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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/695 20230101AFI20241007BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241007BHJP
   H04N 23/40 20230101ALI20241007BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20241007BHJP
【FI】
H04N23/695
H04N23/50
H04N23/40 100
G03B17/56 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020037682
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021141436
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-03-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富元 豊凱
(72)【発明者】
【氏名】北村 元
(72)【発明者】
【氏名】野田 博嗣
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0009327(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N23/00
H04N23/40-23/76
H04N23/90-23/959
H04N5/222-5/257
G01B11/00-11/30
G03B15/00-15/035
G03B15/06-15/16
G03B 17/56-17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮影範囲と、前記第1の撮影範囲とは異なる第2の撮影範囲とを撮影可能な少なくとも1つの撮像手段と、
第1の位置に配置された第1の操作部材と、
第2の位置に配置された第2の操作部材と、
前記第1の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第1の撮影範囲の撮影を行い、
前記第2の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第2の撮影範囲の撮影を行う
ように制御する制御手段と、
前記第1の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を行う第1の通知手段と、
前記第2の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を行う第2の通知手段と
を有し、
前記第1の通知手段は、前記第1の撮影範囲の側から視認可能な位置に配置されており、
前記第2の通知手段は、前記第2の撮影範囲の側から視認可能な位置に配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
第1の撮影範囲と、前記第1の撮影範囲とは異なる第2の撮影範囲とを撮影可能な少なくとも1つの撮像手段と、
第1の位置に配置された第1の操作部材と、
第2の位置に配置された第2の操作部材と、
前記第1の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第1の撮影範囲の撮影を行い、
前記第2の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第2の撮影範囲の撮影を行う
ように制御する制御手段と、
前記第1の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を行う第1の通知手段と、
前記第2の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を行う第2の通知手段と
を有し、
前記第1の通知手段は、前記第1の撮影範囲と反対の側から視認可能な位置に配置されており、
前記第2の通知手段は、前記第2の撮影範囲と反対の側から視認可能な位置に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記第1の位置は、前記電子機器のうち、前記第1の撮影範囲の側から視認可能な位置であり、
前記第2の位置は、前記電子機器のうち、前記第2の撮影範囲の側から視認可能な位置である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の位置は、前記電子機器のうち、前記第1の撮影範囲の側から操作可能な位置であり、
前記第2の位置は、前記電子機器のうち、前記第2の撮影範囲の側から操作可能な位置である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1の位置は、前記電子機器のうち、前記第1の撮影範囲と反対の側から視認可能な位置であり、
前記第2の位置は、前記電子機器のうち、前記第2の撮影範囲と反対の側から視認可能な位置である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の位置は、前記電子機器のうち、前記第1の撮影範囲と反対の側から操作可能な位置であり、
前記第2の位置は、前記電子機器のうち、前記第2の撮影範囲と反対の側から操作可能な位置である
ことを特徴とする請求項1、2、5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記撮影は、静止画撮影または動画撮影である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの撮像手段は、前記第1の撮影範囲を撮影する第1の撮像手段と、前記第2の撮影範囲を撮影する第2の撮像手段とを含む
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記第1の撮影範囲の撮影が行われていない場合に、前記第1の位置に対する操作に応じて前記第1の撮影範囲の撮影を開始し、
前記第2の撮影範囲の撮影が行われていない場合に、前記第2の位置に対する操作に応じて前記第2の撮影範囲の撮影を開始し、
前記第1の撮影範囲の撮影が行われている場合に、前記第1の位置に対する操作に応じて前記第1の撮影範囲の撮影を終了し、
前記第2の撮影範囲の撮影が行われている場合に、前記第2の位置に対する操作に応じて前記第2の撮影範囲の撮影を終了する
ように制御する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1の位置に対する操作と前記第2の位置に対する操作とが共に
行われた場合に、前記第1の撮影範囲の撮影と前記第2の撮影範囲の撮影とを共に行い、前記第1の撮影範囲を撮影した画像と前記第2の撮影範囲を撮影した画像とを結合した単一の画像を記録するように制御する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の位置に対する操作と前記第2の位置に対する操作とが順次行われた場合に、前記第1の撮影範囲の撮影と前記第2の撮影範囲の撮影とを順次行い、前記第1の撮影範囲を撮影した画像と前記第2の撮影範囲を撮影した画像とを結合した単一の画像を記録するように制御する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記第1の撮影範囲の撮影が行われていない場合に、前記第1の位置に対する操作に応じて前記第1の撮影範囲の撮影を開始し、
前記第2の撮影範囲の撮影が行われていない場合に、前記第2の位置に対する操作に応じて前記第2の撮影範囲の撮影を開始し、
前記第1の撮影範囲の撮影と前記第2の撮影範囲の撮影とが共に行われている場合に、前記第1の位置または前記第2の位置に対する操作に応じて、前記第1の撮影範囲の撮影と前記第2の撮影範囲の撮影とを共に終了する
ように制御する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
第1の撮影範囲と、前記第1の撮影範囲とは異なる第2の撮影範囲とを撮影可能な少なくとも1つの撮像手段と、
第1の位置に配置された第1の操作部材と、
第2の位置に配置された第2の操作部材と、
第1の通知手段と、
第2の通知手段と
を有する電子機器の制御方法であって、
前記第1の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第1の撮影範囲の撮影を行うように制御するステップと、
前記第2の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第2の撮影範囲の撮影を行うように制御するステップと、
前記第1の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を前記第1の通知手段で行うように制御するステップと、
前記第2の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を前記第2の通知手段で行うように制御するステップと
を有し、
前記第1の通知手段は、前記第1の撮影範囲の側から視認可能な位置に配置されており、
前記第2の通知手段は、前記第2の撮影範囲の側から視認可能な位置に配置されていることを特徴とする制御方法。
【請求項14】
第1の撮影範囲と、前記第1の撮影範囲とは異なる第2の撮影範囲とを撮影可能な少なくとも1つの撮像手段と、
第1の位置に配置された第1の操作部材と、
