(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ガイドレールをレーザ調整する方法
(51)【国際特許分類】
B21D 3/00 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
B21D3/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020129002
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】10 2019 211 447.4
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハース
(72)【発明者】
【氏名】ホアスト シャーフェンベアガー
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ フーアマン
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-092990(JP,A)
【文献】特開2000-176547(JP,A)
【文献】特開平07-060358(JP,A)
【文献】特開昭62-156024(JP,A)
【文献】特開2000-054027(JP,A)
【文献】特開平08-025162(JP,A)
【文献】特開昭58-218388(JP,A)
【文献】特開平03-175001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニア転がり軸受用のガイドレール(10)を製造する方法であって、記載された順序
で実施される以下のステップ、
a)鋼からガイドレール(10)の中間製品(20)を製造するステップであって、前記中間製品(20)は、長手方向軸線(z)に対して平行に延びる、硬化されかつ所望の場合には研磨されている少なくとも1つの軌道(11)を有し、前記中間製品(20)は、所望の場合には、前記長手方向軸線(z)に沿って分配されて配置されている複数の取付け孔(18)を備え、該取付け孔(18)は、前記長手方向軸線(z)に対して横方向に向けられている、ステップと、
b)位置を固定して前記中間製品(20)を保持するように、保持装置(40)内に前記中間製品を挿入するステップと、
c)前記保持装置(40)内に保持された前記中間製品(20)を測定する(60)ステップであって、前記長手方向軸線(z)に沿った複数の箇所で、特に、前記長手方向軸線(z)に対して垂直方向に向けられている第1の横方向軸線(x)の方向で、直線形状からの逸脱を測定する、ステップと、
d)前記保持装置(40)に保持された前記中間製品(20)にレーザビーム(53)を照射するステップであって、前記長手方向軸線(z)に沿って、前記
第1の横方向軸線(x)および前記長手方向軸線(z)に対して垂直方向に向けられている第
2の横方向軸線(
y)に
垂直かつ互いに逆方向に向いた2つの側面(16)のうちのそれぞ
れにおける複数の箇所で、表面区分(30)に、該表面区分(30)が塑性範囲に加熱されるようにレーザビーム(53)を照射し、前記表面区分(30)は、前記少なくとも1つの軌道(11)から離れて配置されていて、前記照射すべき側面(16)と、前記表面区分(30)のサイズとを、前記測定(60)の結果に応じて選択する、ステップと
を含む、リニア転がり軸受用のガイドレール(10)を製造する方法。
【請求項2】
前記ステップc)および前記ステップd)を、前記第1の横方向軸線(x)および前記長手方向軸線(z)に対して垂直方向に向けられている第2の横方向軸線(y)に対して、対応して実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ステップc)および前記ステップd)を、前記ステップc)において測定された前記直線形状からの逸脱が所定の閾値を下回るまで、前記第2の横方向軸線(y)に対して複数回繰り返す、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ステップc)および前記ステップd)を、前記ステップc)において測定された前記直線形状からの逸脱が所定の閾値を下回るまで、前記第1の横方向軸線(x)に対して複数回繰り返す、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
異なる前記照射される表面区分(30)を、重ならないように、選択する、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
