けに対して著しいコスト削減を提供できる。
【0028】
本開示のガスケットは、さらに、モノパイルと移行部分の間の相対運動、例えば、風力タービンの動作中の振動、波、風、および流れにより誘発される運動を最小化できる。本開示のガスケットは、さらに、モノパイルと移行部分の間の充填材として作用できる。本開示のガスケットは、さらに、モノパイルと移行部分の間の幾何学的な許容度におけるミスマッチに対処することが可能でありえる。
【0029】
図1は、わずかに円錐形でほぼ円筒形の形状を有するモノパイル1、およびモノパイル1の一部を囲む本開示のガスケット3の実施形態を示す。図1Aは、ガスケットが見えない側面図でモノパイルと移行部分のアセンブリを示し、そして図1Bは、ガスケット3がモノパイル1と移行部分に挟まれて見えるアセンブリの立断面図を示す。図1から、ガスケット3が中空長尺体(この場合、円錐台)の形状を有するということがわかる。
【0030】
移行部分2の下部は、図1および4に最も良く示すように、ガスケット3の上に、またはその周辺に取り付けられる。風力タービンの組み立ておよび据え付けの後に、モノパイル1および/または移行部分2の運動は、振動および天気により誘発されることがありえる。運動は、ガスケット3へ伝えられる応力を生じる。ガスケットの特性に応じて、応力はアセンブリの他の部分へ更に伝えられることがありえる。
【0031】
アセンブリ内の運動を最小化して、このことによりモノパイルに対して移行部分の位置を安定させるために、ガスケット3が応力を吸収できることが有利である。エラストマー材は粘弾性であり、すなわち粘性と弾性を合わせ持ち、従って応力を吸収するのに適している。
【0032】
本開示のガスケットは、従って、好ましくは主にエラストマー材で製造されて、このように応力を吸収するように構成されて、そこで、応力はいかなるタイプの応力でもありえて、応力はいかなる方向も有することがありえる。
【0033】
一実施形態において、ガスケットは、各々と関連する移行部分および/またはモノパイルの運動により発生する圧縮、引っ張り、および/または剪断応力を吸収することによって、モノパイルに対して移行部分の位置を安定させるように構成される。
【0034】
ガスケットは、圧縮、引っ張り、および/または剪断応力にさらされることがありえる。しかしながら、風力タービンの動作中、ガスケットの圧縮は一般的である。大きい圧縮力によるガスケットの故障は、従って、重大であって、回避しなければならない。本発明の更なる実施形態において、ガスケットは、従って、10N/mmを超える、好ましくは15N/mmを超える、そして最も好ましくは20 N/mmを超える圧縮力に耐えるように構成される。
【0035】
本開示のガスケットは、耐荷重性であるように構成される。従って、エラストマー材が特定の硬度を有することが重要である。ガスケットは、公知技術の選択されたエラストマー材タイプから製造されて、公知技術の選択されたプロセスによって製造できる。それによって、必要な硬度を得ることができる。
【0036】
ガスケットは、金型注型等の注型プロセスによって製造できる。注型プロセスは、エラストマー材またはその前駆体の流体形を一つ以上の予備成形された型に注入することを含む。材料は、ガスケットを形成するために、その後硬化するか、または堅くされる。このように、ガスケットは、独立したユニットである一つ以上の部分に注型されることができる。複数の部品が注型されるときに、複数の注型部品は、ガスケットを形成するためにその後組み立てることができる。注型されたガスケットおよび/またはガスケット部品は、海上サイトで、または陸上で両方とも組み立てることができる。
【0037】
ガスケットは、熱吹き付けまたは吹き付け乾燥等の吹き付けプロセスまたは被覆プロセスによって製造することもできる。吹き付けまたは被覆プロセスは、エラストマー材の流体形、またはその前駆体を移行部分の表面等の表面へ吹き付けることを含む。プロセスは、杭構造と共に組み立てられる移行部分の部分の最下部の内面等の表面の特定の部品に制限できる。吹き付けられたコーティングは、その後硬化するかまたは堅くなるエラストマー材の層を形成し、それによってガスケットは形成される。
【0038】