第2の位置に配置された第2の操作部材と、
第1の通知手段と、
第2の通知手段と
を有する電子機器の制御方法であって、
前記第1の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第1の撮影範囲の撮影を行うように制御するステップと、
前記第2の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第2の撮影範囲の撮影を行うように制御するステップと、
前記第1の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を前記第1の通知手段で行うように制御するステップと、
前記第2の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を前記第2の通知手段で行うように制御するステップと
を有し、
前記第1の通知手段は、前記第1の撮影範囲と反対の側から視認可能な位置に配置されており、
前記第2の通知手段は、前記第2の撮影範囲と反対の側から視認可能な位置に配置されている
ことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1~12のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1~12のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮影範囲を撮影可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、デジタルカメラに対して着脱可能なタッチパネル(タッチパネル式液晶モニタ)へのタッチ操作に応じて、デジタルカメラの撮影範囲を変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-244514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、撮影者などのユーザーは、意図した方向(撮影したい方向)の範囲に撮影範囲を変更する操作を直感的に(容易に)行えないことがある。
【0005】
デジタルカメラの向き(被写体の側)とタッチパネルの向き(操作面と反対の側)が同じ場合は、ユーザーは直感的に操作(撮影範囲を変更する操作)を行うことができる。例えば、ユーザーが自身の右側を撮影したい場合には、タッチパネルの右側へのタッチ操作を行えば、撮影範囲がユーザーの右側に変更される(移動する)。このように、タッチ操作をすべき側と、撮影範囲が変更される側とが同じであるため、ユーザーは直感的に操作を行うことができる。
【0006】
一方で、デジタルカメラの向きとタッチパネルの向きが逆の場合は、ユーザーは直感的に操作を行うことができない。この場合は、タッチパネルの右側へのタッチ操作に応じて、撮影範囲がユーザーの右側ではなく左側に変更される。ユーザーが自身の右側を撮影したい場合には、タッチパネルの左側へのタッチ操作を行う必要がある。このように、タッチ操作をすべき側と、撮影範囲が変更される側とが逆となるため、ユーザーは直感的に操作を行うことができない。
【0007】
そこで本発明は、ユーザーが意図した方向(撮影したい方向)の範囲に撮影範囲を変更する操作を直感的に(容易に)行うことのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、第1の撮影範囲と、前記第1の撮影範囲とは異なる第2の撮影範囲とを撮影可能な少なくとも1つの撮像手段と、第1の位置に配置された第1の操作部材と、第2の位置に配置された第2の操作部材と、前記第1の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第1の撮影範囲の撮影を行い、前記第2の操作部材に対する操作に応じて前記少なくとも1つの撮像手段で前記第2の撮影範囲の撮影を行うように制御する制御手段と、前記第1の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を行う第1の通知手段と、前記第2の撮影範囲の撮影が行われていることの通知を行う第2の通知手段とを有し、前記第1の通知手段は、前記第1の撮影範囲の側から視認可能な位置に配置されており、前記第2の通知手段は、前記第2の撮影範囲の側から視認可能な位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーは意図した方向(撮影したい方向)の範囲に撮影範囲を変更する操作を直感的に(容易に)行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1および第2の実施形態に係るデジタルカメラの外観図である。
図2】第1および第2の実施形態に係るデジタルカメラのブロック図である。
図3】第1および第2の実施形態に係るデジタルカメラの側面図である。
図4】第1の実施形態に係る撮影処理のフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る撮影処理のフローチャートである。
図6】第3および第4の実施形態に係るカメラシステムの外観図である。
図7】第3および第4の実施形態に係るカメラシステムの外観図である。
図8】第3および第4の実施形態に係るカメラシステムのブロック図である。
図9】第3および第4の実施形態に係る撮影方向の指示方法を示す図である。
図10】第3の実施形態に係る撮影処理のフローチャートである。
図11】第4の実施形態に係る撮影処理のフローチャートである。
図12】第5の実施形態に係るカメラシステムの外観図である。
図13】第5の実施形態に係るカメラシステムの外観図である。
図14】第5の実施形態に係るカメラシステムのブロック図である。
図15】第5の実施形態に係る撮影方向の指示方法を示す図である。
図16】第5の実施形態に係る撮影方向の指示方法を示す図である。
図17】第5の実施形態に係る撮影方向の指示方法を示す図である。
図18】第5の実施形態に係る撮影方向の指示方法を示す図である。
図19】第5の実施形態に係る撮影方向の指示方法を示す図である。
図20】第5の実施形態に係る撮影処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1(a),1(b)に、本発明を適用可能な電子機器の一例としてのデジタルカメラ101の外観を示す。図1(a)はデジタルカメラ101の前面斜視図であり、図1(b)はデジタルカメラ101の背面斜視図である。図1(a),1(b)において、X軸はデジタルカメラ101の幅方向(横方向)の軸であり、Y軸はデジタルカメラ101の高さ方向(縦方向)の軸であり、Z軸はデジタルカメラ101の光軸方向(奥行き方向)の軸である。
【0012】
デジタルカメラ101の前面108には第1のカメラ部102と第1の撮影ボタン103とが配置されており、デジタルカメラ101の背面109には第2のカメラ部105と第2の撮影ボタン106とが配置されている。第1のカメラ部102は、デジタルカメラ101の前面108の側の撮影範囲(第1の撮影範囲)を撮影する撮像部であり、第1の撮影ボタン103は第1のカメラ部102による撮影を指示するための操作部材である。デジタルカメラ101は、第1の撮影ボタン103に対する操作(押下)に応じて、第1のカメラ部102による撮影(静止画撮影や動画撮影)を行う。同様に、第2のカメラ部105は、デジタルカメラ101の背面109の側の撮影範囲(第2の撮影範囲)を撮影する撮像部であり、第2の撮影ボタン106は第2のカメラ部105による撮影を指示するための操作部材である。デジタルカメラ101は、第2の撮影ボタン106に対する操作(押下)に応じて、第2のカメラ部105による撮影(静止画撮影や動画撮影)を行う。動画撮影やインターバル撮影(所定時間おきに静止画撮影を繰り返す撮影)などを行う場合は、デジタルカメラ101は、第1の撮影ボタン103の押下や第2の撮影ボタン106の押下に応じて、撮影を開始したり、当該撮影を終了したりする。
【0013】
上述したように、本実施形態では、第1のカメラ部102と第1の撮影ボタン103とが同じ面(前面108)に配置されており、第2のカメラ部105と第2の撮影ボタン106とが同じ面(背面109)に配置されている。換言すれば、第1の撮影範囲(第1のカメラ部102の撮影範囲)の側から視認可能や操作可能な位置に、第1のカメラ部10
2による撮影を指示するための第1の撮影ボタン103が配置されている。そして、第2の撮影範囲(第2のカメラ部105の撮影範囲)の側から視認可能や操作可能な位置に、第2のカメラ部105による撮影を指示するための第2の撮影ボタン106が配置されている。こうすることで、自分撮りの操作などが直感的に行えるようになる。
【0014】
なお、第1の撮影ボタン103と第2の撮影ボタン106との配置は上記配置に限られない。例えば、第1のカメラ部102と第2の撮影ボタン106とが同じ面(前面108)に配置され、第2のカメラ部105と第1の撮影ボタン103とが同じ面(背面109)に配置されてもよい。換言すれば、第1の撮影範囲と反対の側から、つまり第2の撮影範囲の側から視認可能や操作可能な位置に、第1の撮影ボタン103が配置されてもよい。そして、第2の撮影範囲と反対の側から、つまり第1の撮影範囲の側から視認可能や操作可能な位置に、第2の撮影ボタン106が配置されてもよい。こうすることで、ユーザー(撮影者)の写らない範囲(ユーザーが対面している範囲であって、ユーザーが見ている範囲)を撮影する操作などが直感的に行えるようになる。
【0015】
