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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】リフティングマグネット装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/08 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
B66C1/08 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020142214
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022037967
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】池永 貴広
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095709(JP,A)
【文献】特公昭50-012822(JP,B1)
【文献】特開2006-240674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊物に吸着可能な電磁石と、
前記電磁石の吸着面と吊物との間の部位を撮影する撮影装置とを備え
前記電磁石は、第1電磁石と第2電磁石とを含み、
1つの前記撮影装置が前記第1電磁石の吸着面と吊物との間の部位と前記第2電磁石の吸着面と吊物との間の部位との両方を撮影する、
リフティングマグネット装置。
【請求項2】
前記電磁石を挟んで前記撮影装置の反対側から照明光を照射する照明装置を更に備える、
請求項1記載のリフティングマグネット装置。
【請求項3】
前記照明光はレーザー光を含む、
請求項2記載のリフティングマグネット装置。
【請求項4】
前記撮影装置の映像に基づき前記吸着面と吊物とのギャップに関する運転支援を行う運転支援処理部を更に備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリフティングマグネット装置。
【請求項5】
前記撮影装置は、第1撮影装置と第2撮影装置とを含み、
前記第1撮影装置と前記第2撮影装置とが異なる前記電磁石の吸着面と吊物との間の部位をそれぞれ撮影する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のリフティングマグネット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフティングマグネット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リフティングマグネット装置は、ワイヤーロープに吊られた電磁石を鋼材などの吊物に吸着させ、吊物を昇降及び搬送する装置である。特許文献1には、吊物と電磁石とのギャップが一定距離となるように電磁石の励磁制御を行うリフティングマグネット装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-314877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁石と吊物との間には、異物が挟まったり、吊物の歪み、反り、凹凸の影響などで、ギャップが生じることがある。電磁石の吸着力は、電磁石と吊物との間にギャップが生じると低下し、ギャップの大きさによっては電磁石の本来の吸着能力が発揮されない。従来のリフティングマグネット装置では、吸着時に、電磁石と吊物との間にギャップが無いこと、又はギャップが生じたとしても吊物の昇降及び搬送に支障のない小さなギャップであることを正確に把握することが難しく、その確認作業は煩雑であった。
【0005】
本発明は、煩雑なギャップの確認作業を削減できるリフティングマグネット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るリフティングマグネット装置は、
吊物に吸着可能な電磁石と、
前記電磁石の吸着面と吊物との間の部位を撮影する撮影装置とを備え
前記電磁石は、第1電磁石と第2電磁石とを含み、
1つの前記撮影装置が前記第1電磁石の吸着面と吊物との間の部位と前記第2電磁石の吸着面と吊物との間の部位との両方を撮影する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、煩雑なギャップの確認作業を削減できるリフティングマグネット装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態のリフティングマグネット装置を示す構成図である。
図2図1のリフティングマグネット本体の側面図(A)及び平面図(B)である。
図3】運転支援処理部が実行する運転支援処理の一例を示すシーケーンス図である。
図4】変形例のリフティングマグネット本体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態のリフティングマグネット装置を示す構成図である。図2は、図1のリフティングマグネット本体の側面図(A)及び平面図(B)である。