前記保持装置(40)内での前記中間製品(20)の姿勢は、前記第1の横方向軸線(x)および前記第2の横方向軸線(y)に関する加工時に不変のままである、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記中間製品(20)は、前記保持装置(40)内で少なくとも2つの載置部(41;42)
に支持されていて、その結果として前記中間製品(20)の自重に基づいて生じる前記中間製品(20)の弾性変形を、前記ステップc)における前記測定(60)時に考慮する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記中間製品(20)を、前記第1の横方向軸線(x)および前記第2の横方向軸線(y)に関する加工の間に、前記長手方向軸線(z)に関して90度だけ変向する、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記中間製品(20)を、前記保持装置(40)内で、その全長にわたって少なくとも線形に支持する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記照射される表面区分(30)は、長く延びるように形成されていて、長辺(31)が、前記長手方向軸線(z)に対して平行に向けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記照射される表面区分(30)は、長く延びるように形成されていて、長辺(31)が、前記長手方向軸線(z)に対して傾斜して向けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
塑性範囲に至るまでの加熱を行う深さが、0.1mm~1.5mmである、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記中間製品(20)は、前記第1の横方向軸線(x)に対してそれぞれ平行に延びる複数の取付け孔(18)を備えている、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記照射される表面区分(30)は、前記第1の横方向軸線(x)に関する加工時に、それぞれ直接に隣り合った2つの取付け孔(18)の間に配置されている、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア転がり軸受(Linearwaelzlager)のガイドレールを製造する方法に関する。
【0002】
リニア転がり軸受は、たとえば欧州特許第971140号明細書から公知である。ガイドレールの対応する中間製品は、たとえば独国特許出願公開第102014204073号明細書による方法に対応して製造されていてもよい。その際に、ガイドレールは、高精度の研磨加工にもかかわらず、最終的に完全に真っ直ぐではないことがあり得る。通常、ガイドレールの所望の真直度を達成するために、いわゆる3点調整が使用される。ガイドレールは、長手方向軸線の方向で互いに離間した2つの載置部上に載置される。2つの載置部間で、載置部上に支持されているガイドレールに圧力が加えられる。圧力の値は、ガイドレールの小さな塑性変形(plastische Verbiegung)が行われるように、選択される。この方法の欠点は、自動化が困難であることにある。この方法は、むしろ手動で実施され、対応する作業員は、経験に基づいて、適切な載置点および適切な圧力を選択する。
【0003】
本発明の利点は、対応する方法が簡単な形式で自動化されることにある。
【0004】
独立請求項によれば、記載された順序で相前後して実施される以下のステップを有する、リニア転がり軸受用のガイドレールを製造するための方法が提案される:
a)鋼からガイドレールの中間製品を製造するステップであって、中間製品が、長手方向軸線に対して平行に延びる、硬化されかつ所望の場合には研磨されている少なくとも1つの軌道を有し、中間製品が、所望の場合には、長手方向軸線に沿って分配されて配置されている複数の取付け孔を備え、該取付け孔が、長手方向軸線に対して横方向に向けられている、ステップと、
b)位置を固定して中間製品を保持するように、保持装置内に中間製品を挿入するステップと、
c)保持装置内に保持された中間製品を測定するステップであって、長手方向軸線に沿った複数の箇所で、特に、長手方向軸線に対して垂直方向に向けられている第1の横方向軸線の方向で、直線形状からの逸脱を測定する、ステップと、
