(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20241007BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241007BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20241007BHJP
G03G 15/23 20060101ALI20241007BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20241007BHJP
B65H 45/16 20060101ALI20241007BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
G03G21/16 109
G03G21/20
G03G15/23
B65H37/06
B65H45/16
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2020129964
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2019233018
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 考平
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩司
(72)【発明者】
【氏名】荻野 博基
(72)【発明者】
【氏名】勝田 恭史
(72)【発明者】
【氏名】野口 香織
(72)【発明者】
【氏名】平田 淳子
(72)【発明者】
【氏名】黒田 明
(72)【発明者】
【氏名】西沢 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】嶋野 努
(72)【発明者】
【氏名】小熊 徹
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-171607(JP,A)
【文献】特開2012-091926(JP,A)
【文献】特開2010-286525(JP,A)
【文献】特開2013-105039(JP,A)
【文献】特開2017-026708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/04
G03G 21/16
G03G 21/20
G03G 15/23
B65H 37/06
B65H 45/16
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用トナーを用いてシートにトナー像を形成すると共に、粉末接着剤をシートに塗布する画像形成手段と、
前記画像形成手段によりシートに形成された前記トナー像及びシートに塗布された前記粉末接着剤を加熱してシートに定着させる定着手段と、
前記定着手段を通過したシートを折り畳む折り手段と、
前記折り手段により折り畳まれたシートを加熱して前記粉末接着剤によってシートを接着する接着手段と、
前記画像形成手段及び前記定着手段を収容する第1の筐体と、
前記折り手段及び前記接着手段を収容する第2の筐体と、
を備え、
前記第1の筐体の上部に前記第2の筐体が装着され、
前記折り手段及び前記接着手段は、前記画像形成手段の上方に配置されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段の下方に配置され、シートを収納するシート収納部と、
前記シート収納部に収納されているシートを水平方向の一方側に給送する給送部材と、
前記定着手段を通過したシートを前記折り手段へ向けて水平方向の他方側に搬送する搬送部材と、
をさらに備え、
前記定着手段は、前記画像形成手段に対して水平方向の前記一方側で前記給送部材から前記搬送部材まで上方に延びるシート搬送経路上に配置され、
前記接着手段は、前記画像形成手段の上方で前記搬送部材から前記折り手段を介して水平方向の前記他方側に延びるシート搬送経路上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記折り手段及び前記接着手段は、鉛直方向に見て前記第1の筐体の占有範囲内に設けられている、
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接着手段を通らないシートが排出される第1排出トレイと、
前記接着手段により接着されたシートが排出される第2排出トレイと、
を備え、
前記第1排出トレイ及び前記第2排出トレイは、前記画像形成手段
よりも上方に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2排出トレイのシート搬送方向の長さが、前記第1排出トレイのシート搬送方向の長さより短い、
ことを特徴とする、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2排出トレイのシート搬送方向の長さが、前記接着手段によって接着することが可能なシートの中で最大のシートのシート搬送方向の長さより短い、
ことを特徴とする、請求項
4又は5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着手段によって加熱されたシートを冷却する冷却手段をさらに備え、
前記冷却手段は、前記画像形成手段がシートの第1面に前記トナー像を形成した後、前記画像形成手段がシートの前記第1面とは反対の第2面に前記粉末接着剤を塗布する前に、シートを冷却する
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却手段は、前記画像形成手段によって前記第1面に前記トナー像を形成されたシートを反転させて再び前記画像形成手段へ向けて搬送する反転ユニットを含み、
前記反転ユニットは、シートの搬送方向を反転させる際にシートの一部を前記画像形成装置の外部に露出させることでシートを冷却する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記印刷用トナーを収容する第1収容部と、
前記粉末接着剤を収容する第2収容部と、
をさらに備え、
前記第2収容部の底部は、鉛直方向に関して前記定着手段の下端部及び前記接着手段の下端部よりも下方にある、
ことを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に画像形成装置。
【請求項10】
前記第2収容部の全体は、鉛直方向に関して前記定着手段の下端部及び前記接着手段の下端部よりも下方にある、
ことを特徴とする請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成手段は、前記第1収容部に収容される前記印刷用トナーを用いて前記トナー像を形成する第1プロセスユニットと、前記第2収容部に収容される前記粉末接着剤の像を所定の塗布パターンで形成する第2プロセスユニットと、前記第1プロセスユニット及び前記第2プロセスユニットで形成された前記トナー像及び前記粉末接着剤の像を担持する転写ベルトと、前記転写ベルトからシートに前記トナー像及び前記粉末接着剤の像を転写する転写手段と、を有し、
前記第2収容部は、前記転写ベルト
よりも下方に配置され、
前記定着手段及び前記接着手段は、前記転写ベルト
よりも上方に配置されている、
ことを特徴とする請求項
9又は10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1プロセスユニット及び前記第2プロセスユニットの主走査方向に見たとき、水平方向に関する前記第2収容部から前記定着手段までの距離は、水平方向に関する前記第1収容部から前記定着手段までの距離より大きい、
ことを特徴とする請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像形成装置の筐体内に外気を取り込んで送風する送風手段と、
前記送風手段によって発生する気流を前記筐体の外部に排出する排気口と、を備え、
前記送風手段から前記第2収容部を介して前記排気口に向かう方向に関して、前記定着手段、前記接着手段及び前記第1収容部の少なくとも1つが前記第2収容部の下流に設けられている、
ことを特徴とする請求項
9乃至
12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成装置の筐体内に外気を取り込んで送風する送風手段と、
前記送風手段によって前記第2収容部を冷却しながら流れる気流を前記筐体の外部に排出する第1排気口と、
前記送風手段によって前記定着手段、前記接着手段及び前記第1収容部の少なくとも1つを冷却しながら流れる気流を前記筐体の外部に排出する第2排気口と、を備える、