撮影方向通知部104は、デジタルカメラ101の撮影状況をユーザーなどに通知する。本実施形態ではLED(光源)の点灯により通知を行うとするが、通知方法はこれに限られない。撮影方向通知部104は、デジタルカメラ101の前面108から背面109にまたがるように、デジタルカメラ101の側面107に配置されている。
【0016】
撮影方向通知部104は、前面108の側に配置された第1のLED104aと、背面109の側に配置された第2のLED104bとを含む。第1のLED104aは、前面108の側(第1の撮影範囲(第1のカメラ部102の撮影範囲)の側)から視認可能であり、第2のLED104aは、背面109の側(第2の撮影範囲(第2のカメラ部105の撮影範囲)の側)から視認可能である。例えば、デジタルカメラ101は、第1のカメラ部102により第1の撮影範囲の撮影が行われている場合に第1のLED104aを点灯し、第2のカメラ部105により第2の撮影範囲の撮影が行われている場合に第2のLED104bを点灯する。こうすることで、撮影される被写体が、自身が撮影されているか否かを容易に把握することができる。
【0017】
なお、デジタルカメラ101は、第1のカメラ部102により第1の撮影範囲の撮影が行われている場合に第2のLED104bを点灯し、第2のカメラ部105により第2の撮影範囲の撮影が行われている場合に第1のLED104aを点灯してもよい。こうすることで、撮影される被写体と反対の側にいる人物が、自身と反対の側が撮影されているか否かを容易に把握することができる。
【0018】
また、第1のLED104aの点灯と第2のLED104bの点灯とが、色や明るさなどで区別して視認できれば、前面108の側と背面109の側のそれぞれから、第1のLED104aの点灯と第2のLED104bの点灯との両方が視認できてもよい。
【0019】
また、撮影方向通知部104の配置や形状は、図1(a),1(b)に示すものに限られない。例えば、第1のLED104aと第2のLED104bとが、側面107にY軸と平行に並べられてもよい。
【0020】
図2は、デジタルカメラ101の構成例を示すブロック図である。
【0021】
第1のカメラ部102は、光学系/光学駆動機構201と撮像素子202とを有する。光学系/光学駆動機構201は、撮像素子202に被写体の光学像を結像したり、自身の光学系(レンズなど)のズーム駆動などを行ったりする。撮像素子202は、光学系/光学駆動機構201によって結像された光学像を電気信号(画像データ)に変換するCCD
やCMOS素子等で構成された撮像素子(撮像センサ)である。図2には、光学系/光学駆動機構201と撮像素子202が1組だけ示されているが、第2のカメラ部105も、光学系/光学駆動機構201と撮像素子202とを有する。
【0022】
画像処理部203は、撮像素子202によって得られた画像データに対し、圧縮処理などの各種画像処理を行う。画像記録部204は、画像処理部203から出力された画像データ(撮影された画像)を格納する。
【0023】
CPU205は、デジタルカメラ101全体を制御する制御部である。不揮発性メモリ209は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROMなどである。不揮発性メモリ209には、CPU205の動作用の定数、プログラムなどが記録(格納)される。ここでいうプログラムとは、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。CPU205は、不揮発性メモリ209に記録されたプログラムを実行することで、後述する各処理を実現する。メモリ210は例えばRAMであり、CPU205は、メモリ210をワークメモリとして用い、CPU205の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ209から読み出したプログラムなどをメモリ210に展開する。
【0024】
操作部206は、ユーザーからの操作(指示)を受け付け、行われた操作に応じた信号をCPU205に出力する。操作部206は、第1の撮影ボタン103や第2の撮影ボタン106などを含む。外部機器接続部207は、デジタルカメラ101と外部機器(外部の電子機器)とを無線または有線で互いに接続し、デジタルカメラ101と外部機器との間での通信(様々なデータの送受信)を可能にする。被写体検出部208は、撮影された画像から特定の被写体(位置や大きさなど)を検出する。
【0025】
図3(a)~3(d)は、デジタルカメラ101をX軸の正方向の側から見た側面図である。図3(a)は、第1のカメラ部102も第2のカメラ部105も非撮影中の状態を示す。図3(b)は、第1のカメラ部102が撮影中で、第2のカメラ部105が非撮影中の状態を示す。図3(c)は、第1のカメラ部102が非撮影中で、第2のカメラ部105が撮影中の状態を示す。図3(d)は、第1のカメラ部102も第2のカメラ部105も撮影中の状態を示す。図3(b),3(d)の範囲310は第1の撮影範囲(第1のカメラ部102の撮影範囲)であり、図3(c),3(d)の範囲311は第2の撮影範囲(第2のカメラ部105の撮影範囲)である。
【0026】
ユーザーは、第1のカメラ部102による撮影(静止画撮影など)を行いたい場合や、第1のカメラ部102による撮影(動画撮影やインターバル撮影など)を開始したい場合に、第1のカメラ部102と同じ側に配置された第1の撮影ボタン103を押下する。第1の撮影ボタン103が押下されると、CPU205は、第1の撮影ボタン103からの信号に応じて、第1のカメラ部102による撮影を行う(開始する)。このとき、例えば、デジタルカメラ101の状態は、図3(a)に示す状態から、図3(b)に示す状態に遷移する。CPU205は、第1のカメラ部102による撮影中(第1の撮影範囲310の撮影中)に、そのことを通知するために、第1のカメラ部102と同じ側に配置された第1のLED104aを点灯する。第1のLED104aが点灯すると、前面108の側(第1の撮影範囲310の側)の側にいる人物は、第1の撮影範囲310の撮影中であることを確認できる。
【0027】
ユーザーは、第1のカメラ部102による撮影(動画撮影やインターバル撮影など)を終了したい場合には、第1のカメラ部102による撮影中に第1の撮影ボタン103を押下する。第1の撮影ボタン103が押下されると、CPU205は、第1の撮影ボタン103からの信号に応じて、第1のカメラ部102による撮影を終了する。このとき、デジタルカメラ101の状態は、例えば、図3(b)に示す状態から、図3(a)に示す状態
に遷移する。CPU205は、第1のカメラ部102による撮影を終了すると、第1のLED104aを消灯する。
【0028】
ユーザーは、第2のカメラ部105による撮影(静止画撮影など)を行いたい場合や、第2のカメラ部105による撮影(動画撮影やインターバル撮影など)を開始したい場合に、第2のカメラ部105と同じ側に配置された第2の撮影ボタン106を押下する。第2の撮影ボタン106が押下されると、CPU205は、第2の撮影ボタン106からの信号に応じて、第2のカメラ部105による撮影を行う(開始する)。このとき、デジタルカメラ101の状態は、例えば、図3(a)に示す状態から、図3(c)に示す状態に遷移する。CPU205は、第2のカメラ部105による撮影中(第2の撮影範囲311の撮影中)に、そのことを通知するために、第2のカメラ部105と同じ側に配置された第2のLED104bを点灯する。第2のLED104bが点灯すると、背面109の側(第2の撮影範囲311の側)の側にいる人物は、第2の撮影範囲311の撮影中であることを確認できる。
【0029】
ユーザーは、第2のカメラ部105による撮影(動画撮影やインターバル撮影など)を終了したい場合には、第2のカメラ部105による撮影中に第2の撮影ボタン106を押下する。第2の撮影ボタン106が押下されると、CPU205は、第2の撮影ボタン106からの信号に応じて、第2のカメラ部105による撮影を終了する。このとき、例えば、デジタルカメラ101の状態は、図3(c)に示す状態から、図3(a)に示す状態に遷移する。CPU205は、第2のカメラ部105による撮影を終了すると、第2のLED104bを消灯する。
【0030】
第2のカメラ部105による撮影中(図3(c))であっても、ユーザーは、第1のカメラ部102による撮影を行いたい(開始したい)場合に、第1の撮影ボタン103を押下する。第1の撮影ボタン103が押下されると、CPU205は、第2のカメラ部105による撮影を終了せずに(継続して)、第1のカメラ部102による撮影を行う(開始する)。このとき、デジタルカメラ101の状態は、図3(c)に示す状態から、図3(d)に示す状態に遷移する。さらに、CPU205は、第1の撮影範囲310と第2の撮影範囲311との両方の撮影中であることを通知するために、第2のLED104bを消灯せずに(点灯したまま)、第1のLED104aを点灯する。
【0031】
第1の撮影範囲310と第2の撮影範囲311との撮影中に第1の撮影ボタン103が押下されると、CPU205は、第2のカメラ部105による撮影を終了せずに(継続して)、第1のカメラ部102による撮影を終了する。このとき、デジタルカメラ101の状態は、図3(d)に示す状態から、図3(c)に示す状態に遷移する。CPU205は、第2のカメラ部105による撮影を終了せずに(継続して)、第1のカメラ部102による撮影を終了すると、第2のLED104bを消灯せずに(点灯したまま)、第1のLED104aを消灯する。
【0032】
