(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】発酵処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/60 20220101AFI20241007BHJP
C02F 11/02 20060101ALI20241007BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20241007BHJP
B01F 27/70 20220101ALI20241007BHJP
【FI】
B09B3/60
C02F11/02 ZAB
C02F11/00 A
B01F27/70
(21)【出願番号】P 2020101326
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 法和
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-047747(JP,A)
【文献】特開2009-018304(JP,A)
【文献】特開2006-247653(JP,A)
【文献】特開2003-190919(JP,A)
【文献】特開2002-153841(JP,A)
【文献】特開2006-205149(JP,A)
【文献】特開2013-154316(JP,A)
【文献】特開2000-037683(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0128271(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/60
C02F 11/02
C02F 11/00
B01F 27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を発酵させる発酵槽と、
前記発酵槽内に配置され、前記被処理物を撹拌する撹拌爪を有する回転軸と、
前記発酵槽に気体を送る送風装置と、
前記発酵槽内に配置され、前記送風装置から送られる気体を前記発酵槽内に吹き出す吹出し孔を複数有する給気管と、
前記発酵槽内に配置され、前記発酵槽内の気体を排気する排気孔を複数有する排気管と、
を備え、
前記
給気管および前記排気管は、水平面と平行である前記回転軸の軸線方向と平行な方向に延び、
前記給気管および前記排気管は、前記回転軸の上方に配置され、
前記給気管は、前記排気管よりも前記回転軸の回転方向の後方に配置される、発酵処理装置。
【請求項2】
前記複数の吹出し孔は、前記軸線方向に沿って並ぶ、請求項1に記載の発酵処理装置。
【請求項3】
前記複数の吹出し孔は、等間隔に配列される、請求項2に記載の発酵処理装置。
【請求項4】
前記発酵槽は、前記軸線方向に対向する一対の壁部を有し、
前記給気管は、前記一対の壁部の一方から他方まで延びる、請求項1から3のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項5】
前記給気管は、前記回転軸の真上よりも前記回転軸の回転方向の後方にずれた位置に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項6】
前記回転軸は、外周面に複数の前記撹拌爪を有し、
前記複数の撹拌爪のそれぞれは、
前記回転軸の軸線から離れる方向に延びる腕部と、
前記腕部の先端から湾曲して前記腕部に対して前記軸線方向に突出する爪部と、
を有し、
前記複数の吹出し孔のうちの少なくとも1つは、前記爪部と前記軸線方向の位置が重なる、請求項2又は3に記載の発酵処理装置。
【請求項7】
前記吹出し孔の断面積は、前記給気管の管内断面積に比べて小さい、請求項1から6のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項8】
前記送風装置から送られる気体を前記吹出し孔から吹き出される前に温めるヒータを更に備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項9】
複数の前記排気孔は、前記軸線方向に沿って並ぶ、請求項1から8のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項10】
前記発酵槽は、前記軸線方向に対向する一対の壁部を有し、
前記排気管は、前記一対の壁部の一方から他方まで延びる、請求項1から9のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項11】
前記排気孔の下端は、前記吹出し孔の下端よりも上方に位置する、請求項1から10のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項12】
前記発酵槽の外部に配置され、前記排気管からの気体が通過するフィルタを内蔵するフィルタケースと、
前記フィルタケース内に溜まったドレン水を前記発酵槽内に戻すバイパス経路と、
を更に備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項13】
前記発酵槽内の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力センサにより測定される圧力が所定の閾値を超えた場合に警報を報知させる処理を行う制御装置と、