ことを特徴とする請求項
9乃至
12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給与明細書等の内容に秘匿性があり密封が必要な書類を作成する場合は、プレプリント紙を事前に用意した上で、バリアブルデータを個々のプレプリント紙に印刷し、さらに、後処理として密封処理が行われていた。この方式では、罫線等の書式フォーマットの印刷及び接着剤の塗布を必要とするプレプリント紙の作成に時間が掛かる上、必要数量の少ない用途では高コスト、非効率であった。
【0003】
特許文献1、2では、印刷用トナーに加えて粉末接着剤を使用して電子写真プロセスを実行することにより、プレプリント紙を用意する工程を省略しながら密封された成果物を出力する画像形成装置を提案している。これらの装置では、印刷用トナー及び粉末接着剤をシートに転写し、転写されたトナーをシートに熱定着した後、シートを折り畳み、さらにシートを加熱しながら加圧することで接着処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-171607号公報
【文献】特開2007-193004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記各文献に記載された画像形成装置では、印刷画像の定着用の加熱装置(定着装置)と接着処理用の加熱装置(接着装置)を設ける構成において十分な小型化が達成されているとは言えなかった。
【0006】
そこで、本発明は、2つの加熱装置を備える構成において十分な小型化を達成できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、印刷用トナーを用いてシートにトナー像を形成すると共に、粉末接着剤をシートに塗布する画像形成手段と、前記画像形成手段によりシートに形成された前記トナー像及びシートに塗布された前記粉末接着剤を加熱してシートに定着させる定着手段と、前記定着手段を通過したシートを折り畳む折り手段と、前記折り手段により折り畳まれたシートを加熱して前記粉末接着剤によってシートを接着する接着手段と、前記画像形成手段及び前記定着手段を収容する第1の筐体と、前記折り手段及び前記接着手段を収容する第2の筐体と、を備え、前記第1の筐体の上部に前記第2の筐体が装着され、前記折り手段及び前記接着手段は、前記画像形成手段の上方に配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、十分な小型化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施例1に係る画像形成装置の装置本体に対する後処理ユニットの装着を説明するための図。
【
図3】実施例1においてシートに転写されるトナー像の状態を説明するための模式図。
【
図4】実施例1に係る画像形成装置におけるシートの搬送経路を表す図(a、b)。
【
図5】実施例1に係る折り工程の内容を説明するための図(a~f)。
【
図6】実施例1に係る画像形成装置の外観を示す斜視図。
【
図7】実施例1に係る画像形成装置が出力する成果物を例示する図(a~c)。
【
図8】実施例1に係るプロセスカートリッジの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0013】
(全体の装置構成)
最初に、画像形成装置の全体構成について、
図1、
図2、
図6を用いて説明する。
図1は、実施例1に係る画像形成装置本体(以下、装置本体10と記載する)と、装置本体10と接続された後処理ユニット30と、を備えた画像形成装置1の断面構成を表す概略図である。画像形成装置1は、電子写真方式の印刷機構を備えた装置本体10と、シート処理装置としての後処理ユニット30とによって構成される電子写真画像形成装置(電子写真システム)である。
【0014】
図6は画像形成装置1の外観を表す斜視図である。後処理ユニット30は、装置本体10の上部に装着されている。画像形成装置1は、下部にシートカセット8を有し、右側面部に開閉可能なトレイ20を有し、上面部に第1排出トレイ13を備えている。
【0015】
まず、装置本体10の内部構成を説明する。
図1に示すように、装置本体10は、記録媒体としてのシートPを収納するシート収納部としてのシートカセット8と、画像形成手段としての画像形成ユニット1eと、定着手段としての第1定着器6と、これらを収容する筐体19と、備えている。装置本体10は、シートカセット8から給送されるシートPに画像形成ユニット1eによってトナー像を形成し、第1定着器6によって定着処理を施した印刷物を作成する印刷機能を有する。なお、記録媒体であるシートPとしては、例えば紙が用いられる。
【0016】
シートカセット8は、装置本体10の下部において筐体19に対して引き出し可能に挿入されており、多数枚のシートPを収納している。シートカセット8に収納されたシートPは、給送ローラ8f等の給送部材でシートカセット8から給送され、分離ローラ対によって1枚ずつ分離された状態で、搬送ローラ8aによって搬送される。また、開いた状態のトレイ20(
図6)にセットされたシートを1枚ずつ給送することも可能である。
【0017】
画像形成ユニット1eは、4つのプロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cと、スキャナユニット2と、転写ユニット3と、を備えたタンデム型の電子写真ユニットである。プロセスカートリッジとは、画像形成プロセスを担う複数の部品を一体的に交換可能にユニット化したものである。装置本体10には、筐体19に支持されるカートリッジ支持部9が設けられており、各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cはカートリッジ支持部9に設けられた装着部9n,9y,9m,9cに着脱可能に装着される。なお、カートリッジ支持部9は、筐体19から引き出し可能なトレイ部材であってもよい。
【0018】
各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cは、4つの粉体収容部104n,104y,104m,104cに収容される粉体の種類を除いて実質的に共通の構成を備えている。即ち、各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cは、像担持体である感光ドラム101、帯電器である帯電ローラ102、粉体を収容する粉体収容部104n,104y,104m,104c、及び粉体を用いて現像を行う現像ローラ105と含む。
【0019】
4つの粉体収容部のうち、図中右側3つの粉体収容部104y,104m,104cには、シートPに可視像を形成するためのトナー(粉体現像剤)として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンの印刷用トナーTy,Tm,Tcが収容されている。これに対し、図中最も左側の粉体収容部104nには、印刷後に接着処理を行うための粉体である粉末接着剤Tnが収容されている。粉体収容部104y,104m,104cは、いずれも印刷用トナーを収容する第1収容部の例であり、粉体収容部104nは粉末接着剤を収容する第2収容部の例である。また、プロセスカートリッジ7y,7m,7cは、いずれも印刷用トナーを用いてトナー像を形成する第1プロセスユニットの例であり、プロセスカートリッジ7nは、所定の塗布パターンで粉末接着剤の像を形成する第2プロセスユニットの例である。
【0020】
本実施例では、テキスト等の黒色の画像を印刷する場合は、イエロー(Ty)、マゼンタ(Tm)、シアン(Tc)のトナーを重畳したプロセスブラックで表現する。ただし、例えば画像形成ユニット1eにブラックの印刷用トナーを用いる5つ目のプロセスカートリッジを追加し、黒色の画像をブラックの印刷用トナーで表現できるようにしてもよい。これに限らず、画像形成装置1の用途に応じて印刷用トナーの種類及び数は変更可能である。
【0021】
スキャナユニット2は、プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの下方、かつシートカセット8の上方に配置されている。スキャナユニット2は、各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの感光ドラム101にレーザ光Gを照射して静電潜像を書き込む本実施例の露光手段である。
【0022】
