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特許7566465自動溶接に関連した管の同期回転を伴うボイラ管の製造システムおよび製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】自動溶接に関連した管の同期回転を伴うボイラ管の製造システムおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/028 20060101AFI20241007BHJP
   B23K 9/12 20060101ALI20241007BHJP
   B23K 9/127 20060101ALI20241007BHJP
   B23K 9/235 20060101ALI20241007BHJP
   B23K 9/29 20060101ALI20241007BHJP
   B23K 9/32 20060101ALI20241007BHJP
   F22B 37/10 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B23K9/028 G
B23K9/12 331J
B23K9/127 508B
B23K9/235 A
B23K9/29 M
B23K9/32 E
F22B37/10 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019544014
(86)(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2018054503
(87)【国際公開番号】W WO2018154049
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】15/443,368
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、リチャード ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】パリシュ、ジュニア グラント
(72)【発明者】
【氏名】コノパツキ、ロナルド フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ブラムフィールド、ラッセル オダニオエル
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】菊地 牧子
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-86751(JP,A)
【文献】特開昭61-49774(JP,A)
【文献】特開平9-1335(JP,A)
【文献】特開2008-302369(JP,A)
【文献】実開平5-277(JP,U)
【文献】特開2004-330227(JP,A)
【文献】実開昭63-41393(JP,U)
【文献】実開昭58-89290(JP,U)
【文献】特開平9-164487(JP,A)
【文献】特開2000-126894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K9/00-9/32
F22B37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ管を製造するためのシステム(10)であって、
第1溶接領域を有する第1管(20、22)を受容する第1スピンドル(12)と、
第2溶接領域を有する第2管(20、22)を受容する第2スピンドル(16)であって、前記第1スピンドル(12)および前記第2スピンドル(16)は同期して回転可能である、第2スピンドル(16)と、
第1溶接ヘッド(36、38)を有する溶接装置(28)と、
前記第1溶接領域および前記第2溶接領域によって画定される溶接溝の画像を取り込むように構成されるビジョンシステム(40)と、
前記第1溶接ヘッド(36、38)の少なくとも一部を自動的に洗浄し、洗浄された部分にスパッタ防止を噴霧し、前記第1溶接ヘッド(36、38)を取り外す前前記第1溶接ヘッド(36、38)のワイヤを前方に寸動させるように構成された洗浄ステーション(42)と、
制御ユニットと
を備え、
前記溶接装置(28)は、前記制御ユニット(100)によって受信された複数の溶接および管パラメータに応じて、前記第1管(20、22)を前記第2管(20、22)に自動的に溶接するように構成され、
前記制御ユニット(100)が、前記溶接溝の画像と、メモリに記憶された溶接溝プロファイルとを比較して、どの溶接溝プロファイルが一致するかを判定し、一致が見つかった場合、一致したプロファイルに対応する溶接溝タイプと、前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)の材料のタイプと、前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)の外径とに従って、溶接ルーチンを選択する、システム(10)。
【請求項2】
前記制御ユニット(100)は、前記複数の溶接および管パラメータに応じて、前記制御ユニット(100)によって指示される所定の速度で、前記第1スピンドル(12)と前記第2スピンドル(16)を同期して回転させるように構成される、
請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記ビジョンシステム(40)は、前記溶接溝の下死点の位置を特定するように構成され、
前記溶接装置(28)は、前記第1溶接ヘッド(36、38)を、前記ビジョンシステム(40)によって得られた情報に基づいて、前記溶接溝の下死点の位置に移動するように構成される、