を更に備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項14】
前記発酵槽内の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力センサにより測定される圧力が所定の閾値を超えた場合に、前記送風装置による送風動作を含む当該発酵処理装置の動作を停止させる処理を行う制御装置と、
を更に備える、請求項1から13のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【請求項15】
前記発酵槽内の圧力を測定する圧力センサと、
前記発酵槽内の圧力を調整可能に設けられるバルブと、
前記圧力センサにより測定される圧力が所定の閾値を超えた場合に、前記バルブを開放して前記発酵槽内の圧力を低下させる処理を行う制御装置と、
を更に備える、請求項1から14のいずれか1項に記載の発酵処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみや畜糞等を発酵させて堆肥等とする発酵処理装置が知られる(例えば特許文献1参照)。例えば、好気性菌を用いて生ごみや畜糞等の被処理物を発酵させる発酵処理装置においては、被処理物の分解を促進するために、発酵処理を行う処理槽内に酸素を供給する必要がある。また、発酵処理装置においては、処理槽内の被処理物から出る水分を外部に排出する必要がある。このために、従来の発酵処理装置は、処理槽内に空気を供給し、処理槽内から空気を排気することができる構造を備える。
【0003】
例えば、特許文献1には、発酵撹拌槽の側壁に孔を設け、当該孔から吸気ファンによって、空気を発酵撹拌槽内に供給する構造が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、処理槽の側壁に設けた一の孔から槽内に空気を入れ、同じ側壁に設けた他の孔から槽内の空気を外部へと排出する構成が採用された場合、一の孔から槽内に入った空気が、他の孔から即座に槽外に排出される可能性がある。この場合、酸素が微生物に十分に届かなかったり、温めた空気を供給しても、被処理物に十分に熱が伝わらなかったりする虞がある。すなわち、被処理物の処理を効率良く行うことができない可能性がある。
【0006】
本発明は、発酵処理装置の槽内に入れられた被処理物に気体を効率良く供給することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な発酵処理装置は、被処理物を発酵させる発酵槽と、前記発酵槽内に配置され、前記被処理物を撹拌する撹拌爪を有する回転軸と、前記発酵槽に気体を送る送風装置と、前記発酵槽内に配置され、前記送風装置から送られる気体を前記発酵槽内に吹き出す吹出し孔を複数有する給気管と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的な発酵処理装置によれば、槽内に入れられた被処理物に気体を効率良く供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る発酵処理装置の概略斜視図
【
図2】
図1に示す発酵処理装置から一部の部材を除去した図
【
図4】
図3に示す発酵槽を異なる方向から見た断面斜視図
【
図9】フィルタケースと発酵槽との関係を説明するための模式図
【
図10】本発明の実施形態に係る発酵処理装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図11】本発明の実施形態に係る発酵処理装置の制御系の構成の変形例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書では、
図2に示す回転軸2の軸線Axが延びる軸線方向を左右方向とする。軸線方向(すなわち左右方向)は、水平面と平行である。水平面内で左右方向と直交する方向を前後方向とする。また、水平面と直交する方向を上下方向とする。また、
図2に示す被処理物の投入口3が回転軸2に対して前側に存在するとして前後を定義する。水平面と平行な面に載置される発酵処理装置100を前方から後方に向かって見た場合を基準に、上下および左右を定義する。また、軸線方向を基準として径方向となる方向を単に径方向と呼ぶことがある。軸線方向を基準として周方向となる方向を単に周方向と呼ぶことがある。
【0011】
なお、図面中の、X方向は左右方向、Y方向は前後方向、Z方向は上下方向である。+X側(矢印の先端側)が左右方向の左側であり、+Y側が前後方向の前側であり、+Z側が上下方向の上側である。また、以上で定義した方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0012】
<1.発酵処理装置の概要>
図1は、本発明の実施形態に係る発酵処理装置100の概略斜視図である。発酵処理装置100は、被処理物を処理して堆肥等を生成する装置である。本実施形態では、被処理物は、例えば生ごみ又は畜糞等である。被処理物の処理に際しては、好ましい形態として、被処理物の発酵を促進する微生物が被処理物に混ぜられる。微生物は、好ましい形態として好気性菌である。
【0013】
図1に示すように、発酵処理装置100は、被処理物の処理を行う部分である本体部101と、本体部101の左側に配置され、本体部101における被処理物の処理に必要となる様々な設備が配置される設備配置部102と、を備える。
【0014】