転写ユニット3は、中間転写体(二次的な像担持体)としての転写ベルト3aを備えている。転写ベルト3aは、二次転写内ローラ3b及び張架ローラ3cに巻き回されたベルト部材であり、外周面において各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの感光ドラム101に対向している。転写ベルト3aの内周側には、各感光ドラム101に対応する位置に一次転写ローラ4が配置されている。また、二次転写内ローラ3bに対向する位置に、転写手段としての二次転写ローラ5が配置されている。二次転写ローラ5と転写ベルト3aとの間の転写ニップ5nは、転写ベルト3aからシートPにトナー像が転写される転写部(二次転写部)である。
【0023】
第1定着器6は、二次転写ローラ5の上方に配置されている。第1定着器6は、定着部材としての加熱ローラ6aと、加圧部材としての加圧ローラ6bとを有する熱定着方式の定着器である。加熱ローラ6aは、ハロゲンランプやセラミックヒータ等の発熱体や誘導加熱方式の発熱機構によって加熱される。加圧ローラ6bは、バネ等の付勢部材によって加熱ローラ6aに押圧されており、加熱ローラ6aと加圧ローラ6bのニップ部(定着ニップ6n)を通過するシートPを加圧するための加圧力を発生させる。なお、ここでは回転体対としてのローラ対がシートを挟持搬送する構成を例示したが、例えば筒状のフィルムの内側にヒータを配置し、フィルムを挟んでヒータに対向する加圧ローラとヒータとの間のニップ部にシートを挟持して搬送する構成としてもよい。
【0024】
筐体19には、装置本体10からシートPを排出するための開口部である排出口12(第1の排出口)が設けられており、排出口12には排出ユニット34が配置されている。本実施例の排出手段である排出ユニット34は、第1排出ローラ34aと、中間ローラ34bと、第2排出ローラ34cと、を有するいわゆる三連ローラを使用している。また、第1定着器6と排出ユニット34との間には、シートPの搬送経路を切り替えるフラップ状のガイドである切替ガイド33が設けられている。切替ガイド33は、軸部33aを中心に先端33bが図中矢印c方向に往復するように回動可能である。
【0025】
なお、装置本体10は、両面印刷を行うための機構を備えている。排出ユニット34には不図示のモータが接続され、中間ローラ34bの回転方向を正転及び逆転可能に構成されている。また、主搬送路1mに対してループ状に接続された搬送路としての両面搬送路1rが設けられている。主搬送路1mを通過する間に第1面に画像形成されたシートPは、時計方向に回動した切替ガイド33(破線位置)によって第1排出ローラ34aと中間ローラ34bとによって挟持搬送される。シートPの進行方向後端が切替ガイド33を通過した後、切替ガイド33が反時計方向に回動する(実線位置)と共に中間ローラ34bが逆転し、シートPは両面搬送路1rへと反転搬送される。つまり、第1排出ローラ34a及び中間ローラ34bは第1面に画像形成されたシートを反転させて再び画像形成ユニット1eへ向けて搬送する反転ユニットとして機能する。そして、シートPが表裏を反転した状態で主搬送路1mを再び通過する間に、シートPの第2面に画像が形成される。なお、シートPの進行方向後端が切替ガイド33を通過したとき、シートPの進行方向の先端側は機外に露出している。両面印刷後のシートPの搬送経路は、片面印刷の場合と同じく切替ガイド33によって切り替えられる。
【0026】
本実施例の画像形成装置は、複数枚のシートPに対して両面印刷を実行する場合に、両面搬送路1rを利用した交互給送を実行可能である。即ち、先行シートの第1面に画像形成した後、先行シートを両面搬送路1rに待機させている状態で後続シートの第1面に画像形成し、その後、先行シートの第2面に画像形成することができる。しかしながら、薬袋のように成果物の表面(第1面)に印刷用トナーで画像を記録し、成果物の内面(第2面)に粉末接着剤を塗布する場合には、交互給送は実行しない。この場合、1枚のシートに対して第1面の画像形成(画像を記録)と第2面の画像形成(粉末接着剤の塗布)を連続して行う動作を繰り返す。
【0027】
また、装置本体10において搬送ローラ8a、転写ニップ5N及び定着ニップ6Nを通る搬送経路は、シートPに対する画像形成が行われる主搬送路1mを構成している。主搬送路1mは、画像形成時の主走査方向(主搬送路1mを搬送されるシートの搬送方向に垂直なシートの幅方向)から見た場合に、画像形成ユニット1eに対して水平方向Hの一方側を通って下方から上方に延びている。言い換えると、本実施例の装置本体10は、主搬送路1mが略鉛直方向Vに延びる、いわゆる垂直搬送型(縦パス型)の電子写真画像形成装置である。なお、鉛直方向Vに見た場合、第1排出トレイ13、中間パス15及びシートカセット8は互いに重なっている。そのため、水平方向Hに関して排出ユニット34がシートPを排出するときのシートの移動方向は、水平方向Hに関してシートカセット8からシートPが給送されるときのシートの移動方向とは反対向きとなる。
【0028】
(後処理ユニット)
図2に示すように、後処理ユニット30は装置本体10の上部に取り付けられている。後処理ユニット30は、折り手段としての折り器31と、接着手段(第2の定着手段)としての第2定着器32とが、筐体(第2の筐体)39に収容されて一体化された後処理ユニットである。また、後処理ユニット30は、トレイ切替ガイド13aを回転自在に保持する第1排出トレイ13と、中間パス15と、第2排出トレイ35とが設けられている。第1排出トレイ13は、後処理ユニット30の上面に設けられていると共に、画像形成装置1全体の上面(
図1)に位置している。後処理ユニット30が備える各部の機能は後述する。
【0029】
上記の通り、本実施例では、折り手段としての折り器31及び接着手段としての第2定着器32を、画像形成手段としての画像形成ユニット1eの上方に配置している。そのため、電子写真画像形成装置において比較的大きな空間を画像形成ユニット1eの上方の空間を活用して、第1定着器6(第1の加熱装置)とは別の第2定着器(第2の加熱装置)を配置できる。即ち、本実施例によれば、2つ又はそれ以上の加熱装置を備えた画像形成装置1を十分に小型化することが可能である。
【0030】
また、本実施例では、
図1の視点(画像形成時の主走査方向に見た場合)に、シートPを搬送しながら後述の接着印刷物を出力するための搬送経路として、画像形成ユニット1eの三方(下方、
図1の右側、上方)を通るC字状の搬送経路が形成されている。つまり、画像形成ユニット1eの下方に収納されていたシートPは、給送ローラ8fによって水平方向Hの一方側(
図1の右側)に送り出される。また、第1定着器6を通過したシートPは、搬送部材としての排出ユニット34によって水平方向Hの他方側(
図1の左側)に搬送される。このような構成において、第1定着器6は、画像形成ユニット1eに対して水平方向の一方側で給送ローラ8fから排出ユニット34に向かって延びるシート搬送経路上(主搬送路1m)に配置されている。また、第2定着器32は、画像形成ユニット1eの上方で排出ユニット34から折り器31を介して水平方向Hの他方側に延びるシート搬送経路上に配置されている。
【0031】
このように、C字状の搬送経路を構成して搬送経路上に第1定着器6、折り器31及び第2定着器32等を配置することで、画像形成装置1を十分に小型化することが可能な具体的な構成を実現できる。なお、接着印刷物を出力する際の具体的な動作については、
図4(b)等を用いて後述する。また、C字状の搬送経路に限らず、例えばS字状の搬送経路を構成してもよい。
【0032】
特に、
図1の視点(画像形成時の主走査方向に見た場合)において、後処理ユニット30の第2排出トレイ35を除いた本体部分(折り器31及び第2定着器32)の水平方向Hの占有範囲は、装置本体10の占有範囲内に収まっていると好適である。このように後処理ユニット30を装置本体10の上方の空間に収めることで、接着印刷機能を備えた画像形成装置1を、通常の縦パス型電子写真画像形成装置と同程度の設置空間に設置することが可能となる。
【0033】
後処理ユニット30には、筐体39を装置本体10の筐体19(第1の筐体)に対して位置決めするための位置決め部(例えば、筐体19の凹部に係合する凸形状)が設けられている。また、後処理ユニット30には、装置本体10とは別の駆動源及び制御部が設けられており、後処理ユニット30のコネクタ36と装置本体10のコネクタ37が結合することで装置本体10と電気的に接続される。これにより、後処理ユニット30は、装置本体10を介して供給される電力を用いて、装置本体10に設けられた制御部からの指令に基づいて動作する状態となる。
【0034】
(プロセスカートリッジ)