請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記第1スピンドル(12)および前記第2スピンドル(16)の少なくとも一方は、前記第1管(20、22)と前記第2管(20、22)を接触させるために軸方向に移動可能である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記第1スピンドル(12)と前記第2スピンドル(16)の中間にある位置ストップ(26)であって、前記位置ストップ(26)が前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)の軸方向の動きを制限する上昇位置と、前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)が前記位置ストップ(26)を越えて移動できる下降位置との間で移動可能である、位置ストップ(26)をさらに備える、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記第1溶接ヘッド(36、38)は前記溶接装置(28)から取り外し可能である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【請求項7】
各々が異なる消耗ワイヤタイプを有する複数の溶接ヘッド(36、38)を有するドッキングステーション(34)をさらに備え、
前記溶接装置(28)は、前記第1溶接ヘッド(36、38)を取り外し前記複数の溶接ヘッド(36、38)の1つを前記ドッキングステーション(34)から取り出すように構成される、
請求項6に記載のシステム(10)。
【請求項8】
入力装置(110)およびディスプレイ装置(112)を有するユーザインタフェースをさらに備え、前記入力装置(110)により、オペレータは溶接サイクルを実行するための制御ルーチンを選択することができる、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【請求項9】
溶接前に前記第1管および前記第2管(20、22)を所定の温度に予熱するように構成された加熱装置(33)をさらに備え、
前記制御ユニット(100)は、前記加熱装置(33)を前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)に近接して配置し、前記加熱装置(33)を前記所定の温度に達するまで作動させ、予熱の完了時に前記加熱装置(33)を引き込むように構成される、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【請求項10】
ボイラ管を製造する方法であって、
第1管(20、22)端部と第2管(20、22)端部を整列させて溶接溝を形成するステップであって、前記第1管(20、22)端部と前記第2管(20、22)端部はそれぞれ溶接領域を有するステップと、
前記溶接溝の画像を取り込むステップと、
制御ユニット(100)により前記溶接溝の前記画像から溶接溝タイプを決定するステップと、
前記溶接溝タイプと、前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)の材料と、前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)の外径とに基づいて溶接技術を選択するステップと、
前記第1管(20、22)と前記第2管(20、22)を同期して回転させるステップと、
第1溶接ヘッド(36、38)を有する溶接装置(28)により、前記選択した溶接技術に応じて接サイクルを自動的に実行するステップであって、前記第1管(20、22)を前記第2管(20、22)に溶接するための複数の溶接パスを実行することを含む、前記溶接サイクルを自動的に実行するステップと
を備え、前記方法は、洗浄ステーションにより、
前記第1溶接ヘッド(36、38)の少なくとも一部を自動的に洗浄すること、洗浄された部分にスパッタ防止を噴霧すること、前記第1溶接ヘッド(36、38)を取り外す前前記第1溶接ヘッド(36、38)のワイヤを前方に寸動させることを実行するステップを備える、方法。
【請求項11】
前記第1管(20、22)を第1スピンドル(12)に配置するステップと、
前記第2管(20、22)を第2スピンドル(16)に配置するステップと、
位置ストップ(26)を前記第1スピンドル(12)と前記第2スピンドル(16)の中間に上げるステップと、
前記第1管(20、22)端部と前記第2管(20、22)端部が前記位置ストップ(26)の対向する側面に接触するまで前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)を前進させるステップと、
前記第1管(20、22)を前記第1スピンドル(12)内に締結するステップと、
前記第2管(20、22)を前記第2スピンドル(16)内に締結するステップと、
前記位置ストップ(26)を引き込むステップと、
前記第1スピンドル(12)と前記第2スピンドル(16)の少なくとも一方を、前記第1管(20、22)と前記第2管(20、22)が互いに接触して前記溶接溝を形成するまで、軸方向に移動するステップと
をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ペレータによる手動の介入なしで前記第1溶接ヘッド(36、38)を第2溶接ヘッド(36、38)と交換するステップ
をさらに備え、
前記第1溶接ヘッド(36、38)は、前記第2溶接ヘッド(36、38)の消耗ワイヤ電極(32)と異なる消耗ワイヤ電極(32)を有する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