この場合、ガスケットは、円筒状移行部分の内面等の移行部分の下部に塗布されるコーティングとして形成される。この場合、移行部分が、海上または陸上で組み立てる前にガスケットで被覆できることは、更に有利である。任意に、移行部分は、陸上で、例えば、移行部分製作サイトで被覆される/吹き付けられる。吹き付けまたは被覆は、通常、注型より費用のかかる製造プロセスであるが、吹き付け/被覆用の原料の輸送が注型されたガスケットの輸送より経済的であるという利点がある。吹き付け/被覆プロセスの更なる利点は、ガスケットが移行部分の実際の内面にぴったり合うことが確実であるということである。
【0039】
耐荷重性であるように構成できるエラストマー材は、ポリウレタン(PUR)を含む。更なる実施形態において、エラストマー材は、ポリウレタン(PUR)、ゴム、ナイロン、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、ポリ尿素、およびそれらのあらゆる組み合わせから成るグループから選択される。最も好ましい材料は、ポリウレタン(PUR)および/またはポリ尿素である。
【0040】
エラストマー材は、注型プロセスまたは吹き付けプロセスによって製造できる。特定のエラストマー材の場合は、液体エラストマーの物性のため吹き付けプロセスを使用することは有利でありえる。好ましい実施形態において、吹き付けシステムは、ポリ尿素ホットアンドコールド鋳造システム等のポリウレタンシステムである。更なる好ましい実施形態では、吹き付けにより製造されるガスケットはポリ尿素から成る。
【0041】
更なる実施形態において、エラストマー材は、少なくとも70、より好ましくは少なくとも80、より好ましくは少なくとも85、さらにより好ましくは70~120、より好ましくは80~100、そして最も好ましくは85~95のASTM D2240によるショアA硬度を有する。さらなる実施形態において、エラストマー材は、少なくとも50、より好ましくは少なくとも60、そして最も好ましくは少なくとも75のショアD硬度を有する。さらなる実施形態において、ガスケットは、少なくとも75のショアD硬度を有するポリ尿素を備え、そこにおいて、ガスケットは、好ましくは、吹き付け/被覆プロセスにより製造される。
【0042】
ガスケットは、好ましくは、主にエラストマー材で製造されて、応力を吸収するガスケットの能力は、エラストマー材の量に依存する。エラストマー材の量が多いほど、応力吸収はより良好である。ガスケットは、従って、70~100%、好ましくは90~100%、そしてさらにより好ましくは95~100%、そして最も好ましくは99~100%のエラストマー材を備える。
【0043】
ガスケットが特定のタイプのポリウレタンで構成されることは、更に有利でありえる。
【0044】
ポリウレタン・エラストマーは、ジイソシアネート、長鎖多価アルコール、および短鎖伸長剤の反応から調製する。各成分を変えることによって、ポリウレタン・エラストマーの特性は、特定のアプリケーションの必要を満たすために調整できる。
【0045】
注型ポリウレタン・エラストマーは、プレポリマーを形成するためのジイソシアネートとポリエーテル/ポリエステル多価アルコール間の反応、および該プレポリマーと鎖伸長剤間の次の反応によって形成できる。反応および硬化により、エラストマーの3次元構造が形成される。
【0046】
好ましい実施形態において、ジイソシアネートは、トルエン・ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン・ジイソシアネート(MDI)、脂肪族および非従来型イソシアン酸塩、およびそれらのあらゆる組み合わせのグループから選択される。
【0047】
好ましい実施形態において、多価アルコールは、ポリエーテルおよび/またはポリエステル多価アルコールのグループから選択される。更なる好ましい実施形態では、ポリエーテル/ポリエステル多価アルコールは、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリアジピン酸塩、ポリカプロラクトン、非従来型多価アルコール、およびそれらのあらゆる組み合わせのグループから選択される。
【0048】