第1のカメラ部102による撮影中(図3(b))であっても、ユーザーは、第2のカメラ部105による撮影を行いたい(開始したい)場合に、第2の撮影ボタン106を押下する。第2の撮影ボタン106が押下されると、CPU205は、第1のカメラ部102による撮影を終了せずに(継続して)、第2のカメラ部105による撮影を行う(開始する)。このとき、デジタルカメラ101の状態は、図3(b)に示す状態から、図3(d)に示す状態に遷移する。さらに、CPU205は、第1の撮影範囲310と第2の撮影範囲311との両方の撮影中であることを通知するために、第1のLED104aを消灯せずに(点灯したまま)、第2のLED104bを点灯する。
【0033】
第1の撮影範囲310と第2の撮影範囲311との撮影中に第2の撮影ボタン106が
押下されると、CPU205は、第1のカメラ部102による撮影を終了せずに(継続して)、第2のカメラ部105による撮影を終了する。このとき、デジタルカメラ101の状態は、図3(d)に示す状態から、図3(b)に示す状態に遷移する。CPU205は、第1のカメラ部102による撮影を終了せずに(継続して)、第2のカメラ部105による撮影を終了すると、第1のLED104aを消灯せずに(点灯したまま)、第2のLED104bを消灯する。
【0034】
なお、第1の撮影ボタン103と第2の撮影ボタン106とが共に押下された場合には、CPU205は、第1の撮影範囲310の撮影と第2の撮影範囲311の撮影とを共に行う。このとき、CPU205は、第1の撮影範囲310を撮影した画像と、第2の撮影範囲311を撮影した画像とを結合して単一の画像を生成し、当該単一の画像を画像記録部204に記録してもよい。結合した単一の画像は、第1の撮影範囲310を撮影した画像と、第2の撮影範囲311を撮影した画像とのそれぞれの視野(画角)よりも広い視野の画像である。例えば、第1の撮影範囲310を撮影した画像と、第2の撮影範囲311を撮影した画像とのそれぞれは、上下左右に180度の視野分のVR(Virtual Reality)画像である。そして、結合した単一の画像は、上下左右に360度の視野分のVR画像(全天球画像;全方位画像)である。
【0035】
また、第1の撮影ボタン103と第2の撮影ボタン106とが順次押下された場合には、CPU205は、第1の撮影範囲310の撮影と第2の撮影範囲311の撮影とを順次行う。このときも、CPU205は、第1の撮影範囲310を撮影した画像と、第2の撮影範囲311を撮影した画像とを結合して単一の画像を生成し、当該単一の画像を画像記録部204に記録してよい。例えば、第1の撮影ボタン103の側と第2の撮影ボタン106の側とに撮影者の立ち位置を変えて、第1の撮影ボタン103と第2の撮影ボタン106を順次押下する。そうすることで、結合した単一の画像として、撮影者が写っていない全天球画像や、同じ撮影者が2か所に写った全天球画像を得ることができる。
【0036】
図4は、デジタルカメラ101で行われる撮影処理の詳細を示すフローチャートである。この処理は、CPU205が不揮発性メモリ209に記録されたプログラムをメモリ210に展開して実行することにより実現される。例えば、デジタルカメラ101を起動すると、図4の処理が開始する。
【0037】
S401では、CPU205は、第1の撮影ボタン103が押下されたか否かを判定する。第1の撮影ボタン103が押下された場合はS402に進み、そうでない場合はS403に進む。
【0038】
S402では、CPU205は、第1の撮影範囲310の撮影(第1のカメラ部102による撮影)が行われているか否かを判定する。第1の撮影範囲310の撮影が行われている場合はS406に進み、そうでない場合はS405に進む。
【0039】
S405では、CPU205は、第1のカメラ部102を用いて撮影を行う(開始する)。
【0040】
S406では、CPU205は、第1のカメラ部102による撮影を終了する。
【0041】
S403では、CPU205は、第2の撮影ボタン106が押下されたか否かを判定する。第2の撮影ボタン106が押下された場合はS404に進み、そうでない場合はS401に進む。
【0042】
S404では、CPU205は、第2の撮影範囲311の撮影(第2のカメラ部105
による撮影)が行われているか否かを判定する。第2の撮影範囲311の撮影が行われている場合はS408に進み、そうでない場合はS407に進む。
【0043】
S407では、CPU205は、第2のカメラ部105を用いて撮影を行う(開始する)。
【0044】
S408では、CPU205は、第2のカメラ部105による撮影を終了する。
【0045】
S409では、CPU205は、電源オフ指示(電源オフ操作)があったか否かを判定する。電源オフ指示があった場合は、撮影処理を終了して、デジタルカメラ101の電源をオフにし、そうでない場合はS401に進む。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作した撮影ボタンに応じた範囲が撮影されるため、ユーザーは意図した方向(撮影したい方向)の範囲に撮影範囲を変更する操作を直感的に(容易に)行うことができる。
【0047】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態、特に第1の実施形態と異なる部分について説明する。第1の実施形態では、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との撮影中に、第1の撮影ボタン103の押下に応じて、第1のカメラ部102の撮影のみを終了し、第2の撮影ボタン106の押下に応じて、第2のカメラ部105の撮影のみを終了した。第2の実施形態では、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との撮影中に、第1の撮影ボタン103の押下に応じて、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との両方の撮影を終了する。同様に、第2の撮影ボタン106の押下に応じて、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との両方の撮影を終了する。
【0048】
本実施形態に係る上記の動作について、具体的に説明する。第1の撮影範囲310と第2の撮影範囲311との撮影中(図3(d))に、第1の撮影ボタン103または第2の撮影ボタン106が押下されたとする。この場合に、CPU205は、押下された撮影ボタンからの信号に応じて、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との両方の撮影を終了する。このとき、デジタルカメラ101の状態は、図3(d)に示す状態から、図3(a)に示す状態に遷移する。CPU205は、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との撮影を終了すると、第1のLED104aと第2のLED104bとの両方を消灯する。
【0049】
図5は、デジタルカメラ101で行われる撮影処理の詳細を示すフローチャートである。この処理は、CPU205が不揮発性メモリ209に記録されたプログラムをメモリ210に展開して実行することにより実現される。例えば、デジタルカメラ101を起動すると、図5の処理が開始する。
【0050】
S501では、CPU205は、第1の撮影ボタン103が押下されたか否かを判定する。第1の撮影ボタン103が押下された場合はS502に進み、そうでない場合はS504に進む。
【0051】
S502では、CPU205は、第1の撮影範囲310の撮影(第1のカメラ部102による撮影)と、第2の撮影範囲311の撮影(第2のカメラ部105による撮影)との両方が行われているか否かを判定する。両方が行われている場合はS509に進み、そうでない場合はS503に進む。
【0052】
S503では、CPU205は、第1の撮影範囲310の撮影が行われているか否かを
判定する。第1の撮影範囲310の撮影が行われている場合はS508に進み、そうでない場合はS507に進む。
【0053】
S507では、CPU205は、第1のカメラ部102を用いて撮影を行う(開始する)。
【0054】
S508では、CPU205は、第1のカメラ部102による撮影を終了する。
【0055】
S509では、CPU205は、第1のカメラ部102による撮影と、第2のカメラ部105による撮影との両方を終了する。
【0056】
S504では、CPU205は、第2の撮影ボタン106が押下されたか否かを判定する。第2の撮影ボタン106が押下された場合はS505に進み、そうでない場合はS501に進む。
【0057】
S505では、CPU205は、第1の撮影範囲310の撮影(第1のカメラ部102による撮影)と、第2の撮影範囲311の撮影(第2のカメラ部105による撮影)との両方が行われているか否かを判定する。両方が行われている場合はS509に進み、そうでない場合はS506に進む。
【0058】
S506では、CPU205は、第2の撮影範囲311の撮影が行われているか否かを判定する。第2の撮影範囲311の撮影が行われている場合はS511に進み、そうでない場合はS510に進む。
【0059】
S510では、CPU205は、第2のカメラ部105を用いて撮影を行う(開始する)。
【0060】
S511では、CPU205は、第2のカメラ部105による撮影を終了する。
【0061】
S512では、CPU205は、電源オフ指示(電源オフ操作)があったか否かを判定する。電源オフ指示があった場合は、撮影処理を終了して、デジタルカメラ101の電源をオフにし、そうでない場合はS501に進む。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との撮影中に、第1の撮影ボタン103または第2の撮影ボタン106の押下に応じて、第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との両方の撮影が終了する。1回の操作で第1のカメラ部102と第2のカメラ部105との両方の撮影が終了するため、撮影を終了する際の操作性が向上する。