d)保持装置に保持された中間製品にレーザビームを照射するステップであって、長手方向軸線に沿って、第1の横方向軸線に関して逆方向に向いた2つの側面のうちのそれぞれ1つの側面における複数の箇所で、表面区分に、該表面区分が塑性範囲に加熱されるようにレーザビームを照射し、該表面区分が、少なくとも1つの軌道から離れて配置されていて、照射すべき側面と、表面区分とサイズとを、測定の結果に応じて選択する、ステップとを含む。
【0005】
ステップb)の枠内で、好適には、ガイドレールのできるだけ小さな弾性変形が生じるように、留意される。この弾性変形は、ステップc)による測定に影響を与える。このような変形が阻止不能である限り、保持装置は、好適には、この変形が計算により補償可能であるように、構成される。これに関しては、以下で詳しく言及する。ステップa)による中間製品は、たとえば独国特許出願公開第102014204073号明細書に記載のように製造されていてもよく、上掲の特許明細書において先行技術として記載されている方法も使用することができる。ステップd)の枠内で、特に、照射された表面区分が、レーザビームの停止後に比較的迅速に冷却することが利用される。なぜならば、熱エネルギが、中間製品の残りの材料内へと流れるからである。この熱エネルギは、この材料内では小さな温度上昇しか生じさせない。結果としてガイドレール内で、中間製品のまさに所望される形状変化を引き起こす応力が発生する。軌道から離れた照射により、軌道の硬度および正確に製造された形状に不都合に影響が与えられない。
【0006】
従属請求項には、本発明の有利な別の変化形および改良形が記載されている。
【0007】
ステップc)およびステップd)を、第2の横方向軸線のために対応して実施することが規定されていてもよい。第2の横方向軸線は、第1の横方向軸線に対して、かつ長手方向軸線に対して垂直方向に向けられている。これにより、互いに垂直な2つの方向に関する中間製品の歪み、つまり任意の歪みを補正することができる。
【0008】
保持装置内での中間製品の姿勢が、第1の横方向軸線および第2の横方向軸線に関する加工時に不変のままであることが規定されていてもよい。対応する装置を特に簡単に構成するために、中間製品を途中で改めて緊締することが可能である。しかし上記で既に示唆したように、方法を所望のように確実に成功させるために、保持装置内における中間製品の収容は、好適には特に慎重に行われる。したがって、このステップは、方法を全体的に特に廉価にするために、一回だけ実施されることが望ましい。
【0009】
中間製品が保持装置内で少なくとも2つの載置部に点状に支持されていて、その結果として中間製品の自重に基づいて生じる中間製品の弾性変形を、ステップc)における測定時に考慮することが規定されていてもよい。好適には、中間製品は、まさに2つの載置部に支持される。これにより、確かに、中間製品の自重に基づく自体不都合な弾性変形が生じるものの、この変形の大きさは特に正確に計算により特定することができる。相応して、補償も容易に可能である。さらに点状の載置部は、特に確実に再現可能であるので、中間製品の歪みを正確に補正することができる。
【0010】
中間製品を、第1の横方向軸線および第2の横方向軸線に関する加工の間に、長手方向軸線に関して90°だけ変向することが規定されていてもよい。上で既に説明したように、これにより方法を実施するための装置を特に簡単に構成することができる。
【0011】
中間製品を、保持装置内で、その全長にわたって少なくとも線形に支持することが規定されていてもよい。支持は、好適には長手方向軸線に対して平行に行われる。第1の横方向軸線は、好適には長手方向軸線に対して垂直方向に、かつ重力の方向に対して垂直方向に向けられている。相応して、重力は、第1の横方向軸線の方向ではまさに弾性変形をもたらさない。線形の支持もしくは長手方向軸線は、好適には、重力の方向に対して垂直方向に向けられている。
【0012】
照射される表面区分が長く延びるように形成されていて、長辺が長手方向軸線に対して平行に向けられていることが規定されていてもよい。このような照射は、専らガイドレールの変形を生ぜしめ、長手方向軸線に関するガイドレールの不都合なねじれは行われない。長辺は、好適には真っ直ぐに形成されている。短辺は真っ直ぐに形成されていてもよく、これにより全体的に方形の表面区分が生じる。対応する角は、好適には丸み付けされている。短辺は、円形に形成されていてもよく、これにより全体的に長孔状の表面区分が生じる。
【0013】
照射される表面区分が長く延びるように形成されていて、長辺が長手方向軸線に対して傾斜して向けられていることが規定されていてもよい。これにより、ガイドレールの中間製品の不都合なねじれを補正することができる。従来の3点調整では、長手方向軸線に関する中間製品のねじれを補正することはできなかった。長手方向軸線に関する長辺の対応する傾斜角は、たとえば10°~45°であってもよい。この傾斜角は、好適には、測定の枠内で求められた、長手方向軸線に関する中間製品のねじれに応じて選択される。好適には、中間製品は、ねじれ補正後に改めて測定され、これにより中間製品の歪みを最適な精度で補正することができる。したがってねじれ補正の枠内で場合によっては導入される中間製品の付加的な歪みは、邪魔にならない。