図2は、
図1に示す発酵処理装置100から一部の部材を除去した図である。詳細には、
図2は、
図1に示す発酵処理装置100から蓋部1011と、設備カバー1021と、制御ボックス1022とが除去された図である。蓋部1011は、本体部101の本体部カバー1012に設けられるカバー開口1012aを開閉可能に、本体部カバー1012に取り付けられる。設備カバー1021は、設備配置部102に配置される一部の設備を覆う。制御ボックス1022は、設備配置部102の前方に位置する。制御ボックス1022には、発酵処理装置100の動作を制御する制御装置(不図示)、および、制御装置に指令を入力するための入力装置(不図示)が内蔵される。
【0015】
図2に示すように、本体部101は、発酵槽1と回転軸2とを備える。すなわち、発酵処理装置100は、発酵槽1と回転軸2とを備える。
【0016】
発酵槽1は、被処理物を発酵させる槽である。発酵槽1は、本体部カバー1012に覆われる。本実施形態においては、発酵槽1は、左右方向に延びる円筒状の筒部11を有する。また、発酵槽1は、回転軸2の軸線方向(本実施形態では左右方向)に対向する一対の壁部12a、12bを有する。一対の壁部12a、12bは、筒部11の左右方向の両
端部に配置される。本実施形態では、一対の壁部12a、12bは、上下方向と平行な方向に広がる平板状である。筒部11の外周面には、径方向に貫通する筒部開口11aが設けられる。筒部開口11aとカバー開口1012aとは、径方向に重なり、被処理物を発酵槽1内に投入する投入口3を構成する。投入口3は、蓋部1011により開閉可能である。蓋部1011は、投入口3を密閉可能に設けられる。
【0017】
なお、本実施形態では、投入口3は、被処理物の発酵槽1内からの取り出しにも利用される。ただし、被処理物の取り出し専用の取出口が別途設けられてもよい。
【0018】
回転軸2は、発酵槽1内に配置される。回転軸2は、左右方向に延びる柱状である。本実施形態では、回転軸2は円柱状である。回転軸2は、角柱状等の円柱状以外の形状であってもよい。回転軸2は、左右方向に延びる軸線Ax回りに回転する。本実施形態では、回転軸2は、右側からの平面視において、軸線Axを中心として反時計回り方向に回転する。回転軸2の左側の端部は、一対の壁部12a、12bのうちの左壁部12aに回転可能に支持される。回転軸2の右側の端部は、一対の壁部12a、12bのうちの右壁部12bに回転可能に支持される。
【0019】
回転軸2は、被処理物を撹拌する撹拌爪21を有する。詳細には、回転軸2は、外周面に複数の撹拌爪21を有する。複数の撹拌爪21のうちの少なくとも一部は、回転軸2の外周面に左右方向に間隔をあけて配置される。また、複数の撹拌爪21のうちの少なくとも一部は、左右方向からの平面視において、周方向の位置が互いにずれている。撹拌爪21は、回転軸2に固定されており、回転軸2と共に回転する。発酵処理装置100は、発酵槽1内で撹拌爪21により被処理物を撹拌しながら被処理物の乾燥と発酵とを促進し、堆肥等の目的とする生成物を得る。
【0020】
図2に示すように、設備配置部102には、モータ4と、送風装置5と、フィルタケース6とが配置される。換言すると、発酵処理装置100は、モータ4と、送風装置5と、フィルタケース6とを備える。
【0021】
モータ4は、回転軸2を回転させるための駆動源である。本実施形態においては、モータ4の回転出力は、例えば歯車等の動力伝達手段を含む動力伝達機構41を介して回転軸2に伝達される。
【0022】
送風装置5は、発酵槽1内に気体を送る。送風装置5は、詳細にはブロアである。また、本実施形態では、気体は空気である。ただし、気体は空気以外であってもよく、例えば酸素等であってもよい。送風装置5から送り出された気体は、給気経路51を介して左壁部12a側から発酵槽1内に入れられる。本実施形態では、送風装置5により発酵槽1内に気体を強制的に入れる構成であるために、発酵槽1内の圧力を発酵槽1外に比べて高くすることができる。発酵槽1内の圧力を高めることにより、気体を被処理物に押し付けることができ、好気性菌への酸素の供給を適切に行うことができる。
【0023】
なお、送風装置5から発酵槽1内に送られる気体は、温められた状態で発酵槽1内に供給されることが好ましい。温めた気体を発酵槽1内に入れることにより、被処理物に接触する高温の気体量を増やして、乾燥を促進させることができる。また、温められた気体(空気)を発酵槽1内に入れることにより、好気性菌の働きを活発化させることができる。なお、処理促進のために、発酵槽1も温めることができることが好ましい。本実施形態では、後述のように、発酵槽1内へは、温められた気体が供給される。
【0024】
発酵槽1内の気体は、発酵槽1の左壁部12a側から排気経路61を介してフィルタケース6へ送られる。フィルタケース6へ送られた気体は、フィルタケース6の下部からケ
ース内に入り、内部に配置される微粉等のごみを取り除くフィルタ(不図示)を通ってケースの上部からケース外に排気される。フィルタケース6外に排気された気体は、不図示の消臭装置に送られ、消臭処理を施されて大気中に放出される。
【0025】
<2.給気管>
図3は、発酵槽1内の構成を示す断面斜視図である。
図3は、前後方向と直交する面で切った縦断面を斜めから見た図である。なお、
図3は、軸線Axよりも手前側で切断した図である。
【0026】