後続の溶接サイクルを実行する前に、自動的に前記第溶接ヘッドの一部を洗浄するステップと、洗浄された部分にスパッタ防止を噴霧するステップと、前記第溶接ヘッドのワイヤを前方に寸動させるステップと
をさらに備える、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップは、制御ユニット(100)の制御下で自律的に実行される、
請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
管を溶接するためのシステム(10)であって、
第1溶接領域を有する第1管(20、22)を受容する第1スピンドル(12)と、
第2溶接領域を有する第2管(20、22)を受容する第2スピンドル(16)であって、前記第1スピンドル(12)および前記第2スピンドル(16)は同期して回転可能であり、前記第1スピンドル(12)は前記第2スピンドル(16)に向けて軸方向に移動でき、前記第1管(20、22)を移動させて前記第2管(20、22)と接触させて溶接溝を形成する、第2スピンドル(16)と、
第1溶接ヘッド(36、38)を有する溶接装置(28)と、
前記第1溶接領域および前記第2溶接領域によって画定される溶接溝の画像を取り込むように構成されるビジョンシステム(40)と、
前記第1溶接ヘッド(36、38)の少なくとも一部を自動的に洗浄し、洗浄された部分にスパッタ防止を噴霧し、前記第1溶接ヘッド(36、38)を取り外す前前記第1溶接ヘッド(36、38)のワイヤを前方に寸動させるように構成された洗浄ステーション(42)と、
前記溶接溝の画像と、メモリに記憶された溶接溝プロファイルとを比較しどの溶接溝プロファイルが一致するかを判定し、一致が見つかった場合、一致したプロファイルに対応する溶接溝タイプと、前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)の材料と、前記第1管(20、22)および前記第2管(20、22)の外径とに従って、溶接技術を選択する制御ユニット(100)と
を備え、
前記制御ユニットが、更に、前記溶接技術に従って、前記溶接装置および前記第溶接ヘッドを制御する、システム(10)。
【請求項16】
前記第溶接ヘッドの消耗ワイヤ電極(32)とは異なる消耗ワイヤ電極(32)を有する第2溶接ヘッド(36、38)をさらに備え、
前記第2溶接ヘッド(36、38)は、オペレータによる手動の介入なしで前記第1溶接ヘッド(36、38)と交換可能である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1管(20、22)の端部が前記第1溶接領域を有し、
前記第2管(20、22)の端部が前記第2溶接領域を有する、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項18】
前記第1管(20、22)の端部が前記第1溶接領域を有し、
前記第2管(20、22)の端部が前記第2溶接領域を有する、請求項15に記載のシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、長尺管を製造するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、長尺ボイラ管を溶接するためのシステム、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラで使用する長尺管は、通常、市販の出荷可能な管を端から端まで溶接して製造される。これらの長尺管は、生産および機械の能力要件に応じて長さが異なる。通常、管の長さは、長尺管を曲がりくねった形に曲げるために使用される管曲げシステムの物理的な制限によって制限される。一般に、既存の長尺管曲げシステムは、25~100メートルの長さの範囲の管を処理できる。長尺管端部の要件を満たすために、複数の長尺管を、曲げシステムの最大能力に合わせてセクションで作製し、突き合わせ溶接して、目的の最終製品の長さを作り出する。長さが可変であることに加えて、複数の個々の管で構成される長尺管は、複数の管径、壁厚および化学組成を有することができる。
【0003】
ボイラで使用する長尺管の製造に使用されるすべての管材料は、曲げる前に同じ準備プロセスを経る。これらのステップは連続的であり、通常は手動で操作され、および/または複数の個別の操作のうちの1つをそれぞれが実行する専用マシンで実行される。例えば、既存の長尺管の製造プロセスには、事前準備、材料チェック、洗浄、管端部の準備、直管突き合わせ溶接、非破壊溶接試験、修理、および製造後の曲げステップが含まれ、これらの多くは、手動で実行されるか、または手動のオペレータを必要とする個々のマシンで実行される。
【0004】
ほとんどの生産施設では、管端部の準備のために、管の束は、溶接のために、管端部の機械溶接準備用の独立した準備ステーションに送られるか、または管材料をヘッダーニップルまたはルースチューブとして使用するため短く切断する小さなラインに送られる。これらの最終準備ラインは、手動または半自動のスタンドアロンシステムである。端部の準備中に、管端部の外径が洗浄され、次に溶接溝の準備が管端部に機械加工される。管端部で溶接準備の機械加工が完了した後、管は保管ラックに送られるか、再び束ねられる。
【0005】