【0010】
本実施形態のリフティングマグネット装置1は、吊物80に吸着可能なリフティングマグネット本体10と、リフティングマグネット本体10を昇降及び搬送するクレーン30と、リフティングマグネット本体10及びクレーン30の運転操作を行う操作部50と、リフティングマグネット本体10及びクレーン30の動作制御を行う制御部60と、クレーン30の運転を、条件に応じて禁止するインターロック機構70とを備える。吊物80は、鋼板、スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼材である。
【0011】
リフティングマグネット本体10は、複数の電磁石11と、複数の電磁石11を吊るビーム13と、ギャップ検出用の照明装置15及び撮影装置16とを備える。複数の電磁石11は、下面が吸着面11aであり、水平方向に位置が異なる複数箇所にそれぞれ配置され、励磁時に磁力によって吊物80に吸着する。吊物80の被吸着面81が同一高さである場合、複数の電磁石11の吸着面11aは略同一高さに位置する。複数の電磁石11のいずれか一つが本発明に係る第1電磁石に相当し、別の一つが本発明に係る第2電磁石に相当する。
【0012】
複数の電磁石11は、電流が流されるコイルと、コイルの磁力を増幅するヨークとを有し、理想的には各吸着面11aが吊物80にギャップを挟まずに接触して吊物80に吸着する。ギャップを発生させないことで最大の吸着力が発揮される。しかし、各電磁石11の吸着面11aと吊物80との間には、異物が混入することがあり、吸着力によって異物が潰されない場合に、吸着面11aと吊物80との間にギャップ(エアギャップ)が生じる。あるいは、吊物80に歪み、反り、凹凸又は段差などがあり、幾つかの電磁石11の吸着面11aと吊物80との間にギャップが生じる場合がある。ギャップが大きくなるほど電磁力による吸着力は低くなる。複数の電磁石11には、吸着面11aと吊物80との間に生じるギャップの許容値が予め定められている。
【0013】
撮影装置16は、レンズと撮像素子(例えばエリアセンサ)とを有し、複数の電磁石11の各吸着面11aと吊物80との間の部位を撮影する。ギャップが存在しない場合、吸着面11aと吊物80との間の部位は体積ゼロの面状部位となる。一方、ギャップが存在する場合、吸着面11aと吊物80との間の部位は、体積を有する薄い空間(すなわちギャップ)となり、吸着面11aに沿った方向から撮影することが可能となる。吸着面11aと吊物80との間の部位の撮影とは、ギャップが無い状態と許容値程度のギャップが有る状態とを判別できる撮影を意味する。撮影装置16は、上記の部位に、吸着面11aに平行な光が差し込まれた場合に、この光を撮影できる位置及び角度に配置されている。撮影装置16は、各吸着面11aにおける撮影装置16から遠い側の縁部と吊物80の被吸着面81との間に生じたギャップが撮影できるように配置されるとよい。一例として、撮影装置16は、撮影視野を電磁石11に向け、吸着面11aの延長線上あるいは吸着面11aの中央を角度中心とした上記延長線から上下10度の範囲に位置するとよい。あるいは、撮影装置16はミラーを介して上記と同様の撮影が可能に配置されてもよい。
【0014】
照明装置15は、電磁石11を介して撮影装置16の反対側から照明光を照射する。照明装置15は、レーザ発振器であり照明光としてレーザー光を出力してもよい。あるいは、照明装置15は、環境光と識別可能となるように、色付きで指向性の高い光を照射する高輝度発光ダイオードであってもよい。照明装置15は、複数の電磁石11の各吸着面11aと吊物80との間の部位を照らすように照明光を照射する。一例として、照明装置15は、光の照射方向を電磁石11に向け、吸着面11aの延長線上あるいは吸着面11aの中央を角度中心とした上記延長線から上下30度の範囲に位置するとよい。あるいは、照明装置15はミラーを介して上記と同様の照明が可能に配置されてもよい。
【0015】
実施形態1のリフティングマグネット本体10は、1つの撮影装置16と1つの照明装置15とを有する。図2(B)に示すように、1つの撮影装置16は、鉛直方向から見て、複数の電磁石11の並び方向O1に対して斜めから、撮影視野s1が複数の電磁石11を向くように配置される。同様に、1つの照明装置15は、鉛直方向から見て、複数の電磁石11の並び方向O1に対して斜めから、光の照射範囲e1が複数の電磁石11を向くように配置される。このような配置により、1つの照明装置15により複数の電磁石11の各吸着面11aと吊物80との間の部位に照明光を照射でき、かつ、1つの撮影装置16により複数の電磁石11の各吸着面11aと吊物80との間の部位を撮影できる。
【0016】
操作部50は、運転者による運転操作の入力と運転支援情報の出力とを行う構成であり、複数の電磁石11の励磁電流を操作する電流操作部51と、クレーン30によりリフティングマグネット本体10を運搬する運転操作部52と、警告表示を行う警告表示部53とを有する。
【0017】
インターロック機構70は、操作部50の運転操作があってもリフティングマグネット本体10の運転動作を禁止できる機構であり、制御部60により状態が切り替えられる。
【0018】