【0014】
ステップc)およびステップd)を、ステップc)において測定された直線形状からの逸脱が所定の閾値を下回るまで、第1の横方向および/または第2の横方向のためにそれぞれ繰り返すことが規定されていてもよい。これにより特に真っ直ぐなガイドレールを達成することができる。
【0015】
照射される種々異なる表面区分は、重ならないように選択することが規定されていてもよい。これにより、後から実施される照射の効果が、先に実施された照射の効果を再び無しにしてしまうことが阻止される。これにより、照射すべき表面区分の確定が著しく簡略化される。
【0016】
塑性範囲に至るまでの加熱を行う深さが、0.1mm~1.5mmであることが規定されていてもよい。基本的には、通常のレーザビーム形成装置により、0.01mm~5.0mmの値が達成可能である。しかし、出願人の実験により、提案された範囲の使用時に、方法の特に良好に再現可能な結果が得られることが明らかになった。
【0017】
中間製品が、第1の横方向に対してそれぞれ平行に延びる複数の取付け孔を備えていることが規定されていてもよい。この定義によれば、底面および頂面における調整加工が、軌道の間の側方の面またはストッパ面における調整加工の前に実施される。好適には、取付け孔は中間製品を貫通する。取付け孔は、好適には長手方向軸線に沿って均等に分配されて配置されている。
【0018】
照射される表面区分が、第1の横方向に関する加工時に、それぞれ直接に隣り合った2つの取付け孔の間に配置されていることが規定されていてもよい。取付け孔の領域では、照射の効果を予測することが困難である。したがって、表面区分の提案された配置により、照射すべき表面区分の確定が簡略化される。
【0019】
当然ながら、上述の特徴および以下でこれから説明される特徴は、本発明の枠組みを逸脱することなしに、それぞれ挙げられた組み合わせだけではなく、別の組み合わせでも、あるいは単独でも使用可能である。
【0020】
本発明を以下に添付の図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】保持装置内に収容された中間製品を示す概略的な側面図である。
【
図2】第1の横方向軸線に関して照射中の中間製品を示す概略的な横断面図である。
【
図3】第2の横方向軸線に関して照射中の中間製品を示す概略的な横断面図である。
【
図4】最後まで加工されたガイドレールの底面を示す図である。
【
図5】ガイドレールの最後まで加工された側面を示す斜視図である。
【
図6】最後まで加工された別のガイドレールを示す斜視図である。
【0022】
図1は、保持装置40に収容された中間製品20の概略的な側面図を示している。保持装置40は、第1の載置部41および第2の載置部42を含んでいる。これらの載置部41;42は、長手方向zの方向で互いに離間している。両方の対応する点状の載置位置は、長手方向軸線zを定義する。中間製品20は、第1の載置部41および第2の載置部42上に置かれ、中間製品20は、重力gの作用に基づいて、図面に示されているように歪む。この歪み(Verbiegung)は、誇張して図示されている。両方の載置部41;42の間隔は、好適には、加工すべき中間製品20の長さに応じて、重力に基づいてできるだけ小さな弾性変形が生じるように選択される。中間製品20は、両方の載置部41;42において好適には固定的に緊締されているので、中間製品は移動することができない。緊締は、好適には、点状の載置部を除いて、重力gに基づく中間製品20の歪みの別の妨害が行われないように、実施される。したがって、歪みの、以下に説明する対応する計算による補正が簡単に可能である。
【0023】
測定装置60,61は、たとえば機械的な検出ヘッドまたはレーザ干渉計であってもよい。測定装置60,61は、長手方向軸線zに対して平行に走行可能である。対応するガイド(図示せず)は、長手方向軸線zに対して極めて正確に向けられているので、測定装置60,61によって、直線形状からの逸脱が正確に測定可能である。測定装置61は、測定装置60に対して90°旋回させられて位置している。第1の測定装置60は、この場合、長手方向軸線zに対して垂直方向に向けられている第1の横方向xに沿って、長手方向軸線zに対する間隔を測定する。第2の測定装置61は、長手方向軸線zに対して垂直方向かつ第1の横方向xに対して垂直方向に向けられている第2の横方向yの間隔を測定する。長手方向軸線zに沿って測定装置60,61により形成された平面内で、真直度の他に、ガイドレール10の姿勢(Lage)および位置(Position)が特定される。測定装置60,61は、所望の場合には存在する、長手方向軸線zに沿って分配されて配置された取付け孔18の姿勢および位置を検出する。取付け孔18は、長手方向軸線に対して横方向に向けられている。