【0063】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態および第2の実施形態では、複数のカメラ部(第1のカメラ部102および第2のカメラ部105)と、複数複数の撮影ボタン(第1の撮影ボタン103及び第2の撮影ボタン106)とを有するデジタルカメラ101について説明した。第3の実施形態では、単一の操作部材(特定の操作部材)に対する操作に応じての単一のカメラ部をパン方向に回動可能なカメラシステムについて説明する。
【0064】
図6は、本発明を適用可能な電子機器の一例としてのカメラシステム600の外観を示す斜視図である。カメラシステム600は、デジタルカメラ(撮像装置)601と、カメラホルダー611とから構成される。図6において、X軸はカメラシステム600の幅方
向(横方向)の軸であり、Y軸はカメラシステム600の高さ方向(縦方向)の軸であり、Z軸はカメラシステム600の奥行き方向の軸である。
【0065】
デジタルカメラ601の駆動部602は、モーター等のアクチュエーターを用いて、カメラ部603をパン方向に回動することができる(パン駆動)。具体的には、駆動部602は、デジタルカメラ601のうちベース部材604から上の部分を、Y軸に平行な回転軸Pを中心に回動することができる。デジタルカメラ601は、マイクロフォン605や操作部606なども有する。マイクロフォン605は音を検出する。本実施形態では、検出した音が発せられた方向(音源の方向)を特定するために、デジタルカメラ601の四方に4つのマイクロフォン605がそれぞれ配置されている(図9)。操作部606は、ユーザーからの操作(指示)を受け付ける。例えば、操作部606は、デジタルカメラ601の電源のオン/オフを指示するための電源ボタンなどの複数の押しボタンを含む。
【0066】
図6は、カメラ部603が所定のデフォルト方向を向いている状態を示しており、カメラ部603の光軸はZ軸の正方向と一致している。駆動部602は、図6に示すデフォルト方向から回転軸Pを中心に時計回り、反時計回りにそれぞれ360度の回動が可能であり、カメラ部603の光軸を全方位に向けることが可能である。
【0067】
デジタルカメラ601は、カメラホルダー611に対して着脱可能である。カメラホルダー611にデジタルカメラ601を装着(固定)することで、例えば、デジタルカメラ601を壁や天井、机などに固定して撮影を行ったり、デジタルカメラ601を身に着けて撮影を行ったりすることができる。
【0068】
図7は、デジタルカメラ601とカメラホルダー611を分離した状態を示す。図7に示すように、カメラホルダー611の上面には、デジタルカメラ601と電気的に接続するためのコネクタ613、及び、デジタルカメラ601とカメラホルダー611を互いに締結(固定)するためのネジ614が配置されている。
【0069】
カメラホルダー611の側面には、環状に形成された操作部材612が配置されている。環状の操作部材612の中心Sと、デジタルカメラ601のパン駆動の回転軸Pとが一致するように、デジタルカメラ601とカメラホルダー611とが接続される。操作部材612はタッチセンサであり、操作部材612のうち、ユーザーがタッチした位置(エリア)を検出することができる。タッチされた位置を操作部材612が検出すると、カメラホルダー611は、当該位置に応じた方向にカメラ部603を向けるパン駆動をデジタルカメラ601に行わせるように、デジタルカメラ601に対して指示を出力する。
【0070】
図8は、カメラシステム600(デジタルカメラ601とカメラホルダー611)の構成例を示すブロック図である。
【0071】
デジタルカメラ601の構成について説明する。カメラ部603は、光学系/光学駆動機構801と撮像素子802を有する。光学系/光学駆動機構801は、撮像素子802に被写体の光学像を結像したり、自身の光学系(レンズなど)のズーム駆動などを行ったりする。撮像素子802は、光学系/光学駆動機構801によって結像された光学像を電気信号(画像データ)に変換するCCDやCMOS素子等で構成された撮像素子(撮像センサ)である。
【0072】
画像処理部803は、撮像素子802によって得られた画像データに対し、圧縮処理などの各種画像処理を行う。画像記録部804は、画像処理部803から出力された画像データ(撮影された画像)を格納する。
【0073】
CPU805は、デジタルカメラ601全体を制御する制御部である。不揮発性メモリ810は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROMなどである。不揮発性メモリ810には、CPU805の動作用の定数、プログラムなどが記録(格納)される。ここでいうプログラムとは、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。CPU805は、不揮発性メモリ810に記録されたプログラムを実行することで、後述する各処理を実現する。メモリ811は例えばRAMであり、CPU805は、メモリ811をワークメモリとして用い、CPU805の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ810から読み出したプログラムなどをメモリ811に展開する。
【0074】
駆動部806は、図6の駆動部602であり、デジタルカメラ601のパン駆動を行う。駆動制御部807は、駆動部806を制御する制御部であり、CPU805からの指示に応じて駆動部806によるパン駆動を制御する。位置検出部808は、カメラ部603の位置(向き)を検出する。操作部809は、図6の操作部606であり、ユーザーからの操作(指示)を受け付け、行われた操作に応じた信号をCPU805に出力する。
【0075】
カメラホルダー611の構成について説明する。操作部815は、ユーザーからの操作(指示)を受け付け、行われた操作に応じた信号をCPU812に出力する。操作部815は、図6の操作部材612などを含む。
【0076】
CPU812は、カメラホルダー611全体を制御する制御部である。不揮発性メモリ813は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROMなどである。不揮発性メモリ813には、CPU812の動作用の定数、プログラムなどが記録(格納)される。CPU812は、不揮発性メモリ813に記録されたプログラムを実行することで、各処理を実現する。メモリ814は例えばRAMであり、CPU812は、メモリ814をワークメモリとして用い、CPU812の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ813から読み出したプログラムなどをメモリ814に展開する。
【0077】
本実施形態では、デジタルカメラ601(CPU805)と、カメラホルダー611(CPU812)との間で、図7のコネクタ613を介した通信(様々なデータの送受信)が可能である。例えば、カメラホルダー611のCPU812は、操作部材612が検出した位置(タッチされた位置)に応じた信号を、デジタルカメラ601のCPU805に出力する。
【0078】
図9を用いて、撮影方向を指示する操作方法について説明する。図9は、カメラシステム600を上方(Y軸の正方向)から見た図である。上述したように、カメラ部603は回転軸Pを中心に360度すべての方向を向くことが可能である。また、上述したように、操作部材612は環状のタッチセンサであり、360度の全周でユーザーによるタッチを検出することが可能である。このため、カメラ部603の駆動範囲の各方向と、操作部材612の操作面上(全周)の各位置とを、1対1で対応付けることができ、本実施形態では、そのような対応付けがされている。
【0079】
ここで、デフォルト方向を向いているカメラ部603を左に90度回動させ、矢印Bの方向に向かせたい場合を説明する。位置Cは、操作部材612上の位置で、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線を、回転軸Pを中心に図9の反時計回りに90度回転させたとき、その直線が操作部材612と交わる位置である。ユーザーは、位置Cをタッチすることで、カメラ部603を矢印Bの方向に向かせるように、方向を指示することができる。位置Cがタッチされると、位置Cの情報がカメラホルダー611からデジタルカメラ601に送信され、駆動部602がカメラ部603を左に90度回動し、矢印Bの方向が撮影方向となる。このようにカメラ部603を向かせたい方向を全方位で直観的に指示することが可能である。
【0080】
図10は、デジタルカメラ601で行われる撮影処理の詳細を示すフローチャートである。この処理は、CPU805が不揮発性メモリ810に記録されたプログラムをメモリ811に展開して実行することにより実現される。例えば、デジタルカメラ601とカメラホルダー611を起動すると、図10の処理が開始する。
【0081】
S1001では、CPU805は、カメラ部603による撮影を開始する。
【0082】
S1002では、CPU805は、カメラホルダー611の操作部材612が検出した位置(タッチされた位置)の情報を、カメラホルダー611から取得する。
【0083】
S1003では、CPU805は、S1002で取得した情報に基づいて、タッチされた位置に対応する向きと、カメラ部603の現在の向きとの差分を、カメラ部603の駆動量(回動量)として算出する。
【0084】
S1004では、CPU805は、駆動部602を用いて、S1003で算出した駆動量でカメラ部603を駆動(回動)する(駆動制御;回動制御)。これにより、カメラ部603は、タッチされた位置に応じた方向を向く。