好ましい実施形態において、ジイソシアネートとポリエーテル/ポリエステルの間の反応により形成されるプレポリマーは、高温注型法を使用して処理される従来型TDIおよびMDI末端ポリエーテルおよびポリエステル系プレポリマー、水銀のないMDIシステム、TDIへの減少したオペレータ露出のための小さい未反応TDI含有量を有するプレポリマー、エーテルまたはエステル・バックボーンを有する準MDIプレポリマー、TDIプレポリマーと同等の処理プロフィールを有するアミン・クロスリンクMDIプレポリマー、およびスペシャルティ・ジイソシアネートで終端されたプレポリマーを含むプレポリマーのDesmodur(登録商標)ラインのグループから選択される。
【0049】
本発明は、主に高分子で構成されるすべての固体プラスチックを含む。これらの実施例は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の熱可塑性物質、エポキシまたはメラミン樹脂等の熱硬化性物質、天然または合成ゴム等のエラストマー、および熱可塑性共同ポリアミドまたはポリエステル・エラストマー等の熱可塑性エラストマーを含む。
【0050】
好ましくは、しかし排他的でなく、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン・ポリ尿素複合型合成物が、本発明との関連で用いられる。これらは、以下にポリイソシアネート重付加製品と呼ばれる。
【0051】
これらは、特に、エラストマー、デュロマー、ポリイソシアネート重付加注型用樹脂、または熱可塑性ポリイソシアネート重付加製品等のコンパクト・ポリイソシアネート重付加製品、および可撓性フォーム、半硬式フォーム、硬式フォーム、またはインテグラル・フォーム等のポリイソシアネート重付加製品を主成分としたフォーム、およびポリイソシアネート重付加製品コーティングおよび結合剤を含む。
【0052】
本発明との関連で、ポリイソシアネート重付加製品は、ポリイソシアネート重付加製品および更なるポリマーを含むポリマーブレンド、ならびにこれらのポリマーブレンドからのフォームを意味するとしても理解すべきである。
【0053】
優先は、コンパクト・ポリイソシアネート重付加製品、コーティング、またはインテグラル・フォーム、好ましくは、コンパクト・ポリイソシアネート重付加製品およびコーティング、特にポリイソシアネート重付加製品樹脂、ポリイソシアネート重付加製品注型エラストマーおよび熱可塑性ポリイソシアネート重付加製品およびコーティング、そして非常に特に好ましくは、ポリイソシアネート重付加製品デュロマーとも呼ばれるポリイソシアネート重付加製品注型用樹脂、およびポリイソシアネート重付加製品注型エラストマーおよびコーティングに対して行われる。
【0054】
本発明の範囲内で、コンパクト・ポリウレタンまたは固体ポリウレタンは、ガス包含が基本的にない固体を意味するとして理解すべきである。この場合、「ガス包含が実質的にない」ということは、ポリウレタンが、好ましくは20容量%未満、特に好ましくは10容量%未満、特に5容量%未満、そして非常に特に2%未満のガス包含を含むことを意味する。
【0055】
熱可塑性ポリウレタンは、熱可塑性特性を呈するコンパクト・ポリイソシアネート重付加製品を意味するとして理解される。熱可塑性特性は、熱可塑性ポリイソシアネート重付加製品が加熱の間に繰り返し溶解することができて、加熱の間にプラスチック流れを呈することを意味すると理解される。
【0056】
ポリイソシアネート重付加製品注型樹脂は、原料を混合して続いて反応混合物を型に注型することによって得られるコンパクト・ポリイソシアネート重付加製品のことである。
【0057】
より大きい表面をコーティングするために、注型用樹脂は、注がれて、例えば、混ぜるかまたはドクターブレードを使用することによって塗布される。
【0058】
あるいは、これらのシステムは、吹き付けにより塗布されることができる。識別は、非化学架橋注型エラストマーと高架橋デュロマーまたは注型用樹脂の間になされる。
【0059】
本発明の範囲内で、そして本発明の実施形態として、ポリイソシアネート重付加製品フォームは、DIN 7726によるフォームであると理解される。
【0060】
ポリイソシアネート重付加製品結合剤は、ゴム顆粒、ポリイソシアネート重付加製品剛性フォーム廃棄物のための、そして無機製品のための結合剤を含む。
【0061】