図3に示すように、発酵処理装置100は、給気管7を備える。給気管7は、発酵槽1内に配置される。詳細には、発酵槽1は、円筒状の筒部11の上部に管収容部13を有する。管収容部13は、下方に向けて開口する箱形状である。なお、管収容部13の左側壁は、上述の左壁部12aの一部により構成される。管収容部13の右側壁は、上述の右壁部12bの一部により構成される。
【0027】
管収容部13の内部空間は、左右方向に延びる直方体形状であり、筒部11の内部空間と繋がる。管収容部13の内部空間に、給気管7は配置される。すなわち、給気管7は、発酵槽1内の上部に配置される。なお、本実施形態では、管収容部13の内部空間に、排気管8も配置される。すなわち、本実施形態の発酵処理装置100は、排気管8を更に備える。ただし、発酵処理装置100は、排気管8を備えなくてもよい。この場合には、発酵槽1の内部と外部とを連通する排気口が、発酵槽1に設けられる構成としてよい。排気管8の詳細については後述する。
【0028】
図4は、
図3に示す発酵槽1を異なる方向から見た断面斜視図である。
図4は、
図3に示す発酵槽1を前方下方から斜め上方に見上げた場合の図である。
図4に示すように、給気管7は吹出し孔7aを複数有する。吹出し孔7aは、送風装置5から送られる気体を発酵槽1内に吹き出す孔である。すなわち、給気管7は、送風装置5から送られる気体を発酵槽1内に供給する役割を担う。複数の吹出し孔7aの形状およびサイズは、互いに異なってもよいが、本実施形態では全て同じである。詳細には、給気管7に取り付けられるノズル71が、吹出し孔7aを有する。給気管7には、同一のノズル71が複数取り付けられている。
【0029】
図5Aは、ノズル71を前方から見た概略平面図である。
図5Bは、ノズル71を右方から見た概略平面図である。
図5Cは、ノズル71を下方から見た概略平面図である。なお、
図5A、
図5B、および、
図5Cには、理解を容易とするために、ノズル71が取り付けられる給気管7の一部が示されている。給気管7は、下部に、下方に向けて延びる円筒状のノズル取付部7bを有する。ノズル取付部7bは、内周面に雌螺子を有する。
【0030】
ノズル71は、雄螺子部711と吹出し部712とを有する。雄螺子部711は、上下方向に延びる円筒状であり、外周面にノズル取付部7bの雌螺子に螺着する雄螺子を有する。吹出し部712は、雄螺子部711から下方に延びる筒状である。
図5Aに示すように、吹出し部712は、前後方向からの平面視において、上部に比べて下部の左右方向の幅が広い。また、
図5Bに示すように、吹出し部712は、左右方向からの平面視において、上部に比べて下部の前後方向の幅が狭い。雄螺子部711の内部空間と、吹出し部712の内部空間とは、繋がっており、これらは吹出し孔7aを構成する。吹出し孔7aは、ノズル取付部7bを介して給気管7の管内と繋がる。送風装置5から給気管7に送られた気体は、吹出し孔7aから下方に向けて勢いよく吹き出される。
【0031】
なお、ノズル71の形状は、本実施形態の構成に限らず、適宜変更されてよい。また、吹出し孔7aは、給気管7に直接設けられる貫通孔であってもよい。すなわち、発酵処理
装置100はノズル71を有しなくてもよい。
【0032】
複数の吹出し孔7aを有する給気管7を発酵槽1内に配置することにより、送風装置5から送られてきた気体を、発酵槽1内の複数箇所から被処理物に向けて供給することが可能になる。すなわち、発酵槽1内の被処理物が送風装置5から送られてきた気体と接触する確率を向上することができ、好気性菌への酸素の供給と、被処理物の乾燥とを効率良く行うことができる。
【0033】
図3および
図4に示すように、本実施形態では、給気管7は、回転軸2の軸線方向(左右方向)と平行な方向に延びる。複数の吹出し孔7aは、軸線方向に沿って並ぶ。詳細には、給気管7は円筒状である。複数の吹出し孔7aは、給気管7の外周壁の下部に配置され、左右方向に間隔をあけて並ぶ。本実施形態の構成によれば、左右方向に複数の撹拌爪21が配置される回転軸2の回転によって撹拌される被処理物の広い範囲に、気体を吹き付けることができる。これにより、好気性菌への酸素供給と、被処理物の乾燥との効率を向上することができる。
【0034】
なお、給気管7は角筒状や楕円筒状であってもよい。また、給気管7は、軸線方向と平行な方向に延びなくてもよい。例えば、給気管7は、軸線方向と平行な面内で、軸線方向と斜め方向や直交する方向に延びてもよい。また、給気管7は、本実施形態のように軸線方向と平行な方向に真っすぐに延びるのではなく、一部に湾曲部や屈曲部を有しつつ、軸線方向と平行に延びてもよい。すなわち、給気管7は、L字形状、U字状、波形状、ジグザグ形状等であってもよい。
【0035】
本実施形態では、給気管7は、一対の壁部12a、12bの一方から他方まで延びる。すなわち、給気管7は、一対の壁部12a、12b間を橋渡しする。本実施形態の構成によれば、給気管7を発酵槽1内の広い範囲に配置することができ、被処理物の広い範囲に送風装置5から送られてきた気体を供給することができる。詳細には、給気管7の左端は左壁部12aに固定され、給気管7の右端は右壁部12bに固定される。すなわち、給気管7は、一対の壁部12a、12bに支持される。給気管7は、左壁部12aから発酵槽1の外方に延びる給気管延伸部7cを有し、この給気管延伸部7cは、例えばパイプやチューブ等で構成される上述の給気経路51と連通する。給気管7の右端部は、右壁部12bによって塞がれる。