各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cは、先述したように、4つの粉体収容部104n,104y,104m,104cに収容される粉体の種類を除いて実質的に共通の構成を備えている。ここでは代表してプロセスカートリッジ7nについて説明する。
図8はプロセスカートリッジ7nの概略構成を表す断面図である。プロセスカートリッジ7nは、感光ドラム101等を備えた感光体ユニットCCと、現像ローラ105等を備えた現像ユニットDTと、から成り立っている。
【0035】
感光体ユニットCCには、不図示の軸受を介して、ドラム状に成形された電子写真感光体(像担持体)である感光ドラム101が回転可能に取り付けられている。また感光ドラム101は、不図示の駆動手段(駆動源)としてのモータの駆動力を受けることによって、画像形成動作に際して図中時計回り方向(矢印w)に回転駆動される。さらに感光体ユニットCCには、感光ドラム101の周囲に感光ドラム101を帯電するための帯電ローラ102、クリーニング部材103が配置されている。
【0036】
現像ユニットDTには、感光ドラム101と接触して図中反時計回り方向(矢印d)に回転する現像剤担持体としての現像ローラ105が設けられている。現像ローラ105と感光ドラム101は、対向部(接触部)において互いの表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する。
【0037】
また現像ユニットDTには、図中時計回り方向(矢印e)に回転する現像剤供給部材としての現像剤供給ローラ(以下、単に「供給ローラ106」という。)が配置されている。供給ローラ106と現像ローラ105は、対向部(接触部)において互いの表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する。供給ローラ106は、現像ローラ105上に粉末接着剤(プロセスカートリッジ7y,7m,7cの場合は、印刷用トナー)を供給する。同時に、供給ローラ106は、現像ローラ105上に残留した粉末接着剤(プロセスカートリッジ7y,7m,7cの場合は、印刷用トナー)を現像ローラ105から剥ぎ取る作用をなす。また、現像ユニットDTには、供給ローラ106によって現像ローラ105上に供給された粉末接着剤(プロセスカートリッジ7y,7m,7cの場合は、印刷用トナー)の層厚を規制する現像剤規制部材としての現像ブレード107が配置されている。
【0038】
粉体収容部104nには、粉体として粉末接着剤(プロセスカートリッジ7y,7m,7cの場合は、印刷用トナー)が収納されている。また粉体収容部104n内には、回転自在に支持された搬送部材108が設けられている。搬送部材108は、図中時計回り方向(矢印f)に回転して粉体収容部104n内に収納された粉体を撹拌すると共に、上記現像ローラ105や供給ローラ106が設けられた現像室109へと粉体を搬送する。
【0039】
ここで、感光体ユニットCC、現像ユニットDTをそれぞれ別体として、感光体ユニットカートリッジ、現像ユニットカートリッジとし、画像形成装置本体に着脱可能に構成することも可能である。また、感光体及び現像剤担持体を有するプロセスカートリッジとは別に、粉体収容部104n及び搬送部材108だけを有し、装置本体に着脱可能な粉体カートリッジとして構成することも可能である。
【0040】
(印刷用トナー)
本実施例の印刷用トナーTm,Tc,Tyとしては、従来公知の印刷用トナーを用いることができる。その中でも、熱可塑性樹脂を結着樹脂として用いた印刷用トナーが好ましい。熱可塑性樹脂は特に限定されることはなく、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂などの従来印刷用トナーに用いられるものを使用することができる。これらの樹脂を複数含有しても良い。その中でも、スチレンアクリル系樹脂を用いた印刷用トナーがより好ましい。また、印刷用トナー(印刷用現像剤)は、着色剤、磁性体、荷電制御剤、ワックス、外部添加剤を含有しても良い。
【0041】
(粉末接着剤)
また、本実施例の粉末接着剤Tnとしては、熱可塑性樹脂を含有する粉末接着剤を用いることができる。熱可塑性樹脂は特に限定されることはなく、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-アクリル酸共重合樹脂などの公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂を複数含有しても良い。
【0042】
また、粉末接着剤Tnは、さらにワックスを含有することが好ましい。ワックスとしては、アルコールと酸とのエステル類であるエステルワックス、パラフィンワックスなどの炭化水素系ワックスなど、公知のワックスを用いることができる。
【0043】
また、粉末接着剤Tnは、着色剤を含んでいても良い。この着色剤としては、ブラック用着色剤、イエロー用着色剤、マゼンタ用着色剤、及びシアン用着色剤など公知の着色剤が使用可能である。粉末接着剤中の着色剤の含有量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。さらに、粉末接着剤Tnは、磁性体、荷電制御剤、ワックス、外部添加剤を含有しても良い。
【0044】
電子写真方式を利用してシートPに粉末接着剤による接着部を形成するためには、粉末接着剤Tnの重量平均粒子径は、5.0μm以上30μm以下であることが好ましく、6.0μm以上20μm以下であることがより好ましい。なお、接着性を満たすものであれば、粉末接着剤Tnとして印刷用トナーを用いても構わない。
【0045】
(粉末接着剤の製造例)
以下、粉末接着剤Tnの製造方法を例示する。まず、下記の材料を用意した。
・スチレン 75.0部
・n-ブチルアクリレート 25.0部
・ポリエステル樹脂 4.0部
(重量平均分子量(Mw)20000、ガラス転移温度(Tg)75℃、酸価8.2mgKOH/gのポリエステル樹脂)
・エチレングリコールジステアレート 14.0部
(エチレングリコールとステアリン酸をエステル化させたエステルワックス)
・炭化水素ワックス(HNP-9、日本精蝋製) 2.0部
・ジビニルベンゼン 0.5部
【0046】
上記材料を混合した混合物を60℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmで撹拌し、均一に溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0047】
一方、高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中に0.10mol/L-Na3PO4水溶液850.0部及び10%塩酸8.0部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、70℃に加温した。ここに、1.0mol/L-CaCl2水溶液127.5部を添加し、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を調製した。
【0048】
水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入後、重合開始剤であるT-ブチルパーオキシピバレート7.0部を添加し、15000回転/分の回転数を維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌翼に撹拌機を変え、還流しながら70℃で5時間反応させた後、液温85℃とし、さらに2時間反応させた。
【0049】
重合反応終了後、得られたスラリーを冷却し、さらに、スラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの3倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級して粉末接着剤粒子を得た。
【0050】
その後、粉末接着剤粒子100.0部に対して、外添剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)を用いて疎水化処理されたシリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0部を加えた。そして、シリカ微粒子を加えた粉末接着剤粒子を、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用い、3000rpmで15分間混合して粉末接着剤を得た。得られた粉末接着剤の重量平均粒子径は6.8μmであった。
【0051】
(印刷用トナーの製造例)
次に、印刷用トナーTy,Tm,Tcの製造方法を例示する。まず、下記の材料を用意した。
・スチレン 60.0部
・着色剤 6.5部