本発明の実施形態を準備するために、ポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアン酸塩反応性水素原子(OHまたはNH基のような)および少なくとも350g/モルの分子量、任意に低分子量の鎖伸長剤および/または架橋剤、適切な場合触媒、任意に推進剤、および任意に反応混合物を形成するためにそしてポリイソシアネート重付加製品に反応する他の添加物を有する化合物と反応する。
【0062】
本発明によるポリイソシアネート重付加製品の製造のために使用するポリイソシアネート成分は、すべてのポリイソシアネートを含む。これらは、例えば、従来技術から公知の脂肪族、脂環式および芳香族の二価または多価イソシアン酸塩、ならびにそれらのあらゆる混合物を含む。実施例は、2、2’-、2、4’-、および4、4’-ジフェニルメタン・ジイソシアネートを含み、それらは、ジフェニルメタン・ジイソシアネート(ポリマーMDI)のモノマー・ジフェニルメタン・ジイソシアネートおよび高次コア相同物の混合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)またはそのオリゴマー、2、4’-または2、6’-トリルエン・ジイソシアネート(TDI)またはそれらの混合物、テトラメチレン・ジイソシアネートまたはそのオリゴマー、ヘキサメチレン・ジイソシアネート(HDI)またはそのオリゴマー、ナフチレン・ジイソシアネート(NDI)またはそれらの混合物を含む。
【0063】
ポリイソシアネート成分は、ポリイソシアネート・プレポリマーの形で用いることができる。
【0064】
多価アルコールおよびポリアミンは、当業者に周知である。それらは、少なくとも2つの反応性水素原子および少なくとも350グラム/モルの分子量を有して、イソシアン酸塩に対して反応する少なくとも2つの水素原子および少なくとも350グラム/モルの分子量を有する化合物として使用できる。これらは、例えば、2~8の機能および350~12,000グラム/モルの分子量を有する。これは、例えば、ポリエーテル(-エステル、炭酸塩)ポリアミン、ポリチオポリエーテル(-エステル、炭酸塩)、ポリエーテル(-エステル、炭酸塩)アミドおよび/またはポリアセタールおよび脂肪族ポリカーボネートおよびアクリル酸塩を含む水酸基、またはそれらの混合物を含む。
【0065】
形状
ガスケットは、好ましくは、モノパイルの少なくとも一部を囲むように構成される。モノパイルの断面が通常は円形であり、そして上部の外形が通常は円錐台であるので、本開示のガスケットは、従って、好ましくは、中空長尺体、すなわち、対応する移行部分とモノパイルの間に嵌まる本体として成形される。ガスケットは、移行部分の通常は中空の下部内部でぴったり合うように更に構成することができる。モノパイルおよび対応する移行部分の形状に応じて、本開示のガスケットが、中空円筒、中空円錐台、またはそれらのあらゆる組み合わせとして成形されることは有利でありえる。
【0066】
それ故、一実施形態において、中空長尺体は、中空円筒、中空円錐台、およびそれらのあらゆる組み合わせから成るグループから選択される。
【0067】
図2は、中空円錐台として成形されるガスケット3の実施形態を示す。モノパイルの中心および長手方向は、線D-Dにより示される。図2Aは、ガスケット3の斜視図を示す。図2Bは、垂直断面図を示し、そこで、円錐台形状が示されて、ガスケットの例示的寸法が更に示される。図2Bにおいて、円錐の高さは9382.7mmであり、そして円錐の壁厚は75mmである。図2Cは、円錐の水平断面図を示して、円錐台の下部および上部の直径を例示する。図2Cの実施形態が、本願明細書に示される材料特性を有するPURで製造される場合、ガスケットの重量は、約15.7メートルトンである。
【0068】
ガスケットの寸法は、部分的にガスケットが通常ぴったり合わなければならない対応するモノパイルおよび移行部分の寸法によって、そして部分的に応力吸収能力および材料コストへの考慮により決定される。ガスケットの寸法が大きいほど、ガスケットの強度および応力吸収能力はより高い。しかしながら、より大きい寸法は、ガスケットのより高い重量およびコストとも関連している。
【0069】