【0036】
なお、給気管7は、一対の壁部12a、12b間を橋渡しする構成でなくてもよい。このような場合には、例えば、給気管7は、発酵槽1の上部内壁に直接或いは間接的に固定されて、発酵槽1内に配置されてよい。この場合、給気管7は、左右方向の両端部が閉じられた筒状であってよい。また、給気管7は、発酵槽1と一体で形成されていてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、複数の吹出し孔7aは、等間隔に配列される。これによれば、発酵槽1内の被処理物に対して、送風装置5から送られてきた気体を万遍なく供給することができる。すなわち、本実施形態によれば、被処理物の処理を発酵槽1内の広い範囲で均等に行うことができる。本実施形態によれば、被処理物の乾燥を発酵槽1内の広い範囲で均等に行うことができ、被処理物における乾燥むらの発生を抑制することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、吹出し孔7aの断面積は、給気管7の管内断面積に比べて小さい。給気管7の管内断面積は、給気管7が延びる方向(本実施形態では左右方向)と直交する面で給気管7を切った場合の、管内部の断面積である。本実施形態では、管内部の断面は、円形状であり、この円形状部分の面積が、管内断面積に相当する。吹出し孔7aの断面積は、吹出し孔7aが延びる方向(本実施形態では上下方向)と直交する面で切った場合の断面積である。吹出し孔7aの断面積は、吹出し孔7aが延びる方向に一定でもよ
いが、本実施形態では一定でない。このような構成の場合、吹出し孔7aの断面積としては、面積が最小となる部分の断面積が用いられればよい。
【0039】
本実施形態の構成によれば、給気管7内における圧力損失を小さくしつつ、複数の吹出し孔7aを形成することができる。すなわち、本実施形態の構成によれば、給気経路51に繋がる端部側(左端部側)と、給気管7の給気経路51に繋がる端部と反対の端部側(右端部側)とで、吹出し孔7aから吹き出される気体の勢いの差を小さくできる。すなわち、等間隔に配列される複数の吹出し孔7aから吹き出される気体の量を均等にすることができる。
【0040】
図6は、給気管7の断面図である。
図6は、前後方向と直交する面で切った縦断面図である。なお、
図6においては、ノズル71は省略されている。
【0041】
図6に示すように、給気管7内には、ヒータ9が配置される。すなわち、発酵処理装置100はヒータ9を備える。ヒータ9は、送風装置5から送られる気体を、吹出し孔7aから吹き出される前に温める。本実施形態では、ヒータ9は、左右方向に延び、上下方向からの平面視においてU字状である。ヒータ9は、いわゆるシーズヒータである。ヒータ9の温度を一定に制御するために、給気管7内には不図示の温度計が配置される。
【0042】
ヒータ9が設けられることにより、被処理物に吹き付ける気体の温度を高くすることができ、被処理物の発酵処理及び乾燥処理を促進することができる。ヒータ9が給気管7内に配置されることにより、気体を発酵槽1内に入れる直前に温めることができ、発酵槽1内に効率良く温めた気体を供給することができる。
【0043】
なお、ヒータ9は、吹出し孔7aから発酵槽1内に吹き出される気体を狙いの温度に温めることできればよく、ヒータ9の形状、長さ、および、種類は、本実施形態の構成から適宜変更されてよい。また、ヒータ9は、給気管7よりも上流側に位置する給気経路51(
図2参照)内に配置されてもよい。
【0044】
図7は、吹出し孔7aと撹拌爪21との関係を示す概略平面図である。
図7は、前方から見た平面図である。
図7に示すように、複数の撹拌爪21のそれぞれは、腕部211と爪部212とを有する。
【0045】
腕部211は、軸線Axから離れる方向に延びる。詳細には、腕部211は、板状であり、径方向に延びる。各撹拌爪21は、腕部211が回転軸2の外周面に設けられる支持部22に固定されることにより、回転軸2に取り付けられる。
【0046】
爪部212は、腕部211の先端から湾曲して腕部211に対して軸線方向(本実施形態では左右方向)に突出する。ここで言う腕部211の先端は、支持部22に取り付けられる側の端部と反対側の端部である。別の言い方をすると、腕部211の先端は、径方向外方の端部である。本実施形態では、撹拌爪21には、爪部212が腕部211に対して右方に突出する右撹拌爪21Rと、爪部212が腕部211に対して左方に突出する左撹拌爪21Lとが含まれる。本実施形態では、一例として、右撹拌爪21Rと左撹拌爪21Lの数は同数である。
【0047】
複数の吹出し孔7aのうち少なくとも1つは、爪部212と軸線方向(左右方向)の位置が重なる。軸線方向の位置が重なるとは、爪部212が設けられる左右方向の範囲R内に、吹出し孔7aの少なくとも一部が存在する状態を指す。このように構成することにより、撹拌爪21により持ち上げられた被処理物に対してより多くの気体を吹き付けることが可能になる。
【0048】
本実施形態では、複数の吹出し孔7aのうちの大部分が、爪部212と左右方向の位置が重なる。ただし、本実施形態における吹出し孔7aと爪部212との関係は例示に過ぎない。例えば、複数の吹出し孔7aの全部が、爪部212と左右方向の位置が重なる構成としてもよい。また、例えば、複数の吹出し孔7aの少数のみが、爪部212と左右方向の位置が重なる構成としてもよい。更に、場合によっては、複数の吹出し孔7aの全部が、爪部212と左右方向の位置が重ならない構成としてもよい。