溶接の準備として管束は、結束用ストラップが取り外され、両端に機械加工された溶接準備が既にある管が保管/搬送用ラックに送り込まれるアンバンドルラックに配置される。個々の管は、必要に応じてインフィードコンベヤに積み込まれ、そこで直管溶接作業ステーションに移動される。このステーションで、管は、手動突き合わせ溶接、球状溶接などを使用して、端部と端部を連続的に溶接する。既存のシステムでは、管の挿入、整列、開始/停止、溶接パラメータの制御はすべて、オペレータが手動で実行する。溶接後、管は欠陥がないか検査され、曲げて成形する前に保管される。
【0006】
上記のように、既存の溶接システムおよび溶接プロセスにはそれぞれの個別の機械および手動オペレータが必要で、多くの場合、各ステップの前に管を保管または在庫管理する必要があるため、製造に多大な時間およびコストがかかる。
【0007】
上記に鑑みて、既存の方法よりも合理化され、費用効率が高く、時間を節約する、ボイラ用の長尺管を溶接するためのシステム、方法、および装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2016/135654号
【発明の概要】
【0009】
一実施形態では、ボイラ管を製造するためのシステムが提供される。システムは、第1溶接準備を有する第1管を受容する第1スピンドル、第2溶接準備を有する第2管を受容する第2スピンドル、同期回転可能な第1スピンドルおよび第2スピンドル、ならびに第1溶接ヘッドを有する溶接装置を含む。溶接装置は、長尺ボイラ管を生成するために、メモリに格納された制御ルーチンに従って、第1管を第2管に自動的に溶接するように構成されている。
【0010】
別の実施形態では、ボイラ管の製造方法が提供される。この方法は、第1管端部と第2管端部を整列させて溶接溝を形成するステップであって、第1管端部と第2管端部はそれぞれ溶接準備を有するステップと、第1管と第2管を同期して回転させるステップと、第1溶接ヘッドを有する溶接装置により、第1管を第2管に溶接するための複数の溶接パスを含む溶接サイクルを自動的に実行するステップとを含む。
【0011】
さらに別の実施形態では、管を溶接するためのシステムが提供される。システムは、第1溶接準備を有する第1管を受容する第1スピンドルと、第2溶接準備を有する第2管を受容する第2スピンドルであって、第1スピンドルおよび第2スピンドルは同期して回転可能であり、第1スピンドルは第2スピンドルに向けて軸方向に移動でき、第1管を移動させて第2管と接触させて溶接溝を形成する、第2スピンドルと、第1溶接ヘッドを有する溶接装置とを含む。溶接装置と第1溶接ヘッドは、メモリに格納された溶接技術に従って制御できる。溶接技術は、少なくとも第1管および第2管の材料、ならびに第1管および第2管の外径に依存する。
【0012】
本発明は、非限定的な実施形態の以下の説明を、添付の図面を参照して読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による、長尺ボイラ管を製造するための自動化システムの斜視図である。
図2図1の自動化システムの別の斜視図である。
図3図1の自動化システムの背面斜視図である。
図4図1の自動化システムの平面図である。
図5図1の自動化システムの概略図である。
図6図1の自動化システムの一部の拡大斜視図である。
図7図1の自動化システムの一部の拡大上面図である。
図8図1の自動化システムの一部の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の例示的な実施形態を詳細に参照し、それらの例は添付の図面に例示されている。可能な限り、図面全体を通して、同一の符号は同一の部分または類似の部分を指す。本発明の実施形態は、過熱器、再熱器、エコノマイザ、および水壁膜パネルなどの曲がりくねった要素での使用を含む、ボイラ用の長尺管の製造に関連して使用するのに適しているが、本発明の実施形態はまた、様々な最終用途用の、あらゆる材料または在庫品の長尺寸法を作製するために利用することができる。例えば、本発明のシステムおよび方法は、様々な用途用の長尺管または導管を作製するのに適用可能である。
【0015】
本明細書で使用する場合、「動作可能に結合された」は、直接的または間接的であり得る接続を指す。この接続は必ずしも機械的な取り付けである必要はない。本明細書で使用される場合、「流体結合された」または「流体連通」とは、特徴部間の流体の流れを可能にし、流体輸送を可能にするように特徴部が接続されるような2つ以上の特徴部の配置を指す。本明細書で使用するとき、「自律的に」とは、溶接プロセスの開始から溶接プロセスの終了まで手動または人間の介入がなく、連続するステップまたは動作間の実質的なダウンタイムがないことを意味する。
【0016】
本発明の実施形態は、長尺ボイラ管を作製するために管を端部と端部を突き合わせ溶接するためのシステム、方法、および装置に関する。このシステムには、それぞれの管を端部から端部の配置で保持する2組の把持チャックが含まれている。各管の両端には、機械加工された溶接準備または溶接溝がある。管は溶接のために自動的に整列され、これは、溶接トーチを保持する自律装置によって実行され、溶接溝が溶接金属で満たされると変化する制御位置に溶接電極を保持する。溶接トーチは、プロセスまたは溶接消耗品要件が変化した場合、インライン溶接プロセスの一部としてホルダに保管されている他のトーチと交換できる。
【0017】
図1図8を参照すると、ボイラ用の長尺管を作製するために管ストックを端部と端部で溶接するための完全に自動化された統合装置またはステーションの形態のシステム10が示されている。システム10は、第1チャック14を有する第1スピンドル12と、第2チャック18を有する第2スピンドル16とを含む一対のスピンドルを含む。スピンドル12、16はそれぞれ、貫通孔(図示せず)を含み、その中にチャック14、18が取り付けられ、管ストックが溶接されて長手方向に貫通することを可能にする。これに関して、各スピンドル12、16の貫通孔は長手方向に整列している。一実施形態では、スピンドル12、16はそれぞれ、共通の長手方向軸の周りで回転可能である。第1スピンドル12などのスピンドルの少なくとも1つは、軸方向にスライド可能または移動可能であり(例えば、図5に最もよく示される矢印Aの方向)、他方のスピンドル16は固定位置にある。一実施形態では、両方のスピンドル12、16は軸方向に移動可能であってもよい。