更なる実施形態において、中空長尺体は、少なくとも10mm、より好ましくは少なくとも20mm、さらにより好ましくは少なくとも30mm、そのうえより好ましくは少なくとも40mm、そしてより好ましくは少なくとも50mm、そのうえより好ましくは少なくとも60mm、最もより好ましくは少なくとも70mm、または30~100mm、より好ましくは50~80mm、そして最も好ましくは60~80mmの壁厚を有する。
【0070】
本発明の更なる実施形態において、中空長尺体は、少なくとも2m、または少なくとも3m、または少なくとも5m、または少なくとも7m、または少なくとも8m、または5~20m、より好ましくは7~15m、そして最も好ましくは9~12mの高さを有する。
【0071】
更なる実施形態において、中空長尺体は、下部および上部の直径により画成される中空円錐台であり、そこにおいて、下部直径は、4~14m、より好ましくは6~9mであり、そして上部直径は、5~15m、より好ましくは7~10mである。
【0072】
更なる実施形態において、ガスケットは自立している。すなわち、それは自立構造である。このように、ガスケットは、別々に、そしてモノパイルまたは移行部分の一部としてではなく製造することができて、従って、本体は、通常、コーティングではない。
【0073】
フランジ
ガスケットは、好ましくは、モノパイルの少なくとも一部を囲むように構成されて、更に好ましくは、移行部分の下部にぴったり合うように適合する。更なる実施形態において、本開示のガスケットは、図4A~Bに示したように、ガスケットの半径方向に広がるフランジ部分を有する上部水平フランジ4を備える。フランジ部分の水平/半径方向長さは、ガスケットの上部直径にすぎない。フランジ4は、移行部分内部でのより良好な適合を確実にするために、例えば、移行部分の下部の別のフランジ部分に係合/当接するために設けることができる。モノパイルは、ガスケットのフランジが載置できるフランジ部分を備えることもできる。その場合、ガスケットのフランジは、運動の間にモノパイルのフランジと共に動揺するように構成されることができる。しかしながら、フランジは、ガスケットの基本的特徴でない。例えば、円錐形モノパイル、対応する円錐形移行部分、および間の整合ガスケットの場合は、上部フランジは、ガスケットの所望の機能を得るのに必要ではない。
【0074】
フランジ面の開口
ガスケットの寸法は、ガスケットの強度および応力吸収能力の両方、ならびにガスケットの重量およびコストと明らかに関連がある。有利なことに、そして強度および応力吸収能力を損なわずに、ガスケットは、従って、孔または開口を表面に備えることができる。それによって、重量および材料コストは低下する。
【0075】
図3は、中空円錐台として成形されるガスケット3の実施形態を示し、そこで、円錐の湾曲面は、円形穴の形をした複数の孔5を更に備える。図3Aは、ガスケットの斜視図を示す。図3Bは、垂直断面図を示し、ここで、円錐台形状が示され、そしてガスケットの例示的寸法が更に示される。モノパイルの中心および長手方向は、線D-Dにより示される。図3Cは、円錐の水平断面図を示して、円錐台の例示的な下部および上部の直径、ならびに開口の位置を例示する。開口は、円形もしくは楕円形の形状またはそれらのあらゆる組み合わせを有することができる。図2および3のガスケットは、同程度の寸法を有して、一つの違いは、図3の実施形態の表面開口である。PURで製造される場合、図3のガスケットの重量は、約12.7メートルトンである。すなわち、図3に示したように開口の提供は、ガスケットの重量を約3メートルトン減らすことができる。ガスケットの重量を減らす別の方法は、嵌合された構造としてそれを提供することである。
【0076】
図2に示される孔のないガスケットに関しては、孔を有するガスケットは、半径方向、そして任意に水平のフランジ部分を更に備えることができる。図3Dは、円錐の水平および半径方向に広がるフランジ部分を例示する、図3Bに「E」として示す領域の拡大図を示し、それで、フランジの水平部分は、円錐の壁に対して90度を超える角度を形成する。
【0077】
更なる実施形態において、開口の総面積は、円錐の表面面積の10~70%、より好ましくは20~50%、そして最も好ましくは25~40%を構成する。実施例において。
【0078】