制御部60は、プログラムを実行するコンピュータであり、撮影装置16から撮影データを受けて電磁石11の吸着面11aと吊物80との間のギャップの監視及びギャップに関する運転支援制御を行う。制御部60の記憶装置には、ギャップの大きさを識別するためのパターンデータが格納されたギャップデータテーブル61が格納されている。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)が上記運転支援制御のプログラムを実行することで機能する運転支援処理部62を有する。
【0019】
ギャップデータテーブル61には、複数の電磁石11の各吸着面11aごとに、各吸着面11a周辺の映像に示される吸着面11aと吊物80との間の部位からの漏れ光の分布及び輝度と、各吸着面11aのギャップの大きさとが対応づけられたパターンデータが格納されている。パターンデータは、実験又はシミュレーションにより求められ、予め制御部60の記憶装置に格納される。運転支援処理部62は、撮影装置16の映像から各電磁石11の吸着面11a周辺の範囲を抽出し、抽出した映像と上記のパターンデータとを比較して、個々の電磁石11ごとにどれだけのギャップが生じているか識別できる。なお、ギャップの大きさの識別は、上記抽出された映像の特徴量(漏れ光の分布及び強度など)と、関数とを用いて実現されてもよい。
【0020】
<運転支援処理>
図3は、運転支援処理部が実行する運転支援処理を示すシーケンス図である。運転支援処理部62は、リフティングマグネット装置1の運転状態と連動して、運転支援処理を進める。運転者が、クレーン30を運転し、リフティングマグネット本体10の複数の電磁石11を吊物80の上面に着床させ(ステップJ1)、複数の電磁石11を励磁して、複数の電磁石11を吊物80に吸着させると(ステップJ2)、運転支援処理部62が、ギャップの監視を開始する(ステップS1)。
【0021】
なお、ギャップの監視を開始するタイミングは、例えば吊物80の地切り(吊物80が浮き上がる)よりも前、複数の電磁石11が励磁されて複数の電磁石11が吊物80に吸着したタイミングであれば、電磁石11の励磁のタイミングに限られない。映像の監視を開始するタイミングは、複数の電磁石11が吊物80に吸着し、かつ、リフティングマグネット本体10が上昇し、複数の電磁石11を吊るワイヤーロープが張られたタイミングとしたり、僅かに吊物80が地切りしたタイミングとしてもよい。
【0022】
ギャップの監視を開始すると、運転支援処理部62は、撮影装置16の映像を取り込み(ステップS2)、ギャップデータテーブル61のパターンデータと照合して複数の電磁石11のギャップの大きさを識別する(ステップS3)。なお、撮影装置16及び照明装置15は、運転支援処理部62により監視タイミングにのみ駆動されてもよいし、監視タイミング以外も駆動されていてもよい。次に、運転支援処理部62は、複数の電磁石11のギャップに、異常を示す閾値(例えば許容値の80%等)以上であるものが無いか判別する(ステップS4)。判別の結果、閾値以上のものがなければ、インターロック機構70の解除を維持し(ステップS5)、警告表示部53を正常を示す出力とする(ステップS6)。
【0023】
運転者は、ステップS6の警告表示部53の正常出力を確認すると、クレーン30を運転することで、吊物80を地切りし、目的の位置まで搬送し、吊物80を搬送先に降ろす。つまり、リフティングマグネット装置1の運転を継続する(ステップJ3)。そして、電磁石11の吸着を解く運転を行って運転完了となる(ステップJ4)。運転が完了すると、運転支援処理部62は、警告表示部53の出力とインターロック機構70の状態をリセットし(ステップS10)、再び、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0024】
一方、ステップS4の判別の結果、ギャップに閾値以上のものがあれば、運転支援処理部62はインターロック機構70をロック状態に切り替えることでクレーン30を運転不可とし(ステップS7)、警告表示部53を異常を示す出力とする(ステップS8)。インターロック機構70がロック状態になることで、運転者は運転を中止する(ステップJ5)
【0025】
運転者は、ステップS8で警告表示部53の異常出力を確認すると、複数の電磁石11の吸着面11aのいずれかに大きなギャップが生じていることを認識できる。そして、運転者は、複数の電磁石11の吸着を解く運転を行い、吊物80の被吸着面81に異物が有るか確認するなど、ギャップを無くすような対処を行う(ステップJ6)。そして、このような対処が行われることで、運転支援処理部62は、警告表示部53の出力とインターロック機構70の状態をリセットして、初期状態に戻り(ステップS9)、再び、ステップS1からの処理を切り返す。
【0026】
このような運転支援処理により、運転者の運転操作中、適宜なタイミングに電磁石11の吸着面11aと吊物80の間に生じるギャップが監視され、運転者はギャップに応じた運転操作を行うことができる。
【0027】