(C.I.PigmenT Blue 15:3、大日精化社製)
【0052】
上記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を得た。
【0053】
さらに、次の材料を用意した。
・スチレン 15.0部
・n-ブチルアクリレート 25.0部
・ポリエステル樹脂 4.0部
(重量平均分子量(Mw)20000、ガラス転移温度(Tg)75℃、酸価8.2mgKOH/gのポリエステル樹脂)
・ベヘン酸ベヘニル 12.0部
(ベヘン酸とベヘニルアルコールをエステル化させたエステルワックス)
・ジビニルベンゼン 0.5部
【0054】
上記材料を混合し、顔料分散液に加えた。得られた混合物を60℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmで撹拌し、均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
【0055】
一方、高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中に0.10mol/L-Na3PO4水溶液850.0部及び10%塩酸8.0部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、70℃に加温した。ここに、1.0mol/L-CaCl2水溶液127.5部を添加し、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を調製した。
【0056】
水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入後、重合開始剤であるT-ブチルパーオキシピバレート7.0部を添加し、15000回転/分の回転数を維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌翼に撹拌機を変え、還流しながら70℃で5時間反応させた後、液温85℃とし、さらに2時間反応させた。
【0057】
重合反応終了後、得られたスラリーを冷却し、さらに、スラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの3倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級してトナー粒子を得た。
【0058】
その後、トナー粒子100.0部に対して、外添剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)を用いて疎水化処理されたシリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0部を加えた。そして、シリカ微粒子を加えたトナー粒子を、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナーを得た。得られた印刷用トナーの重量平均粒子径は、6.5μmであった。
【0059】
(重量平均粒子径の測定方法)
印刷用トナーTy,Tm,Tc及び粉末接着剤Tnの重量平均粒子径は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター MulTisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター MulTisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
【0060】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解させて濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0061】
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0062】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)MulTisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「UlTrasonic Dispersion SysTem TeTora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。
(4)上記(2)のビーカーを前述超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調製する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー又は粉末接着剤を、10mgになるよう少量ずつ電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前述(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー又は粉末接着剤を分散させた前述(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調製する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒子径を算出する。
【0063】
(画像形成時の動作)
次に、本実施例の画像形成装置1が行う画像形成動作について、
図1~
図8を用いて説明する。
図3は、シートPに転写されるトナー像の状態を説明するための模式図である。
図4(a、b)は、画像形成装置1におけるシートの搬送経路を表す図である。
図5(a~f)は、折り工程の内容を説明するための図である。
図7(a~c)は、画像形成装置1が出力する成果物を例示する図である。
【0064】
画像形成装置1に対して印刷すべき画像のデータ及び印刷の実行指令が入力されると、画像形成装置1の制御部はシートPを搬送して画像を形成し、必要に応じて後処理ユニット30による後処理を施す一連の動作(画像形成動作)を開始する。画像形成動作では、まず、
図1に示すように、シートPがシートカセット8から1枚ずつ給送され、搬送ローラ8aを介して転写ニップ5nへ向けて搬送される。
【0065】
シートPの給送に並行して、プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cが順次駆動され、感光ドラム101が図中時計回り方向(矢印w)に回転駆動される。このとき感光ドラム101は、帯電ローラ102によって表面に一様な電荷を付与される。また、スキャナユニット2が、画像データに基づいて変調したレーザ光Gを各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの感光ドラム101に照射して、感光ドラム101の表面に静電潜像を形成する。次に、各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの現像ローラ105に担持された粉体によって、感光ドラム101上の静電潜像が粉体像として現像される。
【0066】
なお、粉末接着剤Tnによって現像されることで感光ドラム101上に形成される粉末接着剤層は、視覚情報の伝達を目的としない点で、図形やテキスト等の画像をシートPに記録するための印刷用トナーの画像(通常のトナー像)とは異なっている。ただし、シートPに所定の塗布パターンで粉末接着剤Tnを塗布するために電子写真プロセスによって現像された粉末接着剤層も「トナー像」の1つとして考えてもよい。
【0067】
転写ベルト3aは、図中反時計回り方向(矢印k)に回転する。各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cにおいて形成されるトナー像は、感光ドラム101と一次転写ローラ4との間に形成される電界によって、感光ドラム101から転写ベルト3aに一次転写される。
【0068】
ここで、
図1に示すように、転写ベルト3aの回転方向において、粉末接着剤Tnを用いるプロセスカートリッジ7nが4つのプロセスカートリッジの中で最も上流に位置する。また、プロセスカートリッジ7nから転写ベルト3aの回転方向下流側に向かって、イエロー、マゼンタ、シアンのプロセスカートリッジ7y,7m,7cが順に並んでいる。従って、
図3に示すように、4種類のトナー像が転写ベルト3a上で重なると、粉末接着剤Tnが最下層(転写ベルト3aに接触する層)となり、その上にイエロー(Ty)、マゼンタ(Tm)、シアン(Tc)の印刷用トナーが順に重なった状態となる。
【0069】