【0018】
一実施形態では、チャック16、18を開閉して、そこに溶接される一対の管20、22を締結することができる。例えば、チャック16、18は、空気圧、液圧、または手動で操作することができる。同様に、スピンドル12は、空気圧または液圧で作動されて、そのスライド運動をもたらし、他の実施形態では、手動で位置決めされてもよい。図1図5に示すように、システム10は、スピンドル12、16を回転させる回転出力を提供するように構成されたモータ24を含む。一実施形態では、モータ24は、共通のシャフトを介して固定スピンドル16およびスライドスピンドル12を回転させる1つまたは複数のプーリおよび同期ベルトに接続されたサーボドライブである。以下に詳細に説明するように、サーボドライブは、溶接パスごとに約5秒~20秒の速度でスピンドル12、16の正確な回転を提供するように構成される。
【0019】
さらに図1図5を参照すると、システム10は、選択的に上下させることができるスピンドル12、16の中間にある可動管ストップ26も含む。一実施形態では、管ストップ26は空気圧で作動させることができるが、本発明のより広い態様から逸脱することなく、当技術分野で知られている他の作動機構も利用することができる。以下に説明するように、管ストップ26は選択的に持ち上げることができ、チャック14、18を使用して所定の位置にロックする前に、管20、22の端部を互いに対して位置決めする位置決め装置として機能する。
【0020】
システム10は、チャック14、18内の所定の位置に保持された管20、22の端部に対するロボットアームの位置を正確に制御するCNCまたは他の自動制御および位置決めシステムに動作可能に接続されたアーム28を有するロボット溶接装置をさらに含む。一実施形態では、ロボット溶接アーム28は、6つの自由度(3つの垂直軸における前方/後方、上方/下方、左右の平行移動、および3つの軸周りの回転を含む)を有する。ロボット溶接アーム28は、消耗ワイヤ電極32を有する溶接トーチ30(本明細書では溶接ヘッドとも呼ばれる)を受容するように構成されたツール交換装置を含む。一実施形態では、溶接アーム28は、位置決めシステムを介して電極チップの位置を制御し、溶接プロセスを制御するためのオンボードまたは結合されたコントローラ206を有することができる。
【0021】
システム10は、1つまたは複数の追加のトーチ/溶接ヘッド36、38を保持するドッキングステーション34も含むことができ、各トーチ/溶接ヘッドは、ワイヤスプールハブおよびワイヤ供給装置39、41を有する。以下で詳細に説明するように、システム10は、インライン溶接プロセス内でトーチの自動交換を容易にして、様々な消耗ワイヤタイプを利用した溶接を可能にするように構成される。一実施形態では、システム10は、2つの異なる交換可能なトーチまたは溶接ヘッドを含むが、本発明のより広い態様から逸脱することなく、3つ以上のトーチを使用してさらに広い範囲の動作を提供することができる。一実施形態では、トーチはガスメタルアーク溶接(GMAW)トーチである。
【0022】
さらに図1図5を参照すると、ロボット溶接アーム28は、以下で詳細に説明するように、例えば溶接溝の下死点の位置を特定するために利用できるデジタルカメラを含むビジョンシステム40を含むことができる。システム10はまた、以下で説明するように、トーチカップを洗浄し、清浄カップ内部にスパッタ防止を噴霧し、次の溶接サイクルに備えて連続する各溶接サイクル後にワイヤを前方に寸動させるように構成される洗浄ステーション42を含む。
【0023】
一実施形態では、以下で詳しく説明するように、システム10は、溶接前に溶接領域(例えば、管端部の溶接準備)を加熱するために、選択的に配置することができる加熱装置33を含むことができ、これは溶接プロセスおよび材料に必要な場合がある。例えば、加熱装置33は、制御ユニットの制御下で、管端部間の接合部に近接(しかし接触していない)して移動可能なコイルを有する誘導加熱装置であってもよい。一実施形態では、誘導加熱装置33は、線形または同様のアクチュエータによって移動可能なスライドに取り付けられてもよい。距離センサ35を利用して、誘導加熱コイルと管20、22の壁との間に空隙が維持されることを保証することができる。管の表面温度を検出するために、熱検出器37を含めることができる。
【0024】
ロボット溶接アーム28およびその関連する位置決めシステム、洗浄ステーション42、位置ストップ26、チャック14、18、サーボドライブ24、誘導加熱装置およびその位置決めシステム、熱検出器/センサ37および距離センサ35は、メモリに格納されたプログラムまたはアルゴリズムに従って、全体として様々なデバイスおよびシステム10の動作を制御する制御ユニット100と電気的に接続されるか、そうでなければ通信する。制御ユニット100と通信し、ユーザ入力装置110およびディスプレイ112を含む人‐マシンインタフェース(HMI)108は、溶接プロセスのリアルタイム表示およびユーザへのプロセスパラメータの表示を可能にする。ディスプレイ112および入力装置110は、キーボードを備えたタッチスクリーンコンピュータまたは標準コンピュータ、ビデオモニタ、およびシステム100の様々な機能を制御するための様々な押しボタンを含むことができる。さらに、入力装置110は、ビジョンシステム40がトーチ30のワイヤ32の先端を溶接溝の中心に配置しない場合、溶接トーチをオフセットするためのジョイスティックを含むことができる。以下で説明するように、タッチスクリーンコンピュータを利用して溶接パラメータを入力できる。一実施形態では、タッチスクリーンコンピュータは、入力パラメータを制御ユニット100(またはロボット溶接アーム28のオンボードコントローラ)に転送し、データはメモリに保存される。