本発明の更なる実施形態において、孔は中空長尺体の2つの端からある距離をおいて配置される。すなわち、ガスケットの上部および下部は開口を備えない。その理由は、上部および下部が、移行部分が例えば風により移動するときに誘起される応力の大部分を伝えるからである。一実施形態において、開口は、従って、中空長尺体の下部および上部から1~5mの距離に、より好ましくは2~4mの距離に、そして最も好ましくは3~4mの距離に配置できる。
【0079】
部品から組み立てられるガスケット
本開示のガスケットは、主にエラストマー材で製造されて中空長尺体として成形される一つの単一構造でありえる。しかしながら、本開示のガスケット3または3’は、複数の部品から組み立てることもできる。複数の部品から組み立てられるガスケットは、組み立て装置ならびにガスケット製造装置に対する要件を緩和することによって、移行部分とモノパイルの間の組み立てを容易にする。モノパイルをカバーするためのガスケットまたは組み立てられたガスケットの重量は、重大でありえる。本発明の実施形態において、ガスケットまたは組み立てられたガスケットの重量は、10000~20000kg、より好ましくは14000~18000kg、そして最も好ましくは15000~17000kgである。
【0080】
それで、複数の部品を備えるガスケットの場合は、ガスケットの設置はより融通がきき、そしてそれは、地上に、または海面の下に据え付けることができて、それに応じてロジスティックにコスト効率がより高く、それによって、潜在的コスト削減に結果としてなる。本開示の実施形態において、ガスケットは、従って、複数の部品から組み立てられる。
【0081】
図5A~Bは、3つの部品から組み立てられるガスケット3’’の実施形態を示し、そこで、第1の部品(部品1)は最も低く配置され、第3の部品(部品3)はモノパイルの上部に配置され、そして第2の部品(部品2)は他の部品の間に配置される。図5Aは、ガスケット3’’の下部からの斜視図を示し、そして図5Bは、垂直断面図を示し、ここで、円錐台形状が示され、そして3つの部品、部品1、部品2、および部品3が示される。ガスケット3’’および部品1~3の例示的寸法が更に示される。モノパイルの中心および長手方向は、線D-Dにより示される。
【0082】
費用効果性の観点から、部品の好ましい数は各部品の重量に依存している。ガスケット3’’は、少なくとも2つの部品、より好ましくは少なくとも3つの部品、さらにより好ましくは少なくとも4つの部品から組み立てることができる。更なる実施形態において、ガスケット3’’は、6つの部品、より好ましくは5つまたは4つの部品、そして最も好ましくは2つまたは3つの部品から組み立てられる。
【0083】
図5A~Bにおいて、ガスケット3’’の各部品は、第1および第2の直径によって画成できる中空円錐台の形状を有し、そこで、第1の上部直径は下部の第2の直径より小さい。複数の部品から組み立てられるガスケット3’’において、一つの部品の最も大きい直径は、従って、好ましくはモノパイルの下でそして移行部分の下部で続く別の部分のより小さい直径に対応する。これは、ガスケット部品が順次組み立てることができることを容易にする。そうすると、部品1が最初に配置されて、部品2、それから部品3が続く。本開示の実施形態において、各部品は、従って、中空円錐台の形状を有する。モノパイルと関連する移行部分の位置の最大の安定化のために、または最大の応力吸収のために、組み立てられたガスケット3’’は、連続中空円錐台を有利に形成して、従って、モノパイルの部分を完全に囲んでいる。図5Aおよび5Bに右側のスケッチに示すように、これは、部品が直接に隣接するように組み立てられて、それによりモノパイルを完全にカバーするように構成される直径を有するガスケット3’’の複数の円錐によって得ることができる。本開示の実施形態において、複数の円錐の直径は、従って、組み立てられる円錐が連続中空円錐台を形成するように構成される。
【0084】
図5Cは、組み立てられた円錐の水平断面図を示して、円錐台の下部および上部の直径を例示する。ガスケット3’’の下部および上部の直径の例示的な寸法が更に示される。
【0085】