転写ベルト3aに担持されて転写ニップ5nに到達したトナー像は、二次転写ローラ5と二次転写内ローラ3bとの間に形成される電界によって、主搬送路1mを搬送されてきたシートPに二次転写される。その際、トナー層の上下は反転する。即ち、転写ニップ5nを通過したシートPには、最下層(シートPに接触する層)からシアン(Tc)、マゼンタ(Tm)、イエロー(Ty)の印刷用トナーが重なり、さらにその上に粉末接着剤Tnの層が形成される。従って、シートPに転写されたトナー像において、粉末接着剤Tnの層が最表面となる。
【0070】
その後、シートPは、第1定着器6に搬送されて熱定着処理を受ける。即ち、シートPが定着ニップ6nを通過する際にシートP上のトナー像が加熱及び加圧されることで印刷用トナーTy,Tm,Tc及び粉末接着剤Tnが溶融し、その後固着することで、シートPに定着した画像が得られる。
【0071】
片面印刷・両面印刷に依らず、装置本体10より排出されるシートPは、
図4(a、b)に示すように、中間ローラ34bと第2排出ローラ34cにより挟持され、トレイ切替ガイド13aにより第1経路R1もしくは第2経路R2へと搬送される。
【0072】
図4(a)に示す第1経路R1は、後処理ユニット30を使わない通常印刷のモードにおいて、第1定着器6を通過したシートPが排出ユニット34によって第1排出トレイ13に排出される経路である。
図4(b)に示す第2経路R2は、接着印刷のモードにおいて、第1定着器6を通過したシートPが排出ユニット34、折り器31及び第2定着器32を介して第2排出トレイ35に排出される経路である。
【0073】
第2経路R2における第1定着器6と折り器31との間には、中間パス15が設けられている。中間パス15は、画像形成装置1の上面部(天面部)を通るシート搬送路であり、第1排出トレイ13の下側で第1排出トレイ13と略平行に延びている。なお、中間パス15及び第1排出トレイ13は、水平方向に対して折り器31に向かって鉛直方向の上方に傾斜している。従って、折り器31の入口(下記のガイドローラ対(31c,31d)は、装置本体10の出口(中間ローラ34bと第2排出ローラ34cのニップ)よりも鉛直方向で上方に位置する。
【0074】
折り器31は、第1ガイドローラ31c、第2ガイドローラ31d、第1折りローラ31a及び第2折りローラ31bの4本のローラと、引き込み部31eと、を有している。第1ガイドローラ31c及び第2ガイドローラ31dは、折り器31の上流側の搬送パス(本実施例では中間パス15)から受け取ったシートPを挟持して搬送するガイドローラ対である。第1折りローラ31a及び第2折りローラ31bは、シートPを折り曲げながら送り出す折りローラ対である。
【0075】
なお、第2経路R2に沿ったシートの搬送方向における第2排出ローラ34cから第1ガイドローラ31cまでの間隔M(
図1)は、折り処理前のシートPの搬送方向の全長L(
図5(a))よりも短くなるように構成されている。言い換えると、第2排出ローラ34cから第1ガイドローラ31cまでの間隔Mにより、後処理ユニット30によって処理可能なシートの搬送方向の長さの下限が定まる。この構成により、排出ユニット34からガイドローラ対に滞りなくシートPが受け渡される。
【0076】
図5(a~f)に沿って折り器31による折り処理を説明する。折り処理を実行する場合、第1ガイドローラ31c及び第1折りローラ31aは図中時計回り方向に、第2ガイドローラ31d及び第2折りローラ31bは図中反時計回りに回転する。まず、排出ユニット34から送り出されたシートPの先端qが、
図5(a)に示すようにガイドローラ対(31c,31d)に引き込まれる。シートPの先端qは、
図5(b)に示すように、ガイド壁31fにより下向きに案内されて第1折りローラ31aに接触し、互いに対向している第1折りローラ31aと第2ガイドローラ31dに引き込まれて引き込み部31eの壁31gに当接する。
【0077】
ガイドローラ対(31c,31d)によるシートPの引き込みに連れて、先端qは壁31gに摺接しながら引き込み部31eの奥へと進む。やがて、先端qは
図5(c)に示すように引き込み部31eの端部31hに突き当たる。なお、引き込み部31eは、
図4(a)に示すように中間パス15の下方側で中間パス15と略平行に延びた空間を形成しており、
図5(c)の段階で、シートPは第2ガイドローラ31dに巻き付いてU字型に曲がった状態となる。
【0078】
図5(c)の状態からガイドローラ対(31c,31d)によってさらにシートPが引き込まれると、
図5(d)に示すように中腹部rでたわみが生じはじめる。やがて
図5(e)に示すように、中腹部rが第2折りローラ31bに接することで、第2折りローラ31bから受ける摩擦力により折りローラ対(31a,31b)のニップ部に引き込まれる。そして、
図5(f)に示すように、中腹部rを折り目として折り畳まれた状態で、折りローラ対(31a,31b)によって中腹部rを先頭にシートPが排出される。
【0079】
ここで、引き込み部31eの深さN(
図5(e))、即ち折りローラ対(31a,31b)のニップ部から引き込み部31eの端部31hまでの距離は、シートPの全長Lの半分の長さに設定している。これにより、折り器31は、シートPを半分の長さで二つ折りにする処理(中折り)を実行可能である。なお、引き込み部31eの深さNを変えることで、折り目の位置を任意に変えることができる。
【0080】
以上説明した折り器31は折り手段の一例であり、例えばシートPにブレードを押し当ててローラ対のニップ部に押し込むことで折り目を形成する折り機構を用いてもよい。また、折り処理の内容は二つ折りに限らず、例えばZ折りや三つ折りを実行する折り機構を用いてもよい。なお、本実施例の折り器31は、回転するローラと固定された引き込み部31eで構成されるため、往復運動をするブレードを用いる折り機構に比べて駆動機構の簡素化が可能である。また、本実施例の折り器31は、4本のローラ以外に、シート長さの半分の深さNを有する引き込み部31eを設ければよいため、後処理ユニット30の小型化が可能である。
【0081】
折り器31を通過したシートPは、
図4(b)に示すように第2定着器32に搬送される。第2定着器32は、第1定着器6と同様に熱定着方式の構成を有する。即ち、第2定着器32は、加熱部材としての加熱ローラ32bと、加圧部材としての加圧ローラ32aとを有する。加熱ローラ32bは、ハロゲンランプやセラミックヒータ等の発熱体や誘導加熱方式の発熱機構によって加熱される。加圧ローラ32aは、バネ等の付勢部材によって加熱ローラ32bに押圧されており、加熱ローラ32bと加圧ローラ32aのニップ部(接着ニップ)を通過するシートPを加圧するための加圧力を発生させる。なお、ここでは回転体対としてのローラ対がシートを挟持搬送する構成を例示したが、例えば筒状のフィルムの内側にヒータを配置し、フィルムを挟んでヒータに対向する加圧ローラとヒータとの間のニップ部にシートを挟持して搬送する構成としてもよい。
【0082】
折り器31で折り畳まれたシートPは、第2定着器32によって接着処理(粉末接着剤が塗布された画像面に対する2回目の熱定着)を受けることで、折り畳まれた状態のまま接着される。即ち、シートPが接着ニップを通過する際にシートP上の粉末接着剤Tnが加熱されて再び軟化した状態で加圧されることで、接着面(折り畳まれた状態で、粉末接着剤Tnの層を介して互いに対向するシートの面)上の接着剤同士が密着する。そして、粉末接着剤Tnが冷えて固まることで、粉末接着剤Tnを接着剤としてシートPの画像面と対向面が結合(圧着)される。
【0083】
第2定着器32による接着処理を受けたシートPは、
図4(b)に示すように、後処理ユニット30の筐体39に設けられた排出口32c(第2の排出口)から図中左側に排出される。そして、装置本体10の左側面に設けられた第2排出トレイ35(
図1参照)に収納される。以上で、シートPが第2経路R2を搬送される場合の画像形成の動作が終了する。
【0084】
なお、シートPに対する粉末接着剤Tnの塗布パターンによって、折り畳まれたシートPの結合箇所を変えることが可能となる。
図7(a~c)は、粉末接着剤Tnの塗布パターンが異なる成果物(画像形成装置の出力物)を例示している。
図7(a、b)は、受け取った人が開封する用途の成果物(半接着の成果物)の例である。
図7(a)の圧着ハガキ51の場合、原紙の片面の全面51aに粉末接着剤Tnが塗布され、中央の折り目51bで折り畳まれた状態で接着される。
図7(b)の給与明細書52の場合、原紙の片面の外周部の全周52aに粉末接着剤Tnが塗布され、中央の折り目52bで折り畳まれた状態で接着される。
図7(c)は、開封されることを前提としない用途の成果物(完全接着の成果物)の例としての袋(薬袋)を表している。この場合、折り畳まれた状態のシートの折り目53b以外の二辺が結合されるように、コ字状の領域53aに粉末接着剤Tnが塗布される。