【0024】
本発明に係る方法の枠内では、ガイドレール(10)の変形が、測定装置60,61により測定される。得られた測定結果は、続く照射のための基礎となる。
【0025】
照射は、好適には、曲率、つまり測定される変形の第2の転向が最高である箇所において行われる。照射は、好適には、ガイドレールの、凸状に湾曲された側で行われる。照射すべき領域の大きさおよび配置に関して、好適には、そのガイドレールの横断面形状が考慮される。なぜならば、特にその断面二次モーメントが、ガイドレールの、照射により達成可能な変形に重大な影響を有しているからである。
【0026】
図2は、第1の横方向軸線xに関して照射中の中間製品20の概略的な横断面を示している。
図3は、第2の横方向軸線yに関して照射中の中間製品20の概略的な横断面を示している。対応する90°の回転は、図示されているように、中間製品20が長手方向軸線zを中心として90°だけ回転させられることにより、達成することができる。好適には、緊締部、ひいては中間製品20の姿勢が、両加工時に同一のままであり、単にレーザ変向装置51の配置が変更される。好適には、両加工方向のために、それぞれ特別なレーザ変向装置51が使用される。
【0027】
本発明による表面区分(
図4の符号30)は、(概略的に図示した)レーザビーム53により製造される。レーザビーム53は、レーザビーム形成装置50により形成される。好適には、中間製品20の全ての側面16のために、唯1つのレーザビーム形成装置50しか存在していない。このレーザビーム形成装置50のレーザビームは、表面区分の所望の姿勢に応じて、対応する側面16に向かってガイドされる。レーザ形成装置50は、好適には、たとえば6~8kWのビーム出力を有するダイオードレーザである。
【0028】
個別の表面区分(
図4の符号30)は、レーザビーム53により、1つの時点で照射される面積よりも、面積に関して著しく大きい。したがって、レーザビーム変向装置51が設けられている。このレーザビーム変向装置51により、レーザ点もしくはレーザ斑は、ガイドレールの表面に沿って移動可能であるので、レーザ点は、徐々に表面区分全体を通過する。レーザビーム変向装置51は、レーザスキャナ(https://de.wikipedia.org/wiki/Laserscanning)とも呼ばれる。レーザビーム変向装置51は、たとえばモータ駆動式に可動のミラーを含んでいる。ミラーにより、レーザビームが変向可能である。個別のレーザ変向装置51は、好適には、長手方向軸線zに沿って可動にガイドされている。レーザビーム変向装置51は、好適にはそれぞれ光ファイバ52を介してレーザビーム形成装置50に接続されている。
【0029】
図2および
図3では、ガイドレールもしくは対応する中間製品20の横断面形状が確認可能である。ガイドレールは、頂面12および底面13を有している。頂面12と底面13とは、第1の横方向軸線xの方向で互いに離間している。頂面12および底面13は、互いに対してほぼ平行に、かつ第1の横方向軸線xに対して垂直方向に配置されている。底面13は、ここでは互いに離間した2つの載置領域21を有している。これらの載置領域21は、1つの平面に配置されている。載置領域21の間には、アンダカット部22が配置されている。このアンダカット部22は、上述の平面に対してセットバックされている。第1の軌道表面14および第2の軌道表面15は、第2の横方向yの方向で互いに離間している。軌道表面14;15には、この場合それぞれ2つの軌道11が配置されている。これらの軌道11は、それぞれ長手方向軸線zに対して平行に延びている。軌道11は、この場合、ボール状の転動体に適合されていて、したがって円形に構成されている。しかし、円筒状の転動体用の平坦な軌道が設けられていてもよい。軌道11の個数は、十分に任意に選択可能である。軌道表面14;15には、それぞれ1つの平坦なストッパ面17が設けられている。このストッパ面17は、底面13に隣接して配置されていて、この底面13に対して垂直方向に向けられている。測定装置(