【0049】
図8は、発酵槽1の断面図である。
図8は、左右方向と直交する面で切った縦断面図である。
図8に示す断面図は、右方から見た図である。
図8に示す矢印Pは、回転軸2の回転方向を示す。
図8において、回転軸2は反時計回り方向に回転する。
【0050】
図8に示すように、好ましい形態として、給気管7は、回転軸2よりも上方、且つ、回転軸2の真上よりも回転軸2の回転方向の後方にずれた位置に配置される。このように構成することにより、吹出し孔7a内に被処理物が詰まり難い位置に給気管7を配置することができる。また、撹拌爪21により持ち上げられた被処理物は、撹拌爪21の先端が回転軸2の真上に至る手前で撹拌爪21から落下する傾向がある。このために、本構成のように給気管7を回転軸2の真上よりも回転方向の後方に配置することにより、撹拌爪21により持ち上げられた被処理物に対して、なるべく近い位置から気体を吹き付けることができる。
【0051】
本実施形態では、給気管7は、吹出し孔7aの高さ位置が発酵槽1内の被処理物よりも高くなり、且つ、回転する撹拌爪21にノズル71が接触しない位置に配置される。また、給気管7は、吹出し孔7aから下方に向けて吹き出される気体が、撹拌爪21から落下を開始する被処理物に吹き付けられやすい位置に配置される。なお、ノズル71による気体の吹付け方向は、必ずしも上下方向と平行でなくてもよい、上下方向に対して斜めであってもよい。
【0052】
<3.排気管>
上述のように、発酵処理装置100は、管収容部13の内部空間に配置される排気管8を備える。すなわち、発酵処理装置100は、発酵槽1内に配置される排気管8を備える。
図4に示すように、排気管8は排気孔8aを複数有する。排気孔8aは、発酵槽1内の気体を排気する孔である。本実施形態の構成よれば、槽内圧力が高められた発酵槽1内に排気孔8aを有する排気管8が配置されるために、排気側に気体を吸引する装置を配置することなく、発酵槽1内の気体を排気することができる。また、本実施形態の構成によれば、排気管8が複数の排気孔8aを有するために、発酵槽1内の複数箇所から気体を排出することができる。
【0053】
図3および
図4に示すように、本実施形態では、排気管8は、回転軸2の軸線方向(左右方向)と平行な方向に延びる。複数の排気孔8aは、軸線方向に沿って並ぶ。詳細には、排気管8は円筒状である。複数の排気孔8aは、排気管8の外周壁の下部に設けられ、左右方向に間隔をあけて並ぶ。排気孔8aは、排気管8の外周壁を上下方向に貫通する貫通孔である。排気孔8aの形状は、上下方向からの平面視において円形状である。本実施形態の構成によれば、発酵槽1内において軸線方向の複数箇所から発酵槽1内の気体を排気することができるために、排気箇所が偏ることを防止して、発酵槽1内の温度および湿度の均一化を図ることができる。
【0054】
なお、排気管8は角筒状や楕円筒状であってもよい。また、排気孔8aの形状は、適宜変更されてよく、例えば、多角形状や楕円状等であってよい。また、本実施形態では、複数の排気孔8aの形状およびサイズは全て同じである。ただし、複数の排気孔8aの形状
およびサイズは、互いに異なってもよい。
【0055】
また、排気管8は、軸線方向と平行な方向に延びなくてもよい。例えば、排気管8は、軸線方向と平行な面内で、軸線方向と斜め方向や直交する方向に延びてもよい。また、排気管8は、本実施形態のように軸線方向と平行な方向に真っすぐに延びるのではなく、一部に湾曲部や屈曲部を有しつつ、軸線方向と平行に延びてもよい。すなわち、排気管8は、L字形状、U字状、波形状、ジグザグ形状等であってもよい。
【0056】
本実施形態では、排気管8は、発酵槽1の軸線方向(左右方向)に対向する一対の壁部12a、12bの一方から他方まで延びる。すなわち、排気管8は、一対の壁部12a、12b間を橋渡しする。本実施形態の構成によれば、排気管8を発酵槽1内の広い範囲に配置することができ、発酵槽1内の広い範囲から気体を発酵槽1外に排出することができる。このために、発酵槽1内の特定の箇所に偏って気体が排気されることを抑制することができ、発酵槽1内の温度および湿度を均一にすることができる。
【0057】
詳細には、排気管8の左端は左壁部12aに固定され、排気管8の右端は右壁部12bに固定される。すなわち、排気管8は、一対の壁部12a、12bに支持される。排気管8は、左壁部12aにおいて、例えばパイプやチューブ等で構成される上述の排気経路61と連通する。排気管8の右端部は、右壁部12bによって塞がれる。
【0058】
なお、排気管8は、一対の壁部12a、12b間を橋渡しする構成でなくてもよい。このような場合には、例えば、排気管8は、発酵槽1の上部内壁に直接或いは間接的に固定されて、発酵槽1内に配置されてよい。この場合、排気管8は、左右方向の両端部が閉じられた筒状であってよい。また、排気管8は、発酵槽1と一体で形成されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、左右方向に沿って並ぶ複数の排気孔8aは、等間隔に配列される。これによれば、発酵槽1内において、排気箇所の偏りをなくすことができる。この結果、発酵槽1内の温度および湿度の均一化を図ることができる。なお、排気孔8aは、必ずしも等間隔に配置されなくてもよい。
【0060】