【0085】
また、本実施例の画像形成装置1は、
図7(a~c)に例示したいずれの成果物についても、プレプリント紙を用意することなくノンストップで出力することが可能である。即ち、印刷用トナーを用いて原紙の片面又は両面に画像を記録する動作に並行して、所定の塗布パターンで粉末接着剤を塗布し、折り処理及び接着処理を施した状態の成果物を出力することが可能である。例えば、
図7(a~c)の成果物を出力する場合、原紙として用いるシートの一方の面が成果物の外側となり、他方の面が成果物の内側となる。そこで、両面印刷における第1面の画像形成動作として、印刷用トナーで外側面用の画像を形成し、第2面の画像形成動作として、印刷用トナーで内側面用の画像を形成すると共に所定の塗布パターンで粉末接着剤を塗布すればよい。
【0086】
画像形成装置1が印刷用トナーを用いて記録する画像には、プレプリント紙を用いる場合のフォーマット(不変部分)と、個人情報等の可変部分とを含めることができる。従って、上記のように本実施例ではプレプリント紙ではない白紙等の原紙から、接着処理によって接着された成果物を出力することができる。ただし、プレプリント紙を記録媒体として使用し、可変部分の印刷処理と接着処理を行う用途で本実施例の画像形成装置1を使用することもできる。
【0087】
ここで、シートの第1面に印刷されるトナー像の冷却について説明する。第1面に転写されたトナー像は、第1定着器6で熱定着処理を受け、その後、第2面に転写されたトナー像を熱定着する際にも第1定着器6によって加熱される。さらにシートPが後処理ユニット30によって接着処理を受ける場合は、第2定着器32によっても加熱される。このように第1面に印刷されたトナー像が繰り返し加熱されると、第2定着器32を通過する際にトナー像が加熱ローラ32bに転移し、この転移トナー像が、加熱ローラ32bが1回転した時にシートの他の部分(又は後続のシート)に付着する可能性がある。
【0088】
本実施例では、シートPは第1面についての定着処理の後に反転ユニットとしての第1排出ローラ34a及び中間ローラ34bによって反転搬送される。このとき、シートPは、その一部が機外に露出して外気で冷却されることによって温度上昇が抑制される。すなわち、本実施例においては、シートPの一部が機外に露出して反転搬送されることが、シートPを冷却する冷却手段として作用している。このような構成により、上述したような画像の転移が生じる可能性を低減することができる。
【0089】
(粉末接着剤の保管温度)
ところで、
図1に示す画像形成装置1が画像形成動作を実行するとき、熱定着処理を実行するために第1定着器6は加熱され、各プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cは現像ローラ105と感光ドラム101との摩擦等により発熱する。また、画像形成動作に関与する電力部材(例えば、二次転写ローラ5や帯電ローラ102)に電力を供給する際に電源ユニットが発熱する。さらに、接着印刷の場合には、第2定着器32も発熱する。
【0090】
第1定着器6及び第2定着器32等の熱源が発する熱によって画像形成装置1に収容されている粉末接着剤Tnの温度が上昇すると、接着剤粒子の溶融又は凝集等、粉末接着剤Tnの変質が発生する可能性がある。粉末接着剤Tnは、接着機能を発揮しやすくするため、印刷用トナーTy,Tm,Tcよりも溶けやすい。そのため、保管中の粉末接着剤Tnの温度制御に注意する必要がある。粉末接着剤Tnが変質すると、粉末接着剤Tnの塗布量が不足することで接着不良が生じる等、接着印刷において正常な成果物の出力が妨げられる可能性がある。
【0091】
本実施例の画像形成装置1は、
図1に示すように粉末接着剤Tnが収容される粉体収容部104nを、鉛直方向Vに関して第1定着器6及び第2定着器32より下方に配置している。具体的には、粉体収容部104nの底部104bが、第1定着器6の下端部及び第2定着器32の下端部よりも下方に位置している。ただし、定着器の下端部は、加熱ローラ及び加圧ローラを収容している定着器筐体の底面を表すものとする(該当する部材がない場合、熱源となる加熱ローラの下端部とする)。より好ましくは、粉体収容部104nの全体が、第1定着器6の下端部及び第2定着器32の下端部よりも下方に位置するように、粉体収容部104nを配置する。
【0092】
粉体収容部104nを第1定着器6及び第2定着器32より下方に配置したことで、第1定着器6及び第2定着器32によって暖められた熱気を介して粉体収容部104nに熱が伝わることを低減することができる。そのため、長期間にわたって粉体収容部104nの粉末接着剤Tnの品質を安定した状態に保つことができる。
【0093】
また、本実施例では、転写ユニット3の転写ベルト3aによって、第1定着器6及び第2定着器32と粉末接着剤Tnの粉体収容部104nとが上下に隔てられた構成を採用している。即ち、第1定着器6及び第2定着器32は、転写ベルト3aの上方側に設けられ、粉体収容部104nは転写ベルト3aの下方側に設けられている。転写ベルト3aに占有された空間の断熱作用により、第1定着器6及び第2定着器32から粉体収容部104nに伝わる熱をさらに低減することができる。
【0094】
また、本実施例では、上述したように折り器31の入口が装置本体10の出口である排出ユニット34より上方に設けられている(
図1)。また、鉛直方向Vにおける折り器31の占有範囲と第2定着器32の占有範囲は重複しており、折り器31から第2定着器32までのシート搬送路は略水平方向Hに延びている。つまり、排出ユニット34に比べて第2定着器32が上方に位置する構成であるから、熱源である第2定着器32を粉末接着剤Tnの粉体収容部104nから上方に離間している。
【0095】
なお、折り器31を排出ユニット34より上方に設けて第1排出トレイ13及び中間パス15を傾斜させることは、次のような利点もある。まず、第1排出トレイ13が、排出ユニット34による排出方向の下流に向かって上方に傾斜しているため、第1排出トレイ13に積載されるシートPの整合性向上に貢献する。また、第1排出トレイ13の下側の空間が第1排出トレイ13に平行な中間パス15として利用されるため、画像形成装置1の容積効率が高まる。なお、傾斜角度の目安として、第2排出ローラ34cと第1ガイドローラ31cの軸中心を結ぶ平面と水平面との成す角θが10°~40°になるような配置とすると好適である。
【0096】
(画像形成装置内の送風)
ここで、画像形成装置1の内部でファンを用いて装置内を冷却するための構成について説明する。
図1に示すように、本実施例の画像形成装置1の装置本体10には、背面側(
図1の視点で画像形成ユニット1eの奥側)に送風手段としてのファン40a,40b,40cが少なくとも1つ(図示した例では3つ)設けられている。
【0097】
各ファン40a,40b,40cは、筐体19に形成された吸気口から外気を取り込んで気流(冷却風)を発生させる。ファン40aからの冷却風は、矢印f0を代表例として表す送風経路を通り、4つのプロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cと転写ベルト3aの間を通過してこれらのユニットを冷却した後、排気口であるルーバー38Rから排気される。ファン40bからの冷却風は、矢印f1を代表例として表す送風経路を通り、第1定着器6を冷却した後、ルーバー38R又は第1排出口12から排気される(矢印f2)。また、ファン40cからの冷却風は、装置本体10の背面部に設けられた不図示の電源ユニットを冷却した後、ルーバー38Rから排気される。これらのファン40a,40b,40cが発生させる冷却風によって装置本体10内の各ユニットが冷却されることで、各ユニットの過熱が抑制され、安定した画像形成動作が可能となる。
【0098】
ところで、装置本体10の内部で粉末接着剤Tnの粉体収容部104n及び第1定着器6を通る送風経路(f0,f1)は、概ね
図1で左側から右側に向かう方向となる。これは、図中左右方向に関して左側にファン40a,40bが設けられ、右側に排気口であるルーバー38R及び第1排出口12が設けられているためである。そして、
図1で左側から右側に向かう方向に関して、粉体収容部104nは第1定着器6よりも上流側に位置している。そのため、第1定着器6で熱せられた空気が粉体収容部104nに吹き付けて粉体収容部104n内の粉末接着剤Tnの温度が上昇することを防ぐことができ、粉末接着剤Tnの品質維持に貢献する。
【0099】
また、