【0085】
S1005では、CPU805は、タッチされた位置に応じた方向をカメラ部603が向いた後に、無操作で所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合はS1006に進み、そうでない場合はS1002に進む。
【0086】
S1006では、CPU805は、駆動部602を用いて、デフォルト方向を向くようにカメラ部603を駆動(回動)する。
【0087】
S1007では、CPU805は、撮影終了指示(撮影終了操作)があったか否かを判定する。撮影終了指示(撮影終了操作)は、電源オフ指示(電源オフ操作)であってもよい。撮影終了指示があった場合は、カメラ部603による撮影を終了して撮影処理を終了した後、デジタルカメラ601とカメラホルダー611の電源をオフにし、そうでない場合はS1002に進む。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作した位置に応じた範囲が撮影されるため、ユーザーは意図した方向(撮影したい方向)の範囲に撮影範囲を変更する操作を直感的に(容易に)行うことができる。
【0089】
なお、図10のS1006における条件(カメラ部603の向きをデフォルト方向に戻す条件)は、無操作での他の所定の条件であってもよい。例えば、所定の条件として、カメラ部603の撮影範囲から特定の被写体(人物、乗り物、顔、瞳など)が検出されなくなったという条件を用いてもよい。
【0090】
また、操作部材612がカメラホルダー611に設けられている例を説明したが、操作部材612はデジタルカメラ601に設けられてもよい。つまり、撮影範囲を指示する操作は、カメラホルダー上の位置に対する操作でなく、デジタルカメラ上の位置に対する操作であってもよい。
【0091】
<第4の実施形態>
以下、本発明の第4の実施形態、特に第3の実施形態と異なる部分について説明する。第3の実施形態では、無操作で所定の条件が満たされた場合に、デフォルト方向を向くようにカメラ部603を駆動した。第4の実施形態では、カメラ部603をデフォルト方向
に向ける途中で特定の条件が満たされた場合に、カメラ部603の駆動を停止する。
【0092】
図11は、デジタルカメラ601で行われる撮影処理の詳細を示すフローチャートである。この処理は、CPU805が不揮発性メモリ810に記録されたプログラムをメモリ811に展開して実行することにより実現される。例えば、デジタルカメラ601とカメラホルダー611を起動すると、図11の処理が開始する。
【0093】
S1101~S1105の処理は、図10のS1001~S1005の処理と同じである。S1105では、CPU805は、タッチされた位置に応じた方向をカメラ部603が向いた後に、無操作で所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合はS1106に進み、そうでない場合はS1102に進む。
【0094】
S1106では、CPU805は、駆動部602を用いて、デフォルト方向を向くようにカメラ部603の駆動(回動)を開始する。
【0095】
S1107では、CPU805は、カメラ部603をデフォルト方向に向ける途中で、カメラ部603の撮影範囲から特定の被写体(人物、乗り物、顔、瞳など)が検出されたか否かを判定する。特定の被写体は、例えば、画像処理部803を用いて検出される。特定の被写体が検出された場合はS1108に進み、そうでない場合はS1109に進む。
【0096】
S1108では、CPU805は、駆動部602を用いて、カメラ部603の駆動(回動)を停止する。こうすることで、特定の被写体を撮影することができ、特定の被写体の追尾などが可能となる。
【0097】
S1109では、CPU805は、カメラ部603の駆動(回動)を継続し、カメラ部603をデフォルト方向に向ける。
【0098】
S1110では、CPU805は、撮影終了指示(撮影終了操作)があったか否かを判定する。撮影終了指示(撮影終了操作)は、電源オフ指示(電源オフ操作)であってもよい。撮影終了指示があった場合は、カメラ部603による撮影を終了して撮影処理を終了した後、デジタルカメラ601とカメラホルダー611の電源をオフにし、そうでない場合はS1102に進む。
【0099】
以上説明したように、本実施形態によれば、カメラ部603をデフォルト方向に向ける途中でカメラ部603の撮影範囲から特定の被写体が検出された場合に、カメラ部603の駆動が停止される。こうすることで、特定の被写体を撮影する機会を増やしたり、特定の被写体を追尾したりすることなどが可能となる。
【0100】
なお、カメラ部603の撮影範囲から特定の被写体が検出された場合に、カメラ部603の駆動を停止する例を説明したが、これに限られない。カメラ部603の駆動を停止する条件は、カメラ部603の撮影範囲から特定の被写体が検出されたという条件とは異なる他の特定の条件であってもよい。特定の条件が満たされた場合に、カメラ部603の駆動を停止するのではなく、他の方向を向くようにカメラ部603を駆動し直すなどしてもよい。例えば、特定の条件は、マイクロフォン605が音を検出したという条件であってもよく、カメラ部603をデフォルト方向に向ける途中で音が検出された場合に、当該音が発せられた方向を向くようにカメラ部603を駆動してもよい。検出される音は、所定の音量より大きい音などの特定の音であってもよいし、そうでなくてもよい。こうすることで、音の発生を伴う異常や、音の発生を伴う決定的瞬間(シーン)などを撮影することが可能となる。
【0101】
<第5の実施形態>
以下、本発明の第5の実施形態について説明する。第3の実施形態および第4の実施形態では、カメラ部603がパン方向にのみ回動可能な例について説明した。第5の実施形態では、カメラ部603がパン方向とチルト方向にそれぞれ回動可能な例について説明する。
【0102】
図12は、本発明を適用可能な電子機器の一例としてのカメラシステム1200の外観を示す斜視図である。カメラシステム1200は、デジタルカメラ(撮像装置)1201と、カメラホルダー1211とから構成される。図12において、X軸はカメラシステム1200の幅方向(横方向)の軸であり、Y軸はカメラシステム1200の高さ方向(縦方向)の軸であり、Z軸はカメラシステム1200の奥行き方向の軸である。
【0103】
デジタルカメラ1201は、モーター等のアクチュエーターを用いて、カメラ部1202をパン方向とチルト方向にそれぞれ回動することが可能なパンチルトカメラである。具体的には、パン駆動部1203は、デジタルカメラ1201のうちベース部材1205から上の部分を、Y軸に平行な回転軸Pを中心に回動することができる(パン駆動)。チルト駆動部1204は、デジタルカメラ1201のうちベース部材1205から上の部分を、X軸に平行な回転軸Tを中心に回動することができる(チルト駆動)。パン駆動とチルト駆動はそれぞれ単独で行うことも、同時に行うことも可能である。以後、パン駆動とチルト駆動の少なくとも一方を含む駆動を、パンチルト駆動と記載する。デジタルカメラ1201は、マイクロフォン1206や操作部1207なども有する。マイクロフォン1206は音を検出する。本実施形態では、検出した音が発せられた方向(音源の方向)を特定するために、デジタルカメラ1201の四方に4つのマイクロフォン1206がそれぞれ配置されている。操作部1207は、ユーザーからの操作(指示)を受け付ける。例えば、操作部1207は、デジタルカメラ1201の電源のオン/オフを指示するための電源ボタンなどの複数の押しボタンを含む。
【0104】
図12は、カメラ部1202が所定のデフォルト方向を向いている状態を示しており、カメラ部1202の光軸はZ軸の正方向と一致している。パン駆動部1203は、図12に示すデフォルト方向から回転軸Pを中心に時計回り、反時計回りにそれぞれ360度の回動が可能であり、カメラ部1202の光軸を全方位に向けることが可能である。チルト駆動部1204は、図12に示すデフォルト方向から回転軸Tを中心に上方向に90度、下方向に30度の駆動が可能である。パン駆動とチルト駆動を組み合わせることで、デジタルカメラ1201は、デジタルカメラ1201を中心に広範囲を撮影することが可能となる。
【0105】
デジタルカメラ1201は、カメラホルダー1211に対して着脱可能である。カメラホルダー1211にデジタルカメラ1201を装着(固定)することで、例えば、デジタルカメラ1201を壁や天井、机などに固定して撮影を行ったり、デジタルカメラ1201を身に着けて撮影を行ったりすることができる。
【0106】
図13は、デジタルカメラ1201とカメラホルダー1211を分離した状態を示す。図13に示すように、カメラホルダー1211の上面には、デジタルカメラ1201と電気的に接続するためのコネクタ1213、及び、デジタルカメラ1201とカメラホルダー1211を互いに締結(固定)するためのネジ1214が配置されている。
【0107】
カメラホルダー1211の側面には、環状に形成された操作部材1212が配置されている。環状の操作部材1212の中心Sと、デジタルカメラ1201のパン駆動の回転軸Pとが一致するように、デジタルカメラ1201とカメラホルダー1211とが接続される。操作部材1212はタッチセンサであり、操作部材1212のうち、ユーザーがタッ
チした位置(エリア)を検出することができる。タッチされた位置を操作部材1212が検出すると、カメラホルダー1211は、当該位置に応じた方向にカメラ部1202を向けるパンチルト駆動をデジタルカメラ1201に行わせるように、デジタルカメラ1201に対して指示を出力する。
【0108】