組み立てられたガスケット3’’の部品3は、フランジ4を更に備えることがありえる。図5Dは、ガスケット3’’、部品3のフランジ4の拡大図を示す。拡大図は、図5Bの「E」として示される領域に対応する。フランジ4は、円錐の水平且つ半径方向に広がるフランジ部分を備え、それで、フランジの水平部分は、円錐の壁に対して90度を超える角度を形成する。円錐壁厚および水平フランジ部分の拡張部の例示的寸法が図に示される。
【0086】
図12は、複数の部品から成り組み立てられるガスケットの更なる実施形態を示す。移行部分2と関連する位置が図の右側に示される。
【0087】
ガスケットの輸送および組み立てをより簡単にするために、ガスケットが複数の部品を備え、そこで、隣接部品が所定の方法で適合されるように構成されることは有利である。例えば、複数の部品は、パズルと同様の方法で互いに適合することができて、そこで、隣接部品は、所定の方法だけで嵌め込むことができる。
【0088】
図12に示すように、各々の上に、または各々の拡張に配置される複数の円錐形部品を備える円錐形のガスケットの場合は、隣接部品は、円錐台の下部および上部の周囲を形成する端である。隣接端は、円錐の外面に対して鋭角を形成することができて、それによって、円錐形部品は、各々の上に配置されるときに、ネスティングまたは楔状に組み立てられる。
【0089】
好ましい実施形態において、隣接部品は、円筒または円錐形状であり、そして上部および下部の周辺に沿った端の少なくとも1つは鋭角を形成する。そうすると、隣接部品は楔状に適合するかまたは組み立てることができる。
【0090】
図12に示されるガスケットは、5つの円錐形部品3-1、3-2、3-3、3-4、および3-5を備える。3つの部品を中間3-2、3-3、3-4に配置するために、上部および下部の周辺部は、隣接した円錐に当接していて、両方の周囲端とも鋭角を形成している。2つの部品3-1、3-5を組み立てたガスケット円錐の上部および下部に配置するために、下部の周囲端および上部の周囲端だけが、それぞれ隣接した円錐に当接している。このように、任意に、周囲端の一つだけが鋭角を形成している。
【0091】
本開示によるガスケットは、図1および4の実施形態に示すように、連続する表面接触領域を移行部分に形成できる。加えて、または代わりに、ガスケットは、図12の実施形態に示すように、連続しない表面接触領域を移行部分に形成できる。
【0092】
アプリケーション
本開示のガスケットは、あらゆる陸上または海上風力タービン関連構造を取り付けるために用いることができる。これは、それが、移行部分を杭構造に取り付ける、例えば移行部分をモノパイルに取り付ける、または三脚またはテトラポッド用の杭等の移行部分を海底との接触のための他のあらゆるタイプの基礎構造に取り付けるのに適していることを含む。三脚またはテトラポッドのそれぞれ3つまたは4つの杭または脚の各々は、モノパイルに等しいとみなすことができる。
【0093】
本開示のガスケットは、更に、移行部分として対応する構造的形状を有する他の海上風力タービン関連構造を杭構造に取り付けるのに適している。
【0094】
風力タービン構造は、複数の要素または部分を備える移行部分またはタワーを備えることができる。部分は、杭構造に対する移行部分と類似の管状または円錐形のアセンブリを備えることができる。ガスケットは、従って、移行部分の複数の要素を取り付けるのに、または複数のタワー部分を取り付けるのに適している。
【0095】
より大きな、従ってより効率的な風力タービンタワーを製作するために、タワーは、複数のタワー部分を組み立てることによって実際に製作される。図6は、3つのタワー部分5から組み立てられる風車タワーの断面実施形態を示し、そこで、部分は、本開示によるガスケット3’’’の実施形態とともに組み立てられて、取り付けられる。タワー部分は円錐形であり、そしてガスケットは、下に配置された部分のより小さい直径を有する端に取り付けられる。
【0096】
ガスケットが、2つの部分の間の円錐形接触領域に挟まれるように、部品は、上に配置された部分のより大きい直径を有する端を下げることによって組み立てられる。
【0097】
組み立てられたタワー部分は、モノパイルと移行部分のアセンブリに等しい。ここで、下に配置されたタワー部分はモノパイルに対応し、そして上に配置されたタワー部分は移行部分に対応する。
【0098】