【0025】
一実施形態では、ロボット溶接装置28およびスピンドル12、16に隣接して配置されたハウジング200は、制御ユニット100、溶接装置28用の電源202、204、ならびに冷却装置208および誘導加熱装置33用の電源210、ならびに関連する電子機器を収容することができる。図1図4に最もよく示されるように、システム10はまた、溶接プロセス中に発生するガスおよびヒュームを除去および処理するために、ヒューム抽出器212から溶接ゾーンの上の位置まで延びる接続管214を有するヒューム抽出器212を含むことができる。
【0026】
動作中、それぞれが溶接される端部に溶接準備を有する2つの管20、22は、例えば、コンベヤまたはローラを利用する保管ラックからスピンドル12、16に装填される。端部は、上昇位置ストップ26に対して互いに向かって押し付けられ、チャックジョー14、18は、管20、22に締結される。次に、制御ユニット100の制御下で、位置ストップ26が下げられ、スライドスピンドル12が、管20、22の端部が接触して溶接溝を形成するまで、固定スピンドル16に向かって軸方向に動かされる。これで、システム10は溶接サイクルを開始する準備ができた。
【0027】
溶接パラメータは、HMI 108を使用してシステム100に入力される。例えば、複数パス溶接の各パスに必要なすべてのパラメータは、HMI 108を使用して入力される。一実施形態では、パラメータは、トーチ番号(またはトーチID)、パス合計、回転速度(スピンドルの)、回転遅延、回転重複、発振周波数、発振遅延、発振幅、休止、垂直オフセット、水平オフセット、上死点オフセット、ワイヤ直径、管直径、管壁厚、および管材料を含む。溶接のために管20、22を整列する前または後に、溶接パラメータをシステム10に入力することができる。一実施形態では、溶接制御ルーチンまたは技術は、制御ユニット100による取り出しのためにHMI108のデータベースに事前に格納されてもよい。
【0028】
溶接パラメータが入力され、管が溶接溝を形成するように長手方向に整列されると、ビジョンシステム40を使用して溶接溝の下死点の位置を特定する。溶接サイクルが始まる前に、ビジョンシステム40のカメラ上の保護蓋が開き、バックライトが溶接溝に移動する。カメラは、画像をビジョンシステム40(または制御ユニット100)に送信し、ビジョンシステム40(または制御ユニット100)は、画像をメモリに格納された溶接溝プロファイルと比較して、どのプロファイルが一致するかを判定する。一致が見つかった場合、オフセットデータは次の移動命令に渡され、ロボット溶接アーム28は溶接トーチを溝の中央底部の位置に移動する。入力装置110のジョイスティックにより、オペレータは必要に応じて溶接トーチの位置を調整することができる。次に、HMI 108を介して溶接サイクルを開始できる。
【0029】
例えば、HMI108のデータベースまたはメモリに格納された溶接技術は、オペレータによって手動で選択されてもよい。あるいは、制御ユニット100は、ビジョンシステム40によって検出された溶接準備または溶接溝のタイプに対応する溶接技術を自動的に選択してもよい。一実施形態では、格納された溶接技術は、溶接される管材料のタイプおよびサイズに対応する。データベースで特定の管材料および管サイズの溶接技術が見つからない場合、ユーザは、溶接する管に最も近い溶接技術を選択できる。次いでユーザは、各管の材料タイプ、接合部の構成、および管の外径を入力できる。
【0030】
次いで、選択された溶接技術は、ロボット溶接アーム28のコントローラに送信され、溶接プロセスが実行され得る。溶接プロセス中、制御ユニット100は、スピンドル12、16と管20、22を同期して回転させ、ロボット溶接アーム28を制御して、オペレータによる介入なしに(HMI 108を介して遠隔で起こるオペレータの入力または介入のみで )複数の溶接パスを実行する。システム10は、トーチを自動的に切り替えるように構成されている(例えば、プログラムまたはオペレータによって異なる消耗ワイヤタイプが要求された場合にドッキングステーション34から新しいトーチ36、38を取り出す)。上記で言及したように、プログラムは、HMI 108から制御ユニット100(または別のロボット制御)にダウンロードされたパラメータを使用して、溶接の各パス中にトーチ30を制御する。パラメータは、パスが変更されるたびに調整される。トーチ30へのガス流は、HMI108を介して入力されるアルゴンおよび二酸化炭素の流量に応じて、質量流量制御により自動的に制御される。HMI 108を使用して、溶接パスごとにガス流量を調整または変更することができる。
【0031】
上述したように、いくつかの実施形態では、誘導加熱装置33を利用して、溶接前に溶接領域を予熱することができ、これはいくつかの合金材料に必要である。管端部および溶接溝の予熱が必要な場合、制御ユニット100は、適切な位置決めを保証するために距離センサ35からのフィードバックを利用して、加熱装置33の加熱コイルを管端部と密接に関連付けて位置決めする。加熱装置は、溶接接合部を所定の温度まで加熱するために作動する。熱検出器またはセンサ37は、フィードバックを制御ユニット100に提供し、必要な温度にいつ到達したかを示す。加熱が完了すると、加熱装置33は引き込まれ、溶接装置28のための空間を作ることができる。溶接プロセスと同様に、加熱ステップは、インライン溶接プロセスの一部として完全に自律的に実行され、人間のオペレータによる介入や手動操作なしで実行される。