図1の符号60,61)による中間製品20の測定は、好適には軌道11、ストッパ面17および/または底面13の載置領域21において行われる。なぜならば、上述の面は、研磨加工により特に正確に製造されていてもよく、または引抜き加工された状態(in gezogenen Zustand)にあるからである。
【0030】
図1に示した保持装置40では、中間製品20が、好適には載置領域21を介して第1の載置部および第2の載置部において支持されているので、中間製品20は、
図3に図示されているように、剪断力gに関して配置されている。
【0031】
本発明に係る方法による側面16は、第1の軌道14または第2の軌道15、頂面12または底面13であってもよい。軌道面14;15では、特に、軌道11の間の面およびストッパ面17が照射される。底面13における照射は、好適にはアンダカット部22の領域で行われるが、底面の載置領域21も照射されてもよい。
【0032】
図4は、照射されたガイドレール10の底面13の図を示している。両載置領域21と、これらの載置領域21の間に配置されたアンダカット部22を確認することができる。照射された表面区分30は、完全にアンダカット部22の領域内に配置されている。表面区分30は、好適には、第2の横方向軸線yの方向でアンダカット部22の全幅を占めている。表面区分30は、底面の載置領域21も含む。このことは符号33で図示されている。長手方向軸線zの方向で、表面区分30および33は、取付け孔18の間に配置されている。これらの取付け孔18は、ガイドレール10を第1の横方向軸線xの方向で完全に貫通する。
【0033】
表面区分30,33は、それぞれ長く延びる方形として形成されている。この場合、長辺31は、長手方向軸線zに対して平行に延びている。短辺32は、第2の横方向軸線yに対して平行に延びている。方形の角は、好適には丸み付けされている。
【0034】
図4は、表面区分30,33の配置の可能な実施例を示している。本発明に係る方法の枠内では、特に長辺31の長さが変更され、
図4では、取付け孔18の間の可能な最大長さが示されている。表面区分30,33が、
図4に示されているよりも短い場合、さらに取付け孔18の間の長さも変更することができる。
【0035】
頂面(
図2の符号12)では、表面区分が比類する形式で配置されていてもよい。第2の横方向軸線の方向での幅は、ここでは異なって形成されていてもよい。幅は、好適には、同様に形成されている。軌道の間の面またはストッパ面17上では、第1の横方向軸線xの方向の使用可能な幅は、好適にはほぼ完全に使用すべきである。
【0036】
図5は、ガイドレールの最後まで加工された側面の斜視図が示されている。特に、第2の軌道面15における照射された表面区分が確認可能である。照射された表面区分は、軌道11の間またはストッパ面17に配置されている。
【0037】
図6は、別のガイドレール10の斜視図を示している。この実施形態は、以下に説明する差異を除いて、
図2~
図5に示した実施形態と同一に形成されているので、これに関しては、上述の図面に関する説明が参照される。
図2~
図6では、同一もしくは対応する部材は同一の参照符号で示されている。
【0038】
表面区分30は、同様に長く構成されている。長辺31は、今や、長手方向軸線zに対して傾斜して配置されている。この配置により、長手方向軸線zに関するガイドレール10のねじれを補正することができる。このようなねじれを測定するために、長手方向軸線zに沿った底面の載置領域21の第1の横方向軸線xおよび第2の横方向軸線yの角度(ねじれ角α、
図5を参照)が、定義された位置で求められ、これにより、ねじれが計算される。ねじれていないガイドレール10では、回動角度α≒0°である。
【0039】
図5に図示された両方の表面区分30は、長手方向軸線zに対するその傾斜角に関して異なっている。対応する中間製品は、相応して両方の箇所において、長手方向軸線zに関して互いに異なってねじられている。レーザ調整されたガイドレール10は、もはやねじれていない。上述の傾斜角は、好適には測定の結果に応じて選択される。
【符号の説明】
【0040】
x 第1の横方向軸線
y 第2の横方向軸線
z 長手方向軸線
g 重力の方向
α ねじれ角
10 ガイドレール
10’ ガイドレール(別の実施形態)
11 軌道
12 頂面
13 底面
14 第1の軌道面
15 第2の軌道面
16 側面
17 ストッパ面
18 取付け孔
20 中間製品
21 底面の載置領域
22 底面のアンダカット部
30 表面区分
31 長辺
32 短辺
33 底面のアンダカット部内および載置領域内の表面区分
40 保持装置
41 第1の載置部
42 第2の載置部
50 レーザビーム形成装置
51 レーザビーム変向装置
52 光ファイバ
53 レーザビーム
60 第1の測定装置
61 第2の測定装置