より大きい規模のタワーの製作を容易にすることに加えて、ガスケットは、更に、柔軟性をタワーに提供できる。従って、タワーが、周囲環境およびタービンの可動部品の両方からの応力にさらされるときに、タワーの応力許容度は高められる。
【0099】
タワー部分の組み立ては、海上に配置される前に、土地6で、すなわち陸上で実行できる。図7は、図6に示される風車タワーの断面実施形態を示し、そこで、タワーは海面7の海上に配置されて、移行部分2に取り付けられる。
【0100】
タワー部分は大規模な構造であり、従って、ガスケットがタワー寸法にぴったり合うことができることは有利である。
【0101】
本発明の実施形態において、ガスケットの厚みは、10~60mm、より好ましくは20~50mmまたは30~40mmである。更なる実施形態において、ガスケットの高さは、2000~7500mm、より好ましくは2500~6500mm、または3000~6000mmである。
【0102】
風力タービン構造は、例えば、海底に打ち込まれるモノパイルによって地中に取り付けられる。モノパイルと同等に、大規模構造は、三脚またはテトラポッド基礎等のジャケット基礎に取り付けることができる。構造の重量が、単一のモノパイルよりもむしろ複数の杭または脚で支えられるので、ジャケット基礎は、より強くてより柔軟な基礎を提供できる。
【0103】
図8は、ジャケット基礎の実施形態を示し、そこで、基礎は3本の脚1’を備える三脚である。図9は、ジャケット基礎の実施形態を示し、そこで、基礎は4本の脚1’を備えるテトラポッドである。
【0104】
基礎に柔軟性を提供するだけでなく、基礎の組み立てを容易にするために、基礎の杭または脚が、海底との接触のための下部脚および移行部分との接触のための上部脚等の複数の部品からのガスケットによって組み立てられることは有利でありえる。
【0105】
従って、組み立てられた基礎脚は、モノパイルと移行部分のアセンブリに等しく、そこで、下部脚はモノパイルに対応し、そして上部脚は移行部分に対応する。
【0106】
図10は、海底8との接触のための下部および移行部分9に対する接触のための上部を備えた基礎脚1’の実施形態の分解図を示し、そこで、下部および上部は、円錐形のぴったり合う接触領域を形成する。ガスケット3’’’’は、下部に取り付けられ、そして組み立てにより、ガスケットは、2つの部品の間に円錐形接触領域で挟まれる。
【0107】
図10に示される脚1’は、あらゆる風力タービン構造の基礎を構成できる。本発明の実施形態において、脚はモノパイルの一部である。本発明の更なる実施形態において、基礎は、三脚またはテトラポッド基礎等のジャケット基礎であり、それぞれ3本または4本の脚を備える。
【0108】
組み立てられた脚は、図11に示すように、他の結合構造とともに組み立てることができて、そこで、ガスケット3’’’’’は、一端で閉じられて、海底との接触のために下部8’の一端を囲む。従って、移行部分9’に対する接触のための上部、および下部が組み立てられるとき、ガスケットは、2つの部品の間に完全な接触領域で挟まれる。
【0109】
図10および11の両方とも、ガスケットが中空長尺体である実施形態を示す。しかしながら、閉成端ガスケットを備えた実施形態の場合は、ガスケットと基礎脚の間の接触領域はより大きい。より大きな接触領域は、基礎脚の柔軟性を改善するために有利でありえる。本発明の好ましい実施形態において、中空長尺体は一端が閉じている。
【0110】
基礎脚は大規模な構造であり、従って、ガスケットが脚にぴったり合うことができることは有利である。
【0111】
本発明の実施形態において、ガスケットの厚みは、10~60mm、より好ましくは20~50mmまたは30~40mmである。
【0112】
更なる実施形態において、ガスケットの高さは、3000~7000mm、より好ましくは3500~6500mmまたは4000~6000mmである。
【0113】
更なる実施形態において、ガスケットの直径は、500~5000mm、より好ましくは1000~4000または1200~2650mmである。
図1A)】
図1B)】
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A)】
図4B)】
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12