以上のように、本実施形態のリフティングマグネット装置1によれば、電磁石11の吸着面11aと吊物80との間の部位を撮影する撮影装置16を備える。本実施形態のリフティングマグネット装置1は、電磁石11から強い吸着力が発揮されるように、電磁石11の吸着面11aと吊物80との間のギャップが無し、又は、吊物80の昇降及び搬送に支障のない範囲で小さくされるように、ギャップが抑制される。したがって、仮に撮影装置16を利用せずに、吊物80の搬送に支障をきたす大きさのギャップが生じていないか確認する場合、その確認作業は煩雑なものとなる。しかしながら、本実施形態では、撮影装置16の映像から荷吊り不全の恐れのあるギャップの有無を容易に判別できるので、作業員による煩雑なギャップの確認作業を削減でき、ギャップが大きいまま、リフティングマグネット本体10が運転されることで荷吊り不全が生じるといった事態を抑制できる。さらに、複数の作業員が運転とギャップの確認とを別々に担当する場合と比較して、ギャップの確認を別途行う必要がなくなることから、作業員の削減を図ることができる。なお、上記実施形態では、撮影装置16の映像から運転支援処理部62がギャップの大きさを認識し、ギャップに関する運転支援が行われる例を示したが、撮影装置16の映像を運転席の画面に表示する構成としても良い。この構成でも、運転者により容易に吊物80の搬送に支障をきたす大きさのギャップの有無を確認できる。
【0028】
さらに、実施形態のリフティングマグネット装置1によれば、電磁石11を挟んで撮影装置16の反対側から照射光を照射する照明装置15を有する。したがって、吸着面11aにギャップが生じていた場合に、環境光の影響を低減し、ギャップの大きさに応じた照明光の漏れ光を撮影装置16により撮影することが可能となり、撮影装置16の映像により、ギャップの大きさの識別が容易になる。なお、一定以上の環境光が得られる場合など、照明光が省略されても良く、この場合でも、撮影装置16の映像により、ギャップの大きさの識別が容易になる。
【0029】
さらに、実施形態のリフティングマグネット装置1によれば、運転支援処理部62が、撮影装置16の映像に基づきギャップを識別し、ギャップに関する運転支援(ギャップが閾値以上のときの異常表示を実行し、インターロック機構70を動作させるなど)を行う。したがって、運転者は、電磁石11の吸着面11aに生じたギャップに応じた運転を容易に実現でき、運転者の熟練度が異なってもギャップに関して一律な運転を実現できる。
【0030】
さらに、実施形態のリフティングマグネット装置1によれば、1つの撮影装置16が複数の電磁石11の吸着面11aと吊物80との間の部位を撮影する。したがって、撮影装置16の個数を削減し、リフティングマグネット装置1の部品コストを低減できる。
【0031】
(変形例)
図4は、変形例のリフティングマグネット本体を示す平面図である。変形例のリフティングマグネット装置は、リフティングマグネット本体10Aに、複数の照明装置15A、15Bと、複数の撮影装置16A、16Bとが設けられている。その他の構成要素は、上述した実施形態のリフティングマグネット装置1と同様である。撮影装置16Aが本発明に係る第1撮影装置に相当し、撮影装置16Bが本発明に係る第2撮影装置に相当する。
【0032】
複数の撮影装置16A、16Bは、複数の電磁石11のうち、異なる電磁石11の吸着面11aと吊物80との間の部位をそれぞれ撮影する。例えば一方の撮影装置16Aは、図4の左から1個目~3個目の電磁石11の吸着面11aと吊物80との間の部位を撮影し、もう一方の撮影装置16Bは、図4の左から4個目と5個目の電磁石11の吸着面11aと吊物80との間の部位を撮影する。
【0033】
電磁石11の個数が多い場合など、幾つかの電磁石11の上記部位が他の電磁石11と重なって死角に含まれるなど、複数の電磁石11の上記部位を同時に撮影することが困難になることが想定される。このような場合でも、複数の撮影装置16A、16Bを有し、複数の撮影装置16A、16Bが異なる電磁石11の各吸着面11aと吊物80との間の部位を撮影することで、各電磁石11の吸着面11aに生じるギャップの大きさの把握が容易になる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、撮影装置16がステーを介してビーム13に支持されている例を示したが、撮影装置16は、地上などリフティングマグネット本体10と切り離されて固定されていてもよい。また、上記実施形態では、照明装置15はステーを介してビーム13に支持されている例を示したが、照明装置15は、地上などリフティングマグネット本体10と切り離されて固定されていてもよい。また、上記実施形態では、閾値以上のギャップが有ったときに、異常表示により運転者に異常を知らせる構成を示したが、報知音の出力等により異常を運転者に知らせてもよい。その他、リフティングマグネット本体に含まれる電磁石の個数及び配置、吊物の種類、クレーンの種類など、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 リフティングマグネット装置
10、10A リフティングマグネット本体
11 電磁石
11a 吸着面
13 ビーム
15、15A、15B 照明装置
16、16A、16B 撮影装置
50 操作部
51 電流操作部
52 運転操作部
53 警告表示部
60 制御部
61 ギャップデータテーブル
62 運転支援処理部
70 インターロック機構
図1
図2
図3
図4