操作部材1212は、第1のエリア1212a、第2のエリア1212b、及び、第3のエリア1212cを有する。第1のエリア1212aは、パン駆動のみの指示を入力するためのエリアである。第2のエリア1212bと第3のエリア1212cとのそれぞれは、チルト駆動のみ、もしくはパン駆動とチルト駆動の両方の指示を入力するためのエリアである。第2のエリア1212bは第1のエリア1212aの上に、第3のエリア1212cは第1のエリア1212aの下に配置されいる。そして、第2のエリア1212bと第3のエリア1212cのそれぞれは、回転軸Pを含むY-Z断面の形状が円弧形状を含むように形成されている。
【0109】
図14は、カメラシステム1200(デジタルカメラ1201とカメラホルダー1211)の構成例を示すブロック図である。
【0110】
デジタルカメラ1201の構成について説明する。カメラ部1202は、光学系/光学駆動機構1401と撮像素子1402を有する。光学系/光学駆動機構1401は、撮像素子1402に被写体の光学像を結像したり、自身の光学系(レンズなど)のズーム駆動などを行ったりする。撮像素子1402は、光学系/光学駆動機構1401によって結像された光学像を電気信号(画像データ)に変換するCCDやCMOS素子等で構成された撮像素子(撮像センサ)である。
【0111】
画像処理部1403は、撮像素子1402によって得られた画像データに対し、圧縮処理などの各種画像処理を行う。画像記録部1404は、画像処理部1403から出力された画像データ(撮影された画像)を格納する。
【0112】
CPU1405は、デジタルカメラ1201全体を制御する制御部である。不揮発性メモリ1410は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROMなどである。不揮発性メモリ1410には、CPU1405の動作用の定数、プログラムなどが記録(格納)される。ここでいうプログラムとは、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。CPU1405は、不揮発性メモリ1410に記録されたプログラムを実行することで、後述する各処理を実現する。メモリ1411は例えばRAMであり、CPU1405は、メモリ1411をワークメモリとして用い、CPU1405の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ1410から読み出したプログラムなどをメモリ1411に展開する。
【0113】
パンチルト駆動部1406は、図12のパン駆動部1203とチルト駆動部1204を含み、デジタルカメラ1201のパンチルト駆動を行う。パンチルト駆動制御部1407は、パンチルト駆動部1406を制御する制御部であり、CPU1405からの指示に応じてパンチルト駆動部1406によるパンチルト駆動を制御する。パンチルト位置検出部1408は、カメラ部1202の向き(パン方向とチルト方向のそれぞれの位置)を検出する。操作部1409は、図12の操作部1207であり、ユーザーからの操作(指示)を受け付け、行われた操作に応じた信号をCPU1405に出力する。
【0114】
カメラホルダー1211の構成について説明する。操作部1415は、ユーザーからの操作(指示)を受け付け、行われた操作に応じた信号をCPU1412に出力する。操作部1415は、図12の操作部材1212などを含む。
【0115】
CPU1412は、カメラホルダー1211全体を制御する制御部である。不揮発性メモリ1413は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROMなどである。不揮発性メモリ1413には、CPU1412の動作用の定数、プログラムなどが記録(格納)される。CPU1412は、不揮発性メモリ1413に記録されたプログラムを実行することで、各処理を実現する。メモリ1414は例えばRAMであり、CPU1412は、メモリ1414をワークメモリとして用い、CPU1412の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ1413から読み出したプログラムなどをメモリ1414に展開する。
【0116】
本実施形態では、デジタルカメラ1201(CPU1405)と、カメラホルダー1211(CPU1412)との間で、図13のコネクタ1213を介した通信(様々なデータの送受信)が可能である。例えば、カメラホルダー1211のCPU1412は、操作部材1212が検出した位置(タッチされた位置)に応じた信号を、デジタルカメラ1201のCPU1405に出力する。
【0117】
図15(a),15(b)を用いて、撮影方向を指示する操作方法の一例について説明する。図15(a),15(b)は、カメラシステム1200を上方(Y軸の正方向)から見た図である。上述したように、カメラ部1202は回転軸Pを中心に360度すべての方向を向くことが可能である。また、上述したように、操作部材1212は環状のタッチセンサであり、パン方向(パン駆動の方向)については、360度の全周でユーザーによるタッチを検出することが可能である。このため、パン方向については、カメラ部1202の駆動範囲の各方向と、操作部材1212の操作面上(全周)の各位置とを、1対1で対応付けることができ、本実施形態では、そのような対応付けがされている。
【0118】
ここで、デフォルト方向を向いているカメラ部1202(図15(a))を左に90度回動させたい場合を説明する。位置Dは、第1のエリア1212a上の位置で、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線を、回転軸Pを中心に図15(a)の反時計回りに90度回転させたとき、その直線が第1のエリア1212aと交わる位置である。ユーザーは、位置Dをタッチすることで、カメラ部1202を左に90度回動させるように、方向を指示することができる。位置Dがタッチされると、位置Dの情報がカメラホルダー1211からデジタルカメラ1201に送信され、図15(b)に示すように、パン駆動部1203がカメラ部1202を左に90度回動し、位置Dの方向が撮影方向となる。
【0119】
図16(a),16(b)を用いて、撮影方向を指示する操作方法の他の例について説明する。図16(a),16(b)は、カメラシステム1200を右方向(X軸の負方向)から見た図である。上述したように、カメラ部1202は回転軸Tを中心に上方向に90度、下方向に30度の範囲で駆動することが可能である。また、上述したように、操作部材1212(第2のエリア1212bと第3のエリア1212c)は、回転軸Pを含むY-Z断面の形状が円弧形状を含むように形成されている。上側の第2のエリア1212bは、円弧形状の中心角が90度となるように形成されており、下側の第3のエリア1212cは、円弧形状の中心角が30度となるように形成されている。このため、チルト方向(チルト駆動の方向)についても、カメラ部1202の駆動範囲の各方向と、操作部材1212の操作面上の各位置とを、1対1で対応付けることができ、本実施形態では、そのような対応付けがされている。
【0120】
ここで、デフォルト方向を向いているカメラ部1202(図16(a))を上に45度回動させたい場合を説明する。位置Eは、第2のエリア1212b上の位置で、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線が第1のエリア1212aと交わる位置から第2のエリア1212bの面に沿って上に45度移動した位置である。ユーザーは、位置Eをタッチすることで、カメラ部1202を上に45度回動させるように、方向を指示することができる。位
置Eがタッチされると、位置Eの情報がカメラホルダー1211からデジタルカメラ1201に送信され、図16(b)に示すように、チルト駆動部1204がカメラ部1202を上に45度回動し、位置Eの方向が撮影方向となる。
【0121】
図17(a),17(b)を用いて、撮影方向を指示する操作方法の他の例について説明する。図17(a)は、カメラシステム1200を正面方向(Z軸の正方向)から見た図である。第2のエリア1212bと第3のエリア1212cは、第1のエリア1212aと同様に環状に形成されている。そして、第2のエリア1212bと第3のエリア1212cでも、パン方向については、360度の全周でユーザーによるタッチを検出することが可能である。このため、パン方向については、カメラ部1202の駆動範囲の各方向と、第2のエリア1212bの各位置とを、1対1で対応付けることができ、本実施形態では、そのような対応付けがされている。同様に、パン方向については、カメラ部1202の駆動範囲の各方向と、第3のエリア1212cの各位置とを、1対1で対応付けることができ、本実施形態では、そのような対応付けがされている。
【0122】
ここで、デフォルト方向を向いているカメラ部1202(図17(a))を右に90度、上に45度回動させたい場合を説明する。位置F1は、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線を、回転軸Pを中心に時計回り(カメラシステム1200を上方から見た場合の時計回り)に90度回転させたとき、その直線が第1のエリア1212aと交わる位置である。位置F2は、第2のエリア1212b上の位置で、位置F1から第2のエリア1212bの面に沿って上に45度移動した位置である。ユーザーは、位置F2をタッチすることで、カメラ部1202を右に90度、上に45度回動させるように、方向を指示することができる。位置F2がタッチされると、位置F2の情報がカメラホルダー1211からデジタルカメラ1201に送信される。そして、図17(b)に示すように、パン駆動部1203がカメラ部1202を右に90度回動し、チルト駆動部1204がカメラ部1202を上に45度回動し、位置F2の方向が撮影方向となる。