図3、
図4、および、
図8に示すように、給気管7は、排気管8と同じく、水平面と平行である軸線方向に延びる。給気管7および排気管8は、回転軸2の上方に配置される。詳細には、給気管7および排気管8は、管収容部13内の同じ高さ位置に配置される。なお、給気管7と排気管8の高さ位置は異なってもよい。給気管7と排気管8とは、前後方向に並んで配置される。給気管7は、排気管8より後方に配置される。別の言い方をすると、給気管7は、排気管8よりも回転軸2の回転方向の後方に配置される(
図8参照)。本実施形態では、排気管8は、回転軸2の真上よりも回転軸2の回転方向の前方にずれた位置に配置される。
【0061】
仮に、排気管8が給気管7よりも回転方向の後方に配置される構成(本実施形態と比べて排気管8と給気管7との位置関係が逆である構成)である場合を想定する。この場合、撹拌爪21により持ち上げられた被処理物が排気管8に接近し易くなるために、被処理物が排気孔8aを介して排気管8内に入り易くなる可能性がある。この点、本実施形態の構成によれば、撹拌爪21が排気管8と径方向に重なる位置に至る前に、撹拌爪21に持ち上げられた被処理物が撹拌爪21から落下し易い構成とすることができる。このために、被処理物が排気管8に接近し難い構成とすることができ、排気管8内に被処理物が入る可能性を低減することができる。また、本実施形態の構成によれば、回転軸2の回転により撹拌爪21が排気管8と径方向において重なる位置に至る手前に、吹出し孔7aから吹き出される気体によって下方に向かう気流を生じさせることができる。当該下方に向かう気流により、被処理物から生じる粉塵等が上方に向かって流れることを抑制することができ
る。すなわち、被処理物から生じる粉塵等が、排気孔8aを介して排気管8内に入ることを抑制することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、好ましい形態として、排気孔8aの下端は、吹出し孔7aの下端よりも上方に位置する(
図8参照)。これにより、吹出し孔7aよりも回転方向の前方に配置される排気孔8aから、被処理物より生じる粉塵が排気管8内に入り込む可能性をより低くすることができる。なお、本実施形態では、給気管7と排気管8との高さ位置を同じとし、給気管7の下方からノズル71を突出させることにより、吹出し孔7aの高さ位置を排気孔8aの高さ位置より低くしている。このような構成は例示にすぎない。例えば、吹出し孔7aが給気管7に設けられる貫通孔である場合には、給気管7と排気管8との高さ位置をずらしたり、給気管7と排気管8との外径に差を設けたりして、吹出し孔7aの高さ位置を排気孔8aの高さ位置より低くしてよい。
【0063】
また、本実施形態では、吹出し孔7aと排気孔8aの数が異なるが、両者の数は同じであってもよい。また、本実施形態では、吹出し孔7aと排気孔8aの左右方向の位置は、ずれているが、両者の左右方向の位置は同じ位置とされてもよい。また、本実施形態では、排気孔8aの開口面積は、吹出し孔7aの開口面積より大きく設けられるが、これらの関係も適宜変更されてよい。
【0064】
<4.フィルタケースと発酵槽との関係>
図9は、フィルタケース6と発酵槽1との関係を説明するための模式図である。
図9に示すように、本実施形態では、発酵処理装置100は、フィルタケース6と、バイパス経路10とを備える。
【0065】
フィルタケース6は、発酵槽1の外部に配置される。フィルタケース6は、排気管8からの気体が通過するフィルタ6aを内蔵する。詳細には、発酵槽1内の気体は、排気管8および排気管8と繋がる排気経路61を介して、フィルタケース6内に運ばれる。フィルタケース6内に運ばれた気体は、フィルタ6aを通って微粉等のごみを除去されて消臭装置、または、直接排気口に送られる。
【0066】
バイパス経路10は、フィルタケース6内に溜まったドレン水400を発酵槽1内に戻す経路である。バイパス経路10は、パイプやチューブ等を用いて構成される。発酵槽1内の被処理物300は、多くの水分を含み、処理時において、発酵槽1内の気体は多くの水分を含んだ状態となりやすい。このために、発酵槽1から排気された気体は、結露し易く、フィルタケース6内にドレン水400が溜まることがある。バイパス経路10は、このドレン水400を発酵槽1内に戻す経路である。バイパス経路10が設けられることにより、ドレン水400の処理を行う作業負担を低減することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、バイパス経路10の途中には、バイパス経路10の開閉を行う経路開閉バルブ10aが設けられる。フィルタケース6内にドレン水400が溜まった場合に、経路開閉バルブ10aが開かれて、フィルタケース6から発酵槽1内にドレン水400が戻される。経路開閉バルブ10aは、人の手によって開閉されてもよいし、ドレン水400の水量を検知するセンサを設けて制御装置により自動的に開閉されてもよい。この場合、経路開閉バルブ10aはソレノイドバルブであってよい。
【0068】
<5.制御系>
図10は、本発明の実施形態に係る発酵処理装置100の制御系の構成を示すブロック図である。
図10に示すように、発酵処理装置100は、制御装置200と、圧力センサ201とを備える。
【0069】
上述のように、制御装置200は、制御ボックス1022内に配置される。本実施形態においては、制御装置200は、発酵処理装置100の動作の全体を制御する。