図1で左側から右側に向かう方向に関して、粉末接着剤Tnの粉体収容部104nは印刷用トナーTy,Tm,Tcの粉体収容部104y,104m,140cよりも上流に位置する。つまり、粉末接着剤Tnの粉体収容部104nの方が、印刷用トナーTy,Tm,Tcの粉体収容部104y,104m,140cよりもファン40bに近い位置にある。この構成によれば、印刷用トナーTy,Tm,Tcよりも溶けやすく、温度に敏感な粉末接着剤Tnを効率的に冷却することができ、粉末接着剤Tnの品質維持に貢献する。
【0100】
さらに、実施例1の構成では、粉末接着剤Tnの粉体収容部104nが装置本体10の筐体19(第1の筐体)に収容される一方で、第2定着器32は後処理ユニット30の筐体39(第2の筐体)に収容されている。このため、第2定着器32で熱せられた空気は粉体収容部104nに到達しにくくなっており、第2定着器32の熱で粉末接着剤Tnが昇温することを抑制できる。
【0101】
なお、本実施例では、粉体収容部104nを冷却した空気が主に第1排気口としてのルーバー38Rから排気されるのに対し、第1定着器6を冷却した空気の少なくとも一部が第2排気口としての第1排出口12から排気される。即ち、粉末接着剤Tnの粉体収容部104nを通る送風経路と第1定着器6を通る送風経路とが、少なくとも部分的に分けられた構成となっている。このような構成によっても、第1定着器6で熱せられた空気が粉体収容部104nに吹き付けにくくなり、粉末接着剤Tnの昇温が抑制される。なお、筐体19の内部に画像形成ユニット1eと第1定着器6を隔てる仕切り板を配置して、粉体収容部104nを通る送風経路と第1定着器6を通る送風経路とをより明確に分けてもよい。
【実施例2】
【0102】
次に、実施例2の形態について、
図9を用いて説明する。なお、実施例1と共通の符号を付した要素は、実施例1で上述したものと共通の機能を有することとし、説明を省略する。
【0103】
本実施例は、転写ユニット3がプロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの下方に配置される点で実施例1と異なっている。粉末接着剤Tnを用いるプロセスカートリッジ7nは4つのプロセスカートリッジの中で図中最も右側に配置され、以下左側に向かってイエロー、マゼンタ、シアンのプロセスカートリッジ7y、7m、7cが配置される。転写ベルト3aの回転方向に関するカートリッジ間の上流/下流の位置関係は実施例1(
図1)と共通である。そのため、
図3を用いて説明したように、圧着印刷の場合には粉末接着剤Tnを最も上の層とする粉体像がシートPに形成される。
【0104】
本実施例においても、粉末接着剤Tnの粉体収容部104nは、鉛直方向に関して第1定着器6及び第2定着器32より下方に設けられている。このため、実施例1と同様に、粉末接着剤Tnの昇温による変質を抑制することができる。
【0105】
また、本実施例では、装置本体10の背面側に送風手段としてのファン40が設けられている。ファン40からの冷却風は、矢印f3を代表例として表す送風経路を通る。この冷却風は、4つのプロセスカートリッジ7n,7y,7m,7c、転写ベルト3a及び不図示の電源ユニットを冷却しながら、筐体19の左側面部に設けられたルーバー38Lから排気される(矢印f4)。実施例1と同様に、ファン40の送風経路において粉末接着剤Tnの粉体収容部104nは印刷用トナーTy,Tm,Tcの粉体収容部104y,104m,104cより上流に配置されており、粉末接着剤Tnを効率的に冷却することができる。また、第1定着器6は、ファン40から粉体収容部104nに向かう最短経路からは離れた位置にあるため、第1定着器6で熱せられた空気は粉体収容部104nに到達しにくくなっている。
【0106】
(変形例)
実施例1,2で例示した構成に限らず、画像形成装置1の熱源を冷却することで熱せられた空気が粉末接着剤Tnの粉体収容部104nに到達しにくい構成であることが好ましい。例えば、第2定着器32が装置本体10の筐体内に配置される構成であれば、第2定着器32が粉体収容部104nを通る送風経路において粉体収容部104nの下流にあると好適である。つまり、ファン40から粉体収容部104nを介してルーバー38Lに向かう方向に関して、定着手段、圧着手段及び粉体収容部104y、104m、104cの少なくとも1つが粉体収容部104nの下流に設けられていると好適である。なお、粉体収容部104nを介して排気口に向かう方向とは、例えば粉体収容部104nからルーバー38Lに最短経路で向かう気流の方向を表す。
【0107】
また、実施例1で説明したように、粉体収容部104nを通る送風経路と画像形成装置1の熱源を通る送風経路を分けることも有効である。つまり、ファン40によって粉体収容部104nを冷却しながら流れる気流を筐体の外部に排出する第1排気口と、送風手段によって定着手段、圧着手段及び粉体収容部104y、104m、104cの少なくとも1つを冷却しながら流れる気流を筐体の外部に排出する第2排気口と、を別個に設けると好適である。
【実施例3】
【0108】
次に、実施例3の形態について、
図10及び
図11を用いて説明する。なお、実施例1と共通の符号を付した要素は、実施例1で上述したものと共通の機能を有することとし、説明を省略する。
【0109】
本実施例の構成は第2排出トレイ35の構成が実施例1と異なっている。
図10の構成例では、第2排出トレイ35がシートが排出される方向の下流側に向けて上向きとなるように傾斜している。一方、
図11の構成例では、第2排出トレイ35がシートが排出される方向の下流側に向けて下向きとなるように傾斜している。そして、シート搬送方向における第2排出トレイ35の長さLt2は、シート搬送方向における本体排出トレイの長さ(すなわち第1排出トレイ13の長さ)Lt1より短い。これは、第2排出トレイ35には折り処理が施されることでシート搬送方向の長さが元のシートPよりも短く(例えば2つ折りの場合には2分の1に)なった成果物としてのシートP’が排出されるためである。
【0110】
また、シート搬送方向における第2排出トレイ35の長さLt2はシートPの長さLよりも短くなっている。つまり、第2排出トレイ35の長さLt2は、画像形成装置1が折り処理及び接着処理を施すことが可能なシートPの中でシート搬送方向の長さが最大であるものの長さ(最大シート長さ)よりも短い。これは、第2排出トレイ35には折り処理が施されることでシート搬送方向の長さが最大シート長さよりも短くなった成果物としてのシートP’が排出されるためである。
【0111】
このような構成とすることで、画像形成装置1を小型化することができる。さらに、第2排出トレイ35を傾斜させることで、折り処理及び接着処理を施されて排出された成果物P’が突き当て部35aに突き当たるように自重で寄せられて積載されるため、ユーザが成果物としてのシートP’を取り出す際の操作性が向上する。なお、突き当て部35aは、第2排出トレイ35の傾斜に応じて、第2排出トレイ35の積載面に対してシート搬送方向の上流側(
図10の場合)又は下流側(
図11の場合)に設けられる。
【0112】
(その他の実施形態)
上述の実施例1~3で説明した形態では画像形成装置に対して着脱可能なプロセスカートリッジ7nの一部として粉末接着剤Tnの粉体収容部104nが設けられている構成を例示した。これに代えて、粉体収容部104nを有するトナーカートリッジ又はトナーボトル等のユニットがプロセスカートリッジとは別々に画像形成装置に対して着脱される構成であってもよい。また、粉体収容部104nは画像形成装置に組み込まれていて、粉末接着剤Tnを外部から補給する構成であってもよい。いずれの場合でも、粉体収容部104nに関して実施例1~3で説明した構成を適用可能である。
【0113】
また、画像形成装置の装置本体10に後処理ユニット30がオプションとして取り付けられる構成に代えて、後処理ユニット30の各部の機能が装置本体に一体に組み込まれた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1…画像形成装置/1e…画像形成手段(画像形成ユニット)/3a…転写ベルト/5…転写手段(二次転写ローラ)/6…定着手段(第1定着器)/7n…第2プロセスユニット(プロセスカートリッジ)/7y,7m,7c…第1プロセスユニット(プロセスカートリッジ)/8…シート収納部(シートカセット)/8f…給送部材(給送ローラ)/13…ガイド部材(第1排出トレイ)/19…第1の筐体/31…折り手段(折り器)/32…接着手段(第2定着器)/34…搬送部材(排出ユニット)/34a,34b…冷却手段、反転ユニット(排出ローラ34a,中間ローラ34b)/35…第2排出トレイ/39…第2の筐体/104y,104m,104c…第1収容部(粉体収容部)/104n…第2収容部(粉体収容部)/R1…第1経路/R2…第2経路/Tn…粉末接着剤/Ty,Tm,Tc…印刷用トナー