【0123】
図18(a),18(b)を用いて、撮影方向を指示する操作方法の他の例について説明する。図18(a)は、カメラシステム1200を上方(Y軸の正方向)から見た図である。操作部材1212は、タッチだけでなく、タッチしながらなぞる操作(或る位置から他の位置までの連続的な操作;タッチムーブ)を検出することもできる。
【0124】
ここで、デフォルト方向から左に90度の範囲を撮影したい場合を説明する。位置Gは、第1のエリア1212a上の位置で、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線が第1のエリア1212aと交わる位置である。位置Hは、第1のエリア1212a上の位置で、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線を、回転軸Pを中心に図18(a)の反時計回りに90度回転させたとき、その直線が第1のエリア1212aと交わる位置である。位置Gから位置Hまでタッチしながらなぞると、位置Gから位置Hまでの情報がカメラホルダー1211からデジタルカメラ1201に送信され、パン駆動部1203がカメラ部1202を左に90度回動する。これにより、図18(b)に示すように、位置Gの方向の撮影範囲gから、位置Hの方向の撮影範囲hまで、カメラ部1202の撮影範囲を連続的に変更して撮影を行うことができる。例えば、静止画撮影として、撮影範囲gから撮影範囲hまでの範囲のパノラマ撮影を行うことが可能である。被写体の動きなどに応じて適宜パン駆動を行いながら、撮影範囲gから撮影範囲hまでの範囲の動画撮影を行うことも可能である。チルト駆動、パン駆動とチルト駆動の組み合わせなどでも、タッチしながらなぞる操作に応じて、上記撮影と同様の撮影が可能である。
【0125】
図19(a),19(b)を用いて、撮影方向を指示する操作方法の他の例について説明する。図19(a)は、カメラシステム1200を正面方向(Z軸の正方向)から見た図である。操作部材1212は、2点をタッチしながらなぞる操作を検出することもでき
る。
【0126】
ここで、デフォルト方向から左に45度かつ上下それぞれに30度の範囲を撮影したい場合を説明する。位置J,K,K,Nは以下の通りである。
位置J:第2のエリア1212b上の位置で、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線が第1のエリア1212aと交わる位置から第2のエリア1212bの面に沿って上に30度移動した位置
位置K:第3のエリア1212c上の位置で、回転軸Pを通るZ軸に平行な直線が第1のエリア1212aと交わる位置から第3のエリア1212cの面に沿って下に30度移動した位置
位置M:第2のエリア1212b上の位置で、位置Jを、回転軸Pを中心に反時計回り(カメラシステム1200を上方から見た場合の反時計回り)に90度移動させた位置
位置N:第3のエリア1212c上の位置で、位置Kを、回転軸Pを中心に反時計回り(カメラシステム1200を上方から見た場合の反時計回り)に90度移動させた位置
【0127】
位置J,Kから位置M,Nまでタッチしながらなぞると、位置J,Kから位置M,Nまでの情報がカメラホルダー1211からデジタルカメラ1201に送信される。そして、パン駆動部1203は、デフォルト方向から左に45度の範囲でカメラ部1202を繰り返し回動し、チルト駆動部1204は、デフォルト方向から上下それぞれに30度の範囲で繰り返し回動する。これにより、図19(b)に示すように、位置J,K,M,Nの方向の撮影範囲j,k,m,nを含む範囲r全体を走査するように、カメラ部1202の撮影範囲を連続的に変更して撮影を行うことができる。例えば、静止画撮影として、範囲rのパノラマ撮影を行うことが可能である。被写体の動きなどに応じて適宜パンチルト駆動を行いながら、範囲rの動画撮影を行うことも可能である。
【0128】
図20は、デジタルカメラ1201で行われる撮影処理の詳細を示すフローチャートである。この処理は、CPU1405が不揮発性メモリ1410に記録されたプログラムをメモリ1411に展開して実行することにより実現される。例えば、デジタルカメラ1201とカメラホルダー1211を起動すると、図20の処理が開始する。
【0129】
S2001では、CPU1405は、カメラ部1202による撮影を開始する。
【0130】
S2002では、CPU1405は、操作部材1212に対するタッチがあったか否かを判定する。タッチがあった場合はS2003に進み、そうでない場合はS2009に進む。タッチがされていない場合だけでなく、過去に開始されたタッチが継続している場合にも、S2009に進む。
【0131】
S2003では、CPU1405は、カメラホルダー1211の操作部材1212が検出した位置(タッチされた位置)の情報を、カメラホルダー1211から取得する。
【0132】
S2004では、CPU1405は、S2003で取得した情報に基づいて、タッチされた位置に対応する向きと、カメラ部1202の現在の向きとの差分を、カメラ部1202の駆動量(回動量)として算出する。
【0133】
S2005では、CPU1405は、パンチルト駆動部1406(パン駆動部1203とチルト駆動部1204)を用いて、S2004で算出した駆動量でカメラ部1202を駆動(回動)する(駆動制御)。これにより、カメラ部1202は、タッチされた位置に応じた方向を向く。
【0134】
S2006では、CPU1405は、カメラ部1202の駆動後に、無操作で所定時間
が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合はS2007に進み、そうでない場合はS2002に進む。
【0135】
S2007では、CPU1405は、パンチルト駆動部1406を用いて、デフォルト方向を向くようにカメラ部1202を駆動(回動)する。
【0136】
S2008では、CPU1405は、撮影終了指示(撮影終了操作)があったか否かを判定する。撮影終了指示(撮影終了操作)は、電源オフ指示(電源オフ操作)であってもよい。撮影終了指示があった場合は、カメラ部1202による撮影を終了して撮影処理を終了した後、デジタルカメラ1201とカメラホルダー1211の電源をオフにし、そうでない場合はS2002に進む。
【0137】
S2009では、CPU1405は、操作部材1212に対するタッチムーブ(タッチしながらなぞる操作)があったか否かを判定する。タッチムーブがあった場合はS2010に進み、そうでない場合はS2002に進む。
【0138】
S2010では、CPU1405は、カメラホルダー1211の操作部材1212が現在検出している位置(現在タッチされている位置)の情報を、カメラホルダー1211から取得する。
【0139】
S2011では、CPU1405は、S2010で取得した情報に基づいて、現在タッチされている位置に対応する向きと、カメラ部1202の現在の向きとの差分を、カメラ部1202の駆動量(回動量)として算出する。
【0140】
S2012では、CPU1405は、パンチルト駆動部1406(パン駆動部1203とチルト駆動部1204)を用いて、S2011で算出した駆動量でカメラ部1202を駆動(回動)する(駆動制御)。これにより、カメラ部1202は、現在タッチされている位置に応じた方向を向く。従って、タッチムーブ中は、タッチ位置の軌道と同様の軌道を描くように、カメラ部1202の向きが変化する。
【0141】
以上説明したように、本実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、操作した位置に応じた範囲が撮影されるため、ユーザーは意図した方向(撮影したい方向)の範囲に撮影範囲を変更する操作を直感的に(容易に)行うことができる。さらに、操作した位置のパン成分(パン方向の成分)に応じて撮影範囲がパン方向に変更されるだけでなく、操作した位置のチルト成分(チルト方向の成分)に応じて撮影範囲がチルト方向にも変更される。このため、第3の実施形態よりも広い範囲で撮影範囲を変更することができる。
【0142】
なお、デジタルカメラのCPUが行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0143】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0144】
また、上述した実施形態では、本発明をデジタルカメラやカメラシステムに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、第1の撮影範囲と第2の撮影範囲とを撮影可能な少なくとも1つの撮像部を有する電子機器であれば適用可能である。例えば、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ
、プリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。また、本発明は、映像プレーヤー、表示装置(投影装置を含む)、タブレット端末、スマートフォン、AIスピーカー、家電装置や車載装置などに適用可能である。
【0145】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0146】
101:デジタルカメラ 102:第1のカメラ部 103:第1の撮影ボタン
105:第2のカメラ部 106:第2の撮影ボタン 205:CPU
600,1200:カメラシステム 603,1202:カメラ部
612,1212:操作部材 805,1405:CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20