図10に示すように、本実施形態においては、制御装置200は、少なくとも、モータ4と、送風装置5と、ヒータ9と、報知部202とを制御する。
【0070】
制御装置200は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および、ROM(Read Only Memory)を有するコンピュータを用いて構成される。
【0071】
報知部202は、警報を報知する手段である。報知部202は、例えば、警報音を出力するスピーカ、警報を画面表示する表示装置、警報を光で知らせる発光装置、或いは、警報を振動で知らせる振動装置等である。本実施形態では、報知部202は、
図1に示すように、制御ボックス1022の上面から上方に突出して設けられる回転灯とブザーである。なお、報知部202は、制御装置200と有線により接続される装置に限らず、制御装置200と無線により接続されるスマートフォン等の携帯端末やサーバーであってよい。また、報知部202は、1つに限らず、複数あってもよい。
【0072】
圧力センサ201は、発酵槽1内の圧力を測定する。本実施形態では、圧力センサ201は、排気管8とフィルタケース6との間に配置される排気経路61の途中に配置される(
図2参照)。なお、圧力センサ201は、発酵槽1内の圧力が測定できればよく、本実施形態と異なる位置に配置されてよい。圧力センサ201は、例えば発酵槽1内に配置されてもよい。圧力センサ201は、測定した圧力値を制御装置200に出力する。圧力センサ201と制御装置200とは、有線又は無線で接続される。
【0073】
本実施形態においては、制御装置200は、圧力センサ201により測定される圧力が所定の閾値を超えた場合に警報を報知させる処理を行う。制御装置200は、圧力センサ201により測定される圧力が所定の閾値を超えた場合に報知部202を動作させる処理を行う。本実施形態の構成によれば、発酵処理装置100において圧力異常が生じた場合に、異常に対して迅速に対処することができる。また、想定外箇所からの気体の漏れも検出することができる。
【0074】
所定の閾値は、予め実験等を行って決められる。所定の閾値は、例えば、フィルタ6aの詰まりが発生しており、フィルタ6aの清掃タイミングであることを知らせる目的で設定される。また、所定の閾値は、例えば、発酵槽1内の圧力が高過ぎ、危険な状態であることを知らせる目的で設定される。所定の閾値が複数存在し、閾値毎に警報の報知方法が異なる構成としてもよい。
【0075】
なお、制御装置200は、圧力センサ201により測定される圧力が所定の閾値を超えた場合に、送風装置5による送風動作を含む発酵処理装置100の動作を停止させる処理を行う構成であってもよい。このような構成の場合、制御装置200は、測定された圧力が所定の閾値を超えた場合に、発酵処理装置100の全ての動作を停止する構成であってよい。ただし、制御装置200は、測定された圧力が所定の閾値を超えた場合に、発酵処理装置100の一部の動作を停止する構成であってもよい。例えば、一部の動作として、送風装置5の送風動作の他、モータ4による回転軸2の回転動作や、ヒータ9による加熱動作が含まれてよい。
【0076】
圧力異常が生じた場合に、制御装置200が自動的に発酵処理装置100の動作の少なくとも一部を停止する構成とすることにより、装置の安全性を向上することができる。なお、制御装置200が、圧力異常を検知した場合に、発酵処理装置100の一部の動作を停止させる構成の場合には、送風装置5やモータ4の動作を停止させつつ、報知部202
を動作させる構成としてもよい。
【0077】
図11は、本発明の実施形態に係る発酵処理装置100の制御系の構成の変形例を示すブロック図である。変形例においては、発酵処理装置100がバルブ203を更に備える。バルブ203は、発酵槽1内の圧力を調整可能に設けられる。本変形例において、バルブ203はソレノイドバルブである。バルブ203は、発酵槽1内の圧力を調整できる位置であれば、いずれの位置に配置してもよい。バルブ203は、例えば、排気経路61の途中に配置される。
【0078】
本変形例では、制御装置200は、圧力センサ201により測定される圧力が所定の閾値を超えた場合に、バルブ203を開放して発酵槽1内の圧力を低下させる処理を行う。本構成によれば、発酵槽1内の圧力が異常に高い状態で蓋部1011が開けられるといった危険行為が行われることを防止することができる。
【0079】
なお、本変形例の制御装置200は、圧力異常が生じた際に、バルブ203を開放するための処理だけでなく、これと並行して、異常状態の発生を知らせるための報知処理や、モータ4や送風装置5等の動作を停止させるための処理を行ってもよい。
【0080】
<6.留意事項>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0081】
1・・・発酵槽
2・・・回体軸
5・・・送風装置
6・・・フィルタケース
6a・・・フィルタ
7・・・給気管
7a・・・吹出し孔
8・・・排気管
8a・・・排気孔
9・・・ヒータ
10・・・バイパス経路
12a・・・左壁部(一対の壁部の一方)
12b・・・右壁部(一対の壁部の他方)
21・・・撹拌爪
100・・・発酵処理装置
200・・・制御装置
201・・・圧力センサ
203・・・バルブ
300・・・被処理物
400・・・ドレン水
Ax・・・軸線