【0032】
低合金材料(例えばT-11、T12などの1-1/4%クロム)の場合、要素組立体上の溶接後熱処理が行われないようにするために、溶接接合部は約120°Cに予熱され、T-22、T23などの2-1/4%クロムの場合、溶接接合部も同様に約120°Cに予熱できる。9%クロム(T-91、T-92、T-93など)などの高合金材料の場合、割れを防ぐために溶接接合部は約200°Cに予熱される。一実施形態では、距離センサ37は、加熱コイルと管表面との間に約3/8インチの空隙を維持するために利用される。
【0033】
溶接サイクルの完了時に、制御ユニット100(または別のロボットコントローラ)はトーチ30を洗浄ステーション42に移動する制御ルーチンを実行し、トーチカップが洗浄され、スパッタ防止が清浄カップ内部に噴霧され、ワイヤは前方に寸動されて、ワイヤを目的のワイヤ延長に切断する最後の動作のためにワイヤを延長する。次に、トーチをホームポジションに戻し、次の溶接サイクルを待つ。
【0034】
一実施形態では、システム10は、上述のように、様々なタイプのワイヤを利用するガスメタルアーク溶接用に構成される。各パスの溶接パラメータを変更することにより、複数のパス、例えば約1~約8パスが可能である。一実施形態では、システム10は、約1インチ~約3インチの範囲の直径および約0.140インチ~約0.600インチの範囲の壁厚を有する管を受容するように設計されている。様々な接合部構成および端部準備がシステム10によって収容され得る。
【0035】
一実施形態では、溶接が完了すると、制御ユニット100の制御下で長尺管をX線システム120に送ることができる。X線システムでは、X線分析のために溶接部を適切に配置するためにカメラ(図示せず)が利用される。次に、溶接のX線を撮影して、良好な溶接接合部を保証する。溶接が許容される場合、管はシステム10から除去または排出される。溶接が許容されない場合、再溶接が実行できるように、管が溶接部を切断する。
【0036】
したがって、本発明のシステムは、管の端部と端部の実質的に自律的な溶接を提供して、長尺管を形成する。上記のように、管の装填から、管の整列まで、各溶接パスの実行まで、X線分析まで、オフロードまでの溶接プロセスのステップは、実質的な介入や操作からの入力なしに実行できる。特に、これらのすべてのステップは、最大で、HMI 108を介した遠隔オペレータの関与を必要とし、管自体、スピンドルとチャック、または溶接トーチのいかなる物理的な操作を必要としない。したがって、溶接プロセスの自動化により、1人のオペレータが複数のマシンを遠隔で操作でき、生産性が向上する。
【0037】
本発明の自律システム10を利用して直管を端部から端部まで溶接すると、既存の手動プロセスと比較して溶接品質が改善され、プロセス出力が約50%増加することが発見された。このスループットの向上および品質の向上により、全体として溶接コストが削減される。
【0038】
一実施形態では、ボイラ管を製造するためのシステムが提供される。システムは、第1溶接準備を有する第1管を受容する第1スピンドル、第2溶接準備を有する第2管を受容する第2スピンドル、同期回転可能な第1スピンドルおよび第2スピンドル、ならびに第1溶接トーチを有する溶接装置を含む。溶接装置は、システムの制御ユニットによって受信された複数の溶接および管パラメータに応じて、第1管を第2管に自動的に溶接するように構成される。一実施形態では、システムはまた、制御ユニットによって指示される所定の速度で、第1スピンドルと第2スピンドルを同期して回転させるように構成された制御ユニットを含む。一実施形態では、システムは、第1溶接準備および第2溶接準備によって画定される溶接溝の画像を取り込むように構成されるビジョンシステムをさらに含み、制御ユニットは、溶接溝の画像から溶接溝タイプを決定し、溶接溝タイプに応じて溶接ルーチンを選択するように構成される。一実施形態では、ビジョンシステムは、溶接溝の下死点の位置を特定するように構成され、溶接装置は、第1溶接トーチを、ビジョンシステムによって得られた情報に基づいて、溶接溝の底部の中心の位置に自動的に移動するように構成される。一実施形態では、第1スピンドルおよび第2スピンドルの少なくとも一方は、第1管と第2管を接触させるために軸方向に移動可能である。一実施形態では、システムはまた、第1スピンドルと第2スピンドルとの中間に位置ストップを含むことができる。位置ストップは、位置ストップが第1管および第2管の軸方向の動きを制限する上昇位置と、第1管および第2管が位置ストップを越えて移動できる下降位置との間で移動可能である。一実施形態では、第1溶接トーチは、溶接サイクル中に溶接装置から取り外し可能である。一実施形態では、システムはまた、各々が異なる消耗ワイヤタイプを有する複数の溶接トーチを有するドッキングステーションを含んでもよく、溶接装置は、第1溶接トーチを自動的に取り外し、溶接サイクル中に複数の溶接トーチの1つをドッキングステーションから取り出すように構成される。一実施形態では、システムは、第1トーチのトーチカップを自動的に洗浄し、清浄カップ内部にスパッタ防止を噴霧し、第1溶接トーチを取り外す前に溶接サイクル中に第1トーチのワイヤを前方に寸動させるように構成された洗浄ステーションを含む。一実施形態では、システムは、入力装置およびディスプレイ装置を有するユーザインタフェースを含み、入力装置により、オペレータは溶接サイクルを実行するための制御ルーチンを選択することができる。一実施形態では、制御ルーチンは、入力装置を使用するオペレータによって構成可能である。
【0039】
別の実施形態では、ボイラ管の製造方法が提供される。この方法は、第1管端部と第2管端部を整列させて溶接溝を形成するステップであって、第1管端部と第2管端部はそれぞれ溶接準備を有するステップと、第1管と第2管を同期して回転させるステップと、第1溶接トーチを有する溶接装置により、第1管を第2管に溶接するための複数の溶接パスを含む溶接サイクルを自動的に実行するステップとを含む。一実施形態では、方法は、第1管を第1スピンドルに配置するステップと、第2管を第2スピンドルに配置するステップと、位置ストップを第1スピンドルと第2スピンドルの中間に上げるステップと、第1管端部と第2管端部が位置ストップの対向する側面に接触するまで第1管および第2管を前進させるステップと、第1管を第1スピンドル内に締結するステップと、第2管を第2スピンドルに締結するステップと、位置ストップを引き込むステップと、第1スピンドルと第2スピンドルの少なくとも一方を、第1管と第2管が互いに接触して溶接溝を形成するまで、軸方向に移動するステップとをさらに含んでもよい。一実施形態では、この方法はまた、制御ユニットにより溶接溝の画像を取り込むステップと、溶接溝の画像から溶接溝タイプを決定するステップと、溶接溝タイプに応じて溶接技術を選択するステップと、選択した溶接技術に応じて溶接サイクルを実行するステップとを含む。一実施形態では、方法は、溶接サイクル中に、オペレータによる手動の介入なしで第1溶接トーチを第2溶接トーチと交換するステップをさらに含むことができ、第1溶接トーチは、第2溶接トーチの消耗ワイヤ電極と異なる消耗ワイヤ電極を有する。一実施形態では、方法は、後続の溶接サイクルを実行する前に、自動的に第1トーチのトーチカップを洗浄するステップと、清浄カップ内部にスパッタ防止を噴霧するステップと、第1トーチのワイヤを前方に寸動させるステップとを含み得る。一実施形態では、ステップは、制御ユニットの制御下で自律的に実行される。
【0040】
さらに別の実施形態では、管を溶接するためのシステムが提供される。システムは、第1溶接準備を有する第1管を受容する第1スピンドルと、第2溶接準備を有する第2管を受容する第2スピンドルであって、第1スピンドルおよび第2スピンドルは同期して回転可能であり、第1スピンドルは第2スピンドルに向けて軸方向に移動でき、第1管を移動させて第2管と接触させて溶接溝を形成する、第2スピンドルと、第1溶接トーチを有する溶接装置とを含む。溶接装置と第1溶接トーチは、メモリに格納された溶接技術に従って制御できる。溶接技術は、少なくとも第1管および第2管の材料、ならびに第1管および第2管の外径に依存する。一実施形態では、溶接技術は溶接溝のタイプに依存する。一実施形態では、システムはまた、第1トーチの消耗ワイヤ電極とは異なる消耗ワイヤ電極を有する第2溶接トーチを含む。第2溶接トーチは、オペレータが手動で介入することなく、溶接サイクル中に第1溶接トーチと交換可能である。
【0041】
本明細書で使用する場合、単数形で記載され、単語「a」または「an」の後に続く要素またはステップは、複数の要素またはステップを除外しないものとして理解されるべきであるが、そのような除外が明示的に述べられている場合は除く。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、記載した特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図してはいない。さらに、明示的な反対の記載がない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「備える(comprising)」、「含む(including)」または「有する(having)」実施形態は、その特性を有さない追加の要素を含んでもよい。
【0042】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態を最良の形態を含めて開示するために、また、任意の装置またはシステムの製作および使用、および組み込まれた任意の方法の実行を含めて当業者が本発明の実施形態を実践することを可能にするために実施例を用いている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の実施例を含み得る。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0043】
10 システム、自律システム
12 第1スピンドル、スライドスピンドル
14 第1チャック、チャックジョー
16 第2スピンドル、チャック、固定スピンドル
18 第2チャック、チャックジョー
20 管
22 管
24 モータ、サーボドライブ
26 可動管ストップ、上昇位置ストップ
28 ロボット溶接アーム、ロボット溶接装置
30 溶接トーチ
32 消耗ワイヤ電極、ワイヤ
33 加熱装置、誘導加熱装置
34 ドッキングステーション
35 距離センサ
36 トーチ/溶接ヘッド、トーチ
37 距離センサ、熱検出器
38 トーチ/溶接ヘッド、トーチ
39 ワイヤ供給装置
40 ビジョンシステム
41 ワイヤ供給装置
42 洗浄ステーション
100 制御ユニット、システム
108 人‐マシンインタフェース(HMI)
110 ユーザ入力装置
112 ディスプレイ
120 X線システム
200 ハウジング
202 電源
204 電源
206 コントローラ
208 冷却装置
210 電源
212 ヒューム抽出器
214 接続管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8